JP2016025007A - リチウムイオン二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電解液が浸透しやすい電極活物質層を備えたリチウムイオン二次電池用電極を製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明により提供される二次電池用電極の製造方法は、平均アスペクト比(直径/長さ)が1/3以下の孔形成材と電極活物質と溶媒とを含む電極活物質層形成用ペーストを調製する工程と、調製した電極活物質層形成用ペーストを電極集電体に付与して該電極集電体上に電極活物質層を形成する工程と、電極活物質層から孔形成材を除去する工程と、を包含する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用電極を製造する方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末の電源として広く用いられており、高容量化への要望が強い。中でも、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車に用いられるリチウムイオン二次電池は、走行距離に関わる容量が重視されるため、電池の構成部品の占有空間を最小化すると共に、高密度に充填した電極活物質層を採用することで高容量化が図られている。しかし、電極活物質層を高密度に充填した場合、電極活物質層の内部まで電解液が充分に浸透し難くなり、電解液の浸透に時間を要する。
そこで、電解液の浸透性を向上させるため、例えば特許文献1には、気孔形成材を含む電極合剤ペーストを集電体に塗布して電極合剤層を形成し、電極活物質の平均粒子径よりも大きい孔径を有する多数の空隙を電極合剤層に形成する技術が記載されている。
特開2011−204571号公報
しかしながら、電解液の浸透性を向上するために、上述した特許文献1の構成を採用した場合、気孔形成材の量を増やすに従って電極合剤層の空隙率が増加し、その分、電池容量が低下してしまう。電池容量の低下を抑制しつつ電解液の浸透性を向上させたい。本発明は上記課題を解決するものである。
上記目的を実現するべく、本発明により、電極活物質を含む電極活物質層が電極集電体に保持された構成を有するリチウムイオン二次電池用の電極を製造する方法が提供される。ここで開示される製造方法は、平均アスペクト比(直径/長さ)が1/3以下の孔形成材と電極活物質と溶媒とを含む電極活物質層形成用ペーストを調製する工程を包含する。また、前記調製した電極活物質層形成用ペーストを電極集電体に付与して該電極集電体上に電極活物質層を形成する工程を包含する。さらに、前記電極活物質層から前記孔形成材を除去する工程を包含する。かかる構成によると、電池容量の低下を抑制しつつ電解液が浸透しやすい電極活物質層が形成され得る。そのため、より高性能なリチウムイオン二次電池が実現され得る。
一実施形態に係る電池用電極の製造フローを示す図である。 一実施形態に係る孔形成材を模式的に示す図である。 一実施形態に係る電極の外観を模式的に示す斜視図である。 一実施形態に係る電極の断面構造を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を模式的に示す図である。 含浸時間とキャパシタンス値との関係を示すグラフである。 保存日数と抵抗増加率との関係を示すグラフである。 アスペクト比と含浸速度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において「電極活物質」とは、リチウムイオン二次電池において電荷担体となるリチウムを可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および脱離)可能な活物質をいう。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、電極集電体上に電極活物質層形成用ペーストを塗布し乾燥してなる電極活物質層を有する電極(電極シート)を製造する方法である。この製造方法は、図1に示すように、平均アスペクト比(直径/長さ)が1/3以下の孔形成材と電極活物質と溶媒とを含む電極活物質層形成用ペーストを調製すること(ペースト調製工程)と、調製した電極活物質層形成用ペーストを電極集電体に付与(塗工、乾燥、プレス)して該電極集電体上に電極活物質層を形成すること(塗工工程)と、電極活物質層から孔形成材を除去すること(除去工程)と、を包含する。この除去工程では、電極活物質層から孔形成材を除去することより、微細な空孔が3次元的に連結した連通孔が電極活物質層に形成され得る。
以下、各工程をさらに詳細に説明する。なお、以下では主として本発明を正極(正極シート)の製造に適用する場合を例として説明するが、これに限定することを意図したものではない。本発明は正極に限らず負極(負極シート)にも適用することができる。
<ペースト調製工程>
