JP2016043856A - 助手席用エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】斜め前方側に向かって移動する乗員を、膨張を完了させたエアバッグによって円滑に保護可能な助手席用エアバッグ装置を提供すること。【解決手段】エアバッグ15が、膨張完了時の後面側を、乗員MPを保護可能な乗員保護部39として構成される。乗員保護部39が、車両Vの前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な前突用拘束面40と、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な斜突用拘束面41と、を有する。斜突用拘束面41が、前突用拘束面49の側方において、前突用拘束面40から後方に向かって突出するように、形成されるとともに、表面側に、乗員MPの頭部MHを受け止めた際の頭部の滑りを抑制可能とする滑り抑制層36を、配置させている。【選択図】図15

Description

本発明は、助手席に着座した乗員の前方に配置されたインストルメントパネルに設けられる収納部位に折り畳まれて収納され、内部に膨張用ガスを流入させて車両後方側に向かって突出するように膨張し、乗員を保護可能に構成されるエアバッグを備えた助手席用エアバッグ装置に、関する。
従来、助手席用エアバッグ装置としては、エアバッグが、膨張完了時に助手席に着座した乗員の前方を覆う本体部と、本体部の後端側における左右方向の端部近傍から後方に突出する突出部と、を備える構成のものがあった(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開平2−303951号公報 特開平8−324373号公報 特開2010−201980公報
これらの従来の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグが、膨張完了時に、助手席に着座した乗員の前方に加えて、斜め前方も覆い可能とするように、突出部を備える構成であった。しかしながら、これらの従来の助手席用エアバッグ装置では、車両が斜め衝突やオフセット衝突等した際に、斜め前方側に向かって移動する乗員の頭部を、この突出部により受け止めることとなるが、受け止める際に、乗員の頭部を滑らせ、例えば、鼻先を突出部から離隔させて本体部の後面側に向けるように回転させて受け止めることとなって、乗員の頭部を、回転させずに的確に受け止める点に課題が生じていた。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、斜め前方側に向かって移動する乗員を、膨張を完了させたエアバッグによって円滑に保護可能な助手席用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る助手席用エアバッグ装置は、助手席に着座した乗員の前方に配置されたインストルメントパネルに設けられる収納部位に折り畳まれて収納され、内部に膨張用ガスを流入させて車両後方側に向かって突出するように膨張し、乗員を保護可能に構成されるエアバッグを、備える助手席用エアバッグ装置であって、
エアバッグが、膨張完了時の後面側を、乗員を保護可能な乗員保護部として構成され、
乗員保護部が、車両の前突時に前進移動する乗員の頭部を保護可能な前突用拘束面と、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を保護可能な斜突用拘束面と、を有し、
斜突用拘束面が、前突用拘束面の側方において、前突用拘束面から後方に向かって突出するように、形成されるとともに、表面側に、乗員の頭部を受け止めた際の頭部の滑りを抑制可能とする滑り抑制層を、配置させていることを特徴とする。
本発明の助手席用エアバッグ装置では、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、乗員の頭部が斜め前方に向かって移動すると、膨張を完了させたエアバッグにおいて、前突用拘束面から後方に向かって突出するように形成される斜突用拘束面が、この斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を受け止めて保護することとなる。そして、斜突用拘束面の表面側には、乗員の頭部を受け止めた際の頭部の滑りを抑制可能な滑り抑制層が、形成されている。斜め前方に移動する乗員の頭部を、前突用拘束面から後方に向かって突出している斜突用拘束面によって受け止めると、乗員の頭部には、上方から見て、鼻先を斜突用拘束面から離隔させて前突用拘束面側に向けるように旋回する挙動が発生することとなるが、本発明の助手席用エアバッグ装置では、斜突用拘束面の表面側に、頭部の滑りを抑制可能な滑り抑制層が形成されていることから、頭部の受け止め時に、頭部が斜突用拘束面に対して滑ることを抑制でき、上述したように頭部が旋回することを、抑制できる。そのため、乗員の頭部を、斜突用拘束面によって的確に受け止めることができ、また、このとき、前突用拘束面と斜突用拘束面とによって、乗員の頭部の前側と左右の一方側の側方との二面側を、略同時に拘束することができて、乗員の頭部を広い範囲で拘束することができる。そのため、本発明の助手席用エアバッグ装置では、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を前突用拘束面と斜突用拘束面とによって、円滑に受け止めることができる。
したがって、本発明の助手席用エアバッグ装置では、斜め前方側に向かって移動する乗員を、膨張を完了させたエアバッグによって円滑に保護することができる。
また、本発明の助手席用エアバッグ装置において、斜突用拘束面を、前突用拘束面の運転席側の側方に形成し、
エアバッグを、膨張完了時において、斜突用拘束面の前側の領域に、乗員の受け止め時に運転席の前方においてステアリングホイールを覆うように膨張するステアリングホイール用エアバッグと接触する接触面を備える構成とし、
接触面の表面側に、滑り抑制層を配置させる構成とすることが、好ましい。
助手席用エアバッグ装置を上記構成とすれば、エアバッグが、膨張完了時において運転席側の斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を受け止めた際に、ステアリングホイール用エアバッグによって滑らずに支持されることとなり、斜め前方への移動を抑制されて姿勢を安定させた状態で、乗員の頭部を受け止めることができることから、乗員の頭部を、より一層、回転させたり摺動させたりする移動を抑制して、エアバッグにより好適に受け止めることができる。
さらに、上記構成の助手席用エアバッグ装置において、滑り抑制層を有する部位を、表面にシリコンコーティング剤を塗布させたコート布から、形成すれば、滑り抑制層を別途塗布等により形成する場合と比較して、エアバッグの製造時に、同時に滑り抑制層を形成することができることから、滑り抑制層を備えるエアバッグを簡便に形成することができて、好ましい。
本発明の第1実施形態である助手席用エアバッグ装置を車両に搭載させた状態を示す概略断面図である。 第1実施形態の助手席用エアバッグ装置を車両に搭載させた状態の概略平面図である。 第1実施形態の助手席用エアバッグ装置を車両に搭載させた状態の概略正面図である。 第1実施形態の助手席用エアバッグ装置で使用されるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す後左方から見た状態の斜視図である。 図4のエアバッグを単体で膨張させた状態を示す後右方から見た状態の斜視図である。 図4のエアバッグを単体で膨張させた状態を示す前左方から見た状態の斜視図である。 図4のエアバッグの概略縦断面図である。 図4のエアバッグの概略横断面図である。 第1実施形態のエアバッグを構成する基布を示す平面図である。 第1実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図である。 第1実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図であり、図10の後の工程を示す。 第1実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図であり、図11の後の工程を示す。 第1実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図であり、図12の後の工程を示す。 第1実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図であり、図13の後の工程を示す。 第1実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態の概略平面図である。 第1実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグの膨張完了時に、斜め前方に移動する乗員の頭部を受け止めた状態を示す概略平面図である。 第1実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態の概略正面図であり、乗員頭部受止前と受止後との状態を示す。 本発明の第2実施形態の助手席用エアバッグ装置で使用されるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す後左方から見た状態の斜視図である。 図18のエアバッグを単体で膨張させた状態を示す後右方から見た状態の斜視図である。 図18のエアバッグの概略縦断面図である。 図18のエアバッグの概略横断面図である。 図21のXXII−XXII部位を示す図である。 第2実施形態のエアバッグを構成する基布を示す平面図である。 第2実施形態のエアバッグを構成する基布を示す平面図である。 第2実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図である。 第2実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図であり、図25の後の工程を示す。 第2実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図であり、図26の後の工程を示す。 第2実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図であり、図27の後の工程を示す。 第2実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図であり、図28の後の工程を示す。 第2実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態の概略平面図である。 第2実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグの膨張完了時に、斜め前方に移動する乗員の頭部を受け止めた状態を示す概略平面図である。 第2実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態の概略正面図であり、乗員頭部受止前と受止後との状態を示す。 本発明の第3実施形態の助手席用エアバッグ装置で使用されるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す後左方から見た状態の斜視図である。 図33のエアバッグを単体で膨張させた状態を示す後右方から見た状態の斜視図である。 図34のエアバッグの概略縦断面図である。 図34のエアバッグの概略横断面図である。 図34のエアバッグの概略縦断面図である。 図36のXXXVIII−XXXVIII部位を示す概略図である。 第3実施形態のエアバッグを構成する基布を示す平面図である。 第3実施形態のエアバッグを構成する基布を示す平面図である。 第3実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図である。 第3実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図であり、図41の後の工程を示す。 第3実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図であり、図42の後の工程を示す。 第3実施形態のエアバッグを製造する工程を説明する概略図であり、図43の後の工程を示す。 第3実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態の概略正面図である。 第3実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態の概略平面図である。 第3実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグの膨張完了時に、斜め前方に移動する乗員の頭部を受け止めた状態を示す概略平面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1は、図1〜3に示すように、車両Vにおける助手席PSの前方において、インストルメントパネル(以下「インパネ」と省略する)1の上面2の内部に配置されるトップマウントタイプとされている。なお、実施形態において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両Vの前後・上下・左右の方向と一致するものである。
