JP2016044111A - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外周にリング状凸部を有する柱状のハニカム構造セラミックブロックの外周面に上記セラミックブロックの外周面に摺接可能な環状のスクレーパー1を用いてシール材ペーストを上記セラミックブロックの外周面全体に押し広げて外周シール材層を形成するハニカム構造体の製造方法であって、スクレーパー1は、前記セラミックブロックの外周面に摺接可能な部材として、環状の上段弾性部材10と、環状の下段弾性部材20を備えており、上段弾性部材10の内径は、下段弾性部材20の内径よりも大きく、スクレーパー1を上から下に移動させて、上段弾性部材10でシール材ペーストの厚みを所望する厚さに整えるハニカム構造体製造方法。
【選択図】図4
Description
そこで、排気ガス中のPMを捕集して、排気ガスを浄化するフィルタとして多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いたものが種々提案されている。
外周シール材層は、ハニカム構造体を内燃機関の排気通路に設置した際、ハニカム構造体の形状を整えたり、ハニカム構造体の外周部から排気ガスが漏れ出すことを防止したり、ハニカム構造体の断熱性を高めたりする目的で設けられる。
そして、リング状凸部の形状が規格寸法を満たさない場合、金属容器にDPFを配置する際にDPFの破損に繋がるという問題があった。
柱状のセラミックブロックの外周面にペースト状のシール材ペーストを付着させ、
上記セラミックブロックの外周面に摺接可能な環状のスクレーパーを用いて上記シール材ペーストを上記セラミックブロックの外周面全体に押し広げて外周シール材層を形成するハニカム構造体の製造方法であって、
上記セラミックブロックは、外周にリング状凸部を有しており、
上記セラミックブロックはハニカム構造であって、外周面に露出した貫通孔が存在し、
上記スクレーパーは、上記セラミックブロックの外周面に摺接可能な部材として、環状の上段弾性部材と、環状の下段弾性部材を備えており、
上記上段弾性部材の内径は、上記下段弾性部材の内径よりも大きく、
シール材ペーストが付着された上記セラミックブロックに対し、上記スクレーパーを上から下に移動させて、上記下段弾性部材で露出した貫通孔にシール材ペーストを充填させた後、上記上段弾性部材でシール材ペーストの厚みを所望する厚さに整えることを特徴とする。
シール材ペーストが付着されたセラミックブロックに対し、スクレーパーを上から下に移動させると、まず下段弾性部材で露出した貫通孔にシール材ペーストを充填させると同時に余剰のシール材ペーストを掻き取る。この段階ではリング状凸部の麓付近にシール材ペーストの吹き溜まりが発生するが、さらに上段弾性部材でこの吹き溜まりを掻き取って除去し、シール材ペーストの厚みが所望する厚さになるように整えることができるので、吹き溜まりに起因してリング状凸部の寸法が崩れることが防止される。その結果、リング状凸部の形状の規格寸法を満足するように外周シール材層を形成してハニカム構造体を製造することができる。
シール材ペーストが付着された上記セラミックブロックに対し、上記スクレーパーを下から上に移動させることが望ましい。
また、上記面取り加工はC面取り加工であることが望ましく、R面取り加工であることも望ましい。
上段弾性部材の下面先端に面取り加工を施すと、上段弾性部材を上から下に移動させてシール材ペーストを掻き取る際に、セラミックブロックの外周面と上段弾性部材の下面が形成する入射角が小さくなるのでシール材ペーストを掻き取りすぎることが防止され、シール材層の厚さが薄くなり過ぎることを防止することができる。
上段弾性部材の厚さが3.5mm未満と薄すぎると、リング状凸部の形状に追随して曲がりすぎて吹き溜まりを掻き取りにくいことがある。また、上段弾性部材の厚さが5.0mmを超えて厚いと上段弾性部材が曲がりにくいため、リング状凸部の形状に追随しきれずに上段弾性部材がリング状凸部に引っかかり、シール材層の厚さが不均一になることが懸念される。
上段弾性部材の内径とセラミックブロックの外径が上記の関係であると、リング状凸部の麓付近に生じる吹き溜まりをより好適に掻き取ることができる。
下段弾性部材の厚さが上記範囲であると、弾性部材が適度に曲がるため、シール材層の厚さを好ましい範囲に制御することができる。
