JP2014202539A - テラヘルツ波計測装置 - Google Patents

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雅浩 三浦
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山口  淳
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秀樹 小林
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Masaharu Nakano
雅晴 中野
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【課題】テラヘルツ波を発生する又は検出するために用いられるレーザ光の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響を軽減する。【手段】テラヘルツ波計測装置(100)は、第1レーザ光(LB1)が照射されることで、テラヘルツ波(THz)を発生する発生手段(110)と、第2レーザ光(LB2)が照射されることで、発生手段から計測対象物に対して照射されたテラヘルツ波を検出する検出手段(120)とを備え、検出手段は、第2レーザ光の照射位置の第1方向(Z1方向)に沿った位置ずれの許容度が、第2レーザ光の照射位置の第2方向(Y1方向)に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有しており、検出手段上における第2レーザ光のビームスポットは、第2方向(Y1方向)に沿った長さが第1方向(Z1方向)に沿った長さよりも長くなる形状を有している【選択図】図6

Description

本発明は、例えばテラヘルツ波を用いて計測対象物の特性を分析するテラヘルツ波計測装置の技術分野に関する。
テラヘルツ波計測装置として、テラヘルツ時間領域分光法(Terahertz Time−Domain Spectroscopy)を利用する装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。テラヘルツ波計測装置は、以下の手順で、計測対象物の特性を分析する。まず、超短パルスレーザ光(例えば、フェムト秒パルスレーザ光)を分岐することで得られる一のレーザ光であるポンプ光(言い換えれば、励起光)が、バイアス電圧が印加されているテラヘルツ波発生素子(特に、テラヘルツ波発生素子が備えるダイポールアンテナのギャップ部)に照射される。その結果、テラヘルツ波発生素子は、テラヘルツ波を発生する。テラヘルツ波発生素子が発生したテラヘルツ波は、計測対象物に照射される。計測対象物に照射されたテラヘルツ波は、計測対象物からの反射光又は透過光として、超短パルスレーザ光を分岐することで得られる他のレーザ光であって且つポンプ光に対する光学的な遅延(つまり、光路長差)が付与されたプローブ光(言い換えれば、励起光)が照射されているテラヘルツ波検出素子(特に、テラヘルツ波検出素子が備えるダイポールアンテナのギャップ部)に照射される。その結果、テラヘルツ波検出素子は、計測対象物で反射又は透過したテラヘルツ波の強度に応じた電流信号を検出する。当該検出されたテラヘルツ波(つまり、時間領域のテラヘルツ波であり、電流信号)をフーリエ変換することで、当該テラヘルツ波のスペクトル(つまり、振幅及び位相の周波数応答特性)等が取得される。その結果、当該テラヘルツ波のスペクトルを解析することで、計測対象物の特性が分析される。
国際公開第2000/079248号パンフレット 特開2001−21503号公報
ここで、プローブ光(或いは、ポンプ光)に付与される光学的な遅延は、入射する光を再帰反射することが可能な再帰性反射鏡に対してプローブ光(或いは、ポンプ光)を入射させることで付与されることが多い。尚、ここでいう「再帰反射」とは、入射光を、当該入射光の入射方向と平行な方向に向けて反射する状態を示す。再帰性反射鏡の一例としては、リトロリフレクタが例示される。しかしながら、リトロリフレクタを製造するためには、夫々の反射面が互いに90度の角度を有して交わる3つの反射鏡を高精度に配置する必要がある。このため、高い偏角精度(つまり、入射光に対する反射光の平行度)を有するリトロリフレクタの製造が困難である。このため、製造の容易性という観点から、夫々の反射面が90度の角度を有して交わる2つの反射鏡からなる再帰性反射鏡が用いられることが多い。
しかしながら、2つの反射鏡からなる再帰性反射鏡では、3つの反射鏡からなるリトロリフレクタとは異なり、振動等に起因して再帰性反射鏡が傾いた場合には、当該再帰性反射鏡が傾いた方向によっては、再帰反射することができなくなることがある。例えば、再帰性反射鏡が再帰反射している状態での入射光の光路及び反射光の光路を含む平面に沿う方向に沿って2つの反射鏡が傾いたとしても、再帰性反射鏡は、再帰反射し続けることができる。一方で、再帰性反射鏡が再帰反射している状態での入射光の光路及び反射光の光路を含む平面に沿った方向とは異なる方向に2つの反射鏡が傾いた場合には、再帰性反射鏡は、再帰反射することができなくなってしまう。再帰反射鏡が再帰反射することができない場合には、再帰性反射鏡によって反射されたプローブ光(或いは、ポンプ光)がテラヘルツ波検出素子(或いは、テラヘルツ波発生素子)のギャップ部に適切に照射されなくなるおそれがある。つまり、プローブ光(或いは、ポンプ光)のビームスポットとギャップ部とが一致しないおそれがある。
尚、プローブ光(或いは、ポンプ光)がテラヘルツ波検出素子(或いは、テラヘルツ波発生素子)のギャップ部に適切に照射されなくなる状態は、再帰反射鏡の傾きのみならず、その他の要因(例えば、テラヘルツ波計測装置を構成する各種部品の剛性不足や熱膨張等)によっても引き起こされる。
ここで、プローブ光がテラヘルツ波検出素子のギャップ部に適切に照射されなくなると、テラヘルツ波検出素子におけるテラヘルツ波の検出精度が悪化する。同様に、ポンプ光がテラヘルツ波発生素子のギャップ部に適切に照射されなくなると、テラヘルツ波発生素子が発生するテラヘルツ波の特性(例えば、振幅)が悪化する。その結果、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に影響が生じかねないという技術的な問題点が生じ得る。
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、テラヘルツ波を発生する又は検出するために用いられるレーザ光の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響を軽減することを可能とならしめるテラヘルツ波計測装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、第1のテラヘルツ波計測装置は、第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段とを備え、前記検出手段は、前記第2レーザ光の照射位置の第1方向に沿った位置ずれの許容度が、前記第2レーザ光の照射位置の前記第1方向とは異なる第2方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有しており、前記検出手段上における前記第2レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。
