以下、本発明の一実施形態に係る電気錠システムについて図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する構成は本発明の一例に過ぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
図1は電気錠システムのブロック図である。図2は電気錠システムが適用された扉を屋内から見た図、図3は電気錠システムが適用された扉を屋外から見た図である。
電気錠システムは、錠制御装置100と、電気錠210,220と、応答器300(いわゆるタグキー)と、報知装置400と、開閉センサ500を備える。
この電気錠システムは、建物の扉1を施錠又は解錠するためのシステムである。扉1は例えば玄関扉であり、ヒンジ部3を介して扉枠2に開閉自在に取り付けられている。
電気錠210,220は扉1の戸先側に設けられている。本実施形態では扉1に2個の電気錠210,220が設けられているが、電気錠の個数は1個でもよいし、3個以上でもよい。
電気錠210,220は同様の構成を有しているので、電気錠210について説明し、電気錠220については説明を省略する。電気錠210は、錠211と駆動装置212と施解錠センサ213とを備える。錠211は、扉枠2に設けられた穴(図示せず)に挿入されるデッドボルト214を備える(図2、図3参照)。駆動装置212は、デッドボルト214を前進又は後退させるモータなどを備えている。駆動装置212は、錠制御装置100から入力される駆動信号に応じてモータを回転させ、デッドボルト214を前進又は後退させる。デッドボルト214が前進して扉枠2の穴内に進入すると、扉1が施錠される。デッドボルト214が後退して扉枠2の穴から外に出ると、扉1が解錠される。施解錠センサ213は、錠211が施錠しているのか、解錠しているのかを検知する。
錠制御装置100は、制御部110と、第1通信部121と、第2通信部122と、第1表示部131と、第2表示部132と、第1操作部141と、第2操作部142と、UHF通信部150と、電気錠駆動回路161,162と、電源部170を備える。
制御部110は、例えばROM(Read Only Memory)などのメモリに格納された制御プログラムを実行することによって所定の機能を実現するマイクロコンピュータを備える。また、制御部110は、タイマ111と、格納部112とを備える。格納部112は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリからなる内蔵メモリであり、解錠を許可する応答器300の識別情報を格納する。なお、格納部112に識別情報が格納されている応答器300は、電気錠210,220を解錠又は施錠する操作を許可された応答器であり、このような応答器300を正規の応答器という。
第1通信部121は第1LF通信回路1211と第1LFアンテナ1212とを備える。第1LFアンテナ1212はコイル形のアンテナであり、扉1の屋内側に取り付けられている(図2参照)。第1LF通信回路1211は、第1LFアンテナ1222を介してLF(Low Frequency)帯の電波信号を送受信する。第1LF通信回路1211は、受信した信号の受信信号強度(Received Signal Strength Indication:RSSI)を測定する機能を備えている。
第2通信部122は第2LF通信回路1221と第2LFアンテナ1222とを備える。第2LFアンテナ1222はコイル形のアンテナであり、扉1の屋外側に取り付けられている(図3参照)。第2LF通信回路1221は、第2LFアンテナ1222を介してLF帯の電波信号を送受信する。第2LF通信回路1221は、受信した信号の受信信号強度を測定する機能を備えている。
第1表示部131は、例えばLED(Light Emitting Diode)や液晶ディスプレイなどからなり、第1操作部141の操作状態や第1通信部121の動作状態などを表示する。
第2表示部132は、例えばLEDや液晶ディスプレイなどからなり、第2操作部142の操作状態や第2通信部122の動作状態などを表示する。
第1操作部141は、扉1の屋内側から電気錠210,220を施解錠させるために操作される。第1操作部141は、扉1の屋内側に設けられた操作ボタン1411を備える(図2参照)。操作ボタン1411が操作されると、第1操作部141は制御部110に操作信号を出力する。
第2操作部142は、扉1の屋外側から電気錠210,220を施解錠させるために操作される。第2操作部142は、扉1の屋外側に設けられた操作ボタン1421を備える(図3参照)。操作ボタン1421が操作されると、第2操作部142は制御部110に操作信号を出力する。
UHF通信部150はUHF通信回路151とUHFアンテナ152とを備える。UHF通信回路151は、UHFアンテナ152を用いて報知装置400との間でUHF帯の電波信号を送受信する。
電気錠駆動回路161は、制御部110から入力される制御信号に応じて、電気錠210を施錠又は解錠させる駆動信号を電気錠210に出力する。
電気錠駆動回路162は、制御部110から入力される制御信号に応じて、電気錠220を施錠又は解錠させる駆動信号を電気錠220に出力する。
電源部170は、図3に示すように受電部601から電力供給を受ける。受電部601は、扉1の上部の戸先側に、扉枠2に設けられた送電部602と対向するように設けられている。建物内には、商用交流電源のような外部電源620に接続されて、送電部602に必要な電力を供給する電源装置610が設けられている。送電部602は、電源装置610から供給された電力を、非接触給電方式で受電部601に供給しており、受電部601から電源部170に電力が供給される。なお、電源部170は外部の電源から電力を得るものに限定されず、電池を電源としてもよい。
開閉センサ500は、例えば扉枠2に取り付けられたマグネット(図示せず)と、扉1が閉じられた状態でマグネットと対向するように扉1に配置された磁気センサ(図示せず)とを備える。開閉センサ500は、磁気センサによる磁気の検出結果をもとに、扉1が開いているか閉じているかを検知し、その検知結果を制御部110に出力する。
応答器300は、制御部310と、LF通信回路320と、LFアンテナ330と、表示部340と、操作部350と、電源部360とを備える。