下段弾性部材の内径とセラミックブロックの外径が上記の関係であると、シール材層の厚さを好ましい範囲に制御することができる。
上段弾性部材及び下段弾性部材が上記のような材質の部材であると、上段弾性部材及び下段弾性部材が適度に曲がることができるため、所定の厚さのシール材層を形成しやすくなる。
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
柱状のセラミックブロックの外周面にペースト状のシール材ペーストを付着させ、
上記セラミックブロックの外周面に摺接可能な環状のスクレーパーを用いて上記シール材ペーストを上記セラミックブロックの外周面全体に押し広げて外周シール材層を形成するハニカム構造体の製造方法であって、
上記セラミックブロックは、外周にリング状凸部を有しており、
上記セラミックブロックはハニカム構造であって、外周面に露出した貫通孔が存在し、
上記スクレーパーは、上記セラミックブロックの外周面に摺接可能な部材として、環状の上段弾性部材と、環状の下段弾性部材を備えており、
上記上段弾性部材の内径は、上記下段弾性部材の内径よりも大きく、
シール材ペーストが付着された上記セラミックブロックに対し、上記スクレーパーを上から下に移動させて、上記下段弾性部材で露出した貫通孔にシール材ペーストを充填させた後、上記上段弾性部材でシール材ペーストの厚みを所望する厚さに整えることを特徴とする。
図1(a)は、セラミックブロックの一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)に示すセラミックブロックの側面図である。
図1(a)に示すセラミックブロック103は、ハニカム焼成体110が16個結束されてなる角柱状のハニカム集合体を作製し、ハニカム集合体の外周面を研削加工して円柱状にすることにより作製されている。研削加工された面にはハニカム焼成体110の貫通孔111が露出している。
セラミックブロックの外周面は、研削加工によって貫通孔が露出しているため実際は凸凹を有しているが、本明細書におけるセラミックブロックの外周面は、得られたセラミックブロックの形状を、平滑な側面を有する立体とみなしたときの面として定義する。
図1(a)に示すセラミックブロック103では、セラミックブロック103を円柱とみなしたときの円柱の側面をセラミックブロックの外周面104と定める。また、後述するリング状凸部の上部テーパー面、下部テーパー面、中央研削面もセラミックブロックの外周面に含まれる。
リング状凸部105は、セラミックブロック103を円柱とみなした場合の外周を取り囲むと共にセラミックブロック103の外側に向かって鍔状に突出し、上部テーパー面106、下部テーパー面107及び中央面108(それぞれ図1(b)参照)を有する。
リング状凸部は、角柱状のハニカム集合体の外周面を円柱状にする研削加工の際に、この部分だけがリング状凸部の形状に残るように研削加工を行うことによって形成される。
研削加工の方法としては、例えば特許文献2に記載された方法を使用することができる。
また、リング状凸部の形状としては、その高さが4〜8mm、幅が17〜24mmであるものが挙げられる。
リング状凸部の高さ、幅は図1(b)に両矢印X1、Y1でそれぞれ示される寸法である。
なお、セラミックブロックの形状及び寸法、並びに、リング状凸部の形状及び寸法は、ハニカム構造体とした後に設置する車両等の大きさにより任意に設定することができるため、これらの例示に限定されるものではない。
セラミックブロックのリング状凸部を除いた部分の形状としては、円柱の他に底面形状が楕円、レーストラック形状等である柱状の例が挙げられる。
図2(a)は、ハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は図2(a)に示すハニカム構造体の側面図である。
図2(a)に示すハニカム構造体100では、多孔質炭化ケイ素からなる、図3(a)及び図3(b)に示すような形状のハニカム焼成体110が接着剤層101を介して複数個結束されてセラミックブロック103を構成し、さらに、このセラミックブロック103の外周面104に外周シール材層102が形成されている。
外周シール材層の厚さは、リング状凸部における外周シール材層の厚さではなく、リング状凸部以外の部分における外周シール材層の厚さを意味する。
