JP2016024293A - マイクロレンズアレイ基板、電気光学装置、電子機器、マイクロレンズアレイ基板の製造方法、及び電子機器の製造方法 - Google Patents

マイクロレンズアレイ基板、電気光学装置、電子機器、マイクロレンズアレイ基板の製造方法、及び電子機器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マイクロレンズアレイ基板の耐光性や耐熱性を高めること。
【解決手段】マイクロレンズアレイ基板10は、上面11aに第1凹部12を有する透明基材11と、第1凹部12を覆うように形成され、上面11aに接する下面13bと反対側の上面13aに第1凹部12の形状が反映された第2凹部14を有し、透明基材11の屈折率n0よりも高屈折率の第1透明層13と、第2凹部14を覆うように形成され、第1透明層13の屈折率n1と異なる屈折率n2の第2透明層16と、を備え、第1透明層13及び第2透明層16は、無機材料で構成されていることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、マイクロレンズアレイ基板、当該マイクロレンズアレイ基板が搭載された電気光学装置、当該電気光学装置が搭載された電子機器、当該マイクロレンズアレイ基板の製造方法、及び当該電子機器の製造方法に関する。
電子機器の一例として、例えば光変調素子(ライトバルブ)によって変調された光をスクリーンなどに投写する投写型表示装置(プロジェクター)が知られている。当該投写型表示装置は、光源部と、光源部から射出された光を変調するライトバルブと、ライトバルブによって変調された光を投写する投写光学系(投写レンズ)などを有し、より明るい表示が望まれる。
投写型表示装置に適したライトバルブとして、例えば画素のそれぞれに光の集光部としてのマイクロレンズを設け、マイクロレンズによって表示に寄与しない光を集光し、表示光の一部に利用することで光の利用効率を向上させた液晶装置が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載の液晶装置では、凹部を有する対向基板に屈折率の異なる2種類の膜を積層し、凹部に対応する位置に2種類のマイクロレンズを形成している。2種類のマイクロレンズは、凹部に膜を堆積することで形成されるので、例えばフォトリソプロセスやエッチングプロセスなどが省略され、マイクロレンズを製造する手間やコストが抑えられている。さらに、対向基板に入射した光は、2種類のマイクロレンズによって集光され、光の利用効率が高められている。
特開2013−57781号公報
投写型表示装置用途の液晶装置は強い光に曝されるので、当該液晶装置には耐光性や耐熱性が要求される。しかしながら、特許文献1に記載の液晶装置では、マイクロレンズを形成する2種類の膜の一方が樹脂(有機材料)であり、耐光性や耐熱性に劣るという課題があった。
さらに、投写型表示装置では、液晶装置で変調された光(以降、変調光と称す)は、投写レンズで集められ、スクリーンに投写され、所望の表示がなされる。変調光と光軸とがなす角度が、投写レンズがスクリーンに投影できる角度(以降、飲み込み角と称す)以下である場合、当該変調光は、スクリーンに投影され、表示に寄与する。ところが、光軸となす角度が飲み込み角よりも大きい変調光は、投写レンズでけられてスクリーンに投影されず、表示に寄与しない。このため、投写型表示装置においてより明るい表示を実現するためには、光軸となす角度が飲み込み角以下である変調光の光量を高める必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載の液晶装置では、光軸となす角度が飲み込み角以下である変調光の光量を高めるための条件が不明確であるという課題もあった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係るマイクロレンズアレイ基板は、第1面に第1凹部を有する透明基材と、前記第1凹部を覆うように形成され、前記第1面に接する第2面と反対側の第3面に前記第1凹部の形状が反映された第2凹部を有し、前記透明基材の屈折率よりも高屈折率の第1透明層と、前記第2凹部を覆うように形成され、前記第1透明層の屈折率と異なる屈折率の第2透明層と、を備え、前記第1透明層及び前記第2透明層は、無機材料で構成されていることを特徴とする。
第1凹部を覆う第1透明層、及び第2凹部を覆う第2透明層は、共に無機材料で構成されている。すなわち、本適用例に係るマイクロレンズアレイ基板は、無機材料で構成されたマイクロレンズアレイ基板であり、有機材料を含むマイクロレンズアレイ基板と比べて耐光性や耐熱性に優れ、例えば強い光に曝されても劣化しにくい。
さらに、透明基材の第1面に設けられた第1凹部の内側に、透明基材の屈折率よりも高屈折率の第1透明層を充填すると、第1凹部は、正の屈折力を有するレンズとして働き、第1凹部に入射した光を正の屈折力のレンズの焦点に収束する方向に屈折させ、集光することができる。
第1透明層の第3面に設けられた第2凹部の内側に、第1透明層と異なる屈折率の第2透明層を充填すると、第2凹部は正の屈折力または負の屈折力を有するレンズとして働く。例えば、第2凹部の内側に、第1透明層よりも低屈折率の第2透明層を充填すると、第2凹部は負の屈折力を有するレンズとして働き、第1凹部で集光された光を当該負の屈折力のレンズの焦点から発散する方向、つまり光軸となす角度が小さくなる方向に、第1凹部で集光された光の進行方向を調整することができる。例えば、第2凹部の内側に、第1透明層よりも高屈折率の第2透明層を充填すると、第2凹部は正の屈折力を有するレンズとして働き、第1凹部で集光された光を当該正の屈折力のレンズの焦点に収束する方向、つまり光軸となす角度が大きくなる方向に、第1凹部で集光された光の進行方向を調整することができる。
従って、第1凹部によって光を集光し、第2凹部によって集光された光の進行方向を調整することができ、且つ耐熱性や耐光性に優れたマイクロレンズアレイ基板を提供することができる。
[適用例2]上記適用例に係るマイクロレンズアレイ基板は、前記透明基材の構成材料は酸化シリコンであり、前記第1透明層及び前記第2透明層の構成材料は酸窒化シリコンであり、前記酸窒化シリコンを構成する酸素原子及び窒素原子の組成比が、前記第1透明層及び前記第2透明層で異なることが好ましい。
酸化シリコンの屈折率は概略1.46であり、窒化シリコンの屈折率は概略2である。酸窒化シリコンを構成する酸素原子及び窒素原子の組成比(酸素原子及び窒素原子の占有率)を変化させることで、酸窒化シリコンの屈折率を、酸化シリコンの屈折率(概略1.46)から窒化シリコンの屈折率(概略2)の範囲で変化させることができる。従って、第1透明層及び第2透明層の構成材料を酸窒化シリコンとすることによって、第1透明層の屈折率及び第2透明層の屈折率を、酸化シリコンの屈折率から窒化シリコンの屈折率の範囲で調整することができる。
[適用例3]上記適用例に係るマイクロレンズアレイ基板は、前記第1凹部は、中央に配置された第1平坦部と、平面視で前記第1平坦部を囲む第1曲面部と、を有し、前記第2凹部は、中央に配置された第2平坦部と、平面視で前記第2平坦部を囲む第2曲面部と、を有していることが好ましい。
例えば、第1凹部及び第2凹部が曲面部だけで構成される場合、表示に寄与する光が第1凹部及び第2凹部に入射すると、表示に寄与する光の進行方向は、第1凹部及び第2凹部によって屈折され(変化し)、表示に寄与しない光に変換されるおそれがある。
第1凹部及び第2凹部に平坦部を設け、表示に寄与する光が第1凹部及び第2凹部の平坦部に入射するようにすると、表示に寄与する光の進行方向は第1凹部及び第2凹部の平坦部の影響を受けず、表示に寄与する光が表示に寄与しない光に変換されるおそれを抑制することができる。従って、第1凹部及び第2凹部に平坦部を有するマイクロレンズアレイ基板は、表示に寄与する光が表示に寄与しない光に変換されるおそれが抑制されるので、第1凹部及び第2凹部が曲面部だけで構成されるマイクロレンズアレイ基板と比べて、表示に寄与する光の光量を高めることができる。
[適用例4]上記適用例に係るマイクロレンズアレイ基板は、前記第2凹部は、平面視で前記第1凹部の内側に配置され、前記第2凹部の曲率は前記第1凹部の曲率よりも大きいことが好ましい。
第2凹部は、平面視で第1凹部の内側に配置されている。よって、上述した第1凹部に形成されるレンズと第2凹部に形成されるレンズとを、同じ光軸に配置することができる。さらに、第2凹部の曲率は第1凹部の曲率よりも大きいので、第2凹部の曲率が第1凹部の曲率と同じである場合と比べて、第2凹部に形成されるレンズの屈折力を第1凹部に形成されるレンズの屈折力よりも強くすることができる。
[適用例5]上記適用例に係るマイクロレンズアレイ基板は、前記第2透明層は、前記第3面に接する第4面と、前記第4面と反対側の第5面とを有し、前記第5面は、平坦であることが好ましい。
透明基材の第1面に第1凹部(第1レンズ)を形成し、第1透明層の第3面に第2凹部(第2レンズ)を形成し、第1面から第3面(第5面)に向かう光を第1レンズと第2レンズとで集光し、第2透明層の第5面から射出することができる。さらに、第5面は、平坦であり光の射出方向に影響せず、第5面によって光の射出位置を調整することができる。
[適用例6]上記適用例に係るマイクロレンズアレイ基板は、前記第2透明層は、前記第3面に接する第4面と反対側の第5面に前記第2凹部の形状が反映された第3凹部を有し、前記第3凹部は、無機材料で構成された第3透明層で覆われていることが好ましい。
第2透明層の第5面に形成された第3凹部を第3透明層で覆うと、第3透明層によって光が射出される位置を調整することができる。つまり、第3透明層を光が射出される位置を調整する光路調整層として使用することができる。
[適用例7]本適用例に係る電気光学装置は、上記適用例に係るマイクロレンズアレイ基板と、前記マイクロレンズアレイ基板に対向配置された第1基板と、前記マイクロレンズアレイ基板と前記第1基板との間に配置された電気光学層と、を備えていることを特徴とする。
透明基材の第1面に設けられた第1凹部は、正の屈折力を有するレンズ(第1レンズ)として働き、第1透明層の第3面に設けられた第2凹部は、正の屈折力または負の屈折力を有するレンズ(第2レンズ)として働く。よって、マイクロレンズアレイ基板は、第1レンズと第2レンズとで光を集光し、電気光学層に射出し、電気光学層で変調する光の光量を高めることができる。
