JP2016047789A - 水素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】メカノケミカル反応により、安価かつ簡易に、水素を製造することができる水素の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】粉砕媒体が収容された容器を有する遊星ボールミルを用いて、無機物質と溶媒を混合して、メカノケミカル反応により水素を製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、メカノケミカル反応を利用した水素の製造方法に関する。
近年、エネルギーの多極化と安定供給が必要とされ,自然エネルギーの利用の推進が世界中で求められている。また、現在、エネルギー源としては、液化天然ガスが主に使用されているが、液化天然ガスは燃焼時に二酸化炭素を排出するため、地球温暖化を抑制するとの観点から、他のエネルギー源へのシフトが重要となる。
そこで、現在、水素をエネルギー源として用いることが提案されている。例えば、自動車用の燃料電池においては、水素が燃料として使用されており、水素を燃料とする燃料電池の排ガスには、上述の二酸化炭素が含まれていないため、水素エネルギーは、地球温暖化や環境汚染を抑制することができるエネルギー源として注目されている。
そして、この水素を製造する方法として、触媒の存在下で、金属と水を反応させる方法が提案されている。より具体的には、アルミニウムやマグネシウム等の金属を、アルミナまたはアルミニウムイオンを含有するセラミック化合物の存在下で、pH4〜10の水と反応させることにより、水素を製造する方法が開示されている。そして、このような方法により、安全性の高いアルミニウム含有物を原料として、二酸化炭素を生じることなく水素を製造することができる、と記載されている(例えば、特許文献1参照)。
特表2004−505879号公報
しかし、上記特許文献1に記載の製造方法においては、アルミナまたはアルミニウムイオンを含有するセラミック化合物を触媒として使用するため、製造コストが増大するとともに、水素の製造工程が煩雑になるという問題があった。
また、特許文献1に記載の製造方法においては、セラミック化合物等を触媒として使用するため、反応物となる金属の量が減少し、条件によっては、触媒の量が試料の50%を超えてしまうという問題があった。また、高温(例えば700℃)での試料のベーキングや、金属と触媒を高圧(例えば、5000,8000psi)でプレス成形してペレット化するなど、試料作製を行うための工程(前処理)が必要という問題もあった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、メカノケミカル反応により、簡易かつ安価な手法で、水素を効率よく製造することができる水素の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の水素の製造方法は、粉砕媒体が収容された容器を有する遊星ボールミルを用いて、無機物質と溶媒を混合して、メカノケミカル反応により水素を製造することを特徴とする。
本発明によれば、触媒、光、加熱、試料の前処理を必要とせず、常温で水素を発生させることができるため、安価かつ簡易に水素を製造することができる。
本発明の実施形態に係る水素の製造方法において使用する遊星ボールミルの構成を示す断面図である。 図1に示す遊星ミルが備える容器の内部における無機物質と溶媒の動作を説明するための図である。 本発明の実施例におけるガスクロマトグラフィーの結果を示す図である。 本発明の実施例における水素の生成速度とケイ素の使用量の関係を示す図である。 本発明の実施例における水素の生成速度と遊星ボールミルの回転速度の関係を示す図である。 本発明の実施例における遊星ボールミルの回転速度と温度の関係を示す図である。 本発明の実施例における水素の生成速度と、水酸化ナトリウム水溶液の濃度ならびに水酸化ナトリウム水溶液のpHとの関係を示す図である。 本発明の実施例における水素の生成速度と無機物質との関係を示す図である。 本発明の実施例における水素の生成速度と容器の材質との関係を示す図である。 本発明の実施例における水素の生成速度と、塩化ナトリウム水溶液との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は本発明の実施形態に係る水素の製造方法において使用する遊星ボールミルの構成を示す断面図であり、図2は、図1に示す遊星ミルが備える容器の内部における無機物質と溶媒の動作を説明するための図である。
