JP2016064968A - コンクリート表面被覆用積層フィルム及びコンクリート表面被覆方法 - Google Patents
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Abstract
Description
支持フィルム[I]と、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]とが積層されてなるコンクリート表面被覆用積層フィルムをコンクリート表面に積層して、硬化性樹脂組成物層[II]を前記コンクリート表面と接触させ、硬化性樹脂組成物層[II]を硬化させることによって、前記コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とするコンクリート表面被覆方法。
実質的にフィラー(D)を含有しない硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]をコンクリート表面に積層し、その上に、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]を積層して、硬化性樹脂組成物層[II]及び硬化性樹脂組成物層[III]を硬化させることによって、前記コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とするコンクリート表面被覆方法。
実質的にフィラー(D)を含有しない硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]をコンクリート表面に積層し硬化させ、その上に、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]を積層し硬化させることによって、前記コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とするコンクリート表面被覆方法。
支持フィルム[I]と、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]と、実質的にフィラー(D)を含有しない硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]とが積層されてなるコンクリート表面被覆用積層フィルムをコンクリート表面に積層して、硬化性樹脂組成物層[III]をコンクリート表面と接触させ、硬化性樹脂組成物層[II]及び硬化性樹脂組成物層[III]を硬化させることによって、前記コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とするコンクリート表面被覆方法。
まず、本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルムについて説明する。
また、本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルム(2)は、上記のコンクリート表面被覆用積層フィルム(1)における硬化性樹脂組成物層[II]と同様の硬化性樹脂組成物層上に、実質的にフィラー(D)を含有しない硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]が積層されてなることを特徴とするコンクリート表面被覆用積層フィルムである。すなわち、本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルム(2)は、支持フィルム[I]と、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]と、実質的にフィラー(D)を含有しない硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]とが、この順の層構成で積層されてなることを特徴とする。
以下、硬化性樹脂組成物[ii]及び[iii]について説明する。
かかる硬化性樹脂組成物[ii]としては、好ましくは、バインダーポリマー(A)、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)、不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)、フィラー(D)及び重合開始剤(E)を含有してなるものであり、更に好ましくは、バインダーポリマー(A)、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)、不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)、フィラー(D)、重合開始剤(E)及び発泡剤(F)を含有してなるものである。
また、かかる硬化性樹脂組成物[iii]としては、好ましくは、バインダーポリマー(A)、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)、不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)及び重合開始剤(E)を含有してなるものである。
以下、各成分について、説明する。
本発明におけるバインダーポリマー(A)は、未硬化膜の適度な柔軟性および表面の粘着性抑制、硬化膜の耐久性向上および硬度の調整の目的で用いるものであり、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。中でも、硬化膜の耐久性および硬度の調整を容易にするという点で(メタ)アクリル系樹脂(a1)が好ましい。
以下、(メタ)アクリル系樹脂(a1)について更に具体的に説明する。
尚、(メタ)アクリルはアクリルまたはメタクリルを、(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを表す。
本発明における(メタ)アクリル系樹脂(a1)とは、(メタ)アクリル系モノマーを含有するモノマー成分を重合してなるものである。(メタ)アクリル系樹脂(a1)は、1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の脂肪族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(メタ)アクリル酸フェニルエステル等の芳香族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが挙げられる。
