JP2014145703A - 再帰反射装置及びテラヘルツ波計測装置 - Google Patents

再帰反射装置及びテラヘルツ波計測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光を再帰反射する再帰反射鏡等の再帰反射手段の傾きが生じた場合であっても光を再帰反射する。
【手段】再帰反射装置(120)は、入射してくる光(LB2)を再帰反射する再帰反射装置であって、第1再帰反射手段(121)と、第1再帰反射手段によって再帰反射された光を、第1再帰反射手段に向かって再帰反射する第2再帰反射手段(122)とを備えており、第1再帰反射手段は、2つ以下の反射面を有する再帰反射鏡であり、第2再帰反射手段は、3つ以上の反射面を有する再帰反射鏡である。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば、光を再帰反射する再帰反射装置及びこのような再帰反射装置によって光学的な遅延が付与された光を用いるテラヘルツ時間領域分光法を用いて計測対象物の特性を分析するテラヘルツ波計測装置の技術分野に関する。
テラヘルツ波計測装置として、テラヘルツ時間領域分光法(Terahertz Time−Domain Spectroscopy)を利用する装置が知られている(例えば、特許文献1から特許文献2参照)。テラヘルツ波計測装置は、以下の手順で、計測対象物の特性を分析する。まず、超短パルスレーザ光(例えば、フェムト秒パルスレーザ光)を分岐することで得られる一のレーザ光であるポンプ光(言い換えれば、励起光)が、バイアス電圧が印加されているテラヘルツ波発生素子(特に、テラヘルツ波発生素子が備える光伝導アンテナのギャップ部)に照射される。その結果、テラヘルツ波発生素子は、テラヘルツ波を発生する。テラヘルツ波発生素子が発生したテラヘルツ波は、計測対象物に照射される。計測対象物に照射されたテラヘルツ波は、計測対象物からの反射光又は透過光として、超短パルスレーザ光を分岐することで得られる他のレーザ光であって且つポンプ光に対する光学的な遅延(つまり、光路長差)が付与されたプローブ光(言い換えれば、励起光)が照射されているテラヘルツ波検出素子(特に、テラヘルツ波検出素子が備える光伝導アンテナのギャップ部)に照射される。その結果、テラヘルツ波検出素子は、計測対象物で反射又は透過したテラヘルツ波の強度に応じた電流信号を検出する。その後、当該検出されたテラヘルツ波(つまり、時間領域のテラヘルツ波であり、電流信号)がフーリエ変換されることで、当該テラヘルツ波のスペクトル(つまり、振幅及び位相の周波数応答特性)等が取得される。その結果、当該テラヘルツ波のスペクトルが解析されることで、計測対象物の特性が分析される。
ここで、プローブ光(或いは、ポンプ光)に付与される光学的な遅延は、入射する光を再帰反射することが可能な再帰性反射鏡を含む再帰反射装置(或いは、このような再帰反射装置を含む光学遅延装置)に対してプローブ光(或いは、ポンプ光)を入射させることで付与されることが多い。尚、ここでいう「再帰反射」とは、入射光を、当該入射光の入射方向と平行な方向に向けて反射する状態を示す。
再帰性反射鏡の一例としては、特許文献1に開示されているように、夫々の反射面が90度の角度を有して交わる3つの反射面を有するコーナーキューブが例示される。しかしながら、コーナーキューブプリズムのサイズは比較的大きい。このため、コーナーキューブプリズムからなる再帰反射装置のサイズもまた大きくなってしまうという技術的な問題点が生ずる。
このため、再帰反射装置のサイズの増大を抑制するために、特許文献2に開示されているように、夫々の反射面が90度の角度を有して交わる2つの反射鏡からなる直角プリズムが用いられることもある。
特開2002−310895号公報 特開2001−228080号公報
しかしながら、2つの反射鏡からなる直角プリズムでは、3つの反射鏡からなるコーナーキューブプリズムとは異なり、振動等に起因して直角プリズムが傾いた場合には、当該直角プリズムが傾いた方向によっては、再帰反射が不可能になってしまうことがある。例えば、直角プリズムが再帰反射している状態での入射光の光路及び反射光の光路を含む平面に沿う方向に沿って2つの反射鏡が傾いたとしても、直角プリズムは、プローブ光を再帰反射し続けることができる。一方で、直角プリズムが再帰反射している状態での入射光の光路及び反射光の光路を含む平面に沿った方向とは異なる方向に2つの反射鏡が傾いた場合には、直角プリズムは、プローブ光を再帰反射することができなくなってしまう。再帰反射することができない場合には、直角プリズムによって反射されたプローブ光(或いは、ポンプ光)が、テラヘルツ波検出素子(或いは、テラヘルツ波発生素子)が備える光伝導アンテナのギャップ部に適切に照射されないおそれがある。その結果、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に影響が生じかねないという技術的な問題点が生ずる。
尚、直角プリズムに限らず、傾いた方向によっては再帰反射が不可能になってしまう再帰反射鏡を含む再帰反射装置においても、同様の技術的な問題点が生ずる。
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、光を再帰反射する再帰反射鏡等の再帰反射手段の傾きが生じた場合であっても光を再帰反射することが可能な再帰反射装置及びテラヘルツ波計測装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決する再帰反射装置は、入射してくる光を再帰反射する再帰反射装置であって、前記光を再帰反射する第1再帰反射手段と、前記第1再帰反射手段によって再帰反射された前記光を、前記第1再帰反射手段に向かって再帰反射する第2再帰反射手段と、前記第1再帰反射手段及び前記第2再帰反射手段のうちの少なくとも一方を移動させる移動手段とを備えており、前記第1再帰反射手段は、2つ以下の反射面を有する再帰反射鏡であり、前記第2再帰反射手段は、3つ以上の反射面を有する再帰反射鏡である。
上記課題を解決するテラヘルツ波計測装置は、第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段と、前記第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を再帰反射することで、当該再帰反射した前記第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を、前記発生手段及び前記検出手段のうちの少なくとも一方に導く再帰反射装置とを備えており、前記再帰反射装置は、前記第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を再帰反射する第1再帰反射手段と、前記第1再帰反射手段によって再帰反射された前記第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を、前記第1再帰反射手段に向かって再帰反射する第2再帰反射手段と、前記第1再帰反射手段及び前記第2再帰反射手段のうちの少なくとも一方を移動させる移動手段とを備えており、前記第1再帰反射手段は、2つ以下の反射面を有する再帰反射鏡であり、前記第2再帰反射手段は、3つ以上の反射面を有する再帰反射鏡である。
第1実施例のテラヘルツ波計測装置の構成を示すブロック図である。 テラヘルツ波発生素子及びテラヘルツ波検出素子の夫々の構成を示す斜視図である。 可動再帰反射鏡の傾き(位置ずれ)に対するプローブ光の光路(入射光路及び反射光路)を示す平面図である。 第1実施例における可動再帰反射鏡及び固定再帰反射鏡の配置態様を示す斜視図である。 第1実施例における光遅延器の構成の他の例を示す平面図である。 可動再帰反射鏡の傾き(位置ずれ)に対するプローブ光の光路(入射光路及び反射光路)を示す平面図である。 可動再帰反射鏡の傾き(位置ずれ)に対するプローブ光の光路(入射光路及び反射光路)を示す平面図である。 第2実施例のテラヘルツ波計測装置の構成を示すブロック図である。 第3実施例における可動再帰反射鏡及び固定再帰反射鏡の配置態様を示す斜視図である。
以下、再帰反射装置及びテラヘルツ波計測装置の実施形態について順に説明する。
(再帰反射装置の実施形態)
<1>