本発明は、遊星ボールミルを用いて、無機物質と溶媒を混合し、摩擦や衝撃等により機械的なエネルギーを付与して、無機物質と溶媒の活性を高めるメカノケミカル反応により、常温で水素を製造する方法である。
このメカノケミカル反応を行うための装置としては、反応用の容器を備え、当該容器内に、機械的なエネルギーを付与するための粉砕媒体が収容された装置であれば、どのような装置でも使用できるが、攪拌効率、及びエネルギー付与効率の観点から、本発明においては、粉砕媒体(攪拌媒体)が収容された容器を有する遊星ボールミルが使用される。
遊星ボールミル1は、回転駆動される垂直な中心軸11と、中心軸11と一体に回転するテーブル6と、テーブル6にケーシング13を介して回転自在に支持された2個の容器(ミルポット)5により構成されている。このテーブル6は、2個の容器5を回転自在に支持した状態で回転可能な支持部材として機能する。
そして、この遊星ボールミル1を使用して水素を製造する場合は、まず、図2に示すように、粉砕媒体2が収容された各容器5内に、溶媒4と、粉砕媒体2により粉砕される無機物質3を装入(投入)する。次に、この容器5を、図1に示すテーブル6に設けられたケーシング13に挿入して固定する。
次に、中心軸11に取り付けられた歯車(不図示)と各ケーシング13に取り付けられた歯車(不図示)との噛み合いによって、各容器5が中心軸11の回りを図中の矢印Aの方向に公転しながら、容器5自身の回転軸の回りを図中の矢印Bの方向に自転する。
そうすると、各容器5において、図2に示すように、粉砕媒体2により無機物質3が粉砕されるとともに、粉砕された無機物質3と溶媒4が、公転と自転による遠心力を受けて混合され、混合の際の無機物質3と溶媒4との間の摩擦的作用により、機械的なエネルギーが付与されて、無機物質と溶媒の活性が高まり、無機物質と溶媒のメカノケミカル反応により水素が発生する。
さらに無機物質3は,複数の粉砕媒体の間に挟まれ、局所的に高エネルギー状態になり、溶媒4とのメカノケミカル反応が効率的に進行し,水素が著しく発生する。
また無機物質3は,粉砕媒体と容器壁との間に挟まれることによっても、局所的な高エネルギー状態になり、溶媒4とのメカノケミカル反応が効率的に進行し,水素が著しく発生する。
なお、容器5内は希ガス雰囲気に調整することが可能であり、本実施形態においては、例えば、アルゴン雰囲気に調整した状態で、上述のメカノケミカル反応を行い、水素を製造することが可能である。
遊星ボールミル1の容器5及び粉砕媒体2を形成する材料としては、例えば、炭化タングステン(WC)、ジルコニア(ZrO)、ステンレス(SUS)、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)等が挙げられるが、効率よく粉砕を行うことにより、無機物質3と溶媒4を混合する際のエネルギー付与効率を向上させるとの観点から、硬度が高い炭化タングステン(WC)またはジルコニア(ZrO)を使用することが好ましい。
また、容器5の大きさは、特に限定されず、例えば、10〜500cmの容積を有し、好ましくは20〜300cm、より好ましく40〜100cmの容積を有する容器が使用できる。
なお、容器5は、ケーシング13に上方から挿入して固定される筒状の本体に上蓋を設けたものであり、上蓋を開けて原料である無機物質3及び溶媒4が装入される構成となっている。
また、粉砕媒体2としては、略球形状を有するものが使用でき、その大きさは、特に限定されず、例えば、0.1〜25mmの直径を有する粉砕媒体が使用でき、好ましくは0.1〜15mm,より好ましくは0.1〜10mmの直径を有する粉砕媒体が使用できる。
また、遊星ボールミル1の回転速度(即ち、上述の容器5の回転速度、中心軸11の回転速度)は、適宜、設定することができるが、水素の生成速度を向上させるとの観点から、遊星ボールミル1の回転速度は、100〜1100rpmが好ましく,200〜600rpmであることがより好ましい。これは、回転速度が、200〜600rpmの場合は、衝突エネルギーの増加による試料の微細化、ダングリングボンドの増加、及び応力による無機物質の結晶構造の歪みの増加が生じるため、水素の生成速度が向上するものと考えられるためである。
また、攪拌時間は、使用する無機物質3及び溶媒4の種類に応じて、適宜、設定することができる。
本発明で使用できる遊星ボールミル1としては、例えば、ドイツ・フリッチュ社製の遊星ボールミル(商品名:プレミアムラインP−7)が使用できる。