その他の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
上記アミド基含有モノマーおよび上記アミノ基含有モノマーを除くその他の窒素含有モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・・・・・・・・・・Wk/Tgk
但し、Tgは共重合体のガラス転移温度であり、Tg1,Tg2,・・・・・・・・Tgkは各単量体成分の単独共重合体のTgであり、w1,w2,・・・・・・・・・・wkは各単量体成分のモル分率を表し、w1+w2+・・・・・・・・・wk=1である。
尚、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算によるものであり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters2695(本体)」と「Waters2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定することができる。
本発明における不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物等が挙げられる。中でも、硬化後の膜に適度な弾性を付与するという点でウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)が好ましい。
以下、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)について更に具体的に説明する。
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)としては、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)、多価イソシアネート系化合物(b3)及びポリオール系化合物(b4)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)が挙げられる。
尚、粘度はE型粘度計により測定することができる。
水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性−グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイル−オキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
多価イソシアネート系化合物(b3)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ポリイソシアネート、或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物又は多量体化合物、アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業(株)製の「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」「アクアネート210」等)等が挙げられる。
ポリオール系化合物(b4)としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール等の他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグルコール等のアルキレングリコール等も挙げられる。
ポリブタジエン系ポリオールは、その構造中に含まれるエチレン性不飽和基の全部または一部が水素化された水添化ポリブタジエンポリオールであってもよい。
本発明における不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)としては、例えば、単官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上のモノマー、その他のエチレン性不飽和モノマー等を用いることができる。
反応性モノマー(C)の含有量が少なすぎると、貼合前の被覆膜の柔軟性が損なわれて加工性が著しく損なわれる傾向があり、多すぎると被覆膜が硬くなりすぎて耐衝撃性が低下し脆くなる傾向がある。
本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルムにおける硬化性樹脂組成物[ii]には、フィラー(D)が含有される。フィラー(D)を硬化性樹脂組成物[ii]に含有させることにより、充填性向上あるいは硬化時の収縮を抑制すること、平滑性を向上させることなどの効果が得られる。
本発明におけるフィラー(D)としては、例えば、無機フィラーや有機フィラーが挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、タルク、クレー、二酸化ケイ素、ケイ酸、ケイ藻土、カオリン、雲母、アスベスト、石膏、グラファイト、ガラスバルーン、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ウイスカー状炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ドーソナイト、ドロマイト、酸化チタン、チタン酸カリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、天然由来の雲母、トバモライト等の加工鉱物及びガラス繊維、炭素繊維、炭素中空球、ベントナイト、モンモリロナイト、銅粉、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アルミニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、クロム酸カリウム、クエン酸カルシウム等が挙げられる。
有機フィラーの具体例としては、例えば、澱粉、メラミンホルムアルデヒド樹脂等のメラミン系樹脂、架橋アクリル粉体、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂の他、ポリ乳酸等の生分解性樹脂等も挙げられる。
これらの中でも軽量気泡コンクリート(ALC)との親和性の点で炭酸カルシウム粉体が好ましい。
ここでいう「平均粒子径」とは、積算時(測定時)の粒径の平均値(メジアン径)を意味し、これはレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製「SALD−2000J」)により測定することができる。