制御部310は、例えばROM(Read Only Memory)などのメモリに格納された制御プログラムを実行することによって所定の機能を実現するマイクロコンピュータを備える。制御部310は例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの内蔵メモリを備え、この内蔵メモリには当該応答器300に割り当てられた識別情報が保持されている。LF通信回路320が錠制御装置100から送信された質問信号を受信すると、制御部310は、内蔵メモリに格納された識別情報を含む応答信号を作成し、この応答信号をLF通信回路320から送信させる。
LF通信回路320は、コイル型のLFアンテナ330を用い、所定の周波数帯(例えばLF帯)の電波で通信を行う。LF通信回路320は、受信した電波の受信信号強度を測定する測定部321を備えている。
LFアンテナ330は、例えば3つの独立したコイルを直交に配置した3軸構成である。したがって、応答器300の向きがどのような向きであっても、錠制御装置100との間で安定した通信が行える。
表示部340は、例えばLEDランプや液晶ディスプレイなどで構成され、応答器300の動作状態などを光や文字で表示する。
操作部350は、応答器300の電源をオン/オフする操作などを行うためのものである。
電源部360は、例えばコイン形のリチウム電池を備え、各部を駆動するための電力を供給する。
ここで、応答器300の動作モードには通常モードと屋外操作禁止モードとの2つのモードがあり、錠制御装置100によって応答器300の動作モードが通常モード及び屋外操作禁止モードの何れかに設定される。通常モードとは、第1操作部141及び第2操作部142の何れが操作された場合でも、錠制御装置100からの質問信号に対して、応答信号を送信する動作モードである。屋外操作禁止モードとは、第1操作部141が操作された場合のみ錠制御装置100からの質問信号に対する応答信号を送信し、第2操作部142が操作された場合は応答信号を送信しない動作モードである。
報知装置400は制御部410とUHF通信部420と報知部430とを備える。
制御部410は、例えばROM(Read Only Memory)などのメモリに格納された制御プログラムを実行することによって所定の機能を実現するマイクロコンピュータを備える。
UHF通信部420は、錠制御装置100との間でUHF帯の電波信号を送受信する。
報知部430は、例えば表示ランプや液晶ディスプレイのような表示デバイスを備え、錠制御装置100から受信した報知内容に応じて、光や文字で報知動作を行う。なお報知部430は、例えばブザーやスピーカなどを備え、錠制御装置100から受信した報知内容を音や音声メッセージで報知してもよい。
次に、本実施形態の電気錠システムの動作について図4〜図12を参照して説明する。
まず、電気錠システムの動作の概略を図4のシーケンス図に基づいて説明する。
応答器300を携帯したユーザが、扉1の外側にある第2操作部142を操作すると、第2操作部142から制御部110に操作信号が出力される(ステップS11)。なお、ユーザが携帯する応答器300の識別情報は、錠制御装置100の格納部112に予め格納されているものとする。また、ユーザが第2操作部142又は第1操作部141を用いて解錠操作を行う前は電気錠210,220は施錠状態であるとする。
制御部110は、第2操作部142から操作信号が入力されると、第1通信部121及び第2通信部122から質問信号を送信させる(ステップS12)。なお、第1通信部121及び第2通信部122から送信される質問信号には、屋内側の第1操作部141が操作されたのか、屋外側の第2操作部142が操作されたのかを区別する操作情報が含まれる。
ユーザが携帯する応答器300は扉1の屋外側にあり、第1通信部121又は第2通信部122から送信された質問信号を受信すると、この質問信号に対する応答信号を送信する(ステップS13)。第1通信部121又は第2通信部122が応答器300から送信された応答信号を受信すると、第1通信部121又は第2通信部122は受信した応答信号を制御部110に出力する。
制御部110は、応答信号に含まれる識別情報と、格納部112に予め格納された識別情報とを照合し、両者が一致すると、解錠命令を電気錠駆動回路161,162に出力する。電気錠駆動回路161,162に解錠命令が入力されると、電気錠駆動回路161によって電気錠210が解錠され、電気錠駆動回路162によって電気錠220が解錠される(ステップS14)。電気錠210が錠211を解錠させると、施解錠センサ213が解錠状態を検知し、その検知結果が制御部110に出力される。同様に、電気錠220が錠221を解錠させると、施解錠センサ223が解錠状態を検知し、その検知結果が制御部110に出力される(ステップS15)。
電気錠210,220が解錠された後に、ユーザが扉1を開けて建物の中に入ると、制御部110は、開閉センサ500の検知結果から、扉1が開けられた後に閉じられたと判断する。制御部110は、扉1が閉じたと判断すると、所定時間(例えば数秒から十数秒)の経過後に施錠命令を電気錠駆動回路161,162に出力する。電気錠駆動回路161,162に施錠命令が入力されると、電気錠駆動回路161によって電気錠210が施錠され、電気錠駆動回路162によって電気錠220が施錠される(ステップS16)。電気錠210,220が施錠されると、施解錠センサ213,223が施錠状態を検知し、その検知結果が制御部110に出力される(ステップS17)。
ここで、応答器300の置き忘れなどによって、第1通信部121及び第2通信部122の受信エリア内に応答器300が存在し続ける場合、応答器を持たない人物が屋外側の第2操作部142を操作すると、電気錠210,220が解錠されてしまう。
そこで、本実施形態の電気錠システムでは、第1通信部121及び第2通信部122の受信エリア内に応答器300が一定時間以上存在し続けると、屋外側の第2操作部142の解錠操作では電気錠210,220を解錠させないようにしている。すなわち、制御部110は、電気錠210,220の制御モードとして2つの制御モード(第1モードと第2モード)を用意している。第1モードは、第1操作部141及び第2操作部142の何れでも解錠できる制御モードである。第2モードは、第2操作部142の解錠操作では解錠されず第1操作部141の解錠操作で解錠される制御モードである。
