JPH06203819A - アルカリ亜鉛二次電池 - Google Patents

アルカリ亜鉛二次電池

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JPH06203819A
JPH06203819A JP4347462A JP34746292A JPH06203819A JP H06203819 A JPH06203819 A JP H06203819A JP 4347462 A JP4347462 A JP 4347462A JP 34746292 A JP34746292 A JP 34746292A JP H06203819 A JPH06203819 A JP H06203819A
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zinc
secondary battery
alkaline
active material
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Shinya Mishina
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 亜鉛デンドライト成長速度を抑制し、長寿命
で急速充放電可能であり、また深い充放電でも寿命低下
が少ないアルカリ亜鉛二次電池を提供する。 【構成】 亜鉛及びその化合物を活物質とする負極活物
質11と、正極集電体17、アルカリ電解液を有する第
1、第2の保液層13、14、隔離部材15から構成さ
れ、隔離部材15に第4級アンモニウム基を有する高分
子を含有するアルカリ亜鉛二次電池である。また負極中
に少なくとも2層以上の多孔性層を配置し且つセル内に
酸素以外のVIB族イオンを含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルカリ亜鉛二次電池に
関し、より詳しくは少なくとも亜鉛及びその化合物を負
極活物質とするアルカリ亜鉛二次電池、特にニッケル−
亜鉛二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルカリ亜鉛二次電池は、以下に示す亜
鉛の酸化還元反応を利用して負極活物質とすることによ
り二次電池を構成するものである。尚、これら2つの式
は放電反応であり、充電反応は逆反応となる。
【0003】 Zn+2OH- →Zn(OH)2 +2e- (−1.245V vs SHE) Zn+2OH- →ZnO+H2 O+2e- (−1.260V vs SHE) この種のアルカリ亜鉛二次電池は出力エネルギー密度が
高いため、近年の電子機器の小型軽量化に適合すべくニ
ッケル−亜鉛二次電池・酸化銀−亜鉛二次電池を代表に
種々検討されてきた。特にニッケル−亜鉛二次電池は、
現在電子機器搭載の主力であるニッケル−カドミウム二
次電池と比較しても出力エネルギー密度が高く、また安
価で貴金属による公害もないという長所をもつことか
ら、その実用化に対する期待は大きい。
【0004】ところがこの反面、アルカリ亜鉛二次電池
は放電時の反応生成物がアルカリ電解液に可溶なため、
次式のごとくこの反応生成物がアルカリ電解液中に溶出
し亜鉛酸イオンとなる欠点を有している。
【0005】 Zn(OH)2 +2OH- →Zn(OH)4 2- また
は ZnO+H2 O+2OH- →Zn(OH)4 2- そしてこのため、充電時に溶出した亜鉛酸イオンが存在
するために亜鉛が負極(亜鉛極)表面に樹枝状あるいは
海綿状に析出し、充放電を繰り返すと電析亜鉛が絶縁性
セパレータ及び隔壁部材を貫通して対極(正極)に到達
し内部短絡を生じてしまうという問題がある。 (従来の技術1)このような内部短絡をなくすため、特
公昭55−29548号公報に開示されているように実
質的に遊離のものが存在しない程度に電解液量を規制す
る構成、あるいは特開昭57−197757号公報に開
示されているように負極に対する電解液量を正極に接す
る電解液量よりも少なくする構成等が提案されている。 (従来の技術2)また上記のように負極活物質が亜鉛酸
イオンとして溶出するために充放電を繰り返すと負極
(亜鉛極)の表面と内部で当然活物質濃度に差を生じ、
特に負極内部での反応が起こりにくくなり電池容量が低
下してしまう。
【0006】このため、負極(亜鉛極)表面近傍で溶出
した亜鉛酸イオンを固定する検討がなされており、例え
ばそのための吸着固定方法が特開昭57−163963
号公報に開示されている。この方法の概念模式図は図1
0に示した通りで電池は亜鉛極(負極)161、多孔性
酸化アグネシウム層162、セパレータ163、保液層
164、対極(正極)165から構成されており、微細
な酸化マグネシウム層からなる多孔性層を亜鉛極表面に
密着形成することで溶出した亜鉛酸イオンを吸着固定
し、これにより亜鉛酸イオンの電解液への溶出を防止す
るものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
(発明が解決しようとする課題1)しかしながら、上記
の如く遊離の電解液量を制限したところで、亜鉛酸イオ
ンの溶解は完全に防止できず、このため亜鉛が樹枝状あ
るいは海綿状に析出することを完全に抑制することは出
来ない。ところで亜鉛のメッキの分野において平滑メッ
キを実現するための光沢剤としてアルデヒド類、ケトン
類、4級化されたアミンの重合物等の添加が有効である
ことが知られており、また特にアルカリ性溶においては
第4級アンモニウム基を有する化合物の重合物の効果が
大きいことが知られている。そこでこのアルカリ浴に最
適な平滑メッキの光沢剤である第4級アンモニウム基の
重合物を電解液中に添加することも考えられるが、この
場合でも以下の問題点が存在する。即ち、アルカリ電解
液中に存在する光沢剤が電流集中部(例えばミクロに見
た突起部、電極端部)に吸着し亜鉛の電析を阻害するこ
とにより平滑化を実現するために、亜鉛の電析速度を犠
牲にせざるを得ず、これは実質上負極反応面積を減少さ
せることに他ならず、二次電池に適用した場合には急速
充電にとって大きな弊害となる。アルカリ電解液中に添
加された第4級アンモニウム基の重合物の作用するメカ
ニズムを以下の1〜5に詳述する。 1.アルカリ亜鉛二次電池の充電時に第4級アンモニウ
ム基の重合物はそれ自身がもつ正電荷の影響で、電界集
中部(例えば電極表面突起部)に選択的に移動し吸着す
る。 2.吸着した第4級アンモニウム基の重合物のマスキン
グ効果により、電界集中部には亜鉛は析出せずその他の
場所に析出する。 3.電界集中部以外への析出を繰り返すに伴い、亜鉛電
極表面形状が変化し、当初の電界集中部はもはや電界集
中部ではなくなり(電極表面の突起度合いが小さくな
る)、吸着していた第4級アンモニウム基の重合物が脱
離する。 4.脱離した第4級アンモニウム基の重合物は新たな電
界集中部へと選択的に移動し吸着する。 5.1〜4を充電中常に繰り返すことにより結果として
亜鉛極表面が平滑化される。
【0008】以上の亜鉛極表面平滑化メカニズムから明
かなように、上記2の過程でマスキング効果を利用する
ため、亜鉛極反応面積減少は避けることは出来ない。従
って亜鉛メッキにおける光沢剤作用をそのままアルカリ
亜鉛二次電池に適応すること(例えば、光沢剤をアルカ
リ電解液に添加する等)は、実質上不適であるといわざ
るを得ない。 (発明が解決しようとする課題2)また表面近傍で溶出
した亜鉛酸イオンを固定するための上記従来例は、亜鉛
酸イオンを吸着固定することだけによって亜鉛デンドラ
イトを防止する技術であり、この技術では亜鉛酸イオン
からの亜鉛自身の析出形態が樹枝状もしくは海綿状であ
