JP4602926B2 - 合金粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、合金粉末の製造方法に関する。更に詳しくは、例えば、水素吸蔵合金や磁性材料として好適な合金粉末の製造方法に関する。
水素ガスは、酸素ガスと反応することによって大きなエネルギーを放出する一方、反応しても水が生成するだけであり、化石燃料のように炭酸ガスや硫黄化合物を生成することもなく、更には核燃料のように核分裂物質による環境汚染を懸念する必要もないので、石油・石炭等の化石燃料に代わるクリーンなエネルギーとして注目されている。一方、エネルギー源となる水素をどのように貯蔵・搬送するかという問題がある。そこで、水素の貯蔵・搬送のために水素吸蔵合金の採用が検討されている。
かかる水素吸蔵合金は、常温付近で水素ガスを可逆的に吸蔵ないし放出することができ、代替エネルギーである水素ガスを軽量で安全にかつ多量に貯蔵ないし輸送することを可能とする。また、この水素吸蔵合金は、可逆反応を用いて、エネルギー媒体である水素ガスを、必要なときに熱、化学、機械及び電気エネルギーに変換できるという幅広い機能をも有している。
このような水素吸蔵合金に代表される合金の製造方法については、従来から種々の方法が検討されており、代表的な製造方法としては、溶解炉に原料の金属を投入して溶解させ、除冷後に均質化するための熱処理を施して合金の粉体を製造する溶解法が知られている。かかる溶解法による合金の製造方法としては、例えば、金属原料を不活性ガス雰囲気中にてアーク溶解法やレビテーション溶解法等により合金インゴットを形成し、この合金インゴットを水素化粉砕することにより粒状の合金を得る手段が提供されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)
一方、近年、2種類以上の金属粉体をボールミル等の高エネルギーの混合攪拌装置等を用いて、金属粉体の混合粉砕を繰り返すことにより固相反応させ、固体状態のまま均一な合金粒子を製造する、メカニカルアロイング法が広く用いられている。特に、製造法としてのメカニカルアロイング法は、機械的エネルギーを利用することにより2種類以上の金属粉体をその融点より低い温度で合金・粉末化することができる(例えば、特許文献3を参照。)。
特開2002−331336号公報([請求項11]) 特開2004−27247号公報([請求項4]) 特開2004−292838号公報([請求項6]、[0020])
しかしながら、前記した技術のうち、溶解法は、実施するにあたり合金の融点以上の高温による加熱処理が必要とされることに加え、比重差のある金属同士の合金化の場合には、均質な組織の合金を得るために当該加熱処理を繰り返し実施する必要があり、非常にコストがかかる製法であった。また、メカニカルアロイング法による合金の製造は、合金化に長時間を必要としているとともに、長時間のメカニカルアロイングにより容器に合金が付着してしまうことから回収率が悪く、加えて、容器中の不純物が合金中に混入するという問題も生じていた。そして、これらの方法で得られた合金は諸特性としても満足が得られない場合が多く、改善が求められていた。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、水素吸蔵合金や磁性合金(磁性材料)等の機能性合金粉末を、簡便な手段により高収率かつ低コストで製造可能な合金粉末の製造方法を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明の合金粉末の製造方法は、混合エンタルピーが負となる金属の組み合わせからなる金属原料粉末を、ボールミリングによりナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理する粉砕処理工程と、当該粉砕処理により得られた金属原料粉末の粉砕物を、製造しようとする合金の融点の35%以上の温度で、真空状態で加熱処理する加熱処理工程を含むことを特徴とする。
本発明の合金粉末の製造方法は、前記粉砕処理工程におけるミリング時間が2〜5時間であることが好ましい。また、前記金属の組み合わせが、Ti−Fe、Mg−Al、Tb−Feのいずれかであることが好ましい。
本発明の合金粉末の製造方法は、前記ボールミリングが、振動ボールミル、回転ボールミル、遊星ボールミルのいずれかであることが好ましい。
