JP2015155536A - 酸変性ポリオレフィン粒子及びその製造方法 - Google Patents

酸変性ポリオレフィン粒子及びその製造方法 Download PDF

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和人 杉山
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綾平 志賀
圭一 池田
Keiichi Ikeda
圭一 池田
伊崎 健晴
Takeharu Isaki
健晴 伊崎
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Abstract

【課題】酸化防止剤の如き添加剤を効率的且つ強固に吸着させ、添加剤固有の物理的性質又は化学的性質を付与することが可能な特定孔を有する多孔性酸変性ポリオレフィン粒子の提供。
【解決手段】不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体がグラフトされてなり、以下の要件(1)〜(4)を満たす酸変性ポリオレフィン粒子。(1)粒子表面に、0.05〜0.2μmの大きさの孔を10個〜400個含む1μm×1μmの領域を有する(2)不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体によるグラフト量が1.0重量%以上であり、極限粘度〔η〕が0.4dl/g以上である(3)平均粒径が0.2〜2.5mmである(4)190℃、30分加熱した際に発生するガス中に、分子量が150以下の脂肪族アルコール、及び分子量が250以下の芳香環含有化合物が共に、酸変性ポリオレフィン粒子1gあたり1〜10000μg含有される
【選択図】図1

Description

本発明は、酸変性ポリオレフィン粒子およびその製造方法に関するものである。
ポリオレフィン系樹脂は、耐薬品性、機械特性など多くの優れた特長を持つ一方で、非極性ポリマーであるために、極性物質との親和性が低いという欠点を有する。この欠点を克服するために、従来からポリオレフィンに炭素−炭素二重結合を有する有機カルボン酸などに由来する極性基を、有機過酸化物を開始剤としたグラフト反応により付与してポリオレフィンを変性する方法が利用されている。
このようなポリオレフィンの変性には、ポリオレフィンに変性剤を配合し、押出成形機等を用いてポリオレフィンを溶融状態で押出して高温、高せん断下で変性する方法(溶融法)あるいはポリオレフィンを溶媒に溶解し、この溶液に変性剤を配合してポリオレフィンの変性を行う方法(溶剤法)等が採用されている。
このような方法とは別に特開平2−140203には、粒状のポリオレフィン重合体を用い、当該ポリオレフィン重合体の溶融点以下の温度で変性する方法(固相法)および当該方法により製造された変性ポリオレフィン粒子が開示されている。固相法の利点は、変性反応の過程で、分子鎖に対して攪拌に伴うせん断力が作用しないため、せん断に伴う分子鎖の切断が発生せず、その分、分子量の低下を抑制できることにある。また、溶融法では、溶融・せん断の工程において多くのエネルギーを必要とするが、固相法ではそのような工程を経ないので少ないエネルギーで変性ポリオレフィン粒子を得ることができる。
特開平2−140203
本発明者らは、従来の固相法で得られた変性ポリオレフィン粒子は、表面に凹凸があるものの、孔のない緻密な構造を有していることを見出した。変性ポリオレフィン粒子の表面がこのように孔のない緻密構造である場合、例えば、粒子に物理的性質あるいは化学的性質を付与するために公知の添加剤、例えば各種の官能基を含有する、錯形成剤、界面活性剤、酸化防止剤などを導入しようとする場合にこれら物理的又は化学的性質を発現するに足りる添加剤を効果的に導入(吸着)できないことが懸念される。一つの例として、変性ポリオレフィン粒子に酸化防止剤を導入して酸化安定性を向上させる場合を想定した場合、公知技術では酸化安定性を発現させるための酸化防止剤の使用量を増やさざるを得ず経済的には好ましくない。酸化防止剤を導入するためにペレタイズする方法も考えられるが、ペレタイズにも多くの熱エネルギーが必要である。少ないエネルギーで粒子を得られる固相法のメリットを考慮すると、更なる改良が求められる。すなわち、本発明が目的とするところは、各種の添加剤を導入させやすくなるような多孔性の変性ポリオレフィン粒子を提供することである。すなわち本発明の解決課題は、酸化防止剤の如き添加剤を効率的且つ強固に吸着させ、添加剤固有の物理的性質又は化学的性質を付与することが可能な特定孔を有する多孔性酸変性ポリオレフィン粒子を提供することである。
本発明者らは、上記状況を鑑み鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次の[1]〜[14]に関する。
[1]ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸および/またはその誘導体がグラフトされてなり、且つ、以下の要件(1)〜(4)を満たす酸変性ポリオレフィン粒子:
(1)走査型電子顕微鏡を用い、倍率10000倍で粒子表面を観察したときに、粒子表面に、0.05μm〜0.2μmの大きさの孔を10個〜400個含む1μm×1μmの領域を有する。
(2)酸変性ポリオレフィン粒子100重量%あたりの、前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体によるグラフト量が1.0重量%以上であり、且つ、135℃デカリン中で測定した極限粘度〔η〕が0.4dl/g以上である。
(3)平均粒径が0.2mm〜2.5mmである。
(4)酸変性ポリオレフィン粒子を190℃、30分加熱した際に発生するガスの、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによって測定される.分子量が150以下の脂肪族アルコール、および分子量が250以下の芳香環含有化合物の含有量が共に、酸変性ポリオレフィン粒子1gあたり1μg以上10000μg以下である。
[2]走査型電子顕微鏡を用い、倍率10000倍で任意の3か所の粒子表面を13μm×10μmの視野で観察したときに、当該3か所中、1か所または2か所以上の粒子表面に、0.05μm〜0.2μmの大きさの孔を10個〜400個含む1μm×1μmの領域を有することを特徴とする請求項1に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
[3]前記グラフトが、ラジカル開始剤の存在下で上記ポリオレフィン樹脂をグラフト反応させることにより行われるものであり、当該ラジカル開始剤が、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物である[1]または[2]に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
[4]有機過酸化物が、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエートのいずれか1種、あるいは2種以上の組み合わせである[3]に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
[5]有機過酸化物が、t−ブチルパーオキシベンゾエートである[4]に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
[6]前記ポリオレフィン樹脂がプロピレン重合体である[1]〜[5]のいずれかに記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
