次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1)ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体の一の実施形態は、図1〜図3に示すように、流体の流路となる一方の端面3から他方の端面4まで延びる複数のセル2を区画形成する隔壁1を有するハニカムセグメント5を、側面6同士が接合された状態で複数個備え、セル2の延びる方向に直交する断面において、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aが、長手方向Lにおいて、両端部10,10が太く形成されるとともに中央部分11に向かって漸次細くなるように形成され、セル2の延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aにおいて、中央部分11における幅T1と、端部10における幅T2とが、「式(1):1.3≦T2/T1≦4.0」の関係を満たすものである。ここで、「セル2の延びる方向に直交する断面における内側の領域に位置するハニカムセグメント5a」とは、ハニカム構造体の最外周を構成しないハニカムセグメントのことであり、全ての側面が他のハニカムセグメントに接している(接合材を介して接している)ハニカムセグメントである。本実施形態のハニカム構造体100は、最外周に外周部8が配設されている。図1は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す平面図である。図3は、本発明のハニカム構造体の一実施形態を構成するハニカムセグメントを模式的に示す平面図である。尚、図2においては、各ハニカムセグメントを構成する隔壁及び目封止部を省略している。また、図3においては、目封止部を省略している。
このように、本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面において、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aが、長手方向Lにおいて、両端部10,10が太く形成されるとともに中央部分11に向かって漸次細くなるように形成され、更に、セル2の延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aにおいて、中央部分11における幅T1と、端部10における幅T2とが、「式(1):1.3≦T2/T1≦4.0」の関係を満たすものである。そのため、セル2の延びる方向に直交する断面において、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aのそれぞれを、長手方向Lにおける中央部分11を通り長手方向Lに直交する直線によって、2つの領域(セグメント内領域)に分けたときに、各「セグメント内領域」における中央の位置に粒子状物質が多く捕集され、再生時に各セグメント内に2箇所の高温領域12(図4を参照)が形成される。各セグメント内領域において従来技術に比べて見かけ上、小さい断面積で同じ最高温度の高温領域が形成されるため、従来に比べハニカムセグメント5a外周部の昇温速度が向上して再生時の高温領域12とハニカムセグメント5a外周部の温度差が小さくなる。つまり再生時にハニカムセグメント5a全体の温度をより均一にすることができ、それにより、再生時に、ハニカム構造体100の端面にクラックが発生することを防止することができ、更に、ハニカムセグメント5aの外周部の温度が十分な高さまで上がるため、粒子状物質が燃え残ることを防止することができる。図4は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す平面図である。図4においては、各ハニカムセグメントを構成する隔壁及び目封止部を省略している。
本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面において、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aが、長手方向Lにおいて、両端部10,10が太く形成されるとともに中央部分11に向かって漸次細くなるように形成され、中央部分11が最も細くなるように形成されている。そして、本実施形態のハニカム構造体は、セル2の延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aにおいて、中央部分11における幅T1と、端部10における幅T2とが、「式(1):1.3≦T2/T1≦4.0」の関係を満たすものであり、「式(1):2.0≦T2/T1≦3.0」の関係を満たすものであることが好ましい。「T2/T1」が1.3より小さいと、従来品と類似の形状となるため再生時に高温領域12はハニカムセグメント5aの中央部一箇所にしか形成されず、再生時にハニカム構造体100の端面にクラックが発生することを防止することができないため好ましくない。「T2/T1」が4.0より大きいと、中央部分11が「切り欠き」として働いて(中央部分11が、大きく切り欠かれたような形状になり)、再生時に応力集中が起きることで中央部分11を起点として割れが発生しやすくなるため好ましくない。また、セル2の延びる方向に直交する断面において、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aの長手方向Lの長さT3は、30〜80mmであることが好ましく、35〜75mmであることが更に好ましい。30mmより短いと、排ガスを処理するときの圧力損失が増大することがある。80mmより長いと、再生時の破損防止効果が低下することがある。
