JP2016046118A - 電極及びそれを用いて構成される電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電極構造は複数の集電体と活物質を含み、集電体のうち少なくとも1つは、平面状の形状を有し、面を貫通する貫通孔を有し、活物質層はアニオン伝導材料によって覆われ、アニオン伝導材料は、ポリマーと、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物とを含む。
【選択図】なし
Description
また、電極には、充放電特性に優れることも求められ、スポンジ状の集電体に活物質を充填したり、繊維状の集電体を用いることで集電体を広げ、充放電特性等に優れた電極とする技術が報告されている(特許文献2〜4参照)。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の電極は、複数の集電体と、活物質を含む活物質層とを含む限り、電極の形態は特に制限されないが、活物質層と集電体とが交互に積層された形態、又は、活物質層中に複数の集電体が含まれた形態のいずれかの形態であることが好ましい。集電体の形状も特に制限されないが、電極がいずれの形態の場合であっても、本発明の電極を用いて電池を構成した場合に、他方の電極と直接接続されることになる集電体は、平面状の形態であることが好ましい。また、電極が、活物質層と集電体とが交互に積層された形態である場合は、全ての集電体が平面状の形状であることが好ましい。
ここで、平面状の形状とは、平面的な広がりをもった形状であって、最も広い面の面積が、当該面と隣接するいずれの面の面積よりも2倍以上大きい形状を意味する。
また本発明の電極は、正極、負極のいずれとして用いられてもよいが、負極として用いられることは本発明の好適な実施形態の1つである。
上記活物質層は、活物質以外の導電性物質を含むことが好ましい。活物質層が活物質以外の導電性物質を含む場合、複数の集電体が直接には接触していないものであっても、活物質層中の導電性物質を通じて複数の集電体が電気的に接続され、集電体の表面積が広がることになる。そしてこれにより、電流が分散してシェイプチェンジが抑制されて、電極が長寿命化するとともに、活物質層に含まれる活物質の利用率が高まって、充電深度が深くなり、また、充放電のレートも高くなるといった充放電特性の更なる向上効果も得られる。
導電性物質としては、銅、錫、ビスマス、インジウム、タリウム、ガリウム、水銀、酸化チタン、窒化チタン等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記活物質は、充放電の過程でイオンの形態となるものであることが好ましい。そのような活物質を用いると、充放電の過程で活物質が活物質層中を移動し、接触していない複数の集電体間に活物質粒子を介した電気的接続が形成されて、集電体の表面積が広がることになる。そしてこれにより、電流が分散し、また、イオンの状態となった活物質が集電体近傍で析出するため、シェイプチェンジの抑制効果や充放電特性の向上効果が得られることになる。
亜鉛種を活物質として用いる負極は、シェイプチェンジが発生して活物質が枯渇し、電子を取り出すために電解液の水を分解して水素が発生する不具合が生じることがあるが、本発明の電極を亜鉛を活物質とする負極として用いることで、このような不具合の発生を効果的に抑制することができる。更に、集電体が広がることで、活物質の利用率が高まり、充放電特性にも優れた亜鉛負極となる。
本発明の電極が含む集電体のうち少なくとも1つが、平面状の形状を有し、面を貫通する貫通孔を有するものであることは、本発明の好適な実施形態の1つである。電極が優れた充放電特性を発揮するためには、電解質からのイオン伝導と正極からの電子伝導とのバランスが重要である。充放電特性を優れたものとする点からは、集電体の面積が広いほうが好ましく、平面形状の集電体を用いることは、本発明の好ましい形態である。しかし、平面形状の複数の集電体を有する場合、電解質に最も近い位置にある集電体は電解質から充分なイオン伝導を受けることができるが、電解質との間に他の集電体が存在する位置にある集電体は、他の集電体の影響で、電解質に最も近い位置にある集電体に比べてイオン伝導を受ける量が少なくなってしまう。しかし、平面形状の集電体のうち少なくとも1つが、面を貫通する貫通孔を有するものであると、電解質側からみて当該貫通孔を有する集電体の後ろに位置する集電体にも当該貫通孔を通して充分なイオン伝導が行われることになるため、後ろの集電体もより多くのイオン伝導を受けることができる。
より好ましくは、電解質に最も近い位置にある集電体が面を貫通する貫通孔を有することである。
また、平面形状の複数の集電体のうち、貫通孔を有する集電体の数は多いほうが好ましく、全ての平面形状の集電体が面を貫通する貫通孔を有するものであることが最も好ましい。本発明の電極が含む集電体が、全て面を貫通する貫通孔を有する平面形状の集電体であることは、本発明の電極の好ましい形態の1つである。
集電体が網状導電体であると、電解質側からみて当該網状導電体の後ろにある他の集電体も充分なイオン伝導を受けることができる。
