JP2016034908A - ヒアルロン酸合成酵素誘導作用を呈する脂肪酸誘導体及びその製造方法 - Google Patents

ヒアルロン酸合成酵素誘導作用を呈する脂肪酸誘導体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ヒアルロン酸合成酵素誘導作用を呈する脂肪酸誘導体およびその製造方法を提供する。【解決手段】 脂肪酸誘導体とは脂肪酸とフルクトースとガラクトーフがエステル結合している誘導体である。脂肪酸誘導体は発酵による酵素反応により生成される。この脂肪酸誘導体は皮膚の表皮細胞や骨芽細胞のヒアルロン酸合成酵素を増加させ、ヒアルロン酸を増加させる。製造方法はシカクマメの種子に納豆素本舗製の納豆菌と紅麹本舗製のベニコウジ菌を添加して発酵させた発酵液をプロテアーゼ処理する工程からなる。得られる脂肪酸誘導体は優れた効果を呈し、化粧料、食品製剤、医薬品として応用される。【選択図】 なし

Description

この発明はヒアルロン酸合成酵素誘導作用を呈する脂肪酸誘導体及びその製造方法に関するものである。
ヒアルロン酸はグルコサミンから生合成される糖質であり、吸湿性と弾力性に優れ、関節、骨や皮膚の構成成分として柔軟性を与えている。ヒアルロン酸は分子量が数10万という高分子であることからその生合成については解明されていなかった。
しかし、近年、ヒアルロン酸はヒアルロン酸合成酵素により合成され、細胞膜に結合し分泌されることがわかってきた。ヒアルロン酸は過剰に与えられた場合、分解する酵素があるため、塗布については、生理的な意味は少なく、体内で生合成される能力を増加させることが優れた治療法である。
体内でのヒアルロン酸合成を促進させる方法としてグルコサミンを摂取することは一つの良い方法であるが、肝心の合成酵素が誘導されない場合には、効果は期待できない。
ヒアルロン酸の産生を促進させる発明としては、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現促進剤の発明があり、化学合成された低分子の発明がある(例えば、特許文献1参照。)。
また、ヒアルロン酸産生能増強剤およびその用途の発明があるものの、その構造は特定されていない(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、ヒアルロン酸生成促進剤を含有する退行性関節炎治療剤の発明がある。
ここでは有機化合物が提示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特許第5487227号 特許第4876334号 特許第4580242号
既存の物質によるヒアルロン酸合成酵素誘導作用は軽度であり、産業上への利用が限定されるという課題があり、また、化学合成された物質では安全性に問題があり、利用が限られている。
そこで、副作用が弱く優れたヒアルロン酸合成酵素誘導作用を呈する天然物及びそれを効率良く製造する製造方法が望まれている。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は下記の式(1)で示されるヒアルロン酸合成酵素誘導作用を有する脂肪酸誘導体に関するものである。
Figure 2016034908
上記の目的を達成するために、請求項2に記載の発明はヒアルロン酸合成酵素誘導作用を有する脂肪酸誘導体の製造方法に関するものである。
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の脂肪酸誘導体はヒアルロン酸合成酵素誘導作用に優れている。
請求項2に記載の製造方法によれば、効率良く脂肪酸誘導体を製造することができる。
以下、この発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
ヒアルロン酸合成酵素誘導作用を呈する脂肪酸誘導体とは、下記の式(1)で示される構造からなるものである。
Figure 2016034908
前記の式(1)のように脂肪酸の1分子、フルクトース1分子とガラクトース1分子が結合している。
この誘導体の脂肪酸とはシス型の二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸の一つであり、炭素数は18である。
脂肪酸の二重結合はC末端から3位に有しており、シス型である。フルクトース及びガラクトースはいずれもD型である。
脂肪酸のカルボキシル基はフルクトースの4位の水酸基とエステル結合している。
フルクトースの1位の水酸基はガラクトースの4位とエステル結合している。すなわち、1,4結合になる。
ガラクトースの1位はフリーである。この水酸基は還元作用を呈し、この構造体を安定に維持することから好ましい。
このフルクトースとガラクトースのその他の水酸基はすべてフリーである。
この誘導体は脂肪酸部分が細胞膜に浸透しやすく、細胞内に入りやすいことから好ましい。また、核膜にも浸透していくことから好ましい。
さらに、この誘導体のフルクトースとガラクトースの水酸基は還元作用があることから細胞を還元して抗酸化作用を呈することから細胞が酸化物質から防御されて好ましい。
