JP2016093979A - 表面保護用フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高硬度で傷つきにくく、しかも丸めたり、折り曲げたりする仕様にも耐えることができる表面保護用フィルム、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 基材フィルム上に、ドット群からなるハードコートが形成されていて、前記各ドットは、硬化性組成物の硬化物であって、且つ各ドットは該ドットの頭頂面の面積が1×10-6〜1mmであり、前記ドット群におけるドット中心間距離は10〜1000μmであり、前記塗膜1cm当たりにおけるドット個数は100〜1×10個である。
【選択図】 図1

Description

フレキシブルキーボード、フレキシブルディスプレイ、電子ペーパー等の可撓性あるポータブルなパソコン周辺機器、その他のフレキシブル性を有する機器表面を傷つきから保護するために、表面に貼着されるプラスチックフィルムに関し、特に機器の折り曲げ加工、折り曲げ仕様にも適用できる屈曲性に優れた表面保護用フィルム及びその製造方法に関する。
フレキシブルキーボード、フレキシブルディスプレイ、電子ペーパーなど、携帯型のパソコン周辺機器は、近年の薄型軽量化により、さらに丸めたり、折り曲げたりできることが求められるようになっている。
これらの周辺機器の表面には、傷つき、クラック発生を防止するために、一般に表面保護用フィルムを貼着している。表面保護用フィルムに用いるプラスチックフィルムは、加工性、透明性などの光学物性に優れているという理由から、アセチル化セルロース樹脂フィルムやポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを基材フィルムとし、その表面に、硬くて耐擦傷性、耐摩耗性、耐溶剤性などに優れたハードコートが設けられている。
ハードコートには、基材フィルムに対する密着性が優れること、生産性の観点から速乾性があることなどが必要とされ、一般に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜が用いられる。
ハードコートの材料となる活性エネルギー線硬化性組成物としては、例えば、特許文献1(特開2005−133050号公報)に、イソシアヌレート骨格を有するイソシアネートトリマーと水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、あるいはポリイソシアネート化合物とポリマーポリオール成分とを反応させて得られるイソシアネート末端のプレポリマーに、水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー;及び(メタ)アクリレート系化合物からなる活性エネルギー線硬化性組成物が提案されている。この樹脂組成物を硬化してなるハードコート(トップコート層)は、耐溶剤性、耐汚染性、耐摩耗性に優れていることが示されている。
フレキシブル性を有する携帯用部品に適用される表面保護用フィルムの場合、ハードコートに求められる特性は、高硬度、傷つきにくい、耐汚染性、耐摩耗性に優れているというだけでは十分ではなく、丸めたり、折り曲げたりしても、クラック等が生じ難いこと、すなわち優れた屈曲性も求められている。
高硬度で耐擦傷性を保持しつつ、フレキシブル性、屈曲性を改善するために活性エネルギー線硬化性組成物の組成を工夫した硬化性組成物として、例えば、特許文献2(特開2013−23585号公報)に、ウレタン(メタ)アクリレート、トリペンタエリスルトールオクタ(メタ)アクリレート及び重合開始剤を必須成分として含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物が提案されている。かかる組成物の硬化塗膜であるハードコートは、高硬度で、且つ、屈曲性にも優れることが示されている。
一方、特許文献3(特開2000−84477号公報)には、組成物の組成とは別に、ハードコートの構造を工夫した保護用フィルムが提案されている。特許文献3で提案されている保護用フィルムは、基材表面に硬化樹脂をドット状に点在せしめて設けた第1のハードコート層と、当該第1のハードコート層のドット状硬化樹脂を埋め、かつハードコートの表面が平滑となるように第1のハードコート層を覆う第2のハードコート層とを組み合わせたハードコートを、基材フィルム上に設けたものである。このようなハードコートを形成した保護用フィルムは、基材フィルムに対する密着性に優れ、屈曲性、表面硬度に優れることが示されている。
特開2005−133050号公報 特開2013−23585号公報 特開2000−84477号公報
上記特許文献1では、耐溶剤性、耐汚染性、耐摩耗性については記載されているが、丸めたり、折り曲げたりしても、クラック等が生じ難いといった優れた屈曲耐性、加工適性については全く考慮されていない。
また、上記特許文献2、3では、ハードコートの硬度、耐擦傷性だけでなく、屈曲性にも着目し、実施例で評価されている。しかしながら、特許文献2の実施例に開示されているハードコートは、マンドレル試験機による屈曲性の評価が6mmから10mmである(表1を参照)。フィルムの折り曲げ加工を可能にするためには、マンドレル試験機による屈曲性の評価が5mm以下であることが必要であり、特許文献2に開示されたハードコートでは屈曲性が不充分である。
また、特許文献3の技術では、ハードコートが2層構造となっているため、第1ハードコート層が半硬化又は完全硬化後、第2ハードコート剤を塗工し、硬化させる必要がある。このように、塗工、硬化工程を2回繰り返して行う必要があることから、装置が大型化、複雑化する傾向にあり、生産性の観点から簡略化が望まれている。
さらに、特許文献3の実施例で具体的に示されている屈曲性の評価は、直径3cmのロールに巻きつけてクラックが入らない程度であることが示されている。この程度の屈曲性では、折り曲げ加工、丸めたり、折り曲げたりする仕様に対する屈曲性としては不十分である。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高硬度で傷つきにくく、しかも丸めたり、折り曲げたりする仕様にも耐えることができる表面保護用フィルム、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、ハードコートの材料である活性エネルギー線硬化性組成物の組成だけでなく、ハードコートの構造に着目して種々検討し、本発明に到達した。すなわち、本発明の表面保護用フィルムは、基材フィルム上に、ドット群からなるハードコートが形成されていて、前記各ドットは、硬化性組成物の硬化物であって、且つ各ドットは該ドットの頭頂面の面積が1×10-6〜1mmであり、前記ドット群におけるドット中心間距離は10〜1000μmであり、前記塗膜1cm当たりにおけるドット個数は、100〜1×10個であることを特徴とする。
