JP2016017750A - 膜厚計測装置と方法 - Google Patents
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Abstract
Description
テラヘルツ波Tは、光と電波の中間領域である約3mmから約3μmの波長を有する電磁波である。そのため、テラヘルツ波Tは物体内を透過する機能を有し、膜Fの表面と、膜Fと試料Sの界面とで反射する。
従って、図1の時間軸は、psecのオーダで検出する必要がある。
そのため、図1(C)に示す反射波B1,B2の計測時間は、プローブ光4の時間幅よりも1桁以上長いため、反射波B1,B2を同時に計測はできない。そのため、図1(C)に示す反射波B1,B2をサンプリングするには、プローブ光4が検出素子に到着するタイミング(以下、単に「タイミング」と呼ぶ)をずらしながら、検出素子(テラヘルツ波検出器)における電場強度を測定する必要がある。
一方、図1(C)の原点から反射波B1までの第2時間差Δt2の繰り返し精度も非常に重要である。プローブ光が検出素子に到着するタイミングをずらしながら、何度も計測することで図1(C)の波形データを作成するため、原点からの時間精度が波形データのバラツキの原因となるためである。
前記タイミングを光軸方向にずらすリニアステージと、
前記リニアステージによる前記プローブ光の遅延時間を検出する遅延時間検出装置と、
前記リニアステージの原点を検出する原点検出装置と、
前記遅延時間検出装置を制御するステージ制御装置と、を備え、
前記ステージ制御装置により前記リニアステージを加速し、前記リニアステージが一定速度になりかつ前記原点を通過した時点をトリガとして、前記遅延時間検出装置により前記プローブ光の遅延時間を検出する、ことを特徴とする膜厚計測装置が提供される。
連続光を出力する連続光光源と、
前記連続光を透過光と反射光とに分割するビームスプリッターと、
前記リニアステージに設けられ、前記反射光を正反射する第1反射器と、
固定位置に設けられ、前記透過光を前記ビームスプリッターに向けて正反射する第2反射器と、
前記第1反射器と前記第2反射器で正反射した前記反射光と前記透過光が混合したミックス光を検出する連続光検出器と、
前記連続光検出器の出力から前記プローブ光の遅延時間を算出する遅延時間演算装置と、を有する。
前記リニアステージの側面に設けられた位置検出用マーカーと、
前記リニアステージの移動範囲に固定して設けられ、前記リニアステージの側面に向けて検出光を照射する光照射装置と、
前記リニアステージの移動範囲に固定して設けられ、前記検出光の前記位置検出用マーカーによる反射光又は透過光を光電変換して検出強度を出力する光検出装置と、
前記検出強度から前記リニアステージの原点を検出する原点演算装置と、を有する。
前記タイミングを光軸方向にずらすリニアステージと、
前記リニアステージによる前記プローブ光の遅延時間を検出する遅延時間検出装置と、
前記リニアステージの原点を検出する原点検出装置と、
前記遅延時間検出装置を制御するステージ制御装置と、を準備し、
前記ステージ制御装置により前記リニアステージを加速し、前記リニアステージが一定速度になりかつ前記原点を通過した時点をトリガとして、前記遅延時間検出装置により前記プローブ光の遅延時間を検出する、ことを特徴とする膜厚計測方法が提供される。
従って、時間軸方向の変動幅を大幅に低減することができ、これにより計測精度を向上させることができる。
本発明の膜厚計測装置10は、膜Fが形成された試料Sにテラヘルツ波3aを照射し、試料Sで反射したテラヘルツ波3bの電場強度をプローブ光4が検出素子16に到着するときに検出し、プローブ光4が検出素子16に到着するタイミングをずらしながら、検出されたテラヘルツ波3bの電場強度を時間軸の波形データ5に表わし、波形データ5から膜厚を算出する装置である。
原点検出装置30は、リニアステージ18の原点を検出する。
ステージ制御装置40は、遅延時間検出装置20を制御する。
第1反射器24は、リニアステージ18に設けられ、反射光7aをビームスプリッター23に向けて正反射する。