本発明の合金粉末の製造方法は、金属原料粉末として混合エンタルピーが負となる金属の組み合わせからなる金属原料粉末を用い、当該金属原料粉末をボールミリングによりナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理する粉砕処理工程と、かかる粉砕処理により得られた金属原料粉末の粉砕物を、製造しようとする合金の融点の35%以上の温度で加熱処理する加熱処理工程を組み合わせた構成である。これにより、長時間のミリングを必要としないため、合金粉末の容器の壁面への付着や、容器内からの不純物の混入も抑制することができ、高純度な合金粉末を高い収率で製造することができる。また、加熱処理も、合金の融点の35%程度という低い温度で実施することができるため、従来の溶解法のように高温の加熱処理を繰り返し実施することもなく、短時間かつ低コストで合金粉末を効率よく安定に製造することができる。
本発明の合粉末の製造方法は、前記粉砕処理工程におけるミリング時間を2〜5時間とすることにより、金属原料粉末を確実にナノレベルの結晶粒になるまで粉砕処理することができ、製造される合金粉末が均質化され、高機能な合金材料となる。
本発明の合成粉末の製造方法は、前記ボールミリングとして、振動ボールミル、回転ボールミル、遊星ボールミルのいずれかを採用することにより、ミリングが安定してなされることになり、前記の効果をより効率よく奏することができる。
以下、本発明の合金粉末の製造方法を説明する。本発明の合金粉末の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」とする場合もある。)は、混合エンタルピーが負となる金属の組み合わせからなる金属原料粉末を、ボールミリングによりナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理する粉砕処理工程と、当該粉砕処理により得られた金属原料粉末の粉砕物を、製造しようとする合金の融点の35%以上の温度で加熱処理する加熱処理工程を含むことにより構成される。
本発明の合金粉末の製造方法における、合金粉末の原料として用いることができる出発物質としては、混合エンタルピーが負となる金属の組み合わせであれば特に制限なく採用することができる。
かかる金属の組み合わせとしては、例えば、Ti系合金としてTi−Fe(△H=−23.8kJ/mol)、Ti−Ni(△H=−47.9kJ/mol)、Ti−Al(△H=−59.5kJ/mol)等が挙げられる。また、Mg系合金としては、Mg−Ni(MgNi化合物)、Mg−Si(MgSi化合物)、Mg−Al(Mg17Al12化合物)、Mg−Ca等が挙げられる。その他、Tb−Fe、Nd−Fe、Li−Al、Sm−Co、Nb−Sn(△H=−21.5kJ/mol)、V−Fe等が挙げられる。
このうち、例えば、Ti−Fe、Mg−Ni、Mg−Alは水素吸蔵合金として使用することができ、また、Ti−Niは形状記憶合金、Ti−Al、Li−Alなどは高比強度材料、Tb−Fe、Nd−Fe、Sm−Co、Nb−Feなどは磁性、磁歪材料等として使用することができる。
合金粉末の原料となる金属原料粉末としては、前記した混合エンタルピーが負となる金属の組み合わせからなればよいが、例えば、対象となる金属単体の粉末を混合させた混合粉末を使用することができる。このような金属原料粉末の平均粒径は0.1μm〜2mm程度であることが好ましく、1.5μm〜1mm程度であることが特に好ましい。
また、金属単体からなる粉末のほか、金属単体の水素化物からなる粉末を使用することができ、例えば、水素化物としての水素化チタン(TiH)、水素化マグネシウム(MgH)、水素化サマリウム(SmH)、水素化ネオジウム(NdH)、水素化リチウム(LiH)、水素化ニオブ(NbH0.65)、水素化カルシウム(CaH)、水素化バナジウム(VH)等を使用することができる。
また、金属原料粉末における金属単体等の粉末の配合比は、その金属の組み合わせの組成比等によって適宜決定されるが、1/10〜10/1とすることが好ましい。上記の配合比より一方の比率が高くなると、製造しようとする合金の組成とならないため目的の特性を得られない場合があり好ましくない。配合比は、1/2〜2/1とすることが特に好ましく、TiとFe、MgとAl、TbとFeの組み合わせとする場合についても、当該1/2〜2/1の範囲とすることが好ましい。
なお、本発明の製造方法で使用する金属原料粉末には、対象となる合金を構成する単体等のほか、本発明の目的や効果に影響を与えない範囲において、Pd、Mn、Al、Co、V、Cr、Mo、Ni、Zr、Nb及びBeよりなる群の中から選ばれる1種または2種以上の金属粉末を添加することができる。
また、本発明の製造方法では、本発明の目的や効果に影響を与えない範囲において、前記の金属原料粉末に対して、熱処理、表面処理、酸洗処理等の前処理を施してもよい。
