JP2015155536A - 酸変性ポリオレフィン粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体がグラフトされてなり、以下の要件(1)〜(4)を満たす酸変性ポリオレフィン粒子。(1)粒子表面に、0.05〜0.2μmの大きさの孔を10個〜400個含む1μm×1μmの領域を有する(2)不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体によるグラフト量が1.0重量%以上であり、極限粘度〔η〕が0.4dl/g以上である(3)平均粒径が0.2〜2.5mmである(4)190℃、30分加熱した際に発生するガス中に、分子量が150以下の脂肪族アルコール、及び分子量が250以下の芳香環含有化合物が共に、酸変性ポリオレフィン粒子1gあたり1〜10000μg含有される
【選択図】図1
Description
[1]ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸および/またはその誘導体がグラフトされてなり、且つ、以下の要件(1)〜(4)を満たす酸変性ポリオレフィン粒子:
(1)走査型電子顕微鏡を用い、倍率10000倍で粒子表面を観察したときに、粒子表面に、0.05μm〜0.2μmの大きさの孔を10個〜400個含む1μm×1μmの領域を有する。
(2)酸変性ポリオレフィン粒子100重量%あたりの、前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体によるグラフト量が1.0重量%以上であり、且つ、135℃デカリン中で測定した極限粘度〔η〕が0.4dl/g以上である。
(3)平均粒径が0.2mm〜2.5mmである。
(4)酸変性ポリオレフィン粒子を190℃、30分加熱した際に発生するガスの、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによって測定される.分子量が150以下の脂肪族アルコール、および分子量が250以下の芳香環含有化合物の含有量が共に、酸変性ポリオレフィン粒子1gあたり1μg以上10000μg以下である。
[2]走査型電子顕微鏡を用い、倍率10000倍で任意の3か所の粒子表面を13μm×10μmの視野で観察したときに、当該3か所中、1か所または2か所以上の粒子表面に、0.05μm〜0.2μmの大きさの孔を10個〜400個含む1μm×1μmの領域を有することを特徴とする請求項1に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
[3]前記グラフトが、ラジカル開始剤の存在下で上記ポリオレフィン樹脂をグラフト反応させることにより行われるものであり、当該ラジカル開始剤が、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物である[1]または[2]に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
[4]有機過酸化物が、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエートのいずれか1種、あるいは2種以上の組み合わせである[3]に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
[5]有機過酸化物が、t−ブチルパーオキシベンゾエートである[4]に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
[6]前記ポリオレフィン樹脂がプロピレン重合体である[1]〜[5]のいずれかに記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
[7]前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸である[1]〜[6]のいずれかに記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
[8]ポリオレフィン樹脂からなり、且つ平均粒径が0.2mm〜2.5mmであるポリオレフィン粒子に対して、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカルおよび分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカルを構成部位として含む有機過酸化物と、有機溶媒と、の3者を当該ポリオレフィン粒子が固体の状態で含浸させ、当該ポリオレフィン樹脂の示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点(Tm)以下の温度でグラフト反応を行い、前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子を得る、酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
[9]前記ポリオレフィン樹脂がプロピレン重合体である[8]に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
[10]前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸である[8]または[9]に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
[11]前記有機溶媒の、大気圧における沸点が、(Tm−10)℃よりも低い[8]〜[10]のいずれかに記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
[12]前記グラフト反応の温度が、前記有機溶媒の大気圧における沸点以上の温度である[8]〜[11]のいずれかに記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
