JP2016037589A - 変性ファルネセン重合体、及びその製造方法、ゴム組成物、並びにタイヤ - Google Patents

変性ファルネセン重合体、及びその製造方法、ゴム組成物、並びにタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】フィラー間の摩擦に伴う発熱を抑制することができ、また弾性率を向上することができる変性ファルネセン重合体、及びその製造方法を提供する。また、前記変性ファルネセン重合体を含有するゴム組成物であって、その架橋物が優れた硬度、機械強度、弾性率及び耐摩耗性を示すゴム組成物を提供する。更に、前記ゴム組成物を少なくとも一部に用い、高硬度に起因する優れた操縦安定性、及び優れた転がり抵抗性能を有するタイヤを提供する。
【解決手段】ジカルボン酸構造(a1)、ジカルボン酸モノエステル構造(a2)、ジカルボン酸モノアミド構造(a3)及び無水カルボン酸構造(a4)から選ばれる1種以上の官能基を有する変性ファルネセン重合体であって、前記(a1)〜(a3)の全量が前記(a1)〜(a4)の全量に対して80mol%以上である変性ファルネセン重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ファルネセン由来の単量体単位を含む変性ファルネセン重合体及びその製造方法、前記変性ファルネセン重合体を含有するゴム組成物、並びに前記ゴム組成物を用いたタイヤに関する。
従来、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム等のゴム成分に対してカーボンブラックやシリカ等のフィラーを配合することにより機械強度を向上させたゴム組成物が、耐摩耗性や機械強度を必要とするタイヤ用途に広く使用されている。
前記フィラーは、その粒子表面に前記ゴム成分を物理的又は化学的に吸着することでその補強効果を発現することが知られている。したがって、100〜200nm程度の粒子径が大きいフィラーを使用した場合には、一般的にゴム成分との相互作用が十分に得られないため、ゴム組成物の機械強度を十分に向上させることができない場合があった。また、当該ゴム組成物をタイヤとして用いた場合、硬度が低下し、操縦安定性が不十分となる場合があった。
一方、5〜100nm程度の小さい平均粒子径を有し、比表面積が大きいフィラーを使用した場合、フィラーとゴム成分との相互作用が大きくなるためゴム組成物の機械強度及び耐摩耗性等の特性が向上する。また、当該ゴム組成物をタイヤとして用いた場合、硬度が高くなるため、操縦安定性が向上する。
しかしながら、この平均粒径が小さいフィラーを使用した場合にあっては、カーボンブラックあるいはシリカ同士の高い凝集力により、ゴム組成物中のフィラーの分散性が低下することが知られている。このフィラーの分散性の低下は、混練工程の長時間化を招きゴム組成物の生産性に影響することがあった。また、分散性が低下するとゴム組成物が発熱しやすくなるため、転がり抵抗性能の悪化を招き、いわゆる低燃費タイヤの要求特性を満たすことができないことが多かった。また、混練時間を長くしフィラーの分散を向上した場合においても、ゴム組成物中のフィラーによるネットワーク構造が減少することになるため、ゴム組成物としての弾性率が低下することがあった。
このように、タイヤ用ゴム組成物における機械強度及び硬度と、転がり抵抗性能とは二律背反の関係にあり、両者をバランスよく改良することは困難とされている。
前記特性をバランスよく改良するためのゴム組成物として、特許文献1にはイソプレン系ゴムとスチレンブタジエンゴムとを含有するゴム成分、カーボンブラック、及び軟化点が−20〜20℃の液状レジンを特定の比率で含有するタイヤ用ゴム組成物が記載されている。
また、特許文献2には、変性スチレン−ブタジエン共重合体及び変性共役ジエン系重合体を含有するジエン系ゴムを含有するゴム成分と、カーボンブラック等のフィラーとを所定の割合で配合したタイヤが記載されている。
なお、特許文献3,4には、β−ファルネセンの重合体が記載されているが、実用的な用途については十分に検討されていない。
特開2011−195804号公報 特開2010−209256号公報 国際公開第2010/027463号 国際公開第2010/027464号
特許文献1,2に記載のタイヤによれば、ある程度前記問題を解決することができるものの、機械強度、硬度、及び硬度に起因する操縦安定性と、転がり抵抗性能とを十分に高い水準で兼ね備えているとはいえず、更なる改善が望まれている。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、ゴム組成物の一部に用いた際にカーボンブラックやシリカ等のフィラーと相互作用することで、フィラー間の摩擦に伴う発熱を抑制することができ、また弾性率を向上することができる変性ファルネセン重合体、及びその製造方法を提供する。
また、前記変性ファルネセン重合体を含有するゴム組成物であって、その架橋物(加硫ゴムを含む。以下同じ)が優れた硬度、機械強度、弾性率及び耐摩耗性を示すゴム組成物を提供する。
更に、前記ゴム組成物を少なくとも一部に用い、高硬度に起因する優れた操縦安定性、及び優れた転がり抵抗性能を有するタイヤを提供する。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ファルネセン由来の単量体単位を含み、更に特定の構造を特定量有する変性ファルネセン重合体をゴム組成物に用いると、当該ゴム組成物の架橋物が、硬度、機械強度、弾性率及び耐摩耗性について優れた性能を示すことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[4]に関する。
[1]ジカルボン酸構造(a1)、ジカルボン酸モノエステル構造(a2)、ジカルボン酸モノアミド構造(a3)及び無水カルボン酸構造(a4)から選ばれる1種以上の官能基を有する変性ファルネセン重合体であって、前記(a1)〜(a3)の全量が前記(a1)〜(a4)の全量に対して80mol%以上である変性ファルネセン重合体。
[2]無水カルボン酸により変性されたファルネセン重合体の無水カルボン酸部分を開環反応させる、前記[1]に記載の変性ファルネセン重合体の製造方法。
[3]合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる1種以上のゴム成分(A)100質量部に対し、フィラー(B)を20〜150質量部含有するゴム組成物であって、フィラー(B)100質量部に対して前記[1]に記載の変性ファルネセン重合体(C)を0.1〜30質量部含有するゴム組成物。
[4]前記[3]に記載のゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤ。
本発明によれば、ゴム組成物の一部に用いた際にカーボンブラックやシリカ等のフィラーと相互作用することで、フィラー間の摩擦に伴う発熱を抑制することができ、また弾性率を向上することができる変性ファルネセン重合体、及びその製造方法を提供することができる。
また、前記変性ファルネセン重合体を含有するゴム組成物であって、その架橋物が優れた硬度、機械強度、弾性率及び耐摩耗性を示すゴム組成物を提供することができる。
更に、前記ゴム組成物を少なくとも一部に用い、高硬度に起因する優れた操縦安定性、及び優れた転がり抵抗性能を有するタイヤを提供することができる。
[変性ファルネセン重合体]
本発明の変性ファルネセン重合体は、ジカルボン酸構造(a1)、ジカルボン酸モノエステル構造(a2)、ジカルボン酸モノアミド構造(a3)及び無水カルボン酸構造(a4)から選ばれる1種以上の官能基を有する変性ファルネセン重合体であって、前記(a1)〜(a3)の全量が前記(a1)〜(a4)の全量に対して80mol%以上である変性ファルネセン重合体である。
本発明における変性ファルネセン重合体を構成するファルネセンとしては、α−ファルネセン及び式(I)で示されるβ−ファルネセンから選ばれる少なくとも1種を用いることができ、製造容易性の観点から、β−ファルネセンを用いることが好ましい。
Figure 2016037589
ジカルボン酸構造(a1)としては、不飽和ジカルボン酸に由来する構造が好ましく、具体的には、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸及び2,3−ジメチルマレイン酸等に由来する構造が挙げられる。
ジカルボン酸モノエステル構造(a2)としては、不飽和ジカルボン酸モノエステルに由来する構造が好ましく、ジカルボン酸モノメチルエステル、ジカルボン酸モノエチルエステル、ジカルボン酸モノプロピルエステル、又はジカルボン酸モノブチルエステルが好ましい。具体的には、マレイン酸モノエステル、フマル酸モノエステル、シトラコン酸モノエステル、イタコン酸モノエステル及び2,3−ジメチルマレイン酸モノエステル等に由来する構造が挙げられる。
ジカルボン酸モノアミド構造(a3)としては、不飽和ジカルボン酸モノアミドに由来する構造が好ましく、具体的には、マレイン酸モノアミド、フマル酸モノアミド、シトラコン酸モノアミド、イタコン酸モノアミド及び2,3−ジメチルマレイン酸モノアミド等に由来する構造が挙げられる。
