本発明のハードコートフィルムは、基材(A)の一方の面側に、直接または他の層を介してハードコート層(B)を有し、前記基材(A)の他方の面側に、直接または他の層を介して、活性エネルギー線硬化性ポリウレタンを用いて形成されたポリウレタン層(C)を有するハードコートフィルムであって、前記ポリウレタン層(C)の20℃における貯蔵弾性率(G’20)が5.0×105Pa以上であることを特徴とするものである。
前記ハードコート層(B)は、前記基材(A)の片面または両面に直接積層されていてもよく、他の層を介して積層されていてもよい。また、前記ポリウレタン層(C)は、前記基材(A)に直接積層されていてもよく、ハードコート層(B)等の他の層を介して積層されていてもよい。
本発明のハードコートフィルムとしては、情報表示装置の薄型化に貢献すべく、薄型であるものを使用することが好ましい。具体的には、前記ハードコートフィルムとしては、その総厚が1mm未満であるものを使用することが好ましく、500μm未満であるものを使用することがより好ましく、350μm以下であるものを使用することがさらに好ましい。また、前記ハードコートフィルムの総厚さの下限は、特に制限はないが、50μm以上であることが好ましく、90μm以上であることがより好ましい。本発明のハードコートフィルムは、前記特定の積層構成をとることによって、前記薄型であっても、優れた耐衝撃性及び耐擦傷性を両立することができる。
本発明のハードコートフィルムとしては、その表面の傷つきを防止可能なレベルの耐擦傷性を付与するうえで、鉛筆硬度が2H以上であるものを使用することが好ましく、3H以上であるものを使用することがより好ましい。
また、前記ハードコートフィルムとして、前記基材(A)の両面にハードコート層(B)を有するものを使用する場合、その裏面(具体的には、情報表示装置を構成するガラスパネルの表面に貼付される面)を構成するハードコート層の鉛筆硬度は、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましい。
本発明のハードコートフィルムとしては、それを情報表示装置の保護フィルムに使用する場合、前記情報表示装置に表示される画像や映像等の情報の優れた鮮明性等を維持するうえで、その全光線透過率が85%以上であるものを使用することが好ましく、88%以上であるものを使用することがより好ましく、90%以上であるものを使用することがさらに好ましい。
[基材(A)]
本発明のハードコートフィルムを構成する基材(A)としては、ハードコートフィルムの薄型化を実現するうえで、好ましくは厚さ20μm〜250μmの基材を使用する。前記基材(A)としては、厚さ50μm〜250μmのものを使用することが、ハードコートフィルムの薄型化と、優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを両立するうえでより好ましい。
前記基材(A)としては、その表面に稜間角136°のビッカース圧子を荷重1mNで押し込んで測定される押し込み弾性率が500MPa〜4000MPaであるものを使用することが好ましく、700MPa〜3000MPaであるものを使用することがより好ましく、2000MPa〜3500MPaであるものを使用することが、より一層優れた耐衝撃性及び耐擦傷性を両立したハードコートフィルムを得るうえでさらに好ましい。
本発明のハードコートフィルムの優れた耐衝撃性は、もっぱら、後述するポリウレタン層(C)の優れた衝撃吸収性能によって奏されるが、前記ポリウレタン層(C)と、前記基材(A)として所定の押込み弾性率を備えた基材とを組み合わせることによって、各段に優れた耐衝撃性を備えたハードコートフィルムを得ることができる。
なお、前記押し込み弾性率は、23℃環境下で測定される押し込み弾性率であり、例えば、FISCHERSCOPE/HM2000LT(フィッシャーインストルメンツ社製)等を用いて測定することができる。
前記基材(A)としては、光学特性に優れた樹脂フィルムを使用することが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファンフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム(例えば、JSR株式会社製のアートン)、環状オレフィン系ポリマーフィルム(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオノアフィルム)等を使用することができる。
なかでも、前記基材(A)としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィルム、アクリル樹脂フィルムなどを使用することが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することが、より一層優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを備えたハードコートフィルムを製造するうえでより好ましい。
前記基材(A)としては、本発明のハードコートフィルムをディスプレイなどの情報表示装置の保護フィルムとして使用する場合に、高い透明性を有するものを使用することが好ましい。
前記基材(A)としては、その可視光波長領域における全光線透過率が85%以上であるものを使用することが好ましく、90%以上であるものを使用することがより好ましい。また、前記基材(A)としては、ヘイズが2.0以下であるものを使用することが好ましく、1.0以下であるものを使用することがより好ましい。
前記基材(A)として前記全光線透過率及びヘイズを備えた基材を使用することによって、本発明のハードコートフィルムにより一層高い透明性を付与でき、その結果、前記ハードコートフィルムを情報表示装置の保護フィルムとして使用した場合であっても、表示される画像の高精細性を維持することができる。
また、前記基材(A)としては、前記ハードコート層(B)の屈折率との差が0.15未満である屈折率を備えたものを使用することが好ましく、前記差が0.06以下である屈折率を備えたものを使用することが、本発明のハードコートフィルムに生じうる干渉縞を低減するうえでより好ましい。
また、前記基材(A)としては、ハードコート層(B)やポリウレタン層(C)との密着性を向上させることを目的として、表面に易接着層を有するものを使用することができる。また、前記基材(A)としては、前記密着性をより一層向上させることを目的として、サンドブラスト法や溶剤処理法等による表面凹凸化処理、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線照射処理等の酸化処理等が施されたものを使用することができる。
[ハードコート層(B)]
本発明のハードコートフィルムを構成するハードコート層(B)は、好ましくは1μm〜50μmの厚さを有するものである。前記厚さのハードコート層(B)を設けることによって、優れた耐擦傷性等の耐擦傷性と、薄型化とを両立したハードコートフィルムを得ることができる。
前記ハードコート層(B)の厚さは、5μm〜25μmの範囲であることがより好ましく、8μm〜15μmの範囲であることがさらに好ましく、10μm〜15μmの範囲であることが特に好ましい。
前記ハードコート層(B)としては、本発明のハードコートフィルムを、情報表示装置の保護フィルムとして使用する場合に、前記情報表示装置に表示される画像等の優れた鮮明性等を維持するうえで、透明性の高いものを使用することが好ましい。具体的には、前記ハードコート層(B)としては、偏光性物質を含有しないものを使用することが好ましい。
前記ハードコート層(B)としては、その全光線透過率が85%以上であるものを使用することが好ましく、90%以上であるものを使用することがより好ましい。また、前記ハードコート層(B)としては、そのヘイズ値が1.0以下であるものを使用することが好ましく、0.5以下であるものを使用することがより好ましい。
前記ハードコート層(B)としては、厚さ1mmのガラスの表面に、前記ハードコート層(B)を形成しうる活性エネルギー線硬化性組成物(b1)を塗工し硬化させることによって形成された厚さ10μmのハードコート層の表面硬度が、好ましくは2H以上、より好ましくは3H以上、さらに好ましくは4H以上であるものを使用することができる。前記高硬度のハードコート層を採用することによって、耐擦傷性等の耐擦傷性の点でより一層優れたハードコートフィルムを得ることができる。なお、前記表面硬度は、JIS K 5600−5−4に準拠し、荷重750gで測定される表面硬度である。
前記ハードコート層(B)の形成に使用可能なハードコート剤としては、活性エネルギー線硬化性組成物(b1)を含有するものを使用することができる。
前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する多官能アクリレートを含有するものを使用することがより好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートを含有するものを使用することがさらに好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、従来、ハードコート層の形成に使用される各種ウレタン(メタ)アクリレートを使用することができるが、より一層表面硬度に優れたハードコート層を形成するうえで、脂環式構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、複素環式構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するものを使用することが好ましく、5個〜10個有するものを使用することがより好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート(b1−1)、及び、ポリイソシアネート(b1−2)を反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記水酸基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(b1−1)としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の単量体を使用することができる。
また、前記水酸基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(b1−1)としては、例えば、前記した単量体とε−カプロラクトンとの付加反応物、前記単量体とアルキレンオキサイドとの付加反応物等を使用することができる。
前記(メタ)アクリレート(b1−1)としては、特に1個の水酸基及び3〜5個の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレートを使用することが、より一層高硬度で、耐擦傷性等に優れたハードコート層を形成するうえで好ましい。
