JP2016053540A - テラヘルツ波計測装置及びテラヘルツ波計測装置の調整方法 - Google Patents

テラヘルツ波計測装置及びテラヘルツ波計測装置の調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反射手段に取り付け誤差が生じている場合でも好適な計測を実現する。【解決手段】テラヘルツ波計測装置(10)は、第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段(210)と、第2レーザ光が照射されることで、発生手段から計測対象物(500)に対して照射されたテラヘルツ波を検出する検出手段(250)と、第2レーザ光を反射すると共に、反射した第2レーザ光を検出手段に導く複数の反射手段(320)と、反射手段が配置された回転体(310)を回転させることで、第2レーザ光の光路長差を調整する調整手段(120)と、回転体の時間軸上での回転位相を検知する検知手段(340,350)と、回転位相に基づいて、反射手段に対応する対応期間を判定する判定手段(132)と、対応期間においてテラヘルツ波の時間波形を取得する取得手段(132)とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばテラヘルツ波を用いて計測対象物の特性を分析するテラヘルツ波計測装置及びテラヘルツ波計測装置の調整方法の技術分野に関する。
テラヘルツ波計測装置として、テラヘルツ時間領域分光法(Terahertz Time−Domain Spectroscopy)を利用する装置が知られている。テラヘルツ波計測装置は、以下の手順で、計測対象物の特性を分析する。まず、超短パルスレーザ光(例えば、フェムト秒パルスレーザ光)を分岐することで得られる一のレーザ光であるポンプ光(言い換えれば、励起光)が、バイアス電圧が印加されているテラヘルツ波発生素子に照射される。その結果、テラヘルツ波発生素子は、テラヘルツ波を発生する。テラヘルツ波発生素子が発生したテラヘルツ波は、計測対象物に照射される。計測対象物に照射されたテラヘルツ波は、計測対象物からの反射光又は透過光として、超短パルスレーザ光を分岐することで得られる他のレーザ光であって且つポンプ光に対する光学的な遅延(つまり、光路長差)が付与されたプローブ光(言い換えれば、励起光)が照射されているテラヘルツ波検出素子に照射される。その結果、テラヘルツ波検出素子は、計測対象物で反射又は透過したテラヘルツ波の強度に応じた電流信号を検出する。当該検出されたテラヘルツ波(つまり、時間領域のテラヘルツ波であり、電流信号)をフーリエ変換することで、当該テラヘルツ波のスペクトル(つまり、振幅及び位相の周波数応答特性)等が取得される。その結果、当該テラヘルツ波のスペクトルを解析することで、計測対象物の特性が分析される。
ここで、プローブ光(或いは、ポンプ光)に付与される光学的な遅延は、入射する光を再帰反射することが可能な再帰性反射鏡を含む再帰反射装置(或いは、このような再帰反射装置を含む光学遅延装置)に対してプローブ光(或いは、ポンプ光)を入射させることで付与されることが多い。尚、ここでいう「再帰反射」とは、入射光を、当該入射光の入射方向と平行な方向に向けて反射する状態を示す。再帰反射装置は、例えば直道可能な再帰性反射鏡(例えば、特許文献1参照)、或いは回転可能な複数の再帰性反射鏡(例えば、特許文献2参照)を備えて構成される。
特開2009−300109号公報 特開2013−33099号公報
特許文献2に記載されているように、複数の再帰性反射鏡を回転させて光学的な遅延を発生させる場合、再帰性反射鏡の配置ずれや取付け精度のばらつき等に起因して、適切な計測結果が得られなくなってしまうという技術的問題点が生じる。
具体的には、複数の反射体を用いる場合は、それぞれの取り付け位置の誤差が受信信号の時間誤差となって現れる。テラヘルツ時間領域分光法において、時間誤差は計測対象の光軸方向の位置ずれとなって現れ、計測結果としては測定対象の形状が変形したり、界面が荒れたり、ぼやけたりするように見えるという問題を生ずる。また、リアルタイムの計測においては、静止した計測対象が変形しているのか、或いは計測対象自身が時間経過とともに変形したり振動したりしているのか、区別がつかないという弊害も生ずる。
一方で、複数の反射体を回転させる場合には、それぞれの反射体で遅延するパルス波が同じ光軸上に重なるように調整することが求められ、調整時には反射体を動かすことになる。この際、光軸調整と反射体を回転円周上に正確に均等配置する調整を両立することは非常に難しく、装置の性能を考えた場合、光軸調整が優先されることになる。即ち、調整の性質上、反射体が配置される回転位相を正確に一定間隔に揃えることは困難で、受信信号の時間揺らぎは避けられない。このような問題は、各反射体の取り付け誤差に起因するものであるため、仮に回転を検出する検出器が極めて正確なものであっても解決することは難しい。
