以下、図面に基づいて、本願の開示する光伝送装置及び光伝送方法の実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
図1は、WDMシステムの一例を示す説明図である。図1に示すWDMシステム1は、複数の光伝送装置2をWDM回線(以下、単に光回線と称する)3で相互に接続して光波長多重化した光信号を光回線3経由で伝送する構成である。各光伝送装置2(2A〜2E)は、LAN4(4A〜4E)と、OTN(Optical Transport Network)5(5A〜5E)とに夫々接続する。光伝送装置2は、例えば、LAN4との間でLANパケットの光パケット信号を伝送すると共に、例えば、OTN5との間で光パス信号を伝送する。尚、光パス信号は、時間的に連続しているものの、光パケット信号は、バースト的に発生するものである。更に、光伝送装置2は、光パケット信号及び光パス信号を光波長多重化した光信号を光回線3経由で伝送する。尚、光信号は、光パス信号を含むものの、利用者の使用タイミングに応じて光パケット信号を含まない場合もある。
光伝送装置2Aは、例えば、LAN4A及びOTN5Aと接続している。光伝送装置2Bは、例えば、LAN4B及びOTN5Bと接続している。光伝送装置2Cは、例えば、LAN4C及びOTN5Cと接続している。光伝送装置2Dは、例えば、LAN4D及びOTN5Dと接続している。光伝送装置2Eは、例えば、LAN4E及びOTN5Eと接続している。
図1に示す光伝送装置2Bは、LAN4BからLAN4E宛の波長λ1〜λnの光パケット信号を入力すると共に、OTN5BからOTN5D宛の波長λn+1の光パス信号を入力する。光伝送装置2Bは、これら入力された光パケット信号及び光パス信号を光波長多重化した光信号を光回線3経由で光伝送装置2Cに伝送する。更に、光伝送装置2Cは、OTN5CからOTN5E宛の波長λn+2の光パス信号を入力すると共に、光伝送装置2Bからの光信号を入力し、光パス信号を光信号に光波長多重化した光信号を光回線3経由で光伝送装置2Dに伝送する。
更に、光伝送装置2Dは、光伝送装置2Cからの光信号を入力し、光信号からOTN5D宛の光パス信号を分離し、分離した光パス信号をOTN5Dに伝送する。更に、光伝送装置2Dは、光パス信号を分離した光信号を光回線3経由で光伝送装置2Eに伝送する。光伝送装置2Eは、光伝送装置2Dから光信号を入力し、光信号からOTN5E宛の光パス信号及びLAN4E宛の光パケット信号を分離し、OTN5E宛の光パス信号をOTN5Eに伝送すると共に、LAN4E宛の光パケット信号をLAN4Eに伝送する。
図2は、光伝送装置2の一例を示す説明図である。図2に示す光伝送装置2は、受信側の光アンプ111(11)と、送信側の光アンプ112(11)と、分離・多重部12と、光パケットスイッチ部13と、光パケット送受信部14と、光パス送受信部15とを有する。受信側の光アンプ111は、光回線3からの光信号を増幅するAGC方式の増幅部である。分離・多重部12は、受信側の光アンプ111で増幅した光信号から光パス信号や光パケット信号を光波長分離する分離部12Aと、受信側の光アンプ111で増幅した光信号に光パス信号や光パケット信号を光波長多重する多重部12Bとを有する。
光パケット送受信部14は、例えば、LAN4と接続し、LAN4との間でLANパケットの光パケット信号を送受信する通信部である。光パス送受信部15は、例えば、OTN5と接続し、OTN5との間で光波長毎の光パス信号を送受信する通信部である。光パスケットスイッチ部13は、分離・多重部12と光パケット送受信部14との間を切替接続するものである。送信側の光アンプ112は、多重部12Bで多重された光信号を増幅して光回線3に出力するAGC方式の増幅部である。
図3は、実施例1の光アンプ11の一例を示す説明図である。図3に示す光アンプ11は、光増幅部21と、第1の監視部22と、第2の監視部23と、監視タイミング生成部24と、励起部25と、励起用制御部26と、励起用電流テーブル27と、光アンプ制御部28とを有する。
光増幅部21は、例えば、EDF(Erbium Doped-Fiber)等の希土類添加ファイバのアンプに相当し、励起部25からのレーザ光に応じて光信号を増幅出力する。第1の監視部22は、光増幅部21の入力段での光信号を電気信号に変換して入力パワーを測定し、その測定結果である入力パワーを取得する。第2の監視部23は、光増幅部21の出力段での光信号を電気信号に変換して出力パワーを測定し、その測定結果である出力パワーを取得する。監視タイミング生成部24は、第1の監視部22で入力パワー及び第2の監視部23で出力パワーを取得するための監視タイミングを生成する。尚、監視タイミングの間隔は、光パケット信号の内、最短の光パケット信号の存在を認識可能にする間隔に相当し、例えば、最短の光パケット信号のパケット長以下とする。より具体的には、監視タイミングの間隔は、例えば、最短の光パケット信号のパケット長の1/5以下とし、間隔=(波長当たりのパケット長×8/ビットレート)×1/5とする。
光アンプ制御部28は、光アンプ11全体を制御する。光アンプ制御部28は、第1の監視部22で取得した入力パワーと、第2の監視部23で取得した出力パワーとを比較し、その比較結果であるパワー差を算出する。励起用制御部26は、パワー差に応じた励起電流を励起用電流テーブル27から取得し、取得した励起電流を励起部25に供給する。励起部25は、レーザ光源に相当し、励起用制御部26からの励起電流に応じたレーザ光を光増幅部21に供給する。光増幅部21は、励起部25からのレーザ光に応じて光信号を増幅する。光アンプ制御部28は、パワー差に基づき、光増幅部21の増幅率を制御する。