ここで、「中央部分11」とは、セル2の延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aにおいて、長手方向における中央点の集合を意味し、長手方向における中央点を通り長手方向に直交する中央線ということもできる。また、「中央部分11における幅T1」とは、セル2の延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aにおいて、中央部分11における長手方向Lに直交する方向の長さを意味する。「端部10における幅T2」とは、セル2の延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aにおいて、端部10における、長手方向Lに直交する方向の最も長い部分(最も幅が広い部分)の長さを意味する。本実施形態のハニカム構造体100においては、セル2の延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aにおいて、長手方向Lの最先端部分が最も幅が広い部分であるが、これに限定されるものではない。例えば、図5、図6に示す、本発明のハニカム構造体の他の実施形態ように、セル2の延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aにおいて、長手方向Lにおける両端部10,10のそれぞれの端縁10a,10aが、外側に向かって凸状である場合、長手方向Lの最先端部分は最も幅が広い部分ではなく、最先端部分より若干中央部分11側に寄った位置が、最も幅が広い部分になっている。そして、この部分の幅が、「端部10における幅T2」になる。尚、「セル2の延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aの、長手方向Lにおける端部10」は、当該断面におけるハニカムセグメント5aの最先端部分から、長手方向長さの20%の範囲である。そして、上記「最も幅が広い領域」は、上記端部10の範囲にあればよく、端部10の中での位置は限定されない。
本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aの面積が、1100〜1600mm2であることが好ましく、1200〜1500mm2であることが更に好ましい。1100mm2より小さいと、排ガスを処理するときの圧力損失が増大することがある。1600mm2より大きいと、破損防止効果が低下することがある。
本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面において、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aが、長手方向Lにおける中央部分を通り長手方向Lに直交する直線を対称軸とした、線対称の形状であることが好ましい。これにより、複数のハニカムセグメントを、各側面が平行になるように配置して接合することができる。また、本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面において、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aが、長手方向Lに平行な対称軸を有する線対称の形状であることが好ましい。そして、本実施形態のハニカム構造体100は、長手方向Lに直交する対称軸と、長手方向Lに平行な対称軸の両方を有することが更に好ましい。これにより、複数のハニカムセグメントを、各側面が平行になるように配置して接合することが、更に容易になる。
本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aにおいて、長手方向Lにおける両端部10,10のそれぞれの端縁10a,10aが直線状に形成され、当該それぞれの端縁(両端縁)10a,10a間を結ぶ2本の側縁部13,13が内側に凹むように形成されたものである。これにより、ハニカムセグメント5aを接合するときに、図1、図2に示すように、ハニカムセグメント5aを、セル2の延びる方向に直交する断面において、端縁10a同士を対向させて、長手方向Lに延びるように接合することができる。
また、図5、図6に示すように、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント205aにおいて、長手方向Lにおける両端部10,10のそれぞれの端縁10a,10aの形状は、外側に向かって凸状であることも好ましい態様である。図5に示すハニカム構造体200においては、ハニカムセグメント205aの端縁10aは、中央で折れ曲がった直線状である。図5は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を模式的に示す平面図である。図6は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を構成するハニカムセグメントを模式的に示す平面図である。図5、図6においては、各ハニカムセグメントを構成する隔壁及び目封止部を省略している。
また、図7、図8に示すように、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態(ハニカム構造体300)は、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント305aにおいて、長手方向Lにおける両端部10,10のそれぞれの端縁10a,10aの形状は、外側に向かって凸状であるとともに、曲線状である。このように、端縁10aの形状は、外側に凸の曲線状であってもよい。図7は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態を模式的に示す平面図である。図8は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態を構成するハニカムセグメントを模式的に示す平面図である。図7、図8においては、各ハニカムセグメントを構成する隔壁及び目封止部を省略している。