本実施形態の再帰反射装置は、入射してくる光を再帰反射する再帰反射装置であって、前記光を再帰反射する第1再帰反射手段と、前記第1再帰反射手段によって再帰反射された前記光を、前記第1再帰反射手段に向かって再帰反射する第2再帰反射手段と、前記第1再帰反射手段及び前記第2再帰反射手段のうちの少なくとも一方を移動させる移動手段とを備えており、前記第1再帰反射手段は、2つ以下の反射面を有する再帰反射鏡であり、前記第2再帰反射手段は、3つ以上の反射面を有する再帰反射鏡である。
本実施形態の再帰反射装置によれば、当該再帰反射装置に入射してくる光は、例えば、第1再帰反射手段によって再帰反射される。このとき、第1再帰反射手段は、第1再帰反射手段に入射してくる光を、第2再帰反射手段に向けて(例えば、第2再帰反射手段の反射面に向けて)反射することが好ましい。その結果、第2再帰反射手段は、第1再帰反射手段によって再帰反射された光を、再帰反射することができる。このとき、第2再帰反射手段は、第2再帰反射手段に入射してくる光を、第1再帰反射手段に向けて(例えば、第1再帰反射手段の反射面に向けて)反射することが好ましい。つまり、本実施形態では、再帰反射装置に入射してくる光の光路は、第1再帰反射手段と第2再帰反射手段との間を往復する光路となる。その結果、再帰反射装置は、当該再帰反射装置に入射してくる光を再帰反射することができる。
また、第1再帰反射手段及び第2再帰反射手段のうちの少なくとも一方が移動可能であるがゆえに、再帰反射装置は、再帰反射装置に入射する光の光路と再帰反射装置に入射しない光の光路との間の光路長差を適宜調整することができる。言い換えれば、再帰反射装置は、再帰反射装置に入射する光の光路と再帰反射装置に入射しない光の光路との間の光路長差を、所望値に設定することができる。従って、再帰反射装置を、実質的には、光に付与する光学的な遅延の量を動的に調整可能な光学遅延装置として用いることができる。但し、第1再帰反射手段及び第2再帰反射手段の双方が固定されていてもよい。つまり、再帰反射装置は、移動手段を備えていなくともよい。
尚、再帰反射装置に入射してくる光の光路が第1再帰反射手段と第2再帰反射手段との間を往復する光路になることを考慮すれば、第1再帰反射手段が光を再帰反射している状態で第1再帰反射手段に入射する光の光路及び第1再帰反射手段によって反射される光の光路の夫々と、第2再帰反射手段が光を再帰反射している状態で第2再帰反射手段に入射する光の光路及び第2再帰反射手段によって反射される光の光路の夫々とが揃っている(好ましくは、平行である)ことが好ましい。
本実施形態では特に、再帰反射装置が当該再帰反射装置に入射する光を再帰反射することができる状態を、第1再帰反射手段の傾きに依存することなく実現するために、第1再帰反射手段及び第2再帰反射手段として、以下のような再帰反射鏡が用いられる。
具体的には、第1再帰反射手段としては、2つ以下の反射面(典型的には、2つの反射面)を有する再帰反射鏡が用いられる。このような2つ以下の反射面を有する再帰反射鏡の一例としては、例えば、90度の角度で交わる2つの反射面を有する直角プリズム(いわゆる、リトロリフレクタとしての直角プリズム)があげられる。
また、第2再帰反射手段としては、3つ以上の反射面(典型的には、3つの反射面)を有する再帰反射鏡が用いられる。このような3つ以上の反射面を有する再帰反射鏡の一例としては、例えば、夫々が90度の角度で交わる3つの反射面を有するコーナーキューブプリズム(いわゆる、リトロリフレクタとしてのコーナーキューブプリズム)があげられる。
ここで、第1再帰反射手段が2つ以下の反射面(典型的には、2つの反射面)を有する再帰反射鏡であるがゆえに、第1再帰反射手段は、当該第1再帰反射手段の傾きに対する方向依存性を有している。尚、第1再帰反射手段の傾きは、例えば、第1再帰反射手段の取り付け精度の誤差や振動等によって生じ得る。具体的には、第1再帰反射手段は、当該第1再帰反射手段の傾きの方向に依存して、再帰反射の可否が変わるという方向依存性を有している。より具体的には、第1再帰反射手段は、第1方向に沿った第1再帰反射手段の傾きによって再帰反射が不可能になるという方向依存性を有している。一方で、第1再帰反射手段は、第2方向に沿った第1再帰反射手段の傾きが生じても再帰反射が可能であるという方向依存性を有している。言い換えれば、第1再帰反射手段は、当該第1再帰反射手段が光を再帰反射している状態での当該第1再帰反射手段への光の入射光路及び第1再帰反射手段からの光の反射光路を含む平面に沿った方向とは異なる(典型的には、交わる又は直交する)方向に沿った第1再帰反射手段の傾き(典型的には、当該平面に沿った方向であって、光の入射光路及び反射光路に直交する方向を回転中心とする第1再帰反射手段の傾き)によって再帰反射が不可能になるという方向依存性を有している。一方で、第1再帰反射手段は、当該第1再帰反射手段が光を再帰反射している状態での当該第1再帰反射手段への光の入射光路及び当該第1再帰反射手段からの光の反射光路を含む平面に沿った第1再帰反射手段の傾き(典型的には、当該平面に直交する方向を回転中心とする第1再帰反射手段の傾き)が生じても再帰反射が可能であるという方向依存性を有している。
尚、第1方向と第2方向とは、互いに直交することが好ましい。但し、第1方向と第2方向とが互いに異なる方向である限りは、第1方向と第2方向とは、どのような方向であってもよい。
一方で、第2再帰反射手段が3つ以上の反射面(典型的には、3つの反射面)を有する再帰反射鏡であるがゆえに、第2再帰反射手段は、当該第2再帰反射手段の傾きに対する方向依存性を有していない。具体的には、第2再帰反射手段は、当該第2再帰反射手段の傾きの方向によらずに再帰反射が可能である。
このような第1再帰反射手段による再帰反射に対する方向依存性は、第2再帰反射手段によって実質的に相殺又は補償される。具体的には、後に図面を用いて詳細に説明するように、第1再帰反射手段が第1方向に沿って傾いてしまう場合であっても、再帰反射装置に入射してくる光そのものは、再帰反射装置によって再帰反射される。つまり、第1再帰反射手段単体で見れば再帰反射が不可能になってしまう場合であっても、再帰反射装置全体で見れば再帰反射が可能になる。
というのも、第1再帰反射手段の傾きに起因した光路の乱れ(つまり、第1再帰反射手段が傾いていない状態で光を再帰反射している場合の光路を基準とする、第1再帰反射手段が傾いている状態で光を再帰反射している場合の光路の乱れ)は、第2再帰反射手段によって実質的に相殺又は補償されるからである。より具体的には、第1再帰反射手段では、第2再帰反射手段に向けて光を反射する時点、及び、第2再帰反射手段によって再帰反射された光を再び反射する時点の合計2回、光の入反射が行われる。ここで、第2再帰反射手段がその傾きによらずに光を再帰反射することが可能であるがゆえに、第1再帰反射手段が第2再帰反射手段に向けて光を反射する時点での光路(つまり、乱れが生じている光路)は、第2再帰反射手段によって再帰反射されることで光が第1再帰反射手段に再度入射する時点での光路と平行になる。そうすると、第1再帰反射手段が第2再帰反射手段に向けて光を反射する時点で第1再帰反射手段の傾きに起因した光路の乱れが生ずるものの、第2再帰反射手段によって再帰反射された光を第1再帰反射手段が再び反射する時点で、当該光路の乱れが相殺又は補償される。
尚、第1再帰反射手段が第2方向に沿って傾いてしまう場合(つまり、第1再帰反射手段単体で見ても再帰反射が可能である場合)は、再帰反射装置に入射してくる光そのものは、再帰反射装置によって再帰反射されることは言うまでもない。
このように、本実施形態の再帰反射装置は、光を再帰反射する再帰反射鏡等の第1再帰反射手段の傾き(特に、再帰反射が不可能になる方向への傾き)が生じた場合であっても、光を再帰反射することができる。
加えて、再帰反射鏡等の第1再帰反射手段の傾きによらずに光を再帰反射することができるがゆえに、第1再帰反射手段の取り付け誤差(言い換えれば、組み付け誤差又は配置誤差)が許容されやすくなる。言い換えれば、第1再帰反射手段の取り付け精度(言い換えれば、組み付け精度又は配置精度)が緩和されやすくなる。従って、再帰反射装置の製造の容易化又は簡略化につながるという実践上大変有益な効果が享受される。
<2>
本実施形態の再帰反射装置の他の態様では、前記移動手段は、前記第1再帰反射手段を移動させ、前記第2再帰反射手段は、前記再帰反射装置内で固定されている。
この態様によれば、移動手段によって移動させられることで第1再帰反射手段の傾きが生じた場合であっても、再帰反射装置は、光を再帰反射することができる。つまり、上述した各種効果が好適に享受される。
<3>
本実施形態の再帰反射装置の他の態様では、前記移動手段は、(i)前記第1再帰反射手段が配置された回転台を回転させることで、前記第1再帰反射手段を移動させる、又は(ii)前記第1再帰反射手段を、前記第1再帰反射手段に入射してくる前記光の光軸方向に往復移動させる。
