JP2016064644A - 積層体 - Google Patents

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葉子 若原
田中 隆
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隆 田中
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昌平 吉田
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Abstract

【課題】本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、絶縁性および層間接着性に優れる、樹脂シートおよび繊維シートからなる積層体を提供すること。
【解決手段】
樹脂シートの少なくとも片面に、繊維シートを積層してなる積層体であって、積層体の総厚みが50〜100μmであり、(絶縁破壊電圧(kV)/積層体総厚み(μm))比が0.080〜0.150kV/μmであり、積層体の引張試験における応力−ひずみ曲線が極小点を有さないことを特徴とする積層体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂シートおよび繊維シートからなる積層体に関する。
従来、樹脂シートおよび繊維シートからなる積層体としては、ポリエステル樹脂シートと芳香族ポリアミド繊維からなる積層体が知られており、優れた耐熱性、難燃性、電気絶縁性に優れることから、電気・電子機器、機械部品および自動車部品などに絶縁材料として好適に使用されている。
樹脂シートと繊維シートを積層させる方法として、接着剤を用いる技術が開示されているが(特許文献1および2)、接着剤の耐熱性が低いため、絶縁材料として高温下で長期間使用した際に熱劣化が起こり、繊維シートが剥離するといった問題があった。また、接着剤からなる層は電気絶縁性が低く、積層体としての厚みが薄くなった際には電気絶縁性に劣るといった問題があった。これらを改善したものとして、例えばポリアミド樹脂とエポキシ樹脂のアロイを樹脂シートとして用いることで、接着剤を用いず樹脂シートと繊維シートを積層する技術が開示されているが(特許文献3)、樹脂シート自体の耐熱性が低く、長時間高温下での使用によって機械特性が低下するといった問題があった。
また、ポリアリーレンスルフィドからなる樹脂シートおよび繊維シートを、接着剤を用いずに積層する技術が開示されているが(特許文献4および特許文献5)、層間接着性が低く、加工時に繊維シートが容易に剥離するといった問題があった。
特開2006−262687号公報 特開2013−182910号公報 特開2007−211202号公報 特開平04−232739号公報 特開2011−102002号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、絶縁性および加工性、長期耐熱性に優れる、樹脂シートおよび繊維シートからなる積層体を提供することにある。
本発明の積層体は上記課題を解決するために次の特徴を有する。すなわち、樹脂シートの少なくとも片面に、繊維シートを積層してなる積層体であって、積層体の総厚みが50〜100μmであり、(絶縁破壊電圧(kV)/積層体総厚み(μm))比が0.080〜0.150kV/μmであり、積層体の引張試験における応力−ひずみ曲線が極小点を有さないことを特徴とする積層体である。
本発明の積層体は、絶縁性および加工性、長期耐熱性に優れることから、自動車用、電気・電子材料の各種部品の絶縁材料として好適に用いることができる。
応力−ひずみ曲線における極小値を説明する概略図である。
本発明の積層体は、樹脂シートおよび繊維シートから構成される。
本発明において樹脂シートとは、熱可塑性樹脂を主成分とするシートである。ここで主成分とするとはシートを構成する樹脂組成のうち60質量%以上を占めることを言う。樹脂シートは未延伸シートまたは二軸延伸フィルムの何れでもよく、長期耐熱性および生産性の観点からは二軸延伸フィルムであることが好ましい。樹脂シートとして2軸延伸フィルムを得る方法としては、逐次二軸延伸法(長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行う方法などの一方向ずつの延伸を組み合わせた延伸法)、同時二軸延伸法(長手方向と幅方向を同時に延伸する方法)、又はそれらを組み合わせた方法を用いることができる。
本発明において繊維シートとは、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなるシートである。ここで主成分とするとは繊維シートを構成する樹脂組成のうち60質量%以上を占めることを言う。繊維シートには織物、編み物、不織布を用いることができ、特に不織布がコストや特性面、延伸性の観点から好ましい。