前記1個の水酸基及び3〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を、単独または2種以上組み合わせ使用することが好ましい。
また、前記(メタ)アクリレート(b1−1)としては、脂環式構造を有するウレタン(メタ)アクリレートまたは複素環式構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを得るうえで、脂環式構造を有する(メタ)アクリレートを使用することができ、例えば、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートトリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレートなどを使用することができる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートの製造に使用可能な前記ポリイソシアネート(b1−2)としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添メチレンビスフェニレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記ポリイソシアネート(b1−2)としては、ハードコート層(B)により一層優れた靭性を付与し、かつ、その割れ等を防止するうえで、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートを使用することが好ましく、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添メチレンビスフェニレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを使用することがより好ましく、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添メチレンビスフェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートを使用することがより好ましい。
また、前記脂環式ジイソシアネートとしては、ハードコート層(B)の表面硬度をより一層向上させるうえで、ノルボルネンジイソシアネート等の複素環式構造を有するジイソシアネートを使用することが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、前記ポリイソシアネート(b1−2)のイソシアネート基に対する、前記(メタ)アクリレート(b1−1)の水酸基の当量比が、好ましくは0.1〜50、より好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは0.9〜1.3、特に好ましくは1.01〜1.24となる範囲で反応させることによって製造することができる。
前記(メタ)アクリレート(b1−1)と前記ポリイソシアネート(b1−2)とを反応させる際の反応温度は、30℃〜150℃の範囲であることが好ましく、50℃〜100℃の範囲であることがより好ましい。前記反応の終点を確認する方法としては、例えば、イソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルの消失を確認する方法、JIS K 7301−1995に記載の方法でイソシアネート基含有率を求めることで確認する方法が挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、500〜1500の範囲の分子量を有するものを使用することが、より一層高硬度で、カールの発生を抑制可能なハードコートフィルムを得るうえで好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)としては、前記ウレタン(メタ)アクリレート等を、前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)100質量部に対して5質量部〜90質量部含有するものを使用することが好ましく、10質量部〜70質量部含有するものを使用することがより好ましく、10質量部〜60質量部含有するものを使用することが、より一層高硬度のハードコート層を形成するうえで好ましい。
また、前記活性エネルギー線硬化型組成物(b1)としては、より一層高い表面硬度を備えたハードコート層を形成するうえで、前記ウレタンアクリレートの他に、必要に応じて、その他の重合体を含有するものを使用してもよい。
前記その他の重合体としては、例えばペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基等を有する単量体と(メタ)アクリル酸等α,β−不飽和単量体とを反応させて得られるもの等を使用することができる。
また、前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)としては、例えば光重合開始剤を含有するものを使用することができる。
前記光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン等の水素引き抜きによってラジカルを発生するタイプの開始剤を使用することができる。前記光重合開始剤を使用する際には、水素引き抜き剤となるメチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の第三アミンと併用することが好ましい。
前記光重合開始剤としては、前記したもののほかに、例えば、ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトン等の分子内分裂によってラジカルを発生するタイプの開始剤を使用することもできる。
前記光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化性組成物(b1)の全量100質量部に対して、1質量部〜10質量部使用することが好ましく、4質量部〜9質量部使用することがさらに好ましい。
また、前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)としては、例えば光重合開始剤とともに、ハイドロキノン、ベンゾキノン、トルハイドノキノン、パラターシャリーブチルカテコール等の重合禁止剤を含有するものを使用してもよい。
また、前記ハードコート層(B)として、滑り性、耐汚染性、耐指紋付着性等の表面機能を備えたハードコート層を形成する場合、前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)としては、例えばフルオロカーボン鎖、ジメチルシロキサン鎖、炭素原子数12個以上を有するハイドロカーボン鎖等を有する化合物を含有するものを使用することができる。
前記化合物としては、フルオロカーボン鎖を含有する化合物を使用することが滑り性、耐汚染性、耐指紋付着性等の表面機能を備えたハードコート層を形成するうえで好ましく、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の片末端または両末端に2価の連結基を介して複素環が結合し、該複素環は2価の連結基を介して2個以上の(メタ)アクリロイル基を結合した化合物を使用することがより好ましい。
[ポリウレタン層(C)]
本発明のハードコートフィルムは、前記ハードコート層(B)が積層された前記基材(A)の面に対して反対側の面にポリウレタン層(C)を有する。
前記ポリウレタン層(C)としては、好ましくは厚さ30μm〜500μmのものを使用する。前記範囲の厚さを有するポリウレタン層(C)を備えたハードコートフィルムであれば、優れた衝撃吸収性と薄型化とを両立することができる。
前記ポリウレタン層(C)としては、50μm〜400μmの厚さのものを使用することがより好ましく、100μm〜200μmの厚さのものを使用することが、優れた衝撃吸収性と薄型化とを両立したハードコートフィルムを得るうえでさらに好ましい。
前記ポリウレタン層(C)の20℃における貯蔵弾性率(G’20)は5.0×105Pa以上であることが好ましく、1.0×106Pa以上であることがより好ましく、1.0×107Pa以上であることが、より一層優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを両立したハードコートフィルムを得るうえでさらに好ましい。
また、本発明のハードコートフィルムを切断加工等する際の良好な加工適性を維持するうえで、ポリウレタン層(C)の貯蔵弾性率(G’20)の上限としては、1.0×109Paであることが好ましく、1.0×108Paであることがより好ましい。
なお、上記20℃における貯蔵弾性率(G’20)は、粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に試験片を挟み込み、温度20℃、及び、周波数1Hzでの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定することで得られる。なお、上記測定で使用する試験片としては、前記ポリウレタン層を厚さ1mmで直径8mmの大きさからなる円状に裁断したものを使用した。
前記ポリウレタン層(C)としては、活性エネルギー線硬化性ポリウレタンを用い硬化させることによって形成されたポリウレタン層を使用する。
前記ポリウレタン層(C)は、例えば活性エネルギー線硬化性ポリウレタンを含有する組成物(c1)を用いることによって形成することができる。
前記組成物(c1)としては、活性エネルギー線硬化性ポリウレタンを含有するものを使用する。
前記活性エネルギー線硬化性ポリウレタンとしては、例えば重合性不飽和二重結合を有するポリウレタン(c−1)を使用することができる。
前記重合性不飽和二重結合を有するポリウレタン(c−1)等の活性エネルギー線硬化性ポリウレタンは、例えば活性エネルギー線を照射されることによって、前記重合性不飽和二重結合に起因したラジカル重合を進行させ硬化物を形成する。
前記ポリウレタン(c−1)としては、例えばポリオール(c−1−1)とポリイソシアネート(c−1−2)とを反応させることによって得られたイソシアネート基を有するポリウレタン(c−1’)と、前記イソシアネート基と反応しうる官能基を有する(メタ)アクリル単量体とを反応させることによって得られるものを使用することができる。