そして、本発明の合金粉末の製造方法では、前記した金属原料粉末を、ボールミリングを行って処理して、ナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理する。なお、本発明にあっては、ナノレベルの結晶粒とは、結晶粒の大きさが概ね1μm以下(好ましくは、数10nm程度)の状態を意味するものである。本発明の合金粉末の製造方法において、金属原料粉末をナノレベルの結晶粒になるまで粉砕処理することにより、融点の35%以上という低温で加熱処理したときに良好に相互の原子同士が拡散しあい、製造しようとする合金組成が粉末全体にわたってより均一なものになる。一方、金属原料粉末をナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理しなかった場合にあっては、相互の原子が良好に混合されない部分が生じ局部的に合金化されない、または不均一な組成を有する合金粉末となる。
ボールミリングとは、ボールミル機等により金属原料粉末の混合粉砕を行う手法のことをいい、一般に、2種類以上の金属元素を含む金属原料粉末をボールミリングすることを、特に、メカニカルアロイング(MA)と呼ぶこともある。このメカニカルアロイング法(以下、「MA法」と略することもある。)とは、2種類以上の金属元素を含む金属原料粉末を、高エネルギーの混合攪拌装置等を用いて、当該金属原料粉末の混合粉砕を繰り返してボールミリングすることにより固相反応させ、固体状態のまま均一な合金粒子を粉末状で製造する方法である。
ボールミリングの手法(ボールミル法)の種類としては、回転ボールミル法、振動ボールミル法、遊星ボールミル法、及び攪拌ボールミル法(アトライターとも呼ばれる。)等があるが、本発明の製造方法では、回転ボールミル法、振動ボールミル法、遊星ボールミル法を用いることが好ましく、回転ボールミル法、振動ボールミル法を用いることが特に好ましい。
本発明の合金粉末を製造する場合におけるミリング時間は、下記に示した使用されるボールミル法の種類、金属原料粉末の量、混合粉砕用ボールのサイズや個数、容器の容量等によって適宜決定されるが、概ね2時間以上とすることが好ましく、2〜200時間程度とすることが更に好ましい。ミリング時間をこの範囲にしてボールミリングを行えば、金属原料粉末を確実にナノレベルの結晶粒になるまで粉砕処理することができる。これに対して、ミリング時間が前記した2時間より短いと、金属原料粉末をナノレベルまで粉砕処理することができない場合があり、一方、ミリング時間が200時間より長いと、容器に合金が付着してしまうことから回収率が悪く、また、容器中の不純物が合金中に混入することから合金特性としても満足が得られないことがある。ミリング時間は、2〜10時間とすることが更に好ましく、5〜10時間とすることが特に好ましい。
ボールミル法の種類の一つである回転ボールミル法は、金属原料粉末と混合粉砕用ボール(以下、単に「ボール」とすることもある。)が入った容器を回転させて、当該原料粉末と容器及びボールとの衝突により、容器内の金属原料粉末を機械的に高エネルギーな状態で混合粉砕して合金化、または微粉化させる方法である。
また、振動ボールミル法とは、金属原料粉末と混合粉砕用ボールが入った筒状の容器を高速円振動により、当該原料粉末と容器内壁、及び当該原料粉末同士の激しい衝撃、摩擦の同時作用により短時間で微粉砕し、容器内の金属原料粉末を機械的に高エネルギーな状態で混合粉砕して合金化、または微粉化させる方法である。本発明の製造方法において、振動ボールミル法は、乾式、湿式のいずれにも使用可能である。
そして、遊星ボールミル法は、金属原料粉末と混合粉砕用ボールが入った容器を架台の上に載せて、当該容器を回転させる(自転させる)とともに、当該容器を載せた架台を回転させる(公転させる)という2つの回転運動を行い、当該原料粉末と容器及び混合粉砕用ボールとの衝突により、容器内の金属原料粉末を機械的に高エネルギーな状態で混合粉砕して合金化、または微粉化させる方法である。
ボールミル法を用いる場合には、使用原料である金属原料粉末を混合粉砕用ボールとともに、容器(ポット)の中に入れて、容器を回転運動させる等の手段を用いて、金属原料粉末を混合粉砕する手段により合金粉末を調製する。本発明の合金粉末を製造する場合にあって、使用される容器の形状は、円筒型、角筒型など種々の形状のものを使用できるが、円筒型のものを使用することが好ましい。
また、容器の容量は、使用される金属原料粉末の量、混合粉砕用ボールのサイズや個数
等によって適宜決定されるが、一般に、50〜10000ml容程度であればよい。更に、容器の材質は、ステンレス、クロム、タングステン、アルミナ、ジルコニア等とすることができ、特にステンレスとすることが好ましい。
同様に、ボールミル法を実施するために使用される混合粉砕用ボールの材質は、ステン