[7]前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸である[1]〜[6]のいずれかに記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
[8]ポリオレフィン樹脂からなり、且つ平均粒径が0.2mm〜2.5mmであるポリオレフィン粒子に対して、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカルおよび分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカルを構成部位として含む有機過酸化物と、有機溶媒と、の3者を当該ポリオレフィン粒子が固体の状態で含浸させ、当該ポリオレフィン樹脂の示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点(Tm)以下の温度でグラフト反応を行い、前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子を得る、酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
[9]前記ポリオレフィン樹脂がプロピレン重合体である[8]に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
[10]前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸である[8]または[9]に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
[11]前記有機溶媒の、大気圧における沸点が、(Tm−10)℃よりも低い[8]〜[10]のいずれかに記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
[12]前記グラフト反応の温度が、前記有機溶媒の大気圧における沸点以上の温度である[8]〜[11]のいずれかに記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
[13]前記グラフト反応を密閉状態で行う[12]に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
[14]前記ポリオレフィン粒子が、プロピレン重合体からなる粒子であり、前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸であり、かつ、前記有機溶媒がトルエンまたは塩化ベンゼンである[8]〜[13]のいずれかに記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
本発明によれば、粒子表面に所定の孔を有する変性ポリオレフィン粒子を得ることができる。これにより、該粒子に物理的性質あるいは化学的性質を付与するために公知の添加剤、例えば各種の官能基を含有する、錯形成剤、界面活性剤、酸化防止剤、を導入しようとする場合にこれら物理的又は化学的性質を発現するに足りる最小限量の添加剤を効果的に導入できることが期待される。なお、後述する実施例においては、本発明の変性ポリオレフィン粒子に特定の酸化防止剤を含浸吸着させた場合に、高温時の酸化安定性が著しく向上する評価結果が示される。
走査型電子顕微鏡で撮影した、実施例1で得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の表面を表す画像を示す図である。 走査型電子顕微鏡で撮影した、比較例1で得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の表面を表す画像を示す図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
<酸変性ポリオレフィン粒子>
本発明に係る酸変性ポリオレフィン粒子は、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸および/またはその誘導体がグラフトされてなり、且つ、以下の要件(1)〜(4)を満たすことを特徴としている。
(1)走査型電子顕微鏡を用い、倍率10000倍で粒子表面を観察したときに、粒子表面に、0.05μm〜0.2μmの大きさの孔を10個〜400個含む1μm×1μmの領域を有する。
(2)グラフト変性ポリオレフィン樹脂全体の重量100重量%あたりの、前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体によるグラフト量が1.0重量%以上であり、且つ、135℃デカリン中で測定した極限粘度〔η〕が0.4dl/g以上である。
(3)平均粒径が0.2mm〜2.5mmである。
(4)酸変性ポリオレフィン粒子を190℃、30分加熱した際に発生するガスの、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによって測定される分子量が150以下の脂肪族アルコール、および分子量が250以下の芳香環含有化合物の含有量が共に、酸変性ポリオレフィン粒子1gあたり1μg以上10000μg以下である。
ここで、本発明にかかる酸変性ポリオレフィン粒子は、1μm×1μmの領域に含まれる0.05μm以上0.2μm以下の大きさの孔に着目しているが、これは、この大きさの孔が、当該粒子に物理的性質あるいは化学的性質を付与するための公知の添加剤、例えばポリオレフィン粒子の抗酸化性の如き保存安定性を高めるための酸化防止剤をポリオレフィン粒子内に均一に導入するために有効と考えられることに基づく。本発明では、上記1μm×1μmの領域において、0.05μm以上0.2μm以下の大きさの孔が、10個以上400個以下、好ましくは15個以上100個以下、より好ましくは20個以上50個以下含まれる。このような1μm×1μmの領域が酸変性ポリオレフィン粒子表面に存在すると、前記添加剤をポリオレフィン粒子内に均一に導入できる効果が期待できる。
ここで、本発明において、上記粒子表面の観察は、具体的には、任意の3箇所の粒子表面を13μm×10μmの視野で観察することによって行うことができる。この場合、本発明にかかる酸変性ポリオレフィン粒子は、このような1μm×1μmの領域を、当該3箇所のうち1箇所以上の粒子表面に有することが好ましい。
また、本発明にかかる酸変性ポリオレフィン粒子は、0.2mm以上2.5mm以下、好ましくは0.3mm以上1.5mm以下、より好ましくは0.3mm以上0.7mm以下の平均粒径を有している。ここで、本発明において、平均粒径は、レーザー光回折散乱法による平均粒径を意味する。本発明の酸変性ポリオレフィン粒子は、上記のような平均粒径を有することで、成形加工時や各種樹脂との混合の際の取り扱いの作業性が良好となる。
また、135℃のデカリン中で測定した極限粘度は0.4dl/g以上、好ましくは0.6dl/g以上、さらに好ましくは0.8dl/g以上、最も好ましくは0.9dl/g以上である。
本発明の酸変性ポリオレフィン粒子は、ラジカル開始剤の存在下で、ポリオレフィン樹脂をグラフト反応させることにより得られる。このとき、ラジカル開始剤として、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位、および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物が好ましく用いられる。なお本発明において「ラジカル部位」とは分子の部分構造を示す用語として用いられ、反応中間体や実在する分子種を示す用語ではない。