ここに開示される正極活物質層形成用ペーストは、従来のこの種のペースト材料と同様に、正極活物質粉末と、孔形成材と、これら各種材料を分散させるための溶媒とを主体に構成されている。
該ペーストの固形分の主体をなす正極活物質粉末としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)等の、リチウムと一種または二種以上の遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム含有複合酸化物)を主成分とする正極活物質が挙げられる。このような材料(典型的には粒子状)としては、例えば、従来公知の方法で調製される材料粉末をそのまま使用することができる。例えば、レーザ回折・散乱法に基づく平均粒径(D50径)が凡そ1μm〜25μm(好ましくは5μm〜15μm)の範囲にある粒子によって実質的に構成された材料粉末を正極活物質として好ましく用いることができる。
本実施形態で用いられる孔形成材としては、後述する除去工程において設定される熱処理温度(例えば100℃〜130℃、好ましくは110℃〜120℃)において正極活物質層から溶融除去され得る孔形成材(典型的には有機化合物)であることが好ましい。また、上記除去工程において溶融除去された後に微細な空孔が3次元的に連結した連通孔を正極活物質層に形成し得る孔形成材を用いることが好ましい。さらに、正極活物質層形成用ペーストへの分散が容易で、かつ該ペーストを正極集電体上に塗工し易い粘度に調整し得る孔形成材であることが好ましい。このような条件を満たす孔形成材を特に制限なく用いることができる。かかる孔形成材としては、例えば融点が100℃〜130℃(好ましくは110℃〜120℃)の低融点ポリアミド樹脂や低融点ポリエステル樹脂等を用いることができる。これらの孔形成材は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
孔形成材の形状は特に制限されないが、図2に示すように、通常は棒状または繊維状の孔形成材を好ましく使用し得る。孔形成材の平均アスペクト比(直径d/長さL)は、概ね1/3以下(例えば1/30〜1/3)であることが好ましい。例えば、平均アスペクト比が1/4以下の孔形成材の使用が好ましく、より好ましくは1/5以下であり、特に好ましくは1/6以下である。孔形成材の平均アスペクト比が大きすぎると、本発明の目的に適した連通孔を形成することが難しくなる場合があり得る。一方、孔形成材の平均アスペクト比が小さすぎると、電池性能向上効果が鈍化することに加えて、正極活物質層形成用ペーストに対する分散性が悪化するため、通常は、平均アスペクト比が凡そ1/30以上(好ましくは1/20以上)の孔形成材を用いることが好ましい。
なお、この明細書中において、孔形成材についての「平均アスペクト比」とは、当該孔形成材に含まれる複数個の粒子(繊維)の直径d/長さLの平均値をいう。すなわち、この平均アスペクト比は、上記孔形成材の平均的な粒子形状を示す値である。平均アスペクト比は、例えば、電子顕微鏡観察により求めることができる。具体的な手順としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、測定対象の孔形成材に含まれる所定個数(例えば100個)の粒子を観察し、各々の粒子画像の直径dを長さLで除した値を各粒子の直径d/長さL比(アスペクト比)として算出する。そして、上記所定個数の粒子のアスペクト比を算術平均することにより、平均アスペクト比を求めることができる。
孔形成材の平均直径dとしては特に限定されないが、概ね5μm〜20μmにすることが適当であり、好ましくは5μm〜10μmである。また、孔形成材の平均長さLとしては特に限定されないが、概ね8μm〜30μmにすることが適当であり、好ましくは10μm〜20μmである。特に限定されるものではないが、正極活物質層形成用ペーストの全固形分を100質量%としたときの孔形成材の含有量は、概ね1質量%〜10質量%であり、好ましくは2質量%〜7質量%であり、特に好ましくは3質量%〜5質量%である。孔形成材の含有量が少なすぎると、正極活物質層の空孔率が低下するため、電解液の充分な浸透性の確保ができない場合があり得る。一方、孔形成材の含有量が多すぎると、正極活物質層の空孔率が増大するため、正極活物質層の機械的強度および耐久性が低下する場合があり得る。
上記正極活物質粉末および孔形成材を分散させる溶媒としては、従来のこの種のペースト材料に用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、N‐メチルピロリドン(NMP)、ピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクサヘキサノン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、等の有機溶剤またはこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。あるいは、水または水を主体とする混合溶媒であってもよい。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。
