JP5188437B2 - ハニカム構造体 - Google Patents

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本発明は、ハニカム構造体に関する。更に詳しくは、捕集した粒子状物質を燃焼除去する操作(再生)を行った際の過熱による溶損を有効に防止することができるハニカム構造体に関する。
化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルタとして、耐熱性、耐食性に優れるセラミック製のハニカム構造体が採用されている。特に、近時では、ハニカム構造体は、両端面のセル開口部を交互に目封止して目封止ハニカム構造体とし、ディーゼル機関等から排出される粒子状物質(PM:パティキュレートマター)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)として盛んに用いられている。そして、高温、腐食性ガス雰囲気下で使用されるハニカム構造体の材料としては、耐熱性、化学的安定性に優れた、炭化珪素(SiC)、コージェライト、チタン酸アルミニウム(AT)等が好適に用いられている。
炭化珪素は、熱膨張率が比較的大きいため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体は、大きなものを形成すると使用時に熱衝撃により欠陥が生じることがある。また、捕集した粒子状物質を燃焼除去する際の熱衝撃により欠陥が生じることがある。そのため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体については、所定の大きさ以上のものを製造する場合、通常、複数の小さい目封止ハニカム構造体のセグメント(以下、「ハニカムセグメント」ということがある)を作製し、それらセグメントを接合して、一つの大きい接合体を作製し、その外周を粗加工、研削して円筒状等の所望の形状の目封止ハニカム構造体としている(例えば、特許文献1参照)。そして、セグメントの接合は接合材を用いて行い、所定のセグメントの側面(外周面)に接合材を塗布して、複数のセグメントをその側面同士で接合している。それにより、複数のセグメントが接合部を介して接合されたハニカム構造体が得られる。
特開2003−291054号公報
しかしながら、このようなハニカム構造体は、捕集した粒子状物質を燃焼除去する際の過熱により溶損することや、熱衝撃により欠陥を生じてしまうという問題があった。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、捕集した粒子状物質を燃焼除去する操作(再生)を行った際の過熱による溶損を有効に防止することができるハニカム構造体を提供するものである。
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体を提供する。
[1] 流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有し、一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止された第1のセルと、前記一方の端部が目封止され且つ他方の端部が開口された第2のセルとが交互に配設されたハニカムセグメントを複数個備え、複数の前記ハニカムセグメントが、互いの側面同士が対向するように隣接して配置されるとともに、前記対向する側面同士が接合部により接合されてなり、前記複数のハニカムセグメントのうちの少なくとも一のハニカムセグメントは、中心軸方向に直交する断面において、一の方向(Y方向)に沿って配置された前記隔壁の厚さ(Tv)が、前記一の方向に直交する他の方向(X方向)に沿って配置された前記隔壁の厚さ(Th)よりも大であり、前記複数のハニカムセグメントにおいて、隣り合うハニカムセグメントの一方のハニカムセグメントに対して、隣接する他方のハニカムセグメントが中心軸を中心として90度回転した状態で配置されてなるハニカム構造体。
[2] 少なくとも前記一のハニカムセグメントは、前記中心軸方向に直交する断面において前記第1のセルの面積が前記第2のセルの面積より大きく構成されてなる前記[1]に記載のハニカム構造体。
[3] 前記ThとTvとの関係が、「1.05≦Tv/Th≦2.00」である前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
[4] 前記Thが、「0.25mm≦Th≦0.38mm」である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
本発明のハニカム構造体は、ディーゼル機関等から排出される粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタとして用いた場合に、捕集した粒子状物質を燃焼除去する操作(再生)を行った際の過熱による溶損を有効に防止することができる。
本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。 図1における領域Aを拡大して模式的に示す平面図である。 図2におけるハニカム構造体を更に拡大して模式的に示す平面図である。 本発明のハニカム構造体の他の実施形態における、図1の領域Aに対応する部位を拡大して模式的に示す平面図である。 図4におけるハニカム構造体を更に拡大して模式的に示す平面図である。 本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態における、図1の領域Aに対応する部位を拡大して模式的に示す平面図である。 図6におけるハニカム構造体を更に拡大して模式的に示す平面図である。 破壊強度(%)の測定方法を模式的に示す側面図である。 外周最低温度(℃)の測定方法を模式的に示す側面図である。
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