第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1は、図1に示すように、折り畳まれたエアバッグ15と、エアバッグ15に膨張用ガスを供給する2つのインフレーター8,8と、エアバッグ15及びインフレーター8を収納保持する収納部位としてのケース12と、エアバッグ15及び各インフレーター8をケース12に取り付けるための2つのリテーナ9,9と、折り畳まれたエアバッグ15の上方を覆うエアバッグカバー6と、を備えて構成されている。
エアバッグカバー6は、合成樹脂製のインパネ1と一体的に形成されて、エアバッグ15の展開膨張時に、前後二枚の扉部6a,6bを、エアバッグ15に押されて開くように、構成されている。また、エアバッグカバー6における扉部6a,6bの周囲には、ケース12に連結される連結壁部6cが、形成されている。
2つのインフレーター8は、実施形態の場合、図2に示すように、左右方向側で並設されている。各インフレーター8は、図1に示すように、複数のガス吐出口8bを有した略円柱状の本体部8aと、インフレーター8をケース12に取り付けるためのフランジ部8cと、を備えて構成されている。各インフレーター8は、実施形態の場合、車両Vの前面衝突と、斜め衝突と、オフセット衝突の際に、作動するように構成されている。
収納部位としてのケース12は、上端側に長方形状の開口を有した板金製の略直方体形状に形成され、各インフレーター8を下方から挿入させて取り付ける略長方形板状の底壁部12aと、底壁部12aの外周縁から上方に延びてエアバッグカバー6の連結壁部6cを係止する周壁部12bと、を備えて構成されている。実施形態の場合、エアバッグ15と各インフレーター8とは、エアバッグ15内に配置させた各リテーナ9の各ボルト9aを取付手段として、エアバッグ15におけるガス流入口20の周縁、ケース12の底壁部12a、及び、インフレーター8のフランジ部8cを、貫通させて、ナット10止めすることにより、ケース12の底壁部12aに取り付けられている。また、ケース12の底壁部12aには、車両Vのボディ側に連結される図示しないブラケットが、配設されている。
エアバッグ15は、実施形態の場合、図4〜7に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するバッグ本体16と、バッグ本体16内に配置されてバッグ本体16の膨張完了形状を規制するテザー(前後テザー)43と、を備えている。
バッグ本体16は、可撓性を有したシート体から形成される袋状とされるもので、実施形態の場合、図4〜8に示すように、本体膨張部17と、膨張完了時の本体膨張部17の左後端付近から左方と後方とに突出するように配置される突出膨張部27と、を備えている。
本体膨張部17は、図4〜8に示すように、膨張完了時に、インパネ1の上面2とインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように配置可能な構成とされている。具体的には、本体膨張部17は、膨張完了時の形状を、前端側にかけてやや左右に狭幅となるように収束される略四角錐形状とされている。本体膨張部17は、膨張完了時に乗員MP側である後面側に配置される後側壁部25と、後側壁部25の周縁から前方に延びるとともに、前端側にかけて上下方向の幅寸法を小さくするように収束される先細り形状の周壁部18と、を備えている。
周壁部18は、エアバッグ15の膨張完了時に、主にインパネ1の上面2とインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように配置される構成であり、上下両側で略左右方向に沿って配置される上壁部18a,下壁部18bと、左右両側で略前後方向に沿って配置される左壁部18c,右壁部18dと、を備えている。周壁部18の前端側の下面側となる下壁部18bの部位には、内部に膨張用ガスを流入可能に略円形に開口して、周縁をケース12の底壁部12aに取り付けられるガス流入口20が、左右方向に沿って二つ並設されている。また、各ガス流入口20の周縁には、リテーナ9のボルト9aを挿通させて、各ガス流入口20の周縁をケース12の底壁部12aに取り付けるための複数(実施形態の場合、4個)の取付孔21が、それぞれ、形成されている。実施形態の場合、エアバッグ15は、図8,15に示すように、ガス流入口20,20の中心間の中央となる部位を、取付中心C1として、この取付中心C1を助手席PSの左右方向の中心と一致させるようにして、ケース12に取り付けられ、車両Vに搭載されている。周壁部18における左壁部18cと右壁部18dとには、内部に流入した余剰の膨張用ガスを排気させるためのベントホール23,23が、形成されている。
実施形態の場合、本体膨張部17は、図8,15に示すように、膨張完了時に、上方側から見て取付中心C1を通って前後方向に沿って延びる中心線CL1より右側となる領域よりも、左側となる領域を大きくして、左方(運転席側)に突出するように、形成されている。
後側壁部25は、エアバッグ15の膨張完了時に、乗員MP側となる後面側において、上下方向に略沿うように配置されている。実施形態の場合、後側壁部25は、図1の二点鎖線及び図7に示すように、下端側を後方に向けるように上下方向に対してわずかに傾斜して、配置されている。また、この後側壁部25は、エアバッグ15の膨張完了時の前後方向に沿った横断面において、左右方向に略沿うように配置されるものであり、実施形態の場合、取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1と交差する部位(後述する前後テザー43の連結位置)を最も後側に位置させるようにして、左右両端側を前側に向けるように、左右方向側でわずかに湾曲して配置される(図8参照)。
突出膨張部27は、実施形態の場合、図4〜6,8に示すように、膨張完了時の本体膨張部17の左後側の上端付近において、左方にも後方にも突出するように、形成されている。すなわち、突出膨張部27は、膨張完了時の本体膨張部17の左後側の上端付近において、本体膨張部17の左後側の角部を囲むようにして、上方から見て略逆L字形状に突出して、形成されている。また、この突出膨張部27は、エアバッグ15の膨張完了時に、助手席PSに着座した乗員MPの頭部MHの左斜め前方となる位置に、配置されることとなる(図15参照)。突出膨張部27は、上下方向側で対向するように配置される上壁部28,下壁部29と、上壁部28と下壁部29とを連結して膨張完了時に本体膨張部17から離れた側に配置される外側周壁部30と、上壁部28と下壁部29とを連結して膨張完了時に本体膨張部17側に配置される内側周壁部31と、を備えている。
外側周壁部30は、膨張完了時に前側に配置される前側部位30aと、左側に配置される左側部位30bと、後側に配置される後側部位30cと、右側に配置される右側部位30dと、を備えている。また、外側周壁部30の外表面側には、図4〜7に示すように、滑り抑制層36が、形成されている。滑り抑制層36は、乗員MPの頭部MHを接触させた際に、頭部MHを滑り難くするように、摩擦抵抗を大きくされるもので、実施形態の場合、エアバッグ15を構成する基布の表面に、シリコンコーティング剤を塗布させることにより、形成されている。内側周壁部31は、膨張完了時に本体膨張部17の左壁部18cに近接して配置される前側部位31aと、膨張完了時に本体膨張部17の後側壁部25に近接して配置される後側部位31bと、を備えている。実施形態の場合、内側周壁部31の外表面側にも、滑り抑制層36が、形成されている。実施形態では、外側周壁部30と内側周壁部31とは、後述するごとく、コート布からなる突出部用側方パネル56から、形成されている。そして、突出膨張部27は、内側周壁部31における後側部位31bの部位に形成される連通孔部33によって、本体膨張部17と連通され、この連通孔部33の周縁となる部位で、本体膨張部17の後側壁部25に連結されている。詳細には、突出膨張部27と本体膨張部17とを連通させる連通孔部33は、略長方形状に開口した4つの開口33aを上下左右で並設させて構成されるもので、突出膨張部27は、この連通孔部33の周縁部位34を、全周にわたって後側壁部25に縫着させることにより、本体膨張部17に連結されている。
また、この突出膨張部27は、エアバッグ15の膨張完了時における前後方向に沿った横断面において、取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1を跨がず、この中心線CL1よりも左側(運転席DS側)の領域に、形成されている。さらに、突出膨張部27は、膨張完了時の上下方向側の幅寸法を、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを的確に保護可能な寸法に設定されている。具体的には、突出膨張部27は、上下方向側の幅寸法を、本体膨張部17における後側壁部25近傍の部位の膨張完了時の上下方向側の幅寸法の2/5程度に設定されている。また、この突出膨張部27は、エアバッグ15の膨張完了時に、図15に示すように、膨張を完了させたステアリングホイール用エアバッグ69よりも後方に突出して、配置されることとなる。
さらに、実施形態の場合、突出膨張部27は、本体膨張部17からの左方への突出量を、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを受け止めた際に、運転席DS側の部位を、膨張を完了させたステアリングホイール用エアバッグ69と接触可能とするような寸法に、設定されている。実施形態の場合、突出膨張部27は、本体膨張部17よりも左方に突出している領域である外側周壁部30における前側部位30aから左側部位30bにかけての部位を、乗員MPの頭部MHを受け止めつつ乗員MPの頭部MHの前方移動に伴って前方に押圧された際に、ステアリングホイール用エアバッグ69と接触させる接触面37としている。なお、実施形態では、膨張完了時のエアバッグ15を車両後方側から見た状態で、突出膨張部27は、膨張を完了させたステアリングホイール用エアバッグ69の上方に離れた位置に配置されているが(図17のA参照)、車両Vの衝突時に、乗員MPは、シートベルトにより拘束される腰を起点として上半身を倒すようにして、頭部MHを上方から下方に向かって移動させることから、突出膨張部27は、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHに押圧されて斜め前下方に押圧されることとなり(図17のB参照)、頭部MH受け止め時に、前側部位30a若しくは左側部位30bの下端近傍の部位を、接触面37として、ステアリングホイール用エアバッグ69と接触させることとなる。
そして、実施形態のエアバッグ15では、突出膨張部27と、本体膨張部17における後側壁部25と、が、エアバッグ15の膨張完了時に乗員MPを保護可能な乗員保護部39を構成している。乗員保護部39は、車両Vの前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な前突用拘束面40と、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な斜突用拘束面41と、を備える構成である。実施形態の場合、前突用拘束面40は、後側壁部25の上側の領域であり、膨張完了時に、突出膨張部27の右側に配置される領域から、構成されている。すなわち、前突用拘束面40は、取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1を超えて左側(運転席DS側)に延びる領域を備えて、車両Vの前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを支障なく保護可能に構成されている。この前突用拘束面40は、エアバッグ15の膨張完了時に、中心線CL1付近の部位を後側に位置させて、左右両端側を前側に向けるように、左右方向側で僅かに湾曲して配置されることとなる(図8参照)。
斜突用拘束面41は、突出膨張部27における外側周壁部30の右側部位30dから構成されている。実施形態の場合、エアバッグ15の膨張完了時に、後側壁部25が、左右方向側でわずかに湾曲して配置され、突出膨張部27を取り付けている中心線CL1より左側の領域では、左側を前方に向けるように傾斜していることから、この後側壁部25に取り付けられる突出膨張部27も、前後方向に対して傾斜して配置されることとなり、この突出膨張部27における外側周壁部30の右側部位30dから構成される斜突用拘束面41は、後端側を左方(運転席側)に向けるように、前後方向に対して傾斜して配置されることとなる(図8参照)。また、斜突用拘束面41の外表面側には、上述した如く、滑り抑制層36が、形成されている。