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、反射手段に取り付け誤差が生じても好適な計測を実現可能なテラヘルツ波計測装置及びテラヘルツ波計測装置の調整方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するテラヘルツ波計測装置は、第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段と、前記第2レーザ光を反射すると共に、反射した前記第2レーザ光を前記検出手段に導く複数の反射手段と、前記反射手段が配置された回転体を回転させることで、前記第2レーザ光の光路長差を調整する調整手段と、前記回転体の時間軸上での回転位相を検知する検知手段と、前記回転位相に基づいて、前記反射手段に対応する対応期間を判定する判定手段と、前記対応期間において前記テラヘルツ波の時間波形を取得する取得手段とを備える。
上記課題を解決するテラヘルツ波計測装置の調整方法は、第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段と、前記第2レーザ光を反射すると共に、反射した前記第2レーザ光を前記検出手段に導く複数の反射手段と、前記反射手段が配置された回転体を回転させることで、前記第2レーザ光の光路長差を調整する調整手段と、前記回転体の時間軸上での回転位相を検知する検知手段と、前記回転位相に基づいて、前記反射手段に対応する対応期間を判定する判定手段と、前記対応期間において前記テラヘルツ波の時間波形を取得する取得手段とを備えるテラヘルツ波計測装置の調整方法であって、前記回転位相に基づいて定まる基準時刻から所定期間の前記テラヘルツ波の時間波形を観測する観測工程と、前記基準時刻から前記テラヘルツ波の時間波形が観測されるまでの時間に基づいて、所定の待ち時間を設定する設定工程とを備える。
実施例に係るテラヘルツ波計測装置の構成を示すブロック図である。 実施例に係る光学遅延部の構成を示す上面図である。 実施例に係る光学遅延部の構成を示す側面図である。 実施例に係る光学遅延部における各反射体の計測視野を示す概念図である。 実施例に係るテラヘルツ波計測装置の動作時に生成される信号を示すタイムチャートである。 実施例に係るテラヘルツ波計測装置における回転位相の検出動作を示すフローチャートである。 実施例に係るテラヘルツ波計測装置における計測時の動作を示すフローチャートである。
波形取込待ち信号非生成時における時間波形信号を示すタイムチャートである。 波形取込待ち信号生成時における時間波形信号を示すタイムチャートである。 波形取込待ち信号による取込タイミングの調整方法を示すタイムチャートである。
<1>
本実施形態に係るテラヘルツ波計測装置は、第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段と、前記第2レーザ光を反射すると共に、反射した前記第2レーザ光を前記検出手段に導く複数の反射手段と、前記反射手段が配置された回転体を回転させることで、前記第2レーザ光の光路長差を調整する調整手段と、前記回転体の時間軸上での回転位相を検知する検知手段と、前記回転位相に基づいて、前記反射手段に対応する対応期間を判定する判定手段と、前記対応期間において前記テラヘルツ波の時間波形を取得する取得手段とを備える。
本実施形態のテラヘルツ波計測装置によれば、テラヘルツ時間領域分光法を用いて、測定対象物に照射されたテラヘルツ波が検出される。検出されたテラヘルツ波は、測定対象物の特性の分析に利用される。なお、テラヘルツ時間領域分光法を用いたテラヘルツ波の検出方法自体は、既存の検出方法を用いてもよい。以下、テラヘルツ時間領域分光法を用いたテラヘルツ波の検出方法の概略について、簡単に説明する。
具体的には、発生手段は、当該発生手段に第1レーザ光が励起光(例えば、ポンプ光)として照射されることで、テラヘルツ波を発生させる。発生手段が発生したテラヘルツ波は、測定対象物に照射される。
検出手段は、当該検出手段に第2レーザ光が励起光(例えば、プローブ光)として照射されることで、測定対象物によって反射された又は測定対象物を透過したテラヘルツ波を検出する。
反射手段は、第2レーザ光を反射すると共に、反射した第2レーザ光を検出手段に導く。このとき、反射手段が調整手段により移動されることで、第1レーザ光の光路と第2レーザ光の光路との間の光路長差が調整される。具体的には、回転体が回転され、回転体上に配置された反射手段が第2レーザ光の光軸方向に移動されることで、反射手段から出射される第2レーザ光の光路長が変化する。
上述したように、調整手段によれば、第1レーザ光の光路と第2レーザ光の光路との間の光路長差を、所望の値に設定することができる。なお、このような光路長差の調整は、サブピコ秒というオーダーで現れるテラヘルツ波の波形を好適に検出するために行われる。
回転体が回転される際には、検知手段により、回転体の時間軸上での回転位相が検知される。なお、ここでの「回転位相」とは、回転体がどの程度回転しているのかを示す情報であり、例えばフォトラインタラプタによって、回転体に所定角度おきに配置されたエンコーダを読み取ることで検知することができる。
回転位相が検知されると、判定手段により、反射手段に対応する対応期間が判定される。なお、ここでの「対応期間」とは、反射手段によって第2レーザ光を反射可能な期間(より具体的には、回転する反射手段が第2レーザ光を反射可能な位置に存在している期間)であり、例えば事前に回転位相との対応付けを行っておくことで判定できる。なお、回転される反射手段が複数存在している場合には、対応期間も反射手段毎に存在することになる。