〔1〕ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体の一の実施形態は、図1〜図3に示すように、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセル2を区画形成する隔壁3を有し、一方の端部8が開口され且つ他方の端部9が目封止された第1のセル2aと、一方の端部8が目封止され且つ他方の端部9が開口された第2のセル2bとが交互に配設されたハニカムセグメント10を複数個備え、複数のハニカムセグメント10が、互いの側面同士が対向するように隣接して配置されるとともに、前記対向する側面同士が接合部14により接合されてなり、複数のハニカムセグメント10のうちの少なくとも一のハニカムセグメント10aは、中心軸方向に直交する断面(即ち、セル2の軸方向に垂直な断面)において、一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁3Yの厚さ(Tv)が、上記一の方向に直交する他の方向(X方向)に沿って配置された隔壁3Xの厚さ(Th)よりも大であるハニカム構造体100である。なお、ハニカムセグメント10は、最外周に位置する外壁15によって囲われている。
このように構成することによって、本実施形態のハニカム構造体は、ディーゼル機関等から排出される粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタとして用いた場合に、捕集した粒子状物質を燃焼除去する操作(再生)を行った際の過熱による溶損を有効に防止することができる。即ち、単位容積あたりに処理する粒子状物質の量(換言すれば、単位容積あたりに再生可能な粒子状物質の量)を増加させることができる。また、例えば、フィルタ再生において溶損を生じる温度が高くなるため、フィルタ再生における破損を有効に防止することができる。
また、本実施形態のハニカム構造体は、少なくとも一のハニカムセグメントの特定方向における圧縮強度を向上させることができる。このため、ハニカムセグメントの配置を適宜選択することによって、ハニカム構造体の一の方向と他の方向とで圧縮強度を変化させることができ、例えば、圧縮強度が必要となる方向に対して選択的に強度を付与することが可能となる。
更に、一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁の厚さを厚くすることによって、熱流速の方向を制御することができ、高温になってほしくない部位を任意に設定することができる。例えば、自動車に装着される場合等において、他の部品とのクリアランスが狭い、あるいは特定の方向に燃料配管や電気部品等の高温にしたくないものが近くにある場合に有効である。
ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1における領域Aを拡大して模式的に示す平面図であり、図3は、図2におけるハニカム構造体を更に拡大して模式的に示す平面図である。
なお、一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁3Yの厚さ(Tv)とは、一のハニカムセグメントにおいてY方向と平行に延びる任意の隔壁3Yの厚さを意味し、他の方向(X方向)に沿って配置された隔壁3Xの厚さ(Th)とは、一のハニカムセグメントにおいてX方向と平行に延びる総ての隔壁3Xの平均厚さを意味する。
本実施形態のハニカム構造体においては、上記したThとTvとの関係が、「1.05≦Tv/Th≦2.00」であることが好ましく、「1.11≦Tv/Th≦1.80」であることが更に好ましく、「1.28≦Tv/Th≦1.80」であることが特に好ましい。なお、Tv/Thが1.05未満であると、フィルタ再生において溶損を生じる温度の向上効果が得られず、一方、Tv/Thが2.00超であると、Tvが厚くなるため圧損が大きくなり好ましくない。
他の方向(X方向)に沿って配置された隔壁3Xの厚さ(Th)に特に制限はないが、薄すぎると、ハニカムセグメントを作製する際に押出成形が困難になることがあり、また、厚すぎると、圧損が大きくなり過ぎることがある。より具体的には、隔壁3Xの厚さ(Th)の好ましい範囲は、50μm以上、さらに好ましくは100μm以上、特に好ましくは250μm以上であり、500μm以下、さらに好ましくは450μm以下、特に好ましくは380μm以下である。
一のハニカムセグメント10aに形成されたセル2のセル形状(即ち、ハニカム構造体の中心軸方向(セルが延びる方向)に対して垂直な断面におけるセル形状)としては、特に制限はなく、第1のセル及び第2のセルのいずれについても、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。図1〜図3においては、セル形状が四角形の場合の例を示している。また、図3に示すように、ハニカムセグメント10aの中心軸方向に直交する断面において、セル2の開口部分の他の方向における開口部分の幅(Wx)と、セルの開口部分の一の方向における開口部分の幅(Wy)との関係が、1≦Wy/Wx≦2であることが好ましく、1≦Wy/Wx≦1.7であることが更に好ましい。
また、本実施形態のハニカム構造体においては、複数のハニカムセグメントのうち、少なくとも一のハニカムセグメントにおける隔壁の厚さが、上述したように一の方向において厚く構成されていれば、例えば、ハニカム構造体を構成する全てのハニカムセグメントにおける隔壁の厚さが、上述したように構成されていてもよいし、複数のハニカムセグメントのうちの一部のハニカムセグメントにおける隔壁の厚さが、上述したように構成され、残余のハニカムセグメントについては、一の方向(Y方向)と他の方向(X方向)とで、隔壁の厚さが同じになるように構成されていてもよい。図2及び図3においては、領域Aにおける全てのハニカムセグメント10が、上記した一のハニカムセグメント10aによって構成されている。
更に、本発明のハニカム構造体においては、例えば、図4及び図5に示すように、複数のハニカムセグメント10のうちの他のハニカムセグメント10bは、一のハニカムセグメントを、その中心軸を中心として90度回転させたものであってもよい。即ち、一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁3Yの厚さ(Tv)が大である一のハニカムセグメント10aと、一のハニカムセグメントを90度回転させた他のハニカムセグメント10bとが混在して構成されたハニカム構造体101であってもよい。
ここで、図4は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態における、図1の領域Aに対応する部位を拡大して模式的に示す平面図であり、図5は、図4におけるハニカム構造体を更に拡大して模式的に示す平面図である。図4及び図5においては、領域Aにおける紙面右側のハニカムセグメント10が、上記した一のハニカムセグメント10aによって構成され、紙面左側のハニカムセグメント10が、上記したように一のハニカムセグメントを90度回転させた他のハニカムセグメント10bによって構成されている。即ち、図4及び図5においては、一のハニカムセグメント10aと他のハニカムセグメント10bとは、隔壁3の厚さが大となる方向(一の方向)が直交することとなる。