この態様によれば、移動手段は、第1再帰反射装置を好適に移動させることで、再帰反射装置に入射する光の光路と再帰反射装置に入射しない光の光路との間の光路長差を適宜調整することができる。
<4>
本実施形態の光学遅延装置の他の態様では、複数の前記第1再帰反射手段を備えており、前記複数の第1再帰反射手段は、前記複数の第1再帰反射手段による前記光の再帰反射が複数回繰り返されることで前記複数の第1再帰反射手段の間を複数回往復しながら前記光が伝搬するように、配置されており、前記第2再帰反射手段は、前記複数の第1再帰反射手段のうちのいずれか一つによって再帰反射された前記光を、前記いずれか一つの第1再帰反射手段に向かって再帰反射する。
この態様によれば、複数の第1再帰反射手段を備えている場合であっても、上述した各種効果が好適に享受される。
(テラヘルツ波計測装置の実施形態)
<5>
本実施形態のテラヘルツ波計測装置は、第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段と、前記第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を再帰反射することで、当該再帰反射した前記第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を、前記発生手段及び前記検出手段のうちの少なくとも一方に導く再帰反射装置とを備えており、前記再帰反射装置は、前記第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を再帰反射する第1再帰反射手段と、前記第1再帰反射手段によって再帰反射された前記第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を、前記第1再帰反射手段に向かって再帰反射する第2再帰反射手段と、前記第1再帰反射手段及び前記第2再帰反射手段のうちの少なくとも一方を移動させる移動手段とを備えており、前記第1再帰反射手段は、2つ以下の反射面を有する再帰反射鏡であり、前記第2再帰反射手段は、3つ以上の反射面を有する再帰反射鏡である。
本実施形態のテラヘルツ波計測装置によれば、発生手段、検出手段及び再帰反射装置の動作により、テラヘルツ時間領域分光法(Terahertz Time−Domain Spectroscopy)を用いて、測定対象物に照射されたテラヘルツ波が検出される。検出されたテラヘルツ波は、測定対象物の特性の分析に利用される。尚、テラヘルツ時間領域分光法を用いたテラヘルツ波の検出方法自体は、既存の検出方法を用いてもよい。以下、テラヘルツ時間領域分光法を用いたテラヘルツ波の検出方法の概略について、簡単に説明する。
具体的には、発生手段は、当該発生手段に第1レーザ光が励起光(例えば、ポンプ光)として照射されることで、テラヘルツ波を発生させる。発生手段が発生したテラヘルツ波は、測定対象物に照射される。
検出手段は、当該検出手段に第2レーザ光が励起光(例えば、プローブ光)として照射されることで、測定対象物によって反射された又は測定対象物を透過したテラヘルツ波を検出する。
本実施形態では、再帰反射装置は、第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を再帰反射する。例えば、再帰反射装置は、第2レーザ光を再帰反射してもよい。この場合、再帰反射された第2レーザ光は、検出手段に導かれる。或いは、例えば、再帰反射装置は、第1レーザ光を再帰反射してもよい。この場合、再帰反射された第1レーザ光は、発生手段に導かれる。その結果、再帰反射装置は、第1レーザ光の光路と第2レーザ光の光路との間の光路長差を調整することができる。言い換えれば、再帰反射装置は、第1レーザ光の光路と第2レーザ光の光路との間の光路長差を、所望値に設定することができる。このような光路長差の調整は、サブピコ秒というオーダーで現れるテラヘルツ波の波形を好適に検出するために行われる。
ここで、再帰反射装置は、上述した本実施形態の再帰反射装置と同一である。従って、再帰反射装置は、光を再帰反射する再帰反射鏡等の第1再帰反射手段の傾きが生じた場合であっても、光を再帰反射することができる。その結果、再帰反射装置によって反射された第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方は、発生手段及び検出手段のうちのいずれか一方に適切に照射される。具体的には、例えば、再帰反射装置によって反射された第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方は、発生手段及び検出手段のうちのいずれか一方が備える光伝導アンテナのギャップ部に適切に照射される。光を再帰反射する再帰反射鏡等の第1再帰反射手段の傾きが生じた場合であっても、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響が軽減される。
尚、上述した本実施形態の光学遅延装置が採用し得る各種態様に対応して、本実施形態のテラヘルツ波計測装置もまた、各種態様を採用してもよい。
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされる。
以上説明したように、本実施形態の再帰反射装置は、2つ以下の反射面を有する再帰反射鏡である第1再帰反射手段と、3つ以上の反射面を有する再帰反射鏡である第2再帰反射手段を備える。本実施形態のテラヘルツ波計測装置は、本実施形態の再帰反射装置を備えている。従って、光を再帰反射する再帰反射鏡等の第1再帰反射手段の傾きが生じた場合であっても光を再帰反射することができる。
以下、図面を参照しながら、実施例について説明する。
(1)第1実施例
初めに、図1から図7を参照しながら、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100について説明する。
(1−1)テラヘルツ波計測装置の構成
初めに、図1を参照しながら、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100の構成について説明する。図1は、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、テラヘルツ波計測装置100は、テラヘルツ波THzを測定対象物に照射すると共に、測定対象物を透過した又は測定対象物から反射したテラヘルツ波THz(つまり、測定対象物に照射されたテラヘルツ波THz)を検出する。
テラヘルツ波THzは、1テラヘルツ(1THz=1012Hz)前後の周波数領域(つまり、テラヘルツ領域)に属する電磁波である。テラヘルツ領域は、光の直進性と電磁波の透過性を兼ね備えた周波数領域である。テラヘルツ領域は、様々な物質が固有の吸収スペクトルを有する周波数領域である。従って、テラヘルツ波計測装置100は、測定対象物に照射されたテラヘルツ波THzの周波数スペクトルを解析することで、測定対象物の特性を分析することができる。
測定対象物に照射されたテラヘルツ波THzの周波数スペクトルを取得するために、テラヘルツ波計測装置100は、テラヘルツ時間領域分光法(Terahertz Time−Domain Spectroscopy)を採用している。テラヘルツ時間領域分光法は、テラヘルツ波THzを測定対象物に照射すると共に、測定対象物を透過した又は測定対象物から反射したテラヘルツ波THzの時間波形をフーリエ変換することで、当該テラヘルツ波の周波数スペクトル(つまり、周波数毎の振幅及び位相)を取得する方法である。
ここで、テラヘルツ波THzの周期は、サブピコ秒のオーダーの周期であるがゆえに、当該テラヘルツ波THzの時間波形を直接的に検出することが技術的に困難である。そこで、テラヘルツ波計測装置100は、時間遅延走査に基づくポンプ・プローブ法を採用することで、テラヘルツ波THzの時間波形を間接的に検出する。
図1に示すように、このようなテラヘルツ時間領域分光法及びポンプ・プローブ法を採用するテラヘルツ波計測装置100は、パルスレーザ装置101と、「発生手段」の一具体例であるテラヘルツ波発生素子110と、ビームスプリッタ161と、反射鏡162と、反射鏡163と、「再帰反射装置」の一具体例である光遅延器120と、「検出手段」の一具体例であるテラヘルツ波検出素子130と、バイアス電圧生成部141と、I−V(電流−電圧)変換部144と、ロックイン検出部145と、演算処理部150とを備えている。
