JP2016056318A - 変性ポリオレフィン粒子の製造方法および精製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の変性ポリオレフィン粒子(F)の製造方法は、示差走査熱量計(DSC)により測定した融点(Tm1)が50℃以上240℃未満であり、平均粒径0.2mm〜2.5mmである、炭素数2〜18のα−オレフィンから選ばれる1種または2種以上のα−オレフィンが(共)重合された(共)重合体粒子(A)に対して、エチレン性不飽和基と極性官能基を同一分子内に有する単量体(B)と、有機過酸化物(C)と、有機溶媒(D)と、の3者を該(共)重合体粒子(A)が固体の状態で含浸させ、該融点(Tm1)以下の温度でグラフト反応させることにより、粗変性ポリオレフィン粒子(E)を得る工程(1)と、ジアルキルケトンのみからなる溶媒中、0℃〜〔該融点(Tm1)−50〕℃の温度範囲にて、工程(1)で得られた該粗変性ポリオレフィン粒子(E)を撹拌して、関係式〔1〕(x−X)×100/x≦2および〔2〕log10〔η〕≧0.1−0.15Xを満たす変性ポリオレフィン粒子(F)を得る工程(2)を含む。
【選択図】なし
Description
特許文献2では、低い処理温度にて精製を行っているが、炭素数6〜20の脂肪族炭化水素溶媒を完全に除去することは困難であるうえ、グラフトモノマーの種類、あるいは反応副生物の種類によっては、除去が完全になされない場合があった。
本発明の変性ポリオレフィン粒子(F)の製造方法または精製方法は、
示差走査熱量計(DSC)により測定した融点(Tm1)が50℃以上240℃未満であり、平均粒径0.2mm〜2.5mmである、炭素数2〜18のα−オレフィンから選ばれる1種または2種以上のα−オレフィンが(共)重合された(共)重合体粒子(A)に対して、
エチレン性不飽和基と極性官能基を同一分子内に有する単量体(B)と、
有機過酸化物(C)と、
有機溶媒(D)と、
の3者を該(共)重合体粒子(A)が固体の状態で含浸させ、該融点(Tm1)以下の温度でグラフト反応させることにより、粗変性ポリオレフィン粒子(E)を得る工程(1)と、
ジアルキルケトンのみからなる溶媒中、0℃〜〔該融点(Tm1)−50〕℃の温度範囲にて、工程(1)で得られた該粗変性ポリオレフィン粒子(E)を撹拌して、以下の関係式〔1〕および〔2〕を満たす変性ポリオレフィン粒子(F)を得る工程(2)を含むことを特徴とする。
(x−X)×100/x≦2・・・〔1〕
log10〔η〕≧0.1−0.15X・・・〔2〕
(式〔1〕および〔2〕において、Xは、粗変性ポリオレフィン粒子(E)1gを熱キシレン約50ml中で溶解させたあと冷却し、アセトンを加えることで析出させた変性ポリオレフィン中に含まれる単量体(B)に由来する極性基部の含有量(重量%)を、xは、上記工程(2)を経て得られる変性ポリオレフィン粒子(F)に含まれる単量体(B)に由来する極性基部の含有量(重量%)である。また、〔η〕は、135℃デカリン中で測定した、変性ポリオレフィン粒子(F)の極限粘度(dl/g)である)。
前記有機過酸化物(C)は、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物であることも好ましい。
前記グラフト反応の温度が、前記有機溶媒(D)の大気圧における沸点以上であることが好ましい。
前記ジアルキルケトンのみからなる溶媒が、アセトンのみからなる溶媒であることが好ましい。
前記工程(2)を密閉状態で行うことが好ましい。
粗変性ポリオレフィン粒子(E)を得る工程(1)は、(共)重合体粒子(A)に対して、エチレン性不飽和基と極性官能基を同一分子内に有する単量体(B)と、有機過酸化物(C)と、有機溶媒(D)と、の3者を該(共)重合体粒子(A)が固体の状態で含浸させ、該融点(Tm1)以下の温度でグラフト反応させる工程を含む。
(共)重合体粒子(A)は、炭素数2〜18のα−オレフィンから選ばれる1種または2種以上のα−オレフィンが(共)重合されてなる。なお、本明細書においては、以後、(共)重合体粒子(A)のことを、単に「ポリオレフィン粒子(A)」ということがある。
粒子(A)の平均粒径は、0.2mm以上2.5mm以下であり、好ましくは、0.3mm以上1.5mm以下である。
粗変性ポリオレフィン粒子(E)には、粒子(A)にエチレン性不飽和基と極性官能基を同一分子内に有する単量体がグラフトされた状態で含まれている。具体的には、粒子(E)は、上記粒子(A)を構成するポリオレフィン鎖に対して、エチレン性不飽和基と極性官能基を同一分子内に有する単量体由来の繰り返し単位が導入された構造を有する。
不飽和カルボン酸無水物、たとえば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、