このように、一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁3Yの厚さ(Tv)が大である一のハニカムセグメント10aと、一のハニカムセグメントを90度回転させた他のハニカムセグメント10bとを混在させることによって、ハニカムセグメント10の集合体であるハニカム構造体101の温度分布を自由に調整することができる。このため、例えば、外周の温度を低下させる部位を作り出すことができるので、高温になってほしくない部分を任意に設定できる。
ハニカムセグメント毎にTvやThの大きさを変えてもよいことはいうまでもないが、その分多くの種類のハニカムセグメントを製作することになり、コスト的に高価なものになるので好ましくない。
また、このような一のハニカムセグメントと他のハニカムセグメントとからハニカム構造体が構成されている場合には、図4に示すハニカム構造体101のように、一のハニカムセグメント10aと他のハニカムセグメント10bとが、互いの側面同士が隣接するように交互に配置されてなることが好ましい。このように、一のハニカムセグメント10aと他のハニカムセグメント10bとが交互に配置されてハニカム構造体101が構成されることによって、捕集した粒子状物質を燃焼除去する操作(再生)を行った際の過熱を良好に抑制することができ、再生時における溶損をより有効に防止することができる。
本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカムセグメントの材料としては、セラミックが好ましく、強度及び耐熱性に優れることより、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、鉄−クロム−アルミニウム系合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。これらの中でも、炭化珪素又は珪素−炭化珪素系複合材料が特に好ましい。炭化珪素は、熱膨張率が比較的大きいため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体は、大きなものを形成すると使用時に熱衝撃により欠陥が生じることがあったが、本発明のハニカム構造体は、複数のハニカムセグメントが、互いの側面同士が対向するように隣接して配置され、対向する側面同士が接合部により接合された構造であるため、炭化珪素の熱膨張による応力が接合部により緩和され、ハニカム構造体の欠陥の発生を防止することができる。
本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカムセグメント(より具体的には、ハニカムセグメントを構成する隔壁)は、多孔質であることが好ましい。ハニカムセグメントの気孔率は30〜80%であることが好ましく、40〜65%であることが更に好ましい。気孔率をこのような範囲とすることにより、強度を維持しながら圧力損失を小さくすることができる。気孔率が30%未満であると、圧力損失が上昇することがある。気孔率が80%を超えると、強度が低下したり、熱伝導率が低下することがある。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカムセグメントは、平均細孔径が5〜50μmであることが好ましく、7〜35μmであることが更に好ましい。平均細孔径をこのような範囲とすることにより、粒子状物質(PM)を効果的に捕集することができる。平均細孔径が5μm未満であると、粒子状物質(PM)により目詰まりを起こしやすくなることがある。平均細孔径が50μmを超えると、粒子状物質(PM)がフィルターに捕集されず通過することがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカムセグメントの材質が炭化珪素である場合、炭化珪素粒子の平均粒径が5〜100μmであることが好ましい。このような平均粒径とすることにより、フィルターに好適な気孔率、気孔径に制御しやすいという利点がある。平均粒径が5μmより小さいと、気孔径が小さくなり過ぎ、100μmより大きいと気孔率が大きくなり過ぎる。気孔径が小さ過ぎると粒子状物質(PM)により目詰まりを起こしやすくなることがあり、気孔率が大き過ぎると圧力損失が上昇することがある。原料の平均粒径は、JIS R 1629に準拠して測定した値である。
本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカムセグメントのセル形状(ハニカム構造体の中心軸方向(セルが延びる方向)に対して垂直な断面におけるセル形状)としては、特に制限はなく、第1のセル及び第2のセルのいずれについても、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。
また、ハニカムセグメントのセル密度は、特に制限されないが、0.9〜311セル/cmであることが好ましく、7.8〜62セル/cmであることが更に好ましい。
更に、本発明のハニカム構造体においては、図6及び図7に示すように、中心軸方向に直交する断面において第1のセル2aの面積(断面積)が第2のセル2bの面積(断面積)より大きく構成されてなるハニカム構造体102であってもよい。このように構成することによって、第1のセル2aの開口端部側(一方の端部側)から排ガスを流入させ、多孔質の隔壁3を透過させて、第2のセル2bの開口端部側(他方の端部側)から排ガスを排出することができ、第1のセル2a内部の表面積の大きな隔壁3表面に排ガス中の粒子状物質を捕集することができる。このため、粒子状物質による流入側セルの閉塞を抑制することができる。
ここで、図6は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態における、図1の領域Aに対応する部位を拡大して模式的に示す平面図であり、図7は、図6におけるハニカム構造体を更に拡大して模式的に示す平面図である。