本発明において繊維シートとして用いる不織布の製造方法は特に限定されないが、フラッシュ紡糸法、メルトブロー法、スパンボンド法、抄紙法などが適用でき、特にメルトブロー法による不織布が延伸性の観点から好ましく使用できる。例えば、メルトブロー法では、溶融したポリマーを口金から吐出するに際して、口金周辺部から熱風を吹き付けて、該熱風によって吐出したポリマーを細繊度化せしめ、ついで、しかるべき位置に配置したネットコンベア上に吹き付けて捕集し、ウェブを形成して製造される。該ウェブはネットコンベアに設けた吸引装置によって熱風と一緒に吸引されるので、繊維が完全に固化する前に捕集される。つまりウェブの繊維同士は互いに融着した状態で捕集される。口金とネットコンベア間の捕集距離を適宜設定することによって、繊維の融着度合いを調整することができる。また、ポリマー吐出量、熱風温度、熱風流量、コンベア移動速度等を適宜調整することにより、ウェブの繊維目付量や単糸繊度を任意に設定することができる。メルトブロー紡糸された繊維は、熱風圧力で細繊度化されるが、延伸はされず、いわゆる無配向に近い状態で固化される。繊維の太さは必ずしも均一ではなく、太い繊維と細い繊維とがほどよく分散した状態でウェブを形成する。また、口金から吐出されたポリマーは、溶融状態から室温雰囲気下に急冷されるため、ポリエチレンテレフタレートなどの結晶化速度の遅いポリマーでは非晶質に近い状態で固化する。
本発明において樹脂シートおよび繊維シートに用いる熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン・ポリメチルペンテン・エチレン−プロピレン−ジエン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレンナフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリアリレート等のポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホンもしくはポリアリーレンスルフィド、6ナイロン・6−6ナイロンもしくは6−12ナイロンやアラミドなどのポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドなどが上げられる。中でも耐熱性、加工性の観点からポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホンもしくはポリアリーレンスルフィドが好ましく、電気絶縁性、耐薬品性、耐熱性の観点からポリアリーレンスルフィドが特に好ましい。
本発明において樹脂シートおよび繊維シートに用いるポリアリーレンスルフィドは、−(Ar−S)−の繰り返し単位を有するコポリマーである。Arとしては下記の式(1)〜式(11)などであらわされる単位などがあげられる。
Figure 2016064644
(R1,R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい)。
ポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、上記の式(1)で表されるp−アリーレンスルフィド単位が好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトンなどが挙げられ、特に好ましいp−アリーレンスルフィド単位としては、樹脂シート物性と経済性の観点から、p−フェニレンスルフィド単位が好ましく例示される。
本発明において樹脂シートに用いるポリアリーレンスルフィドは、耐熱性、耐薬品性の観点から主要構成単位として下記構造式で示されるp−フェニレンスルフィド単位を全繰り返し単位の75〜100モル%で構成されていることが好ましく、80〜100モル%がより好ましい。
Figure 2016064644
本発明において樹脂シートおよび繊維シートに用いるポリアリーレンスルフィドは、繰り返し単位の0〜25モル%が好ましく、0〜20モル%の範囲で共重合単位と共重合することができる。上記の共重合単位を含むことでポリアリーレンスルフィドのガラス転移温度および融点を低下することが可能となり、後述する樹脂シートと繊維シートとの積層加工において熱融着性を向上させることができる。
好ましい共重合単位は、
Figure 2016064644
Figure 2016064644
Figure 2016064644
(ここでXは、アルキレン、CO、SO単位を示す。)
Figure 2016064644
Figure 2016064644
(ここでRはアルキル、ニトロ、フェニレン、アルコキシ基を示す。)が挙げられ、特に好ましい共重合単位は、m−フェニレンスルフィド単位である。共重合成分との共重合の態様は特に限定はないが、ランダムコポリマーであることが好ましい。
本発明において樹脂シートに用いるポリアリーレンスルフィドの溶融粘度は、融点+50℃、剪断速度200(1/sec)の条件で測定したときに、500〜3500ポイズの範囲であることが好ましく、より好ましくは1200〜3000ポイズで、さらに好ましくは1500〜3000ポイズ、より好ましくは1800〜2500ポイズの範囲である。上記の粘度とすることで、製膜安定性を確保することができる。
ここで、融点は、示差走査熱量計 セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、JIS K7121(1987)に準じて測定された、融解の吸熱ピークのピーク温度である。
本発明において繊維シートに用いるポリアリーレンスルフィドの溶融粘度は、融点+50℃、剪断速度200(1/sec)の条件で測定したときに、1〜2000ポイズの範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜1000ポイズで、さらに好ましくは1〜800ポイズの範囲である。上記の粘度とすることで、メルトブロー法によって繊維シートを作製する際に熱風によって吐出したポリマーを細繊度化しやすくなり、生産効率を向上することができる。
