JP2016058152A - 樹脂補強体の製造方法、樹脂補強体、高分子電解質補強膜、膜−電極接合体、及び固体高分子形燃料電池 - Google Patents

樹脂補強体の製造方法、樹脂補強体、高分子電解質補強膜、膜−電極接合体、及び固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 厚さ方向において、繊維が存在しない部分ができるだけ少ないため機械的強度に優れており、破損しにくい樹脂補強体、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の、繊維によって樹脂を補強した樹脂補強体の製造方法は、樹脂補強体の所望厚さよりも厚い厚さを有する繊維集合体に対して、樹脂形成物液を付与した後、前記樹脂形成物液から樹脂形成物を形成するとともに、前記繊維集合体の厚さを減少させる方法である。また、本発明の樹脂補強体は前記方法により製造したものであり、樹脂を高分子電解質とした高分子電解質補強膜は、固体高分子形燃料電池の膜−電極接合体として好適に使用できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は樹脂補強体の製造方法、及びその製造方法により製造された樹脂補強体に関する。特に、樹脂として高分子電解質を補強した高分子電解質補強膜を使用して、膜−電極接合体又は固体高分子形燃料電池とすることができる。
従来から、樹脂を繊維で補強した樹脂補強体が知られている。例えば、固体高分子形燃料電池の高分子電解質膜は、膜抵抗の低下を目的として、薄膜化する傾向にあるが、薄膜化すればする程、高分子電解質膜の機械的強度は低下するため、高分子電解質を繊維で補強することが行なわれている。例えば、ポリビニルアルコール系繊維不織布(特許文献1)、エラストマー繊維からなるナノファイバー不織布(特許文献2)、ナノファイバーマット(特許文献3)で高分子電解質を補強することが開示されている。
このような不織布等の繊維によって高分子電解質を補強した場合、特許文献3にも開示されているように、高分子電解質膜の厚さ方向において、繊維が偏在した状態となるため、高分子電解質膜全体を補強することができず、充分に補強された高分子電解質膜ではなかった。例えば、このような高分子電解質膜を燃料電池の膜−電極接合体の膜として使用した場合、発電時に生じる反応生成水によって膨潤しやすく、乾燥によって収縮しやすい環境下にあるが、前述のように、高分子電解質膜の厚さ方向において、繊維が偏在していると、繊維によって補強されていない部分、つまり、高分子電解質のみから構成されている部分が存在するため、前記膨潤と収縮の繰り返しによって、高分子電解質膜は破損しやすいものであった。
以上は、樹脂が高分子電解質である場合であるが、樹脂を繊維で補強して樹脂補強体を製造した場合に、樹脂補強体の厚さ方向において、繊維が存在しない部分が存在すると、この繊維が存在しない部分は繊維によって補強されていないため、機械的強度が低く、破損しやすいものであった。
特開2008−251314号公報 特開2011−216269号公報 特表2013−531867号公報
本発明は上述のような状況に鑑みてなされたものであり、厚さ方向において、繊維が存在しない部分ができるだけ少ないため機械的強度に優れており、破損しにくい樹脂補強体を製造することのできる方法を提供することを目的とする。また、この製造方法により製造した、機械的強度に優れ、破損しにくい樹脂補強体を提供することを別の目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「繊維によって樹脂を補強した樹脂補強体の製造方法であり、樹脂補強体の所望厚さよりも厚い厚さを有する繊維集合体に対して、樹脂形成物液を付与した後、前記樹脂形成物液から樹脂形成物を形成するとともに、前記繊維集合体の厚さを減少させることを特徴とする、樹脂補強体の製造方法。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「繊維の平均繊維径が、樹脂補強体の所望厚さの10分の1以下であることを特徴とする、請求項1記載の樹脂補強体の製造方法。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「請求項1又は請求項2に記載の製造方法により製造された樹脂補強体であり、樹脂補強体の厚さに対する、繊維存在部の厚さの割合が70%以上であることを特徴とする樹脂補強体。」である。