[13]前記グラフト反応を密閉状態で行う[12]に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
[14]前記ポリオレフィン粒子が、プロピレン重合体からなる粒子であり、前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸であり、かつ、前記有機溶媒がトルエンまたは塩化ベンゼンである[8]〜[13]のいずれかに記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
本発明に係る酸変性ポリオレフィン粒子は、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸および/またはその誘導体がグラフトされてなり、且つ、以下の要件(1)〜(4)を満たすことを特徴としている。
(1)走査型電子顕微鏡を用い、倍率10000倍で粒子表面を観察したときに、粒子表面に、0.05μm〜0.2μmの大きさの孔を10個〜400個含む1μm×1μmの領域を有する。
(2)グラフト変性ポリオレフィン樹脂全体の重量100重量%あたりの、前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体によるグラフト量が1.0重量%以上であり、且つ、135℃デカリン中で測定した極限粘度〔η〕が0.4dl/g以上である。
(3)平均粒径が0.2mm〜2.5mmである。
(4)酸変性ポリオレフィン粒子を190℃、30分加熱した際に発生するガスの、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによって測定される分子量が150以下の脂肪族アルコール、および分子量が250以下の芳香環含有化合物の含有量が共に、酸変性ポリオレフィン粒子1gあたり1μg以上10000μg以下である。
本発明の酸変性ポリオレフィン粒子は、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸および/またはその誘導体がグラフトされてなり、且つ、上記要件(1)〜(4)を満たすものである限り、どのようなラジカル開始剤を用いて得られたものであっても良い。ただ、上述のように、本発明の酸変性ポリオレフィン粒子は、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物をラジカル開始剤として用い、当該ラジカル開始剤の存在下で上記ポリオレフィン樹脂をグラフト反応させて得られたものが好ましい。
本発明において、ポリオレフィン樹脂は、本発明の酸変性ポリオレフィン粒子の基材となるものである。
本発明の変性ポリオレフィン粒子には、不飽和カルボン酸及び/またはその誘導体がグラフトされた状態で含まれている。具体的には、本発明の酸変性ポリオレフィン粒子は、上記ポリオレフィン樹脂を構成するポリオレフィン鎖に対して、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体由来の繰り返し単位が導入された構造を有する。
上述した本発明の酸変性ポリオレフィン粒子を得るための製造方法は、得られる酸変性ポリオレフィン粒子が上述した要件を満たす限りにおいて、特に制限されない。
不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、
分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物と、
有機溶媒と、
の3者を、当該ポリオレフィン粒子が固体の状態で含浸させ、当該ポリオレフィン樹脂の融点Tm以下の温度でグラフト反応を行うことで、本発明の酸変性ポリオレフィン粒子を好適に得ることができる。ここで、ポリオレフィン樹脂の融点Tmは、当該ポリオレフィン樹脂を、示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点である。
(p1)ポリオレフィン粒子と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と有機過酸化物と有機溶媒とを混合して混合物とし、その後、この混合物を反応させる方法;
(p2)ポリオレフィン粒子と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と有機溶媒とを予め昇温状態で混合して原料混合物とし、この原料混合物を一旦冷却した後に、有機過酸化物をさらに混合し、これらを反応させる方法;
(p3)ポリオレフィン粒子と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と有機溶媒とを混合して原料混合物とし、ついでこの原料混合物を加熱するなどすることにより、この原料混合物を反応が実質的に進行しうる状態に導いた後、有機過酸化物をさらに配合し、これらを反応させる方法;
(p4)ポリオレフィン粒子と有機過酸化物と有機溶媒とを混合して原料混合物とし、ついでこの原料混合物を加熱するなどすることにより、この原料混合物を反応が実質的に進行しうる状態に導いた後、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体をさらに配合し、これらを反応させる方法;
(p5)ポリオレフィン粒子を、加熱するなどすることにより反応が実質的に進行しうる状態に導いた後、このポリオレフィン粒子に対して、下記(s5a)〜(s5d)のうちのいずれかの工程を行う方法:
(s5a)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、有機過酸化物、および有機溶媒を同時に混合して、これらを反応させる工程、
(s5b)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、有機過酸化物、および有機溶媒の各成分を任意の量に分割したうえで、各成分を、分割した量ごとに同時に混合して、これらを反応させる工程、