パルスレーザ装置101は、当該パルスレーザ装置101に入力される駆動電流に応じた光強度を有するサブピコ秒オーダー又はフェムト秒オーダーのパルスレーザ光LBを生成する。パルスレーザ光LBの繰り返し周波数は数十MHz程度である。パルスレーザ装置101が生成したパルスレーザ光LBは、不図示の導光路(例えば、光ファイバ等)及び不図示のレンズを介して、ビームスプリッタ161に入射する。
ビームスプリッタ161は、パルスレーザ光LBを、「第1レーザ光」の一具体例であるポンプ光LB1と「第2レーザ光」の一具体例であるプローブ光LB2とに分岐する。ポンプ光LB1は、不図示のレンズを介して、テラヘルツ波発生素子110に入射する。一方で、プローブ光LB2は、反射鏡162を介して、光遅延器120に入射する。
光遅延器120は、ポンプ光LB1の光路長とプローブ光LB2の光路長との間の差分(つまり、光路長差)を調整する。具体的には、光遅延器120は、プローブ光LB2の光路長を調整することで、ポンプ光LB1の光路長とプローブ光LB2の光路長との間の光路長差を調整する。尚、ポンプ光LB1の光路長とプローブ光LB2の光路長との間の光路長差を調整することで、ポンプ光LB1がテラヘルツ波発生素子110に入射するタイミング(或いは、テラヘルツ波発生素子110から出射するテラヘルツ波THzがテラヘルツ波検出素子130に入射するタイミング)と、プローブ光LB2がテラヘルツ波検出素子130に入射するタイミングとの間の相対的なずれ量を調整することができる。例えば、光遅延器120によってプローブ光LB2の光路が0.3ミリメートル(但し、空気中での光路長)だけ長くなると、プローブ光LB2がテラヘルツ波検出素子130に入射するタイミングが1ピコ秒だけ遅くなる。この場合、テラヘルツ波検出素子130がテラヘルツ波THzを検出するタイミングが、1ピコ秒だけ遅くなる。テラヘルツ波検出素子130に対して同一の波形を有するテラヘルツ波THzが数十MHz程度の間隔で繰り返し入射することを考慮すれば、テラヘルツ波検出素子130がテラヘルツ波THzを検出するタイミングを徐々にずらすことで、テラヘルツ波検出素子130は、テラヘルツ波THzの時間波形を間接的に検出することができる。
尚、図1は、光遅延器120がプローブ光LB2の光路に配置されているテラヘルツ波計測装置100を示している。しかしながら、光遅延器120は、プローブ光LB2の光路に加えて又は代えて、ポンプ光LB1の光路に配置されてもよい。つまり、光遅延器120は、プローブ光LB2の光路長を調整することに加えて又は代えて、ポンプ光LB1の光路長を調整することで、ポンプ光LB1の光路長とプローブ光LB2の光路長との間の光路長差を調整してもよい。
プローブ光LB2の光路長を調整するために、光遅延器120は、「第1再帰反射手段」の一具体例である可動再帰反射鏡121と、「第2再帰反射手段」の一具体例である固定再帰反射鏡122と、送りネジ機構123と、モータ124とを備えている。
可動再帰反射鏡121は、当該可動再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2を再帰反射する。つまり、可動再帰反射鏡121は、当該可動再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2を、当該プローブ光LB2の入射方向と平行な方向に向けて反射する。
第1実施例では、可動再帰反射鏡121は、例えば、90度の角度で交わる第1反射面121−1と第2反射面121−2とを備える直角プリズムである。しかしながら、可動再帰反射鏡121は、1つの又は2つの反射面を備えるその他の再帰反射鏡であってもよい。可動再帰反射鏡121は、後に詳述する方向依存性を有する再帰反射鏡(つまり、再帰反射鏡の傾きによって再帰反射の可否が影響を受ける再帰反射鏡)であってもよい。
同様に、固定再帰反射鏡122は、当該固定再帰反射鏡122に入射してくるプローブ光LB2を再帰反射する。つまり、固定再帰反射鏡122は、当該固定再帰反射鏡122に入射してくるプローブ光LB2を、当該プローブ光LB2の入射方向と平行な方向に向けて反射する。
第1実施例では、固定再帰反射鏡122は、例えば、90度の角度で交わる3つの反射面を備えるコーナーキューブプリズムである。しかしながら、固定再帰反射鏡122は、3つ以上の反射面を備える任意の再帰反射鏡であってもよい。但し、固定再帰反射鏡122は、後に詳述する方向依存性を有していない再帰反射鏡(つまり、再帰反射鏡の傾きによらずに、再帰反射が可能な再帰反射鏡)であることが好ましい。
可動再帰反射鏡121は、送りネジ機構123に嵌合する送り溝を備えている。その結果、可動再帰反射鏡121は、モータ124の駆動による送りネジ機構123の回転に合わせて、プローブ光LB2の光路(具体的には、可動再帰反射鏡121に入射する時点でのプローブ光LB2の光路であって、図1中の上下方向)に沿って移動する。但し、可動再帰反射鏡121は移動しなくともよい(つまり、固定されていてもよい)。
一方で、固定再帰反射鏡122は、移動しない(つまり、固定されている)ことが好ましい。但し、固定再帰反射鏡122は、プローブ光LB2の光路(具体的には、固定再帰反射鏡122に入射する時点でのプローブ光LB2の光路であって、図1中の上下方向)に沿って移動してもよい。
このような可動再帰反射鏡121の移動により、プローブ光LB2の光路長が調整される。
尚、可動再帰反射鏡121の移動は、演算処理部150の制御の下で行われる。つまり、演算処理部150は、モータ124の駆動量を指定する制御信号をモータ124に出力することで、モータ124の動作を制御する。
ここで、光遅延器120におけるプローブ光LB2の光路の一例について説明する。図1に示す例では、光遅延器120に入射してくるプローブ光LB2は、まず、可動再帰反射鏡121の第1反射面121−1によって反射される。このとき、可動再帰反射鏡121の第1反射面121−1は、プローブ光LB2を、可動再帰反射鏡121の第2反射面121−2に向けて反射する。その後、プローブ光LB2は、可動再帰反射鏡121の第2反射面121−2によって反射される。このとき、可動再帰反射鏡121の第2反射面121−2は、プローブ光LB2を、固定再帰反射鏡122に向けて反射する。その後、プローブ光LB2は、固定再帰反射鏡122によって再帰反射される。このとき、固定再帰反射鏡122がプローブ光LB2を再帰反射するがゆえに、プローブ光LB2は、可動再帰反射鏡121の第2反射面121−2に向けて再帰反射される。その後、プローブ光LB2は、可動再帰反射鏡121の第2反射面121−2によって反射される。このとき、可動再帰反射鏡121の第2反射面121−2は、プローブ光LB2を、可動再帰反射鏡121の第1反射面121−1に向けて反射する。その後、プローブ光LB2は、可動再帰反射鏡121の第1反射面121−1によって反射される。このとき、可動再帰反射鏡121の第1反射面121−1は、プローブ光LB2を、光遅延器120の外部(例えば、反射鏡163)に向けて反射する。
このように、図1に示す例では、光遅延器120内では、プローブ光LB2は、可動再帰反射鏡121と固定再帰反射鏡122との間を往復する光路に沿って伝搬する。可動再帰反射鏡121と固定再帰反射鏡122との間を往復する光路に沿ってプローブ光LB2を伝搬させるために、可動再帰反射鏡121及び固定再帰反射鏡122は、可動再帰反射鏡121の第1反射面121−1及び第2反射面121−2と固定再帰反射鏡122の3つの反射面とが対向するように配置されることが好ましい。特に、可動再帰反射鏡121及び固定再帰反射鏡122は、可動再帰反射鏡121がプローブ光LB2を再帰反射している状態での当該プローブ光LB2の光路と固定再帰反射鏡122がプローブ光LB2を再帰反射している状態での当該プローブ光LB2の光路とが平行になる(或いは、揃う)ように配置されることが好ましい。このような態様で可動再帰反射鏡121及び固定再帰反射鏡122が配置される結果、光遅延器120は、プローブ光LB2を再帰反射することができる。
光遅延器120から出射したプローブ光LB2は、反射鏡163及び不図示のレンズを介して、テラヘルツ波検出素子130に入射する。
ここで、図2を参照しながら、ポンプ光LB1が照射されるテラヘルツ波発生素子110及びプローブ光LB2が照射されるテラヘルツ波検出素子130について更に詳細に説明する。図2は、テラヘルツ波発生素子110及びテラヘルツ波検出素子130の夫々の構成を示す斜視図である。尚、図2に示すテラヘルツ波発生素子110及びテラヘルツ波検出素子130の構成はあくまで一例であり、図2に示す構成とは異なる構成を有する光伝導アンテナ又は光伝導スイッチが、テラヘルツ波発生素子110及びテラヘルツ波検出素子130として用いられてもよい。