本発明の請求項4にかかる発明は、「請求項3記載の樹脂補強体において、樹脂が高分子電解質であることを特徴とする、高分子電解質補強膜。」である。
本発明の請求項5にかかる発明は、「請求項4記載の高分子電解質補強膜を備えていることを特徴とする、膜−電極接合体。」である。
本発明の請求項6にかかる発明は、「請求項4記載の高分子電解質補強膜を備えていることを特徴とする、固体高分子形燃料電池。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、樹脂補強体の所望厚さよりも厚い厚さを有する繊維集合体を使用し、樹脂形成物液から樹脂形成物を形成する際に、繊維集合体の厚さを減少させているため、樹脂補強体の厚さ方向において、繊維が存在する部分を多くすることができ、繊維が存在しない部分を少なくすることができるため、機械的強度に優れ、破損しにくい樹脂補強体を製造することができる。つまり、樹脂形成物液から樹脂形成物を形成する際に、繊維集合体の厚さが減少するため、樹脂補強体の厚さ方向において、繊維が存在しない部分が多く形成されていたが、本発明においては、繊維集合体の厚さが減少することを見越して、所望厚さよりも厚い繊維集合体を使用しているため、繊維が存在する部分を多くすることができ、機械的強度に優れ、破損しにくい樹脂補強体を製造することができる。
本発明の請求項2にかかる発明は、繊維の平均繊維径が、樹脂補強体の所望厚さの10分の1以下と細いため、機械的強度の優れる樹脂補強体を製造することができる。つまり、所望厚さを有する樹脂補強体の厚さ方向において、少なくとも10本の繊維が存在することができるため、機械的強度の優れる樹脂補強体を製造することができる。
本発明の請求項3にかかる発明は、樹脂補強体の厚さに対する、繊維存在部の厚さの割合が70%以上と高く、樹脂のみからなる部分が少ないため、機械的強度に優れ、破損しにくい樹脂補強体である。
本発明の請求項4にかかる発明は、高分子電解質補強膜の厚さに対する、繊維存在部の厚さの割合が70%以上と高く、高分子電解質のみからなる部分が少ないため、機械的強度に優れ、膨潤と収縮の繰り返しによっても破損しにくい高分子電解質補強膜である。
本発明の請求項5にかかる発明は、膨潤と収縮の繰り返しによっても破損しにくい高分子電解質補強膜を備えた膜−電極接合体であるため、寿命の長い固体高分子形燃料電池を製造できる。
本発明の請求項6にかかる発明は、膨潤と収縮の繰り返しによっても破損しにくい高分子電解質補強膜を備えているため、寿命の長い固体高分子形燃料電池である。
樹脂補強体の製造方法を表す概念的な断面説明図 本発明の樹脂補強体の模式的断面図
本発明の樹脂補強体の製造方法について、樹脂補強体の製造方法を表す概念的な断面説明図である、図1をもとに説明する。
まず、樹脂形成物液(S)を容器(C)に注入する[図1(a)]。なお、樹脂形成物液(S)は、例えば、樹脂(ゲルを含む、以下同様)又は樹脂の素になる前駆体を溶媒に溶解させた溶液、樹脂又は樹脂の素になる前駆体を分散媒体に分散させた分散液であることができる。
この樹脂形成物液を構成できる樹脂形成物は樹脂補強体の用途に応じて、適宜選択すれば良い。例えば、樹脂形成物が樹脂からなる場合、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなど)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体など)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、アクリル系樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ポリアミド系樹脂(例えば、6ナイロン、66ナイロンなど)、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、セルロース系樹脂などの熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンオキサイドなどのゲル化可能樹脂;ポリイミド系樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチオアゾール、ポリインドール、ポリキノリンなどの芳香族系有機樹脂;パーフルオロスルホン酸、金属イオンを含有するポリエチレンオキシドゲル、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリアリーレンエーテル、スルホン化ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリスチレンおよびその共重合体、ポリビニルスルホン酸およびその共重合体などのイオン伝導性樹脂;を挙げることができる。なお、熱硬化性樹脂を選択した場合は、一般的に用いられる硬化剤、例えば、イミダゾール類、アミン類、ジシアンジアミド、酸無水物類、フェノール類、ヒドラジン類、グアニジン類等の種々の硬化剤を併用することができる。