「第1のセルの面積(断面積)」又は、「第2のセルの面積(断面積)」というときは、「ハニカム構造体の中心軸方向(セルが延びる方向)に直交する断面における断面積」のことである。そして、本実施形態のハニカム構造体において、第1のセルの断面積は、第2のセルの断面積に対して、120〜300%であることが好ましく、140〜250%であることが更に好ましい。第1のセルの断面積が第2のセルの断面積の120%より小さい場合は、流入側セル(第1のセル)の閉塞防止効果が低下することがあり、第1のセルの断面積が第2のセルの断面積の300%より大きい場合は、流出側のセル(第2のセル)の断面積が小さくなるため、圧力損失が大きくなることがある。
このようなハニカム構造体のセル形状(ハニカム構造体の中心軸方向(セルが延びる方向)に直交する断面におけるセル形状)としては、特に制限はなく、第1のセル及び第2のセルのいずれについても、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。これらの中でも、図6及び図7に示すように、断面積の大きい第1のセル2aが八角形で、断面積の小さい第2のセル2bが四角形であることが好ましい。また、第1のセルが角部がR状に丸く形成された四角形で、第2のセルが四角形であることも好ましい。
また、このようなハニカム構造体102においては、中心軸方向に直交する断面において、第1のセル2aの開口部分の他の方向における開口部分の幅(W1x)と、第1のセル2bの開口部分の一の方向における開口部分の幅(W1y)との関係が、1≦W1y/W1x≦2であることが好ましく、1≦W1y/W1x≦1.55であることが更に好ましい。W1y/W1xが2超であると、他の方向における開口部分の幅に対する一の方向における開口部分の幅の割合が大きくなり過ぎてハニカム構造体の強度が低下することがある。より具体的には、第1のセル2aの幅W1xは、0.2〜3mmであることが好ましく、第1のセル2aの幅W1yは、0.2〜3mmであることが好ましい。
また、中心軸方向に直交する断面において、第2のセル2bの開口部分の他の方向における開口部分の幅(W2x)と、第2のセル2bの開口部分の一の方向における開口部分の幅(W2y)との関係が、1≦W2y/W2x≦2であることが好ましく、1≦W2y/W2x≦1.7であることが更に好ましい。より具体的には、第2のセル2bの幅W2xは、0.2〜3mmであることが好ましく、第2のセル2bの幅W2yは、0.2〜3mmであることが好ましい。
また、図7に示すように、傾斜隔壁3sの厚さTsの厚さは、Tvと同じであることが好ましい。なお、「傾斜隔壁」とは、図7に示すように、ハニカム構造体102の中心軸に直交する断面において、第1のセル2aと第2のセル2bとが交互に並ぶ方向に対して傾斜した方向に延びる隔壁であり、第1のセル(又は第2のセル)の対角線の延長上に位置し、当該対角線を延長した方向に延びる隔壁である。
なお、図4においては、一のハニカムセグメント10aと一のハニカムセグメントを中心軸を中心として90度回転した他のハニカムセグメント10bとが、互いの側面同士が隣接するように交互に配置されてなる場合の例を示しているが、ハニカム構造体を構成するハニカムセグメントの全てが一のハニカムセグメントで構成されたものであってもよいし、また、一のハニカムセグメントと一のハニカムセグメントを90度回転した他のハニカムセグメントとが、不規則に或いは一定の規則性をもって配置されたものであってもよい。更に、一の方向と他の方向とで隔壁の厚さが同じに構成された別のハニカムセグメントを更に備えたものであってもよい。
図1〜図3に示すような本実施形態のハニカム構造体100の中心軸方向に直交する断面において、配置されているハニカムセグメント10の個数は、4〜144個であることが好ましく、16〜100個であることが更に好ましい。ハニカムセグメント10の大きさは、中心軸に直交する断面の面積が3〜16cmであることが好ましく、7〜13cmであることが更に好ましい。3cmより小さいと、ハニカム構造体100にガスが流通するときの圧力損失が大きくなることがあり、16cmより大きいと、ハニカムセグメント10の破損防止効果が小さくなることがある。
本実施形態のハニカム構造体は、ハニカムセグメント10の、第2のセル2bの一方の端部8と、第1のセル2aの他方の端部9とに目封止部5を有し、第1のセル2aと第2のセル2bとが、ハニカムセグメント10の端面に市松模様が形成されるように、交互に配置されている。
本実施形態のハニカム構造体100を構成する接合部14は、隣接するハニカムセグメント10間に配置され、ハニカムセグメント10が接合部14により接合されている。接合部14は、隣接するハニカムセグメント10の対向する側面の全体に配置されることが好ましい。接合部14の材質は、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子等の無機原料に、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤等の添加材を加えたものに水を加えて混練したスラリー等が好ましい。
本実施形態のハニカム構造体は、図1に示すように、複数個のハニカムセグメント10全体を取り囲むように形成された外周壁4を備えることが好ましい。外周壁4を備えることにより、外形形状の真円度が向上する等の効果を奏する。本実施形態のハニカム構造体の外周壁4の厚さは、0.1〜4.0mmであることが好ましく、0.3〜1.0mmであることが更に好ましい。0.1mmより薄いと、外周壁4を形成するための外周コートを行うときにクラックが発生し易くなることがある。4.0mmより厚いと、圧力上昇することがある。外周部の厚さというときは、外周壁4の外周面(表面)から、最も近い位置にあるセルまでの距離をいう。
また、本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカムセグメントの40〜800℃における熱膨張係数が、1×10−6/℃以上であることが好ましく、2×10−6〜7×10−6/℃であることが更に好ましい。本実施形態のハニカム構造体は、このように熱膨張係数が大きくても、ハニカムセグメントを接合して形成したものであるため、耐熱衝撃性の高いハニカム構造体である。
本実施形態のハニカム構造体の全体の形状は特に限定されず、例えば、円筒形状、オーバル形状等所望の形状とすることができる。また、ハニカム構造体の大きさは、例えば、円筒形状の場合、底面の直径が50〜450mmであることが好ましく、100〜350mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造体の中心軸方向の長さは、50〜450mmであることが好ましく、100〜350mmであることが更に好ましい。