[適用例8]本適用例に係る電子機器は、光源と、前記光源から発せられた光を集光する上記適用例に記載のマイクロレンズアレイ基板と、前記マイクロレンズアレイ基板で集光された光を変調する電気光学層と、前記電気光学層で変調された光を投写する投写レンズと、を含み、前記投写レンズのF値が1.5以上である場合に、前記第1透明層の屈折率は前記第2透明層の屈折率よりも大きいことを特徴とする。
第1凹部に入射した光を、第1凹部によって集光する。当該集光された光を、第2凹部によって投写レンズが飲み込むことができる方向に屈折させると、当該集光された光は表示に寄与する光となる。当該集光された光を、第2凹部によって投写レンズが飲み込むことができない方向に屈折させると、当該集光された光は表示に寄与しない光となる。
投写レンズのF値が1.5以上と大きくなると、投写レンズの飲み込む角が小さくなる。つまり、投写レンズに入射する光と光軸とがなす角度を小さくしないと、投写レンズで飲み込めなくなる。
第1凹部を正の屈折力を有するレンズ(第1レンズ)とし、第2凹部を正の屈折力を有するレンズ(第2レンズ)とした場合、第1レンズで集光された光は、第2レンズによって光軸となす角度が大きくなる方向に屈折され、投写レンズに入射する。よって、投写レンズに入射する光と光軸とがなす角度が大きくなるので、投写レンズによって飲み込みにくくなる。
第1凹部を正の屈折力を有するレンズ(第1レンズ)とし、第2凹部を負の屈折力を有するレンズ(第2レンズ)とした場合、第1レンズで集光された光は、第2レンズによって光軸となす角度が小さくなる方向に屈折され、投写レンズに入射する。よって、投写レンズに入射する光と光軸とがなす角度が小さくなるので、投写レンズによって飲み込みやすくなり、表示に寄与する光の光量を高めることができる。
このように、投写レンズのF値が1.5以上と大きくなり、投写レンズの飲み込み角が小さくなると、第2凹部は負の屈折力を有するレンズとして働くことが好ましい。従って、投写レンズのF値が1.5以上である場合、第1透明層の屈折率を第2透明層の屈折率よりも大きくし、第2凹部を挟んで、第1透明層と第1透明層よりも低屈折率の第2透明層とを配置し、第2凹部が負の屈折力を有するようにすることが好ましい。
[適用例9]本適用例に係るマイクロレンズアレイ基板の製造方法は、酸化シリコンを主成分とする透明基材の第1面に第1凹部を形成する工程と、酸素を含む第1反応ガスと、窒素を含む第2反応ガスと、ケイ素を含む第3反応ガスとを用いた化学気相成長法で、第1の酸窒化シリコンを前記第1面に堆積し、前記第1面に接する第2面と反対側の第3面に前記第1凹部の形状が反映された第2凹部を有する第1透明層を形成する工程と、前記化学気相成長法で、前記第1の酸窒化シリコンの屈折率と異なる屈折率の第2の酸窒化シリコンを前記第3面に堆積し、前記第2凹部を覆う第2透明層を形成する工程と、前記第2透明層の前記第3面に接する第4面と反対側の第5面に平坦化処理を施す工程と、を含むことを特徴とする。
酸素を含む第1反応ガスと窒素を含む第2反応ガスとケイ素を含む第3反応ガスとを用いた化学気相成長法で、第1の酸窒化シリコンを、第1凹部が設けられた透明基材の第1面に堆積して第1透明層を形成すると、第1透明層の透明基材に接する第2面と反対側の第3面に、第1凹部の形状が反映された第2凹部を自己整合的に形成することができる。つまり、第1凹部と第2凹部とを同じ光軸に対して配置することができる。さらに、第1凹部を挟んで、透明基材(酸化シリコン)と、透明基材よりも高屈折率の第1透明層(第1の酸窒化シリコン)とが配置されるので、第1凹部は正の屈折力を有するレンズ(第1レンズ)として働き、電気光学装置に入射する光を集光することができる。
第1の酸窒化シリコンの形成条件と比べて、酸素を含む第1反応ガスの量及び窒素を含む第2反応ガスの量を変化させると、第1の酸窒化シリコンと異なる屈折率の第2の酸窒化シリコンを形成することができる。すなわち、第2凹部の内側に第1透明層(第1の酸窒化シリコン)と異なる屈折率の第2透明層(第2の酸窒化シリコン)を充填する。第2凹部を挟んで、第1透明層(第1の酸窒化シリコン)と、第1透明層と異なる屈折率の第2透明層(第2の酸窒化シリコン)とが配置されるので、第2凹部は正の屈折力または負の屈折力を有するレンズ(第2レンズ)として働き、第1レンズで集光された光の進行方向を調整することができる。
第2透明層の第5面に平坦化処理を施し、第2透明層の第5面に平坦な光の射出面を形成する。第5面は平坦であるので、第2レンズで調整された光の進行方向に影響を及ぼさずに、第5面から光を射出することができる。
かかる製造方法で製造されたマイクロレンズアレイ基板では、第1レンズ(第1凹部)で集光された光の進行方向を第2レンズ(第2凹部)で調整することによって、表示に寄与しない光を効率的に表示に寄与する光に変換し、表示に寄与する光の光量を高めることができる。
[適用例10]本適用例に係る電子機器の製造方法は、光源と、前記光源から発せられた光を集光するマイクロレンズアレイ基板と、前記マイクロレンズアレイ基板で集光された光を変調する電気光学層と、前記電気光学層で変調された光を投写する投写レンズと、を含む電子機器の製造方法であって、前記マイクロレンズアレイ基板は、第1面に第1凹部を有する透明基材と、前記第1凹部を覆い前記第1凹部の形状が反映された第2凹部を有する第1透明層と、前記第2凹部を覆う第2透明層と、を備え、前記投写レンズのF値が1.5以上である場合に、前記透明基材を構成する材料の屈折率よりも高屈折率の材料で前記第1透明層を形成し、前記第1透明層を構成する材料の屈折率よりも低屈折率の材料で前記第2透明層を形成することを特徴とする。
第1凹部を第1透明層で覆うと、第1凹部を挟んで、透明基材と、透明基材よりも高屈折率の第1透明層とが配置されるので、第1凹部は正の屈折力を有するレンズ(第1レンズ)として働く。よって、第1レンズによって、光源から発せられた光を第1レンズの焦点に収束する方向、つまり光軸となす角度が大きくなる方向に屈折させ、光源から発せられた光を集光することができる。
第2凹部を第2透明層で覆うと、第2凹部を挟んで、第1透明層と、第1透明層よりも低屈折率の第2透明層とが配置されるので、第2凹部は負の屈折力を有するレンズ(第2レンズ)として働く。第2レンズによって、第2レンズの焦点から発散する方向、つまり光軸となす角度が小さくなる方向に、第1レンズで集光された光の進行方向を調整することができる。よって、投写レンズのF値が1.5以上と大きくなり、投写レンズの飲み込み角が小さくなっても、投写レンズが飲み込むことができるように、第1レンズで集光された光の進行方向を、第2レンズによって光軸となす角度が小さくなる方向に調整することができる。
従って、F値が1.5以上と大きく飲み込み角が小さい投写レンズであっても、投写レンズは第1凹部で集光された光を飲み込み、電子機器の表示の輝度を高めることができる。
実施形態1に係る投写型表示装置の構成を示す概略図。 実施形態1に係る液晶装置の構成を示す概略平面図。 実施形態1に係る液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。 図2のA−A’線に沿った液晶装置の概略断面図。 図4の破線で囲まれた領域Bにおける液晶装置の概略断面図。 偏光照明装置から発せられた光が、液晶装置と投写レンズとを経てスクリーンに投写される状態を示す模式図。 光学シミュレーションによって求められた、投写レンズのF値が1.2である場合の光の利用効率。 光学シミュレーションによって求められた、投写レンズのF値が1.5である場合の光の利用効率。 光学シミュレーションによって求められた、投写レンズのF値が1.8である場合の光の利用効率。 光学シミュレーションによって求められた、投写レンズのF値が2.1である場合の光の利用効率。 光学シミュレーションによって求められた、投写レンズのF値が2.4である場合の光の利用効率。 光学シミュレーションによって求められた、投写レンズのF値が2.7である場合の光の利用効率。 光学シミュレーションによって求められた、投写レンズのF値が3.0である場合の光の利用効率。 マイクロレンズアレイ基板の製造方法を示す工程フロー。 図14に示す工程フローの各工程を経た後の状態を示す概略断面図。 実施形態2に係る液晶装置の概略断面図。 図16の破線で囲まれた領域Bにおける液晶装置の概略断面図。 実施形態3に係る液晶装置の概略断面図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならせしめてある。
(実施形態1)
「投写型表示装置の概要」
最初に、本発明における「電子機器」の一例である投写型表示装置(プロジェクター)について、図1を参照して説明する。図1は、実施形態1に係る投写型表示装置の構成を示す概略図である。
図1に示すように、投写型表示装置1000は、偏光照明装置1100と、光学ユニット1200と、投写光学系(投写レンズ1300)とを有している。偏光照明装置1100と、光学ユニット1200と、投写光学系(投写レンズ1300)とは、図中の一点鎖線で示された光軸Kに沿って配置されている。
なお、偏光照明装置1100は、本発明における「光源」の一例である。
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなるランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
偏光照明装置1100を構成するレンズのF値は、概略1.96である。
光学ユニット1200は、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、クロスダイクロイックプリズム1206とを備えている。これらの構成要素も、光軸Kに沿って配置されている。
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー1104で反射された赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射された後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。ダイクロイックミラー1105で反射された緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。
液晶ライトバルブ1210は、液晶装置71と、光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子71a,71bとで構成される。液晶装置71は、色光の入射側に配置される偏光素子71aと、色光の射出側に配置される偏光素子71bとの間に隙間(間隙)を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様の構成を有している。
