本発明の粘着フィルムは、基材(A)の少なくとも一方の面に直接または他の層を介してハードコート層(B)を有し、前記基材(A)の他方の面に、直接または他の層を介して粘着剤層(C)を有する総厚さが120μm以上の粘着フィルムのうち、もっぱら情報表示部の表面を構成する非ガラス部材からなる面に貼付し使用することを特徴とするものである。
前記粘着フィルムは、前記基材(A)の一方または両方の面に、直接または他の層を介してハードコート層(B)を有する。
また、前記粘着フィルムは、前記基材(A)の他方の面に、直接または他の層を介して粘着剤層(C)を有する。前記基材(A)の両面に前記ハードコート層(B)を有する場合には、そのいずれか一方のハードコート層(B)の表面に、直接または他の層を介して粘着剤層(C)を有するものであってもよい。
本発明の粘着フィルムは、もっぱら情報表示部の表面を構成する非ガラス部材からなる面の傷つき等を防止することを目的として、その表面に貼付される保護フィルムに使用することが好ましい。
本発明の粘着フィルムとしては、情報表示装置の薄型化に貢献すべく、薄型であるものを使用することが好ましい。具体的には、前記粘着フィルムとしては、その総厚さが1mm未満であるものを使用することが好ましく、500μm未満であるものを使用することがより好ましく、350μm以下であるものを使用することがさらに好ましい。また、前記粘着フィルムの総厚さの下限は、120μm以上であることが好ましく、125μm以上であることがより好ましく、180μm以上であることが、薄型化と優れた衝撃吸収性とを両立するうえでさらに好ましい。本発明の粘着フィルムは、前記特定の積層構成を採用することによって、前記薄型であっても、優れた衝撃吸収性及び耐摩耗性を両立することができる。
本発明の粘着フィルムとしては、その表面の傷つきを防止可能なレベルの耐摩耗性を付与するうえで、前記ハードコート層(B)によって構成される面の鉛筆硬度が2H以上であるものを使用することが好ましく、3H以上であるものを使用することがより好ましい。
また、前記基材(A)の両面にハードコート層(B)を有する構成を採用する場合、前記粘着フィルムとしては、その裏面(具体的には、情報表示部の表面を構成する非ガラス部材情報表示装置に貼付される面)を構成するハードコート層の鉛筆硬度が、H以上であるものを使用することが好ましく、2H以上であるものを使用することがより好ましい。
本発明の粘着フィルムとしては、情報表示装置に表示される画像や映像等の情報の優れた鮮明性等を維持するうえで、その全光線透過率が85%以上であるものを使用することが好ましく、88%以上であるものを使用することがより好ましく、90%以上であるものを使用することがさらに好ましい。
[基材(A)]
本発明の粘着フィルムを構成する基材(A)としては、粘着フィルムの薄型化を実現するうえで、厚さ20μm〜250μmの基材を使用することが好ましい。
前記基材(A)としては、厚さ50μm〜250μmのものを使用することが、粘着フィルムの薄型化と、優れた衝撃吸収性と耐摩耗性とを両立するうえでより好ましい。
前記基材(A)としては、その表面に稜間角136°のビッカース圧子を荷重1mNで押し込んで測定される押し込み弾性率が500MPa〜4000MPaであるものを使用することが好ましく、700MPa〜3500MPaであるものを使用することがより好ましく、2000MPa〜3000MPaであるものを使用することが、より一層優れた衝撃吸収性及び耐摩耗性を両立した粘着フィルムを得るうえでさらに好ましい。
なお、前記押し込み弾性率は、23℃環境下で測定される押し込み弾性率であり、例えば、FISCHERSCOPE/HM2000LT(フィッシャーインストルメンツ社製)等を用いて測定することができる。
前記基材(A)としては、光学特性に優れた樹脂フィルムを使用することが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファンフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム(例えば、JSR株式会社製のアートン)、環状オレフィン系ポリマーフィルム(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオノアフィルム)等を使用することができる。
なかでも、前記基材(A)としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィルム、アクリル樹脂フィルムなどを使用することが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することが、より一層優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを備えた粘着フィルムを製造するうえでより好ましい。
前記基材(A)としては、その可視光波長領域における全光線透過率が85%以上であるものを使用することが好ましく、90%以上であるものを使用することがより好ましい。また、前記基材(A)としては、ヘイズが2.0以下であるものを使用することが好ましく、1.0以下であるものを使用することがより好ましい。
前記基材(A)として前記全光線透過率及びヘイズを備えた基材を使用することによって、本発明の粘着フィルムにより一層高い透明性を付与でき、その結果、前記粘着フィルムを情報表示装置の保護フィルムとして使用した場合であっても、表示される情報の高精細性を維持することができる。
また、前記基材(A)としては、前記ハードコート層(B)の屈折率との差が0.15未満である屈折率を備えたものを使用することが好ましく、前記差が0.06以下である屈折率を備えたものを使用することが、本発明の粘着フィルムに生じうる干渉縞を低減するうえでより好ましい。
また、前記基材(A)としては、ハードコート層(B)や粘着剤層(C)や後述するポリウレタン層(D)等との密着性を向上させることを目的として、表面に易接層を有するものを使用することができる。また、前記基材(A)としては、前記密着性をより一層向上させることを目的として、サンドブラスト法や溶剤処理法等による表面凹凸化処理、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線照射処理等の酸化処理等が施されたものを使用することができる。
[ハードコート層(B)]
本発明の粘着フィルムを構成するハードコート層(B)は、好ましくは1μm〜50μmの厚さを有するものである。前記厚さのハードコート層(B)を設けることによって、優れた耐擦傷性等の耐摩耗性と、薄型化とを両立した粘着フィルムを得ることができる。
前記ハードコート層(B)の厚さは、5μm〜25μmの範囲であることがより好ましく、8μm〜15μmの範囲であることがさらに好ましく、10μm〜15μmの範囲であることが特に好ましい。
前記ハードコート層(B)としては、本発明の粘着フィルムを、情報表示装置の保護フィルムとして使用する場合に、前記情報表示装置に表示される画像の優れた鮮明性等を維持するうえで、透明性の高いものを使用することが好ましい。具体的には、前記ハードコート層(B)としては、偏光性物質を含有しないものを使用することが好ましい。