フィラー(D)の含有量が少なすぎると樹脂の収縮および流動性が大きくなりすぎて、所望の平滑性が得難くなる傾向があり、含有量が多すぎると、未硬化膜が脆くなり貼合性が低下し、さらに硬化後の膜が脆弱となって表面から樹脂とフィラーが脱落する傾向がある。
本発明における重合開始剤(E)としては、例えば、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビスイソオブチレート、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1,1′−アゾビス(1−アセトキシ1−フェニルエタン)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾビス系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、エチルメチルケトンペルオキシド、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
中でも上記のアゾビス系化合物が好ましく用いられ、更に10時間半減温度が50℃以上のアゾビス系化合物が特に好ましい。10時間半減温度が50℃以上のアゾビス系化合物としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピネート)等が挙げられる。
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
重合開始剤(E)の含有量が少なすぎると、被覆膜が硬化不足となり十分な弾性又は硬度が得られず、膜が脆くなってしまい機能が果たせなくなる傾向があり、含有量が多すぎると、反応前の膜の保管時に重合開始剤(E)がブリードアウトして、被覆膜の中で結晶が析出する傾向がある。
本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルムにおける硬化性樹脂組成物[ii]は、更に発泡剤(F)を含有してなることが好ましい。発泡剤(F)を硬化性樹脂組成物[ii]に含有させることで、コンクリート表面のより大きな凹凸に対してコンクリート表面被覆用積層フィルムの充填性がさらに向上する。例えば、コンクリート基材、とくに軽量気泡コンクリート(ALC)ボードのように表面に大きく深い凹凸を有する基材において、面内に散在するmm単位の凹部についてもコンクリート表面被覆用積層フィルムが十分な充填性を発揮して、そのような凹部を含む周辺においても平滑な表面を形成させることができる。
無機系化合物としては、例えば、炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウム等が挙げられ、中でも炭酸水素ナトリウムが好ましい。有機系化合物としては、例えば、アゾジカルボンアミド/4,4′−オキシビス、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド等が挙げられる。
ここでいう「平均粒子径」とは、積算時(測定時)の粒径の平均値(メジアン径)を意味し、これはレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製「SALD−2000J」)により測定することができる。
発泡剤(F)の含有量が多すぎると、空隙率が著しく上昇し、熱硬化層の強度が低下して層としての形状保持が困難となる傾向があり、少なすぎると発泡剤の配合効果が得難くなる傾向がある。
本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルム(1)は、支持フィルム[I]と、硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II](以下、硬化性樹脂組成物層[II]ともいう。)とが積層された構造を有する。
また、本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルム(2)は、支持フィルム[I]と、硬化性樹脂組成物層[II]と、硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]とが、この順の層構成で積層された構造を有する。
コンクリート表面被覆用積層フィルム(1)及び(2)は、厚さ方向における支持フィルム[I]側に対して反対側に、保護フィルム[IV]が更に積層されていてもよい。
中でも、フィルム形成時および被膜硬化時の耐熱性の点で、PETフィルム、あるいは樹脂層をその表面に積層した紙を用いることが特に好ましい。
また、本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルム(2)を製造する方法としては、例えば、支持フィルム[I]の片面に、硬化性樹脂組成物[ii]を均一に塗布し、通常50〜120℃、もしくは順次温度の高くなるオーブンで、通常5〜60分間乾燥して硬化性樹脂組成物層[II]を形成し、さらに同様にして、硬化性樹脂組成物層[II]の上面に、硬化性樹脂組成物[iii]を均一に塗布し、通常50〜120℃、もしくは順次温度の高くなるオーブンで、通常5〜60分間乾燥して硬化性樹脂組成物層[III]を形成する方法が挙げられる。
また、支持フィルム[I]の片面に、硬化性樹脂組成物[ii]を均一に塗布し、通常50〜120℃、もしくは順次温度の高くなるオーブンで、通常5〜60分間乾燥して硬化性樹脂組成物層[II]を形成したものと、保護フィルム[IV]の片面に、硬化性樹脂組成物[iii]を均一に塗布し、通常50〜120℃、もしくは順次温度の高くなるオーブンで、通常5〜60分間乾燥して硬化性樹脂組成物層[III]を形成したものとを積層する方法も挙げられる。
このように硬化性樹脂組成物層[II]中のフィラー(D)の含有濃度を厚さ方向に傾斜させる方法としては、例えば、フィラー(D)の含有濃度が異なる複数の硬化性樹脂組成物[ii]を調製し、含有濃度のより高い硬化性樹脂組成物[ii]から順に層を形成して、支持フィルム[I]側が反対側よりも高濃度となる多層の硬化性樹脂組成物層[II]を形成する方法が挙げられる。
また、保護フィルム[IV]を用いる場合には、上記硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]を形成し、次いで該層[II]又は[III]の上面に保護フィルム[IV]を加圧積層する方法が挙げられる。
本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルム(1)において、硬化性樹脂組成物層[II]を硬化させた被覆膜に意匠性を付与する場合には、硬化性樹脂組成物層[II]の厚みは、150μm以上が好ましく、特には150〜500μm、更には250〜300μmが好ましい。