詳細は後述するが、液晶装置71は、光の入射側にマイクロレンズアレイ基板10(図4参照)を備え、偏光照明装置1100から発せられ偏光素子71aを通過した光を集光する。さらに、液晶装置71は、マイクロレンズアレイ基板10で集光された光が射出される側に液晶層40(図4参照)を備え、マイクロレンズアレイ基板10で集光された光を変調する。
なお、液晶装置71は、本発明における「電気光学装置」の一例である。後述する液晶層40は、本発明における「電気光学層」の一例である。
クロスダイクロイックプリズム1206は、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、フルカラー表示の画像光が合成される。
クロスダイクロイックプリズム1206で合成された光(画像光)は、投写光学系である投写レンズ1300によってスクリーン1400上に投写され、画像が拡大されて表示される。
投写レンズ1300のF値は、1.2〜3.0の範囲にある。投写レンズ1300に入射する光の中で表示に寄与する(利用される)光と光軸Kとがなす角度の最大値を飲み込み角θとすると、飲み込み角θ及び投写レンズ1300のF値には、以下に示す式が成り立つ。
θ=arcsin(1/2F)…(1)
例えば、投写レンズ1300のF値が1.2である場合、式(1)より飲み込み角θは概略24.6度となる。投写レンズ1300のF値が2.4である場合、式(1)より飲み込み角θは概略12.0度となる。つまり、投写レンズ1300のF値が小さくなると飲み込み角θが大きくなり、投写レンズ1300のF値が大きくなると飲み込み角θが小さくなる。
光軸Kとなす角度が飲み込み角θ以下である光は、投写レンズ1300によってスクリーン1400上に投写される。光軸Kとなす角度が飲み込み角θよりも大きい光は、投写レンズ1300でけられて、スクリーン1400上に投写されない。つまり、光軸Kとなす角度が飲み込み角θ以下である光は表示に寄与し(利用され)、光軸Kとなす角度が飲み込み角θよりも大きい光は表示に寄与しない(利用されない)。
詳細は後述するが、投写型表示装置1000は、偏光照明装置1100と、偏光照明装置1100から発せられた光を集光するマイクロレンズアレイ基板10と、マイクロレンズアレイ基板10で集光された光を変調する液晶層40と、液晶層40で変調された光を投写する投写レンズ1300と、を含み、スクリーン1400に投写される光の光量(表示の輝度)を高めることができる構成を有している。
「液晶装置の概要」
次に、投写型表示装置1000における光変調手段である液晶装置71の概要を説明する。
図2は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す概略平面図である。図3は、本実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。図4は、図2のA−A’線に沿った液晶装置の概略断面図である。
以下、図2乃至図4を参照し、本実施形態に係る液晶装置71の概要を説明する。
図2及び図4に示すように、本実施形態に係る液晶装置71は、画素電極28を有する素子基板20、共通電極34を有する対向基板30、及び素子基板20と対向基板30との間に挟持された液晶層40などを有している。素子基板20は対向基板30よりも大きく、両基板は、対向基板30の周縁部に沿って額縁状に配置されたシール材42を介して接着されている。
なお、素子基板20は、本発明における「第1基板」の一例である。
液晶層40は、正または負の誘電異方性を有する液晶で構成されている。シール材42は、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤からなる。シール材42には、素子基板20と対向基板30との間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
額縁状に配置されたシール材42の内側には、素子基板20に設けられた遮光層22,26と、対向基板30に設けられた遮光層32とが配置されている。遮光層22,26,32は、額縁状の周縁部を有し、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などで形成されている。額縁状の遮光層22,26,32の内側は、複数の画素Pが配列された表示領域Eとなる。画素Pは、例えば略矩形状を有し、マトリックス状に配列されている。
なお、液晶装置71は、表示領域Eの周囲を囲むように設けられた、実質的に表示に寄与しないダミー領域を備えていてもよい。
素子基板20の第1辺に沿ったシール材42と該第1辺との間に、データ線駆動回路51が設けられている。また、該第1辺に対向する第2辺に沿ったシール材42と表示領域Eとの間に、検査回路53が設けられている。さらに、該第1辺と直交し互いに対向する第3辺及び第4辺に沿ったシール材42と表示領域Eとの間に走査線駆動回路52が設けられている。該第2辺に沿ったシール材42と検査回路53との間には、2つの走査線駆動回路52を繋ぐ複数の配線55が設けられている。
データ線駆動回路51及び走査線駆動回路52に繋がる配線は、該第1辺に沿って配列した複数の外部接続端子54に接続されている。また、対向基板30の角部には、素子基板20と対向基板30との間で電気的導通をとるための上下導通部56が設けられている。なお、検査回路53の配置はこれに限定されず、データ線駆動回路51と表示領域Eとの間でシール材42の内側に設けてもよい。
以下の説明では、第1辺に沿った方向をX方向とし、第1辺部と直交し互いに対向する第3辺及び第4辺に沿った方向をY方向とする。対向基板30から素子基板20に向かう方向を、Z(+)方向とする。
なお、Z(+)方向に沿って素子基板20の側から見ることを平面視と呼ぶ。また、Z(+)方向は、上述した投写型表示装置1000の光軸K(図1参照)に相当する。つまり、投写型表示装置1000において偏光照明装置1100から発せられた光は、対向基板30に入射し、液晶層40で変調され、素子基板20からZ(+)方向に射出される。
図3に示すように、表示領域Eには、走査線2とデータ線3とが互いに交差するように形成され、走査線2とデータ線3との交差に対応して画素Pが設けられている。画素Pのそれぞれには、画素電極28と、スイッチング素子としての薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;以降、TFTと称す)24とが設けられている。
走査線2はTFT24のゲート電極に電気的に接続され、データ線3はTFT24のソース電極に電気的に接続されている。画素電極28はTFT24のドレイン電極に電気的に接続されている。
データ線3はデータ線駆動回路51(図2参照)に接続されており、データ線駆動回路51からデータ線3を介して、画像信号S1,S2,…,Snが各画素Pに供給される。走査線2は走査線駆動回路52に接続されており、走査線駆動回路52から走査線2を介して、走査信号G1,G2,…,Gmが各画素Pに供給される。データ線駆動回路51からデータ線3に供給される画像信号S1〜Snは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線3に対してグループごとに供給してもよい。
液晶装置71は、スイッチング素子であるTFT24が走査信号G1〜Gmの入力により一定期間だけオン状態となったタイミングに同期して、データ線3から画像信号S1〜Snが供給され、画像信号S1〜Snに対応する電荷が画素電極28と共通電極34との間の容量に蓄積され、一定期間保持される。さらに、画素電極28と共通電極34との間で、画像信号S1〜Snに対応する電圧が液晶層40に印加される。
画素電極28と共通電極34との間の容量に蓄積された電荷のリークの影響を軽減するために、画素電極28と共通電極34との間の容量と並列に蓄積容量5が付加されている。蓄積容量5は、TFT24のドレイン電極と容量線4との間に設けられている。
画素電極28と共通電極34との間で印加された電圧によって、液晶層40の配向状態が変化し、液晶層40を通過する光が変調され、階調表示がなされる。例えば、ノーマリーホワイトモードの場合、各画素Pの単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少する。ノーマリーブラックモードの場合、各画素Pの単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加し、全体として液晶装置71からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が射出される。
「素子基板の概要」
図4に示すように、素子基板20では、基材21と、遮光層22と、絶縁層23と、TFT24と、絶縁層25と、遮光層26と、絶縁層27と、画素電極28と、配向膜29とが、Z(−)方向に順に積層されている。
基材21は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されている。
遮光層22は、基材21上に設けられている。遮光層22は、上層の遮光層26に平面視で重なるように格子状に形成されている。遮光層22および遮光層26は、素子基板20の厚さ方向において、TFT24を間に挟むように配置されている。遮光層22は、TFT24の少なくともチャネル領域と平面視で重なっている。
遮光層22及び遮光層26を設けることにより、TFT24への光の入射が抑制されるので、TFT24における光リーク電流の増大や光による誤動作を抑えることができる。さらに、遮光層22及び遮光層26によって、光を遮る遮光部V1が形成されている。また、遮光部V1で囲まれた部分が、光を透過する開口部V2となる。
絶縁層23は、基材21と遮光層22とを覆うように設けられている。絶縁層23は、例えば、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料からなる。
TFT24は、絶縁層23上に設けられており、遮光層22及び遮光層26と平面視で重なる領域(遮光部V1)に配置されている。TFT24は、画素電極28を駆動するスイッチング素子である。TFT24は、図示しない半導体層、ゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極で構成されている。半導体層には、ソース領域、チャネル領域、及びドレイン領域が形成されている。チャネル領域とソース領域、又は、チャネル領域とドレイン領域との界面にはLDD(Lightly Doped Drain)領域が形成されていてもよい。