また、本発明で使用される無機物質3としては、汎用性があり、水によって酸化可能である半導体や金属が使用でき、更に、毒性が低く安定している物質との観点から、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、ゲルマニウム(Ge)、及び錫(Sn)が好ましく、このうち、水との反応性が高く、単位原料(1mol)あたりの水素生成量が多く、更に、半導体産業,太陽光パネル製作会社で大量に廃棄されるSiウェハ、Siインゴット、アモルファスSiなどの端材を水素発生のために活用するとの観点から、ケイ素を使用することが好ましい。
また、無機物質と水を効率よく攪拌するとともに、無機物質を効率よく粉砕するとの観点から、無機物質3と粉砕媒体2との重量比が1:50〜1:1000であることが好ましい。
例えば、遊星ボールミル1の粉砕媒体2の全体の重量が100gの場合、0.1g〜2gの無機物質3を使用することができる。
また、本発明で使用される溶媒4としては、水、アルカリ溶液を使用することができる。例えば、無機物質3としてケイ素を使用するとともに、溶媒4として水を使用した場合の水分解反応(酸化反応)は、以下の通りである。
Figure 2016047789
そして、本実施形態においては、上記式(1)式に示すように、無機物質3の表面に酸化膜が形成されるが、無機物質3と溶媒4を混合する際に、粉砕媒体2により、無機物質3の表面の酸化膜が除去され、無機物質3において、常に活性の高い表面(即ち、酸化膜により覆われていない表面)が露出するため、水素発生反応が抑制されることなく、無機物質3が全て消費されるまで、水素を製造することが可能になる。
なお、溶媒である水としては、例えば、蒸留水や海水等を使用することが可能であり、水のpHは5以上であることが好ましい。また、ここで言う「海水」とは、塩分を3%以上含む水を示し、本発明では、特に、NaClを3%以上含有する水溶液のことを言う。
また、アルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液等を挙げることができるが、このうち、無機物質3の表面に酸化膜が形成されることを抑制して、水素発生反応の効率を向上させるとの観点から、水酸化ナトリウム水溶液を使用することが好ましい。
即ち、本発明では、無機物質3と溶媒4を混合する際に、無機物質3の表面に酸化膜が形成され、水素発生反応が徐々に抑制される(無機物質3の表面全体に酸化皮膜が形成されると反応が停止する)が、溶媒として、上述の水酸化ナトリウムを使用することにより、更に溶媒中のNaが、無機物質3の表面における酸化皮膜の形成を抑制するため、水酸化ナトリウム溶液を使用することにより、水素発生反応の効率を向上させることが可能になる。
また、水素の生成速度を向上させるとの観点から、水酸化ナトリウム水溶液の濃度が1.0×10-3〜27.3Mであることが好ましく、0.01〜10Mがより好ましく、0.01〜6Mが更に好ましい。これは、水酸化ナトリウム溶液の濃度が1.0×10-3〜27.3Mの場合は、水酸化物イオンが酸化皮膜を形成する無機物質の酸化物(例えば、SiO)の溶解度を上昇させるため、水素の生成速度が向上するものと考えられる。
また、上述の水酸化ナトリウムを使用する場合と同様の観点から、溶媒4として塩化ナトリウム溶液を使用することができる。また、水素の生成速度を向上させるとの観点から、塩化ナトリウム溶液の濃度が0.1〜6.1Mであることが好ましく、1〜6.1Mがより好ましく、3〜6.1Mが更に好ましい。
以上に説明したように、本実施形態においては、触媒、光、熱を使用することなく、常温で水素を発生させることができるため、安価かつ簡易に、水素を製造することができる。
また、本発明の製造方法においては、無機物質が粉砕されることにより、反応とともに無機物質の比表面積が大きくなり、常に新鮮な表面が露出し続け、また、粉砕に伴い無機物質のサイズも小さくなるため、無機物質の表面積も増大し、さらに攪拌により、容器内の温度も上昇するため、上記従来技術の方法に比し、多量の水素を製造することができる。
なお、上記実施形態においては、メカノケミカル反応を行うための装置として、遊星ボールミルを例に挙げて説明したが、遊星ボールミルの代わりに、例えば、振動ミルやロッドミル等の攪拌装置を使用することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
(実施例1)
(水素の生成)
遊星ボールミル(ドイツ・フリッチュ社製、商品名:プレミアムラインP−7)を使用して、ケイ素と水の混合を行い、水素を製造した。より具体的には、炭化タングステンにより形成された粉砕媒体100gが収容された容器(炭化タングステン製)内に、無機物質としてケイ素0.5gを投入するとともに、溶媒として水10gを投入した。そして、100rpmの回転速度で、30〜60分間、遊星ボールミルを回転させて、ケイ素と水の攪拌を行い、水素を生成させた。なお、容器内をアルゴンガス雰囲気に調整した状態で水素を生成させた。