前記ハードコートの厚みは1〜20μmであることが好ましい。
前記ハードコートは、前記基材フィルム表面に形成された厚み5μm以下の基底膜と、該基底膜上に一体的に形成された前記ドット群とからなることが好ましい。
前記硬化性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。
前記ハードコートは、鉛筆硬度2H以上で、且つマンドレル試験のマンドレル外径が3mm以下であることが好ましい。
本発明の表面保護用フィルムの製造方法は、基材フィルム上に、ドット群からなるハードコートが形成されている表面保護用フィルムの製造方法であって、
I)前記基材フィルム上に、下記i),ii),及びiii)の要件を充足するように、活性エネルギー線硬化性組成物のドット群を印刷する工程;並びに
i)各ドットの頭頂面の面積は1×10-6〜1mm
ii)前記ドット群におけるドット中心間距離は10〜1000μm、
iii)前記塗膜1cm当たりにおけるドット個数は100〜1×10個である
II)前記ドット群に活性エネルギー線を照射して硬化する工程;
を含む。
前記印刷工程は、下記a),b),及びc)の要件を充足する版を用いるスクリーン印刷により行うことが好ましい。
a)前記孔の一辺又は直径10〜1000μmの多角形又は略円形;
b)前記孔間の中心間距離が10〜1000μm、
c)前記1cm当たりの前記孔の個数は100〜1×10個である。
前記硬化工程を行った後に、50〜200℃で10秒〜30分間の加熱処理を行うことが好ましい。
尚、本発明にいうフィルムは、シートも包含する概念である。
本発明の表面保護用フィルムは、基本的に1回の塗工でハードコートを形成できるので、生産性に優れている。しかも当該ハードコートは、硬化性組成物の硬化物が本来有している高硬度を損なうことなく、屈曲性が改善されていて、折り曲げ加工、折り曲げ仕様にも適用可能である。また、本発明の製造方法によれば、本発明の表面保護フィルムを、生産設備の大型化、複雑化をもたらすことなく、高い生産性で、生産可能である。
本発明一実施形態の保護用フィルムの構成を示す模式図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は側面図である。 ドットパターンの他の例を示す模式上面図である。 ドットパターンの他の例を示す模式上面図である。 ドットパターンの他の例を示す模式図であり、図4(a)は上面図、図4(b)は側面図である。 本発明の他の実施形態の保護用フィルムの構成を示す模式側面図である。 マンドレル試験を説明するための図である。
以下、本発明について、詳細に説明する。
〔表面保護用フィルム〕
本発明の表面保護用フィルムは、基材フィルムの一面に、多数のドットの集合体であるドット群が、所定要件を充足するように形成されたものである。以下、図面を参照しつつ、説明する。
図1は、本発明の保護用フィルムの一実施態様の構成を示す模式図である。
図1の態様では、基材フィルム1の一面に形成されたドット群は、基材フィルムの一辺に沿って、略円柱のドット2a,2a…が規則的に並列されている。各ドット2aは、硬化性組成物、とりわけ後述する活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物であり、前記ドット群は、以下の要件を充足している。尚、ドットの形状は図1に示すような略円柱に限定されず、例えば、略四角柱等の略多角柱であってもよい。
i)各ドットは、該ドットの頭頂面の面積(以下、単に「ドット面積」という)が1×10-6〜1mm、好ましくは2×10-6〜0.7mm、より好ましくは3×10-6〜0.5mmである。
具体的には、各ドットは、前記頭頂面の円又は多角形の直径又は一辺が1μm〜1mm、好ましくは2μm〜700μm、より好ましくは3〜500μmである。
個々のドット面積が大きくなりすぎると、屈曲に対するクラック耐性が低下する傾向にあり、折り曲げ加工、折り曲げ仕様に適応することが困難となる。一方、個々のドット面積が小さくなりすぎると、高硬度確保との関係で、多数のドットが緻密に点在するようなドット群を形成する必要があり、ドットパターンの形成が困難となる傾向にある。またドットとフィルム基材の接着強度が不十分となって、耐摩耗性、耐擦傷性が低下する傾向にある。
ii)ドット群におけるドット中心間の距離(x及びy)は、10〜1000μm、好ましくは20〜700μm、より好ましくは30〜500μmである。
ここで、ドット中心間距離とは、隣接するドットの中心間距離をいい、図1の場合、横列の隣接するドットとの中心間距離x及び縦列の隣接するドットとの中心間距離yで示される。
x及びyが異なる場合、いずれも上記範囲内である。ドット中心間距離が小さくなりすぎると、ハードコートの硬度は増加する傾向にあるが、屈曲に対するクラック耐性が低下し、折り曲げ加工、折り曲げ仕様に適応することが困難となる。また、ドット中心間距離が小さくなりすぎると、個々のドットサイズにもよるが、隣接するドットが近づきすぎて、ドット群における各ドットの独立性を保持することが困難になる傾向がある。ドット中心間距離が大きくなりすぎると、個々のドットサイズにもよるが、基材フィルムの露出面積が増えるため、ハードコートの硬度が低下する傾向がある。
iii)ハードコート1cmあたりのドット個数は、100〜1×10個、好ましくは200〜7×10個、より好ましくは300〜5×10個である。
ハードコートの所定面積あたりに含まれるドット数が少なくなりすぎると、ハードコート表面の平滑性が低下し、ドット不在部分で傷つきやすくなり、特に、鋭利な部材による引っ掻き傷などに対する抵抗性が低下する傾向にある。一方、ドット数が多くなりすぎると、個々のドットサイズにもよるが、一般に屈曲性が低下した高硬度なハードコートとなる傾向にあり、折り曲げ仕様に適応することが困難となる傾向にある。
さらに、ハードコートの厚みT(図1において、ドット高さに相当)は、1〜20μmが好ましく、より好ましくは1.5〜18μmである。ここで、ハードコートの厚みTに相当するドット高さは、ドットの最も高い位置での高さをいう。
ドット高さに相当するハードコートの厚みTを大きくすることは一般に困難な傾向にある反面、硬度、フレキシビリティ、屈曲性に対する耐クラック効果は変わらないので、コスト的に不利となる。また厚みTが小さくなりすぎると、耐摩耗性が低下する傾向にある。