また、この誘導体は水溶性と油溶性を示し、細胞膜を通過した後、細胞質の水溶性部分を通過し、核膜も通過してDNAに到達でき、遺伝子に直接作用できることから好ましい。
この誘導体はヒアルロン酸合成酵素の遺伝子のプロモーター部位に反応してヒアルロン酸合成酵素の遺伝子の転写を増加させる。特に、脂肪酸とフルクトースとの結合部位がプロモーターを活性化する。
また、ヒアルロン酸合成酵素の遺伝子の増幅を促進し、遺伝子の増加をもたらすことから好ましい。
すなわち、この誘導体はヒアルロン酸合成酵素の遺伝子の増幅と転写という2つの部分でヒアルロン酸合成酵素を誘導する。2つのメカニズムがあることから加齢状態や病的状態にある細胞にも反応してヒアルロン酸合成酵素を誘導することから好ましい。
この誘導体の成分は全て天然由来であり、その安全性は確認されている。この誘導体は化学的な手法で化学合成ができるものの、脂肪酸を多く含むシカクマメ、大豆、ナタネ、ヒマワリの種子などを発酵して得ることは天然物由来であり、安全性が高いことから好ましい。
さらに、この脂肪酸誘導体の過剰量と人が接触した場合、または飲んだ場合には、体内のエステラーゼや加水分解酵素などの酵素により分解されて、脂肪酸、糖質に分解されることから安全性が高い。
この脂肪酸誘導体は土壌においては微生物により分解されやすく、環境に対する負担もなく、蓄積性もないことから好ましい。
この脂肪酸誘導体は細胞膜を通過し、さらに、核膜を通過して遺伝子に働くことから、その作用が直接的で効率的であることから好ましい。
この脂肪酸誘導体はヒアルロン酸合成酵素を誘導し、ヒアルロン酸合成酵素の量を増加させる。増加したヒアルロン酸合成酵素はヒアルロン酸を生合成し組織の中及び組織外にヒアルロン酸を増やすことから好ましい。
得られた脂肪酸誘導体を医薬品素材として利用する場合、目的とする脂肪酸誘導体を分離精製することは、目的とする脂肪酸誘導体の純度が高まり、不純物を除去できる点から好ましい。
医薬品として、注射剤または経口剤または塗布剤などの非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、塗布剤、ゲル剤、歯磨き粉等に配合されて利用される。利用目的としては骨粗しょう症、骨折対策、美容分野である。
経口剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記の錠剤は、シェラックまたは砂糖で被覆することもできる。
また、前記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の液体担体を含有させることができる。前記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を添加することができる。
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によって軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
食品製剤としてヒアルロン酸合成酵素誘導と美容、骨粗しょう症、抗老化を目的とした健康食品、美容食品などに利用される。また、保健機能食品として、栄養機能食品や特定保健用食品に利用することは好ましい。
得られた食品製剤をイヌやネコなどのペットや家畜動物に利用する場合、ヒアルロン酸の産生と皮膚の健康を維持する目的として飼料やサプリメントとして利用される。
化粧料として常法に従って界面活性化剤、溶剤、増粘剤、賦形剤等とともに用いることができる。例えば、クリーム、毛髪用ジェル、洗顔剤、美容液、化粧水等の形態とすることができる。
化粧料の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状または粉末状として用いることができる。
得られた化粧料はヒアルロン酸合成酵素誘導によりシワの改善やタルミの防御、アトピー性皮膚炎の皮膚バリア形成に利用される。
次に、シカクマメの種子に納豆素本舗製の納豆菌を添加して発酵させた発酵液をさらに紅麹本舗製のベニコウジ菌で発酵させ、さらに、プロテアーゼ処理する工程からなるヒアルロン酸合成酵素誘導作用を呈する脂肪酸誘導体の製造方法について説明する。
ここでいう脂肪酸誘導体とは前記の誘導体である。すなわち、3位にシス型の20結合を1つ有する不飽和脂肪酸1分子とフルクトース1分子とガラクトース1分子からなる。
この脂肪酸誘導体の脂肪酸は天然に存在し、食経験も豊富であり、安全性が認められていることから好ましい。
この誘導体は細胞の遺伝子に直接作用し、ヒアルロン酸合成酵素誘導作用を発揮する。
この製造方法とはシカクマメの種子、大豆粉末と納豆素本舗製の納豆菌を添加して発酵させた発酵液を、さらに、紅麹本舗製のベニコウジ菌により発酵させた後に、プロテアーゼ処理する工程からなる。
原料となる物質はシカクマメの種子、大豆粉末、納豆菌、ベニコウジ菌とプロテアーゼである。
シカクマメは四角豆ともいわれ、学名Psophocarpus tetragonolobusである。マメ科シカクマメ属の植物で種子は食用として利用されている。日本では沖縄で栽培されうりずん豆、琉球四角豆といわれる。