るために、充放電サイクル特に深い充放電を繰り返す場
合にはデンドライト成長を防ぎきれるものではない。
【0009】即ち、上記従来例においては亜鉛酸イオン
の吸着固定は可能であるものの、亜鉛のデンドライト成
長は防ぎきれるものではない。これは亜鉛メッキの分野
で平滑化を実現するためにパルスメッキ、光沢剤の添加
剤等種々の手段が講じられていることを考慮すれば一目
瞭然である。換言すれば亜鉛自身の析出形態がデンドラ
イト成長を生じやすい形態をとるために、亜鉛酸イオン
の吸着固定のみでは亜鉛のデンドライト成長を防止する
ことは極めて困難であるということになる。
【0010】以上に鑑みて本発明は、二次電池における
電極反応を阻害することなく、負極活物質である亜鉛の
樹枝状や海綿状の析出を規制することで、アルカリ亜鉛
二次電池の長寿命化及び、急速充放電を可能にすること
を目的とする。
【0011】また本発明は、放電時に負極(亜鉛極)で
生成した亜鉛酸イオンの亜鉛極への析出形態を制御しつ
つサイクル寿命が長く且つ深い充放電特性に優れるアル
カリ亜鉛二次電池を提供することを他の目的とするもの
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(課題を解決するための手段1)本発明は、負極活物質
として少なくとも亜鉛及びその化合物を集電体に保持し
た負極と、前記負極と正極との間にアルカリ電解液を有
する第1および第2の保液層に挟まれた隔離部材とを有
するアルカリ亜鉛二次電池において、前記正極、前記第
1の保液層、前記隔離部材、前記第2の保液層、前記負
極が順次配置され且つ前記隔離部材が少なくとも第4級
アンモニウム基を有する高分子を含むことにより、長寿
命で急速充放電可能なアルカリ亜鉛二次電池を提供する
ものである。
【0013】即ち本発明者は鋭意検討を重ねた結果、ア
ルカリ電解液と負極表面との界面で亜鉛デンドライトを
防止するよりもむしろ隔離部材とアルカリ電解液との界
面で亜鉛デンドライトの成長を規制することに大きな効
果があることを見いだした。詳述するならば、二次電池
においては充電時負極表面に均一に電流が流れない限
り、必ず電流集中部が発生する。この電流集中部に負極
活物質である亜鉛が集中的に析出し、この繰り返しによ
り成長していくのがデンドライト成長の主原因である。
この現象をアルカリ電解液と負極表面との界面で防止し
平滑電析を実現するために、光沢剤(つまりインヒビタ
ー)を添加するわけであるが、この添加によって負極活
物質である亜鉛の均一電析を実現するということは、つ
まり電流集中部にインヒビターを吸着させ亜鉛活物質の
析出反応を阻害することに他ならない。これは負極の反
応面積減少を意味している。これを防止し光沢剤の作用
をアルカリ亜鉛二次電池へと適用するためには、上記作
用をアルカリ電解液と負極表面との界面ではなく、アル
カリ電解液と隔離部材との界面で発揮させることが必要
である。
【0014】何故ならば、アルカリ亜鉛二次電池の充電
時の亜鉛デンドライト成長は過度に成長するために、対
極(正極)との内部短絡を引き起こし、サイクル寿命を
短くするのである。しかし成長初期状態では、デンドラ
イト成長に伴い負極の表面積が飛躍的に増大し、反応面
積の観点ではむしろ好ましい状態とさえ言える。これは
亜鉛の析出形態観察からも実証されている。つまり本発
明においては亜鉛デンドライトの成長を防止する光沢剤
の効果と反応面積減少という欠点を亜鉛デンドライト自
身で補う効果の両者を利用するものである。つまりある
程度(具体的には正極、負極間に存在する隔離部材極く
近傍まで)亜鉛デンドライトを成長させ負極の反応面積
を飛躍的に増大させた後に亜鉛デンドライトの成長を光
沢剤(インヒビター)の作用により規制してやれば、負
極の反応面積は初期に比べ飛躍的に増大しているので、
光沢剤による負極の反応面積の減少は全体からすると無
視しうる程小さいからである。
【0015】つまり、本発明の本質は以下の点にある。
充電初期から亜鉛デンドライト発生を防止するのではな
く、ある程度亜鉛デンドライトを成長させ負極の反応面
積を飛躍的に増大させた後に、電流集中部にインヒビタ
ー作用を及ぼし更なる亜鉛デンドライト成長を制限する
ことにある。この時、負極の反応面積は初期状態と比較
して飛躍的に増大しているために、インヒビターの作用
による反応面積の減少は電池全体の反応から見ると無視
しうる程小さいのである。
【0016】即ち本発明の主たる第1の特徴は、負極活
物質として少なくとも亜鉛及びその化合物を集電体に保
持した負極と負極と正極間にアルカリ電解液を有する第
1および第2の保液層に挟まれた隔離部材とを有するア
ルカリ亜鉛二次電池において、正極、第1の保液層、隔
離部材、第2の保液層、負極が順次配置され且つ隔離部
材に少なくとも第4級アンモニウム基を有する高分子を
含有することである。
【0017】本発明に用いる隔離部材としては、耐アル
カリ性を有し且つある程度の機械的強度を有する材料で
あれば、従来公知のいかなる材料を用いてもかまわな
い。例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ジカルボン酸
等により架橋したポリビニルアルコール等の微孔を有す
る合成樹脂の薄膜またはこれらの繊維を織った織布及び
不織布または、セルロース繊維、ガラス繊維等が挙げら
れる。勿論複数種または同種の積層体であってもかまわ
ない。この時、上記保液層と同種材料を用いても異種材
料を用いてもいずれであってもかまわない。また後述の
様にインヒビター作用を有する部材そのものであっても
かまわない。勿論上記に限定されるものではない。
【0018】かかる第4級アンモニウム基を含有する高
分子に関して詳述するならば、先ず第4級アンモニウム
基としてはテトラメチルアンモニウム基、トリメチルエ
チルアンモニウム基、トリエチルフェニルアンモニウム
基等の脂肪族第4アンモニウム基、芳香族第4アンモニ
ウム基等が挙げられる。また構成する高分子に関しては
特に制約はないが、スチレン−ジビニルベンゼン共重合
体系、スチレン系、アクリレート系等が一般的である。
その製造方法の一例を記すと、スチレン−ジビニルベン
ゼン共重合体にFriedel−Crafts触媒存在
下でクロロメチル基を導入した後、アルキルアミンと反
応させ第4級アンモニウム基を導入する方法が挙げられ
る。またその他ポリアクリル酸、ポリメチルメタアクリ
レート(PMMA)等を塩化チオニル処理し塩素を導入
し第2級アミン処理をした後に還元し第3級アミン化
し、最後にヨウ化アルキル処理しポリアクリル酸のカル
ボキシル基を第4級アンモニウム基へ改質する方法等が
ある。勿論上記に限定されるものではなく第4級アンモ
ニウム基を有するポリアミン等であってもかまわない。
【0019】上記高分子を隔離部材中に配置するわけで
あるがその方法について述べると、隔離部材表面に被覆
する場合には然るべき溶剤に溶解させた後、バーコート
・ナイフコート・ブレードコート・ディッピング等によ
る表面被膜形成または、圧延ロール等によりシート状に
加工した後プレス等により圧着する方法、母体となる高
分子例えばスチレン等の原料ガスをプラズマにより活性
化し重合するプラズマ重合により網目状膜を得、前述の
方法等により第4級アンモニウム基を導入する方法、目
的とする材料をターゲットとしスパッタリングにより直
接被膜形成する方法等が挙げられる。また表面被覆のみ
ならず得られた被膜を隔離部材でサンドイッチする構成
をとってもかまわない。また一般に隔離部材として用い
る部材は微孔性を有しているために、その微孔中に第4
級アンモニウム基を有する高分子溶液等を加圧、常圧充