対応期間が判定されると、取得手段により、対応期間においてテラヘルツの時間波形が取得される。即ち、対応期間に合わせてテラヘルツの時間波形の取得が実行される。ただし、対応期間において、常にテラヘルツ波の時間波形が取得される必要はなく、対応期間中の所定のタイミングでテラヘルツ波の時間波形を取得するようにしてもよい。なお、複数の対応期間が存在する場合には、各対応期間において夫々テラヘルツ波の時間波形が取得される。
以上説明したように、本実施例に係るテラヘルツ波計測装置によれば、反射手段が配置された回転体の回転位相を検知できるため、反射手段に対応する対応期間を好適に判定できる。よって、適切な時間波形を取得し得る対応期間において確実にテラヘルツ波の時間波形を取得することができる。言い換えれば、対応期間以外の期間においてテラヘルツ波の時間波形を取得しようとして、適切な時間波形が取得できない状況が発生してしまうことを防止できる。より具体的には、例えば反射手段の配置ずれや取付け精度のばらつき等が生じている場合であっても、回転位相に基づいて判定される対応期間を利用して、適切なテラヘルツ波の時間波形を確実に取得できる。
<2>
本実施形態に係るテラヘルツ波計測装置の一態様では、前記判定手段は、前記回転位相に基づいて定まる基準時刻から、前記反射手段に対応する所定の待ち時間が経過した時刻を、前記対応期間の開始時刻とする。
この態様によれば、判定手段は、先ず回転位相に基づいて基準時刻を定める。そして、判定手段は更に、基準時刻から所定の待ち時間が経過した時刻を対応期間の開始時刻とする。なお、ここでの「所定の待ち時間」とは、対応期間の開始時刻を決定するために設定される値であり、例えば事前のシミュレーション等によって設定される。具体的には、基準時刻と、適切なテラヘルツ波の時間波形を取得できる時刻との差が、所定の待ち時間として設定される。
所定の待ち時間を設定しておくことで、例えば反射手段の配置ずれや取付け精度のばらつき等が生じている場合であっても、適切な対応期間を判定できる。よって、適切にテラヘルツ波の時間波形を取得できる。
<3>
上述した所定の待ち時間を用いる態様では、前記所定の待ち時間は、前記複数の反射手段毎に設定されていてもよい。
この場合、所定の待ち時間は、各反射手段によって互いに異なる値となり得る。このように所定の待ち時間を設定すれば、複数の反射手段毎に対応期間を夫々調整することが可能となる。よって、複数の反射手段間で取り付け位置にばらつきが生じているような場合であっても、適切にテラヘルツ波の時間を取得できる。
<4>
本実施形態に係るテラヘルツ波計測装置は、第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段と、前記第2レーザ光を反射すると共に、反射した前記第2レーザ光を前記検出手段に導く複数の反射手段と、前記反射手段が配置された回転体を回転させることで、前記第2レーザ光の光路長差を調整する調整手段と、前記回転体の時間軸上での回転位相を検知する検知手段と、前記回転位相に基づいて、前記反射手段に対応する対応期間を判定する判定手段と、前記対応期間において前記テラヘルツ波の時間波形を取得する取得手段とを備えるテラヘルツ波計測装置の調整方法であって、前記回転位相に基づいて定まる基準時刻から所定期間の前記テラヘルツ波の時間波形を観測する観測工程と、前記基準時刻から前記テラヘルツ波の時間波形が観測されるまでの時間に基づいて、所定の待ち時間を設定する設定工程とを備える。
本実施形態のテラヘルツ波計測装置の調整方法によれば、ラヘルツ波計測装置による計測が開始される前に、先ず回転位相に基づいて定まる基準時刻から所定期間のテラヘルツ波の時間波形が観測される。なお、ここでの「所定期間」とは、テラヘルツ波の時間波形を観測するために設定される値であり、基準時刻から実際に時間波形が観測されるまでの時間等をある程度推定して設定される。
続いて、基準時刻からテラヘルツ波の時間波形が観測されるまでの時間に基づいて、所定の待ち時間が設定される。具体的には、所定の待ち時間は、基準時刻からテラヘルツ波の時間波形を適切に取得できる対応期間の開始時刻までの時間として設定される。例えば、所定の待ち時間は、基準時刻からテラヘルツ波の時間波形が観測された時刻の直前までの時間として設定されればよい。
上述したように所定の時間を設定しておけば、計測時において、適切な期間(即ち、対応期間)においてテラヘルツ波の時間波形を取得できる。よって、例えば反射手段の配置ずれや取付け精度のばらつき等が生じている場合であっても、適切にテラヘルツ波の時間波形を取得できる。
<5>
本実施形態に係るテラヘルツ波計測装置の調整方法の一態様では、前記設定工程では、前記対応期間の開始から前記テラヘルツ波の時間波形が取得されるまでの時間が、前記複数の反射手段間で互いに揃うように、前記複数の反射手段毎に前記所定の待ち時間を設定する。
この態様によれば、複数の反射手段毎に所定の待ち時間が設定される。具体的には、所定の待ち時間は、対応期間の開始からテラヘルツ波の時間波形が取得されるまでの時間が、複数の反射手段間で互いに揃うように設定される。