シカクマメの種子には脂肪酸、糖質が含有されていることからこの誘導体の原料として利用することは好ましい。
シカクマメの種子は日本、中国なとのアジア、ブラジル産などの南米産、アメリカ産などいずれの国の由来でも良い。また、低農薬や減農薬で生産されたものは好ましい。このうち、沖縄産のうりずん豆は品質が高いことから好ましい。
シカクマメの種子は乾燥され、粉末化されることが好ましく、発酵の前にオートクレーブ滅菌されることは発酵をスムーズに行うることから好ましい。
3マイクロメーター以下の粒子サイズの粉末が発酵の工程を実施しやすくすることから好ましい。
シカクマメの種子は粉砕後、オートクレーブなどにより滅菌されることは雑菌の繁殖を防御できることから好ましい。
用いる納豆素本舗製の納豆菌は学名バチルス サブチリスで日本では納豆の製造に汎用され、食経験が豊富で有用な食用菌である。沖縄や鹿児島などの日本産、中国や台湾の東南アジア原産の菌種が用いられる。用いる納豆菌は納豆素本舗製であり、高い発酵性を呈する。
この納豆菌はシカクマメの種子からなる脂肪酸と糖質を同時に発酵させることにより脂肪酸と糖質が結合する。
前記の発酵に関するそれぞれの添加量はシカクマメの種子の乾燥粉末1重量に対して納豆素本舗製の納豆菌は0.002〜0.07重量が好ましい。納豆菌は発酵される前に、前培養することは、発酵の初発時間を短縮し、発酵時間が短縮されることから好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
また、この発酵は39〜43℃に加温され、発酵は2日間から10日間行われる。目的とする脂肪酸誘導体をHPLCやTLCにより定量することならびに、菌体の増殖性を確認することにより、発酵の工程管理を実施することは好ましい。
得られたバチルス発酵液は引き続き、紅麹本舗製のベニコウジ菌によって発酵される。このベニコウジ菌による発酵により脂肪酸誘導体が分離され、吸収も促進される。
用いる紅麹本舗製のベニコウジ菌は学名Monascuc purpureusの糸状菌であり、古くから日本、中国や台湾において紅酒や豆腐ようなどの発酵食品に利用されている。また、沖縄や鹿児島などの日本産、中国や台湾の東南アジア原産の菌種が用いられる。有限会社紅麹本舗製のベニコウジ菌は発酵効率に優れている。
前記の発酵に関するそれぞれの添加量は前記の発酵物1重量に対してベニコウジ菌は0.0001〜0.008重量が好ましい。紅麹本舗製のベニコウジ菌は発酵される前に、前培養することは、発酵の初発時間を短縮し、発酵時間が短縮されることから好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
また、この発酵は38〜44℃に加温され、発酵は1日間から10日間行われる。
この発酵の工程によって脂肪酸と糖質の結合が安定化する。
プロテアーゼはタンパク質を分解し、ペプチドやアミノ酸を生成する加水分解の酵素であり、食用としても利用されている。アマノ製薬のプロテアーゼNは酵素活性が高いことから好ましい。
前記の発酵物にプロテアーゼを添加して加温することによりタンパク質が分解されて目的とする脂肪酸誘導体が取り出しやすくなる。
発酵物の1重量に対してプロテアーゼの添加量は0.002〜0.06重量が好ましい。加温温度は39〜45℃が好ましい。加温時間は1時間から8時間が好ましい。
前記のプロテアーゼ処理した分解物は加熱され、含水エタノールで抽出されることは、生成物を効率良く回収でき、プロテアーゼを失活でき、次の工程が実施しやすいことから、好ましい。
また、得られた発酵物を超音波処理することは、生成物が分離しやすいことから、好ましい。また、凍結乾燥などにより、濃縮することは、以下の工程が短時間に実施できることから好ましい。
前記の反応物から、目的とする脂肪酸誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
例えば、分離用担体または樹脂により分離され、分取されることにより目的とする脂肪酸誘導体が得られる。分離用担体または樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300μmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
例えば、逆相担体または樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体または樹脂として利用される。
アフィニティ担体または樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体または樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体または樹脂、分配性担体または樹脂、分子篩用担体または樹脂及びイオン交換担体または樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体または樹脂及び分配性担体または樹脂はより好ましい。