本実施形態では、第1モードでは、制御部110は、第1操作部141及び第2操作部142のどちらが操作された場合でも質問信号に対して応答信号を返送するように応答器300の動作モードを上述の通常モードに設定する。第2モードでは、制御部110は、屋内側の第1操作部141が操作された場合のみ質問信号に対して応答信号を返送するように応答器300の動作モードを、上述の屋外操作禁止モードに設定する。なお、上記の一定時間とは、扉1の外側から内側に入ってきたユーザが、第1通信部121及び第2通信部122の受信エリア内に留まっていると想定される時間よりも長い時間であり数分程度の時間に設定されている。
図4のステップS18からステップS22までの動作は、第1通信部121及び第2通信部122の受信エリア内に応答器300が存在する状態が一定時間に達していない場合の動作であり、この間は電気錠210,220の制御モードは第1モードとなっている。
この間に、屋外側の第2操作部142が操作されると、第2操作部142から制御部110に操作信号が出力される(ステップS18)。
制御部110は、第2操作部142から操作信号が入力されると、第1通信部121及び第2通信部122から質問信号を送信させる(ステップS19)。第1通信部121又は第2通信部122の受信エリア内に存在する応答器300が質問信号を受信すると、この質問信号に対する応答信号を送信する(ステップS20)。第1通信部121又は第2通信部122が応答器300から送信された応答信号を受信すると、第1通信部121又は第2通信部122は受信した応答信号を制御部110に出力する。
ここで、制御部110は、応答信号を送信した応答器300が建物の外側に存在すると判断でき、かつ、応答信号に含まれる識別情報と格納部112に格納された識別情報とが一致すると、解錠命令を電気錠駆動回路161,162に出力する。電気錠駆動回路161,162に解錠命令が入力されると、電気錠駆動回路161によって電気錠210が解錠され、電気錠駆動回路162によって電気錠220が解錠される(ステップS21)。電気錠210,220が解錠されると、施解錠センサ213,223が施錠状態を検知し、その検知結果が制御部110に出力される(ステップS22)。その後、開閉センサ500によって扉1が開けられた後に閉じられたことが検出されると、制御部110は電気錠駆動回路161,162に施錠命令を出力して、電気錠210,220を施錠させる。
このように、電気錠210,220の制御モードが第1モードに設定されている状態で、屋外側の第2操作部142が解錠操作された場合に、応答器300が屋外にあると判断されれば、制御部110は電気錠210,220を解錠させる。一方、第1モードにおいて、屋外側の第2操作部142が解錠操作された場合に、応答器300が屋内にあると判断されれば、制御部110は電気錠210,220を解錠させておらず、この処理については後述する。
その後、第1通信部121又は第2通信部122の受信エリアに応答器300が存在する状態が一定時間以上継続すると、制御部110は、第1通信部121及び第2通信部122から質問信号を送信させる(ステップS23)。第1通信部121又は第2通信部122の受信エリアに存在する応答器300が質問信号を受信すると、この質問信号に対する応答信号を送信する(ステップS24)。第1通信部121又は第2通信部122が応答信号を受信すると、制御部110は、応答信号に含まれる識別情報をもとに、同じ応答器300が受信エリアに一定時間以上存在すると判断する。制御部110は、第1通信部121及び第2通信部122から応答器300を屋外操作禁止モードに設定する信号を送信させる(ステップS25)。応答器300が屋外操作禁止モードに設定されると、屋外側の第2操作部142が操作されても、応答器300は錠制御装置100から送信された質問信号に対して応答信号を返信しなくなる。よって、電気錠210,220は第2操作部142の解錠操作では解錠されなくなる(第2モード)。
一方、第2モードにおいて、屋内側の第1操作部141が操作されると(ステップS26)、制御部110が第1通信部121及び第2通信部122から質問信号を送信させる(ステップS27)。応答器300は、この質問信号を受信すると、質問信号に含まれる操作情報をもとに屋内側の第1操作部141が操作されたと判断する。応答器300は、屋内側の第1操作部141が操作された場合は、質問信号に対する応答信号を送信し、この応答信号は第1通信部121又は第2通信部122によって受信される(ステップS28)。制御部110は、応答信号に含まれる識別情報と、格納部112に格納された識別情報とを照合し、両者が一致すると、第1通信部121及び第2通信部122から応答器300を通常モードに切り替える信号を送信させる(ステップS29)。また、制御部110は、電気錠駆動回路161,162に解錠命令を出力して、電気錠210,220を解錠させる(ステップS30)。電気錠210,220が解錠すると、施解錠センサ213,223から解錠状態の検知結果が制御部110に入力される(ステップS31)。その後、開閉センサ500の検知結果をもとに、扉1が開けられた後に閉じられたことを検知すると、制御部110は、電気錠駆動回路161,162に施錠命令を出力して、電気錠210,220を施錠させる(ステップS32)。電気錠210,220が施錠されると、施解錠センサ213,223から施錠状態の検知結果が制御部110に入力され(ステップS33)、制御部110は施錠状態を確認すると処理を終了する。
電気錠システムの全体的な動作は上記の通りであり、以下では錠制御装置100の動作を図5のフローチャートに基づいてより詳細に説明する。
錠制御装置100の制御部110は、受信エリア内に応答器300が存在するか否かを検知するため、予め設定された送信時間間隔が経過すると、第1通信部121及び第2通信部122から質問信号を送信させる(ステップS100)。なお、錠制御装置100が電池駆動の場合、定期的に質問信号を送信していると、電力消費が大きく電池容量の減少が早まるので、屋外側の第2操作部142が操作されたことをトリガとして、第1通信部121及び第2通信部122から質問信号を送信してもよい。
