JP2023147511A - 重合体、組成物、成形体及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

重合体、組成物、成形体及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2023147511A
JP2023147511A JP2022055046A JP2022055046A JP2023147511A JP 2023147511 A JP2023147511 A JP 2023147511A JP 2022055046 A JP2022055046 A JP 2022055046A JP 2022055046 A JP2022055046 A JP 2022055046A JP 2023147511 A JP2023147511 A JP 2023147511A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
less
temperature
ethylene
polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022055046A
Other languages
English (en)
Inventor
和義 片岡
Kazuyoshi Kataoka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2022055046A priority Critical patent/JP2023147511A/ja
Publication of JP2023147511A publication Critical patent/JP2023147511A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Cell Separators (AREA)

Abstract

【課題】耐熱性、ヒューズ特性及び製膜後の外観のバランスに優れる、重合体等を提供する。【解決手段】ポリオレフィン主鎖と、下記式(1)で表される側鎖と、を含む重合体であって、1H-NMRにより測定される前記重合体の側鎖導入率が、1000Cあたり0.5以上4.0以下であり、DSCにより測定される前記重合体の第2融解温度Tm2が、130.0℃以下であり、前記重合体のCFC10%溶出温度が、70.0℃以上87.0℃以下であり、前記DSCにより測定される前記重合体の第2融解温度Tm2と第1融解温度Tm1との差が、Tm2-Tm1として、0.5℃以上3.0℃以下である、重合体。-(CR1R2)n-SiR3m(OR4)3-m(1)(上記式(1)中、R1~R4は、各々独立して、-CxH2x+1で表される基又はヒドロキシ基であり、ここで、xは、各々独立して、0~6の整数であり、nは0~8の整数であり、mは0~3の整数を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、重合体、組成物、成形体及びリチウムイオン二次電池に関する。
ポリエチレンは、一般的に、溶融加工が容易であり、それにより得られる成形体は、機械強度が高く、耐薬品性、剛性等にも優れる傾向にあることから、フィルム、シート、微多孔膜、繊維、発泡体、パイプ等の多種多様な用途に用いられている。これらの中でも、特に耐圧強度や高温度領域での耐クリープ性等が要求される用途においては、シランで架橋されたポリエチレン(以下、「シラン架橋ポリエチレン」ともいう。)が用いられることがある。なお、フィルム形態のポリエチレンを架橋する技術としては、電子線照射による方法も考えられるが、この方法では、内部が非架橋となる傾向にあり、性能面で劣るものとなりやすい。そのため、シラン架橋ポリエチレンが好ましいと考えられる。
このようなシラン架橋ポリエチレンとしては、例えば、エチレンと、炭素数が3以上6以下のα-オレフィンと、の共重合体であって、密度が、905kg/m以上950kg/m以下であり、190℃、2.16kgにおけるメルトフローレートが、1.0g/10min以上10g/10min以下であり、ゲル浸透クロマトグラフィーから求められる、重量平均分子量及び数平均分子量に基づく分子量分布が、3.4以上4.5以下であり、ゲル浸透クロマトグラフィー及びFT-IRから求められ、短鎖分岐分布が、0.1以上2.0以下である、共重合体をシラン架橋した、シラン架橋ポリエチレンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第6654872号公報
特許文献1に記載のシラン架橋ポリエチレンは、特に柔軟性と成形性とのバランスに優れているため、給湯用、給水用、床暖房用及びロードヒーティング用のパイプ、電力ケーブルの絶縁層、並びに収縮チューブ等の分野に好ましく適用できるものとされている。一方で、本発明者らが当該シラン架橋ポリエチレンの用途を更に広げるべくフィルム形態とすることを検討した結果、得られるフィルムは、架橋成分の均一分散が不十分であるがゆえ、耐熱性の点で不十分となる傾向にあることが判明している。すなわち、当該シラン架橋ポリエチレンの用途を更に広げる観点から、フィルム状の形態に成形した場合に発揮し得る耐熱性に改善の余地があるといえる。耐熱性も含めた性能バランスを確保し、特に、微多孔膜等の形態に成形する(典型例として、リチウムイオン二次電池用のセパレータ等に適用する)ことまで想定すると、シラン架橋ポリエチレンは、耐熱性はもちろんのこと、さらにヒューズ特性や製膜後の外観も担保されていることが望ましい。
本発明は、上記従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、耐熱性、ヒューズ特性及び製膜後の外観のバランスに優れる、重合体等を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、ポリオレフィン主鎖と所定の側鎖を含む重合体であって、更に所定の物性を有する重合体が、当該課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[1]
ポリオレフィン主鎖と、下記式(1)で表される側鎖と、を含む重合体であって、
H-NMRにより測定される前記重合体の側鎖導入率が、1000Cあたり0.5以上4.0以下であり、
DSCにより測定される前記重合体の第2融解温度Tm2が、130.0℃以下であり、
前記重合体のCFC10%溶出温度が、70.0℃以上87.0℃以下であり、
前記DSCにより測定される前記重合体の第2融解温度Tm2と第1融解温度Tm1との差が、Tm2-Tm1として、0.5℃以上3.0℃以下である、重合体。
-(CR-SiR (OR3-m (1)
(上記式(1)中、R~Rは、各々独立して、-C2x+1で表される基又はヒドロキシ基であり、ここで、xは、各々独立して、0~6の整数であり、nは0~8の整数であり、mは0~3の整数を表す。)
[2]
前記重合体の密度が、930kg/m以上960kg/m以下である、[1]に記載の重合体。
[3]
前記重合体の190℃における2.16kg荷重でのMFRが、0.01g/10分以上20.0g/10分以下である[1]又は[2]に記載の重合体。
[4]
前記重合体の分子量分布Mw/Mnが、4.0以上10.0以下である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の重合体。
[5]
前記重合体の前記CFC10%溶出温度が、80.0℃以上87.0℃以下である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の重合体。
[6]
[1]~[5]のいずれか1項に記載の重合体100質量部と、
前記重合体以外のポリオレフィン3~500質量部と、
を含む、組成物。
[7]
[6]に記載の組成物を含む、成形体。
[8]
正極と、
負極と、
前記正極及び負極との間に配されるリチウムイオン二次電池用セパレータとしての、[7]に記載の成形体と、
を備える、リチウムイオン二次電池。
本発明によれば、耐熱性、ヒューズ特性及び製膜後の外観のバランスに優れる、重合体等を提供することができる。
以下に本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
[重合体]
本実施形態の重合体は、ポリオレフィン主鎖と、下記式(1)で表される側鎖と、を含む重合体であって、H-NMRにより測定される前記重合体の側鎖導入率が、1000Cあたり0.5以上4.0以下であり、DSCにより測定される前記重合体の第2融解温度Tm2が、130.0℃以下であり、前記重合体のCFC10%溶出温度が、70.0℃以上87.0℃以下であり、前記DSCにより測定される前記重合体の第2融解温度Tm2と第1融解温度Tm1との差が、Tm2-Tm1として、0.5℃以上3.0℃以下である。
