JP2016049916A - インホイールモータ駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 潤滑油によるインホイールモータ駆動装置の冷却性能を向上させて、航続距離延長、定格出力向上を図ることを課題とする。【解決手段】 駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部の回転を減速して出力する減速機Bと、減速機Bからの出力を駆動輪に伝える車輪ハブCとを備え、前記モータ部Aおよび減速機Bがケーシング21内に収容され、このケーシング21に、オイルポンプ42によって潤滑油が循環する給油通路43を設け、この給油通路43を循環する潤滑油をモータ部Aと減速機Bに導いて、モータ部Aと減速機Bの潤滑と冷却を行うインホイールモータ駆動装置21において、前記ケーシング21の内部に、放熱フィン62aを設けることにより、ケーシング21の伝熱面積を増大させて、ケーシング21内の潤滑油の冷却効果を高めるようにした。【選択図】 図1
Description
この発明は、インホイールモータ駆動装置、詳しくは、インホイールモータ駆動装置の潤滑構造に関する。
インホイールモータ駆動装置121は、図13に示すように、駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部Aの回転を減速して出力する減速機Bと、減速機Bからの出力を駆動輪に伝える車輪ハブCとを備える。
上記モータ部Aおよび減速機Bは、ケーシング122内に収容されている。ケーシング122は、モータ部A側のケーシング122aと、減速機B側のケーシング122bとに、仕切壁122cによって仕切られている。
モータ部Aは、ケーシング122aの内周面にステータ123を設け、このステータ123の内周に間隔をおいてロータ124を設けたラジアルギャップタイプのものを使用している。
ロータ124は、モータ軸124aを中心部に有し、そのモータ軸124aは減速機Bの入力軸130と接続して減速機Bのケーシング122b内に挿入され、軸受125a、125bによってケーシング122aに対して回転自在に支持されている。
モータ部Aのケーシング122aには、下部に潤滑油のオイルタンク141が設けられ、オイルタンク141内の潤滑油をオイルポンプ142によって吸い込み、モータ部Aと減速機Bに潤滑油を分配し、潤滑と冷却を行っている(特許文献1〜3)。
潤滑油をモータ部Aおよび減速機Bの内部に供給する給油通路143は、モータ部Aの回転を減速する減速機Bの出力回転を利用して駆動されるオイルポンプ142の吐出口からケーシング122aの外径部の内側に沿って後方へと延びる外径部流路143aと、リアカバー122dに設けられたリアカバー流路143bと、モータ軸124aの内部通路144と、減速機Bの入力軸130の内部通路145を経て、減速機Bのケーシング122b内に至る通路、モータ軸124aの内部通路144に設けられた半径方向の油孔144aからモータ部Aのケーシング122a内に導かれ、モータ部Aのケーシング122aの下方のオイルタンク141からオイルポンプ142の吸入口に至る吸込通路146とにより構成される。
また、減速機Bの入力軸130の内部通路145にも半径方向に油孔145a、145bが設けられ、この油孔145a、145bから遠心力によって潤滑油が飛散し、減速機B内を潤滑および冷却している。即ち、いわゆる軸心給油方式が採用されている。
潤滑油の帰還通路は、減速機Bのケーシング122bとモータ部Aのケーシング122aとの間の仕切壁122cに設けられた連通口147、モータ部Aの底部に設けられた排出口148、およびオイルタンク141により構成される。
潤滑油による冷却は、インホイールモータ駆動装置121の性能に大きな影響を与える。
例えば、モータ部Aの温度が上昇すると、磁石の減磁による出力低下や、絶縁物の早期劣化、ロータ支持軸受を含めた各部の損傷の恐れがある。特に、電気自動車の場合には、バッテリ容量側の制限もあるが、航続距離を伸ばし、また定格出力(規定時間回し続けられる出力)向上のためには、モータ部Aの油温の温度上昇を抑えることが重要である。また、減速機Bも、温度が上昇すると転動部の焼付けや各部の損傷の恐れがあり、潤滑油自体も劣化し潤滑性能が低下する。