レス、クロム、タングステン、アルミナ、ジルコニア等とすることができ、特にステンレ
ス等とすることが好ましい。
混合粉砕用ボールの大きさとしては、前記した使用される容器の容量等によって適宜決
定されるが、金属原料粉末をナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理するにあっては、一般に、直径がφ1mm〜φ50mm程度のものを使用することが好ましい。なお、ボールミリング法では複数個の混合粉砕用ボールが使用されることが通常であるが、本発明の合金粉末を製造する場合にあっては、当該ボールの大きさはすべて同じものを使用してもよく、また、異なる大きさのものを使用してもよい。
また、混合粉砕用ボールの数量も、10〜2000個とすることが好ましい。容器の容量と、混合粉砕用ボールの大きさ及び数量の関係をかかる関係とすることにより、金属原料粉末をナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理することを効率よく実施することができる。
更には、金属原料粉末と混合粉砕用ボールの総量との重量比は、金属原料粉末と混合粉砕用ボール=1/3〜1/50とすることが好ましい。金属原料粉末と混合粉砕用ボールの総量との重量比をかかる範囲とすることにより、金属原料粉末をナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理することを効率よく実施することができる。かかる重量比は、金属原料粉末と混合粉砕用ボール=1/5〜1/40とすることが特に好ましい。
本発明の合金粉末を製造するに際して、ボールミル法として遊星ボールミル法を用いる場合にあっては、容器の回転数及び当該容器を載せる架台の回転数は、容器の回転数(自転回転数)を200〜700rpmとすることが好ましい。また、架台の回転数(公転回転数)を200〜350rpmとすることが好ましい。回転数がこれらの範囲内である場合には、金属原料粉末を効率よくかつ確実にナノレベルの結晶粒になるまで粉砕処理することができる。更には、遊星ボールミル法を用いる場合における公転半径は、30〜300cm程度とすればよく、50〜100cm程度とすることが好ましい。
また、本発明の合金粉末を製造するにあたり、ボールミル法として振動ボールミル法を用いる場合にあっては、容器の回転数(振動回転数)を100〜1000rpmとすることが好ましい。回転数(振動回転数)がこれらの範囲内である場合には、前記した遊星ボールミル法と同様に、金属原料粉末を効率よくかつ確実にナノレベルの結晶粒になるまで粉砕処理することができる。
更には、本発明の合金粉末を製造するにあたり、ボールミル法として回転ボールミル法を用いる場合にあっては、容器の回転数を10〜100rpmとすることが好ましい。回転数がこれらの範囲内である場合には、前記した遊星ボールミル法や振動ボールミル法と同様に、金属原料粉末を効率よくかつ確実にナノレベルの結晶粒になるまで粉砕処理することができる。
本発明の合金粉末を製造するにあたっては、前記した容器内の雰囲気を、アルゴン、窒素、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気または水素ガス雰囲気とすることが好ましい。容器内の雰囲気をかかる状態にすることにより、金属原料粉末の酸化を防止することができる。容器内の雰囲気は、アルゴンガス雰囲気や水素ガス雰囲気の状態とすることが特に好ましい。
また、粉砕処理工程における容器内は、ロータリーポンプ等で10Pa以下の条件で真空引きして真空状態としてもよく、これによっても、不活性ガス雰囲気等と同様に金属粉末の酸化を防ぐことができる。
本発明の合金粉末の製造方法にあっては、前記の粉砕処理工程によりナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理された金属原料粉末の粉砕物を加熱処理することにより、金属原料粉末が合金化される。ここで、保持温度(加熱処理温度)としては、製造しようとする合金の融点の35%以上とし、合金の融点の35〜60%とすることが好ましく、合金の融点の35〜50%とすることが更に好ましく、合金の融点の40〜50%とすることが特に好ましい。
なお、合金の融点は、例えば、製造しようとする合金の平衡状態図から決定することができる。前記した組み合わせのうち、Ti−Fe系の平衡状態図を図1に、Mg−Al系の平衡状態図を図2に、Tb−Fe系の平衡状態図を図3にそれぞれ示した。これらの平行状態図より、Ti−Fe系合金の融点は約1300℃、Mg−Al系合金(Mg17Al12化合物)の融点は約450℃、Tb−Fe系合金(TbFe化合物)の融点は約1300℃である。