酸ハライド、たとえば、塩化マレニル、
アミド、イミド、エステル等、例えば、アクリルアミド、マレニルイミド、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル等が好適に挙げられる。
これらのエチレン性不飽和基と極性官能基を同一分子内に有する単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、無水マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸を使用することが好ましい。
単量体(B)の使用量は、ポリオレフィン粒子(A)100重量部に対して、通常は0.01〜50重量部、好ましくは1〜20重量部の量である。
本発明に係る(共)重合体粒子(A)が好適にグラフトされ、粗変性ポリオレフィン粒子(E)が得られる限り、どのような有機過酸化物をラジカル開始剤として用いても良い。本発明に係る粗変性ポリオレフィン粒子(E)は、有機過酸化物(C)および有機溶媒(D)の存在下で、(共)重合体粒子(A)に単量体(B)をグラフト反応させることにより得られる。
ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートなど、n−プロピルオキシラジカル部位(分子量59)を構成部位として含む有機過酸化物;
ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなど、イソプロピルオキシラジカル部位(分子量59)を構成部位として含む有機過酸化物;
ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネートなど、sec−ブチルオキシラジカル部位(分子量73)を構成部位として含む有機過酸化物;
t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ-3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシイソノナノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレート、1,3−ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなど、t−ブチルオキシラジカル部位(分子量73)を構成部位として含む有機過酸化物;
t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシピバレート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−アミルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシベンゾエート、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−アミルハイドロパーオキサイドなど、t−アミルオキシラジカル部位(分子量87)を構成部位として含む有機過酸化物;
t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ヘキシルパーオキサイドなど、t−ヘキシルオキシラジカル部位(分子量101)を構成部位として含む有機過酸化物
が挙げられる。これらのうちでも、t−ブチルオキシラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物、イソプロピルオキシラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物が好ましく、t−ブチルオキシラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物が特に好ましい。
ここで、該有機過酸化物は、(共)重合体粒子(A)との相溶性の観点から、分子式中に、後述する分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を除く、分子量が150より大きいラジカル部位、例えば下記構造式(1)や構造式(2)で示されるようなラジカル部位を含まないような有機過酸化物がより好ましい〔なお式(1)におけるR1は、分子量107以上の炭化水素基を示し、式(2)におけるR2は、分子量91以上の炭化水素基を示す〕。式(1)および式(2)で表されるラジカル部位としては、各々下記構造式(1')および(2')で表されるラジカル部位を例示することができる。