前記ハードコート層(B)としては、その全光線透過率が85%以上であるものを使用することが好ましく、90%以上であるものを使用することがより好ましい。また、前記ハードコート層(B)としては、そのヘイズ値が1.0以下であるものを使用することが好ましく、0.5以下であるものを使用することがより好ましい。
前記ハードコート層(B)としては、厚さ1mmのガラスの表面に、前記ハードコート層(B)を形成しうる活性エネルギー線硬化性組成物(b1)を塗工し硬化させることによって形成された厚さ10μmのハードコート層の表面硬度が、好ましくは2H以上、より好ましくは3H以上、さらに好ましくは4H以上であるものを使用することができる。前記高硬度のハードコート層を採用することによって、耐擦傷性等の耐摩耗性の点でより一層優れた粘着フィルムを得ることができる。なお、前記表面硬度は、JIS K 5600−5−4に準拠し、荷重750gで測定される表面硬度である。
前記ハードコート層(B)の形成に使用可能なハードコート剤としては、活性エネルギー線硬化性組成物(b1)を含有するものを使用することができる。
前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する多官能アクリレート組成物を使用することができ、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する組成物を使用することが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、従来、ハードコート層の形成に使用される各種ウレタン(メタ)アクリレートを使用することができるが、より一層硬い表面硬度を備えたハードコート層を形成するうえで、脂環式構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、複素環式構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するものを使用することが好ましく、5個〜10個有するものを使用することがより好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート(b1−1)、及び、ポリイソシアネート(b1−2)を反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記水酸基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(b1−1)としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の単量体を使用することができる。
また、前記水酸基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(b1−1)としては、例えば、前記した単量体とε−カプロラクトンとの付加反応物、前記単量体とアルキレンオキサイドとの付加反応物等を使用することができる。
前記(メタ)アクリレート(b1−1)としては、特に1個の水酸基及び3〜5個の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレートを使用することが、より一層高硬度で、耐摩耗性等に優れたハードコート層を形成するうえで好ましい。
前記1個の水酸基及び3〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を、単独または2種以上組み合わせ使用することが好ましい。
また、前記(メタ)アクリレート(b1−1)としては、脂環式構造を有するウレタン(メタ)アクリレートまたは複素環式構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを得るうえで、脂環式構造を有する(メタ)アクリレートを使用することができ、例えば、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートトリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレートなどを使用することができる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートの製造に使用可能な前記ポリイソシアネート(b1−2)としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添メチレンビスフェニレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記ポリイソシアネート(b1−2)としては、ハードコート層(B)により一層優れた靭性を付与し、かつ、その割れ等を防止するうえで、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートを使用することが好ましく、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添メチレンビスフェニレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを使用することがより好ましく、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添メチレンビスフェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートを使用することがより好ましい。
また、前記脂環式ジイソシアネートとしては、ハードコート層(B)の表面硬度をより一層向上させるうえで、ノルボルネンジイソシアネート等の複素環式構造を有するジイソシアネートを使用することが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、前記ポリイソシアネート(b1−2)のイソシアネート基に対する、前記(メタ)アクリレート(b1−1)の水酸基の当量比が、好ましくは0.1〜50、より好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは0.9〜1.3、特に好ましくは1.01〜1.24となる範囲で反応させることによって製造することができる。
前記(メタ)アクリレート(b1−1)と前記ポリイソシアネート(b1−2)とを反応させる際の反応温度は、30℃〜150℃の範囲であることが好ましく、50℃〜100℃の範囲であることがより好ましい。前記反応の終点を確認する方法としては、例えば、イソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルの消失を確認する方法、JIS K 7301−1995に記載の方法でイソシアネート基含有率を求めることで確認する方法が挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、500〜1500の範囲の分子量を有するものを使用することが、より一層高硬度で、カールの発生を抑制可能な粘着フィルムを得るうえで好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)としては、前記ウレタン(メタ)アクリレートを、前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)100質量部に対して5質量部〜90質量部含有するものを使用することが好ましく、10質量部〜70質量部含有するものを使用することがより好ましく、10質量部〜60質量部含有するものを使用することが、より一層高硬度のハードコート層を形成するうえで好ましい。