上記課題を解決するために、第2のテラヘルツ波計測装置は、第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段とを備え、前記発生手段は、前記第1レーザ光の照射位置の第1方向に沿った位置ずれの許容度が、前記第1レーザ光の照射位置の前記第1方向とは異なる第2方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有しており、前記発生手段上における前記第1レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。
第1実施例のテラヘルツ波計測装置の構成を示すブロック図である。 テラヘルツ波発生素子及びテラヘルツ波検出素子の夫々の構成を示す斜視図である。 再帰反射鏡の傾き(位置ずれ)に対するプローブ光の光路(入射光路及び反射光路)を示す平面図である。 プローブ光の焦点位置がテラヘルツ波検出素子のギャップに合わせられている場合のテラヘルツ波検出素子におけるプローブ光のビームスポットの様子を示す平面図及びこの場合のテラヘルツ波検出素子上でのプローブ光LB2の照射位置の位置ずれの量とテラヘルツ波検出素子から出力される電流信号との関係を示すグラフである。 プローブ光の焦点位置がテラヘルツ波検出素子のギャップに合わせられていない場合のテラヘルツ波検出素子におけるプローブ光のビームスポットの様子を示す平面図及びこの場合のテラヘルツ波検出素子上でのプローブ光LB2の照射位置の位置ずれの量とテラヘルツ波検出素子から出力される電流信号との関係を示すグラフである。 開口制限スリットによって整形されたプローブ光のビームスポットを示す平面図である。 開口制限スリットの一例を示す斜視図である。 開口制限スリットに代えて用いられる光学レンズの一例を示す斜視図である。 開口制限スリットを用いない場合のプローブ光の照射の態様を示す模式図である。 テラヘルツ波検出素子の他の例を示す平面図である。 第2実施例のテラヘルツ波計測装置の構成を示すブロック図である。
以下、テラヘルツ波計測装置の実施形態について順に説明する。
(第1実施形態のテラヘルツ波計測装置)
<1>
第1実施形態のテラヘルツ波計測装置は、第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段とを備え、前記検出手段は、前記第2レーザ光の照射位置の第1方向に沿った位置ずれの許容度が、前記第2レーザ光の照射位置の前記第1方向とは異なる第2方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有しており、前記検出手段上における前記第2レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。
第1実施形態のテラヘルツ波計測装置によれば、発生手段及び検出手段の動作により、テラヘルツ時間領域分光法(Terahertz Time−Domain Spectroscopy)を用いて、測定対象物に照射されたテラヘルツ波が検出される。検出されたテラヘルツ波は、測定対象物の特性の分析に利用される。尚、テラヘルツ時間領域分光法を用いたテラヘルツ波の検出方法自体は、既存の検出方法を用いてもよい。以下、テラヘルツ時間領域分光法を用いたテラヘルツ波の検出方法の概略について、簡単に説明する。
具体的には、発生手段は、当該発生手段に第1レーザ光が励起光(例えば、ポンプ光)として照射されることで、テラヘルツ波を発生させる。発生手段が発生したテラヘルツ波は、測定対象物に照射される。
検出手段は、当該検出手段に第2レーザ光が励起光(例えば、プローブ光)として照射されることで、測定対象物によって反射された又は測定対象物を透過したテラヘルツ波を検出する。
ここで、検出手段は、当該検出手段に照射される第2レーザ光の照射位置(つまり、検出手段上における照射位置)の位置ずれに対する方向依存性を有している。具体的には、検出手段は、当該検出手段に照射される第2レーザ光の照射位置の位置ずれの方向に依存して、当該検出手段によるテラヘルツ波の検出精度が変動するという方向依存性を有している。より具体的には、検出手段は、第2レーザ光の照射位置の第1方向に沿った位置ずれの許容度が、第2レーザ光の照射位置の第2方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有している。ここで、「位置ずれの許容度」は、位置ずれの発生を許容し得る度合いを示す。具体的には、「位置ずれの許容度」が大きいほど、位置ずれに起因したテラヘルツ波の検出精度に対する影響(言い換えれば、このようなテラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響)が小さくなる。従って、典型的には、第2レーザ光の照射位置が第1方向に沿って位置ずれした場合の検出手段によるテラヘルツ波の検出精度は、第2レーザ光の照射位置が第2方向に沿って位置ずれした場合の検出手段によるテラヘルツ波の検出精度よりも良好になる。このため、典型的には、第2レーザ光の照射位置が第1方向に沿って位置ずれした場合の分析精度は、第2レーザ光の照射位置が第2方向に沿って位置ずれした場合の分析精度よりも良好になる。
尚、第1方向と第2方向とは、互いに直交することが好ましい。但し、第1方向と第2方向とが互いに異なる方向である限りは、第1方向と第2方向とは、どのような方向であってもよい。
第1実施形態では特に、このような検出手段の方向依存性を考慮した上で、検出手段上での第2レーザ光のビームスポット(つまり、第2レーザ光が照射される検出手段の照射面上における第2レーザ光のビームスポット)が適切な形状を有するように、第2レーザ光が検出手段に照射される。言い換えれば、検出手段上での第2レーザ光のビームスポットが、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響を軽減することが可能な適切な形状を有するように、第2レーザ光が検出手段に照射される。
具体的には、検出手段上における第2レーザ光のビームスポットは、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第2方向に沿った長さが、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に大きくなる第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。つまり、第2レーザ光のビームスポットは、第2方向に沿った長手と第1方向に沿った短手とを有する形状を有している。