本発明において、190℃、30分加熱した際に発生するガスの、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによって測定される、分子量が150以下の脂肪族アルコール、および分子量が250以下の芳香環含有化合物は、グラフト反応の開始剤として用いる前記有機過酸化物の熱分解により発生したラジカルがポリオレフィンから水素を引き抜くことにより生成するものである。なお、有機過酸化物の熱分解により発生したラジカルは、ポリオレフィンの水素を引き抜くことにより、ポリオレフィンの分子鎖上に新たにラジカルを発生し、グラフト反応の起点となる。
本発明の酸変性ポリオレフィン粒子に含有しうる上記脂肪族アルコールの分子量は、より好ましくは、100以下、さらに好ましくは80以下である。このような条件を満たす分子量150以下のアルコールの例としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジオール(分子量146)、t−ブチルアルコール(分子量74)、t−へキシルアルコール(分子量102)、イソプロピルアルコール(分子量60)、エタノール(分子量46)、メタノール(分子量32)が挙げられる。これらのうちでも、t−ブチルアルコール、イソプロピルアルコールが好ましく、t−ブチルアルコールが特に好ましい。
また、本発明の酸変性ポリオレフィン粒子に含有しうる上記芳香環含有化合物の分子量は、250以下、より好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下である。このような条件を満たす芳香環含有化合物の例としては、アセトフェノン(分子量120)、α−クミルアルコール(分子量136)、3'−アセチルアセトフェノン(分子量162)、2−(3−アセチルフェニル)−2−プロパノール(分子量178)、α,α'−ジヒドロキシ−1,3−ジイソプロピルベンゼン(分子量194)、ベンゼン(分子量78)、安息香酸(分子量122)、メチル安息香酸(分子量136)、ジメチル安息香酸(分子量150)、などがあげられる。これらの化合物のなかでもより好ましいものはベンゼン、安息香酸、メチル安息香酸、ジメチル安息香酸であり、特に好ましいものはベンゼンである。
また、本発明の酸変性ポリオレフィンにおいて、分子量150以下の脂肪族アルコールの含有量および分子量が250以下の芳香環含有化合物の含有量は共に、酸変性ポリオレフィン粒子1gあたり1μg以上10000μg以下の範囲、好ましくは10μg以上5000μg以下、更に好ましくは20μg以上500μg以下、最も好ましくは20μg以上50μg以下の範囲である。なお、酸変性ポリオレフィン中の脂肪族アルコールと芳香環含有化合物の含有量は、グラフト反応後の酸変性ポリオレフィン粒子を、グラフト反応前のポリオレフィン粒子に対して浸透性を有し、かつ、未反応の不飽和カルボン酸および/またはその誘導体や、上記の有機過酸化物由来の分子量150以下の脂肪族アルコールおよび分子量が250以下の芳香環含有化合物を溶解することのできる溶媒で洗浄することにより、本願定義の範囲に収めることが可能である。
このような溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ベンジルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノールなどのアルコール類;エチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェニルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;および、これらの2種以上からなる混合溶媒を挙げることができる。好ましくはケトン類、アルコール類であり、アセトン、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、洗浄温度は、グラフト反応後のポリオレフィン粒子が粒子の形態を維持する限りにおいては室温以上の任意の温度で可能であるが、好ましくは室温〜110℃、より好ましくは40〜100℃、更に好ましくは50〜80℃である。
本発明の酸変性ポリオレフィンにおける分子量150以下の脂肪族アルコールの含有量または分子量が250以下の芳香環含有化合物の含有量が、上記上限値より大きい場合、特に、酸変性ポリオレフィン粒子1gあたり10000μgより大きい場合には、極性物質との接着性能に悪影響を及ぼすことがある。また、分子量150以下の脂肪族アルコールの含有量または分子量が250以下の芳香環含有化合物の含有量を、酸変性ポリオレフィン粒子1gあたり1μg未満とすることは精製工程が煩雑になり現実的でない。例えば、グラフト反応後の酸変性ポリオレフィン粒子を、高温のトルエン、キシレン等の溶媒に溶解させ、冷却した後に、アセトン等の極性溶媒を添加することで発生する沈殿を収集する(再沈殿法と呼ばれる)、などの方法によりアルコール含有量を低減することで1gあたり1μg未満の実現は可能ではあるが、一般に再沈殿法は多量の溶媒、熱エネルギーを用いるため、コスト的には得策ではない。このように、本発明では、上記酸変性ポリオレフィンにおける分子量150以下の脂肪族アルコールまたは分子量が250以下の芳香環を有する化合物の含有量を、酸変性ポリオレフィン粒子1gあたり1μg未満とすることを妨げるものではないが、このような再沈殿法のコストを考慮すると、そのような低い含有量とすることが必ずしも得策ではない場合がある。
有機過酸化物
本発明の酸変性ポリオレフィン粒子は、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸および/またはその誘導体がグラフトされてなり、且つ、上記要件(1)〜(4)を満たすものである限り、どのようなラジカル開始剤を用いて得られたものであっても良い。ただ、上述のように、本発明の酸変性ポリオレフィン粒子は、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物をラジカル開始剤として用い、当該ラジカル開始剤の存在下で上記ポリオレフィン樹脂をグラフト反応させて得られたものが好ましい。
このような有機過酸化物の例としては、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,3−ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、クミルパーオキシネオデカノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、が挙げられる。このような有機過酸化物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。この中でも、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエートがより好ましく、t−ブチルパーオキシベンゾエートが特に好ましい。
有機過酸化物の使用量は、グラフト反応に用いられるポリオレフィン粒子100重量部に対して、通常は、0.01〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは2〜15重量部の量である。
分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物は、変性前のポリオレフィン樹脂との相溶性が良好で、かつ、発生するラジカルが低分子量であるために、ポリオレフィンに含浸させた状態で固相にて反応させる際に、固相内部での拡散が容易であるため、グラフト量を向上させるのみならず、粒子全体に亘っての均一なグラフトを行うために有利であると考えられる。