第2反射器25は、固定位置に設けられ、透過光7bをビームスプリッター23に向けて正反射する。第1反射器24と第2反射器25は、リトロリフレクター又は中空リトロリフレクターであるのがよい。
遅延時間演算装置27は、反射光7aと透過光7bが混合したミックス光8のフリンジ(波形)を増幅し、A/D変換して、連続光検出器26の出力からプローブ光4の遅延時間を算出する。
従って、ミックス光8は、反射光7aと透過光7bの位相差により、両者が強め合うときと弱め合うときとを繰り返すため、遅延時間演算装置27によりリニアステージ18の移動量を波長λの1/10程度(例えば約0.06μm)のオーダで正確に算出することができる。これによりプローブ光4の遅延時間を高精度に算出することができる。
光照射装置34は、例えばHe−Neレーザであり、リニアステージ18の移動範囲に固定して設けられ、リニアステージ18の側面に向けて検出光9aを照射する。
光検出装置36は、例えばフォトダイオードであり、リニアステージ18の移動範囲に固定して設けられ、検出光9aの位置検出用マーカー32による反射光9b(又は透過光)を光電変換して検出強度を出力する。
原点演算装置38は、反射光9b(又は透過光)の検出強度からリニアステージ18の原点を検出する。
図4(A)において、位置検出用マーカー32は、反射体に限定されず、線材又はスリットであってもよい。
また、光照射装置34及び光検出装置36と位置検出用マーカー32との間に絞り35やレンズ37を設けてもよい。
図4(B)は、光検出装置36で検出した検出強度の時間変化を示す模式図である。この例で原点演算装置38は、検出強度の立上り時点を原点として検出する。
図5(A)は、位置検出用マーカー32が反射体である場合である。この例において、原点演算装置38は、検出強度を予め設定した閾値と比較し、検出強度の上昇時又は下降時に閾値と一致する時点でリニアステージ18の原点を検出する。
図5(B)は、位置検出用マーカー32が細い線材である場合である。この例において、原点演算装置38は、検出強度のピーク位置を原点として検出する。
図5(C)は、位置検出用マーカー32がスリットである場合である。この例において、原点演算装置38は、検出強度のボトム位置を原点として検出する。
一方、原点検出装置30は、反射光9b(又は透過光)の検出強度からリニアステージ18の原点を検出できる。
従って、ステージ制御装置40により、リニアステージ18を加速することにより、リニアステージ18が一定速度に達したことを連続光検出器26の出力から検出できる。
原点を通過した時点は、原点検出装置30により検出できる。従って原点検出信号をトリガとして遅延時間検出装置20によりプローブ光4の遅延時間を検出することにより、検出時の速度が一定であるので、遅延時間に相当するリニアステージ18の移動量は、原点通過後の経過時間に正確に比例する。従って、時間軸方向の変動幅を大幅に低減することができ、これにより計測精度を向上させることができる。
図6(A)の従来例では、波形データ5の線幅が太くなっており、波形データ5の時間軸の変動幅が大きく、その分の時間軸の精度が低い問題点があった。例えば図6(A)の従来例で、時間軸の変動幅は約0.004psecであり、膜厚算出時の誤差Δtは、Δt≒3×108×0.004×10−12=12×10−7m=1.2μmとなる。
これに対し、図6(B)の本発明では、波形データ5の線幅が細くなっており、波形データ5の時間軸の変動幅は、従来例の10分の1程度であり、膜厚算出時の誤差Δtを従来例の10分の1程度まで低減できることがわかる。
S 試料、R リファレンス、Δt1 第1時間差、Δt2 第2時間差、
1 光パルス、2a 透過光、2b 反射光、3a,3b テラヘルツ波、
4 プローブ光、5 波形データ、6 連続光、7a 反射光、7b 透過光、
8 ミックス光、9a 検出光、9b 反射光(又は透過光)、
10 膜厚計測装置、11 レーザ光源(フェトム秒ファイバレーザ)、
12 分波器、13 放射素子(光伝導アンテナ)、
14a,14b 軸外し放物面鏡、15a,15b,15c 反射ミラー、
