JP2016046118A - 電極及びそれを用いて構成される電池 - Google Patents

電極及びそれを用いて構成される電池 Download PDF

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Abstract

【課題】鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池等の電極において、シェイプチェンジが効果的に抑制され、かつ優れた充放電特性を有する電極を安価に提供する。
【解決手段】電極構造は複数の集電体と活物質を含み、集電体のうち少なくとも1つは、平面状の形状を有し、面を貫通する貫通孔を有し、活物質層はアニオン伝導材料によって覆われ、アニオン伝導材料は、ポリマーと、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極及びそれを用いて構成される電池に関する。より詳しくは、鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池等の各種電池に好適に使用することができる電極及びそれを用いて構成される電池に関する。
近年、小型携帯機器から自動車等大型用途まで多くの産業において、電池の重要性が急速に高まっており、主にその容量、エネルギー密度や二次電池化の面において優位性を持つ新たな電池系が種々開発・改良されている。
これら種々の電池の中で、鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池等の電池反応に伴って電極の溶解・析出反応を生じる電池では、電極材料の析出形態を制御することが極めて重要である。特にニッケル−カドミウム電池やニッケル−亜鉛電池では負極において負極活物質であるカドミウムや亜鉛の析出形態が制御できていないと、充放電反応を重ねるごとに電極形状が変化し、負極活物質が枯渇するといった現象が現れる。これをシェイプチェンジと呼び、電池開発における重要な課題のひとつとなっている。
このようなシェイプチェンジを抑制するための手段として、活物質層中に添加剤を入れる技術がこれまでに報告されている(特許文献1及び非特許文献1、2参照)。これらの技術は、(1)負極活物質よりも還元電位が高く、負極内では還元されて金属となっているもの、(2)電気化学的に還元されるだけでなく、電解液にわずかにとけることを利用して活物質表面を覆うもの、(3)電解液にとけるだけのもの、のいずれかの特徴を有する添加剤を活物質中に入れるものであり、添加剤は、電極内の電子伝導とイオン伝導に寄与し、そのバランスを保つのに有効に働くことで電極のシェイプチェンジを抑制している。
また、電極には、充放電特性に優れることも求められ、スポンジ状の集電体に活物質を充填したり、繊維状の集電体を用いることで集電体を広げ、充放電特性等に優れた電極とする技術が報告されている(特許文献2〜4参照)。
国際公開第2013/027767号 特開平10−162817号公報 特開平10−172539号公報 特開平10−302802号公報
電気化学 Vol.65, No.2, p154−158 電気化学 Vol.62, No.8, p702−708
上記のように、活物質層中に添加剤を入れることでシェイプチェンジを抑制する方法では、添加剤を多くするほど活物質量が減ってしまうため、電池容量が低下することになる。このため、添加剤の添加量には上限があり、シェイプチェンジの抑制効果も限定的である。上記特許文献2〜4に記載の技術は、活物質の利用率を向上させること等により充放電特性等を向上させる技術であるが、スポンジ状の集電体に活物質を充填する技術は、集電している物質の厚み以上に活物質層を厚くすることができず、電極1つ当たりに搭載できる活物質量には限界がある。また、繊維状の集電体を用いる技術では、特殊な形状の集電体を用いる必要があり、コスト面で割高となる。このため、いずれの技術も、シェイプチェンジの抑制と優れた充放電特性とを安価に両立した電極を提供できているとはいえず、そのような電極を開発する工夫の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、シェイプチェンジが効果的に抑制され、かつ優れた充放電特性を有する電極を安価に提供することを目的とする。
本発明者は、シェイプチェンジの抑制と優れた充放電特性とを両立した安価な電極について種々検討したところ、複数の集電体と、活物質を含む活物質層とを含む電極とすると、電極中で電流が分散することで電極のシェイプチェンジが抑制されるとともに、活物質の利用率を高めることができることを見出した。この電極では、集電体の厚み以上に活物質層を厚くすることができるため、充分な量の活物質を含む電極とすることができ、また、特殊な形状の集電体を使用する必要がないため、安価に電極を製造することができる。これにより、シェイプチェンジの抑制と優れた充放電特性とを両立した電極を安価に製造できることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、複数の集電体と、活物質を含む活物質層とを含むことを特徴とする電極である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
<本発明の電極>
本発明の電極は、複数の集電体と、活物質を含む活物質層とを含む限り、電極の形態は特に制限されないが、活物質層と集電体とが交互に積層された形態、又は、活物質層中に複数の集電体が含まれた形態のいずれかの形態であることが好ましい。集電体の形状も特に制限されないが、電極がいずれの形態の場合であっても、本発明の電極を用いて電池を構成した場合に、他方の電極と直接接続されることになる集電体は、平面状の形態であることが好ましい。また、電極が、活物質層と集電体とが交互に積層された形態である場合は、全ての集電体が平面状の形状であることが好ましい。
ここで、平面状の形状とは、平面的な広がりをもった形状であって、最も広い面の面積が、当該面と隣接するいずれの面の面積よりも2倍以上大きい形状を意味する。
本発明の電極において、複数の集電体は互いに直接接触していてもよく、接触していなくてもよいが、複数の集電体が互いに直接には接触しておらず、下記の導電性物質や活物質の作用により電気的な接続が形成される電極であることは、本発明の電極の好適な形態である。なお、複数の集電体は互いに直接接触している場合、それら全体を1つの集電体とみることもできるが、このような、もともと複数の集電体の一部が電極中で接触している場合も本発明における複数の集電体を用いる場合に該当する。
また本発明の電極は、正極、負極のいずれとして用いられてもよいが、負極として用いられることは本発明の好適な実施形態の1つである。
<導電性物質>
上記活物質層は、活物質以外の導電性物質を含むことが好ましい。活物質層が活物質以外の導電性物質を含む場合、複数の集電体が直接には接触していないものであっても、活物質層中の導電性物質を通じて複数の集電体が電気的に接続され、集電体の表面積が広がることになる。そしてこれにより、電流が分散してシェイプチェンジが抑制されて、電極が長寿命化するとともに、活物質層に含まれる活物質の利用率が高まって、充電深度が深くなり、また、充放電のレートも高くなるといった充放電特性の更なる向上効果も得られる。
上記導電性物質は、活物質層が含む活物質よりも還元電位が高い金属化合物であることが好ましい。導電性物質がこのような化合物であると、電極の充放電に影響されることなく導電性物質が安定して金属化合物として活物質層中に存在し、複数の集電体を電気的に接続する役割を発揮することができる。