前記ポリウレタン(c−1)の製造に使用可能なポリオール(c−1−1)としては、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を使用することができる。なかでも、前記ポリオール(c−1−1)としては、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールを単独または2種以上組み合わせ使用することが好ましく、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールを組み合わせ使用することが、光学用途に使用可能なレベルの透明性を維持でき、ハードコートフィルムが薄型化した場合であっても優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを備えたハードコートフィルムを得ることができるため好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステル及び/又はホスゲンと、後述する低分子ポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。
前記炭酸エステルとしては、例えばメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等を使用することができる。
また、前記炭酸エステルやホスゲンと反応しうる低分子ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノール等を使用することができる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、脂肪族ポリカーボネートポリオールまたは脂環式ポリカーボネートポリオールを使用することが好ましい。
脂肪族ポリカーボネートポリオールとしては、前記ハードコートフィルムに、例えば光学用途に使用可能なレベルの透明性を付与するうえで、ジアルキルカーボネートと、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールとを反応させて得られるものを使用することが好ましい。
脂環式ポリカーボネートポリオールとしては、前記ハードコートフィルムに、例えば光学用途に使用可能なレベルの透明性を付与し、かつ優れた初期凝集力を付与するうえで、例えばジアルキルカーボネートと、シクロヘキサンジメタノール及びその誘導体からなる群より選ばれる1種以上を含むポリオールとを反応させて得られるものを使用することが好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、前記好適な範囲の貯蔵弾性率(G’20)を備えたポリウレタン層(C)を形成するうえで、500〜5000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、600〜3000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。
〔数平均分子量の測定方法〕
本発明でいう数平均分子量の測定は、ポリスチレン換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)により、下記条件にて測定した値である。
試料溶液;0.4質量%テトラヒドロフラン(THF)溶液
測定装置型番;HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム ;TSKgel(東ソー株式会社製)
溶離液 ;テトラヒドロフラン(THF)
前記ポリカーボネートポリオールは、前記ポリオール(c−1−1)の全量に対して30質量%〜90質量%の範囲で使用することが好ましく、40質量%〜70質量%の範囲で使用することが、ハードコートフィルムが薄型化した場合であっても優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを備えたハードコートフィルムを得ることができるため好ましい。
また、前記ポリオール(c−1−1)としては、ポリエーテルポリオールを使用することもできる。前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
前記開始剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を使用することができる。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族ポリエーテルポリオールや脂環式構造を有するポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、特に、ポリプロピレングリコール、テトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレングリコール、テトラヒドロフランとアルキル置換テトラヒドロフランとを反応させて得られるポリテトラメチレングリコール誘導体、ネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランとを共重合させたポリテトラメチレングリコール誘導体等を使用することができる。なかでも、前記ポリエーテルポリオールとしては、光学用途に使用可能なレベルの優れた透明性を損なうことなく、良好な柔軟性、耐久性(特に耐加水分解性)等を付与するうえで、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラメチレングリコール誘導体(PTXG)を使用することが好ましい。
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、前記したもののほかに、その他のポリオールを使用することができる。前記その他のポリオールとしては、例えばアクリルポリオール等が挙げられる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、500〜5000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、600〜3000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが、ハードコートフィルムを薄型化した場合であっても優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを備えたハードコートフィルムを得るうえでより好ましい。
前記ポリエーテルポリオールは、前記ポリオール(c−1−1)の全量に対して10質量%〜90質量%の範囲で使用することが好ましく、20質量%〜60質量%の範囲で使用することが、光学用途に使用可能なレベルの透明性を維持でき、ハードコートフィルムが薄型化した場合であっても優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを備えたハードコートフィルムを得ることができるため好ましい。
また、前記ポリオール(c−1−1)に使用可能な前記ポリエステルポリオールとしては、例えば低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
前記低分子量のポリオールとしては、例えば概ね分子量が50〜300程度である、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族アルキレングリコールや、シクロヘキサンジメタノール等を使用することができる。
また、前記ポリエステルポリオールの製造に使用可能な前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及びそれらの無水物またはエステル化物等を使用することができる。
前記ポリエステルポリオールとしては、ハードコートフィルムが薄型化した場合であっても優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを備えたハードコートフィルムを得るうえで、脂肪族ポリエステルポリオールを使用することが好ましく、直鎖脂肪族ポリエステルポリオールを使用することがより好ましい。前記直鎖脂肪族ポリエステルポリオールは、側鎖にアルキル基を有さないポリエステルポリオールを指す。
前記ポリエステルポリオールとしては、前記脂肪族アルキレングリコールと脂肪族ジカルボン酸とを反応させて得られるものが挙げられ、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、ハードコートフィルムが薄型化した場合であっても優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを備えたハードコートフィルムを得るうえで、1000〜5000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。
特に、前記ポリエステルポリオールとして、1,2−エタンジオールまたは1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールと、アジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用する場合には、1100〜2900の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用する場合には、1100〜5000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用する場合には、1000〜5000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。
前記ポリエステルポリオールは、前記ポリオール(c−1−1)の全量に対して10質量%〜50質量%の範囲で使用することが好ましく、20質量%〜40質量%の範囲で使用することが、ハードコートフィルムが薄型化した場合であっても優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを備えたハードコートフィルムを得ることができるため好ましい。
前記ポリカーボネートポリオール及び前記ポリエステルポリオールは、前記ポリオール(c−1−1)100質量部に対して、合計20質量部以上を含有するものを使用することが好ましく、50質量部以上を含有するものを使用することが、光学用途に使用可能なレベルの透明性を維持し、かつ、ハードコートフィルムが薄型化した場合であっても優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを備えたハードコートフィルムを得ることができるため好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールと前記ポリエステルポリオールとを組み合わせ使用する際には、[ポリカーボネートポリオール/ポリエステルポリオール](質量比)は、1.5〜7.0の範囲であることが、前記範囲内の貯蔵弾性率(G’20)を備えたポリウレタン層(C)を形成し、その結果、光学用途に使用可能なレベルの透明性を維持し、かつ、ハードコートフィルムが薄型化した場合であっても優れた衝撃吸収性と耐擦傷性とを備えたハードコートフィルムを得ることができるため好ましい。