-(CR-SiR (OR3-m (1)
(上記式(1)中、R~Rは、各々独立して、-C2x+1で表される基又はヒドロキシ基であり、ここで、xは、各々独立して、0~6の整数であり、nは0~8の整数であり、mは0~3の整数を表す。)
本実施形態の重合体は、上記構成を有するため、耐熱性、ヒューズ特性及び製膜後の外観のバランスに優れる。
(ポリオレフィン主鎖)
本実施形態の重合体を構成するポリオレフィン主鎖は、ポリオレフィンに由来するものであり、当該ポリオレフィンとしては、種々公知のものを採用でき、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。
本実施形態におけるポリオレフィンは、エチレンとα-オレフィンとの共重合体であることが好ましく、エチレンと炭素数が3以上6以下のα-オレフィン(以下、「コモノマー」ともいう。)との共重合体であることがより好ましい。コモノマーとしては、特に限定されないが、例えば下記式のα-オレフィンが挙げられる。
C=CHR
(上記式中、R2は、直鎖状又は分岐状である、炭素数1~4のアルキル基を示す。)
具体的なコモノマーとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、及び4-メチル-1-ペンテンが挙げられる。この中では、経済性及び取扱いの容易さから、プロピレン、及び1-ブテンが好ましい。また、炭素数が6以下のα-オレフィンを用いることにより、1000炭素あたりの3級炭素数が相対的に過度に少なくなることを避けることができる。
エチレン-α-オレフィン共重合体中に占めるエチレンのモル比としては、密度、短鎖分岐分布、メルトフローレート(MFR)を調整する観点から、80%以上100%未満であることが好ましく、より好ましくは85%以上100%未満であり、さらに好ましくは90%以上100%未満である。
エチレン-α-オレフィン共重合体は、長鎖分岐を実質的に有していないことが好ましい。長鎖分岐を実質的に有していないエチレン-α-オレフィン共重合体は、長鎖分岐中に3級炭素が多くなりすぎず、後述の有機過酸化物による有機不飽和シラン化合物のグラフト変性反応において、エチレン-α-オレフィン共重合体中のラジカル濃度が上がることを抑制し、分解反応やエチレン-α-オレフィン共重合体同士の架橋反応等、副反応を抑制し、シラングラフト変性効率が下がりにくい傾向にある。ここで、「実質的に長鎖分岐を有していない」とは、公知の13C-核磁気共鳴法による方法で、エチレン-α-オレフィン共重合体中に長鎖分岐が確認できないことを意味する。
エチレン-α-オレフィン共重合体の密度は、特に限定されないが、例えば、905kg/m以上950kg/m以下とすることができ、好ましくは915kg/m以上949kg/m以下であり、より好ましくは925kg/m以上948kg/m以下である。エチレン-α-オレフィン共重合体の密度が905kg/m以上であることにより、耐圧及び耐久性能が確保される傾向にある。また、フィルムの製造時における押出し負荷も低減する傾向にある。一方、エチレン-α-オレフィン共重合体の密度が950kg/m以下であることにより、セパレータとして適用した際にヒューズ温度が下がる傾向にあり、また、剛性と柔軟性のバランスが向上する傾向にある。
エチレン-α-オレフィン共重合体の密度は、特に限定されないが、例えば、主にエチレンとコモノマーとの導入量等によって調整することができる。エチレン-α-オレフィン共重合体の密度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
エチレン-α-オレフィン共重合体の190℃、2.16kgにおけるMFRは、特に限定されないが、例えば、0.5g/10min以上15g/10min以下とすることができ、好ましくは1.0g/10min以上10g/10min以下であり、より好ましくは1.0g/10min以上8.0g/10min以下である。エチレン-α-オレフィン共重合体の190℃、2.16kgのMFRが0.5g/10min以上であることにより、メルトフラクチャーが発生しにくく、成形後の外観が良好となる傾向にある。また、押出成型加工性にも優れる傾向にある。さらに、溶融成形時の樹脂圧及びシェアを低減することができるほかシラングラフト変性時にMFRが低下しても、押出し成形性を保持できる傾向にある。一方、エチレン-α-オレフィン共重合体の190℃、2.16kgのMFRが15g/10min以下であることにより、シラングラフト変性時のMFR低下により、押出し成形性が保持できるMFRとなり、更に得られた成形体の機械強度及び柔軟性が向上する傾向にある。
エチレン-α-オレフィン共重合体の190℃、2.16kgにおけるMFRは、特に限定されないが、例えば、主に共重合体の分子量により調整することができる。分子量の調整方法は、特に限定されないが、例えば、重合の際に水素を存在させること等によって調整することができる。エチレン-α-オレフィン共重合体の190℃、2.16kgにおけるMFRは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
エチレン-α-オレフィン共重合体のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)から求められる、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)に基づく分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、例えば、3.0以上12.0以下とすることができ、好ましくは3.0以上10.0以下であり、より好ましくは3.2以上9.0以下である。分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上であることにより、押出し成形時の樹脂圧、及びシェアを低減することができることに起因して、押出成形性を保持でき、外観を損なうことを回避できる傾向にある。また、押し出し成形時における負荷を低減することができるほか、セパレータとして適用した際に外観が向上する。一方、分子量分布(Mw/Mn)が12.0以下であることにより、優れた成形性を保持したまま、架橋に寄与しない低分子量成分が低減される傾向にある。また、セパレータとして適用した際に柔軟性が向上する傾向にある。
エチレン-α-オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を3.0以上12.0以下とするためには、特に限定されないが、例えば、後述する担持型メタロセン触媒を使用し、単段重合を行うこと等によって調整することができる。また、重合温度や連鎖移動剤の量によっても制御することが可能である。
エチレン-α-オレフィン共重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、エチレン-α-オレフィン共重合体を溶解したオルトジクロロベンゼン溶液をゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。)で測定し、市販の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線に基づいて求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(側鎖)
本実施形態の重合体を構成する側鎖は、下記式(1)で表される側鎖を含む。
-(CR-SiR (OR3-m (1)
(上記一般式(1)中、R~Rは、各々独立して、-C2x+1で表される基又はヒドロキシ基であり、ここで、xは、各々独立して、0~6の整数であり、nは0~8の整数であり、mは0~3の整数を表す。)
式(1)で表される側鎖は、有機不飽和シラン化合物に由来するものであり、かかる有機不飽和シラン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン及び7-オクテニルトリメトキシシラン等が挙げられる。本実施形態において、式(1)で表される側鎖は、ビニルトリメトキシシランに由来するものであることが好ましい。
(側鎖導入率)
本実施形態において、重合体の側鎖導入率は、H-NMRにより測定され、1000Cあたり0.5以上4.0以下である。側鎖導入率が0.5以上であることにより、耐熱性が向上し、生産性の観点から側鎖導入率を4.0以下とする。上記と同様の観点から、側鎖導入率は、0.6以上3.5以下であることが好ましく、0.7以上2.5以下であることがより好ましい。
側鎖導入率は、例えば、後述する好ましいグラフト条件を採用すること等により、上記した範囲に調整することができる。