〔2〕ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体の一実施形態の製造方法について説明する。
〔2−1〕ハニカムセグメントの作製:
まず、セラミック原料にバインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料とする。セラミック原料としては、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、鉄−クロム−アルミニウム系合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、炭化珪素又は珪素−炭化珪素系複合材料が好ましい。珪素−炭化珪素系複合材料とする場合、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末を混合したものをセラミック原料とする。セラミック原料の含有量は、成形原料全体に対して30〜90質量%であることが好ましい。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、成形原料全体に対して2〜20質量%であることが好ましい。
水の含有量は、成形原料全体に対して5〜50質量%であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して0〜5質量%であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、成形原料全体に対して0〜20質量%であることが好ましい。
次に、成形原料を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
次に、坏土を押出成形して、ハニカム成形体を複数個形成する。なお、形成するハニカム成形体としては、ハニカム成形体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と最外周に位置する外周壁とを有し、中心軸方向に直交する断面において、一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁の厚さ(Tv)が、一の方向に直交する他の方向(X方向)に沿って配置された隔壁の厚さ(Th)よりも大であるハニカム成形体を一以上形成する。即ち、一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁の厚さが厚いハニカム成形体の他に、隔壁の厚さが一の方向と他の方向と同一に構成されたハニカム成形体を別途押出形成して形成してもよいし、全てのハニカム成形体を、一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁の厚さが厚いものとしてもよい。即ち、形成するハニカム成形体の形状については、ハニカムセグメントを組み合わせて形成するハニカム構造体の構造に応じて適宜選択することができる。
また、押出成形するハニカム成形体としては、中心軸に直交する断面における面積の大きい第1のセルと、中心軸に直交する断面における面積の小さい第2のセルとが交互に配置されたものであってもよい。
押出成形に際しては、所望のセグメント形状、セグメントの配置、セル形状、隔壁厚さ、セル密度等を有する口金を用いることが好ましい。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。
なお、ハニカム成形体の隔壁厚さ、セル密度、外周部の厚さ等は、乾燥、焼成における収縮を考慮し、作製しようとする本発明のハニカム構造体の構造に合わせて適宜決定することができる。
得られたハニカム成形体について、焼成前に乾燥を行うことが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜90質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。
次に、ハニカム成形体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。
次に、ハニカム成形体を焼成して、ハニカム焼成体を作製することが好ましい。焼成の前に、バインダ等を除去するため、仮焼成を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1300〜1500℃で、1〜20時間加熱することが好ましい。
次に、得られたハニカム焼成体の、第2のセルの一方の端部と、第1のセルの他方の端部とに目封止を施し(目封止部を形成し)、ハニカムセグメントを作製する。目封止部を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。ハニカム焼成体の一方の端面にシートを貼り付けた後、当該シートの目封止部を形成しようとするセル(第2のセル)に対応した位置に穴を開ける。そして、目封止部の構成材料をスラリー化した目封止用スラリーに、ハニカム焼成体の当該シートを貼り付けた端面に浸漬し、シートに開けた孔を通じて、目封止部を形成しようとするセル(第2のセル)の開口端部内に目封止用スラリーを充填する。そして、ハニカム焼成体の他方の端面については、一方の端面において目封止を施さなかったセル(第1のセル)について、上記一方の端面に目封止部を形成した方法と同様の方法で目封止部を形成する(目封止スラリーを充填する)。目封止部の構成材料としては、ハニカム成形体の材料と同じものを用いることが好ましい。目封止部を形成した後に、上記焼成条件と同様の条件で焼成を行うことが好ましい。また、目封止部の形成は、ハニカム成形体を焼成する前に行ってもよい。
〔2−2〕ハニカム構造体の作製:
所定数のハニカムセグメントを接合材で接合して、複数個のハニカムセグメントが、互いの側面同士が対向するように隣接して配置されるとともに、対向する側面同士が接合部により接合されたハニカムセグメント接合体を形成する。このハニカムセグメント接合体を最終的に得られるハニカム構造体としてもよい。接合部は、対向する側面全体に配設されることが好ましい。接合部は、ハニカムセグメントが熱膨張、熱収縮したときに、体積変化分を緩衝する(吸収する)役割を果たすとともに、各ハニカムセグメントを接合する役割を果たす。なお、ハニカムセグメント接合体を形成する場合には、一の方向の隔壁の厚さが厚く構成された一のハニカムセグメントを配置する位置やその向きを調整することによって、得られるハニカム構造体における単位容積あたりに処理する粒子状物質の量を増大させ、また、特定方向における圧縮強度を向上させることが可能となる。
