JP2016049757A - 成形装置 - Google Patents

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Hiroshi Ozawa
博 小澤
雄二 平野
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Abstract

【課題】アンダーカット部を有する成形品を金型から取り出し易い成形装置の提供。【解決手段】キャビティ型3と、副コア5及び本体コア45を含み、キャビティ型3との間で成形品Mを成形するコア型4と、コア型4を型開閉方向に貫通しつつ一端側で副コア5を支持し、周面に回転方向を定める螺旋的な区間を含む回転誘導路63を有するロッド部6と、成形品の離型時に副コア5が本体コア45から分離するように該ロッド部6を型開閉方向に移動させる移動支持部71と、ロッド部6の一端側に固定されロッド部6の回転力を外部に伝達する伝達部と、該回転誘導路と摺接しつつロッド部6を回転させる回転制御部12とを備え、副コア5は、成形品の離型時にアンダーカット部M1と型開閉方向で重ならないように退避するスライドコア部51と、伝達部より回転力を受けてスライドコア部51を退避させる被伝達部とを含む成形装置1。【選択図】図1

Description

本発明は、成形装置に関する。
金型を利用して成形品を成形する装置(以下、成形装置)が知られている。この種の成形装置は、金型として、凹状の型面を有するキャビティ型と、凸状の型面を有するコア型とを備えている。このような金型を型締めすると、キャビティ型とコア型との間に空間(キャビティ)が形成され、その空間内に熱可塑性樹脂等の溶融樹脂が充填される。そして、その樹脂が金型内で固化すると、キャビティ型及びコア型の各型面に倣った形状の成形品が得られる。なお、金型内の成形品は、型開き後にコア型側から離型することによって取り出される。
ところで、成形品にアンダーカット部が設けられている場合、離型時にアンダーカット部がコア型に対して型開閉方向から干渉し、成形品をそのままコア型から取り外すことができない。そのため、このような場合では、離型時にアンダーカット部がコア型と干渉しないように、所謂アンダーカット処理が行われている。
例えば、特許文献1には、アンダーカット部を成形するためのスライド駒が、ラックアンドピニオン機構を利用して、金型の開閉動作に連動して、作動する成形装置が示されている。この成形装置では、キャビティ型とコア型との間を差し渡すようにラックが設けられており、更に、このラックと噛み合わせられるピニオンギアがコア型に設けられている。このような金型が型開きすると、ラックがピニオンギアを回転させ、更にこのピニオンギアによってスライド駒が連動する。このスライド駒は、型開閉方向と垂直な方向に往復移動することが可能であり、型開き時に、金型から離れるように移動し、型締め時に金型に近付くように移動する。
特開2006−239864号公報
上記成形装置の場合、キャビティ型とコア型との間にラックが差し渡されているため、成形品を取り出す際に成形品がラックと干渉することがあり、成形品を取り出し難いという問題があった。
本発明の目的は、アンダーカット部を有する成形品を金型から取り出し易い成形装置を提供することである。
本発明に係る成形装置は、アンダーカット部を有する成形品を成形するための成形装置であって、キャビティ型と、前記アンダーカット部を成形するための副コアと、前記副コアを分離可能な状態で装着する本体コアとを有し、前記キャビティ型との間で前記成形品を成形するコア型とを備え、前記コア型を型開閉方向に貫通する棒状をなし、一端側で前記副コアを支持し、周面に回転方向を定める螺旋的な区間を含む回転誘導路を有するロッド部と、前記ロッド部の他端側を回転可能な状態で支持しつつ、前記成形品の離型時に前記副コアが前記本体コアから分離するように前記ロッド部を型開閉方向に移動させる移動支持部と、前記ロッド部の前記一端側に固定され、前記ロッド部の回転力を外部に伝達する伝達部と、型開閉方向に移動する前記回転誘導路と摺接しつつ、前記ロッド部を回転させる回転制御部とを備え、前記副コアは、前記成形品の離型時に前記アンダーカット部と型開閉方向で重ならないように退避するスライドコア部と、前記伝達部と連動するように前記スライドコア部に固定され、前記成形品の離型時に前記伝達部より回転力を受けて前記スライドコア部を退避させる被伝達部とを含む。
前記成形装置は、上記構成を備えることにより、アンダーカット部を有する成形品を金型から取り出し易い。
前記成形装置において、前記コア型を型開閉方向に貫通する棒状をなし、離型時に前記コア型に残留した成形品を突き出すように移動可能なエジェクタピンを備え、前記移動支持部は、離型時に前記エジェクタピンが前記コア型から突出するように前記エジェクタピンを支持するエジェクタプレートからなるものが好ましい。このように、移動支持部として、エジェクタプレートを利用することにより、ロッド部を型開閉方向に移動させるために、専用の往復機構(進退機構)を設ける必要がなく、装置の大型化等を抑制することができる。