また、本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルム(2)において、硬化性樹脂組成物層[III]の厚みは、30μm以上が好ましく、特には50〜500μm、更には100〜300μmが好ましい。
本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルム(2)において、硬化性樹脂組成物層[III]を硬化させた被覆膜に意匠性を付与する場合には、硬化性樹脂組成物層[II]及び[III]の厚みの総計は、150μm以上が好ましく、特には150〜500μm、更には250〜300μmが好ましい。
かかる硬化性樹脂組成物層[II]の厚みが薄すぎると、コンクリート表面に機械的に保護するのに適当な厚みを得るために積層する枚数が多くなりすぎて積層工程が煩雑となったり、コストが高くなりすぎたりする傾向があり、あるいは保護するのに適当な厚みが得られずコンクリート表面の破損の抑制が困難となる傾向がある。また、かかる厚みが厚すぎると、被覆膜がコンクリート表面から剥離しやすくなる傾向があり、コストが高くなりすぎる傾向がある。
ALCボードは、その製造メーカーあるいはロット毎にその表面性は異なるが、そのままの表面に対して被覆しても良いし、サンドペーパー等を用いて表面を研磨し、内部発泡部分を露出させてから被覆することも可能である。
本発明のコンクリート表面被覆方法(1)〜(3)の態様は、例えば、本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルム(1)を用いて行なうことができるものである。
なお、支持フィルム[I]、硬化性樹脂組成物[ii]、硬化性樹脂組成物層[II]、硬化性樹脂組成物[iii]、硬化性樹脂組成物層[III]は、本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルムについて説明したものと同様である。
また、コンクリート表面被覆方法(2)及び(3)において、硬化性樹脂組成物層[III]を積層する方法としては、例えば、支持フィルム[I]と、硬化性樹脂組成物層[III]とが積層された積層フィルムを用い、当該積層フィルムをコンクリート表面に積層した後に、支持フィルム[I]を剥離する方法などが挙げられる。
コンクリート表面に被覆膜を形成するコンクリート表面被覆方法において、
支持フィルム[I]と、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]とが積層されてなるコンクリート表面被覆用積層フィルムをコンクリート表面に積層して、硬化性樹脂組成物層[II]を前記コンクリート表面と接触させ、硬化性樹脂組成物層[II]を硬化させることによって、前記コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とするコンクリート表面被覆方法。
コンクリート表面に被覆膜を形成するコンクリート表面被覆方法において、
フィラー(D)を実質的に含有しない硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]をコンクリート表面に積層し、その上に、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]を積層して、硬化性樹脂組成物層[II]及び硬化性樹脂組成物層[III]を硬化させることによって、前記コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とするコンクリート表面被覆方法。
コンクリート表面に被覆膜を形成するコンクリート表面被覆方法において、
フィラー(D)を実質的に含有しない硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]をコンクリート表面に積層し硬化させ、その上に、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]を積層し硬化させることによって、前記コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とするコンクリート表面被覆方法。
なお、支持フィルム[I]、硬化性樹脂組成物[ii]、硬化性樹脂組成物層[II]、硬化性樹脂組成物[iii]、硬化性樹脂組成物層[III]は、本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルムについて説明したものと同様である。
コンクリート表面に被覆膜を形成するコンクリート表面被覆方法において、
支持フィルム[I]と、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]と、フィラー(D)を実質的に含有しない硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]とが積層されてなるコンクリート表面被覆用積層フィルムをコンクリート表面に積層して、硬化性樹脂組成物層[III]をコンクリート表面と接触させ、硬化性樹脂組成物層[II]及び硬化性樹脂組成物層[III]を硬化させることによって、前記コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とするコンクリート表面被覆方法。
積層フィルムは、ALCボードにそのまま積層しても良く、あるいはあらかじめALCボードを予熱又は乾燥してから積層しても良い。
積層に際しては、例えば、表面温度が70℃以上のロール(以下、熱ロールともいう。)で、ALCボード上に積層フィルムを押圧しながら貼り合わせることができる。尚、積層フィルムが保護フィルム[IV]を有する場合は、保護フィルム[IV]を剥離しながら又は剥離した後、硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]がALCボードに接するように積層する。
熱ロールの加重線圧が小さすぎたり、熱ロールの移動速度が高すぎたりすると、積層フィルムの硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]がALCボード表面に充分浸透し難くなり、硬化後の硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]の剥離の原因となる傾向がある。また、熱ロールの加重線圧が大きすぎたり、熱ロールの移動速度が低すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[I]又は[III]がALCボードに完全に浸透してしまって表面に被覆するための樹脂分が残らなくなる傾向がある。