なお、正極活物質層形成用ペーストは、本発明の目的を達成し得る限りにおいて、バインダとして機能する種々のポリマーおよび導電材を含ませることができる。バインダとして機能するポリマーの好適例として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、等が例示される。また、導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等のカーボン材料が好ましく用いられる。あるいは、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いてもよい。これらポリマーや導電材を正極活物質粉末および孔形成材とともに適当な溶媒に分散させて混練することによって、正極活物質層形成用ペーストを調製することができる。
特に限定されるものではないが、正極活物質層形成用ペーストの溶媒を除く固形分全体に占める正極活物質粉末の含有割合は、概ね75質量%以上(例えば75質量%〜99.5質量%)とすることが適当であり、好ましくは85質量%以上(例えば85質量%〜99質量%)である。また、上記固形分全体に占めるバインダの含有割合は、概ね0.1質量%以上(例えば0.1質量%〜10質量%)とすることが適当であり、好ましくは1質量%以上(例えば1質量%〜5質量%)である。上記固形分全体に占める導電材の含有割合は、概ね1質量%以上(例えば1質量%〜20質量%)とすることが適当であり、好ましくは5質量%以上(例えば5質量%〜15質量%)である。
ここで開示される正極活物質層形成用ペーストは、典型的には上記正極活物質粉末、孔形成材、バインダ、導電材および溶媒を混練することによって調製することができる。好ましくは、図1に示すように、まず、正極活物質粉末と導電材と溶媒とを混練し、次いで、孔形成材を投入して混練した後、さらにバインダを投入して混練するとよい。
<塗工工程>
塗工工程では、正極活物質層形成用ペーストを正極集電体に付与して該集電体上に正極活物質層を形成する。正極活物質層形成用ペーストを正極集電体に付与する操作は、従来の一般的なリチウムイオン二次電池用正極を作製する場合と同様にして行うことができる。例えば、適当な塗工装置(ダイコーター、スリットコーター、コンマコーター等)を使用して、上記正極集電体に所定量の上記正極活物質層形成用ペーストを均一な厚さに塗工する。例えば、正極活物質層形成用ペーストの塗布量(目付量)は、両面あたり約30〜40mg/cm(固形分基準)以下とすることができる。その後、乾燥炉で正極活物質層形成用ペースト中の溶媒を揮発させることによって、正極活物質層形成用ペースト中の溶媒を除去する。乾燥後、必要に応じて適当なプレス処理(例えばロールプレス処理)を施すことによって、正極活物質層の厚みや密度を調整してもよい。
<除去工程>
除去工程では、上記塗工工程で得られた正極活物質層から孔形成材を除去する。この実施形態では、正極活物質層を熱処理することにより正極活物質層から孔形成材を溶融除去する。これにより、微細な空孔が3次元的に連結した連通孔(網目ネットワーク)を正極活物質層内に形成することができる。熱処理温度としては、前述した塗工工程の乾燥温度よりも高く、かつバインダの融点よりも低い温度であることが好ましい。例えばバインダとしてPVDF(融点134℃〜169℃)を用いる場合、上記熱処理温度は概ね110℃〜130℃に設定することができ、好ましくは110℃〜120℃である。
このようにして、連通孔からなる3次元の網目ネットワークが形成された正極活物質層を有するリチウムイオン二次電池用正極を製造することができる。
ここに開示される電極製造方法を適用して好ましく製造されるリチウムイオン二次電池用正極の外観構造を図3、その断面構造を図4に模式的に示す。図3および図4に示すように、ここで開示される正極50は、正極活物質を含む正極活物質層54が正極集電体52に保持された構成を有する。この正極50は、平均アスペクト比(直径/長さ)が1/3以下の孔形成材と正極活物質と溶媒とを含む正極活物質層形成用ペーストを調製する工程と、調製した正極活物質層形成用ペーストを正極集電体に付与して該正極集電体上に正極活物質層を形成する工程と、正極活物質層から孔形成材を除去する工程を経て製造されたものである。そのため、得られた正極50は、微細な空孔が3次元的に連結した連通孔58(網目ネットワーク)が正極活物質層54内に形成されたものとなり得る。かかる連通孔58は、正極活物質層54の面内方向および厚み方向をそれぞれ貫通していることが好ましい。