バッグ本体16内には、実施形態の場合、図7,8に示すように、本体膨張部17におけるガス流入口20付近と後側壁部25とを連結する前後テザー43が、配置されている。前後テザー43は、実施形態の場合、エアバッグ15の膨張完了時に、取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1上に位置するように、配置されるもので(図8参照)、ガス流入口20の周縁から延びる前側部位44と、後側壁部25側から延びる後側部位45と、を連結させるようにして、構成されている。
前側部位44は、実施形態の場合、図9に示す前側部位用素材59を折って構成されるもので、取付中心C1を中心とした左右対称形として、バッグ本体16の膨張完了時における外形形状を、前端側を略左右方向に沿わせ、後端側を略上下方向に沿わせるような略三角錐形状に近似した立体形状とされている。実施形態の場合、前側部位44は、図7,8に示すように、前端側の領域を、バッグ本体への連結部44aとして、この連結部44aに、ガス流入口20及び取付孔21に対応する開口(図符号省略)を配置させて、ガス流入口20の周縁部位で、全周にわたって、下壁部18bに縫着されている。そして、前側部位44において、ガス流入口20から後方に延びる領域が、本体部44bを構成し、この本体部44bの外形形状を、略三角錐形状に近似した立体形状としている。本体部44bは、後側部位45の前端45a側に縫着される後端44c側の部位の上下の幅寸法を、後側部位45の前端45a側の上下の幅寸法と、略一致させるように構成されている。
後側部位45は、シート状として、実施形態の場合、本体膨張部17における後側壁部25を構成する後左パネル52,後右パネル53の内周縁52c,53cから延びて、後左パネル52,後右パネル53と一体的に構成される延設部52d,53dから、構成されている(図7,8参照)。換言すれば、後側部位45は、2枚重ね状として、それぞれ、後左パネル52,後右パネル53と一体的に構成されている。詳細には、実施形態の場合、後側部位45は、前側部位44に連結される前端45a側を狭幅として、後端側の領域を、後左パネル52,後右パネル53の内周縁52c,53cに向かって上下に拡開させるような略台形状とされている。この前後テザー43は、エアバッグ15の膨張完了時に、後側壁部25のガス流入口20周縁部位からの離隔距離を規制して、エアバッグ15の膨張初期に、後側壁部25が乗員MP側となる後方に大きく突出するのを抑制するために、配置されている。
バッグ本体16は、所定形状の基布の周縁相互を結合させて袋状に構成されるもので、実施形態の場合、図9に示すように、本体膨張部17における周壁部18の部位を構成する周壁パネル48、本体膨張部17における後側壁部25の部位を構成する後左パネル52,後右パネル53、突出膨張部27の上側の部位を構成する突出部用上パネル55U、突出膨張部27の下側の部位を構成する突出部用下パネル55D、突出膨張部27の側方の部位を構成する突出部用側方パネル56、の6枚の基布と、本体膨張部17における膨張完了時の前端側の領域を補強する補強布61、ガス流入口20の周縁を補強する4枚の補強布60と、ガス流入口20の周縁部位を膨張用ガスから保護する保護布62と、から、構成されている。
周壁パネル48は、実施形態の場合、本体膨張部17における周壁部18の領域を上下で二分して、それぞれ、上側の部位を構成する上側部位49と、下側の部位を構成する下側部位50と、を、有し、この上側部位49と下側部位50とを、本体膨張部17の前縁側で連結させるようにして、構成されている。
後左パネル52,後右パネル53は、膨張完了時の本体膨張部17における後側壁部25の部位を、左右で分割するように構成されるもので、実施形態の場合、後左パネル52は、後側壁部25において取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1から左側の領域を構成し、後右パネル53は、後側壁部25において中心線CL1から右側の領域を構成している(図8参照)。後左パネル52には、連通孔部33を構成する4つの開口52eが形成されている。また、後左パネル52と後右パネル53との内周縁52c,53c側には、前後テザー43の後側部位45を構成する延設部52d,53dが、形成されている。
突出部用上パネル55Uは、膨張完了時の突出膨張部27における上壁部28の部位を構成し、突出部用下パネル55Dは、膨張完了時の突出膨張部27における下壁部29の部位を構成している。突出部用上パネル55Uと突出部用下パネル55Dとは、図9に示すように、外形形状を略同一とされている。詳細には、突出部用上パネル55Uと突出部用下パネル55Dとは、左端側を前方に突出させるような略「L」字形状とされている。突出部用側方パネル56は、左右方向側に幅広の帯状として構成され、膨張完了時の突出膨張部27における外側周壁部30と内側周壁部31とを構成している。実施形態の場合、突出部用側方パネル56は、長手方向(左右方向)側の両端を、内側周壁部31の後側部位31bと、外側周壁部30の右側部位30dと、の境界部位に位置させて、外側周壁部30と内側周壁部31とを構成している。また、突出部用側方パネル56には、連通孔部33を構成する4つの開口56eが、形成されている。
ガス流入口20の周縁部位を補強する4枚の補強布60は、外形形状を略長方形状とされている。保護布62は、外形形状を、補強布60より一回り大きな略長方形状として、ガス流入口20の周縁に配置される縫合部位(具体的には、周壁パネル48における上側部位49と下側部位50との左縁49a,50aや右縁49b,50b相互を縫着させる縫合部位(図符号省略))の内周面側を覆って、この縫合部位を、ガス流入口20を経て本体膨張部17内に流入する膨張用ガスから保護可能に、構成されている(図7参照)。本体膨張部17における膨張完了時の前端側の領域を補強する補強布61は、図9に示すように、外形形状を、周壁パネル48における上側部位49と下側部位50との連結部位付近を左右の全域にわたって覆うような外形形状として、構成されている。
実施形態では、本体膨張部17を構成する周壁パネル48,後左パネル52,後右パネル53、突出膨張部27の上壁部28と下壁部29とを構成する突出部用上パネル55U,突出部用下パネル55D、補強布60,61、保護布62、及び、前後テザー43を構成する前側部位用素材59は、それぞれ、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布に、コーティング剤を塗布させないノンコート布から、形成されている。実施形態の場合、突出膨張部27の外側周壁部30と内側周壁部31とを構成する突出部用側方パネル56のみが、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布に、シリコン製のコーティング剤を塗布させたコート布から、形成されて、表面側に滑り抑制層36を有している(図9参照)。
助手席PSの左側に配置される運転席DSの前方に配置されるステアリングホイール65には、ステアリングホイール用エアバッグ装置68が、搭載されている。ステアリングホイール用エアバッグ装置68は、ステアリングホイール65の中央のボス部66に折り畳まれて収納されるステアリングホイール用エアバッグ(以下「エアバッグ」と省略する)69と、エアバッグ69に膨張用ガスを供給する図示しないインフレーターと、を備えている。エアバッグ69は、可撓性を有したシート体から形成される袋状として、図示しないインフレーターの作動時に、インフレーターからの膨張用ガスを内部に流入させて、ステアリングホイール65の上面(後面)を全面にわたって覆うように、膨張する構成である。エアバッグ69は、膨張完了時の形状を、図15,17に示すように、ステアリングホイール65のリング部67より外径寸法を大きくした略円板状とされて、膨張完了時に、前面側をリング部67に支持させるように構成されている。なお、ステアリングホイール用エアバッグ装置68の図示しないインフレーターも、助手席用エアバッグ装置M1のインフレーター8と同様に、車両Vの前面衝突と、斜め衝突と、オフセット衝突の際に、作動するように構成されている。
次に、実施形態のエアバッグ15の製造について説明をする。まず、図10のAに示すように、平らに展開した状態の周壁パネル48の内周面側に、補強布61を重ね、周壁パネル48に縫着させる。次いで、この補強布61の上に、前側部位用素材59と、補強布60と、保護布62と、を重ね(図10のB,図11のA参照)、ガス流入口20の周縁となる部位で縫着させる。その後、孔開け加工により、ガス流入口20と取付孔21とを形成する。次いで、図11のA,Bに示すように、補強布61を外周側に位置させるようにして、周壁パネル48を折り返し、上側部位49と下側部位50との左縁49a,50a相互と、右縁49b,50b相互と、を、縫合糸を用いて縫着させる。
また、後左パネル52の外表面側に、開口52e,56eの位置を一致させるようにして、突出部用側方パネル56を載せ、開口52e,56eの周縁の部位で、全周にわたって縫合糸を用いて縫着させ、突出部用側方パネル56を後左パネル52に縫着させる(図12のA参照)。次いで、図12のBに示すように、突出部用側方パネル56を、後左パネル52の内表面側に倒すようにして、突出部用側方パネル56の上縁56aと、突出部用上パネル55Uの外周縁55aと、を、縫合糸を用いて縫着させる。同様にして、突出部用側方パネル56の下縁56bと突出部用下パネル55Dの外周縁55aと、を、縫合糸を用いて縫着させる。その後、縫代が露出しないように、突出部用上パネル55U,突出部用下パネル55D,突出部用側方パネル56を、未縫合の突出部用側方パネル56の左縁56c,右縁56dの隙間を利用して反転させ、後左パネル52を平らに展開させる。そして、突出部用側方パネル56の左縁56c,右縁56dを、後左パネル52に縫着させれば、図13のAに示すように、突出膨張部27を形成することができる。次いで、図13のB,Cに示すように、後左パネル52と後右パネル53との内周縁52c,53c相互を、縫合糸を用いて縫着させれば、突出膨張部27を取り付けた状態の後側壁部25を形成することができる。
その後、図14のA,Bに示すように、後縁49c,50c相互を離隔させるように上側部位49と下側部位50とを開いた状態の周壁パネル48に、突出膨張部27を内側に向けるようにして後左パネル52,後右パネル53を、重ね、上側部位49の後縁49cと、後左パネル52,後右パネル53の上縁52a,53aと、を縫着させる。同様にして、下側部位50の後縁50cと、後左パネル52,後右パネル53の下縁52b,53bと、を縫着させる。次いで、一方のガス流入口20を利用して、縫代が外部に露出しないように反転させれば、バッグ本体16を形成することができる。その後、一方のガス流入口20を利用して、前側部位44の後端44cと後側部位45の前端45aとを縫着させて前後テザー43を形成すれば、図14のCに示すように、エアバッグ15を製造することができる。
そして、このように製造したエアバッグ15を、リテーナ9,9を内部に収納させた状態で、ケース12内に収納可能に折り畳み、折り畳んだエアバッグ15の周囲を、折り崩れしないように、破断可能な図示しないラッピングシートによりくるむ。次いで、折り畳んだエアバッグ15をケース12の底壁部12aに載置させる。各インフレーター8の本体部8aを、底壁部12aの下方からケース12内に挿入させるとともに、底壁部12aから下方に突出している各ボルト9aを、インフレーター8のフランジ部8cに挿通させる。その後、インフレーター8のフランジ部8cから突出した各ボルト9aにナット10を締結させれば、ケース12に折り畳んだエアバッグ15とインフレーター8,8とを取り付けることができる。
そして、車両Vに搭載されたインパネ1におけるエアバッグカバー6の連結壁部6cに、ケース12の周壁部12bを係止させ、ケース12の図示しないブラケットを、車両Vのボディ側に固定させれば、助手席用エアバッグ装置M1を車両Vに搭載することができる。
第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1では、車両Vに搭載させた状態で、車両Vの前面衝突時、斜め衝突時、若しくは、オフセット衝突時に、各インフレーター8の各ガス吐出口8bから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ15が、内部に膨張用ガスを流入させて膨張し、エアバッグカバー6の扉部6a,6bを押し開かせることとなる。そして、エアバッグ15は、エアバッグカバー6の扉部6a,6bを押し開いて形成される開口を経て、ケース12から上方に突出するとともに、車両後方側に向かって突出しつつ展開膨張して、図1〜3の二点鎖線及び図15,17のAに示すように、インパネ1の上面2とインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように、膨張を完了させることとなる。また、このとき、ステアリングホイール用のエアバッグ69も、内部に膨張用ガスを流入させて、ステアリングホイール65の上面(後面)を覆うように、膨張を完了させることとなる(図15及び図17のA参照)。