網状導電体は、一般に網状といえる、繊維状導電性物質により多数の孔が形成された形状のものであればよく、繊維状導電性物質の太さや孔の大きさは特に制限されないが、網状導電体全体の面積に対する孔の部分の面積は、上記集電体における貫通孔の面積と同様であることが好ましい。
これらの材料を用いた、面を貫通する貫通孔を有する集電体(繊維状導電性物質により形成された網状導電体も含む)としては、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、(パンチング)鋼板;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等を添加した(電解)銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等によりメッキされた(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅等が挙げられる。
また、平面形状の集電体の厚みは、0.01〜1mmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜0.5mmである。
本発明の電極は、活物質層がアニオン伝導材料によって覆われていることが好ましい。活物質層がアニオン伝導材料によって覆われていることで、デンドライトが成長し、電極の短絡が生じるおそれのある活物質を用いた場合でも、デンドライトの成長を抑制することができ、本発明の電極を用いた電池を長寿命化させることができる。
本発明の電極が活物質層と集電体とが交互に積層されたものである場合には、活物質層毎にアニオン伝導材料によって覆われていてもよく、電極全体がアニオン伝導材料によって覆われていてもよい。中でも、充放電の過程でイオンの形態となる活物質を用いる場合には、活物質層毎にアニオン伝導材料によって覆われていると、活物質のイオンの拡散を電極内部でも抑制することができるため、よりシェイプチェンジ抑制効果の高い電極が実現できる。この効果は、本発明の電極が活物質層と集電体とが交互に積層されたものである場合に、活物質層の間にアニオン伝導材料の層を挿入することによっても得ることができる。
(特表2014−503689号公報、特開2013−145758号公報、特開2013−091598号公報、特開2014−011000号公報、特開2013−211201号公報、国際公開第2011/070658号、特開2011−255302号公報、特開2010−215744号公報、特表2009−529222号公報、特開2010−049871号公報、特開2009−108395号公報、特表2007−507704号公報、特開2007−091582号公報、特開2007−273280号公報、特表2006−505099号公報、特表2003−528019号公報、特表2003−531711号公報、特開2002−226498号公報)
アニオン伝導層の厚さは、マイクロメーター等での測定や、該電極を鋭利な器具で切断した断面を電子顕微鏡で観察し計測することができる。
この場合、アニオン伝導材料はポリマーと、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物をそれぞれ1種含んでいても2種以上含んでいてもよく、また、これら以外の成分を含んでいてもよい。
以下に、アニオン伝導材料が含むポリマー、及び、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物(以下、単に無機化合物ともいう。)について順に説明する。
上記アニオン伝導材料が含むポリマーとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等の炭化水素部位含有ポリマー、ポリスチレン等に代表される芳香族基含有ポリマー;アルキレングリコール等に代表されるエーテル基含有ポリマー;ポリビニルアルコールやポリ(α−ヒドロキシメチルアクリル酸塩)等に代表される水酸基含有ポリマー;ポリアミド、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンやN−置換ポリアクリルアミド等に代表されるアミド基含有ポリマー;ポリマレイミド等に代表されるイミド基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリメチレングルタル酸等に代表されるカルボキシル基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリイタコン酸塩、ポリメチレングルタル酸塩等に代表されるカルボン酸塩基含有ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有ポリマー;エポキシ樹脂等のエポキシ基が開環することにより結合したポリマー;スルホン酸塩部位含有ポリマー;AR1R2R3B(Aは、N又はPを表す。Bは、ハロゲンアニオンやOH−等のアニオンを表す。