ゲート電極は、素子基板20において平面視で半導体層のチャネル領域と重なる領域に絶縁層25の一部(ゲート絶縁膜)を介して形成されている。図示を省略するが、ゲート電極は、下層側に配置された走査線にコンタクトホールを介して電気的に接続されており、走査信号が印加されることによってTFT24をオン/オフ制御している。
絶縁層25は、絶縁層23とTFT24とを覆うように設けられている。絶縁層25は、例えば、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料からなる。絶縁層25は、TFT24の半導体層とゲート電極との間を絶縁するゲート絶縁膜を含む。絶縁層25により、TFT24によって生じる表面の凹凸が緩和される。絶縁層25上には、遮光層26が設けられている。そして、絶縁層25と遮光層26とを覆うように、無機材料からなる絶縁層27が設けられている。
画素電極28は、絶縁層27上に、画素Pに対応して設けられている。画素電極28は、遮光層22及び遮光層26で囲まれた光を透過する領域、並びに遮光層22及び遮光層26の一部に平面視で重なるように配置されている。画素電極28は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電膜からなる。配向膜29は、画素電極28を覆うように設けられている。
なお、図示を省略するが、平面視で遮光層22及び遮光層26に重なる領域(遮光部V1)には、TFT24に電気信号を供給するための電極、配線、中継電極、蓄積容量5(図3参照)を構成する容量電極などが設けられている。また、遮光層22や遮光層26がこれらの電極、配線、中継電極、容量電極などを含む構成であってもよい。
「対向基板の概要」
対向基板30は、マイクロレンズアレイ基板10と、遮光層32と、保護層33と、共通電極34と、配向膜35とが、Z(+)方向に順に積層されている。偏光照明装置1100から発せられた光は、マイクロレンズアレイ基板10に入射し、配向膜35から液晶層40に向けて射出される。
以降の説明では、光が入射する側の面を下面、光が射出される側の面を上面とする。
マイクロレンズアレイ基板10は、Z(+)方向に順に積層された、透明基材11(酸化シリコン)と、第1透明層13(酸窒化シリコン)と、第2透明層16(酸窒化シリコン)とで構成されている。すなわち、マイクロレンズアレイ基板10は、無機材料で構成されている。
透明基材11は、光が入射する下面11bと、光が射出される上面11aとを備えている。第1透明層13は、光が入射する下面13bと、光が射出される上面13aとを備えている。第2透明層16は、光が入射する下面16bと、光が射出される上面16aとを備えている。
なお、透明基材11の上面11aは、本発明における「第1面」の一例である。第1透明層13の下面13bは、本発明における「第2面」の一例であり、第1透明層13の上面13aは、本発明における「第3面」の一例である。第2透明層16の下面16bは、本発明における「第4面」の一例であり、第2透明層16の上面16aは、本発明における「第5面」の一例である。
透明基材11の厚さは均一であり、光が入射する下面11bと、光が射出される上面11aとは平行である。第1透明層13の厚さは均一であり、光が入射する下面13bと、光が射出される上面13aとは平行である。第2透明層16の厚さは均一であり、光が入射する下面16bと、光が射出される上面16aとは平行である。
透明基材11は、例えば石英ガラスである。透明基材11の構成材料は、酸化シリコン(SiO2)であり、光透過性を有している。透明基材11の屈折率n0は、概略1.46である。透明基材11の上面11aには、第1凹部12が画素P毎に設けられている。
第1透明層13は、透明基材11の上面11aを覆うように設けられている。第1透明層13の下面13bは、透明基材11の上面11aに接し、第1凹部12を覆うように設けられている。第1透明層13の上面13aには、第1凹部12の形状が反映された第2凹部14が設けられている。つまり、第1凹部12の形状がトレースされ、第2凹部14が設けられている。よって、第2凹部14は、平面視で第1凹部12の内側に配置されている。
第1透明層13の構成材料は、酸窒化シリコン(SiON)であり、光透過性を有している。酸窒化シリコン(SiON)は、酸素原子(O)及び窒素原子(N)の組成比(占有率)を変化させることによって、酸化シリコンの屈折率(1.46)と窒化シリコンの屈折率(2.00)との間で屈折率を調整する(変化させる)ことができる。
第1透明層13(酸窒化シリコン)の屈折率n1は、透明基材11(酸化シリコン)の屈折率n0よりも大きい。
第2透明層16は、第1透明層13の上面13aを覆うように設けられている。第2透明層16の下面16bは、第1透明層13の上面13aに接し、第2凹部14を覆うように設けられている。第2透明層16の上面16aは、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)による平坦化処理が施され、平坦になっている。
第2透明層16の構成材料は、酸窒化シリコン(SiON)であり、光透過性を有している。第2透明層16の屈折率n2は、第1透明層13の屈折率n1と異なる。詳細は後述するが、酸窒化シリコンを構成する酸素原子及び窒素原子の組成比を、第1透明層13と第2透明層16とで異ならせることによって、第1透明層13の屈折率n1と異なる屈折率n2の第2透明層16を形成している。このように、第2凹部14には、第1透明層13の屈折率n1と異なる屈折率n2の第2透明層16が埋め込まれている。
第2透明層16の上面16aには、表示領域E(図2参照)を囲む額縁形状の遮光層32が設けられている。
なお、遮光層32を、表示領域E内に設けてもよい。例えば、遮光層32を、表示領域E内において、素子基板20の遮光層22及び遮光層26に平面視で重なるように格子状に設けたり、島状またはストライプ状に設けてもよい。
第2透明層16と遮光層32とを覆うように、保護層33が設けられている。保護層33は、例えば酸化シリコンなどの無機材料で構成され、保護層33の共通電極34が形成される側の面は、平坦になっている。
保護層33を覆うように、共通電極34が設けられている。共通電極34は、複数の画素Pに跨って形成されている。共通電極34は、例えば、ITOやIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電材料で構成されている。
共通電極34を覆うように、配向膜35が設けられている。
「液晶装置を通過する光の状態」
図5は、図4の破線で囲まれた領域Bにおける液晶装置の概略断面図であり、液晶装置を通過する光の状態が図示されている。詳しくは、図5(a)は、第1透明層13の屈折率n1が透明基材11の屈折率n0がよりも大きく、第2透明層16の屈折率n2が第1透明層13の屈折率n1よりも小さい場合の液晶装置71を通過する光の状態が、矢印で示されている。図5(b)は、第1透明層13の屈折率n1が透明基材11の屈折率n0よりも大きく、第2透明層16の屈折率n2が第1透明層13の屈折率n1よりも大きい場合の液晶装置71を通過する光の状態が、矢印で示されている。
なお、図中の矢印は、マイクロレンズアレイ基板10が設けられていない場合に、遮光部V1によって遮られ、表示に寄与しない光を示している。
図5(a)に示すように、第1凹部12を挟んで、Z(−)方向側に低屈折率材料(屈折率がn0の透明基材11)が配置され、Z(+)方向側に高屈折率材料(屈折率がn1の第1透明層13)が配置されているので、第1凹部12は正の屈折力を有するレンズとして働き、第1凹部12に入射するZ(+)方向の光は、当該正の屈折力を有するレンズの焦点に収束する方向、つまりZ(+)方向となす角度が大きくなる方向に屈折する。
第2凹部14を挟んで、Z(−)側に高屈折率材料(屈折率がn1の第1透明層13)が配置され、Z(+)方向側に低屈折率材料(屈折率がn2の第2透明層16)が配置されているので、第2凹部14は負の屈折力を有するレンズとして働き、第1凹部12で屈折された光は、第2凹部14によって当該負の屈折力を有するレンズの焦点から発散する方向、つまりZ(+)方向となす角度が小さくなる方向に屈折する。その結果、マイクロレンズアレイ基板10が設けられていない場合に表示に寄与しない光は、液晶装置71の開口部V2を通過し、投写レンズ1300(図1参照)に入射するので、投写型表示装置1000の表示の輝度を高めることができる。
図5(b)に示すように、第1凹部12を挟んで、Z(−)方向側に低屈折率材料(屈折率がn0の透明基材11)が配置され、Z(+)方向側に高屈折率材料(屈折率がn1の第1透明層13)が配置されているので、第1凹部12は正の屈折力を有するレンズとして働き、第1凹部12に入射するZ(+)方向の光は、当該正の屈折力を有するレンズの焦点に収束する方向、つまりZ(+)方向となす角度が大きくなる方向に屈折する。
第2凹部14を挟んで、Z(−)方向側に低屈折率材料(屈折率がn1の第1透明層13)が配置され、Z(+)方向側に高屈折率材料(屈折率がn2の第2透明層16)が配置されているので、第2凹部14は正の屈折力を有するレンズとして働き、第1凹部12で屈折された光は、当該正の屈折力を有するレンズの焦点に収束する方向、つまりZ(+)方向となす角度がさらに大きくなる方向に屈折する。その結果、マイクロレンズアレイ基板10が設けられていない場合に表示に寄与しない光は、液晶装置71の開口部V2を通過し、投写レンズ1300に入射するので、投写型表示装置1000の表示の輝度を高めることができる。
このように、液晶装置71は、マイクロレンズアレイ基板10を有し、マイクロレンズアレイ基板10に設けられた第1凹部12及び第2凹部14によって、第1凹部12及び第2凹部14が設けられていない場合に表示に寄与しない光を、表示に寄与する光に変換し、液晶装置71から射出される光の光量を高めている。従って、当該液晶装置71が適用された投写型表示装置1000の表示の輝度を高めることができる。換言すれば、マイクロレンズアレイ基板10が、偏光照明装置1100から発せられる光を集光し、投写型表示装置1000の表示の輝度を高めることができる。
偏光照明装置1100で発せられ光の輝度は高く、液晶装置71(マイクロレンズアレイ基板10)は強い光に曝される。マイクロレンズアレイ基板10は無機材料で構成されているので、マイクロレンズアレイ基板10が有機材料を含む場合と比べて、耐熱性や耐光性に優れ、強い光に曝されても劣化しにくい。
