JP6560028B2 - 空気金属電池用電極及び空気金属電池 - Google Patents
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Description
空気金属電池の1種である空気亜鉛電池は、すでに一次電池としては補聴器用などに用いられているが、二次電池として市場に流通している例はない。これは、正極である空気極を用いた充電反応は酸素発生反応であるために密閉化が困難である他、正極の触媒として用いる炭素等が酸化されてしまい、充分な性能を得ることが難しいためである。そこで、空気極を放電用の正極としてのみ用い、別に充電用の正極を設置した3極方式の空気亜鉛電池が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、亜鉛種を活物質とする負極では、亜鉛デンドライトの成長や、負極活物質層の形態変化といった不具合が発生することが知られており、上記構成だけではこれらを抑制できないため、電池としての寿命は非常に短い。このような課題に対し、亜鉛負極を安定に動作させる工夫が提案されており(特許文献2、3参照)、亜鉛デンドライトについては、アニオン伝導性材料を用いて抑制する技術が提案されている(特許文献4参照)。
上記電極は、空気金属電池で負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極とを有し、
上記負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極との距離を2乗した値が、負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極のうち、電極の有効面積が小さいほうの電極の有効面積の値の10%以下となるようにこれら2つの金属電極が配置されていることを特徴とする空気金属電池用電極である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の空気金属電池用電極は、空気金属電池で負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極とを有し、該負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極との距離を2乗した値(以下、電極間距離の2乗とも記載する)が、負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極のうち、電極の有効面積が小さいほうの電極の有効面積の値の10%以下となるようにこれら2つの金属電極が配置されていることを特徴とする。
電極の形態変化(シェイプチェンジ)の原因の1つは、電極の面内方向の充放電電流の不均一性にある。このため、シェイプチェンジの抑制のためには、充放電電流を均一にすることが重要であるが、充放電電流の均一性には、充放電する際の電場分布が大きく影響する。電極間の電場は、電極間距離が遠ければ遠いほど3次元的な広がりを持ちやすく、電極間距離に対して電極面積が充分に小さいとほぼ点電極とみなされる。一方で電極間距離に対して電極面積が充分に大きいと電極間に平行電場が形成される。充放電反応の均一性には、この平行電場を形成することが重要である。
本発明の電極は、負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極との距離と電極の有効面積との間に所定の関係があることにより、電極間距離に対して相対的に電極面積が充分に大きくなる。これにより、負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極との間に平行電場が形成され、電極の面内方向の充放電電流が充分に均一なものとなって、電極のシェイプチェンジが効果的に抑制される。
活物質層と集電体のみで構成された負極を形成する場合、活物質層が容易に集電体から剥がれるため、負極だけで流通させることは難しい。これに対し、本発明の空気金属電池用電極のように、負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極とを一体とし、電極面積に対して相対的に電極間距離が充分に近い位置に配置すると、充電用の正極によって物理的に負極が保護され、負極活物質層の剥落が抑制されるため、このような充電用の正極と負極とが一体となった一体型電極だけで流通させることが可能となる。このような一体型電極を用いると、負極カートリッジという形での電極の差し替えも可能となり、電池のメンテナンス時に電池全体を交換するのではなく、電極効率の下がった電極のみを新品に交換するだけで電池の性能を回復させることも可能となる。
なお、本発明の空気金属電池用電極において、電極の有効面積とは、電極表面のうち、電極としての機能を発揮することができる部分の面積を意味し、例えば、電極活物質層の一部に絶縁塗料やフィルムで被覆された部分がある場合には、当該部分は有効面積には含まれない。
また、電極間の短絡を防止する点から、上記電極間距離の2乗の値は、負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極のうち、電極の有効面積が小さいほうの電極の有効面積の値の0.00001%以上であることが好ましい。