図2(a)に示すように、テラヘルツ波発生素子110は、基板111と、アンテナ(言い換えれば、伝送線路)112と、アンテナ(言い換えれば、伝送線路)113とを備えている。尚、図2(a)中のX1軸、Y1軸及びZ1軸は、夫々が90度の角度で互いに交わる3つの軸に相当する。
基板111は、例えば、GaAs(Gallium Arsenide)基板等の半導体基板である。アンテナ112及びアンテナ113の夫々は、長手方向(具体的には、図2(a)中のZ1軸方向)に延在する形状を有するモノポールアンテナである。アンテナ112及びアンテナ113は、短手方向(具体的には、図2(a)中のY1軸方向)に沿って並列するように基板111上に配置される。アンテナ112とアンテナ113との間には、数マイクロメートル程度のギャップ(つまり、間隙)114が確保される。ギャップ114が長手方向に延在するアンテナ112及びアンテナ113に挟まれているがゆえに、ギャップ114もまた、長手方向(具体的には、図2(a)中のZ1軸方向)に延在している。従って、アンテナ112及びアンテナ113全体として、ダイポールアンテナ(つまり、光伝導アンテナ)を構成する。
ギャップ114には、アンテナ112及びアンテナ113を介して、バイアス電圧生成部141から出力されるバイアス電圧が印加されている。有効なバイアス電圧(例えば、0Vでないバイアス電圧)がギャップ114に印加されている状態でポンプ光LB1がギャップ114に照射されると、テラヘルツ波発生素子110には、ポンプ光LB1による光励起によってキャリアが発生する。その結果、テラヘルツ波発生素子110には、発生したキャリアに応じたサブピコ秒オーダーの又はフェムト秒オーダーのパルス状の電流信号が発生する。その結果、テラヘルツ波発生素子110には、当該パルス状の電流信号に起因したテラヘルツ波THzが発生する。
図2(b)に示すように、テラヘルツ波検出素子130もまた、テラヘルツ波発生素子110と同様の構成を有している。つまり、テラヘルツ波検出素子130は、基板131と、アンテナ(言い換えれば、伝送線路)132と、アンテナ(言い換えれば、伝送線路)133とを備えている。基板131、アンテナ132及びアンテナ133は、夫々、基板111、アンテナ112及びアンテナ113と同様の構成を有している。尚、図2(b)中のX1軸、Y1軸及びZ1軸もまた、夫々が90度の角度で互いに交わる3つの軸に相当する。
プローブ光LB2がギャップ134に照射されると、テラヘルツ波検出素子130には、プローブ光LB2による光励起によってキャリアが発生する。プローブ光LB2がギャップ134に照射されている状態でテラヘルツ波検出素子130にテラヘルツ波THzが照射されると、ギャップ134には、テラヘルツ波THzの光強度に応じた信号強度を有する電流信号が発生する。当該電流信号は、アンテナ132及びアンテナ133を介して、I−V変換部144に出力される。
再び図1において、テラヘルツ波発生素子110から出射したテラヘルツ波THzは、不図示の光学系(例えば、レンズ等)を介して、測定対象物に照射される。測定対象物に照射されたテラヘルツ波THzは、測定対象物からの反射光又は透過光として、不図示の光学系(例えば、レンズ等)を介して、テラヘルツ波検出素子130に入射する。その結果、テラヘルツ波検出素子130からは、テラヘルツ波THzの光強度に応じた信号強度を有する電流信号が出力される。
テラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号は、I―V変換部144によって、電圧信号に変換される。その後、ロックイン検出部145は、電圧信号に対して、バイアス電圧生成部141が生成するバイアス電圧を参照信号とする同期検波を行う。その結果、ロックイン検出部145は、テラヘルツ波THzのサンプル値を検出する。その後、ポンプ光LB1の光路長とプローブ光LB2の光路長との間の光路長差を適宜調整しながら同様の動作が繰り返されることで、ロックイン検出部145は、テラヘルツ波形の時間波形を検出することができる。ただし、ノイズに対して十分な信号強度が得られる場合はロックイン検出を用いなくてもよい。その後、演算処理部150は、検出されたテラヘルツ波形の時間波形をフーリエ変換することで、当該テラヘルツ波の周波数スペクトル(つまり、周波数毎の振幅及び位相)を取得してもよい。更に、演算処理部150は、テラヘルツ波の周波数スペクトルを解析することで、測定対象物の特性を分析してもよい。
(1−2)可動再帰反射鏡及び固定再帰反射鏡の配置態様
続いて、図3及び図4を参照して、可動再帰反射鏡121及び固定再帰反射鏡122の配置態様について説明する。図3は、可動再帰反射鏡121の傾き(位置ずれ)に対するプローブ光LB2の光路(入射光路及び反射光路)を示す平面図である。図4は、第1実施例における可動再帰反射鏡121及び固定再帰反射鏡122の配置態様を示す斜視図である。
可動再帰反射鏡121は、プローブ光LB2を適切に再帰反射することができるか否かが、当該可動再帰反射鏡121の傾きの方向に依存して定まるという方向依存性を有している。なぜならば、可動再帰反射鏡121は、90度の角度で交わる第1反射面121−1と第2反射面121−2とを備える直角プリズムであるからである。
具体的には、図3(a)及び図3(b)に示すように、第1反射面121−1及び第2反射面121−2の夫々が、直交する2つの軸であるX2軸及びY2軸によって規定される平面に直交し且つX2軸及びY2軸の夫々に45度の角度で交わる可動再帰反射鏡121を例に挙げて説明する。
ここで、図3(a)に示すように、可動再帰反射鏡121が、(i)当該可動再帰反射鏡121がプローブ光LB2を再帰反射している状態で、当該可動再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路及び当該可動再帰反射鏡121から出射していくプローブ光LB2の反射光路を含む平面(図3(a)中のX2−Y2平面)に沿った方向であって且つ(ii)プローブ光LB2の入射光路及び反射光路の夫々に直交する方向(具体的には、図3(a)のY2軸方向)に沿って傾いた場合を想定する。言い換えれば、可動再帰反射鏡121が、当該可動再帰反射鏡121がプローブ光LB2を再帰反射している状態でのプローブ光LB2の入射光路及び反射光路を含む平面に直交する方向(具体的には、図3(a)中のZ2軸方向)を回転中心として傾いた場合を想定する。更に言い換えれば、可動再帰反射鏡121が、第1反射面121−1と第2反射面121−2とが対向する方向(具体的には、図3(a)中のY2軸方向)に沿って傾いた場合を想定する。更に言い換えれば、可動再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路を基準とするヨー方向(但し、Z2軸に沿った方向を上下方向とし、X2軸に沿った方向を前後方向とし、Y2軸に沿った方向を左右方向とした場合(以下同じ)であって、具体的には、図3(a)のY2軸方向)に沿って、当該可動再帰反射鏡121が傾いた場合を想定する。
この場合には、図3(a)の下側の図面に示すように、可動再帰反射鏡121は、プローブ光LB2を再帰反射することができる。従って、固定再帰反射鏡122を備えていない比較例の光遅延器であっても、プローブ光LB2を再帰反射することができる。その結果、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置が、可動再帰反射鏡121の傾きの方向(Y2軸方向であり、ヨー方向)に沿って位置ずれすることは殆どない。つまり、可動再帰反射鏡121は、可動再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路を基準とするヨー方向については、相対的に高い偏角精度を有している。