本実施形態のハニカム構造体100は、図1、図2に示すように、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aにおいて、2本の側縁部13,13が、中央で折れ曲がった直線状である。従って、本実施形態のハニカム構造体100は、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aにおいて、端縁10aが直線状であり、側縁部13が中央で折れ曲がった直線状である。また、本実施形態のハニカム構造体100は、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aにおいて、長手方向Lに直交する対称軸と、長手方向Lに平行な対称軸の両方を有するものである。これにより、本実施形態のハニカム構造体100は、セルの延びる方向に直交する断面において、一のハニカムセグメントの端縁が他のハニカムセグメントの端縁に接合されるとともに、一のハニカムセグメントの側縁が他のハニカムセグメントの側縁に接合されるように形成されている。側縁同士が接合されているハニカムセグメントにおいては、一のハニカムセグメントの中央部分と、他のハニカムセグメントの「端部における最も幅が広い部分」とが接した状態となっている。これにより、ハニカム構造体100における各ハニカムセグメントは、各ハニカムセグメント間に隙間が形成されることなく接合されている。尚、ハニカムセグメント間の隙間とは、隣接するハニカムセグメントの接合面の形状の不一致により形成される隙間のことを意味する。例えば、平面状の接合面(側面)同士を、互いに平行になるように接合する場合には、隙間は形成されないが、平面状の接合面(側面)と、曲面状の接合面(側面)とを接合する場合には、隙間が形成される。
また、本発明のハニカム構造体の他の実施形態(ハニカム構造体200)は、図5、図6に示すように、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント205aにおいて、2本の側縁部13,13が、中央で折れ曲がった直線状である。本実施形態のハニカム構造体200は、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント205aにおいて、端縁10aが外側に凸となるように中央で折れ曲がった直線状であり、側縁部13が内側に凹むように中央で折れ曲がった直線状である。また、本実施形態のハニカム構造体200におけるハニカムセグメント205aは、セルの延びる方向に直交する断面において、長手方向Lに直交する対称軸と、長手方向Lに平行な対称軸の両方を有するものである。更に、本実施形態のハニカム構造体200におけるハニカムセグメント205aは、セルの延びる方向に直交する断面において、端縁10aと側縁部13とが相補的な形状となっており、一のハニカムセグメント205aの端縁10aと、他のハニカムセグメント205aの側縁部13とを隙間無く接合させることが可能である。これにより、本実施形態のハニカム構造体200においては、セルの延びる方向に直交する断面において、一のハニカムセグメントの端縁が、隣接するハニカムセグメントの側縁部に当接するとともに、当該一のハニカムセグメントの側縁部が、隣接するハニカムセグメントの端縁に当接するように、各ハニカムセグメントが配置されている。これにより、ハニカム構造体200における各ハニカムセグメントは、各ハニカムセグメント間に隙間が形成されることなく接合されている。
また、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態(ハニカム構造体300)は、図7、図8に示すように、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント305aにおいて、2本の側縁部13,13が、内側に凹んだ曲線状である。本実施形態のハニカム構造体300は、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント305aにおいて、端縁10aが外側に凸となる曲線状であり、側縁部13が内側に凹む曲線状である。端縁10aは中央が最も突き出た形状であり、側縁部13は中央が最も凹んだ形状である。また、本実施形態のハニカム構造体300におけるハニカムセグメント305aは、セルの延びる方向に直交する断面において、長手方向Lに直交する対称軸と、長手方向Lに平行な対称軸の両方を有するものである。更に、本実施形態のハニカム構造体300におけるハニカムセグメント305aは、セルの延びる方向に直交する断面において、端縁10aと側縁部13とが相補的な形状となっており、一のハニカムセグメント305aの端縁10aと、他のハニカムセグメント305aの側縁部13とを隙間無く接合させることが可能である。これにより、本実施形態のハニカム構造体300においては、セルの延びる方向に直交する断面において、一のハニカムセグメントの端縁が、隣接するハニカムセグメントの側縁部に当接するとともに、当該一のハニカムセグメントの側縁部が、隣接する他のハニカムセグメントの端縁に当接するように、各ハニカムセグメントが配置されている。これにより、ハニカム構造体300における各ハニカムセグメントは、各ハニカムセグメント間に隙間が形成されることなく接合されている。これにより、ハニカム構造体300における各ハニカムセグメントは、各ハニカムセグメント間に隙間が形成されることなく接合されている。