加熱処理は、真空状態で行うようにする。例えば、金属原料粉末の粉砕物が収容される容器を、ロータリーポンプ等で10Pa以下の条件で真空引きした状態で加熱処理を施すようにすればよい。
加熱時間としては、0.5〜3時間とすることが好ましく、2〜3時間とすることが特に好ましい。昇温速度としては、10〜100℃/分とすることが好ましく、50〜100℃/分とすることが特に好ましい。なお、所定時間の加熱処理が終了したら、電気炉内で室温になるまで除冷すればよい。
本発明の合金粉末の製造方法は、金属原料粉末をボールミリングによりナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理する粉砕処理工程と、かかる粉砕処理により得られた金属原料粉末の粉砕物を、製造しようとする合金の融点の35%以上の温度で加熱処理する加熱処理工程を組み合わせた構成を採用している。よって、長時間のミリングを必要としないため、合金粉末の容器の壁面への付着や、容器内からの不純物の混入も抑制することができ、高純度な(例えば、98%以上の)合金粉末を高い収率で製造することができる。なお、従来のメカニカルアロイング法については、10〜15時間程度のメカニカルアロイングでも5%程度の不純物が存在する。
また、加熱処理も、合金の融点の35%程度という低い温度で実施することができるため、従来の溶解法のように高温の加熱処理を繰り返し実施することもなく、短時間かつ低コストで、合金粉末を効率よく安定に製造することが可能となる。つまり、数時間のミリングで達成できるナノレベルの結晶粒になるまでの粉砕処理により、完全には合金化されないが金属原料粉末の微細構造を形成させ、それ以降はナノ構造を壊さない程度に低温で熱処理して、原子の拡散現象によって合金化を促進・達成させるのである。
また、粉砕処理工程と加熱処理工程という異種の工程を組み合わせた前記の製造方法により得られた本発明の合金粉末は、組織が均質となり、機能性合金粉末として、適用する金属の組み合わせにより、例えば、水素吸蔵性、高磁性、高磁歪性、高耐食性、高い機械的強度等、所望の性能を備えた合金粉末となる。
また、例えば、混合エンタルピーが負となる金属の組み合わせを、Ti(チタン)及びFe(鉄)として、製造される合金をTi−Fe系合金粉末とした場合にあっては、初期活性化処理を必要としない水素吸蔵合金粉末となり、、後記する通常の水素加圧処理のみで、1回目から水素を安定して吸蔵することができる。
ここで、水素吸蔵合金粉末に対する初期活性化処理とは、一般に、高温度や高真空に一
定時間保持したり、水素を吸収しやすい温度で長時間高圧力の水素雰囲気下で保持するよ
うな処理のことをいうが、本発明のTi−Fe系の合金粉末にあっては、真空引き状態において、室温(約25℃)で0.5〜3MPa程度で水素加圧することにより、1回目から水素を安定して吸蔵する。一方、従来の溶解法で製造した水素吸蔵合金粉末は、水素吸蔵能が良好でなく、また、メカニカルアロイングにより得られた水素吸蔵合金粉末も、当該初期活性化処理を施した後、300℃程度の熱処理と前記の加圧処理を数回繰り返すことにより水素を吸蔵することができる一方、本発明の合金粉末のように初期活性化処理なしで1回目から水素を吸蔵することは不可能である。
本発明の製造方法は、粉砕処理工程により金属原料粉末をナノレベルの結晶粒まで均質化して、この均質化された金属原料粉末の粉砕物を熱処理してTi−Fe系合金の構造をとることにより、そこで初めて原子が拡散状態とされ、合金化された時点で非常に活性化されている状態となり、初期活性化が不要となるものと考えられる。一方、従来のメカニカルアロイング法のみによるものでは、合金化の時点では比較的安定なTi−Fe系合金となっており、水素吸収に対してはいわば鈍感になっている。そして、安定な合金相ほど水素を逆に吸わない一方、アモルファスのような不安定な相は水素を吸いやすいという逆安定性の法則に従い、本発明の製造法にあっては後者の不安定な相を形成させることにより、初期活性化が不要な水素吸蔵合金粉末を製造するようにしているのである。
また、本発明の製造方法で得られた合金粉末は溶解法等と比較してアモルファス化、ナノ化している部分が多いことを考慮すると、本発明の合金粉末はアモルファス構造の3大特性(高耐食性、高い機械的強度、及び高磁性)が期待できる。例えば、TbFe等はより高性能な磁歪材料として利用することができる。
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
例えば、前記した本発明の製造方法において、粉砕処理工程におけるボールミリングの手法として特定のミリング方法や条件等を挙げて説明したが、金属原料粉末がナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理されるのであれば、前記したミリング方法や条件等以外の手段でボールミリングしても問題はない。