なお、樹脂形成物が樹脂の素になる前駆体である場合には、例えば、光、熱等のエネルギーにより重合する前駆体を使用することができる。この前駆体はモノマー又はオリゴマーであることができ、場合によっては、ポリマーであることもできる。例えば、架橋性モノマーとして、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ダイアセトンアクリルアミド等を挙げることができ、このような架橋性モノマーをモノマー、オリゴマー又はポリマーに添加し、光、熱等のエネルギーを照射することによって重合させ、樹脂を形成することができる。このようなエネルギーの照射によって架橋するため、耐熱性や耐溶剤性に優れる樹脂を形成することができる。
また、樹脂形成物がゲルの素になる前駆体(以下、「ゲル前駆体」と表記することがある)である場合には、例えば、光、熱等のエネルギーを照射することによりゲル化する前駆体を使用することができる。このゲル前駆体はモノマー又はオリゴマーであることができ、場合によっては、ポリマーであることができる。或いはこれらの組み合わせであっても良い。
この樹脂形成物がゲル前駆体である場合の例としては、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ乳酸等を挙げることができ、これらのゲル前駆体を使用した場合、例えば、水;ペクチン、キサンタンガム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース等の糖類;をゲル化剤として使用できる。なお、ゲル前駆体を含む樹脂形成物液においては、ゲル前駆体に加えて、重合開始剤、例えば、過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム)、過酸化物(過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド)、アゾ化合物(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド等)を添加しても良い。
更に、前記ゲル前駆体がゲル電解質前駆体であることもできる。この場合の例として、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。このゲル電解質前駆体は1種単独でも、2種以上を併用しても良い。このようなゲル電解質前駆体は熱等のエネルギーによりゲル化させることができる。なお、樹脂形成物液に熱酸発生剤や光酸発生剤等の添加剤を添加して、ゲル化を促進することもできる。
前記樹脂形成物液が、樹脂又は樹脂の素になる前駆体を溶媒に溶解させた溶液、又は、樹脂又は樹脂の素になる前駆体を分散媒体に分散させた分散液である場合、その溶媒又は分散媒体は、樹脂によって異なり、特に限定するものではないが、例えば、水、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、ピリジン、トリクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、アセトニトリルなどを挙げることができる。これら例示以外の溶媒又は分散媒体も使用可能であり、また、例示した又は例示していない2種類以上の溶媒又は分散媒体を用いた混合溶媒又は混合分散媒体も使用することができる。
この樹脂形成物液が、樹脂又は樹脂の素になる前駆体を溶媒に溶解させた溶液、又は、樹脂又は樹脂の素になる前駆体を分散媒体に分散させた分散液である場合、その樹脂濃度が低過ぎると、複合化する際に、繊維集合体に皺が入ったり、作製後の樹脂補強体の厚さのばらつきが発生しやすくなる傾向があるため、樹脂濃度は1%以上であるのが好ましく、2%以上であるのがより好ましく、3%以上であるのが更に好ましい。一方で、樹脂濃度が高過ぎると、樹脂補強体製造時に、繊維集合体が厚さを減少しにくく、ボイドを発生しやすくなる傾向があるため、樹脂濃度は40%以下であるのが好ましく、35%以下であるのがより好ましく、30%以下であるのが更に好ましい。