導電性物質としては、銅、錫、ビスマス、インジウム、タリウム、ガリウム、水銀、酸化チタン、窒化チタン等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記導電性物質の含有量は、活物質層全体の0.1〜20%であることが好ましい。このような割合であると、活物質層が充分な量の活物質を含むことができ、かつ、導電性物質を含むことの効果も充分に発揮することができるため、得られる電極が充放電特性により優れたものとなる。導電性物質の含有量は、より好ましくは、活物質層全体の1〜10%であり、更に好ましくは、活物質層全体の2〜5%である。
<活物質>
上記活物質は、充放電の過程でイオンの形態となるものであることが好ましい。そのような活物質を用いると、充放電の過程で活物質が活物質層中を移動し、接触していない複数の集電体間に活物質粒子を介した電気的接続が形成されて、集電体の表面積が広がることになる。そしてこれにより、電流が分散し、また、イオンの状態となった活物質が集電体近傍で析出するため、シェイプチェンジの抑制効果や充放電特性の向上効果が得られることになる。
上記充放電の過程でイオンの形態となる活物質としては、亜鉛種又はカドミウム種が好ましい。ここで亜鉛種とは、亜鉛の金属単体又は亜鉛含有化合物のことである。カドミウム種についても同様であり、カドミウムの金属単体又はカドミウム含有化合物のことである。
上記亜鉛含有化合物としては、活物質として用いることができるものであればよく、例えば、酸化亜鉛(JIS K1410(2006年)に規定する1種/2種/3種)や、水酸化亜鉛・硫化亜鉛・テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ金属塩・テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ土類金属塩・亜鉛ハロゲン化合物・亜鉛カルボキシラート化合物・亜鉛合金・亜鉛固溶体・ホウ酸亜鉛・リン酸亜鉛・リン酸水素亜鉛・ケイ酸亜鉛・アルミン酸亜鉛・炭酸化合物・炭酸水素化合物・硝酸化合物・硫酸化合物等に代表される周期表の第1族〜第17族に属する元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を有する亜鉛(合金)化合物、有機亜鉛化合物、亜鉛化合物塩等が挙げられる。これらの中でも、酸化亜鉛(JIS K1410(2006年)に規定する1種/2種/3種)、水酸化亜鉛、テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ金属塩、テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ土類金属塩、亜鉛ハロゲン化合物、亜鉛カルボキシラート化合物、亜鉛合金、亜鉛固溶体、ホウ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、アルミン酸亜鉛、炭酸亜鉛、周期表の第1族〜第17族に属する元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を有する亜鉛(合金)化合物がより好ましい。上記亜鉛合金は、(アルカリ)乾電池や空気電池に使用される亜鉛合金であってもよい。上記亜鉛含有化合物は、1種でも2種以上でも使用することができる。
上記カドミウム含有化合物としては、活物質として用いることができるものであればよく、例えば、酸化カドミウム、塩化カドミウム、硫化カドミウム、水酸化カドミウム等が挙げられる。
本発明の電極が含む活物質は、上記のものの中でも、亜鉛種を含有することがより好ましい。特に本発明の電極は、亜鉛種を活物質として含む亜鉛負極として用いられることが更に好ましい。活物質として亜鉛種を含むと、充放電の過程で生成する亜鉛酸イオンによって複数の集電体間が電気的に接続され、集電体が広がることになる。
亜鉛種を活物質として用いる負極は、シェイプチェンジが発生して活物質が枯渇し、電子を取り出すために電解液の水を分解して水素が発生する不具合が生じることがあるが、本発明の電極を亜鉛を活物質とする負極として用いることで、このような不具合の発生を効果的に抑制することができる。更に、集電体が広がることで、活物質の利用率が高まり、充放電特性にも優れた亜鉛負極となる。
<集電体>
本発明の電極が含む集電体のうち少なくとも1つが、平面状の形状を有し、面を貫通する貫通孔を有するものであることは、本発明の好適な実施形態の1つである。電極が優れた充放電特性を発揮するためには、電解質からのイオン伝導と正極からの電子伝導とのバランスが重要である。充放電特性を優れたものとする点からは、集電体の面積が広いほうが好ましく、平面形状の集電体を用いることは、本発明の好ましい形態である。しかし、平面形状の複数の集電体を有する場合、電解質に最も近い位置にある集電体は電解質から充分なイオン伝導を受けることができるが、電解質との間に他の集電体が存在する位置にある集電体は、他の集電体の影響で、電解質に最も近い位置にある集電体に比べてイオン伝導を受ける量が少なくなってしまう。しかし、平面形状の集電体のうち少なくとも1つが、面を貫通する貫通孔を有するものであると、電解質側からみて当該貫通孔を有する集電体の後ろに位置する集電体にも当該貫通孔を通して充分なイオン伝導が行われることになるため、後ろの集電体もより多くのイオン伝導を受けることができる。
より好ましくは、電解質に最も近い位置にある集電体が面を貫通する貫通孔を有することである。
また、平面形状の複数の集電体のうち、貫通孔を有する集電体の数は多いほうが好ましく、全ての平面形状の集電体が面を貫通する貫通孔を有するものであることが最も好ましい。本発明の電極が含む集電体が、全て面を貫通する貫通孔を有する平面形状の集電体であることは、本発明の電極の好ましい形態の1つである。
上記貫通孔を有する集電体の貫通孔の数や大きさは特に制限されないが、集電体として充分な機能を発揮しつつ、他の集電体へのイオン伝導性を良好にすることを考えると、集電体全体の面積のうち、貫通孔部分の面積の合計(開口率)が5〜80%であることが好ましい。より好ましくは、50〜70%である。
上記面を貫通する貫通孔を有する集電体が、繊維状導電性物質により形成された網状導電体であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
集電体が網状導電体であると、電解質側からみて当該網状導電体の後ろにある他の集電体も充分なイオン伝導を受けることができる。
網状導電体は、一般に網状といえる、繊維状導電性物質により多数の孔が形成された形状のものであればよく、繊維状導電性物質の太さや孔の大きさは特に制限されないが、網状導電体全体の面積に対する孔の部分の面積は、上記集電体における貫通孔の面積と同様であることが好ましい。
本発明において、集電体の材料としては、銅、真鍮等の銅合金、Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等を添加した、又は、これらによりメッキされた(電解)銅、ニッケル、耐食性ニッケル、亜鉛、耐食性金属亜鉛、鋼、導電性を付与した不織布、銀の他、アルカリ(蓄)電池や空気亜鉛電池に集電体や容器として使用される材料等を用いることができ、これらの材料からなる箔や板等を集電体として用いることができる。
これらの材料を用いた、面を貫通する貫通孔を有する集電体(繊維状導電性物質により形成された網状導電体も含む)としては、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、(パンチング)鋼板;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等を添加した(電解)銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等によりメッキされた(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅等が挙げられる。