また、前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)としては、より一層高い表面硬度を備えたハードコート層を形成するうえで、前記ウレタンアクリレートの他に、必要に応じて、その他の重合体を含有するものを使用してもよい。
前記その他の重合体としては、例えばペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基等を有する単量体と(メタ)アクリル酸等α,β−不飽和単量体とを反応させて得られるもの等を使用することができる。
また、前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)としては、例えば光重合開始剤を含有するものを使用することができる。
前記光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン等の水素引き抜きによってラジカルを発生するタイプの開始剤を使用することができる。前記光重合開始剤を使用する際には、水素引き抜き剤となるメチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の第三アミンと併用することが好ましい。
前記光重合開始剤としては、前記したもののほかに、例えば、ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトン等の分子内分裂によってラジカルを発生するタイプの開始剤を使用することもできる。
前記光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化性組成物(b1)の全量100質量部に対して、1質量部〜10質量部使用することが好ましく、4質量部〜9質量部使用することがさらに好ましい。
また、前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)としては、例えば光重合開始剤の他に、ハイドロキノン、ベンゾキノン、トルハイドノキノン、パラターシャリーブチルカテコール等の重合禁止剤を含有するものを使用してもよい。
また、前記ハードコート層(B)として、滑り性、耐汚染性、耐指紋付着性等の表面機能を備えたハードコート層を形成する場合、前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)としては、例えばフルオロカーボン鎖、ジメチルシロキサン鎖、炭素原子数12個以上を有するハイドロカーボン鎖等を有する化合物を含有するものを使用することができる。
前記化合物としては、フルオロカーボン鎖を含有する化合物を使用することが滑り性、耐汚染性、耐指紋付着性等の表面機能を備えたハードコート層を形成するうえで好ましく、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の片末端または両末端に2価の連結基を介して複素環が結合し、該複素環は2価の連結基を介して2個以上の(メタ)アクリロイル基を結合した化合物を使用することがより好ましい。
[粘着剤層(C)]
本発明の粘着フィルムは、前記基材(A)の他方の面に、直接または他の層を介して粘着剤層(C)を有する。前記基材(A)の両面に前記ハードコート層(B)を有する場合、本発明の粘着フィルムは、その一方のハードコート層(B)の表面に、直接または他の層を介して粘着剤層(C)を有する。
前記粘着剤層(C)の厚さは、5μm〜75μmの範囲であることが好ましく、8μm〜65μmの範囲であることがより好ましく、10μm〜45μmの範囲であることがさらに好ましい。前記範囲の厚さの粘着剤層(C)を備えた粘着フィルムは、より一層優れた衝撃吸収性と、接着信頼性と、高硬度とを備える。
前記粘着剤層(C)の形成に使用可能な粘着剤としては、非ガラス部材に対する接着力が4N以上であるものを使用することが好ましい。具体的には、前記粘着剤としては、前記粘着剤を用いて形成した厚さ10μm、幅25mm及び長さ10cmの粘着シートを、例えば偏光板等の非ガラス部材の表面に貼付し、次いで前記粘着シートを剥離角度180°及び剥離速度300mm/minの条件で剥離した際の接着力が4N以上であるものを使用することが好ましい。
前記粘着剤としては、公知のアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を使用することができる。なかでも、前記粘着剤としては、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。
前記アクリル系粘着剤としては、アクリル系重合体を含有する粘着剤を使用することが好ましく、炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含有する単量体成分を重合させて得られるアクリル系重合体を含有する粘着剤を使用することが、前記基材(A)やハードコート層(B)や、後述するポリウレタン層(D)等の他の層や、偏光板等によって構成される前記非ガラス部材との密着性に優れ、かつ、優れた透明性及び耐候性を維持した粘着フィルムを得るうえで好ましい。
前記炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
なかでも、前記炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、炭素原子数4〜9のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、炭素原子数4〜9のアルキル基を有するアクリレートを使用することがより好ましい。
前記炭素原子数4〜9のアルキル基を有するアクリレートとしては、n−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレートを使用することが、好適な粘着力を確保しやすいため好ましい。
前記炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、前記アクリル重合体の製造に使用する単量体の全量に対して、90質量%〜99質量%使用することが好ましく、90質量%〜96質量%使用することが、好適な粘着力を確保しやすいためより好ましい。
前記アクリル重合体の製造に使用できる単量体としては、前記したものの他に必要に応じて水酸基、カルボキシル基、アミド基等の極性基を有する(メタ)アクリレート等のビニル系単量体を使用することが好ましい。
前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも、前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、アクリル酸またはメタクリル酸の2量体、エチレンオキサイド変性コハク酸アクリレート等が挙げられる。