ところで、潤滑油は、給油通路143を通過する際に、ケーシング122への熱伝導によって冷却される。潤滑油からケーシング122への熱伝導量Qは、潤滑油の流速v等の関数である熱伝導率hと伝熱面積Sに比例する。
したがって、潤滑油の冷却効果を高めるためには、伝熱面積Sを増加させることが効果的である。
しかしながら、ケーシング122に設けられる潤滑油の給油通路を延長することは、給油通路の形状が複雑化したり、加工工数の増加によるコスト増が懸念されると共に、給油通路の延長による潤滑油量の増加や圧力損失等の懸念もある。また、給油経路を拡大すると、断面積拡大に伴い潤滑油の流速が低下し、熱伝導率hが低下する。
そこで、この発明は、給油通路の長さや通路形状を変更することなく、ケーシング内部での放熱量を大きくすることにより、潤滑油の冷却効果を高めようとするものである。
上記の課題を解決するため、この発明においては、駆動力を発生させるモータ部と、モータ部の回転を減速して出力する減速機と、減速機からの出力を駆動輪に伝える車輪ハブとを備え、前記モータ部および減速機がケーシング内に収容され、このケーシングに、オイルポンプによって潤滑油が循環する給油通路を設け、この給油通路を循環する潤滑油をモータ部と減速機に導いて、モータ部と減速機の潤滑と冷却を行うインホイールモータ駆動装置において、前記前記ケーシングの内部に、放熱フィンを設けたことを特徴とする。
前記放熱フィンの配列は、鉛直方向あるいは同心円状でもよいし、鉛直方向と同心円状とに複合したものでもよい。この配列によって放熱フィンがないものと比較して潤滑油の流速を落とすことなく伝熱面積を増大させることができる。
前記放熱フィンは、モータ部のケーシング背面のリアカバーの内壁面に設けることにより、潤滑油流速および熱伝導率を低下させることなく、伝熱面積を増大させることができる。
さらに、伝熱面積を増大させるために、リアカバーの外壁面、モータ部のケーシングの内壁面、外壁面、あるいは減速機のケーシングの内壁面、外壁面に、放熱フィンを追加してもよい。
この発明に係るインホイールモータ駆動装置においては、上記のように、ケーシングの内壁面に設けられた放熱フィンによって、潤滑油流速および熱伝導率を低下させることなく、ケーシングの伝熱面積が増大するので、ケーシング内の潤滑油の冷却効果を高めることができる。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置を備えた電気自動車11は、図11に示すように、シャーシ12と、操舵輪としての前輪13と、駆動輪(後輪)14と、左右の駆動輪14それぞれに駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを備える。駆動輪14は、図12に示すように、シャーシ12のホイールハウジング12aの内部に収容され、懸架装置(サスペンション)12bを介してシャーシ12の下部に固定されている。インホイールモータ駆動装置21の搭載形態としては、図11、12で示した後輪駆動方式の他に、前輪駆動方式でも四輪駆動方式のいずれでも構わない。
この発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置を備えた電気自動車11は、図11に示すように、シャーシ12と、操舵輪としての前輪13と、駆動輪(後輪)14と、左右の駆動輪14それぞれに駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを備える。駆動輪14は、図12に示すように、シャーシ12のホイールハウジング12aの内部に収容され、懸架装置(サスペンション)12bを介してシャーシ12の下部に固定されている。インホイールモータ駆動装置21の搭載形態としては、図11、12で示した後輪駆動方式の他に、前輪駆動方式でも四輪駆動方式のいずれでも構わない。