第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1では、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、乗員MPの頭部MHが斜め前方に向かって移動すると、膨張を完了させたエアバッグ15において、前突用拘束面40から後方に向かって突出するように形成される斜突用拘束面41が、この斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを受け止めて保護することとなる。そして、斜突用拘束面41(突出膨張部27における外側周壁部30の右側部位30d)の表面側には、乗員MPの頭部MHを受け止めた際の頭部MHの滑りを抑制可能な滑り抑制層36が、形成されている。通常、斜め前方に移動する乗員MPの頭部MHを、前突用拘束面40から後方に向かって突出している斜突用拘束面41によって受け止めると、乗員MPの頭部MHには、上方から見て、鼻先を斜突用拘束面41から離隔させて前突用拘束面40側に向けるように旋回する(上方から見て時計回り方向に向かって旋回する)挙動が発生することとなるが、第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1では、斜突用拘束面41の表面側に、頭部MHの滑りを抑制可能な滑り抑制層36が形成されていることから、頭部MHの受け止め時に、頭部MHが斜突用拘束面41に対して滑ることを抑制でき、上述したように頭部MHが旋回することを、抑制できる。そのため、乗員MPの頭部MHを、斜突用拘束面41によって的確に受け止めることができ、また、このとき、前突用拘束面40と斜突用拘束面41とによって、乗員MPの頭部MHの前側と左側との二面側を、略同時に拘束することができて、乗員MPの頭部MHを広い範囲で拘束することができる。そのため、第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1は、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを前突用拘束面40と斜突用拘束面41とによって、円滑に受け止めることができる。
したがって、第1実施形態の助手席用エアバッグ装置M1では、斜め前方側に向かって移動する乗員MPを、膨張を完了させたエアバッグ15によって円滑に保護することができる。
また、第1実施形態の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグ15が、膨張完了時において、斜突用拘束面41(右側部位30d)の前側の領域となる外側周壁部30の前側部位30aから左側部位30bにかけての部位を、乗員MPの受け止め時に、運転席DSの前方においてステアリングホイール65を覆うように膨張するステアリングホイール用エアバッグ69と接触可能とするように構成され(図16及び図17のB参照)、このエアバッグ69と接触する接触面37の表面側にも、滑り抑制層36を配置させている。そのため、エアバッグ15が、膨張完了時において斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを受け止めた際に、リング部67に支持されるように膨張するステアリングホイール用エアバッグ69によって滑らずに支持されることとなり、斜め前方への移動を抑制されて姿勢を安定させた状態で、乗員MPの頭部MHを受け止めることができることから、乗員MPの頭部MHを、より一層、回転させたり摺動させたりする移動を抑制して、エアバッグ15により好適に受け止めることができる。
次に、本発明の第2実施形態であるエアバッグ75について、説明をする。エアバッグ75は、実施形態の場合、図18〜22に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するバッグ本体76と、バッグ本体76内に配置されてバッグ本体76の膨張完了形状を規制するテザー43A,98,99と、バッグ本体76の膨張完了時の前端側をケース12側に連結させるアウタテザー101と、を備える構成とされている。
バッグ本体76は、可撓性を有したシート体から形成される袋状とされるもので、実施形態の場合、図18〜20に示すように、本体膨張部77と、膨張完了時の本体膨張部77の後面側から後方に突出するように配置される突出膨張部87と、を備えている。
本体膨張部77は、膨張完了時に、インパネ1の上面2とインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように配置可能な構成とされるもので、膨張完了時の右前端側に、ケース12に取り付けられる取付部80を備え、膨張完了時に、運転席DS側となる左側に大きく張り出すように配置される構成である(図30参照)。この本体膨張部77は、前述のエアバッグ15の本体膨張部17と比較して、運転席DS側(左側)への張り出し量を大きくして、膨張完了時に、後述する周壁部78の左壁部78cを、膨張を完了させたステアリングホイール用のエアバッグ69に近接して配置させるように、構成されている(図30参照)。本体膨張部77は、膨張完了時に乗員MP側である後面側に配置される後側壁部85と、後側壁部85の周縁から前方に延びるとともに前端側にかけて上下方向の幅寸法を小さくするように収束される先細り形状の周壁部78と、を備えている。
周壁部78は、エアバッグ75の膨張完了時に、主にインパネ1の上面とインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように配置される部位であり、上下両側で略左右方向に沿って配置される上壁部78a,下壁部78bと、左右両側で略前後方向に沿って配置される左壁部78c,右壁部78dと、を備えている。そして、周壁部78における膨張完了時の右前端の部位には、エアバッグ75をケース12に取り付けるための取付部80が、エアバッグ75を単体で膨張させた状態において、部分的に前方に突出するように形成されている(図18,21参照)。この取付部80は、エアバッグ75の膨張完了時には、ケース12内に配置される部位であり、膨張完了時の下面側(下壁部78b側)に、内部に膨張用ガスを流入可能に略円形に開口して、周縁をケース12の底壁部12aに取り付けられるガス流入口81が、左右方向に沿って二つ、並設されている(図21参照)。各ガス流入口81の周縁には、リテーナ9のボルト9aを挿通させるための4つの取付孔82が、それぞれ形成されている。このエアバッグ75も、図21,30に示すように、ガス流入口81,81の中心間の中央となる部位(取付部80の左右方向の中心)を、取付中心C2として、この取付中心C2を助手席PSの左右方向の中心と一致させるようにして、車両Vに搭載されている。周壁部78における左壁部78cと右壁部78dとには、ベントホール83が、形成されている。
後側壁部85は、エアバッグ75の膨張完了時に、乗員MP側となる後面側において、上下方向に略沿うように配置されている。実施形態の場合、詳細には、後側壁部85は、エアバッグ75の膨張完了時に、上下方向に対して僅かに後下がりで傾斜するように、配置されている(図20参照)。また、後側壁部85は、エアバッグ75の膨張完了時の前後方向に沿った横断面において、左右方向に略沿うように配置されるものであり、実施形態の場合、取付中心C2を通る前後方向に沿った中心線CL2と交差する部位(前後テザー43Aの連結位置)を最も後側に位置させるようにして、左右両端側を前側に向けるように、左右方向側で湾曲して配置される(図21参照)。そして、後側壁部85には、エアバッグ75の膨張完了時に、後方に突出するように膨張する突出膨張部87が、配置されている(図18〜21参照)。この突出膨張部87は、後側壁部85において、膨張完了時の左上側の部位に、形成されるもので、エアバッグ75の膨張完了時に、助手席PSに着座した乗員MPの頭部MHの左斜め前方となる位置に、配置されることとなる(図30参照)。すなわち、実施形態のエアバッグ75では、前述のエアバッグ15と相違して、突出膨張部87は、本体膨張部77から左方には突出せず、本体膨張部77から後方にのみ突出するように、形成されている。
実施形態の場合、突出膨張部87は、膨張完了時の前端側において、後側壁部85と突出膨張部87の前壁部87eとを貫通するように形成される連通孔部88(図21,22参照)によって、本体膨張部77と連通されて、この連通孔部88を経て本体膨張部77から内部に膨張用ガスを流入させる構成である。突出膨張部87は、上下両側で略左右方向に沿って配置される上壁部87a,下壁部87bと、左右両側で略前後方向に沿って配置される左壁部87c,右壁部87dと、前後両側で略左右方向に沿って配置される前壁部87e,後壁部87fと、を備えている。実施形態の突出膨張部87では、左壁部87c,右壁部87d,後壁部87fの外表面側には、図18〜20に示すように、滑り抑制層90が、形成されている。滑り抑制層90は、前述のエアバッグ15と同様に、エアバッグ75を構成する基布の表面に、シリコンコーティング剤を塗布させることにより、形成されている。実施形態では、左壁部87c,右壁部87d,後壁部87fは、後述するごとく、コート布からなる突出部用側方パネル113から、形成されている。前壁部87eには、略長方形状に開口した4つの開口88aを上下左右で並設させた連通孔部88が、形成されており、突出膨張部87は、この前壁部87eを、連通孔部88の周縁部位89における外側部位89aで、全周にわたって後側壁部85に縫着させることにより、本体膨張部77に連結されている(図21,22参照)。また、実施形態のエアバッグ75では、図21に示すように、右壁部86dは、後側壁部85との交差部位付近を、後側壁部85となだらかに連ならせるように湾曲させて構成されている。
このエアバッグ75においても、突出膨張部87は、図21に示すように、エアバッグ75の膨張完了時における前後方向に沿った横断面において、取付中心C2を通る前後方向に沿った中心線CL2を跨がず、この中心線CL2よりも左側(運転席DS側)の領域に、形成されている。実施形態の場合、突出膨張部87は、膨張完了時の左右方向側の幅寸法を、本体膨張部77の膨張完了時の左右方向側の幅寸法の1/2程度とされ、膨張完了時の上下方向側の幅寸法を、本体膨張部77における後側壁部85近傍の部位の膨張完了時の上下方向側の幅寸法の3/5程度に設定されている。また、このエアバッグ75においても、突出膨張部87は、エアバッグ75の膨張完了時に、膨張を完了させたステアリングホイール用エアバッグ69よりも後方に突出して、配置されることとなる(図30参照)。また、エアバッグ75は、後側壁部85を湾曲させるように膨張することから、後側壁部85に取り付けられる突出膨張部87は、エアバッグ75の膨張完了時において、右側を後方に向けるように、左右方向に対して傾斜して、配置されることとなる(図30参照)。
さらに、実施形態の場合、突出膨張部87は、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを受け止めた際に、運転席DS側の部位を、膨張を完了させたステアリングホイール用エアバッグ69と接触可能に、構成されている。実施形態の場合、突出膨張部87は、左壁部87cの部位を、乗員MPの頭部MHを受け止めつつ乗員MPの頭部MHの前方移動に伴って前方に押圧された際に、ステアリングホイール用エアバッグ69と接触させる接触面91としている。なお、この実施形態のエアバッグ75においても、膨張完了時のエアバッグ75を車両後方側から見た状態で、突出膨張部87は、膨張を完了させたステアリングホイール用エアバッグ69の上方に離れた位置に配置されているが(図32のA参照)、車両Vの衝突時に、乗員MPは、シートベルトにより拘束される腰を起点として上半身を倒すようにして、頭部MHを上方から下方に向かって移動させることから、突出膨張部87は、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHに押圧されて斜め前下方に押圧されることとなり(図32のB参照)、頭部MH受け止め時に、左壁部87cの下端近傍の部位を、接触面91として、ステアリングホイール用エアバッグ69と接触させることとなる。
この実施形態のエアバッグ75においても、突出膨張部87と、本体膨張部77における後側壁部85と、が、エアバッグ75の膨張完了時に乗員MPを保護可能な乗員保護部93を構成している。乗員保護部93は、車両Vの前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な前突用拘束面94と、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な斜突用拘束面95と、を備える構成である。実施形態の場合、前突用拘束面94は、後側壁部85の上側の領域であり、膨張完了時に、突出膨張部87の右側に配置される領域から、構成されている。すなわち、前突用拘束面94は、取付中心C2を通る前後方向に沿った中心線CL2を超えて左側(運転席DS側)に延びる領域を備えて、車両Vの前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを支障なく保護可能に構成されている。この前突用拘束面94は、エアバッグ75の膨張完了時に、中心線CL2付近の部位を後側に位置させて、左右両端側を前側に向けるように、左右方向側で僅かに湾曲して配置されることとなる(図21参照)。
