JP2016069560A - 樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の製造方法では、沸点が70〜150℃である非重合性有機溶媒(以下、単に「有機溶媒」と称することもある)を含む溶液中で(メタ)アクリル系樹脂を重合し、この(メタ)アクリル系樹脂含有溶液を減圧下加熱して前記非重合性有機溶媒を除去すると共に、任意の段階で他の樹脂と混合するか又は他の樹脂と混合することなく(メタ)アクリル系樹脂含有樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と称することもある)を調製し、得られた樹脂組成物を濾過精度が10μm以下のポリマーフィルタで濾過して、ガラス転移温度110〜170℃、有機溶媒含有量が100〜1000ppm(質量基準)の低着色な樹脂組成物を得る。つまり、本発明の製造方法は、重合工程と、減圧下加熱による有機溶媒の除去工程と、必要に応じて他の樹脂を混合する混合工程とを経て調製された樹脂組成物を、ポリマーフィルタで濾過する濾過工程とを含む。そして、本発明の製造方法では、これらの工程のいずれかにおいて有機溶媒量を調整し、得られる樹脂組成物中の有機溶媒含有量が100〜1000ppm(質量基準)となるようにする点を特徴とする。このように最終的に得られる樹脂組成物(目的物)中に敢えて有機溶媒を特定量残存させることにより、有機溶媒の除去工程やポリマーフィルタによる濾過工程において、押出機内で樹脂にかかる剪断力によって分子量低下や着色が生じることを抑制できる。
以下では、まず各工程について説明し、その後、有機溶媒量の調整について述べることとする。
重合工程では、(メタ)アクリル系樹脂を構成する単量体成分を非重合性有機溶媒(有機溶媒)を含む溶液中で重合して、熱可塑性樹脂である(メタ)アクリル系樹脂を得る。
1.1.1.単量体成分
(メタ)アクリル系樹脂を構成する単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、およびこれらの誘導体からなる群より選ばれる(メタ)アクリル系モノマーを必須成分として含有し、必要に応じて、他のモノマーを含有する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタクリル」を意味するものとする。
さらに詳しくは、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、特開2006−96960号公報、特開2006−171464号公報、特開2007−63541号公報に記載の方法により製造できる。
さらに詳しくは、主鎖にN−置換マレイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、特開昭57−153008号公報、特開2007−31537号公報に記載の方法により製造できる。
重合工程は、非重合性有機溶媒を含む溶液中で行う。
前記非重合性有機溶媒は、沸点が70〜150℃である。非重合性有機溶媒の沸点は、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜130℃である。非重合性有機溶媒の沸点がこの範囲であれば、その残存量を調整しやすい。
前記非重合性有機溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、イソブチルアセテート、アミルアセテートなどのエステル系溶媒; ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;等が挙げられる。これらの中でも、芳香族炭化水素系溶媒が好ましい。非重合性有機溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
なお、重合工程は、少なくとも前記非重合性有機溶媒を含有する溶液中で行えばよく、この溶液には前記非重合性有機溶媒以外の溶媒を含有させることもできる。ただし、その場合、重合工程に用いる全溶媒中、前記非重合性有機溶媒の占める割合を80質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上とするのがよい。最も好ましくは、全溶媒中、前記非重合性有機溶媒の占める割合は100質量%である。
重合工程における重合温度、重合時間は、使用する単量体(単量体成分)の種類、使用比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度が0〜150℃の範囲内、重合時間が0.5〜20時間の範囲内であり、より好ましくは、重合温度が80〜140℃の範囲内、重合時間が1〜10時間の範囲内である。
(メタ)アクリル系樹脂としてラクトン環系重合体を得る場合、上記重合反応に引き続き、環化縮合反応を行うことができる。重合体へラクトン環構造を導入するための環化縮合反応は、加熱により、重合体の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基またはカルボキシル基とが環化縮合してラクトン環構造を生じる反応であり、その環化縮合によってアルコールが副生する。