填等により充填した後乾燥させ溶媒を除去し隔離部材中
に配置しても勿論かまわない。以上被覆する高分子材料
及び被覆方法について述べたが勿論これらに限定される
ものではない。
【0020】また本発明の更なる特徴は隔離部材を構成
する高分子中に第4級アンモニウム基を含有することに
ある。前述したように従来公知の隔離部材中に第4級ア
ンモニウム基を含有させることにより十分効果を発揮す
るが、更に隔離部材を構成する部材中に直接第4級アン
モニウム基を含有させることが本発明においては作用点
密度が大きくなり、デンドライト阻止効率も向上し本発
明にはより適している。
【0021】かかる第4級アンモニウム基を含有する高
分子に関して詳述するならば、先ず第4級アンモニウム
基としては前述のごとくテトラメチルアンモニウム基、
トリメチルエチルアンモニウム基、トリエチルフェニル
アンモニウム基等の脂肪族第4級アンモニウム基、芳香
族第4級アンモニウム基等が挙げられる。また構成する
高分子に関しては特に制約はないが、スチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体系、スチレン系、アクリレート系等
が一般的である。その製造方法の一例を記すと、スチレ
ン−ジビニルベンゼン共重合体にFriedel−Cr
afts触媒存在下でクロロメチル基を導入した後、ア
ルキルアミンと反応させ第4級アンモニウム基を導入す
る方法が挙げられる。またその他ポリアクリル酸、ポリ
メチルメタアクリレート(PMMA)等を塩化チオニル
処理し塩素を導入し第2級アミン処理をした後還元し第
3級アミン化した後、最後にヨウ化アルキル処理しポリ
アクリル酸のカルボキシル基を第4級アンモニウム基へ
改質する方法等がある。勿論上記に限定されるものでは
なく、第4級アンモニウム基を有するポリアミン等であ
ってもかまわない。上記の方法等により作製した第4級
アンモニウム基を有する高分子で隔離部材を形成するわ
けであるが、その方法としては圧延等によりシート状に
加工し隔離部材として用いてもよいが、内部抵抗等を考
慮すると炭酸水素ナトリウム、ジアゾアミノベンゼン、
炭酸アンモニウム等の発泡剤を用い熱処理することによ
り微孔を設ける等多孔化することがより好ましい。
【0022】またこの高分子を単独で隔離部材としても
かまわないが機械的強度を考慮する第2の保液層の正極
側表面を被覆する、第1の保液層の負極側表面を被覆す
る等が特に好ましい。つまり機械的強度は多部材を利用
し持たせれば高分子を本来の目的である亜鉛デンドライ
ト成長速度減少に必要な厚さ以上厚くする必要がないの
である。本発明の目的である亜鉛デンドライトの正極方
向への成長速度の著しい減少を実現するためには被覆膜
の厚みは、膜としての機械的強度の期待できない100
0オングストローム程度でも十分であり、薄すぎるとイ
ンヒビター作用が弱くなりまた逆に厚すぎると内部抵抗
増大を招くので本発明においては50オングストローム
以上5μm以下が好ましく、特に100オングストロー
ム以上2μm以下が好ましい。
【0023】上記高分子の被覆方法について述べると、
然るべき溶剤に溶解させた後、バーコート・ナイフコー
ト・ブレードコート・ディッピング等による被膜形成ま
たは、圧延ロール等によりシート状に加工した後プレス
等により圧着する方法、母体となる高分子例えばスチレ
ン等の原料ガスをプラズマにより活性化し重合するプラ
ズマ重合により網目状膜を得、前述の方法等により第4
級アンモニウム基を導入する方法、目的とする材料をタ
ーゲットとしスパッタリングにより直接被膜形成する方
法等が挙げられる。以上被覆する高分子材料及び被覆方
法について述べたが勿論これらに限定されるものではな
い。
【0024】次に本発明のアルカリ亜鉛二次電池のセル
に関して詳述する。
【0025】図1は本発明のアルカリ亜鉛二次電池を示
す断面模式図である。この電池は、亜鉛及び亜鉛化合物
である負極活物質11、負極集電体12、第1の保液層
13、第2の保液層14、隔離部材15、ニッケル化合
物である正極活物質16、正極集電体17、電槽18、
蓋19から構成される。尚、アルカリ電解液は第1の保
液層13、第2の保液層14、並びに隔離部材15に含
浸保持させる。作製方法の概略を以下に記す。 1. 負極活物質11である亜鉛及び酸化亜鉛の混合物
にポリビニルアルコール、プロピレングリコール等を加
え、更に結着剤であるポリテトラフルオロエチレン等を
加え十分に混練した後、負極集電体12であるニッケル
メッシュ等に加圧ローラ等により加圧塗着する。これを
100℃で真空乾燥した後再度プレスし負極を作製す
る。 2. 正極活物質16である水酸化ニッケル粉末等を正
極集電体17である発泡ニッケル等に常圧充填した後、
乾燥させ、プレス等により正極を作製する。 3. スチレン−ジビニルベンゼン共重合体にFrie
del−Crafts触媒存在下でクロロメチル基等を
導入した後、アルキルアミンであるトリメチルアンモニ
ウムクロライド等と反応させ第4級アンモニウム基を導
入した後、ベンゼン等に溶解させディッピング法等によ
り所望の厚みでポリプロピレン微孔膜等の隔離部材15
に塗布する。 4. ポリプロピレン不織布等の微孔性膜を第1第2の
保液層として正極、第1の保液層、隔離部材、第2の保
液層、負極の順に図1の如く順次配置する。最後に濃度
約35%の水酸化カリウム水溶液を第1第2の保液層及
び隔離部材に十分含浸させ蓋19をしセルを作製した。
【0026】また本発明の主要構成部材に関して更に詳
述する。
【0027】本発明に用いる負極としては、少なくとも
亜鉛及びその化合物を活物質とする負極であれば、従来
公知のいかなる負極であってもかまわない。例えば、亜
鉛粉末、酸化亜鉛、水酸化亜鉛等を結着剤(例えばカル
ボキシメチルセルロース)を溶かした水で混合し集電体
等の活物質支持体に充填、成型、電解して作るペースト
式、亜鉛粉末や亜鉛化合物を不活性雰囲気で焼結して作
る焼結式等により作製された負極(亜鉛極)が使用でき
る。また集電体としては、金属メッシュ、エキスパンデ
ットメタル、導電性繊維等比表面積が大きく高導電度の
ものであれば従来公知の集電体すべてが適用可能であ
る。例えば、銅メッシュ・エキスパンデットニッケル・
カーボン繊維等が挙げられる。また正極としては、銅電
極・ニッケル電極等アルカリ亜鉛二次電池に用いること
の出来る正極であれば従来公知のいかなる電極であって
もかまわない。しかしながら材料コスト、電極性能等を
考慮すると本発明においては、ニッケル電極と組み合わ
せることがより好ましい。勿論ニッケル電極以外の電極
と組合わせても本発明の効果は一切損なわれない。
【0028】また第1第2の保液層としては、耐アルカ
リ性を有しかつ保液能の高い材料であれば従来公知のい
かなる材料であってもかまわない。例えば、ポリプロピ
レン不織布、ポリアミド不織布等が挙げられる。勿論こ
れらに限定されるものではない。尚、第1、第2の保液
層は同種材料であっても異種材料であってもかまわな
い。更にそれぞれが同種または異種の複数層で形成され
ていてもかまわない。
【0029】また本発明に用いるアルカリ電解液として
は、一般的な水酸化カリウム水溶液が使用出来、例えば
正極にニッケル電極を用いる場合には30%以上40%
以下が特に好ましい。また正極性能向上のため添加され
る水酸化リチウム等の添加は本発明に悪影響を及ぼさな
いので必要に応じて適宜添加してもかまわない。
【0030】以上本発明のセルの構造及び製造方法に関
して述べたが構造、製造方法共に上記に限定されるもの
ではない。例えばセル構造として正極負極絶縁性セパレ
ータの積層体を渦巻状に巻き挿入したスパイラル構造、
一方の電極を中心として他方を周辺に配置したボビン構