斜突用拘束面95は、突出膨張部87の右壁部87dから構成されている。実施形態の場合、エアバッグ75の膨張完了時に、後側壁部85が、左右方向側でわずかに湾曲して配置され、突出膨張部87を取り付けている中心線CL2より左側の領域では、左側を前方に向けるように傾斜していることから、この後側壁部85に取り付けられる突出膨張部87も、前後方向に対して傾斜して配置されることとなり、この突出膨張部87の右壁部87dから構成される斜突用拘束面95は、後端側を左方(運転席側)に向けるように、前後方向に対して傾斜して配置されることとなる。また、斜突用拘束面95の外表面側には、上述した如く、滑り抑制層90が、形成されている。
バッグ本体76内には、実施形態の場合、図21,22に示すように、3個のテザー43A,98,99が、配置されている。具体的には、バッグ本体76内には、本体膨張部77におけるガス流入口81付近と後側壁部85とを連結するように配置される前後テザー43Aと、突出膨張部87内に配置される上下テザー98及び規制テザー99と、の3つが、配置されている。前後テザー43Aは、前述のエアバッグ15における前後テザー43と同様の構成であることから、同一の図符号の末尾に「A」を付して、詳細な説明を省略する。
上下テザー98は、突出膨張部87における上壁部87aと下壁部87bとを連結するように、上下方向に略沿って配置される(図22参照)。実施形態の場合、上下テザー98は、エアバッグ75の膨張完了時において、上壁部87aの略中央と下壁部87bの略中央とを連結するように配置される帯状とされるもので、上下方向側で並設される2枚のテザー用基布98a,98bを結合させて、構成されている。この上下テザー98は、エアバッグ75の膨張完了時の突出膨張部87の膨張形状を規制するために、配置されている。
規制テザー99は、突出膨張部87における前壁部87eと右壁部87dとを連結するように、前後方向に対して傾斜して配置される(図21参照)。実施形態の場合、規制テザー99は、エアバッグ75の膨張完了時において、前壁部87eの左右の略中央と右壁部87dの前後の略中央とを連結するように配置される帯状とされるもので、前端側を、前壁部87eにおいて連通孔部88における左右で並設される開口88a間となる周縁部位89の内側部位89bに、縫着させている。そして、規制テザー99は、前後方向側で並設される2枚のテザー用基布99a,99bを結合させて、構成されている。この規制テザー99は、エアバッグ75の膨張完了時に、突出膨張部87における右壁部87dの前端側の部位の湾曲形状を規制するために、配置されている。
バッグ本体76の膨張完了時の前縁側をケース12側に連結させるアウタテザー101は、実施形態の場合、図18,21に示すように、膨張完了時の本体膨張部77(バッグ本体76)の左前端側から延びるように、形成されている。このアウタテザー101は、実施形態の場合、図21,23に示すように、本体膨張部77の左前端側から前方に延びるように配置される縦片部102と、縦片部102の前端側から右方に延びるように左右方向に略沿って配置される横片部103と、を備え、横片部103の先端103a側(右端側)を、実施形態の場合、エアバッグ75をケース12に取り付ける左側のリテーナ9を利用して、エアバッグ75の取付部80とともに、ケース12側に固定される構成である(図30参照)。このアウタテザー101は、ケース12から後左方に向かって大きく突出するように展開するエアバッグ75(バッグ本体76)を安定して膨張させるために、配置されている。
バッグ本体76は、所定形状の基布の周縁相互を結合させて袋状に構成されるもので、実施形態の場合、図23,24に示すように、本体膨張部77における周壁部78の部位を構成する周壁パネル105、本体膨張部77における後側壁部85の部位を構成する後左パネル109,後右パネル110、突出膨張部87の上側の部位を構成する突出部用上パネル112U、突出膨張部87の下側の部位を構成する突出部用下パネル112D、及び、突出膨張部87の側方の部位を構成する突出部用側方パネル113、の6枚の基布と、本体膨張部77における膨張完了時の前端側の領域を補強する補強布116と、ガス流入口81の周縁を補強する4枚の補強布115と、ガス流入口81の周縁部位を膨張用ガスから保護する保護布117と、から構成されている。
周壁パネル105は、本体膨張部77における周壁部78の領域を上下で2分して、それぞれ、上側の部位を構成する上側部位106と、下側の部位を構成する下側部位107と、を、有し、この上側部位106と下側部位107とを、取付部80の前縁側で連結させるようにして、構成されている。
後左パネル109、後右パネル110は、膨張完了時の本体膨張部77における後側壁部85の部位を、左右で分割するように構成されるもので、実施形態の場合、後左パネル109は、後側壁部85において取付中心C2を通る前後方向に沿った中心線CL2から左側の領域を構成し、後右パネル110は、後側壁部85において中心線CL2から右側の領域を構成している(図21参照)。後左パネル109には、連通孔部88を構成する4つの開口109eが形成されている。また、後左パネル109と後右パネル110との内周縁109c,110c側には、前後テザー43Aの後側部位45Aを構成する延設部109d,110dが、形成されている。
突出部用上パネル112Uは、膨張完了時の突出膨張部87における上壁部87aの部位を構成し、突出部用下パネル112Dは、膨張完了時の突出膨張部87における下壁部87bの部位を構成している。突出部用上パネル112Uと突出部用下パネル112Dとは、外形形状を略同一の略長方形状とされ(図24参照)、右縁112dの前端側を、前端を右方に向けるように湾曲させている。突出部用側方パネル113は、左右方向側に幅広の帯状として構成され、膨張完了時の突出膨張部87における前壁部87e,左壁部87c,後壁部87f,右壁部87dの部位を構成している。実施形態の場合、突出部用側方パネル113は、長手方向(左右方向)側の両端を、前壁部87eと右壁部87dとの境界部位に位置させて、前壁部87e,左壁部87c,後壁部87f,右壁部87dを構成するもので、前壁部87eの右端側と右壁部87dの前端側との部位を構成する長手方向側の両端側の部位を、幅広とするように、構成されている。また、突出部用側方パネル113には、連通孔部88を構成する4つの開口113eが、形成されている。
ガス流入口81の周縁部位を補強する4枚の補強布115は、外形形状を略長方形状とされている。保護布117は、外形形状を、補強布115より一回り大きな略長方形状として、ガス流入口81の周縁に配置される縫合部位(具体的には、周壁パネル105における上側部位106と下側部位107との縁部相互を縫着させる縫合部位(図符号省略))の内周面側を覆って、この縫合部位を、膨張用ガスから保護可能に、構成されている(図20参照)。本体膨張部77における膨張完了時の前端側の領域を補強する補強布116は、図23に示すように、外形形状を、周壁パネル105における上側部位106と下側部位107との連結部位付近を、左右の全域にわたって覆うような外形形状として、構成されている。
実施形態では、本体膨張部77を構成する周壁パネル105,後左パネル109,後右パネル110、突出膨張部87の上壁部87aと下壁部87bとを構成する突出部用上パネル112U,突出部用下パネル112D、補強布115,116、保護布117、及び、前後テザー43Aを構成する前側部位用素材59Aは、それぞれ、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布に、コーティング剤を塗布させないノンコート布から、形成されている。実施形態の場合、突出膨張部87の左壁部87c,右壁部87d,前壁部87e,後壁部87fを構成する突出部用側方パネル113のみが、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布に、シリコン製のコーティング剤を塗布させたコート布から、形成されて、表面側に滑り抑制層90を有している(図24参照)。
次に、実施形態のエアバッグ75の製造について説明をする。なお、突出部用上パネル112U,突出部用下パネル112Dには、図27のBに示すように、予め、テザー用基布98a,98bの一端側を、それぞれ、縫合糸を用いて縫着させておく。
まず、図25のAに示すように、平らに展開した状態の周壁パネル105の内周面側に、補強布116を重ね、周壁パネル105に縫着させる。次いで、この補強布116の上に、前側部位用素材59Aと、補強布115と、保護布117と、を重ね(図25のB,26のA参照)、ガス流入口81の周縁となる位置で、縫着させる。その後、孔開け加工により、図26のAに示すように、ガス流入口81と取付孔82とを形成する。次いで、図26のBに示すように、補強布116を外周側に位置させるようにして、周壁パネル105を折り返し、前縁側の部位に、アウタテザー101の縦片部102を挟んだ状態で、上側部位106と下側部位107の前縁106c,107c相互と、左縁106a,107a相互と、右縁106b,107b相互と、を、縫合糸を用いて縫着させ、アウタテザー101の縦片部102を共縫いしておく。
また、図27のAに示すように、後左パネル109の外表面側に、開口109e,113eの位置を一致させるようにして、突出部用側方パネル113を載せ、開口109e,113eの周縁の部位で、突出部用側方パネル113を、後左パネル109に縫着させる。次いで、図27のBに示すように、突出部用側方パネル113にテザー用基布99a,99bの一端側を、それぞれ縫着させる。その後、突出部用上パネル112Uの前縁112aを、突出部用側方パネル113の上縁113aにおける右端側の領域に縫着させ、次いで、突出部用上パネル112Uと突出部用側方パネル113とを、ともに、後左パネル109の内表面側に倒しつつ、突出部用上パネル112Uの左縁112c,後縁112b,右縁112dを、突出部用側方パネル113の上縁113aの残部に縫着させる。同様にして、突出部用下パネル112Dの前縁112aを、突出部用側方パネル113の下縁113bにおける右端側の領域に縫着させ、後左パネル109の内表面側に倒した状態で、突出部用下パネル112Dの左縁112c,後縁112b,右縁112dを、突出部用側方パネル113の下縁113bの残部に縫着させる。次いで、テザー用基布98a,98bの他端相互を縫着させて上下テザー98を形成する。その後、縫代が露出しないように、突出部用上パネル112U,突出部用下パネル112D,突出部用側方パネル113を、未縫合の突出部用側方パネル113の左縁113c,右縁113dの隙間を利用して反転させ、後左パネル109を平らに展開させる。そして、未縫合の突出部用側方パネル113の左縁113c,右縁113dの隙間を利用して、テザー用基布99a,99bの他端相互を結合させて、規制テザー99を形成し、その後、突出部用側方パネル113の左縁113c,右縁113dを、後左パネル109に縫着させれば、図28のAに示すように、突出膨張部87を形成することができる。次いで、後左パネル109と後右パネル110との内周縁109c,110c相互を、図28のB,28のCに示すように、縫合糸を用いて縫着させれば、突出膨張部87を取り付けた状態の後側壁部85を形成することができる。
その後、図29のAに示すように、後縁106d,107d相互を離隔させるように上側部位106と下側部位107とを開いた状態の周壁パネル105に、突出膨張部87を内側に向けるようにして後左パネル109,後右パネル110を、重ね、上側部位106の後縁106dと、後左パネル109,後右パネル110の上縁109a,110aと、を縫着させる。同様にして、下側部位107の後縁107dと、後左パネル109,後右パネル110の下縁109b,110bと、を縫着させる(図29のB参照)。次いで、一方のガス流入口81を利用して、縫代が外部に露出しないように反転させれば、バッグ本体76を形成することができる。次いで、前側部位44Aの後端44c側と、後側部位45Aの前端45a側を、ガス流入口81から引き出して、縫着させて、前後テザー43Aを形成する。その後、バッグ本体76における本体膨張部77の左前端77aから前方に突出している縦片部102に横片部103を縫着させれば、アウタテザー101を形成することができて、図29のCに示すように、エアバッグ75を製造することができる。
このように製造したエアバッグ75は、上述のエアバッグ15と同様にして、車両に搭載することができる。