制御部110は、ステップS100で送信させた質問信号に対して、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS101,S102のNo)、質問信号を再送させる(ステップS100)。質問信号を所定の回数(n回)送信しても、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS103のYes)、制御部110は、受信エリアに応答器300が存在しないと判断して、処理を終了し、次の定期送信に備える。
制御部110は、ステップS100で送信させた質問信号に対して、正規の応答器300からの応答信号があれば(ステップS102のYes)、解錠命令を電気錠駆動回路161,162に出力して、電気錠210,220を解錠させる(ステップS104)。電気錠210,220が解錠された状態で、扉1が開けられた後に扉1が閉じられると(ステップS105)、制御部110は、施錠命令を電気錠駆動回路161,162に出力して、電気錠210,220を施錠させる(ステップS106)。制御部110は、この応答器300の識別情報を内部メモリに記憶させた後(ステップS107)、内蔵のタイマ111に一定時間(例えばn分)をカウントさせる(ステップS108)。
タイマ111が一定時間のカウントを終了すると、制御部110は、第1通信部121及び第2通信部122から質問信号を送信させる(ステップS109)。
制御部110は、ステップS109で送信させた質問信号に対して、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS110,S111のNo)、質問信号を再送させる(ステップS109)。質問信号を所定の回数(n回)送信しても、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS112のYes)、制御部110は、受信エリアに応答器300が存在しないと判断して、処理を終了する。
一方、制御部110は、ステップS109で送信させた質問信号に対して、正規の応答器300からの応答信号があれば、この応答信号に含まれる識別情報が、ステップS107で内部メモリに記憶させた識別情報と一致するか否かを判断する(ステップS113)。
ステップS113の判断で別の応答器300と判断されると(ステップS113のNo)、制御部110はステップS104に戻って上記と同様の処理を行う。
ステップS113の判断で同一の応答器300と判断されると(ステップS113のYes)、制御部110は、受信エリアに同一の応答器300が一定時間以上存在していると判断し、電気錠210,220の制御モードを第2モードとする。すなわち、制御部110は、第1通信部121及び第2通信部122から応答器300に、動作モードを屋外操作禁止モードに設定する信号を送信させ、応答器300の動作モードを屋外操作禁止モードとする(ステップS114)。
次に、応答器300の動作モードが屋外操作禁止モードに設定され、電気錠210,220の制御モードが第2モードに設定されている場合の動作について図6を参照して説明する。
第1操作部141及び第2操作部142の何れかが操作されると(ステップS120のYes)、制御部110は、第1通信部121及び第2通信部122から質問信号を送信させる(ステップS121)。この質問信号には、第1操作部141及び第2操作部142の何れが操作されたかを示す操作情報が含まれている。
ステップS121で送信された質問信号が応答器300によって受信されると(ステップS122)、応答器300の制御部310は、質問信号に含まれる操作情報をもとに、屋内側の第1操作部141が操作されたか否かを判断する(ステップS123)。
ステップS123において、屋外側の第2操作部142が操作されたと制御部310が判断すると(ステップS123のNo)、制御部310は応答信号を送信させずに、処理を終了する。したがって、屋外側の第2操作部142が操作されても、応答器300から応答信号が送信されず、電気錠210,220は解錠されない。
一方、ステップS123において、屋内側の第1操作部141が操作されたと制御部310が判断すると(ステップS123のYes)、制御部310はLF通信回路320から応答信号を送信させる(ステップS124)。
錠制御装置100の制御部110は、ステップS124で送信させた質問信号に対して、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS125,S126のNo)、質問信号を再送させる(ステップS121)。質問信号を所定の回数(n回)送信しても、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS127のYes)、制御部110は処理を終了する。
制御部110は、ステップS124で送信させた質問信号に対して、正規の応答器300からの応答信号があれば、この応答信号に含まれる識別情報が、ステップS107で内部メモリに記憶させた識別情報と一致するか否かを判断する(ステップS128)。
ステップS128の判断で別の応答器300と判断されると(ステップS128のNo)、制御部110はステップS130の処理に移行する。
ステップS128の判断で同一の応答器300と判断されると(ステップS128のYes)、制御部110は、この応答器300の動作モードを通常モードとする信号を第1通信部121及び第2通信部122から送信させる。この信号を受信した応答器300は、動作モードを屋外操作禁止モードから通常モードに切り替えており、電気錠210,220の制御モードが第2モードから第1モードに切り替えられる(ステップS129)。また、制御部110は、電気錠駆動回路161,162に解錠命令を出力して、電気錠210,220を解錠させる(ステップS130)。そして、制御部110は、開閉センサ500の検出結果をもとに、扉1が開けられた後に閉じられたと判断すると(ステップS131)、電気錠駆動回路161,162に施錠命令を出力して、電気錠210,220を施錠させる(ステップS132)。制御部110は、施解錠センサ213,223の出力から施錠状態を確認すると、処理を終了する。