他方で、図3(b)に示すように、可動再帰反射鏡121が、(i)当該可動再帰反射鏡121がプローブ光LB2を再帰反射している状態でのプローブ光LB2の入射光路及び反射光路を含む平面(図3(b)中のX2−Y2平面)に直交する方向(具体的には、図3(b)のZ2軸方向)に沿って傾いた場合を想定する。言い換えれば、可動再帰反射鏡121が、(i)当該可動再帰反射鏡121がプローブ光LB2を再帰反射している状態でのプローブ光LB2の入射光路及び反射光路を含む平面に沿った方向であって且つ(ii)プローブ光LB2の入射光路及び反射光路の夫々に直交する方向(具体的には、図3(b)中のY2軸方向)を回転中心として傾いた場合を想定する。更に言い換えれば、可動再帰反射鏡121が、第1反射面121−1と第2反射面121−2とが対向する方向に直交する方向(具体的には、図3(b)中のZ2軸方向)に沿って傾いた場合を想定する。更に言い換えれば、可動再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路を基準とするピッチ方向(具体的には、図3(b)のZ2軸方向)に沿って、可動再帰反射鏡121が傾いた場合を想定する。
この場合には、図3(b)の下側の図面に示すように、可動再帰反射鏡121は、プローブ光LB2を再帰反射することができない。具体的には、可動再帰反射鏡121から出射していくプローブ光LB2の反射光路は、可動再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路に対して、可動再帰反射鏡121の傾きの方向(Z2軸方向であり、ピッチ方向)に沿って徐々にずれることになる。従って、固定再帰反射鏡122を備えていない比較例の光遅延器では、当該比較例の光遅延器から出射していくプローブ光LB2の反射光路もまた、比較例の光遅延器に入射してくるプローブ光LB2の入射光路に対して、可動再帰反射鏡121の傾きの方向(Z2軸方向であり、ピッチ方向)に沿って徐々にずれることになる。その結果、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置もまた、可動再帰反射鏡121の傾きの方向(Z2軸方向であり、ピッチ方向)に沿って位置ずれすることになる。つまり、可動再帰反射鏡121は、可動再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路を基準とするピッチ方向については、相対的に低い偏角精度を有している。
尚、このような可動再帰反射鏡121の傾きが発生する要因としては、例えば、モータ124の駆動によって可動再帰反射鏡121が移動している場合に当該可動再帰反射鏡121に発生する振動等や、光遅延器120における可動再帰反射鏡121の配置位置(言い換えれば、取り付け位置)の誤差等が一例としてあげられる。
このように、可動再帰反射鏡121は、プローブ光LB2の入射光路を基準とするピッチ方向に沿った可動再帰反射鏡121の傾きによってプローブ光LB2を再帰反射することができなくなる一方で、プローブ光LB2の入射光路を基準とするヨー方向に沿った可動再帰反射鏡121の傾きが生じてもプローブ光LB2を再帰反射し続けることができるという方向依存性を有している。
一方で、固定再帰反射鏡122は、プローブ光LB2を適切に再帰反射することができるか否かが、当該固定再帰反射鏡122の傾きの方向に依存して定まるという方向依存性を有していない。言い換えれば、固定再帰反射鏡122は、当該固定再帰反射鏡122の傾きの有無及び傾きの方向に関わらず、プローブ光LB2を適切に再帰反射することができる。なぜならば、固定再帰反射鏡122は、90度の角度で交わる3つの反射面を備えるコーナーキューブプリズムであるからである。
ここで、固定再帰反射鏡122を備えていない比較例の光遅延器を備えるテラヘルツ波計測装置では、可動再帰反射鏡121の傾きによるプローブ光LB2の照射位置の位置ずれに起因して、プローブ光LB2がテラヘルツ波検出素子130のギャップ134に照射されなくなるおそれがある。その結果、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度が劣化するおそれがある。
このため、第1実施例では、図4に示すように、分析精度の劣化を抑制するために、90度の角度で交わる3つの(又は、3つ以上の)反射面を有する固定再帰反射鏡122を備えている光遅延器120が用いられる。言い換えれば、第1実施例では、図4に示すように、分析精度の劣化を抑制するために、傾きに対する方向依存性を有する可動再帰反射鏡121に対向する位置に、傾きに対する方向依存性を有していない固定再帰反射鏡122が配置されている光遅延器120が用いられる。
このような態様で可動再帰反射鏡121及び固定再帰反射鏡122が配置されるテラヘルツ波計測装置100において、可動再帰反射鏡121がZ2軸方向(ピッチ方向)に沿って傾いた場合を想定する。つまり、可動再帰反射鏡121が、プローブ光LB2を再帰反射することができなくなる方向に沿って傾いた場合を想定する。
この場合、傾きに対する方向依存性を有する可動再帰反射鏡121に対向する位置に、傾きに対する方向依存性を有していない固定再帰反射鏡122が配置されていなければ、Z2軸方向(ピッチ方向)に沿った可動再帰反射鏡121の傾きに起因して、光遅延器120から出射していくプローブ光LB2の反射光路は、可動再帰反射鏡121の傾きの方向(Z2軸方向であり、ピッチ方向)に沿って徐々にずれることになる。その結果、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置は、可動再帰反射鏡121の傾きの方向(つまり、Z2軸方向(ピッチ方向))に沿って位置ずれすることになる。従って、傾きに対する方向依存性を有する可動再帰反射鏡121に対向する位置に、傾きに対する方向依存性を有していない固定再帰反射鏡122が配置されていなければ、プローブ光LB2がギャップ134に正しく照射されなくなってしまうおそれがある。
しかるに、第1実施例では、図4に示すように、光遅延器120に入射したプローブ光LB2は、可動再帰反射鏡121によって反射されることで、光路Aに沿って固定再帰反射鏡122に向かう。この光路Aは、傾いていない状態にある可動再帰反射鏡121がプローブ光LB2を再帰反射している場合の光路から乱れていると言える。その後、当該プローブ光LB2は、固定再帰反射鏡122によって再帰反射されることで、光路Bに沿って可動再帰反射鏡121に向かう。ここで、固定再帰反射鏡122がプローブ光LB2を再帰反射することを考慮すれば、光路Bは光路Aと平行になる。その結果、Z2軸方向(ピッチ方向)に沿った可動再帰反射鏡121の傾きに起因したプローブ光LB2の光路の乱れは、可動再帰反射鏡121での再度の反射によって相殺される(言い換えれば、補償される)。
言い換えれば、可動再帰反射鏡121では、固定再帰反射鏡122に向けてプローブ光LB2を反射する時点、及び、固定再帰反射鏡122によって再帰反射されたプローブ光LBを再び反射する時点の合計2回、プローブ光LB2の入反射が行われる。そうすると、固定再帰反射鏡122に向けて可動再帰反射鏡121がプローブ光LB2を反射する時点で可動再帰反射鏡121の傾きに起因したプローブ光LB2の光路の乱れ(つまり、光路Aの乱れ)が生ずるものの、固定再帰反射鏡122によって再帰反射されたプローブ光LB2を可動再帰反射鏡121が再び反射する時点で、当該光路の乱れが相殺又は補償される。つまり、プローブ光LB2の入反射(つまり、一連の入射及び反射)を2回(或いは、偶数回)行う可動再帰反射鏡121が傾いている場合には、当該可動再帰反射鏡121の傾きに起因したプローブ光LB2の光路の乱れは、好適に相殺又は補償される。
このため、可動再帰反射鏡121単体で見れば再帰反射が不可能になってしまう場合であっても、光遅延器120全体で見れば再帰反射が可能になる。その結果、テラヘルツ波検出素子130によるテラヘルツ波THzの検出精度に対して、Z2軸方向(ピッチ方向)に沿った可動再帰反射鏡121の傾きが与える影響が軽減される。言い換えれば、Z2軸方向(ピッチ方向)に沿った可動再帰反射鏡121の傾きに起因したテラヘルツ波検出素子130によるテラヘルツ波THzの検出精度の劣化が最小限に抑えられる。このため、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度に対して、Z2軸方向(ピッチ方向)に沿った可動再帰反射鏡121の傾きが与える影響が軽減される。言い換えれば、Z2軸方向(ピッチ方向)に沿った可動再帰反射鏡121の傾きに起因したテラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度の劣化が最小限に抑えられる。
尚、上述した光遅延器120はあくまで一例であって、図1に例示した光遅延器120とは異なる光遅延器が用いられてもよい。例えば、図5に示すように、不図示のモータ124の動作により回転可能な回転基板125と、複数の(図6では、4つの)可動再帰反射鏡121を備えている光遅延器120aが用いられてもよい。但し、回転基板125上には、単一の可動再帰反射鏡121が備え付けられていてもよい。