懸架装置12bは、左右に伸びるサスペンションアームによって駆動輪14を支持すると共に、コイルスプリングとショックアブソーバとを含むストラットによって、駆動輪14が地面から受ける振動を吸収してシャーシ12の振動を抑制する。さらに、左右のサスペンションアームの連結部分には、旋回時等に車体の傾きを抑制するスタビライザが設けられる。なお、懸架装置12bは、路面の凹凸に対する追従性を向上し、駆動輪の駆動力を効率良く路面に伝達するために、左右の車輪を独立して上下させることができる独立懸架式とするのが望ましい。
この電気自動車11は、ホイールハウジング12a内部に、左右の駆動輪14をそれぞれ駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けることによって、シャーシ12上にモータ、ドライブシャフト、およびデファレンシャルギヤ機構等を設ける必要がなくなるので、客室スペースを広く確保でき、かつ、左右の駆動輪の回転をそれぞれ制御することができるという利点を備えている。
インホイールモータ駆動装置21は、図1に示すように、駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部Aの回転を減速して出力する減速機Bと、減速機Bからの出力を駆動輪14に伝える車輪ハブCとを備え、モータ部Aと減速機Bとはケーシング22に収納されて、図12に示すように電気自動車11のホイールハウジング12a内に取り付けられる。
上記モータ部Aおよび減速機Bは、ケーシング22内に収容されている。ケーシング22は、モータ部A側のケーシング22aと、減速機B側のケーシング22bと、ケーシング22aと22bを仕切る仕切壁22cと、このケーシング22の後面に装着されるリアカバー22dとによって形成されている。
仕切壁22cの中心にはモータ部Aのモータ軸24aを挿通する貫通部が形成されている。また、仕切壁22cには後述するオイルポンプ42が設けられている。
モータ部Aは、ケーシング22aの内周面にステータ23を設け、このステータ23の内周に間隔をおいてロータ24を設けたラジアルギャップタイプのものを使用している。
ロータ24は、モータ軸24aを中心部に有し、そのモータ軸24aは減速機Bの入力軸30と接続して減速機Bのケーシング22b内に挿入され、軸受25a、25bによってケーシング22に対して回転自在に支持されている。
モータ部Aのケーシング22aには、下部に潤滑油のオイルタンク41が設けられ、オイルタンク41内の潤滑油をオイルポンプ42によって吸い込み、モータ部Aと減速機Bに潤滑油を供給し、潤滑と冷却を行っている。
潤滑油をモータ部Aと減速機Bの内部に供給する給油通路43は、モータ部Aの回転を減速する減速機Bの出力回転を利用して駆動されるオイルポンプ42の吐出口からケーシング22aの内側に沿って後方へと延びる外径部流路43aと、ケーシング22aの背面のリアカバー22dに設けられたリアカバー流路43bと、モータ軸24aの内部通路44と、減速機Bの入力軸30の内部通路45を経て、減速機Bのケーシング22b内に至る通路、モータ軸24aの内部通路44に設けられた半径方向の油孔44aからモータ部Aのケーシング22a内に導かれ、モータ部Aのケーシング22aの底部の下方のオイルタンク41からオイルポンプ42の吸入口に至る吸込通路46とにより構成される。
また、減速機Bの入力軸30の内部通路45にも半径方向に油孔45a、45bが設けられ、この油孔45a、45bから遠心力およびオイルポンプ42の圧力によって潤滑油が飛散し、減速機B内を潤滑および冷却している。即ち、いわゆる軸心給油方式が採用されている。
潤滑油の帰還通路は、減速機Bのケーシング22bとモータ部Aのケーシング22aとの間の仕切壁22cに設けられた連通口47、モータ部Aの底部に設けられた排出口48、およびオイルタンク41により構成される。
オイルポンプ42は、図4に示すように、減速機Bの出力回転を利用して回転するインナーロータ72と、インナーロータ72の回転に伴って従動回転するアウターロータ73と、ポンプ室74と、吸込通路46に連通する吸入口75と、給油通路43に連通する吐出口76とを備えるサイクロイドポンプである。
インナーロータ72は、外径面にサイクロイド曲線で構成される歯形を有する。具体的には、歯先部分72aの形状がエピサイクロイド曲線、歯溝部分72bの形状がハイポサイクロイド曲線となっている。このインナーロータ72は、減速機Bの出力軸33と一体回転する。