ここで、制御部110は、第1通信部121又は第2通信部122(受信部)が応答器300から送信される応答信号を受信していれば、受信状態を示す通知信号をUHF通信部150(出力部)から送信させてもよい。UHF通信部150から送信された通知信号は報知装置400のUHF通信部420で受信され、制御部410が報知部430に報知動作を行わせる。この報知動作によって、第1通信部121又は第2通信部122の受信エリアに応答器300が存在していることを、ユーザに知らしめることができ、第1通信部121又は第2通信部122の受信エリアに応答器300が置き忘れられる事態が起こりにくくなる。
また、応答器300の制御部310は、電源部360の電池残量をモニタしており、電池残量を状態情報としてLF通信回路320から錠制御装置100に送信させてもよい。制御部110は、応答器300から状態情報を受信すると、この状態情報をUHF通信部150から報知装置400に送信させる。報知装置400のUHF通信部420が、錠制御装置100から送信された状態情報を受信すると、制御部410が報知部430に報知動作を行わせている。この報知動作によって、応答器300が備える電池の電池残量をユーザに知らせ、電池残量が低下した場合には電池交換を促すことができる。また、制御部110は、電気錠210,220の制御モードが第1モードであるか第2モードであるかを通知する状態情報を、UHF通信部150から報知装置400に送信させてもよい。報知装置400のUHF通信部420が、錠制御装置100から送信された状態情報を受信すると、制御部410が報知部430に報知動作を行わせており、電気錠210,220の制御モードをユーザに知らしめることができる。
このように、第1通信部121及び第2通信部122の受信エリアに応答器300が一定時間以上存在すると、制御部110は電気錠210,220の制御モードを第1モードから第2モードに切り替えている。第2モードでは、屋外側の第2操作部142が操作された場合、応答器300が質問信号に対して応答信号を送信しないので、応答器300を保持していない人物が屋外側の第2操作部142を操作しても、電気錠210,220が解錠されることはない。したがって、屋外から意図に反して解錠されにくい電気錠システムを提供することができる。なお、電気錠210,220の制御モードが第2モードに設定されている状態で、屋内側の第1操作部141が操作されると、制御部110は、電気錠210,220の制御モードを第2モードから第1モードに切り替える。これにより、その後は、屋内側の第1操作部141及び屋外側の第2操作部142のどちらが操作されても、応答器300から応答信号が送信され、制御部110が電気錠210,220を解錠させることができる。
次に、電気錠210,220の制御モードが第1モードに設定されている状態で、第2操作部142が操作された場合に、電気錠210,220の解錠を許可又は禁止する処理について図7〜図10を参照して説明する。なお、図7のフローチャートにおいて、図5のフローチャートに示した処理と同一の処理には、同一の符号を付してその説明は省略する。
ステップS108の判断で一定時間のカウントが終了していない場合、すなわち応答器300が受信エリアに留まっている状態が一定時間に達していない場合、制御部110は、結合子A2から図8のステップS140の処理に移行する。
ステップS140では、制御部110は、屋外側の第2操作部142が操作されたか否かの判断を行う。
ステップS140の判断で、第2操作部142が操作されていなければ(ステップS140のNo)、制御部110は結合子A3から図7のステップS108の処理に移行する。
ステップS140の判断で、屋外側の第2操作部142が操作されていると(ステップS140のYes)、制御部110は、第1通信部121及び第2通信部122から質問信号を送信させる(ステップS141)。
制御部110は、ステップS141で送信させた質問信号に対して、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS142,S143のNo)、質問信号を再送させる(ステップS141)。質問信号を所定の回数(n回)送信しても、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS144のYes)、制御部110は、結合子A3から図7のステップS108の処理に移行する。
制御部110は、ステップS141で送信させた質問信号に対して正規の応答器300からの応答信号があれば、屋内側の第1通信部121が受信した信号の受信信号強度R1と、屋外側の第2通信部122が受信した信号の受信信号強度R2との大小を比較する。ここで、図9に示すように応答器300が屋内にあれば、屋内側の第1通信部121での受信信号強度R1が、屋外側の第2通信部122での受信信号強度R2よりも大きくなる。一方、図10に示すように応答器300が屋外にあれば、屋内側の第1通信部121での受信信号強度R1は、屋外側の第2通信部122での受信信号強度R2よりも小さくなる。
したがって、屋内側の第1通信部121での受信信号強度R1が、屋外側の第2通信部122での受信信号強度R2以上であれば(ステップS145のNo)、制御部110は、認証に成功した応答器300が屋内にあると判断する。この場合、制御部110は、応答器300を持たない人物が屋外の第2操作部142を操作したと判断し、屋外の第2操作部142の操作では電気錠210,220を解錠させず、結合子A3から図7のステップS108の処理に移行する。
一方、屋内側の第1通信部121での受信信号強度R1が、屋外側の第2通信部122での受信信号強度R2よりも小さければ(ステップS145のYes)、制御部110は、認証に成功した応答器300が屋外にあると判断する。この場合、制御部110は、正規の応答器300を携帯した人物が屋外の第2操作器142を操作したと判断し、電気錠駆動回路161,162に解錠命令を出力して、電気錠210,220を解錠させる(ステップS146)。電気錠210,220が解錠された状態で、扉1が開けられた後に扉1が閉じられると(ステップS147)、制御部110は、施錠命令を電気錠駆動回路161,162に出力して、電気錠210,220を施錠させた後(ステップS148)、処理を終了する。
このように、電気錠210,220の制御モードが第1モードに設定された状態で、第2操作部142が操作された場合に、第1通信部121の受信信号強度が第2通信部122の受信信号強度よりも高ければ、制御部110は電気錠210,220を解錠させない。