前記成形装置において、前記伝達部は、前記ロッド部と共に回転可能なピニオンギアからなり、前記被伝達部は、前記ピニオンギアと噛み合うラックからなるものであってもよい。
本発明によれば、アンダーカット部を有する成形品を金型から取り出し易い成形装置を提供することができる。
実施形態1に係る成形装置の断面構成を模式的に表した説明図 先端に副コアが取り付けられている状態のロッド部を模式的に表した説明図 ロッド部の先端に取り付けられている副コアの拡大図 先端側から見た初期状態の副コアの説明図 先端側から見た退避状態の副コアの説明図 ロッド部の部分斜視図 通過部の通過路内において、ロッド部の回転誘導路と回転制御部とが互いに接触している状態を示す説明図 金型内で内装材が成形されている状態の成形装置の断面構成を模式的に表した説明図 型開き状態の成形装置の断面構成を模式的に表した説明図 突出装置に連動して副コアが作動した状態の成形装置の断面構成を模式的に表した説明図 他の実施形態の成形装置で利用されるロッド部の部分斜視図 他の実施形態の成形装置で利用されるロッド部の部分斜視図 他の実施形態の成形装置で利用されるロッド部の回転誘導路と回転制御部とが互いに接触している状態を示す説明図
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を、図1乃至図10を参照しつつ説明する。本実施形態では、成形装置1を例示する。
図1は、実施形態1に係る成形装置1の断面構成を模式的に表した説明図である。成形装置1は、金型2を利用して、熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン)等を材料として車両用の内装材(ドアトリム、成形品の一例)Mを成形する装置である。特に、成形装置1は、アンダーカット部M1を裏面MB側に備えた内装材Mを成形するものである。
金型2は、凹状のキャビティ部31を有するキャビティ型3と、凸状のコア部41を有するコア型4からなる。図1には、型締め状態の金型2が示されており、キャビティ型3のパーティング面32と、コア型4のパーティング面42とが互いに突き合わされた状態で、キャビティ型3とコア型4とが対向配置されている。
型締め状態の金型2において、キャビティ型3とコア型4との間に、内装材Mを成形するための空間(キャビティ)Sが形成される。この空間Sは、キャビティ型3のキャビティ部31と、コア型4のコア部41とで囲まれており、この空間S内に、加熱溶融された材料が射出充填される。
金型2には、空間Sと外部とを繋ぐスプルー(不図示)が形成されている。このスプルーの一端に、射出成形機のノズル(不図示)が宛がわれ、そのノズルから射出された溶融樹脂がスプルーを介して空間S内に供給される。
キャビティ型3は、取付け板33に固定されている。また、コア型4は、スペーサーブロック43を介して取付け板44に固定されている。このような金型2の型開閉(型開き及び型締め)は、図示されない型開閉装置によって行われる。なお、図1における左右方向が、金型2の型開閉方向に対応する。本実施形態の場合、キャビティ型3が固定側であり、コア型4が可動側となっている。つまり、型開き時において、コア型4がキャビティ型3から離れるように移動し、また型締め時において、コア型4がキャビティ型3に近付くように移動する。
なお、本明細書において、説明の便宜上、コア型4等の成形装置1の各構成がキャビティ型3側に近付くように移動することを「前進」と称し、また、その反対に、キャビティ型3側から遠ざかるように移動することを「後退」と称する場合がある。
キャビティ型3は、内装材Mの意匠面(表面)MA側の構成をキャビティ部31によって成形するものである。これに対し、コア型4は、内装材Mの裏面MB側の構成をコア部41によって成形するものである。上述したように、内装材Mの裏面MB側には、アンダーカット部M1が設けられており、このアンダーカット部M1を含めた内装材Mの裏面MB側の構成が、コア型4のコア部41によって成形される。
コア部41は、全体的には、パーティング面42から凸状に盛り上がった形をなしている。コア部41は、互いに分離可能な複数の部分からなる。具体的には、本体コア45と副コア5からなる。本体コア45は、内装材Mの裏面MB側の大部分の構成を成形するものである。これに対し、副コア5は、主として、内装材Mのアンダーカット部M1を成形するものである。本実施形態の場合、副コア5は、内装材Mのアンダーカット部M1と共にその付近の構成も成形する。本体コア45には、副コア5が装着される開口状の装着部46が設けられており、その装着部46に副コア5が分離可能な状態で装着される。後述するように、副コア5は、内装材Mの成形時に本体コア45に装着され、内装材Mの離型時に本体コア45から分離される。