ポリオレフィン樹脂
本発明において、ポリオレフィン樹脂は、本発明の酸変性ポリオレフィン粒子の基材となるものである。
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂は、特に限定されるものではないが、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、2−メチルブテン−1、3−メチルブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、3,3−ジメチルブテン−1、ヘプテン−1、メチルヘキセン−1、ジメチルペンテン−1、トリメチルブテン−1、エチルペンテン−1、オクテン−1、メチルペンテン−1、ジメチルヘキセン−1、トリメチルペンテン−1、エチルヘキセン−1、メチルエチルペンテン−1、ジエチルブテン−1、プロピルペンテン−1、デセン−1、メチルノネン−1、ジメチルオクテン−1、トリメチルヘプテン−1、エチルオクテン−1、メチルエチルヘプテン−1、ジエチルヘキセン−1、ドデセン−1およびヘキサドデセン−1、等のα−オレフィンの単独重合体、あるいは、共重合体を挙げることができる。これらの中でも、耐熱性、機械特性のバランスから、プロピレン重合体が好ましく、その中でも、プロピレンの単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテン−1ランダム共重合体が特に好ましい。なお、本明細書において、単独重合体および共重合体を包括する概念として、単に「重合体」という語が用いられることがある。
不飽和カルボン酸および/またはその誘導体
本発明の変性ポリオレフィン粒子には、不飽和カルボン酸及び/またはその誘導体がグラフトされた状態で含まれている。具体的には、本発明の酸変性ポリオレフィン粒子は、上記ポリオレフィン樹脂を構成するポリオレフィン鎖に対して、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体由来の繰り返し単位が導入された構造を有する。
ここで、本発明の酸変性ポリオレフィン粒子にグラフトされる不飽和カルボン酸としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ナジック酸、エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸が好適に挙げられる。
また、グラフトされる不飽和カルボン酸は、遊離酸の形態を有するものに限られず、対応する誘導体の形態を有していてもよい。例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸など対応する酸無水物の形態を有していてもよい。また、例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステル等の形態を有するものであっても良く、このような不飽和カルボン酸誘導体として、具体的には塩化マレニル、マレニルイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル等を挙げることができる。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好ましく、特にマレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物が好適である。
これらの不飽和カルボン酸および/またはその誘導体は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、無水マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸を使用することが好ましい。なお、後述する実施例において「不飽和カルボン酸」という語は、慣例上、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物についても用いられることがある。
本発明の酸変性ポリオレフィン粒子を構成するグラフト変性ポリオレフィン樹脂において、グラフトした不飽和カルボン酸および/またはその誘導体の含有量は1.0重量%以上、好ましくは1.4重量%以上、より好ましくは1.8重量%以上、さらに好ましくは2.0重量%以上、最も好ましくは2.4重量%以上である。なお、本発明においては当該含有量をグラフト量またはM値と表記する場合がある。グラフトした不飽和カルボン酸および/またはその誘導体の量に上限はないが、20重量%を超えると一般的には、未変性のポリオレフィンとの相溶性が悪化する傾向にあるので、20重量%を超えないことが好ましい。
ここで、上記「不飽和カルボン酸および/またはその誘導体」が2種以上用いられる場合、これらの含有量の合計が1.0重量%以上であれば良く、これらの含有量の合計として上記好ましい範囲内にあることが好ましい。
<酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法>
上述した本発明の酸変性ポリオレフィン粒子を得るための製造方法は、得られる酸変性ポリオレフィン粒子が上述した要件を満たす限りにおいて、特に制限されない。
ただ、本発明の酸変性ポリオレフィン粒子を得るための好適な製造方法として、ポリオレフィン樹脂からなり、且つ平均粒径が0.2mm〜2.5mmであるポリオレフィン粒子と、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体とのグラフト反応によって酸変性ポリオレフィン粒子を得る方法が挙げられる。ここで、このグラフト反応は、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物を開始剤として、当該ポリオレフィン粒子の融点(Tm)以下の温度で行うことができる。このグラフト反応は、有機溶媒の存在下で行うことが好ましい。
より具体的には、ポリオレフィン樹脂からなり、且つ平均粒径が0.2mm〜2.5mmであるポリオレフィン粒子に対して、
不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、
分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物と、
有機溶媒と、
の3者を、当該ポリオレフィン粒子が固体の状態で含浸させ、当該ポリオレフィン樹脂の融点Tm以下の温度でグラフト反応を行うことで、本発明の酸変性ポリオレフィン粒子を好適に得ることができる。ここで、ポリオレフィン樹脂の融点Tmは、当該ポリオレフィン樹脂を、示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点である。
ここで、グラフト反応に用いられるポリオレフィン粒子は、上記「ポリオレフィン樹脂」の項で上述したポリオレフィン樹脂からなるものとすることができ、0.2mm以上2.5mm以下、好ましくは、0.3mm以上1.5mm以下、より好ましくは0.3mm以上0.7mm以下の平均粒径を有する。
また、グラフト反応に用いられる不飽和カルボン酸および/またはその誘導体は、上記「不飽和カルボン酸および/またはその誘導体」の項で上述したものとすることができ、その使用量は、ポリオレフィン粒子100重量部に対して、通常は0.01〜50重量部、好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは2〜16重量部の量である。
また、グラフト反応に用いられる有機過酸化物は、上記「有機過酸化物」の項で上述したものとすることができ、その使用量は、ポリオレフィン粒子100重量部に対して、通常は、0.01〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは2〜15重量部の量である。