本発明の電極が、平面形状の集電体と活物質層とを交互に積層した形態のものである場合、集電体の数は特に制限されないが、活物質層1mmあたり1枚〜5枚であることが好ましい。より好ましくは、活物質層1mmあたり1枚又は2枚である。
また、平面形状の集電体の厚みは、0.01〜1mmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜0.5mmである。
<アニオン伝導材料>
本発明の電極は、活物質層がアニオン伝導材料によって覆われていることが好ましい。活物質層がアニオン伝導材料によって覆われていることで、デンドライトが成長し、電極の短絡が生じるおそれのある活物質を用いた場合でも、デンドライトの成長を抑制することができ、本発明の電極を用いた電池を長寿命化させることができる。
本発明の電極が活物質層と集電体とが交互に積層されたものである場合には、活物質層毎にアニオン伝導材料によって覆われていてもよく、電極全体がアニオン伝導材料によって覆われていてもよい。中でも、充放電の過程でイオンの形態となる活物質を用いる場合には、活物質層毎にアニオン伝導材料によって覆われていると、活物質のイオンの拡散を電極内部でも抑制することができるため、よりシェイプチェンジ抑制効果の高い電極が実現できる。この効果は、本発明の電極が活物質層と集電体とが交互に積層されたものである場合に、活物質層の間にアニオン伝導材料の層を挿入することによっても得ることができる。
上記アニオン伝導材料とは、陰イオンを優先的に透過する材料を意味する。これは、本発明と同じ又は類似の技術分野に属する下記公知文献に記載のいずれの発明においても共通する概念である。本発明では、アニオン伝導材料とは、陰イオン、特に水酸化物イオンを透過する層(膜等)を意味する。
(特表2014−503689号公報、特開2013−145758号公報、特開2013−091598号公報、特開2014−011000号公報、特開2013−211201号公報、国際公開第2011/070658号、特開2011−255302号公報、特開2010−215744号公報、特表2009−529222号公報、特開2010−049871号公報、特開2009−108395号公報、特表2007−507704号公報、特開2007−091582号公報、特開2007−273280号公報、特表2006−505099号公報、特表2003−528019号公報、特表2003−531711号公報、特開2002−226498号公報)
上記アニオン伝導材料によって形成されるアニオン伝導層の厚さは、適宜選択できるが、0.1μm以上であることが好ましい。より好ましくは、0.5μm以上である。更に好ましくは、1μm以上である。また、該厚さは、例えば50mm以下であることが好ましい。より好ましくは、5mm以下である。更に好ましくは、1mm以下である。
アニオン伝導層の厚さは、マイクロメーター等での測定や、該電極を鋭利な器具で切断した断面を電子顕微鏡で観察し計測することができる。
上記アニオン伝導材料は、ポリマーと、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物とを含むものであることが好ましい。このようなアニオン伝導材料によって形成されたアニオン伝導層は、良好な水酸化物イオン透過性を有しながら、アニオンであってもイオン半径の大きな金属イオンの拡散は充分に防止することができるため、アニオン伝導層を有するものであっても電極が良好な電極性能を発揮することができ、かつ、充放電反応に伴って電極が溶解して活物質由来のイオンが発生する活物質を用いた場合でも、活物質由来のイオンの拡散を防止することができる。
この場合、アニオン伝導材料はポリマーと、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物をそれぞれ1種含んでいても2種以上含んでいてもよく、また、これら以外の成分を含んでいてもよい。
以下に、アニオン伝導材料が含むポリマー、及び、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物(以下、単に無機化合物ともいう。)について順に説明する。
(アニオン伝導材料が含むポリマー)
上記アニオン伝導材料が含むポリマーとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等の炭化水素部位含有ポリマー、ポリスチレン等に代表される芳香族基含有ポリマー;アルキレングリコール等に代表されるエーテル基含有ポリマー;ポリビニルアルコールやポリ(α−ヒドロキシメチルアクリル酸塩)等に代表される水酸基含有ポリマー;ポリアミド、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンやN−置換ポリアクリルアミド等に代表されるアミド基含有ポリマー;ポリマレイミド等に代表されるイミド基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリメチレングルタル酸等に代表されるカルボキシル基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリイタコン酸塩、ポリメチレングルタル酸塩等に代表されるカルボン酸塩基含有ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有ポリマー;エポキシ樹脂等のエポキシ基が開環することにより結合したポリマー;スルホン酸塩部位含有ポリマー;ARB(Aは、N又はPを表す。Bは、ハロゲンアニオンやOH等のアニオンを表す。R、R、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜7のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルカルボキシル基、又は、芳香環基を表す。R、R、Rは、結合して環構造を形成してもよい。)で表される基が結合したポリマーに代表される第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー;陽イオン・陰イオン交換膜等に使用されるイオン交換性重合体;天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)等に代表される人工ゴム;セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、アルギン酸(塩)等に代表される糖類;ポリエチレンイミンに代表されるアミノ基含有ポリマー;カルバメート基部位含有ポリマー;カルバミド基部位含有ポリマー;エポキシ基部位含有ポリマー;複素環、及び/又は、イオン化した複素環部位含有ポリマー;ポリマーアロイ;ヘテロ原子含有ポリマー;低分子量界面活性剤などが挙げられる。
上記のものの中でも、アニオン伝導材料が含むポリマーは、芳香族基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボン酸塩基、水酸基、アミノ基、及び、エーテル基からなる群より選択される少なくとも1種を含有するか、又は、炭化水素であることが好ましい。より好ましくは、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、及び、エーテル基からなる群より選択される少なくとも1種である。