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体または樹脂が用いられる。また、医薬品製造または食品製造に利用される担体または樹脂は好ましい。
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。
これらのうち、ダイヤイオン、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
得られた抽出物は、分離前に分離用担体または樹脂を膨潤化させるための溶媒に溶解される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜35倍量が好ましく、4〜25倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜30℃が好ましく、10〜25℃がより好ましい。
分離用溶媒には、水、または、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸またはそれらの混合液が好ましい。
ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合液が好ましい。
脂肪酸誘導体を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、目的とする脂肪酸誘導体を粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
また、最終抽出を食用油や化粧料に用いる油脂で実施することは、得られる脂肪酸誘導体が安定に維持されることから好ましい。例えば、大豆油、米ぬか油、グレープシード油、オリーブ油、ホホバ油で抽出することは好ましい。この場合、脂肪酸誘導体のオイルが得られる。
また、この脂肪酸誘導体を粉末化することは防腐の目的から好ましい。
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、これらは一例であり、素材、原料や検体の違いに応じて常識の範囲内で条件を変更させることが可能である。
沖縄県で減農薬栽培されたシカクマメであるウリズン豆の種子を用いた。種子を採取した後、水道水で水洗後、天日で乾燥させ、粉砕機(株式会社奈良機械製作所製のスーパー自由ミル)にて粉砕し、シカクマメの種子の乾燥粉末粉砕物を1kg得た。
シカクマメの種子の粉砕物をオートクレーブに供し、121℃、20分間、滅菌した。
これを清浄な発酵タンク(滅菌された発酵用丸形40リットルタンク)に入れ、滅菌された水道水10kgを添加し、攪拌した。
これとは別に納豆素本舗製の粉末納豆菌の10gを小型発酵タンクに供し、滅菌した大豆粉末と前培養させた培養液を用意した。
前記の前培養した納豆菌の溶液を前記のシカクマメの種子の乾燥粉末を入れた発酵タンクに添加し、攪拌後、41〜42℃の温度範囲で加温し、発酵させた。発酵は4日間行った。
発酵過程では、通気によりバブリングと攪拌を行いつつ、発酵液のサンプリングを行った。
このバチルスによる発酵物1kgに対して紅麹本舗製のベニコウジ菌の10gを添加し、37℃で7日間発酵させた。
得られた発酵物1kgに対してアマノ製薬のプロテアーゼNを10g添加し、41〜42℃で3時間加温した。
この処理物を100℃で加温した。さらに、エタノールを添加して目的とする脂肪酸誘導体含有エキス566gを得た。
前述の脂肪酸誘導体含有エキスの300gに5%エタノール含有精製水1Lを添加し、ダイアイオン(三菱化学製)500gを5%エタノール液に懸濁して充填したカラムに供した。
これに3Lのエ%エタノール液を添加して清浄し、さらに、70%エタノール液を1L添加して目的とする脂肪酸誘導体を溶出させ、精製した。精製された脂肪酸誘導体を減圧蒸留により、エタノール部分を除去し、水溶液とした。これを脂肪酸誘導体の検体1とした。
以下に、脂肪酸誘導体の構造解析に関する試験方法及び結果について説明する。
(試験例1)
上記のように得られた検体1をエタノールに溶解し、濾過後、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析した。
さらに、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製、AC−250)で解析した。構造解析の結果、検体1から脂肪酸とフルクトースとガラクトースが1分子ずつ検出された。また、脂肪酸1分子にフルクトースがエステル結合し、これにガラクトースがエステル結合していた。さらなる構造解析によりこの脂肪酸誘導体の構造が同定された。
すなわち、脂肪酸1分子のカルボキシル基にフルクトースの4位の水酸基が結合し、フルクトースの1位とガラクトースの4位が結合していた。
脂肪酸は炭素数18で3位にシス型の二重結合を有していた。
以下にヒト皮膚表皮細胞を用いた確認試験について述べる。
(試験例2)
TOYOBOより購入したヒト皮膚由来表皮角化細胞を用いた。培養液としては、5%牛胎児血清含有MEM培地(Sigma製)を用いて培養した、1000個の細胞を35mm培養シャーレに播種し、5%炭酸ガス下、37℃で培養した。