そして、このエアバッグ75を使用した助手席用エアバッグ装置M2においても、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、乗員MPの頭部MHが斜め前方に向かって移動すると、膨張を完了させたエアバッグ75において、前突用拘束面94から後方に向かって突出するように形成される斜突用拘束面95が、この斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを受け止めて保護することとなる。そして、斜突用拘束面95(突出膨張部87における右壁部87d)の表面側には、乗員MPの頭部MHを受け止めた際の頭部MHの滑りを抑制可能な滑り抑制層90が、形成されている。そのため、頭部MHの受け止め時に、頭部MHが斜突用拘束面95に対して滑ることを抑制でき、乗員MPの頭部MHが鼻先を斜突用拘束面95から離隔させて前突用拘束面94側に向けるように旋回することを、抑制できる。その結果、乗員MPの頭部MHを、斜突用拘束面95によって的確に受け止めることができ、また、このとき、前突用拘束面94と斜突用拘束面95とによって、乗員MPの頭部MHの前側と左側との二面側を、略同時に拘束することができて、乗員MPの頭部MHを広い範囲で拘束することができる。そのため、第2実施形態の助手席用エアバッグ装置M2においても、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを前突用拘束面94と斜突用拘束面95とによって、円滑に受け止めることができる。
したがって、第2実施形態の助手席用エアバッグ装置M2においても、斜め前方側に向かって移動する乗員MPを、膨張を完了させたエアバッグ75によって円滑に保護することができる。
また、第2実施形態の助手席用エアバッグ装置M2においても、エアバッグ75が、膨張完了時において、斜突用拘束面95(右壁部87d)の斜め前方の領域となる突出膨張部87の左壁部87cの部位を、乗員MPの受け止め時に、運転席DSの前方においてステアリングホイール65を覆うように膨張するステアリングホイール用エアバッグ69と接触させるように構成され(図31及び図32のB参照)、このエアバッグ69と接触する接触面91の表面側にも、滑り抑制層90を配置させている。そのため、エアバッグ75が、膨張完了時において斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを受け止めた際に、リング部67に支持されるように膨張するステアリングホイール用エアバッグ69によって滑らずに支持されることとなり、斜め前方への移動を抑制されて姿勢を安定させた状態で、乗員MPの頭部MHを受け止めることができることから、乗員MPの頭部MHを、より一層、回転させたり摺動させたりする移動を抑制して、エアバッグ75により好適に受け止めることができる。
次に、本発明の第3実施形態であるエアバッグ120について、説明をする。エアバッグ120は、図33〜38に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するバッグ本体121と、バッグ本体121内に配置されてバッグ本体121の膨張完了形状を規制するテザー43A,149,150,151,152,153,154,155と、バッグ本体121における後述するセンターバッグ部133の膨張完了時の前端側をケース12側に連結させるアウタテザー157と、を備える構成とされている。
バッグ本体121は、可撓性を有したシート体から形成される袋状とされるもので、実施形態の場合、図33〜35に示すように、助手席PSに着座した乗員MPの前方に膨張するメインバッグ部122と、メインバッグ部122から車両Vの車幅方向の内側(実施形態の場合左側)に向かって張り出すように膨張するセンターバッグ部133と、を備えている。
メインバッグ部122は、ケース12から後方に向かって突出するように膨張して、助手席PSに着座した乗員MPの前方に膨張する構成とされている。このメインバッグ部122は、膨張完了時の形状を、略四角錐形状とされるもので、膨張完了時に乗員MP側である後面側に配置される後側壁部129と、後側壁部129の周縁から前方に延びるとともに前端側にかけて収束される先細り形状の周壁部123と、を備えている。
周壁部123は、エアバッグ120の膨張完了時に、助手席PSの前方において、主にインパネ1の上面2とインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように配置される部位であり、上下両側で略左右方向に沿って配置される上壁部123a,下壁部123bと、左右両側で略前後方向に沿って配置される左壁部123c,右壁部123dと、を備えている。そして、図35,36に示すように、周壁部123における膨張完了時の前端側の部位は、エアバッグ120をケース12に取り付けるための取付部125とされている。この取付部125は、エアバッグ120の膨張完了時には、ケース12内に配置される部位であり、膨張完了時の下面側(下壁部123b側)に、内部に膨張用ガスを流入可能に略円形に開口して、周縁をケース12の底壁部12aに取り付けられるガス流入口126が、左右方向に沿って二つ、並設されている(図36参照)。各ガス流入口126の周縁には、リテーナ9のボルト9aを挿通させて、各ガス流入口126の周縁をケース12の底壁部12aに取り付けるための複数(実施形態の場合、4個)の取付孔127が、それぞれ、形成されている(図36参照)。実施形態の場合、エアバッグ120のメインバッグ部122は、右側に配置されるガス流入口126Rの中心を、取付中心C3として、この取付中心C3を助手席PSの左右方向の中心と一致させるようにして、ケース12に取り付けられ、車両Vに搭載されている(図36,46参照)。
また、周壁部123における右壁部123dには、内部に流入した余剰の膨張用ガスを排気させるためのベントホール128が、形成されている。
後側壁部129は、エアバッグ120の膨張完了時に、助手席PSに着座した乗員MPの前方において乗員MPと対向するように配置されるもので、実施形態の場合、下端側を後方に位置させるように上下方向に対してやや傾斜して、配置されている(図35参照)。また、実施形態の場合、後側壁部129には、メインバッグ部122の膨張完了時において、取付中心C3を通る前後方向に略沿った中心線CL3上となる位置に、前方側に凹ませるような凹部130が、上下方向に略沿って、配設されている(図35,36参照)。この凹部130は、実施形態の場合、後側壁部129の上下の略全域にわたって、配設されている。そして、後側壁部129における凹部130の左右両側には、図36に示すように、相対的に後方に突出する突出部131L,131Rが、配設されている。すなわち、実施形態のメインバッグ部122の後側壁部129には、エアバッグ120の膨張完了時に、左右方向の中央で凹む凹部130と、凹部130の左右両側に配置される突出部131L,131Rと、が、上下方向に沿って連続的に配設されている(図35,36参照)。具体的には、実施形態の場合、左右の突出部131L,131Rの隆起した状態と凹部130の凹んだ状態とは、後側壁部129の上下の略全域にわたって、略同一として、周壁部123における上壁部123a,下壁部123bの領域内において、前方にかけて凹凸を収束させるような形状とされている。そして、実施形態のバッグ本体121では、凹部130における凹みの先端は、後側壁部を構成する後述する内左パネル162L,内右パネル162Rの内周縁162b,162b相互を縫着(結合)させて形成される縫合部位から構成され、各突出部131L,131Rにおける突出頂部は、外左パネル159,外右パネル160の後縁159d,160dと、内左パネル162L,内右パネル162Rの外周縁162a,162aと、をそれぞれ縫着させて形成される縫合部位から、構成されている(図35,36参照)。
センターバッグ部133は、膨張完了時に、助手席PSと助手席PSの左側に配置される運転席DSとの間の領域の前方に配置されることとなり、実施形態の場合、図45,46に示すように、運転席DSの前方に配置されるステアリングホイール65を覆うように膨張する後述するステアリングホイール用のエアバッグ69と、メインバッグ部122との間の隙間を塞ぐように、膨張する構成とされている。また、このセンターバッグ部133は、膨張完了時に、図46に示すように、収納部位としてのケース12の領域から外れたケース12の側方から後方に延びるように配置されることとなる。
センターバッグ部133は、膨張完了形状を、略直方体状としており、膨張完了時の後上端側の部位を、メインバッグ部122より後方に突出させるように構成されている。具体的には、センターバッグ部133は、膨張完了時にメインバッグ部122の側方(左側)に配置される本体部134と、本体部134の後上端側から後方に突出するように配置される突出部135と、を備える構成とされている。本体部134と突出部135とは、膨張完了時の左右方向側の幅寸法を略一定として構成されている。また、突出部135は、上下方向側の幅寸法を、本体部134の上下方向側の幅寸法の1/2程度に設定されている。本体部134は、上下両側で略左右方向に沿って配置される上壁部134a,下壁部134bと、左右両側で略前後方向に沿って配置される左壁部134c,右壁部134dと、前後両側で略左右方向に沿って配置される前壁部134e,後壁部134fと、を備えている。突出部135は、上下両側で略左右方向に沿って配置される上壁部135a,下壁部135bと、左右両側で略前後方向に沿って配置される左壁部135c,右壁部135dと、後面側において略左右方向に沿って配置される後壁部135eと、を備えている。実施形態の場合、突出部135における上壁部135a,左壁部135c,右壁部135dは、本体部134の上壁部134a,左壁部134c,右壁部134dから連なるように、形成されている。また、実施形態の場合、本体部134における後壁部134fは、膨張完了時に、メインバッグ部122の後側壁部129と略面一となるように、構成されている。
さらに、実施形態のエアバッグ120では、センターバッグ部133における本体部134及び突出部135の左壁部134c,135cと右壁部134d,135dとの外表面側には、図33〜35に示すように、滑り抑制層142が、形成されている。実施形態の場合、滑り抑制層142は、前述のエアバッグ15,75と同様に、エアバッグ120を構成する基布の表面に、シリコンコーティング剤を塗布させることにより、形成されている。実施形態では、本体部134及び突出部135の左壁部134c,135cと右壁部134d,135dとは、後述するごとく、コート布からなる左パネル164L,右パネル164Rから、形成されている。
そして、実施形態では、センターバッグ部133は、膨張完了時の前端側(本体部134の前端側)を、メインバッグ部122の前端より後側であって、取付部125より後方となる位置に配置させるように、構成されており(図46参照)、エアバッグ120の膨張完了時に、全体をケース12から突出されることとなる。また、センターバッグ部133の突出部135は、エアバッグ120の膨張完了時に、メインバッグ部122の後側壁部129よりも後側に突出するように、構成されている。この突出部135は、エアバッグ120の膨張完了時に、図46に示すように、助手席PSに着座した乗員MPの頭部MHの左斜め前方となる位置に、配置されることとなる。突出部135は、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、助手席PSに着座した乗員MPの頭部MHを保護するために配置されるもので、後側壁部129からの突出量と、上下方向側の幅寸法と、を、乗員MPが斜め前方に向かって移動する際に、乗員MPの頭部MHを受け止め可能に、構成されている。また、実施形態の場合、センターバッグ部133は、膨張完了時の左右方向側の幅寸法を、膨張完了時に、本体部134の左壁部134cを、膨張を完了させているステアリングホイール用のエアバッグ69に近接させるように、設定されている(図46参照)。そして、実施形態の場合、センターバッグ部133は、突出部135の前側に配置される本体部134の左壁部134cを、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを受け止めた際に、膨張を完了させたステアリングホイール用エアバッグ69と接触可能とするように、構成されている。すなわち、実施形態の場合、本体部134の左壁部134cが、突出部135を、乗員MPの頭部MHを受け止めつつ乗員MPの頭部MHの前方移動に伴って前方に押圧された際に、ステアリングホイール用エアバッグ69と接触される接触面143を構成している。また、センターバッグ部133における本体部134の左壁部134cには、内部に流入した余剰の膨張用ガスを排気させるためのベントホール137が、形成されている。
実施形態の場合、センターバッグ部133とメインバッグ部122とは、センターバッグ部133における本体部134の右壁部134d側において、メインバッグ部122の左壁部123cと貫通するように配置される連通孔部138によって、連通されている(図35〜37参照)。連通孔部138は、実施形態の場合、図35に示すように、4つの開口138aを上下左右で並設させて構成されている。実施形態の場合、連通孔部138を構成する各開口138aは、開口面積をベントホール128,137の開口面積より大きく設定されるように(図39,40参照)、大きく開口して形成されている。そして、センターバッグ部133は、本体部134の右壁部134dを、連通孔部138の周縁部位139における外側部位139aで、全周にわたってメインバッグ部122の左壁部123cに縫着させることにより、メインバッグ部122に連結されている。実施形態の場合、センターバッグ部133をメインバッグ部122に連結させるための縫合部位140は、外形形状を、本体部134の右壁部134dと略相似形状として、略楕円形状とされている(図35参照)。