樹脂組成物の粘度を上記の範囲にするには前述するポリアリーレンスルフィドの分子量を制御することで達成できる。溶融粘度は東洋精機社製キャピログラフC1(ダイス長10mm、ダイス穴直径1mm)を用い、ポリアリーレンスルフィドの融点+50℃剪断速度200/sの条件で測定することができる。
本発明において積層体の総厚みは加工性と軽量化の観点から、50〜100μmである。より好ましくは60〜100μmである。
本発明において積層体中の繊維シートの厚みは1〜40μmであることが好ましく、1〜30μmがより好ましく、5〜20μmがさらに好ましい。なお、繊維シート厚みは、繊維シートが樹脂シートの片面に積層されている場合は片面の厚み、両面に繊維シートが積層されている場合は両面の各面の繊維シートの厚みの和を繊維シート厚みとする。繊維シートを上記の範囲とすることで繊維シートとしての特性や積層体としての加工性を発現することができる。繊維シートの厚みは繊維シートを構成する繊維径を小さくすることや、単位面積当たりの繊維密度を小さくすること、また後述する樹脂シートとの共延伸によって調整できる。
本発明において積層体総厚みに対して繊維シートの占める割合(繊維シート厚み(μm)/積層体総厚み比(μm))は0.05〜0.4が好ましく、0.05〜0.15がより好ましく、0.05〜0.1がさらに好ましい。(繊維シート厚み(μm)/積層体総厚み(μm))比を上記の割合とすることで、積層体の絶縁性を担保するシート層の占める厚みを高めることができ電気絶縁性を向上せしめることができる。(繊維シート厚み(μm)/積層体総厚み(μm))比が0.4より大きいと樹脂シート層の厚みが薄くなり絶縁性が低下する場合や加工性が低下する場合がある。また0.05以下となると繊維シートが薄くなり、繊維シートとしての強度や、溶剤やオイルの含浸性が低下する場合がある。(繊維シート厚み(μm)/積層体総厚み(μm))比を上記の範囲とするには樹脂シートを調整するとともに後述する手法にて繊維シートを積層することにより達成できる。
本発明において繊維シートを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は60〜95℃であることが好ましく、65〜85℃であることがより好ましい。Tgを上記範囲とすることで後述する繊維シートと樹脂シートの積層時の密着性を向上するとともに、積層体とした際の長期耐熱性を向上することができる。60℃以下であると積層体とした際の耐熱性が低下する場合がある。また95℃を超えると繊維シートと樹脂シートの密着性が低下する場合がある。Tgは後述する手法にて評価できる。
本発明の積層体は絶縁破壊電圧が3〜18kVであることが好ましく、6〜15kVであることがより好ましい。絶縁破壊電圧とは絶縁破壊が生じるまで印加電圧を上げた際の限界電圧値であり、JIS C2151(2006)に基づいて測定することができる。絶縁破壊電圧が3kVより小さくなると積層体を絶縁材として使用した際に十分な絶縁性を発現できず使用に耐えない場合がある。15kVを超えるためには絶縁性を担保する積層体中の樹脂シートの厚みを厚くする必要があるため、積層体の総厚みが厚くなることから好ましくない。
本発明の積層体は(絶縁破壊電圧(kV)/積層体総厚み(μm))比が0.080〜0.150kV/μmであることが必要である。(絶縁破壊電圧(kV)/積層体総厚み(μm))比が上記の範囲であることで積層体として薄膜でありながら優れた絶縁特性を有する。(絶縁破壊電圧(kV)/積層体総厚み(μm))比が0.080kV/μmより小さいと積層体総厚みに対して絶縁性が低くなり絶縁材としての特性が劣る場合がある。また上限は高いほどよいが、0.150kV/μmを超えるためには、絶縁性を担保する積層体中の樹脂シートの厚みを厚くする必要があるため、積層体の総厚みが厚くなることから好ましくない。(絶縁破壊電圧(kV)/積層体総厚み(μm))比は0.110〜0.150kV/μmがより好ましく、0.120〜0.150kV/μmがさらに好ましく、0.130〜0.150kV/μmが特に好ましい。(絶縁破壊電(kV)圧/積層体総厚み(μm))比を上記の範囲とするためには前述する絶縁破壊電圧と積層体総厚みおよび繊維シート厚み/積層体総厚み比を0.010〜0.450、より好ましくは0.050〜0.020、さらに好ましくは0.050〜0.150とすることで達成できる。
本発明の積層体は破断強度が80〜250MPaであることが好ましく、110〜250MPaであることがより好ましく、130〜250MPaであることがさらに好ましい。破断強度を上記の範囲とすることで積層体の加工性や長期耐熱性を向上させることができる。破断強度が80MPaより小さいと機械的強度が不足し、積層体の加工時や使用時に破損し実用上使用に耐えない場合や長期耐熱性が低下する場合がある。また250MPaを超える樹脂シートを得るためには、延伸工程において延伸倍率を上げる必要があるため、延伸時に破れが発生しやすくなるため生産性の低下や引張伸度の低下を引き起こす場合があり好ましくない。破断強度を上記の範囲とするには延伸温度を後述する範囲とすることで達成できる。破断強度は後述する方法にて評価できる。