接合材をハニカムセグメントの側面に塗布する方法は、特に限定されず、刷毛塗り等の方法を用いることができる。
接合材としては、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子等の無機原料に、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤等の添加材を加えたものに水を加えて混練したスラリー等を挙げることができる。
ハニカムセグメント接合体を形成した後、外周部分を切削して所望の形状にすることができる。例えば、図1に示すハニカム構造体を製造する場合には、16個の四角柱状のハニカムセグメントを接合してハニカムセグメント接合体を作製し、ハニカムセグメント接合体の外周を切削して円柱状のハニカムセグメント接合体とし、外周部(外周壁)を配設してハニカム構造体としている。
ハニカムセグメント接合体を形成した後に、外周コート処理を行い、ハニカムセグメント接合体の最外周に外周部を配設させることが好ましい。外周コート処理を行うことにより、外形形状の真円度が向上するという利点がある。外周コート処理としては、外周コート材をハニカムセグメント接合体の最外周に塗布して、乾燥させる方法を挙げることができる。外周コート材としては、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤、水等を混合したもの等を用いることができる。それぞれの原料の含有量は、上記接合材の原料の含有量の好ましい範囲と同様の範囲が好ましい。また、外周コート材を塗布する方法は、特に限定されず、ハニカム構造体をろくろ上で回転させながらゴムへら等でコーティングする方法等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
参考例1)
セラミックス原料として、SiC粉、金属Si粉を80:20の質量割合で混合し、これに、成形助材としてメチルセルロース及びヒドロキシプロポキシメチルセルロース、造孔材として澱粉と吸水性樹脂、界面活性剤及び水を添加して混練し、真空土練機により四角柱状の坏土を作製した。
得られた四角柱状の坏土を押出成形機を用いて、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と最外周に位置する外壁とを有し、中心軸方向に直交する断面において面積の大きな第1のセルと面積の小さな第2のセルとが交互に並ぶように形成された構造のハニカム成形体を形成した。得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断した。
得られたハニカム成形体を、熱風乾燥機を用いて120℃で5時間乾燥し、その後、大気雰囲気にて脱臭装置付き大気炉を用いて約450℃で5時間かけて脱脂し、その後、Ar不活性雰囲気にて約1450℃で5時間焼成して、SiC結晶粒子がSiで結合された、多孔質のハニカム焼成体を得た。ハニカム焼成体の平均細孔径は13μmであり、気孔率は41%であった。平均細孔径および気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
得られたハニカム焼成体について、第2のセルの一方の端部と、第1のセルの他方の端部とに目封止部を形成した。目封止用の充填材には、ハニカム成形体と同様の材料を用いた。ハニカム焼成体に目封止部を形成した後に、上記焼成条件と同じ条件でハニカム焼成体を焼成し、複数のハニカムセグメントを形成した。得られたハニカムセグメントは、底面が正方形で一辺が36mm、中心軸方向長さが160mmであった。
ハニカムセグメントを構成する各セルの開口部分の幅、及び隔壁の厚さを、表1に示す。具体的には、第1のセルの他の方向(X方向)における開口部分の幅(W1x)が1.06mmで、第1のセルの一の方向(Y方向)における開口部分の幅(W1y)が1.08mmであり、また、第2のセルの他の方向(X方向)における開口部分の幅(W2x)が1.06mmで、第2のセルの一の方向(Y方向)における開口部分の幅(W2y)が1.08mmである。
また、一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁の厚さ(Tv)は0.40mmで、他の方向(X方向)に沿って配置された隔壁の厚さ(Th)は0.38mmであり、Tv/Thは1.05である。なお、このハニカム構造体の、X方向及びY方向におけるセルピッチは、ともに1.46mmである。
Figure 0005188437
得られたハニカムセグメントを、図1に示すハニカム構造体100のように、4個×4個の並びになるようにして、接合材で接合し、ハニカムセグメント接合体を得た。接合材としては、アルミノシリケート無機繊維とSiC粒子との混合物を用いた。なお、ハニカムセグメントを接合する際の配列は、隔壁の厚さが厚い一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁が、全てのハニカムセグメントで同一方向に配列するものとした。このような配列を、表1中の「セグメント配列」において、「一方向」と示す。
得られたハニカムセグメント接合体の外周を研削して円筒状に形成した。その後、外周コート処理を行い、ハニカムセグメント接合体の最外周に外周コート部を配設し、図1に示すような構造の直径144mm、中心軸方向長さが160mmの接合型ハニカム構造体を作製した。この接合型ハニカム構造体に外周コート処理を行い、接合型ハニカム構造体の最外周に外周壁を配設させ、ハニカム構造体とした。外周コート材としては無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤と水を混合したものを用いた。
得られたハニカム構造体について、以下の方法で、「破壊強度(%)」、「再生限界値(g/リットル)」及び「外周最低温度(℃)」の評価を行った。結果を表2に示す。なお、表2及び表4の「破壊強度(%)」、「再生限界値(g/リットル)」及び「外周最低温度(℃)」の欄は、参考例1〜8,14〜25、実施例9〜13,26〜31については、比較例1についての結果を基準として比較例1に対する増減を示し、参考例32〜41,47〜50、実施例42〜46,51〜53については、比較例2についての結果を基準として比較例2に対する増減を示している。
Figure 0005188437
〔破壊強度(%)〕