有機溶媒除去工程では、重合工程(必要に応じて環化縮合反応を含む)で得られた(メタ)アクリル系樹脂含有溶液を減圧下加熱して前記非重合性有機溶媒を除去する。
減圧度および加熱温度は、最終的に得られる樹脂組成物中の非重合性有機溶媒含有量が所定の範囲になるよう用いる装置に応じて適宜設定する。
本発明に用いることのできる押出機は、シリンダとシリンダの内部で回転するスクリューとを備え、シリンダの一端側から供給された原料をスクリューで混練しながらシリンダの他端側へと送り、シリンダの先端に備えた口金あるいは押出型とも呼ばれるダイから原料を押し出すものである。スクリューは単軸あるいは二軸のものがあるが二軸が好ましい。シリンダには供給原料を加熱するヒータなどの加熱手段を備える。シリンダには、内部に発生するガス等を逃がすための排気口すなわちベントが設けられている。ベントはシリンダの後端などに1個所だけ設けることもできるが、シリンダの長さ方向に沿って複数個所に設けられることが好ましい。押出機が有するベントの数は、最終的に得られる樹脂組成物中の非重合性有機溶媒含有量の調整が容易になるため多いほど望ましく、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、さらに好ましくは5個以上である。
本発明の樹脂組成物には、(メタ)アクリル系樹脂以外の他の樹脂を含有しなくてもよく、含有してもよい。他の樹脂を含有する場合、本発明の製造方法では任意の段階で他の樹脂の混合工程を行うことができる。他の樹脂の混合工程は、例えば、重合工程(必要に応じて環化縮合反応を含む)で得られた(メタ)アクリル系樹脂含有溶液に対して、有機溶媒除去工程の前に行ってもよいし、有機溶媒除去工程の途中で行ってもよいし、有機溶媒除去工程の後、ポリマーフィルタ濾過工程の前に行ってもよい。また、重合工程において他の樹脂を添加しておくこともできる。
添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5,−トリアジンなどの紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤などの帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;等が挙げられる。これら添加剤は1種のみを用いてよいし2種以上であってもよい。
添加剤の熱可塑性樹脂組成物中における上記添加剤の含有割合は、好ましくは5質量%%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
本発明では、押出機の先端等に設けられたポリマーフィルタによって、溶融状態の樹脂組成物を濾過する。ここで、ポリマーフィルタの濾過精度は10μm以下である。濾過精度が10μmを超えると、異物が混入し易くなり、光学用途等に使用しうる高品位の樹脂組成物が得られない。ポリマーフィルタの濾過精度は、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。またポリマーフィルタの濾過精度の下限は、濾過滞留時間や生産効率の観点から、1μm以上が好ましい。
本発明の製造方法では、得られる樹脂組成物中の有機溶媒含有量が100〜1000ppm(質量基準)になるようにすることが重要である。得られる樹脂組成物中の有機溶媒含有量は、好ましくは150〜950ppm、より好ましくは170〜900ppmである。最終的に得られる樹脂組成物中に前記範囲の有機溶媒が含有されていると、有機溶媒除去工程やポリマーフィルタによる濾過工程においても必然的に相当量の有機溶媒が存在することになるので、この有機溶媒が可塑剤の様に作用し、有機溶媒除去工程やポリマーフィルタによる濾過工程において押出機等の内部で樹脂組成物に剪断力がかかっても(メタ)アクリル系樹脂の劣化を抑制することが可能になり、その結果、平均分子量の低下や着色の発生を抑えることができる。一方、上記範囲を超える量の有機溶媒を樹脂組成物中に含む場合、例えば、射出成型時の金型汚染や、溶融フィルム製膜時のキャストロール汚染など、樹脂組成物の二次加工時に生産性を低下させる可能性を招く問題を生じる。
i)減圧下加熱による非重合性有機溶媒の除去工程の前、途中又は該工程の後であって前記ポリマーフィルタ濾過工程の前の少なくともいずれかの段階で、非重合性有機溶媒または水を加える。減圧下加熱により有機溶媒を除去する際に水を加えると、有機溶媒が留出しやすくなり、有機溶媒量の低減を促進できる。また非重合性有機溶媒を加えることで有機溶媒量を増やしてもよく、減圧下加熱により有機溶媒を除去しすぎた場合には、非重合性有機溶媒を加えて含有量を調整すればよい。特に、水を加えて有機溶媒の除去を促進する場合、添加する水の量は、有機溶媒除去工程に供する樹脂組成物100質量部に対して、3質量部以下にすることが好ましく、2質量部以下がさらに好ましい。添加する水の量を3質量部を超えて増量しても、有機溶媒の除去効率の向上効果は見込まれない。また水を加えて有機溶媒の除去を促進する場合、例えば押出機の複数注入口から水を投入することが、除去効率向上の観点から、好ましい。