本発明の積層体は破断強度測定時に得られる応力−ひずみ曲線が極小点を有さない。
本発明における応力−ひずみ曲線の極小点とは、積層体が破断する点(破断点)以下のひずみ領域において応力が局部的に小さくなる点を指す。積層体を構成する繊維シートと樹脂シートが積層界面での層間密着性が良好であると極小点は発現せず、一定のひずみ領域に達した際に繊維シートと樹脂シートが剥離することなく密着した状態で破断に至る。積層体が極小点を有すると、破断強度測定時に積層体が破断した際、繊維シートと樹脂シートが積層界面で剥離を起こすことから層間密着性が不十分となり、積層体を挿入加工する際に繊維シートの剥離が起こる場合がある。応力−ひずみ曲線が極小点を有さない積層体とするには、後述する手法にて積層体を製造することで達成できる。極小点の有無は破断強度測定時に応力−ひずみ曲線を得ることで確認できる。
本発明において積層体の200℃における強度保持率は60〜100%であることが好ましく、70〜100%であることがより好ましい。強度保持率が上記の範囲となることで、高温下で長時間使用した際の積層体の機械特性、電気特性を維持することができる。強度保持率が60%未満であると長期耐熱性に劣り、高温化で長時間使用した際に劣化によりクラックが入ったり、電気特性が低下したりする場合がある。強度保持率を上記の範囲とするためには、破断強度を前述の範囲とすることで達成できる。強度保持率は後述する手法にて評価することができる。
本発明において積層体の絶縁抵抗は1.0×1014Ω・cm以上であることが好ましく、より好ましくは1.0×1015〜1.0×1020Ω・cmであり、さらに好ましくは1.0×1016〜1.0×1020Ω・cmである。絶縁抵抗が1.0×1014Ω・cm未満であると、積層体としての絶縁性が低く実用に耐えない場合がある。また、1.0×1020Ω・cmより大きくなると、溶融製膜時に静電印加方式によるキャスト工程が困難になる場合がある。絶縁抵抗を上記の範囲とするには積層体の(絶縁破壊電圧/積層体総厚み)比を上記の範囲とすることで達成できる。また絶縁抵抗は後述する手法にて測定することができる。
本発明において繊維シートと樹脂シートを積層する手法は、特に限定されず公知の積層方法を採用する。たとえばアクリル系やウレタン系、エポキシ系の接着剤を用いる方法や熱圧着法(加熱ロールや加熱プレスによる融着手法)や共押出法(押出し直後に熱可塑性樹脂が固化する前に積層する手法)や、後述する熱圧着と共延伸(積層体を、積層状態を保った状態で各層等倍率に延伸することをいう)を組み合わせた共延伸法により積層することができるが、生産性や層間密着性および耐熱性の観点から、熱圧着法や共押出法や共延伸法など接着剤を用いない手法が好ましい。上記の手法の中でも、共延伸法を用いることが好ましい。
本発明の積層体は(接着剤厚み(μm)/積層体総厚み(μm))比が、0であることが好ましい。上記の比を満たすことで積層体が接着剤層を有していないことを表し、耐熱性を向上させることができる。(接着剤厚み(μm)/積層体総厚み(μm))比は後述する手法にて確認することが出来る。
以下、共延伸法を用いた積層体の積層方法について説明する。
まず、繊維シートの作製には、前記したメルトブロー法を用いて作製することが簡便である。かかる繊維シートを一旦巻き取った後、あるいは連続して該繊維シートを、未延伸の樹脂シートに熱圧着する。ここで熱圧着の方法は、加熱ロールにより熱圧着する方法が好ましく用いられる。加熱ロールによって熱圧着する際は2段階以上で行う。まず1段目で繊維シートの主成分である熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)−15℃以上Tg未満、好ましくはTg−10℃以上Tg未満の範囲で繊維シートと樹脂シートを熱圧着し、続いて2段目以降で樹脂シートの主成分である熱可塑性樹脂のTg〜冷結晶化温度(Tcc)、より好ましくはTg+5℃〜Tccで熱圧着を行う。1段目の加熱ロール温度を上記の範囲とすることで繊維シートを結晶化の進まない温度範囲で押しつぶすことで薄膜化および平滑化することができる。上記により繊維シートの繊維と樹脂シートの接触面積を増加でき、圧力によって繊維が非晶の状態で、樹脂シート表面と密着することから接着性を向上することができる。また、2段目以降の加熱ロールを上記の範囲とすることで、加熱により非晶鎖の分子運動性が高まり、1段目の圧着で密着した繊維シートと樹脂シートの接着性をさらに高めることができる。上記の操作により樹脂シートの結晶化の抑制により密着性を効率よく向上することができる。また、樹脂シートの結晶化を抑制することで後述する延伸工程での共延伸を可能とする。また、1段目の熱圧着の直後に延伸工程を設けロール延伸を行うときには、該ロールを2段目以降の温度範囲に加熱することで延伸と熱圧着を同時に行うことも可能である。
次に、得られた未延伸の積層体を共延伸し、二軸配向させる。共延伸に際しては、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法、又はそれらを組み合わせた方法を用いることができる。たとえば、逐次二軸延伸法を用いる場合、長手方向の延伸温度は樹脂シートの主成分であるポリアリーレンスルフィドのガラス転移(Tg)〜冷結晶化温度(Tcc)、より好ましくはTg+10℃〜Tg+25℃が、さらに好ましくはTg+10℃〜Tg+20℃が樹脂シートと繊維シートの密着性の向上と積層体としての延伸性を向上させる観点から好ましい。また、幅方向の延伸温度は、樹脂シートの主成分である熱可塑性樹脂のTg〜Tcc、より好ましくは(Tg)〜(Tg+40)℃、さらに好ましくは(Tg+5)〜(Tg+30)℃の範囲で、延伸倍率3〜5倍、好ましくは3.1〜4.5倍、さらに好ましくは、3.2〜4.2倍に延伸される。かかる共延伸をしたのちは、20〜50℃の冷却ロール群で冷却することが好ましい。