図1に示される、本発明のハニカム構造体の一の実施形態(ハニカム構造体100)を構成するハニカムセグメントの中で、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aを除くハニカムセグメントは、最外周を構成するハニカムセグメントである。最外周を構成するハニカムセグメントは、ハニカム構造体の最外周の形状に合わせた形状となるが、上記内側の領域に位置するハニカムセグメント5aと接触する面は、上記内側の領域に位置するハニカムセグメント5aの側面(接触面)と、隙間が形成されることなく接合されていることが好ましい。本実施形態のハニカム構造体100においは、最外周を構成するハニカムセグメントは、内側の領域に位置するハニカムセグメント5aの周囲に、当該ハニカムセグメント5aと同じ形状のハニカムセグメントが接合され、ハニカム構造体の外周形状(円筒状)に合わせて一部が研削されて形成されたものである。
本発明のハニカム構造体の一の実施形態(ハニカム構造体100)を構成するハニカムセグメントの材質としては、セラミックが好ましく、強度及び耐熱性に優れることより、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、鉄−クロム−アルミニウム系合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。これらの中でも、炭化珪素が特に好ましい。炭化珪素は、熱膨張率が比較的大きいため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体は、大きなものを形成すると使用時に熱衝撃により欠陥が生じることがあったが、本発明のハニカム構造体は、複数のハニカムセグメントが、互いの側面同士が対向するように隣接して配置され、対向する側面同士が接合部により接合された構造であるため、炭化珪素の熱膨張による応力が接合部により緩和され、ハニカム構造体の欠陥の発生を防止することができる。また、本実施形態のハニカム構造体の最外周を構成する外周部8は、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤、水等を混合したものを、外周に塗布して形成されたものであることが好ましい。
本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカムセグメント(ハニカムセグメントを構成する隔壁)は、多孔質であることが好ましい。ハニカムセグメントの気孔率は30〜70%であり、40〜60%であることが好ましい。気孔率をこのような範囲とすることにより、強度を維持しながら圧力損失を小さくすることができる。気孔率が30%未満であると、圧力損失が上昇することがある。気孔率が70%を超えると、強度が低下したり、熱伝導率が低下したりすることがある。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカムセグメントは、平均細孔径が5〜30μmであることが好ましく、10〜25μmであることが更に好ましい。平均細孔径をこのような範囲とすることにより、粒子状物質(PM)を効果的に捕集することができる。平均細孔径が5μm未満であると、ハニカム構造体が、粒子状物質(PM)によって目詰まりし易くなることがある。平均細孔径が30μmを超えると、粒子状物質(PM)がハニカム構造体に捕集されずに通過することがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカムセグメントの材質が炭化珪素である場合、炭化珪素粒子の平均粒径が5〜40μmであることが好ましい。このような平均粒径とすることにより、フィルターに好適な、気孔率及び気孔径のハニカムセグメント(ハニカム構造体)を形成しやすいという利点がある。平均粒径が5μmより小さいと、気孔径が小さくなり過ぎ、40μmより大きいと気孔率が大きくなり過ぎる。気孔径が小さ過ぎると粒子状物質(PM)によって目詰まりし易くなることがあり、気孔率が大き過ぎると強度が低下することがある。原料の平均粒径は、JIS R 1629に準拠して測定した値である。
本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカムセグメントのセル形状(ハニカム構造体の中心軸方向(セルが延びる方向)に直交する断面におけるセル形状)としては、特に制限はなく、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。
本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカムセグメントの隔壁厚さは、2.0〜4.5mmであることが好ましく、2.5〜4.0mmであることが更に好ましい。2.0mmより薄いと、ハニカム構造体の強度が低下することがある。4.5mmより厚いと、ハニカム構造体にガスが流通するときの圧力損失が大きくなることがある。また、本実施形態のハニカム構造体の最外周を構成する外周部8の厚さは、0.1〜3.0mmであることが好ましい。0.1mmより薄いと、ハニカム構造体の強度が低下することがある。3.0mmより厚いと、粒子状物質を捕集する捕集面積が小さくなることがある。
また、本実施形態のハニカム構造体を構成するハニカムセグメントのセル密度は、特に制限されないが、20〜90セル/cm2であることが好ましく、30〜70セル/cm2であることが更に好ましい。20セル/cm2より小さいと、ハニカム構造体にガスが流通するときの圧力損失が大きくなることがある。90セル/cm2より大きいと、粒子状物質を捕集する捕集面積が小さくなることがある。