この正極50によれば、正極活物質層54に上記連通孔58が形成されているので、連通孔58を通じて、正極活物質層54の内部に残留する空気が抜けやすい。また、連通孔58の毛細管現象によって正極活物質層54の内部に電解液が浸透しやすい。正極活物質層54の全体に電解液が染み渡りやすいので、電解液を迅速かつ充分に浸透させることができる。また、この連通孔58は、細孔の比表面積が従来に比して大きいため、正極活物質層54と電解液との接触面が増大する。そのため、リチウムイオンの拡散効率が高まり、電池容量の実行値を理論値に近いものとすることができる。したがって、この正極50によれば、電池容量の低下を抑制しつつ電解液の浸透性を格段に向上させることができる。
特に限定されるものではないが、除去工程後の正極活物質層の密度としては、概ね2g/cm〜4g/cm程度であり、好ましくは2.5g/cm〜3g/cmである。また、除去工程後の正極活物質層の空孔率としては、概ね20%〜50%程度であり、好ましくは20%〜40%であり、特に好ましくは25%〜35%である。このような高密度かつ低空孔率の正極活物質層であっても、本発明を適用すれば、正極活物質層に電解液を迅速かつ充分に浸透させることができる。
ここに開示される方法により製造された正極を備えるリチウムイオン二次電池を構成するその他の材料および部材自体は、従来同種の電池に備えられるものと同様でよく、特に制限はない。以下、その他の構成要素について説明するが、本発明を係る実施形態に限定することを意図したものではない。
例えば、負極(負極シート)60は、図5に示すように、シート状の負極集電体62(例えば銅箔)の上に負極活物質層64が形成された構成であり得る。負極集電体62の幅方向片側の縁部に沿って負極活物質層非形成部62aが設定されている。図示例では、負極活物質層64は、負極集電体62に設定された負極活物質層非形成部62aを除いて、負極集電体62の両面に保持されている。上記負極活物質層64は、負極活物質、および必要に応じて添加されるバインダ、増粘剤等の各種添加材を適当な溶媒に混合されてなる組成物(負極活物質層形成用ペースト)を負極集電体62に塗布し、該溶媒を乾燥させて圧縮成型することにより形成される。なお、本発明は正極に限らず負極(負極シート)にも適用することができる。すなわち、前述した孔形成材を負極活物質層形成用ペーストに混在してもよい。負極活物質層の密度としては、概ね1g/cm〜2g/cm程度であり、好ましくは1g/cm〜1.5g/cmである。このような高密度負極活物質層であっても、本発明を適用すれば、負極活物質層に電解液を迅速かつ充分に浸透させることができる。
負極活物質には、リチウムイオン二次電池の負極活物質として用いられる物質を使用することができる。負極活物質の例を挙げると、天然黒鉛、人造黒鉛、グラファイト、アモルファスカーボン等の炭素系材料が挙げられる。負極活物質の他に、SBR、CMC、PVdF等の各種ポリマーを添加することができる。これらを適当な分散媒体に分散させて混練することによって、負極活物質層形成用ペーストを調製することができる。負極活物質層64は、このペーストを正極集電体62に塗布し、乾燥させ、予め定められた厚さにプレスすることによって形成されている。
正極シート50は、帯状の正極集電体52と正極活物質層54とを備えている。正極集電体52の幅方向片側には、縁部に沿って正極活物質層非形成部52aが設定されている。正極活物質層54は、正極集電体52に設定された正極活物質層非形成部52aを除いて、正極集電体52の両面に保持されている。正極活物質層54には、正極活物質や導電材やバインダなどが含まれている。正極活物質層54の形成方法は、前述した通りである。
また、正負極シート50,60間に使用されるセパレータシート70の好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、合成樹脂製(例えばポリエチレン等のポリオレフィン製)多孔質セパレータシートを好適に使用し得る。
かかる構成の捲回電極体20を電池ケース30のケース本体32に収容し、そのケース本体32内に適当な非水電解液を配置(注液)する。ケース本体32内に上記捲回電極体20と共に収容される非水電解液としては、従来のリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。例えば、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に支持塩としてのLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させた非水電解液を用いることができる。
上記非水電解液を捲回電極体20とともにケース本体32に収容し、ケース本体32の開口部を蓋体34で封止することにより、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の構築(組み立て)が完成する。なお、ケース本体32の封止プロセスや電解液の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン二次電池の製造で行われている手法と同様にして行うことができる。また、上記電池ケース30の構造、大きさ、材料(例えば金属製またはラミネートフィルム製であり得る)等について特に制限はない。