「投写型表示装置の表示の輝度を高めることができる条件」
図6は、偏光照明装置から発せられた光が、液晶装置と投写レンズとを経てスクリーンに投写される状態を示す模式図である。図中のL1は、偏光照明装置1100から発せられ液晶装置71に入射する光(入射光)である。L2は、入射光L1が液晶装置71で変調され、液晶装置71から射出され、投写レンズ1300を経てスクリーン1400に投写される光(射出光)である。L3は、入射光L1が液晶装置71で変調され、液晶装置71から射出され、投写レンズ1300を経てスクリーン1400と異なる場所に投写される光(射出光)である。
以下、図6を参照して、投写型表示装置1000において、表示の輝度を高めることができる条件について説明する。
図6に示すように、偏光照明装置1100から発せられた光は、入射光L1として液晶装置71に入射し、入射光L1が液晶装置71で変調され、射出光L2,L3として投写レンズ1300に入射する。射出光L2は、投写レンズ1300を経てスクリーン1400に結像し、所望の表示がなされる。射出光L3は、投写レンズ1300を経てスクリーン1400と異なる場所に結像する。つまり、射出光L2は、投写レンズ1300に飲み込まれ、表示に寄与する光である。射出光L3は、投写レンズ1300でけられ、表示に寄与しない光である。
上述したように、光軸Kとなす角度が飲み込み角θ以下である光は、投写レンズ1300に飲み込まれ、スクリーン1400上に投写される。光軸Kとなす角度が飲み込み角θよりも大きい光は、投写レンズ1300でけられ、スクリーン1400上に投写されない。つまり、光軸Kとなす角度が飲み込み角θ以下である射出光L2は、投写レンズ1300に飲み込まれ、表示に寄与する。光軸Kとなす角度が飲み込み角θよりも大きい射出光L3は、投写レンズ1300でけられ、表示に寄与しない。
従って、投写型表示装置1000の表示の輝度を高めるためには、射出光L2の光量を高める必要がある。
本実施形態では、光学シミュレーションによって、マイクロレンズアレイ基板10の形成条件を変化させた場合の射出光L2の光量を評価した。詳しくは、投写レンズ1300のF値が1.2〜3.0の範囲にあり、第1透明層13の屈折率n1が1.52〜1.72の範囲にあり、第2透明層16の屈折率n2が1.52〜1.72の範囲にある場合の射出光L2の光量を、光学シミュレーションによって求めた。
当該光学シミュレーションでは、透明基材11の屈折率n0を1.46、偏光照明装置1100のF値を1.96、第1凹部12の深さH1を2000nm、及び第2凹部14の深さH2を2000nmとした。さらに、当該光学シミュレーションと同じ条件で試作品を作製し、光学シミュレーションで求めた結果と試作品で求めた結果とが一致すること、すなわち光学シミュレーション結果の妥当性が確認されている。
図7乃至図13は、光学シミュレーションで求められた射出光L2の光量を示す表である。表の上端に、第1透明層13の屈折率n1が示されている。表の左端に、第2透明層16の屈折率n2が示されている。第1透明層13の屈折率n1が示された部分と、第2透明層16の屈折率n2が示された部分との交点に、射出光L2の光量が示されている。
さらに、図7乃至図13では、射出光L2の光量は、入射光L1の光量に対する射出光L2の光量の割合で示されている。以降の説明では、入射光L1の光量に対する射出光L2の光量の割合を、光の利用効率と称す。つまり、光の利用効率が大きくなると射出光L2の光量が大きくなり、光の利用効率が小さくなると射出光L2の光量が小さくなる。
図7乃至図13では、光学シミュレーションによって求められた光の利用効率が示されている。詳しくは、図7では、投写レンズ1300のF値が1.2である場合の光の利用効率が示されている。図8では、投写レンズ1300のF値が1.5である場合の光の利用効率が示されている。図9では、投写レンズ1300のF値が1.8である場合の光の利用効率が示されている。図10では、投写レンズ1300のF値が2.1である場合の光の利用効率が示されている。図11では、投写レンズ1300のF値が2.4である場合の光の利用効率が示されている。図12では、投写レンズ1300のF値が2.7である場合の光の利用効率が示されている。図13では、投写レンズ1300のF値が3.0である場合の光の利用効率が示されている。
さらに、図7乃至図13では、光の利用効率が最も大きい部分が、太い破線で囲まれている。
図7乃至図13において、表中の網掛けが付された部分は、第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とが同じである場合の光の利用効率である。第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とが同じである場合は、第1凹部12だけが正の屈折力を有するレンズとして働く。つまり、網掛けが付された部分は、正の屈折力を有するレンズ(第1凹部12)が単体で設けられた構成に相当する。
網掛けが付された部分に対して右側の部分には、第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも大きい場合の光の利用効率が示されている。第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも大きい場合は、第1凹部12が正の屈折力を有するレンズとして働き、第2凹部14が負の屈折力を有するレンズとして働く。つまり、網掛けが付された部分に対して右側の部分は、正の屈折力を有するレンズ(第1凹部12)と負の屈折力を有するレンズ(第2凹部14)とが、順に配置された構成に相当する。
網掛けが付された部分に対して左側の部分には、第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも小さい場合の光の利用効率が示されている。第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも小さい場合は、第1凹部12が正の屈折力を有するレンズとして働き、第2凹部14が正の屈折力を有するレンズとして働く。つまり、網掛けが付された部分に対して左側の部分は、正の屈折力を有するレンズ(第1凹部12)と正の屈折力を有するレンズ(第2凹部14)とが、順に配置された構成に相当する。
図7に示すように、投写レンズ1300のF値が1.2である場合、つまり飲み込み角θが概略24.6度である場合、第2透明層16の屈折率n2が一定であり第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも大きい場合、及び第1透明層13の屈折率n1が一定であり第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも小さい場合の両方で、第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とが同じである場合と比べて、光の利用効率が大きい。また、第1透明層13の屈折率n1が1.70であり、第2透明層16の屈折率n2が1.72である場合に、光の利用効率が最も大きくなる。
投写レンズ1300の飲み込み角θが大きい場合は、正の屈折力を有するレンズ(第1凹部12)を単体で設ける構成よりも、第2透明層16の屈折率n2が一定である場合に正の屈折力を有するレンズ(第1凹部12)と負の屈折力を有するレンズ(第2凹部14)とを順に配置する構成、及び第1透明層13の屈折率n1が一定である場合に正の屈折力を有するレンズ(第1凹部12)と正の屈折力を有するレンズ(第2凹部14)とを順に配置する構成の方が、光の利用効率が大きくなり、好ましい。
図8に示すように、投写レンズ1300のF値が1.5である場合、つまり飲み込み角が概略19.5度である場合、第2透明層16の屈折率n2が一定であり第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも大きい場合に、第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とが同じである場合と比べて、光の利用効率が大きくなる。さらに、第2透明層16の屈折率n2が1.54〜1.64の範囲で一定であり、第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも小さい場合に、第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とが同じである場合と比べて、光の利用効率が大きくなる。また、第1透明層13の屈折率n1が1.72であり、第2透明層16の屈折率n2が1.64である場合に、光の利用効率が最も大きくなる。
図9に示すように、投写レンズ1300のF値が1.8である場合、つまり飲み込み角が概略16.1度である場合、第2透明層16の屈折率n2が一定であり、第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも大きい場合に、第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とが同じである場合と比べて、光の利用効率が大きくなる。第2透明層16の屈折率n2が1.54〜1.58の範囲で一定であり、第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも小さい場合に、第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とが同じである場合と比べて、光の利用効率が大きくなる。また、第1透明層13の屈折率n1が1.72であり、第2透明層16の屈折率n2が1.60である場合に、光の利用効率が最も大きくなる。
図10に示すように、投写レンズ1300のF値が2.1である場合、つまり飲み込み角が概略13.8度である場合、第2透明層16の屈折率n2が一定であり、第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも大きい場合に、第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とが同じである場合と比べて、光の利用効率が大きくなる。第2透明層16の屈折率n2が1.54であり、第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも小さい場合に、第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とが同じである場合と比べて、光の利用効率が大きくなる。また、第1透明層13の屈折率n1が1.72であり、第2透明層16の屈折率n2が1.56である場合に、光の利用効率が最も大きくなる。