図1に示されるように、副コア5の一部は、本体コア45との間に隙間S1(空間Sの一部)が形成されるような形をなしており、この隙間S1を利用して内装材Mのアンダーカット部M1が成形される。このような副コア5は、コア型4を型開閉方向(図1の左右方向)に貫通するように配設された棒状のロッド部6によって支持される。
なお、キャビティ型3側を向くロッド部6の一端を、「先端」と称し、その反対側(取付け板44側)を向くロッド部6の他端を、「後端」と称する場合がある。副コア5は、図1に示されるように、ロッド部6の先端側に取り付けられている。
ロッド部6は、コア型4を型開閉方向に貫通形成された挿通孔47に挿入されている。挿通孔47の一端は、本体コア45に設けられた装着部46と繋がっている。これに対し、挿通孔47の他端は、コア型4の取付け板44側に配されている。
また、成形装置1は、突出装置7を備えている。この突出装置7は、成形後、型開き状態の金型2において、コア型4側に貼り付いて残った内装材(成形品)Mを離型するために、内装材Mを裏面MB側から突き出す装置である。
突出装置7は、エジェクタプレート(移動支持部の一例)71、エジェクタピン72等を備えている。コア型4の背面48と取付け板44との間には、スペーサーブロック43で囲まれた空間があり、その空間内にエジェクタプレート71が型開閉方向に進退可能な状態で配設されている。エジェクタプレート71は、全体的には板状をなしており、突出装置7が作動していない初期状態では、図1に示されるように、取付け板44に積層するように配設されている。
エジェクタプレート71の表面71a(コア型4を向く面)側には、エジェクタピン72が立設されている。これに対し、エジェクタプレート71の背面71b(取付け板44を向く面)側には、取付け板44を貫通するように延びる複数の接続部75が設けられている。これらの接続部75には、図示されない流体圧シリンダ(エアシリンダ等)が接続されており、流体圧シリンダのピストン動作を、エジェクタプレート71に伝達する。
突出装置7は、複数本のエジェクタピン72を備えている。なお、図1では、説明の便宜上、1本のエジェクタピン72のみが図示されている。エジェクタピン72は、型開閉方向に延びた棒状の部材からなり、その先端(キャビティ型3側を向く端部)側は、初期状態の突出装置7において、コア型4に型開閉方向に沿って形成された挿通孔49に収容されている。その際、エジェクタピン72の先端位置は、本体コア45の表面位置と同じに設定されている。また、エジェクタピン72の後端(エジェクタプレート71側を向く端部)側には、圧縮コイルばね76が装着されている。圧縮コイルばね76は、コア型4の背面48と、エジェクタプレート71の表面71aとの間で挟まれており、圧縮コイルばね76によってエジェクタプレート71が取付け板44に対して弾性的に付勢されている。
流体圧シリンダのピストンが前進すると、それに連動してエジェクタプレート71が取付け板44から離れてコア型4の背面48に近付くように移動する。すると、エジェクタピン72の先端が挿通孔49からキャビティ型3側に飛び出し、内装材Mを裏面MB側から突き上げる。また、その際の圧縮コイルばね76は、コア型4の背面48と、エジェクタプレート71の表面73との間で圧縮され、圧縮コイルばね76によってエジェクタプレート71が取付け板44に対して弾性的に付勢される。
コア型4からエジェクタピン72の先端が突き出した状態(突出状態)において、流体圧シリンダのピストンが後退すると、エジェクタプレート71がコア型4の背面48側から離れて、圧縮コイルばね76に付勢されつつ、取付け板44に接触するまで移動する。すると、エジェクタピン72の先端がコア型4の挿通孔49に収容され、突出装置7は上述した初期状態に戻される。
本実施形態の成形装置1では、このような突出装置7のエジェクタプレート71に、ロッド部6の後端が支持される。つまり、ロッド部6は、離型時に作動する突出装置7のエジェクタプレート71を利用することによって、エジェクタピン72と共に、型開閉方向に往復移動することができる。
ロッド部6の後端62側は、エジェクタプレート71に設けられた軸受77によって回転可能な状態で支持されている。なお、ロッド部6の後端62側は、それ以外の部分(先端61側を除く)よりも細くされている。また、ロッド部6は、後述するように、型開閉方向に移動する際に、所定方向に回転することができる。離型時において、ロッド部6が所定方向に回転すると、副コア5の一部が可動して、副コア5と内装材Mのアンダーカット部M1との干渉が解消される。