前記ポリウレタン(c−1)の製造に使用可能なポリイソシアネート(c−1−2)としては、脂環式ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等を使用することができ、脂環式ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−及び/又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記脂環式ポリイソシアネートとしては、前記したなかでも、前記ポリオール(c−1−1)との良好な反応性を有し、かつ、耐熱性や透明性(光線透過性)等に優れたハードコートフィルムを得るうえで、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(BICH)を使用することが好ましい。
前記ポリオール(c−1−1)と前記ポリイソシアネート(c−1−2)とを反応させイソシアネート基を有するポリウレタン(c−1’)を製造する方法としては、例えば反応容器に仕込んだ前記ポリオール(c−1−1)を、常圧または減圧条件下で加熱することにより水分を除去した後、前記ポリイソシアネート(c−1−2)を一括または分割して供給し反応させる方法が挙げられる。
前記ポリオール(c−1−1)と前記ポリイソシアネート(c−1−2)との反応は、前記ポリイソシアネート(c−1−2)が有するイソシアネート基と、前記ポリオール(c−1−1)が有する水酸基との当量比(以下[NCO/OH当量比])が、0.75〜1の範囲で行うことが好ましく、0.79〜0.995の範囲で行うことがより好ましい。
前記ポリオール(c−1−1)と前記ポリイソシアネート(c−1−2)との反応条件(温度、時間等)は、安全、品質、コストなど諸条件を考慮して適宜設定すればよく、特に限定しないが、例えば反応温度は、好ましくは60〜120℃の範囲である。
前記ポリオール(c−1−1)と前記ポリイソシアネート(c−1−2)とを反応させる際には、必要に応じて、触媒として、例えば、三級アミン触媒や有機金属系触媒等を使用することができる。
また、前記反応は、無溶剤の環境下で行っても、有機溶剤存在下で行ってもよい。
前記有機溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエーテルエステル系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。前記有機溶剤は、前記ポリウレタン(c−1’)の製造途中または、前記ポリウレタン(c−1’)を製造した後、減圧加熱、常圧乾燥等の適切な方法により除去してもよい。
本発明で使用するポリウレタン(c−1)は、前記方法で得られたイソシアネート基を有するポリウレタン(c−1’)、及び、前記イソシアネート基と反応しうる官能基を有する(メタ)アクリル単量体を反応させることによって製造することができる。具体的には、前記ポリウレタン(c−1)は、前記方法で得たポリウレタン(c−1’)またはその有機溶剤溶液と、前記(メタ)アクリル単量体とを混合し反応させることによって製造することができる。
前記(メタ)アクリル単量体としては、イソシアネート基と反応しうる官能基として、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等を有する(メタ)アクリル単量体を使用することができ、水酸基、アミノ基を有する(メタ)アクリル単量体を使用することが好ましい。
前記(メタ)アクリル単量体としては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、グリシドールジ(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等を単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
なかでも、前記(メタ)アクリル単量体としては、例えば赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線、太陽光等の活性エネルギー線を照射することによって速硬化するうえで2−ヒドロキシエチルアクリレートを使用することが好ましい。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方または両方を指す。
前記ポリウレタン(C−1)は、光照射や加熱によってラジカル重合を進行させる(メタ)アクリロイル基を有するものである。前記ポリウレタン(C−1)の(メタ)アクリロイル基当量としては、5,000〜100,000g/eq.の範囲であることが好ましく、10,000〜80,000g/eq.の範囲がより好ましい。なお、前記(メタ)アクリロイル基当量は、前記ポリオール(c−1−1)とポリイソシアネート(c−1−2)と(メタ)アクリル化合物との合計質量を、前記ポリウレタン(C−1)中に存在する(メタ)アクリル基の当量で除した値を示す。
前記ポリウレタン(c−1’)と前記(メタ)アクリル単量体とを反応させる際には、必要に応じて、ウレタン化触媒を使用することができる。前記ウレタン化触媒は、前記ウレタン化反応の任意の段階で、適宜加えることができる。前記ウレタン化反応は、イソシアネート基含有量(質量%)が実質的に一定になるまで行うことが好ましい。
前記ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸第一錫等の有機金属塩、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物等を使用することができる。
前記方法で得られた重合性不飽和二重結合を有するポリウレタン(c−1)を含有する組成物(c1)は、前記活性エネルギー線が照射されることによって(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和二重結合のラジカル重合が進行し硬化する。前記ポリウレタン(c−1)として、イソシアネート基を有するものを使用する場合、前記イソシアネート基は、前記ラジカル重合とは別に、水(湿気)による湿気硬化反応する場合がある。
前記ポリウレタン(c−1)を含有する組成物(c1)としては、ラジカル重合開始剤を含有するものを使用することができる。
前記ラジカル重合開始剤としては、公知のものが使用でき、例えば、光重合開始剤、過酸化物などが挙げられ、良好な生産性等を維持するうえで、光重合開始剤が好ましい。
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン等のアルキルフェノン光重合開始剤、カンファーキノン光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド光重合開始剤、チタノセン光重合開始剤等の従来公知のものを使用できる。
前記光重合開始剤の市販品としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンや、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(例えば、BASF社製のダロキュア1173)、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(例えば、BASF製のイルガキュア184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(例えば、BASF社製のイルガキュア2959)、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(例えば、BASF社製のイルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート(例えば、ストウファー社製のバイキュア55)、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン、クオンタキュアー(インターナショナル・バイオ−シンセティクス社製)、カイアキュアーMBP(日本化薬株式会社製)、エサキュアーBO(フラテリ・ランベルティ社製)、トリゴナル14(アクゾ社製)、イルガキュアー(BASF社製)、ダロキュアー(同社製)、スピードキュアー(同社製)、ダロキュアー1173とFi−4との混合物(イーストマン社製)等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって速やかに硬化させることのできるイルガキュア184、イルガキュア651等を使用することが好ましい。
また、前記ラジカル重合開始剤に使用可能な過酸化物としては、例えばケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、パーオキシエステル等の従来公知の過酸化物を使用できる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。これらの中でも、80〜120℃の高温条件下での硬化では、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートが好ましく、特にパーオキシジカーボネートが好ましい。前記パーオキシジカーボネートとしては、例えば、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、市販品では、パーロイルTCP(日本油脂株式会社製)等が挙げられる。なかでも、過酸化物としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって速やかに硬化させることのできるパーロイルTCPを使用することが好ましい。
前記ラジカル重合開始剤は、前記ポリウレタン(c−1)100質量部に対して0.1質量部〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.2質量部〜15質量部の範囲で使用することがより好ましい。
また、前記組成物(c1)としては、必要に応じて公知の多官能(メタ)アクリレート化合物を含有するものを使用することができる。
なお、本発明でいう「多官能」とは、重合性不飽和二重結合を分子中に2個以上有することを指す。
前記多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート、ソルビトール等の糖アルコールの(メタ)アクリレートエステル等の、重合性不飽和二重結合を2個〜4個有するもの等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記多官能(メタ)アクリレート化合物の配合量は、前記ポリウレタン(c−1)の100質量部に対して、好ましくは1質量部〜30質量部の範囲であり、より好ましくは5質量部〜20質量部の範囲である。
前記組成物(c1)としては、上記ポリウレタン(c−1)の他に、必要に応じて添加剤を含有するものを使用することができる。