このようにして構築された二次電池は、上記のように電解液の浸透性のよい電極活物質層を備えた電極を用いて構築されていることから、優れた電池性能を示すものである。例えば、上記負極を用いて電池を構築することにより、電池容量が高い、サイクル特性がよい、出力特性に優れる、生産安定性がよい、のうちの少なくとも一つ(好ましくは全部)を満たす二次電池を提供することができる。
以下、本発明に関する試験例につき説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<試験例1>
本発明に係るリチウムイオン二次電池用の正極を作製した。また、該正極を用いてリチウムイオン二次電池を構築し、電解液の浸透性を評価した。さらに、該電池のIV抵抗および電池容量を評価した。以下、具体的な方法を示す。
<実施例1>
このリチウムイオン二次電池用の正極は、次のようにして作製した。すなわち、正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3と、孔形成材としての熱融着糸(エルダー;東レ株式会社製)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、結着材としてのPVDFとを、それらの材料の質量比が89:5:3.6:2.4となるようにNMP中で混合して正極活物質層形成用ペーストを調製した。このペーストをアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布し乾燥することにより、正極集電体上に正極活物質層を形成した。その後、120℃で熱処理することにより、正極活物質層中の孔形成材を溶融除去した。このようにして、実施例1に係る正極シートを得た。なお、正極活物質層用ペーストの塗布量は、両面合わせて約35mg/cm(固形分基準)となるように調節した。正極活物質層の密度は2.8g/cm、空孔率は32%となるように調節した。また、本例では、孔形成材(熱融着糸)の平均直径dを5μm、平均長さLを20μm、平均アスペクト比を1/4とした。
負極活物質としてのグラファイト粉末と、SBRと、CMCとを、これらの材料の質量比が98:1:1となるように水に分散させて負極活物質層形成用ペーストを調製した。この負極活物質層形成用ペーストを長尺状の銅箔の両面に塗布して乾燥することにより、負極集電体の両面に負極活物質層が設けられた負極シートを作製した。
正極シートおよび負極シートを2枚のセパレータシート(多孔質ポリエチレン製の単層構造のものを使用した。)を介して積層して捲回し、その捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平状の捲回電極体を作製した。この捲回電極体を箱型の電池ケースに収容した後、注液口から非水電解液を注液し、捲回電極体に非水電解液を含浸させた。その後、電池ケースの開口部を気密に封口した。非水電解液としては、ECとEMCとDMCとを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させたものを使用した。このようにしてリチウム二次電池100を組み立てた。その後、常法により初期充放電処理(コンディショニング)を行って、試験用リチウム二次電池を得た。
<比較例1>
正極シートの作製工程において、孔形成材(熱融着糸)を用いなかったこと以外は、実施例1と同じ手順でリチウムイオン二次電池を構築した。
<比較例2>
正極シートの作製工程において、孔形成材(熱融着糸)の平均直径dを10μm、平均長さLを10μm、平均アスペクト比を1/1としたこと以外は、実施例1と同じ手順でリチウムイオン二次電池を構築した。
<キャパシタンス測定>
電解液の浸透性(含浸速度)を評価するために、実施例1および比較例1、2の電池について、注液後の電池のキャパシタンス値の経時変化を測定した。ここではキャパシタンス値が一定の値に収束するまでの時間(飽和時間)を評価した。かかる飽和時間が短いほど電解液の含浸速度が速いことを示唆している。結果を表1および図6に示す。図6は、含浸時間とC/Cとの関係を示すグラフである。ここでCは注液直後の初期キャパシタンス値、Cは測定キャパシタンス値である。
Figure 2016025007
≪初期容量の測定≫
各例で得られたリチウムイオン二次電池のそれぞれを、25℃の温度条件にて、電流値1Cで電圧4.1Vまで充電した。5分間の休止後、かかる充電後の電池を、25℃において、電流値1Cで電圧3.0Vまで放電した。そして、5分間の休止後、電流値1Cで電圧4.1Vまで充電し、その後、定電圧方式で電流値が0.1Cに減少するまで充電した。かかる充電後の電池を、25℃において、電流値1Cで電圧3.0Vまで放電し、その後、定電圧方式で電流値が0.1Cに減少するまで放電した。このときの放電容量を電池容量(定格容量)とした。結果を表1に示す。表1の各例の該当欄では、比較例1の電池容量を1としたときの相対値で示してある。