造であってもかまわない。 (課題を解決するための手段2)本発明は、負極活物質
として少なくとも亜鉛及びその化合物を集電体に保持し
た負極と、前記負極と正極との間に少なくとも絶縁性セ
パレータとアルカリ電解液を有するアルカリ亜鉛二次電
池において、前記負極に少なくとも2層以上の多孔性層
が配置され且つセル内に少なくとも酸素以外のVIB族
イオンを含有することにより、放電時に前記負極で生成
した亜鉛酸イオンの充電時における亜鉛極への析出形態
を制御しつつ深い充放電特性に優れるアルカリ亜鉛二次
電池を提供するものである。
【0031】即ち、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、
電解液と活物質界面(固液界面)での活物質の振る舞い
に注目し、放電時に負極で生成した亜鉛酸イオンを反応
面近傍に吸着固定するのみならず併せて析出形態をも制
御することがアルカリ亜鉛二次電池のサイクル特性向上
に極めて有効であることを見いだした。
【0032】つまり、本発明の本質は、放電時に負極で
生成した亜鉛酸イオンを負極中に配置された多孔性層に
より応面近傍に保持させることに併せてセル内に含有さ
せた酸素以外のVIB族イオンを結晶核として放射状に
結晶を成長せしめ、充電時の亜鉛酸イオンの析出形態を
平滑に制御することにより亜鉛デンドライトを防止する
と共に優れた深い充放電特性を実現することにある。
【0033】即ち、本発明の主たる第1の特徴は、負極
活物質として少なくとも亜鉛及びその化合物を集電体に
保持した負極と、負極と正極との間に少なくとも絶縁性
セパレータとアルカリ電解液を有するアルカリ亜鉛二次
電池において、負極に少なくとも2層以上の多孔性層が
配置されセル内に酸素以外のVIB族イオンを含有する
ことにある。
【0034】本発明に用いる多孔性層とは、細孔径10
μm以下、比表面積100m2 /g以上の多孔性材料か
ら構成される層を意味する。一般に多孔性材料はその細
孔径、比表面積等は多岐にわたり細孔径1つを例として
もnmオーダーからmmオーダーまである。しかし本発
明においては放電時に負極から溶出する亜鉛酸イオンを
吸着固定するのであるから、細孔径が余り大きいと亜鉛
酸イオンが多孔性層の外側に更に溶出してしまう、この
ため細孔径は10μm以下である必要がある。また亜鉛
酸イオンの吸着固定能を発揮するためには大きな表面積
が必要であり、比表面積は100m2 /g以上が必要で
ある。その材料に関しては、有機材料、無機材料を問わ
ないが、本発明においては充放電サイクルで分解する恐
れの少ない無機材料がより好ましい。例えば、酸化チタ
ン、酸化マグネシウム等の金属酸化物、ホウケイ酸ガラ
ス等のガラス質、アルミナ等のセラミクス等が挙げられ
る。その作製方法であるが、従来公知のすべての作製方
法が適応可能である。例えば所望のサイズの粒子に結着
剤を用い成形し焼成凝着させ粒子間に多数の細孔を形成
する方法、所望のサイズの粒子を成形し焼結し粒子同志
を直接凝着させる方法、ガラス粉末等に炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、酢酸アミ
ル、ジアゾアミノベンゼン、硝酸アンモニウム、炭素等
の発泡剤を混入し高温に加熱し細孔を形成する方法、熱
処理等により相分離させその相の溶剤に対する選択比を
利用し細孔を形成する方法、溶剤に対する選択比が十分
とれる複数材料を混合し成形した後、構成材料のある種
を溶剤に溶解させることによって細孔を形成する方法等
が挙げられる。以上本発明に用いる多孔性層の材料、作
製方法に関して代表的なものに関して述べたが勿論本発
明はこれらに限定されるものではない。
【0035】また前記多孔性層状を複数層とする理由で
あるが、負極表面のみに多孔性層を配置するのみでは、
特に深い充放電の際の電極内部の反応面において亜鉛酸
イオンの吸着固定するためには多孔性層を厚くする必要
があり、その際には電極抵抗が高くなるだけではなくア
ルカリ電解液の電極内部への浸透が不十分となるために
亜鉛の析出形態を制御することが困難になる。このため
多孔性層は表面のみに1層配置するのではなく、複数層
化し電極内部へも配置することが必要となる。つまり電
極内部に多孔性層を有しているためにアルカリ電解液の
浸透はこの多孔層を通じて電極内部まで円滑に行われる
ことになるのである。また負極活物質層作製時に活物質
充填密度を若干下げておくとこの効果がより顕著であ
る。この場合、負極活物質の利用率が向上しているの
で、結果的には負極活物質密度低下にはならない。更に
この多孔性層の存在自体が負極自身の強度を付与するこ
とにもなり、結果として負極構成部材の脱落防止効果も
ある。このため本発明の目的である深い充放電に対する
優れた特性を得るためには、多孔性層を負極表面のみに
存在させるのではなく複数層とし負極内部にも表面同様
に多孔性層を配置することが必要となる。また多孔性層
のイオン伝導性向上のために導電補助剤としてカーボン
等の導電性微粒子を添加し負極全体の導電性を向上して
もかまわない。勿論各層ごとに集電体を配置してもかま
わない。
【0036】次にセル内に含有するVIB族イオンであ
るが、VIB族元素としては酸素、硫黄、セレン、テル
ル、ポロニウムが存在するが、本発明においては酸素を
用いると活物質表面に酸化膜を形成し電極不動態化の原
因となるので、酸素以外のVIB族イオンが良い。また
前述のようにこのVIB族イオンが結晶核となりこの核
により結晶が放射状に成長し平滑電析を実現するのであ
るから、その含有方法は電解液に添加するのみならず、
負極作製時にその塩もしくは単体を負極活物質層中に含
有させるまたは多孔層に含有させる、セル内壁またはセ
パレータに、水溶性結着剤等(PVA、CMC等)を用
いて塗布する等であってもかまわない。
【0037】例えばアルカリ電解液中に添加する場合に
関しては金属酸塩として電解液に添加すれば良い。一般
にセレン酸、テルル酸塩としてはアルカリ金属、銀、鉛
塩等があるが、アルカリ亜鉛二次電池のアルカリ電解液
に添加することを考慮するとカリウム塩、ナトリウム塩
が特に好ましい。硫黄に関してはチオ硫酸ナトリウムと
して添加すれば良い。添加量は亜鉛酸イオンが負極表面
に亜鉛として析出する際の形態を制御する効果を発揮さ
せるためには、10mg/l以上必要であり添加量が少
ないとあまり効果を発揮せず、樹枝状もしくはコケ状の
形態で析出する。逆に添加量が多いとそもそもこれらの
塩は非常に弱いながらも酸性を示すため、アルカリ電解
液にとっては好ましくない。従ってアルカリ電解液に添
加するテルルの量は10mg/l以上500mg/l以
下が好ましく、より好ましくは20mg/l以上200
mg/l以下である。
【0038】また例えば負極中に添加する場合には負極
活物質中にアルカリ電解液の場合と同様、金属酸塩等の
形で添加し負極活物質と十分混練した後負極活物質と一
緒に負極集電体に保持させても良いしテルル、セレンは
亜鉛と合金化しても良い。尚この時の添加量はセル内に
存在するアルカリ電解液量を考慮して適宜定めれば良
い。
【0039】また本発明の更なる第1の特徴は、前記酸
素以外のVIB族イオンに少なくともテルルイオンを含
むことにある。VIB族イオンを結晶核として放射状に
結晶成長せしめ亜鉛の平滑電析を実現するわけである
が、この作用はテルルイオンが極めて顕著でありこれは
テルルが亜鉛との共析作用が強いためである。このため
少なくともテルルイオンを含有することが本発明には効
果的である。例えば、テルル単独、モル比でテルル:セ
レン(3:1)、テルル:硫黄(2:1)等の混合があ
る。勿論これらに限定されるものではない。