また、以上説明した本発明の合金粉末を製造するにあたり、容器の容積と混合粉砕用ボールの大きさとの関係や、使用する金属原料粉末と、混合粉砕用ボールの合計重量との重量比等の詳細については、製造する合金粉末の量等に応じて適宜決定すればよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。
[実施例1]
(Ti−Fe系合金粉末の製造)
下記(1)及び(2)の工程により、Ti−Fe系合金粉末を製造した。なお、使用したTi粉末(株式会社高純度化学研究所製)は、平均粒径が約100μm、純度99.9%以上のものであり、Fe粉末(株式会社高純度化学研究所製)は平均粒径が約100μm、純度99.9%以上のものである。
(1)ボールミリングによる粉砕処理工程:
前記した仕様のTi粉末とFe粉末を、配合比をTi/Fe=1/1として金属原料粉末とした。この金属原料粉末を、試験装置として振動型ボールミル(品名:メカニカルアロイング装置:日新技研(株)製)を用い、容量が80mlの容器に、混合粉砕用ステンレス製ボールとの重量比が金属原料粉末/混合粉砕用ステンレス製ボール=約1/30となるように入れて、不活性ガスとしてアルゴンガスを充填して、容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、蓋をして密閉状態とした。この容器を振動ボールミル試験装置の架台に載せ、振動回転数を710rpm、ミリング時間を5時間としてボールミリングを行い、金属原料粉末の粉砕物を得た。
(2)加熱処理工程:
そして、得られた粉砕物を、(1)の容器ごとロータリーポンプで10Pa以下の条件で真空引きして容器内を真空状態として、電気炉内で、保持温度を600℃、昇温速度を50℃/分、加熱時間を3時間として加熱処理を行った。3時間経過後、電気炉内で室温になるまで除冷することにより、平均粒径が1〜5μmの本発明のTi−Fe系合金粉末を得た。回収率は98%、純度は98%以上であった。
なお、図1のTi−Fe系平衡状態図より、TiFe化合物の融点は約1300℃ということがわかるので、保持温度をその約45%である600℃とした。
図4は、実施例1で得られたTi−Fe系合金粉末のX線回折スペクトルを示す図であ
る。なお、図1には、(1)粉砕処理工程前の金属原料粉末(参考例1−1)、及び当該
工程後の粉砕物(参考例1−2)の結果も併せて載せた。図4に示すように、金属原料粉
末の状態である参考例1−1ではTiとFeそれぞれのピークが見られ、参考例1−2で
はそれらのピークもなくなる一方、(1)粉砕処理工程と(2)加熱処理工程を併用する
ことにより得られた実施例1の合金粉末は、Ti−Feの明確なピークが認められ、Ti
−Fe系合金が製造できたことが確認できた。
[実施例2]
(Ti−Fe系合金粉末の製造)
実施例1の(1)粉砕処理工程において、容器内の雰囲気をアルゴンガス雰囲気から水素ガス雰囲気に変更した以外は、実施例1と同一の方法を用いて、平均粒径が約1〜5μmの本発明のTi−Fe系合金粉末を得た。回収率は98%、純度は98%以上であった。
図5は、実施例2で得られたTi−Fe系合金粉末のX線回折スペクトルを示す図である(実施例1と同様、図5には、(1)粉砕処理工程前の金属原料粉末(参考例2−1)、及び当該工程後の粉砕物(参考例2−2)の結果も併せて載せた。)。図5に示すように、実施例1と同様に(1)粉砕処理工程と(2)加熱処理工程を併用することにより得られた実施例2の合金粉末は、Ti−Feの明確なピークが認められ、Ti−Fe系合金が製造できたことが確認できた。
また、図6は、実施例2において(1)粉砕処理工程におけるミリング時間を1時間としたもの(参考例2−3)のX線回折スペクトルを示す図である。図6に示すように、実施例2と比較してミリング時間が短い参考例2−3は、(2)加熱処理工程を施した場合であってもTi−Feの明確なピークを確認することはできなかった。
図7は、実施例2における粉砕処理工程が終了した後の粉砕物の断面写真、図8は、参考例2−3における粉砕処理工程が終了した後の粉砕物の断面写真をそれぞれ示す図である。図7では、層状組織がほとんど見られなくなった状態であり、(1)粉砕処理工程によりナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理されたことがわかり、この状態で加熱処理すると好適に合金化する。一方、図8(参考例2−3)では、白色のFe相と黒色のTi相が確認でき、ナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理されていない。よって、このような層状組織が明瞭に見られる状態では、加熱処理しても合金化されない。