(ガスクロマトグラフィーによる定性分析)
次に、容器をサンプリングバッグ(100ml)と真空ポンプに接続するとともに、接続ラインを真空にし、容器内の気体を、サンプリングバッグへ移動させた。なお、容器を、アルゴンガスが充填されたボンベに接続するとともに、サンプリングバッグの内圧が1気圧になるまで、容器内にアルゴンガスを充填した。
そして、サンプリングバッグ内の気体を、シリンジを用いて採集し、ガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製、商品名:GC−2014AT,カラム:信和化工(株)製、商品名:SHINCARBON ST、2m)を使用して、気体の定性分析を行った。以上の結果を図3に示す。
図3に示すように、強度が極めて強い水素のピーク(保持時間:1分)が確認できることが判る。以上より、水素の生成が確認できた。
(実施例2)
ケイ素の量を0.1g(即ち、ケイ素と粉砕媒体との重量比を1:1000)に変更するとともに、遊星ボールミルの回転時間を4時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例3)
ケイ素の量を1.0g(即ち、ケイ素と粉砕媒体との重量比を1:100)に変更するとともに、遊星ボールミルの回転時間を3時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例4)
ケイ素の量を2.0g(即ち、ケイ素と粉砕媒体との重量比を1:50)に変更するとともに、遊星ボールミルの回転時間を9時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例5)
ケイ素の量を0.3g(即ち、ケイ素と粉砕媒体との重量比を3:1000)に変更するとともに、遊星ボールミルの回転時間を3時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例6)
ケイ素の量を0.4g(即ち、ケイ素と粉砕媒体との重量比を1:250)に変更するとともに、遊星ボールミルの回転時間を3時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例7)
ケイ素の量を0.6g(即ち、ケイ素と粉砕媒体との重量比を3:500)に変更するとともに、遊星ボールミルの回転時間を3時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例8)
ケイ素の量を0.7g(即ち、ケイ素と粉砕媒体との重量比を7:1000)に変更するとともに、遊星ボールミルの回転時間を3時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(水素の生成速度の測定)
次に、実施例1〜8について、ケイ素1gあたりの水素の生成速度[mol/h・g]を算出した。より具体的には、反応開始時の容器内の気体をArのみとし、容器内の温度と圧力から気体の状態方程式を用いて水素の生成量を算出した。なお、算出した水素の生成量を粉砕時間で割った値のうち、最大値を「水素の生成速度」とした。以上の結果を、図4に示す。
図4に示すように、ケイ素と粉砕媒体との重量比が1:50〜1:1000の範囲にある実施例1〜実施例8においては、水素の生成速度が大きく、特に、ケイ素と粉砕媒体との重量比が3:500〜3:1000である実施例1,5〜7においては、水素の生成速度が飛躍的に向上していることが判る。
(実施例9)
遊星ボールミルの回転速度を200rpmに変更し、遊星ボールミルの回転時間を3時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例10)
遊星ボールミルの回転速度を400rpmに変更し、遊星ボールミルの回転時間を50分に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例11)
遊星ボールミルの回転速度を600rpmに変更し、遊星ボールミルの回転時間を20分に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(水素の生成速度の測定)
次に、実施例1,9〜11について、ケイ素1gあたりの水素の生成速度[mol/h・g]を算出した。なお、水素の生成速度の測定は、上述の図4に示した水素の生成速度の測定と同様にして行った。以上の結果を、図5に示す。