第1の監視部22は、第1のフォトダイオード(Photo Diode:以下、単にPDと称する)31と、第1の測定部32と、第1の書込み部33と、第1のメモリ34と、第1の読出し部35と、第1の変化点検出部36とを有する。第1のPD31は、光増幅部21の入力段に配置し、入力段側の光信号を電気信号に変換する。第1の測定部32は、監視タイミング生成部24からの監視タイミングに応じて、第1のPD31を通じて監視タイミング時点の入力パワーを測定する。
第1の書込み部33は、第1の測定部32の測定結果である入力パワーをデジタル変換して第1のメモリ34に格納する。第1の読出し部35は、監視タイミング単位で測定した入力パワーを第1のメモリ34から読み出す。第1の変化点検出部36は、読み出された入力パワーから変化点を検出する。第1の変化点検出部36は、入力パワーから立上り変化点及び立下り変化点を検出する。尚、立上り変化点は、光信号内に光パケット信号が存在する光パケット信号区間を検出するための基点となる。立下り変化点は、光パケット信号区間を検出するための終点となる。
第2の監視部23は、第2のPD41と、第2の測定部42と、第2の書込み部43と、第2のメモリ44と、第2の読出し部45と、第2の変化点検出部46とを有する。第2のPD41は、光増幅部21の出力段に配置し、出力段側の光信号を電気信号に変換する。第2の測定部42は、監視タイミング生成部24からの監視タイミングに応じて、第2のPD41を通じて監視タイミング時点の出力パワーを測定する。
第2の書込み部43は、第2の測定部42の測定結果である出力パワーをデジタル変換して第2のメモリ44に格納する。第2の読出し部45は、監視タイミング単位で測定した出力パワーを第2のメモリ44から読み出す。第2の変化点検出部46は、読み出された出力パワーから変化点を検出する。第2の変化点検出部46は、出力パワーから立上り変化点及び立下り変化点を検出する。
光アンプ制御部28は、特定部51と、制御部52とを有する。特定部51は、第1の監視部22で取得した入力パワーの立上り変化点及び立下り変化点から入力段側の光パケット信号区間を特定する。尚、特定部51は、第1の監視部22で取得した入力パワーの立上り変化点を検出すると、この検出直後の次の監視タイミング時点で取得した入力パワーを入力段側の光パケット信号区間の開始点と判断する。更に、特定部51は、第2の監視部23で取得した出力パワーの立上り変化点及び立下り変化点から出力段側の光パケット信号区間を特定する。尚、特定部51は、第2の監視部23で取得した出力パワーの立上り変化点を検出すると、この検出直後の次の監視タイミング時点で取得した出力パワーを出力段側の光パケット信号区間の開始点と判断する。
制御部52は、入力段側の光パケット信号区間のパワーと、出力段側の光パケット信号区間のパワーとを比較し、光パケット信号区間同士のパワー差を算出する。より具体的には、制御部52は、入力段側の光パケット信号区間の入力パワーの平均値と、出力段側の光パケット信号区間の出力パワーの平均値とを比較して、光パケット信号区間同士のパワー差を算出する。
図4は、光アンプ11の入出力パワーの監視動作の一例を示す説明図である。第1の変化点検出部36は、図4に示す入力パワーにおいて、レベルAからレベルBへの変化点を立上り変化点X1として検出し、レベルBからレベルAへの変化点を立下り変化点X2として検出する。第2の変化点検出部46は、図4に示す出力パワーにおいて、レベルCからレベルDへの変化点を立上り変化点X3として検出し、レベルDからレベルCへの変化点を立下り変化点X4として検出する。
特定部51は、第1の変化点検出部36で入力パワーの立上り変化点X1を検出した場合、次の監視タイミングの入力パワーX5から立下り変化点X2を検出するまでの区間を入力段側の光パケット信号区間L1として特定する。また、特定部51は、第2の変化点検出部46で出力パワーの立上り変化点X3を検出した場合、次の監視タイミングの出力パワーX6から立下り変化点X4を検出するまでの区間を出力段側の光パケット信号区間L2として特定する。
制御部52は、光増幅部21に対して光信号の入力タイミングと出力タイミングとで遅延差が生じるものの、入力段側の光パケット信号区間L1の入力パワーと、出力段側の光パケット信号区間L2の出力パワーとを比較する。制御部52は、図4に示す同一タイミングで検出した入力段側の光パケット信号区間L1の入力パワーと出力段側の光パケット信号区間L2の出力パワーとを比較し、期間αのパワー差に基づき光増幅部21の増幅率を制御する。
次に実施例1の光伝送装置2の動作について説明する。図5は、第1の入力パワー特定処理に関わる光アンプ11内の処理動作の一例を示すフローチャートである。図5に示す第1の入力パワー特定処理は、測定した入力パワーから検出した立上り変化点及び立下り変化点に基づき、入力段側の光パケット信号区間L1を特定する処理である。
図5において光アンプ11内の第1の監視部22内の第1の測定部32は、監視タイミング生成部24から監視タイミングを検出したか否かを判定する(ステップS11)。第1の測定部32は、監視タイミングを検出した場合(ステップS11肯定)、第1のPD31から監視タイミング時点の入力パワーを測定し、測定結果である入力パワーを第1の書込み部33を通じて第1のメモリ34に格納する(ステップS12)。
第1の読出し部35は、第1のメモリ34に格納された監視タイミング時点の入力パワーを読み出す(ステップS13)。第1の変化点検出部36は、読み出した入力パワーが立上り変化点を検出したか否かを判定する(ステップS14)。第1の変化点検出部36は、立上り変化点X1を検出した場合(ステップS14肯定)、立上り変化点を検出したことを示す検出フラグを“1”に設定し(ステップS15)、次の監視タイミングを検出したか否かを判定すべく、ステップS11に移行する。尚、検出フラグは、立上り変化点を検出した場合は“1”を設定し、立上り変化点を検出しなかった場合は“0”を設定するものとする。