上記i)、ii)及びiii)の要件を充足するように、ドット群が形成されていれば、ドット群のドット配置パターン、各ドットの形状等は、特に限定されない。また、ドット群を形成する全部のドットがすべて等しい形状でなくてもよく、異なる形状のドットの集合であってもよい。この場合、個々のドットが要件i)を充足していればよい。
例えば、図1では、ドットの縦方向の列、横方向の列、いずれも整列していたが、図2に示すように1列目のドット列と2列目のドット列がずれた配置(ジグザグ配置)であってもよい。この場合、ドット間隔は、同じ列の隣接するドットとの中心間距離x’、1列目と2列目のドットの中心間距離y’となるが、x’、y’のいずれも上記要件ii)を充足する必要がある。
さらに、個々のドット中心間距離のスペースが要件ii)を充足していれば、図3に示すように、ランダムに配置されたドットパターンであってもよい。尚、図2、図3の態様では、ドット形状は、円柱状となっている。
塗膜厚み方向のドット断面形状についても特に限定されない。図1(b)では略矩形状であったが、図4(b)に示すように、ドット厚み方向の切断面が略裁頭円錐状のドット2’aであってもよい。
基材フィルムとしては、例えば、ポリエステル系フィルム、アセチル化セルロース系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリイミド系フィルム、環状ポリオレフィン系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム、アクリル系フィルムなどを用いることができ、保護用フィルムの用途に応じて適宜選択できる。これらのうち、光線透過率に優れ、光学的特性、加工性に優れているという点から、フレキシブルディスプレイなどの光学部材には、ポリエステル系フィルム、アセチル化セルロース系フィルムが好ましく用いられる。
図1の態様のハードコートは、ドット群において、個々のドットが独立していたが、本発明のハードコートはこれに限定されない。
例えば、図5に示すハードコート2”のように、個々のドット2b,2b…を連結するような基底層3が、基材フィルム1上に形成され、当該基底層3上にドット群が一体的に形成されていてもよい。
基底層3は、ドット2b,2b…と同じ活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物で構成されている。
基底層3の厚みtは、ドット高さ(ハードコート厚)Tよりも低く、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.2〜7μmである。基底層3は、隣接するドット2b,2b…を連結する程度に広がっていればよく、ピンホールなどがあってもよい。
このような2層構造のハードコートは、後述する本発明の方法で製造することができ、本発明の方法で製造することにより、塗工作業の繰り返しや塗工設備の追加などを必要とせずに済む。
ハードコートが、このような基底層を有することにより、ハードコートの硬度、特に引っ掻き硬度が向上する。一方、高硬度な基底層が基材フィルム表面に形成されているにもかかわらず、屈曲しやすく、折り曲げ加工、折り曲げ仕様に適応できる屈曲耐性が損なわれずに済む。また、個々のドットが連結されることで、各ドットと基材フィルムの接合強度が増大し、これにより耐摩耗性、耐擦傷性も強化される。一方、基底層3の厚みtは、ドット高さTに比べてはるかに小さいことから、ハードコートのフレキシブル性、屈曲性を損なわずに済む。
以上のようなハードコートを有する表面保護用フィルムは、硬化物を構成する硬化性組成物の組成、ドット群の構成等によるが、上記要件を充足することにより、鉛筆硬度で2H以上、好ましくは3H以上、より好ましくは4H以上の高硬度膜で、且つ折り曲げ仕様にも適応できるように、マンドレル試験で直径3mm以下のマンドレルに巻き付けてもクラックを生じない屈曲性に優れた表面保護用フィルムを得ることができる。
〔硬化性組成物〕
次に、各ドットの構成材料となる硬化性組成物について説明する。
ドット構成材料としての硬化性組成物は、(A)ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物が好ましく、より好ましくは(B)エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー、さらに(C)重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物が好ましい。
(1)活性エネルギー線硬化性組成物
本発明で用いられる活性エネルギー線硬化性組成物に含有され得る各成分について、以下に説明する。
(A)ウレタン(メタ)アクリレート系化合物
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物とは、ウレタン結合及びアクリロイル基を有する化合物である。水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物及び多価イソシアネート系化合物を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(「A1型ウレタン(メタ)アクリレート系化合物」という。)であってもよいし、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物、多価イソシアネート系化合物及びポリオール系化合物を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(「A2型ウレタン(メタ)アクリレート系化合物」という)であってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の重量平均分子量としては、好ましくは500〜100000、特に好ましくは800〜50000、更に好ましくは1000〜30000、殊に好ましくは1200〜10000である。かかる重量平均分子量が高すぎると組成物の粘度が高くなり、ドット群の形成が困難となる傾向があり、かかる重量平均分子量が低すぎると得られるハードコートの屈曲性と硬度のバランスが低下する傾向がある。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物として、A1型ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A1)を用いる場合、重量平均分子量としては、好ましくは500〜100000、特に好ましくは800〜50000、更に好ましくは1000〜10000、殊に好ましくは1,200〜3,000である。