図2(a)に示すハニカム構造体100の外周面は、セラミックブロック103の外周面104に露出した貫通孔が外周シール材層によって埋められた平滑な面となっている。
また、リング状凸部105においても、外周面に露出した貫通孔が外周シール材層によって埋められた平滑な面となっている。
また、リング状凸部の形状としては、その高さが4.4〜8.7mm、幅が17〜24mmであるものが挙げられる。
また、リング状凸部が立ち上がる角度が25〜45°であるものが挙げられる。
リング状凸部の高さ、幅は図2(b)に両矢印X2、Y2でそれぞれ示される寸法である。
リング状凸部が立ち上がる角度は図2(b)にθ1、θ2で表される部分の角度である。
なお、ハニカム構造体の形状及び寸法、並びに、リング状凸部の形状及び寸法は、ハニカム構造体を設置する車両等の大きさにより任意に設定することができるため、これらの例示に限定されるものではない。
ハニカム構造体のリング状凸部を除いた部分の形状としては、円柱の他に底面形状が楕円、レーストラック形状等である柱状の例が挙げられる。
ハニカム構造体がリング状凸部を有していると、ハニカム構造体を保持シール材を介してケーシング内に収納させた場合に、リング状凸部が保持シール材に引っ掛かるため、ハニカム構造体がケーシング内で移動することを規制できる。
図3(a)及ぶ図3(b)に示すハニカム焼成体110には、多数の貫通孔111がセル壁113を隔てて長手方向(図3(a)中、bの方向)に並設されており、貫通孔111のいずれかの端部が封止材112で封止されたセルを形成している。従って、一方の端面が開口したセル(貫通孔111)に流入した排ガスGは、必ずセル(貫通孔111)を隔てるセル壁113を通過した後、他方の端面が開口した他のセル(貫通孔111)から流出するようになっている。
従って、セル壁113がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
図4は、本発明のハニカム構造体の製造方法で使用するスクレーパーの一例を模式的に示す斜視図であり、図5は、図4に示すスクレーパーのA−A線断面図である。
図4に示すスクレーパー1は、上段弾性部材10と下段弾性部材20とを備えた環状のスクレーパーである。
上段弾性部材10及び下段弾性部材20は、それぞれ環状であって、弾性のある材料からなり、具体的にはゴム系の材料であって、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ポリイソブチレンエラストマー又はポリエチレンエラストマーであることが望ましい。
また、下段弾性部材20も、下段弾性部材20よりも大きな内径を有する下段挟持用部材21a、21bにより挟持された構造からなる。
上段挟持用部材及び下段挟持用部材は、上段弾性部材及び下段弾性部材より硬い材料からなることが望ましく、例えば金属、硬質のプラスチック、木材等が挙げられる。
以下、この2つの弾性部材について詳細に説明する。
まず、上段弾性部材の内径は下段弾性部材の内径よりも大きくなっている。
そして、上段弾性部材及び下段弾性部材はそれぞれセラミックブロックの外周面に摺接可能であるので、上段弾性部材と下段弾性部材の内径はそれぞれセラミックブロックの外径よりも小さくなっているといえる。
なお、セラミックブロックの外径は、リング状凸部以外の部分の外径である。
上段弾性部材の内径及び下段弾性部材の内径とセラミックブロックの外径との望ましい関係の例として、上段弾性部材の内径は、セラミックブロックの外径よりも、0.2〜2.0mm小さいことが望ましく、下段弾性部材の内径は、セラミックブロックの外径よりも、6.0〜14.0mm小さいことが望ましい。
弾性部材がセラミックブロックの外周面とどれだけ重なるかを「被り代」ともいうが、この被り代は、上述した弾性部材の内径とセラミックブロックの外径の差の半分となるので、セラミックブロックに対する上段弾性部材の被り代は、0.1〜1.0mmであることが望ましく、下段弾性部材の被り代は、3.0〜7.0mmであることが望ましい。
ただし、上段弾性部材及び下段弾性部材の内側の形状は円に限定されるわけではなく、セラミックブロックの外周形状に従って、被り代がほとんどの部分で一定の値となるように設計した略相似形とすることができる。