これに、前記の実施例1で得られた検体1及び対照としてEGF(上皮細胞増殖因子)の0.1mg/mlの最終濃度で添加した。これを48時間培養した。なお、溶媒対照として生理食塩液(大塚製薬)を用いた。
細胞を剥離後、細胞数を計数した後、細胞懸濁液を調製し、細胞内の遺伝子を採取した。なお、シャーレは5枚を用いてその平均値を算出した。
その結果、検体1の0.1mg/mlの添加により表皮角化細胞数が溶媒対照群に比して平均値として309%に増加した。EGFでは170%の増加であり検体1の方が優れていた。
ヒアルロン酸合成酵素の遺伝子解析については表皮細胞からTRIzol試薬を用いて全RNAを採取した。これを逆転写した。つまり、Transcriptor First Strand cDNA Synthesis キットを用いて実施した。PCRサイクル数は25サイクルとした。
これをヒアルロン酸合成酵素の遺伝子HAS3とハイブリッドさせてmRNA量を測定した。
すなわち、得られた cFNAをエチジウムブロミド含有2%アガロースゲルを用いた電気泳動により分離して測定した。
その結果、検体1によりヒアルロン酸合成酵素の遺伝子は溶媒対照群に比して561%に増加した。EGFでは277%となり、検体1による増加が著しかった。なお、細胞には障害はなく、安全性が確認された。
さらに、検体を添加した細胞の培養液を採取してヒアルロン酸放出量を測定した。
定量には、Hyaluronan binding protein(HBP)によるELISAを用いた。96穴ELISA用マイクロプレートにHBPをコーティングし, 標準溶液および検体処理の細胞培養液を添加した. 室温にて2時間放置した。
これをペルオキシダーゼ標識した抗体(アルドリッチ製)を反応させてサンドイッチ解析した。
これに基質のTMB溶液を添加して450nmの吸光度を測定した。標準ヒアロルン酸(和光純薬)から求めた検量線にあてはめてヒアルロン酸量を定量した。
この結果、検体1では溶媒対照に比して452%のヒアルロン酸量となった。一方、EGFでは溶媒対照に比して217%のヒアルロン酸量となった。検体1の方が優れていた。
以下にヒト骨細胞を用いたヒアルロン酸合成酵素誘導の確認試験について述べる。
(試験例3)
株式会社タカラバイオより購入したヒト骨芽細胞(Human Osteoblasts)を用いた。専用の培養液に懸濁し、5%炭酸ガス下、37℃で培養した。増殖期にある骨芽細胞を選んで用いた。
骨芽細胞をトリプシン含有PBS液にて剥離し、培養液に懸濁した。この細胞1000個を35mm培養シャーレに播種し、5%炭酸ガス下、37℃で培養した。これに骨抑制毒素としてアクリルアミド溶液(和光純薬)を添加した。
さらに、前記の実施例1で得られた検体1及び対照としてFGF(繊維芽細胞増殖因子)のそれぞれ0.1mg/mlの最終濃度で添加した。これを48時間培養した。なお、溶媒対照として生理食塩液を用いた。
48時間培養後、細胞を剥離後し、細胞数をトリパンブルー色素排除法により顕微鏡下、計数した後、細胞懸濁液を調製した。 この細胞内のヒアルロン酸合成酵素の遺伝子解析及び培養液のヒアルロン酸量を前述の方法により定量した。なお、シャーレは5枚を用いてその平均値を算出した。
その結果、検体1の0.1mg/mlの添加により骨芽細胞数が溶媒対照群に比して平均値として294%に増加した。FGFでは196%の増加であり検体1の方が優れていた。
ヒアルロン酸合成酵素の遺伝子量については検体1により溶媒対照群に比して389%に増加した。FGF添加では210%となり、検体1による増加が著しかった。
ヒアルロン酸量については検体1により溶媒対照群に比して311%に増加した。FGF添加では198%となり、検体1による増加が著しかった。
本発明で得られる脂肪酸誘導体はヒアルロン酸を増加させることにより、骨や皮膚の細胞の組織を保護し、組織を保護することから国民の健康維持に貢献する。
本発明で得られる脂肪酸誘導体はヒアルロン酸を増加させることにより皮膚を改善する作用を有することから、化粧料として炎症やアトピー、肌トラブルに悩む方の改善に貢献し、化粧品業界の発展に寄与する。
本発明で得られる脂肪酸誘導体は骨を保護する医薬品や食品としても利用できることから、医薬品や食品業界の発展に寄与する。

Claims (2)

  1. 下記の式(1)で示されるヒアルロン酸合成酵素誘導作用を呈する脂肪酸誘導体。
    Figure 2016034908
  2. シカクマメの種子に納豆素本舗製の納豆菌を添加して発酵させた発酵液をさらに紅麹本舗製のベニコウジ菌で発酵させ、さらに、プロテアーゼ処理する工程からなるヒアルロン酸合成酵素誘導作用を呈する脂肪酸誘導体の製造方法。
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CN110278706A (zh) * 2018-01-18 2019-09-24 科丝美诗株式会社 包含使用冠突曲霉菌株发酵的发酵大豆的提取物的皮肤美容改善用组合物

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