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。より好ましくは、フッ素原子である。また、カルボン酸塩基は、カルボン酸リチウム塩基、カルボン酸ナトリウム塩基、カルボン酸カリウム塩基が好ましい。より好ましくは、カルボン酸ナトリウム塩基である。上記炭化水素は、例えばポリオレフィンが挙げられる。中でも、上記ポリマーは、(1)絶縁物であること、(2)アニオン伝導材料の粉末を増粘・結着させることができること、(3)物理的強度に優れることの3点を総合的に考慮して適宜選択することが好ましく、このような観点からは、炭化水素部位含有ポリマー、芳香族基含有ポリマー、エーテル基含有ポリマー、カルボキシル基含有ポリマー、カルボン酸塩基含有ポリマー、ハロゲン含有ポリマー、スルホン酸塩部位含有ポリマー、第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー、糖類が好ましい。上記ポリマーは熱や圧力等により繊維化された状態になってもよい。ポリマーの繊維化により、活物質(層)やアニオン伝導材料の強度、アニオン伝導度等を調節することもできる。
上記ポリマーは、その構成単位に該当するモノマーより、ラジカル(共)重合、アニオン(共)重合、カチオン(共)重合、グラフト(共)重合、リビング(共)重合、分散(共)重合、乳化(共)重合、懸濁(共)重合、開環(共)重合、環化(共)重合、光、紫外線や電子線照射による重合、メタセシス(共)重合、電解(共)重合等により得ることができる。これらポリマーが官能基を有する場合には、それを主鎖及び/又は側鎖に有していても良く、架橋剤との結合部位として存在してもよい。これらポリマーは、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記ポリマーは、下記無機化合物以外の有機架橋剤化合物により、架橋されていてもよい。ただし、架橋されたポリマーが吸水性を有する場合、アニオン伝導材料にクラックを生じることがあるため、架橋されたポリマーは吸水性を持たない方がよい。
上記ポリマーの重量平均分子量は、200〜7000000であることが好ましい。これにより、アニオン伝導材料のイオン伝導性、粘性、可とう性、強度等を調節することができる。該重量平均分子量は、より好ましくは、400〜6500000であり、更に好ましくは、500〜5000000である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
上記ポリマーの質量割合は、アニオン伝導材料100質量%に対して、0.1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上であり、更に好ましくは、25質量%以上であり、一層好ましくは、30質量%を超えることであり、特に好ましくは、40質量%を超えることであり、最も好ましくは45質量%を超えることである。また、99.9質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、99.5質量%以下であり、更に好ましくは、99質量%以下であり、一層好ましくは、97質量%以下であり、特に好ましくは、80質量%以下である。これにより、アニオン伝導材料のクラックを生じにくくする効果をも発揮し、アニオン伝導層を有することの効果を顕著なものとすることができる。
本発明に係るアニオン伝導材料における、ポリマーと、無機化合物との質量割合は、5000000/1〜1/100000であることが好ましい。より好ましくは、2000000/1〜1/50000であり、更に好ましくは、1000000/1〜1/10000である。一層好ましくは、1000000/1〜1/100である。より一層好ましくは、100/3〜75/100である。特に好ましくは、100/50〜75/100である。本発明に係るアニオン伝導材料に含まれる無機化合物がハイドロタルサイトである場合に上記質量割合を満たすことにより、アニオン伝導材料におけるアニオン伝導性を優れたものとする効果及びクラックを生じにくくする効果の両方を顕著に優れたものとすることができる。
(無機化合物)
上記周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物(本明細書中、単に無機化合物とも言う。)は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、Sb、Bi、S、Se、Te、F、Cl、及び、Brからなる群より選択される少なくとも1つの元素であることが好ましい。中でも、上記周期表の第1族〜第15族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物が好ましく、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、Sb、及び、Biからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含むものが好ましい。より好ましくは、Li、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Sn、Pb、N、P、及び、Biからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含むものである。
上記無機化合物は、酸化物、水酸化物、層状複水酸化物、硫酸化合物、及び、リン酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましい。
酸化物としては、例えばアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、N、P、Sb、Bi、S、Se、Te、F、Cl、及び、Brからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物であることが好ましい。中でも、上記周期表の第1族〜第15族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物が好ましく、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、Sb、及び、Biからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む酸化物が好ましい。より好ましくは、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Sn、Pb、及び、Biからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む酸化物である。更に好ましくは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化錫、酸化ジルコニウムであり、特に好ましくは、酸化マグネシウム、酸化ビスマス、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化錫、酸化ジルコニウムである。また、酸化セリウムは、例えば、酸化サマリウム、酸化ガドリニウム、酸化ビスマス等の金属酸化物がドープされたものや、酸化ジルコニウム等の金属酸化物との固溶体であってもよい。上記酸化物は、酸素欠陥を持つものであってもよい。
上記水酸化物としては、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化セリウム、水酸化ジルコニウムが好ましい。なお、本明細書中、水酸化物は、層状複水酸化物以外の水酸化物を言う。
上記層状複水酸化物は、例えばハイドロタルサイトが好ましい。これにより、上記アニオン伝導材料のアニオン伝導性を際立って優れたものとすることができる。
上記ハイドロタルサイトは、下記式(1);
[M 1−x (OH)](An−x/n・mHO (1)