【0040】また本発明の更なる第2の特徴は、前記多
孔性層の厚みが200μm以下であることにある。本来
多孔性層は溶解した亜鉛酸イオンを吸着固定しておきセ
ル内に存在する酸素以外のVIB族イオンを結晶核とし
て亜鉛を放射状に速やかに電極表面に析出させることに
ある。このため多孔性層は厚くするよりもむしろ薄くす
るほうが電解液の侵入路が複雑に成らず本発明にとって
は好ましい。従って多孔性層は200μm以下であるこ
とがより効果的である。
【0041】次に本発明のアルカリ亜鉛二次電池のセル
構成に関して詳述する。
【0042】図6は本発明のアルカリ亜鉛二次電池の典
型例を示す模式断面図である。この電池は、亜鉛及び亜
鉛化合物である負極活物質111、負極集電体112、
多孔性層113、アルカリ電解液を含浸した絶縁性セパ
レータ114、ニッケル化合物等の正極活物質115、
正極集電体116、電槽117、蓋118、電極取り出
し端子119から構成される。勿論本発明の構成は上記
に限られるものではなく、例えば、電極、セパレータの
積層体を渦巻状に巻いたスパイラル方式、一方の電極を
中心に他方の電極を周辺に配置するボビン方式、更には
一方の電極の両方向に他方の電極を配置する方式等であ
っても一向にかまわない。次に作製方法の一例を記す。
【0043】1.負極活物質111である亜鉛及び酸化
亜鉛粉末とフッ素樹脂ディスパージョン等の結着剤を所
望の比率で混合し十分に混練した後、圧延ロール等でシ
ート状に成形し、負極集電体112である銅のエキスパ
ンドメタル等に圧着し、負極活物質層を作製する。
【0044】2.所望サイズの多孔性層原料粉末とフッ
素樹脂ディスパージョンを適当量混合し十分に混練した
後、圧延ロール等でシート状に形成して、多孔性層11
5を作製する。
【0045】3.上記1で作製した負極活物質層の片面
に、上記2で作製した多孔性層をそれぞれ圧延ロール等
により圧着した後、更に多孔性層が交互になるように圧
着する。
【0046】4.正極活物質115である水酸化ニッケ
ル粉末等を正極集電体116である発泡ニッケル中に充
填し十分乾燥した後に、加圧成形し正極を作製する。
【0047】5.電槽117であるABS樹脂等の容器
中に正負両極をポリプロピレン等の微孔膜(商品名:ジ
ュラガード)を絶縁性セパレータ114として図5の如
く正極に対向する面に多孔質層が存在するよう装着し
た。
【0048】6.濃度〜30%の水酸化カリウム電解液
をセパレータに十分含浸させた。この後、蓋118をし
てセルを作製した。
【0049】尚、酸素以外のVIB族イオンは例えばア
ルカリ電解液中には金属酸塩等の形で予め添加しておけ
ばよい。以上作製方法の一例に関して述べたが勿論これ
に限定するものではない。
【0050】以下本発明のアルカリ亜鉛二次電池の主要
構成部材に関して更に詳述する。
【0051】本発明に用いる負極としては、少なくとも
2層以上の例えば前述の多孔性層が配置されていること
が必須であり、その作製方法は従来公知の負極作製方法
の応用が可能である。例えば、亜鉛粉末、酸化亜鉛、水
酸化亜鉛等を結着剤(例えばカルボキシメチルセルロー
ス)を溶かした水で混合し集電体等の活物質支持体に充
填、成形、電解して作るペースト式、亜鉛粉末や亜鉛化
合物を不活性雰囲気で焼結し作る焼結式等により作製し
た負極活物質層で、更に前述の方法等で別途作製した多
孔層をサンドイッチする形で圧着する。この繰り返しに
より目的とする負極を得る。尚、この時多孔層をサンド
イッチする負極活物質層は勿論それぞれ同様の方法で作
製しても異なる方法で作製しても構わない。作製工程の
簡略化を考慮すれば同様の方法で作製することが好まし
い。また多孔層の形成方法としては上記の他多孔性剤の
微粉末をスプレーガン等で直接負極活物質層表面に吹き
付けたのちプレスまたは圧延により圧着してもかまわな
い。
【0052】また本発明に用いる集電体としては、金属
メッシュ・エクスパンデットメタル・導電性繊維等比表
面積が大きく高導電度のものであれば従来公知の集電体
すべてが適用可能である。例えば銅メッシュ、エクスパ
ンデットニッケル、カーボン繊維等が挙げられる。また
正極としては、銀電極・ニッケル電極等アルカリ亜鉛二
次電池に用いることのできる正極であれば従来公知のい
かなる電極であってもかまわない。しかしながら材料コ
スト、電極性能等を考慮すると本発明においては、ニッ
ケル電極と組み合わせることがより好ましい。勿論ニッ
ケル極以外の電極と組み合わせても本発明の効果は一切
損なわれない。また絶縁性セパレータとしては、ナイロ
ン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等の微孔を
有する剛性樹脂の薄膜またはこれらの繊維を織った織布
及び不織布または、セルロース繊維、ガラス繊維等が使
用可能である。勿論同種もしくは2種以上を複数枚重ね
てもかまわない。上記以外にも耐アルカリ性であり電気
抵抗が大きく保液性が良好な材料であれば従来公知のい
かなるセパレータであってもかまわない。また電解液と
しては、一般的な水酸化カリウム水溶液が適用でき、例
えば正極にニッケル極を用いる場合には30%以上40
%以下が特に好ましい。また正極性能向上のため添加さ
れる水酸化リチウム等の添加は本発明に悪影響を及ぼさ
ないので必要に応じて適宜添加してもかまわない。
【0053】
【作用】
(作用1)隔離部材が少なくとも第4級アンモニウム基
を有する高分子を含むことにより、充電時に成長する亜
鉛デンドライトが隔離部材表面でインヒビターである第
4級アンモニウム基の極く近傍まで成長することで第4
級アンモニウム基が吸着したのと同等の作用を及ぼし、
電流集中部への析出を抑えられ。これにより、更なる対
極方向への成長速度を著しく遅くし且つ負極表面積が初
期と比較して飛躍的に増大しているために、負極反応面
積の減少という悪影響もなく作用するのである。結果と
して何の弊害もなく対極方向への亜鉛デンドライトの成
長速度を著しく減少するよう作用しているのである。
【0054】更に詳述するならば、本発明におけるデン
ドライト成長速度制御は以下の如きメカニズムで作用す
るものである。 1.アルカリ亜鉛二次電池の充電時に電界集中部(例え
ば電極表面突起部)に選択的に亜鉛が電析しデンドライ
ト成長を起こす。 2.デンドライトが更に成長し対極(正極)方向へと発
達する。 3.隔離部材極く近傍までデンドライトが成長し、つい
には隔離部材中の第4級アンモニウム基極く近傍にデン
ドライトの先端が到達し、その先端部に第4級アンモニ
ウム基が吸着したのと実質的に同等となる。(先端部へ
のマスキング作用) 4.このデンドライト先端部にはもはや亜鉛の電析は起
こらず、他方向へと成長する。 5.他方向へと成長したデンドライトがまた別の場所で
隔離部材極く近傍まで到達すると上記3、4の作用を受
ける。 6.以上を充電中常に繰り返すことにより結果としてデ
ンドライトが隔離部材から更に正極方向へ成長する速度
は著しく減少する。
【0055】以上のメカニズムでデンドライトの正極方
向への成長速度が制御されるわけであるが、本発明にお
けるマスキング作用は亜鉛デンドライトがある程度成長
した後に生じるために、その反応面積減少はデンドライ
ト成長により反応面積が増大した後に起こり、このため
セル全体から見ると無視しうる程小さいのである。また
本発明の正極方向へのデンドライト成長速度制御は強固
な隔離部材を用い物理的にデンドライトの成長を防止す
るものではなく、第4級アンモニウム基自身がもつ正電
荷と充電時の電界集中による強電場の相互作用によりデ
ンドライト成長を防止するものであるために、アルカリ
電解液が隙間から浸透することによる隔離部材中へデン