本発明の粗変性ポリオレフィン粒子(E)のもう一つの好ましい態様として、分子量が150以下、好ましくは分子量が110以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物をラジカル開始剤として用い、該ラジカル開始剤の存在下で上記(共)重合体粒子(A)をグラフト反応させて得られたものが挙げられる。
グラフト反応に用いられる有機溶媒としては、ポリオレフィン粒子(A)の非晶性オレフィン重合体部に対して膨潤性を示す溶媒、すなわち膨潤溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒として膨潤溶媒を使用することにより、上記単量体(B)、並びに、有機過酸化物(C)がポリオレフィン粒子(A)の内部にまで良好に侵入するので、ポリオレフィン粒子(A)の内部まで均一に変性を行うことが可能となる。
以上のような膨潤溶媒は、1種単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせたものであっても良い。
さらに、本発明において、上記有機溶媒は、大気圧における沸点が、ポリオレフィン粒子(A)を構成するポリオレフィン樹脂の示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点をTm1としたときに、((Tm1)−10)℃以下であることが好ましい。このような沸点の有機溶媒は、グラフト反応の温度において、分子の運動性が良好なため、膨潤効果が更に良好である。
工程(1)において、ポリオレフィン粒子(A)と、単量体(B)と、有機過酸化物(C)との接触方法および接触順序については、特に制限はなく、種々の方法を採用することができる。
(p2)ポリオレフィン粒子と単量体と有機溶媒とを予め昇温状態で混合して原料混合物とし、この原料混合物を一旦冷却した後に、有機過酸化物をさらに混合し、これらを反応させる方法;
(p3)ポリオレフィン粒子と単量体と有機溶媒とを混合して原料混合物とし、ついでこの原料混合物を加熱するなどすることにより、この原料混合物を反応が実質的に進行しうる状態に導いた後、有機過酸化物をさらに配合し、これらを反応させる方法;
(p4)ポリオレフィン粒子と有機過酸化物と有機溶媒とを混合して原料混合物とし、ついでこの原料混合物を加熱するなどすることにより、この原料混合物を反応が実質的に進行しうる状態に導いた後、単量体をさらに配合し、これらを反応させる方法;
(p5)ポリオレフィン粒子を、加熱するなどすることにより反応が実質的に進行しうる状態に導いた後、このポリオレフィン粒子に対して、下記(s5a)〜(s5d)のうちのいずれかの工程を行う方法:
(s5a)単量体、有機過酸化物、および有機溶媒を同時に混合して、これらを反応させる工程、
(s5b)単量体、有機過酸化物、および有機溶媒の各成分を任意の量に分割したうえで、各成分を、分割した量ごとに同時に混合して、これらを反応させる工程、
(s5c)単量体、有機過酸化物、および有機溶媒のうち、任意の1成分、または2成分を先行して、該成分の所定量を一度に、あるいは分割して混合したあとに、残りの2成分、または1成分を、該成分の所定量を一度に、あるいは分割して混合した後に、これらを反応させる工程、
(s5d)単量体、有機過酸化物、および有機溶媒を1成分ずつ、任意の順序で混合した後に、これらを反応させる工程;
(p6)ポリオレフィン粒子を、加熱するなどすることにより反応が実質的に進行しうる状態に導いた後、このポリオレフィン粒子に対して、下記(s6a)または(s6b)の工程を行う方法:
(s6a)単量体の有機溶媒溶液、および、有機過酸化物の有機溶媒溶液を同時に、低速で連続的に供給し、反応させる工程、
(s6b)単量体の有機溶媒溶液、および、有機過酸化物の有機溶媒溶液の任意の何れかを先行して、低速で連続的に供給した後、他方の有機溶媒溶液を低速で連続的に供給して反応させる工程、
(p7)ポリオレフィン粒子と有機過酸化物と有機溶媒を混合して混合物とし、この混合物を加熱しながら気体状態の単量体に接触させて、反応させる方法。
また、グラフト反応は、ポリオレフィン粒子が固体状態の粒子形状を実質的に維持する範囲の温度で行われる。すなわち、本発明においては、ポリオレフィン粒子が溶融して粒子同士が互いに融着しない温度以下の温度で変性反応を行う。一般にこのような状態で変性を行うことができる温度は、ポリオレフィンの種類によって異なるが、一般的には、ポリオレフィン粒子を構成するポリオレフィン樹脂の示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点をTmとしたときに、(Tm−10)℃〜(Tm−40)℃の温度範囲が好適に挙げられ、これは、あらかじめ実験的に知ることができる。
上記のようなグラフト反応のための反応時間は、反応温度や用いる有機過酸化物の分解反応の半減期等の条件を考慮して適宜設定することができる。通常は、反応温度における有機過酸化物の分解半減期の3〜10倍、好ましくは4〜6倍である。具体的には、通常は、1/60〜20時間、好ましくは0.5〜15時間である。