負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極との距離は、マイクロメーターにより測定することができ、電極の有効面積は、メジャー、ノギス等により辺を測定し、算出することができる。
なお、ここで同じ形状とは、完全に同一であることを意味するものではなく、略同一の形状も含む。電極の形状が多角形の場合、多角形の頂点の数が同じである場合は略同一の形状とする。また、同じ形状とは、必ずしも大きさが同じであることを意味するものではない。
充電用の金属電極の有効面積が負極となる金属電極の有効面積よりも小さいと、充電用正極から負極への電場が負極に向かって広がる方向になるため、電場の集中が抑制され、電極の面内方向の充放電電流がより均一になりやすくなる。
これら両方を考慮すると、充電用の金属電極の有効面積は、負極となる金属電極の有効面積の5〜99%であることが好ましい。より好ましくは、10〜95%であり、更に好ましくは、20〜90%である。
上記のとおり、充電用の金属電極の有効面積が負極となる金属電極の有効面積よりも小さいことで電場の集中が抑制され、電極の面内方向の充放電電流がより均一になりやすくなるが、負極となる金属電極の有効面積部分の全てが充電用の金属電極の有効面積部分と対向していることで、より電場の偏りが少なくなり、電極の面内方向の充放電電流がより均一になりやすくなる。更に、充電用の金属電極の有効面積部分の外周部と負極となる金属電極の有効面積部分の外周部との距離の最大値と最小値との差が最大値の50%以下であること、すなわち、充電用の金属電極の有効面積部分に対する負極となる金属電極の有効面積部分の偏りが少なくなることで、電極間の電場の偏りが更に少なくなり、電極の面内方向の充放電電流が更に均一になりやすくなる。
充電用の金属電極の有効面積部分の外周部と負極となる金属電極の有効面積部分の外周部との距離の最大値と最小値との差は、より好ましくは、最大値の30%以下であり、更に好ましくは、最大値の20%以下であり、特に好ましくは、最大値の10%以下である。
ここで、「負極となる金属電極の有効面積部分の全てが充電用の金属電極の有効面積部分と対向している」とは、負極となる金属電極の有効面積部分上のいずれの点から充電用の金属電極方向に向けて、負極となる金属電極面に対して垂直方向に延ばした線上にも充電用の金属電極の有効面積部分が存在することを意味する。
また「充電用の金属電極の有効面積部分の外周部と負極となる金属電極の有効面積部分の外周部との距離」とは、負極となる金属電極の有効面積部分の外周部上の各点について、それぞれの点と充電用の金属電極の有効面積部分の外周部との最短距離を意味する。
充電用の金属電極の有効面積部分の外周部と負極となる金属電極の有効面積部分の外周部との距離の最大値となる箇所、及び、最小値となる箇所は目視で確認し、それぞれの距離をマイクロメーター、物差し、ノギス等で測定して得られた測定結果から上記値を算出することができる。
ここで、亜鉛種とは亜鉛の金属単体又は亜鉛化合物を意味し、カドミウム種とはカドミウムの金属単体又はカドミウム化合物を意味する。リチウム種、ナトリウム種、マグネシウム種、鉛種、亜鉛種、及び、錫種についても同様である。化合物としては、酸化物、硫化物、水酸化物等が挙げられる。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
結着剤としては、種々のものを用いることができ、熱可塑性、熱硬化性のいずれであってもよく、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン原子含有ポリマー、ポリオレフィン等の炭化水素部位含有ポリマー、ポリスチレン等の芳香族基含有ポリマー;アルキレングリコール等のエーテル基含有ポリマー;ポリビニルアルコール等の水酸基含有ポリマー;ポリアミド、ポリアクリルアミド等のアミド結合含有ポリマー;ポリマレイミド等のイミド基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸塩等のカルボン酸塩基含有ポリマー;スルホン酸塩部位含有ポリマー;第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー;イオン交換性重合体;天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)等の人工ゴム;ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース等の糖類;ポリエチレンイミン等のアミノ基含有ポリマー;ポリウレタン等が挙げられる。
上記負極活物質層がその他の成分を含む場合は、該その他の成分の負極活物質層中の含有割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
上記活物質層の厚さは、マイクロメーターにより測定することができる。
負極となる金属電極と充電用の金属電極とがセパレータを介して密着している場合、負極となる金属電極の少なくとも一部がセパレータを介して密着していればよいが、負極となる金属電極の有効面積部分の60%以上がセパレータと密着していることが好ましい。より好ましくは、80%以上がセパレータと密着していることであり、最も好ましくは、100%、すなわち、負極となる金属電極の有効面積部分全体がセパレータと密着していることである。