ドライトが侵入することは極めて起こりにくい。
【0056】つまり本発明においては、第4級アンモニ
ウム基が電界集中部に積極的に吸着する従来例と異な
り、亜鉛デンドライトが成長して第4アンモニウム基へ
と成長していくために吸着したのと同等の作用を得るも
のである。この結果目的とする正極方向へのデンドライ
ト成長速度制御が達成されるのである。 (作用2)負極に少なくとも2層以上の多孔性層が配置
され且つセル内に少なくとも酸素以外のVIB族イオン
を含有する構成とすることにより、放電中に溶解した亜
鉛酸イオンを多孔性層に吸着固定し且つセル内に存在す
る酸素以外のVIB族イオンを結晶核とし放射状に結晶
成長せしめ、亜鉛の電析を平滑に制御して、亜鉛デンド
ライトを効率的に防止するよう作用するのである。また
多孔層が複数存在しているために、深い充放電時にも負
極構成部材の脱落を防止する作用をも併せ持っているの
である。
【0057】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0058】まず、請求項1記載の発明についての実施
例を説明する。 (実施例1)図2は本発明の実施例を示す断面模式図で
ある。この電池は、亜鉛及び亜鉛化合物である負極活物
質21、負極集電体22、第1の保液層23、第2の保
液層24、隔離部材25、ニッケル化合物である正極活
物質26、正極集電体27、電槽28、蓋29である。
尚、アルカリ電解液は第1の保液層23、第2の保液層
24、並びに隔離部材25に含浸保持させた。この電池
の作製方法の概略を以下に記す。 1. 負極活物質21である亜鉛及び酸化亜鉛とフッ素
樹脂ディスパージョン75:20:5:の混合物を十分
に混練した後、負極集電体22であるニッケルメッシュ
に加圧ローラで加圧塗着した。これを100℃で真空乾
燥した後最後プレスし負極を作製した。 2. 正極活物質26である水酸化ニッケル粉末を正極
集電体27である発泡ニッケル(商品名:セルメット)
に常圧充填した後乾燥させ、プレスし正極を作製した。 3. スチレン−ジビニルベンゼン共重合体にFrie
del−Crafts触媒存在下でクロロメチル基を導
入した後、アルキルアミンであるトリメチルアンモニウ
ムクロライドと反応させて第4級アンモニウム基を導入
した後、ベンゼンに溶解させ、ディッピング法により約
5000オングストロームの厚みで隔離部材であるポリ
プロピレン微孔膜(商品名:セルガード)に塗布した。 4. ポリプロピレン不織布を第1、第2の保液層とし
て、正極(26)、第1の保液層23、隔離部材25、
第2の保液層24、負極(21)の順に図2の如く順次
配置した。最後に濃度約35%の水酸化カリウム水溶液
を第1第2の保液層及び隔離部材に十分含浸させ蓋(2
9)をしセルを作製した。
【0059】この時の理論容量は正極、負極それぞれ3
00mAh、500mAhとした。以上の方法で作製し
た二次電池を1/4C(理論容量に相当する電荷を4時
間で流す。以後この単位を用いる)で5時間充電し、ま
た1/4Cで電池電圧が1.0Vになるまで放電し、ま
たその電池容量が50%以下になった時点で電池寿命と
した。その結果を図3に示す。尚、比較例として隔離部
材に脂肪族第4アンモニウム基を配置しない以外は全く
同様のセルを作製し同様の評価を行った。
【0060】図2から明らかなように、本発明のニッケ
ル−亜鉛二次電池は400回以上のサイクル寿命を有し
ている。電池寿命が終了した時点でセルを分解して調べ
たところ、比較例に比べて本実施例は負極から成長して
いるデンドライトの密度が隔離部材負極側が極めて高く
なっていることが観察され、隔離部材に配置した第4級
アンモニウム基の効果が顕著であることが確認された。 (実施例2)第4級アンモニウム基を導入するために、
トリオクチルメチルアンモニウムクロライドを用いた以
外実施例1と同様の方法で作製したセルを種々の充電速
度で充電し評価したことろ本発明は急速充電時にも低速
充電同様の効果があることがわかった。結果を表1に記
した。 (表1) (実施例3)隔離部材に第4級アンモニウム基を含有す
る高分子を充填した以外は実施例1と全く同様の検討を
行った。この結果を図4に示した。尚、第4級アンモニ
ウム基を含有する高分子は以下の方法で隔離部材に充填
した。スチレン−ジビニルベンゼン共重合体にFrie
del−Crafts触媒存在下でクロロメチル基を導
入した後、アルキルアミンであるトリメチルアンモニウ
ムクロライドと反応させて第4級アンモニウム基を導入
した後、ベンゼンに溶解させた後隔離部材であるガラス
繊維(商品名:ユニチカエーエムグラスRCシリーズ)
に加圧充填し作製した。
【0061】図4から明らかなように、本実施例におい
ても実施例1より更に良好な結果を得た。これは第4級
アンモニウム基を結着剤を用いず高分子としているため
に作用点密度が高まり、デンドライト成長速度減少結果
の効率が更に良くなったためである。 (実施例4)実施例1の隔離部材を以下に代えた以外は
実施例1と全く同様の検討を行った。即ち、ポリメチル
メタアクリレート(PMMA)を塩化チオニル処理し塩
素を導入し第2級アミン処理をした後還元し第3級アミ
ン化した後、最後にヨウ化アルキル処理しポリアクリル
酸のカルボキシン基を第4級アンモニウム基へ改質し圧
延法によりシート状に加工した後にガラス繊維へ圧着し
た。
【0062】本実施例においても実施例1同様良好な結
果を得た。 (実施例5)実施例4と全く同様の方法で第4級アンモ
ニウム基を有する高分子を第2の保護層の正極側に厚み
1μm塗布した以外は、実施例4と全く同様の検討を行
った結果、本実施例においてもやはり良好な結果を得
た。尚、この時隔離部材として微孔性ポリプロピレン、
ガラス繊維等は用いず前記高分子のみを隔離部材として
用いた。このことは、本発明の狙いである正極方向への
亜鉛デンドライト成長速度減少効果は本実施例の高分子
膜のみで十分機能することを示唆するものである。 (実施例6)正極としてニッケル極の代わりに銀電極を
用いて実施例1と同様の検討を行った結果、本実施例に
おいても良好な結果を得た。このことは本発明があらゆ
るアルカリ亜鉛二次電池に適応可能なことを示唆するも
のである。
【0063】つまり、本発明は負極の亜鉛デンドライト
成長速度を隔離部材極近傍で正極方向への速度を減少す
るものであり、対極(正極)の材料を選ばないのであ
る。
【0064】つまり前述のごとく負極活物質として少な
くとも、亜鉛及びその化合物を含んでいれば本発明の効
果を発揮するものである。
【0065】次に請求項6記載の発明の実施例について
説明する。 (実施例7)図6に示した実施例のアルカリ亜鉛二次電
池は、亜鉛及び亜鉛化合物である負極活物質121、負
極集電体122、多孔性酸化マグネシウム層123、ア
ルカリ電解液を含浸した絶縁性セパレータ124、ニッ
ケル化合物である正極活物質125、正極集電体12
6、電槽127、蓋128、電極取り出し端子129か
ら構成される。この電池の作製方法の概略を以下に記
す。
【0066】1.負極活物質121である亜鉛及び酸化
亜鉛粉末とフッ素樹脂ディスパージョンが混合比70:
25:5からなる混合物を十分に混練した後、圧延ロー
ルでシート状に成形し負極集電体122である銅のエキ
スパンドメタルに圧着し厚み0.5mmの負極活物質層
2枚作製した。
【0067】2.250メッシュを通過する酸化マグネ
シウム粉末とフッ素樹脂ディスパージョンが混合比8
0:20からなる混合物を十分に混練した後、圧延ロー
ルでシート状に形成し厚み0.3mmの多孔性酸化マグ
ネシウム層125を2枚作製した。この時の細孔径はS
EM観察により比表面積はBET法によりそれぞれ0.