R1、R2、R3は、同一又は異なって、炭素数1〜7のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルカルボキシル基、又は、芳香環基を表す。R1、R2、R3は、結合して環構造を形成してもよい。)で表される基が結合したポリマーに代表される第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー;陽イオン・陰イオン交換膜等に使用されるイオン交換性重合体;天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)等に代表される人工ゴム;セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、アルギン酸(塩)等に代表される糖類;ポリエチレンイミンに代表されるアミノ基含有ポリマー;カルバメート基部位含有ポリマー;カルバミド基部位含有ポリマー;エポキシ基部位含有ポリマー;複素環、及び/又は、イオン化した複素環部位含有ポリマー;ポリマーアロイ;ヘテロ原子含有ポリマー;低分子量界面活性剤などが挙げられる。
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。より好ましくは、フッ素原子である。また、カルボン酸塩基は、カルボン酸リチウム塩基、カルボン酸ナトリウム塩基、カルボン酸カリウム塩基が好ましい。より好ましくは、カルボン酸ナトリウム塩基である。上記炭化水素は、例えばポリオレフィンが挙げられる。中でも、上記ポリマーは、(1)絶縁物であること、(2)アニオン伝導材料の粉末を増粘・結着させることができること、(3)物理的強度に優れることの3点を総合的に考慮して適宜選択することが好ましく、このような観点からは、炭化水素部位含有ポリマー、芳香族基含有ポリマー、エーテル基含有ポリマー、カルボキシル基含有ポリマー、カルボン酸塩基含有ポリマー、ハロゲン含有ポリマー、スルホン酸塩部位含有ポリマー、第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー、糖類が好ましい。上記ポリマーは熱や圧力等により繊維化された状態になってもよい。ポリマーの繊維化により、活物質(層)やアニオン伝導材料の強度、アニオン伝導度等を調節することもできる。
上記ポリマーは、下記無機化合物以外の有機架橋剤化合物により、架橋されていてもよい。ただし、架橋されたポリマーが吸水性を有する場合、アニオン伝導材料にクラックを生じることがあるため、架橋されたポリマーは吸水性を持たない方がよい。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
上記周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物(本明細書中、単に無機化合物とも言う。)は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、Sb、Bi、S、Se、Te、F、Cl、及び、Brからなる群より選択される少なくとも1つの元素であることが好ましい。中でも、上記周期表の第1族〜第15族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物が好ましく、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、Sb、及び、Biからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含むものが好ましい。より好ましくは、Li、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Sn、Pb、N、P、及び、Biからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含むものである。
酸化物としては、例えばアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、N、P、Sb、Bi、S、Se、Te、F、Cl、及び、Brからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物であることが好ましい。中でも、上記周期表の第1族〜第15族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物が好ましく、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、Sb、及び、Biからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む酸化物が好ましい。より好ましくは、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Sn、Pb、及び、Biからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む酸化物である。更に好ましくは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化錫、酸化ジルコニウムであり、特に好ましくは、酸化マグネシウム、酸化ビスマス、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化錫、酸化ジルコニウムである。また、酸化セリウムは、例えば、酸化サマリウム、酸化ガドリニウム、酸化ビスマス等の金属酸化物がドープされたものや、酸化ジルコニウム等の金属酸化物との固溶体であってもよい。上記酸化物は、酸素欠陥を持つものであってもよい。