図11に示すように、投写レンズ1300のF値が2.4である場合、つまり飲み込み角が概略12.0度である場合、第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも大きい場合に、第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とが同じである場合と比べて、光の利用効率が大きくなる。また、第1透明層13の屈折率n1が1.66であり、第2透明層16の屈折率n2が1.52である場合に、光の利用効率が最も大きくなる。
図12に示すように、投写レンズ1300のF値が2.7である場合、つまり飲み込み角が概略10.7度である場合、第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも大きい場合に、第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とが同じである場合と比べて、光の利用効率が大きくなる。また、第1透明層13の屈折率n1が1.64であり、第2透明層16の屈折率n2が1.52である場合に、光の利用効率が最も大きくなる。
図13に示すように、投写レンズ1300のF値が3.0である場合、つまり飲み込み角が概略9.6度である場合、第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも大きい場合に、第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とが同じである場合と比べて、光の利用効率が大きくなる。また、第1透明層13の屈折率n1が1.64であり、第2透明層16の屈折率n2が1.52である場合に、光の利用効率が最も大きくなる。
第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも小さい場合は、上述した図5(b)の状態に対応し、第1凹部12及び第2凹部14の両方が正の屈折力を有するレンズとして働く。よって、透明基材11の下面11bに入射した光は、第1凹部12によってZ方向となす角度が大きくなる方向に屈折し、第2凹部14によってZ方向となす角度がさらに大きくなる方向に屈折する。
第1透明層13の屈折率n1が第2透明層16の屈折率n2よりも大きい場合は、上述した図5(a)の状態に対応し、第1凹部12が正の屈折力を有するレンズとして働き、第2凹部14が負の屈折力を有するレンズとして働く。よって、透明基材11の下面11bに入射した光は、第1凹部12によってZ方向となす角度が大きくなる方向に屈折し、第2凹部14によってZ方向となす角度が小さくなる方向に屈折する。
投写レンズ1300のF値が小さく、投写レンズ1300の飲み込み角θが大きい場合、第1凹部12によってZ方向となす角度が大きくなる方向に屈折した光の屈折方向を、第2凹部14によってZ方向となす角度がさらに大きくなる方向に調整しても、第2凹部14によってZ方向となす角度が小さくなる方向に調整しても、光の利用効率を大きくすることができる。
投写レンズ1300のF値が大きくなり、投写レンズ1300の飲み込み角θが小さくなると、第1凹部12によってZ方向となす角度が大きくなる方向に屈折した光の屈折方向を、第2凹部14によってZ方向となす角度がさらに大きくなる方向に調整すると、光の利用効率を大きくする条件の範囲が狭くなる。つまり、第1凹部12によって集光された光の進行方向を、第2凹部14によってZ方向となす角度がさらに大きくなる方向に調整すると、光の利用効率を大きくすることが難しくなる。
一方、第1凹部12によって集光された光の進行方向を、第2凹部14によってZ方向となす角度が小さくなる方向に調整すると、容易に光の利用効率を大きくすることができる。さらに、光の利用効率が最も大きくなるのは、第1凹部12によって集光された光の進行方向を、第2凹部14によってZ方向となす角度が小さくなる方向に調整する条件に限定される。
投写レンズ1300のF値が1.5以上である場合に、上記傾向が表れ、投写レンズ1300のF値が2.4以上である場合に、上記傾向が顕著になる。
よって、投写レンズ1300のF値が1.5以上である場合、飲み込み角θが小さくなるので、第1凹部12によって集光された光の進行方向を、第2凹部14によってZ方向となす角度が小さくなる方向に調整する条件が好ましい。よって、第1凹部12が正の屈折力を有するレンズとして働き第2凹部14が負の屈折力を有するレンズとして働く条件、つまり第1透明層13の屈折率n1が透明基材11の屈折率n0よりも大きく、第2透明層16の屈折率n2が第1透明層13の屈折率n1よりも小さい条件が好ましい。
「マイクロレンズアレイ基板の製造方法」
図14は、マイクロレンズアレイ基板の製造方法を示す工程フローである。図15は、図4に対応する図であり、図14に示す工程フローの各工程を経た後の状態を示す概略断面図である。なお、図15では、図面を見やすくするためにZ(+)方向が図4と逆になっている。
図14に示すように、本実施形態に係るマイクロレンズアレイ基板10の製造方法は、透明基材11の上面11aに第1凹部12を形成する工程(ステップS1)と、第1の酸窒化シリコンを堆積し第1透明層13を形成する工程(ステップS2)と、第1の酸窒化シリコンと異なる屈折率の第2の酸窒化シリコンを堆積し第2透明層16を形成する工程(ステップS3)と、第2透明層16に平坦化処理を施す工程(ステップS4)と、を含む。
なお、ステップS2及びステップS3は、本発明における電子機器の製造方法の一例でもある。つまり、ステップS2は、本発明における「投写レンズのF値が1.5以上である場合に、透明基材を構成する材料の屈折率よりも高屈折率の材料で第1透明層を形成する工程」の一例である。ステップS3は、本発明における「投写レンズのF値が1.5以上である場合に、第1透明層を構成する材料の屈折率よりも低屈折率の材料で第2透明層を形成する工程」の一例である。
図15(a)に示すように、ステップS1では、透明基材11の上面11aに、例えばフォトリソプロセスによって小孔62が設けられたマスク(ポリシリコン膜)61を形成する。続いて、例えばフッ酸を含むエッチング液を用いて、小孔62を起点として透明基材11を等方的にエッチングして第1凹部12を形成する。小孔62を起点として透明基材11を等方的にエッチングすると、半球面形状の凹部(第1凹部12)を透明基材11の上面11aに形成することができる。つまり、第1凹部12の形状は、半球面形状である。
なお、マスク61と透明基材11との間に透明基材11よりも早くエッチングされる調整膜を介在させて透明基材11をエッチングすると、透明基材11の深さ方向(Z(−)方向のエッチング速度と比べて、透明基材11の横方向(Z(−)方向と交差する方向)のエッチング速度を速くすることができ、後述する第1平坦部17aと第1曲面部17bとで構成される第1凹部17(図16参照)を透明基材11の上面11aに形成することができる。
続いて、図15(b)に示すように、マスク61を除去して、深さ(Z(−)方向の距離)がH1である第1凹部12を、透明基材11の上面11aに形成する。
図15(c)に示すように、ステップS2では、例えば亜酸化窒素(N2O)、アンモニア(NH3)、シラン(SiH4)などを反応ガスに用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法で、透明基材11(酸化シリコン)の屈折率n0よりも高屈折率n1の第1の酸窒化シリコンを透明基材11の上面11aに堆積し、第1凹部12を覆う第1透明層13を形成する。第1透明層13は、第1凹部12の内側に充填され、第1透明層13の上面13aに、第1凹部12の形状が反映され、深さ(Z(−)方向の距離)がH2である第2凹部14が形成される。つまり、第2凹部14の形状は、半球面形状である。
なお、亜酸化窒素(N2O)は、本発明における「酸素を含む第1の反応ガス」の一例である。アンモニア(NH3)は、本発明における「窒素を含む第2の反応ガス」の一例である。シラン(SiH4)は、本発明における「ケイ素を含む第3の反応ガス」の一例である。プラズマCVD法は、本発明における「化学気相成長法」の一例である。
亜酸化窒素(N2O)、アンモニア(NH3)、シラン(SiH4)などを反応ガスに用いたプラズマCVD法では、主に気相中で生成した酸窒化シリコン(第1の酸窒化シリコン)が、透明基材11の上面11aに堆積する。第1の酸窒化シリコンは、第1凹部12の内側(側壁、底面)と比べて、透明基材11の上面11aの第1凹部12が形成されていない部分(以下、表面と称す)に堆積しやすい。このため、第1の酸窒化シリコンを堆積して第1凹部12を覆う第1透明層13を形成し、第1凹部12に対応する位置に第2凹部14を第1透明層13の上面13aに形成すると、第2凹部14における表面と底面との間の距離(深さH2)は、第1凹部12における表面と底面との間の距離(深さH1)よりも大きくなる。さらに、平面視で第2凹部14は第1凹部12の内側に配置されるので、第2凹部14の曲率は第1凹部12の曲率よりも大きくなる。
第2凹部14は、フォトリソ工程を経ずに自己整合的に、平面視で第1凹部12の内側に形成されているので、フォトリソ工程におけるアライメント誤差の影響がなくなり、第1凹部12に対して高精度に位置合わせされた第2凹部14を形成することができる。つまり、第1凹部12の中心と第2凹部14の中心とを平面視で同じ位置に形成し、第1凹部12の光軸と第2凹部14の光軸とを一致させることができる。
さらに、第1凹部12及び第2凹部14を正の屈折力または負の屈折力を有するレンズとして働かせた場合、第1凹部12の屈折力に比べて第2凹部14の屈折力を高めることができる。例えば、第1凹部12で集光された光の進行方向を第2凹部14によって調整する場合、第2凹部14による光の進行方向の調整範囲を大きくすることができる。
上述したように、投写型表示装置1000の表示の輝度を高めるためには、投写レンズ1300のF値が1.5以上である場合、第1透明層13の屈折率n1が透明基材11の屈折率n0よりも大きい条件が好ましい。従って、ステップS2では、投写レンズ1300のF値が1.5以上である場合、透明基材11の屈折率n0よりも高屈折率n1の第1透明層13を形成することが好ましい。
