JP2016060461A - Awd制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の走行用動力を発生するとともに回生発電が可能なモータジェネレータ100と、モータジェネレータの出力を前輪に伝達する前輪動力伝達機構70と、モータジェネレータの出力をトランスファクラッチ90を介して後輪に伝達する後輪動力伝達機構80とを備えるAWDシステムを制御するAWD制御装置を、トランスファクラッチの締結力を制御する締結力制御手段220を備え、締結力制御手段は、制動開始後におけるトランスファクラッチの締結力を制動開始直後における初期値から時間の経過に応じて増加させる構成とする。
【選択図】図1
Description
前輪及び後輪をともに駆動するAWD(オールホイールドライブ・全輪駆動)の車両の場合、前輪及び後輪に回生による制動力がそれぞれ発生することになるが、前後輪の駆動力配分比を変更可能なAWDシステムを有する車両の場合、例えば後輪への伝達トルクを調節するトランスファクラッチの締結力制御によって、回生ブレーキの制動力の前後配分を制御することが可能である。
しかし、この場合、例えば低μ路面や、ドライバ要求制動力が大きい場合には、前輪、後輪がともに回転を停止(ロック)する4輪カスケードロック状態となることが懸念される。
このような4輪カスケードロックが生じると、車両の方向安定性が失われるとともに、各車輪の車輪速度を適切に取得することが困難となり、ブレーキのアンチロック制御や車両の挙動制御などにも影響を及ぼし、車両の安定性確保が困難となる。
さらに、後輪サスペンションが制動力発生時(後輪後引き時)に車高が低下するジオメトリを有する場合、制動時の車体後部の沈み込みを誘発することができず、車体のピッチング挙動が大きくなってしまう。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、減速時のエネルギ回生量確保と車両の安定性とを両立させたAWD制御装置を提供することである。
請求項1に係る発明は、車両の走行用動力を発生するとともに回生発電が可能なモータジェネレータと、前記モータジェネレータの出力を前輪に伝達する前輪動力伝達機構と、前記モータジェネレータの出力をトランスファクラッチを介して後輪に伝達する後輪動力伝達機構とを備えるAWDシステムを制御するAWD制御装置であって、前記トランスファクラッチの締結力を制御する締結力制御手段を備え、前記締結力制御手段は、制動開始後における前記トランスファクラッチの締結力を制動開始直後における初期値から時間の経過に応じて増加させることを特徴とするAWD制御装置である。
これによれば、制動初期にはトランスファクラッチの締結力を小さくして4輪カスケードロックを防止し、車両の方向安定性を確保するとともに、ブレーキのアンチロック制御や車両挙動制御に必要な各車輪速度を適切に取得可能として、車両の安定性を確保することができる。
その後、制動開始からの時間経過に応じてトランスファクラッチの締結力を増加させ、回生エネルギ量を増加させることができる。
さらに、後輪サスペンションが後輪の制動力発生時に車高が低下するジオメトリを有する車両の場合には、後輪制動力の増加により車体後部を低下させて車体のピッチング挙動を抑制し、車両全体が前後同時に沈み込むような車体挙動を発生させ、安定性及び運転しやすさを向上することができる。
これによれば、トランスファクラッチの締結力増加によってアンチロック制御に悪影響を及ぼすことを防止し、車両の安定性をより確実に確保することができる。
例えば、締結力制御手段は、アンチロック制御が開始された場合には、締結力を低下させ、さらに実質的に開放する構成とすることもできる。
この場合、例えば、締結力がモータジェネレータの回生トルク(回生発電時の入力トルク)と実質的に比例する構成とすることができる。
請求項4に係る発明は、前記締結力制御手段は、制動開始からの経過時間が所定の閾値を経過した場合に、前記締結力を前記初期値から増加させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のAWD制御装置である。
請求項5に係る発明は、前記締結力制御手段は、制動開始後における車両の減速度の増加に応じて前記締結力を前記初期値から増加させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のAWD制御装置である。
これらの各発明によれば、簡単な制御によって上述した効果を確実に得ることができる。