上述したように所定の待ち時間を設定しておけば、利用する反射手段が異なる場合であっても、テラヘルツ波の時間波形を同様のタイミングで取得できる。言い換えれば、反射手段の配置にばらつきが生じている場合であっても、複数の反射手段の各々において最適なタイミングでテラヘルツ波の時間波形を取得できる。
<6>
本実施形態に係るテラヘルツ波計測装置の調整方法の他の態様では、前記観測工程は、観測される前記テラヘルツ波の時間波形が最大となる状態で行われる。
この態様によれば、時間波形の立ち上がり又は立ち下がりを正確に検出できるため、所定の待ち時間をより適切な値として設定できる。なお、時間波形を最大とするためには、例えば透過型の装置では計測対象を配置しないでテラヘルツ波の発信及び受信を行えばよい。また、反射型の装置では、テラヘルツ波の反射率が高い物質(例えば、アルミ平板等)を配置して、テラヘルツ波の発信及び受信を行えばよい。
本実施形態に係るテラヘルツ波計測装置及びテラヘルツ波計測装置の調整方法の作用及び他の利得については、以下に示す実施例において、より詳細に説明する。
以下では、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
<全体構成>
先ず、図1を参照しながら、本実施例のテラヘルツ波計測装置の全体構成について説明する。ここに図1は、実施例に係るテラヘルツ波計測装置の構成を示すブロック図である。
図1において、テラヘルツ波計測装置10は、テラヘルツ波を測定対象物500に照射すると共に、測定対象物500を透過した又は測定対象物500から反射したテラヘルツ波(つまり、測定対象物に照射されたテラヘルツ波)を検出する。
テラヘルツ波は、1テラヘルツ(1THz=1012Hz)前後の周波数領域(つまり、テラヘルツ領域)に属する電磁波である。テラヘルツ領域は、光の直進性と電磁波の透過性を兼ね備えた周波数領域である。テラヘルツ領域は、様々な物質が固有の吸収スペクトルを有する周波数領域である。従って、テラヘルツ波計測装置100は、測定対象物500に照射されたテラヘルツ波の周波数スペクトルを解析することで、測定対象物の特性を分析することができる。
測定対象物500に照射されたテラヘルツ波の周波数スペクトルを取得するために、テラヘルツ波計測装置10は、テラヘルツ時間領域分光法を採用している。テラヘルツ時間領域分光法は、テラヘルツ波を測定対象物500に照射すると共に、測定対象物500を透過した又は測定対象物から反射したテラヘルツ波の時間波形をフーリエ変換することで、当該テラヘルツ波の周波数スペクトル(つまり、周波数毎の振幅及び位相)を取得する方法である。
ここで、テラヘルツ波のパルス幅(繰り返し周期は数十ピコ秒)は、サブピコ秒のオーダーのパルス幅であるがゆえに、当該テラヘルツ波の時間波形を直接的に検出することが技術的に困難である。そこで、テラヘルツ波計測装置10は、時間遅延走査に基づくポンプ・プローブ法を採用して、テラヘルツ波の時間波形を間接的に検出する。
図1に示すように、テラヘルツ時間領域分光法及びポンプ・プローブ法を採用するテラヘルツ波計測装置10は、各種処理回路を有する本体部100と、テラヘルツ波の照射及び検出を行うヘッド部200とを備えている。本体部には、パルスレーザ装置110と、光学遅延部120と、制御・信号処理部130とが備えられている。ヘッド部200には、テラヘルツ波発信部210と、シリコンビームスプリッタ220と、シリコン対物レンズ230と、テラヘルツ波受信部240とが備えられている。以下では、各部の具体的な構成を、その動作と共に説明する。
テラヘルツ波計測装置10の動作時には、サブピコ秒オーダー以下の超短パルスレーザ光を繰り返し出力可能なレーザ光源110からレーザ光が発振される。レーザ光はコリメートレンズ112によりパルス状のレーザ光ビームとなり、ビームスプリッタ113に送られる。レーザ光ビームは、ビームスプリッタ113によってポンプ光とプローブ光の2光路に分けられる。
ポンプ光は、光ファイバ等を介してテラヘルツ波発信部210に送られる。テラヘルツ波発信部210においてポンプ光は集光レンズ211によってテラヘルツ波発生素子212に集光される。テラヘルツ波発生素子212は、半絶縁性GaAs(Gallium Arsenide)等で形成された半導体基板上にダイポールアンテナ等を有する光伝導アンテナを備えている。そして、アンテナ中央部に配設されたギャップ部には、バイアス電圧が印加されている。バイアス電圧が印加された状態でギャップ部にポンプ光が照射されると、光励起により半導体中にキャリアが生成されサブピコ秒オーダーの電流が発生する。すると、発生した電流の時間微分に比例した振幅を持つ、パルス状のテラヘルツ波が放射される。
テラヘルツ波発生素子212から発生したテラヘルツ波はシリコン半球レンズ213によって効率よく取り出され、シリコンコリメートレンズ214を介して、テラヘルツ波ビームとして出射される。出射されたテラヘルツ波ビームは、シリコンビームスプリッタ220を透過し、シリコン対物レンズ230を介して計測対象物500へ照射される。
計測対象物500で反射したテラヘルツ波ビームは、シリコン対物レンズ230を介しシリコンビームスプリッタ220で反射され、テラヘルツ波受信部240に入射する。テラヘルツ波受信部240では入射したテラヘルツ波ビームがシリコン集光レンズ241を介して、シリコン半球レンズ242によって効率よく集束され、テラヘルツ波検出素子243に入射する。テラヘルツ波検出素子243は、テラヘルツ波発生素子212と同様の光伝導アンテナを備えている。