次に、必要に応じて熱固定する。熱固定温度は特に限定されたものではなく、樹脂シートの主成分である熱可塑性樹脂の冷結晶化温度(Tcc)〜融点(Tm)の範囲で、1段もしくは多段熱固定することが好ましい。熱処理時間は0.5秒〜60秒程度が適当である。続いて、幅方向に行う弛緩処理を行うことが好ましく、弛緩率は、0.1〜10%であることが好ましい。
本発明の積層体の用途は特に限定されないが、例えば、モーター、トランス、絶縁ケーブルなどの電気絶縁材料、成形材料用、回路基板材料、回路・光学部材などの工程・離型材料や保護フィルム、リチウムイオン電池材料、太陽電池材料、燃料電池材料、スピーカー振動板などの各種工業材料用などに用いられる。さらに詳しくは、給湯器モーター用電気絶縁材料、産業用モーターやハイブリッド車などに使用されるカ−エアコン用コンプレッサーモ−タ−や駆動モーター用などの電気絶縁材料として有用である。
[特性の測定方法]
(1)繊維シート厚み、樹脂シート厚み、接着剤層厚み、積層体総厚みおよび(接着剤厚み(μm)/積層体総厚み(μm))比、(繊維シート厚み(μm)/積層体総厚み比(μm))
走査型電子顕微鏡の試料台に固定した積層体を、シート長手方向の断面がみえるようにスパッタリング装置を用いて減圧度10−3Torr、電圧0.25KV、電流12.5mAの条件にて10分間、イオンエッチング処理を施して断面を切削した後、同装置にて該表面に金スパッタを施し、走査型電子顕微鏡を用いて倍率3,000倍にて観察した。
観察により得られた画像より繊維シート、樹脂シートおよび積層体の総厚み、また接着剤層がある場合は接着剤層厚みを計測した。厚みの測定に用いるサンプルは長手方向に少なくとも5cm間隔で任意の場所の合計10箇所を選定し、10サンプルの計測値の平均をそのサンプルの繊維シートの厚み、樹脂シート、積層体総厚みおよび接着剤層厚みとした。なお、繊維シート厚みは、繊維シートが樹脂シートの片面に積層されている場合は片面の厚み、両面に繊維シートが積層されている場合は両面の各面の繊維シートの厚みの和を繊維シート厚みとした。
(接着剤厚み(μm)/積層体総厚み(μm))比は上記の厚み測定で得られた接着剤層厚み(μm)および積層体総厚み(μm)を用いて算出した。
また、(繊維シート厚み(μm)/積層体総厚み比(μm))比は上記の厚み測定で得られた繊維シート厚み(μm)および積層体総厚み(μm)
(2)樹脂シートおよび繊維シートを構成する熱可塑性樹脂の融点およびガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計 セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、JIS K7121(1987)に準じて測定した。試料5mgをアルミニウム製受皿上で350℃で5分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した。このとき観測される中間点ガラス温度をガラス転移温度(Tg)、融解の吸熱ピークのピーク温度を融点(℃)とした。積層体から樹脂シート、繊維シートそれぞれの融点およびTgを測定する場合、繊維シートについては表層から(1)で測定した繊維シート厚みまでを積層体から削り取りサンプルとする。また、樹脂シートは表層から(1)で測定した繊維シート厚みまでを積層体から除去したものをサンプルとする。
(3)破断強度および極小点の有無
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて破断強度を測定した。測定は下記の条件で行い、積層体の長手方向および横方向について、それぞれn=10測定し、下記式で平均値をとった。
破断強度(MPa)=((MD方向に10回測定した平均値)+(TD方向に10回測定した平均値))/2
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
引張り速度:300mm/分
測定環境:23℃、65%RH。
また、破断強度測定時に得られた応力―ひずみ曲線で図1に示す極小点の有無を確認し、MDおよびTDのサンプルすべてについて極小点を有しないものをA、何れかひとつのサンプルでも極小点を有するものをBとした。
(4)層間接着性
(3)の引張試験で使用したサンプルの破断面を目視で確認し下記基準で評価した。
A:破断面が繊維シート/樹脂シート界面での剥離なく一体化した状態
B:破断面で繊維シート/樹脂シート界面で剥離。
(5)(絶縁破壊電圧(kV)/積層体総厚み(μm))比
JIS C2151(2006)に準じ、交流絶縁破壊試験器(春日電機株式会社製、AC30kV)を用いて絶縁破壊電圧を測定した。試験片のサイズは25cm×25cmの正方形とし、23℃、65%RHの環境下で調湿したものを用い、周波数60Hz、昇圧速度1000V/secで測定した。用いた電極の形状は、台座となる下電極がφ75mm、高さ15mmの円柱形であり、上電極がφ25mm、高さ25mmの円柱形である。いずれの電極も、試験片を挟む側の面はR3mmで面取りされたものを用いた。