工程(1)にて得られた粗変性ポリオレフィン粒子(E)は、通常、未反応のグラフトモノマーや反応副生成物を含んでおり、極性物質との接着性能を低下させるなどの問題を引き起こすおそれがある。そこで、本発明では、これらの未反応のグラフトモノマーや反応副生成物を効率良く除去するため、次の工程(2)が好適に用いられる。
なお、粗変性ポリオレフィン粒子(E)の形状などは、変性ポリオレフィン粒子(F)と同等である。
本発明の変性ポリオレフィン粒子(F)を得る工程(2)は、ジアルキルケトンのみからなる溶媒中、0℃〜〔融点(Tm1)−50〕℃の温度範囲にて、工程(1)で得られた該粗変性ポリオレフィン粒子(E)を撹拌して、粒子(F)を得る工程を含む。
ジアルキルケトンのみからなる溶媒の使用量に特に限定されないが、通常は、粗変性ポリオレフィン粒子(E)100重量部に対して、50〜1000重量部、好ましくは100〜500重量部、さらに好ましくは200〜400重量部である。
本発明の製造方法および精製方法で得られた変性ポリオレフィン粒子(F)は、以下の関係式〔1〕を満たす。
(x−X)×100/x≦2・・・〔1〕
式〔1〕において、Xは、粗変性ポリオレフィン粒子(E)1gを熱キシレン約50ml中で溶解させたあと冷却し、アセトンを加えることで析出させた変性ポリオレフィン中に含まれる単量体(B)に由来する極性基部の含有量(重量%)を、xは、該工程(2)を経て得られる変性ポリオレフィン粒子(F)に含まれる単量体(B)に由来する極性基部の含有量(重量%)である。なお、用いるキシレンは、粗変性ポリオレフィン粒子(E)を溶解できるものであれば、安定剤などの添加剤が含まれていてもよい。また、用いるキシレンは、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンが任意に混合した混合物であってよく、エチルベンゼンを含んでいてもよい。同様に、アセトンも粒子を析出させることが出来れば、安定剤などの添加剤や不純物が含まれていてもよい。また、冷却は、通常10〜60℃の範囲である。単量体(B)に由来する極性基部の含有量は、種々公知の方法により定量でき、たとえば、FT−IR、NMR、MSなどを用いて定量することができる。なお、詳細な測定条件の例として、実施例を参照できる。
ここで、含有量[x]とは、具体的には、含有量[X]と、未反応の単量体に由来する極性基部の含有量との合計の含有量である。
log10〔η〕≧0.1−0.15X・・・〔2〕
式〔2〕において、Xは、粗変性ポリオレフィン粒子(E)1gを熱キシレン約50ml中で溶解させたあと冷却し、アセトンを加えることで析出させた変性ポリオレフィン中に含まれる単量体(B)に由来する極性基部の含有量(重量%)である。なお、溶媒および測定条件の詳細については、上記関係式〔1〕を参照でき、詳細な測定条件の例としては、実施例を参照できる。また、〔η〕は、135℃デカリン中で測定した、変性ポリオレフィン粒子(F)の極限粘度(dl/g)である。
該関係式〔2〕は、好ましくは、
log10〔η〕≧0.15−0.15X・・・〔2A〕
より好ましくは、極性物質との親和性と機械強度のバランスを一層向上させる理由から、
log10〔η〕≧0.2−0.15X・・・〔2B〕
である。
以下の実施例において、各種の分析方法は以下の手順により行った。
試料をデカリンに溶かし希薄溶液を作る。自動粘度測定装置でウベローデ改良型粘度計を用いて、135℃の比粘度を測定し、変性ポリオレフィン粒子(F)の極限粘度を算出した。
単量体として不飽和カルボン酸を用いた。工程(1)を経て得られた粗変性ポリオレフィン粒子を、210℃で熱プレスして300μmのフィルムを作成し、赤外吸収スペクトルを測定し、1790cm-1付近あるいは1860cm-1付近の吸収より、不飽和カルボン酸グラフト量を定量した。この値を、予め求めておいた1H−NMRによる測定値と赤外吸収スペクトルによる値との相関による検量線により、1H−NMRによる測定値に換算した。
上記分析方法(2)と同様に、工程(2)を経て得られた変性ポリオレフィン粒子を、210℃で熱プレスして300μmのフィルムを作成し、赤外吸収スペクトルを測定し、1790cm-1付近あるいは1860cm-1付近の吸収より、不飽和カルボン酸グラフト量を定量した。この値を、予め求めておいた1H−NMRによる測定値と赤外吸収スペクトルによる値との相関による検量線により、1H−NMRによる測定値に換算した。