また、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物として、A2型ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を用いる場合、重量平均分子量としては、好ましくは2000〜200000、特に好ましくは3000〜30000、更に好ましくは3500〜20000、殊に好ましくは4000〜10000である。
尚、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(昭和電工社製、「Shodex GPC system−11型」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×10、分離範囲:100〜2×10、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定することができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の60℃における粘度は、500〜100000mPa・sであることが好ましく、特に好ましくは800〜70000mPa・s、更に好ましくは1,000〜50000mPa・sである。かかる粘度が上記範囲外では、塗工性が低下する傾向がある。尚、粘度はE型粘度計により測定することができる。
(a)水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物
水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性−グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイル−オキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を用いることができる。
これらの中でも、エチレン性不飽和基を1個有する水酸基(メタ)アクリレート系化合物が、硬化収縮を緩和することができるという理由から好ましく、特に好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、更には2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが、反応性および汎用性に優れる点で好ましい。
また、これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
(b)多価イソシアネート系化合物
多価イソシアネート系化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ポリイソシアネート、或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物又は多量体化合物、アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業(株)製の「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」「アクアネート210」等)等が挙げられる。
これらの中でも、黄変が少ない点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ジイソシアネートが好ましく用いられ、特に好ましくは硬化収縮が小さい点でイソホロンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネートが用いられ、更に好ましくは、反応性および汎用性に優れる点でイソホロンジイソシアネートが用いられる。
(c)ポリオール系化合物
ポリオール系化合物としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール等の他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグルコール等のアルキレングリコール等も挙げられる。
上記ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のアルキレン構造含有ポリエーテル系ポリオールや、これらポリアルキレングリコールのランダム或いはブロック共重合体などが挙げられる。
上記ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物などが挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)などが挙げられる。
前記多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
前記環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
上記ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;環状炭酸エステル(アルキレンカーボネートなど)の開環重合物などが挙げられる。
前記多価アルコールとしては、前記ポリエステル系ポリオールの説明中で例示の多価アルコール等が挙げられ、上記アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネートなどが挙げられる。
尚、ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
上記ポリオレフィン系ポリオールとしては、例えば、飽和炭化水素骨格としてエチレン、プロピレン、ブテン等のホモポリマーまたはコポリマーを有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。
上記ポリブタジエン系ポリオールとしては、例えば、炭化水素骨格としてブタジエンの共重合体を有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。ポリブタジエン系ポリオールは、その構造中に含まれるエチレン性不飽和基の全部または一部が水素化された水添化ポリブタジエンポリオールであってもよい。
上記(メタ)アクリル系ポリオールとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを重合体又は共重合体の分子内にヒドロキシル基を少なくとも2つ有しているものが挙げられ、かかる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