ここで、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第2方向に沿った第2レーザ光のビームスポットの長さが、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に大きくなる第1方向に沿った第2レーザ光のビームスポットの長さよりも長くならない比較例について検討する。比較例では、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第2方向に沿って第2レーザ光の照射位置が位置ずれした場合には、後述する間隙(ギャップ部)に第2レーザ光が照射されなくなってしまう可能性が相対的に高くなる。従って、検出手段におけるテラヘルツ波の検出精度が相対的に悪化してしまいかねない。つまり、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度が相対的に悪化してしまいかねない。しかるに、第1実施形態では、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第2方向に沿って第2レーザ光の照射位置が位置ずれした場合であっても、第2方向に沿った第2レーザ光のビームスポットの長さが相対的に大きいがゆえに、後述する間隙(ギャップ部)に第2レーザ光が照射され続けている可能性が相対的に高くなる。従って、第1実施形態では、比較例と比較して、検出手段におけるテラヘルツ波の検出精度の悪化が好適に抑制される。つまり、第1実施形態では、比較例と比較して、テラヘルツ波を検出するために用いられる第2レーザ光の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響が好適に軽減される。
<2>
第1実施形態のテラヘルツ波計測装置の他の態様では、前記検出手段は、間に間隙を挟み込むように延在する2つの導電部を備えており、前記第1方向は、前記間隙の延在方向に沿った方向であり、前記第2方向は、前記間隙の延在方向と異なる方向である。
この態様によれば、検出手段は、間隙が延在する方向に沿った第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が、間隙が延在する方向と異なる(好ましくは、交わる、より好ましくは、直交する)方向に沿った第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有する。
ここで、検出手段は、2つの導電部の間に位置する間隙に第2レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を検出する。従って、検出手段によるテラヘルツ波の検出精度を良好に維持するためには、2つの導電部の間に位置する間隙に第2レーザ光が照射されていることが好ましい。このような検出手段の特性を考慮すれば、間隙が延在する方向に沿って第2レーザ光の照射位置がずれた場合には、間隙が延在する方向と異なる(好ましくは、交わる、より好ましくは、直交する)方向に沿って第2レーザ光の照射位置がずれた場合と比較して、第2レーザ光が間隙に照射され続ける可能性は高くなる。従って、間隙が延在する方向に沿った第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度は、間隙が延在する方向とは異なる方向に沿った第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度よりも大きくなると推測される。つまり、間隙が延在する方向に沿った第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が最大になる可能性が高いと推測される。
この態様では、間隙が延在する方向とは異なるがゆえに第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第2方向に沿った第2レーザ光のビームスポットの長さが相対的に長くなる。従って、第2方向に沿って第2レーザ光の照射位置が位置ずれした場合であっても、間隙(ギャップ部)に第2レーザ光が照射され続けている可能性が相対的に高くなる。従って、比較例と比較して、テラヘルツ波を検出するために用いられる第2レーザ光の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響が好適に軽減される。
尚、第1方向は、間隙の延在方向に沿った方向及び間隙の延在方向に直交する方向の夫々とは異なる方向であり、第2方向は、第1方向に直交する方向であってもよい。或いは、第1方向は、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が最大になる方向であり、第2方向は、第1方向に交わる(好ましくは、直交する)方向であってもよい。或いは、第1方向は、検出手段によるテラヘルツ波の検出精度の、第2レーザ光の照射位置の位置ずれに起因した劣化量が最小となる方向であり、第2方向は、第1方向に交わる(好ましくは、直交する)方向であってもよい。
<3>
第1実施形態のテラヘルツ波計測装置の他の態様では、前記第2レーザ光が、(i)矩形状の又は楕円形状の開口制限スリット及び(ii)球面レンズとシリンドリカルレンズとを含む光学レンズのうちの少なくとも一方を介して前記検出手段に照射されることで、前記検出手段上における前記第2レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。
この態様によれば、簡易な形状(言い換えれば、構造)を有する開口制限スリットを透過した第2レーザ光が検出手段に照射されることで、第2レーザ光のビームスポットの形状を上述した所望の形状にすることができる。或いは、球面レンズとシリンドリカレンズとが組み合わせられた光学レンズを透過した第2レーザ光が検出手段に照射されることで、第2レーザ光のビームスポットの形状を上述した所望の形状にすることができる。
<4>
第1実施形態のテラヘルツ波計測装置の他の態様では、前記検出手段における前記第2レーザ光の照射面の法線に対して交わる方向から前記第2レーザ光が前記検出手段に照射されることで、前記検出手段上における前記第2レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。
この態様によれば、検出手段の照射面に対して斜めの方向(つまり、照射面の法線に対して交わる方向)から第2レーザ光が照射されることで、第2レーザ光のビームスポットの形状を上述した所望の形状にすることができる。その結果、上述した開口制限スリットや光学レンズ等の物理的な素子を追加することなく、第2レーザ光のビームスポットの形状を上述した所望の形状にすることができる。
<5>
第1実施形態のテラヘルツ波計測装置の他の態様では、前記発生手段は、前記第1レーザ光の照射位置の第3方向に沿った位置ずれの許容度が、前記第1レーザ光の照射位置の前記第3方向とは異なる第4方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有しており、前記発生手段上における前記第1レーザ光のビームスポットは、前記第4方向に沿った長さが前記第3方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。