単量体として不飽和カルボン酸を用いて得られた粗変性ポリオレフィン粒子1gを採取し、キシレン(和光純薬工業株式会社製、特級、o−、m−、p−の混合物、エチルベンゼン含有)約50mLを加え、還流冷却器を備えたフラスコ中で加熱溶解させた。ついで溶液を室温まで冷却し、アセトン(株式会社ゴードー製、純度99.0%以上)を加えて変性ポリオレフィン粒子を析出させたのち、濾過し、得られた析出物を乾燥処理した(以下、本明細書では「再沈殿法」と称する)。このようにして、未グラフト不飽和カルボン酸を除去した得られた変性ポリオレフィン粒子を250℃で熱プレスしてフィルムを作成し、赤外吸収スペクトルを測定し、1790cm-1付近あるいは1860cm-1付近の吸収より、不飽和カルボン酸グラフト量を定量した。この値を、予め求めておいた1H−NMRによる測定値と赤外吸収スペクトルによる値との相関による検量線により、1H−NMRによる測定値に換算した。
各ポリオレフィン粒子試料及び各変性ポリオレフィン粒子試料の平均粒径は、1000μm未満の場合は、レーザー光回折散乱法により、エタノールを分散媒体として測定した。1000μm以上のものについては、目開き径100μm、180μm、355μm、850μm、1180μm、1400μm、1700μm、2800μmの8種の篩を用い、帯電防止剤として極少量のカーボンブラックを混合したポリオレフィン粒子を分級した。その結果を基に常法により求めたメディアン径を平均粒径とした。
各種ポリオレフィン粒子の融点(Tm)は、示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定することにより測定した。具体的には、測定は、粒子形状の試料をアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、昇温時のΔHが1J/g以上の融解ピーク頂点の位置の温度を融点とした。
各種ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に従い、230℃、2.16kg荷重の条件下で測定を実施した。
下記に示す各実施例において用いられる過酸化物の略称は、以下の化合物または製品を指す。
PBI:t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日油株式会社・パーブチルI)
PBZ:t−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社・パーブチルZ)
MFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μm、融点(Tm1)160℃のプロピレン単独重合体粒子100重量部を1リットルのオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しつつ、125℃のオイルバスで加熱する。この状態で、オートクレーブ内に、無水マレイン酸19重量部をトルエン(沸点:110℃)26重量部に溶解させた溶液と、有機過酸化物としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日油株式会社・パーブチルI)15重量部をトルエン4.4重量部に溶解させた溶液とを同時に並行して滴下した。滴下に要する時間は、無水マレイン酸のトルエン溶液は5時間、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートのトルエン溶液は3時間20分とした。無水マレイン酸のトルエン溶液を滴下終了後、さらに1時間、加熱・攪拌を継続し、反応終了とした。反応中は、オートクレーブは密閉状態とした。反応終了後、冷却してオートクレーブの内容物を抜き出した。これにアセトンを加えて合計の体積を1リットルとし、室温で10分間攪拌した後、濾過を行った。同様の操作を合計で4回繰り返し、60℃で5時間、真空乾燥を行い、粗変性ポリオレフィン粒子(E)を得た。この粗変性ポリオレフィン粒子(E)中に含まれる無水マレイン酸に由来する極性基部の含有量は、6.4wt%であった。
MFR=3.1(g/10分)、平均粒径1300μmのプロピレン単独重合体粒子(融点160℃)100重量部、無水マレイン酸5重量部をトルエン17重量部に溶解させた溶液、過酸化物としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社・パーブチルZ)3.3重量部を、容量20mlの耐圧容器に仕込み、内部を窒素置換した後に、密栓し、130℃に加熱したオイルバスにより、5時間、加熱して反応させた。反応終了後、冷却して耐圧容器の内容物を抜き出し、実施例1と同様に、アセトンを加えて室温で10分、撹拌したのちに濾過を行った。同様の操作を4回繰り返し、60℃で5時間、真空乾燥を行い、粗変性ポリオレフィン粒子(E)を得た。この粗変性ポリオレフィン粒子(E)中に含まれる無水マレイン酸に由来する極性基部の含有量は、2.2wt%であった。