図1は、実施例1のAWD制御装置を有する車両のパワートレーン構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示すように、車両は、エンジン10、トルクコンバータ20、エンジンクラッチ30、前後進切替部40、バリエータ50、出力クラッチ60、フロントディファレンシャル70、リアディファレンシャル80、トランスファクラッチ90、モータジェネレータ100、エンジン制御ユニット210、トランスミッション制御ユニット220、モータジェネレータ制御ユニット230、挙動制御ユニット240等を備えたエンジン電気ハイブリッドAWD車両である。
エンジン10として、例えば、4ストロークのガソリンエンジンを用いることができる。
エンジン10は、その本体及び補器類をエンジン制御ユニット210によって制御され、ドライバのアクセル操作等に基づいて設定される要求トルクに応じた出力トルクを発生する。
トルクコンバータ20は、車両が停止状態からエンジントルクを伝達可能な発進デバイスとしての機能を有する。
また、トルクコンバータ20は、トランスミッション制御ユニット220によって制御され、入力側(インペラ側)と出力側(タービン側)とを直結する図示しないロックアップクラッチを備えている。
エンジンクラッチ30は、例えば、車両がモータジェネレータ100の出力のみによって走行するEV走行モード時等において、トランスミッション制御ユニット220からの指令に応じて切断される。
前後進切替部40は、例えば、プラネタリギヤセット等を有して構成されている。
バリエータ50は、例えば、プライマリプーリ51、セカンダリプーリ52、チェーン53等を有するチェーン式無段変速機(CVT)である。
プライマリプーリ51は、車両の駆動時におけるバリエータ50の入力側(回生発電時においては出力側)に設けられ、エンジン10及びモータジェネレータ100の回転出力が入力される。
セカンダリプーリ52は、車両の駆動時におけるバリエータ50の出力側(回生発電時においては入力側)に設けられている。
セカンダリプーリ52は、プライマリプーリ51と隣接しかつプライマリプーリ51の回転軸と平行な回転軸回りに回動可能となっている。
チェーン53は、環状に形成されてプライマリプーリ51及びセカンダリプーリ52に巻き掛けられ、これらの間で動力伝達を行うものである。
プライマリプーリ51及びセカンダリプーリ52は、それぞれチェーン53を挟持する一対のシーブを有するとともに、トランスミッション制御ユニット220による変速制御に応じて各シーブ間の間隔を変更することによって、有効径を無段階に変更可能となっている。
出力クラッチ60は、車両の走行時には通常接続状態とされるとともに、例えば車両の停車中にエンジン10の出力によってモータジェネレータ100を駆動してバッテリの充電を行う場合等に切断される。
フロントディファレンシャル70は、最終減速装置、及び、左右前輪の回転速度差を吸収する差動機構を備えている。
出力クラッチ60とフロントディファレンシャル70との間は、実質的に直結されている。
リアディファレンシャル80は、最終減速装置、及び、左右後輪の回転速度差を吸収する差動機構を備えている。
トランスファクラッチ90は、例えば、接続時の締結力(伝達トルク容量)を無段階に変更可能な油圧式あるいは電磁式の湿式多板クラッチである。
トランスファクラッチ90の締結力は、トランスミッション制御ユニット220によって制御されている。
トランスファクラッチ90は、締結力を変更することによって、前後輪の駆動トルク配分を調節可能となっている。
また、トランスファクラッチ90は、車両の旋回時や、ブレーキのアンチロック制御、車両挙動制御などの実行時に、前後輪の回転速度差を許容する必要がある場合には、締結力を低下(開放)させスリップさせることによって回転速度差を吸収する。
トランスファクラッチ90は、モータジェネレータ100によるエネルギ回生時には、リアディファレンシャル80等を介して後輪側から入力されるトルクを、出力クラッチ60及びバリエータ50を介してモータジェネレータ100に伝達する。
モータジェネレータ100は、バリエータ50のプライマリプーリ51と同心に設けられている。
プライマリプーリ51は、モータジェネレータ100の図示しないロータと回転軸を介して接続されている。
モータジェネレータ100として、例えば、永久磁石式同期電動機が用いられる。
モータジェネレータ100は、モータジェネレータ制御ユニット230によって駆動時の出力トルクや回生発電時の回生エネルギ量(入力トルク)を制御されている。
トランスミッション制御ユニット220は、トルクコンバータ20のロックアップクラッチ、エンジンクラッチ30、前後進切替部40、バリエータ50、出力クラッチ60、トランスファクラッチ90等を統括的に制御するものである。
モータジェネレータ制御ユニット230は、モータジェネレータ100の出力トルクや回生エネルギ量等を制御するものである。