屋外の第2操作部142が操作された場合に、扉1の屋内側に設けられた第1通信部121の受信信号強度が、扉1の屋外側に設けられた第2通信部122の受信信号強度よりも高ければ、応答器300は扉1の屋内側にあると判断できる。この場合、制御部110は、電気錠210,220を解錠させていないので、意図に反して屋外側から解錠される事態が起こりにくくなる。
次に、応答器300の動作モードが第1モードに設定されている状態で、第2操作部142が操作された場合に、電気錠210,220の解錠を許可又は禁止する別の処理について図7及び図11を参照して説明する。なお、図7のフローチャートに示す処理については既に説明したので、その説明は省略する。また、図11のフローチャートに示す処理は、ステップS149を除いて、図8のフローチャートに示す処理と同様であるから、同一の処理には同一の符号を付してその説明は省略する。
図7のステップS100からステップS107までの処理は上述の説明と同様である。制御部110は、ステップS107の処理を行った後、第1通信部121が受信した応答信号の受信信号強度R1と、第2通信部122が受信した応答信号の受信信号強度R2とを、前回の測定値として内蔵メモリに記憶させ、ステップS108の処理に移行する。
ステップS108の判断で、タイマ111が一定時間のカウントを終了していなければ、制御部110は、結合子A2から図11のステップS140の処理に移行し、屋外側の第2操作部142が操作されたか否かを判断する。
ステップS140において第2操作部142が操作されていなければ、制御部110は、結合子A3から図7のステップS108の処理に移行する。
ステップS140において第2操作部142が操作されると、制御部110は、第1通信部121及び第2通信部122から質問信号を送信させる(ステップS141)。
制御部110は、ステップS141で送信させた質問信号に対して、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS142,S143のNo)、質問信号を再送させる(ステップS141)。質問信号を所定の回数(n回)送信しても、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS144のYes)、制御部110は、結合子A3から図7のステップS108の処理に移行する。
制御部110は、質問信号に対して正規の応答器300からの応答信号があれば(ステップS143のYes)、扉1の屋内側にある第1通信部121の受信信号強度R1と、扉1の屋外側にある第2通信部122の受信信号強度R2との大小を比較する。ここで、制御部110は、ステップS101で受信した前回の受信信号強度R1,R2の大小と、ステップS142で受信した今回の受信信号強度R1,R2の大小をそれぞれ比較する。制御部110は、前回の受信信号強度R1,R2の大小関係がR1<R2であり、今回の受信信号強度R1,R2の大小関係がR1>R2であれば(ステップS149のYes)、応答器300が扉1の屋外側から屋内側に移動していると判断する。この場合、制御部110は、ステップS140において応答器300を携帯していない人物が第2操作部142を操作したと判断し、電気錠210,220を解錠させず、結合子A3からステップS108の処理に移行する。
一方、ステップS149の判定条件が成立しなければ、すなわち今回の受信信号強度R1,R2の大小関係がR1<R2となれば、制御部110は応答器300が扉1の外側に存在すると判断する。この場合、制御部110は、正規の応答器300を携帯した人物が第2操作部142を操作したと判断し、電気錠駆動回路161,162に解錠命令を出力して、電気錠210,220を解錠させる(ステップS146)。電気錠210,220が解錠された状態で、扉1が開けられた後に扉1が閉じられると(ステップS147)、制御部110は、施錠命令を電気錠駆動回路161,162に出力して、電気錠210,220を施錠させた後(ステップS148)、処理を終了する。
このように、電気錠210,220の制御モードが第1モードに設定されている状態で、第2操作部142が操作された場合に、次の判定条件が成立すると、制御部110は、電気錠210,220を解錠させない。この判定条件とは、第2操作部142の操作によって電気錠210,220を解錠させる際に応答器300から送信された応答信号の受信信号強度は第1通信部121よりも第2通信部122の方が高くなり、かつ電気錠210,220が解錠された後に施錠された状態で、第2操作部142が再度操作された際に応答器300から送信された応答信号の受信信号強度が第1通信部121よりも第2通信部122の方が低くなるという条件である。この判定条件が成立する場合、応答器300は扉1の屋外側から屋内側に移動したと判断でき、応答器300を携帯していない人物が第2操作部142を操作したと判断できる。よって、制御部110が電気錠210,220を解錠させないことで、意図に反して屋外側から解錠される事態が起こりにくくなる。
次に、応答器300の動作モードが第1モードに設定されている状態で、第2操作部142が操作された場合に、電気錠210,220の解錠を許可又は禁止する別の動作について図7及び図12を参照して説明する。なお、図7のフローチャートに示す処理については既に説明したので、その説明は省略する。
図7のステップS100からステップS107までの処理は上述の説明と同様である。ステップS108の判断で、タイマ111が一定時間のカウントを終了していなければ、制御部110は、結合子A2からステップS160の処理に移行する。
ステップS160では、制御部110は、ステップS101で第1通信部121が受信した信号の受信信号強度を前回の測定値R11として内蔵メモリに記憶させる。
その後、上記の一定時間(n分)よりも短い所定のウエイト時間(m分)が経過すると(ステップS161のYes)、制御部110は、第1通信部121及び第2通信部122から質問信号を送信させる(ステップS162)。
制御部110は、ステップS162で送信させた質問信号に対して、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS163,S164のNo)、質問信号を再送させる(ステップS162)。質問信号を所定の回数(n回)送信しても、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS165のYes)、制御部110は、結合子A3から図7のステップS108の処理に移行する。