Claims (9)
- 示差走査熱量計(DSC)により測定した融点(Tm1)が50℃以上240℃未満であり、平均粒径0.2mm〜2.5mmである、炭素数2〜18のα−オレフィンから選ばれる1種または2種以上のα−オレフィンが(共)重合された(共)重合体粒子(A)に対して、
エチレン性不飽和基と極性官能基を同一分子内に有する単量体(B)と、
有機過酸化物(C)と、
有機溶媒(D)と、
の3者を該(共)重合体粒子(A)が固体の状態で含浸させ、該融点(Tm1)以下の温度でグラフト反応させることにより、粗変性ポリオレフィン粒子(E)を得る工程(1)と、
ジアルキルケトンのみからなる溶媒中、0℃〜〔該融点(Tm1)−50〕℃の温度範囲にて、工程(1)で得られた該粗変性ポリオレフィン粒子(E)を撹拌して、以下の関係式〔1〕および〔2〕を満たす変性ポリオレフィン粒子(F)を得る工程(2)を含む、
変性ポリオレフィン粒子(F)の製造方法。
(x−X)×100/x≦2・・・〔1〕
log10〔η〕≧0.1−0.15X・・・〔2〕
(式〔1〕および〔2〕において、Xは、粗変性ポリオレフィン粒子(E)1gを熱キシレン約50ml中で溶解させたあと冷却し、アセトンを加えることで析出させた変性ポリオレフィン中に含まれる単量体(B)に由来する極性基部の含有量(重量%)を、xは、上記工程(2)を経て得られる変性ポリオレフィン粒子(F)に含まれる単量体(B)に由来する極性基部の含有量(重量%)である。また、〔η〕は、135℃デカリン中で測定した、変性ポリオレフィン粒子(F)の極限粘度(dl/g)である)。 - 前記有機過酸化物(C)が、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物である、請求項1に記載の変性ポリオレフィン粒子(F)の製造方法。
- 前記有機過酸化物(C)が、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物である、請求項1に記載の変性ポリオレフィン粒子(F)の製造方法。
- 前記有機溶媒(D)の大気圧における沸点が、〔前記融点(Tm1)−10〕℃以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変性ポリオレフィン粒子(F)の製造方法。
- 前記グラフト反応の温度が、前記有機溶媒(D)の大気圧における沸点以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の変性ポリオレフィン粒子(F)の製造方法。
- 前記工程(1)を密閉状態で行う、請求項5に記載の変性ポリオレフィン粒子(F)の製造方法。
- 前記ジアルキルケトンのみからなる溶媒が、アセトンのみからなる溶媒である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の変性ポリオレフィン粒子(F)の製造方法。
- 前記工程(2)を密閉状態で行う、請求項1〜7のいずれか一項に記載の変性ポリオレフィン粒子(F)の製造方法。
- 示差走査熱量計(DSC)により測定した融点(Tm1)が50℃以上240℃未満であり、平均粒径0.2mm〜2.5mmである、炭素数2〜18のα−オレフィンから選ばれる1種または2種以上のα−オレフィンが(共)重合された(共)重合体粒子(A)に対して、
エチレン性不飽和基と極性官能基を同一分子内に有する単量体(B)と、
有機過酸化物(C)と、
有機溶媒(D)と、
の3者を該(共)重合体粒子(A)が固体の状態で含浸させ、該融点(Tm1)以下の温度でグラフト反応させることにより、粗変性ポリオレフィン粒子(E)を得る工程(1)と、
ジアルキルケトンのみからなる溶媒中、0℃〜〔該融点(Tm1)−50〕℃の温度範囲にて、工程(1)で得られた該粗変性ポリオレフィン粒子(E)を撹拌して、以下の関係式〔1〕および〔2〕を満たす変性ポリオレフィン粒子(F)を得る工程(2)を含む、
変性ポリオレフィン粒子(F)の精製方法。
(x−X)×100/x≦2・・・〔1〕
log10〔η〕≧0.1−0.15X・・・〔2〕
(式〔1〕および〔2〕において、Xは、粗変性ポリオレフィン粒子(E)1gを熱キシレン約50ml中で溶解させたあと冷却し、アセトンを加えることで析出させた変性ポリオレフィン中に含まれる単量体(B)に由来する極性基部の含有量(重量%)を、xは、上記工程(2)を経て得られる変性ポリオレフィン粒子(F)に含まれる単量体(B)に由来する極性基部の含有量(重量%)である。また、〔η〕は、135℃デカリン中で測定した、変性ポリオレフィン粒子(F)の極限粘度(dl/g)である)。
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