一方で、ビームスプリッタ113で分岐されたプローブ光も、光学遅延部120を経由した後、光ファイバ等を介してテラヘルツ波受信部240に送られる。テラヘルツ波受信部240では集光レンズ244によってプローブ光がテラヘルツ波検出素子243に集光される。テラヘルツ波検出素子243にプローブ光が入射するとキャリアが生成され、その瞬間に入射したテラヘルツ波の振幅に比例した電流が発生する。発生した電流はI−V変換部245にて電流電圧変換が行われ、計測対象物500から反射されたテラヘルツ波の検出信号として、制御・演算処理部130へ出力される。
光学遅延部120は、プローブ光の光路長を変化させるためにリフレクタやミラー等の反射体を回転移動する回転機構を有する。モータ等の回転機構に取り付けられた反射体が回転するとき、一定の回転角の範囲で反射体が光軸方向に移動することを利用してプローブ光の光路長が変更される。例えば、光路長を空気中で0.3mm延ばすと、プローブ光がテラヘルツ波検出素子243に到着する時間が1ps遅くなる。また、時間分解能はプローブ光のパルス幅程度(サブピコ秒オーダー)であり高い分解能を実現する。このように光学遅延部120では、プローブ光がテラヘルツ波検出素子243に入射するタイミングを時間走査することができる。よって、安定したテラヘルツ波が繰り返し発生していることを利用すると、プローブ光の光路長を変更することでテラヘルツ波の時間波形を取得することができる。本実施例に係る光学遅延部120のより具体的な構成については、後に詳述する。
制御・演算処理部130では、光学遅延部120の回転機構の駆動・制御や、受信したテラヘルツ波の信号処理を行う。テラヘルツ波検出素子243で検出される電流は微弱なため、例えばロックイン検出が用いられる。ロックイン検出では、微弱な検出信号の中から必要な信号のみを抜き出すため、ある参照信号を用いる。
バイアス生成部133は、テラヘルツ波発生素子212に参照信号に基づいて変調されたバイアス電圧を、テラヘルツ波検出素子243には直流のバイアス電圧をそれぞれ印加する。このとき、発信されるテラヘルツ波は変調され、その変調に応じて受信されるテラヘルツ波も変調されることになる。ロックイン検出部134では、テラヘルツ波の検出信号の参照信号とは異なる周波数のノイズ成分を除去、即ち検出信号と参照信号とを用いて同期検波をすることによって、時間波形信号を高感度・高精度に検波する。なお、ロックイン検出を用いない場合はテラヘルツ波発生素子212のバイアス電圧として直流電圧が印加される。
データ処理・表示部132では、検波したテラヘルツ波の時間波形信号を一旦記憶装置等に取り込むなどして取得し、データ処理を行う。即ち、時間波形信号をフーリエ変換して周波数毎の振幅や位相を算出したり、様々な測定個所における時間波形信号を収集する。これらのデータを用いて、計測対象物500で反射したテラヘルツ波の固有スペクトルやイメージング画像が生成される。
回転型の光学遅延機構を用いる場合、反射体を一定の回転数(速度)で回転移動させるために、回転検出信号が使用される。光学遅延駆動部131は、回転検出信号が一定となるように、光学遅延部120の回転機構を駆動制御する。一方、データ処理・表示部132における時間波形信号の取得タイミングは、回転する反射体の動作によって決まるため、回転検出信号を利用(共用)することができる。ただし、複数の反射体を用いる場合は、時間波形信号の取得タイミングに回転検出信号をそのまま利用できない。即ち、反射体の取り付け誤差のために、反射体毎にタイミングを補正することが求められる。
<光学遅延部の構成>
次に、図2及び図3を参照しながら、本実施例に係る光学遅延部の構成について詳細に説明する。ここに図2は、実施例に係る光学遅延部の構成を示す上面図である。また図3は、実施例に係る光学遅延部の構成を示す側面図である。
図2及び図3において、本実施例に係る光学遅延部120は、回転台310と、複数の反射体320と、モータ330と、モータ軸335と、フォトリフレクタ340と、マーカ345と、フォトインタラプタ350と、エンコーダ355とを備えて構成されている。
光学遅延部120における光路長の変更は、反射体320を回転する回転機構によって行われる。回転機構は、モータ330の動力により、モータ軸335に固定された回転台310が回転する構成となっている。光路長の変更は、プローブ光の光軸に沿って反射体320を移動することによって行われるが、本実施例のように反射体320が回転する場合も、一定の回転角の範囲で反射体320が光軸方向に直線的に移動することを利用することによって同様の効果が得られる。
反射体320は厳密には円弧状に移動し、プローブ光の光軸に対して垂直に移動することができないため、反射体320が光学遅延に活用される回転角は限定的である。このため、少しでも光学遅延距離を稼ぐため、反射体320に再帰性反射の性質を利用したリトローリフレクタを用いてもよい。それでも反射体320の利用可能な回転角度には限界があり、効率的にテラヘルツ波の受信を行うためには、回転台310上に複数の反射体を取り付け、それぞれの反射体320が連続的に光学遅延を担うように配置する。このとき、それぞれの反射体320の取り付けに際し、反射したプローブ光がテラヘルツ波検出素子243に導かれる光軸上に重なるように調整する。なお、この光軸調整と取り付け位置調整を両立することは難しく、性能に大きく影響する光軸調整を優先する場合、反射体320の位置ずれは回避困難である。