この場合、上段弾性部材及び下段弾性部材の「内径」の値自体は一定値ではないが、設計した被り代の2倍だけ、セラミックブロックの外径よりも小さくなる。そのうえで、上段弾性部材及び下段弾性部材の内側の形状が円の場合と同様に、上段弾性部材の内径は、セラミックブロックの外径よりも、0.2〜2.0mm小さいことが望ましく、下段弾性部材の内径は、セラミックブロックの外径よりも、6.0〜14.0mm小さいことが望ましい。
下段弾性部材の方が被り代が大きく曲がり量が大きくなるので、曲がり易いように望ましい弾性部材の厚さが薄くなる。
上段弾性部材の下面先端には、面取り加工がされていることが望ましい。
面取り加工はC面取り加工であっても、R面取り加工であってもよい。
図6(a)は上段弾性部材10の下面12の先端にC面取り12aがされた例を示している。
面取り加工がC面取り加工である場合、面取りの寸法(面取り角度45°)はC1mm〜C4mmであることが望ましい。
図6(b)は上段弾性部材10の下面12の先端にR面取り12bがされた例を示している。
面取り加工がR面取り加工である場合、面取りの寸法はR1mm〜R3mmであることが望ましい。
上段弾性部材の下面先端に面取り加工がされている場合の面取り加工の作用効果については、後述する。
(1)シール材ペーストの付着
柱状のセラミックブロックの外周面にペースト状のシール材ペーストを付着させる。
シール材ペーストを付着させる方法は特に限定されるものではないが、刷毛、ヘラ等を用いてシール材ペーストをセラミックブロックの外周面全体に付着させる。
この段階では付着させたシール材ペーストの厚さのばらつきがあってもよい。
シール材ペーストを付着させる量は、形成予定の外周シール材層の厚さを考慮して、シール材ペーストが不足しない程度の量に定めればよい。
シール材ペーストを構成する材料としては特に限定されるものではないが、例えば、無機バインダ、有機バインダ、無機繊維、無機粒子又はこれらの組み合わせからなるもの等を挙げることができる。
上述したスクレーパーを用いてシール材ペーストをセラミックブロックの外周面全体に押し広げて外周シール材層を形成する。
図7(a)、図7(b)及び図7(c)は、外周シール材層の形成工程を模式的に示す側面図である。
スクレーパーは、上段弾性部材10が上、下段弾性部材20が下になるように、セラミックブロックの上方に配置し、上から下に移動させる。すると、下段弾性部材10が最初にシール材ペースト2に接触する。
図7(a)は、リング状凸部の上方でスクレーパーを上から下に移動させる様子を模式的に示した側面図である。
図7(a)に示すように下段弾性部材20が最初にシール材ペースト2に接触し、露出した貫通孔にシール材ペーストを充填させると共に余剰のシール材ペーストを掻き取る。シール材ペーストの付着量は、貫通孔を充填させるために充分な過剰量としておくことが望ましい。
下段弾性部材は弾性を有する部材であるので曲がりながら移動することが可能であり、下段弾性部材の内径は上段弾性部材の内径よりも小さいため、被り代が大きく、下段弾性部材の曲がり量は上段弾性部材の曲がり量に比べて大きい。
このように下段弾性部材が曲がりながら移動すると、シール材ペーストを押し込む力が強いので、露出した貫通孔にシール材ペーストを充填させることができる。そして、下段弾性部材が通過した後には上段弾性部材によってシール材ペーストの厚みが整えられ、所望する厚さの外周シール材層が形成される。
スクレーパー1がさらに下方に移動してリング状凸部105にさしかかると、下段弾性部材20が図7(b)に示すように大きく曲がりながらシール材ペースト2を掻き取っていく。
この際、リング状凸部105の麓付近(図7(b)において記号“P”で示す部分)にシール材ペーストの吹き溜まりが生じる。
スクレーパー1がさらに下方に移動すると、上段弾性部材10がリング状凸部105に到達する。
上段弾性部材の内径は下段弾性部材の内径よりは大きいため、リング状凸部の麓付近に吹き溜まりとして残ったシール材ペーストを掻き取ることができ、リング状凸部におけるシール材ペーストの厚みを所望する厚さに整えることができる。
この結果、吹き溜まりに起因してリング状凸部の寸法が崩れることが防止される。
これらの工程により、シール材ペーストの厚さ(所望する厚さ)が0.05〜0.3mmとなるようにシール材ペーストの厚さを整えることが望ましい。
なお、シール材ペーストの厚さは、リング状凸部におけるシール材ペーストの厚さではなく、リング状凸部以外の部分におけるシール材ペーストの厚さを意味する。