この態様によれば、発生手段は、検出手段と同様に、方向依存性を有している。つまり、発生手段は、当該発生手段に照射される第1レーザ光の照射位置(つまり、発生手段上における照射位置)の位置ずれに対する方向依存性を有している。具体的には、発生手段は、当該発生手段に照射される第1レーザ光の照射位置の位置ずれの方向に依存して、当該発生手段が発生したテラヘルツ波の特性(例えば、振幅等)が変動するという方向依存性を有している。具体的には、発生手段は、第1レーザ光の照射位置の第3方向に沿った位置ずれの許容度が、第1レーザ光の照射位置の第4方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有している。従って、典型的には、第1レーザ光の照射位置が第3方向に沿って位置ずれした場合に発生手段が発生するテラヘルツ波の特性は、第1レーザ光の照射位置が第4方向に沿って位置ずれした場合に発生手段が発生するテラヘルツ波の特性よりも良好になる。このため、典型的には、第1レーザ光の照射位置が第3方向に沿って位置ずれした場合の分析精度は、第1レーザ光の照射位置が第4方向に沿って位置ずれした場合の分析精度よりも良好になる。
尚、第3方向と第4方向とは、互いに直交することが好ましい。但し、第3方向と第4方向とが互いに異なる方向である限りは、第3方向と第4方向とは、どのような方向であってもよい。
この態様では特に、このような発生手段の方向依存性を考慮した上で、発生手段上での第1レーザ光のビームスポット(つまり、第1レーザ光が照射される発生手段の照射面上における第1レーザ光のビームスポット)が適切な形状を有するように、第1レーザ光が発生手段に照射される。言い換えれば、発生手段上での第1レーザ光のビームスポットが、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響を軽減することが可能な適切な形状を有するように、第1レーザ光が発生手段に照射される。
具体的には、発生手段上における第1レーザ光のビームスポットは、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第4方向に沿った長さが、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に大きくなる第3方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。つまり、第1レーザ光のビームスポットは、第4方向に沿った長手と第3方向に沿った短手とを有する形状を有している。
ここで、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第4方向に沿った第1レーザ光のビームスポットの長さが、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に大きくなる第3方向に沿った第1レーザ光のビームスポットの長さよりも長くならない比較例について検討する。比較例では、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第4方向に沿って第1レーザ光の照射位置が位置ずれした場合には、後述する間隙(ギャップ部)に第1レーザ光が照射されなくなってしまう可能性が相対的に高くなる。従って、発生手段が発生するテラヘルツ波の特性が相対的に悪化してしまいかねない。つまり、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度が相対的に悪化してしまいかねない。しかるに、この態様では、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第4方向に沿って第1レーザ光の照射位置が位置ずれした場合であっても、第4方向に沿った第1レーザ光のビームスポットの長さが相対的に大きいがゆえに、後述する間隙(ギャップ部)に第1レーザ光が照射され続けている可能性が相対的に高くなる。従って、この態様では、比較例と比較して、発生手段が発生するテラヘルツ波の特性の悪化が好適に抑制される。つまり、この態様では、比較例と比較して、テラヘルツ波を発生するために用いられる第1レーザ光の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響が好適に軽減される。
(第2実施形態のテラヘルツ波計測装置)
<6>
第2実施形態のテラヘルツ波計測装置は、第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段とを備え、前記発生手段は、前記第1レーザ光の照射位置の第1方向に沿った位置ずれの許容度が、前記第1レーザ光の照射位置の前記第1方向とは異なる第2方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有しており、前記発生手段上における前記第1レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。
第2実施形態のテラヘルツ波計測装置によれば、第1実施形態のテラヘルツ波計測装置と同様に、発生手段、検出手段及び再帰反射手段の動作により、テラヘルツ時間領域分光法(Terahertz Time−Domain Spectroscopy)を用いて、測定対象物に照射されたテラヘルツ波が検出される。
ここで、発生手段は、当該発生手段に照射される第1レーザ光の照射位置(つまり、発生手段上における照射位置)の位置ずれに対する方向依存性を有している。具体的には、発生手段は、当該発生手段に照射される第1レーザ光の照射位置の位置ずれの方向に依存して、当該発生手段が発生したテラヘルツ波の特性(例えば、振幅等)が変動するという方向依存性を有している。具体的には、発生手段は、第1レーザ光の照射位置の第1方向に沿った位置ずれの許容度が、第1レーザ光の照射位置の第2方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有している。従って、典型的には、第1レーザ光の照射位置が第1方向に沿って位置ずれした場合に発生手段が発生するテラヘルツ波の特性は、第1レーザ光の照射位置が第2方向に沿って位置ずれした場合に発生手段が発生するテラヘルツ波の特性よりも良好になる。このため、典型的には、第1レーザ光の照射位置が第1方向に沿って位置ずれした場合の分析精度は、第1レーザ光の照射位置が第2方向に沿って位置ずれした場合の分析精度よりも良好になる。
尚、第1実施形態と同様に、第1方向と第2方向とは、互いに直交することが好ましい。但し、第1方向と第2方向とが互いに異なる方向である限りは、第1方向と第2方向とは、どのような方向であってもよい。
第2実施形態では特に、このような発生手段の方向依存性を考慮した上で、発生手段上での第1レーザ光のビームスポット(つまり、第1レーザ光が照射される発生手段の照射面上における第1レーザ光のビームスポット)が適切な形状を有するように、第1レーザ光が発生手段に照射される。言い換えれば、発生手段上での第1レーザ光のビームスポットが、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響を軽減することが可能な適切な形状を有するように、第1レーザ光が発生手段に照射される。
具体的には、発生手段上における第1レーザ光のビームスポットは、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第2方向に沿った長さが、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に大きくなる第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。つまり、第1レーザ光のビームスポットは、第2方向に沿った長手と第1方向に沿った短手とを有する形状を有している。