なお、樹脂形成物液(S)は、樹脂形成物以外に、粒子を含んでいても良い。粒子としては、例えば、シリカ粒子等の無機粒子、ニッケル、金、銀などの金属粒子、金属ナノ粒子などを挙げることができる。このように粒子を含んでいる場合、平均粒子径は、繊維集合体の平均流量直径よりも小さいことが好ましい。繊維集合体の平均流量直径よりも平均粒子径が大きいと、樹脂補強体製造時に繊維集合体内部に粒子が進入することができず、粒子が樹脂補強体の片面に偏在してしまう傾向があるためである。なお、繊維集合体の平均流量直径はバブルポイント法を用いた細孔径分布評価装置により得られる値であり、平均粒子径は電子顕微鏡写真をもとに測定した、50個の粒子の粒子径の算術平均値をいい、粒子径は、電子顕微鏡写真において、粒子の形状が真円である場合には、その直径を粒子径とし、粒子の形状が真円以外である場合には、最も長く採ることのできる長さを粒子径とする。
また、容器(C)は樹脂形成物液(S)を保持し、後述の繊維集合体を挿入できれば良く、特に限定するものではなく、樹脂形成物液(S)をキャストするような場合には、ガラス板のような平板を使用することもできる。また、樹脂形成物液(S)の注入量は後述の繊維集合体の空隙に充填するのに充分な量であれば良く、特に限定するものではない。
次いで、前記容器(C)に、樹脂補強体(R)の所望厚さ(Td)よりも厚い厚さを有する繊維集合体(F)を挿入する[図1(b)]。このように繊維集合体(F)を容器(C)に挿入すると、繊維集合体(F)の毛細管作用によって、樹脂形成物液(S)は吸収され、繊維集合体(F)の空隙に進入する。図1(b)においては、繊維集合体(F)における、容器底面側の面から、樹脂補強体(R)の所望厚さ(Td)程度までの空隙に樹脂形成物液(S)が進入している。
本発明においては、樹脂補強体(R)の所望厚さ(Td)よりも厚い厚さを有する繊維集合体(F)を挿入することが重要である。これは、後述の通り、樹脂形成物液から樹脂形成物を形成する際、例えば、溶媒又は分散媒体が揮発する際に、繊維集合体(F)の厚さも減少するが、繊維集合体(F)として、樹脂補強体(R)の所望厚さ(Td)よりも厚さの厚い繊維集合体(F)を使用することによって、繊維が存在する部分を樹脂補強体(R)の所望厚さ(Td)と同程度として、樹脂補強体全体を補強することができるためである。
この繊維集合体(F)の厚さをどの程度とするかは、樹脂形成物液(S)の種類;樹脂形成物液(S)が樹脂又は樹脂の素になる前駆体を溶媒に溶解させた溶液、又は、樹脂又は樹脂の素になる前駆体を分散媒体に分散させた分散液である場合には、その濃度、及び溶媒又は分散媒体の蒸発速度;繊維集合体(F)の圧縮耐性、などによって異なるため、特に限定するものではないが、一般的に、樹脂補強体(R)の所望厚さをTdとした時に、繊維集合体(F)の厚さ(Tf)は、Td<Tf≦13Tdであるのが好ましく、Td<Tf≦10Tdであるのがより好ましく、Td<Tf≦5Tdであるのが更に好ましく、Td<Tf≦3Tdであるのが更に好ましい。
なお、樹脂補強体(R)の形状は特に限定するものではないが、例えば、シート形状、柱状形状、錐体形状、球形状などを挙げることができる。本発明における「厚さ方向」は、最も面積の広い面に対して直交する方向を意味し、「厚さ」はシックネスゲージ[(株)ミツトヨ製:コードNo.547−401:測定力3.5N以下]を用いて測定した値をいう。
この樹脂補強体(R)の所望厚さ(Td)は樹脂補強体(R)の適用用途によって異なり、特に限定するものではないが、本発明の製造方法によれば、0.5〜200μmの厚さの樹脂補強体(R)を製造することができる。
本発明の繊維集合体(F)の形状は、樹脂補強体(R)の形状に応じた形状であり、その「厚さ」はシックネスゲージ((株)ミツトヨ製:コードNo.547−401:測定力3.5N以下)を用いて測定した値をいう。
この繊維集合体(F)は樹脂を補強できる繊維が集合したものであれば良く、特に限定するものではないが、機械的強度の優れる樹脂補強体を製造することができるように、繊維の平均繊維径が樹脂補強体(R)の所望厚さ(Td)の10分の1以下であるのが好ましく、20分の1以下であるのがより好ましく、50分の1以下であるのが更に好ましい。つまり、所望厚さを有する樹脂補強体の厚さ方向において、少なくとも10本の繊維、好ましくは少なくとも20本の繊維、より好ましくは少なくとも50本の繊維が存在することができるため、機械的強度の優れる樹脂補強体を製造することができる。例えば、樹脂補強体(R)の所望厚さ(Td)が20μmである場合、繊維の平均繊維径は2μm以下であるのが好ましく、1μm以下であるのがより好ましく、0.4μm以下であるのが更に好ましい。繊維の平均繊維径の下限は特に限定するものではないが、樹脂の補強という観点から、1nm以上であるのが好ましい。この「平均繊維径」は 50本の繊維径の算術平均値をいい、「繊維径」は繊維を撮影した5000倍の電子顕微鏡写真をもとに測定した、繊維の長さ方向に対して直交する方向における長さをいう。