無水カルボン酸構造(a4)としては、不飽和無水カルボン酸に由来する構造が好ましく、具体的には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水2,3−ジメチルマレイン酸、無水イタコン酸等に由来する構造が挙げられる。
これらの中でも、本発明の変性ファルネセン重合体をゴム組成物の一部に用いた際にカーボンブラックやシリカ等のフィラーとの相互作用を向上させる観点から、前記ジカルボン酸としてはマレイン酸が好ましく、前記ジカルボン酸モノエステルとしてはマレイン酸モノエステルが好ましく、前記ジカルボン酸モノアミドとしてはマレイン酸モノアミドが好ましい。また、前記ジカルボン酸モノエステルとしては、ジカルボン酸モノメチルエステル、ジカルボン酸モノエチルエステル、ジカルボン酸モノプロピルエステル及びジカルボン酸モノブチルエステルが好ましい。
本発明の変性ファルネセン重合体は、前記(a1)〜(a3)の全量が前記(a1)〜(a4)の全量に対して80mol%以上であることを要する。前記(a1)〜(a4)の全量中の前記(a1)〜(a3)の量が80mol%以上であると、本発明の変性ファルネセン重合体をゴム組成物の一部に用いた際に、カーボンブラックやシリカ等のフィラーとの相互作用が高くなり、弾性率、及び転がり抵抗性能が向上する。
変性ファルネセン重合体とフィラーとの相互作用を向上させる観点から、前記(a1)〜(a4)の全量中の前記(a1)〜(a3)の量は、85mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましく、95mol%以上が更に好ましく、100mol%であってもよい。なお、変性ファルネセン重合体中の各官能基の合計量及び各官能基の量は、赤外分光法、核磁気共鳴分光法等の分析機器を用いて算出することができる。
前記変性ファルネセン重合体中の前記(a1)〜(a4)の全量は0.1〜50質量%が好ましい。変性ファルネセン重合体中の前記(a1)〜(a4)の全量が前記範囲内であると、本発明の変性ファルネセン重合体をゴム組成物の一部に用いた際にカーボンブラックやシリカ等のフィラーとの相互作用が高くなり、弾性率及び転がり抵抗性能が向上する。また、変性ファルネセン重合体中の前記(a1)〜(a4)の全量が50質量%以下であると、粘度が高くなることを防ぐことができるため製造が容易になる。
変性ファルネセン重合体中の前記(a1)〜(a4)の全量は、変性ファルネセン重合体とフィラーとの相互作用を向上させる観点から、0.1〜50質量%が好ましく、0.2〜45質量%がより好ましく、0.5〜40質量%が更に好ましい。なお、変性ファルネセン重合体中の各官能基の合計量は、赤外分光法、核磁気共鳴分光法等の分析機器を用いて算出することができる。また、変性ファルネセン重合体は前記(a1)〜(a4)以外の官能基を発明の効果を損ねない範囲で含有していてもよい。
変性ファルネセン重合体の重量平均分子量(Mw)は、2000〜50万が好ましく、1.5万〜50万がより好ましく、2万〜45万が更に好ましく、3万〜30万がより更に好ましい。変性ファルネセン重合体のMwが前記範囲内であると、本発明のゴム組成物の加工性が良好となり、該ゴム組成物の架橋物を用いたタイヤの転がり抵抗性能が良好となる。
なお、本明細書において変性ファルネセン重合体のMwは、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。本発明においては、Mwが異なる2種類の変性ファルネセン重合体を併用してもよい。
変性ファルネセン重合体の38℃における溶融粘度は、0.1〜3,000Pa・sが好ましく、1.0〜2,000Pa・sがより好ましく、2.5〜1,500Pa・sが更に好ましく、4.0〜1,000Pa・sがより更に好ましい。変性ファルネセン重合体の溶融粘度が前記範囲内であると、得られるゴム組成物の混練が容易になると共に加工性が向上する。なお、本明細書において変性ファルネセン重合体の溶融粘度は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。
変性ファルネセン重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜8.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜3.0がより更に好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、得られる変性ファルネセン重合体の粘度のばらつきが小さく、より好ましい。
変性ファルネセン重合体のガラス転移温度は、−90〜10℃の範囲が好ましく、−90〜0℃の範囲がより好ましく、−90〜−5℃の範囲が更に好ましい。前記範囲であると、本発明の変性ファルネセン重合体を含むゴム組成物の架橋物を用いたタイヤの転がり抵抗性能が良好となる。また、粘度が高くなるのを抑えることができ取り扱いが容易になる。
(変性ファルネセン重合体の製造方法)
前記変性ファルネセン重合体は、例えば、未変性のファルネセン重合体を製造し、この未変性のファルネセン重合体に対して、ジカルボン酸構造(a1)、ジカルボン酸モノエステル構造(a2)、ジカルボン酸モノアミド構造(a3)及び無水カルボン酸構造(a4)から選ばれる1種以上の官能基を導入することにより製造することができる。
〔未変性のファルネセン重合体の製造方法〕
未変性のファルネセン重合体は、乳化重合法、又は国際公開第2010/027463号、国際公開第2010/027464号に記載の方法等により製造することができる。その中でも、乳化重合法又は溶液重合法が好ましく、溶液重合法が更に好ましい。
未変性のファルネセン重合体を得るための乳化重合法としては公知の方法を適用できる。例えば、所定量のファルネセン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
分散媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られる未変性のファルネセン重合体の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
乳化重合温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択できるが、通常、0〜100℃の範囲が好ましく、0〜80℃の範囲がより好ましい。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。
重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、未変性のファルネセン重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって未変性のファルネセン重合体を回収する。次いで水洗、及び脱水後、乾燥することで、未変性のファルネセン重合体が得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展の未変性のファルネセン重合体として回収してもよい。
未変性のファルネセン重合体を得るための溶液重合法としては、公知の方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、ファルネセン単量体を重合する。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。アルカリ金属を用いる場合においては、有機アルカリ金属化合物として用いることが好ましい。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は要求されるファルネセン重合体の分子量によって適宜決められるが、ファルネセン100質量部に対して0.01〜3質量部が好ましい。
有機アルカリ金属化合物はまた、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
極性化合物は、アニオン重合において、反応を失活させず、ファルネセン部位のミクロ構造を調整するため用いられ、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して好ましくは0.01〜1000モル等量の範囲で使用される。
重合反応の温度は、通常、−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは10〜90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
未変性のファルネセン重合体は、ファルネセンに由来する単量体単位(c1)のみで構成されてもよく、ファルネセンに由来する単量体単位(c1)とファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位(c2)で構成されてもよい。
変性ファルネセン重合体が共重合体である場合、ファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位(c2)としては、例えば、炭素数12以下の共役ジエン及び芳香族ビニル化合物を挙げることができる。