第1の変化点検出部36は、読み出した入力パワーが立上り変化点を検出しなかった場合(ステップS14否定)、検出フラグが“1”であるか否かを判定する(ステップS16)。第1の変化点検出部36は、検出フラグが“1”の場合(ステップS16肯定)、入力パワーが立下り変化点を検出したか否かを判定する(ステップS17)。
特定部51は、入力パワーが立下り変化点を検出した場合(ステップS17肯定)、入力段での光パケット信号区間L1を特定する(ステップS18)。尚、特定部51は、図4に示すように、立上り変化点X1を検出直後の次の監視タイミングで検出した入力パワーX5から立下り変化点X2までの区間を入力段側の光パケット信号区間L1として特定する。そして、第1の変化点検出部36は、検出フラグを“1”を“0”にし(ステップS19)、次の監視タイミングを検出すべく、ステップS11に移行する。
また、第1の変化点検出部36は、検出フラグが“1”でない場合(ステップS16否定)、又は、立下り変化点を検出しなかった場合(ステップS17否定)、次の監視タイミングを検出すべく、ステップS11に移行する。第1の測定部32は、監視タイミングを検出しなかった場合(ステップS11否定)、監視タイミングの検出を監視すべく、ステップS11に移行する。
図5に示す第1の入力パワー特定処理の光アンプ11は、監視タイミング毎に測定した入力パワーから立上り変化点及び立下り変化点を検出し、検出結果に基づき、入力段側の光パケット信号区間を特定する。その結果、光アンプ11は、光増幅部21の入力段の入力パワーから入力段側の光パケット信号区間を特定できる。
図6は、第1の出力パワー特定処理に関わる光アンプ11内の処理動作の一例を示すフローチャートである。図6に示す第1の出力パワー特定処理は、測定した出力パワーから検出した立上り変化点及び立下り変化点に基づき、出力段側の光パケット信号区間を特定する処理である。
図6において光アンプ11内の第2の監視部23内の第2の測定部42は、監視タイミング生成部24から監視タイミングを検出したか否かを判定する(ステップS21)。第2の測定部42は、監視タイミングを検出した場合(ステップS21肯定)、第2のPD41から監視タイミング時点の出力パワーを測定し、測定結果である出力パワーを第2の書込み部43を通じて第2のメモリ44に格納する(ステップS22)。
第2の読出し部45は、第2のメモリ44に格納された監視タイミング時点の出力パワーを読み出す(ステップS23)。第2の変化点検出部46は、読み出した出力パワーが立上り変化点を検出したか否かを判定する(ステップS24)。第2の変化点検出部46は、立上り変化点を検出した場合(ステップS24肯定)、立上り変化点を検出したことを示す検出フラグを“1”に設定し(ステップS25)、次の監視タイミングを検出したか否かを判定すべく、ステップS21に移行する。
第2の変化点検出部46は、読み出した出力パワーが立上り変化点を検出しなかった場合(ステップS24否定)、検出フラグが“1”であるか否かを判定する(ステップS26)。第2の変化点検出部46は、検出フラグが“1”の場合(ステップS26肯定)、出力パワーが立下り変化点を検出したか否かを判定する(ステップS27)。
特定部51は、出力パワーが立下り変化点を検出した場合(ステップS27肯定)、出力段での光パケット信号区間L2を特定する(ステップS28)。尚、特定部51は、図4に示すように、立上り変化点X3を検出直後の次の監視タイミングで検出した出力パワーX6から立下り変化点X4までの区間を出力段側の光パケット信号区間L2として特定する。そして、第2の変化点検出部46は、検出フラグを“1”を“0”にし(ステップS29)、次の監視タイミングを検出すべく、ステップS21に移行する。
また、第2の変化点検出部46は、検出フラグが“1”でない場合(ステップS26否定)、又は、立下り変化点を検出しなかった場合(ステップS27否定)、次の監視タイミングを検出すべく、ステップS21に移行する。第2の測定部42は、監視タイミングを検出しなかった場合(ステップS21否定)、監視タイミングの検出を監視すべく、ステップS21に移行する。
図6に示す第1の出力パワー特定処理の光アンプ11は、監視タイミング毎に測定した出力パワーから立上り変化点及び立下り変化点を検出し、検出結果に基づき、出力段側の光パケット信号区間を特定する。その結果、光アンプ11は、光増幅部21の出力段の出力パワーから出力段側の光パケット信号区間を特定できる。尚、光アンプ11は、第1の入力パワー特定処理及び第1の出力パワー特定処理を並行に実行するものとする。
図7は、第1の増幅率制御処理に関わる光アンプ11内の処理動作の一例を示すフローチャートである。図7に示す第1の増幅率制御処理は、入出力の光パケット信号区間内の入出力パワー間のパワー差に基づき、光増幅部21の増幅率を制御する処理である。図7において光アンプ11内の制御部52は、入出力の光パケット信号区間を特定したか否かを判定する(ステップS31)。尚、入出力の光パケット信号区間は、入力段側の光パケット信号区間及び出力段側の光パケット信号区間である。制御部52は、入出力の光パケット信号区間を特定した場合(ステップS31肯定)、入力段側の光パケット信号区間L1内の入力パワーと、出力段側の光パケット信号区間L2内の出力パワーとを比較する。そして、制御部52は、同一タイミング時点の入出力パワー間のパワー差に応じた増幅率を算出する(ステップS32)。
制御部52は、算出した増幅率が目標値と同一であるか否かを判定する(ステップS33)。制御部52は、算出した増幅率が目標値と同一の場合(ステップS33肯定)、励起部25に対する現在設定中の励起電流を維持し(ステップS34)、図7に示す処理動作を終了する。