なお、貼合に際して用いられるロールは上記の熱ロールに限らず、加熱されていない(即ち雰囲気温度の)ロールを用いることもできる。
例えば、上記で積層した第一のコンクリート表面被覆用積層フィルムの支持フィルム[I]を剥離して露出した第一の硬化性樹脂組成物層[II−1]又は[III−1]上に、同様にして第二のコンクリート表面被覆用積層フィルムを貼合して、第一の硬化性樹脂組成物層[II−1]又は[III−1]と第二の硬化性樹脂組成物層[II−2]又は[III−2]とを積層してもよい。
また、あらかじめ第一の硬化性樹脂組成物層[II−1]又は[III−1]と第二の硬化性樹脂組成物層[II−2]又は[III−2]とをラミネート貼合し、厚膜の硬化性樹脂組成物層を形成した後、上記と同様にして、ALCボード表面に貼合することも可能である。
本発明のコンクリート表面被覆方法においては、上記の積層を行なうことにより、積層フィルムをコンクリートに積層して、硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]をコンクリート表面と接触させたうえで、硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]を硬化させることによって、コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とする。硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]を硬化させる方法としては、硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]が重合開始剤(E)として熱重合開始剤を含有する場合には、例えば、下記の第1、第2及び第3の方法が挙げられる。
第1の方法は、積層フィルムをコンクリート表面に押圧し、硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]を硬化させる方法である。熱ロールは、好ましくは積層フィルム上に配置し、積層フィルムを介してコンクリート表面を押圧する。
熱ロールとしては、例えば、ロールの数が1本の単独ロール機、ロール軸に対して交差する方向に複数のロールが配置された連続ロール機等が用いられる。連続ロール機における複数のロールは、積層フィルムに与える熱量が次第に大きくなるように、表面温度を次第に大きく設定して配置することが好ましい。尚、ロールを構成する材料としては、例えば、金属またはゴムが挙げられ、温度調整が容易である点から金属が好ましい。また、連続ロール機におけるロールの数は、通常、2〜10本であり、好ましくは3〜8本、特に好ましくは4〜6本である。
熱ロールの線圧が小さすぎたり、熱ロールの移動速度が高すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]の硬化が不十分となり、硬化後の硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]の剥離の原因となる傾向がある。また、熱ロールの線圧が大きすぎたり、熱ロールの移動速度が低すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]がALCボード等のコンクリートに完全に浸透してしまって表面に被覆するための樹脂分が残らなくなる傾向がある。
第2の方法は、熱板で積層フィルムをコンクリート表面に押圧し、硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]を硬化させる方法である。熱板は、好ましくは積層フィルム上に配置し、積層フィルムを介してコンクリート表面を押圧する。
熱板の圧力が小さすぎたり、押圧時間が短すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]の硬化が不十分となり、硬化後の硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]の剥離の原因となる傾向がある。また、熱板の圧力が大きすぎたり、押圧時間が長すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]がALCボード等のコンクリートに完全に浸透してしまって表面に被覆するための樹脂分が残らなくなる傾向がある。
第3の方法は、高温の雰囲気中にて硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]を硬化させることによって、コンクリート表面に被覆膜を形成する方法である。雰囲気温度は、70℃以上、特に好ましくは100℃〜180℃、さらに好ましくは130℃〜160℃である。高温の雰囲気中にて硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]を硬化させる方法としては、例えば、上記雰囲気温度に調整された恒温槽内に積層フィルムを放置する方法、上記雰囲気温度に調整された雰囲気炉内で積層フィルムを移動させる方法が挙げられる。
この第3の方法は、上記の第1の方法又は第2の方法と組み合わせてもよい。
また、第1の方法で用いる熱ロールや第2の方法で用いる熱板を、表面温度が上記温度に満たないロール、エンボスロール、平板、エンボス板に変更して、コンクリート表面被覆用積層フィルムをコンクリート表面に押圧しながら、又は押圧した後に、この第3の方法を行なってもよい。
硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]が光重合開始剤を含有する場合は、活性エネルギー線を積層フィルムの硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]に照射する。尚、活性エネルギー線は、コンクリート表面被覆用積層フィルムの支持フィルム[I]上から照射してもよく、支持フィルム[I]を剥離した後に硬化性樹脂組成物層[II]又は[III]に直接照射してもよい。
かかる活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
紫外線照射により硬化させる方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極ランプ、LEDランプ等を用いて、100〜3000mJ/cm2程度を照射する方法が挙げられる。