炭素数12以下の共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、クロロプレン等が挙げられる。これらの中ではブタジエン、イソプレン、ミルセンがより好ましい。これらの共役ジエンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。これらの中では、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましい。
共重合体中、ファルネセン由来の単量体単位(c1)及びファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位(c2)の合計に対する単量体単位(c2)の割合は、得られるゴム組成物の加工性、及び転がり抵抗性能を向上させる観点から、1〜99質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、15〜80質量%が更に好ましい。
また、耐摩耗性を向上させる観点からは、40〜80質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。加工性を向上させる観点からは、20〜60質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
また、ファルネセン以外の単量体に由来する単量体単位(c2)としては、転がり抵抗性能、耐摩耗性を向上させる観点から、ブタジエンであることがより好ましい。
〔未変性のファルネセン重合体の変性方法〕
変性ファルネセン重合体は、前記未変性のファルネセン重合体に対して、重合停止剤を添加した後、未変性のファルネセン重合体に無水マレイン酸等の変性剤をグラフト化する方法等の変性方法により得ることができる。
前記変性剤としては、ジカルボン酸、ジカルボン酸モノエステル、ジカルボン酸モノアミド、及び無水カルボン酸から選ばれる1種以上であって、前記(a1)〜(a4)に対応する化合物を使用することができる。すなわち、本発明の変性ファルネセン重合体は、未変性のファルネセン重合体に対して前記(a1)〜(a4)に対応する化合物をグラフト化することにより製造することができる。
前記方法において用いることができる変性剤としては、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、2,3−ジメチルマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸;マレイン酸モノエステル、フマル酸モノエステル、シトラコン酸モノエステル、イタコン酸モノエステル、2,3−ジメチルマレイン酸モノエステル等の不飽和ジカルボン酸モノエステル;マレイン酸モノアミド、フマル酸モノアミド、シトラコン酸モノアミド、イタコン酸モノアミド、2,3−ジメチルマレイン酸モノアミド等の不飽和ジカルボン酸モノアミド;無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水2,3−ジメチルマレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和無水カルボン酸等が挙げられる。
未変性のファルネセン重合体100質量部に対する前記変性剤の使用量は、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.5〜50質量部である。反応温度は通常0〜200℃の範囲が好ましい。
また、本発明の変性ファルネセン重合体は、無水カルボン酸により変性されたファルネセン重合体の無水カルボン酸部分を開環反応させ、前記(a1)〜(a3)から選ばれるいずれかの官能基に変換することによっても、製造することができる。
無水カルボン酸を開環させる開環反応は、無水カルボン酸変性ファルネセン重合体に対して、水、アルコール、アンモニア、アミンから選ばれる1種以上の開環試薬を反応させることにより行うことができる。前記開環試薬の中でも、製造容易性の観点から炭素数1〜20のアルコール、炭素数1〜20のアミンが好ましい。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール等が挙げられる。アミンとしては、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、アニリン、ヒドロキシルアミン等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜20のアルコールが好ましく、メタノールがより好ましい。例えば、無水マレイン酸変性ファルネセン重合体に対して、開環試薬としてメタノールを用いた場合、マレイン酸モノメチルエステル基と無水マレイン酸基とを有する変性ファルネセン重合体を得ることができる。
前記開環反応において開環試薬の量は、無水カルボン酸に対して0.5〜5当量が好ましく、0.8〜5当量がより好ましい。
前記開環反応の反応温度は、反応を速やかに進行させる観点から、0〜100℃が好ましく、25〜100℃がより好ましい。
本発明においては、未変性のファルネセン重合体に変性剤をグラフト化し、前記各構造を導入した後、更に前記各構造と反応し得る化合物を添加して別の官能基を重合体中に導入してもよい。具体的には、リビングアニオン重合して得られる未変性のファルネセン重合体に対し、無水マレイン酸をグラフト化した後、次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等を反応させる方法が挙げられる。
本発明においては、前記未変性のファルネセン重合体に官能基を導入する反応時、及び変性ファルネセン重合体の保存時に、劣化による分子量の低下や変色及びゲル化を抑制する目的で、未変性のファルネセン重合体又は変性ファルネセン重合体に適当な老化防止剤を配合してもよい。具体的には、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(AO−40)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(AO−80)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(LA−77Y)(以上、ADEKA製)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−6−メチルフェノール(Irganox 1520L)、2,4−ビス[(ドデシルチオ)メチル]−6−メチルフェノール(Irganox 1726)、ビス(4−t−オクチルフェニル)アミン(Irganox 5057)、亜りん酸トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)(Irgafos 168)、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン(Irgastab FS 042)(以上、いずれもBASF製)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジt−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジt−ペンチルフェニルアクリレート(Sumilizer GS)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(Sumilizer GM)、6−t−ブチル−4−[3−(2,4,8,10−テトラt−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イルオキシ)プロピル]−2−メチルフェノール(Sumilizer GP)(以上いずれも住友化学株式会社製)、p−メトキシフェノール、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(ノクラック6C)(大内新興化学製)、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ジオクタデシル3,3’−ジチオビスプロピオネート、ヒドロキノン等が挙げられる。また、前記老化防止剤は1種又は2種以上を併用してもよい。
老化防止剤の添加量は、未変性のファルネセン重合体又は変性ファルネセン重合体100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる1種以上のゴム成分(A)100質量部に対し、フィラー(B)を20〜150質量部含有するゴム組成物であって、フィラー(B)100質量部に対して前記本発明の変性ファルネセン重合体(C)を0.1〜30質量部含有するゴム組成物である。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)、フィラー(B)及び前記変性ファルネセン重合体(C)を併用することで、ゴム組成物の架橋物の機械強度、耐摩耗性が良好になり、また、該架橋物を用いたタイヤの転がり抵抗性能や操縦安定性を改良できる。また、ゴム組成物の配合時、成型時又は加硫時の加工性が良好である。