グラフト反応に用いられる有機溶媒としては、ポリオレフィン粒子の非晶性オレフィン重合体部に対して膨潤性を示す溶媒、すなわち膨潤溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒として膨潤溶媒を使用することにより、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、並びに、有機過酸化物がポリオレフィン粒子の内部にまで良好に侵入するので、ポリオレフィン粒子の内部まで均一に変性を行うことが可能となる。
このような膨潤溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂環族炭化水素系溶媒、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらのうち、トルエンおよび塩化ベンゼンが好ましい。以上のような膨潤溶媒は、1種単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせたものであっても良い。
ここで、グラフト反応に用いられる有機溶媒として、上記の膨潤溶媒に、貧溶媒を適当量混合したものを使うことも可能である。貧溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エーテル、ジメチルフタレート等のエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキシアニソール等のエーテル系溶媒を挙げることができる。この貧溶媒の量は、膨潤溶媒100重量部に対して例えば0.1〜100重量部とすることができる。
上記の膨潤溶媒と貧溶媒を混合した有機溶媒は、上述のように使用されるポリオレフィン粒子と接触した場合に、該ポリオレフィン粒子、特に重合体粒子の非晶性オレフィン重合体部を膨潤させて変性剤およびラジカル開始剤が該粒子内に侵入しやすくする役割を果たしている。
上記のような膨潤溶媒を用いる場合、膨潤溶媒は、ポリオレフィン粒子100重量部に対して通常は、5〜50重量部、好ましくは12〜40重量部の量で使用される。
さらに、本発明において、上記有機溶媒は、大気圧における沸点が、ポリオレフィン粒子を構成するポリオレフィン樹脂の示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点をTmとしたときに、(Tm−10)℃よりも低いものであることが好ましい。このような沸点の有機溶媒は、グラフト反応の温度において、分子の運動性が良好なため、膨潤効果が更に良好である。
また、本発明の製造方法において、上記ポリオレフィン粒子と、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、上記有機過酸化物との接触方法および接触順序については、特に制限はなく、種々の方法を採用することができる。
上記のような成分の接触順序あるいは接触方法の例として以下のものが挙げられる:
(p1)ポリオレフィン粒子と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と有機過酸化物と有機溶媒とを混合して混合物とし、その後、この混合物を反応させる方法;
(p2)ポリオレフィン粒子と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と有機溶媒とを予め昇温状態で混合して原料混合物とし、この原料混合物を一旦冷却した後に、有機過酸化物をさらに混合し、これらを反応させる方法;
(p3)ポリオレフィン粒子と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と有機溶媒とを混合して原料混合物とし、ついでこの原料混合物を加熱するなどすることにより、この原料混合物を反応が実質的に進行しうる状態に導いた後、有機過酸化物をさらに配合し、これらを反応させる方法;
(p4)ポリオレフィン粒子と有機過酸化物と有機溶媒とを混合して原料混合物とし、ついでこの原料混合物を加熱するなどすることにより、この原料混合物を反応が実質的に進行しうる状態に導いた後、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体をさらに配合し、これらを反応させる方法;
(p5)ポリオレフィン粒子を、加熱するなどすることにより反応が実質的に進行しうる状態に導いた後、このポリオレフィン粒子に対して、下記(s5a)〜(s5d)のうちのいずれかの工程を行う方法:
(s5a)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、有機過酸化物、および有機溶媒を同時に混合して、これらを反応させる工程、
(s5b)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、有機過酸化物、および有機溶媒の各成分を任意の量に分割したうえで、各成分を、分割した量ごとに同時に混合して、これらを反応させる工程、
(s5c)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、有機過酸化物、および有機溶媒のうち、任意の1成分、または2成分を先行して、当該成分の所定量を一度に、あるいは分割して混合したあとに、残りの2成分、または1成分を、当該成分の所定量を一度に、あるいは分割して混合した後に、これらを反応させる工程、
(s5d)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、有機過酸化物、および有機溶媒を1成分ずつ、任意の順序で混合した後に、これらを反応させる工程;
(p6)ポリオレフィン粒子を、加熱するなどすることにより反応が実質的に進行しうる状態に導いた後、このポリオレフィン粒子に対して、下記(s6a)または(s6b)の工程を行う方法:
(s6a)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体の有機溶媒溶液、および、有機過酸化物の有機溶媒溶液を同時に、低速で連続的に供給し、反応させる工程、
(s6b)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体の有機溶媒溶液、および、有機過酸化物の有機溶媒溶液の任意の何れかを先行して、低速で連続的に供給した後、他方の有機溶媒溶液を低速で連続的に供給して反応させる工程、
(p7)ポリオレフィン粒子と有機過酸化物と有機溶媒を混合して混合物とし、この混合物を加熱しながら気体状態の不飽和カルボン酸および/またはその誘導体に接触させて、反応させる方法。
ここで、グラフト反応は、ポリオレフィン粒子が固体状態の粒子形状を実質的に維持する範囲の温度で行われる。すなわち、本発明においては、ポリオレフィン粒子が溶融して粒子同士が互いに融着しない温度以下の温度で変性反応を行う。一般にこのような状態で変性を行うことができる温度は、ポリオレフィンの種類によって異なるが、一般的には、ポリオレフィン粒子を構成するポリオレフィン樹脂の示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点をTmとしたときに、(Tm−10)℃から(Tm−30)℃の温度範囲が好適に挙げられ、これは、あらかじめ実験的に知ることができる。