ここで、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第2方向に沿った第1レーザ光のビームスポットの長さが、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に大きくなる第1方向に沿った第1レーザ光のビームスポットの長さよりも長くならない比較例について検討する。比較例では、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第2方向に沿って第1レーザ光の照射位置が位置ずれした場合には、後述する間隙(ギャップ部)に第1レーザ光が照射されなくなってしまう可能性が相対的に高くなる。従って、発生手段が発生するテラヘルツ波の特性が相対的に悪化してしまいかねない。つまり、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度が相対的に悪化してしまいかねない。しかるに、この態様では、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第2方向に沿って第1レーザ光の照射位置が位置ずれした場合であっても、第2方向に沿った第1レーザ光のビームスポットの長さが相対的に大きいがゆえに、後述する間隙(ギャップ部)に第1レーザ光が照射され続けている可能性が相対的に高くなる。従って、この態様では、比較例と比較して、発生手段が発生するテラヘルツ波の特性の悪化が好適に抑制される。つまり、この態様では、比較例と比較して、テラヘルツ波を発生するために用いられる第1レーザ光の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響が好適に軽減される。
<7>
第2実施形態のテラヘルツ波計測装置の他の態様では、前記発生手段は、間に間隙を挟み込むように延在する2つの導電部を備えており、前記第1方向は、前記間隙の延在方向に沿った方向であり、前記第2方向は、前記間隙の延在方向と異なる方向である。
この態様によれば、発生手段は、間隙が延在する方向に沿った第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が、間隙が延在する方向と異なる(好ましくは、交わる、より好ましくは、直交する)方向に沿った第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有する。
ここで、発生手段は、2つの導電部の間に位置する間隙に第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する。従って、発生手段が発生するテラヘルツ波の特性を良好に維持するためには、2つの導電部の間に位置する間隙に第1レーザ光が照射されていることが好ましい。このような発生手段の特性を考慮すれば、間隙が延在する方向に沿って第1レーザ光の照射位置がずれた場合には、間隙が延在する方向と異なる(好ましくは、交わる、より好ましくは、直交する)方向に沿って第1レーザ光の照射位置がずれた場合と比較して、第1レーザ光が間隙に照射され続ける可能性は高くなる。従って、間隙が延在する方向に沿った第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度は、間隙が延在する方向とは異なる方向に沿った第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度よりも大きくなると推測される。つまり、間隙が延在する方向に沿った第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が最大になる可能性が高いと推測される。
この態様では、間隙が延在する方向とは異なるがゆえに第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第2方向に沿った第1レーザ光のビームスポットの長さが相対的に長くなる。従って、第2方向に沿って第1レーザ光の照射位置が位置ずれした場合であっても、間隙(ギャップ部)に第1レーザ光が照射され続けている可能性が相対的に高くなる。従って、比較例と比較して、テラヘルツ波を検出するために用いられる第2レーザ光の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響が好適に軽減される。
尚、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1方向は、間隙の延在方向に沿った方向及び間隙の延在方向に直交する方向の夫々とは異なる方向であり、第2方向は、第1方向に直交する方向であってもよい。或いは、第1方向は、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が最大になる方向であり、第2方向は、第1方向に交わる(好ましくは、直交する)方向であってもよい。或いは、第1方向は、発生手段が発生するテラヘルツ波の特性の、第1レーザ光の照射位置の位置ずれに起因した劣化量が最小となる方向であり、第2方向は、第1方向に交わる(好ましくは、直交する)方向であってもよい。
<8>
第2実施形態のテラヘルツ波計測装置の他の態様では、前記第1レーザ光が、(i)矩形状の又は楕円形状の開口制限スリット及び(ii)球面レンズとシリンドリカルレンズとを含む光学レンズのうちの少なくとも一方を介して前記発生手段に照射されることで、前記発生手段上における前記第1レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。
この態様によれば、簡易な形状(言い換えれば、構造)を有する開口制限スリットを透過した第1レーザ光が発生手段に照射されることで、第1レーザ光のビームスポットの形状を上述した所望の形状にすることができる。或いは、球面レンズとシリンドリカレンズとが組み合わせられた光学レンズを透過した第1レーザ光が発生手段に照射されることで、第1レーザ光のビームスポットの形状を上述した所望の形状にすることができる。
<9>
第2実施形態のテラヘルツ波計測装置の他の態様では、前記発生手段における前記第1レーザ光の照射面の法線に対して交わる方向から前記第1レーザ光が前記発生手段に照射されることで、前記発生手段上における前記第1レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。
この態様によれば、発生手段の照射面に対して斜めの方向(つまり、照射面の法線に対して交わる方向)から第1レーザ光が照射されることで、第1レーザ光のビームスポットの形状を上述した所望の形状にすることができる。その結果、上述した開口制限スリットや光学レンズ等の物理的な素子を追加することなく、第1レーザ光のビームスポットの形状を上述した所望の形状にすることができる。
<10>