アウターロータ73は、内径面にサイクロイド曲線で構成される歯形を有する。具体的には、歯先部分73aの形状がハイポサイクロイド曲線、歯溝部分73bの形状がエピサイクロイド曲線となっている。このアウターロータ73は、仕切壁22cに設けられたポンプケース77に回転自在に支持されている。
インナーロータ72は、回転中心c1を中心として回転する。一方、アウターロータ73は、インナーロータの回転中心c1と異なる回転中心c2を中心として回転する。また、インナーロータ72の歯数をnとすると、アウターロータ73の歯数は(n+1)となる。なお、この実施形態においては、n=5としている。
インナーロータ72とアウターロータ73との間の空間には、複数のポンプ室74が設けられている。そして、インナーロータ72が減速機Bの出力軸33の回転を利用して回転すると、アウターロータ73は従動回転する。このとき、インナーロータ72およびアウターロータ73はそれぞれ異なる回転中心c1、c2を中心として回転するので、ポンプ室74の容積は連続的に変化する。これにより、吸入口75から流入した潤滑油が吐出口76から給油通路43に圧送される。
モータ部Aのケーシング22aには、図1に示すように、下部に潤滑油のオイルタンク41が設けられ、オイルタンク41内の潤滑油を吸込通路46を通じてオイルポンプ42によって吸い込み、モータ部Aと減速機Bに潤滑油を供給し、潤滑と冷却を行っている。
サイクロイド式の減速機Bは、図1〜図3に示すように、入力軸30に設けられた偏心軸部30a、30bによって2枚の曲線板31を回転自在に支持し、それらの曲線板31の外周に形成された波形歯形31aを減速機Bのケーシング22bの内側に配設された外ピン32に噛合し、上記入力軸30の回転により曲線板31を偏心揺動運動させ、その曲線板31の自転を入力軸30と同軸上に配置された出力軸33から出力し、車輪ハブCを回転させている。
減速機Bのケーシング22bの内側に配設された外ピン32の数は、曲線板31の外周の波形歯形31aより多い。
外ピン32は、図2に示すように、減速機Bのケーシング22bの内径面に隙間を介して位置する外ピンハウジング50に支持されている。外ピンハウジング50は、減速機Bのケーシング22bに対してアウター側とインナー側に、フローティングボルト(図示省略)によってフローティング支持されている。
入力軸30は、図1に示すように、その一端部がスプライン嵌合によりロータ24のモータ軸24aに接続されてモータ部Aにより回転駆動されるようになっており、その他端部に偏心軸部30a、30bが設けられている。
偏心軸部30a、30bは、図2に示すように、入力軸30の軸方向に一対設けられている。その一対の偏心軸部30a、30bは、円筒状外径面の中心が周方向に180°位相がずれるようにして設けられ、その一対の偏心軸部30a、30bのそれぞれの外径面に転がり軸受34が嵌合されている。
偏心軸部30a、30bには、油孔45a、45bが設けられ、この油孔45a、45bから入力軸30の内部通路45を通る潤滑油が飛散し、各部の転動面、摺動面を潤滑する。
一対の偏心軸部30a、30bを設けた入力軸30には、一対の偏心軸部30a、30bを挟むように一対のカウンタウェイト35を、周方向に180°位相をずらして設けている。
曲線板31は、転がり軸受34によって入力軸30に回転自在に支持され、その外周に形成された波形歯形31aはトロコイド曲線歯形とされている。図3に示すように、曲線板31には、回転軸心を中心とする一つの円上に複数のピン孔36が等間隔に形成され、軸方向に並ぶ一対のピン孔36のそれぞれに内ピン37が余裕をもって挿入され、その内ピン37に回転自在に支持された針状ころ軸受37aの外周一部がピン孔36の内周一部に接触している。
減速機Bは、図2に示すように、偏心軸部30a、30bに回転自在に保持される公転部材としての2枚の曲線板31と、曲線板31の外周部の波形歯形31aに係合する複数の外ピン32と、曲線板31の自転運動を出力する出力軸33と、2枚の曲線板31の隙間に取り付けられてこれら曲線板31の端面に当接して曲線板31の傾きを防止するセンターカラー38とを備える。