ポリオレフィン粒子を構成するポリオレフィン樹脂の変性温度の上限を示せば、ポリ−4−メチルペンテン−1を主成分とするポリオレフィン粒子(示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点が220〜230℃の範囲)の変性温度の上限は200℃前後であり、ポリプロピレンを主成分とするポリオレフィン粒子(示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点=約160℃)の上限は150℃前後であり、高密度ポリエチレンを主成分とするポリオレフィン粒子(示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点が125〜135℃の範囲)の上限は115℃前後であり、低密度ポリエチレン(示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点が100〜120℃の範囲)を主成分とするポリオレフィン粒子の変性温度の上限は90℃前後である。
グラフト反応の温度は、上記の条件を満たす限りにおいては、できるだけ高い温度であることが、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、有機過酸化物およびその熱分解で発生するラジカルのポリオレフィン粒子内への拡散、均一含浸のために好ましい。この点からは、グラフト反応の温度を、反応溶媒として用いる有機溶媒の沸点以上の温度とすることが好ましい。
具体的には、ポリオレフィン粒子を構成するポリオレフィン樹脂の示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点をTmとしたときに、大気圧における沸点が(Tm−10)℃よりも低い有機溶媒の、当該沸点以上の温度とすることが好ましい。
上記のようなグラフト反応は、ポリオレフィン粒子の混合および加熱が可能な装置であれば特に制限なく使用することができる。例えば縦型および横型のいずれの反応器であっても使用することができる。具体的には、流動床、移動床、ループリアクター、攪拌翼付横置反応器、攪拌翼付縦置反応器、回転ドラム、等を挙げることができる。
ただし、反応途上における有機溶媒の揮散を防止するために、反応は密閉状態で行うことが好ましい。この点、グラフト化反応をオートクレーブ内で行うことが好ましい。
上記のようなグラフト反応のための反応時間は、反応温度や用いる有機過酸化物の分解反応の半減期等の条件を考慮して適宜設定することができる。通常は、反応温度における有機過酸化物の分解半減期の3〜10倍、好ましくは4〜6倍である。具体的には、通常は、1/60〜20時間、好ましくは0.5〜15時間である。
次に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例・比較例において、各種の分析方法は以下の手順により行った。
(1)粒子表面の0.05〜0.2μmの大きさの孔の数
日本電子株式会社製、走査型電子顕微鏡JSM−6380型を用い、倍率10000倍で任意の3箇所の粒子表面を、10μm×13μmの視野で観察し、粒子表面の1μm四方に存在する0.05μm以上0.2μm以下の大きさの孔の数が、最大になるような箇所について、その最大値を求めた。
また、3箇所を個々に見たときの測定は、以下のように行った。走査型電子顕微鏡JSM−6380型を用い、倍率10000倍で粒子表面を、10μm×13μmの視野で観察し、粒子表面の1μm四方に存在する0.05μm以上0.2μm以下の大きさの孔の数が、最大になるような任意の3箇所について孔数を測定した。
(2)分子量が150以下の脂肪族アルコール、および分子量が250以下の芳香族環含有化合物の測定
20mg(もしくは10mg)のサンプルを20mlのバイヤルビンに入れて密栓し、ヘッドスペースサンプラーを用いて190℃、30分加熱し、そのヘッドスペースガスをガスクロマトグラフィー質量分析法により分析した。
ここで、例えば分子量が150以下の脂肪族アルコールとしてのt−ブチルアルコール含有量を測定する場合は、t−ブチルアルコールのマススペクトルに特徴的な開裂イオン(m/z 59)を用いた抽出イオンクロマトグラム処理により得られた保持時間6.54分のピーク面積を用いて、絶対検量線法により発生量を求めた。また、分子量が250以下の芳香環含有化合物としてのベンゼン含有量を測定する場合は、保持時間7.5分のピーク面積を用いて、絶対検量線法により発生量を求めた。
(3)極限粘度(〔η〕)
試料をデカリンに溶かし希薄溶液を作る。自動粘度測定装置でウベローデ改良型粘度計を用いて、135℃の比粘度を測定し、極限粘度を算出した。
(4)未グラフト不飽和カルボン酸の除去
反応終了後の酸変性ポリオレフィン粒子から未反応の不飽和カルボン酸を完全に除去するために、以下の操作をおこなった:酸変性ポリオレフィン粒子1gを採取し、キシレン約50mlを加え、還流冷却器を備えたフラスコ中で加熱溶解させた。ついで溶液を室温まで冷却し、アセトンを加えて酸変性ポリオレフィンを析出させたのち、濾過し、得られた析出物を乾燥処理した。
(5)不飽和カルボン酸のグラフト量
未グラフト不飽和カルボン酸を除去した酸変性ポリオレフィンを250℃で熱プレスして300μmのフィルムを作成し、赤外吸収スペクトルを測定し、1790cm-1付近の吸収より、不飽和カルボン酸グラフト量を定量した。この値を、予め求めておいた1H−NMRによる測定値と赤外吸収スペクトルによる値との相関による検量線により、1H−NMRによる測定値に換算した。
(6)平均粒径
各ポリオレフィン粒子試料及び各酸変性ポリオレフィン粒子試料の平均粒径は、レーザー光回折散乱法により、エタノールを分散媒体として測定した。
(7)融点(Tm)
各種ポリオレフィン粒子の融点(Tm)は、示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定することにより測定した。具体的には、測定は、粒子形状の試料をアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、昇温時のΔHが1J/g以上の融解ピーク頂点の位置の温度を融点とした。
(8)メルトフローレート(MFR)
各種ポリオレフィン粒子のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に従い、230℃、2.16kg荷重の条件下で測定施した。
(9)過酸化物の略称
下記に示す各実施例および比較例において用いられる過酸化物の略称は、以下の化合物または製品を指す。
PB‐Z:t−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社・パーブチルZ)
NPBMT:ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイル−m−メチルベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイドの混合物(理論活性酸素量=6.05%、日油株式会社・ナイパー(登録商標)BMT−K40、40%キシレン溶液)
PH‐25B:2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油株式会社・パーヘキサ25B)
(10)酸化防止剤を吸着させた酸変性ポリオレフィン粒子の抗酸化性の評価
酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(ビーエーエスエフ社製、イルガノックス1010)の1グラムをテトラヒドロフラン9グラムに溶解させたものに、酸変性ポリオレフィン粒子1グラムを投入し、室温にて24時間放置し、グラフト重合体粒子に酸化防止剤を含浸させた。ついで、G2のガラスフィルターを用いて酸変性ポリオレフィン粒子を濾過し、室温にて乾燥させた。この状態の酸変性ポリオレフィン粒子0.5グラムを5グラムのメタノールに投入し、室温で10分間撹拌し、酸変性ポリオレフィン粒子表面に付着した未含浸の酸化防止剤を除去した。このようにして得られた、酸化防止剤が吸着されたた酸変性ポリオレフィン粒子について、200℃、酸素雰囲気の条件下で酸化誘導時間を測定した。なお、本願発明者らは本実施例において酸化誘導時間が長い(すなわち、抗酸化性に優れる)ということは、酸化防止剤の孔部分への含浸と吸着が十分に進行していることと等価であると考えている。