回転機構(即ち、モータ330及び回転台310)には、回転検出信号生成のためにセンサが取り付けられている。ここでは回転同期信号と回転基準信号の2つの検出信号を得るために、光学式センサを用いている。回転同期信号は、ある一定の回転角毎に発生するパルス信号で、回転台310に取り付けられたスリット状のエンコーダ355を透過型のフォトインタラプタ350で光学的に検出し、生成される。回転基準信号は、回転同期信号から回転位相検出の基準となる1回転毎に1回発生するパルス信号で、回転台310に取り付けられた反射材等のマーカ345を反射型のフォトリフレクタ340で検出し、生成される。なお、回転機構は、制御・信号処理部130により、回転同期信号に基づいて回転数が一定となるように駆動制御される。
<動作説明>
次に、図4から図7を参照しながら、本実施例に係るテラヘルツ波計測装置の動作について詳細に説明する。ここに図4は、実施例に係る光学遅延部における各反射体の計測視野を示す概念図であり、図5は、実施例に係るテラヘルツ波計測装置の動作時に生成される信号を示すタイムチャートである。また図6は、実施例に係るテラヘルツ波計測装置における回転位相の検出動作を示すフローチャートであり、図7は、実施例に係るテラヘルツ波計測装置における計測時の動作を示すフローチャートである。
図4及び図5において、ここでは、反射体320の数を4つとし、回転角15°毎に正確に発生する回転同期信号(1回転に24回発生)を用いる例をとる。図4に示すようにプローブ光が反射される場合、反射体320a〜反射体320dの各々は、図4中の矢印で示す角度範囲で光学遅延を行うとする。エンコーダ355のスリットには、マーカ345を基準として0〜23の番号が付けられている。マーカ345を検出して得られる回転基準信号及び、エンコーダ355のスリットを検出して得られる回転位相検出信号から、回転位相信号としてスリット番号が得られる。
ここで、反射体320aは回転位相22〜2、反射体320bは回転位相4〜8、反射体320cは回転位相10〜14、反射体320dは回転位相16〜20の範囲で光学遅延を行う。なお、回転位相21、3、9、15はプローブ光が反射体から外れたり、他の反射体の陰になったりして、光学遅延を適正に行うことができない範囲である。例えば、反射体320aが光学遅延を担う場合の時間波形信号の取り込みは、反射体320による光学遅延のタイミングの基準となる回転位相22の検出開始から、しばらく待って、ある一定の時間範囲で行えばよい。
制御・演算処理部130のデータ処理・表示部132では、光学遅延部120において生成される回転同期信号及び回転基準信号を用いて、複数の反射体320のうち、どの反射体320によって光学遅延が行われるかを示す反射体選択信号が生成される。以下では、反射体選択信号が生成されるまでの処理を説明する。
図6において、光学遅延部120の回転が開始されると、先ず回転同期信号の立ち上がりエッジが判定される(ステップS101)。回転同期信号が立ち上がりエッジであると判定されると(ステップS101:YES)、続いて回転基準信号が“1”であるか否か(即ち、マーカ345が検出されているか否か)が判定される(ステップS102)。
回転基準信号が“1”である場合(ステップS102:YES)、回転位相検出信号がリセットされる(ステップS103)。即ち、マーカ345が検出されると、回転位相検出信号が示すスリット番号nが“0”にリセットされる。一方で、回転基準信号が“1”でない場合(ステップS102:NO)、回転位相検出信号がインクリメントされる(ステップS104)。即ち、マーカ345が検出されていない場合には、回転位相検出信号が示すスリット番号nがn+1とされる。
続いて、回転位相検出信号がデコードされ、反射体選択信号が生成される(ステップS105)。即ち、回転位相検出信号が示すスリット番号に対応する反射体320を示す信号が生成される。
最後に、回転終了であるか否かが判定され(ステップS106)、回転終了であると判定されると(ステップS106:YES)、一連の処理は終了する。一方で、回転終了でないと判定されると(ステップS106:NO)、ステップS101から処理が繰り返される。
図5に戻り、上述した一連の処理により生成された反射体選択信号が変化するとき、光学遅延のタイミングの基準を示す光学遅延基準信号が発生される。光学遅延基準信号は、時間波形信号を取り込み・処理するタイミングとなる波形取込有効信号を生成する。波形取込有効信号は、光学遅延基準信号から所定の時間待ってから発生する。この待ち時間は、光学遅延部120のそれぞれの反射体320毎に予め設定されており、反射体選択信号によっていずれかの待ち時間が選択され、波形取込待ち信号が生成される。