制御部52は、算出した増幅率が目標値と同一でない場合(ステップS33否定)、増幅率が目標値未満であるか否かを判定する(ステップS35)。制御部52は、増幅率が目標値未満の場合(ステップS35肯定)、増幅率が目標値になるように、励起部25に対して励起電流をアップし(ステップS36)、図7に示す処理動作を終了する。
制御部52は、算出した増幅率が目標値未満でない場合(ステップS35否定)、増幅率が目標値になるように、励起部25に対して励起電流をダウンし(ステップS37)、図7に示す処理動作を終了する。制御部52は、光パケット信号区間を特定しなかった場合(ステップS31否定)、光パケット信号区間を特定したか否かを判定すべく、ステップS31に移行する。
図7に示す第1の増幅率制御処理を実行する制御部52は、入出力の光パケット信号区間内の入出力パワー間のパワー差に応じた増幅率を算出し、算出した増幅率と目標値とを比較し、増幅率が目標値となるように励起電流を励起部25に供給する。その結果、光アンプ11は、光パケット信号が混在した場合でも、励起電流に対応したレーザ光に応じて、安定した増幅率を確保できる。
実施例1の光伝送装置2では、光増幅部21の入出力の制御タイミングとして光パケット信号区間を特定し、入出力の光パケット信号区間内の入出力パワー間のパワー差に基づき、光増幅部21の増幅率を制御する。その結果、光伝送装置2は、光パケット信号が混在し、光信号の入力パワーが変動した場合でも、制御タイミングを光パケット信号区間に設定することで安定した増幅率を確保できる。しかも、光伝送装置2は、光増幅部21の増幅率を安定化することで、従来のような増幅率の不安定によって生じる発振や共振に起因する過剰増幅を抑制し、光信号の伝送品質の向上が図れる。
尚、上記実施例1では、例えば、第1の入力パワー特定処理及び第1の出力パワー特定処理を並行して実行するようにしたが、別個に実行するようにしても良い。
尚、上記実施例1の光伝送装置2では、入力段側の光パケット信号区間L1及び出力段側の光パケット信号区間L2を特定し、入出力の光パケット信号区間内の入出力パワーのパワー差に基づき、光増幅部21の増幅率を制御するようにした。しかしながら、光パケット信号はバースト的に光信号内に混在するため、光パケット信号区間が少ない場合には、光増幅部21の増幅率を制御する機会が少なくなる。そこで、制御タイミングとして光パケット信号区間だけでなく、光信号内に光パケット信号が存在しない光パス信号区間でも、光増幅部21の増幅率を制御するようにしても良く、この場合の実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
図8は、実施例2の光アンプ11Aの一例を示す説明図である。尚、実施例1の光伝送装置2と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図8に示す光アンプ11Aと図3に示す光アンプ11とが異なるところは、光アンプ制御部28A内に特定部51A及び制御部52Aを備えた点にある。
特定部51Aは、第1の監視部22で得た入力パワーから光パケット信号区間L1及び、第2の監視部23で得た出力パワーから光パケット信号区間L2を特定する。更に、特定部51Aは、入力パワーから光信号内に光パケット信号が存在しない区間、すなわち光パス信号区間L3を特定すると共に、出力パワーから光パス信号区間L4を特定する。
更に、制御部52Aは、入出力の光パケット信号区間が特定できた場合、入出力の光パケット信号区間内の入出力パワー間のパワー差に基づき、光増幅部21の増幅率を制御する。更に、制御部52Aは、入出力の光パケット信号区間が特定できなかった場合、入出力の光パス信号区間を特定し、入出力の光パス信号区間内の入出力パワー間のパワー差に基づき、光増幅部21の増幅率を制御する。
図9は、光アンプ11Aの入出力パワーの監視動作の一例を示す説明図である。第1の変化点検出部36は、図9に示す入力パワーにおいて立上り変化点X1及び立下り変化点X2を検出する。更に、第2の変化点検出部46は、図9に示す出力パワーにおいて立上り変化点X3及び立下り変化点X4を検出する。
特定部51Aは、入力パワーの立上り変化点X1及び立下り変化点X2に基づき、第1の監視部22で監視タイミング毎に得た入力パワーから光パス信号区間L3を特定する。尚、特定部51Aは、第1の変化点検出部36で立下り変化点X2を検出した場合に、次の監視タイミングの入力パワーX7から立上り変化点X1を検出するまでの区間を入力段側の光パス信号区間L3として特定する。更に、特定部51Aは、第2の監視部23で監視タイミング毎に得た出力パワーから光パス信号区間L4を特定する。尚、特定部51Aは、第2の変化点検出部46で立下り変化点X4を検出した場合に、次の監視タイミングの入力パワーX8から立上り変化点X3を検出するまでの区間を出力段側の光パス信号区間L4として特定する。
制御部52Aは、入力段側の光パス信号区間L3のパワーと、出力段側の光パス信号区間L4のパワーとを比較し、光パス信号区間内の入出力パワー間のパワー差を算出する。具体的には、制御部52Aは、入力段側の光パス信号区間L3の入力パワーの平均値と、出力段側の光パス信号区間L4の出力パワーの平均値とを比較して、光パス信号区間内の入出力パワー間のパワー差を算出する。そして、制御部52Aは、光パケット信号区間が特定できない場合でも、光パス信号区間を特定し、光パス信号区間内の入出力パワー同士を比較した期間α1のパワー差に基づき、光増幅部21の増幅率を制御する。
次に実施例2の光伝送装置2の動作について説明する。図10は、第2の入力パワー特定処理に関わる光アンプ11A内の処理動作の一例を示すフローチャートである。図10に示す第2の入力パワー特定処理は、測定した入力パワーから検出した立上り変化点及び立下り変化点に基づき、入力段側の光パケット信号区間L1を特定すると共に、入力段側の光パス信号区間L3を特定する処理である。