上記ハイドロタルサイトは、下記式(1);
[M1 1−xM2 x(OH)2](An−)x/n・mH2O (1)
(式中、M1=Mg、Fe、Zn、Ca、Li、Ni、Co、Cu等;M2=Al、Fe、Mn等;A=CO3 2−等、mは0以上の正数、nは2又は3、xは、0.20≦x≦0.40程度)で示される化合物であることが好ましい。この化合物を、150℃〜900℃で焼成することにより脱水した化合物や、層間内の陰イオンを分解させた化合物、層間内の陰イオンを水酸化物イオン等に交換した化合物、天然鉱物であるMg6Al2(OH)16CO3・mH2O等を上記無機化合物として使用してもよい。上記ハイドロタルサイトには、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シラノール基等の官能基を持つ化合物が配位していてもよい。層間内に有機物を有していてもよい。
上記リン酸化合物は、例えばヒドロキシアパタイトが好ましい。
上記ヒドロキシアパタイトは、Ca10(PO4)6(OH)2に代表される化合物であり、調製時の条件によりCaの量を減らした化合物や、Ca以外の元素を導入したヒドロキシアパタイト化合物等を上記無機化合物として使用してもよい。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
上記比表面積は、窒素吸着BET法で比表面積測定装置により測定することができる。
なお、比表面積が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子をナノ粒子化したり、粒子製造の際の調製条件を選択することにより粒子表面に凹凸をつけたりすることにより製造することが可能である。
上記アスペクト比(縦/横)は、例えば、SEMにより観察した粒子の形状から求めることができる。例えば、上記無機化合物の粒子が直方体状の場合は、最も長い辺を縦、2番目に長い辺を横として、縦の長さを横の長さで除することにより求めることができる。その他の形状の場合には、アスペクト比が最も大きくなるように、ある一つの部分を底面に置き、それをアスペクト比が最も大きくなるような方向から投影した時にできる二次元の形において、ある一点から最も離れた一点の長さを測定し、その最も長い辺を縦、縦の中心点を通る直線のうち最も長い辺を横として、縦の長さを横の長さで除することにより求めることができる。
なお、アスペクト比(縦/横)が上述のような範囲の無機化合物の粒子は、例えば、そのようなアスペクト比を有する粒子を選択する方法や、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、該粒子を選択的に得る方法等により得ることが可能である。
上記無機化合物の質量割合を上記範囲内とすることにより、アニオン伝導層を有することの効果を発揮できるとともに、アニオン伝導材料のクラックを生じにくくする効果を発揮することができる。中でも、層状複水酸化物の質量割合を上記範囲内とすることが特に好ましい。
本発明のアニオン伝導材料は、ポリマーと、無機化合物とを含む限り、更にその他の成分を含んでいてもよい。
上記その他の成分の平均粒子径は、上記した無機化合物の平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
本発明の電極は、正極、負極いずれに用いられてもよく、活物質も特に制限されないが、上述したとおり、亜鉛種又はカドミウム種を活物質として含むものであることが好ましい。より好ましくは、亜鉛種を活物質として含むものである。
上記活物質層中の活物質の含有割合は、活物質層の全量100質量%に対して、50〜99.9質量%であることが好ましい。活物質の割合がこのような範囲であると、活物質層を含んで構成される電極を電池に用いた場合に、充分な電池容量を有する電池とすることができる。より好ましくは、55〜99.5質量%であり、更に好ましくは、60〜99質量%である。上記活物質は、これを用いて蓄電池を作製した際に水含有電解液を使用した場合には、電池の使用の過程で水の分解副反応を進行させる場合があり、該副反応を抑制するために、特定の元素を導入したものであってもよい。特定の元素としては、Al、B、Ba、Bi、Br、C、Ca、Cd、Ce、Cl、Cu、Eu、F、Ga、Hg、In、La、Mg、Mn、N、Nb、Nd、Ni、P、Pb、S、Sb、Sc、Si、Sm、Sn、Sr、Ti、Tl、Y、Zr等が挙げられる。
ここで、特定の元素を活物質に導入するとは、活物質を、これらの元素を構成元素とする化合物とすることを意味する。