ii)複数個のベントを有する二軸押出機にて有機溶媒除去を行うにあたり、ベントの少なくとも一個を200hPa以下の減圧度に制御する。より好ましくはベントの少なくとも一個を150Pa以下とするのがよい。また200hPa以下とするベントの数は、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。ただし、全てのベントが200hPa以下であると、急激な溶媒除去に伴うベントアップが発生し、生産に不具合が生じることが考えられるため、200hPa以下とするベントの数は「ベントの総数−1」個とするのがよい。
iii)複数個のベントを有する二軸押出機にて有機溶媒除去を行うにあたり、各ベントの減圧度を、下流側になるほど減圧度が低くなるか、少なくとも同じとなるように設定する。これにより、有機溶媒の除去を促進できる。
本発明に係る樹脂組成物は、(メタ)アクリル系樹脂と沸点70〜150℃の非重合性有機溶媒100〜1000ppmとを含有し、ガラス転移温度が110〜170℃である熱可塑性の樹脂組成物である。詳しくは、本発明の樹脂組成物は、必須成分である(メタ)アクリル系樹脂と、任意成分としての他の樹脂及び/又は添加剤とを含有するとともに、沸点70〜150℃の非重合性有機溶媒を100〜1000ppm含有する。このような樹脂組成物は、上述した本発明の製造方法により容易に得ることができるものであり、各成分の詳細は上述の通りである。
以下の実施例では、特に断りのない限り「質量部」を単に「部」と、「質量%」を単に「%」と記す。
実施例、比較例で得られた樹脂組成物は下記の方法で分析、評価した。
樹脂組成物中の有機溶媒量(残存量)は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製「GC2012」)及びカラム(信和化工社製「ULBON−HR1」;0.25mmφ×50m、0.25μm)を用いて、炭酸ジフェニルを内部標準として作成した検量線に基づき定量し求めた。
樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、JIS−K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク社製「DSC−8230」)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温し、得られたDSC曲線から補外ガラス転移開始温度を算出した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、JIS−K7210:1999の規定に準拠して、試験温度240℃、荷重98N(10kgf)で測定した。
樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の測定条件に従って、ポリスチレン換算により求めた。
測定システム:東ソー社製「GPCシステムHLC−8220」
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製;特級)
溶媒流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製「PS−オリゴマーキット」)
測定側カラム構成:東ソー社製「TSK−GEL super HZM−M 6.0x150」2本直列接続、東ソー社製「TSK−GEL super HZ−L 4.6x35」1本
リファレンス側カラム構成:東ソー社製「TSK−GEL SuperH−RC 6.0x150」2本直列接続
カラム温度:40℃
樹脂組成物の着色度(YI)は、サンプルをクロロホルムに溶かして15%溶液とし、これを石英セルに入れ、JIS−K7103に従い、色差計(日本電色工業社製「ZE6000」)を用いて、透過光で測定した。
得られた樹脂組成物5gを100mLのクロロホルムに溶解し、パーティクルカウンタ(パマス社製、型式:SVSS−C、センサー仕様:HCB−LD−50/50)を用いて測定した。なお、長径が20μm以上のものを異物としてカウントし、1gあたりの個数に換算して異物数とした。
各実施例、比較例で得られたペレット(樹脂組成物)を、単軸押出機(シリンダー径20mm)を用いて以下の条件で溶融押出成形し、厚さ100μmの未延伸フィルム(原フィルム)を作製した。
シリンダー温度:250℃
ダイ:コートハンガータイプ、幅150mm、温度265℃
キャスティング:つや付き2本ロール、第1ロールおよび第2ロールともに110℃に保持
未延伸フィルムは、Tダイから押し出された樹脂組成物がキャスティングロール上で固化して形成される。よって、未延伸フィルムを作製し始めてから一定時間ごとに、キャスティングロール(第1ロール)の表面の状態を目視にて確認し、その汚染度合を下記の基準で評価した。