前記添加剤としては、シランカップリング剤、リン酸系添加剤、アクリレート系添加剤、粘着付与剤等を使用することができる。特にガラスとの反応性に富むシランカップリング剤を使用することが、ガラス等からなる被着体に対する接着性に優れたハードコートフィルムまたは保護フィルムを得ることができるため好ましく、上記ポリウレタン(c−1)と反応しうる活性エネルギー線硬化型シランカップリング剤を使用することがより好ましい。
前記組成物(c1)は、前記シランカップリング剤、リン酸系添加剤、アクリレート系添加剤、粘着付与剤等を、前記ポリウレタン(c−1)の全量に対して合計0.01質量部〜10質量部の範囲であることが好ましく、0.05質量部〜5質量部の範囲がより好ましく、0.05質量部〜1質量部の範囲で使用することが、被着体に対する優れた密着性と、優れた透明性とを両立できるため好ましい。
前記組成物(c1)としては、上記以外に、必要に応じて、光安定剤、老化防止剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填材、着色剤、界面活性剤等の添加剤を含有するものを使用することができる。
本発明のハードコートフィルムは、前記基材(A)の一方の面に、前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)を含有するハードコート剤を塗工及び乾燥し、硬化させることによって所定の厚さのハードコート層(B)を形成する工程、ならびに、前記基材(A)の他方の面に、前記活性エネルギー線硬化性ポリウレタンを含有する組成物(c1)を塗工及び乾燥し、活性エネルギー線を照射し硬化させポリウレタン層(C)を形成する工程を経ることによって製造することができる。
前記活性エネルギー線硬化性組成物(b1)を含有するハードコート剤を基材(A)に塗工する方法としては、例えば、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、オフセット印刷、活版印刷等の方法が挙げられる。なかでも、前記塗工方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、ワイヤーバーコート、フローコートを採用することが、均一な厚さのハードコート層(B)を形成しやすいため好ましい。
前記ハードコート剤の塗工面を硬化させハードコート層(B)を形成する方法としては、例えば活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
前記活性エネルギー線としては、例えば光、電子線、放射線等が挙げられる。活性エネルギー線を照射する装置としては、例えば殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧または高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、または走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。
前記活性エネルギー線としては、紫外線を使用することが好ましい。前記紫外線を照射する装置としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LED、閃光的に照射するキセノン−フラッシュランプ等を使用することができる。
また、前記活性エネルギー線の照射は、ラジカル重合を効率よく進めるうえで窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
また、前記ハードコート剤の塗工面を硬化させハードコート層(B)を形成する際には、前記活性エネルギー線を照射する前または後に、加熱等してもよい。
本発明のハードコートフィルムを製造するにあたり、前記基材(A)の他方の面に、前記活性エネルギー線硬化性ポリウレタンを含有する組成物(c1)を塗工する方法としては、例えば、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、ダイコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、オフセット印刷、活版印刷等の方法が挙げられる。
なかでも、前記塗工方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、ダイコート、エアナイフコート、キスコート、ワイヤーバーコート、フローコートを採用することが、均一な厚さのポリウレタン層(C)を形成しやすいため好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性ポリウレタンを含有する組成物(c1)の塗工面を乾燥させる方法としては、常温下で自然乾燥する方法であってもよいが、加熱することで乾燥させる方法を採用してもよい。
前記加熱は、通常、40℃〜250℃で、1秒〜1000秒程度の時間で行うことが好ましい。また、前記条件で前記塗工面を乾燥させた後、さらに2次硬化工程として40℃〜100℃の温度で、1時間〜10時間程度の条件で乾燥させてもよい。
前記組成物(c1)の塗工面を硬化させる方法としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。前記活性エネルギー線としては、前記ハードコート層(B)を形成する際に使用可能なものとして例示した活性エネルギー線と同様のものを採用することができる。
なかでも、紫外線を照射する場合には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LED、閃光的に照射するキセノン−フラッシュランプ等の装置を使用することができる。
本発明のハードコートフィルムを、いわゆるロール・トゥー・ロール方式で連続生産する場合、前記ハードコートフィルムはロール状に巻き取られた状態で保管等される。その際、前記ハードコートフィルムは、前記ハードコート層(B)と前記ポリウレタン層(C)とが接触した状態となる。
前記ハードコート層(B)と前記ポリウレタン層(C)との接触が長期間にわたる場合、前記ハードコート層(B)と前記ポリウレタン層(C)とのブロッキングを防止するうえで、それらの層の間にラミネートフィルムが設けられていてもよい。
[粘着剤層]
本発明のハードコートフィルムとしては、ポリウレタン層(C)を有する側の面に粘着剤層(D)を有するものを使用することができる。前記粘着剤層(D)を備えたハードコートフィルムは、一般に保護フィルムとして使用することができる。
前記保護フィルムは、前記ポリウレタン層(C)の面に粘着テープを貼り合わせる方法、前記ポリウレタン層(C)の面に、直接、粘着剤を塗工することによって製造することができる。
前記粘着剤層(D)の厚さは、5μm〜50μmの範囲であることが好ましく、8μm〜30μmの範囲であることがより好ましく、10μm〜25μmの範囲であることがさらに好ましい。前記範囲の厚さの粘着剤層(D)を備えた保護フィルムは、より一層優れた接着信頼性と、高硬度とを備える。
前記粘着剤層(D)の形成に使用可能な粘着剤としては、ガラスに対する接着力が5N以上であるものを使用することが好ましい。具体的には、前記粘着剤としては、前記粘着剤を用いて形成した厚さ10μm、幅25mm及び長さ10cmの粘着シートを、ガラス板の表面に貼付し、次いで前記粘着シートを剥離角度180°及び剥離速度300mm/minの条件で剥離した際の接着力が5N以上であるものを使用することが好ましい。
前記粘着剤としては、公知のアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を使用することができる。なかでも、前記粘着剤としては、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。
前記アクリル系粘着剤としては、アクリル系重合体を含有する粘着剤を使用することが好ましく、炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含有する単量体成分を重合させて得られるアクリル系重合体を含有する粘着剤を使用することが、ポリウレタン層(C)との密着性に優れ、かつ、優れた透明性及び耐候性を維持したハードコートフィルムを得るうえで好ましい。
前記炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、等を使用することができる。
なかでも、前記炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、炭素原子数4〜9のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、炭素原子数4〜9のアルキル基を有するアクリレートを使用することがより好ましい。
前記炭素原子数4〜9のアルキル基を有するアクリレートとしては、n−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレートを使用することが、好適な粘着力を確保しやすいため好ましい。
前記炭素原子数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、前記アクリル重合体の製造に使用する単量体の全量に対して、90質量%〜99質量%使用することが好ましく、90質量%〜96質量%使用することが、好適な粘着力を確保しやすいためより好ましい。
前記アクリル重合体の製造に使用できる単量体としては、前記したものの他に必要に応じて水酸基、カルボキシル基、アミド基等の極性基を有する(メタ)アクリレート等のビニル系単量体を使用することが好ましい。
前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも、前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、アクリル酸又はメタクリル酸の2量体、エチレンオキサイド変性コハク酸アクリレート等が挙げられる。
なかでも、前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸を使用することが好ましい。
前記アミド基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−(パーヒドロフタルイミド−N−イル)エチルアクリレート等が挙げられる。
なかでも、前記アミド基を有する(メタ)アクリレートとしては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリンを使用することが好ましい。
前記ビニル単量体としては、前記したもののほかに、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等を使用することもできる。
前記極性基を有するビニル系単量体は、アクリル系重合体の製造に使用する単量体の合計質量に対して、0.1質量%〜20質量%の範囲で使用することが好ましく、1質量%〜13質量%の範囲で使用することがより好ましく、1.5質量%〜8質量%の範囲で使用することが、粘着剤層の凝集力、保持力、接着性を好適な範囲に調整しやすいためさらに好ましい。