なかでも、前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸を使用することが好ましい。
前記アミド基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−(パーヒドロフタルイミド−N−イル)エチルアクリレート等が挙げられる。
なかでも、前記アミド基を有する(メタ)アクリレートとしては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリンを使用することが好ましい。
前記ビニル単量体としては、前記したもののほかに、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等を使用することもできる。
前記極性基を有するビニル系単量体は、アクリル系重合体の製造に使用する単量体の合計質量に対して、0.1質量%〜20質量%の範囲で使用することが好ましく、1質量%〜13質量%の範囲で使用することがより好ましく、1.5質量%〜8質量%の範囲で使用することが、粘着剤層の凝集力、保持力、接着性を好適な範囲に調整しやすいためさらに好ましい。
前記アクリル系重合体としては、重量平均分子量40万〜140万であるものを使用することが好ましく、60万〜120万であるものを使用することが、前記基材(A)やハードコート層(B)や、後述するポリウレタン層(D)等の他の層や、偏光板等によって構成される前記非ガラス部材との密着性に優れた粘着剤層を形成するうえで好ましい。
なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。より具体的には、GPC測定装置として、東ソー株式会社製「SC8020」を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPC測定条件で測定して求めることができる。
(GPCの測定条件)
・サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHHR−H」
・検出器:示差屈折
前記粘着剤層(C)の形成に使用可能な粘着剤としては、前記アクリル重合体の他に必要に応じて架橋剤を含有するものを使用することができる。
前記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤等を使用することができる。
前記架橋剤は、粘着剤層(C)のゲル分率が25質量%〜80質量%となる範囲で使用することが好ましく、前記ゲル分率が40質量%〜75質量%となる範囲で使用することがより好ましく、前記ゲル分率が50質量%〜70質量%となる範囲で使用することがさらに好ましい。
前記架橋剤を用い前記粘着剤層(C)のゲル分率を前記した範囲に調整することによって、前記粘着フィルムの表面硬度の低下を抑制することができ、接着性も十分なものとすることができる。なお、本発明におけるゲル分率は、養生後の粘着剤層(C)をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対して百分率で表したものである。
前記粘着剤層(C)の形成に使用可能な粘着剤としては、前記アクリル重合体の他に必要に応じて粘着付与樹脂を含有するものを使用することができる。
前記粘着付与樹脂としては、例えばアクリル系粘着付与樹脂を使用することができる。アクリル系粘着付与樹脂は、前記アクリル重合体100質量部に対して、10質量部〜60質量部の範囲で使用することが好ましい。さらに接着性を重視する場合は、20質量部〜50質量部の範囲で使用することが好ましい。
また、粘着剤としては、前記以外に公知慣用の添加剤を含有するものを使用することができる。
前記添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、難燃剤等を使用することができる。なかでも、前記添加剤としては、反射防止フィルム等の無機系化合物を表層に有するフィルムに対する接着力をより一層向上するうえで、シランカップリング剤を使用することが好ましい。前記シランカップリング剤は、前記アクリル重合体100質量部に対して、0.001質量部〜0.005質量部の範囲で使用することが好ましい。
[ポリウレタン層(D)]
本発明の粘着フィルムとしては、特に優れた耐衝撃性を情報表示装置に付与することのできるレベルの各段に優れた衝撃吸収性を備えた粘着フィルムを得るうえで、前記基材(A)とハードコート層(B)と粘着剤層(C)の他に、他の層を有するものを使用することが好ましい。前記他の層としては、例えばポリウレタン層(D)を含む層を使用することがより好ましい。
前記ポリウレタン層(D)を含む他の層を有する粘着フィルムの実施態様としては、例えば、前記基材(A)の少なくとも一方の面にハードコート層(B)を有し、前記基材(A)の他方の面に、ポリウレタン層(D)を含む他の層を介して粘着剤層(C)を有するものが挙げられる。前記粘着フィルムの実施態様としては、前記基材(A)の両面にハードコート層(B)を有し、前記基材(A)の他方の面には、前記ハードコート層(B)及びポリウレタン層(D)を介して粘着剤層(C)が積層されたものでがより好ましい。
前記ポリウレタン層(D)としては、好ましくは厚さ30μm〜500μmのものを使用する。前記範囲の厚さを有するポリウレタン層(D)を備えた粘着フィルムであれば、優れた衝撃吸収性と薄型化とを両立することができる。
前記ポリウレタン層(D)としては、50μm〜400μmの厚さのものを使用することがより好ましく、100μm〜200μmの厚さのものを使用することが、優れた衝撃吸収性と薄型化とを両立した粘着フィルムを得るうえでさらに好ましい。
前記ポリウレタン層(D)としては、より一層優れた耐衝撃性等を付与するうえで、前記ポリウレタン層(D)の−30℃〜50℃の範囲におけるtanδの最大値が0.1以上である層であることが好ましい。
前記ポリウレタン層(D)の−30℃〜50℃におけるtanδの最大値は、0.3以上であることが好ましく、0.3〜1.0の範囲であることが、より一層優れた衝撃吸収性と薄型化とを両立した粘着フィルムを得ることができる。
前記ポリウレタン層(D)は、例えばポリオールとポリイソシアネートとを含有する2液型硬化型組成物を使用することによって形成することができる。前記2液型硬化型組成物としては、例えば基材(A)の表面に塗工した後、前記ポリオールとポリイソシアネートとが反応することによってポリウレタン(d1−1)を含むポリウレタン層(D)を形成するものを使用することができる。
前記ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等を単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記ポリオールとしては、ポリウレタン層(D)の耐変色性を防止し優れた透明性を保持するうえで、脂肪族ポリオールまたは脂環式ポリオールを使用することが好ましく、脂肪族ポリエーテルポリオールもしくは脂環式ポリエーテルポリオール、脂肪族ポリカーボネートポリオールもしくは脂環式ポリカーボネートポリオール、または、脂肪族ポリエステルポリオールもしくは脂環式ポリエステルポリオールを使用することがより好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシネオペンチレン構造とポリオキシテトラメチレン構造とを有するポリエーテルポリオール等を使用することができる。