セパレータの厚みは、マイクロメーターにより測定することができる。
なお、アニオン伝導性膜とは、陰イオンを優先的に透過する膜を意味する。これは、本発明と同じ又は類似の技術分野に属する下記公知文献に記載のいずれの発明においても共通する概念である。本発明では、アニオン伝導性膜とは、陰イオン、特に水酸化物イオンを透過する膜(層)を意味する。
(特表2014−503689号公報、特開2013−145758号公報、特開2013−091598号公報、特開2014−011000号公報、特開2013−211201号公報)
この場合、アニオン伝導性材料はポリマーと、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物をそれぞれ1種含んでいても2種以上含んでいてもよく、また、これら以外の成分を含んでいてもよい。
以下に、アニオン伝導性材料が含むポリマー、及び、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物(以下、単に無機化合物ともいう。)について順に説明する。
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。より好ましくは、フッ素原子である。また、カルボン酸塩基は、カルボン酸リチウム塩基、カルボン酸ナトリウム塩基、カルボン酸カリウム塩基が好ましい。より好ましくは、カルボン酸ナトリウム塩基である。上記炭化水素は、例えばポリオレフィンが挙げられる。中でも、上記ポリマーは、(1)絶縁物であること、(2)アニオン伝導性材料の粉末を増粘・結着させることができること、(3)物理的強度に優れることの3点を総合的に考慮して適宜選択することが好ましく、このような観点からは、炭化水素部位含有ポリマー、芳香族基含有ポリマー、エーテル基含有ポリマー、カルボキシル基含有ポリマー、カルボン酸塩基含有ポリマー、ハロゲン含有ポリマー、スルホン酸塩部位含有ポリマー、第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー、糖類が好ましい。上記ポリマーは熱や圧力等により繊維化された状態になってもよい。ポリマーの繊維化により、活物質(層)やアニオン伝導性材料の強度、アニオン伝導度等を調節することもできる。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
酸化物としては、例えばアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、N、P、Sb、Bi、S、Se、Te、F、Cl、及び、Brからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物であることが好ましい。より好ましくは、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Sn、Pb、及び、Biからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む酸化物である。更に好ましくは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化錫、酸化ジルコニウムであり、特に好ましくは、酸化マグネシウム、酸化ビスマス、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化錫、酸化ジルコニウムである。また、酸化セリウムは、例えば、酸化サマリウム、酸化ガドリニウム、酸化ビスマス等の金属酸化物がドープされたものや、酸化ジルコニウム等の金属酸化物との固溶体であってもよい。上記酸化物は、酸素欠陥を持つものであってもよい。
上記ハイドロタルサイトは、下記式(1);
[M1 1−xM2 x(OH)2](An−)x/n・mH2O (1)
(式中、M1=Mg、Fe、Zn、Ca、Li、Ni、Co、Cu等;M2=Al、Fe、Mn等;A=CO3 2−等、mは0以上の正数、nは2又は3、xは、0.20≦x≦0.40程度)で示される化合物であることが好ましい。この化合物を、150℃〜900℃で焼成することにより脱水した化合物や、層間内の陰イオンを分解させた化合物、層間内の陰イオンを水酸化物イオン等に交換した化合物、天然鉱物であるMg6Al2(OH)16CO3・mH2O等を上記無機化合物として使用してもよい。上記ハイドロタルサイトには、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シラノール基等の官能基を持つ化合物が配位していてもよい。層間内に有機物を有していてもよい。
上記リン酸化合物は、例えばヒドロキシアパタイトが好ましい。
上記ヒドロキシアパタイトは、Ca10(PO4)6(OH)2に代表される化合物であり、調製時の条件によりCaの量を減らした化合物や、Ca以外の元素を導入したヒドロキシアパタイト化合物等を上記無機化合物として使用してもよい。
上記無機化合物の質量割合を上記範囲内とすることにより、本発明の効果を発揮できるとともに、アニオン伝導性材料のクラックを生じにくくする効果を発揮することができる。中でも、層状複水酸化物の質量割合を上記範囲内とすることが特に好ましい。