上記の測定で得られた絶縁破壊電圧(kV)と(1)で得られた積層体総厚み(μm)を用いて絶縁破壊電圧/積層体層厚み比(kV/μm)を算出した。
(6)長期耐熱性
積層体を幅10mm、長さ250mmに切削して試験片とし、200℃の温度に設定した熱風オーブン中で1000時間の加熱処理を行い、加熱処理前後での破断強度を測定し、下記の式から強度保持率を算出し、下記の判定基準にて評価した。破断強度は、JIS−C2151に規定された方法に従って、テンシロン引張試験機を用いて、幅10mmのサンプル片をチャック間長さ100mmとなるようセットし、引張速度300mm/minで引張試験を行う。この条件で10回測定し、その平均値を求めた。
強度保持率(%)=Y/Y0×100
Y0:加熱処理前の破断強度(MPa)
Y:加熱処理後の破断強度(MPa)
長期耐熱性
AA:強度保持率が80%以上
A:強度保持率が70%以上、80%未満
B:強度保持率が60%以上、70%未満
C:強度保持率が60%未満。
(7)加工性
モータースロット加工機(小田原エンジニアリング社製)を用い、試料を、幅24mm、長さ39mmのスロットに加工速度2ヶ/秒で加工し、目視で剥離の発生したものを不良品とし、不良品発生率を次の基準で評価した。なお、加工個数は各試料100個ずつとする。
A:不良率の発生が5%未満
B:不良率の発生が5%以上15%未満
C:不良率の発生が15%以上。
(8)絶縁性
電気抵抗測定機を使用し、500Vの印加電圧で、JIS−C2318に準じて絶縁抵抗を測定し、下記基準にて評価した。
A:1.0×1015Ω・cm以上
B:1.0×1014Ω・cm以上1.0×1015Ω・cm未満
C:1.0×1014Ω・cm未満
(参考例1)ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂1の製造方法
オートクレ−ブに100モルの硫化ナトリウム9水塩、45モルの酢酸ナトリウムおよび25リットルのN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する。)を仕込み、撹拌しながら徐々に220℃の温度まで昇温して、含有されている水分を蒸留により除去した。脱水の終了した系内に、主成分モノマとして85モルのp−ジクロロベンゼン、副成分モノマとして15モルのm−ジクロロベンゼンを5リットルのNMPとともに添加し、170℃の温度で窒素を3kg/cmで加圧封入後、昇温し、260℃の温度にて3時間重合した。重合終了後冷却し、蒸留水中にポリマーを沈殿させ、150メッシュ目開きを有する金網によって、小塊状ポリマーを採取した。このようにして得られた小塊状ポリマーを90℃の蒸留水により2回洗浄した後、酢酸ナトリウム水溶液で3回洗浄した後、蒸留水により1回洗浄し、減圧下120℃の温度にて乾燥してTgが80℃、融点が240℃の粉状のPPS樹脂1を得た。PPS樹脂1の290℃で測定した溶融粘度は1500ポイズであった。
(参考例2)PPS樹脂2の製造
主成分モノマとして100モルのp−ジクロロベンゼンを用い、副成分モノマを用いないことと、小塊状ポリマーを90℃の蒸留水により2回洗浄した後、酢酸水溶液で3回洗浄した以外は参考例1と同様に実施してTgが90℃、融点が280℃の粉状のPPS樹脂2を得た。PPS樹脂2の330℃で測定した溶融粘度は1000ポイズであった。

(参考例3)PPS樹脂3の製造
主成分モノマとして100モルのp−ジクロベンゼンを用い、副成分モノマを用いないことと、260℃の温度にて4時間重合した以外は参考例1と同様に実施してTgが90℃、融点が280℃の粉状のPPS樹脂3を得た。PPS樹脂3の330℃で測定した溶融粘度は4500ポイズであった。
(参考例4)PPSペレットの調整
参考例1〜3で得られた粉状のPPS樹脂を異方向回転二軸押出機に供給し、PPS樹脂1の場合は300℃、PPS樹脂2および3の場合は320℃に保持した押出機に取り付けられた口金から押し出して、PPSペレット1〜3とした。
(参考例5)PPS繊維シート1の作成
口金幅1cmあたり7本のオリフィスと0.3mm幅のガス噴射スリット間隙を有するメルトブロー噴射装置を備える装置を用い、参考例4で得られたPPS樹脂1を用いたPPSペレット1を回転型乾燥器で180℃2時間乾燥し300℃で溶融してオリフィスより押し出しガス噴射スリットに315℃の加熱空気を噴射し牽引することで平均繊維径10μmの繊維をメルトブロー噴射装置から40cm離して配した多孔性ベルト上に捕集して目付40g/m、厚み100μmのPPS繊維シート1を得た。
(参考例6)PPS繊維シート2の作成
参考例2で得られたPPS樹脂2を用いたPPSペレットを用いて315℃で溶融してオリフィスより押し出しガス噴射スリットに330℃の加熱空気を噴射し、牽引速度と吐出量を、目付けが40g/mになるように調整した以外は参考例5と同様にして平均繊維径10μm、厚み100μmのPPS繊維シート2を得た。
(参考例7)PPS繊維シート3の作成
参考例2で得られたPPS樹脂2を用いたPPSペレットを用いて315℃で溶融してオリフィスより押し出しガス噴射スリットに330℃の加熱空気を噴射し、牽引速度と吐出量を、目付けが60g/mに成るように調整した以外は参考例5と同様にして平均繊維径10μm、厚み150μmのPPS繊維シート3を得た。