第2実施形態のテラヘルツ波計測装置の他の態様では、前記検出手段は、前記第2レーザ光の照射位置の第3方向に沿った位置ずれの許容度が、前記第2レーザ光の照射位置の前記第3方向とは異なる第4方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有しており、前記検出手段上における前記第2レーザ光のビームスポットは、前記第4方向に沿った長さが前記第3方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。
この態様によれば、検出手段は、発生手段と同様に、方向依存性を有している。つまり、検出手段は、当該検出手段に照射される第2レーザ光の照射位置(つまり、検出手段上における照射位置)の位置ずれに対する方向依存性を有している。具体的には、検出手段は、当該検出手段に照射される第2レーザ光の照射位置の位置ずれの方向に依存して、当該検出手段によるテラヘルツ波の検出精度が変動するという方向依存性を有している。より具体的には、検出手段は、第2レーザ光の照射位置の第3方向に沿った位置ずれの許容度が、第2レーザ光の照射位置の第4方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有している。従って、典型的には、第2レーザ光の照射位置が第3方向に沿って位置ずれした場合の検出手段によるテラヘルツ波の検出精度は、第2レーザ光の照射位置が第4方向に沿って位置ずれした場合の検出手段によるテラヘルツ波の検出精度よりも良好になる。このため、典型的には、第2レーザ光の照射位置が第3方向に沿って位置ずれした場合の分析精度は、第2レーザ光の照射位置が第4方向に沿って位置ずれした場合の分析精度よりも良好になる。
尚、第3方向と第4方向とは、互いに直交することが好ましい。但し、第3方向と第4方向とが互いに異なる方向である限りは、第3方向と第4方向とは、どのような方向であってもよい。
この態様では特に、このような検出手段の方向依存性を考慮した上で、検出手段上での第2レーザ光のビームスポット(つまり、第2レーザ光が照射される検出手段の照射面上における第2レーザ光のビームスポット)が適切な形状を有するように、第2レーザ光が検出手段に照射される。言い換えれば、検出手段上での第2レーザ光のビームスポットが、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響を軽減することが可能な適切な形状を有するように、第2レーザ光が検出手段に照射される。
具体的には、検出手段上における第2レーザ光のビームスポットは、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第4方向に沿った長さが、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に大きくなる第3方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。つまり、第2レーザ光のビームスポットは、第4方向に沿った長手と第3方向に沿った短手とを有する形状を有している。
ここで、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第4方向に沿った第2レーザ光のビームスポットの長さが、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に大きくなる第3方向に沿った第2レーザ光のビームスポットの長さよりも長くならない比較例について検討する。比較例では、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第4方向に沿って第2レーザ光の照射位置が位置ずれした場合には、後述する間隙(ギャップ部)に第2レーザ光が照射されなくなってしまう可能性が相対的に高くなる。従って、検出手段におけるテラヘルツ波の検出精度が相対的に悪化してしまいかねない。つまり、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度が相対的に悪化してしまいかねない。しかるに、この態様では、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第4方向に沿って第2レーザ光の照射位置が位置ずれした場合であっても、第4方向に沿った第2レーザ光のビームスポットの長さが相対的に大きいがゆえに、後述する間隙(ギャップ部)に第2レーザ光が照射され続けている可能性が相対的に高くなる。従って、この態様では、比較例と比較して、検出手段におけるテラヘルツ波の検出精度の悪化が好適に抑制される。つまり、この態様では、比較例と比較して、テラヘルツ波を検出するために用いられる第2レーザ光の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響が好適に軽減される。
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされる。
以上説明したように、第1実施形態のテラヘルツ波計測装置は、発生手段と、検出手段とを備え、検出手段上における第2レーザ光のビームスポットは、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第2方向に沿った長さが、第2レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に大きくなる第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。第2実施形態のテラヘルツ波計測装置は、発生手段と、検出手段とを備え、発生手段上における第1レーザ光のビームスポットは、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に小さくなる第2方向に沿った長さが、第1レーザ光の照射位置の位置ずれの許容度が相対的に大きくなる第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している。従って、テラヘルツ波を発生する又は検出するために用いられる第1又は第2レーザ光の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波を用いた計測対象物の特性の分析精度に対する影響を軽減することができる。
以下、図面を参照しながら、実施例について説明する。
(1)第1実施例
初めに、図1から図10を参照しながら、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100について説明する。
(1−1)テラヘルツ波計測装置の構成
初めに、図1を参照しながら、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100の構成について説明する。図1は、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、テラヘルツ波計測装置100は、テラヘルツ波THzを測定対象物に照射すると共に、測定対象物を透過した又は測定対象物から反射したテラヘルツ波THz(つまり、測定対象物に照射されたテラヘルツ波THz)を検出する。
テラヘルツ波THzは、1テラヘルツ(1THz=1012Hz)前後の周波数領域(つまり、テラヘルツ領域)に属する電磁波である。テラヘルツ領域は、光の直進性と電磁波の透過性を兼ね備えた周波数領域である。テラヘルツ領域は、様々な物質が固有の吸収スペクトルを有する周波数領域である。従って、テラヘルツ波計測装置100は、測定対象物に照射されたテラヘルツ波THzの周波数スペクトルを解析することで、測定対象物の特性を分析することができる。