図8(a)は、上段弾性部材の下面にC面取りがされた上段弾性部材を用いてシール材ペーストを掻き取る工程を模式的に示す側面図であり、図8(b)は、上段弾性部材の下面に面取りがされていない上段弾性部材を用いてシール材ペーストを掻き取る工程を模式的に示す側面図である。
図8(a)と図8(b)を比較すると、上段弾性部材10が曲がってシール材ペーストを掻き取る際に、セラミックブロックの外周面と上段弾性部材の下面が形成する角度(入射角ともいい、図中φ1又はφ2で表す角度)が異なることがわかる。
図8(a)に示すように上段弾性部材10の下面12に面取り加工(C面取り12a)が施されていると、シール材ペーストを掻き取りすぎることが防止され、シール材層の厚さが薄くなり過ぎることを防止することができる。
この場合、はじめに、シール材ペーストをセラミックブロックの外周面全体に付着させる。
次に、スクレーパーを下から上に移動させる。この際、上段弾性部材が最初にシール材ペーストに接触し、続いて下段弾性部材がシール材ペーストに接触する。
そして、上段弾性部材及び下段弾性部材が下から上に移動することにより、セラミックブロックの外周に露出した貫通孔にシール材ペーストが充填される。ただし、貫通孔へのシール材ペーストの充填は完全に行われていなくてもよい。後にスクレーパーを上から下に移動させる際に再度貫通孔へのシール材ペーストの充填が行われるからである。
また、余剰のシール材ペーストは掻き取られるが、この段階で出来上がるハニカム構造体は、リング状凸部の麓付近に吹き溜まりのある製品である。
この工程は上述した「(1)シール材ペーストの付着」及び「(2)外周シール材層の形成」と同じ工程とすることができるため、これらの工程の詳細な説明は省略する。
乾燥工程においては、シール材ペーストが外周面に塗布されたセラミックブロックを、乾燥炉内で炉内温度110〜130℃で9〜11分間乾燥させることが望ましい。
なお、セラミックブロックの材料となるセラミック粉末として炭化ケイ素を用いる場合を例にして説明する。
具体的には、まず、セラミック粉末として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと、液状の可塑剤と、潤滑剤と、水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形することにより所定の形状のハニカム成形体を作製する。
この際、図3(a)及び図3(b)に示すセル構造(貫通孔の形状及び貫通孔の配置)を有する断面形状が作製されるような金型を用いてハニカム成形体を作製する。
ここで、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物を用いることができる。
なお、貫通孔の端部に充填された封止材ペーストは、加熱により焼成され、封止材となる。
また、切断工程、乾燥工程、封止工程、脱脂工程及び焼成工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
接着材ペーストの加熱固化の条件は、従来からハニカム構造体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
具体的には、ダイヤモンドカッターを用いてハニカム集合体の外周面を切削することにより、外周が略円柱状等の所定形状に加工されたセラミックブロックを作製する。
この研削加工において、同時にリング状凸部を形成する。
セラミックブロックの外周面には、研削加工によって切断されたセルが露出することになる。
研削加工の方法としては、例えば特許文献2に記載された方法を使用することができる。
(1)本発明では、シール材ペーストを掻き取る部材である弾性部材が上段、下段の2段に設けられたスクレーパーを用いて外周シール材層を形成する。
シール材ペーストが付着されたセラミックブロックに対し、スクレーパーを上から下に移動させると、まず下段弾性部材で露出した貫通孔にシール材ペーストを充填させると同時に余剰のシール材ペーストを掻き取る。この段階ではリング状凸部の麓付近にシール材ペーストの吹き溜まりが発生するが、さらに上段弾性部材でこの吹き溜まりを掻き取って除去し、シール材ペーストの厚みを所望する厚さに整えることができるので、吹き溜まりに起因してリング状凸部の寸法が崩れることが防止される。その結果、リング状凸部の形状の規格寸法を満足するように外周シール材層を形成してハニカム構造体を製造することができる。