(参考例8)PPS繊維シート4の作成
参考例2で得られたPPS樹脂2を用いたPPSペレットを用いて315℃で溶融してオリフィスより押し出しガス噴射スリットに330℃の加熱空気を噴射し、牽引速度と吐出量を、目付けが80g/mに成るように調整した以外は参考例5と同様にして平均繊維径10μm、厚み180μmのPPS繊維シート4を得た。
(参考例9)ポリスチレン(PS)繊維シートの作成
ポリスチレン(PS)樹脂(HP−100、DIC(株)製、Tg100℃)を160℃で溶融してオリフィスより押し出しガス噴射スリットに160℃の加熱空気を噴射し牽引した以外は参考例5と同様にして平均繊維径10μm、目付40g/m、厚み100μmのPS繊維シートを得た。
(参考例10)ポリアミド(PA)繊維シートの作成
ポリアミド(PA)樹脂(アラミンCM1021TM、東レ(株)製、Tg50℃)を270℃で溶融してオリフィスより押し出しガス噴射スリットに270℃の加熱空気を噴射し牽引した以外は参考例5と同様にして平均繊維径10μm、目付40g/m、厚み100μmのPA繊維シートを得た。
(参考例7)PPS繊維シート5の作成
参考例2で得られたPPS樹脂2を用いたPPSペレットを用いて315℃で溶融してオリフィスより押し出しガス噴射スリットに330℃の加熱空気を噴射し、牽引速度と吐出量を、目付けが50g/mに成るように調整した以外は参考例5と同様にして平均繊維径10μm、厚み130μmのPPS繊維シート5を得た。
(実施例1)
参考例3で調整したPPS樹脂3を用いたPPSペレットを、回転形真空乾燥機を用いて180℃で3時間真空乾燥した。乾燥したペレットを一軸押出供給し、320℃で溶融し、T型口金よりシート状にし、25℃のドラム上に押出し冷却固化して750μmの未延伸PPSシートを得た。次いで、得られた未延伸PPSシートの表裏それぞれに参考例6で得たPPS繊維シート2を重ね、加熱ロールに供給してロール温度85℃で熱圧着した。こうして得られた積層シートを110℃に加熱されたシリコーンゴム製の延伸ロール(加圧ロール2.0N/cm)で長手方向に3.3倍延伸し、さらにテンター式延伸機に送り込み、100℃に加熱して幅方向に3.3倍延伸後、230℃で10秒間熱処理し、230℃の弛緩処理ゾーンで横方向に5%弛緩処理を行い、次いで室温まで冷却してPPS繊維シート2/PPS樹脂シート/PPS繊維シート2の積層体を得た。
(実施例2)
吐出量を未延伸PPSシートの厚みが600μmになるように調整し、繊維シートに参考例7で得たPPS繊維シート5を用いた以外は実施例1と同様にしてPPS繊維シート5/PPS樹脂シート/PPS繊維シート5の積層体を得た。
(実施例3)
吐出量を未延伸PPSシートの厚みが550μmになるように調整し、繊維シートに参考例7で得たPPS繊維シート3を用いた以外は実施例1と同様にしてPPS繊維シート3/PPS樹脂シート/PPS繊維シート3の積層体を得た。
(実施例4)
実施例1と同様にして未延伸PPSシートを得た。次いで、得られた未延伸PPSシートの表裏それぞれに参考例5で得たPPS繊維シート1を重ね、加熱ロールに供給してロール温度75℃で熱圧着した。こうして得られた積層シートを100℃に加熱されたシリコーンゴム製の延伸ロール(加圧ロール2.0N/cm)で長手方向に3.3倍延伸し、さらにテンター式延伸機に送り込み、100℃に加熱して幅方向に3.3倍延伸(面積延伸倍率11.9倍)後、230℃で10秒間熱処理、230℃の弛緩処理ゾーンで横方向に5%弛緩処理を行い、次いで室温まで冷却してPPS繊維シート1/PPS樹脂シート/PPS繊維シート1の積層体を得た。
(実施例5)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100質量部とエチレングリコール60質量部の混合物に、酢酸マンガン・4水和物塩0.03質量部を添加し、150℃の温度から240℃の温度に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中、反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024質量部を添加した。また、反応温度が220℃に達した時点で3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.042質量部を添加した。その後、引き続いてエステル交換反応を行い、トリメチルリン酸0.023質量部を添加した。次いで、反応生成物を重合装置に移し、290℃の温度まで昇温し、30Paの高減圧下にて重縮合反応を行い、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。次いで、得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torr、9時間の固相重合を行い、融点265℃、固有粘度0.70dl/g、末端カルボキシル着基量25当量/トンのポリエチレンナフタレート(PEN)原料を得た。このPEN原料を、回転形真空乾燥機を用いて180℃で2時間真空乾燥した。乾燥したペレットを一軸押出供給し、300℃で溶融し、T型口金よりシート状にし、25℃のドラム上に押出し冷却固化して750μmの未延伸PENシートを得た。次いで、得られた未延伸PENシートの表裏それぞれに参考例6で得たPPS繊維シート2を重ね、加熱ロールに供給してロール温度85℃で熱圧着した。こうして得られた積層シートを135℃に加熱されたシリコーンゴム製の延伸ロール(加圧ロール2.0N/cm)で長手方向に4倍延伸し、さらにテンター式延伸機に送り込み、135℃に加熱して幅方向に4倍延伸後、230℃で10秒間熱処理し、230℃の弛緩処理ゾーンで横方向に5%弛緩処理を行い、次いで室温まで冷却してPPS繊維シート2/PEN樹脂シート/PPS繊維シート2の積層体を得た。