また、繊維の繊維長は特に限定するものではないが、樹脂を補強するという観点から、1mm以上であるのが好ましく、5mm以上であるのがより好ましく、10mm以上であるのが更に好ましく、実質的に連続繊維であるのが最も好ましい。この「実質的に連続繊維」とは、繊維を撮影した5000倍の電子顕微鏡写真において、繊維の末端を確認できないことを意味する。
なお、繊維構成樹脂は樹脂補強体(R)を構成する樹脂、樹脂補強体(R)の適用用途によって適宜選択すれば良く、特に限定するものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなど)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体など)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、アクリル系樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ポリアミド系樹脂(例えば、6ナイロン、66ナイロンなど)、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、セルロース系樹脂などの熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンオキサイドなどの親水性樹脂;ポリイミド系樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチオアゾール、ポリインドール、ポリキノリンなどの芳香族系有機樹脂;などを使用することができる。
また、繊維集合体(F)の空隙率は、樹脂補強体(R)における繊維の比率が低く、樹脂の特性を発揮できるように、また、乾燥時に繊維集合体(F)の厚さが減少し、樹脂補強体(R)の厚さ方向における繊維存在部の比率が高くなりやすいように、50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましく、70%以上であるのが更に好ましい。一方で、繊維集合体(F)の空隙率が高過ぎると、繊維による補強作用が不充分になる傾向があるため、99%以下であるのが好ましい。
なお、「空隙率」は次の式から算出することができる。
P=[1−Mf/(V×SG)]×100
ここで、Pは空隙率(%)、Mfは繊維質量(g)、Vは繊維集合体の体積(cm)、SGは繊維の比重(g/cm)をそれぞれ表す。
例えば、繊維集合体が不織布のように厚さが均一な場合、次の式から算出することができる。
P=[1−Mn/(t×SG)]×100
ここで、Pは空隙率(%)、Mnは目付(g/m)、tは厚さ(μm)、SGは繊維の比重(g/cm)をそれぞれ表す。
なお、目付は、最も面積の広い面の面積と質量を測定し、1m当たりの質量に換算した値であり、「厚さ」はシックネスゲージ[(株)ミツトヨ製:コードNo.547−401:測定力3.5N以下]を用いて測定した値である。
このような本発明の繊維集合体は、例えば、(1)静電紡糸法、(2)紡糸液に対してガスを作用させる方法(例えば、特開2009−287138号公報に記載の方法)、(3)湿式法、(4)乾式法、(5)メルトブロー法やスパンボンド法などの直接法、により製造することができる。これらの中でも、(1)静電紡糸法により製造した繊維集合体は、平均繊維径が小さく、実質的に連続した繊維からなる、空隙率の大きい繊維集合体であることができるため好適である。
続いて、図1においては、繊維集合体(F)の空隙全体に樹脂形成物液(S)が進入していないため、繊維集合体(F)の空隙全体に樹脂形成物液(S)が存在するように、繊維集合体(F)の容器底面側の面とは反対の開放面から、樹脂形成物液(S)を注入し、繊維集合体(F)の空隙全体を樹脂形成物液(S)で満たす[図1(c)]。
この樹脂形成物液(S)は最初に容器(C)に注入した樹脂形成物液(S)と同じ樹脂形成物からなる樹脂形成物液(S)を注入する。なお、この樹脂形成物液(S)は最初に容器(C)に注入した樹脂形成物液(S)と同じ樹脂形成物からなる樹脂形成物液(S)であれば良く、濃度、温度等が異なる樹脂形成物液であっても良い。また、図1(c)においては、樹脂形成物液(S)を開放面から注入しているが、最初、容器(C)に充分な量の樹脂形成物液(S)を注入し、樹脂形成物液(S)を繊維集合体(F)の空隙全体に付与できるのであれば、開放面からの注入を省略することができる。