光学遅延基準信号によって時間計測を開始すると同時に波形取り込み待ちの状態となり、反射体選択信号で選択された反射体に対応する待ち時間が経過すると波形取り込み待ちの状態が解除される。同時に波形取り込み有効状態となって時間波形信号の取り込みが開始され、時間計測が新たに開始される。一定の時間が経過後、波形取り込み有効状態が解除され時間波形信号の取り込みが終了する。以下では、反射体選択信号を利用した計測時の処理について説明する。
図7において、計測時において反射体選択信号が変化すると(ステップS201:YES)反射体選択信号に対応する待ち時間が呼び出される(ステップS202)。呼び出された待ち時間は、タイマーにセットされ(ステップS:203)、タイマーがスタートする。タイムアップと判定されると(ステップS204:YES)、今度はタイマーに波形取り込み時間がセットされ(ステップS205)、再びタイマーがスタートする。
その後、時間波形の取り込みが開始され(ステップS206)、タイムアップと判定されると(ステップS207:YES)、時間波形の取り込みが終了される(ステップS208)。
最後に、回転終了であるか否かが判定され(ステップS209)、回転終了であると判定されると(ステップS209:YES)、一連の処理は終了する。一方で、回転終了でないと判定されると(ステップS209:NO)、ステップS201から処理が繰り返される。
上述した一連の処理により、本実施例に係るテラヘルツ波計測装置10は、テラヘルツ波の時間波形を取得することができる。ただし、適切なタイミングで時間波形を取得するためには、各反射体320に応じた待ち時間を設定しておくことが望まれる。
<待ち時間の設定方法>
次に、図8から図10を参照しながら、本実施例に係るテラヘルツ波計測装置の計測時に用いられる待ち時間の設定方法(即ち、テラヘルツ波計測装置の調整方法)について詳細に説明する。ここに図8は、波形取込待ち信号非生成時における時間波形信号を示すタイムチャートであり、図9は、波形取込待ち信号生成時における時間波形信号を示すタイムチャートである。また図10は、波形取込待ち信号による取込タイミングの調整方法を示すタイムチャートである。
本実施例に係るテラヘルツ波計測装置10では、計測の際に用いられる待ち時間を決定するために。予備計測を行う。予備計測には、計測に用いる装置と同じ装置を用いる。
テラヘルツ波の発信・受信の方法は、テラヘルツ波受信部210とテラヘルツ波発信部240を、測定対象物500を挟み込むように配置する透過型と、測定対象物500に対して一方の側にテラヘルツ波受信部210及びテラヘルツ波発信部240の両方を配置する反射型がある。なお、本実施例では反射型を採用している。
それぞれの反射体320に対して待ち時間を設定する調整を行うにあたり、透過型では計測対象物500を用いず、反射型ではテラヘルツ波の反射率の高い物質で、表面が平らな対象(例えば、アルミ平板等)を用いる。これは、受信するテラヘルツ波の計測対象物500による減衰に伴う検出信号の振幅の減少やパルス幅の広がりを防ぎ、急峻なパルスの立ち上がりや立下りを用いて、待ち時間として設定するべき時間を正確に計測するためである。
光学遅延部120の反射体320を所望の回転数で回転するよう駆動制御すると、図5等で説明したように光学遅延基準信号が発生する。調整すべき待ち時間として、1回転で4回発生する光学遅延基準信号の各々に対する波形取り込み有効信号の待ち時間が4つ設定され、光学遅延基準信号が発生する毎に、4つの待ち時間を持った波形取り込み有効信号が順次発生する。
図7において、先ず全ての待ち時間をゼロにして光学遅延基準信号と波形取り込み有効信号をほぼ同時に発生させる。計測対象物500とテラヘルツ波発信部210及び受信部240の距離が、光学遅延量によって定まる計測視野内になるように設置すると、テラヘルツ波の時間波形信号が得られる。例えば、計測対象物500とテラヘルツ波発信部210及び受信部240を計測視野の半分に相当する距離に設置する。このとき、一定間隔で発生しているテラヘルツ波受信基準信号をトリガとして、受信したテラヘルツ波の時間波形信号を観測すると、反射体320の取り付け誤差の影響で計測対象部500とテラヘルツ波発信部210及び受信部240が静止しているにもかかわらず時間波形信号が時間的にばらついて見える(図9左参照)。
図8において、次にテラヘルツ波検出信号が波形取り込み有効信号の立ち上りから所定の時間(即ち、計測視野の半分に相当する時間)遅延するように、各反射体320に対応した待ち時間を設定する。結果として、それぞれの反射体320に対応したテラヘルツ波受信部240の検出信号が時間軸方向に進んでいるように動作し、全ての待ち時間を設定すると、時間的にばらついていた全てのテラヘルツ波検出信号が重なり、調整が完了する(図9右参照)。
このように待ち時間を設定した状態で計測を行えば、反射体320の取り付け誤差の影響をキャンセルすることができ、正確で精度の高い計測を行うことができる。
なお、ここでは説明のために1回転に反射体320と同じ数発生する回転検出器を用いたが、回転台310の位相を特定できればよいので、回転検出器によって発生する回転同期信号のパルス数はいくつでもよい(回転同期信号は最低限1回転に一回発生すればよい)。また、回転台310の位置と反射体320の位置の関係を特定できればよいので、回転検出器は正確に等間隔に配置する必要もない(回転同期信号は一定の周波数である必要もない)。