ゴム組成物の加工性及び弾性率、転がり抵抗性能を向上させる観点から、本発明のゴム組成物中の前記変性ファルネセン重合体(C)の含有量は、前記フィラー(B)100質量部に対して、0.1〜30質量部であり、0.1〜25質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜15質量部が更に好ましい。
なお、本発明のゴム組成物に用いる変性ファルネセン重合体(C)は、単量体単位や分子量及び官能基の種類がそれぞれ異なる2種類以上の変性ファルネセン重合体を混合して用いてもよい。
<ゴム成分(A)>
ゴム成分(A)としては、合成ゴム及ぶ天然ゴムから選ばれる1種以上のゴムを用いる。スチレンブタジエンゴム(以下、「SBR」ともいう。)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム等のゴムを挙げることができる。中でも、SBR、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴムがより好ましく、SBR、天然ゴムが更に好ましい。これらのゴムは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔合成ゴム〕
本発明においてゴム成分(A)として合成ゴムを用いる場合、スチレンブタジエンゴム(以下、「SBR」ともいう。)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴム等が好ましく、中でも、SBR、ブタジエンゴム、イソプレンゴムがより好ましく、SBRが更に好ましい。
(SBR(A−I))
SBRとしては、タイヤ用途に用いられる一般的なものを使用できるが、具体的には、スチレン含量が0.1〜70質量%のものが好ましく、5〜50質量%のものがより好ましく、15〜35質量%のものが更に好ましい。また、ビニル含量が0.1〜60質量%のものが好ましく、0.1〜55質量%のものがより好ましい。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、10万〜250万であることが好ましく、15万〜200万であることがより好ましく、20万〜150万であることが更に好ましい。上記の範囲である場合、加工性と機械強度を両立することができる。
なお、本明細書におけるMwは、後述の実施例に記載の方法により測定した値である。
本発明において使用するSBRの示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は、−95〜0℃の範囲内であることが好ましく−95〜−5℃の範囲内であることがより好ましい。Tgを上記範囲にすることによって、粘度が高くなるのを抑えることができ、取り扱いが容易になる。
≪SBRの製造方法≫
本発明において用いることができるSBRは、スチレンとブタジエンとを共重合して得られる。SBRの製造方法について特に制限はなく、乳化重合法、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができ、特に乳化重合法、溶液重合法が好ましい。
(i)乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)
E−SBRは、通常の乳化重合法により製造でき、例えば、所定量のスチレン及びブタジエン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
分散媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られるE−SBRの分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択できるが、通常、0〜100℃の範囲が好ましく、0〜80℃の範囲がより好ましい。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。
重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物;ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって重合体をクラムとして回収できる。クラムを水洗、次いで脱水後、バンドドライヤー等で乾燥することで、E−SBRが得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
E−SBRの市販品としては、JSR株式会社製、油展スチレンブタジエンゴム「JSR1723」等が挙げられる。
(ii)溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)
S−SBRは、通常の溶液重合法により製造でき、例えば、溶媒中でアニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、スチレン及びブタジエンを重合する。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。更にアルカリ金属の中でも、有機アルカリ金属化合物がより好ましく用いられる。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は、単量体濃度が1〜50質量%となる範囲で用いることが好ましい。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は、要求されるS−SBRの分子量によって適宜決められる。
有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物としては、アニオン重合において、反応を失活させず、ブタジエン部位のミクロ構造やスチレンの共重合体鎖中の分布を調整するために通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。
重合反応の温度は、通常、−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式は、回分式あるいは連続式のいずれでもよい。また、スチレン及びブタジエンのランダム共重合性を向上させるため、重合系中のスチレン及びブタジエンの組成比が特定範囲になるように、反応液中にスチレン及びブタジエンを連続的あるいは断続的に供給することが好ましい。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して、反応を停止できる。重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤を添加してもよい。重合反応停止後の重合溶液は、直接乾燥やスチームストリッピング等により溶媒を分離して、目的のS−SBRを回収できる。なお、溶媒を除去する前に、予め重合溶液と伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
(iii)変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)
本発明においては、SBRに官能基が導入された変性SBRを用いてもよい。官能基としては、例えば、アミノ基、アルコキシシリル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
変性SBRの製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤又は、特開2011−132298号公報に記載のその他の変性剤を添加する方法が挙げられる。
この変性SBRにおいて、官能基が導入される重合体の位置については重合末端であってもよく、ポリマー鎖の側鎖であってもよい。
(イソプレンゴム(A−II))
イソプレンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジウム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のイソプレンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたイソプレンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のイソプレンゴムを用いてもよい。
イソプレンゴムのビニル含量は好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると転がり抵抗性能が悪化する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。
イソプレンゴムの重量平均分子量(Mw)は9万〜200万であることが好ましく、15万〜150万であることがより好ましい。Mwが上記範囲にある場合、加工性と機械強度が良好となる。
上記イソプレンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば、四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
(ブタジエンゴム(A−III))
ブタジエンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のブタジエンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたブタジエンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のブタジエンゴムを用いてもよい。
ブタジエンゴムのビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると転がり抵抗性能が悪化する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
ブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は9万〜200万であることが好ましく、15万〜150万であることがより好ましい。Mwが上記範囲にある場合、加工性と機械強度が良好となる。
上記ブタジエンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば、四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
SBR、イソプレンゴム、及びブタジエンゴムの少なくとも1種と共に、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴム等を1種又は2種以上を使用することができる。また、これらの製造方法は特に限定されず、市販されているものを使用できる。
本発明において、SBR、イソプレンゴム、ブタジエンゴム及びその他の合成ゴムと後述するフィラー(B)、ファルネセンの変性ファルネセン重合体(C)を併用することで、転がり抵抗性能や操縦安定性、機械強度、耐摩耗性を改良できる。
2種以上の合成ゴムを混合して用いる場合、その組み合わせは本発明の効果を損なわない範囲で任意に選択でき、またその組み合わせによって、転がり抵抗性能や耐摩耗性等の物性値を調整できる。
〔天然ゴム〕
ゴム成分(A)で用いる天然ゴムとしては、例えば、SMR、SIR、STR等のTSRや、RSS等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム、高純度天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴムが挙げられる。中でも、品質のばらつきが少ない点、及び入手容易性の点から、SMR20、STR20やRSS#3が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ゴム成分(A)に用いるゴムの製造方法に特に制限はなく、市販のものを用いてもよい。
<フィラー(B)>
本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分(A)100質量部に対し、フィラー(B)を20〜150質量部含有する。フィラー(B)を用いることにより、ゴム組成物の架橋物における機械強度等の物性が改善される。
本発明におけるフィラー(B)としては、カーボンブラック及びシリカの少なくとも1種を用いることが好ましい。
〔カーボンブラック〕
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック等のカーボンブラックを用いることができる。これらの中では、ゴム組成物の加硫速度やその加硫物の機械強度を向上させる観点から、ファーネスブラックが好ましい。これらカーボンブラックは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記カーボンブラックの平均粒径としては、分散性、機械強度、及び硬度を向上させる観点から、5〜100nmが好ましく、5〜80nmがより好ましく、5〜70nmが更に好ましい。
ファーネスブラックの市販品としては、例えば、三菱化学株式会社「ダイヤブラック」、東海カーボン株式会社製「シースト」等が挙げられる。アセチレンブラックの市販品としては、例えば、電気化学工業株式会社製「デンカブラック」が挙げられる。ケッチェンブラックの市販品としては、例えば、ライオン株式会社製「ECP600JD」が挙げられる。
前記カーボンブラックは、ゴム成分(A)及び変性ファルネセン重合体(C)への濡れ性や分散性を向上させる観点から、硝酸、硫酸、塩酸又はこれらの混合酸等による酸処理や、空気存在下での熱処理による表面酸化処理を行ってもよい。また、本発明のゴム組成物の機械強度向上の観点から、黒鉛化触媒の存在下に2,000〜3,000℃で熱処理を行ってもよい。なお、黒鉛化触媒としては、ホウ素、ホウ素酸化物(例えば、B22、B23、B43、B45等)、ホウ素オキソ酸(例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等)及びその塩、ホウ素炭化物(例えば、B4C、B6C等)、窒化ホウ素(BN)、その他のホウ素化合物が好適に用いられる。
カーボンブラックは、粉砕等により粒度を調整することができる。カーボンブラックの粉砕には、高速回転粉砕機(ハンマーミル、ピンミル、ケージミル)や各種ボールミル(転動ミル、振動ミル、遊星ミル)、撹拌ミル(ビーズミル、アトライター、流通管型ミル、アニュラーミル)等が使用できる。
なお、カーボンブラックの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定してその平均値を算出することにより求めることができる。
〔シリカ〕
シリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等を挙げることができる。中でも、加工性、機械強度及び耐摩耗性を一層向上させる観点から、湿式シリカが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの平均粒径は、得られるゴム組成物の加工性、その架橋物の機械強度及び耐摩耗性、架橋物を用いたタイヤ等の転がり抵抗性能を向上する観点から、0.5〜200nmが好ましく、5〜150nmがより好ましく、10〜100nmが更に好ましい。
なお、シリカの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
ゴム成分(A)100質量部に対するフィラー(B)の含有量は、20〜150質量部であり、25〜130質量部が好ましく、25〜100質量部がより好ましい。フィラー(B)の含有量が前記範囲内であると、ゴム組成物の加工性、その架橋物の機械強度及び耐摩耗性、架橋物を用いたタイヤ等の転がり抵抗性能が向上する。
〔その他のフィラー〕
本発明のゴム組成物は、その架橋物の機械強度の向上、耐熱性や耐候性等の物性の改良、硬度調整、増量剤を配合することによる経済性の改善等を目的として、必要に応じてカーボンブラック及びシリカ以外のフィラーを更に含有していてもよい。
前記カーボンブラック及びシリカ以外のフィラーとしては、用途に応じて適宜選択されるが、例えば、有機充填剤や、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス繊維、繊維状フィラー、ガラスバルーン等の無機充填剤から選ばれる1種以上を使用することができる。
本発明のゴム組成物が前記カーボンブラック及びシリカ以外のフィラーを含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜120質量部が好ましく、5〜90質量部がより好ましく、10〜80質量部が更に好ましい。前記フィラーの含有量が前記範囲内であると、その架橋物の機械強度がより一層向上する。
<加硫剤>
本発明のゴム組成物は、加硫剤を含有することが好ましい。加硫剤としては、例えば、硫黄及び硫黄化合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、0.8〜5質量部が更に好ましい。
<加硫促進剤>
本発明のゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド−アミン系化合物又はアルデヒド−アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、キサンテート系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫促進剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
<加硫助剤>
本発明のゴム組成物は、加硫助剤を含有してもよい。加硫助剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫助剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
<シランカップリング剤>
本発明のゴム組成物においてシリカを用いる場合、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、スルフィド系化合物、メルカプト系化合物、ビニル系化合物、アミノ系化合物、グリシドキシ系化合物、ニトロ系化合物、クロロ系化合物等が挙げられる。
スルフィド系化合物としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等が挙げられる。