16 検出素子(テラヘルツ波検出器)、18 リニアステージ、
18a ステージ反射器、19 計測制御装置(制御計測用コンピュータ)、
20 遅延時間検出装置、21 連続光光源、22 反射ミラー、
23 ビームスプリッター、24 第1反射器、25 第2反射器、
26 連続光検出器、27 遅延時間演算装置、30 原点検出装置、
32 位置検出用マーカー、34 光照射装置(He−Neレーザ)、
35 絞り、36 光検出装置(フォトダイオード)、
37 レンズ、38 原点演算装置、40 ステージ制御装置
Claims (6)
- 膜が形成された試料にテラヘルツ波を照射し、試料で反射した前記テラヘルツ波の電場強度をプローブ光が検出素子に到着するときに検出し、プローブ光が検出素子に到着するタイミングをずらしながら、検出された前記テラヘルツ波の電場強度を時間軸の波形データに表わし、前記波形データから膜厚を算出する膜厚計測装置であって、
前記タイミングを光軸方向にずらすリニアステージと、
前記リニアステージによる前記プローブ光の遅延時間を検出する遅延時間検出装置と、
前記リニアステージの原点を検出する原点検出装置と、
前記遅延時間検出装置を制御するステージ制御装置と、を備え、
前記ステージ制御装置により前記リニアステージを加速し、前記リニアステージが一定速度になりかつ前記原点を通過した時点をトリガとして、前記遅延時間検出装置により前記プローブ光の遅延時間を検出する、ことを特徴とする膜厚計測装置。 - 前記遅延時間検出装置は、
連続光を出力する連続光光源と、
前記連続光を透過光と反射光とに分割するビームスプリッターと、
前記リニアステージに設けられ、前記反射光を正反射する第1反射器と、
固定位置に設けられ、前記透過光を前記ビームスプリッターに向けて正反射する第2反射器と、
前記第1反射器と前記第2反射器で正反射した前記反射光と前記透過光が混合したミックス光を検出する連続光検出器と、
前記連続光検出器の出力から前記プローブ光の遅延時間を算出する遅延時間演算装置と、を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の膜厚計測装置。 - 前記原点検出装置は、
前記リニアステージの側面に設けられた位置検出用マーカーと、
前記リニアステージの移動範囲に固定して設けられ、前記リニアステージの側面に向けて検出光を照射する光照射装置と、
前記リニアステージの移動範囲に固定して設けられ、前記検出光の前記位置検出用マーカーによる反射光又は透過光を光電変換して検出強度を出力する光検出装置と、
前記検出強度から前記リニアステージの原点を検出する原点演算装置と、を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の膜厚計測装置。 - 前記位置検出用マーカーは、反射体、線材又はスリットである、ことを特徴とする請求項3に記載の膜厚計測装置。
- 前記原点演算装置は、前記検出強度を閾値と比較し、前記検出強度の上昇時又は下降時に前記閾値と一致する時点で前記リニアステージの原点を検出する、ことを特徴とする請求項3に記載の膜厚計測装置。
- 膜が形成された試料にテラヘルツ波を照射し、試料で反射した前記テラヘルツ波の電場強度をプローブ光が検出素子に到着するときに検出し、プローブ光が検出素子に到着するタイミングをずらしながら、検出された前記テラヘルツ波の電場強度を時間軸の波形データに表わし、前記波形データから膜厚を算出する膜厚計測方法であって、
前記タイミングを光軸方向にずらすリニアステージと、
前記リニアステージによる前記プローブ光の遅延時間を検出する遅延時間検出装置と、
前記リニアステージの原点を検出する原点検出装置と、
前記遅延時間検出装置を制御するステージ制御装置と、を準備し、
前記ステージ制御装置により前記リニアステージを加速し、前記リニアステージが一定速度になりかつ前記原点を通過した時点をトリガとして、前記遅延時間検出装置により前記プローブ光の遅延時間を検出する、ことを特徴とする膜厚計測方法。
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