図10において光アンプ11A内の第1の監視部22の第1の測定部32は、監視タイミング生成部24から監視タイミングを検出したか否かを判定する(ステップS41)。第1の測定部32は、監視タイミングを検出した場合(ステップS41肯定)、第1のPD31から監視タイミング時点の入力パワーを測定し、測定結果である入力パワーを第1の書込み部33を通じて第1のメモリ34に格納する(ステップS42)。
第1の読出し部35は、第1のメモリ34に格納された監視タイミング時点の入力パワーを読み出す(ステップS43)。第1の変化点検出部36は、読み出した入力パワーが立上り変化点を検出したか否かを判定する(ステップS44)。第1の変化点検出部36は、立上り変化点を検出した場合(ステップS44肯定)、立上り変化点を検出したことを示す検出フラグを“1”に設定し(ステップS45)、次の監視タイミングを検出したか否かを判定すべく、ステップS41に移行する。
第1の変化点検出部36は、読み出した入力パワーが立上り変化点を検出しなかった場合(ステップS44否定)、検出フラグが“1”であるか否かを判定する(ステップS46)。第1の変化点検出部36は、検出フラグが“1”の場合(ステップS46肯定)、入力パワーが立下り変化点を検出したか否かを判定する(ステップS47)。
特定部51Aは、入力パワーが立下り変化点を検出した場合(ステップS47肯定)、入力段での光パケット信号区間L1を特定する(ステップS48)。そして、第1の変化点検出部36は、検出フラグを“1”を“0”にし(ステップS49)、次の監視タイミングを検出すべく、ステップS41に移行する。
また、特定部51Aは、検出フラグが“1”でない場合(ステップS46否定)、入力段での光パス信号区間L3を特定し(ステップS50)、次の監視タイミングを検出すべく、ステップS41に移行する。尚、特定部51Aは、第1の変化点検出部36で立下り変化点X2を検出した場合に、次の監視タイミングの入力パワーX7から立上り変化点X1を検出するまでの区間を入力段側の光パス信号区間L3として特定する。
また、第1の変化点検出部36は、立下り変化点を検出しなかった場合(ステップS47否定)、次の監視タイミングを検出すべく、ステップS41に移行する。第1の測定部32は、監視タイミングを検出しなかった場合(ステップS41否定)、監視タイミングの検出を監視すべく、ステップS41に移行する。
図10に示す第2の入力パワー特定処理の光アンプ11Aは、監視タイミング毎に測定した入力パワーから立上り変化点及び立下り変化点を検出し、検出結果に基づき、入力段側の光パケット信号区間L1及び光パス信号区間L3を特定する。その結果、光アンプ11Aは、光増幅部21の入力段の入力パワーから入力段側の光パケット信号区間L1及び光パス信号区間L3を特定できる。
図11は、第2の出力パワー特定処理に関わる光アンプ11A内の処理動作の一例を示すフローチャートである。図11に示す第2の出力パワー特定処理は、測定した出力パワーから検出した立上り変化点及び立下り変化点に基づき、出力段側の光パケット信号区間L2及び出力段側の光パス信号区間L4を特定する処理である。
図11において光アンプ11A内の第2の監視部23内の第2の測定部42は、監視タイミング生成部24から監視タイミングを検出したか否かを判定する(ステップS61)。第2の測定部42は、監視タイミングを検出した場合(ステップS61肯定)、第2のPD41から監視タイミング時点の出力パワーを測定し、測定結果である出力パワーを第2の書込み部43を通じて第2のメモリ44に格納する(ステップS62)。
第2の読出し部45は、第2のメモリ44に格納された監視タイミング時点の出力パワーを読み出す(ステップS63)。第2の変化点検出部46は、読み出した出力パワーが立上り変化点を検出したか否かを判定する(ステップS64)。第2の変化点検出部46は、立上り変化点を検出した場合(ステップS64肯定)、立上り変化点を検出したことを示す検出フラグを“1”に設定し(ステップS65)、次の監視タイミングを検出したか否かを判定すべく、ステップS61に移行する。
第2の変化点検出部46は、読み出した出力パワーが立上り変化点を検出しなかった場合(ステップS64否定)、検出フラグが“1”であるか否かを判定する(ステップS66)。第2の変化点検出部46は、検出フラグが“1”の場合(ステップS66肯定)、出力パワーが立下り変化点を検出したか否かを判定する(ステップS67)。
特定部51Aは、出力パワーが立下り変化点を検出した場合(ステップS67肯定)、出力段での光パケット信号区間L2を特定する(ステップS68)。そして、第2の変化点検出部46は、検出フラグを“1”を“0”にし(ステップS69)、次の監視タイミングを検出すべく、ステップS61に移行する。
また、特定部51Aは、検出フラグが“1”でない場合(ステップS66否定)、出力段での光パス信号区間L4を特定し(ステップS70)、次の監視タイミングを検出すべく、ステップS61に移行する。尚、特定部51Aは、第2の変化点検出部46で立下り変化点X4を検出した場合に、次の監視タイミングの入力パワーX8から立上り変化点X3を検出するまでの区間を出力段側の光パス信号区間L4として特定する。第2の変化点検出部46は、立下り変化点を検出しなかった場合(ステップS67否定)、次の監視タイミングを検出すべく、ステップS61に移行する。第2の測定部42は、監視タイミングを検出しなかった場合(ステップS61否定)、監視タイミングの検出を監視すべく、ステップS61に移行する。