図2は、先端に副コア5が取り付けられている状態のロッド部6を模式的に表した説明図であり、図3は、ロッド部6の先端に取り付けられている副コア5の拡大図であり、図4は、先端側から見た初期状態の副コア5の説明図であり、図5は、先端側から見た退避状態の副コア5の説明図である。なお、図3には、図2の矢印X1の向きから副コア5を見た状態が示されている。
副コア5は、更に、2つの部分に分かれており、スライドコア部51と、固定コア部52とからなる。固定コア部52は、副コア5をロッド部6の先端に取り付ける部分であると共に、スライドコア部51を所定方向にスライド可能な状態で保持する部分となっている。このような固定コア部52は、ロッド部6の先端61側を回転可能な状態で保持する保持部521と、スライドコア部51がスライド可能な状態で接触する第1接触壁部522と、第1接触壁部522に対して垂直に交わり、スライドコア部51に対してスライド可能な状態で接触する第2接触壁部523とを備えている。図3に示されるように、固定コア部52は、全体的には、略L字型をなしている。
保持部521は、ロッド部6の先端61を挿通する型開閉方向に沿った挿通孔524を備えており、その挿通孔524に、ロッド部6の先端61側が挿通されている。ロッド部6の先端61側は、それ以外の部分(後端62側を除く)よりも細くされており、その細くされた先端61側が回転可能な状態で保持部521に保持されている。
なお、保持部521には、副コア5全体がロッド部6と共に回転することを防止するための位置決め部8が取り付けられている。この位置決め部8は、型開閉方向に延びた棒状をなし、保持部521に取り付けられた状態で、コア型4に形成された孔部(不図示)に挿入される。位置決め部8が挿入される前記孔部は、型開閉方向に沿って延びた形をなしており、ロッド部6が型開閉方向に移動する際は、少なくとも位置決め部8の一部が、常に前記孔部に挿入され、前記孔部の周壁で囲まれた状態となっている。そのため、ロッド部6に連動して副コア5全体が回転しようとしても、位置決め部8が前記孔部の周壁と接触するため、副コア5全体の回転が防止される。
第1接触壁部522は、保持部521に接続する壁状の部材であり、キャビティ型3側を向く第1接触面525上に、スライドコア部51が宛がわれる。第1接触面525上には、断面が四角形状をなすように盛り上がり、かつ紙面表裏方向に真っ直ぐに延びた凸状部526が設けられている。この凸状部526は、型開閉方向(図3の上下方向)と直交するように設けられている。なお、スライドコア部51は、この凸状部526と嵌合する凹状の溝部511を備えている。
第2接触壁部523は、第1接触壁部522と垂直に交わるように形成された壁状の部分であり、スライドコア部51と接触する第2接触面527を備えている。第2接触面527は、第1接触面525に対して垂直に交わるように形成されており、このような第2接触面527上に、断面が蟻ほぞ状(逆台形状)をなすように盛り上がり、かつ紙面表裏方向に真っ直ぐに延びた凸状部528が設けられている。凸状部528も、型開閉方向(図3の上下方向)と直交するように設けられている。なお、スライドコア部51は、この凸状部528と嵌合する蟻溝状の溝部512を備えている。
固定コア部52が有する凸状部526及び凸状部528は、共に型開閉方向と直交する方向にスライドコア部51をスライドさせるために設けられている。スライドコア部51は、溝部511が凸状部526と嵌合し、かつ溝部512が凸状部528と嵌合した状態で、固定コア部52上をスライドする。
なお、ロッド部6の先端61側には、ピニオンギア(伝達部の一例)9が固定されている。ピニオンギア9は、ロッド部6と共に回転するように固定されており、ロッド部6の回転力を外部(後述するラック)に伝達する。ピニオンギア9は、固定コア部52の内部に形成された窪み状の収容部529に、ロッド部6の先端61側に固定された状態で収容されている。収容部529は、図3等に示されるように、第1接触壁部522から第2接触壁部523に亘って形成されている。
また、ピニオンギア9は、周縁部に形成されている歯列91の一部が、第2接触壁部523の第2接触面527よりも外側(スライドコア部51側)にはみ出すようにロッド部6に固定されている。本実施形態の場合、ピニオンギア9は、第1接触壁部522の第1接触面525よりもキャビティ型3側(図3における上側)に、配設されている。
スライドコア部51は、スライド本体部513と、スライド突出部514とを備えている。スライド本体部513は、副コア5が作動する前の状態(図4参照)において、固定コア部52と型開閉方向において重なるように配置する部分である。これに対し、スライド突出部514は、副コア5が作動する前の状態(図4参照)において、固定コア部52と型開閉方向において重ならず、スライドコア部51のスライド方向において、固定コア部52よりも外側に突出する部分である。このスライド突出部514は、内装材Mのアンダーカット部M1を成形するために利用される部分である。