側鎖導入率は、後述する実施例に記載の方法に基づいて測定することができる。
(第2融解温度Tm2)
本実施形態において、重合体の第2融解温度Tm2は、DSCにより測定され、130.0℃以下である。第2融解温度Tm2が130.0℃以下であることにより、ヒューズ特性が向上する。すなわち、低融点成分が適度に存在していることを示唆している。上記と同様の観点から、第2融解温度Tm2は、122℃以上129℃以下であることが好ましく、123℃以上127℃以下であることがより好ましい。
第2融解温度Tm2は、例えば、後述する好ましいグラフト条件を採用すること等により、上記した範囲に調整することができる。
第2融解温度Tm2は、後述する実施例に記載の方法に基づいて測定することができる。
(第2融解温度Tm2と第1融解温度Tm1との差)
本実施形態において、DSCにより測定される重合体の第2融解温度Tm2と第1融解温度Tm1との差は、Tm2-Tm1として、0.5℃以上3.0℃以下である。Tm2-Tm1が上記範囲にあることは、式(1)で表される側鎖が重合体分子中で均一に分散していることを示唆している。このような観点から、Tm2-Tm1は、0.7℃以上2.3℃以下であることが好ましく、0.9℃以上1.5℃以下であることがより好ましい。
Tm2-Tm1は、例えば、後述する好ましいグラフト条件を採用すること等により、上記した範囲に調整することができる。
Tm2-Tm1は、後述する実施例に記載の方法に基づいて測定することができる。
(CFC10%溶出温度)
本実施形態において、重合体のCFC10%溶出温度は、70.0℃以上87.0℃以下である。CFC10%溶出温度が70.0℃以上であることにより、重合体の急激な溶出が抑制され、CFC10%溶出温度が87.0℃以下であることにより、ある程度の重合体の溶出が促進される。上記と同様の観点から、CFC10%溶出温度は、80℃以上87℃以下であることが好ましく、82℃以上87℃以下であることがより好ましい。
CFC10%溶出温度は、例えば、後述する好ましいグラフト条件を採用すること等により、上記した範囲に調整することができる。
CFC10%溶出温度は、後述する実施例に記載の方法に基づいて測定することができる。
(重合体の密度)
本実施形態において、重合体の密度は、930kg/m以上960kg/m以下であることが好ましい。上記密度が930kg/m以上である場合、微多孔膜への成形が容易となる傾向にあり、上記密度が960kg/m以下である場合、後述する超高分子量ポリエチレンとの相溶性が向上する傾向にある。上記と同様の観点から、上記密度は、935kg/m以上953kg/m以下であることがより好ましく、939kg/m以上945kg/m以下であることがさらに好ましい。
上記密度は、例えば、エチレンとコモノマーとの導入量等により、上記した範囲に調整することができる。
上記密度は、後述する実施例に記載の方法に基づいて測定することができる。
(重合体のMFR)
本実施形態において、重合体の190℃における2.16kg荷重でのMFRは、0.01g/10分以上20.0g/10分以下であることが好ましい。上記MFRが0.01g/10分以上である場合、溶融時の不良を防止できる傾向にあり、上記MFRが20.0g/10分以下である場合、後述する超高分子量ポリエチレンとの相溶性が向上する傾向にある。上記と同様の観点から、上記MFRは、0.5g/10分以上2.5g/10分以下であることがより好ましく、0.5g/10分以上1.0g/10分以下であることがさらに好ましい。
上記MFRは、例えば、共重合体の分子量により調整することができる。分子量は、重合の際に水素を存在させること等により、上記した範囲に調整することができる。
上記MFRは、後述する実施例に記載の方法に基づいて測定することができる。
(重合体の分子量分布Mw/Mn)
本実施形態において、重合体の分子量分布Mw/Mnは、4.0以上10.0以下であることが好ましい。上記Mw/Mnが4.0以上である場合、押し出し成形時の安定性が向上する傾向にあり、上記Mw/Mnが10.0以下である場合、押し出し成形により得られる成形体の外観不良を防止できると共に耐汚染性(後述する実施例の汚染性評価を参照)が向上する傾向にある。上記と同様の観点から、上記Mw/Mnは、4.2以上8.3以下であることがより好ましく、4.5以上8.3以下であることがさらに好ましい。
上記Mw/Mnは、例えば、後述する担持型メタロセン触媒を使用し、単段重合を行うこと等によって上記した範囲に調整することができる。また、重合温度や連鎖移動剤の量によっても上記した範囲に調整することができる。
上記Mw/Mnは、後述する実施例に記載の方法に基づいて測定することができる。
[重合体の製造方法]
本実施形態の重合体を製造する方法としては、上述した構成が得られる限り特に限定されない。典型的には、まず、ポリオレフィンを準備し、次いで、当該ポリオレフィンをグラフト変性に供することで、ポリオレフィン主鎖に所定の側鎖が導入された重合体を得ることができる。
(ポリオレフィンの製造)
本実施形態におけるポリオレフィンを製造する方法としても、特に限定されず、種々公知の方法を採用することができる。本実施形態における原料として好ましく採用できるポリオレフィンの製造方法としては、以下に限定されないが、例えば、特許第6654872号公報に記載のエチレン-α-オレフィン共重合体の製造方法等が挙げられる。
(グラフト変性)
本実施形態におけるグラフト変性は、例えば、次のようにして実施することができる。まず、本実施形態におけるポリオレフィンと、有機過酸化物と、有機不飽和シラン化合物とを準備する。
有機過酸化物としては、以下に限定されないが、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3-ビス-(t-ブチル-オキシ-イソプロピル)-ベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、4,4, -ジ-(t-ブチルパーオキシ)バレリック酸-ブチルエステル、1,1-ジ-(tーブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンキシン-3、ベンゾイルパーオキシド、ジシクロベンゾパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート等が挙げられ、これらの中でも2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン又はジクミルパーオキサイドを用いることが好ましい。
有機不飽和シラン化合物としては、上記式(1)に対応する構造を有するものである限り特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン及び7-オクテニルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、ビニルトリメトキシシランを用いることが好ましい。
以下、本実施形態におけるグラフト変性の条件(グラフト条件)としては、とりわけ、ポリオレフィンと有機過酸化物と有機不飽和シラン化合物と溶融混錬する際の条件を適宜調整することが好ましく、その詳細について以下で説明する。
(溶融混錬における各成分のフィード方法)
本実施形態においては、(i)混合用容器に、ペレット状のポリオレフィンと、有機過酸化物と、有機不飽和シラン化合物とをタンブラーに入れて回転させることで混合(前段混合)し、次いでパウダー状のポリオレフィンを更に添加して混合(後段混合)し、得られた混合物を押出成形機にフィードして溶融混錬に供する方法(以下、「プレ混合法A」ともいう。)、(ii)混合用容器に、ペレット状のポリオレフィンと、パウダー状のポリオレフィンと、有機過酸化物と、有機不飽和シラン化合物とをタンブラーに入れて回転させることで長時間混合し、得られた混合物を押出成形機にフィードして溶融混錬に供する方法(以下、「プレ混合法B」ともいう。)、(iii)混合用容器に、ペレット状のポリオレフィンと、パウダー状のポリオレフィン(表面に凹凸形状を有するパウダー)と、有機過酸化物と、有機不飽和シラン化合物とをタンブラーに入れて回転させることで混合し、得られた混合物を押出成形機にフィードして溶融混錬に供する方法(以下、「プレ混合法C」ともいう。)、(iv)内部に撹拌効率向上のための邪魔板を備える混合用容器に、ペレット状のポリオレフィンと、パウダー状のポリオレフィンと、有機過酸化物と、有機不飽和シラン化合物とをタンブラーに入れて回転させることで混合し、得られた混合物を押出成形機にフィードして溶融混錬に供する方法(以下、「プレ混合法D」ともいう。)、(v)ポリオレフィンを押出成形機にフィードし、その溶融混錬中に、液状の有機過酸化物及び有機不飽和シラン化合物を押出機シリンダー内にフィードして溶融状態のポリオレフィンに直接添加する方法(以下、「液添法」ともいう。)、又は(vi)ポリオレフィンを押出成形機にフィードすると同時に、液状の有機過酸化物及び有機不飽和シラン化合物を押出機フィード部において溶融前のポリオレフィンと接触させる方法でフィードする方法(以下、「点滴法」ともいう。)を採用することが好ましい。