また、本実施形態のハニカム構造体の中心軸方向に直交する断面において、配置されているハニカムセグメントの個数は、4〜60個であることが好ましく、9〜40個であることが更に好ましい。また、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメントの個数は、1〜40個であることが好ましく、4〜25個であることが更に好ましい。
本実施形態のハニカム構造体は、図1に示すように、ハニカムセグメント5の、所定のセルの一方の端部と、残余のセルの他方の端部とに目封止部が形成され、当該所定のセルと当該残余のセルとが交互に並んでいる。これにより、本実施の形態のハニカム構造体100は、両端面が、目封止部とセルの開口部とにより市松模様が形成されている。尚、目封止部の形成パターン(上記所定のセルと上記残余のセルの配置パターン)は、このようにハニカム構造体100の両端面に市松模様が形成されるようなパターンに限定されず、他のパターンでもよい。目封止部の材質は、ハニカムセグメントを形成する材質と同じであることが好ましい。
本実施形態のハニカム構造体は、複数のハニカムセグメントが接合材によって接合されて形成されている(隣接するハニカムセグメント間に接合材が配設されている)ことが好ましい。接合材は、ハニカムセグメントを接合する機能を果たすとともに、ハニカムセグメントが熱膨張、収縮等の変形をしたとき、又は外部から力が加わったときに、緩衝材としての機能を果たす。接合材の厚さは、0.1〜3.0mmが好ましい。0.1mmより薄いと、接合強度が低くなることがあり、また、緩衝材としての機能が低下することがある。3.0mmより厚いと、ハニカム構造体に排ガスを流すときの圧力損失が低下することがある。接合材の材質としては、コロイダルシリカ等を挙げることができる。
本実施形態のハニカム構造体の全体の形状は特に限定されず、例えば、円筒形状、オーバル形状等所望の形状とすることができる。また、ハニカム構造体の大きさは、例えば、円筒形状の場合、底面の直径が80〜300mmであることが好ましく、100〜280mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造体の中心軸方向の長さは、100〜350mmであることが好ましく、100〜300mmであることが更に好ましい。
(2)ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の製造方法について説明する。
(2−1)ハニカムセグメントの作製:
まず、セラミック原料にバインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。セラミック原料としては、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、鉄−クロム−アルミニウム系合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、炭化珪素が好ましい。セラミック原料の含有量は、成形原料全体に対して40〜90質量%であることが好ましい。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、成形原料全体に対して3〜15質量%であることが好ましい。
水の含有量は、成形原料全体に対して7〜45質量%であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して5質量%以下であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、成形原料全体に対して15質量%以下であることが好ましい。
次に、成形原料および水を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
次に、坏土を押出成形して図9に示すようなハニカム成形体21を14個形成する。作製するハニカム成形体の個数は、作製しようとするハニカム構造体の大きさに合わせて適宜決定することができる。ハニカム成形体21は、全て同じ形状とすることができ、複数種類のハニカム成形体を形成する必要は無い。ハニカム構造体を作製したときに、少なくとも1のハニカムセグメントが、最外周を形成しないようにすることが必要である。押出成形に際しては、所望のセグメント形状、セグメントの配置、セル形状、隔壁厚さ、セル密度等を有する口金を用いることが好ましい。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。ハニカム成形体21は、流体の流路となる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1と最外周に位置する外周壁7とを有する構造である。ハニカム成形体21のセルの延びる方向に直交する断面の形状は、上記本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメントの形状と同じであることが好ましい。図9は、本発明のハニカム構造体の一実施形態を製造する過程で作成される、ハニカム成形体21を模式的に示す斜視図である。
ハニカム成形体21の隔壁厚さ、セル密度、外周壁の厚さ等は、乾燥、焼成における収縮を考慮し、作製しようとする本発明のハニカム構造体の構造に合わせて適宜決定することができる。
得られたハニカム成形体21について、焼成前に乾燥を行うことが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜90質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。