(実施例6)
繊維シートに参考例9で得たPS繊維シートを用い、加熱ロール温度95℃、延伸ロール温度を110℃とした以外は実施例1と同様にしてPS繊維シート/PPS樹脂シート/PS繊維シートの積層体を得た。
(実施例7)
繊維シートに参考例10で得たPA繊維シートを用い、加熱ロール温度40℃、延伸ロール温度を110℃とした以外は実施例1と同様にしてPA繊維シート/PPS樹脂シート/PA繊維シートの積層体を得た。
(実施例8)
吐出量を未延伸PPSシートの厚みが900μmになるように調整した以外は実施例1と同様にしてPPS繊維シート2/PPS樹脂シート/PPS繊維シート2の積層体を得た。
(比較例1)
吐出量を未延伸PPSシートの厚みが450μmになるように調整し、繊維シートに参考例8で得たPPS繊維シート4を用いた以外は実施例1と同様にしてPPS繊維シート4/PPS樹脂シート/PPS繊維シート4の積層体を得た。
(比較例2)
吐出量を未延伸PPSシートの厚みが1200μmになるように調整した以外は実施例1と同様にしてPPS繊維シート2/PPS樹脂シート/PPS繊維シート2の積層体を得た。
(比較例3)
吐出量を未延伸PPSシートの厚みが350μmになるように調整した以外は実施例1と同様にしてPPS繊維シート2/PPS樹脂シート/PPS繊維シート2の積層体を得た。
(比較例4)
参考例4で調整したPPS樹脂3を用いたPPSペレット3を、回転形真空乾燥機を用いて180℃で3時間真空乾燥した。乾燥したペレットを一軸押出供給し、320℃で溶融し、T型口金よりシート状にし、25℃のドラム上に押出し冷却固化して250μmの未延伸PPSシートを得た。次いで、得られた未延伸PPSシートを95℃に加熱されたシリコーンゴム製の延伸ロールで長手方向に3.3倍延伸し、さらにテンター式延伸機に送り込み、100℃に加熱して幅方向に3.3倍延伸後、230℃で10秒間熱処理し、230℃の弛緩処理ゾーンで横方向に5%弛緩処理を行い、20μmのPPS樹脂シートを得た。このPPS樹脂シートの両面にアクリル系接着剤(Y611S、セメダイン(株)製)を片面15μmの厚みで塗布し、その上にアラミド紙(Nomex 410 50μm、帝人・デュポンアドバンスドペーパー社製)を貼付し、常温にて硬化させ、総厚み150μmの積層体を得た。
Figure 2016064644
本発明の積層体は、絶縁性および層間接着性に優れることから、自動車用、電気・電子材料の各種部品の絶縁材料として好適に用いることができる。
1 極小点を有しない応力-ひずみ曲線
2 極小点を有する応力-ひずみ曲線
3 極小点
4 破断点

Claims (6)

  1. 樹脂シートの少なくとも片面に、繊維シートを積層してなる積層体であって、積層体の総厚みが50〜100μmであり、(絶縁破壊電圧(kV)/積層体総厚み(μm))比が0.080〜0.150kV/μmであり、積層体の引張試験における応力−ひずみ曲線が極小点を有さないことを特徴とする積層体。
  2. 繊維シートを構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)が60〜95℃である、請求項1に記載の積層体。
  3. 樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂がポリアリーレンスルフィドを主成分とする、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 繊維シートを構成する熱可塑性樹脂がポリアリーレンスルフィドを主成分とする、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を用いた絶縁シート。
  6. 樹脂シートの少なくとも片面に、繊維シートを積層してなる積層体であって、繊維シートが繊維シートの主成分である熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)−15℃〜Tgで樹脂シートに熱圧着される工程と、繊維シートと樹脂シートとが樹脂シートの主成分である熱可塑性樹脂のTg〜冷結晶化温度(Tcc)で熱圧着されるとともに樹脂シートの長手方向に延伸される工程と、樹脂シートの主成分である熱可塑性樹脂のTg〜Tccで樹脂シートの横手方向に延伸される工程と、樹脂シートの主成分である熱可塑性樹脂のTcc〜Tmで熱処理される工程を上記の順に経ることによって製造される、請求項1〜4の何れかに記載の積層体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021034539A (ja) * 2019-08-23 2021-03-01 デンカ株式会社 放熱シート及び放熱シートの製造方法

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