図11に示す第2の出力パワー特定処理の光アンプ11Aは、監視タイミング毎に測定した出力パワーから立上り変化点及び立下り変化点を検出し、検出結果に基づき、出力段側の光パケット信号区間L2及び出力段側の光パス信号区間L4を特定する。その結果、光アンプ11Aは、光増幅部21の出力段の出力パワーから出力段側の光パケット信号区間L2及び出力段側の光パス信号区間L4を特定できる。尚、光アンプ11Aは、第2の入力パワー特定処理及び第2の出力パワー特定処理を並行に実行するものとする。
図12は、第2の増幅率制御処理に関わる光アンプ11A内の処理動作の一例を示すフローチャートである。図12に示す第2の増幅率制御処理は、光増幅部21の入出力の光パケット信号区間内の入出力パワー間又は光パス信号区間内の入出力パワー間のパワー差に基づき、光増幅部21の増幅率を制御する処理である。
図12において光アンプ11A内の制御部52Aは、入出力の光パケット信号区間を特定したか否かを判定する(ステップS81)。尚、入出力の光パケット信号区間は、入力段側の光パケット信号区間L1及び出力段側の光パケット信号区間L2である。制御部52Aは、入出力の光パケット信号区間を特定した場合(ステップS81肯定)、入力段側の光パケット信号区間L1内の入力パワーと、出力段側の光パケット信号区間L2内の衆力パワーとを比較し、同一タイミング時点の入出力パワー間のパワー差に応じた増幅率を算出する(ステップS82)。
制御部52Aは、算出した増幅率が目標値と同一であるか否かを判定する(ステップS83)。制御部52Aは、算出した増幅率が目標値と同一の場合(ステップS83肯定)、励起部25に対する現在設定中の励起電流を維持し(ステップS84)、図12に示す処理動作を終了する。
制御部52Aは、算出した増幅率が目標値と同一でない場合(ステップS83否定)、増幅率が目標値未満であるか否かを判定する(ステップS85)。制御部52Aは、増幅率が目標値未満の場合(ステップS85肯定)、増幅率が目標値になるように、励起部25に対して励起電流をアップし(ステップS86)、図12に示す処理動作を終了する。
制御部52Aは、算出した増幅率が目標値未満でない場合(ステップS85否定)、増幅率が目標値になるように、励起部25に対して励起電流をダウンし(ステップS87)、図12に示す処理動作を終了する。
制御部52Aは、入出力の光パケット信号区間を特定しなかった場合(ステップS81否定)、入出力の光パス信号区間を特定したか否かを判定する(ステップS88)。尚、入出力の光パス信号区間は、入力段側の光パス信号区間L3及び出力段側の光パス信号区間L4である。制御部52Aは、入出力の光パス信号区間を特定した場合(ステップS88肯定)、入力段側の光パス信号区間L3内の入力パワーと、出力段側の光パス信号区間L4内の出力パワーとを比較する。そして、制御部52Aは、同一タイミング時点の入出力パワー間のパワー差に応じた増幅率を算出する(ステップS89)。そして、制御部52Aは、算出した増幅率が目標値と同一であるか否かを判定すべく、ステップS83に移行する。制御部52Aは、入出力の光パス信号区間を特定しなかった場合(ステップS88否定)、光パケット信号区間を特定したか否かを判定すべく、ステップS81に移行する。
図12に示す第2の増幅率制御処理を実行する光アンプ11Aは、入出力の光パケット信号区間内の入出力パワー間のパワー差に応じた増幅率を算出し、算出した増幅率が目標値となるように励起電流を励起部25に供給する。その結果、光アンプ11Aは、光パケット信号を混在した場合でも、励起電流に対応したレーザ光に応じて、安定した増幅率を確保できる。
第2の増幅率制御処理を実行する光アンプ11Aは、入出力の光パス信号区間内の入出力パワー間のパワー差に応じた増幅率を算出し、算出した増幅率が目標値となるように励起電流を励起部25に供給する。その結果、光アンプ11Aは、光パケット信号が混在しない場合でも、励起電流に対応したレーザ光に応じて、安定した増幅率を確保できる。
実施例2の光伝送装置2では、光増幅部21の入出力の制御タイミングとして光パケット信号区間を特定し、入出力の光パケット信号区間内の入出力パワー間のパワー差に基づき、光増幅部21の増幅率を制御する。その結果、光伝送装置2は、光パケット信号が混在し、光信号の入力パワーが変動した場合でも、制御タイミングを光パケット信号区間に設定することで安定した増幅率を確保できる。
更に、光伝送装置2では、光パケット信号区間が特定できない場合でも、光増幅部21の入出力の制御タイミングとして光パス信号区間を特定し、入出力の光パス信号区間内の入出力パワー間のパワー差に基づき、光増幅部21の増幅率を制御する。その結果、光伝送装置2は、光パケット信号が混在しない場合でも、制御タイミングを光パス信号区間に設定することで、実施例1に比較して制御タイミングの機会を増やすことで、より安定した増幅率を確保できる。
尚、上記実施例2では、例えば、第2の入力パワー特定処理及び第2の出力パワー特定処理を並行して実行するようにしたが、別個に実行するようにしても良い。
尚、上記実施例2の光アンプ11Aは、光増幅部21の入出力タイミングに遅延差が生じている。そして、光アンプ11Aは、入力段側の光パケット信号区間L1内の入力パワーと、出力段側の光パケット信号区間L2内の出力パワーとを比較する。そして、光アンプ11Aは、入力パワーと出力パワーとを比較する際、その遅延差を考慮することなく、入出力の光パケット信号区間内の同一タイミングでの入出力パワー同士を比較してパワー差を算出した。そこで、高精度のパワー差を算出すべく、遅延差を考慮した光伝送装置2の実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。
図13は、実施例3の光アンプ11Bの一例を示す説明図である。尚、実施例2の光伝送装置2と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