(式中、M=Mg、Fe、Zn、Ca、Li、Ni、Co、Cu等;M=Al、Fe、Mn等;A=CO 2−等、mは0以上の正数、nは2又は3、xは、0.20≦x≦0.40程度)で示される化合物であることが好ましい。この化合物を、150℃〜900℃で焼成することにより脱水した化合物や、層間内の陰イオンを分解させた化合物、層間内の陰イオンを水酸化物イオン等に交換した化合物、天然鉱物であるMgAl(OH)16CO・mHO等を上記無機化合物として使用してもよい。上記ハイドロタルサイトには、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シラノール基等の官能基を持つ化合物が配位していてもよい。層間内に有機物を有していてもよい。
上記硫酸化合物は、例えばエトリンガイトが好ましい。
上記リン酸化合物は、例えばヒドロキシアパタイトが好ましい。
上記ヒドロキシアパタイトは、Ca10(PO(OH)に代表される化合物であり、調製時の条件によりCaの量を減らした化合物や、Ca以外の元素を導入したヒドロキシアパタイト化合物等を上記無機化合物として使用してもよい。
上記無機化合物は、それを電解液原料、電解液、ゲル電解質等に導入した際に、溶解状態、コロイド等の分散状態、不溶状態等のいずれであっても良く、その表面の一部がプラスやマイナスの電荷に帯電するものが好ましく、ゼータ電位の測定等により、粒子の帯電状態を推察することができる。これら無機化合物は、後述するように、ポリマーが有する官能基との共有結合、配位結合や、イオン結合、水素結合、π結合、ファンデルワールス結合、アゴスチック相互作用等の非共有性結合により相互作用することもできる。ハイドロタルサイト等の層状化合物を用いる場合には、その層内にポリマーが形成されていてもよいし、有機物を含んでいてもよい。また、上記無機化合物は、それを電解液原料、電解液、ゲル電解質等に導入した際に、その表面の一部がプラスやマイナスの電荷に帯電しない状態(等電点に相当)で使用してもよい。
上記アニオン伝導材料は、電解液原料、電解液、ゲル電解質等に導入した際に水和物となるようなものであってもよい。水和物であることにより、電池反応に関与する水酸化物イオン等の伝導性を更に高めることができる。
上記無機化合物は、下記平均粒子径、及び/又は、下記比表面積を満たす粒子を含むことが好ましい。より好ましくは、該無機化合物が、下記平均粒子径、及び/又は、下記比表面積を満たすことである。
上記無機化合物は、平均粒子径が1000μm以下であるものが好ましい。該平均粒子径は、より好ましくは、200μm以下であり、更に好ましくは、100μm以下であり、特に好ましくは、75μm以下であり、最も好ましくは、20μm以下である。一方、平均粒子径は、5nm以上であることが好ましい。より好ましくは、10nm以上である。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
上記無機化合物の粒子の形状としては、微粉状、粉状、粒状、顆粒状、鱗片状、多面体状、ロッド状、曲面含有状等が挙げられる。なお、平均粒子径が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子をボールミル等により粉砕し、得られた粗粒子を分散剤に分散させて所望の粒子径にした後に乾固する方法や、該粗粒子をふるい等にかけて粒子径を選別する方法のほか、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、所望の粒径の(ナノ)粒子を得る方法等により製造することが可能である。
上記無機化合物は、比表面積が0.01m/g以上であることが好ましい。該比表面積は、より好ましくは、0.1m/g以上であり、更に好ましくは、0.5m/g以上である。一方、1500m/g以下であることが好ましい。該比表面積は、より好ましくは、500m/g以下であり、更に好ましくは、450m/g以下であり、特に好ましくは、400m/g以下である。
上記比表面積は、窒素吸着BET法で比表面積測定装置により測定することができる。
なお、比表面積が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子をナノ粒子化したり、粒子製造の際の調製条件を選択することにより粒子表面に凹凸をつけたりすることにより製造することが可能である。
上記無機化合物は、アスペクト比(縦/横)が1.1以上であることが好ましい。該アスペクト比(縦/横)は、より好ましくは、2以上であり、更に好ましくは、3以上である。また、該アスペクト比(縦/横)は、100000以下であることが好ましい。該アスペクト比(縦/横)は、より好ましくは50000以下である。
上記アスペクト比(縦/横)は、例えば、SEMにより観察した粒子の形状から求めることができる。例えば、上記無機化合物の粒子が直方体状の場合は、最も長い辺を縦、2番目に長い辺を横として、縦の長さを横の長さで除することにより求めることができる。その他の形状の場合には、アスペクト比が最も大きくなるように、ある一つの部分を底面に置き、それをアスペクト比が最も大きくなるような方向から投影した時にできる二次元の形において、ある一点から最も離れた一点の長さを測定し、その最も長い辺を縦、縦の中心点を通る直線のうち最も長い辺を横として、縦の長さを横の長さで除することにより求めることができる。
なお、アスペクト比(縦/横)が上述のような範囲の無機化合物の粒子は、例えば、そのようなアスペクト比を有する粒子を選択する方法や、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、該粒子を選択的に得る方法等により得ることが可能である。
上記無機化合物の質量割合としては、アニオン伝導材料100質量%に対して、0.1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上であり、更に好ましくは、1質量%以上であり、一層好ましくは3質量%以上であり、特に好ましくは20質量%以上である。また、99.9質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、99質量%以下であり、更に好ましくは、75質量%以下であり、一層好ましくは、70質量%未満であり、特に好ましくは、60質量%未満であり、最も好ましくは55質量%未満である。
上記無機化合物の質量割合を上記範囲内とすることにより、アニオン伝導層を有することの効果を発揮できるとともに、アニオン伝導材料のクラックを生じにくくする効果を発揮することができる。中でも、層状複水酸化物の質量割合を上記範囲内とすることが特に好ましい。
(その他の成分)
本発明のアニオン伝導材料は、ポリマーと、無機化合物とを含む限り、更にその他の成分を含んでいてもよい。
上記その他の成分は、特に限定されないが、例えば、粘土化合物;固溶体;合金;ゼオライト;ハロゲン化物;カルボキシラート化合物;炭酸化合物;炭酸水素化合物;硝酸化合物;スルホン酸化合物;亜リン化合物;次亜リン酸化合物、ホウ酸化合物;ケイ酸化合物;アルミン酸化合物;硫化物;オニウム化合物;塩;有機化合物等を1種又は2種以上含んでいても良い。上記その他の成分は、上記無機化合物や上記ポリマーとは異なる化合物である。上記その他の成分は、イオン伝導性を補助したり、溶媒・熱・焼成・電気等の手法を用いて除去されることによって後述するアニオン伝導材料中の空孔を形成したりする等の働きも可能である。
上記その他の成分の好ましい平均粒子径は、上述した無機化合物の好ましい平均粒子径と同様である。
上記その他の成分の平均粒子径は、上記した無機化合物の平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
上記その他の成分の粒子の形状、所望の平均粒子径をもつその他の成分の粒子の調製方法は、上記した無機化合物の形状、所望の平均粒子径をもつ無機化合物の粒子の調製方法と同様である。