図5に示すように、特に、遊星ボールミルの回転速度が100〜600rpmである実施例1,9〜11においては、水素の生成速度が5.7×10−3[mol/h・g]以上と十分に大きくなっていることが判る。これは、図6に示すように、回転速度が大きくなると容器内の温度が上昇し、粉砕媒体との摩擦やケイ素の粉砕に起因して、新しく発生したケイ素の表面と溶媒間で局所的に高エネルギー状態が生成するため、結果として、メカノケミカル反応が特異的に進行し,水素が著しく生成するためであると考えられる。
(実施例12)
溶媒として、水の代わりに0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液10gを使用するとともに、遊星ボールミルの回転時間を1時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例13)
溶媒として、0.01Mの水酸化ナトリウム水溶液10gを使用するとともに、遊星ボールミルの回転時間を4時間に変更したこと以外は、上述の実施例12の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例14)
溶媒として、0.001Mの水酸化ナトリウム水溶液10gを使用するとともに、
遊星ボールミルの回転時間を9時間に変更したこと以外は、上述の実施例12の場合と同様にして、水素を生成させた。
(水素の生成速度の測定)
次に、実施例12〜14について、ケイ素1gあたりの水素の生成速度[mol/h・g]を算出した。なお、水素の生成速度の測定は、上述の図4に示した水素の生成速度の測定と同様にして行った。以上の結果を、図7に示す。
図7に示すように、水酸化ナトリウム水溶液の濃度が大きくなるに従って、水素の生成速度も大きくなることが判り、特に、0.01M以上の濃度においては、水素の生成速度が5.1×10−3[mol/h・g]以上となっており、生成速度が十分に大きくなっていることが判る。
これは、溶媒として、濃度の大きい水酸化ナトリウム水溶液を使用することにより、溶媒中のNaがケイ素の表面における酸化皮膜(SiO)の形成を抑制する効果が向上するため、水酸化ナトリウム溶液の濃度が大きくなるに従って、水素の生成速度も大きくなったものと考えられる。
(実施例15)
無機物質として、ケイ素の代わりにアルミニウム0.5gを使用するとともに、遊星ボールミルの回転時間を8時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例16)
無機物質として、ケイ素の代わりに鉄0.5gを使用するとともに、遊星ボールミルの回転時間を10時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例17)
無機物質として、ケイ素の代わりに錫0.5gを使用するとともに、遊星ボールミルの回転時間を50時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(実施例18)
無機物質として、ケイ素の代わりにゲルマニウム0.5gを使用するとともに、遊星ボールミルの回転時間を23時間に変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(水素の生成速度の測定)
次に、実施例1,15〜18について、無機物質1gあたりの水素の生成速度[mol/h・g]を算出した。なお、水素の生成速度の測定は、上述の図4に示した水素の生成速度の測定と同様にして行った。以上の結果を、図8に示す。
図8に示すように、実施例1,15〜18においては、水素の生成速度が1.4×10−4[mol/h・g]以上と十分に大きくなっており、特に、無機物質として、ケイ素、及びアルミニウムを使用した実施例1,15においては、水素の生成速度が7.0×10−4[mol/h・g]以上となっており、水素の生成速度が飛躍的に向上していることが判る。
(実施例19)
遊星ボールミル(ドイツ・フリッチュ社製、商品名:プレミアムラインP−7)を使用して、ケイ素と水の混合を行い、水素を製造した。より具体的には、炭化タングステンにより形成された粉砕媒体100gが収容された容器(炭化タングステン製)内に、無機物質としてケイ素0.5gを投入するとともに、溶媒として水10gを投入した。そして、100rpmの回転速度で、8時間、遊星ボールミルを回転させて、ケイ素と水の攪拌を行い、水素を生成させた。なお、容器内をアルゴンガス雰囲気に調整した状態で水素を生成させた。
(実施例20)