図1に示すように、出力軸33は、フランジ部33aと軸部33bとを有する。フランジ部33aには、出力軸33の回転軸線を中心とする円周上に、内ピン37が等間隔に固定されている。軸部33bの外径面には、図1に示すように、セレーション(またはスプライン)によりトルク伝達可能な状態で車輪ハブCが設けられている。図2に示すように、複数の内ピン37を介しフランジ部33aとスタビライザ33dが連結され、出力軸33とスタビライザ33dは一体に回転する。スタビライザ33dのモータ部A側の端部には、オイルポンプ42のインナーロータ72に接続するポンプ駆動軸33cが設けられている。
外ピン32は、入力軸30の回転軸線の円周軌道上に等間隔に設けられる。そして、曲線板31が公転運動すると、外周の波形歯形31aと外ピン32とが係合して、曲線板31に自転運動を生じさせる。
図2に示すように、外ピンハウジング50のフランジ部51の内周には、出力軸33およびスタビライザ33dが転がり軸受90を介してそれぞれ回転自在に支持されている。また、出力軸33のフランジ部33aおよびスタビライザ33dの内径面と入力軸30の外径面とは、転がり軸受91を介して相対的に回転可能に支持されている。
曲線板31は、出力軸33の対向するフランジ部33aおよびスタビライザ33dの間に組み込まれている。また、出力軸33の対向するフランジ部33aおよびスタビライザ33dには、組み込まれた曲線板31のピン孔36を貫通する内ピン37の両端が支持されている。
出力軸33の対向するフランジ部33aおよびスタビライザ33dに支持された複数の内ピン37は、入力軸30の回転軸線を中心とする円周軌道上に等間隔に設けられ、曲線板31との摩擦抵抗を低減するために、2枚の曲線板31の各ピン孔36の内壁面に当接する位置に針状ころ軸受37aがそれぞれ設けられている。ピン孔36の内径寸法は、内ピン37の外径寸法(「針状ころ軸受37aを含む最大外径」を指す。以下同じ。)より所定分大きく設定されている。
車輪ハブCは、図1に示すように、出力軸33の軸部33bの外径面にセレーション(またはスプライン)によりトルク伝達可能な状態で嵌合連結された内輪部材81と、内輪部材81をケーシング22bに対して回転自在に保持する外輪部材82とを備える。内輪部材81と外輪部材82とは複列アンギュラ玉軸受を構成し、内輪部材81と外輪部材82の間に複列の転動体83を設置している。内輪部材81には、車輪取付けフランジ部84が一体に設けられている。
外ピン32は、ケーシング22bに直接保持されているわけではなく、図1および図2に示すように、ケーシング22bの内径面にフローティング状態に支持された外ピンハウジング50に保持されている。
インホイールモータ駆動装置21においては、軽量化の観点からケーシング22は、アルミ合金やマグネシウム合金等の軽金属で形成し、高い強度が求められる外ピンハウジング50は、鋼で形成するのが望ましい。
また、サイクロイド式の減速機Bの潤滑は、オイルポンプ42から供給された潤滑油が、入力軸30の内部通路45を通り、偏心軸部30a、30bに設けた油孔45a、45bから飛散し飛沫となって、また、外ピンハウジング50の内部に溜まった潤滑油が、曲線板31の回転で掻き上げられ飛沫となって、各部の転動面、摺動面を潤滑する。潤滑油は、減速機B内の潤滑と冷却を行った後、減速機Bのケーシング22bとモータ部Aのケーシング22aとの間の仕切壁22cに設けられた連通口47を経て、モータ部Aの底部に設けられた排出口48からオイルタンク41に排出される。
潤滑油は、給油通路43を通過する際に、ケーシング22への熱伝導によって冷却される。
そして、モータ部Aの背面のリアカバー22dの内壁面には、複数の放熱フィン62aが設けられている。
モータ部Aのケーシング22aの内部には、モータ軸24aの内部通路44に設けられた半径方向の油孔44aから遠心力およびオイルポンプ42の圧力によって飛散し飛沫となった潤滑油が流入しケーシング22a、仕切壁22c、およびリアカバー22dの内壁面に付着する。リアカバー22dに付着した潤滑油はリアカバー22dの内壁面の放熱フィン62aからケーシング22aに熱伝導されて冷却される。