上記その他の成分の粒子の好ましい比表面積、比表面積の測定方法、所望の比表面積をもつその他の成分の粒子の調製方法は、上記した無機化合物の好ましい比表面積、比表面積の測定方法、所望の比表面積をもつ無機化合物の粒子の調製方法と同様である。
上記その他の成分の好ましいアスペクト比(縦/横)、アスペクト比の測定方法、所望のアスペクト比をもつその他の成分の粒子の調製方法は、上記した無機化合物のアスペクト比(縦/横)、アスペクト比の測定方法、所望のアスペクト比をもつ無機化合物の粒子の調製方法と同様である。
上記その他の成分の質量割合は、その他の成分を用いる場合は、アニオン伝導材料100質量%に対して、0.001質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、0.01質量%以上であり、更に好ましくは、0.05質量%以上である。また、90質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、70質量%以下であり、更に好ましくは、45質量%以下である。その他の成分は、全く含まなくてもよい。
本発明に係るアニオン伝導材料は、上述したポリマー、無機化合物、その他の成分を、それぞれ、1種のみ含んでいてもよいし2種以上を含んでいてもよい。なお、ポリマーが2種以上含まれる場合、ポリマーの質量とは、特に断らない限り、2種以上のポリマーの合計質量を言う。無機化合物、その他の成分のそれぞれが2種以上含まれる場合についても同様である。
<活物質層>
本発明の電極は、正極、負極いずれに用いられてもよく、活物質も特に制限されないが、上述したとおり、亜鉛種又はカドミウム種を活物質として含むものであることが好ましい。より好ましくは、亜鉛種を活物質として含むものである。
上記活物質層中の活物質の含有割合は、活物質層の全量100質量%に対して、50〜99.9質量%であることが好ましい。活物質の割合がこのような範囲であると、活物質層を含んで構成される電極を電池に用いた場合に、充分な電池容量を有する電池とすることができる。より好ましくは、55〜99.5質量%であり、更に好ましくは、60〜99質量%である。上記活物質は、これを用いて蓄電池を作製した際に水含有電解液を使用した場合には、電池の使用の過程で水の分解副反応を進行させる場合があり、該副反応を抑制するために、特定の元素を導入したものであってもよい。特定の元素としては、Al、B、Ba、Bi、Br、C、Ca、Cd、Ce、Cl、Cu、Eu、F、Ga、Hg、In、La、Mg、Mn、N、Nb、Nd、Ni、P、Pb、S、Sb、Sc、Si、Sm、Sn、Sr、Ti、Tl、Y、Zr等が挙げられる。
ここで、特定の元素を活物質に導入するとは、活物質を、これらの元素を構成元素とする化合物とすることを意味する。
上記活物質層は、活物質とともに、導電助剤を含むものであることが好ましい。
上記導電助剤としては、例えば、導電性カーボン、導電性セラミックス、亜鉛・亜鉛末・亜鉛合金・(アルカリ)(蓄)乾電池や空気電池に使用される亜鉛(以下、纏めて金属亜鉛とも称する)、銅・真鍮・ニッケル・銀・ビスマス・インジウム・鉛・錫等の金属等を用いることができる。
上記導電性カーボンとしては、天然黒鉛・人造黒鉛等の黒鉛、グラッシーカーボン、アモルファス炭素、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、カーボンナノフォーム、活性炭、グラフェン、ナノグラフェン、グラフェンナノリボン、フラーレン、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相法炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、金属によりコートしたカーボン、カーボンコートした金属、ファイバー状カーボン、ホウ素含有カーボン、窒素含有カーボン、多層/単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、バルカン、アセチレンブラック、酸素含有官能基を導入することにより親水処理したカーボン、SiCコートカーボン、分散・乳化・懸濁・マイクロサスペンジョン重合等により表面処理したカーボン、マイクロカプセルカーボン等が挙げられる。
上記導電性セラミックスとしては、例えば、酸化亜鉛と共に焼成したBi、Co、Nb、及び、Yから選ばれる少なくとも1種を含有する化合物等が挙げられる。
上記導電助剤の中でも、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、グラフェン、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、ファイバー状カーボン、多層/単層カーボンナノチューブ、バルカン、アセチレンブラック、酸素含有官能基を導入することにより親水処理したカーボン、金属亜鉛、銅・真鍮・ニッケル・銀・ビスマス・インジウム・鉛・錫等の金属が好ましい。なお、金属亜鉛はアルカリ(蓄)電池や空気電池のような実電池に使用されるものであってもよく、表面を他元素やカーボン等で処理されたものであってもよいし、合金化されていてもよい。固溶体であってもよい。上記導電助剤は、1種でも2種以上でも使用することができる。
上記金属亜鉛は活物質としても働くことが可能である。言い換えれば、電池の使用の過程で、導電助剤である金属亜鉛は酸化還元反応をおこなって活物質としても機能する。なお、同様に、電池の使用の過程で、活物質である亜鉛含有化合物から生成する金属亜鉛は導電助剤としても機能する。負極等の電極の調製段階で合剤として加える金属亜鉛及び亜鉛含有化合物は、電池の使用の過程では、活物質かつ導電助剤として実質的に機能する。
上記導電助剤は、これを用いて蓄電池を作製した際に水含有電解液を使用した場合には、電池の使用の過程で水の分解副反応を進行させる場合があり、該副反応を抑制するために、特定の元素を導電助剤に導入してもよい。特定の元素としては、Al、B、Ba、Bi、Br、C、Ca、Cd、Ce、Cl、Cu、Eu、F、Ga、Hg、In、La、Mg、Mn、N、Nb、Nd、Ni、P、Pb、S、Sb、Sc、Si、Sm、Sn、Sr、Ti、Tl、Y、Zr等が挙げられる。導電性カーボンを導電助剤の一つとして使用する場合には、特定の元素としては、Al、B、Ba、Bi、C、Ca、Cd、Ce、Cu、F、Ga、In、La、Mg、Mn、N、Nb、Nd、Ni、P、Pb、S、Sb、Sc、Si、Sn、Ti、Tl、Y、Zrが好ましい。
ここで、特定の元素を導電助剤に導入するとは、導電助剤を、これらの元素を構成元素とする化合物とすることを意味する。
上記導電助剤の活物質層中の含有割合は、活物質層中の活物質100質量%に対して、0.0001〜100質量%であることが好ましい。導電助剤の含有割合がこのような範囲であると、活物質層を含んで構成される電極を電池に用いた場合に、より良好な電池性能を発揮する。より好ましくは、0.0005〜60質量%であり、更に好ましくは、0.001〜40質量%である。
なお、金属亜鉛を電極合剤調製時に使用する場合には、金属亜鉛は活物質ではなく、導電助剤として考えて計算する。また、亜鉛種を活物質として用いた場合、亜鉛含有化合物である酸化亜鉛や水酸化亜鉛等から電池の使用の過程で生成する金属亜鉛は、系中で導電助剤としての機能も果たすことになるが、亜鉛負極合剤や亜鉛負極調製時には0価の金属亜鉛ではないため、ここでは導電助剤と考えず、活物質と考えて計算する。すなわち、上記活物質、導電助剤の好ましい含有割合は、亜鉛電極合剤や亜鉛電極の調製時における亜鉛含有化合物は活物質として考え、金属亜鉛は導電助剤として考えて計算する。