前記ポリエステルポリオールとしては、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオールと、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等のジカルボン酸とを反応させて得られるもの等を使用することができる。
前記ポリオールとしては、数平均分子量800〜5000のものを使用することが好ましく、800〜2000のものを使用することがより好ましい。
前記ポリオールとしては、前記したもののほかに、必要に応じて低分子量ポリオールを使用することができる。前記低分子量ポリオールとしては、概ね100〜500程度の低分子量のポリオールを使用することが好ましい。前記低分子量ポリオールとしては、ポリウレタン層(D)の耐変色性を防止し優れた透明性を保持するうえで、脂肪族ポリオールまたは脂環式ポリオールを使用することが好ましい。
前記低分子量ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を使用することができる。なかでも、低分子量ポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンを使用することがより好ましい。
前記ポリオールと混合し反応させることのできる前記ポリイソシアネートとしては、ポリウレタン層(D)の耐変色性を防止し優れた透明性を保持するうえで、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートを使用することが好ましく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、シクロヘキサンジイソシアネート等を単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記ポリオールとポリイソシアネートとは、前記ポリオールが有する水酸基と前記ポリイソシアネート基が有するイソシアネート基との当量割合[イソシアネート基/水酸基]が好ましくは0.1〜50、より好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは0.9〜1.3、特に好ましくは1.01〜1.24となる範囲で反応させることができる。
また、前記ポリウレタン層(D)は、例えばポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、他のポリオールとを含有する2液型硬化型組成物を使用することによって形成することもできる。前記2液型硬化型組成物は、前記ウレタンプレポリマーと他のポリオールとが反応することによってポリウレタン(d1−2)を含むポリウレタン層を形成することができる。
前記ウレタンプレポリマーの製造に使用可能なポリオール及びポリイソシアネートとしては、前記ポリウレタン(d1−1)の製造に使用可能なものとして例示したポリオール及びポリイソシアネートと同様のものを使用することができる。また、前記ウレタンプレポリマーと混合し使用することのできる他のポリオールとしては、前記ポリウレタン(d1−1)の製造に使用可能なものとして例示したポリオールと同様のものを使用することができる。
また、前記ポリウレタン層(D)は、例えば(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン(d1−3)を含有する組成物を使用することによって形成することができる。(メタ)アクリロイル基を有するポリポリウレタン(d1−3)を含有する組成物は、例えば紫外線等の活性エネルギー線を照射されることによって、前記(メタ)アクリロイル基がラジカル重合しポリウレタン層を形成する。
前記ポリウレタン(d1−3)としては、例えばポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、及び、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体を反応させることによって得られたものを使用することができる。
前記ポリウレタン(d1−3)の製造に使用可能なポリオール及びポリイソシアネートとしては、前記ポリウレタン(d1−1)の製造に使用可能なものとして例示したポリオール及びポリイソシアネートと同様のものを使用することができる。
前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を使用することができ、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体は、前記ウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基の総数の5%〜100%と反応する量を使用することが好ましい。
ポリウレタン(d1−3)としては、イソシアネート基が分子内に残存するものを使用してもよい。前記イソシアネート基が残存する場合には、前記ポリウレタン(d1−3)と、それと反応しうるポリオール、低分子ポリオール、アミン等を硬化剤として組み合わせ使用してもよい。
前記ポリウレタン層(D)は、上記ポリウレタンの他に、必要に応じて、光安定剤、老化防止剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填材、着色剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。
本発明の粘着フィルムを構成する際に使用してもよい前記他の層としては、前記ポリウレタン層(D)単独であってもよく、前記ポリウレタン層(D)と他の層とを組み合わせた層であってもよい。
本発明の粘着フィルムは、前記基材(A)の一方または両方の面に、前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)を含有するハードコート剤を塗工及び乾燥し、硬化させることによってハードコート層(B)を形成する工程、ならびに、前記基材(A)の他方の面または一方の前記ハードコート層(B)の表面に、予め作製した粘着剤層(C)を貼付、または、前記粘着剤を塗工し乾燥させることによって粘着剤層(C)を形成する工程を経ることによって製造することができる。
その際、前記ポリウレタン層(D)を含む他の層を設ける場合には、前記基材(A)の他方の面または一方の前記ハードコート層(B)の表面に、ポリウレタン層(D)の形成に使用可能な前記組成物を塗工及び乾燥し、必要に応じて加熱や活性エネルギー線を照射等しポリウレタン層(D)を形成する工程を経ることが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)を含有するハードコート剤を基材(A)に塗工する方法としては、例えば、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、オフセット印刷、活版印刷等の方法が挙げられる。なかでも、前記塗工方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、ワイヤーバーコート、フローコートを採用することが、均一な厚さのハードコート層(B)を形成しやすいため好ましい。