次に、ハニカム成形体21の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、両端部を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。
次に、ハニカム成形体21を焼成して、ハニカム焼成体を作製することが好ましい。焼成の前に、バインダ等を除去するため、仮焼成を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1300〜1500℃で、1〜20時間加熱することが好ましい。
次に、得られたハニカム焼成体の、所定のセルの一方の端部と残余のセルの他方の端部とに目封止部を形成し、図10に示すハニカムセグメント22を作製する。目封止部を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。ハニカム焼成体の一方の端面にシートを貼り付けた後、当該シートの目封止部を形成しようとするセル(所定のセル)に対応した位置に穴を開ける。また、目封止部の構成材料をスラリー化した目封止用スラリーを容器に貯めておく。そして、ハニカム焼成体の当該シートを貼り付けた側の端部を、目封止用スラリーを貯めた容器内に圧入し、シートに開けた孔を通じて、目封止部を形成しようとするセル(所定のセル)の開口部内に目封止用スラリーを充填する。そして、ハニカム焼成体の他方の端面については、一方の端面において目封止を施さなかったセル(残余のセル)について、上記一方の端面に目封止部を形成した方法と同様の方法で目封止部を形成する(目封止スラリーを充填する)。目封止部の構成材料としては、ハニカム成形体の材料と同じものを用いることが好ましい。目封止部を形成した後に、上記焼成条件と同様の条件で焼成を行うことが好ましい。また、目封止部の形成は、ハニカム成形体を焼成する前に行ってもよい。図10は、本発明のハニカム構造体の一実施形態を構成するハニカムセグメント22を模式的に示す斜視図である。
(2−2)ハニカム構造体の作製:
次に、作製したハニカムセグメントを接合材で接合して、図11に示すような、14個のハニカムセグメント22が、互いの側面同士が対向するように隣接して配置されると共に、対向する側面同士が接合材により接合されたハニカムセグメント接合体23を作製する。接合させるハニカム成形体の個数は、作製しようとするハニカム構造体の大きさに合わせた個数であることが好ましい。接合材は、対向する側面全体すなわち接合面全体に配設されることが好ましい。接合材は、ハニカムセグメントが熱膨張、熱収縮したときに、体積変化分を緩衝する(吸収する)役割を果たすとともに、各ハニカムセグメントを接合する役割を果たす。図11は、本発明のハニカム構造体の一実施形態を製造する過程で作製される、複数のハニカムセグメントが接合されて形成されたハニカムセグメント接合体を模式的に示す平面図である。図11においては、各ハニカムセグメントを構成する隔壁及び目封止部を省略している。
ハニカムセグメント22を接合する際には、セルの延びる方向に直交する断面において、一のハニカムセグメント22の端縁には他のハニカムセグメントの端縁を接合し、一のハニカムセグメント22の側縁部には他のハニカムセグメントの側縁部を接合することが好ましい。そして側縁部同士が接合されているハニカムセグメントにおいては、セルの延びる方向に直交する断面において、一のハニカムセグメントの長手方向における中央部分と、他のハニカムセグメントの「長手方向における端部における最も幅が広い部分」とが接した状態となるようにすることが好ましい。これにより、ハニカム構造体100における各ハニカムセグメントは、各ハニカムセグメント間に隙間が形成されることなく接合することができる。
接合材としては、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子等の無機原料に、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤等の添加材を加えたものに水を加えて混練したスラリー等を挙げることができる。
尚、本発明のハニカム構造体の他の実施形態(ハニカム構造体200)(図5を参照)を製造する場合には、ハニカムセグメント22を接合してハニカムセグメント接合体33を作製する際に、図12に示すように、セルの延びる方向に直交する断面において、一のハニカムセグメント32の端縁が、隣接するハニカムセグメント32の側縁部に当接するとともに、当該一のハニカムセグメントの側縁部が、隣接するハニカムセグメントの端縁に当接するように、各ハニカムセグメントを配置することが好ましい。ハニカムセグメント32は、セルの延びる方向に直交する断面において、端縁と側縁部とが相補的な形状となるように形成しておく。図12は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を製造する過程で作製される、複数のハニカムセグメント32が接合されて形成されたハニカムセグメント接合体33を模式的に示す平面図である。図12においては、各ハニカムセグメントを構成する隔壁及び目封止部を省略している。
次に、ハニカムセグメント接合体23の外周部分を、切削線24に沿って切削して、切削加工を行ったハニカムセグメント接合体を得ることが好ましい。例えば、図1に示すハニカム構造体100を製造する場合には、14個のハニカムセグメント22を接合してハニカムセグメント接合体23を作製し、ハニカムセグメント接合体の外周を切削線24に沿って切削して円柱状の「切削加工を行ったハニカムセグメント接合体」としている。尚、本発明のハニカム構造体の他の実施形態(ハニカム構造体200)(図5を参照)を製造する場合には、図12に示すハニカムセグメント接合体33の外周部分を、切削線34に沿って切削して、切削加工を行ったハニカムセグメント接合体を得ることが好ましい。