上記ポリシロキサン系ポリオールとしては、例えば、ジメチルポリシロキサンポリオールやメチルフェニルポリシロキサンポリオール等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールが好ましく、特に好ましくは硬化物に柔軟性等の機械的物性に優れる点でポリエステル系ポリオールである。
上記ポリオール系化合物の重量平均分子量としては、500〜8000が好ましく、特に好ましくは550〜5000、更に好ましくは600〜3000である。ポリオール系化合物の分子量が大きすぎると、反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートの分子量も大きくなるため、ハードコートの硬度が低くなる傾向にある。一方、ポリオール系化合物の分子量が小さすぎると、硬化性組成物の硬化収縮が大きく、所望のドットパターンの形成が困難になる傾向がある。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、以上のような成分を、公知の反応手段により反応させることで製造することができる。
また、A2型ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の場合には、上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物、多価イソシアネート系化合物及びポリオール系化合物を、反応器に一括又は別々に仕込み公知の反応手段により反応させて製造することができる。また、ポリオール系化合物と多価イソシアネート系化合物とを予め反応させて得られる反応生成物に、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物を反応させてウレタン(メタ)アクリレート系化合物を製造することもでき、この製造方法は反応の安定性や副生成物の低減等の点で有用である。
上記の付加反応においては、反応系の残存イソシアネート基含有率が0.5重量%以下になる時点で反応を終了させることにより、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物が得られる。
反応触媒媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、トリメチル錫ヒドロキシド、テトラ−n−ブチル錫等の有機金属化合物、オクトエ酸亜鉛、オクトエ酸錫、ナフテン酸コバルト、塩化第1錫、塩化第2錫等の金属塩、トリエチルアミン、ベンジルジエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N−エチルモルホリン等のアミン系触媒、硝酸ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、硫化ビスマス等の他、ジブチルビスマスジラウレート、ジオクチルビスマスジラウレート等の有機ビスマス化合物や、2−エチルヘキサン酸ビスマス塩、ナフテン酸ビスマス塩、イソデカン酸ビスマス塩、ネオデカン酸ビスマス塩、ラウリル酸ビスマス塩、マレイン酸ビスマス塩、ステアリン酸ビスマス塩、オレイン酸ビスマス塩、リノール酸ビスマス塩、酢酸ビスマス塩、ビスマスリビスネオデカノエート、ジサリチル酸ビスマス塩、ジ没食子酸ビスマス塩等の有機酸ビスマス塩等のビスマス系触媒等が挙げられ、中でも、ジブチル錫ジラウレート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセンが好適である。
ウレタン化反応においては、イソシアネート基に対して反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用いることができる。
反応温度は、通常30〜90℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間は、通常2〜10時間、好ましくは3〜8時間である。
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、屈曲性と硬度の点で、20個以下のエチレン性不飽和基を有するものであることが好ましく、特に好ましくは10個以下のエチレン性不飽和基を有するものであり、更に好ましくは5個以下のエチレン性不飽和基を有するものである。
(B)エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー
エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーとは、エチレン結合単位又はアクリロイル基を1つ以上有するモノマー又はオリゴマーをいう。エチレン性不飽和基(エチレン結合単位又はアクリロイル基)の数に応じて、単官能、2官能、3官能以上の多官能モノマー又はオリゴマーとなる。エチレン性不飽和オリゴマーは、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。
上記単官能モノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフエステル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートモノエステル等が挙げられる。
上記2官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等が挙げられる。
上記3官能以上の多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記その他のエチレン性不飽和モノマーとして、上記の他に、アクリル酸のミカエル付加物あるいは2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルも挙げられ、上記アクリル酸のミカエル付加物としては、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等が挙げられる。また、特定の置換基をもつカルボン酸である上記2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。更に、オリゴエステルアクリレートも挙げられる。
本発明におけるエチレン性不飽和モノマーとしては、2官能モノマー及び3官能以上のモノマーの多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは多官能(メタ)アクリレート系化合物である。特に、枝分子を放射状に組み立てた構造を有する多官能オリゴマーは、硬化速度が速く、透明度が高く、硬化収縮が小さいことから、好ましく用いられる。
(C)重合開始剤