測定対象物に照射されたテラヘルツ波THzの周波数スペクトルを取得するために、テラヘルツ波計測装置100は、テラヘルツ時間領域分光法(Terahertz Time−Domain Spectroscopy)を採用している。テラヘルツ時間領域分光法は、テラヘルツ波THzを測定対象物に照射すると共に、測定対象物を透過した又は測定対象物から反射したテラヘルツ波THzの時間波形をフーリエ変換することで、当該テラヘルツ波の周波数スペクトル(つまり、周波数毎の振幅及び位相)を取得する方法である。
ここで、テラヘルツ波THzの周期は、サブピコ秒のオーダーの周期であるがゆえに、当該テラヘルツ波THzの時間波形を直接的に検出することが技術的に困難である。そこで、テラヘルツ波計測装置100は、時間遅延走査に基づくポンプ・プローブ法を採用する、テラヘルツ波THzの時間波形を間接的に検出する。
図1に示すように、このようなテラヘルツ時間領域分光法及びポンプ・プローブ法を採用するテラヘルツ波計測装置100は、パルスレーザ装置101と、「発生手段」の一具体例であるテラヘルツ波発生素子110と、ビームスプリッタ161と、反射鏡162と、反射鏡163と、光遅延器120と、「検出手段」の一具体例であるテラヘルツ波検出素子130と、バイアス電圧生成部141と、I−V(電流−電圧)変換部144と、ロックイン検出部145と、演算処理部150と、開口制限スリット170とを備えている。
パルスレーザ装置101は、当該パルスレーザ装置101に入力される駆動電流に応じた光強度を有するサブピコ秒オーダー又はフェムト秒オーダーのパルスレーザ光LBを生成する。パルスレーザ装置101が生成したパルスレーザ光LBは、不図示の導光路(例えば、光ファイバ等)を介して、ビームスプリッタ161に入射する。
ビームスプリッタ161は、パルスレーザ光LBを、「第1レーザ光」の一具体例であるポンプ光LB1と「第2レーザ光」の一具体例であるプローブ光LB2とに分岐する。ポンプ光LB1は、不図示の導光路を介して、テラヘルツ波発生素子110に入射する。一方で、プローブ光LB2は、不図示の導光路及び反射鏡162を介して、光遅延器120に入射する。
光遅延器120は、ポンプ光LB1の光路長とプローブ光LB2の光路長との間の差分(つまり、光路長差)を調整する。具体的には、光遅延器120は、プローブ光LB2の光路長を調整することで、ポンプ光LB1の光路長とプローブ光LB2の光路長との間の光路長差を調整する。尚、ポンプ光LB1の光路長とプローブ光LB2の光路長との間の光路長差を調整することで、ポンプ光LB1がテラヘルツ波発生素子110に入射するタイミング(或いは、テラヘルツ波発生素子110から出射するテラヘルツ波THzがテラヘルツ波検出素子130に入射するタイミング)と、プローブ光LB2がテラヘルツ波検出素子130に入射するタイミングとの間の相対的なずれ量を調整することができる。例えば、光遅延器120によってプローブ光LB2の光路が0.3ミリメートル(但し、空気中での光路長)だけ長くなると、プローブ光LB2がテラヘルツ波検出素子130に入射するタイミングが1ピコ秒だけ遅くなる。この場合、テラヘルツ波検出素子130がテラヘルツ波THzを検出するタイミングが、1ピコ秒だけ遅くなる。テラヘルツ波検出素子130に対して同一の波形を有するテラヘルツ波THzが数十MHz程度の間隔で繰り返し入射することを考慮すれば、テラヘルツ波検出素子130がテラヘルツ波THzを検出するタイミングを徐々にずらすことで、テラヘルツ波検出素子130は、テラヘルツ波THzの時間波形を間接的に検出することができる。
尚、図1は、光遅延器120がプローブ光LB2の光路に配置されているテラヘルツ波計測装置100を示している。しかしながら、光遅延器120は、プローブ光LB2の光路に加えて又は代えて、ポンプ光LB1の光路に配置されてもよい。つまり、光遅延器120は、プローブ光LB2の光路長を調整することに加えて又は代えて、ポンプ光LB1の光路長を調整することで、ポンプ光LB1の光路長とプローブ光LB2の光路長との間の光路長差を調整してもよい。
プローブ光LB2の光路長を調整するために、光遅延器120は、再帰反射鏡121と、送りネジ機構122と、モータ123とを備えている。
再帰反射鏡121は、当該再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2を再帰反射する。つまり、再帰反射鏡121は、当該再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2を、当該プローブ光LB2の入射方向と平行な方向に向けて反射する。第1実施例では、再帰反射鏡121は、90度の角度で交わる第1反射面121aと第2反射面121bとを備えている。第1反射面121aは、再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2を、第2反射面121bに向けて反射する。第2反射面121bは、第1反射面121aから第2反射面121bに入射してくるプローブ光LB2を、光遅延器120の外部(例えば、反射鏡163)に向けて反射する。
再帰反射鏡121は、送りネジ機構122に嵌合する送り溝を備えている。その結果、再帰反射鏡121は、モータ123の駆動による送りネジ機構122の回転に合わせて、プローブ光LB2の光路(具体的には、再帰反射光121に入射する時点でのプローブ光LB2の光路であって、図1中の上下方向)に沿って移動する。再帰反射鏡121の移動により、プローブ光LB2の光路長が調整される。
尚、再帰反射鏡121の移動は、演算処理部150の制御の下で行われる。つまり、演算処理部150は、モータ123の駆動量を指定する制御信号をモータ123に出力することで、モータ123の動作を制御する。
光遅延器120から出射したプローブ光LB2は、不図示の導光路、反射鏡163及び開口制限スリット170を介して、テラヘルツ波検出素子130に入射する。
ここで、図2を参照しながら、ポンプ光LB1が照射されるテラヘルツ波発生素子110及びプローブ光LB2が照射されるテラヘルツ波検出素子130について更に詳細に説明する。図2は、テラヘルツ波発生素子110及びテラヘルツ波検出素子130の夫々の構成を示す斜視図である。尚、図2に示すテラヘルツ波発生素子110及びテラヘルツ波検出素子130の構成はあくまで一例であり、図2に示す構成とは異なる構成を有する光伝導アンテナ又は光伝導スイッチが、テラヘルツ波発生素子110及びテラヘルツ波検出素子130として用いられてもよい。
図2(a)に示すように、テラヘルツ波発生素子110は、基板111と、「導電部」の一具体例であるアンテナ(言い換えれば、伝送線路)112と、「導電部」の一具体例であるアンテナ(言い換えれば、伝送線路)113とを備えている。尚、図2(a)中のX1軸、Y1軸及びZ1軸は、夫々が90度の角度で互いに交わる3つの軸に相当する。