前記ハードコート剤の塗工面を硬化させハードコート層(B)を形成する方法としては、例えば活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
前記活性エネルギー線としては、例えば光、電子線、放射線等が挙げられる。活性エネルギー線を照射する装置としては、例えば殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧または高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、または走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。
前記活性エネルギー線としては、紫外線を使用することが好ましい。前記紫外線を照射する装置としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LED、閃光的に照射するキセノン−フラッシュランプ等を使用することができる。
また、前記活性エネルギー線の照射は、ラジカル重合を効率よく進めるうえで窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
また、前記ハードコート剤の塗工面を硬化させハードコート層(B)を形成する際には、前記活性エネルギー線を照射する前または後に、加熱等してもよい。
また、前記基材(A)の表面または前記はハードコート層(B)の表面に、ポリウレタン層(D)を形成し得る組成物を塗工する方法としては、例えば、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、ダイコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、オフセット印刷、活版印刷等の方法が挙げられる。
なかでも、前記塗工方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、ダイコート、エアナイフコート、キスコート、ワイヤーバーコート、フローコートを採用することが、均一な厚さのポリウレタン層(D)を形成しやすいため好ましい。
前記ポリウレタン層(D)を形成しうる組成物の塗工面を乾燥させる方法としては、常温下で自然乾燥する方法であってもよいが、加熱することで乾燥させる方法を採用してもよい。
前記加熱は、通常、40℃〜250℃で、1秒〜1000秒程度の時間で行うことが好ましい。また、前記条件で前記塗工面を乾燥させた後、さらに2次硬化工程として40℃〜100℃の温度で、1時間〜10時間程度の条件で乾燥させてもよい。
前記組成物(c)の塗工面を硬化させる方法としては、加熱する方法、紫外線等の活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。前記活性エネルギー線としては、前記ハードコート層(B)を形成する際に使用可能なものとして例示した活性エネルギー線と同様のものを採用することができる。
なかでも、紫外線を照射する場合には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LED、閃光的に照射するキセノン−フラッシュランプ等の装置を使用することができる。
本発明の粘着フィルムは、好適な衝撃吸収性及び耐擦傷性を有することから、もっぱら、液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ等の情報表示装置を構成する情報表示部表面に設けられる非ガラス部材の傷つき等を防止することを目的とした、いわゆる保護フィルムに使用することが好ましい。
また、本発明の粘着フィルムは、ディスプレイの表面に保護パネルを有さず、表面が液晶画像表示装置や有機EL画像表示装置等の情報表示装置、タッチパネルモジュール等である場合においても、好適に適用でき、情報表示装置やタッチパネルモジュールを衝撃やキズ付きを防止することかできる。
また、本発明の粘着フィルム及び保護フィルムは、いわゆるオンセルタイプまたはインセルタイプと称されるタッチパネル機能が搭載された情報表示部の表面に積層し使用することができる。
本発明の情報表示装置としては、例えば本発明の粘着フィルムが、偏光板等の非ガラス部材の表面に積層された構成を有するものが挙げられる。
前記非ガラス部材としては、例えば偏光板が挙げられる。偏光板としては、通常、偏光子の両面に偏光子保護層を積層した一般的なものを使用することができる。
偏光子はポリビニルアルコール系樹脂を用いて得られるものを使用することができる。前記ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をけん化することによって製造することができる。
偏光子は、例えば、製膜したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させることによって製造することができる。
また、偏光板は、前記で得た偏光子の両面に、接着剤層を介して、トリアセチルセルロースフィルム等の偏光子保護層を積層することによって製造することができる。
前記二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料を用いることができる。二色性色素でポリビニルアルコール系樹脂フィルムを染色するには、これらの色素を含有する水溶液に前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬することでできる。二色性色素にヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。
前記偏光子保護層としては、特に限定はされないが、ディスプレイ材料として使用することを想定したうえで、透明性に優れる樹脂を用いて得られるものを使用することが好ましい。
前記偏光子保護層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリル樹脂フィルム等を挙げることができる。
また、前記偏光子層の両面に偏光子保護層を形成する場合、それぞれの面に異なる樹脂から構成される偏光子保護層を形成することが可能である。例えば、前記偏光子層の片面にトリアセチルセルロースフィルムからなる偏光子保護層を形成し、もう一方の面に、シクロオレフィン系樹脂フィルムからなる偏光子保護層を形成することができる。
前記偏光板としては、50μm〜200μmの厚さを有するものを使用することが、情報表示装置や携帯電子端末の軽量化及び薄型化に貢献できるため好ましい。
以下に実施例および比較例により本発明をより具体的に説明する。
[ハードコート剤の調製]
(合成例1)
<ウレタンアクリレート(A1)の合成>
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル250質量部、ノルボルナンジイソシアネート206質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、空気を吹き込みながら、70℃に昇温した。