紫外線照射後は、必要に応じて、加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
ALCボード等のコンクリート上に貼合された後、硬化反応を施した積層フィルムは、その荷重等により、ボードの端面で樹脂がはみ出すなどして不要部分が残存する場合があり、この不要部分を切断あるいは切削等で除去しても良い。
さらに、端面の一部に積層フィルムが欠落した部分や、加工の際に敷設しきれなかった部分に、本発明で用いる硬化性樹脂組成物[ii]又は[iii]と同じあるいは類似の樹脂組成物、或いは本発明で用いる硬化性樹脂組成物[ii]又は[iii]を構成するバインダーポリマー(A)又はそのバインダーポリマー(A)と類似の樹脂を塗布等によって補っても良い。
尚、例中「%」および「部」とあるのは重量基準を意味する。
各成分として、以下のものを用意した。
(A1):ポリメチルメタクリレート(ガラス転移温度:105℃)(三菱レイヨン社製「ダイヤナールBR−83」)
反応性オリゴマー(B1)として以下のものを調製した。
(B1):温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート16.1g(0.07モル)、2官能ポリエステルポリオール(水酸基価54mgKOH/g)75.2g(0.04モル)、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.02g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、60℃で3時間反応させ、2−ヒドロキシエチルアクリレート8.6g(0.07モル)を仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、2官能ウレタンアクリレート(B1)(重量平均分子量10,000、60℃における粘度15,000mPa・s)を得た。
(C1):メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業社製「M−90G」)
(C2):ペンタエリスリトールとアクリル酸の縮合物(大阪有機化学工業社製「ビスコート300」、3官能以上のモノマーに相当する。)
(D1):炭酸カルシウム(白石カルシウム社製「重質炭酸カルシウム粉BF200」、平均粒子径5μm)
(E1):2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬社製「V−60」)
(E2):1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル(和光純薬社製「V−40」)
次いで、(A1)、(B1)、(C1)の混合物の不揮発分100部に対して2部となるように、重合開始剤(E1)を混合し、不揮発分濃度が56%となる硬化性樹脂組成物[iii−1]溶液を得た。
この硬化性樹脂組成物[iii−1]溶液を厚さ25μmのポリエステルフィルム[I−1]上にギャップ幅0.5mmにセットしたコンマコーターで連続的に流延して、これをさらに連続的に70℃で12分間と90℃で6分間乾燥することで、厚さ220μmの硬化性樹脂組成物層[III−1]がポリエステルフィルム[I−1]上に形成された積層フィルム(3−1)を得た。
この硬化性樹脂組成物[ii−1]溶液を、硬化性樹脂組成物[iii−1]溶液と同様にして、厚さ25μmのポリエステルフィルム[I−2]上に連続的に流延、続いて乾燥することで、厚さ250μmの硬化性樹脂組成物層[II−1]がポリエステルフィルム[I−2]上に形成された本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルム(1−1)を得た。
この硬化性樹脂組成物[ii−2]溶液を、上記硬化性樹脂組成物[iii−1]溶液と同様にして、厚さ25μmのポリエステルフィルム[I−2]上に連続的に流延、続いて乾燥することで、厚さ250μmの硬化性樹脂組成物層[II−2]がポリエステルフィルム[I−2]上に形成された本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルム(2−2)を得た。
得られた積層フィルム(3−1)及びコンクリート表面被覆用積層フィルム(1−1)を用いて、下記のとおり、評価用のパネル積層体〔α−1〕を得た。
即ち、80℃、24時間乾燥させた後、室温まで冷却したコンクリートパネル(旭化成建材社製「ヘーベルパワーボードフラットパネル」(厚さ37mm))の外壁側となる表面に、上記の積層フィルム(3−1)の硬化性樹脂組成物層[III−1]面側が重なるように積層し、これを150℃に加熱したゴムロールで線圧2kg/cmで押しつけながら0. 25m/分の速度でラミネートした(1回目ラミネート)。
その後、この積層フィルム(3−1)からポリエステルフィルム[I−1]を剥離して、その硬化性樹脂組成物層[III−1]の上に、更に、上記コンクリート表面被覆用積層フィルム(1−1)を硬化性樹脂組成物層[II−1]面側が重なるように積層し、これを先と同様に、150℃に加熱したゴムロールで線圧2kg/cmで押しつけながら0. 25m/分の速度でラミネートして(2回目ラミネート)、硬化性樹脂組成物層[II−1]を有する未硬化のパネル積層体を得た。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜の剥がれは認められなかった。
なお、上記の境界の平均線とは、ある程度大きな断面、例えば5〜10cmの断面を見た場合に、基材であるコンクリートパネル(ALC)の表面の凹凸の位置座標を積算し、そこから得られる位置座標の合計がゼロとなるような水平基準軸のことである。
表面を研磨処理したコンクリートパネルを用いた以外は、実施例1と同様に、積層フィルム(3−1)及びコンクリート表面被覆用積層フィルム(1−1)を用いて、評価用のパネル積層体〔α−2〕を得た。
具体的には、80℃、24時間乾燥させた後、室温まで冷却したコンクリートパネル(旭化成建材社製「ヘーベルパワーボードフラットパネル」(厚さ37mm))の外壁側となる表面を、#40のサンドペーパーを装着したグラインダーにより、一様に3mmの深さで研磨切削して、研磨前の表面よりも多くの発泡気泡を露出させた。この新たな表面に積層フィルム(3−1)の硬化性樹脂組成物層[III−1]面側が重なるように積層し、以降は実施例1と同様にして評価用のパネル積層体〔α−2〕を得た。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜の剥がれは認められなかった。