また、リアカバー22dの内壁面に設けられた放熱フィン62aによって、リアカバー22dの伝熱面積が大きいので、リアカバー22dのリアカバー流路43bを通過する潤滑油も冷却される。
図5〜図7は、リアカバー22dの内壁面の放熱フィン62aの配列例を示している。
図5は、放熱フィン62aを鉛直方向に配列した例であり、図6は、放熱フィン62aを同心円状に配列した例であり、図7は、放熱フィン62aを鉛直方向と同心円状とに複合した形状に配列した例である。
次に、図8は、リアカバー22dの伝熱面積をさらに増大させるために、リアカバー22dの外壁面にも放熱フィン62bを追加した例である。リアカバー22dの内壁面の放熱フィン62aと外壁面の放熱フィン62bとの両面によって冷却効果がさらに高まったものである。
また、図9は、さらに、モータ部Aのケーシング22aの内壁面と外壁面にも、放熱フィン62c、62dを追加することにより、伝熱面積をさらに増大させた例である。リアカバー22dの内壁面の放熱フィン62aと外壁面の放熱フィン62bとの両面に加えて、モータ部Aのケーシング22aの内壁面と外壁面にも、放熱フィン62c、62dを追加しているので、冷却効果がさらに高まったものである。
また、図10は、減速機Bのケーシング22bの内壁面と外壁面にも、放熱フィン62e、62fを追加することにより、伝熱面積をさらに増大させた例である。リアカバー22dの内壁面の放熱フィン62aと外壁面の放熱フィン62b、モータ部Aのケーシング22aの内壁面の放熱フィン62cと外壁面の放熱フィン62dに加えて、減速機Bのケーシング22bの内壁面と外壁面にも、放熱フィン62e、62fを追加しているので、冷却効果がさらに高まったものである。
モータ部Aのケーシング22a、リアカバー22dあるいは減速機Bのケーシング22bに設ける放熱フィン62a〜62fは、溝若しくは突起によって形成され、溝や突起は、鋳造や機械加工等よって形成することができる。
上記構成のインホイールモータ駆動装置21のモータ部Aは、図1に示すように、例えば、ステータ23のコイルに交流電流を供給することによって生じる電磁力を受けて、永久磁石または磁性体によって構成されるロータ24が回転する。
これにより、ロータ24に接続されたモータ軸24aが回転すると、曲線板31はモータ軸24aの回転軸線を中心として公転運動する。このとき、外ピン32が、曲線板31の曲線形状の波形歯形と転がり接触するよう係合して、曲線板31をモータ軸24aの回転とは逆向きに自転運動させる。
曲線板31のピン孔36に挿通する内ピン37は、ピン孔36の内径よりも十分に細く、曲線板31の自転運動に伴ってピン孔36の内壁面と当接する。これにより、曲線板31の公転運動が内ピン37に伝わらず、曲線板31の自転運動のみが出力軸33を介して車輪ハブCに伝達される。
このとき、回転軸線と同軸に配置された出力軸33は、減速機Bの出力軸として曲線板31の自転を取り出し、モータ軸24aの回転が減速機Bによって減速されて出力軸33に伝達されるので、低トルク、高回転型のモータ部Aを採用した場合でも、駆動輪に必要なトルクを伝達することが可能となる。
このように、多段構成とすることなく大きな減速比を得ることができる減速機Bを採用することにより、コンパクトで高減速比のインホイールモータ駆動装置21を得ることができる。また、外ピン32を外ピンハウジング50に対して回転自在とし、内ピン37の曲線板31に当接する位置に針状ころ軸受37aを設けたことにより、摩擦抵抗が低減されるので、減速機Bの伝達効率が向上する。
前記の実施形態においては、減速機Bの曲線板31を180°位相を変えて2枚設けたが、この曲線板の枚数は任意に設定することができ、例えば、曲線板を3枚設ける場合は、120°位相を変えて設けるとよい。
また、前記の実施形態において、曲線板31を支持する転がり軸受34として円筒ころ軸受の例を示したが、これに限ることなく、例えば、すべり軸受、深溝玉軸受、円錐ころ軸受、針状ころ軸受、自動調心ころ軸受、アンギュラ玉軸受、4点接触玉軸受等、すべり軸受であるか転がり軸受であるかを問わず、転動体がころであるか玉であるかを問わず、さらには複列か単列かを問わず、あらゆる軸受を適用することができる。また、その他の場所に配置される軸受についても、同様に任意の形態の軸受を採用することができる。