(s5c)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、有機過酸化物、および有機溶媒のうち、任意の1成分、または2成分を先行して、当該成分の所定量を一度に、あるいは分割して混合したあとに、残りの2成分、または1成分を、当該成分の所定量を一度に、あるいは分割して混合した後に、これらを反応させる工程、
(s5d)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、有機過酸化物、および有機溶媒を1成分ずつ、任意の順序で混合した後に、これらを反応させる工程;
(p6)ポリオレフィン粒子を、加熱するなどすることにより反応が実質的に進行しうる状態に導いた後、このポリオレフィン粒子に対して、下記(s6a)または(s6b)の工程を行う方法:
(s6a)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体の有機溶媒溶液、および、有機過酸化物の有機溶媒溶液を同時に、低速で連続的に供給し、反応させる工程、
(s6b)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体の有機溶媒溶液、および、有機過酸化物の有機溶媒溶液の任意の何れかを先行して、低速で連続的に供給した後、他方の有機溶媒溶液を低速で連続的に供給して反応させる工程、
(p7)ポリオレフィン粒子と有機過酸化物と有機溶媒を混合して混合物とし、この混合物を加熱しながら気体状態の不飽和カルボン酸および/またはその誘導体に接触させて、反応させる方法。
日本電子株式会社製、走査型電子顕微鏡JSM−6380型を用い、倍率10000倍で任意の3箇所の粒子表面を、10μm×13μmの視野で観察し、粒子表面の1μm四方に存在する0.05μm以上0.2μm以下の大きさの孔の数が、最大になるような箇所について、その最大値を求めた。
20mg(もしくは10mg)のサンプルを20mlのバイヤルビンに入れて密栓し、ヘッドスペースサンプラーを用いて190℃、30分加熱し、そのヘッドスペースガスをガスクロマトグラフィー質量分析法により分析した。
試料をデカリンに溶かし希薄溶液を作る。自動粘度測定装置でウベローデ改良型粘度計を用いて、135℃の比粘度を測定し、極限粘度を算出した。
反応終了後の酸変性ポリオレフィン粒子から未反応の不飽和カルボン酸を完全に除去するために、以下の操作をおこなった:酸変性ポリオレフィン粒子1gを採取し、キシレン約50mlを加え、還流冷却器を備えたフラスコ中で加熱溶解させた。ついで溶液を室温まで冷却し、アセトンを加えて酸変性ポリオレフィンを析出させたのち、濾過し、得られた析出物を乾燥処理した。
未グラフト不飽和カルボン酸を除去した酸変性ポリオレフィンを250℃で熱プレスして300μmのフィルムを作成し、赤外吸収スペクトルを測定し、1790cm-1付近の吸収より、不飽和カルボン酸グラフト量を定量した。この値を、予め求めておいた1H−NMRによる測定値と赤外吸収スペクトルによる値との相関による検量線により、1H−NMRによる測定値に換算した。
各ポリオレフィン粒子試料及び各酸変性ポリオレフィン粒子試料の平均粒径は、レーザー光回折散乱法により、エタノールを分散媒体として測定した。
各種ポリオレフィン粒子の融点(Tm)は、示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定することにより測定した。具体的には、測定は、粒子形状の試料をアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、昇温時のΔHが1J/g以上の融解ピーク頂点の位置の温度を融点とした。
各種ポリオレフィン粒子のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に従い、230℃、2.16kg荷重の条件下で測定施した。
下記に示す各実施例および比較例において用いられる過酸化物の略称は、以下の化合物または製品を指す。
NPBMT:ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイル−m−メチルベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイドの混合物(理論活性酸素量=6.05%、日油株式会社・ナイパー(登録商標)BMT−K40、40%キシレン溶液)
PH‐25B:2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油株式会社・パーヘキサ25B)
(10)酸化防止剤を吸着させた酸変性ポリオレフィン粒子の抗酸化性の評価
酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(ビーエーエスエフ社製、イルガノックス1010)の1グラムをテトラヒドロフラン9グラムに溶解させたものに、酸変性ポリオレフィン粒子1グラムを投入し、室温にて24時間放置し、グラフト重合体粒子に酸化防止剤を含浸させた。ついで、G2のガラスフィルターを用いて酸変性ポリオレフィン粒子を濾過し、室温にて乾燥させた。この状態の酸変性ポリオレフィン粒子0.5グラムを5グラムのメタノールに投入し、室温で10分間撹拌し、酸変性ポリオレフィン粒子表面に付着した未含浸の酸化防止剤を除去した。このようにして得られた、酸化防止剤が吸着されたた酸変性ポリオレフィン粒子について、200℃、酸素雰囲気の条件下で酸化誘導時間を測定した。なお、本願発明者らは本実施例において酸化誘導時間が長い(すなわち、抗酸化性に優れる)ということは、酸化防止剤の孔部分への含浸と吸着が十分に進行していることと等価であると考えている。
MFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体粒子(融点:160℃)100重量部を1リットルのオートクレーブに仕込み、室温、窒素雰囲気下で攪拌しつつ、無水マレイン酸5重量部をトルエン17重量部に溶解させた溶液および有機過酸化物としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社・パーブチルZ)3.3重量部をトルエン3.5重量部に溶解させた溶液を同時に並行して約20分かけて滴下した。滴下終了後、30分攪拌を継続した後、140℃に加熱したオイルバスにより1時間40分、加熱して反応させた。反応中は、オートクレーブは密閉状態とした。反応終了後、冷却してオートクレーブの内容物を抜き出した。これにアセトンを加えて合計の体積を1リットルとし、室温で10分間攪拌した後、濾過を行った。同様の操作を合計で4回繰り返し、60℃で5時間、真空乾燥を行った。
過酸化物として日油株式会社製、ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイル−m−メチルベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイドの混合物の40%キシレン溶液;商品名 ナイパー(登録商標)BMT‐K40、を11重量部使用し、反応温度を100℃、反応時間を4時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子を得た。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の分析結果を表1に示す。
実施例1で用いたものと同じMFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体粒子100重量部を1リットルのオートクレーブに仕込み、室温、窒素雰囲気下で攪拌しつつ、有機過酸化物としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社・パーブチルZ)13重量部をトルエン3.5重量部に溶解させた溶液を約20分かけて滴下した。滴下終了後、常温にて30分間、攪拌を継続し、系を密閉後、130℃のオイルバスに浸漬し、加熱を開始した。加熱開始と同時に、オイルバスの温度を130℃に維持したまま、無水マレイン酸15重量部をトルエン35重量部に溶解させた液を1時間40分かけて滴下し、更に、3時間20分、加熱して反応させた。反応終了後、冷却してオートクレーブの内容物を抜き出し、実施例1と同様の後処理を行った。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の物性を表1に示す。
実施例1で用いたものと同じMFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体粒子100重量部を1リットルのオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しつつ、130℃のオイルバスで加熱する。この状態で、オートクレーブ内に、無水マレイン酸15重量部をトルエン35重量部に溶解させた溶液と、有機過酸化物としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社・パーブチルZ)13重量部をトルエン3.5重量部に溶解させた溶液とを同時に並行して滴下した。滴下に要する時間は、無水マレイン酸のトルエン溶液は4時間、t−ブチルパーオキシベンゾエートのトルエン溶液は2時間40分とした。無水マレイン酸のトルエン溶液を滴下終了後、さらに1時間、加熱・攪拌を継続し、反応終了とした。反応中は、オートクレーブは密閉状態とした。反応終了後、冷却してオートクレーブの内容物を抜き出し、実施例1と同様の後処理を行った。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレンの物性を表1に示す。
実施例1で用いたものと同じプロピレン単独重合体粒子100重量部をセパラブルフラスコに仕込み、無水マレイン酸を15重量部、過酸化物として2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油株式会社・パーヘキサ25B)の11重量部を16重量部のアセトンにあらかじめ溶解させたものを添加して、室温、窒素雰囲気下で攪拌した。ついで、いったん混合物を60℃のオイルバスで加熱してアセトンを除去したのち、オイルバスの温度を145℃に変更し、5時間、反応を行わせた。反応終了後は、実施例1と同様の後処理を行った。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の分析結果を表1に示す。
実施例1で用いたものと同じMFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体粒子(融点:160℃)100重量部、無水マレイン酸5重量部をトルエン17重量部に溶解させた溶液、過酸化物としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社・パーブチルZ)3.3重量部を、容量20mlの耐圧容器に仕込み、内部を窒素置換した後に、密栓し、130℃に加熱したオイルバスにより5時間、加熱して反応させた。反応終了後、冷却して耐圧容器の内容物を抜き出し、実施例1と同様の後処理を行った。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の物性を下記表1に示す。
MFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体粒子(融点:160℃)の代わりに、MFR=5.4(g/10分)、平均粒径230μmのプロピレン単独重合体粒子(融点:160℃)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行った。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の物性を下記表1に示す。