次に、前記フラスコに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(以下、「PE3A」と省略。)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、「PE4A」と省略。)との混合物[(PE3A/PE4A)=75/25(質量比)]795質量部を1時間かけて滴下した後、70℃で、イソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応を行うことによって、脂環式構造を有するウレタンアクリレート(A1)とPE4Aと酢酸ブチルとを含有する組成物(不揮発分80質量%、(A1)/PE4A=80/20(質量比))を得た。なお、ウレタンアクリレート(A2)の分子量(計算値)は802である。
(合成例2)
<ウレタンアクリレート(A2)の合成>
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル254質量部、イソホロンジイソシアネート222質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、70℃に昇温した。
次に、前記フラスコに、PE3AとPE4Aとの混合物[(PE3A/PE4A)=75/25(質量比)]795質量部を1時間かけて滴下した後、70℃で、イソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応を行うことによって、脂環式構造を有するウレタンアクリレート(A2)とPE4Aと酢酸ブチルとを含有する組成物(不揮発分80質量%、(A2)/PE4A=80/20(質量比))を得た。なお、ウレタンアクリレート(A2)の分子量(計算値)は818である。
(合成例3)
<ウレタンアクリレート(A3)の合成>
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル254質量部、イソホロンジイソシアネート222質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、70℃に昇温した。
次に、前記フラスコに、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート369質量部と、PE3AとPE4Aとの混合物[(PE3A/PE4A)=75/25(質量比)]398質量部を1時間かけて滴下した後、70℃で、イソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応を行うことによって、複素環式構造を含む脂環式構造を有するウレタンアクリレート(A3)とPE4Aと酢酸ブチルとを含有する組成物(不揮発分80質量%、(A3)/PE4A=91/9(質量比))を得た。なお、ウレタンアクリレート(A3)の分子量(計算値)は889である。
(調製例1)
酢酸エチル23.01質量部、合成例1で得たウレタンアクリレート(A1)とPE4Aと酢酸ブチルとを含有する組成物(不揮発分80質量%、(A1)/PE4A=80/20(質量比))19.64質量部、合成例2で得たウレタンアクリレート(A2)とPE4Aと酢酸ブチルとを含有する組成物(不揮発分80質量%、(A2)/PE4A=80/20(質量比))19.64質量部、合成例3で得たウレタンアクリレート(A3)とPE4Aと酢酸ブチルとを含有する組成物(不揮発分80質量%、(A3)/PE4A=91/9(質量比))15.71質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート18.86質量部、光開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.51質量部、光開始剤としてジフェニル2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィン=オキシド0.63質量部、オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製、反応性フッ素防汚剤、不揮発分20質量%)2.0質量部を均一に混合した後、不揮発分が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルを用いて希釈することによってハードコート剤(1)を調製した。なお、前記ハードコート剤(1)を、ガラス板に10μmの膜厚で塗工し、空気雰囲気下で紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製「F450」、ランプ:120W/cm、Hバルブ)を用いて、照射光量0.5J/cm2で紫外線を照射し硬化させることによって形成したハードコート層の鉛筆硬度は4Hであった。
[ポリウレタン層形成用組成物の調製]
[ポリウレタン層形成用組成物(1)]
反応容器に、ポリオールとして50℃に加温した「ニッポラン981」(日本ポリウレタン工業株式会社製、ポリカーボネートジオール、数平均分子量1000)100質量部と、低分子量グリコール組成物(1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとジオクチル錫ジラウレートとの混合物、[1,4−ブタンジオール/トリメチロールプロパン]=6/4(質量比)、ジオクチル錫ジラウレート100ppm)20質量部とを加えて混合し、それらを塗工等する直前に、前記混合物と、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとを混合撹拌し、真空脱泡することによってポリウレタン層形成用組成物(1)を得た。なお、それらの混合は、前記ポリカーボネートジオールと1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとが有する水酸基の当量に対する、前記4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートのイソシアネート基の当量比が1.05となるように調整し行った。
(実施例1)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300)の片面に、前記ハードコート剤(1)を塗工し、60℃で90秒間乾燥した後、空気雰囲気下で紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製「F450」、ランプ:120W/cm、Hバルブ)を用いて、照射光量0.5J/cm2で紫外線を照射し硬化させることによって、前記基材の片面に厚さ10μmのハードコート層を形成した。
次に、前記基材の反対側の面(ハードコート層が積層された面の反対側の面)に、前記ポリウレタン層形成用組成物(1)を塗工し、オーブンを用いて110℃で10分間加熱し硬化させることによって、厚さ100μmのポリウレタン層を備えた総厚さ185μmのハードコートフィルムを得た。
粘着剤組成物(綜研化学株式会社製、「SK−909A」)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートL−45、固形分45質量%)を0.7質量部を添加し15分攪拌することによって粘着剤を調製した。