この実施形態のエアバッグ120では、センターバッグ部133の突出部135と、メインバッグ部122における後側壁部129と、が、エアバッグ120の膨張完了時に乗員MPを保護可能な乗員保護部145を構成している。乗員保護部145は、車両Vの前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な前突用拘束面146と、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な斜突用拘束面147と、を備える構成である。実施形態の場合、前突用拘束面146は、後側壁部129の上側の領域であり、膨張完了時に、突出部135の右側に配置される領域から、構成されている。すなわち、前突用拘束面146は、取付中心C3を通る前後方向に沿った中心線CL3を超えて左側(運転席DS側)に延びる領域を備えて、車両Vの前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを支障なく保護可能に構成されている。
斜突用拘束面147は、センターバッグ部133における突出部135の右壁部135dから構成されている。実施形態の場合、斜突用拘束面147は、エアバッグ120の膨張完了時に、前後方向に略沿うように、配置されることとなる。また、斜突用拘束面147の外表面側には、上述した如く、滑り抑制層142が、形成されている。
バッグ本体121内には、図35〜38に示すように、実施形態の場合、8個のテザー43B,149,150,151,152,153,154,155が、配置されている。具体的には、バッグ本体121内には、メインバッグ部122におけるガス流入口126付近と後側壁部129とを連結するように配置される前後テザー43Bと、メインバッグ部122の領域内に配置される2つの左右テザー149,150と、センターバッグ部133の領域内に配置される2つの上下テザー151,152と、センターバッグ部133の領域内に配置される3つの左右テザー153,154,155と、の8つが、配置されている。
前後テザー43Bは、エアバッグ120の膨張完了時に、図36に示すように、取付中心C3を通る前後方向に沿った中心線CL3上に位置するように、配置されるもので、前側部位44Bを構成する前側部位用素材59Bの外形形状を若干異ならせている以外は、前述のエアバッグ15における前後テザー43と同様の構成であることから、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「B」を付して、詳細な説明を省略する。
2つの左右テザー149,150は、実施形態の場合、メインバッグ部122内において、前後テザー43Bを間に挟むようにして、上下方向側で並設されている。実施形態の場合、上側の左右テザー149は、下側の左右テザー150より前方となる位置に、配置されている(図35参照)。各左右テザー149,150は、それぞれ、左壁部123cと右壁部123dとを連結するように、幅方向を前後方向側に略沿わせるとともに、左右方向に略沿って配置される帯状とされるもので、それぞれ、左右方向側で並設される2枚のテザー用基布149a,149b,150a,150bを結合させて、構成されている(図37参照)。下側に配置される左右テザー150は、一端側を、左壁部123cにおいて、連通孔部138の開口138a間となる周縁部位139の内側部位139bに、結合されている(図37参照)。実施形態の場合、左右テザー149,150は、長さ寸法や幅寸法を、略同一として、構成されている。これらの左右テザー149,150は、メインバッグ部122における左壁部123cと右壁部123dとの離隔距離を規制して、エアバッグ120の膨張初期に、メインバッグ部122が、左壁部123cと右壁部123dとを大きく離隔させるように展開することを抑制するために、配置されている。
2つの上下テザー151,152は、実施形態の場合、センターバッグ部133内において、膨張完了時の後端側となる突出部135の領域内に配置されるもので、この突出部135の領域内で、前後方向側で並設されている。詳細には、前側の上下テザー151は、突出部135と本体部134との境界部位付近に配置されている(図38参照)。各上下テザー151,152は、それぞれ、突出部135の上壁部135aと下壁部135bとを連結するように、幅方向を左右方向側に略沿わせるとともに、上下方向に略沿って配置される帯状とされるもので、それぞれ、上下方向側で並設される2枚のテザー用基布151a,151b,152a,152b相互を結合させて、構成されている(図38参照)。実施形態の場合、上下テザー151,152は、長さ寸法や幅寸法を、略同一として、構成されている。これらの上下テザー151,152は、センターバッグ部133の後端側に配置される突出部135における上壁部135aと下壁部135bとの離隔距離を規制して、エアバッグ120の膨張初期に、センターバッグ部133の後端側の部位が、上壁部135aと下壁部135bとを大きく離隔させるように展開することを抑制するために、配置されている。
3つの左右テザー153,154,155は、実施形態の場合、センターバッグ部133内において、本体部134の領域内と、突出部135の領域内の2箇所と、に配置されている(図38参照)。詳細には、前側に配置される左右テザー153は、本体部134における前後の略中央となる位置に、配置されている。中央側に配置される左右テザー154は、突出部135における前端側(突出部135と本体部134との境界部位付近)であって、上下テザー151の後側に近接して、配置されている。後側に配置される左右テザー155は、突出部135の後端側において、上下テザー152の後側に近接して、配置されている。左右テザー153は、本体部134の左壁部134cと右壁部134dとを連結するように、幅方向を上下方向側に略沿わせるとともに、左右方向に略沿って配置される帯状とされるもので、一端側を、右壁部134dにおいて、連通孔部138の開口138a間となる周縁部位139の内側部位139bに、結合されている(図36参照)。左右テザー154,155は、突出部135の左壁部135cと右壁部135dとを連結するように、幅方向を上下方向側に略沿わせるとともに、左右方向に略沿って配置される帯状とされている。各左右テザー153,154,155は、それぞれ、左右方向側で並設される2枚のテザー用基布153a,153b,154a,154b,155a,155b相互を結合させて、構成されている(図36参照)。実施形態の場合、前側と中央側とに配置される左右テザー153,154は、長さ寸法や幅寸法を、略同一として、構成されている。後側に配置される左右テザー155は、幅寸法を、左右テザー153,154よりも若干小さくして、長さ寸法を、左右テザー153,154と略同一として、構成されている。これらの左右テザー153,154,155は、センターバッグ部133の左壁部134c,135cと右壁部134d,135dとの離隔距離を規制して、エアバッグ120の膨張初期に、センターバッグ部133が、左壁部134c,135cと右壁部134d,135dとを左右で大きく離隔させるように展開することを抑制するために、配置されている。
センターバッグ部133の膨張完了時の前端側をケース12側に連結させるアウタテザー157は、実施形態の場合、帯状として、元部157a側をセンターバッグ部133における本体部134の前左下端側に結合させ(図36参照)、この本体部134の前左下端側から、外方に延びるように形成されるもので、先端157b側を、実施形態の場合、エアバッグ120をケース12に取り付ける左側のリテーナ9を利用して、エアバッグ120の取付部125とともに、ケース12側に固定される構成である(図46参照)。このアウタテザー157は、ケース12から後左方に向かって大きく突出するように展開するエアバッグ120(センターバッグ部133)を安定して膨張させるために、配置されている。
バッグ本体121は、所定形状の基布の周縁相互を結合させて袋状に構成されるもので、実施形態の場合、図39,40に示すように、メインバッグ部122を構成する外左パネル159,外右パネル160,内左パネル162L,内右パネル162Rと、センターバッグ部133を構成する左パネル164L,右パネル164R,側方パネル165と、の7枚の基布と、ガス流入口126の周縁を補強する1枚の補強布167と、ガス流入口126の周縁部位を膨張用ガスから保護する3枚の保護布168と、から構成されている。
外左パネル159及び外右パネル160は、メインバッグ部122の周壁部123を左右で2分割するように構成されるもので、図39に示すように、それぞれ、略扇形状として、構成されている。外左パネル159は、ガス流入口126の周縁の部位を構成する突出部159aを、備えている。外左パネル159は、左壁部123cと、上壁部123aにおける左前半分程度の領域と、下壁部123bにおける左半分程度の領域と、後側壁部129における突出部131Lの突出頂部から左側の領域と、を構成している。外右パネル160は、ガス流入口126の周縁の部位を構成する突出部160aを備えている。外右パネル160は、右壁部123dと、上壁部123aにおける右前半分程度の領域と、下壁部123bにおける右半分程度の領域と、後側壁部129における突出部131Rの突出頂部から右側の領域と、を構成している。外左パネル159には、連通孔部138を構成する開口159fが、形成されている。
内左パネル162L及び内右パネル162Rは、後側壁部129における各突出部131L,131Rの突出頂部間の領域を、構成している。詳細には、内左パネル162L及び内右パネル162Rは、周壁部123における上壁部123aの後半分程度の領域から、後側壁部129における各突出部131L,131Rの突出頂部間の部位にかけての領域を構成するもので、この領域を、凹部130の先端となる位置で左右に2分割し、それぞれ、凹部130の前端から左側の突出部131Lの突出頂部までの領域と、凹部130の前端から右側の突出部131Rの突出頂部までの領域と、を構成するように、略三日月形状に湾曲した左右一対とされている(図39参照)。そして、実施形態の場合、内左パネル162L,内右パネル162Rの内周縁162b側には、前後テザー43Bの後側部位45Bを構成する延設部162cが、それぞれ、形成されている。また、内左パネル162L,内右パネル162Rは、平らに展開した状態で、外周縁162aを、外左パネル159,外右パネル160の後縁159d,160dの湾曲形状に略沿わせるように、構成されている。
左パネル164Lは、膨張完了時のセンターバッグ部133の左側の部位であって、本体部134における左壁部134cから突出部135における左壁部135cにかけての部位を構成している。右パネル164Rは、膨張完了時のセンターバッグ部133の右側の部位であって、本体部134における右壁部134dから突出部135における右壁部135dにかけての部位を構成している。左パネル164Lと右パネル164Rとは、外形形状を略同一として、構成されている(図40参照)。右パネル164Rには、連通孔部138を構成する開口164bが、形成されている。側方パネル165は、外形形状を、帯状として構成されて、膨張完了時のセンターバッグ部133における本体部134及び突出部135の上壁部134a,135aから、突出部135の後壁部135e,下壁部135b、本体部134の後壁部134f,下壁部134b,前壁部134eにかけての部位を、構成している。
ガス流入口126の周縁部位を補強する補強布167は、外形形状を略長方形状として、実施形態の場合、1枚配置されている。保護布168は、外形形状を、補強布167より一回り大きな略長方形状として、ガス流入口126の周縁に配置される縫合部位(具体的には、外左パネル159における前縁159e相互と外右パネル160における前縁160e相互を縫着させる縫合部位(図符号省略))の内周面側を覆って、この縫合部位を、膨張用ガスから保護可能に、構成されている。保護布168は、ガス流入口126の周縁部位を補強する役目も果たしており、実施形態の場合、3枚重ねとされている(図39参照)。
実施形態では、メインバッグ部122を構成する外左パネル159,外右パネル160,内左パネル162L,内右パネル162R、センターバッグ部133を構成する側方パネル165、補強布167、保護布168、前後テザー43Bを構成する前側部位用素材59B、左右テザー149,150を構成するテザー用基布149a,149b,150a,150b、上下テザー151,152を構成するテザー用基布151a,151b,152a,152b、左右テザー153,154,155を構成するテザー用基布153a,153b,154a,154b,155a,155b、及び、アウタテザー157は、それぞれ、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布に、コーティング剤を塗布させないノンコート布から、形成されている。実施形態の場合、センターバッグ部133における本体部134及び突出部135の左壁部134c,135cを構成する左パネル164Lと、本体部134及び突出部135の右壁部134d,135dを構成する右パネル164Rと、のみが、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布に、シリコン製のコーティング剤を塗布させたコート布から、形成されて、表面側に滑り抑制層142を湯している(図40参照)。