前記アクリル系重合体としては、重量平均分子量40万〜140万であるものを使用することが好ましく、60万〜120万であるものを使用することが、前記ポリウレタン層(C)との密着性に優れた粘着剤層を形成するうえで好ましい。
なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。より具体的には、GPC測定装置として、東ソー株式会社製「SC8020」を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPC測定条件で測定して求めることができる。
(GPCの測定条件)
・サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHHR−H」
・検出器:示差屈折
前記粘着剤層の形成に使用可能な粘着剤としては、前記アクリル重合体の他に必要に応じて架橋剤を含有するものを使用することができる。
前記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤等を使用することができる。
前記架橋剤は、粘着剤層のゲル分率が25質量%〜80質量%となる範囲で使用することが好ましく、前記ゲル分率が40質量%〜75質量%となる範囲で使用することがより好ましく、前記ゲル分率が50質量%〜70質量%となる範囲で使用することがさらに好ましい。
前記架橋剤を用い前記粘着剤層(D)のゲル分率を前記した範囲に調整することによって、前記保護フィルムの表面硬度低下を抑制することができ、接着性も十分なものとすることができる。なお、本発明におけるゲル分率は、養生後の粘着剤層をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対して百分率で表したものである。
前記粘着剤層(D)の形成に使用可能な粘着剤としては、前記アクリル重合体の他に必要に応じて粘着付与樹脂を含有するものを使用することができる。
前記粘着付与樹脂としては、例えばアクリル系粘着付与樹脂を使用することができる。アクリル系粘着付与樹脂は、前記アクリル重合体100質量部に対して、10質量部〜60質量部の範囲で使用することが好ましい。さらに接着性を重視する場合は、20質量部〜50質量部の範囲で使用することが好ましい。
また、粘着剤としては、前記以外に公知慣用の添加剤を含有するものを使用することができる。
前記添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、難燃剤等を使用することができる。なかでも、前記添加剤としては、反射防止フィルム等の無機系化合物を表層に有するフィルムに対する接着力をより一層向上するうえで、シランカップリング剤を使用することが好ましい。前記シランカップリング剤は、前記アクリル重合体100質量部に対して、0.001質量部〜0.005質量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明のハードコートフィルム及び保護フィルムは、好適な衝撃吸収性及び耐擦傷性を有することから、各種用途に適用できる。なかでも、本発明のハードコートフィルム及び保護フィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイの表面に設けられるガラスパネルに対して好適に適用できる。
特に、本発明のハードコートフィルム及び保護フィルムは、薄型であっても好適な衝撃吸収性及び耐擦傷性を実現できることから、電子手帳、携帯電話、スマートフォン、携帯オーディオプレイヤー、モバイルパソコン、タブレット端末等の小型化や薄型化の要請の高い携帯電子端末のディスプレイ表面の保護ガラスパネルに対して好適に使用することができる。
また、本発明のハードコートフィルム及び保護フィルムは、ディスプレイの表面に保護パネルを有さず、表面が液晶画像表示装置や有機EL画像表示装置、タッチパネルモジュール等である場合においても、好適に適用でき、画像表示装置やタッチパネルモジュールを衝撃やキズ付きを防止することかできる。
本発明のハードコートフィルム及び保護フィルムは、好適な衝撃吸収性及び耐擦傷性を有することから、もっぱら、液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ等の情報表示装置を構成する情報表示部表面に設けられる非ガラス部材の傷つき等を防止することを目的とした、いわゆる保護フィルムに使用することが好ましい。
また、本発明の保護フィルムは、いわゆるオンセルタイプまたはインセルタイプと称されるタッチパネル機能が搭載された情報表示部の表面に積層し使用することができる。
本発明の情報表示装置としては、例えば本発明の保護フィルムが、偏光板等の非ガラス部材の表面に積層された構成を有するものが挙げられる。
前記非ガラス部材としては、例えば偏光板が挙げられる。偏光板としては、通常、偏光子の両面に偏光子保護層を積層した一般的なものを使用することができる。
偏光子はポリビニルアルコール系樹脂を用いて得られるものを使用することができる。前記ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をけん化することによって製造することができる。
偏光子は、例えば、製膜したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させることによって製造することができる。
また、偏光板は、前記で得た偏光子の両面に、接着剤層を介して、トリアセチルセルロースフィルム等の偏光子保護層を積層することによって製造することができる。
前記二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料を用いることができる。二色性色素でポリビニルアルコール系樹脂フィルムを染色するには、これらの色素を含有する水溶液に前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬することでできる。二色性色素にヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。
前記偏光子保護層としては、特に限定はされないが、ディスプレイ材料として使用することを想定したうえで、透明性に優れる樹脂を用いて得られるものを使用することが好ましい。
前記偏光子保護層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリル樹脂フィルム等を挙げることができる。
また、前記偏光子層の両面に偏光子保護層を形成する場合、それぞれの面に異なる樹脂から構成される偏光子保護層を形成することが可能である。例えば、前記偏光子層の片面にトリアセチルセルロースフィルムからなる偏光子保護層を形成し、もう一方の面に、シクロオレフィン系樹脂フィルムからなる偏光子保護層を形成することができる。
前記偏光板としては、50μm〜200μmの厚さを有するものを使用することが、情報表示装置や携帯電子端末の軽量化及び薄型化に貢献できるため好ましい。
以下に実施例および比較例により本発明をより具体的に説明する。
[ハードコート剤の調製]
(合成例1)
<ウレタンアクリレート(A1)の合成>
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル250質量部、ノルボルナンジイソシアネート206質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、空気を吹き込みながら、70℃に昇温した。
次に、前記フラスコに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(以下、「PE3A」と省略。)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、「PE4A」と省略。)との混合物[(PE3A/PE4A)=75/25(質量比)]795質量部を1時間かけて滴下した後、70℃で、イソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応を行うことによって、脂環式構造を有するウレタンアクリレート(A1)とPE4Aと酢酸ブチルとを含有する組成物(不揮発分80質量%、(A1)/PE4A=80/20(質量比))を得た。なお、ウレタンアクリレート(A1)の分子量(計算値)は802であった。
(合成例2)
<ウレタンアクリレート(A2)の合成>
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル254質量部、イソホロンジイソシアネート222質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、70℃に昇温した。
次に、前記フラスコに、PE3AとPE4Aとの混合物[(PE3A/PE4A)=75/25(質量比)]795質量部を1時間かけて滴下した後、70℃で、イソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応を行うことによって、脂環式構造を有するウレタンアクリレート(A2)とPE4Aと酢酸ブチルとを含有する組成物(不揮発分80質量%、(A2)/PE4A=80/20(質量比))を得た。なお、ウレタンアクリレート(A2)の分子量(計算値)は818であった。
(合成例3)
<ウレタンアクリレート(A3)の合成>
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル254質量部、イソホロンジイソシアネート222質量部、p−メトキシフェノール0.5質量部、ジブチル錫ジアセテート0.5質量部を仕込み、70℃に昇温した。
次に、前記フラスコに、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート369質量部と、PE3AとPE4Aとの混合物[(PE3A/PE4A)=75/25(質量比)]398質量部を1時間かけて滴下した後、70℃で、イソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応を行うことによって、複素環式構造を含む脂環式構造を有するウレタンアクリレート(A3)とPE4Aと酢酸ブチルとを含有する組成物(不揮発分80質量%、(A3)/PE4A=91/9(質量比))を得た。なお、ウレタンアクリレート(A3)の分子量(計算値)は889である。
(調製例1)