[実施例3]
(Ti−Fe系合金粉末の製造)
実施例2の(1)粉砕処理工程において、Ti系材料をTiからTiH(水素化チタン)に変更した以外は、実施例1と同一の方法を用いて、平均粒径が1〜5μmの本発明のTi−Fe系水素吸蔵合金を得た。回収率は98%、純度は98%以上であった。なお、TiH(水素化チタン)(株式会社高純度化学研究所製)は、平均粒径が約50μm、純度99%以上のものである。
図9は、実施例3で得られたTi−Fe系合金粉末のX線回折スペクトルを示す図である(実施例1及び実施例2と同様、図9には、(1)粉砕処理工程前の金属原料粉末(参考例3−1)、及び当該工程後の粉砕物(参考例3−2)の結果も併せて載せた。図9に示すように、実施例1及び実施例2と同様、(1)粉砕処理工程と(2)加熱処理工程を併用することにより得られた実施例3の合金粉末は、Ti−Feの明確なピークが認められ、Ti−Fe系合金が製造されたことが確認できた。
また、図10は、実施例3において(2)加熱処理における保持温度を400℃としたもの(参考例3−3)、及び加熱処理における保持温度を500℃としたもの(実施例3A)のX線回折スペクトルを示す図である。図10に示すように、参考例3−3(融点の約31%)は、Ti−Feの明確なピークを確認することはできなかったが、保持温度が500℃(融点の約38%)は、Ti−Feの明確なピークが認められ、Ti−Fe系合金が製造されたことが確認できた。
[試験例1]
(水素吸蔵性能の評価)
実施例3で得られた合金粉末を、下記の条件で活性化処理した後、所定の容器に入れ10Pa以下で真空引きした状態として、室温(25℃)で圧力を3.0MPaとして水素加圧を行って、水素と反応させることにより合金粉末に対して水素を吸蔵させて、加圧時間と水素吸蔵量との関係を評価した。なお、前記した実施例3において、従来のメカニカルアロイング法を想定して、ミリング時間を10時間として、加熱処理を施さなかったものを比較例1として、同様に評価した。加圧時間と水素吸蔵量の関係を図11に示す。
図11に示すように、実施例3のTi−Fe系合金粉末は、水素による加圧直後から大きな水素吸蔵量を示し、水素吸蔵合金として有用であることが確認できた。一方、比較例1の合金粉末は、水素加圧を行ってもほとんど水素を吸蔵しなかった。
[実施例4]
(Mg−Al系合金粉末の製造)
下記(1)及び(2)の工程により、Mg−Al系合金粉末を製造した。なお、使用したMg粉末(株式会社高純度化学研究所製)は、平均粒径が100μm、純度99.9%以上のものであり、Al粉末(株式会社高純度化学研究所製)は平均粒径が100μm、純度99.9%以上のものである。
(1)粉砕処理工程:
前記した仕様のMg粉末とAl粉末を、配合比をMg/Al=17/12として金属原料粉末とした。この金属原料粉末を混合粉砕用ステンレス製ボールとの重量比が1/30となるように、実施例1と同様な試験装置、容器及び混合粉砕用ステンレス製ボールを使用して、容器内に水素ガスを充填し、容器内を水素ガス雰囲気とした後、蓋をして密閉状態とした。この容器を振動ボールミル試験装置の架台に載せ、振動回転数を710rpm、ミリング時間を5時間としてボールミリングを行い、金属原料粉末の粉砕物を製造した。
(2)加熱処理工程:
そして、得られた粉砕物を、実施例1と同様に、(1)粉砕処理工程の容器ごとロータリーポンプで10Pa以下の条件で真空引きして容器内を真空状態として、電気炉内で、保持温度を200℃、昇温速度を50℃/分、加熱時間を3時間として加熱処理を行った。3時間経過後、電気炉内で室温になるまで除冷することにより、平均粒径が1〜5μmの本発明のMg−Al系合金粉末(Mg17Al12化合物)を得た。回収率は98%、純度は98%以上であった。
また、前記(1)粉砕処理工程において、容器内に水素ガスを充填して、容器内を水素ガス雰囲気とする代わりに、10Pa以下で真空引きしたものも併せて実施して、Mg−Al系合金粉末(Mg17Al12化合物)を製造した(これを実施例4Aとする。)。
なお、図2のMg−Al系平衡状態図より、Mg17Al12化合物の融点は約450℃ということがわかるので、保持温度をその約45%である200℃とした。
図12は、実施例4及び実施例4Aで得られたMg−Al系合金粉末のX線回折スペク
トルを示す図である。なお、図12には、(1)粉砕処理工程前の金属原料粉末(参考例
4−1)、及び当該工程後の粉砕物(参考例4−2及び参考例4−2A)の結果も併せて
記載した。図12に示すように、粉砕処理工程で容器内を水素雰囲気とした実施例4及び