図15(d)に示すように、ステップS3では、例えば亜酸化窒素、アンモニア、シランなどを反応ガスに用いたプラズマCVD法で、第1の酸窒化シリコンの屈折率n1と異なる屈折率n2の第2の酸窒化シリコンを、第1透明層13の上面13aに堆積し、第2凹部14を覆う第2透明層16を形成する。第2透明層16は、第2凹部14の中に充填され、第2透明層16の上面16aに、第2凹部14の形状が反映された第3凹部8が形成される。
亜酸化窒素、アンモニア、シランなどを反応ガスに用いたプラズマCVD法では、反応ガスの組成を変化させることで、酸窒化シリコンの組成を変化させ、酸窒化シリコンの屈折率を変化させることができる。例えば、第1の酸窒化シリコンを形成する反応ガスと比べて、反応ガスにおける亜酸化窒素の組成比を大きくし、アンモニアの組成比を小さくして第2の酸窒化シリコンを形成すると、第2の酸窒化シリコンは第1の酸窒化シリコンと比べて酸素量が多く窒素量が少なくなり、第2の酸窒化シリコンの屈折率n2を第1の酸窒化シリコンの屈折率n1よりも小さくすることができる。例えば、第1の酸窒化シリコンを形成する反応ガスの組成と比べて、反応ガスにおける亜酸化窒素の組成比を小さくし、アンモニアの組成比を大きくして第2の酸窒化シリコンを形成すると、第2の酸窒化シリコンは第1の酸窒化シリコンと比べて酸素量が少なく窒素量が多くなり、第2の酸窒化シリコンの屈折率n2を第1の酸窒化シリコンの屈折率n1よりも大きくすることができる。
例えば、光硬化性樹脂を硬化させて形成したアクリル樹脂(有機材料)で第2透明層16を構成する場合、未硬化の樹脂成分が残留したり、硬化させたアクリル樹脂の重合度が不均一になったりして、第2透明層16の屈折率n2が変動するおそれがある。亜酸化窒素、アンモニア、シランなどの反応ガスをプラズマ中で活性種に分解し、当該活性種の化学反応で形成される第2の酸窒化シリコン(無機材料)で第2透明層16を形成すると、光硬化性樹脂を硬化させて形成したアクリル樹脂(有機材料)で第2透明層16を形成する場合と比べて、第2透明層16の屈折率n2の均一性を高めることができる。
このように、第2透明層16を無機材料で形成すると、第2透明層16を有機材料で形成する場合と比べて、耐熱性や耐光性に優れるという効果に加えて、屈折率n2の均一性を高めることができるという効果を得ることができる。
このように、ステップS3は、ステップS2と異なる条件(異なる組成の反応ガス)で第2の酸窒化シリコンを形成し、第2の酸窒化シリコンを構成する酸素原子及び窒素原子の組成比を第1の酸窒化シリコンと異ならせ、第1透明層13の屈折率n1と異なる屈折率n2の第2透明層16を形成する工程である。
上述したように、投写型表示装置1000の表示の輝度を高めるためには、投写レンズ1300のF値が1.5以上である場合、第2透明層16の屈折率n2は第1透明層13の屈折率n1よりも小さい条件が好ましい。従って、ステップS3では、投写レンズ1300のF値が1.5以上である場合、第1透明層13の屈折率n1よりも低屈折率n2の第2透明層16を形成することが好ましい。
図15(e)に示すように、ステップS4では、第2透明層16の上面16aにCMPによる平坦化処理を施す。CMPは、研磨液に含まれる化学成分の化学的作用と、研磨剤と第2透明層16との相対移動による機械的作用との兼ね合いによって、高速で平坦な研磨面を形成することができる。その結果、第3凹部8が解消され、平坦な上面16aが第2透明層16に形成される。なお、第2透明層16の上面16aは、第2透明層16の下面16bに対して平行であり、表面凹凸が解消された平滑な面になる。
第2透明層16の上面16aは、第1凹部12及び第2凹部14において屈折された光の射出面となる。第2透明層16の上面16aを平坦にすることによって、第1凹部12及び第2凹部14において屈折された光の進行方向(射出方向)は影響されず、第2透明層16の上面16aが平坦でない場合と比べて光の射出方向の均一性を高めることができる。
かかる製造方法で形成されたマイクロレンズアレイ基板10では、以下の効果を得ることができる。
1)第1透明層13の屈折率n1が透明基材11の屈折率n0よりも大きく、第2透明層16の屈折率n2が第1透明層13の屈折率n1よりも小さい条件でマイクロレンズアレイ基板10形成し、投写レンズ1300のF値が1.5以上である投写型表示装置1000に適用すると、投写型表示装置1000の表示の輝度を高めることができる。
2)第1透明層13及び第2透明層16は、亜酸化窒素、アンモニア、シランなどを反応ガスに用いたプラズマCVD法で形成され、反応ガスの組成を変化させることで、屈折率n1,n2を容易に調整することができる。すなわち、投写レンズ1300の表示の輝度が大きくなるように、第1透明層13の屈折率n1と第2透明層16の屈折率n2とを容易に調整することができる。
3)第2凹部14は、第1凹部12の形状をトレースして自己整合的に形成されているので、第1凹部12に対して高精度に位置合わせされ、第1凹部12の光軸と第2凹部14の光軸とを一致させることができる。
4)第2凹部14は、第1凹部12と比べて大きな曲率を有しているので、第1凹部12及び第2凹部14を正の屈折力または負の屈折力を有するレンズとして働かせた場合、第1凹部12の屈折力に比べて第2凹部14の屈折力を高めることができる。例えば、第1凹部12で集光された光の進行方向を第2凹部14によって調整する場合、第2凹部14による光の進行方向の調整範囲を大きくすることができる。
5)第1透明層13及び第2透明層16は、酸窒化シリコン(無機材料)で形成されているので、第1透明層13及び第2透明層16が有機材料で形成される場合と比べて、耐光性や耐熱性に優れ、さらに屈折率n1,n2の均一性を高めることができる。
(実施形態2)
図16は、図4に対応する図であり、実施形態2に係る液晶装置の概略断面図である。図17(a)は、図5(a)に対応する図であり、図17(b)は、図5(b)に対応する図であり、それぞれ図16の破線で囲まれた領域Bにおける液晶装置の概略断面図である。
本実施形態に係る液晶装置72は、マイクロレンズアレイ基板10に設けられた第1凹部17及び第2凹部18の形状が、実施形態1に係る液晶装置71と異なり、他の構成は実施形態1に係る液晶装置71と同じである。
以下に、図16及び図17を参照して、本実施形態に係る液晶装置72の概要を、実施形態1との相違点を中心に説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
図16に示すように、本実施形態に係る液晶装置72のマイクロレンズアレイ基板10は、Z(+)方向に順に積層された、透明基材11と、第1透明層13と、第2透明層16とで構成されている。
透明基材11の上面11aには、第1凹部17が画素P毎に設けられている。第1凹部17は、第1凹部17の中央に配置された第1平坦部17aと、第1平坦部17aを囲むように配置された第1曲面部17bとを有している。第1平坦部17aは、開口部V2に設けられている。第1曲面部17bは、開口部V2の周縁部から遮光部V1に跨って設けられている。
第1透明層13は、透明基材11の上面11aを覆うように設けられている。第1透明層13の下面13bは透明基材11の上面11aに接し、第1透明層13は第1凹部17の中に充填されている。第1透明層13の上面13aには、第1凹部17の形状が反映された第2凹部18が設けられている。つまり、第1凹部17の形状をトレースして、第2凹部18が設けられている。第2凹部18は、第2凹部18の中央に配置された第2平坦部18aと、第2平坦部18aを囲むように配置された第2曲面部18bとを有している。第2平坦部18aは、開口部V2に設けられている。第2曲面部18bは、開口部V2の周縁部から遮光部V1に跨って設けられている。
上述したように、実施形態1の第1凹部12及び第2凹部14の形状は半球面形状であり、実施形態1の第1凹部12及び第2凹部14は、曲面部だけで構成され平坦部を有していない。本実施形態の第1凹部17及び第2凹部18は、曲面部17b,18bに加えて平坦部17a,18aを有している。この点が、本実施形態と実施形態1との相違点である。
換言すれば、第1凹部17及び第2凹部18の曲面部17b,18bは、実施形態1の第1凹部12及び第2凹部14に相当する。実施形態1の第1凹部12及び第2凹部14の中心付近に平坦部17a,18aを付加したものが、本実施形態の第1凹部17及び第2凹部18となる。
図17(a)に示すように、第1凹部17を挟んで、Z(−)方向側に透明基材11(低屈折率材料)が配置され、Z(+)方向側に第1透明層13(高屈折率材料)が配置されているので、第1凹部17の第1曲面部17bは正の屈折力を有するレンズとして働き、第1凹部17の第1曲面部17bに入射した光は、当該正の屈折力を有するレンズの焦点に収束する方向に屈折する。つまり、第1凹部17の第1曲面部17bに入射した光は、Z(+)方向となす角度が大きくなる方向に屈折する。
第2凹部18を挟んで、Z(−)方向側に第1透明層13(高屈折率材料)が配置され、Z(+)方向側に第2透明層16(低屈折率材料)が配置されているので、第2凹部18の第2曲面部18bは負の屈折力を有するレンズとして働き、第2凹部18の第2曲面部18bに入射した光は、当該負の屈折力を有するレンズの焦点から発散する方向に屈折する。つまり、第2凹部18の第2曲面部18bに入射した光は、Z(+)方向となす角度が小さくなる方向に屈折する。その結果、マイクロレンズアレイ基板10が設けられていない場合に表示に寄与しない光は、液晶装置72の開口部V2を通過し、投写レンズ1300(図1参照)に入射するので、投写型表示装置1000の表示の輝度を高めることができるという実施形態1と同じ効果を得ることができる。
図17(b)に示すように、第1凹部17を挟んで、Z(−)方向側に透明基材11(低屈折率材料)が配置され、Z(+)方向側に第1透明層13(高屈折率材料)が配置されているので、第1凹部17の第1曲面部17bは正の屈折力を有するレンズとして働き、第1凹部17の第1曲面部17bに入射した光は、当該正の屈折力を有するレンズの焦点に収束する方向に屈折する。つまり、第1凹部17の第1曲面部17bに入射した光は、Z(+)方向となす角度が大きくなる方向に屈折する。
第2凹部18を挟んで、Z(−)方向側に第1透明層13(低屈折率材料)が配置され、Z(+)方向側に第2透明層16(高屈折率材料)が配置されているので、第2凹部18の第2曲面部18bは正の屈折力を有するレンズとして働き、第2凹部18の第2曲面部18bに入射した光は、当該正の屈折力を有するレンズの焦点に収束する方向に屈折する。つまり、第2凹部18の第2曲面部18bに入射した光は、Z(+)方向となす角度がさらに大きくなる方向に屈折する。その結果、マイクロレンズアレイ基板10が設けられていない場合に表示に寄与しない光は、液晶装置72の開口部V2を通過し、投写レンズ1300(図1参照)に入射するので、投写型表示装置1000の表示の輝度を高めることができるという実施形態1と同じ効果を得ることができる。