挙動制御ユニット240は、車両の図示しない液圧式サービスブレーキを統括的に制御するものである。
これらの各ユニットは、それぞれCPU等の情報処理手段、RAMやROM等の記憶手段、入出力インターフェイス、及び、これらを接続するバス等を有して構成されている。
また、これらの各ユニットは、例えば車載LANシステムの一種であるCAN通信システム等を介して、相互に通信し、必用な情報の伝達が可能となっている。
また、挙動制御ユニット240は、アンダーステア状態やオーバーステア状態の車両挙動を検出した場合に、左右輪の制動力差を発生させて挙動を抑制する方向のヨーモーメントを発生させる挙動制御を行う。
さらに、挙動制御ユニット240は、ドライバによって操作されるブレーキペダル241の操作量(ストローク、踏力等)に基づいて、要求減速度を演算する。
挙動制御ユニット240は、この要求減速度に基づいて、液圧式サービスブレーキと回生ブレーキとの制動力分担比を設定し、ハイドロリックコントロールユニット(HCU)242及びモータジェネレータ制御ユニット230にそれぞれ目標制動力に関する指令を出力する。
HCU242は、ブレーキフルードを加圧する電動ポンプ及び各ホイルシリンダへの供給圧力を個別に制御するソレノイドバルブ等を備え、挙動制御ユニット240から指令される目標制動力が得られるよう各ホイルシリンダに液圧を供給する。
一方、モータジェネレータ制御ユニット230は、挙動制御ユニット240から伝達される回生ブレーキの目標制動力に応じて、モータジェネレータ100に回生発電を行わせる。
発電によって得られた電力は、図示しないバッテリ等の蓄電手段に充電される。
すなわち、トランスファクラッチ90の伝達トルクは、モータジェネレータ100への入力トルクに比例して増加するよう制御される。
これによって、比較的モータジェネレータ100の入力トルクが小さい制動初期(ブレーキペダル241の操作開始直後等)には、トランスファクラッチ90の締結力が小さく、開放傾向となる。
このため、モータジェネレータ100の回生トルクに起因して前後輪が同時にロックし、4輪カスケードロック状態となることを防止でき、さらに、挙動制御ユニット240におけるアンチロック制御や車両挙動制御に必要な各車輪の回転速度を適切に取得することができる。
その後、ブレーキペダル241の操作量増加等に伴う減速度の増加に応じてトランスファクラッチ90の締結力が増加し、モータジェネレータ100への入力トルクが増加すると、トランスファクラッチ90の締結力もこれに応じて増加するため、後輪側からモータジェネレータ100に入力されるトルクが増加し、回生エネルギ量を増加させることができる。
このようなジオメトリは、例えば、後輪の前後方向位置を位置決めするトレーリングリンクにおいて、車体に接続される前端部がハブベアリングハウジングに接続される後端部に対して高くなるよう傾斜して配置すること等によって得ることができる。
このとき、挙動制御ユニット240は、液圧式ブレーキと回生ブレーキとの制動力分担比を、液圧式ブレーキの分担比が増加するように変更する。
これによって、トランスファクラッチ90の締結力も低下し、アンチロック制御や車両挙動制御を適切に行うことが可能となる。
なお、トランスファクラッチ90の開放時には、音、振動に配慮して、締結状態から開放状態まで所定の時間をかけて締結力を除変させる勾配制限制御を実行する。
また、トランスミッション制御ユニット220は、例えば操舵系の舵角増加に応じて、前後輪の回転速度差を吸収してブレーキング現象の発生を防止するため、トランスファクラッチ90の締結力を低下させる制御を行う。
以下説明する各実施例において、従前の実施例と実質的に共通する箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
実施例2のAWD制御装置におけるトランスミッション制御ユニット220は、実施例1においてトランスファクラッチ90の締結力をモータジェネレータ100の入力トルクに比例するよう制御することに代えて、以下説明する制御を行っている。
トランスミッション制御ユニット220は、減速時における制動開始後の経過時間をカウントするタイマ手段を備える。
トランスミッション制御ユニット220は、制動開始後の経過時間が所定の閾値未満である制動初期状態においては、トランスファクラッチ90の締結力を、予め設定された初期値に設定する。
この初期値は、4輪カスケードロックが発生することがなく、各車輪の回転速度を適切に取得可能なことを考慮して、通常走行時に対して小さく(開放傾向に)設定される。
トランスミッション制御ユニット220は、制動開始後の経過時間が閾値以上となった場合には、トランスファクラッチ90の締結力を、初期値よりも大きくかつ予め設定された通常値に増加させる。