なお、スライドコア部51をスライドさせるために利用される上述した溝部511及び溝部512は、共にスライド本体部513に形成されている。また、スライド本体部513には、固定コア部52の第2接触面527からはみ出したピニオンギア9の歯列91等を収容する切り欠き部515が設けられている。この切り欠き部515は、固定コア部52の第1接触面525と第2接触面527とが交わる部分を覆うと共に、収容部529と繋がるように設けられている。そして、切り欠き部515に収容される形で、ピニオンギア9と噛み合わせられるラック(被伝達部の一例)10が、スライド本体部513に設けられている。
ラック10は、直線状に延びた歯列11を備えており、その歯列11は、スライドコア部51がスライドする方向に沿うように設けられている。図4に示されるように、ラック10がピニオンギア9と噛み合った状態で、スライドコア部51が固定コア部52に対して取り付けられている。そして、ピニオンギア9が回転すると、その回転力がラック10に伝達され、スライドコア部51がスライドする。
図4には、スライドコア部51がスライドする前の初期状態の副コア5が示されている。この初期状態において、ピニオンギア9が時計回り(ロッド部6を先端側から見た場合)に回転すると、スライドコア部51は、スライド突出部514が固定コア部52側に引っ込むように移動する(退避する)。図5には、スライドコア部51のスライド突出部514が固定コア部52から外側にはみ出さないように引っ込んだ状態の副コア5が示されている。なお、図5に示される副コア5の状態を、退避状態と称する。また、ピニオンギア9が反時計回りに回転(逆回転)すると、スライドコア部51は、スライド突出部514が固定コア部52から突出するように、逆方向に移動する。そして、ピニオンギア9の回転が停止すると、スライドコア部51の移動も停止する。
このようなピニオンギア9の回転制御は、ロッド部6の回転を制御することによって行われる。ロッド部6の周面には、ロッド部6を回転させる方向に応じて定められた回転誘導路63が形成されている。そして、型開閉方向に移動するロッド部6の回転誘導路63と接触して、ロッド部6を回転させるための回転制御部12が、成形装置1に設けられている。
回転誘導路63は、円柱の周面の一部を削り取るようにして形成された面からなり、回転誘導路63が形成されている部分のロッド部6の断面は、円弧と、その両端を結ぶ線分(弦)とで囲まれた形をなしている(図6等参照)。回転誘導路63は、ロッド部6の長手方向に亘って形成されている。図6は、ロッド部6の部分斜視図である。図6の上側は、ロッド部6の先端61側に対応し、その下側は、ロッド部6の後端62側に対応する。
図6において、回転誘導路63は、ロッド部6の先端61側から後端62側にかけて3つの区間631,632,633に分けられている。1つ目の区間(以下、第1区間)631における回転誘導路63は、ロッド部6の長手方向(軸線方向)に亘って真っ直ぐに形成された平坦面からなる。2つ目の区間(以下、第2区間)632における回転誘導路63は、ロッド部6の長手方向に亘って螺旋的に延びた曲面として形成されている。第2区間632の回転誘導路63は、ロッド部6の先端61側から見た際、反時計回りに捻じれた形(左巻き螺旋状)をなしている。3つ目の区間(以下、第3区間)633における回転誘導路63は、ロッド部6の長手方向(軸線方向)に亘って真っ直ぐに形成された平坦面からなる。なお、第1区間631、第2区間632及び第3区間633の各回転誘導路63は、互いに継ぎ目のない状態で繋がっている。
回転制御部12は、コア型4の背面48側に設けられているロッド部6を通過させるための通過部20に設けられている。通過部20は、全体的には略円盤状をなしており、その中央部分に、ロッド部6を型開閉方向に通過させる通過路21が形成されている。このような通過部20は、コア型4の背面48側に形成されている窪み部14に嵌め込まれる形でコア型4に固定されている。そして、通過路21に面するように回転制御部12が通過部20に取り付けられている。回転制御部12は、通過路21内に収容されたロッド部6の回転誘導路63と当接する当接部120を備えている。当接部120の端面は、平坦面となっている。
図7は、通過部20の通過路21内において、ロッド部6の回転誘導路63と回転制御部12とが互いに接触している状態を示す説明図である。なお、図7には、コア型4の背面48側から見た回転制御部12等が示されている。回転制御部12の取り付け位置は、ロッド部6が通過路21内で空回りすること等を防止するために、当接部120と回転誘導路63とが互いに離れないように設定される。ロッド部6が型開閉方向へ移動する際、回転制御部12の当接部120は、ロッド部6の回転誘導路63に対して常に接触している。