そして、空隙全体に樹脂形成物液(S)が存在する繊維集合体(F)を、樹脂形成物液から樹脂形成物を形成するとともに、繊維集合体(F)の厚さを減少させて、樹脂補強体(R)を製造する[図1(d)]。例えば、樹脂形成物液(S)が樹脂又は樹脂の素になる前駆体を溶媒に溶解させた溶液、又は、樹脂又は樹脂の素になる前駆体を分散媒体に分散させた分散液である場合には、乾燥し、溶媒又は分散媒体を除去すると、この溶媒又は分散媒体が揮発することによって、溶媒又は分散媒体の分だけ樹脂形成物液(S)の体積が減少し、この揮発の際に、表面張力の作用により繊維集合体(F)の厚さも減少するが、繊維集合体(F)として、樹脂補強体(R)の所望厚さ(Td)よりも厚さの厚いものを使用しているため、厚さ方向において、繊維存在部の大きい樹脂補強体(R)を製造することができる。
この乾燥はどのように行っても良いが、気泡の混入を防ぎ、樹脂と繊維とがしっかりと一体化できるように、ゆっくりと昇温させて乾燥するのが好ましい。この乾燥速度は実験により適宜確認する。なお、乾燥温度の上限は樹脂、繊維の種類によって異なるため、特に限定するものではないが、樹脂と繊維のいずれもが溶融又は分解しない温度で乾燥するのが好ましい。また、乾燥は、特に限定するものではないが、例えば、オーブン、風乾、赤外線などによって実施することができる。
この固化はどのように行っても良いが、気泡の混入を防ぎ、樹脂と繊維とがしっかりと一体化できるように、ゆっくりと冷却するのが好ましい。例えば、室温での放冷、乾燥機内で徐々に温度を下げる等の方法により冷却することができる。
なお、繊維集合体(F)として、前述のように空隙率が高く、しかも樹脂形成物形成時に厚さを減少させやすいものを使用すると、樹脂が存在せず、気泡が存在するボイドの発生を低減できるという効果も発揮する。
以上は、本発明の樹脂補強体(R)の基本的な製造方法であるが、樹脂形成物液(S)が、樹脂の素になる前駆体を溶媒に溶解させた溶液、又は、樹脂の素になる前駆体を分散媒体に分散させた分散液であるような場合には、乾燥と同時、又は乾燥後に、光、熱等のエネルギーを照射することによって重合させ、樹脂又はゲルを形成する。
本発明の樹脂補強体(R)は上述のような製造方法により製造された樹脂補強体であり、樹脂補強体(R)の厚さ(Tr)に対する、繊維存在部の厚さ(Tf)の割合が70%以上[図2における、(Tf/Tr)×100]である。このように、樹脂補強体(R)の厚さ方向における大部分において、繊維が存在しているため、繊維によって補強され、機械的強度に優れ、破損しにくい樹脂補強体(R)である。繊維存在部の割合が高ければ高い程、破損しにくい樹脂補強体(R)であるため、前記割合は80%以上であるのが好ましく、85%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのが更に好ましく、95%以上であるのが更に好ましい。なお、前記割合の上限は樹脂補強体(R)の適用用途によって異なり、特に限定するものではないが、100%以下であるのが好ましい。しかしながら、樹脂が存在せず、繊維のみが存在する部分を有する樹脂補強体(R)であっても、樹脂全体は補強されているため、使用することができる。なお、繊維存在部の厚さは、樹脂補強体(R)の断面における電子顕微鏡写真をもとに測定した、5点の平均値をいう。
なお、樹脂補強体(R)の形状は樹脂補強体の適用用途によって異なり、特に限定するものではないが、例えば、シート形状、柱状形状、錐体形状、球形状であることができる。
本発明の樹脂補強体(R)を構成する樹脂は樹脂補強体の適用用途によって異なり、特に限定するものではないが、樹脂補強体をイオン伝導材として使用する場合には、パーフルオロスルホン酸、金属イオンを含有するポリエチレンオキシドゲル、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリアリーレンエーテル、スルホン化ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリスチレンおよびその共重合体、ポリビニルスルホン酸およびその共重合体、などの高分子電解質であるのが好ましい。このように樹脂補強体(R)をイオン伝導材として使用すると、微多孔膜で補強した場合と比べて空隙の割合が大きく、樹脂(高分子電解質)の存在割合を多くすることができ、イオン伝導性に優れているため好適である。