図8に示すように、ハニカム構造体100を、ハニカム構造体100の端面(一方の端面及び他方の端面)が水平方向を向くように、厚さ10mmの鉄板111上に横向きに載置し、このハニカム構造体100の上方に、厚さ10mm、幅30mm、長さがハニカム構造体の長さ+20mm(即ち、180mm)の鉄製の板112を更に載置した。その後、この板112を0.5mm/分で下方へ動かすことによりハニカム構造体100に荷重を掛けていき、ハニカム構造体100の破損が確認されるまで荷重を増加した。ハニカム構造体100の破損が確認された際の荷重を測定し、対応する比較例における荷重を100%とした際の増加量(%)を「破壊強度(%)」とした。ここで、図8は、破壊強度(%)の測定方法を模式的に示す側面図である。
なお、各実施例及び参考例においては、鉄板111上にハニカム構造体100を載置する際に、一の方向(Y方向)が鉛直方向を向くように配置した。また、ハニカム構造体100の破損は、外観上のクラック発生とした。
〔再生限界値(g/リットル)〕
ハニカム構造体の単位容積(リットル)あたり、再生可能な粒子状物質(例えば、煤)の量を測定した。なお、ハニカム構造体の容積は、ハニカム構造体の外形形状から計測される容積(リットル)である。なお、各実施例及び参考例における「再生限界値(g/リットル)」は、対応する比較例における再生限界値(g/リットル)からの増量(g/リットル)を示す。具体的な測定方法としては、ハニカム構造体をDPFとして用い、順次、煤の堆積量を増加させて、再生(煤の燃焼)を行い、クラックが発生する限界を確認する。先ず、得られたハニカム構造体の外周に、保持材としてセラミック製非熱膨張性マットを巻き、SUS409製のキャニング用缶体に押し込んで、キャニング構造体とする。その後、ディーゼル燃料(軽油)の燃焼により発生させた煤を含む燃焼ガスを、ハニカム構造体の第1セルが開口する側の端面より流入させ、他の端面より流出させることによって、煤をハニカム構造体内に堆積させる。そして、一旦、室温まで冷却した後、ハニカム構造体の上記一の端面より、680℃で一定割合の酸素を含む燃焼ガスを流入させ、ハニカム構造体の圧力損失が低下したときに燃焼ガスの流量を減少させることによって、煤を急燃焼させ、その後の目封止ハニカム構造体におけるクラックの発生の有無を確認する。この試験は、煤の堆積量がハニカム構造体の容積1リットル当り2.5g(以下2.5g/リットル等と表記)から始め、クラックの発生が認められるまで、0.5(g/リットル)ずつ増加して、繰り返し行う。各ハニカム構造体について、再生限界値(初期クラック発生時の煤量)(g/リットル)の測定結果(各ハニカム構造体をそれぞれ5個について(N=5)測定した時の平均値)から求めた。
〔外周最低温度(℃)〕
図9に示すように、ハニカム構造体100の外周部分における、軸方向に4等分した位置(即ち、ハニカム構造体100の軸方向に3箇所)に、線径0.2mmのK熱電対113を配置し、外周方向に対して等間隔に4点で温度を測定した(合計12点で測定)。外周温度測定時においては、ハニカム構造体100の一方の端面側から、350℃の排ガスを通気し、定常後の温度を測定した。12点にて測定される温度のうち、最も低い温度(最低温度(℃))を得、対応する比較例における最低温度(℃)との差を「外周最低温度(℃)」とした。ここで、図9は、外周最低温度(℃)の測定方法を模式的に示す側面図である。なお、図9において、ハニカム構造体100の外周部分の「×」で示す点が温度測定を行ったポイントである。
参考例2〜8)
ハニカム構造体を構成する各セルの開口部分の幅(W1x,W1y,W2x,W2y)、及び隔壁の厚さ(Tv,Th)を、表1に示すように変えた以外は参考例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。参考例1の場合と同様にして、「破壊強度(%)」、「再生限界値(g/リットル)」及び「外周最低温度(℃)」の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例9〜13)
ハニカム構造体を構成する各セルの開口部分の幅(W1x,W1y,W2x,W2y)、及び隔壁の厚さ(Tv,Th)を、表1に示すように変え、且つハニカムセグメントを接合する際の配列を、一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁の厚さが厚い一のハニカムセグメントと、この一のハニカムセグメントを90°回転させた他のハニカムセグメントとを、互いの側面同士が隣接するように交互に配置されるようにしたこと以外は、参考例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。参考例1の場合と同様にして、「破壊強度(%)」、「再生限界値(g/リットル)」及び「外周最低温度(℃)」の評価を行った。結果を表2に示す。このようなハニカムセグメントの配列を、表1中の「セグメント配列」において、「異方向」と示す。
参考例14〜25)
ハニカム構造体を構成する各セルの開口部分の幅(W1x,W1y,W2x,W2y)、及び隔壁の厚さ(Tv,Th)を、表1に示すように変えた以外は参考例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。参考例1の場合と同様にして、「破壊強度(%)」、「再生限界値(g/リットル)」及び「外周最低温度(℃)」の評価を行った。結果を表2に示す。参考例14〜25においては、ハニカムセグメントの中心軸方向に直交する断面において第1のセルの面積が第2のセルの面積より大きく構成されている。
(実施例26〜31)
ハニカム構造体を構成する各セルの開口部分の幅(W1x,W1y,W2x,W2y)、及び隔壁の厚さ(Tv,Th)を、表1に示すように変え、且つ、上記「セグメント配列」を「異方向」としたこと以外は、参考例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。参考例1の場合と同様にして、「破壊強度(%)」、「再生限界値(g/リットル)」及び「外周最低温度(℃)」の評価を行った。結果を表2に示す。実施例26〜31においても、ハニカムセグメントの中心軸方向に直交する断面において第1のセルの面積が第2のセルの面積より大きく構成されている。
参考例32〜41)
ハニカム構造体を構成する各セルの開口部分の幅(W1x,W1y,W2x,W2y)、及び隔壁の厚さ(Tv,Th)を、表3に示すように変えた以外は参考例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。参考例1の場合と同様にして、「破壊強度(%)」、「再生限界値(g/リットル)」及び「外周最低温度(℃)」の評価を行った。結果を表4に示す。参考例32〜41においても、ハニカムセグメントの中心軸方向に直交する断面において第1のセルの面積が第2のセルの面積より大きく構成されている。