ここで、型開閉方向に移動するロッド部6が、所定方向に回転して副コア5が作動する仕組みを説明する。例えば、図1等において示されるような、副コア5がコア型4の本体コア45に装着されている状態(つまり、副コア5の初期状態)において、回転制御部12は、第1区間631の回転誘導路63と接触している。そして、この状態から、金型2の型開き後において、ロッド部6がキャビティ型3側へ向かうように前進すると、回転制御部12の当接部120は、第1区間631、第2区間632及び第3区間633の順に回転誘導路63と摺接する。
回転制御部12の当接部120が、第1区間631の回転誘導路63と摺接する間において、回転制御部12は、ロッド部6を回転させず、そのまま直進させる。つまり、回転誘導路63が、ロッド部6の長手方向(軸線方向)に対して真っ直ぐに延びている場合には、ロッド部6は無回転状態となる。そのため、回転制御部12が第1区間631の回転誘導路63を伝う間は、スライドコア部51は作動せず、副コア5は初期状態のまま維持される。
次いで、回転制御部12の当接部120が、第2区間632の回転誘導路63と摺接する間において、回転制御部12は、ロッド部6を、先端61側から見て時計回りに回転させる。第2区間632における回転誘導路63は、上述したように、ロッド部6の先端61側から見て、反時計回りに捻じれた形をなしている。このように捻じれた回転誘導路63に対して回転制御部12の当接部120を接触させた状態で、回転誘導路63が前進すると、当接部120は回転誘導路63に対して常時、接触しようとするため、ロッド部6を回転させる。なお、回転制御部12が第2区間632の回転誘導路63を通過し終えると、副コア5は退避状態となる。
次いで、回転制御部12の当接部120が、第3区間633の回転誘導路63と摺接する間において、回転制御部12は、ロッド部6を回転させず、そのまま直進させる。つまり、第3区間633も第1区間631と同様、回転誘導路63が、ロッド部6の長手方向(軸線方向)に対して真っ直ぐに延びているため、ロッド部6は無回転状態となる。また、その間は、スライドコア部51は作動せず、副コア5は退避状態のまま維持される。
以上のようにして、離型時において、回転制御部12が、螺旋的な区間(第2区間632)を含む回転誘導路63と接触し続けるため、ロッド部6が所定方向に回転し、その回転力が副コア5に伝達され、副コア5が退避状態となるまで移動する。
これに対して、副コア5が、図5に示されるような退避状態である場合に、ロッド部6が離型時とは反対に、コア型4の取付け板44側へ近付くように後退すると、回転制御部12の当接部120は、前進時とは逆に、第3区間633、第2区間632及び第1区間631の順に回転誘導路63と摺接することになる。そして、第2区間632の回転誘導路63において、回転制御部12がロッド部6を逆回転(先端61側から見て反時計回りに回転)させて、副コア5が初期状態へ戻される。
なお、図1に示されるように、ロッド部6の後端62側には、エジェクタピン72に装着されるものと同種の圧縮コイルばね15が装着されている。圧縮コイルばね15は、コア型4の背面48と、エジェクタプレート71の表面71aとの間で挟まれており、圧縮コイルばね15によってエジェクタプレート71が取付け板44に対して弾性的に付勢されている。
次いで、成形装置1を利用して内装材Mを成形する工程を説明する。図1に示されるように、型締めされた金型2の空間(キャビティ)S内に、加熱溶融された材料(例えば、熱可塑性樹脂)が射出成形機(不図示)を用いて射出充填される。その後、金型2内の溶融樹脂が射出成形機側へ逆流しないように保圧される。その後、射出成形機を退避させ、所定時間放置して金型2内の材料を冷却すると、金型2内で内装材Mが成形される。図8は、金型2内で内装材Mが成形されている状態の成形装置1の断面構成を模式的に表した説明図である。
このように成形された内装材Mを金型2内から取り出すために、金型2を型開きする。その際、図示されない型開閉装置が作動して、コア型4がキャビティ型3から離れるように移動する。図9は、型開き状態の成形装置1の断面構成を模式的に表した説明図である。図9に示されるように、型開きした状態では、コア型4に内装材Mが貼り付いた状態で残留する。内装材Mは、裏面MB側が意匠面MA側よりも収縮し、しかも裏面MB側にアンダーカット部M1がコア型4の副コア5と干渉しているため、型開き後は、コア型4に残留する。コア型4に残留した内装材Mを、コア型4から取り外すために(つまり、離型するために)、突出装置7を作動させる。