<初期IV抵抗>
各例のリチウムイオン二次電池に対し、初期IV抵抗を測定した。初期IV抵抗は、10Cで10秒間の充電を行ったときの電流(I)−電圧(V)プロット値の一次近似直線の傾きから求めた。結果を表1に示す。表1の各例の該当欄では、比較例1の初期IV抵抗を1としたときの相対値で示してある。
<抵抗増加率>
また、実施例1および比較例1のリチウムイオン二次電池に対して高温保存試験を実施し、高温保存後における抵抗増加率を評価した。高温保存試験は、各例のリチウムイオン二次電池のそれぞれに対し、60℃の恒温槽に収容して行った。そして、所定の日数経過毎にIV抵抗を初期IV抵抗と同じ条件で測定し、(高温保存後のIV抵抗)/(初期IV抵抗)×100から、保存後抵抗増加率を求めた。結果を図7に示す。
表1、図6、図7に示すように、実施例1では、平均アスペクト比が1/4の孔形成材が用いられている。かかる実施例1は、孔形成材を用いていない比較例1や平均アスペクト比が1/1の孔形成材が用いられた比較例2に比べて、含浸時間が大幅に低減され、電解液の浸透性が良好であった。IV抵抗についても、実施例1は比較例1、2に比べてより初期IV抵抗および保存後抵抗増加率がより低く、出力特性および耐久性に優れていた。実施例1では、正極集電体の近傍まで電解液が迅速かつ充分に浸透したため、正極集電体近傍での電池反応が促進され、初期IV抵抗および抵抗増加率が低下したものと推測される。さらに、実施例1は、正極活物質層の空孔率が比較例2と同じであるにもかかわらず、比較例2よりも電池容量が増大した。実施例1では、比較例2よりも平均アスペクト比が小さい孔形成材が用いられているため、微細で比表面積が大きい連通孔が数多く形成され、正極活物質層と電解液との接触面が増大した結果、リチウムイオンの拡散効率が高まり、電池容量が増大したものと推測される。
さらに、孔形成材の平均アスペクト比が電解液の含浸速度に及ぼす影響を確認するため、以下の試験を行った。
<試験例2>
本例では、上述した実施例1の正極シートの作製過程において、孔形成材の平均アスペクト比(直径/長さ)を1/6〜4/7の間で異ならせてリチウムイオン二次電池を構築した。ここでは正極活物質層の空孔率は32%で一定とした。そして、前述した<キャパシタンス測定>と同様の手順でキャパシタンスを測定し、キャパシタンスの飽和時間の逆数を含浸速度として求めた。結果を図8に示す。
図8から明らかなように、孔形成材の平均アスペクト比が低下するに従い含浸速度は増加傾向を示した。特に孔形成材の平均アスペクト比を1/3以下にした電池は、含浸速度が格段に増大し、電解液の浸透性が良好であった。孔形成材の平均アスペクト比が小さい方が、連通孔の3次元ネットワークが形成されやすいため、含浸速度が向上したものと考えられる。電解液の浸透性の観点からは、孔形成材の平均アスペクト比は概ね1/3以下(特には1/4以下)にすることが好ましい。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用の電極は、電解液が浸透しやすい電極活物質層を備える。かかる特性により、本発明に係るリチウムイオン二次電池用の電極を備える二次電池は、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。従って、かかるリチウムイオン二次電池(当該電池を複数個直列に接続して形成される組電池の形態であり得る。)を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車のような電動機を備える自動車)を提供する。
20 捲回電極体
50 正極シート
52 正極集電体
54 正極活物質層
60 負極シート
62 負極集電体
64 負極活物質層
70 セパレータシート
100 リチウムイオン二次電池

Claims (1)

  1. 電極活物質を含む電極活物質層が電極集電体に保持された構成を有するリチウムイオン二次電池用電極を製造する方法であって、
    平均アスペクト比(直径/長さ)が1/3以下の孔形成材と電極活物質と溶媒とを含む電極活物質層形成用ペーストを調製する工程と、
    前記調製した電極活物質層形成用ペーストを電極集電体に付与して該電極集電体上に電極活物質層を形成する工程と、
    前記電極活物質層から前記孔形成材を除去する工程と
    を含む、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106450165A (zh) * 2016-09-30 2017-02-22 天津工业大学 一种制备免支撑离子电池电极材料的方法
JP2022069855A (ja) * 2020-10-26 2022-05-12 プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 電極の製造方法、電池の製造方法、電極および電池

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