この通常値は、例えば回生制動トルクによる後輪ロックが生じない程度(万一ロックが生じた場合であっても前輪ロックが先に生じる程度)に初期値よりも大きく設定される。
以上説明した実施例2においても、上述した実施例1の効果と実質的に同様の効果を得ることができる。
実施例3のAWD制御装置におけるトランスミッション制御ユニット220は、実施例1においてトランスファクラッチ90の締結力をモータジェネレータ100の入力トルクに比例するよう制御することに代えて、以下説明する制御を行っている。
トランスミッション制御ユニット220は、減速時における車両の減速度(車両前後方向の加速度)を検出する減速度センサを備える。
トランスミッション制御ユニット220は、減速度が所定の閾値未満である制動初期状態においては、トランスファクラッチ90の締結力を、予め設定された初期値に設定する。
この初期値は、4輪カスケードロックが発生することがなく、各車輪の回転速度を適切に取得可能なことを考慮して、通常走行時に対して小さく(開放傾向に)設定される。
トランスミッション制御ユニット220は、減速度が閾値以上となった場合には、トランスファクラッチ90の締結力を、初期値よりも大きくかつ予め設定された通常値に増加させる。
この通常値は、例えば回生制動トルクによる後輪ロックが生じない程度に初期値よりも大きく設定される。
以上説明した実施例3においても、上述した実施例1の効果と実質的に同様の効果を得ることができる。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
車両、AWDシステムを含むパワートレーン、AWD制御装置の構成は、上述した実施例に限定されず、適宜変更することが可能である。
例えば、実施例の車両はガソリンエンジンを搭載したエンジン電気パラレルハイブリッド車両であるが、例えばディーゼルエンジン等の他種のエンジンを有する構成としてもよい。
また、モータジェネレータのみによって車両の駆動を行うピュアEV、レンジエクステンダー付EV、シリーズハイブリッド車両、燃料電池車両などとしてもよい。
30 エンジンクラッチ 40 前後進切替部
50 バリエータ 51 プライマリプーリ
52 セカンダリプーリ 53 チェーン
60 出力クラッチ 70 フロントディファレンシャル
80 リアディファレンシャル 90 トランスファクラッチ
100 モータジェネレータ 210 エンジン制御ユニット
220 トランスミッション制御ユニット
230 モータジェネレータ制御ユニット 240 挙動制御ユニット
241 ブレーキペダル 242 HCU
Claims (5)
- 車両の走行用動力を発生するとともに回生発電が可能なモータジェネレータと、
前記モータジェネレータの出力を前輪に伝達する前輪動力伝達機構と、
前記モータジェネレータの出力をトランスファクラッチを介して後輪に伝達する後輪動力伝達機構と
を備えるAWDシステムを制御するAWD制御装置であって、
前記トランスファクラッチの締結力を制御する締結力制御手段を備え、
前記締結力制御手段は、制動開始後における前記トランスファクラッチの締結力を制動開始直後における初期値から時間の経過に応じて増加させること
を特徴とするAWD制御装置。 - 前記締結力制御手段は、車輪のロック又はその前兆の検出に応じて当該車輪の制動力を低下させるアンチロック制御が開始された場合には、前記締結力の増加を禁止すること
を特徴とする請求項1に記載のAWD制御装置。 - 前記締結力制御手段は、前記モータジェネレータの回生トルクの増加に応じて前記締結力を前記初期値から増加させること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のAWD制御装置。 - 前記締結力制御手段は、制動開始からの経過時間が所定の閾値を経過した場合に、前記締結力を前記初期値から増加させること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のAWD制御装置。 - 前記締結力制御手段は、制動開始後における車両の減速度の増加に応じて前記締結力を前記初期値から増加させること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のAWD制御装置。
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- 2014-09-22 JP JP2014192654A patent/JP6389717B2/ja active Active
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