図10は、突出装置7に連動して副コア5が作動した状態の成形装置1の断面構成を模式的に表した説明図である。型開き後、突出装置7が備える流体圧シリンダ(不図示)を作動させて、エジェクタプレート71をコア型4側に移動させる。すると、エジェクタプレート71に立設されたエジェクタピン72の先端側がコア型4内から押し出されて、内装材Mを裏面MB側から突き上げる。また、エジェクタプレート71がコア型4側に移動すると、エジェクタプレート71に軸受77を介して支持されたロッド部6が、キャビティ型3側(図10において、キャビティ型3は省略)に向かって所定方向に回転しながら前進する。すると、上述したように、ロッド部6の回転を利用して、ロッド部6の先端61側に取り付けられた副コア5のスライドコア部51が作動し、スライドコア部51のスライド突出部514と、アンダーカット部M1との型開閉方向における重なりが解消される。なお、本実施形態の副コア5は、エジェクタピン72のような、内装材Mを裏面MB側から突き上げる機能も備えている。
このように離型時において、成形装置1が備える突出装置7のエジェクタプレート71に連動させて副コア5を作動させることにより、アンダーカット部M1を有する内装材Mを、コア型4から容易に取り外すことができる。以上のようにして、成形装置1は、アンダーカット部M1を有する内装材Mを、金型2(コア型4)から容易に取り出すこと可能な状態で成形することができる。
また、本実施形態の成形装置1は、既存の成形装置も備えている突出装置7のエジェクタプレート71の動きを利用して、副コア5を作動させるものである。そのため、副コア5を支持するロッド部6を型開閉方向に移動させるために、専用の往復機構(進退機構)を設ける必要がなく、装置の大型化等を抑制することができる。
また、本実施形態の成形装置1は、型開閉方向に対して傾斜した状態でコア型を貫通し、先端にスライドコア(副コア)を保持する従来のスライド機構と比べて、副コアを支えるロッド部の太さを細く設定することが可能である。何故ならば、従来のスライド機構におけるロッド部の動きは、型開閉方向に移動する流体圧シリンダの動きが、斜め方向の動きに変換されたものである。そのため、従来のスライド機構では、ロッド部に対して曲げ応力が作用するため、強度を確保するためのロッド部を太くする必要があった。これに対して、本実施形態の成形装置1では、型開閉方向に移動する流体圧シリンダの動きを、そのまま直線的にロッド部6に対して伝えることが可能であり、力の伝達効率が良く、しかもロッド部6に対して従来のような曲げ応力が加えられないため、直径を細くする設定することも可能である。また、本実施形態の成形装置1は、ロッド部6を型開閉方向に沿って直線的に配設することが可能であり、上記従来のスライド機構と比べて、省スペース化を図ることが可能である。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態の成形装置1では、副コア5を支持するロッド部6は、型開閉方向に沿って一方向に移動する際に、一方向のみに回転する構成となっていた。例えば、ロッド部6が離型時に前進する際、ロッド部6は、先端61側からみて時計回りのみに回転する構成となっていた。しかしながら、本発明の成形装置におけるロッド部の回転(動き)は、このような場合のみに限られるものではない。例えば、図11に示されるような、ロッド部6Aでは、回転誘導路63Aが、ロッド部6Aの先端側(図11の上側)から見た際、時計回りに捻じれた形(右巻き螺旋状)の部分と、反時計回りに捻じれた形(左巻き螺旋状)の部分とを備えている。
図11のロッド部6Aに設けられた回転誘導路63Aは、先端側から後端側(図11の上側から下側)にかけて5つの区間631A,632A,633A,634A,635Aに分けられている。1つ目の区間(第1区間)631Aにおける回転誘導路63Aは、ロッド部6Aの長手方向(軸線方向)に亘って真っ直ぐに形成された平坦面からなる。2つ目の区間(第2区間)632Aにおける回転誘導路63Aは、ロッド部6Aの先端側から見た際、時計回りに捻じれた形(右巻き螺旋状)をなしている。3つ目の区間(第3区間)633Aにおける回転誘導路63Aは、ロッド部6Aの長手方向(軸線方向)に亘って真っ直ぐに形成された平坦面からなる。4つ目の区間(第4区間)における回転誘導路63Aは、ロッド部6Aの先端側から見た際、反時計回りに捻じれた形(左巻き螺旋状)をなしている。5つ目の区間(第5区間)における回転誘導路63Aは、ロッド部6Aの長手方向(軸線方向)に亘って真っ直ぐに形成された平坦面からなる。
このような回転誘導路63Aに対して回転制御部12が摺接すると、ロッド部6Aが一方向に移動する際に、一方向のみならず、その逆方向にもロッド部6Aを回転させることが可能となる。そのため、ロッド部が一方向に移動する際に、副コアのスライドコア部を、一方向のみならず、その逆方向にもスライドさせることが可能となる。したがって、本発明の成形装置を用いれば、自由に(任意に)副コアを移動させることが可能であり、成形品の設計(特に、アンダーカット部の設計)の自由度が大きくなる。