このような光遅延器120aでは、複数の可動再帰反射鏡121は、回転基板125の回転軸を中心とする円C上に、好ましくは等間隔に配置されている。従って、複数の可動再帰反射鏡121の夫々は、回転基板125の回転に伴って、円C上を周回する。
このような光遅延器120aであっても、各可動再帰反射鏡121は、プローブ光LB2を適切に再帰反射することができるか否かが、当該可動再帰反射鏡121の傾きの方向に依存して定まるという方向依存性を有している。以下、図6及び図7を参照しながら、回転基板125上に配置されるある一つの可動再帰反射鏡121に着目して説明を進める。
まず、図6(a)及び図6(b)に示すように、可動再帰反射鏡121が、当該可動再帰反射鏡121がプローブ光LB2を再帰反射している状態でのプローブ光LB2の入射光路及び反射光路を含む平面(図6(a)中のX2−Y2平面)に直交する沿った方向(具体的には、図6(a)のZ2軸方向)に沿って傾いた場合を想定する。具体的には、図6(a)の上側の図面に示すように、初期状態として、可動再帰反射鏡121が、Z2軸方向に対してα度の角度を有するように傾いているとする。更に、図6(a)の下側の図面に示すように、初期状態として、回転基板125の中心と可動再帰反射鏡121とを結ぶ線は、Y2軸方向と一致するものとする。
この場合、図6(a)の上側の図面に示すように、可動再帰反射鏡121は、プローブ光LB2を再帰反射することができない。具体的には、可動再帰反射鏡121から出射していくプローブ光LB2の反射光路は、可動再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路に対して、2α度の角度を有することになる。
このような初期状態を基準として、図6(b)に示すように、回転基板125がθ度だけ回転した状態を想定する。つまり、回転基板125の中心と可動再帰反射鏡121とを結ぶ線が、Y2軸方向に対してθ度の角度で交わる状態を想定する。
この場合、図6(b)の上側の図面に示すように、回転基板125の回転に伴って、可動再帰反射鏡121が、Z2軸方向に対してβ度の角度を有するように傾くことになる。この角度βは、β=arctan(tanα×cosθ)という数式で表現される。つまり、角度βは、回転基板125の回転角度θに依存して変動することが分かる。従って、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置もまた、可動再帰反射鏡121の傾きの方向(Z2軸方向であり、ピッチ方向)に沿って且つ回転基板125の回転角度に依存したずれ量だけ位置ずれすることになる。
続いて、可動再帰反射鏡121の取り付け誤差に起因した可動再帰反射鏡121の傾きについて説明する。具体的には、図7に示すように、可動再帰反射鏡121がプローブ光LB2を再帰反射している状態でのプローブ光LB2の入射光路及び反射光路を含む平面(図7中のX2−Y2平面)に沿った方向に沿って、可動再帰反射鏡121を構成する第2反射面121−2の取り付け誤差が発生した場合を想定する。より具体的には、本来90度の角度で交わるべき第1反射面121−1と第2反射面121−2とが、90度+δという角度で交わるような取り付け誤差が発生した場合を想定する。
この場合、プローブ光LB2は、第1反射面121−1に対してi1=45度の入射角で入射する。これに対して、プローブ光LB2は、第2反射面121−2の取り付け誤差に起因して、第2反射面121−2に対してi2=45度+δの入射角で入射する。その結果、プローブ光LB2の反射光路は、プローブ光LB2の入射光路に対して、r=2δの角度を有することになる。つまり、プローブ光LB2の反射光路は、取り付け誤差が発生していない場合の反射光路(つまり、再帰反射が行われている場合の反射光路)と比較して、r=2δの角度だけずれることになる。この状況は、回転基板125が角度θだけ回転した場合においても同様である。つまり、回転基板125が角度θだけ回転した場合には、(i)プローブ光LB2は、第1反射面121−1に対してi1’=45度+θの入射角で入射し、(ii)プローブ光LB2は、第2反射面121−2に対してi2’=45度+δ−θの入射角で入射し、プローブ光LB2の反射光路は、プローブ光LB2の入射光路に対して、r’=2δの角度を有することになる。つまり、可動再帰反射鏡121は、プローブ光LB2を再帰反射することができない。
このような光遅延器120aが用いられる場合であっても、傾きに対する方向依存性を有する可動再帰反射鏡121に対向する位置に、傾きに対する方向依存性を有していない固定再帰反射鏡122が配置されている。このため、上述した各種効果が好適に享受される。つまり、振動や取り付け誤差に起因して可動再帰反射鏡121単体で見れば再帰反射が不可能になってしまう程度に傾いている場合であっても、光遅延器120全体で見れば再帰反射が可能になる。
加えて、回転基板125に複数の可動再帰反射鏡121を配置する場合には、その取り付け精度(つまり、配置位置の誤差の許容量)が問題となることが多い。特に、回転基板125に複数の可動再帰反射鏡121を配置する場合には、各可動再帰反射鏡121の絶対的な取り付け誤差のみならず、複数の可動再帰反射鏡121の間の相対的な取り付け誤差の統一化をも要求されるがゆえに、光遅延器120の製造が容易ではない。しかるに、本実施例では、可動再帰反射鏡121の取り付け誤差が生じている場合であっても、遅延器120全体で見れば再帰反射が可能になる。従って、光遅延器120aの取り付け精度の緩和を実現でき、結果として、光遅延器120の製造が容易になる。
また、回転基板125上に複数のコーナーキューブプリズムを配置されている光遅延器と比較して、光遅延器120aの小型化を実現することができる。
尚、上述の説明では、光遅延器120をテラヘルツ波計測装置100に適用した例を用いている。しかしながら、光遅延器120は、テラヘルツ波計測装置100以外の各種装置(例えば、光干渉計や、光コヒーレントストモグラフィや、その他の光学装置等)に適用されてもよい。
(2)第2実施例
続いて、図8を参照しながら、第2実施例のテラヘルツ波計測装置200について説明する。図8は、第2実施例のテラヘルツ波計測装置200の構成を示すブロック図である。尚、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100と同一の構成及び動作については、同一の参照符号を付することで、それらの詳細な説明を省略する。
図8に示すように、第2実施例のテラヘルツ波計測装置200は、ビームスプリッタ161とテラヘルツ波発生素子110との間に導光路としての光ファイバ201が配置され且つ反射鏡163とテラヘルツ波検出素子130との間に導光路としての光ファイバ202が配置されるという点において、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100と異なる。つまり、第2実施例のテラヘルツ波計測装置200は、ポンプ光LB1が光ファイバ201を介してテラヘルツ波発生素子110に照射され且つプローブ光LB2が光ファイバ202を介してテラヘルツ波検出素子130に照射されるという点において、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100と異なる。第2実施例のテラヘルツ波計測装置200のその他の構成は、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100のその他の構成と同一であってもよい。
このような光ファイバ201及び光ファイバ202を配置することで、テラヘルツ波計測装置200を構成する各種構成要素の配置の自由度を高めることができるという実践上大変有用な利点がある。