容器内を真空状態とした実施例4Aの合金粉末は、いずれもMg17Al12の明確なピークが認められ、Mg−Al系合金が製造できたことが確認できた。
[実施例5]
(Tb−Fe系合金粉末の製造)
下記(1)及び(2)の工程により、Tb−Fe系合金粉末を製造した。なお、使用したTb粉末(株式会社高純度化学研究所製)は、平均粒径が約0.8mm、純度が99.9%以上のものであり、Fe粉末(株式会社高純度化学研究所製)は平均粒径が約100μm、純度が99.9%以上のものである。
(1)粉砕処理工程:
前記した仕様のTb粉末とFe粉末を、配合比をTb/Fe=1/2として金属原料粉末とした。この金属原料粉末を混合粉砕用ステンレス製ボールとの重量比が1/30となるように、実施例1と同様な試験装置、容器及び混合粉砕用ステンレス製ボールを使用して、ロータリーポンプで容器内を10Pa以下で真空引きした真空状態とした後、蓋をして密閉状態とした。この容器を振動ボールミル試験装置の架台に載せ、振動回転数を710rpm、ミリング時間を5時間としてボールミリングを行い、金属原料粉末の粉砕物を製造した。
(2)加熱処理工程:
そして、得られた粉砕物を、実施例1と同様に、(1)粉砕処理工程の容器ごとロータリーポンプで10Pa以下の条件で真空引きして容器内を真空状態として、電気炉内で、保持温度を730℃、昇温速度を50℃/分、加熱時間を3時間として加熱処理を行った。3時間経過後、電気炉内で室温になるまで除冷することにより、平均粒径が1〜5μmの本発明のTb−Fe系合金粉末(TbFe化合物)を得た。回収率は98%、純度は98%以上であった。
なお、図3のTb−Fe系平衡状態図より、TbFe化合物の融点は約1300℃ということがわかるので、保持温度をその約55%である730℃とした。
図13は、実施例5で得られたTb−Fe系合金粉末のX線回折スペクトルを示す図で
ある。なお、図13には、(1)粉砕処理工程前の金属原料粉末(参考例5−1)、当該
工程後の粉砕物(参考例5−2)、及び(2)加熱処理工程における保持温度を600℃
としたもの(実施例5A)の結果も併せて載せた。図13に示すように、実施例5の合金
粉末は、TbFeの明確なピークが認められ、Tb−Fe系合金が製造できたことが確
認できた。なお、保持温度が600℃(TbFe化合物の融点の約46%)である実施
例5Aも、TbFeの明確なピークが認めら、Tb−Fe系合金が製造されていること
がわかった。
本発明は、例えば、水素吸蔵合金、磁性合金等の機能性合金粉末を製造する方法として有利に使用することができる。
Ti−Fe系の平衡状態図である。 Mg−Al系の平衡状態図である。 Tb−Fe系の平衡状態図である。 実施例1で得られたTi−Fe系水素吸蔵合金粉末のX線回折スペクトルを示した図である。 実施例2で得られたTi−Fe系水素吸蔵合金粉末のX線回折スペクトルを示した図である。 実施例2で得られたTi−Fe系水素吸蔵合金粉末のX線回折スペクトルを示した図である。 実施例2における粉砕物の断面写真を示す図である。 参考例2−3における粉砕物の断面写真を示す図である。 実施例3で得られたTi−Fe系水素吸蔵合金粉末のX線回折スペクトルを示した図である。 実施例3で得られたTi−Fe系水素吸蔵合金粉末のX線回折スペクトルを示した図である。 試験例1における加圧時間と水素吸蔵量との関係を示した図である。 実施例4で得られたMg−Al系合金粉末のX線回折スペクトルを示した図である。 実施例5で得られたTb−Fe系合金粉末のX線回折スペクトルを示した図である。

Claims (4)

  1. 混合エンタルピーが負となる金属の組み合わせからなる金属原料粉末を、ボールミリングによりナノレベルの結晶粒となるまで粉砕処理する粉砕処理工程と、当該粉砕処理により得られた金属原料粉末の粉砕物を、製造しようとする合金の融点の35%以上の温度で、真空状態で加熱処理する加熱処理工程を含むことを特徴とする合金粉末の製造方法。
  2. 前記粉砕処理工程におけるミリング時間が2〜5時間であることを特徴とする請求項1に記載の合金粉末の製造方法。
  3. 前記金属の組み合わせが、Ti−Fe、Mg−Al、Tb−Feのいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の合金粉末の製造方法。
  4. 前記ボールミリングが、振動ボールミル、回転ボールミル、遊星ボールミルのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の合金粉末の製造方法。
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