(2)上記実施形態では、ロッド部6を型開閉方向に移動させる移動支持部として、エジェクタプレート71が利用されていたが、他の実施形態においては、例えば、ロッド部6を型開閉方向に移動させる専用の往復機構を、移動支持部として使用してもよい。ただし、上述のように、移動支持部として、既存の成形装置にも装備されているエジェクタプレート71を利用する方が、装置の大型化等を抑制することができるため、好ましいと言える。
(3)上記実施形態では、ロッド部6に形成される回転誘導路63は、ロッド部6の長手方向に亘って細長く延びた面状をなし、それと当接する回転制御部12の当接部120の端面は、平坦面となっていたが、本発明はこれに限られず、例えば、図12及び図13に示される回転誘導路63Bと、回転制御部12Bとを用いてもよい。図12に示されるように、他の実施形態においては、円柱状のロッド部6Bの周面に、凹状の溝からなる回転誘導路63Bが形成されている。そして、図13に示されるように、回転制御部12Bは、凹状の溝と嵌合する凸状の当接部120Bを備えている。この回転制御部12Bも、実施形態1と同様の構成の通過部20Bに設けられている。通過部20Bの中央部分には、ロッド部6Bを型開閉方向に通過させる通過路21Bが形成されており、その通過路21Bに面するように回転制御部12Bが通過部20Bに取り付けられている。そして、回転制御部12Bの凸状のロッド部6Bが、凹状の溝からなる回転誘導路63Bに嵌合している。回転制御部12Bの取り付け位置は、ロッド部6Bが通過路21B内で空回りすること等を防止するために、当接部120Bと回転誘導路63Bとが互いに外れないように設定される。ロッド部6Bが型開閉方向へ移動する際、回転制御部12Bの当接部120Bは、ロッド部6Bの回転誘導路63Bに対して常に嵌合した状態で接触する。このような形状の回転制御部12B及び回転誘導路63Bを用いてもよい。
(4)また、他の実施形態においては、回転制御部の当接部が凹状をなし、回転誘導路が周面から凸状に盛り上がった形をなすものであってもよい。
(5)上記実施形態1において、ロッド部6の回転速度を調節する場合は、螺旋的な回転誘導路63のピッチ(長さ方向におけるピッチ)等を適宜、設定すればよい。
(6)また、上記実施形態1において、伝達部としてピニオンギア9を使用し、被伝達部としてラック10を使用したが、本発明はこれに限られず、本発明の目的を損なわない限り、公知の動力伝達機構を用いることが可能である。
(7)また、本発明の成形装置を、インサート成形に用いてもよい。
1…成形装置、2…金型、3…キャビティ型、4…コア型、41…コア部、45…本体コア、5…副コア、51…スライドコア部、52…固定コア部、6…ロッド部、63…回転誘導路、7…突出装置、71…エジェクタプレート(移動支持部)、72…エジェクタピン、8…位置決め部、9…ピニオンギア(伝達部)、10…ラック(被伝達部)、12…回転制御部、120…当接部、M…内装材、M1…アンダーカット部

Claims (3)

  1. アンダーカット部を有する成形品を成形するための成形装置であって、
    キャビティ型と、
    前記アンダーカット部を成形するための副コアと、前記副コアを分離可能な状態で装着する本体コアとを有し、前記キャビティ型との間で前記成形品を成形するコア型とを備え、
    前記コア型を型開閉方向に貫通する棒状をなし、一端側で前記副コアを支持し、周面に回転方向を定める螺旋的な区間を含む回転誘導路を有するロッド部と、
    前記ロッド部の他端側を回転可能な状態で支持しつつ、前記成形品の離型時に前記副コアが前記本体コアから分離するように前記ロッド部を型開閉方向に移動させる移動支持部と、
    前記ロッド部の前記一端側に固定され、前記ロッド部の回転力を外部に伝達する伝達部と、
    型開閉方向に移動する前記回転誘導路と摺接しつつ、前記ロッド部を回転させる回転制御部とを備え、
    前記副コアは、前記成形品の離型時に前記アンダーカット部と型開閉方向で重ならないように退避するスライドコア部と、前記伝達部と連動するように前記スライドコア部に固定され、前記成形品の離型時に前記伝達部より回転力を受けて前記スライドコア部を退避させる被伝達部とを含む成形装置。
  2. 前記コア型を型開閉方向に貫通する棒状をなし、離型時に前記コア型に残留した成形品を突き出すように移動可能なエジェクタピンを備え、
    前記移動支持部は、離型時に前記エジェクタピンが前記コア型から突出するように前記エジェクタピンを支持するエジェクタプレートからなる請求項1に記載の成形装置。
  3. 前記伝達部は、前記ロッド部と共に回転可能なピニオンギアからなり、
    前記被伝達部は、前記ピニオンギアと噛み合うラックからなる請求項1又は請求項2に記載の成形装置。
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