酢酸エチル23.01質量部、合成例1で得たウレタンアクリレート(A1)とPE4Aと酢酸ブチルとを含有する組成物(不揮発分80質量%、(A1)/PE4A=80/20(質量比))19.64質量部、合成例2で得たウレタンアクリレート(A2)とPE4Aと酢酸ブチルとを含有する組成物(不揮発分80質量%、(A2)/PE4A=80/20(質量比))19.64質量部、合成例3で得たウレタンアクリレート(A3)とPE4Aと酢酸ブチルとを含有する組成物(不揮発分80質量%、(A3)/PE4A=91/9(質量比))15.71質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート18.86質量部、光開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.51質量部、光開始剤としてジフェニル2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィン=オキシド0.63質量部、オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製、反応性フッ素防汚剤、不揮発分20質量%)2.0質量部を均一に混合した後、不揮発分が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルを用いて希釈することによってハードコート剤(1)を調製した。なお、前記ハードコート剤(1)を、ガラス板に10μmの膜厚で塗工し、空気雰囲気下で紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製「F450」、ランプ:120W/cm、Hバルブ)を用いて、照射光量0.5J/cm2で紫外線を照射し硬化させることによって形成したハードコート層の鉛筆硬度は4Hであった。
[ポリウレタン層形成用組成物の調製]
[ポリウレタン層形成用組成物(1)]
反応容器に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量;2,000)を68質量部、1,4−ジメタノールシクロヘキサンと1,6−ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール(数平均分子量900)を17質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.8質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを0.3質量部、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
反応容器内の温度を40℃に調整した後、イソホロンジイソシアネート14.7質量部を前記反応容器に添加した。
次に、前記反応容器にジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部を添加し、1時間かけて80℃まで昇温した後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却することによって重量平均分子量40000の重合性不飽和二重結合を有するポリウレタン(C−1)を得た。
次に、攪拌機、還流冷却管及び温度計を備え、80℃に調整された反応容器に、前記重合性不飽和二重結合を有するポリウレタン(C−1)100質量部と、酢酸エチル67質量部とを供給し混合した。次に、前記混合物にイルガキュア 184(BASF株式会社製)0.3質量部を供給し攪拌することにより、ポリウレタン層形成用組成物(1)を得た。
[ポリウレタン層形成用組成物(2)]
反応容器に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量;2,000)を46.4質量部、1,4−ジメタノールシクロヘキサンと1,6−ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール(数平均分子量900)を38.1質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.8質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを0.3質量部、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
反応容器内の温度を40℃に調整した後、イソホロンジイソシアネート14.7質量部を前記反応容器に添加した。
次に、前記反応容器にジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部を添加し、1時間かけて80℃まで昇温した後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却することによって重量平均分子量40000の重合性不飽和二重結合を有するポリウレタン(C−2)を得た。
次に、攪拌機、還流冷却管及び温度計を備え、80℃に調整された反応容器に、前記重合性不飽和二重結合を有するポリウレタン(C−2)100質量部と、酢酸エチル67質量部とを供給し混合した。次に、前記混合物にイルガキュア 184(BASF株式会社製)0.3質量部を供給し攪拌することにより、ポリウレタン層形成用組成物(2)を得た。
[ポリウレタン層形成用組成物(3)]
反応容器に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量;2,000)を51質量部、1,4−ジメタノールシクロヘキサンと1,6−ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール(数平均分子量900)を43質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.8質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを0.3質量部、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
反応容器内の温度を40℃に調整した後、イソホロンジイソシアネート14.7質量部を前記反応容器に添加した。
次に、前記反応容器にジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部を添加し、1時間かけて80℃まで昇温した後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却することによって重量平均分子量40000の重合性不飽和二重結合を有するポリウレタン(C−3)を得た。
次に、攪拌機、還流冷却管及び温度計を備え、80℃に調整された反応容器に、前記重合性不飽和二重結合を有するポリウレタン(C−3)100質量部と、酢酸エチル67質量部とを供給し混合した。次に、前記混合物にイルガキュア 184(BASF株式会社製)0.3質量部を供給し攪拌することにより、ポリウレタン層形成用組成物(3)を得た。
[ポリウレタン層形成用組成物(4)]
反応容器に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量;2,000)を51質量部、1,4−ジメタノールシクロヘキサンと1,6−ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール(数平均分子量900)を43質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.8質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを0.3質量部、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
反応容器内の温度を40℃に調整した後、イソホロンジイソシアネート14.7質量部を前記反応容器に添加した。
次に、前記反応容器にジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部を添加し、1時間かけて80℃まで昇温した後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却することによって重量平均分子量40000の重合性不飽和二重結合を有するポリウレタン(C−4)を得た。
次に、攪拌機、還流冷却管及び温度計を備え、80℃に調整された反応容器に、前記重合性不飽和二重結合を有するポリウレタン(C−4)100質量部と、酢酸エチル67質量部とを供給し混合した。次に、前記混合物にイルガキュア 184(BASF株式会社製)0.3質量部を供給し攪拌することにより、ポリウレタン層形成用組成物(4)を得た。
(実施例1)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300)の片面に、前記ハードコート剤(1)を塗工し、60℃で90秒間乾燥した後、空気雰囲気下で紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製「F450」、ランプ:120W/cm、Hバルブ)を用いて、照射光量0.5J/cm2で紫外線を照射し硬化させることによって、前記基材の片面に厚さ10μmのハードコート層を形成したハードコートフィルム(1)を作成した。
次に、前記基材の反対側の面(ハードコート層が積層された面の反対側の面)に、前記ポリウレタン層形成用組成物(1)と、前記ポリウレタン層形成用組成物(1)の固形分100質量部に対してペンタエリスリトールトリアクリレートを10質量部の割合で含有する樹脂組成物を塗工し、オーブンを用いて85℃で4分間加熱した。
次に、前記塗工面に、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製「F450」、ランプ:120W/cm、Hバルブ)を用いて紫外線を1000mJ/cm2照射することによって、厚さ100μmのポリウレタン層を備えた総厚さ185μmのハードコートフィルムを得た。
なお、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの押し込み弾性率は、FISCHERSCOPE/HM2000LT(フィッシャーインストルメンツ社製)を用いて23℃環境下で基材表面に稜間角136°のビッカース圧子を荷重1mNで押し込んで測定したところ、2800MPaであった。
(実施例2)
前記ハードコートフィルム(1)のハードコート層が積層された面の反対側の面に、前記ポリウレタン層形成用組成物(2)と、前記ポリウレタン層形成用組成物(2)の固形分100質量部に対してペンタエリスリトールトリアクリレートを7質量部の割合で含有する樹脂組成物を塗工し、オーブンを用いて85℃で4分間加熱した。
次に、前記塗工面に無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1000mJ/cm2照射することによって、厚さ100μmのポリウレタン層を備えた総厚さ185μmのハードコートフィルムを得た。
(実施例3)
ハードコートフィルム(1)のハードコート層が積層された面の反対側の面に、前記ウレタン樹脂層形成用組成物(2)と、前記ポリウレタン層形成用組成物(2)の固形分100質量部に対してペンタエリスリトールトリアクリレートを5質量部の割合で含有する樹脂組成物を塗工し、オーブンを用いて85℃で4分間加熱した。