次に、「切削加工を行ったハニカムセグメント接合体」の最外周(側面)に、外周コート処理を行うことにより、外周部8を配設して、ハニカム構造体100を得ることが好ましい。外周コート処理としては、外周コート材をハニカムセグメント接合体の最外周に塗布して、乾燥させる方法を挙げることができる。外周コート材としては、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤、水等を混合したもの等を用いることができる。それぞれの原料の含有量は、上記接合材の原料の含有量の好ましい範囲と同様の範囲が好ましい。また、外周コート材を塗布する方法は、特に限定されず、切削加工を行ったハニカムセグメント接合体をろくろ上で回転させながらゴムへら等でコーティングする方法等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
セラミックス原料として、SiC粉、金属Si粉を80:20の質量割合で混合し、これに、成形助材としてメチルセルロース及びヒドロキシプロポキシメチルセルロース、造孔材として澱粉と吸水性樹脂、界面活性剤及び水を添加して混練し、真空土練機により四角柱状の坏土を作製した。
得られた四角柱状の坏土を押出成形機を用いて、図9に示すような、流体の流路となる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1と最外周に位置する外周壁7とを有し、セルの1延びる方向に直交する断面において、長手方向における両端部のそれぞれの端縁が直線状に形成され、当該それぞれの端縁間を結ぶ2本の側縁部が内側に凹むとともに、中央で折れ曲がった直線状に形成されたハニカム成形体(セグメント形状:A形状)を形成した。得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断した。
得られたハニカム成形体を、更に、熱風乾燥機を用いて120℃で5時間乾燥し、その後、大気雰囲気にて脱臭装置付き大気炉を用いて約450℃で5時間かけて脱脂し、その後、Ar不活性雰囲気にて約1450℃で5時間焼成して、SiC結晶粒子がSiで結合された、多孔質のハニカム焼成体を得た。ハニカム焼成体の平均細孔径は20μmであり、気孔率は50%であった。平均細孔径および気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
得られたハニカム焼成体について、ハニカム焼成体の両端面に市松模様を形成するように、所定のセルの一方の端部と、残余のセルの他方の端部とに目封止部を形成した。目封止用の充填材には、ハニカム成形体と同様の材料を用いた。ハニカム焼成体に目封止部を形成した後に、上記焼成条件と同じ条件でハニカム焼成体を焼成し、図10に示すような、ハニカムセグメント22を形成した。ハニカムセグメントは、14個作製した。得られたハニカムセグメントは、セルの延びる方向に直交する断面の、長手方向における中央部分の幅T1が17.5mm、長手方向における端部の幅T2が35.0mm、長手方向長さT3が46.7mmであった。また、ハニカムセグメントのセルの延びる方向に直交する断面の面積(セグメント面積)は、1225mm2であった。また、ハニカムセグメントのセルの延びる方向における長さは152.4mmであった。また、ハニカムセグメントの、隔壁の厚さは0.3mmであり、セル密度は46.5セル/cm2であった。セグメント形状、T1、T2、T3及びセグメント面積を表1に示す。
得られた14個のハニカムセグメントを、図11に示すように、セルの延びる方向に直交する断面において、一のハニカムセグメント22の端縁には他のハニカムセグメントの端縁を接合し、一のハニカムセグメント22の側縁部には他のハニカムセグメントの側縁部を接合するようにして、組み立ててハニカムセグメント接合体23を作製した。ハニカムセグメント接合体23は、セルの延びる方向に直交する断面において、一のハニカムセグメントの長手方向における中央部分と、他のハニカムセグメントの「長手方向における端部における最も幅が広い部分」とが接した状態となっている。さらに詳しくは、ハニカムセグメント接合体23は、2個のハニカムセグメントを端縁同士で接合した「ブロック(2)」と、3個のハニカムセグメントを端縁同士で接合した「ブロック(3)」と、4個のハニカムセグメントを端縁同士で接合した「ブロック(4)」とが、「ブロック(2)、ブロック(3)、ブロック(4)、ブロック(3)、ブロック(2)」の順に、それぞれの側縁部同士が接するようにして接合されたものである。接合材としては、アルミノシリケート無機繊維とSiC粒子との混合物を用いた。
ハニカムセグメント接合体の外周を粗加工、研削して円筒状の所望の形状を得た。外周加工後のハニカムセグメント接合体に外周コート処理を行い、ハニカムセグメント接合体の最外周に外周部を配設して、図1に示すような、直径143.8mmのハニカム構造体を得た。外周コート材としてはSiC粒子、コロイダルシリカ等を混合したものを用いた。
得られたハニカム構造体は、「内側の領域に位置するハニカムセグメント」は、図1に示されるように、4個であった。
得られたハニカム構造体について、以下の方法で、「再生限界」、「圧力損失」及び「再生効率」の評価を行った。
(再生限界)