MFR=0.6(g/10分)、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体粒子(融点:160℃)の代わりに、MFR=3.1(g/10分)、平均粒径1300μmのプロピレン単独重合体粒子(融点:160℃)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行った。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン粒子の物性を下記表1に示す。
Claims (14)
- ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸および/またはその誘導体がグラフトされてなり、且つ、以下の要件(1)〜(4)を満たす酸変性ポリオレフィン粒子:
(1)走査型電子顕微鏡を用い、倍率10000倍で粒子表面を観察したときに、粒子表面に、0.05μm〜0.2μmの大きさの孔を10個〜400個含む1μm×1μmの領域を有する。
(2)酸変性ポリオレフィン粒子100重量%あたりの、前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体によるグラフト量が1.0重量%以上であり、且つ、135℃デカリン中で測定した極限粘度〔η〕が0.4dl/g以上である。
(3)平均粒径が0.2mm〜2.5mmである。
(4)酸変性ポリオレフィン粒子を190℃、30分加熱した際に発生するガスの、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによって測定される分子量が150以下の脂肪族アルコール、および分子量が250以下の芳香環含有化合物の含有量が共に、酸変性ポリオレフィン粒子1gあたり1μg以上10000μg以下である。 - 走査型電子顕微鏡を用い、倍率10000倍で任意の3か所の粒子表面を13μm×10μmの視野で観察したときに、当該3か所中、1か所または2か所以上の粒子表面に、0.05μm〜0.2μmの大きさの孔を10個〜400個含む1μm×1μmの領域を有することを特徴とする請求項1に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
- 前記グラフトが、ラジカル開始剤の存在下で上記ポリオレフィン樹脂をグラフト反応させることにより行われるものであり、
当該ラジカル開始剤が、分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香環含有化合物ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。 - 有機過酸化物が、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエートのいずれか1種、あるいは2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
- 有機過酸化物が、t−ブチルパーオキシベンゾエートであることを特徴とする請求項4に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
- 前記ポリオレフィン樹脂がプロピレン重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
- 前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子。
- ポリオレフィン樹脂からなり、且つ平均粒径が0.2mm〜2.5mmであるポリオレフィン粒子に対して、
不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、
分子量が150以下の脂肪族アルコキシラジカル部位および分子量が250以下の芳香族炭化水素ラジカル部位を構成部位として含む有機過酸化物と、
有機溶媒と、
の3者を当該ポリオレフィン粒子が固体の状態で含浸させ、当該ポリオレフィン樹脂の示差走査熱分析において10℃/分の昇温速度で測定した融点(Tm)以下の温度でグラフト反応を行い、請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子を得る、酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。 - 前記ポリオレフィン樹脂がプロピレン重合体であることを特徴とする請求項8に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
- 前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸であることを特徴とする請求項8または9に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
- 前記有機溶媒の、大気圧における沸点が、(Tm−10)℃よりも低いことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
- 前記グラフト反応の温度が、前記有機溶媒の大気圧における沸点以上の温度であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
- 前記グラフト反応を密閉状態で行うことを特徴とする請求項12に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
- 前記ポリオレフィン粒子が、プロピレン重合体からなる粒子であり、
前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸であり、かつ、
前記有機溶媒がトルエンまたは塩化ベンゼンである
ことを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の酸変性ポリオレフィン粒子の製造方法。
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