実施例1で得られた未硬化のパネル積層体について以下のとおり硬化を行なって評価用のパネル積層体〔α−3〕を得た。即ち、未硬化のパネル積層体の面積と同じ面積であって、あらかじめ130℃に予熱し、彫刻が施された鉄板をパネル積層体の硬化性樹脂組成物層[II−1]側に乗せ、さらに50kgf/cm2の荷重をかけて、このまま130℃の恒温槽内に60分放置して、硬化性樹脂組成物層[II−1]及び[III−1]を硬化させることで、評価用のパネル積層体〔α−3〕を得た。かかる鉄板の表面には、深さ100μmで1辺が5mmの正方形が等間隔でならぶ千鳥格子状の彫刻が施されたものである。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜の剥がれは認められなかった。
実施例2で得られた未硬化のパネル積層体について以下のとおり硬化を行なって評価用のパネル積層体〔α−4〕を得た。即ち、未硬化のパネル積層体の面積と同じ面積であって、あらかじめ130℃に予熱し、彫刻が施された鉄板をパネル積層体の硬化性樹脂組成物層[II−1]側に乗せ、さらに50kgf/cm2の荷重をかけて、このまま130℃の恒温槽内に60分放置して、硬化性樹脂組成物層[II−1]及び[III−1]を硬化させることで、評価用のパネル積層体〔α−4〕を得た。かかる鉄板の表面には、深さ100μmで1辺が5mmの正方形が等間隔でならぶ千鳥格子状の彫刻が施されたものである。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜の剥がれは認められなかった。
積層フィルム(3−1)の硬化性樹脂組成物層[III−1]と、コンクリート表面被覆用積層フィルム(1−1)の硬化性樹脂組成物層[II−1]とを重ね、100℃に加熱したラミネートロールで1m/minの速さで貼り合わせ、この積層体の硬化性樹脂組成物層[III−1]側のポリエステルフィルム[I−1]を剥離して、本発明のコンクリート表面被覆用積層フィルム(2)に係るコンクリート表面被覆用積層フィルム(2−1)を調製した。
実施例1と同様にして、コンクリートパネルの外壁側となる表面に、コンクリート表面被覆用積層フィルム(2−1)の硬化性樹脂組成物層[III−1]と接触させてコンクリート表面被覆用積層フィルム(2−1)を積層し、これを150℃に加熱したゴムロールで線圧2kg/cmで押しつけながら0. 25m/分の速度でラミネートして、未硬化のパネル積層体を得た。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜の剥がれは認められなかった。
表面を研磨処理したコンクリートパネルを用いた以外は、実施例5と同様に、積層フィルム(3−1)及びコンクリート表面被覆用積層フィルム(1−1)を用いて、評価用のパネル積層体〔α−6〕を得た。
具体的には、80℃、24時間乾燥させた後、室温まで冷却したコンクリートパネル(旭化成建材社製「ヘーベルパワーボードフラットパネル」(厚さ37mm))の外壁側となる表面を、#40のサンドペーパーを装着したグラインダーにより、一様に3mmの深さで研磨切削して、研磨前の表面よりも多くの発泡気泡を露出させた。この新たな表面に積層フィルム(3−1)の硬化性樹脂組成物層[III−1]面側が重なるように積層し、以降は実施例5と同様にして評価用のパネル積層体〔α−6〕を得た。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜の剥がれは認められなかった。
実施例1と同様にして、積層フィルム(2−2)及びコンクリート表面被覆用積層フィルム(1−1)を用いて、評価用のパネル積層体〔α−7〕を得た。
具体的には、80℃、24時間乾燥させた後、室温まで冷却したコンクリートパネル(旭化成建材社製「ヘーベルパワーボードフラットパネル」(厚さ37mm))の外壁側となる表面に積層フィルム(3−1)の硬化性樹脂組成物層[III−1]面側が重なるように実施例1と同様にして積層し、さらに実施例1と同様に積層フィルム(3−1)のポリエステルフィルム[I−1]を剥離した。その硬化性樹脂組成物層[III−1]の上に、更に、上記コンクリート表面被覆用積層フィルム(2−2)を硬化性樹脂組成物層[II−2]面側が重なるように積層し、以降は実施例1と同様にして評価用のパネル積層体〔α−7〕を得た。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜の剥がれは認められなかった。
実施例2において、コンクリート表面被覆用積層フィルム(1−1)に代えて、別の積層フィルム(3−1)を用いる以外は同様にして、二層の硬化性樹脂組成物層[III−1]を有するパネル積層体〔α−7〕を得た。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜の剥がれは認められなかった。
実施例2においてコンクリート表面被覆用積層フィルム(1−1)に代えて、別の積層フィルム(3−1)を用いる以外は同様にして、二層の硬化性樹脂組成物層[III−1]を有する未硬化のパネル積層体を得た。
この未硬化のパネル積層体の面積と同じ面積であって、あらかじめ130℃に予熱し、彫刻が施された鉄板をパネル積層体の硬化性樹脂組成物層[II−1]側に乗せ、さらに50kgf/cm2の荷重をかけて、このまま130℃の恒温槽内に60分放置して、硬化性樹脂組成物層[II−1]及び[III−1]を硬化させることで、評価用のパネル積層体〔α−8〕を得た。かかる鉄板の表面には、深さ100μmで1辺が5mmの正方形が等間隔でならぶ千鳥格子状の彫刻が施されたものである。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜の剥がれは認められなかった。
例えば軽量気泡コンクリート(ALC)などのコンクリートの表面における凹凸のギャップは、通常0.1〜0.5mm程度の範囲内であるが、コンクリート製造の特性上、例えば1m2の面内を観察すると、数カ所〜十数カ所にこの通常範囲の上限を超えるギャップを有する凹部が存在する。
コンクリート、特にALCの表面への意匠性付与において、表面の平滑性を追求した場合、この通常範囲の上限を超えるギャップを有する凹部においてもコンクリート表面被覆用積層フィルムの樹脂が十分に充填されていないと、その部分の樹脂充填の不足によってそのまま表面に凹みが生じ意匠性が損なわれるおそれがある。