図13に示す光アンプ11Bは、光増幅部21、第1の監視部22、第2の監視部23、監視タイミング生成部24、励起部25、励起用制御部26、励起用電流テーブル27及び光アンプ制御部28Bを有する。更に、光アンプ11Bは、試験光源61と、光カプラ62と、遅延時間算出部63と、読出し制御部64とを有する。光アンプ制御部28Bは、特定部51Bと、制御部52Bとを有する。
試験光源61は、試験パルス信号を発光する光源である。光カプラ62は、光アンプ11B内の第1のPD31の入力段に配置し、試験光源61からの試験パルス信号を入力する。制御部52Bは、光信号の運用を開始する前、例えば、光伝送装置2の電源起動時に試験光源61を起動し、試験光源61から試験パルス信号を光カプラ62に入力する。
第1の監視部22は、光増幅部21の入力段の第1のPD31から試験パルス信号を取得し、取得した試験パルス信号をデジタル変換して第1のメモリ34に格納する。更に、第2の監視部23は、光増幅部21の出力段の第2のPD41から試験パルス信号を取得し、取得した試験パルス信号をデジタル変換して第2のメモリ44に格納する。遅延時間算出部63は、第1のメモリ34に格納された試験パルス信号と、第2のメモリ44に格納された試験パルス信号とを比較し、試験パルス信号の入出力タイミングの差で光増幅部21内部の遅延時間を算出する。読出し制御部64は、入力パワーの読出しタイミングを遅延時間分遅らせて入力パワーを第1のメモリ34から読み出し出力する。その結果、読出し制御部64は、光増幅部21内の遅延時間を解消し、同一タイミングでの入力パワー及び出力パワーを読み出し出力できる。
図14は、光アンプ11Bの入出力パワーの監視動作の一例を示す説明図である。図14において読出し制御部64は、第2のメモリ44から出力パワーを所定タイミングで読出し出力すると共に、第1のメモリ34の読出しタイミングを所定タイミングから遅延時間DT分遅延して入力パワーを読出し出力する。その結果、光増幅部21内の遅延時間を解消し、同一タイミングでの入力パワー及び出力パワーを比較できる。
制御部52Bは、同一タイミングでの入出力の光パケット信号区間内の入出力パワー同士又は光パス信号区間内の入出力パワー同士を比較し、そのパワー差に基づき、光増幅部21の増幅率を制御する。実施例2では、光パケット信号区間L1、L2内の比較対象のサンプリング値が1個のパワー値P1であるのに対し、今回は、光パケット信号区間L1、L2内の比較対象のサンプリング値が3個のパワー値P2となるため、高精度のパワー差を算出できる。
次に実施例3の光伝送装置2の動作について説明する。図15は、遅延時間算出処理に関わる光アンプ11B内の処理動作の一例を示すフローチャートである。図15に示す遅延時間算出処理は、光増幅部21に対して試験パルス信号を入力することで、光増幅部21の入出力に対する試験パルス信号の遅延時間を算出する処理である。尚、遅延時間算出処理は、光伝送装置2の運用開始前、例えば、電源起動時に起動する処理である。
図15において光アンプ11Bの遅延時間算出部63は、試験光源61に対して試験パルス信号の出力開始を指示する(ステップS91)。遅延時間算出部63は、第1の監視部22内の第1の測定部32を通じて試験光源61からの試験パルス信号を取得し、取得した試験パルス信号を第1のメモリ34に格納する(ステップS92)。尚、第1のメモリ34に格納された試験パルス信号は、光増幅部21の入力段の試験パルス信号である。また、遅延時間算出部63は、第2の監視部23内の第2の測定部42を通じて試験光源61からの試験パルス信号を取得し、取得した試験パルス信号を第2のメモリ44に格納する(ステップS93)。尚、第2のメモリ44に格納された試験パルス信号は、光増幅部21の出力段の試験パルス信号である。
遅延時間算出部63は、第1のメモリ34に格納された試験パルス信号と、第2のメモリ44に格納された試験パルス信号とを比較し(ステップS94)、比較結果が一致したか否かを判定する(ステップS95)。
遅延時間算出部63は、比較結果が一致した場合(ステップS95肯定)、入力段の試験パルス信号と出力段の試験パルス信号との間の遅延時間を算出する(ステップS96)。尚、遅延時間は、監視タイミング換算である。その結果、遅延時間算出部63は、光増幅部21内部の遅延時間を算出したことになる。遅延時間算出部63は、算出した遅延時間を読出し制御部64に記憶する(ステップS97)。遅延時間算出部63は、遅延時間を記憶した後、試験光源61に対して試験パルス信号の出力を停止し(ステップS98)、図15に示す処理動作を終了する。
また、遅延時間算出部63は、比較結果が一致しない場合(ステップS95否定)、第2の監視部23で試験パルス信号を測定して第2のメモリ44に格納すべく、ステップS93に移行する。
図15に示す遅延時間算出処理を実行する遅延時間算出部63は、光伝送装置2の電源起動時に試験光源61からの試験パルス信号を光増幅部21に入力し、試験パルス信号の光増幅部21の入出力タイミングで遅延時間を算出する。更に、遅延時間算出部63は、その遅延時間を読出し制御部64に記憶する。その結果、読出し制御部64は、試験パルス信号を用いて光増幅部21内の遅延時間を認識できる。
図16は、第3の増幅率制御処理に関わる光アンプ11B内の処理動作の一例を示すフローチャートである。図16に示す第3の増幅率制御処理は、光増幅部21の入力から出力までの遅延時間DTを用いて、同一タイミング時点での光パケット信号区間又は光パス信号区間の入出力のパワー差に基づき、光増幅部21の増幅率を制御する処理である。