5μm、230m2 /gと確認された。
【0068】3.上記1で作製した負極活物質層の片面
に、2で作製した多孔性酸化マグネシウム層をそれぞれ
圧延ロールにより圧着した後、更に3枚を圧延ロールに
より負極活物質層、多孔性酸化マグネシウム層が交互に
なるように圧着した。
【0069】4.正極活物質125である水酸化ニッケ
ル粉末を正極集電体126である発泡ニッケル中に充填
し十分乾燥した後に、加圧成形し正極を作製した。
【0070】5.電槽127であるABS樹脂容器中に
正負両極をポリプロピレン微孔膜(商品名:ジュラガー
ド)を絶縁性セパレータ124として図6の如く正極に
対向する面に多孔質酸化マグネシウム層が存在するよう
装着した。
【0071】6.濃度〜30%の水酸化カリウム電解液
をセパレータに十分含浸させた。この後蓋128をし、
セルを作製した。尚、アルカリ電解液中にはテルル酸ナ
トリウムをテルル含量で10mg/lとなるように予め
添加しておいた。またこの時の理論容量は正極負極それ
ぞれ200mAh、400mAhとした。
【0072】以上の方法で作製した二次電池を1/4C
で5時間充電し、1/4Cで電池電圧が1.0Vに達す
るまで放電するサイクル試験を行なった。電池容量が5
0%以下になった時点で電池寿命とした。この結果を図
7に示した。
【0073】図7から明かなように、本発明のニッケル
−亜鉛二次電池は400回以上のサイクル寿命を有して
いる。これは、放電時に溶解した亜鉛酸イオンが充電時
に析出する際に多孔性酸化マグネシウムにより吸着固定
されたことと、テルルイオンによる析出形態制御との相
互作用により、アルカリ亜鉛二次電池のサイクル寿命が
向上したためである。 (実施例8)実施例7でアルカリ電解液に添加したのと
同量のテルル酸ナトリウムを負極活物質層形成時に以下
の方法で混入した以外は実施例7と全く同様の検討を行
なった結果、本実施例においても実施例7と同様良好な
結果を得た。
【0074】即ち、負極活物質である亜鉛及び酸化亜鉛
粉末とフッ素樹脂ディスパージョンが混合比70:2
5:5からなる混合物中に実施例7でアルカリ電解液に
添加したのと同量のテルル酸ナトリウムを混合し十分に
混練した後、圧延ロールでシート状に成形し負極集電体
である銅のエキスパンドメタルに圧着し厚み0.5mm
の負極活物質層2枚作製した。尚、この時勿論アルカリ
電解液中にはテルル酸ナトリウムは一切添加していな
い。
【0075】実施例8におけるこの結果は、本発明にお
いては負極反応面近傍に亜鉛の析出形態を制御するテル
ルイオンが存在していればよくその導入方法にはよらな
いことを示唆するものである。
【0076】また更に本実施例においては充放電深度9
5%にてサイクル試験を行ったところ、前述の評価同様
に良好な効果を得た。これは負極中の多孔性層が複数層
となっているために負極内部でも亜鉛の析出形態を十分
制御でき、また更に負極構成部材の脱落等が発生しにく
いためである。 (実施例9)正極のニッケル極の代わりに銀極を用い実
施例7、実施例8と同様の検討を行った結果、本実施例
においても良好な結果を得た。このことは、本発明があ
らゆるアルカリ亜鉛二次電池に適用できることを示唆す
るものである。
【0077】つまり、本発明は負極の電解液との界面
(固液界面)の現象に関して負極活物質を効率良く反応
面近傍に保持するものであり、対極(正極)の材料を選
ばないのである。つまり前述のごとく負極活物質として
少なくとも、亜鉛及びその化合物を含んでいれば、確実
に本発明の効果を発揮するのである。 (実施例10)図8に本発明の第10の実施例のアルカ
リ亜鉛二次電池を示した。この電池は、亜鉛及び亜鉛化
合物である負極活物質141、負極集電体142、ホウ
ケイ酸ガラス多孔性層143、アルカリ電解液を含浸し
た絶縁セパレータ144、ニッケル化合物である正極活
物質145、正極集電体146、電槽147、蓋14
8、電極取り出し端子149から構成される。次にこの
電池の作製方法の概略を記す。
【0078】1.負極活物質141である亜鉛及び酸化
亜鉛粉末とフッ素樹脂ディスパージョンが混合比70:
25:5からなる混合物を十分に混練した後、圧延ロー
ルでシート状に成形し負極集電体142である銅メッシ
ュに圧着し厚み0.3mmの負極活物質層を4枚作製し
た。
【0079】2.炭酸カルシウム、ホウ酸、二酸化ケイ
素を主原料として厚み0.4mmのホウケイ酸系ガラス
(Na2 O−B2 3 −SiO2 系ガラス)を作製した
後、500℃で熱処理し、Na2 O−B2 3 系に富む
相とSiO2 系に富む相の二相に分相した後、塩酸で処
理しNa2 O−B2 3 系のみ溶出させて、多孔性ガラ
スからなる多孔性層143を4枚作製した。またこの時
の細孔径はSEM観察により比表面積はBET法により
それぞれ0.3μm、300m2 /gと確認された。
【0080】3.正極活物質145である水酸化ニッケ
ル粉末を正極集電体146である発泡ニッケル中に充填
し十分乾燥した後に、加圧成形し正極を作製した。
【0081】4.電槽147であるABS樹脂容器中に
正負両極をポリプロピレン微孔膜(商品名:ジュラガー
ド)を絶縁性セパレータ(44)として図4の如く正極
に対向する面に多孔質ガラス層が存在するよう装着し
た。尚、この時多孔質ガラス層と他部材(負極活物質
層、絶縁セパレータ)を極力密着良くするために、厚み
1μm程度のカルボキシメチルセルロースを層間に介在
させた。
【0082】5.濃度〜30%の水酸化カリウム電解液
をセパレータに十分含浸させた。この後、蓋148をし
てセルを作製した。尚、アルカリ電解液中にはテルル酸
ナトリウムをテルル含量で20mg/lとなるように予
め添加しておいた。
【0083】またこの時の理論容量は正極負極それぞれ
200mAh、400mAhとした。以上の方法で作製
した二次電池を1/4Cで5時間充電し、1/4Cで電
池電圧が1.0Vに達するまで放電するサイクル試験を
行った。電池容量が50%以下になった時点で電池寿命
とした。この結果を図9に示した。
【0084】図9から明かなように本発明のニッケル−
亜鉛二次電池は400回以上のサイクル寿命を有してい
る。ただし、実施例7に比べてセルの内部抵抗が若干高
かった。これは密着性向上のために用いたカルボキシメ
チルセルロースの影響と考えられる。 (実施例11)VIB族イオンとしてチオ硫酸ナトリウ
ムを用い実施例7と同様の検討を行った。実施例11の
アルカリ亜鉛二次電池の作製方法の概要を以下に記す。
【0085】1.負極活物質である亜鉛及び酸化亜鉛粉
末とフッ素樹脂ディスパージョンとチオ硫酸ナトリウム
が混合比68:25:5:2からなる混合物を十分に混
練した後、圧延ロールでシート状に成形し負極集電体で
ある銅のエキスパンドメタルに圧着し厚み0.5mmの
負極活物質層を2枚作製した。
【0086】2.250メッシュを通過する酸化チタン
粉末とフッ素樹脂ディスパージョンと導電補助剤である
カーボン粉末(商品名:ケッチェンブラック)との混合
比75:20:5からなる混合物を十分に混練した後、
圧延ロールでシート状に形成し厚み0.3mmの多孔性
酸化チタン層を2枚作製した。またこの時の細孔径はS
EM観察により比表面積はBET法によりそれぞれ0.