さらに、図17(a)及び図17(b)に示すように、マイクロレンズアレイ基板10が設けられていない場合に表示に寄与する光、すなわち開口部V2に向けて進行する光は、平坦部17a,18aによって光の進行方向が変化せず、平坦部17a,18aを通過し、投写レンズ1300(図1参照)に入射し、投写レンズ1300を経てスクリーン1400に投写される。つまり、開口部V2に向けて進行する光は、平坦部17a,18aで損なわれず、表示に寄与することができる。
仮に、マイクロレンズアレイ基板10が設けられていない場合に表示に寄与する光、すなわち開口部V2に向けて進行する光が、曲面部17b,18bに入射し、曲面部17b,18bによって光の進行方向が変化すると、遮光部V1によって遮られ、表示に寄与しなくなるおそれがある。
実施形態1では、第1凹部12及び第2凹部14における光が屈折する部分(曲面部)は、開口部V2にも設けられているので、マイクロレンズアレイ基板10が設けられていない場合に表示に寄与する光(開口部V2に向けて進行する光)の進行方向が第1凹部12及び第2凹部14によって変化し、遮光部V1によって遮られ、表示に寄与しなくなるおそれがある。
本実施形態では、開口部V2に向けて進行する光は、主に平坦部17a,18aに入射するので、開口部V2に向けて進行する光の進行方向が変化し、表示に寄与しなくなるおそれを抑制することができる。
従って、凹部17,18に平坦部17a,18aを設けることによって、実施形態1と比べて光の利用効率を高めることができる。すなわち、本実施形態に係る液晶装置72が適用された投写型表示装置1000は、実施形態1に係る液晶装置71が適用された投写型表示装置1000と比べて、表示の輝度を高めることができる。
(実施形態3)
図18は、図4に対応する図であり、実施形態3に係る液晶装置の概略断面図である。
本実施形態に係る液晶装置73は、マイクロレンズアレイ基板10の構成が実施形態1に係る液晶装置71と異なり、他の構成は実施形態1に係る液晶装置71と同じである。詳しくは、本実施形態に係るマイクロレンズアレイ基板10は、新たに第3透明層19と第3凹部15とを有している点が、実施形態1との相違点である。
以下に、図18を参照して、本実施形態に係る液晶装置73(マイクロレンズアレイ基板10)の概要を、実施形態1との相違点を中心に説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
図18に示すように、マイクロレンズアレイ基板10は、Z(+)方向に順に積層された、透明基材11と、第1透明層13と、第2透明層16と、第3透明層19とで構成されている。第3透明層19は、光が入射する下面19bと、光が射出される上面19aとを有している。
第2透明層16は、第1透明層13の上面13aを覆うように設けられている。第2透明層16の下面16bは、第1透明層13の上面13aに接し、第2凹部14を覆うように設けられている。第2透明層16の上面16aには、第2凹部14の形状が反映された第3凹部15が設けられている。つまり、第2凹部14の形状をトレースして、第3凹部15が設けられている。
第3透明層19は、第2透明層16の上面16aを覆うように設けられている。第3透明層19の構成材料は、例えば酸化シリコンや酸窒化シリコンなどの光透過性を有する無機材料で構成されている。第3透明層19の下面19bは、第2透明層16の上面16aに接し、第3凹部15を覆うように設けられている。第3透明層19の上面19aは、例えばCMPによる平坦化処理が施され、平坦になっている。
図示を省略するが、透明基材11の下面11bに入射した光は、透明基材11と、第1透明層13と、第2透明層16と、第3透明層19とを通過し、液晶層40の側に射出される。第3透明層19の上面19aが、光の射出面となる。第3透明層19の上面19aによって、光が射出される位置を調整することができる。つまり、第3透明層19は、所望の光路に調整する光路調整層となる。
例えば、第3透明層19によって光が射出される位置を調整し、マイクロレンズアレイ基板10から射出された光をTFT24に入射しにくくし、液晶装置73の耐光性を高めることができる。耐光性が高められた液晶装置73を投写型表示装置1000に適用することで、実施形態1に係る液晶装置71が適用された投写型表示装置1000と比べて、偏光照明装置1100で発される光の光量を高めることができる。
さらに、第3透明層19を、第2透明層16と異なる屈折率の材料で構成すると、第3凹部15を正の屈折力または負の屈折力を有するレンズとして働かせることができる。よって、第1凹部12で集光された光の進行方向を、第2凹部14に加えて第3凹部15によっても調整することができる。
10…マイクロレンズアレイ基板、11…透明基材、11a…透明基材の上面、11b…透明基材の下面、12…第1凹部、13…第1透明層、13a…第1透明層の上面、13b…第1透明層の下面、14…第2凹部、15…第3凹部、16…第2透明層、16a…第2透明層の上面、16b…第2透明層の下面、17…第1凹部、17a…第1平坦部、17b…第1曲面部、18…第2凹部、18a…第2平坦部、18b…第2曲面部、19…第3透明層、20…素子基板、21…基板、22…遮光層、23…絶縁層、24…TFT、25…絶縁層、26…遮光層、27…絶縁層、28…画素電極、29…配向膜、30…対向基板、32…遮光層、33…保護層、34…共通電極、35…配向膜、40…液晶層、71,72,73…液晶装置、V1…遮光部、V2…開口部。

Claims (10)

  1. 第1面に第1凹部を有する透明基材と、
    前記第1凹部を覆うように形成され、前記第1面に接する第2面と反対側の第3面に前記第1凹部の形状が反映された第2凹部を有し、前記透明基材の屈折率よりも高屈折率の第1透明層と、
    前記第2凹部を覆うように形成され、前記第1透明層の屈折率と異なる屈折率の第2透明層と、
    を備え、
    前記第1透明層及び前記第2透明層は、無機材料で構成されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ基板。
  2. 前記透明基材の構成材料は酸化シリコンであり、
    前記第1透明層及び前記第2透明層の構成材料は酸窒化シリコンであり、
    前記酸窒化シリコンを構成する酸素原子及び窒素原子の組成比が、前記第1透明層及び前記第2透明層で異なることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板。
  3. 前記第1凹部は、中央に配置された第1平坦部と、平面視で前記第1平坦部を囲む第1曲面部と、を有し、
    前記第2凹部は、中央に配置された第2平坦部と、平面視で前記第2平坦部を囲む第2曲面部と、を有していること特徴とする請求項1または2に記載のマイクロレンズアレイ基板。
  4. 前記第2凹部は、平面視で前記第1凹部の内側に配置され、前記第2凹部の曲率は前記第1凹部の曲率よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ基板。
  5. 前記第2透明層は、前記第3面に接する第4面と、前記第4面と反対側の第5面とを有し、
    前記第5面は、平坦であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ基板。
  6. 前記第2透明層は、前記第3面に接する第4面と反対側の第5面に前記第2凹部の形状が反映された第3凹部を有し、
    前記第3凹部は、無機材料で構成された第3透明層で覆われていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ基板。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ基板と、
    前記マイクロレンズアレイ基板に対向配置された第1基板と、
    前記マイクロレンズアレイ基板と前記第1基板との間に配置された電気光学層と、
    を備えていることを特徴とする電気光学装置。
  8. 光源と、
    前記光源から発せられた光を集光する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ基板と、
    前記マイクロレンズアレイ基板で集光された光を変調する電気光学層と、
    前記電気光学層で変調された光を投写する投写レンズと、
    を含み、
    前記投写レンズのF値が1.5以上である場合に、前記第1透明層の屈折率は前記第2透明層の屈折率よりも大きいことを特徴とする電子機器。
  9. 酸化シリコンを主成分とする透明基材の第1面に第1凹部を形成する工程と、
    酸素を含む第1反応ガスと、窒素を含む第2反応ガスと、ケイ素を含む第3反応ガスとを用いた化学気相成長法で、第1の酸窒化シリコンを前記第1面に堆積し、前記第1面に接する第2面と反対側の第3面に前記第1凹部の形状が反映された第2凹部を有する第1透明層を形成する工程と、
    前記化学気相成長法で、前記第1の酸窒化シリコンの屈折率と異なる屈折率の第2の酸窒化シリコンを前記第3面に堆積し、前記第2凹部を覆う第2透明層を形成する工程と、
    前記第2透明層の前記第3面に接する第4面と反対側の第5面に平坦化処理を施す工程と、
    を含むことを特徴とするマイクロレンズアレイ基板の製造方法。
  10. 光源と、前記光源から発せられた光を集光するマイクロレンズアレイ基板と、前記マイクロレンズアレイ基板で集光された光を変調する電気光学層と、前記電気光学層で変調された光を投写する投写レンズと、を含む電子機器の製造方法であって、
    前記マイクロレンズアレイ基板は、第1面に第1凹部を有する透明基材と、前記第1凹部を覆い前記第1凹部の形状が反映された第2凹部を有する第1透明層と、前記第2凹部を覆う第2透明層と、を備え、
    前記投写レンズのF値が1.5以上である場合に、前記透明基材を構成する材料の屈折率よりも高屈折率の材料で前記第1透明層を形成し、前記第1透明層を構成する材料の屈折率よりも低屈折率の材料で前記第2透明層を形成することを特徴とする電子機器の製造方法。
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