図16において光アンプ11B内の制御部52Bは、入出力の光パケット信号区間を特定したか否かを判定する(ステップS101)。制御部52Bは、入出力の光パケット信号区間を特定した場合(ステップS101肯定)、光パケット信号区間において遅延時間を考慮した同一タイミング時点での入出力のパワー差に応じた増幅率を算出する(ステップS102)。尚、読出し制御部64は、第2のメモリ44から所定タイミングで出力パワーを読出し出力すると共に、所定タイミングから遅延時間DT分遅延して第1のメモリ34から入力パワーを読出し出力する。その結果、読出し制御部64では、入力段の光信号と出力段の光信号とが同一タイミングの光信号の入出力パワー同士を比較できる。
制御部52Bは、算出した増幅率が目標値と同一であるか否かを判定する(ステップS103)。制御部52Bは、算出した増幅率が目標値と同一の場合(ステップS103肯定)、励起部25に対する現在設定中の励起電流を維持し(ステップS104)、図16に示す処理動作を終了する。
制御部52Bは、算出した増幅率が目標値と同一でない場合(ステップS103否定)、増幅率が目標値未満であるか否かを判定する(ステップS105)。制御部52Bは、増幅率が目標値未満の場合(ステップS105肯定)、増幅率が目標値になるように、励起部25に対して励起電流をアップし(ステップS106)、図16に示す処理動作を終了する。
制御部52Bは、算出した増幅率が目標値未満でない場合(ステップS105否定)、増幅率が目標値になるように、励起部25に対して励起電流をダウンし(ステップS107)、図16に示す処理動作を終了する。
また、制御部52Bは、入出力の光パケット信号区間を特定しなかった場合(ステップS101否定)、入出力の光パス信号区間を特定したか否かを判定する(ステップS108)。制御部52Bは、入出力の光パス信号区間を特定した場合(ステップS108肯定)、光パス信号区間において遅延時間を考慮した同一タイミング時点での入出力パワー間のパワー差に応じた増幅率を算出する(ステップS109)。更に、制御部52Bは、算出した増幅率が目標値と同一であるか否かを判定すべく、ステップS103に移行する。制御部52Bは、入出力の光パス信号区間を特定しなかった場合(ステップS108否定)、光パケット信号区間を特定したか否かを判定すべく、ステップS101に移行する。
図16に示す第3の増幅率制御処理を実行する制御部52Bは、光増幅部21の入出力の遅延時間DTを考慮し、入出力の光パケット信号区間内の入出力パワー間のパワー差に応じた増幅率を算出し、算出した増幅率と目標値とを比較する。そして、制御部52Bは、算出した増幅率が目標値となるように励起電流を励起部25に供給する。その結果、光アンプ11Bは、光パケット信号が混在した場合でも、励起電流に対応するレーザ光に応じて、安定した増幅率を確保できる。
制御部52Bは、遅延時間DTを考慮し、入出力の光パス信号区間内の入出力パワー間のパワー差に応じた増幅率を算出し、算出した増幅率と目標値とを比較し、増幅率が目標値となるように励起電流を励起部25に供給する。その結果、光アンプ11Bは、光パケット信号が混在しない場合でも、励起電流に対応するレーザ光に応じて、安定した増幅率を確保できる。
実施例3の光伝送装置2では、光増幅部21内部の遅延時間を算出する。光伝送装置2は、入出力の光パケット信号区間内の入出力パワー同士を比較する際、出力側の光パケット信号区間内の出力パワーを読み出すタイミングに合わせるべく、入力側の光パケット信号区間内の入力パワーの読出しタイミングを遅延時間分遅らせる。その結果、制御部52Bは、光パケット信号区間内の同一タイミング時点の入出力パワー同士を比較する際、比較対象であるサンプリング値のパワー値P2を多くできるため、高精度のパワー差を算出し、安定した増幅率を確保できる。
光伝送装置2では、入出力の光パス信号区間内の入出力パワー同士を比較する際、出力側の光パス信号区間内の出力パワーを読み出すタイミングに合わせるべく、入力側の光パス信号区間内の入力パワーの読出しタイミングを遅延時間分遅らせる。その結果、制御部52Bは、光パス信号区間内の同一タイミング時点の入出力パワー同士を比較する際、比較対象であるサンプリング値のパワー値P3を多くできるため、高精度のパワー差を算出し、安定した増幅率を確保できる。
上記実施例では、光パケット信号区間の開始点として、立上り変化点を検出した直後の監視タイミングで検出したが、立上り変化点を検出した直後の2回目の監視タイミングから検出しても良く、適宜変更可能である。また、光パケット信号区間の開始点として、立上り変化点を検出したタイミングとしても良い。
上記実施例では、入力段側の光パケット信号区間の入力パワーと、出力段側の光パケット信号区間の出力パワーとを比較する際に、光パケット信号区間内のパワーの平均値で比較したが、監視タイミング単位毎に取得したパワーで比較しても良く、適宜変更可能である。
実施例3の光伝送装置2は、電源起動時に試験光源61を起動し、試験光源61からの試験パルス信号を出力するようにしたが、電源起動時に限定されるものではなく、所定操作に応じて試験光源61を起動させるようにしても良い。また、試験パルス信号のパルス幅は適宜変更可能である。
上記実施例の光アンプ11(11A,11B)として、例えば、EDF(Erbium Doped-Fiber)等の希土類添加ファイバ等のアンプを例示したが、例えば、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の半導体光アンプでも良い。
上記実施例では、WDMシステム1の光信号内の光パケット信号がバースト的に存在するため、光アンプ11の入力パワーが変動するWDMシステム1の光伝送装置2を例示した。しかしながら、光パケット信号に限定されるものではなく、バースト的に光信号に多重化される信号であればよく、他のシステムにも適用可能である。
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。