[実施例1]
MFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体粒子(融点:160℃)100重量部を1リットルのオートクレーブに仕込み、室温、窒素雰囲気下で攪拌しつつ、無水マレイン酸5重量部をトルエン17重量部に溶解させた溶液および有機過酸化物としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社・パーブチルZ)3.3重量部をトルエン3.5重量部に溶解させた溶液を同時に並行して約20分かけて滴下した。滴下終了後、30分攪拌を継続した後、140℃に加熱したオイルバスにより1時間40分、加熱して反応させた。反応中は、オートクレーブは密閉状態とした。反応終了後、冷却してオートクレーブの内容物を抜き出した。これにアセトンを加えて合計の体積を1リットルとし、室温で10分間攪拌した後、濾過を行った。同様の操作を合計で4回繰り返し、60℃で5時間、真空乾燥を行った。
このようにして得られた無水マレイン酸グラフトポリプロピレン粒子について、任意の3箇所の粒子表面を、10μm×13μmの視野で観察した結果、粒子表面の1μm四方に存在する0.05μm〜0.2μmの大きさの孔の数は最大で23個であった。
この無水マレイン酸グラフトポリプロピレン粒子における無水マレイン酸のグラフト量は、1.8wt%であり、平均粒径は390μmであった。
この無水マレイン酸グラフトポリプロピレン粒子について、上記(10)に記載する方法により求めた、酸化誘導時間は24分であった。また、有機過酸化物の分解由来のアルコールとしてのt−ブチルアルコールの含有量、および、有機過酸化物の分解由来の芳香族炭化水素としてのベンゼンの含有量を、前記ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより測定したところ、無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子1gあたりそれぞれ、12μg、10μgであった。
この無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の極限粘度〔η〕は、0.87dl/gであった。
[比較例1]
過酸化物として日油株式会社製、ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイル−m−メチルベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイドの混合物の40%キシレン溶液;商品名 ナイパー(登録商標)BMT‐K40、を11重量部使用し、反応温度を100℃、反応時間を4時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子を得た。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の分析結果を表1に示す。
ここで、図1および図2に、各々実施例1および比較例1で得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の表面を、それぞれ走査型電子顕微鏡を用いて撮影して得られた画像を示す。
[実施例2]
実施例1で用いたものと同じMFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体粒子100重量部を1リットルのオートクレーブに仕込み、室温、窒素雰囲気下で攪拌しつつ、有機過酸化物としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社・パーブチルZ)13重量部をトルエン3.5重量部に溶解させた溶液を約20分かけて滴下した。滴下終了後、常温にて30分間、攪拌を継続し、系を密閉後、130℃のオイルバスに浸漬し、加熱を開始した。加熱開始と同時に、オイルバスの温度を130℃に維持したまま、無水マレイン酸15重量部をトルエン35重量部に溶解させた液を1時間40分かけて滴下し、更に、3時間20分、加熱して反応させた。反応終了後、冷却してオートクレーブの内容物を抜き出し、実施例1と同様の後処理を行った。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の物性を表1に示す。
ここで、表1中、反応時間の項に*1とあるのは、ポリプロピレン単独重合体に対して、過酸化物のトルエン溶液を添加し、130℃に昇温後に無水マレイン酸のトルエン溶液を1時間40分かけて滴下し、更に3時間20分反応させたことを意味する。
[実施例3]
実施例1で用いたものと同じMFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体粒子100重量部を1リットルのオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しつつ、130℃のオイルバスで加熱する。この状態で、オートクレーブ内に、無水マレイン酸15重量部をトルエン35重量部に溶解させた溶液と、有機過酸化物としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社・パーブチルZ)13重量部をトルエン3.5重量部に溶解させた溶液とを同時に並行して滴下した。滴下に要する時間は、無水マレイン酸のトルエン溶液は4時間、t−ブチルパーオキシベンゾエートのトルエン溶液は2時間40分とした。無水マレイン酸のトルエン溶液を滴下終了後、さらに1時間、加熱・攪拌を継続し、反応終了とした。反応中は、オートクレーブは密閉状態とした。反応終了後、冷却してオートクレーブの内容物を抜き出し、実施例1と同様の後処理を行った。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレンの物性を表1に示す。
ここで、下記表1中、反応時間の項に*2とあるのは、最初にポリプロピレン単独重合体のみ反応容器に仕込み、130℃に昇温の後、無水マレイン酸のトルエン溶液を4時間、過酸化物のトルエン溶液を2時間40分かけて滴下し、更に1時間反応させたことを意味する。
[比較例2]
実施例1で用いたものと同じプロピレン単独重合体粒子100重量部をセパラブルフラスコに仕込み、無水マレイン酸を15重量部、過酸化物として2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油株式会社・パーヘキサ25B)の11重量部を16重量部のアセトンにあらかじめ溶解させたものを添加して、室温、窒素雰囲気下で攪拌した。ついで、いったん混合物を60℃のオイルバスで加熱してアセトンを除去したのち、オイルバスの温度を145℃に変更し、5時間、反応を行わせた。反応終了後は、実施例1と同様の後処理を行った。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の分析結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1で用いたものと同じMFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体粒子(融点:160℃)100重量部、無水マレイン酸5重量部をトルエン17重量部に溶解させた溶液、過酸化物としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社・パーブチルZ)3.3重量部を、容量20mlの耐圧容器に仕込み、内部を窒素置換した後に、密栓し、130℃に加熱したオイルバスにより5時間、加熱して反応させた。反応終了後、冷却して耐圧容器の内容物を抜き出し、実施例1と同様の後処理を行った。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の物性を下記表1に示す。