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(セラミックブロックの作製)
まず、平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末54.6重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末23.4重量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)4.3重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.6重量%、グリセリン1.2重量%、及び、水13.9重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する成形工程を行った。
本工程では、図3(a)に示したハニカム焼成体110と同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体を作製した。
これにより、四角柱のハニカム焼成体を作製した。
なお、接着材ペーストとしては、平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む接着材ペーストを使用した。
スクレーパーとして、図4に示す構成のスクレーパーであって以下の寸法のものを準備した。
上段弾性部材の内径が142.4mm(被り代0.5mm)、厚さ4.0mm、下面先端にC面取り(面取り寸法C1.5mm)。
下段弾性部材の内径が133.4mm(被り代5.0mm)、厚さ1.25mm。
上段弾性部材と下段弾性部材の材質はウレタンゴムである。
シール材ペーストとして、接着材ペーストと同じペーストを準備した。
このシール材ペーストを、セラミックブロックの外周面にヘラを用いて付着させた。
本実施例では、はじめにスクレーパーを上段弾性部材が上、下段弾性部材が下になるようにしてセラミックブロックの下に配置した。そして、スクレーパーを下から上に移動させて1回目のスクレーピング工程を行った。
その後、スクレーパーの位置をセラミックブロックの上方に位置させたまま、再度シール材ペーストをセラミックブロックの外周面に付着させて、スクレーパーを上から下に移動させて2回目のスクレーピング工程を行った。
このようにして、シール材ペーストをセラミックブロックの外周面全体に押し広げた。
その後、乾燥炉内で120℃、10分乾燥してシール材ペーストを固化させた。
上記工程によって、外周シール材層を有するハニカム構造体を製造した。
なお、吹き溜まり部分の厚さは、吹き溜まり部分を目視で観察して最も盛り上がっている部分のシール材層の厚さとして測った。
また、リング状凸部の高さは6.04mm、リング状凸部の幅が20.03mm、リング状凸部が立ち上がる角度は35.2°及び34.5°であった。これらの寸法は全てリング状凸部の形状の規格寸法を満足していた。
また、出来上がったハニカム構造体の寸法は、リング状凸部以外の部分の円柱の外径が143.56mmであり、長手方向の長さが127mmであった。
実施例1において使用するスクレーパーを、上段弾性部材の下面先端に面取りが設けられていないものに変更した他は実施例1と同様にして、外周シール材層を有するハニカム構造体を製造した。
出来上がったハニカム構造体の外周シール材層の厚さは0.06mmであり、リング状凸部の吹き溜まり部分の厚さは0.3mmであった。
実施例1において使用するスクレーパーを、上段弾性部材の厚さが5.0mmのものに変更した他は実施例1と同様にして、外周シール材層を有するハニカム構造体を製造した。
出来上がったハニカム構造体の外周シール材層の厚さは0.06mmであり、リング状凸部の吹き溜まり部分の厚さは0.25mmであった。
実施例1において使用するスクレーパーを、上段弾性部材の下面先端に面取りが設けられておらず、上段弾性部材の厚さが5.0mmのものに変更した他は実施例1と同様にして、外周シール材層を有するハニカム構造体を製造した。
出来上がったハニカム構造体の外周シール材層の厚さは0.05mmであり、リング状凸部の吹き溜まり部分の厚さは0.10mmであった。
スクレーパーとして、実施例1で使用したスクレーパーの下段弾性部材のみを有し、上段弾性部材を有さないスクレーパーを準備して使用した他は実施例1と同様にして、外周シール材層を有するハニカム構造体を製造した。