上記(i)において、ペレット状のポリオレフィンとパウダー状のポリオレフィンとの質量比としては、95:5~70:30とすること好ましく、前段混合の時間は5分~30分とすること好ましく、後段混合の時間は10分~50分とすること好ましく、溶融混錬時の温度は190~220℃とすることが好ましく、滞留時間は30秒~4分とすることが好ましい。
上記(ii)において、ペレット状のポリオレフィンとパウダー状のポリオレフィンとの質量比としては、95:5~70:30とすること好ましく、混合時間は120分以上とすること好ましく、溶融混錬時の温度は190~220℃とすることが好ましく、滞留時間は30秒~4分とすることが好ましい。
上記(iii)において、ペレット状のポリオレフィンとパウダー状のポリオレフィンとの質量比としては、95:5~70:30とすること好ましく、混合時間は3分~30分とすることが好ましく、パウダー状のポリオレフィンの凹凸形状としては、真球を1としたときのパウダーの任意の断面における輪郭の長さが3以上であることが好ましく、溶融混錬時の温度は190~220℃とすることが好ましく、滞留時間は30秒~4分とすることが好ましい。上記において、混合時間を3分以上とする場合、各原料が十分に分散される傾向にあり、混合時間を30分以下とする場合、生産性が担保される傾向にある。
上記(iv)において、ペレット状のポリオレフィンとパウダー状のポリオレフィンとの質量比としては、95:5~70:30とすること好ましく、混合時間は20分~50分とすること好ましく、邪魔板としては、タンブラー内面に設置する厚みが1mm以上の長方形の突起板で、タンブラーの回転方向に対して45~85°、タンブラー内壁面に対して75~90°の角度で設置されており、高さがタンブラー直径の0.2%~5%であるものが好ましく、その幅や材質等は任意とすることができ、溶融混錬時の温度は190~220℃とすることが好ましく、滞留時間は30秒~4分とすることが好ましい。
上記(v)において、溶融混錬時の温度は190~220℃とすることが好ましく、滞留時間は30秒~4分とすることが好ましい。
上記(vi)において、溶融混錬時の温度は190~220℃とすることが好ましく、液添フィード後の滞留時間は4分以上とすることが好ましい。
上記(i)~(vi)のいずれかの方法を採用することにより、ポリエチレン主鎖に所定の側鎖が所定量以上かつ均一に導入される傾向にあり、したがって本実施形態の重合体が好ましく得られる傾向にある。
[組成物]
本実施形態の組成物は、本実施形態の重合体100質量部と、本実施形態の重合体以外のポリオレフィン(他のポリオレフィン)3~500質量部と、を含む。
他のポリオレフィンとしては、特に限定されず、前述したポリオレフィンであってグラフト変性されていないものを適宜用いることができる。本実施形態においては、リチウムイオン二次電池用のセパレータとして適用する観点から、他のポリオレフィンが超高分子量ポリエチレン(重量平均分子量が10万以上のポリエチレン)を含むことが好ましく、当該超高分子量ポリエチレンがパウダー状であることがより好ましい。
組成物中の任意成分ないし配合量については、後述する成形体の種類等に応じて適宜調整することができる。
本実施形態の重合体又は組成物を得るまでの工程において、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、中和剤、酸化防止剤などが挙げられる。
中和剤は、ポリエチレン中に含まれる塩素キャッチャーや成形加工助剤等として使用されるものである限り特に限定されない。中和剤の具体例としては、特に限定されないが、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属のステアリン酸塩が挙げられる。中和剤の含有量は、特に限定されないが、重合体に対して、好ましくは5000質量ppm以下であり、より好ましくは4000質量ppm以下、さらに好ましくは3000質量ppm以下である。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。リン系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジ-ホスフォナイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-t-ブチルフェニルフォスファイト)等が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、重合体に対して、5000ppm以下が好ましく、より好ましくは2000ppm以下である。
[成形体]
本実施形態の成形体は、本実施形態の組成物を含む。ここで、「成形体が組成物を含む」とは、組成物が架橋触媒により架橋された状態で含まれることを意味する。
本実施形態の成形体としては、特に限定されず、例えば、パイプ、シート、フィルム及び微多孔膜等が挙げられる。成形体が微多孔膜である場合、リチウムイオン二次電池用セパレータに適用することが好ましい。すなわち、本実施形態の成形体(好ましくはリチウムイオン二次電池用セパレータ)は、本実施形態の組成物を含むものである。
[リチウムイオン二次電池]
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、前記正極及び負極との間に配されるリチウムイオン二次電池用セパレータとしての、本実施形態の成形体と、を備える。本実施形態のリチウムイオン二次電池は、所望により、さらに電解液を備えることが好ましい。正極、負極、電解液及びその他の蓄電デバイス部材については、蓄電デバイスの種類に応じて種々公知のものを適宜使用することができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明する。本実施形態は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
各種物性は、以下の測定方法及び評価方法により測定及び評価した。
[側鎖導入率]
実施例及び比較例で得られた重合体にo-ジクロロベンゼン(o-DCBz)を添加し、130℃で溶解した。室温で一晩放置後、下記の条件でH-NMR測定を行った。
H-NMR測定条件)
装置 : Bruker Avance NEO 600
観測核 :
観測周波数 : 600MHz
パルスプログラム : zg30
パルス待ち時間 : 1sec
積算回数 : 1024回
測定温度 : 130℃
化学シフト基準 : 7.219ppm(o-DCBz)
試料濃度 : 1wt%
試料管 : 5mmφ
[第1融解温度Tm1及び第2融解温度Tm2]
パーキンエルマー社製のDSC8000型示差走査熱量計を用い、以下の手順、条件で、DSC曲線を得た。
1)実施例及び比較例で得られた重合体から約8.4mgを採取してアルミパンに詰め、10℃/分で0℃から150℃まで昇温し、150℃で5分間保持した。
2)次に、150℃から10℃/分の降温速度で0℃まで降温し、降温完了後5分間保持した。
3)次に、0℃から10℃/分の昇温速度で150℃まで昇温した。
上記1)及び3)の過程で観察されるDSC曲線から特定される融解ピーク位置の最高温度を、それぞれ、第1融解温度Tm1(℃)及び第2融解温度Tm2(℃)とした。
[CFC10%溶出温度]
まず、充填剤を含有したカラムを140℃に昇温し、実施例及び比較例で得られた重合体をオルトジクロロベンゼンに溶かした試料溶液(濃度:16mg/8mL)を導入して120分間保持した。
次に、降温速度0.5℃/分で40℃まで降温した後、20分間保持し、試料を充填剤表面に析出させた。その後、カラムの温度を、昇温速度20℃/分で順次昇温した。40℃から80℃までは10℃間隔で昇温し、80℃から85℃までは5℃間隔で昇温し、85℃から90℃までは3℃間隔で昇温し、90℃から100℃までは1℃間隔で昇温し、100℃から120℃までは10℃間隔で昇温した。なお、各温度で20分間保持した後に昇温を行い、各温度で溶出した試料(ポリエチレン)の濃度を検出した。そして、試料の溶出量(質量%)とその時のカラム内温度(℃)との値より、溶出温度-溶出量曲線を測定し、各温度での溶出量、及び溶出積分量を得た。得られた溶出温度-溶出量曲線から特定される、全体の10%が溶出した時の温度をCFC10%溶出温度とした。
なお、測定の条件は、より詳細には以下のとおりとした。