制御部110は、質問信号に対して正規の応答器300からの応答信号があれば(ステップS164のYes)、ステップS163で第1通信部121が受信した信号の受信信号強度を今回の測定値R12として内蔵メモリに記憶させる(ステップS166)。
次に、制御部110は、前回の測定値R11と今回の測定値R12とが同じ値か否かを判断する(ステップS167)。ここにおいて、前回の測定値R11と今回の測定値R12とが同じ値であることは、全く同一の値となることに限定されず、測定値R11と測定値R12との差が誤差の範囲に収まり、ほぼ同一の値と見なせる場合も含んでいる。
ステップS167の判断で、前回の測定値R11と今回の測定値R12が異なっていれば(ステップS167のNo)、制御部110は、今回の測定値R12を前回の測定値R11として内蔵メモリに記憶させた後、ステップS161の処理に戻る。
ステップS167の判断で前回の測定値R11と今回の測定値R12が同じ値と判断されると(ステップS167のYes)、制御部110は、応答器300が受信エリア内で停止したと判断し、今回の測定値R12を判定値R10として内蔵メモリに記憶させる。そして、制御部110は、屋外側の第2操作部142が操作されたか否かを判断する(ステップS169)。
ここで、第2操作部142が操作されていなければ(ステップS169のNo)、制御部110は、結合子A3から図7のステップS108の処理に移行する。
一方、第2操作部142が操作されると(ステップS169のYes)、制御部110は、第1通信部121及び第2通信部122から質問信号を送信させる(ステップS170)。
制御部110は、ステップS170で送信させた質問信号に対して正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS171,S172のNo)、質問信号を再送させる(ステップS170)。質問信号を所定の回数(n回)送信しても、正規の応答器300からの応答信号がなければ(ステップS173のYes)、制御部110は、結合子A3から図7のステップS108の処理に移行する。
制御部110は、質問信号に対して正規の応答器300からの応答信号があれば(ステップS172のYes)、ステップS171で第1通信部121が受信した信号の受信信号強度R13と判定値R10が同じ値か否かを判断する(ステップS174)。ここにおいて、受信信号強度R13と判定値R10とが同じ値であることは、全く同一の値となることに限定されず、受信信号強度R13と判定値R10との差が誤差の範囲に収まり、ほぼ同一の値と見なせる場合も含んでいる。
そして、ステップS174の判断で、受信信号強度R13と判定値R10とが同じ値であれば(ステップS174のYes)、制御部110は、応答器300の位置が動いていないと判断する。この場合、ステップS171で応答信号を送信した応答器300は、ステップS169で屋外の第2操作部142を操作した人物によって携帯されていないと判断できるので、制御部110は電気錠210,220を解錠させない。制御部110は、結合子A3から図7のステップS108の処理に移行する。
一方、ステップS174の判断で、受信信号強度R13と判定値R10とが同じ値でなければ(ステップS174のNo)、制御部110は、ステップS171において別の応答器300から応答信号を受信したと判断し、電気錠210,220を解錠させる。この場合、制御部110は、電気錠駆動回路161,162に解錠命令を出力して、電気錠210,220を解錠させる(ステップS175)。電気錠210,220が解錠された状態で、扉1が開けられた後に扉1が閉じられると(ステップS176)、制御部110は、施錠命令を電気錠駆動回路161,162に出力して、電気錠210,220を施錠させた後(ステップS177)、処理を終了する。
このように、電気錠210,220の制御モードが第1モードに設定されている状態で、第2操作部142が操作された場合に、次の判定条件が成立すると、制御部110は、電気錠210,220を解錠させない。この判定条件とは、電気錠210,220を施錠した後に第1通信部121の受信信号強度が一定になった状態での受信信号強度と、その後に第2操作部142が操作された時の第1通信部121の受信信号強度とが同じであるという条件である。この判定条件が成立する場合、応答器300は同じ場所に留まっており、応答器300を持たない人物が第2操作部142を操作したと判断される。したがって、制御部310が電気錠210,220を解錠させないことで、意図に反して屋外側から解錠される事態が起こりにくくなる。
なお、制御部110は、屋内側にある第1通信部121の受信信号強度をもとに上記の判定を行っているが、屋外側にある第2通信部122の受信信号強度をもとに上記の判定を行ってもよい。
なお本実施形態では、第2モードにおいて、屋外側の第2操作部142が操作された場合に応答器300から応答信号を送信させないことで解錠を禁止しているが、第2操作部142の操作による解錠を禁止する方法は上記の方法に限定されない。例えば制御部110は、第2モードにおいて第2操作部142が操作された場合に応答器300から送信される応答信号を無効にしてもよく、応答器300から送信される応答信号を受け付けないことで、第2操作部142の操作による解錠を禁止してもよい。