出来上がったハニカム構造体の外周シール材層の厚さは0.2mmであり、リング状凸部の吹き溜まり部分の厚さは2.4mmであった。このハニカム構造体は吹き溜まり部分の厚さが厚く、リング状凸部の形状の規格寸法を満たしていなかった。
また、上段弾性部材に面取りがある場合とない場合につき、実施例1と2、実施例3と4を比べると、上段弾性部材に面取りがある実施例1、3のほうがシール材層の厚さが厚くなっており、面取りを設けることによって塗布厚みを確保し、シール材層が薄くなり過ぎることを防止できることがわかる。
2 シール材ペースト
10 上段弾性部材
12 上段弾性部材の下面
12a C面取り
12b R面取り
20 下段弾性部材
100 ハニカム構造体
101 接着剤層
102 外周シール材層
103 セラミックブロック
104 セラミックブロックの外周面
105 リング状凸部
111 貫通孔
Claims (11)
- 柱状のセラミックブロックの外周面にペースト状のシール材ペーストを付着させ、
前記セラミックブロックの外周面に摺接可能な環状のスクレーパーを用いて前記シール材ペーストを前記セラミックブロックの外周面全体に押し広げて外周シール材層を形成するハニカム構造体の製造方法であって、
前記セラミックブロックは、外周にリング状凸部を有しており、
前記セラミックブロックはハニカム構造であって、外周面に露出した貫通孔が存在し、
前記スクレーパーは、前記セラミックブロックの外周面に摺接可能な部材として、環状の上段弾性部材と、環状の下段弾性部材を備えており、
前記上段弾性部材の内径は、前記下段弾性部材の内径よりも大きく、
シール材ペーストが付着された前記セラミックブロックに対し、前記スクレーパーを上から下に移動させて、前記下段弾性部材で露出した貫通孔にシール材ペーストを充填させた後、前記上段弾性部材でシール材ペーストの厚みを所望する厚さに整えることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。 - 前記スクレーパーを上から下に移動させる前に、
シール材ペーストが付着された前記セラミックブロックに対し、前記スクレーパーを下から上に移動させる請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。 - 前記シール材ペーストの前記所望する厚さは0.05〜0.3mmである請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記上段弾性部材の下面先端には面取り加工がされている請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記面取り加工はC面取り加工である請求項4に記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記面取り加工はR面取り加工である請求項4に記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記上段弾性部材の厚さは3.5〜5.0mmである請求項1〜6のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記上段弾性部材の内径は、前記セラミックブロックの外径よりも、0.2〜2.0mm小さい請求項1〜7のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記下段弾性部材の厚さは0.75〜1.75mmである請求項1〜8のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記下段弾性部材の内径は、前記セラミックブロックの外径よりも、6.0〜14.0mm小さい請求項1〜9のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
- 前記上段弾性部材及び前記下段弾性部材の材質は、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ポリイソブチレンエラストマー又はポリエチレンエラストマーである請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
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