(実施例42〜46)
ハニカム構造体を構成する各セルの開口部分の幅(W1x,W1y,W2x,W2y)、及び隔壁の厚さ(Tv,Th)を、表3に示すように変え、且つ、上記「セグメント配列」を「異方向」としたこと以外は、参考例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。参考例1の場合と同様にして、「破壊強度(%)」、「再生限界値(g/リットル)」及び「外周最低温度(℃)」の評価を行った。結果を表4に示す。実施例42〜46においても、ハニカムセグメントの中心軸方向に直交する断面において第1のセルの面積が第2のセルの面積より大きく構成されている。
参考例47〜50、実施例51〜53)
ハニカム構造体を構成する各セルの開口部分の幅(W1x,W1y,W2x,W2y)、及び隔壁の厚さ(Tv,Th)を、表3に示すように変え、且つ、表3に示すようにセルの開口部分の幅を同じにして、隔壁の厚さを変えたこと、また、実施例51〜53において「セグメント配列」を「異方向」とした以外は、参考例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。参考例1の場合と同様にして、「破壊強度(%)」、「再生限界値(g/リットル)」及び「外周最低温度(℃)」の評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0005188437
Figure 0005188437
(比較例1)
ハニカム構造体を構成する隔壁の厚さを、表1に示すように、一の方向(Y方向)と他の方向(X方向)とで同じ厚さとなるように構成した以外には、参考例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。参考例1の場合と同様にして、「破壊強度(%)」、「再生限界値(g/リットル)」及び「外周最低温度(℃)」の評価を行った。
(比較例2)
ハニカム構造体を構成する隔壁の厚さを、表3に示すように、一の方向(Y方向)と他の方向(X方向)とで同じ厚さとなるように構成した以外には、参考例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。参考例1の場合と同様にして、「破壊強度(%)」、「再生限界値(g/リットル)」及び「外周最低温度(℃)」の評価を行った。
表1〜表4より、参考例1〜8,14〜25,32〜41,47〜50、実施例9〜13,26〜31,42〜46,51〜53のハニカム構造体は、再生限界値が高くなっており、単位容積あたりにより多くの粒子状物質が捕集されていたとしても、燃焼除去する際(即ち、フィルタの再生を行う際)の過熱により溶損し難いことがわかる。また、各実施例及び参考例のハニカム構造体は、外周最低温度(℃)が対応する比較例と比較して低くなっており、内部からの熱の伝達を、一の方向(Y方向)と他の方向(X方向)とで変化させることができ、外周部分の過度の温度上昇を抑制できることがわかる。
また、セグメント配列を「一方向」とした、参考例1〜8,14〜25,32〜41,47〜50のハニカム構造体は、一の方向(Y方向)における破壊強度が、隔壁の厚さが一の方向(Y方向)と他の方向(X方向)とで同じ厚さとなるように構成された比較例と比較して向上していることがわかる。また、外周最低温度(℃)についても、セグメント配列を「異方向」とした実施例よりも大きな効果を得ている。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルタとして好適に利用することができる。
2:セル、2a:第1のセル、2b:第2のセル、3:隔壁、3X:隔壁(他の方向(X方向)に沿って配置された隔壁)、3Y:隔壁(一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁)、3s:隔壁(傾斜隔壁)、4:外周壁、5:目封止部、8:一方の端部、9:他方の端部、14:接合部、15:外壁、Th:他の方向(X方向)に沿って配置された隔壁の厚さ、Ts:傾斜隔壁の厚さ、Tv:一の方向(Y方向)に沿って配置された隔壁の厚さ、100,101,102:ハニカム構造体、111:鉄板、112:板、113:熱電対、X:他の方向(X方向)、Y:一の方向(Y方向)。

Claims (4)

  1. 流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有し、一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止された第1のセルと、前記一方の端部が目封止され且つ他方の端部が開口された第2のセルとが交互に配設されたハニカムセグメントを複数個備え、
    複数の前記ハニカムセグメントが、互いの側面同士が対向するように隣接して配置されるとともに、前記対向する側面同士が接合部により接合されてなり、
    前記複数のハニカムセグメントのうちの少なくとも一のハニカムセグメントは、中心軸方向に直交する断面において、一の方向(Y方向)に沿って配置された前記隔壁の厚さ(Tv)が、前記一の方向に直交する他の方向(X方向)に沿って配置された前記隔壁の厚さ(Th)よりも大であり、前記複数のハニカムセグメントにおいて、隣り合うハニカムセグメントの一方のハニカムセグメントに対して、隣接する他方のハニカムセグメントが中心軸を中心として90度回転した状態で配置されてなるハニカム構造体。
  2. 少なくとも前記一のハニカムセグメントは、前記中心軸方向に直交する断面において前記第1のセルの面積が前記第2のセルの面積より大きく構成されてなる請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 前記ThとTvとの関係が、「1.05≦Tv/Th≦2.00」である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  4. 前記Thが、「0.25mm≦Th≦0.38mm」である請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
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