◎:未延伸フィルムを作製し始めてから2時間経過した時点で、汚染が確認されない
○:未延伸フィルムを作製し始めてから0.5時間超、2時間以下の間に、ロール表面に汚染が確認される
×:未延伸フィルムを作製し始めてから0.5時間経過した時点で、ロール表面に汚染が確認される
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)229.6部、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)33部、酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブ(登録商標)2112」)0.138部、非重合性有機溶媒としてトルエン248.6部、およびn−ドデシルメルカプタン0.1925部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製「ルペロックス(登録商標)570」)0.2838部を添加するとともに、上記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.5646部とスチレン12.375部とを2時間かけて滴下しながら約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、滴下終了後、同温度でさらに4時間の熟成を行った。
得られたペレット(A−1)中の有機溶媒(トルエン)残存量、Tg、MFR、Mw、YI、異物数、および該ペレットをフィルム化した時のロールの汚染度合は、表1に示す通りであった。
実施例1において、各ベントの減圧度を、リアベント798hPa、第1ベント266hPa、第2ベント乃至第4ベントはいずれも27hPaと設定したこと以外、実施例1と同様にして重合、脱揮およびペレット化を実施し、実施例1と同じ樹脂組成物(A)からなるペレット(A−2)を得た。
得られたペレット(A−2)中の有機溶媒(トルエン)残存量、Tg、MFR、Mw、YI、異物数、および該ペレットをフィルム化した時のロールの汚染度合は、表1に示す通りであった。
実施例1において、各ベントの減圧度を、リアベント798hPa、第1ベント133hPa、第2ベント乃至第4ベントはいずれも27hPaと設定したこと以外、実施例1と同様にして重合、脱揮およびペレット化を実施し、実施例1と同じ樹脂組成物(A)からなるペレット(A−3)を得た。
得られたペレット(A−3)中の有機溶媒(トルエン)残存量、Tg、MFR、Mw、YI、異物数、および該ペレットをフィルム化した時のロールの汚染度合は、表1に示す通りであり、実施例1、2と比較して平均分子量Mwが低下し、着色度YIが上昇することがわかった。
実施例1において、各ベントの減圧度を、リアベント798hPa、第1ベント532hPa、第2ベント乃至第4ベントはいずれも266hPaと設定したこと以外、実施例1と同様にして重合、脱揮およびペレット化を実施し、実施例1と同じ樹脂組成物(A)からなるペレット(A−4)を得た。
得られたペレット(A−4)中の有機溶媒(トルエン)残存量、Tg、MFR、Mw、YI、異物数、および該ペレットをフィルム化した時のロールの汚染度合は、表1に示す通りであり、有機溶媒が過剰に残存しているためにフィルム化の際にロール汚染が生じやすいことがわかった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)40部、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)10部、酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブ(登録商標)2112」)0.025部、および非重合性有機溶媒としてトルエン50部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製「ルペロックス(登録商標)570」)0.05部を添加するとともに、上記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.10部を2時間かけて滴下しながら約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、滴下終了後、同温度でさらに4時間の熟成を行った。
得られたペレット(B−1)中の有機溶媒(トルエン)残存量、Tg、MFR、Mw、YI、異物数、および該ペレットをフィルム化した時のロールの汚染度合は、表1に示す通りであった。
実施例3において、各ベントの減圧度を、リアベント798hPa、第1ベント266hPa、第2ベント乃至第4ベントはいずれも27hPaと設定したこと以外、実施例3と同様にして重合、脱揮およびペレット化を実施し、実施例3と同じ樹脂組成物(B)からなるペレット(B−2)を得た。