次に、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン化合物を含む剥離層を有する剥離フィルムに、前記粘着剤を塗工し、85℃で180秒間乾燥させることによって、乾燥後の厚さが10μmである粘着剤層を形成した。
次に、前記粘着剤層を、前記ハードコートフィルムを構成するポリウレタン層の表面に載置し、4kg/cm加圧しながらそれらを貼り合わせることによって、総厚さ195μmの粘着フィルムを得た。
なお、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの押し込み弾性率は、FISCHERSCOPE/HM2000LT(フィッシャーインストルメンツ社製)を用いて23℃環境下で基材表面に稜間角136°のビッカース圧子を荷重1mNで押し込んで測定したところ、2800MPaであった。
また、前記粘着フィルムを構成する前記のポリウレタン層の損失正接測定を、下記の方法で実施したところ、−30℃〜50℃の範囲におけるtanδの最大値は0.6であった。
[ポリウレタン層の損失正接の測定]
片面を剥離処理したポリエステルフィルムに、前記ポリウレタン層形成用組成物(1)を塗工し、オーブンを用いて110℃で10分間加熱し硬化させることによって、厚さ100μmのポリウレタン層を有する試験片を作製した。
前記試験片を長さ6cm及び幅5mmに切りとり、前記ポリエステルフィルムを剥がして得たポリウレタン層の−30℃〜50℃の範囲の損失正接tanδの最大値を、粘弾性試験機(セイコーインスツルメンツ社製、商品名:DMS6100)を用い、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、引張りモードで貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、損失正接tanδ=(G”)/(G’)で表される式に基づいて算出した。
(実施例2)
粘着剤層の厚さを10μmから25μmに変更すること以外は、実施例1と同様の方法で総厚さ210μmの粘着フィルムを得た。
(実施例3)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300)の代わりに、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300)を使用すること、粘着剤層の厚さを10μmから40μmに変更すること、及び、ウレタン樹脂層を設けないこと以外は、実施例1と同様の方法で総厚さ238μmの粘着フィルムを得た。
(実施例4)
粘着剤層の厚さを40μmから25μmに変更する以外は、実施例3と同様の方法で厚さ223μmの粘着フィルムを得た。
(実施例5)
粘着剤層の厚さを40μmから10μmに変更する以外は、実施例3と同様の方法で厚さ208μmの粘着フィルムを得た。
(実施例6)
ポリエチレンテレフタレートの厚さを188μmから100μmに変更すること以外は、実施例3と同様の方法で厚さ150μmの粘着フィルムを得た。
(実施例7)
粘着剤層の厚さを40μmから25μmに変更すること以外は、実施例6と同様の方法で厚さ135μmの粘着フィルムを得た。
(実施例8)
粘着剤層の厚さを40μmから10μmに変更すること以外は、実施例6と同様の方法で厚さ120μmの粘着フィルムを得た。
(実施例9)
ポリエチレンテレフタレートの厚さを100μmから75μmに変更すること、及び、粘着剤層の厚さを40μmから65μmに変更すること以外は、実施例6と同様の方法で厚さ150μmの粘着フィルムを得た。
(実施例10)
粘着剤層の厚さを65μmから60μmに変更すること以外は、実施例9と同様の方法で厚さ145μmの粘着フィルムを得た。
(実施例11)
粘着剤層の厚さを65μmから40μmに変更すること以外は、実施例9と同様の方法で厚さ125μmの粘着フィルムを得た。
(比較例1)
ウレタン樹脂層を設けないこと以外は、実施例2と同様の方法で総厚さ110μmの粘着フィルムを得た。
(比較例2)
ウレタン樹脂層を設けないこと以外は、実施例1と同様の方法で総厚さ110μmの粘着フィルムを得た。
(比較例3)
ウレタン樹脂層の厚さを100μmから15μmに変更すること以外は、実施例1と同様の方法で、総厚さ110μmの粘着フィルムを得た。
[耐衝撃性(衝撃吸収性)の測定]
日本板硝子株式会社製フロートガラス(長さ4cm×幅5cm、厚さ1.1mm)と、厚さ135μmの偏光板とを貼付することによってガラスパネルを得た。
次に、実施例および比較例で得られた粘着フィルムを、前記ガラスパネルを構成する偏光板の表面に貼付することによって貼付物を作製した。
次に、前記貼付物を、その粘着フィルムによって構成される面が上となるように、鋼板の表面に固定し、前記粘着フィルムの表面に、高さ20cmの位置から28gの鋼球を2回続けて落下させた。
前記落下試験後、前記貼付物を構成するフロートガラスを目視で確認した。前記フロートガラスに割れが発生していなかった場合、前記鋼球を、先程の落下試験での高さから、さらに10cm高い位置(合計30cmの高さ)から2回続けて落下させた。
以上のように、鋼球の落下高さを10cmずつ高くし、フロートガラスが割れるまで上記落下試験を行った。
前記落下試験を、各粘着フィルムの貼付された貼付物に対して3回ずつ行い、そのフロートガラスが割れた際の、鋼球の落下高さの平均値(V1)を算出した。
一方、前記粘着フィルムを貼付していない偏光板付きガラスパネルの耐衝撃性を、上記と同様の方法で評価し、前記フロートガラスが割れた際の、鋼球の落下高さの平均値(V0)を算出した(参考例)。
また、ガラスパネルの強度向上率を、強度向上率(倍)=V1/V0の式に基づいて算出し、粘着フィルムの耐衝撃性を、下記評価基準に従い評価した。
5:強度向上率6.0倍以上
4:強度向上率4.0倍以上〜6.0倍未満
3:強度向上率3.0倍以上〜4.0倍未満
2:強度向上率2.0倍以上〜3.0倍未満
1:強度向上率2.0倍未満
[耐衝撃性(窪み)の評価]
日本板硝子株式会社製フロートガラス(長さ4cm、幅5cm、厚さ1.1mm)と、厚さ135μmの偏光板とを貼付することによってガラスパネルを得た。
次に、実施例および比較例で得た粘着フィルムを、前記ガラスパネルを構成する偏光板の表面に貼付することによって貼付物を作製した。
次に、前記貼付物を、その粘着フィルムによって構成される面が上となるように、鋼板の表面に固定し、前記粘着フィルムの表面に、高さ30cmの位置から28gの鋼球を2回続けて落下させた。その後、3波長蛍光灯下で粘着フィルム表面を目視で観察し、鋼球落下による窪み具合を下記のとおり評価した。
◎:薄い窪みはあるが、ほとんど目立たない。
○:窪みがあるが、あまり目立たない。
×:著しい窪みがあり、目立つ。
−:ガラスが割れてしまい、判定不能。
[耐摩耗性の測定]
実施例及び比較例で得られた粘着フィルムを構成するハードコート層の表面を、スチールウール(ボンスター#0000)を用い荷重500g/cm2をかけながら、速度30回/分で5000回摩擦した。
前記擦過後、その表面を目視及びマイクロスコープ50倍で観察し、キズの有無を確認した。得られた結果を基に下記基準に従い耐摩耗性を判定した。
○:キズなし
×:キズあり