また、前記の実施形態においては、モータ部Aに、ケーシング22aに固定されるステータ23と、ステータ23の内側に径方向の隙間を空けて対面する位置に配置されるロータ24とを備えるラジアルギャップモータを採用した例を示したが、これに限ることなく、任意の構成のモータを適用可能である。例えばステータとロータとが軸方向に開いた隙間を介して対向配置されるアキシアルギャップモータであってもよい。
また、前記の実施形態においては、オイルポンプ42は、減速機Bの回転を利用してインナーロータ72が回転する例を示したが、これに限ることなく、モータ部Aのロータ24の回転を利用してインナーロータが回転するオイルポンプ、あるいは別途設けた電動モータによりインナーロータが回転するオイルポンプであってもよい。
さらに、この発明に係る電気自動車用駆動装置を搭載した電気自動車は、後輪を駆動輪としてもよく、また、前輪を駆動輪としてもよく、4輪駆動車であってもよい。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等をも含むものとして理解すべきである。
また、上記の各実施形態においては、減速部Bにサイクロイド減速機構を採用したインホイールモータ駆動装置21の例を示したが、これに限ることなく、任意の減速機構を採用することができる。例えば、遊星歯車減速機構や平行軸歯車減速機構等が該当する。
11 :電気自動車
12 :シャーシ
12a :ホイールハウジング
12b :懸架装置
13 :前輪
14 :駆動輪
21 :インホイールモータ駆動装置
22 :ケーシング
22a :ケーシング
22b :ケーシング
22c :仕切壁
22d :リアカバー
23 :ステータ
24 :ロータ
24a :モータ軸
25a :軸受
25b :軸受
30 :入力軸
30a :偏心軸部
30b :偏心軸部
31 :曲線板
31a :波形歯形
32 :外ピン
33 :出力軸
33a :フランジ部
33b :軸部
33c :ポンプ駆動軸
33d :スタビライザ
34 :転がり軸受
35 :カウンタウェイト
36 :ピン孔
37 :内ピン
37a :軸受
38 :センターカラー
41 :オイルタンク
42 :オイルポンプ
43 :給油通路
43a :外径部流路
43b :リアカバー流路
44 :内部通路
44a :油孔
45 :内部通路
45a :油孔
45b :油孔
46 :吸込通路
47 :連通口
48 :排出口
50 :外ピンハウジング
51 :フランジ部
62a、62b、、62c、62d、62e、62f :放熱フィン
72 :インナーロータ
72a :歯先部分
72b :歯溝部分
73 :アウターロータ
73a :歯先部分
73b :歯溝部分
74 :ポンプ室
75 :吸入口
76 :吐出口
77 :ポンプケース
81 :内輪部材
82 :外輪部材
83 :転動体
84 :車輪取付けフランジ部
90 :転がり軸受
91 :転がり軸受
A :モータ部
B :減速機
C :車輪ハブ
12 :シャーシ
12a :ホイールハウジング
12b :懸架装置
13 :前輪
14 :駆動輪
21 :インホイールモータ駆動装置
22 :ケーシング
22a :ケーシング
22b :ケーシング
22c :仕切壁
22d :リアカバー
23 :ステータ
24 :ロータ
24a :モータ軸
25a :軸受
25b :軸受
30 :入力軸
30a :偏心軸部
30b :偏心軸部
31 :曲線板
31a :波形歯形
32 :外ピン
33 :出力軸
33a :フランジ部
33b :軸部
33c :ポンプ駆動軸
33d :スタビライザ
34 :転がり軸受
35 :カウンタウェイト
36 :ピン孔
37 :内ピン
37a :軸受
38 :センターカラー
41 :オイルタンク
42 :オイルポンプ
43 :給油通路
43a :外径部流路
43b :リアカバー流路
44 :内部通路
44a :油孔
45 :内部通路
45a :油孔