上記導電助剤としては、例えば、導電性カーボン、導電性セラミックス、亜鉛・亜鉛末・亜鉛合金・(アルカリ)(蓄)乾電池や空気電池に使用される亜鉛(以下、纏めて金属亜鉛とも称する)、銅・真鍮・ニッケル・銀・ビスマス・インジウム・鉛・錫等の金属等を用いることができる。
ここで、特定の元素を導電助剤に導入するとは、導電助剤を、これらの元素を構成元素とする化合物とすることを意味する。
なお、金属亜鉛を電極合剤調製時に使用する場合には、金属亜鉛は活物質ではなく、導電助剤として考えて計算する。また、亜鉛種を活物質として用いた場合、亜鉛含有化合物である酸化亜鉛や水酸化亜鉛等から電池の使用の過程で生成する金属亜鉛は、系中で導電助剤としての機能も果たすことになるが、亜鉛負極合剤や亜鉛負極調製時には0価の金属亜鉛ではないため、ここでは導電助剤と考えず、活物質と考えて計算する。すなわち、上記活物質、導電助剤の好ましい含有割合は、亜鉛電極合剤や亜鉛電極の調製時における亜鉛含有化合物は活物質として考え、金属亜鉛は導電助剤として考えて計算する。
本発明の電極の調製方法は特に制限されないが、活物質層と集電体とが交互に積層された形態である場合には、電極合剤を調製し、集電体上に、できる限り膜厚が一定になるように塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等することにより、活物質層を形成した後、必要に応じて、更にアニオン伝導材料をその上に塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等してアニオン伝導層を形成して1層の単位電極を形成し、このようにして形成した単位電極を積層して調製することができる。
また、単位電極形成時、活物質層を形成した後やアニオン伝導層を形成した後に、必要に応じて、その後、電極を0〜400℃で乾燥させてもよい。
また、単位電極形成時、活物質層を形成した後やアニオン伝導層を形成した後に、必要に応じて、その後、電極を0〜400℃で乾燥させてもよい。
本発明の電極の調整に用いる電極合剤は、活物質と、必要に応じて結着剤や、導電助剤、その他の成分を混合して調製することができる。混合には、ミキサー、ブレンダー、ニーダー、ビーズミル、レディミル、ボールミル等を使用することができる。混合の際、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、テトラヒドロフラン、テトラフルオロエチレン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤、又は、水と有機溶剤との混合溶剤を加えてもよい。混合の前後に、活物質粒子を所望の径に揃えるために、上記活物質粒子をふるいにかける等の操作を行ってもよく、造粒を行ってもよい。混合は、固体成分に水や有機溶剤等の液体成分を加えて行う湿式法、又は、液体成分を加えずに固体成分のみで行う乾式法のいずれの方法で行ってもよい。混合を湿式法で行った場合は、混合した後、乾燥により水や有機溶剤等の液体成分を除去してもよい。混合は、湿式法と乾式法を組み合わせて行うこともできる。混合の際に加圧・減圧を行ってもよいし、温度をかけてもよい。
上記結着剤の含有量は、電極合剤全体100質量%に対して、1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、2〜5質量%である。
本発明の電極は、シェイプチェンジが効果的に抑制された電極であり、特にシェイプチェンジの不具合が発生しやすい亜鉛種やカドミウム種を負極活物質とする電池に好適に用いることができる。このような、本発明の電極を用いて構成される電池もまた、本発明の1つである。
また、本発明の電極を使用した電池の形態としては、一次電池、充放電が可能な二次電池、メカニカルチャージ(亜鉛負極の機械的な交換)の利用、本発明の電極と上述したような正極活物質より構成される正極とは別の第3極の利用等、いずれの形態であっても良い。
層状複水酸化物としてのハイドロタルサイト2.5gに対し、60質量%濃度のポリテトラフルオロエチレンエマルション水溶液(ポリフロン(登録商標) PTFE D−210C ダイキン工業株式会社製)5gを混錬し、アニオン伝導材料を調製した。
ポリオレフィン水分散液(三井化学 ケミパールS100)とテトラフルオロエチレンと酸化亜鉛(平均粒子径1μm)を1:3:96の質量比で混錬し、ペースト化した電極合剤を銅メッシュ(全体の面積に対する開口部分の面積の割合約85%)にペースト厚みが1mmになるように圧延して張付けたあと、乾燥させた。その後、作製例1で作製したアニオン伝導材料を表面全体に張付け、一枚の電極とした。
負極として上記作製した亜鉛極、正極としてニッケル極、参照極として正極と同じ電極を50%充電した電極を用い、正極及び負極間には不織布を配置し、電解液として酸化亜鉛を飽和させた8M水酸化カリウム水溶液を用いて三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行った。充電深度80%まで充電したところ、放電できた電力は20%程度であった。また、50サイクル終了後に負極を確認したところ、シェイプチェンジは確認されなかったが、充電によって生成された亜鉛がデンドライト状に成長していた。