より好ましくは、2つの充電用の正極の少なくとも1つがセパレータを介して負極となる金属電極と密着していることであり、最も好ましくは、2つの充電用の正極の両方がセパレータを介して負極となる金属電極と密着していることである。このようにすることで、負極の形態変化だけでなく、デンドライトの成長も効果的に抑制することができる。電極が上記最も好ましい形態の場合、中央に位置する負極となる金属電極を2つの充電用の正極がセパレータを介して挟み込んだ形態の電極となる。この場合、充電用の正極である金属電極の剛性を利用して正極が全体の電極の支持体としての機能も兼ねることができ、物理的強度の強い一体型の空気金属電池用電極を構成することができる。
電極保持治具の材質は、電極としての機能を阻害しないものである限り特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂等の1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の空気金属電池用電極は、上述したとおり、3極方式の空気金属電池に好適に用いることができ、負極活物質層の形態変化が効果的に抑制された空気金属電池を構成することができる。
このような空気金属電池、すなわち、正極として放電用の空気極と充電用の金属電極とを有する3極方式の空気金属電池であって、上記空気金属電池は、本発明の空気金属電池用電極と、放電用の空気極と、電解質とを含んで構成されることを特徴とする空気金属電池もまた、本発明の1つである。
より好ましくは、上記構成に加えて更に2つの充電用の正極の少なくとも1つがセパレータを介して負極となる金属電極と密着していることであり、最も好ましくは、2つの充電用の正極の両方がセパレータを介して負極となる金属電極と密着していることである(図2)。このようにすることで、負極の形態変化をより充分に抑制できるだけでなく、デンドライトの成長も効果的に抑制することができる。
本発明の空気金属電池が最も好ましい形態の場合、負極となる金属電極は、セパレータ、又は、セパレータと充電用の正極とを介してのみ、電解質と接触していることが好ましい。このように負極と電解質とが直接接触している箇所がないことで、負極活物質層の形態変化やデンドライトの成長をより充分に抑制することができる。
空気極用触媒としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、デンカブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等の導電性カーボン、金属、金属酸化物、金属硫化物、金属水酸化物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
結着剤としては、上述した負極活物質層が含む結着剤と同様のものを用いることができる。
結着剤の空気極用触媒層中の質量割合は、0.1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜8質量%であり、更に好ましくは、1〜5質量%である。
これらその他に成分の空気極用触媒層中の質量割合は、5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、2質量%以下である。
上記活物質層の厚さは、マイクロメーターにより測定することができる。
60%濃度のポリテトラフルオロエチレン水分散液(ポリフロン D−210C、ダイキン社製)と酸化亜鉛(平均粒子径1μm)60gとを混合したペーストを、錫メッキされたパンチング鋼板に圧延によって圧着して厚さ2mmの層を有する亜鉛負極とした。亜鉛負極の有効面積(片面)は、4cm2であった。
天然黒鉛と60%濃度のテトラフルオロエチレン水分散液(ポリフロン D−210C、ダイキン社製)を9:1の質量割合で混合しペースト化したものを、Niメッキされたパンチング鋼板に圧延によって圧着して空気極(放電用正極)とした。空気極の有効面積(片面)は、3.5cm2であった。
ポリオレフィンで成形された孔径200nmの微多孔膜(厚さ100μm)を用いてセパレータとし、セパレータの一面に製造例1で製造した亜鉛負極を密着させ、反対の面にNiメッキされたパンチング鋼板(充電用正極、有効面積1cm2)を密着させて空気金属電池用電極1を製造した。空気金属電池用電極1では、亜鉛負極と充電用正極との距離(=セパレータの厚み)の2乗の値は、亜鉛負極と充電用正極のうち、有効面積が小さいほうの電極の有効面積の値の0.0001%であった。
また、空気金属電池用電極1では、亜鉛負極の有効面積の全てが充電用の金属電極の有効面積部分と対向しており、充電用の金属電極の有効面積部分の外周部と亜鉛負極の有効面積との距離の最大値と最小値との差は、最大値の41.4%であった。
製造された電極では、亜鉛負極及び充電用正極の面全体がセパレータに密着していた。
製造例1で製造した亜鉛負極、製造例2で製造した放電用正極、及び、充電用正極としてのNiメッキされたパンチング鋼板を用い、セパレータとしてポリオレフィンで成形された孔径200nmの微多孔膜(厚さ100μm)を用い、電解液として酸化亜鉛を飽和させた8M濃度のKOH水溶液を用いて、図3に示すような構造の比較空気金属電池を構成した。この電池では、亜鉛負極を中央に、その両脇に充電用正極を配置し、充電用正極の周囲だけでなく亜鉛負極の周囲にも遊離の電解液が存在する状態に構成した。