本発明で用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂組成に物には、さらに重合開始剤を含有することが好ましい。重合性開始剤としては、例えば、光重合開始剤が挙げられ、必要に応じて、熱重合開始剤が用いられる。
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;等があげられる。これら光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
熱重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソオブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾビス系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、エチルメチルケトンペルオキシド、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
中でも上記のアゾビス系化合物が好ましく用いられ、更に10時間半減温度が50℃以上のアゾビス系化合物が特に好ましい。10時間半減温度が50℃以上のアゾビス系化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピネート)等が挙げられる。
(D)その他の成分
本発明で用いる硬化性組成物には、上記成分の他、他の重合性を有する樹脂を含有してもよい。他の重合性を有する樹脂としては、例えば、エチレン性不飽和基を有するアクリル系樹脂などを含有してもよい。
その他、必要に応じて、紫外線吸収剤、表面調整剤、レベリング剤、重合禁止剤、油、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、安定剤、補強剤、艶消し剤、研削剤、有機微粒子、無機粒子等を含有してもよい。
(2)活性エネルギー線硬化性組成物の調製
本発明で用いられる活性エネルギー線硬化性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、好ましくはエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー(B)、所望により重合開始剤(C)、その他必要に応じて添加される成分を、所定割合で配合し、調製することができる。さらに、塗工方式に応じて、適宜溶剤で希釈して粘度調節してもよい。
特に限定されないが、所望のドットパターンの形成しやすさの観点から、通常、固形分濃度が、通常3〜80重量%、好ましくは5〜60重量%になるように希釈して、塗工することが好ましい。また、ドットパターンに対応する活性エネルギー線硬化性組成物をスクリーン印刷により印刷する場合、粘度300〜50000mPa・s程度となるように調節することが好ましい。
〔保護用フィルムの製造方法〕
(1)ハードコートを構成するドット群が独立的に存在しているタイプの表面保護用フィルムの製造方法
ハードコートを構成するドット群が独立的に存在しているタイプの表面保護用フィルムは、以下のような製造方法で製造することが好ましい。
すなわち、
I)基材フィルム上に、下記i),ii),及びiii)の要件を充足するように、活性エネルギー線硬化性組成物のドット群を印刷する工程;並びに
i)各ドットは、該ドットの頭頂面の面積が1×10-5〜1mm、好ましくは2×10-6〜7×10-1mm、特に好ましくは3×10-6〜5×10-1mm
ii)前記ドット群におけるドット中心間距離は10〜1000μm、好ましくは15〜700μm、特に好ましくは20〜500μm、
iii)前記塗膜1cm当たりにおけるドット個数は100〜1×10個、好ましくは150〜7×10個、特に好ましくは200〜5×10個である
II)前記ドット群に活性エネルギー線を照射して硬化する工程を含む。
前記ドット群の印刷は、例えば、ダイレクトグラビアコーテイング、パウダーコーティング、エンボス、インクジェット、オフセット印刷、スクリーン印刷などの塗工方式を採用することができる。活性エネルギー線硬化性組成物の粘度、ドットサイズ、ドットパターン等に応じて、塗工方式を適宜選択すればよい。
前記印刷工程は、下記a),b),及びc)の要件を充足する孔を有する版を用いて、当該孔に対応する活性エネルギー線硬化性組成物を塗工することにより行うことが好ましい。
a)前記孔の直径又は一辺10〜1000μm、好ましくは15〜700μm、特に好ましくは20〜500μmの略円形又は多角形;
b)前記孔の中心間距離が10〜1000μm、好ましくは15〜700μm、特に好ましくは20〜500μm;
c)前記1cm当たりの前記孔の個数は100〜1×10個、好ましくは150〜7×10個、特に好ましくは200〜5×10個である。
コスト、ドットパターンの制御性の観点から、上記a),b),及びc)の要件を充足する孔を有する版を用いた、スクリーン印刷が好ましく採用される。a),b),及びc)の要件を充足する貫通孔の開設パターンは、上記i)、ii)、及びiii)の要件を充足するドットパターンにほぼ対応している。このような版を使用し、ハードコート材料での活性エネルギー線硬化性組成物を、当該貫通孔を通過させることで、版の孔パターンに対応した塗工部が得られる。
スクリーン印刷には、前記孔として開口部が開設されたステンレス版等の金属製メッシュ、シルク、合成繊維等の布製メッシュなどを版として使用することができる。
ドット高さは、乳剤厚を調節することにより調節することができる。
次いで、塗工部分に活性エネルギー線を照射して硬化性組成物を硬化させる。
基材フィルム上に塗工された活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる際に使用する活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。なお、電子線照射を行う場合は、光重合開始剤を用いなくても硬化し得る。
紫外線照射による硬化は、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いることができ、照射量は、通常30〜3000mJ/cm(好ましくは100〜1500mJ/cm)である。
照射時間は、照射する活性エネルギー線の種類、照射エネルギーの大きさにもよるが、一般に1〜300秒間、好ましくは2〜200秒間程度である。
上記活性エネルギー線照射により、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物が重合反応して、さらにはエチレン不飽和モノマー又はオリゴマーが参画して重合反応して、硬化する。硬化性組成物の塗工部分は、各ドットを構成し、全体として所定パターンを有するドット群からなるハードコートが形成される。