まず、ハニカム構造体に所定量の煤(単位:g/L(ハニカム構造体1リットル当たりの煤の堆積量))を堆積させ、その状態で、エンジン回転数1800rpm、エンジントルク90N・mに保持して、エンジンからの排ガスをハニカム構造体に流した状態で、ポストインジェクションを入れる。そして、ハニカム構造体の一方の端部と他方の端部との圧力差(圧力損失)が低下し始めたところでポストインジェクションを切り、エンジンをアイドル状態に切り替える。そのときの、ハニカム構造体内の最高温度、及びハニカム構造体の出口側の端面での最大温度勾配を測定するとともに、ハニカム構造体の出口側の端面のクラック発生の有無を確認する。ハニカム構造体にクラックが発生していない場合は、更に、初期の煤の堆積量を1g/Lずつ増加させて上記試験を繰り返し、ハニカム構造体の出口側の端面にクラックが発生した際の、出口側端面の最大温度勾配を端面クラック限界温度勾配(クラック限界)(℃/cm)とする。
(圧力損失)
エンジン回転数1800rpmの状態でエンジンから排出された排ガスをハニカム構造体に流したときの、ハニカム構造体の一方の端部と他方の端部との圧力差(圧力損失)(kPa)を測定する。試験は、煤がハニカム構造体に堆積していない状態で行う。
(再生効率)
まずハニカム構造体の質量を測定し、その後ハニカム構造体に8g/Lの煤(単位:g/L(ハニカム構造体1リットル当たりの煤の堆積量))を堆積させ、その状態で、エンジン回転数1800rpm、エンジントルク90N・mに保持して、エンジンからの排ガスをハニカム構造体に流した状態で、ポストインジェクションを10分間入れる。その後、ハニカム構造体の質量を測定することでハニカム構造体中の残存煤質量を算出し、初期の煤堆積質量と比較してポストインジェクション中に燃焼した煤質量を算出し、初期の煤質量に対する燃焼した煤質量の割合を再生効率(%)とする。
(実施例2〜34、比較例1〜16)
セグメント形状、T1、T2、T3及びセグメント断面積を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。実施例1の場合と同様にして、「再生限界」、「圧力損失」及び「再生効率」の評価を行った。
表1において、「セグメント形状」の欄の「B形状」は、図5に示すハニカム構造体200を構成するハニカムセグメント205aの形状であり、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント205aが、「端縁10aが、外側に凸となるように中央で折れ曲がった直線状に形成され、側縁部13が、内側に凹むように中央で折れ曲がった直線状に形成された」形状である。そして、端縁10aは中央が最も突き出た形状であり、側縁部13は中央が最も凹んだ形状である。ハニカムセグメント205aは、セルの延びる方向に直交する断面において、長手方向に直交する対称軸と、長手方向に平行な対称軸の両方を有するものである。そして、ハニカムセグメント205aは、セルの延びる方向に直交する断面において、端縁10aと側縁部13とが相補的な形状となっており、ハニカム構造体200は、一のハニカムセグメント205aの端縁10aと、他のハニカムセグメント205aの側縁部13とが接合された形状である。
表1において、「セグメント形状」の欄の「C形状」は、図7に示すハニカム構造体300を構成するハニカムセグメント305aの形状であり、セルの延びる方向に直交する断面における、内側の領域に位置するハニカムセグメント305aが、端縁10aが外側に凸となる曲線状であり、側縁部13が内側に凹む曲線状である。そして、端縁10aは中央が最も突き出た形状であり、側縁部13は中央が最も凹んだ形状である。ハニカムセグメント305aは、セルの延びる方向に直交する断面において、長手方向に直交する対称軸と、長手方向に平行な対称軸の両方を有するものである。ハニカムセグメント305aは、セルの延びる方向に直交する断面において、端縁10aと側縁部13とが相補的な形状となっており、ハニカム構造体300は、一のハニカムセグメント205aの端縁10aと、他のハニカムセグメント205aの側縁部13とが接合された形状である。
表1において、「セグメント形状」の欄の「四角形」は、ハニカム構造体を構成する「内側の領域に位置するハニカムセグメント」の、セルの延びる方向に直交する断面の形状が、正方形であることを意味する。「内側の領域に位置するハニカムセグメント」は、4個であった。
表2は、各セグメント形状(実施例1,2,3、比較例1)における、「T2/T1」を一定にし、煤の質量を変化させたときの再生限界の変化を示すものである。表3は、各セグメント形状における、「煤の質量を一定にし、「T2/T1」の値を変化させたときの、再生限界の変化」を示すものである。表4は、セグメント形状がA形状であり、「T2/T1」の値が異なるハニカム構造体における、煤の質量を変化させたときの再生限界の変化を示すものである。表5は、各セグメント形状における、「煤の質量を一定にし、セグメント断面積を変化させたときの、再生限界の変化」を示すものである。表6は、各セグメント形状における、「煤の質量を一定にし、セグメント断面積を変化させたときの、圧力損失の上昇率(圧力損失上昇率)」を示すものである。表6において、圧力損失上昇率は、比較例1の圧力損失を基準にした値である。表7は、セグメント形状がA形状であり、セグメント断面積が異なるハニカム構造体における、煤の質量を変化させたときの再生限界の変化を示すものである。表8は、各セグメント形状(T2/T1=1.3)における、「煤の質量及びガス温度を変化させたときの、再生効率の変化」を示すものである。表9は、各セグメント形状(T2/T1=4.0)における、「煤の質量及びガス温度を変化させたときの、再生効率の変化」を示すものである。
表1〜表9より、実施例1〜34のハニカム構造体は、再生限界、再生効率の各評価について良好な結果であることがわかり、また圧力損失については従来技術と比較して同等レベルを確保できていることがわかる。これに対し、比較例1〜7のハニカム構造体は、ハニカムセグメントの断面形状が四角形であるため、再生限界、再生効率の評価結果が悪いことがわかる。