亜鉛負極と充電用正極との間の距離は、5mmであり、当該距離の2乗の値は、亜鉛負極と充電用正極のうち、有効面積が小さいほうの電極の有効面積の値の25%であった。
また、この比較空気金属電池では、亜鉛負極の有効面積の全てが充電用の金属電極の有効面積部分と対向しており、充電用の金属電極の有効面積部分の外周部と亜鉛負極の有効面積との距離の最大値と最小値との差は、最大値の41.4%であった。
この比較空気金属電池に対して、充電電流30mA/cm2として1時間充電した後、空気極(放電用正極)を用いて同様の電流値で放電を行い、これを1サイクルとして試験を行った。その結果、10サイクル時点で亜鉛極下部に活物質が蓄積し、大きく電極形状が変化した。20サイクル時点で亜鉛極が充電極に接触し、充電不良が生じた。
2つの実施例1で製造した空気金属電池用電極1の亜鉛負極面側どうしを張り合わせた形状に相当する空気金属電池用電極を比較例1の亜鉛負極及び充電用正極の代りに用い、空気金属電池1を構成した。構成された空気金属電池は、図2に示す構造の電池となった。
製造した電池について、比較例1と同様に充放電を行ったところ、50サイクル経過後も充放電効率は良好であった。50サイクル経過後の負極にシェイプチェンジ及びデンドライトの成長は確認されなかった。
実施例2の空気金属電池1の亜鉛負極の中央から左側部分のみの構成の空気金属電池2を構成し、比較例1と同様の試験を行った。50サイクル経過後も充放電効率は良好であった。50サイクル経過後の負極にシェイプチェンジ及びデンドライトの成長は確認されなかった。
電解液は通りぬけられる程度の孔が空いたアクリル製の電極保持用治具で、実施例2で用いた空気金属電池用電極を外側から挟み込むようにして密着応力を加えた状態としたこと以外は実施例2と同様にして空気金属電池3を構成した。比較例1と同様の試験を行ったところ、100サイクル以上の安定充放電動作を確認した。100サイクル経過後の負極にシェイプチェンジ及びデンドライトの成長は確認されなかった。
実施例1において、セパレータとして孔径200nmの微多孔膜の代りに、テトラフルオロエチレンとハイドロタルサイトとを固形分重量比率1:1で混練して作成した厚さ0.3mmの膜を用いた以外は、実施例1と同様にして、空気金属電池用電極2を製造した。
空気金属電池用電極2では、亜鉛負極と充電用正極との距離(=セパレータの厚み)の2乗の値は、亜鉛負極と充電用正極のうち、有効面積が小さいほうの電極の有効面積の値の0.0009%であった。
2つの実施例5で製造した空気金属電池用電極2の亜鉛負極面側どうしを張り合わせた形状に相当する空気金属電池用電極を実施例2で用いた空気金属電池用電極の代りに用いたこと以外は実施例4と同様にして、空気金属電池4を構成し、比較例1と同様の試験を行ったところ、500サイクル以上の安定充放電動作を確認した。500サイクル経過後の負極にシェイプチェンジ及びデンドライトの成長は確認されなかった。
A1:負極活物質層
A2:集電体
B:充電用正極
C:放電用正極(空気極)
C1:集電体
C2:空気極用触媒含有層
D:電解質
E:セパレータ
Claims (6)
- 正極として放電用の空気極と充電用の金属電極とを有する3極方式の空気金属電池に用いられる電極であって、
該電極は、空気金属電池で負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極とを有し、
該負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極との距離を2乗した値が、負極となる金属電極と充電用の正極となる金属電極のうち、電極の有効面積が小さいほうの電極の有効面積の値の0.01%以下となるようにこれら2つの金属電極が配置されていることを特徴とする空気金属電池用電極。 - 前記空気金属電池用電極は、充電用の金属電極の有効面積が、負極となる金属電極の有効面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の空気金属電池用電極。
- 前記空気金属電池用電極は、負極となる金属電極の有効面積部分の全てが充電用の金属電極の有効面積部分と対向しており、充電用の金属電極の有効面積部分の外周部と負極となる金属電極の有効面積部分の外周部との距離の最大値と最小値との差が最大値の50%以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気金属電池用電極。
- 前記空気金属電池用電極は、負極となる金属電極と充電用の金属電極とがセパレータを介して密着していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気金属電池用電極。
- 前記セパレータは、アニオン伝導性膜であることを特徴とする請求項4に記載の空気金属電池用電極。
- 正極として放電用の空気極と充電用の金属電極とを有する3極方式の空気金属電池であって、
該空気金属電池は、請求項1〜5のいずれかに記載の空気金属電池用電極と、放電用の空気極と、電解質とを含んで構成されることを特徴とする空気金属電池。
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