45b :油孔
46 :吸込通路
47 :連通口
48 :排出口
50 :外ピンハウジング
51 :フランジ部
62a、62b、、62c、62d、62e、62f :放熱フィン
72 :インナーロータ
72a :歯先部分
72b :歯溝部分
73 :アウターロータ
73a :歯先部分
73b :歯溝部分
74 :ポンプ室
75 :吸入口
76 :吐出口
77 :ポンプケース
81 :内輪部材
82 :外輪部材
83 :転動体
84 :車輪取付けフランジ部
90 :転がり軸受
91 :転がり軸受
A :モータ部
B :減速機
C :車輪ハブ
Claims (9)
- 駆動力を発生させるモータ部と、モータ部の回転を減速して出力する減速機と、減速機からの出力を駆動輪に伝える車輪ハブとを備え、前記モータ部および減速機がケーシング内に収容され、このケーシングに、オイルポンプによって潤滑油が循環する給油通路を設け、この給油通路を循環する潤滑油をモータ部と減速機に導いて、モータ部と減速機の潤滑と冷却を行うインホイールモータ駆動装置において、前記ケーシングの内部に、放熱フィンを設けたことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
- 前記放熱フィンが、鉛直方向に配列されている請求項1記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記放熱フィンが、同心円状に配列されている請求項1記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記放熱フィンが、鉛直方向と同心円状とに複合された配列である請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記放熱フィンが、ケーシング背面のリアカバーの内壁面に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記ケーシングを構成するリアカバーの外壁面に放熱フィンを設けたことを特等とする請求項5に記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記モータ部のケーシングの内壁面と外壁面とに放熱フィンを設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記減速部のケーシングの内壁面と外壁面とに放熱フィンを設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記放熱フィンが、複数本の溝若しくは突起によって形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014177410A JP2016049916A (ja) | 2014-09-01 | 2014-09-01 | インホイールモータ駆動装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014177410A JP2016049916A (ja) | 2014-09-01 | 2014-09-01 | インホイールモータ駆動装置 |
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JP2016049916A true JP2016049916A (ja) | 2016-04-11 |
Family
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JP2014177410A Pending JP2016049916A (ja) | 2014-09-01 | 2014-09-01 | インホイールモータ駆動装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2014
- 2014-09-01 JP JP2014177410A patent/JP2016049916A/ja active Pending
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