その一方で、光ファイバ201及び光ファイバ202を配置すると、ポンプ光LB1と光ファイバ201のカップリング及びプローブ光LB2と光ファイバ202のカップリングが必要になる。つまり、ポンプ光LB1が光ファイバ201のコアに好適に照射され且つプローブ光LB2が光ファイバ202のコアに好適に照射される必要がある。ところで、テラヘルツ波検出素子130のギャップ134の大きさ(例えば、図2のZ1軸方向の長さ)が数十ミクロン程度であるのに対して、シングルモードの光ファイバ202のコアの径が10ミクロン以下である。従って、第2実施例のテラヘルツ波計測装置200では、光ファイバ202を配置することなくプローブ光LB2をテラヘルツ波検出素子130に対して照射する第1実施例のテラヘルツ波計測装置100と比較して、上述した可動再帰反射鏡121の傾きに起因したプローブ光LB2の光路の乱れによる測定対象物の特性の分析精度の劣化の影響が大きくなりかねない。しかしながら、第2実施例では、上述したように、上述した可動再帰反射鏡121の傾きに起因したプローブ光LB2の光路の乱れが生ずることは殆どなくなる(言い換えれば、補償される又は相殺される)がゆえに、プローブ光LB2と光ファイバ202のカップリングが好適に行われる。その結果、可動再帰反射鏡121の傾きに起因したテラヘルツ波計測装置200による測定対象物の特性の分析精度の劣化が最小限に抑えられる。
(3)第3実施例
続いて、図9を参照しながら、第3実施例のテラヘルツ波計測装置300について説明する。図9は、第3実施例における可動再帰反射鏡121及び固定再帰反射鏡122の配置態様を示す斜視図である。
図9に示すように、第3実施例のテラヘルツ波計測装置300は、光遅延器320の構成が第1実施例の光遅延器120の構成と異なるという点において、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100と異なる。第3実施例のテラヘルツ波計測装置300のその他の構成は、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100のその他の構成と同一であってもよい。
具体的には、図9に示すように、光遅延器320は、2つの可動再帰反射鏡121(つまり、可動再帰反射鏡121a及び121b)と、2つの固定再帰反射鏡122(つまり、固定再帰反射鏡122a及び122b)とを備えている。その結果、光遅延器320に入射したプローブ光LB2は、可動再帰反射鏡121a、固定再帰反射鏡122a、可動再帰反射鏡121b、固定再帰反射鏡122b、可動再帰反射鏡121b、固定再帰反射鏡122a及び可動再帰反射鏡121aによってこの順に再帰反射されることで、光遅延器320の外部に向かう。つまり、光遅延器320内では、プローブ光LB2は、可動再帰反射鏡121及び121bと固定再帰反射鏡122a及び122bとの間を複数回往復する光路に沿って伝搬する。
尚、光遅延器320は、3つ以上の可動再帰反射鏡121を備えていてもよい。同様に、光遅延器320は、3つ以上の固定再帰反射鏡122を備えていてもよい。
このような第3実施例のテラヘルツ波計測装置300では、プローブ光LB2の光路長に付与する光学的な遅延の量を相対的に大きくすることができる。言い換えれば、プローブ光LB2の光路長をより大きく調整することができる。
第3実施例では特に、固定再帰反射鏡122bは、傾きに対して方向依存性を有していない再帰反射鏡(例えば、上述したコーナーキューブプリズム)である。言い換えれば、第3実施例では、プローブ光LB2の光路のうちの往路における最終段又は復路における初段に位置する固定再帰反射鏡122bは、傾きに対して方向依存性を有していない再帰反射鏡(例えば、上述したコーナーキューブプリズム)である。
一方で、第3実施例では、固定再帰反射鏡122aは、傾きに対して方向依存性を有している再帰反射鏡(例えば、上述した直角プリズム)である。但し、固定再帰反射鏡122aは、傾きに対して方向依存性を有していない再帰反射鏡(例えば、上述したコーナーキューブプリズム)であってもよい。
つまり、第3実施例では、複数の固定再帰反射鏡122のうちの少なくとも一つが、傾きに対して方向依存性を有していない再帰反射鏡(例えば、上述したコーナーキューブプリズム)である。
このように2つの可動再帰反射鏡121並びに2つの固定再帰反射鏡122が配置されることで、第3実施例のテラヘルツ波計測装置300においても、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100が享受し得る各種効果が好適に享受される。つまり、例えば、可動再帰反射鏡121a及び121bのいずれか一方あるいは両方の傾きに起因して可動再帰反射鏡121単体で見れば再帰反射が不可能になってしまう場合であっても、光遅延器320全体で見れば再帰反射が可能になる。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う再帰反射装置及びテラヘルツ波計測装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
100、200 テラヘルツ波計測装置
101 パルスレーザ装置
110 テラヘルツ波発生素子
111 基板
112、113 アンテナ
114 ギャップ
120、320 光遅延器
121 可動再帰反射鏡
122 固定再帰反射鏡
123 送りネジ機構
124 モータ
130 テラヘルツ波検出素子
131 基板
132、133 アンテナ
134 ギャップ
141 バイアス電圧生成部
144 I−V変換部
145 ロックイン検出部
150 演算処理部
161 ビームスプリッタ
162、163 反射鏡
LB パルスレーザ光
LB1 ポンプ光
LB2 プローブ光
THz テラヘルツ波

Claims (5)

  1. 入射してくる光を再帰反射する再帰反射装置であって、
    前記光を再帰反射する第1再帰反射手段と、
    前記第1再帰反射手段によって再帰反射された前記光を、前記第1再帰反射手段に向かって再帰反射する第2再帰反射手段と、
    前記第1再帰反射手段及び前記第2再帰反射手段のうちの少なくとも一方を移動させる移動手段と
    を備えており、
    前記第1再帰反射手段は、2つ以下の反射面を有する再帰反射鏡であり、
    前記第2再帰反射手段は、3つ以上の反射面を有する再帰反射鏡である
    ことを特徴とする再帰反射装置。
  2. 前記移動手段は、前記第1再帰反射手段を移動させ、
    前記第2再帰反射手段は、前記再帰反射装置内で固定されていることを特徴とする請求項1に記載の再帰反射装置。
  3. 前記移動手段は、(i)前記第1再帰反射手段が配置された回転台を回転させることで、前記第1再帰反射手段を移動させる、又は(ii)前記第1再帰反射手段を、前記第1再帰反射手段に入射してくる前記光の光軸方向に往復移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の再帰反射装置。
  4. 複数の前記第1再帰反射手段を備えており、
    前記複数の第1再帰反射手段は、前記複数の第1再帰反射手段による前記光の再帰反射が複数回繰り返されることで前記複数の第1再帰反射手段の間を複数回往復しながら前記光が伝搬するように、配置されており、
    前記第2再帰反射手段は、前記複数の第1再帰反射手段のうちのいずれか一つによって再帰反射された前記光を、前記いずれか一つの第1再帰反射手段に向かって再帰反射する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の再帰反射装置。
  5. 第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、
    第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段と、
    前記第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を再帰反射することで、当該再帰反射した前記第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を、前記発生手段及び前記検出手段のうちの少なくとも一方に導く再帰反射装置と
    を備えており、
    前記再帰反射装置は、
    前記第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を再帰反射する第1再帰反射手段と、
    前記第1再帰反射手段によって再帰反射された前記第1レーザ光及び第2レーザ光のうちのいずれか一方を、前記第1再帰反射手段に向かって再帰反射する第2再帰反射手段と、
    前記第1再帰反射手段及び前記第2再帰反射手段のうちの少なくとも一方を移動させる移動手段と
    を備えており、
    前記第1再帰反射手段は、2つ以下の反射面を有する再帰反射鏡であり、
    前記第2再帰反射手段は、3つ以上の反射面を有する再帰反射鏡である
    ことを特徴とするテラヘルツ波計測装置。
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