装置:Polymer ChAR社製Automated 3D analyzer CFC-2
カラム:ステンレススチールマイクロボールカラム(3/8“o.d x 150mm)
溶離液:o-ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
試料溶液濃度:試料(ポリエチレン)20mg/o-ジクロロベンゼン20mL
注入量:0.5mL
ポンプ流量:1.0mL/分
検出器:Polymer ChAR社製赤外分光光度計IR4
検出波数:3.42μm
試料溶解条件:140℃×120分溶解
[密度]
JIS K7112:1999に従い、密度勾配管法(23℃)により、密度を測定した。
[メルトフローレート(MFR)]
JIS K7210 コードD:1999(温度=190℃、荷重=2.16kg)に従い、MFRを測定した。
[分子量分布(Mw/Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を分子量分布とした。GPC測定は、下記条件で行った。分子量の校正は、東ソー(株)製標準ポリスチレンのMW(Molecular weight)が10,500,000~2,060,000の範囲の12点で行い、それぞれの標準ポリスチレンのMWに係数0.43を乗じてポリエチレン換算分子量とし、溶出時間とポリエチレン換算分子量のプロットから一次校正直線を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を決定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
装置 :Polymer Char社製GPC-IR
検出器 :Polymer Char社製IR5
カラム :昭和電工(株)製UT-807(1本)と東ソー(株)製GMHHR-H(S)HT(2本)を直列に接続して使用
移動相 :オルトジクロロベンゼン
カラム温度 :140℃
流量 :1.0ml/分
試料濃度 :16mg/8mL
試料溶解温度:140℃
試料溶解時間:90分
[フィルム外観評価]
実施例及び比較例で得られた重合体と超高分子量ポリエチレンパウダー(旭化成(株)製「サンファインUH650」)と流動パラフィンとの合計を100質量部としたときに、12質量部の重合体と18質量部の超高分子量ポリエチレンパウダーと70質量部の流動パラフィン(株式会社MORESCO製流動パラフィン(製品名:スモイルP-350P))と、更に1質量部の酸化防止剤(グレートレイクスケミカル日本(株)製テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマート)]メタン(製品名:ANOX20))とを配合し、超高分子量ポリエチレンパウダーの融点(Tm2)より20℃低い温度で30分間撹拌することでスラリー状液体を調製した。
得られたスラリー状液体を(株)東洋精機社製ラボプラストミル(本体型式:4C150-01)に投入し、200℃一定、10分間、スクリュー回転数50rpmで混練した後、180℃/1MPa/3分で熱プレスし、更に180℃/10MPa/2分で熱プレスした後、25℃/10MPa/5分で冷却プレスすることで、ゲルシートを成形した。なお、厚み1.0mmの金枠を使用することで、ゲルシートの厚みを1.0mmに調整した。
同時二軸延伸機を用い、このゲル状シートを115℃で7×7倍に延伸した後、延伸フィルムをおよそ30cm角に切り出し、内寸25cm角の金枠に固定した。その後、ヘキサンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後、24時間以上乾燥した。更に120℃、1分で熱固定し、評価用フィルムを得た。この評価用フィルムの外観を目視で観察し、膜斑の有無等を踏まえ下記の基準にて評価した。
○:ムラなし
△:やや斑あるがほぼ均一
×:明確な斑があり濃淡が鮮明に視認できた
[製膜安定性評価]
上記[フィルム外観評価]において、フィルムを得るための同時二軸延伸の際、延伸速度を適宜変更した。均一に製膜できる延伸速度に基づいて次のとおり評価した。
○:延伸速度1500mm/minにおいて、フィルムに破れや厚み斑が発生なく、均一に製膜できた。
△:延伸速度1000mm/minにおいて、フィルムに破れや厚み斑が発生なく、均一に製膜できた。
×:延伸速度1000mm/minで均一に製膜できなかった。
[耐熱性評価]
上記[フィルム外観評価]において調製したスラリー状液体をキャストフィルム成型機にて樹脂温度200℃で50μm厚みのフィルムを作成した。このフィルムをおよそ30cm角に切り出し、内寸25cm角の金枠に固定した。その後、ヘキサンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後、24時間以上乾燥した。更に120℃、1分で熱固定した。そして熱固定後のフィルムを塩基(塩基性水溶液)或いは酸(酸水溶液)に浸漬させ6時間静置することによってシラン分子の脱水縮合反応を進行させ、シロキサン結合を形成させた。このフィルムを10mm×100mmに切り出し、長辺の両端を20mmずつチャックで固定した後、電気炉内で昇温させ、フィルムが溶融し脱落する温度を確認した。
○:溶融温度が180℃以上
×:溶融温度が180℃未満
[ヒューズ特性評価]
上記[耐熱性評価]において得られたフィルムをDSCにてTm2と同様の測定条件で測定したときの全ΔHに対する120℃以下のΔHの比率を確認した。比率が大きい程、120℃までに融解する成分が多いことを示すことから、多孔質体を形成して高温環境下に置かれた場合に融解成分による孔閉塞効果が期待でき、特に電池のセパレータとして使用した場合に電池の発熱を抑制することから、より高い安全性を担保できるものと評価した。具体的には次の基準にて評価した。
○:0.18以上
△:0.16以上0.18未満
×:0.16未満
[汚染性評価]
実施例及び比較例で得られた重合体のペレットにおいて、沸騰ノルマルヘキサン抽出量を、ソックスレー抽出器を用い、ペレット状に粉砕した架橋パイプ2gをノルマルヘキサン溶媒400mLで2時間抽出することで測定した。重合体に対する抽出分の質量割合(質量%)から下記基準により評価した。すなわち、質量割合が小さいほどセパレータから他の電池材料への汚染が生じ難いものと評価した。
○:抽出分が0.1質量%未満であった。
△:抽出分が0.1質量%以上0.2質量%未満であった。
×:抽出分が0.2質量%以上であった。
(固体触媒成分[A]の調製)
(1)原料[a-1]の合成
平均粒子径が7μm、表面積が700m/g、粒子内細孔容積が1.9mL/gの球状シリカを、窒素雰囲気下、500℃で5時間焼成し、脱水した。
窒素雰囲気下、容量1.8Lのオートクレーブ内で、この脱水シリカ40gをヘキサン800mL中に分散させ、スラリーを得た。
得られたスラリーを攪拌下20℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/L)100mLを1時間で滴下し、その後、同温度で2時間攪拌した。
その後、得られた反応混合物中をデカンテーションによって、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。このようにしてトリエチルアルミニウムで処理されたシリカ成分[a-1]のヘキサンスラリー800mLを得た。
(2)原料[a-2]の調整
[(N-t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム-1,3-ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」ともいう。)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]1250mLに溶解し、予め市販のブチルエチルマグネシウムの1mol/Lヘキサン溶液を40mL加え、さらにヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1mol/Lに調整し、成分[a-2]を得た。
(3)原料[a-3]の調整
ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム-トリス(ペンタフルオロフェニル)(4-ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」ともいう。)5.7gをトルエン50mLに添加して溶解し、ボレートの100mmol/Lトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1mol/Lヘキサン溶液5mLを室温で加え、さらにヘキサンを加えて溶液中のボレート濃度が70mmol/Lとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物[a-3]を得た。