以上のようにして得られるハードコートのドットパターンは、印刷時に指定したパターンデータ(版を使用しない場合)、あるいは塗工印刷に使用したスクリーン版の孔パターンにほぼ対応したドットパターンを形成できる。従って、各ドットは、各貫通孔のサイズに応じたドット面積を有し、孔の中心間距離がドット中心間距離に対応する。ドット高さは、乳剤厚により調節すればよい。
以上のようにして形成されるハードコートは、硬度2H以上、好ましくは3H以上であり、マンドレル試験で直径3mm以下のマンドレルに巻き付けてもクラックを発生することがなく、折り曲げ加工、折り曲げ仕様に適応することが可能である。さらに、光線透過率が88%以上であり、基材フィルム本来の透明性をほぼ保持することが可能であることから、ディスプレイなどの光学機器の表面保護用フィルムとして好適に用いることができる。
(2)ドット群を連結する基底層を有する表面保護用フィルムの製造方法
(1)の製造方法における活性エネルギー線照射による硬化工程を行った後、50〜200℃で10秒〜30分間の加熱処理を行う工程を含む。
加熱源としては、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等を用いればよい。
加熱温度としては、50〜200℃、好ましくは55〜190℃、特に好ましくは60〜180℃である。加熱温度が低すぎると、硬化樹脂が流動できないので、基底層が形成されない傾向があり、更に好ましい下限としては、硬化樹脂のガラス転移点以上とすることが好ましい。一方、加熱温度が高くなりすぎると、ドット部分が平坦化してしまう傾向がある。
加熱時間は、10秒〜30分間、好ましくは15秒〜25分間、より好ましくは1〜20分間である。加熱時間が短すぎると基底層が形成されなくなる傾向があり、長すぎるとドット部分が平坦化してしまう傾向がある。
上記温度範囲にて加熱することにより、硬化樹脂が流動し、硬化樹脂の一部がドット間の間隙に流れ出し、ドット間を連結する基底層となる。
これにより、図5に示すような構成のハードコートを有する表面保護用フィルムを製造することができる。
この方法によれば、活性エネルギー線照射後、加熱源設置部を通過させるだけでよく、フィルムの連続処理工程に組み込むことが容易である。従って、新たな生産設備の増強をしなくても、(1)ハードコートを構成するドット群が独立的に存在しているタイプの保護用フィルムの製造設備を利用して、(2)ドット群を連結する基底層を有する保護用フィルムを製造することが可能となる。
また、上記方法の他にも例えば、赤外線照射することにより、(2)ドット群を連結する基底層を有する保護用フィルムを製造することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
〔評価方法〕
以下の実施例で採用した評価方法について説明する。
(1)全光線透過率(%)
日本分光製の分光光度計「V−7200」を用いて評価した。
(2)鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に準拠し、750g荷重条件下で、鉛筆硬度試験を行い、傷が付かない最大硬度を測定した。
(3)マンドレル試験
図6に示すように、外径Dの異なるマンドレルに、ハードコートが外側表面となるように保護用フィルムを巻き付け、クラックが発生するか否かを目視で確認した。クラックが発生しない最小径を評価結果とした。折り曲げ加工、折り曲げ仕様に適用できるためには、マンドレル外径5mm以下でなければならない。
〔塗膜形成用硬化性組成物の調製〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート6.6g(0.03モル)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(水酸基価48mgKOH/g)93.4g、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール0.06g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(重量平均分子量は2,000)44g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート8.6g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート47.4gの混合物を得た。
上記で合成したウレタン(メタ)アクリレート系化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有する混合物48部、エチレン性不飽和オリゴマーとして、デンドリマー構造を有するアクリレートオリゴマー(大阪有機化学のデンドリマーV#1000)48部、光重合開始剤としてイルガキュア184を4部混合し、光活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
〔表面保護用フィルムNo.1,3,5の製造〕
基材フィルムとして、125μm厚の易接着PET(東レ製「ルミラー(商標)U34」)を用いた。
この基材フィルム上に、上記で調製した光活性エネルギー線硬化性組成物を、スクリーン印刷機(ニューロング精密工業社製「LS-34GX」)を用いて印刷した。印刷条件は、以下のとおりである。印刷は、塗膜厚み(T)が10μmとなる量を塗工した。また、印刷に用いるスクリーン版のパターンを変えることにより、表1に示すドット群のパタンーンを有する保護用フィルムNo.1,3,5を製造した。
(印刷条件)
印刷機:ニューロング精密工業社製「LS−34GX」
スキージー:ニューロング精密工業社製NMスキージー(硬度:60)
スキージー角:80度
スクレッパー:ニューロング精密工業社製NMスキージー(硬度:60)
スクレッパー角:86度
印圧:0.2MPa
スクリーン版:中沼アートスクリーン社製
版サイズ:450mm角
メッシュ種:SUS
乳剤厚:5μm
パターン:縦横整列の規則パターン
印刷環境:23℃、60%RH
印刷後、紫外線を1000mJ/cm照射し、塗工部分を硬化した。このようにして得られた保護用フィルムの光線透過率および鉛筆硬度の測定、マンドレル試験を、上記方法に基づいて行った。結果を表1に示す。
〔表面保護用フィルムNo.2の製造〕