本発明に係る活物質層は、更に、周期表の第1族〜第17族に属する元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を有する化合物、有機化合物、及び、有機化合物塩からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
<電極の調製方法>
本発明の電極の調製方法は特に制限されないが、活物質層と集電体とが交互に積層された形態である場合には、電極合剤を調製し、集電体上に、できる限り膜厚が一定になるように塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等することにより、活物質層を形成した後、必要に応じて、更にアニオン伝導材料をその上に塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等してアニオン伝導層を形成して1層の単位電極を形成し、このようにして形成した単位電極を積層して調製することができる。
また、単位電極形成時、活物質層を形成した後やアニオン伝導層を形成した後に、必要に応じて、その後、電極を0〜400℃で乾燥させてもよい。
本発明の電極が、活物質層中に複数の集電体が含まれた形態のものである場合、集電体として機能する材料を含む電極合剤を調製し、集電体上に、できる限り膜厚が一定になるように塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等することにより、集電体を含む活物質層を形成した後、必要に応じて、更にアニオン伝導材料をその上に塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等してアニオン伝導層を形成することで本発明の電極を調製することができる。
また、単位電極形成時、活物質層を形成した後やアニオン伝導層を形成した後に、必要に応じて、その後、電極を0〜400℃で乾燥させてもよい。
<電極合剤>
本発明の電極の調整に用いる電極合剤は、活物質と、必要に応じて結着剤や、導電助剤、その他の成分を混合して調製することができる。混合には、ミキサー、ブレンダー、ニーダー、ビーズミル、レディミル、ボールミル等を使用することができる。混合の際、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、テトラヒドロフラン、テトラフルオロエチレン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤、又は、水と有機溶剤との混合溶剤を加えてもよい。混合の前後に、活物質粒子を所望の径に揃えるために、上記活物質粒子をふるいにかける等の操作を行ってもよく、造粒を行ってもよい。混合は、固体成分に水や有機溶剤等の液体成分を加えて行う湿式法、又は、液体成分を加えずに固体成分のみで行う乾式法のいずれの方法で行ってもよい。混合を湿式法で行った場合は、混合した後、乾燥により水や有機溶剤等の液体成分を除去してもよい。混合は、湿式法と乾式法を組み合わせて行うこともできる。混合の際に加圧・減圧を行ってもよいし、温度をかけてもよい。
上記電極合剤において、溶媒を除く電極合剤の固形分全体に対する活物質や導電助剤等の成分の好ましい含有割合は、上述した活物質層におけるこれらの好ましい割合と同様である。
上記電極合剤が集電体として機能する材料を含む場合、当該材料の含有割合は、電極合剤の固形分100質量%に対して、5〜80質量%であることが好ましい。このような割合で含むと、活物質の利用率を充分に高めることができるとともに、電流を分散させ、電極のシェイプチェンジを充分に抑制することができる。より好ましくは、電極合剤の固形分100質量%に対して、20〜70質量%であり、更に好ましくは、30〜60質量%である。
上記電極合剤が含む結着剤としては、ポリオレフィンや、その他、国際公開第2013/027767号に記載の結着剤として使用される有機化合物、有機化合物塩と同様のものを用いることができる。
上記結着剤の含有量は、電極合剤全体100質量%に対して、1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、2〜5質量%である。
<本発明の電極を用いて構成される電池>
本発明の電極は、シェイプチェンジが効果的に抑制された電極であり、特にシェイプチェンジの不具合が発生しやすい亜鉛種やカドミウム種を負極活物質とする電池に好適に用いることができる。このような、本発明の電極を用いて構成される電池もまた、本発明の1つである。
本発明の電極を負極として用いて構成される電池の正極活物質としては、一次電池や二次電池の正極活物質として通常用いられるものを用いることができ、特に制限されないが、例えば、酸素(酸素が正極活物質となる場合、正極は、酸素の還元や水の酸化が可能なペロブスカイト型化合物、コバルト含有化合物、鉄含有化合物、銅含有化合物、マンガン含有化合物、白金含有化合物等より構成される空気極となる)、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、コバルト含有水酸化ニッケル等のニッケル化合物、酸化銀などが挙げられる。
また、本発明の電極を使用した電池の形態としては、一次電池、充放電が可能な二次電池、メカニカルチャージ(亜鉛負極の機械的な交換)の利用、本発明の電極と上述したような正極活物質より構成される正極とは別の第3極の利用等、いずれの形態であっても良い。
本発明の電池に用いる電解液としては、蓄電池の電解液として通常用いられるものを用いることができ、特に制限されないが、例えば、有機溶剤系電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシエタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、イオン性液体、フッ素含有カーボネート類、フッ素含有エーテル類、ポリエチレングリコール類、フッ素含有ポリエチレングリコール類等が挙げられる。上記有機溶剤系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。水系電解液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、硫酸亜鉛水溶液、硝酸亜鉛水溶液、リン酸亜鉛水溶液、酢酸亜鉛水溶液等などが挙げられる。これらの中でも、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液といったアルカリ性電解質が好ましい。上記水系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。水系電解液は、上記有機溶剤系電解液を含んでいてもよい。
本発明の電池としては、更に、セパレーターを使用することもできる。セパレーターとは、正極と負極を隔離し、電解液を保持して正極と負極との間のイオン伝導性を確保する部材である。セパレーターとして特に制限はないが、不織布、濾紙、ポリエチレンやポリプロピレン等の炭化水素部位含有ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン部位含有ポリマー、ポリフッ化ビニリデン部位含有ポリマー、セルロース、フィブリル化セルロース、ビスコースレイヨン、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール含有ポリマー、セロファン、ポリスチレン等の芳香環部位含有ポリマー、ポリアクリロニトリル部位含有ポリマー、ポリアクリルアミド部位含有ポリマー、ポリハロゲン化ビニル部位含有ポリマー、ポリアミド部位含有ポリマー、ポリイミド部位含有ポリマー、ナイロン等のエステル部位含有ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸部位含有ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸塩部位含有ポリマー、ポリイソプレノールやポリ(メタ)アリルアルコール等の水酸基含有ポリマー、ポリカーボネート等のカーボネート基含有ポリマー、ポリエステル等のエステル基含有ポリマー、ポリウレタン等のカルバメートやカルバミド基部位含有ポリマー、寒天、ゲル化合物、有機無機ハイブリッド(コンポジット)化合物、イオン交換膜性ポリマー、環化ポリマー、スルホン酸塩含有ポリマー、第四級アンモニウム塩含有ポリマー、第四級ホスホニウム塩ポリマー、環状炭化水素基含有ポリマー、エーテル基含有ポリマー、セラミックス等の無機物等が挙げられる。セパレーターはこれらのうちの1種であってもよく、2種以上であってもよい。