次に、前記塗工面に無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1000mJ/cm2照射することによって、厚さ100μmのポリウレタン層を備えた総厚さ185μmのハードコートフィルムを得た。
(実施例4)
ハードコートフィルム(1)のハードコート層が積層された面の反対側の面に、前記ウレタン樹脂層形成用組成物(2)と、前記ポリウレタン層形成用組成物(2)の固形分100質量部に対してペンタエリスリトールトリアクリレートを3質量部の割合で含有する樹脂組成物を塗工し、オーブンを用いて85℃で4分間加熱した。
次に、前記塗工面に無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1000mJ/cm2照射することによって、厚さ100μmのポリウレタン層を備えた総厚さ185μmのハードコートフィルムを得た。
(実施例5)
ハードコートフィルム(1)のハードコート層が積層された面の反対側の面に、前記ポリウレタン層形成用組成物(3)を塗工し、オーブンを用いて85℃で4分間加熱した。 次に、前記塗工面に無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1000mJ/cm2照射することによって、厚さ100μmのポリウレタン層を備えた総厚さ185μmのハードコートフィルムを得た。
(実施例6)
ハードコートフィルム(1)のハードコート層が積層された面の反対側の面に、前記ポリウレタン層形成用組成物(1)を塗工し、オーブンを用いて85℃で4分間加熱した。 次に、前記塗工面に無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1000mJ/cm2照射することによって、厚さ100μmのポリウレタン層を備えた総厚さ185μmのハードコートフィルムを得た。
(実施例7)
ハードコートフィルム(1)のハードコート層が積層された面の反対側の面に、前記ポリウレタン層形成用組成物(4)を塗工し、オーブンを用いて85℃で4分間加熱した。
次に、前記塗工面に無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1000mJ/cm2照射することによって、厚さ100μmのポリウレタン層を備えた総厚さ185μmのハードコートフィルムを得た。
(実施例8)
ハードコートフィルム(1)のハードコート層が積層された面の反対側の面に、前記ポリウレタン層形成用組成物(2)を塗工し、オーブンを用いて85℃で4分間加熱した。
次に、前記塗工面に無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1000mJ/cm2照射することによって、厚さ100μmのポリウレタン層を備えた総厚さ185μmのハードコートフィルムを得た。
(比較例1)
アクリル系樹脂組成物(綜研化学株式会社製、「SK−909A」)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートL−45、固形分45質量%)を0.7質量部を添加し15分攪拌することによって粘着剤を調製した。
次に、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン化合物を含む剥離層を有する剥離フィルムに、前記粘着剤を塗工し、85℃で180秒間乾燥させることによって、乾燥後の厚さが100μmである粘着剤層を形成した。
次に、前記粘着剤層を、前記ハードコートフィルム(1)のハードコート層が積層された面の反対側の面に、4kg/cm加圧しながらそれらを貼り合わせ、40℃で2日間養生することによって、総厚さ185μmのハードコートフィルムを得た。
(比較例2)
アクリル系樹脂組成物(綜研化学株式会社製、「SK−2065MP」)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートTD−75、固形分45質量%)を0.16質量部を添加し15分攪拌することによって粘着剤を調製した。
次に、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン化合物を含む剥離層を有する剥離フィルムに、前記粘着剤を塗工し、85℃で180秒間乾燥させることによって、乾燥後の厚さが100μmである粘着剤層を形成した。
次に、前記粘着剤層を、前記ハードコートフィルム(1)のハードコート層が積層された面の反対側の面に、4kg/cm加圧しながらそれらを貼り合わせ、40℃で2日間養生することによって、総厚さ185μmのハードコートフィルムを得た。
[耐衝撃性(衝撃吸収性)の測定]
アクリル系樹脂組成物(綜研化学株式会社製、「SK−909A」)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートL−45、固形分45質量%)を0.7質量部を添加し15分攪拌することによって粘着剤を調製した。
次に、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン化合物を含む剥離層を有する剥離フィルムに、前記粘着剤を塗工し、85℃で180秒間乾燥させることによって、乾燥後の厚さが10μmである粘着剤層を形成した。
次に、前記粘着剤層を、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン化合物を含む剥離層を有する剥離フィルムのシリコーン面に、4kg/cm加圧しながらそれらを貼り合わせ、40℃で2日間養生することによって、粘着剤厚さ10μmの両面粘着テープを得た。
実施例および比較例で得られたハードコートフィルムを、日本板硝子株式会社製フロートガラス(長さ4cm×幅5cm、厚さ1.1mm)の表面に、前記両面粘着テープ(厚さ10μm)を用いて貼付することによって貼付物を作製した。
次に、前記貼付物を、そのハードコートフィルムによって構成される面が上となるように、鋼板の表面に固定し、前記ハードコートフィルムの表面に、高さ20cmの位置から28gの鋼球を2回続けて落下させた。
前記落下試験後、前記貼付物を構成するフロートガラスを目視で確認した。前記フロートガラスに割れが発生していなかった場合、前記鋼球を、先程の落下試験での高さから、さらに10cm高い位置(合計30cmの高さ)から2回続けて落下させた。
以上のように、鋼球の落下高さを10cmずつ高くし、フロートガラスが割れるまで上記落下試験を行った。
前記落下試験を、各ハードコートフィルムの貼付された貼付物に対して3回ずつ行い、そのフロートガラスが割れた際の、鋼球の落下高さの平均値(V1)を算出した。
一方、前記ハードコートフィルムを貼付していないガラスパネルの耐衝撃性を、上記と同様の方法で評価し、前記フロートガラスが割れた際の、鋼球の落下高さの平均値(V0)を算出した(参考例)。
また、ガラスパネルの強度向上率を、強度向上率(倍)=V1/V0の式に基づいて算出し、粘着フィルムの耐衝撃性を、下記評価基準に従い評価した。
5:強度向上率6.0倍以上
4:強度向上率4.0倍以上〜6.0倍未満
3:強度向上率3.0倍以上〜4.0倍未満
2:強度向上率2.0倍以上〜3.0倍未満
1:強度向上率2.0倍未満
[耐衝撃性(窪み有無)の評価]
アクリル系樹脂組成物(綜研化学株式会社製、「SK−909A」)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートL−45、固形分45質量%)を0.7質量部を添加し15分攪拌することによって粘着剤を調製した。
次に、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン化合物を含む剥離層を有する剥離フィルムに、前記粘着剤を塗工し、85℃で180秒間乾燥させることによって、乾燥後の厚さが10μmである粘着剤層を形成した。
次に、前記粘着剤層を、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン化合物を含む剥離層を有する剥離フィルムのシリコーン面に、4kg/cm加圧しながらそれらを貼り合わせ、40℃で2日間養生することによって、粘着剤厚さ10μmの両面粘着テープを得た。
実施例および比較例で得られたハードコートフィルムを、日本板硝子株式会社製フロートガラス(長さ4cm×幅5cm、厚さ1.1mm)の表面に、前記両面粘着テープ(厚さ10μm)を用いて貼付することによって貼付物を作製した。
次に、前記貼付物を、そのハードコートフィルムによって構成される面が上となるように、鋼板の表面に固定し、前記保護フィルムの表面に、高さ50cmの位置から28gの鋼球を2回続けて落下させた。その後、3波長蛍光灯下でハードコートフィルム表面を目視で観察し、鋼球落下による窪み具合を下記のとおり評価した。
3:薄い窪みはあるがあまり目立たない。
2:窪みがあり、3波長蛍光灯下で見ると目立つ。(1と3の中間。)
1:著しい窪みがあり、目立つ。
[ハードコート表面の鉛筆硬度の測定(耐擦傷性)]
実施例及び比較例で得たハードコートフィルムを、DIC株式会社製ZB7010W−10(厚さ10μm)を用いて、日本板硝子株式会社製フロートガラス(厚さ1.1mm)に貼付することによって試験片を作製した。
次に、前記試験片を構成するハードコートフィルムの表面の鉛筆硬度を、JIS K 5600−5−4(1999年版)の規定に基づき、株式会社井元製作所製の塗膜用鉛筆引掻き試験機(荷重:750g 手動式)を用いて測定した。
[20℃における貯蔵弾性率(G’20)の測定法]
前記で得た各ポリウレタン層形成用組成物を、離型ライナーの表面に塗工し、オーブンを用いて85℃で4分間加熱した後、無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1000mJ/cm2照射することによって、厚さ100μmのポリウレタン層を作製し、得られたポリウレタン層を重ねあわせて厚さ1mmのポリウレタン層を作製した。
次に、前記ポリウレタン層を直径8mmの大きさの円状に裁断したものを試験片とした。
なお、比較例1及び2については、前記粘着剤を厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン化合物を含む剥離層を有する剥離フィルムに、前記粘着剤を塗工し、85℃で180秒間乾燥させることによって、乾燥後の厚さが100μmである粘着剤層を形成した。
次に、前記粘着剤層を、別の剥離フィルムの表面に貼り合わせ、40℃2日間養生した。その後、得られた粘着剤層を重ねあわせて厚さ100μmの粘着剤層を作成した。
次に、粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用い、同試験機の測定部である平行円盤の間に前記試験片を挟み込み、温度20℃、及び、周波数1Hzでの貯蔵弾性率(G’)を測定した。