炭化タングステンにより形成された粉砕媒体100gの代わりに、ジルコニアにより形成された粉砕媒体56gを使用するとともに、遊星ボールミルの回転時間を15時間に変更し、炭化タングステン製の容器の代わりに、ジルコニア製の容器を使用したこと以外は、上述の実施例19の場合と同様にして、水素を生成させた。
(水素の生成速度の測定)
次に、実施例19〜20について、ケイ素1g、及び粉砕媒体(図9において、「ball」と表示)1gあたりの水素の生成速度[mol/h・gSi・gball]を算出した。なお、水素の生成速度の測定は、上述の図4に示した水素の生成速度の測定と同様にして行った。以上の結果を、図9に示す。
図9に示すように、実施例19〜20においては、水素の生成速度が9.5×10−6[mol/h・gSi・gball]以上と十分に大きくなっており、特に、炭化タングステン製の粉砕媒体及び容器を使用した実施例19においては、水素の生成速度が1.7×10−5[mol/h・gSi・gball]以上となっており、水素の生成速度が飛躍的に向上していることが判る。これは、炭化タングステンは、ジルコニアに比し、密度が高いため、質量の増大に伴い粉砕エネルギーが増大したためであると考えられる。
(実施例21)
溶媒として、水の代わりに0.6Mの塩化ナトリウム水溶液10gを使用し、遊星ボールミルの回転時間を3時間に変更し、更に、回転速度を200rpmに変更したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、水素を生成させた。
(水素の生成速度の測定)
次に、実施例21について、ケイ素1gあたりの水素の生成速度[mol/h・g]を算出した。なお、水素の生成速度の測定は、上述の図4に示した水素の生成速度の測定と同様にして行った。以上の結果を、図10に示す。なお、図10においては、上述の実施例9(溶媒として水を使用)における水素の生成速度も併せて示す。
図10に示すように、溶媒として塩化ナトリウム水溶液を使用した実施例21においては、水素の生成速度が8×10−3[mol/h・g]となっており、生成速度が飛躍的に大きくなっていることが判る。
これは、溶媒として、塩化ナトリウム水溶液を使用することにより、上述の水酸化ナトリウム水溶液の場合と同様に、溶媒中のNaがケイ素の表面における酸化皮膜(SiO)の形成を抑制したため、水素の生成速度が大きくなったものと考えられる。
以上説明したように、本発明は、メカノケミカル反応を利用した水素の製造方法に適している。
1 遊星ボールミル
2 粉砕媒体
3 無機物質
4 溶媒
5 容器
6 テーブル
11 中心軸
12 テーブル
13 ケーシング

Claims (10)

  1. 粉砕媒体が収容された容器を有する遊星ボールミルを用いて、無機物質と溶媒を混合して、メカノケミカル反応により水素を製造することを特徴とする水素の製造方法。
  2. 前記無機物質が、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、ゲルマニウム(Ge)、及び錫(Sn)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の水素の製造方法。
  3. 前記無機物質が、ケイ素(Si)であり、該ケイ素(Si)と前記粉砕媒体との重量比が1:50〜1:1000であることを特徴とする請求項2に記載の水素の製造方法。
  4. 前記溶媒が、水であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水素の製造方法。
  5. 前記溶媒が、アルカリ溶液であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水素の製造方法。
  6. 前記アルカリ溶液が、水酸化ナトリウム溶液であることを特徴とする請求項5に記載の水素の製造方法。
  7. 前記水酸化ナトリウム溶液の濃度が0.01〜6Mであることを特徴とする請求項6に記載の水素の製造方法。
  8. 前記溶媒が、塩化ナトリウム溶液であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水素の製造方法。
  9. 前記容器及び前記粉砕媒体が、炭化タングステン(WC)、またはジルコニア(ZrO)により形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の水素の製造方法。
  10. 前記遊星ボールミルの回転速度が200〜600rpmであることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の水素の製造方法。
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