(4)担持型メタロセン触媒の合成
上記(1)で得られたシリカ成分[a-1]スラリー800mLを、20℃で攪拌しながら、上記(2)で得られたチタニウム錯体[a-2]のうち32mLと上記(3)で得られたボレートを含む反応混合物[a-3]46mLを、同時に1時間かけて添加し、さらに同温度で1時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、ヘキサンで未反応の触媒原料を除去することにより、触媒活性種が該シリカ上に形成されている担持型メタロセン触媒(固体触媒成分[A])を得た。
(固体触媒成分[B]の調製)
(1)原料[b-1]の合成
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg(C)12Al(Cのヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2000mmol相当)を仕込み、50℃で攪拌しながら、5.47mol/Lのn-ブタノールヘキサン溶液146mLを3時間かけて滴下し、終了後ラインを300mLのヘキサンで洗浄した。さらに、50℃で2時間かけて攪拌を継続した。反応終了後、常温まで冷却したものを原料[b-1]とした。原料[b-1]はマグネシウムの濃度で0.704mol/Lであった。
(2)原料[b-2]の合成
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg(C)12Al(Cのヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2000mmol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを圧送、さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続させた。反応終了後、常温まで冷却したものを原料[b-2]とした。原料[b-2]はマグネシウムとアルミニウムの合計濃度で0.786mol/Lであった。
(3)[B-1]担体の合成
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、65℃で原料[b-1]のヘキサン溶液1340mL(マグネシウム943mmol相当)を3時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄し、[B-1]担体を得た。この担体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは7.5mmolであった。
(4)固体触媒成分[B]の調製
上記[B-1]担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら、1mol/Lの四塩化チタンのヘキサン溶液103mLと原料[b-2]131mLを同時に3時間かけて添加した。添加後、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、ヘキサンで4回洗浄することにより、未反応原料成分を除去し、固体触媒成分[B]を調製した。
(PE1の調製)
以下に示す連続式スラリー重合法によりエチレン-α-オレフィン共重合体(PE1)を得た。具体的には、攪拌装置を備えたベッセル型340L重合反応器を用い、重合温度80℃、重合圧力0.99MPa、平均滞留時間1.8時間の条件で連続重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサン80L/時間、触媒として上記の固体触媒成分[A]をTi原子換算で1.4mmol/時間、トリイソブチルアルミニウムを20mmol/時間で供給した。また、分子量調整のための水素をエチレンと1-ブテンの気相濃度に対して0.25mol%、1-ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.37mol%になるように供給することで、エチレン及び1-ブテンを共重合させた。尚、触媒は重合器の液面付近から供給し、エチレンおよび1-ブテンは重合器の底部から供給した。重合反応器内の重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように圧力0.05MPa、温度70℃のフラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、1-ブテン、水素を分離した。次に、圧力0.30MPa、温度65℃のバッファータンクに平均滞留時間1.0時間の条件で導き、その後、連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等とを分離した。分離されたエチレン-α-オレフィン共重合体を85℃で窒素ブローしながら乾燥してエチレン-α-オレフィン共重合体パウダーを得た。ついで、このパウダーを二軸押出成形機((株)日本製鋼所製のTEX-44;スクリュー径44mm;L/D=35、ここで、Lは重合反応機の原料供給口から排出口までの距離(m)であり、Dは重合反応機の内径(m)。以下、同じ。)を利用し、200℃の樹脂温度で溶融混錬して造粒し、ペレットを得た。
(PE2の調製)
以下に示す連続式スラリー重合法によりエチレン-α-オレフィン共重合体(PE2)を得た。具体的には、攪拌装置を備えたベッセル型340L重合反応器を用い、重合温度78℃、重合圧力0.5MPa、平均滞留時間1.6時間の条件で連続重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサン85L/時間、触媒として上記の固体触媒成分[B]をTi原子換算で1.1mmol/時間、トリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1混合物)を20mmol/時間で供給した。また、分子量調整のための水素をエチレンと1-ブテンとプロピレンの気相濃度に対して32mol%、1-ブテンをエチレンの気相濃度に対して7.8mol%、プロピレンをエチレンの気相濃度に対して0.5mol%になるように供給することで、エチレン及び1-ブテンを共重合させた。尚、触媒は重合器の液面付近から供給し、エチレンおよび1-ブテンは重合器の底部から供給した。重合反応器内の重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように圧力0.05MPa、温度70℃のフラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、1-ブテン、水素を分離した。次に、圧力0.30MPa、温度65℃のバッファータンクに平均滞留時間1.0時間の条件で導き、その後、連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等とを分離した。分離されたエチレン-α-オレフィン共重合体を85℃で窒素ブローしながら乾燥してエチレン-α-オレフィン共重合体パウダーを得た。ついで、このパウダーの全量に対して500ppmのオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを酸化防止剤として添加し、二軸押出成形機((株)日本製鋼所製TEX-44)を利用し、200℃の樹脂温度で溶融混錬して造粒し、ペレットを得た。
(PE3の調製)
以下に示す連続式スラリー重合法によりエチレン-α-オレフィン共重合体(PE3)を得た。具体的には、攪拌装置を備えたベッセル型340L重合反応器を用い、重合温度80℃、重合圧力0.99MPa、平均滞留時間1.8時間の条件で連続重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサン80L/時間、触媒として上記の固体触媒成分[A]をTi原子換算で1.4mmol/時間、トリイソブチルアルミニウムを20mmol/時間で供給した。また、分子量調整のための水素をエチレンと1-ブテンの気相濃度に対して0.30mol%、1-ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.22mol%になるように供給することで、エチレン及び1-ブテンを共重合させた。尚、触媒は重合器の液面付近から供給し、エチレンおよび1-ブテンは重合器の底部から供給した。重合反応器内の重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように圧力0.05MPa、温度70℃のフラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、1-ブテン、水素を分離した。次に、圧力0.30MPa、温度65℃のバッファータンクに平均滞留時間1.0時間の条件で導き、その後、連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等とを分離した。分離されたエチレン-α-オレフィン共重合体を85℃で窒素ブローしながら乾燥してエチレン-α-オレフィン共重合体パウダーを得た。ついで、このパウダーを二軸押出成形機((株)日本製鋼所製のTEX-44;スクリュー径44mm;L/D=35、ここで、Lは重合反応機の原料供給口から排出口までの距離(m)であり、Dは重合反応機の内径(m)。以下、同じ。)を利用し、200℃の樹脂温度で溶融混錬して造粒し、ペレットを得た。