メルカプト系化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ビニル系化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アミノ系化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
グリシドキシ系化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
ニトロ系化合物としては、例えば、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
クロロ系化合物としては、例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、補強効果が大きい観点から、スルフィド系化合物及びメルカプト系化合物等の硫黄を含有するシランカップリング剤が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
前記シランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部が更に好ましい。シランカップリング剤の含有量が前記範囲内であると、分散性、補強性、耐摩耗性が向上する。
<その他の成分>
本発明のゴム組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、加工性、流動性等の改良を目的とし、必要に応じてシリコンオイル、アロマオイル、TDAE(Treated Distilled Aromatic Extracts)、MES(Mild Extracted Solvates)、RAE(Residual Aromatic Extracts)、パラフィンオイル、ナフテンオイル等のプロセスオイル、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂成分、低分子量ポリブタジエン、低分子量ポリイソプレン、低分子量スチレンブタジエン共重合体、低分子量スチレンイソプレン共重合体等の液状重合体、未変性のファルネセン重合体を軟化剤として含有していてもよい。なお、上記共重合体はブロック又はランダム等のいずれの重合形態であってもよい。液状重合体の重量平均分子量(Mw)は500〜10万であることが加工性の観点から好ましい。本発明のゴム組成物が上記プロセスオイル、樹脂成分又は液状重合体、未変性のファルネセン重合体を軟化剤として含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して50質量部より少ないことが好ましい。
本発明のゴム組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、耐候性、耐熱性、耐酸化性等の向上を目的として、必要に応じて老化防止剤、酸化防止剤、ワックス、滑剤、光安定剤、スコーチ防止剤、加工助剤、顔料や色素等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、香料等の添加剤を1種又は2種以上含有していてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、ヒドロキシル系化合物等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。
本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定されず、前記各成分を均一に混合すればよい。均一に混合する方法としては、例えば、ニーダールーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー等の接線式もしくは噛合式の密閉式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、ローラー等が挙げられ、通常70〜270℃の温度範囲で行うことができる。
本発明のゴム組成物は、加硫することにより加硫ゴムとして利用することができる。加硫の条件、方法に特に制限はないが、加硫金型を用いて加硫温度120〜200℃及び加硫圧力0.5〜2.0MPaの加圧加熱条件で行うことが好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記加硫剤の他に、架橋剤を添加して架橋して用いることもできる。架橋剤としては、例えば、酸素、有機過酸化物、フェノール樹脂及びアミノ樹脂、キノン及びキノンジオキシム誘導体、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物、アルコール化合物、エポキシ化合物、金属ハロゲン化物及び有機金属ハロゲン化物、シラン化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。架橋剤の含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を少なくとも一部に用いる。そのため、機械強度が良好であり、また優れた転がり抵抗性能を備える。更に、本発明のゴム組成物を用いたタイヤは、長期間使用した場合でも前記機械強度等の特性を維持することができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例及び比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
<ゴム成分(A)>
・天然ゴム :「STR20」(タイ製天然ゴム)(A−1)
・油展スチレンブタジエンゴム:「JSR1723」(JSR株式会社製)(A−2)
重量平均分子量(Mw)=85万
スチレン含有量=23.5質量%
乳化重合法で製造
オイル含量=27.3%
<フィラー(B)>
・シリカ:ULTRASIL7000GR(エボニック デグサ ジャパン製)(B−1)
湿式シリカ:平均粒径14nm
<変性ファルネセン重合体(C)>
・下記製造例にしたがって製造した変性ファルネセン重合体(C−1)〜(C−4)
<ポリイソプレン>
・ポリイソプレン:下記比較製造例1及び2で得られたポリイソプレン(X−1)及び (X−2)
<変性ファルネセン重合体の比較例(C’)>
・下記比較製造例3にしたがって製造した変性ファルネセン重合体(C'−1)
<任意成分>
TDAE:VivaTec500(H&R製)
・シランカップリング剤(1):Si75(エボニック デグサ ジャパン製)
・シランカップリング剤(2):Si69(エボニック デグサ ジャパン製)
・老化防止剤(1):ノクラック6C(大内新興化学工業株式会社製)
・老化防止剤(2):アンテージRD(川口化学工業株式会社)
・ワックス :サンタイトS(精工化学株式会社)
・加硫剤
硫黄(微粉硫黄200メッシュ、鶴見化学工業株式会社製)
・加硫促進剤
加硫促進剤(1):ノクセラーNS−P (大内新興化学工業株式会社製)
加硫促進剤(2):ノクセラーCZ−G (大内新興化学工業株式会社製)
加硫促進剤(3):ノクセラーD (大内新興化学工業株式会社製)
加硫促進剤(4):ノクセラーTBT−N(大内新興化学工業株式会社製)
・加硫助剤
ステアリン酸:ルナックS−20(花王株式会社製)
亜鉛華 :酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製)
製造例1:変性ファルネセン重合体(C−1)の製造
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてヘキサン1370g、開始剤としてn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)6.0gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン1360gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、80℃で12時間減圧乾燥することにより、未変性のポリファルネセンを得た。
次いで、耐圧容器に得られた未変性のポリファルネセンを500g、老化防止剤としてノクラック6Cを0.5g、及び無水マレイン酸を25g仕込み、窒素置換した後、170℃まで昇温し24時間反応させた。更にメタノールを9.0g(無水マレイン酸に対し1.1当量)仕込み、80℃で6時間反応させることにより、マレイン酸モノメチルエステル基(官能基1)と無水マレイン酸基(官能基2)とを有する変性ファルネセン重合体(C−1)を得た。変性ファルネセン重合体(C−1)の物性を表1に示す。
製造例2:変性ファルネセン重合体(C−2)の製造
製造例1と同様の方法にて未変性のポリファルネセンを得た。
次いで、耐圧容器に得られた未変性のポリファルネセンを500g、老化防止剤としてノクラック6Cを0.5g、及び無水マレイン酸を7.5g仕込み、窒素置換した後、170℃まで昇温し24時間反応させた。更にメタノールを2.7g(無水マレイン酸に対し1.1当量)仕込み、80℃で6時間反応させることにより、マレイン酸モノメチルエステル基(官能基1)と無水マレイン酸基(官能基2)とを有する変性ファルネセン重合体(C−2)を得た。変性ファルネセン重合体(C−2)の物性を表1に示す。