表面保護用フィルムNo.1で用いたスクリーン版を用いて、スクリーン印刷を行い、紫外線照射によりドット部分を硬化させた後、100℃で10分加熱した。形成したハードコートをレーザー顕微鏡で観察したところ、加熱により、ドット間隙部に樹脂が流れ、図5に示すように、ドット間を連結するような基底層が形成され、基底層上にドット群が形成されていることを確認できた。また、レーザー顕微鏡で測定した所、基底層の厚みtは1μm、ドット部の最大高さ(ハードコート厚みT)は10μmであった。
この表面保護用フィルムNo.2の光線透過率及び鉛筆硬度の測定、マンドレル試験を、上記評価方法に基づいて行った。結果を表1に示す。
〔表面保護用フィルムNo.4の製造〕
上記で調製した活性エネルギー線硬化性組成物を、エタノールで10倍希釈し(粘度:7mPa・s)、基材フィルム(125μm厚の易接着PET(東レ製「ルミラー(商標)U34」)上に、直径5μmの丸ドットが8μm間隔で縦列・横列規則的に配列するように、インクジェットプリンタを用いて、ドット群を印刷した。
印刷後、No.1と同様にして紫外線照射し、塗工部分を硬化した。このようにして得られた保護用フィルムNo.2の光線透過率及び鉛筆硬度を測定し、マンドレル試験を、上記方法に基づいて行った。結果を表1に示す。
〔参考フィルムの製造〕
表面保護用フィルムNo.1〜5で用いたものと同様の基材フィルムを使用し、この基材フィルム上に、上記で調製した活性エネルギー線硬化性組成物を、乾燥後の厚み10μmとなる量を、アプリケータにて塗工した。
塗工後、No.1と同様にして紫外線を照射し、組成物を硬化して、ドットパターンを有しない平坦なハードコートを得た。このようにして得られた保護用フィルム(参考例)について、光線透過率及び鉛筆硬度の測定、マンドレル試験を、上記方法に基づいて行った。結果を表1に示す。
Figure 2016093979
フィルムNo.1は、鉛筆硬度3Hで高硬度であり、且つマンドレル試験でマンドレル外径(D)1mmに巻き付けても、保護用フィルムにクラックは生じなかった。したがって、高硬度であり且つ折り曲げにも対応できるフィルムであることがわかる。
さらに、紫外線照射による硬化後、さらに加熱処理を行った保護用フィルムNo.2では、硬度が4Hに増大した。基底層の厚み(t)が1μmであるにもかかわらず、べた塗りのハードコート厚(T)が10μmのフィルム(参考例)と同程度の高硬度を達成できた。しかも、マンドレル試験では、加熱処理を行っていないフィルムNo.1と同じ1mmで、折り曲げ仕様に対応できる屈曲耐性のあるハードコートであることがわかる。
一方、フィルムNo.3は、No.1と同サイズのドット群からなるハードコートを有しているが、ドット中心間距離が2000μmと広く、所定面積あたりのドット個数が少ないため、ハードコートの硬度はHと低かった。一方、ドットサイズが直径5μmと小さく、ドット中心間距離も8μmと小さいフィルムNo.4は、所定面積あたりのドット個数が多くなることから、鉛筆硬度は、べた塗りにより形成されるハードコートを有する保護用フィルム(参考例)と同等の4Hを示した。しかしながら、マンドレル試験では、マンドレル外径(D)7mmであった。参考例よりも低いが7mmでは折り曲げ仕様に対応できない。
これに対して、各ドットサイズの径を1200μmと大きくし、ドット中心間距離を1500μmとした場合(No.5)、所定面積当たりのドット個数が少なるため、鉛筆硬度はHであり、ハードコートとしての硬度が不十分であった。また、マンドレル試験においても7mmであり、折り曲げ仕様に対応できない。尚、いずれの場合も全光線透過率は88%であり、ハードコートの透明性を損なうレベルではなかった。
本発明の表面保護用フィルムは、高硬度であり、しかも折り曲げ加工、折り曲げ仕様にも対応可能な屈曲性を有しているので、丸めたり、折り曲げたりすることがある、フレキシブルタイプのディスプレイ等の光学用部材の表面保護用フィルムとして有用である。
1 基材フィルム
2,2’,2” ハードコート
2a,2’a,2b ドット
3 基底層
10 マンドレル
11 基材フィルム
12 ハードコート
13 表面保護用フィルム

Claims (8)

  1. 基材フィルム上に、ドット群からなるハードコートが形成されていて、
    前記各ドットは、硬化性組成物の硬化物であって、且つ各ドットは該ドットの頭頂面の面積が1×10-6〜1mmであり、
    前記ドット群におけるドット中心間距離は10〜1000μmであり、
    前記塗膜1cm当たりにおけるドット個数は、100〜1×10個である
    ことを特徴とする表面保護用フィルム。
  2. 前記ハードコートの厚みは1〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の表面保護用フィルム。
  3. 前記ハードコートは、前記基材フィルム表面に形成された厚み5μm以下の基底膜と、該基底膜上に一体的に形成された前記ドット群とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面保護用フィルム。
  4. 前記硬化性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
  5. 前記ハードコートは、鉛筆硬度2H以上で、且つマンドレル試験のマンドレル外径が3mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
  6. 基材フィルム上に、ドット群からなるハードコートが形成されている表面保護用フィルムの製造方法であって、
    I)前記基材フィルム上に、下記i),ii),及びiii)の要件を充足するように、活性エネルギー線硬化性組成物のドット群を印刷する工程;並びに
    i)各ドットの頭頂面の面積は1×10-6〜1mm
    ii)前記ドット群におけるドット中心間距離は10〜1000μm、
    iii)前記塗膜1cm当たりにおけるドット個数は100〜1×10個である
    II)前記ドット群に活性エネルギー線を照射して硬化する工程;
    を含むことを特徴とする表面保護用フィルムの製造方法。
  7. 前記印刷工程は、下記a),b),及びc)の要件を充足する版を用いるスクリーン印刷により行うことを特徴とする請求項6に記載の表面保護用フィルムの製造方法:
    a)前記孔の一辺又は直径10〜1000μmの多角形又は略円形;
    b)前記孔間の中心間距離が10〜1000μm、
    c)前記1cm当たりの前記孔の個数は100〜1×10個である。
  8. 前記硬化工程を行った後に、50〜200℃で10秒〜30分間の加熱処理を行うことを特徴とする、請求項6又は7に記載の表面保護用フィルムの製造方法。
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