また、樹脂補強体をリチウムイオン二次電池等のゲル電解質として使用する場合には、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルニトリル、ポリフッ化ビリニデン又はポリメチルメタクリレートなどであることができる。なお、この場合、有機溶剤などを可塑剤として加えるのが好ましい。
本発明の膜−電極接合体は、前述のような高分子電解質補強膜を備えているため、反応生成水による膨潤と乾燥による収縮とを繰り返しても、高分子電解質補強膜は破損しにくいため、燃料電池用途に使用した場合には、燃料電池の長寿命化に寄与することができる。
本発明の膜−電極接合体は、前述のような高分子電解質補強膜を備えていること以外、従来の膜−電極接合体と全く同様であることができる。例えば、ガス拡散層として、カーボンペーパー、カーボン不織布、繊維シートに導電剤とフッ素系樹脂を充填したもの、金属多孔シートなどを使用し、このようなガス拡散層に触媒を担持させてガス拡散電極とした後に、一対のガス拡散電極のそれぞれの触媒間に高分子電解質補強膜を挟み、熱プレスによって接合して製造することができる。
本発明の固体高分子形燃料電池は前述のような高分子電解質補強膜を備えているため、反応生成水による膨潤と乾燥による収縮とを繰り返しても、高分子電解質補強膜は破損しにくいため、寿命の長い燃料電池である。
本発明の固体高分子形燃料電池は前述のような高分子電解質補強膜を備えていること以外は、従来の固体高分子形燃料電池と全く同様であることができる。例えば、前述のような膜−電極接合体を一対のバイポーラプレートで挟んだセル単位を複数積層した構造からなる。バイポーラプレートとしては、導電性が高く、ガスを透過せず、ガス拡散層にガスを供給できる流路を有するものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、カーボン成形材料、カーボン−樹脂複合材料、金属材料などを用いることができる。なお、固体高分子形燃料電池は、膜−電極接合体を一対のバイポーラプレートで挟んで固定したセル単位を複数積層することによって製造することができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(アクリル繊維集合体の製造)
ポリアクリロニトリル(重量平均分子量:20万)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に加え、攪拌羽を用いて溶解させ、濃度16mass%の紡糸溶液を得た。
次いで、前記紡糸溶液を、対向電極であるステンレスドラム上に、静電紡糸法により紡糸したアクリル連続繊維を集積させるとともに結合し、表1に示すような目付、厚さ、平均繊維径、平均流量孔径及び空隙率を有する、シート状の第1〜5アクリル繊維集合体を製造した。なお、静電紡糸条件は次の通りとした。
電極:金属性ノズル(内径:0.33mm)とステンレスドラム
吐出量:0.5g/時間
ノズル先端とステンレスドラムとの距離:8cm
印加電圧:15kV
温度/湿度:25℃/20%RH
(ポリエーテルスルホン繊維集合体の製造)
ポリエーテルスルホン(重量平均分子量:63,000)をジメチルアセトアミド(DMAc)に加え、攪拌羽を用いて溶解させ、濃度25mass%の紡糸溶液を得た。
次いで、前記紡糸溶液を、対向電極であるステンレスドラム上に、静電紡糸法により紡糸したポリエーテルスルホン連続繊維を集積させるとともに結合し、表1に示すような目付、厚さ、平均繊維径、平均流量孔径及び空隙率を有する、シート状のポリエーテルスルホン繊維集合体を製造した。なお、静電紡糸条件は次の通りとした。
電極:金属性ノズル(内径:0.33mm)とステンレスドラム
吐出量:0.5g/時間
ノズル先端とステンレスドラムとの距離:9cm
印加電圧:13kV
温度/湿度:25℃/20%RH
Figure 2016058152
(実施例1〜3、比較例1〜2)
所望厚さ15μmの高分子電解質補強膜を製造するために、次の操作を実施した。
まず、高分子電解質であるテトラフルオロエチレン/パーフルオロ[2−(フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]共重合体の分散液[ナフィオン(登録商標)、分散液:純粋と1−プロパノールの混合溶媒、濃度:15%]を用意した。