実施例1、5、7および比較例1で用いたコンクリートパネルを上記のテスト基材に変更した以外はそれぞれの例中に表記された方法と同様にして積層フィルムを貼合し硬化させ、極端なギャップを有する25個の凹部への樹脂の充填性を目視にて評価した。
評価基準は下記のとおりである。
○:完全充填であり平滑である。
△:明らかに凹部の場所がわかる。
×:完全に凹んで見える。
その結果、実施例1が「△」、実施例5が「△」、実施例7が「○」、比較例1が「×」となった。
Claims (15)
- 支持フィルム[I]と、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]とが積層されてなることを特徴とするコンクリート表面被覆用積層フィルム。
- 硬化性樹脂組成物[ii]が、バインダーポリマー(A)、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)、不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)、フィラー(D)及び重合開始剤(E)を含有してなることを特徴とする請求項1記載のコンクリート表面被覆用積層フィルム。
- 支持フィルム[I]と、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]と、フィラー(D)を実質的に含有しない硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]とが、この順の層構成で積層されてなることを特徴とするコンクリート表面被覆用積層フィルム。
- 硬化性樹脂組成物[iii]が、バインダーポリマー(A)、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)、不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)及び重合開始剤(E)を含有してなることを特徴とする請求項3記載のコンクリート表面被覆用積層フィルム。
- 硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]中におけるフィラー(D)の含有濃度が、厚さ方向における支持フィルム[I]側が反対側よりも高濃度となるよう傾斜していることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のコンクリート表面被覆用積層フィルム。
- フィラー(D)が、平均粒子径0.1〜20μmの粉粒体又は繊維であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のコンクリート表面被覆用積層フィルム。
- 重合開始剤(E)が、10時間半減温度が50℃以上のアゾビス系化合物であることを特徴とする請求項2、4、5又は6記載のコンクリート表面被覆用積層フィルム。
- 硬化性樹脂組成物[ii]が、更に発泡剤(F)を含有してなることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のコンクリート表面被覆用積層フィルム。
- 硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]の厚みが、50μm以上であることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載のコンクリート表面被覆用積層フィルム。
- 厚さ方向における支持フィルム[I]側に対して反対側に、保護フィルム[IV]が更に積層されてなることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載のコンクリート表面被覆用積層フィルム。
- コンクリート表面に被覆膜を形成するコンクリート表面被覆方法において、
支持フィルム[I]と、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]とが積層されてなるコンクリート表面被覆用積層フィルムをコンクリート表面に積層して、硬化性樹脂組成物層[II]を前記コンクリート表面と接触させ、硬化性樹脂組成物層[II]を硬化させることによって、前記コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とするコンクリート表面被覆方法。 - コンクリート表面に被覆膜を形成するコンクリート表面被覆方法において、
フィラー(D)を実質的に含有しない硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]をコンクリート表面に積層し、その上に、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]を積層して、硬化性樹脂組成物層[II]及び硬化性樹脂組成物層[III]を硬化させることによって、前記コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とするコンクリート表面被覆方法。 - コンクリート表面に被覆膜を形成するコンクリート表面被覆方法において、
フィラー(D)を含有しない硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]をコンクリート表面に積層し硬化させ、その上に、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]を積層し硬化させることによって、前記コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とするコンクリート表面被覆方法。 - コンクリート表面に被覆膜を形成するコンクリート表面被覆方法において、
支持フィルム[I]と、フィラー(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物[ii]からなる層[II]と、フィラー(D)を含有しない硬化性樹脂組成物[iii]からなる層[III]とが積層されてなるコンクリート表面被覆用積層フィルムをコンクリート表面に積層して、硬化性樹脂組成物層[III]をコンクリート表面と接触させ、硬化性樹脂組成物層[II]及び硬化性樹脂組成物層[III]を硬化させることによって、前記コンクリート表面に被覆膜を形成することを特徴とするコンクリート表面被覆方法。 - 硬化性樹脂組成物[ii]が、更に発泡剤(F)を含有してなることを特徴とする請求項11〜14いずれか記載のコンクリート表面被覆方法。
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