次に、実施形態のエアバッグ120の製造について説明をする。なお、左パネル164Lには、図42のAに示すように、テザー用基布153a,154a,155aの一端側を縫着させておき、外右パネル160には、図43のAに示すように、テザー用基布149b,150bの一端側を縫着させておく。また、側方パネル165には、図42のAに示すように、テザー用基布151a,151b,152a,152bの一端側を縫着させておく。また、内左パネル162L,162Rは、平らに展開した状態で重ね、内周縁162b相互を、縫合糸を用いて縫着させておく(図44のB参照)。
まず、図41のAに示すように、右パネル164Rの内表面側に、テザー用基布154b,155bの一端側を縫着させ、外左パネル159の内表面側に、テザー用基布149aの一端側を縫着させる。次いで、右パネル164Rと外左パネル159とを、開口164b,159fの位置を一致させつつ、外表面側を接触させるようにして、重ね、開口164b,159f(連通孔部138)の周縁部位139における外側部位139aで、縫合糸を用いて全周にわたって縫着させ、縫合部位140を形成し、右パネル164Rと外左パネル159とを縫着させる(図41のB参照)。その後、図41のCに示すように、右パネル164Rの内表面側に、テザー用基布153bの一端側を縫着させ、外左パネル159の内表面側に、テザー用基布150aの一端側を縫着させる。その後、図42のAに示すように、右パネル164Rの外周縁164aに、内周面側を外方に向けるように配置させた状態の側方パネル165の右縁165bを縫着させる。次いで、側方パネル165を、左縁165aを外左パネル159の内表面側に向けるように倒した状態で、側方パネル165の左縁165aを、左パネル164Lの外周縁164aに縫着させ、センターバッグ部133を袋状に形成する。この側方パネル165の左縁165aと左パネル164Lの外周縁164aとの縫着時、側方パネル165の左縁165aにおける前端側の部位において、アウタテザー157の元部157a側を共縫いし、アウタテザー157をセンターバッグ部133の前端側に連結させる。
次いで、側方パネル165における未縫合の前上縁165c,前下縁165dの部位の開口を利用して、センターバッグ部133を、縫代が外表面側に露出しないように反転させ、外左パネル159を平らに展開させる。そして、この未縫合の開口を利用して、テザー用基布151a,151b,152a,152bの対応する他端相互を結合させて、上下テザー151,152を形成し、同様に、テザー用基布153a,153b,154a,154b,155a,155bの対応する他端相互を結合させて左右テザー153,154,155を形成する。その後、側方パネル165の前上縁165cと前下縁165dとを、縫合糸を用いて縫着させれば、図42のBに示すように、センターバッグ部133を形成することができる。
次いで、図43のA,Bに示すように、平らに展開した状態の外左パネル159と外右パネル160とを、外表面側を接触させるように重ね、下縁159c,160c相互を、縫着させる。その後、外左パネル159と外右パネル160とを、下縁159c,160c相互を縫着させた縫合部位を中心として、突出部159a,160a相互を重ねつつ、平らに展開するように開き、突出部159a,160aの内表面側に、補強布167,前側部位用素材59B,保護布168を順次重ね、ガス流入口126の周縁となる位置で、縫着させる。その後、孔開け加工により、ガス流入口126と取付孔127とを形成する(図43のC参照)。次いで、外左パネル159と外右パネル160とを、外表面側を接触させるように重ねて、上縁159b,160b相互を縫着させる(図44のA参照)。次いで、図44のBに示すように、外左パネル159と外右パネル160とを、後縁159d,160d相互を離隔させるように開き、外左パネル159の後縁159dに、内左パネル162Lの外周縁162aを縫着させ、外右パネル160の後縁160dに、内右パネル162Rの外周縁162aを縫着させ、図44のCに示すように、メインバッグ部122を袋状に形成する。
その後、前側部位44Bの後端44cを、後側部位45Bの前端45aに縫着させて、前後テザー43Bを形成し、テザー用基布149a,149b,150a,150bの対応する他端相互を結合させて、左右テザー149,150を形成する。その後、外左パネル159,外右パネル160の前縁159e,160eの未縫合の部位を利用して、メインバッグ部122を、縫代が外表面側に露出しないように反転させる。その後、前縁159e,160eの未縫合の部位を、縫合糸を用いて縫着させれば、エアバッグ120を製造することができる。
このように製造したエアバッグ120は、上述のエアバッグ15と同様にして、車両Vに搭載することができる。
そして、このエアバッグ120を使用した助手席用エアバッグ装置M3においても、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、乗員MPの頭部MHが斜め前方に向かって移動すると、膨張を完了させたエアバッグ120において、前突用拘束面146から後方に向かって突出するように形成される斜突用拘束面147が、この斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを受け止めて保護することとなる。そして、斜突用拘束面147(センターバッグ部133の突出部135における右壁部135d)の表面側には、乗員MPの頭部MHを受け止めた際の頭部MHの滑りを抑制可能な滑り抑制層142が、形成されている。そのため、頭部MHの受け止め時に、頭部MHが斜突用拘束面147に対して滑ることを抑制でき、乗員MPの頭部MHが鼻先を斜突用拘束面147から離隔させて前突用拘束面146側に向けるように旋回することを、抑制できる。その結果、乗員MPの頭部MHを、斜突用拘束面147によって的確に受け止めることができ、また、このとき、前突用拘束面146と斜突用拘束面147とによって、乗員MPの頭部MHの前側と左側との二面側を、略同時に拘束することができて、乗員MPの頭部MHを広い範囲で拘束することができる。そのため、第3実施形態の助手席用エアバッグ装置M3においても、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを前突用拘束面146と斜突用拘束面147とによって、円滑に受け止めることができる。
したがって、第3実施形態の助手席用エアバッグ装置M3においても、斜め前方側に向かって移動する乗員MPを、膨張を完了させたエアバッグ120によって円滑に保護することができる。
また、第3実施形態の助手席用エアバッグ装置M3においても、エアバッグ75が、膨張完了時において、斜突用拘束面147(右壁部135d)の斜め前方の領域となるセンターバッグ部133における本体部134の左壁部135cの部位を、乗員MPの受け止め時に、運転席DSの前方においてステアリングホイール65を覆うように膨張するステアリングホイール用エアバッグ69と接触させるように構成され、このエアバッグ69と接触する接触面143の表面側にも、滑り抑制層142を配置させている。そのため、エアバッグ120が、膨張完了時において斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを受け止めた際に、リング部67に支持されるように膨張するステアリングホイール用エアバッグ69によって滑らずに支持されることとなり(図47参照)、斜め前方への移動を抑制されて姿勢を安定させた状態で、乗員MPの頭部MHを受け止めることができることから、乗員MPの頭部MHを、より一層、回転させたり摺動させたりする移動を抑制して、エアバッグ120により好適に受け止めることができる。
実施形態の助手席用エアバッグ装置M1,M2,M3では、エアバッグ15,75,120を構成する基布を異ならせることにより、滑り抑制層36,90,142を有する部位を、表面にシリコンコーティング剤を塗布させたコート布から、形成している。そのため、滑り抑制層を別途塗布等により形成する場合と比較して、エアバッグ15,75,120の製造時に、同時に滑り抑制層36,90,142を形成することができることから、滑り抑制層36,90,142を備えるエアバッグ15,75,120を簡便に形成することができる。なお、このような点を考慮しなければ、エアバッグの所定箇所に、直接、シリコンコーティング剤を、部分的に、塗布させて、滑り抑制層を形成してもよく、また、エアバッグの外表面側の所定箇所に、コート布を結合させて、滑り抑制層を形成してもよい。さらに、ステアリングホイール用のエアバッグにおいて、エアバッグと接触する部位の外表面側に、滑り抑制層を形成する構成とすれば、エアバッグの運転席側の領域に、滑り抑制層を形成しなくともよい。
なお、実施形態のエアバッグ15,75,120では、斜突用拘束面41,95,147が、前突用拘束面40,94,146の運転席側の側方(左右方向側の内方)に配置される構成であるが、斜突用拘束面は、前突用拘束面の運転席から離れた側の側方(左右方向側の外方)に配置させてもよく、さらには、両側方に配置させてもよい。
また、実施形態のエアバッグ15,75,120では、突出膨張部27,87及びセンターバッグ部133において、膨張完了時に、運転席DS側となる左側部位30b,左壁部87c,134c,135cの表面側にも、滑り抑制層36,90,142が形成されている。そのため、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時において、運転席DSに着座した運転者が斜め前方に移動した場合には、この運転者の頭部を、膨張完了時の左側に配置される左側部位30b,左壁部87c,134c,135cの部位によって、滑りを抑制して的確に受け止めることもできる。
1…インストルメントパネル(インパネ)、4…ウィンドシールド、6…エアバッグカバー、8…インフレーター、9…リテーナ、12…ケース(収納部位)、15…エアバッグ、17…本体膨張部、25…後側壁部、27…突出膨張部、30…外側周壁部、36…滑り抑制層、37…接触面、39…乗員保護部、40…前突用拘束面、41…斜突用拘束面、65…ステアリングホイール、68…ステアリングホイール用エアバッグ装置、69…ステアリングホイール用エアバッグ(エアバッグ)、75…エアバッグ、77…本体膨張部、85…後側壁部、87…突出膨張部、90…滑り抑制層、91…接触面、93…乗員保護部、94…前突用拘束面、95…斜突用拘束面、120…エアバッグ、122…メインバッグ部、129…後側壁部、133…センターバッグ部、134…本体部、135…突出部、142…滑り抑制層、143…接触面、145…乗員保護部、146…前突用拘束面、147…斜突用拘束面、MP…乗員、MH…頭部、PS…助手席、V…車両、M1,M2,M3…助手席用エアバッグ装置。

Claims (3)

  1. 助手席に着座した乗員の前方に配置されたインストルメントパネルに設けられる収納部位に折り畳まれて収納され、内部に膨張用ガスを流入させて車両後方側に向かって突出するように膨張し、前記乗員を保護可能に構成されるエアバッグを、備える助手席用エアバッグ装置であって、
    前記エアバッグが、膨張完了時の後面側を、前記乗員を保護可能な乗員保護部として構成され、
    前記乗員保護部が、車両の前突時に前進移動する前記乗員の頭部を保護可能な前突用拘束面と、前記車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する前記乗員の頭部を保護可能な斜突用拘束面と、を有し、
    該斜突用拘束面が、前記前突用拘束面の側方において、前記前突用拘束面から後方に向かって突出するように、形成されるとともに、表面側に、前記乗員の頭部を受け止めた際の前記頭部の滑りを抑制可能とする滑り抑制層を、配置させていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
  2. 前記斜突拘束面が、前記前突用拘束面の運転席側の側方に形成され、
    前記エアバッグが、膨張完了時において、前記斜突用拘束面の前側の領域に、前記乗員の受け止め時に前記運転席の前方においてステアリングホイールを覆うように膨張するステアリングホイール用エアバッグと接触する接触面を、備える構成とされ、
    該接触面が、表面側に、前記滑り抑制層を配置させていることを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置。
  3. 前記滑り抑制層を有する部位が、表面にシリコンコーティング剤を塗布させたコート布から、形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の助手席用エアバッグ装置。
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