(PE4の調製)
以下に示す連続式スラリー重合法によりエチレン-α-オレフィン共重合体(PE4)を得た。具体的には、攪拌装置を備えたベッセル型340L重合反応器を用い、重合温度78℃、重合圧力0.5MPa、平均滞留時間1.6時間の条件で連続重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサン85L/時間、触媒として上記の固体触媒成分[B]をTi原子換算で1.1mmol/時間、トリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1混合物)を20mmol/時間で供給した。また、分子量調整のための水素をエチレンと1-ブテンの気相濃度に対して30mol%、1-ブテンをエチレンの気相濃度に対して7.8mol%になるように供給することで、エチレン及び1-ブテンを共重合させた。尚、触媒は重合器の液面付近から供給し、エチレンおよび1-ブテンは重合器の底部から供給した。重合反応器内の重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように圧力0.05MPa、温度70℃のフラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、1-ブテン、水素を分離した。次に、圧力0.30MPa、温度65℃のバッファータンクに平均滞留時間1.0時間の条件で導き、その後、連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等とを分離した。分離されたエチレン-α-オレフィン共重合体を85℃で窒素ブローしながら乾燥してエチレン-α-オレフィン共重合体パウダーを得た。ついで、このパウダーの全量に対して300ppmのオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを酸化防止剤として添加し、二軸押出成形機((株)日本製鋼所製TEX-44)を利用し、200℃の樹脂温度で溶融混錬して造粒し、ペレットを得た。
(PE5の調製)
以下に示す連続式スラリー重合法によりエチレン-α-オレフィン共重合体(PE5)を得た。具体的には、攪拌装置を備えたベッセル型340L重合反応器を用い、重合温度78℃、重合圧力0.5MPa、平均滞留時間1.6時間の条件で連続重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサン85L/時間、触媒として上記の固体触媒成分[B]をTi原子換算で1.1mmol/時間、トリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1混合物)を20mmol/時間で供給した。また、分子量調整のための水素をエチレンと1-ブテンの気相濃度に対して30mol%、1-ブテンをエチレンの気相濃度に対して15.3mol%になるように供給することで、エチレン及び1-ブテンを共重合させた。尚、触媒は重合器の液面付近から供給し、エチレンおよび1-ブテンは重合器の底部から供給した。重合反応器内の重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように圧力0.05MPa、温度70℃のフラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、1-ブテン、水素を分離した。次に、圧力0.30MPa、温度65℃のバッファータンクに平均滞留時間1.0時間の条件で導き、その後、連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等とを分離した。分離されたエチレン-α-オレフィン共重合体を85℃で窒素ブローしながら乾燥してエチレン-α-オレフィン共重合体パウダーを得た。ついで、このパウダーを二軸押出成形機((株)日本製鋼所製TEX-44)を利用し、200℃の樹脂温度で溶融混錬して造粒し、ペレットを得た。
(PE6の調製)
以下に示す連続式スラリー重合法によりエチレン-α-オレフィン共重合体(PE6)を得た。具体的には、攪拌装置を備えたベッセル型340L重合反応器を用い、重合温度86℃、重合圧力0.5MPa、平均滞留時間1.6時間の条件で連続重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサン85L/時間、触媒として上記の固体触媒成分[B]をTi原子換算で1.1mmol/時間、トリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1混合物)を20mmol/時間で供給した。また、分子量調整のための水素をエチレンの気相濃度に対して50mol%になるように供給することで、エチレン及び1-ブテンを共重合させた。尚、触媒は重合器の液面付近から供給し、エチレンおよび1-ブテンは重合器の底部から供給した。重合反応器内の重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように圧力0.05MPa、温度70℃のフラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、1-ブテン、水素を分離した。次に、圧力0.30MPa、温度65℃のバッファータンクに平均滞留時間1.0時間の条件で導き、その後、連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等とを分離した。分離されたエチレン-α-オレフィン共重合体を85℃で窒素ブローしながら乾燥してエチレン-α-オレフィン共重合体パウダーを得た。ついで、このパウダーを二軸押出成形機((株)日本製鋼所製TEX-44)を利用し、200℃の樹脂温度で溶融混錬して造粒し、ペレットを得た。
(PE7の調製)
以下に示す連続式スラリー重合法によりエチレン-α-オレフィン共重合体(PE7)を得た。具体的には、攪拌装置を備えたベッセル型340L重合反応器を用い、重合温度85℃、重合圧力0.5MPa、平均滞留時間1.6時間の条件で連続重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサン85L/時間、触媒として上記の固体触媒成分[B]をTi原子換算で1.1mmol/時間、トリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライド(9:1混合物)を20mmol/時間で供給した。また、分子量調整のための水素をエチレンと1-ブテンの気相濃度に対して65mol%、1-ブテンをエチレンの気相濃度に対して7.8mol%になるように供給することで、エチレン及び1-ブテンを共重合させた。尚、触媒は重合器の液面付近から供給し、エチレンおよび1-ブテンは重合器の底部から供給した。重合反応器内の重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように圧力0.05MPa、温度70℃のフラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、1-ブテン、水素を分離した。次に、圧力0.30MPa、温度65℃のバッファータンクに平均滞留時間1.0時間の条件で導き、その後、連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等とを分離した。分離されたエチレン-α-オレフィン共重合体を85℃で窒素ブローしながら乾燥してエチレン-α-オレフィン共重合体パウダーを得た。ついで、このパウダーの全量に対して300ppmのオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを酸化防止剤として添加し、二軸押出成形機((株)日本製鋼所製TEX-44)を利用し、200℃の樹脂温度で溶融混錬して造粒し、ペレットを得た。
上記のとおり得られたPE1~PE7の製造条件及び物性値を表1に示す。
Figure 2023147511000001
(実施例1)