比較例1と同じ電極合剤及び銅メッシュを用い、ペースト厚み200μmに一枚の割合で銅メッシュを挿入し、全部で4枚の極板を有する電極とした。この電極を負極として用いた以外は比較例1と同様にして三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行い、充電深度80%まで充電したところ、80%の放電電力が得られた。また、50サイクル終了後に負極を確認したところ、シェイプチェンジ、デンドライトの成長はともに確認されなかった。
比較例1と同じ電極合剤及び銅メッシュを用い、ペースト厚み200μmに一枚の割合で銅メッシュを挿入し、作製例1記載のアニオン伝導材料を介して全部で4枚の極板を有する電極とした。この電極を負極として用いた以外は比較例1と同様にして三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行い、充電深度90%まで充電したところ、90%の放電電力が得られた。また、50サイクル終了後に負極を確認したところ、シェイプチェンジ、デンドライトの成長はともに確認されなかった。
ポリオレフィン水分散液(三井化学 ケミパールS100)とテトラフルオロエチレンと酸化亜鉛(平均粒子径1um)を1:3:96の質量比で混錬し、ペースト化した電極合剤をNiメッキされたパンチング鋼板(孔径2mm、鋼板全体の面積に対する孔部分の面積の割合57.9%)にペースト厚みが1mmになるように圧延して張付けたあと、乾燥させた。その後、作製例1で作製したアニオン伝導材料を表面全体に張付けて一枚の電極とした。
この電極を負極として用いた以外は比較例1と同様にして三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行い、充電深度80%まで充電したところ、放電できた電力は20%程度であった。また、50サイクル終了後に負極を確認したところ、シェイプチェンジは確認されなかったが、充電によって生成された亜鉛がデンドライト状に成長していた。
比較例2と同じ電極合剤及びパンチング鋼板を用い、ペースト厚み200μmに一枚の割合でパンチング鋼板を挿入し、全部で4枚の極板を有する電極とした。この電極を負極として用いた以外は比較例1と同様にして三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行い、充電深度80%まで充電したところ、80%の放電電力が得られた。また、50サイクル終了後に負極を確認したところ、シェイプチェンジ、デンドライトの成長はともに確認されなかった。
比較例1と同じ電極合剤及びパンチング鋼板を用い、ペースト厚み200μmに一枚の割合でパンチング鋼板を挿入し、作成例1記載のアニオン伝導材料を介して全部で4枚の極板を有する電極とした。この電極を負極として用いた以外は比較例1と同様にして三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行い、充電深度90%まで充電したところ、90%の放電電力が得られた。また、50サイクル終了後に負極を確認したところ、シェイプチェンジ、デンドライトの成長はともに確認されなかった。
Claims (9)
- 複数の集電体と、活物質を含む活物質層とを含むことを特徴とする電極。
- 前記活物質層は、活物質以外の導電性物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の電極。
- 前記集電体のうち少なくとも1つは、平面状の形状を有し、面を貫通する貫通孔を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電極。
- 前記面を貫通する貫通孔を有する集電体は、繊維状導電性物質により形成された網状導電体であることを特徴とする請求項3に記載の電極。
- 前記活物質層がアニオン伝導材料によって覆われていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電極。
- 前記アニオン伝導材料は、ポリマーと、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物とを含むものであることを特徴とする請求項5に記載の電極。
- 前記ポリマーは、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、及び、エーテル基からなる群より選択される少なくとも1種を含有する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の電極。 - 前記活物質は、亜鉛種を含有する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電極。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の電極を用いて構成される
ことを特徴とする電池。
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