[実施例5]
MFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体粒子(融点:160℃)の代わりに、MFR=5.4(g/10分)、平均粒径230μmのプロピレン単独重合体粒子(融点:160℃)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行った。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の物性を下記表1に示す。
[実施例6]
MFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体粒子(融点:160℃)の代わりに、MFR=3.1(g/10分)、平均粒径1300μmのプロピレン単独重合体粒子(融点:160℃)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行った。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の物性を下記表1に示す。

Claims (14)

  1. ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸および/またはその誘導体がグラフトされてなり、且つ、以下の要件(1)〜(4)を満たす酸変性ポリオレフィン粒子:
    (1)走査型電子顕微鏡を用い、倍率10000倍で粒子表面を観察したときに、粒子表面に、0.05μm〜0.2μmの大きさの孔を10個〜400個含む1μm×1μmの領域を有する。
    (2)酸変性ポリオレフィン粒子100重量%あたりの、前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体によるグラフト量が1.0重量%以上であり、且つ、135℃デカリン中で測定した極限粘度〔η〕が0.4dl/g以上である。
    (3)平均粒径が0.2mm〜2.5mmである。
    (4)酸変性ポリオレフィン粒子を190℃、30分加熱した際に発生するガスの、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによって測定される分子量が150以下の脂肪族アルコール、および分子量が250以下の芳香環含有化合物の含有量が共に、酸変性ポリオレフィン粒子1gあたり1μg以上10000μg以下である。
  2. 走査型電子顕微鏡を用い、倍率10000倍で任意の3か所の粒子表面を13μm×10μmの視野で観察したときに、当該3か所中、1か所または2か所以上の粒子表面に、0.05μm〜0.2μmの大きさの孔を10個〜400個含む1μm×1μmの領域を有することを特徴とする請求項1に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
  3. 前記グラフトが、ラジカル開始剤の存在下で上記ポリオレフィン樹脂をグラフト反応させることにより行われるものであり、
    当該ラジカル開始剤が、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
  4. 有機過酸化物が、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエートのいずれか1種、あるいは2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
  5. 有機過酸化物が、t−ブチルパーオキシベンゾエートであることを特徴とする請求項4に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
  6. 前記ポリオレフィン樹脂がプロピレン重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
  7. 前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
  8. ポリオレフィン樹脂からなり、且つ平均粒径が0.2mm〜2.5mmであるポリオレフィン粒子に対して、
    不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、
    分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香族炭化水素ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物と、
    有機溶媒と、
    の3者を当該ポリオレフィン粒子が固体の状態で含浸させ、当該ポリオレフィン樹脂の示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点(Tm)以下の温度でグラフト反応を行い、請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子を得る、酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
  9. 前記ポリオレフィン樹脂がプロピレン重合体であることを特徴とする請求項8に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
  10. 前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸であることを特徴とする請求項8または9に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
  11. 前記有機溶媒の、大気圧における沸点が、(Tm−10)℃よりも低いことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
  12. 前記グラフト反応の温度が、前記有機溶媒の大気圧における沸点以上の温度であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
  13. 前記グラフト反応を密閉状態で行うことを特徴とする請求項12に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
  14. 前記ポリオレフィン粒子が、プロピレン重合体からなる粒子であり、
    前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸であり、かつ、
    前記有機溶媒がトルエンまたは塩化ベンゼンである
    ことを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
JP2015007418A 2014-01-20 2015-01-19 酸変性ポリオレフィン粒子及びその製造方法 Pending JP2015155536A (ja)

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