製造例3:変性ファルネセン重合体(C−3)の製造
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン1200g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)42.6gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン1880gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、80℃で12時間減圧乾燥することにより、未変性のポリファルネセンを得た。
次いで、耐圧容器に得られた未変性のポリファルネセンを500g、老化防止剤としてノクラック6Cを0.5g、及び無水マレイン酸を7.5g仕込み、窒素置換した後、170℃まで昇温し24時間反応させた。更にメタノールを2.7g(無水マレイン酸に対し1.1当量)仕込み、80℃で6時間反応させることにより、マレイン酸モノメチルエステル基(官能基1)と無水マレイン酸基(官能基2)とを有する変性ファルネセン重合体(C−3)を得た。変性ファルネセン重合体(C−3)の物性を表1に示す。
製造例4:変性ファルネセン重合体(C−4)の製造
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてヘキサン1137g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)32.8gを仕込み、50℃に昇温した後、予め調製したβ−ファルネセン(c1)とブタジエン(c2)との混合物(β−ファルネセン(c1)1260gとブタジエン(c2)840gとをボンベ内で混合)1430gを10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間乾燥することにより、未変性のファルネセン-ブタジエン共重合体を得た。
次いで、耐圧容器に得られた未変性のファルネセン-ブタジエン共重合体を500g、老化防止剤としてノクラック6Cを0.5g、及び無水マレイン酸を25g仕込み、窒素置換した後、170℃まで昇温し24時間反応させた。更にメタノールを9.0g(無水マレイン酸に対し1.1当量)仕込み、80℃で6時間反応させることにより、マレイン酸モノメチルエステル基(官能基1)と無水マレイン酸基(官能基2)と有する変性ファルネセン重合体(C−4)を得た。変性ファルネセン重合体(C−4)の物性を表1に示す。
比較製造例1:ポリイソプレン(X−1)の製造
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、ヘキサン600g、n−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)13.9gを仕込み、70℃に昇温した後、イソプレン1,370gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液にメタノールを添加後、重合反応液を水で洗浄した。水を分離して、重合反応液を80℃で12時間減圧乾燥することにより、表1に示す物性を有するポリイソプレン(X−1)を得た。
比較製造例2:ポリイソプレン(X−2)の製造
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、ヘキサン600g、n−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)44.9gを仕込み、70℃に昇温した後、イソプレン2,050gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液にメタノールを添加後、重合反応液を水で洗浄した。水を分離して、重合反応液を80℃で12時間減圧乾燥することにより、表1に示す物性を有するポリイソプレン(X−2)を得た。
比較製造例3:変性ファルネセン重合体(C’−1)の製造
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてヘキサン5755g、開始剤としてn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)26.5gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン5709gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間乾燥することにより、未変性のポリファルネセンを得た。
次いで、耐圧容器に得られた未変性のポリファルネセンを500g、老化防止剤としてノクラック6Cを0.5g、及び無水マレイン酸を25g仕込み、窒素置換した後、170℃まで昇温し24時間反応させることにより、無水マレイン酸基を有する変性ファルネセン重合体(C’−1)を得た。変性ファルネセン重合体(C’−1)の物性を表1に示す。
なお、変性ファルネセン重合体(C)、(C’)、及びポリイソプレンの重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、溶融粘度、ガラス転移温度、官能基1の含有割合及び官能基の全量の測定方法は以下のとおりである。
(重量平均分子量及び分子量分布の測定方法)
変性ファルネセン重合体(C)、(C’)及びポリイソプレンのMw及びMw/MnはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下のとおりである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
(溶融粘度の測定方法)
変性ファルネセン重合体(C)、(C’)及びポリイソプレンの38℃における溶融粘度をブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
(ガラス転移温度の測定方法)
変性ファルネセン重合体又はポリイソプレン10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
(官能基1の含有割合)
KBr基板上に変性ファルネセン重合体を塗布し、日本分光株式会社製フーリエ変換赤外分光光度計を使用して透過法にて測定した。無水マレイン酸基(官能基2)の環構造に由来するピークとマレイン酸モノメチルエステル基(官能基1)に由来するピークの強度比から官能基1の含有割合を算出した。
(変性ファルネセン重合体中の官能基の全量)
1)酸価
変性反応後の試料3gにトルエン180mL、エタノール20mLを加え溶解した後、0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液で中和滴定し酸価を求めた。
酸価(mgKOH/g)=(A−B)×F×5.611/S
A:中和に要した0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液滴下量(mL)
B:試料を含まないブランクでの0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液滴下量(mL)
F:0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液の力価
S:秤量した試料の質量(g)
2)官能基1及び2の含有割合
酸価から変性ファルネセン重合体(C)1g当たりに含まれる官能基の質量、1g当たりに含まれる官能基以外の質量(重合体主鎖質量)を算出した。次いで、下記式に基づき、変性ファルネセン重合体(C)中の官能基の全量(官能基1及び2の含有割合)を算出した(質量%)。
〔重合体1g当たり官能基1の質量〕=〔酸価〕/〔56.11〕×〔官能基1の分子量〕/1000×〔官能基1の含有割合〕
〔重合体1g当たり官能基2の質量〕=〔酸価〕/〔56.11〕×〔官能基2の分子量〕/1000×〔官能基2の含有割合〕
〔重合体1g当たり官能基1及び2の質量〕=〔重合体1g当たり官能基1の質量〕+〔重合体1g当たり官能基2の質量〕
〔重合体1g当たり重合体主鎖質量〕=1−〔重合体1g当たり官能基1及び2の質量〕
〔官能基1及び2の含有割合〕=〔重合体1g当たり官能基1及び2の質量〕/〔重合体1g当たりの重合体主鎖質量〕×100
Figure 2016037589
実施例1及び比較例1,2
表2に記載した配合割合(質量部)にしたがって、ゴム成分(A)、シリカ(B)、変性ファルネセン重合体(C)、ポリイソプレン(X)、TDAE、加硫助剤及び老化防止剤を、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度75℃、樹脂温度が160℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物をミキシングロールに入れ、加硫剤及び加硫促進剤を加えて60℃で6分間混練することで約1.2kgのゴム組成物を得た。
また、得られたゴム組成物をプレス成形(145℃、45分)して加硫ゴムシート(厚み2mm)を作製し、下記の方法に基づき、転がり抵抗性能、硬度、及び引張破断強度を評価した。結果を表2に示す。