得られたペレット(B−2)中の有機溶媒(トルエン)残存量、Tg、MFR、Mw、YI、異物数、および該ペレットをフィルム化した時のロールの汚染度合は、表1に示す通りであり、実施例3と比較して平均分子量Mwが低下し、着色度YIが上昇することがわかった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)32.5部、N−フェニルマレイミド(PMI)8.0部、N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)1.8部、n−ドデシルメルカプタン0.01部、および非重合性有機溶媒としてトルエン54.1部を仕込み、これに窒素を通じつつ、100℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(化薬アクゾ社製「カヤカルボン(登録商標)bic−75」)0.03部を添加するとともに、上記t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.03部とスチレン2.23部とを4時間かけて滴下しながら約100〜115℃の還流下で溶液重合を進行させ、滴下終了後、同温度でさらに2時間の熟成を行った。
得られたペレット(C−1)中の有機溶媒(トルエン)残存量、Tg、MFR、Mw、YI、異物数、および該ペレットをフィルム化した時のロールの汚染度合は、表1に示す通りであった。
実施例4において、各ベントの減圧度を、リアベント798hPa、第1ベント133hPa、第2ベント乃至第4ベントはいずれも27hPaと設定したこと以外、実施例4と同様にして重合、脱揮およびペレット化を実施し、実施例4と同じ樹脂組成物(C)からなるペレット(C−2)を得た。
得られたペレット(C−2)中の有機溶媒(トルエン)残存量、Tg、MFR、Mw、YI、異物数、および該ペレットをフィルム化した時のロールの汚染度合は、表1に示す通りであり、実施例4と比較して平均分子量Mwが低下し、着色度YIが上昇することがわかった。
Claims (12)
- 沸点が70〜150℃である非重合性有機溶媒を含む溶液中で(メタ)アクリル系樹脂を重合し、
この(メタ)アクリル系樹脂含有溶液を減圧下加熱して前記非重合性有機溶媒を除去して(メタ)アクリル系樹脂含有樹脂組成物を調製し、
得られた樹脂組成物を濾過精度が10μm以下のポリマーフィルタで濾過して、
ガラス転移温度110〜170℃、有機溶媒含有量が100〜1000ppm(質量基準)の樹脂組成物を製造する方法。 - 前記減圧下加熱による非重合性有機溶媒の除去工程の前、途中又は該工程の後であって前記ポリマーフィルタ濾過工程の前の少なくともいずれかの段階で、非重合性有機溶媒または水を加える請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 1個以上のベントを設けた二軸押出機中で減圧下加熱することによって前記非重合性有機溶媒を除去する、請求項1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記ベントの少なくとも一個を200hPa以下の減圧度に制御する、請求項3に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記ポリマーフィルタによる濾過工程では、温度260〜330℃で(メタ)アクリル系樹脂含有樹脂組成物を濾過する、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記非重合性有機溶媒が芳香族炭化水素系溶媒である、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記(メタ)アクリル系樹脂が、アクリル系モノマーの重合体であって主鎖に環構造を有する樹脂である、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記主鎖に環構造を有する樹脂が、マレイミド系重合体及び/又はラクトン環系重合体である、請求項7に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 他の樹脂としてスチレン系樹脂を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
- (メタ)アクリル系樹脂と沸点70〜150℃の非重合性有機溶媒100〜1000ppmとを含有し、ガラス転移温度が110〜170℃である樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーの重合体であって主鎖に環構造を有する樹脂である、請求項10に記載の樹脂組成物。
- 前記主鎖に環構造を有する樹脂が、マレイミド系重合体及び/又はラクトン環系重合体である、請求項11に記載の樹脂組成物。
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