この高分子電解質分散液をガラス板にキャストした後、第1〜5アクリル繊維集合体をそれぞれ積層し、各アクリル繊維集合体の空隙に高分子電解質分散液を進入させた。
次いで、各アクリル繊維集合体の開放面側から、同じ高分子電解質分散液をキャストし、アクリル繊維集合体の空隙全体を高分子電解質分散液でそれぞれ満たした。
そして、この空隙全体に高分子電解質分散液が存在するアクリル繊維集合体を温度70℃に設定したオーブン中に30分間配置することによって乾燥し、高分子電解質分散液を除去し、アクリル繊維集合体の厚さを減少させた。その後、温度130℃に設定したオーブン中に10分間配置し、シート状高分子電解質補強膜をそれぞれ製造した。なお、各シート状高分子電解質補強膜における、目付、厚さ及び厚さ(Tr)に対する、繊維存在部の厚さ(Tf)の割合は表2に示す通りであった。
(実施例4)
所望厚さ15μmの高分子電解質補強膜を製造するために、ポリエーテルスルホン繊維集合体を使用したこと以外は、実施例1〜3と同様にして、シート状高分子電解質補強膜を製造した。なお、シート状高分子電解質補強膜における、目付、厚さ及び厚さ(Tr)に対する、繊維存在部の厚さ(Tf)の割合は表2に示す通りであった。
(比較例3)
所望厚さ15μmの高分子電解質膜を、繊維集合体を使用することなく、製造した。
つまり、実施例1〜3と同様に調製した高分子電解質分散液をガラス板にキャストした後、温度70℃に設定したオーブン中に30分間配置することによって乾燥し、高分子電解質分散液を除去した。その後、温度130℃に設定したオーブン中に10分間配置することによって、アニーリング処理を行い、シート状高分子電解質膜を製造した。なお、各シート状高分子電解質補強膜における、目付、厚さ及び厚さ(Tr)に対する、繊維存在部の厚さ(Tf)の割合は表2に示す通りであった。
Figure 2016058152
(含水時寸法変化率)
各高分子電解質補強膜を5cm角の大きさに裁断し、試料片をそれぞれ調製した。これら試料片の4辺の長さと、4隅及び中央点の計5点における厚さを測定し、その算術平均値を、それぞれ「長さの基準値(Sl)」、「厚さの基準値(St)」とした。
その後、温度80℃の純水を入れたビーカーに各試料片を浸漬し、30分後にバットに移した。この時の試料片の4辺の長さと、4隅及び中央点の計5点における厚さを測定し、その算術平均値を、それぞれ「長さの給水値(Wl)」、「厚さの給水値(Wt)」とした。そして、次の式から、含水時における面方向の寸法変化率(Ps、単位:%)、及び含水時における厚さ方向の寸法変化率(Pt、単位:%)を、それぞれ算出した。これらの結果は表2に示す通りであった。
Ps=[(Wl−Sl)/Sl]×100
Pt=[(Wt−St)/St]×100
表2から、本発明の製造方法により製造した樹脂補強体は、繊維存在部が厚さの70%以上であり、充分に補強されているため、含水時にも変化しにくい、形態安定性に優れるものであった。
本発明の製造方法によれば、樹脂全体を繊維で補強した樹脂補強体を製造することができる。この樹脂補強体は機械的強度に優れ、破損しにくいものであるため、例えば、高分子電解質を繊維で補強した高分子電解質補強膜を燃料電池用途に好適に使用することができる。
S 樹脂形成物液
C 容器
F 繊維集合体
Td 樹脂補強体の所望厚さ
R 樹脂補強体
Tr 樹脂補強体の厚さ
Tf 繊維存在部の厚さ

Claims (6)

  1. 繊維によって樹脂を補強した樹脂補強体の製造方法であり、樹脂補強体の所望厚さよりも厚い厚さを有する繊維集合体に対して、樹脂形成物液を付与した後、前記樹脂形成物液から樹脂形成物を形成するとともに、前記繊維集合体の厚さを減少させることを特徴とする、樹脂補強体の製造方法。
  2. 繊維の平均繊維径が、樹脂補強体の所望厚さの10分の1以下であることを特徴とする、請求項1記載の樹脂補強体の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の製造方法により製造された樹脂補強体であり、樹脂補強体の厚さに対する、繊維存在部の厚さの割合が70%以上であることを特徴とする樹脂補強体。
  4. 請求項3記載の樹脂補強体において、樹脂が高分子電解質であることを特徴とする、高分子電解質補強膜。
  5. 請求項4記載の高分子電解質補強膜を備えていることを特徴とする、膜−電極接合体。
  6. 請求項4記載の高分子電解質補強膜を備えていることを特徴とする、固体高分子形燃料電池。
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