7μm、150m2 /gと確認された。
【0087】3.1で作製した負極活物質層の片面にそ
れぞれ2で作製した多孔性酸化チタン層を圧延ロールに
より圧着した後、更に3枚を圧延ロールにより負極活物
質層、多孔性酸化チタン層が交互になるように圧着し
た。
【0088】4.正極活物質である水酸化ニッケル粉末
を正極集電体である発泡ニッケル中に充填し十分乾燥し
た後に、加圧成形し正極を作製した。
【0089】5.電槽であるABS樹脂容器中に正負両
極をポリプロピレン微孔膜(商品名:ジュラガード)を
絶縁性セパレータとして正極に対向する面に多孔質チタ
ン層が存在するよう装着した。
【0090】6.濃度〜30%の水酸化カリウム電解液
をセパレータに十分含浸させた。この後蓋をしてセルを
作製した。
【0091】この実施例11は、実施例1よりは若干劣
るもののやはり同様の効果があった。これは、硫黄は亜
鉛電析形態制御がテルル程強くないが効果があることを
示唆している。 (実施例12)実施例11のチオ硫酸ナトリウムの1/
3のモル数をテルル酸ナトリウムに置換した以外は実施
例11と同様の検討を行った結果、更に効果があった。
これは、テルルの共析作用が極めて強いことを示唆して
いる。 (実施例13)多孔性層として以下を用いた以外は実施
例10と同様の検討を行った。即ち、多孔性層はフッ素
ディスパージョンを結着剤とし、また平均粒径1μmの
アルミナを加圧成形し焼成凝結して多孔性層を形成し
た。この時の細孔径はSEM観察により比表面積はBE
T法によりそれぞれ0.7μm、150m2 /gと確認
された。
【0092】本実施例においても良好なサイクル特性を
示し、本発明は種々の多孔性層が使用可能なことが判明
した。
【0093】
【発明の効果】
(発明の効果1)以上の通り、負極活物質として少なく
とも亜鉛及びその化合物を集電体に保持した負極と、負
極と正極間とのにアルカリ電解液を有する第1および第
2の保液層に挟まれた隔離部材とを有するアルカリ亜鉛
二次電池において、正極、第1の保液層、隔離部材、第
2の保液層、負極が順次配置され且つ隔離部材として少
なくとも第4級アンモニウム基を有する高分子を含有す
る構成とすることにより、以下の効果が得られる。 1. 充電時に成長する亜鉛デンドライトが、隔離部材
極近傍でインヒビターである第4級アンモニウム基によ
り、電流集中部への析出が抑制されるため更なる対極方
向への成長速度が著しく遅くなる。またこれは、負極表
面積が初期と比較して飛躍的に増大しているため、負極
反応面積の減少という悪影響もなく作用する。従って、
何の弊害もなく対極方向への亜鉛デンドライトの成長速
度を著しく減少出来る。 2. 第4級アンモニウム基を有する高分子そのものを
隔離部材とすることも可能であるため、機械的強度増大
・作用点密度の増大を図れる。
【0094】つまり、本発明は充電時に成長する亜鉛デ
ンドライトの正極方向への成長速度を隔離部材極近傍で
著しく減少させることにより、負極反応面積の減少を招
くことなく、対極方向へのデンドライトの更なる成長を
抑制しアルカリ亜鉛二次電池の長寿命化及び急速充放電
を可能とするものである。 (発明の効果2)また負極活物質として少なくとも亜鉛
及びその化合物を集電体に保持した負極と、負極と正極
との間に少なくとも絶縁性セパレータ及びアルカリ電解
液を有するアルカリ亜鉛二次電池において、負極に少な
くとも2層以上の多孔性層を配置し且つセル内に酸素以
外のVIB族イオンを含有する構成とすることにより、
以下の効果がある。
【0095】1.放電時に溶解した亜鉛酸イオンを吸着
固定する多孔性層の効果、並びにその亜鉛酸イオンが充
電時に析出する際に結晶核となり放射状結晶成長により
亜鉛を平滑電析せしめる酸素以外のVIB族イオンとの
相乗効果により、析出する亜鉛の形態が制御でき、この
ため亜鉛デンドライトが発生せず長寿命化が図れる。
【0096】2.多孔性層を複数層とし負極内部にも多
孔性層を有しているため、深い充放電に際しても浅い充
放電同様の作用を及ぼすことができる。
【0097】3.多孔性層が負極中に存在しておりこれ
がある種の構造剤としても作用するため、充放電サイク
ルに伴う負極構成部材の脱落を防止できる。
【0098】つまり、本発明は充電時に溶解した亜鉛酸
イオンを反応面近傍に吸着固定し且つ充電に析出する形
態を制御することにより、サイクル寿命が長く且つ深い
充放電特性に優れるアルカリ亜鉛二次電池を提供するこ
とを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルカリ亜鉛二次電池のセルを示す断
面図である。
【図2】本発明のアルカリ亜鉛二次電池の実施例を示す
断面図である。
【図3】本発明の実施例のアルカリ亜鉛二次電池のサイ
クル試験結果を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例のアルカリ亜鉛二次電池ののサ
イクル試験結果を示すグラフである。
【図5】本発明の別のアルカリ亜鉛二次電池のセルを示
す断面図である。
【図6】本発明のアルカリ亜鉛二次電池の他の実施例を
示す断面図である。
【図7】本発明の実施例のアルカリ亜鉛二次電池のサイ
クル試験結果を示すグラフである。
【図8】本発明のアルカリ亜鉛二次電池の別の実施例を
示す断面図である。
【図9】本発明の実施例のアルカリ亜鉛二次電池のサイ
クル試験結果を示すグラフである。
【図10】従来のアルカリ亜鉛二次電池の断面図であ
る。
【符号の説明】 11、21 亜鉛及び亜鉛化合物である負極活物質、 12、22 負極集電体、 13、23 第1の保液層、 14、24 第2の保液層、 15、25 隔離部材、 16、26 ニッケル化合物である正極活物質、 17、27 正極集電体、 18、28 電槽、 19、29 蓋、 111 亜鉛及び亜鉛化合物である負極活物質、 112 負極集電体、 113 多孔性層、 114 アルカリ電解液を含浸した絶縁性セパレー
タ、 115 ニッケル化合物等の正極活物質、 116 正極集電体、 117 電槽、 118 蓋、 119 電極取り出し端子、 123 多孔性酸化マグネシウム層、 143 ホウケイ酸ガラス多孔性層、 161 亜鉛極(負極)、 162 酸化マグネシウム多孔層、 163 セパレータ、 164 保液層、 165 対極(正極)。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負極活物質として少なくとも亜鉛及びそ
    の化合物を集電体に保持した負極と、前記負極と正極と
    の間にアルカリ電解液を有する第1および第2の保液層
    に挟まれた隔離部材とを有するアルカリ亜鉛二次電池に
    おいて、前記正極、前記第1の保液層、前記隔離部材、
    前記第2の保液層、前記負極が順次配置され且つ前記隔
    離部材が少なくとも第4級アンモニウム基を有する高分
    子を含むことを特徴とするアルカリ亜鉛二次電池。
  2. 【請求項2】 前記第4級アンモニウム基が前記隔離部
    材を構成する高分子中に含まれることを特徴とする請求
    項1のアルカリ亜鉛二次電池。
  3. 【請求項3】 前記高分子が前記第2の保液層の少なく
    とも前記正極側表面を被覆していることを特徴とする請
    求項2のアルカリ亜鉛二次電池。
  4. 【請求項4】 前記高分子が前記第1の保液層の少なく
    とも前記負極側表面を被覆していることを特徴とする請
    求項2のアルカリ亜鉛二次電池。
  5. 【請求項5】 負極活物質として少なくとも亜鉛及びそ
    の化合物を集電体に保持した負極と、前記負極と正極と
    の間に少なくとも絶縁性セパレータとアルカリ電解液を
    有するアルカリ亜鉛二次電池において、前記負極に少な
    くとも2層以上の多孔性層が配置され且つセル内に少な
    くとも酸素以外のVIB族イオンを含有することを特徴
    とするアルカリ亜鉛二次電池。
  6. 【請求項6】 前記VIB族イオンに少なくともテルル
    イオンを含むことを特徴とする請求項5のアルカリ亜鉛
    二次電池。
  7. 【請求項7】 前記多孔性層の厚みが200μm以下で
    あることを特徴とする請求項5または6のアルカリ亜鉛
    二次電池。
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