なお、各評価の測定方法は以下のとおりである。
・転がり抵抗性能
実施例及び比較例で作製したゴム組成物のシートから縦40mm×横7mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度60℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、tanδを測定し、転がり抵抗の指標とした。各実施例及び比較例の数値は、比較例2の値を100とした際の相対値である。なお、数値が小さいほどゴム組成物の転がり抵抗性能が良好である。
・硬度(操縦安定性)
実施例及び比較例で作製したゴム組成物のシートを用いて、JIS K6253に準拠して、タイプA硬度計により硬度を測定し、柔軟性の指標とした。なお、数値が50より小さい場合は、当該組成物をタイヤに用いた際にタイヤの変形が大きいため、操縦安定性が悪化する。
・引張破断強度(機械強度)
実施例及び比較例で作製したゴム組成物のシートからJIS3号に準じてダンベル状試験片を打ち抜き、インストロン社製引張試験機を用いて、JIS K 6251に準じて引張破断強度を測定した。各実施例及び比較例の数値は、比較例2の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほど、破断特性が良好である。
Figure 2016037589
実施例1のゴム組成物から製造した加硫ゴムシートは、本発明の変性ファルネセン重合体(C)を含有しない比較例1及び2に比べ、硬度が良好であり、転がり抵抗性能及び機械強度に優れているため、タイヤ用ゴム組成物として好適に用いることができる。
実施例2〜5、比較例3,4
表3に記載した配合割合(質量部)にしたがって、ゴム成分(A)、シリカ(B)、変性ファルネセン重合体(C)、ポリイソプレン、TDAE、ワックス、加硫助剤及び老化防止剤を、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度75℃、樹脂温度が160℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物をミキシングロールに入れ、加硫剤及び加硫促進剤を加えて60℃で6分間混練することで約1.3kgのゴム組成物を得た。
また、得られたゴム組成物をプレス成形(160℃、30分)して加硫ゴムシート(厚み2mm)を作製し、上記の方法に基づき、転がり抵抗性能、硬度、及び引張破断強度を評価した。また、下記方法に基づいて弾性率を評価した。結果を表3に示す。
なお、表3における転がり抵抗性能、及び引張破断強度の数値は、表3の比較例4の値を100とした際の相対値である。
・弾性率
実施例及び比較例で作製したゴム組成物のシートから縦40mm×横7mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度25℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、貯蔵弾性率E’を測定し、剛性の指標とした。各実施例及び比較例の数値は、比較例4の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほど当該ゴム組成物をタイヤに用いた際にタイヤの変形が小さく、操縦安定性が良好である。
Figure 2016037589
実施例2〜5のゴム組成物から製造した加硫ゴムシートは、本発明の変性ファルネセン重合体(C)を含有しない比較例3及び4に比べ、弾性率が高く、かつ転がり抵抗性能、硬度に優れ、機械強度も良好なため、タイヤ用ゴム組成物として好適に用いることができる。中でも、変性ファルネセン−ブタジエン共重合体を用いた実施例5のゴム組成物から製造した加硫ゴムシートは、より転がり抵抗性能及び弾性率に優れている。
実施例6、比較例5
表4に記載した配合割合(質量部)にしたがって、ゴム成分(A)、シリカ(B)、変性ファルネセン重合体(C)、変性ファルネセン重合体(C’)、TDAE、ワックス、加硫助剤及び老化防止剤を、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度75℃、樹脂温度が160℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物をミキシングロールに入れ、加硫剤及び加硫促進剤を加えて60℃で6分間混練することで約1.3kgのゴム組成物を得た。得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記の方法により測定した。
また、得られたゴム組成物をプレス成形(160℃、30分)して加硫ゴムシート(厚み2mm)を作製し、上記の方法に基づき、転がり抵抗性能、硬度、弾性率及び引張破断強度を評価した。
なお、表4における転がり抵抗性能、弾性率及び引張破断強度の数値は、表4の比較例5の値を100とした際の相対値である。
・ムーニー粘度
ゴム組成物の加工性の指標として、JIS K6300に準拠し、加硫前のゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4)を100℃で測定した。実施例6の値は、比較例5の値を100とした際の相対値である。なお、数値が小さいほど加工性が良好である。
Figure 2016037589
実施例6のゴム組成物から製造した加硫ゴムシートは、上記(a1)〜(a3)の官能基の全量が本発明の範囲外である変性ファルネセン重合体を用いた比較例5に比べ、弾性率が高く、かつ転がり抵抗性能、硬度に優れ、機械強度も良好なため、タイヤ用ゴム組成物として好適に用いることができる。また、実施例6のゴム組成物はムーニー粘度が低いため、加工性が良好である。

Claims (15)

  1. ジカルボン酸構造(a1)、ジカルボン酸モノエステル構造(a2)、ジカルボン酸モノアミド構造(a3)及び無水カルボン酸構造(a4)から選ばれる1種以上の官能基を有する変性ファルネセン重合体であって、前記(a1)〜(a3)の全量が前記(a1)〜(a4)の全量に対して80mol%以上である変性ファルネセン重合体。
  2. 前記ジカルボン酸がマレイン酸であり、前記ジカルボン酸モノエステルがマレイン酸モノエステルであり、前記ジカルボン酸モノアミドがマレイン酸モノアミドである、請求項1に記載の変性ファルネセン重合体。
  3. 前記ジカルボン酸モノエステルが、ジカルボン酸モノメチルエステル、ジカルボン酸モノエチルエステル、ジカルボン酸モノプロピルエステル及びジカルボン酸モノブチルエステルから選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の変性ファルネセン重合体。
  4. 前記変性ファルネセン重合体中の前記(a1)〜(a4)の全量が0.1〜50質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の変性ファルネセン重合体。
  5. 38℃における溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sである、請求項1〜4のいずれかに記載の変性ファルネセン重合体。
  6. 重量平均分子量が2000〜50万である、請求項1〜5のいずれかに記載の変性ファルネセン重合体。
  7. 無水カルボン酸により変性されたファルネセン重合体の無水カルボン酸部分を開環反応させる、請求項1〜6のいずれかに記載の変性ファルネセン重合体の製造方法。
  8. 合成ゴム及び天然ゴムから選ばれる1種以上のゴム成分(A)100質量部に対し、フィラー(B)を20〜150質量部含有するゴム組成物であって、フィラー(B)100質量部に対して前記請求項1〜6のいずれかに記載の変性ファルネセン重合体(C)を0.1〜30質量部含有するゴム組成物。
  9. 前記フィラー(B)がカーボンブラック及びシリカから選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載のゴム組成物。
  10. 前記カーボンブラックの平均粒径が5〜100nmであり、前記シリカの平均粒径が0.5〜200nmである、請求項9に記載のゴム組成物。
  11. 前記シリカ100質量部に対し、シランカップリング剤を0.1〜30質量部含有する、請求項9又は10に記載のゴム組成物。
  12. 前記合成ゴムが、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びイソプレンゴムから選ばれる1種以上である、請求項8〜11のいずれかに記載のゴム組成物。
  13. 前記スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量が10万〜250万である、請求項12に記載のゴム組成物。
  14. 前記スチレンブタジエンゴムのスチレン含量が0.1〜70質量%である、請求項12又は13に記載のゴム組成物。
  15. 請求項8〜14のいずれかに記載のゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤ。
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