ブレンド用タンブラー内で、PE1のペレット(90質量%;1粒当たりの質量13mg)及びパウダー(10質量%)と、PE1の全量に対して200質量ppmの2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(過酸化物)と、PE1の全量に対して3質量%のビニルトリメトキシシラン(シラン)とを混合し、混合物を得た。このとき、まずPE1のペレット、過酸化物及びシランをブレンド用タンブラーに入れて20分混合し、次いで、PE1のパウダーを入れて更に20分混合した。以下、この一連の操作を「プレ混合(1)」と称する。
上記のようにして得られた混合物を、二軸押出成形機((株)日本製鋼所製TEX-44)を利用し、200℃の樹脂温度で溶融混錬し、滞留時間1分として、シラングラフト変性した重合体を得た。かかる重合体を前述の評価に供した結果を表2に示す。
(実施例2~9及び比較例1~10)
使用するポリエチレン種及びグラフト条件を表1に示すとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2~9及び比較例1~10の重合体を得た。各重合体を用い、前述の評価に供した結果を表2~3に示す。
Figure 2023147511000002
Figure 2023147511000003
なお、表中の「液添」及び「点滴」は次の操作を行ったことを意味する。
(液添)
各PEを二軸押出成形機((株)日本製鋼所製TEX-44)へフィードし、その溶融混練時に、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(過酸化物)及びビニルトリメトキシシラン(シラン)を溶融状態のPEに対してフィード(液添フィード)し、液添フィード後の滞留時間を4分とした。
(点滴)
各PEを二軸押出成形機((株)日本製鋼所製TEX-44)へフィードすると同時に2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(過酸化物)及びビニルトリメトキシシラン(シラン)を溶融前のPEに対してフィード(点滴フィード)し、点滴フィード後の滞留時間を1分とした。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン主鎖と、下記式(1)で表される側鎖と、を含む重合体であって、
    H-NMRにより測定される前記重合体の側鎖導入率が、1000Cあたり0.5以上4.0以下であり、
    DSCにより測定される前記重合体の第2融解温度Tm2が、130.0℃以下であり、
    前記重合体のCFC10%溶出温度が、70.0℃以上87.0℃以下であり、
    前記DSCにより測定される前記重合体の第2融解温度Tm2と第1融解温度Tm1との差が、Tm2-Tm1として、0.5℃以上3.0℃以下である、重合体。
    -(CR-SiR (OR3-m (1)
    (上記式(1)中、R~Rは、各々独立して、-C2x+1で表される基又はヒドロキシ基であり、ここで、xは、各々独立して、0~6の整数であり、nは0~8の整数であり、mは0~3の整数を表す。)
  2. 前記重合体の密度が、930kg/m以上960kg/m以下である、請求項1に記載の重合体。
  3. 前記重合体の190℃における2.16kg荷重でのMFRが、0.01g/10分以上20.0g/10分以下である請求項1又は2に記載の重合体。
  4. 前記重合体の分子量分布Mw/Mnが、4.0以上10.0以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体。
  5. 前記重合体の前記CFC10%溶出温度が、80.0℃以上87.0℃以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の重合体。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の重合体100質量部と、
    前記重合体以外のポリオレフィン3~500質量部と、
    を含む、組成物。
  7. 請求項6に記載の組成物を含む、成形体。
  8. 正極と、
    負極と、
    前記正極及び負極との間に配されるリチウムイオン二次電池用セパレータとしての、請求項7に記載の成形体と、
    を備える、リチウムイオン二次電池。
JP2022055046A 2022-03-30 2022-03-30 重合体、組成物、成形体及びリチウムイオン二次電池 Pending JP2023147511A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022055046A JP2023147511A (ja) 2022-03-30 2022-03-30 重合体、組成物、成形体及びリチウムイオン二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022055046A JP2023147511A (ja) 2022-03-30 2022-03-30 重合体、組成物、成形体及びリチウムイオン二次電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023147511A true JP2023147511A (ja) 2023-10-13

Family

ID=88289014

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022055046A Pending JP2023147511A (ja) 2022-03-30 2022-03-30 重合体、組成物、成形体及びリチウムイオン二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023147511A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5889844B2 (ja) 他の1種のポリマーと組み合わせた、長鎖分岐(lcb)、ブロック、または相互連結エチレンコポリマー
CN103864970B (zh) 乙烯聚合物以及拉伸成形体、微孔膜以及电池用隔膜
KR102484039B1 (ko) 4-메틸-1-펜텐계 중합체 입자 및 4-메틸-1-펜텐계 수지의 제조 방법
JP2014118535A (ja) エチレン重合体並びに延伸成形体、微多孔膜、及び電池用セパレーター
JP2010242081A (ja) ポリエチレン系樹脂発泡成形体、発泡シート、並びに食品包装容器、及びその製造方法
JP2017128658A (ja) エチレン−α−オレフィン共重合体
WO2010074001A1 (ja) プロピレン系樹脂組成物、成形体および容器
JP6791662B2 (ja) ポリエチレン系パウダー、ポリエチレン系パウダーの製造方法、ポリエチレン系樹脂組成物、及び架橋ポリエチレン管の製造方法
US8507608B2 (en) Propylene polymer resin composition
JP2020180279A (ja) ブテン系重合体、樹脂組成物および成形体
US20120225994A1 (en) Propylene resin composition
CN113045694A (zh) 聚乙烯树脂组合物
JP2023147511A (ja) 重合体、組成物、成形体及びリチウムイオン二次電池
WO2020000338A1 (en) Foam bead and sintered foam structure
JP6594139B2 (ja) 造核剤含有プロピレン系樹脂組成物の製造方法
US20220332913A1 (en) Silane Crosslinked Ethylene/a-Olefin Block Copolymer Bead Foam
JP6654872B2 (ja) エチレン−α−オレフィン共重合体及びその製造方法、シラングラフト変性ポリエチレン樹脂組成物、並びにシラン架橋ポリエチレンパイプ及びその製造方法
JP2019123770A (ja) ブテン系樹脂組成物および成形体
JP6594137B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物の製造方法
JP7099850B2 (ja) ポリエチレン系樹脂組成物及びそのパイプ
CN1772781A (zh) 制造改性丙烯聚合物的方法
CN116444881A (zh) 聚乙烯组合物
JP6594138B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物の製造方法
CN113366036B (zh) 树脂组合物
JP6357390B2 (ja) 変性ポリオレフィン粒子の製造方法および精製方法