以上のように本実施形態の電気錠システムは、第1操作部141と、第2操作部142と、送信部(第1通信部121、第2通信部122)と、携帯型の応答器300と、受信部(第1通信部121、第2通信部122)と、格納部112と、制御部110を備える。第1操作部141は、扉1の屋内側に設けられた施解錠操作のための操作部である。第2操作部142は、扉1の屋外側に設けられた施解錠操作のための操作部である。送信部(第1通信部121、第2通信部122)は、第1操作部141及び第2操作部142の何れかが操作されると扉1の屋内側及び屋外側に質問信号を無線送信する。応答器300は、識別情報を保持し、質問信号を受信すると識別情報を含む応答信号を無線送信する。受信部(第1通信部121、第2通信部122)は応答器300から無線送信された応答信号を受信する。格納部112は、解錠を許可する応答器300の識別情報を格納する。制御部110は、受信部が受信した応答信号に含まれる識別情報が格納部112に格納されている識別情報と一致すると扉1に設けられた電気錠210,220を解錠させる。電気錠210,220の制御モードとして、第1操作部141及び第2操作部142の両方から解錠操作が可能な第1モードと、第2操作部142からは解錠操作が行えず第1操作部141からは解錠操作が行える第2モードとがある。受信部の受信エリアに応答器300が一定時間以上存在すると、制御部110は、電気錠210,220の制御モードを第2モードとする。電気錠210,220の制御モードが第2モードに設定されている状態で、第1操作部141が操作されると、制御部110は、電気錠210,220を解錠させ、かつ電気錠210,220の制御モードを第2モードから第1モードに切り替えるように構成される。
このように、受信部の受信エリアに応答器300が一定時間以上存在すると、制御部110は電気錠210,220の制御モードを第1モードから第2モードに切り替えている。第2モードでは、屋外側の第2操作部142の操作では電気錠210,220が解錠されないので、応答器300を保持していない人物が屋外側の第2操作部142を操作しても、電気錠210,220が解錠されることはない。また、制御モードが第2モードに設定された状態で、屋内側にいる人物が屋外側に出るために第1操作部141を操作すると、制御モードが第2モードから第1モードに切り替えられ、屋外側の第2操作部142を用いて解錠操作を行えるようになる。したがって、使い勝手を損なわずに、屋外から意図に反して解錠されにくい電気錠システムを提供することができる。
また本実施形態の電気錠システムにおいて、受信部は、扉1の屋内側に設けられた第1受信部(第1通信部121)と、扉1の屋外側に設けられた第2受信部(第2通信部122)とを備えてもよい。電気錠210,220の制御モードが第1モードに設定されている状態で、第2操作部142が操作された場合に、第1受信部の受信信号強度が第2受信部の受信信号強度よりも高ければ、制御部110は電気錠210,220を解錠しないように構成されてもよい。
屋外の第2操作部142が操作された場合に、扉1の屋内側に設けられた第1受信部の受信信号強度が、扉1の屋外側に設けられた第2受信部の受信信号強度よりも高ければ、応答器300は扉1の屋内側にあると判断できる。この場合、制御部110は、電気錠210,220を解錠させていないので、意図に反して屋外側から解錠される事態が起こりにくくなる。
また本実施形態の電気錠システムにおいて、電気錠210,220の制御モードが第1モードに設定されている場合に、制御部110は以下のような動作を行ってもよい。電気錠210,220の施錠後に受信部(第1通信部121又は第2通信部122)の受信信号強度が一定になった状態での受信部の受信信号強度と、電気錠210,220の施錠後に第2操作部142が操作された時の受信部の受信信号強度とが同じであれば、制御部110は電気錠210,220を解錠しないように構成される。
電気錠210,220の施錠後に受信部の受信信号強度が一定になった状態での受信信号強度と、その後に第2操作部142が操作された時の受信信号強度とが同じであれば、応答器300は同じ場所に留まっていると判断される。この場合、応答器300を携帯していない人物が第2操作部142を操作したと判断できるので、制御部310が電気錠210,220を解錠させないことで、意図に反して屋外側から解錠される事態が起こりにくくなる。
また本実施形態の電気錠システムにおいて、受信部は、扉1の屋内側に設けられた第1受信部(第1通信部121)と、扉1の屋外側に設けられた第2受信部(第2通信部122)とを備えてもよい。電気錠210,220の制御モードが第1モードに設定されている状態で、第2操作部142の操作によって電気錠210,220を解錠させる際に応答器300から送信された応答信号の受信信号強度は第1受信部(第1通信部121)よりも第2受信部(第2通信部122)の方が高くなり、かつ電気錠210,220が解錠された後に施錠された状態で、第2操作部142が操作された際に応答器300から送信された応答信号の受信信号強度は第1受信部よりも第2受信部の方が低くなると、制御部110は電気錠210,220を解錠しないように構成されてもよい。
第2操作部142の操作によって電気錠210,220を解錠させる際に応答器300から送信された応答信号の受信信号強度は第1受信部よりも第2受信部の方が高くなり、かつ電気錠210,220が解錠された後に施錠された状態で、第2操作部142が再び操作された際に応答器300から送信された応答信号の受信信号強度は第1受信部よりも第2受信部の方が低くなるという判定条件が成立する場合、応答器300は扉1の屋外側から屋内側に移動したと判断される。したがって、応答器300を携帯していない人物が第2操作部142を操作したと判断できるので、制御部110が電気錠210,220を解錠させないことで、意図に反して屋外側から解錠される事態が起こりにくくなる。
また電気錠システムは、出力部(UHF通信部150)と、報知部(報知装置400)を備えてもよい。出力部(UHF通信部150)は、受信部(第1通信部121、第2通信部122)が応答器300から送信される応答信号を受信していれば、受信状態を示す通知信号を出力する。報知部(報知装置400)は、通知信号が入力されると報知動作を行う。
応答器300からの応答信号を受信部が受信していることを報知装置400が報知するので、受信部の受信エリアに応答器300が存在することをユーザに知らしめることができ、応答器300の置き忘れが起こりにくくなる。
また本実施形態の電気錠システムにおいて、応答器300は電池を電源とし、出力部(UHF通信部150)と、報知部(報知装置400)とを備えてもよい。出力部(UHF通信部150)は、電気錠210,220の制御モードおよび電池の残容量のうちの少なくとも何れか一方を含む状態情報を出力する。報知部(報知装置400)は、出力部から入力された状態情報を報知する。
報知装置400は、電気錠210,220の制御モードおよび電池の残容量のうちの少なくとも何れか一方を含む状態情報を報知しているので、これらの状態情報をユーザに知らせることができる。