本発明の電極は、上述の構成よりなり、シェイプチェンジが効果的に抑制されるとともに、充放電特性にも優れ、安価に製造することができることから、充放電の過程でイオンになる活物質を含む電極、特に、活物質として亜鉛種を含む電極として好適に用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
作製例1
層状複水酸化物としてのハイドロタルサイト2.5gに対し、60質量%濃度のポリテトラフルオロエチレンエマルション水溶液(ポリフロン(登録商標) PTFE D−210C ダイキン工業株式会社製)5gを混錬し、アニオン伝導材料を調製した。
比較例1
ポリオレフィン水分散液(三井化学 ケミパールS100)とテトラフルオロエチレンと酸化亜鉛(平均粒子径1μm)を1:3:96の質量比で混錬し、ペースト化した電極合剤を銅メッシュ(全体の面積に対する開口部分の面積の割合約85%)にペースト厚みが1mmになるように圧延して張付けたあと、乾燥させた。その後、作製例1で作製したアニオン伝導材料を表面全体に張付け、一枚の電極とした。
負極として上記作製した亜鉛極、正極としてニッケル極、参照極として正極と同じ電極を50%充電した電極を用い、正極及び負極間には不織布を配置し、電解液として酸化亜鉛を飽和させた8M水酸化カリウム水溶液を用いて三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行った。充電深度80%まで充電したところ、放電できた電力は20%程度であった。また、50サイクル終了後に負極を確認したところ、シェイプチェンジは確認されなかったが、充電によって生成された亜鉛がデンドライト状に成長していた。
実施例1
比較例1と同じ電極合剤及び銅メッシュを用い、ペースト厚み200μmに一枚の割合で銅メッシュを挿入し、全部で4枚の極板を有する電極とした。この電極を負極として用いた以外は比較例1と同様にして三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行い、充電深度80%まで充電したところ、80%の放電電力が得られた。また、50サイクル終了後に負極を確認したところ、シェイプチェンジ、デンドライトの成長はともに確認されなかった。
実施例2
比較例1と同じ電極合剤及び銅メッシュを用い、ペースト厚み200μmに一枚の割合で銅メッシュを挿入し、作製例1記載のアニオン伝導材料を介して全部で4枚の極板を有する電極とした。この電極を負極として用いた以外は比較例1と同様にして三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行い、充電深度90%まで充電したところ、90%の放電電力が得られた。また、50サイクル終了後に負極を確認したところ、シェイプチェンジ、デンドライトの成長はともに確認されなかった。
比較例2
ポリオレフィン水分散液(三井化学 ケミパールS100)とテトラフルオロエチレンと酸化亜鉛(平均粒子径1um)を1:3:96の質量比で混錬し、ペースト化した電極合剤をNiメッキされたパンチング鋼板(孔径2mm、鋼板全体の面積に対する孔部分の面積の割合57.9%)にペースト厚みが1mmになるように圧延して張付けたあと、乾燥させた。その後、作製例1で作製したアニオン伝導材料を表面全体に張付けて一枚の電極とした。
この電極を負極として用いた以外は比較例1と同様にして三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行い、充電深度80%まで充電したところ、放電できた電力は20%程度であった。また、50サイクル終了後に負極を確認したところ、シェイプチェンジは確認されなかったが、充電によって生成された亜鉛がデンドライト状に成長していた。
実施例3
比較例2と同じ電極合剤及びパンチング鋼板を用い、ペースト厚み200μmに一枚の割合でパンチング鋼板を挿入し、全部で4枚の極板を有する電極とした。この電極を負極として用いた以外は比較例1と同様にして三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行い、充電深度80%まで充電したところ、80%の放電電力が得られた。また、50サイクル終了後に負極を確認したところ、シェイプチェンジ、デンドライトの成長はともに確認されなかった。
実施例4
比較例1と同じ電極合剤及びパンチング鋼板を用い、ペースト厚み200μmに一枚の割合でパンチング鋼板を挿入し、作成例1記載のアニオン伝導材料を介して全部で4枚の極板を有する電極とした。この電極を負極として用いた以外は比較例1と同様にして三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行い、充電深度90%まで充電したところ、90%の放電電力が得られた。また、50サイクル終了後に負極を確認したところ、シェイプチェンジ、デンドライトの成長はともに確認されなかった。

Claims (9)

  1. 複数の集電体と、活物質を含む活物質層とを含むことを特徴とする電極。
  2. 前記活物質層は、活物質以外の導電性物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の電極。
  3. 前記集電体のうち少なくとも1つは、平面状の形状を有し、面を貫通する貫通孔を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電極。
  4. 前記面を貫通する貫通孔を有する集電体は、繊維状導電性物質により形成された網状導電体であることを特徴とする請求項3に記載の電極。
  5. 前記活物質層がアニオン伝導材料によって覆われていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電極。
  6. 前記アニオン伝導材料は、ポリマーと、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物とを含むものであることを特徴とする請求項5に記載の電極。
  7. 前記ポリマーは、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、及び、エーテル基からなる群より選択される少なくとも1種を含有する
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の電極。
  8. 前記活物質は、亜鉛種を含有する
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電極。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の電極を用いて構成される
    ことを特徴とする電池。
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