ただし、回転同期信号が光学系の設計(焦点距離、焦点深度、作動距離等)によって定まるテラヘルツ波を検出できる視野の直前に発生するように回転検出器を設置することが好ましい。テラヘルツ波受信基準信号を、テラヘルツ波を検出できる視野の開始位置に発生させることによって、実際の計測における計測レンジをなるべく広くとることができ、回転同期信号とテラヘルツ波受信基準信号が近いほど(即ち、待ち時間が小さいほど)、回転制御誤差等の影響を受けにくくなるからである。また、一般にモータ330の回転制御にはロータリエンコーダ等の回転検出器が用いられるため、本実施例の回転検出器として兼用できるという効果もある。
以上説明したように、本実施例に係るテラヘルツ波計測装置10及びその調整方法によれば、光学遅延部120の反射体320に取り付け誤差が生じているような場合であっても、待ち時間を利用した取り込みタイミングの調整によって、好適な計測を実現可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うテラヘルツ波計測装置及びテラヘルツ波計測装置の調整方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10 テラヘルツ波計測装置
100 本体部
110 パルスレーザ装置
111 レーザ光源
112 コリメートレンズ
113 ビームスプリッタ
120 光学遅延部
130 制御・信号処理部
131 光学遅延駆動部
132 データ処理・表示部
133 バイアス生成部
134 ロックイン検出部
200 ヘッド部
210 テラヘルツ波発信部
211 集光レンズ
212 テラヘルツ波発生素子
213 半球レンズ
214 コリメートレンズ
220 シリコンビームスプリッタ
230 シリコン対物レンズ
240 テラヘルツ波受信部
241 集光レンズ
242 半球レンズ
243 テラヘルツ波検出素子
244 集光レンズ
310 回転台
320 反射体
330 モータ
335 モータ軸
340 フォトリフレクタ
345 マーカ
350 フォトインタラプタ
355 エンコーダ
500 計測対象物

Claims (6)

  1. 第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、
    第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段と、
    前記第2レーザ光を反射すると共に、反射した前記第2レーザ光を前記検出手段に導く複数の反射手段と、
    前記反射手段が配置された回転体を回転させることで、前記第2レーザ光の光路長差を調整する調整手段と、
    前記回転体の時間軸上での回転位相を検知する検知手段と、
    前記回転位相に基づいて、前記反射手段に対応する対応期間を判定する判定手段と、
    前記対応期間において前記テラヘルツ波の時間波形を取得する取得手段と
    を備えることを特徴とするテラヘルツ波計測装置。
  2. 前記判定手段は、前記回転位相に基づいて定まる基準時刻から、前記反射手段に対応する所定の待ち時間が経過した時刻を、前記対応期間の開始時刻とすることを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ波計測装置。
  3. 前記所定の待ち時間は、前記複数の反射手段毎に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のテラヘルツ波計測装置。
  4. 第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、
    第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段と、
    前記第2レーザ光を反射すると共に、反射した前記第2レーザ光を前記検出手段に導く複数の反射手段と、
    前記反射手段が配置された回転体を回転させることで、前記第2レーザ光の光路長差を調整する調整手段と、
    前記回転体の時間軸上での回転位相を検知する検知手段と、
    前記回転位相に基づいて、前記反射手段に対応する対応期間を判定する判定手段と、
    前記対応期間において前記テラヘルツ波の時間波形を取得する取得手段と
    を備えるテラヘルツ波計測装置の調整方法であって、
    前記回転位相に基づいて定まる基準時刻から所定期間の前記テラヘルツ波の時間波形を観測する観測工程と、
    前記基準時刻から前記テラヘルツ波の時間波形が観測されるまでの時間に基づいて、所定の待ち時間を設定する設定工程と
    を備えることを特徴とするテラヘルツ波計測装置の調整方法。
  5. 前記設定工程では、前記対応期間の開始から前記テラヘルツ波の時間波形が取得されるまでの時間が、前記複数の反射手段間で互いに揃うように、前記複数の反射手段毎に前記所定の待ち時間を設定することを特徴とする請求項4に記載のテラヘルツ波計測装置の調整方法。
  6. 前記観測工程は、観測される前記テラヘルツ波の時間波形が最大となる状態で行われることを特徴とする請求項4又は5に記載のテラヘルツ波計測装置の調整方法。
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