基板111は、例えば、GaAs(Gallium Arsenide)基板等の半導体基板である。アンテナ112及びアンテナ113の夫々は、長手方向(具体的には、図2(a)中のZ1軸方向)に延在する形状を有するモノポールアンテナである。アンテナ112及びアンテナ113は、短手方向(具体的には、図2(a)中のY1軸方向)に沿って並列するように基板111上に配置される。アンテナ112とアンテナ113との間には、数マイクロメートル程度のギャップ(つまり、間隙)114が確保される。ギャップ114が長手方向に延在するアンテナ112及びアンテナ113に挟まれているがゆえに、ギャップ114もまた、長手方向(具体的には、図2(a)中のZ1軸方向)に延在している。従って、アンテナ112及びアンテナ113全体として、ダイポールアンテナを構成する。
ギャップ114には、アンテナ112及びアンテナ113を介して、バイアス電圧生成部141から出力されるバイアス電圧が印加されている。有効なバイアス電圧(例えば、0Vでないバイアス電圧)がギャップ114に印加されている状態でポンプ光LB1がギャップ114に照射されると、テラヘルツ波発生素子110には、ポンプ光LB1による光励起によってキャリアが発生する。その結果、テラヘルツ波発生素子110には、発生したキャリアに応じたサブピコ秒オーダーの又はフェムト秒オーダーのパルス状の電流信号が発生する。その結果、テラヘルツ波発生素子110には、当該パルス状の電流信号に起因したテラヘルツ波THzが発生する。
図2(b)に示すように、テラヘルツ波検出素子130もまた、テラヘルツ波発生素子110と同様の構成を有している。つまり、テラヘルツ波検出素子130は、基板131と、「導電部」の一具体例であるアンテナ(言い換えれば、伝送線路)132と、「導電部」の一具体例であるアンテナ(言い換えれば、伝送線路)133とを備えている。基板131、アンテナ132及びアンテナ133は、夫々、基板111、アンテナ112及びアンテナ113と同様の構成を有している。尚、図2(b)中のX1軸、Y1軸及びZ1軸もまた、夫々が90度の角度で互いに交わる3つの軸に相当する。
プローブ光LB2がギャップ134に照射されると、テラヘルツ波検出素子130には、プローブ光LB2による光励起によってキャリアが発生する。プローブ光LB2がギャップ134に照射されている状態でテラヘルツ波検出素子130にテラヘルツ波THzが照射されると、ギャップ134には、テラヘルツ波THzの光強度に応じた信号強度を有する電流信号が発生する。当該電流信号は、アンテナ132及びアンテナ133を介して、I−V変換部144に出力される。
再び図1において、テラヘルツ波発生素子110から出射したテラヘルツ波THzは、不図示の光学系(例えば、レンズ等)を介して、測定対象物に照射される。測定対象物に照射されたテラヘルツ波THzは、測定対象物からの反射光又は透過光として、不図示の光学系(例えば、レンズ等)を介して、テラヘルツ波検出素子130に入射する。その結果、テラヘルツ波検出素子130からは、テラヘルツ波THzの光強度に応じた信号強度を有する電流信号が出力される。
テラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号は、I―V変換部144によって、電圧信号に変換される。その後、ロックイン検出部145は、電圧信号に対して、バイアス電圧生成部141が生成するバイアス電圧を参照信号とする同期検波を行う。その結果、ロックイン検出部145は、テラヘルツ波THzのサンプル値を検出する。その後、ポンプ光LB1の光路長とプローブ光LB2の光路長との間の光路長差を適宜調整しながら同様の動作が繰り返されることで、ロックイン検出部145は、テラヘルツ波形の時間波形を検出することができる。ただし、ノイズに対して十分な信号強度が得られる場合はロックイン検出を用いなくてもよい。その後、演算処理部150は、検出されたテラヘルツ波形の時間波形をフーリエ変換することで、当該テラヘルツ波の周波数スペクトル(つまり、周波数毎の振幅及び位相)を取得してもよい。更に、演算処理部150は、テラヘルツ波の周波数スペクトルを解析することで、測定対象物の特性を分析してもよい。
このようなテラヘルツ波計測装置100において、第1実施例では、開口制限スリット170は、プローブ光LB2の開口幅を制限する。その結果、開口制限スリット170を透過した後にテラヘルツ波検出素子130に照射されるプローブ光LB2のビームスポットの形状は、所望の形状に整形される。言い換えれば、開口制限スリット170により、テラヘルツ波検出素子130に照射されるプローブ光LB2のビームスポットの形状は、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波検出素子130によるテラヘルツ波THzの検出精度(言い換えれば、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度)に対する影響を軽減することが可能な所望の形状に整形される。以下、プローブ光LB2のビームスポットの形状について詳細に説明する。
(1−2)テラヘルツ波検出素子及び再帰反射鏡の配置態様
続いて、図3から図8を参照して、テラヘルツ波検出素子130及び再帰反射鏡121の配置態様について説明する。図3は、再帰反射鏡121の傾き(位置ずれ)に対するプローブ光LB2の光路(入射光路及び反射光路)を示す平面図である。図4は、プローブ光LB2の焦点位置がテラヘルツ波検出素子130のギャップ134に合わせられている場合のテラヘルツ波検出素子130におけるプローブ光LB2のビームスポットの様子を示す平面図及びこの場合のテラヘルツ波検出素子130上でのプローブ光LB2の照射位置の位置ずれの量とテラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号との関係を示すグラフである。図5は、プローブ光LB2の焦点位置がテラヘルツ波検出素子130のギャップ134に合わせられていない場合のテラヘルツ波検出素子130におけるプローブ光LB2のビームスポットの様子を示す平面図及びこの場合のテラヘルツ波検出素子130上でのプローブ光LB2の照射位置の位置ずれの量とテラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号との関係を示すグラフである。図6は、開口制限スリット170によって整形されたプローブ光LB2のビームスポットを示す平面図である。図7は、開口制限スリット170の一例を示す斜視図である。図8は、開口制限スリット170に代えて用いられる光学レンズ173の一例を示す斜視図である。図9は、開口制限スリット170を用いない場合のプローブ光LB2の照射の態様を示す模式図である。
まず、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100は、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波検出素子130によるテラヘルツ波THzの検出精度(言い換えれば、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度)に対する影響を軽減することを目的として、開口制限スリット170を有している。
テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置の位置ずれが生じる要因の一例として、例えば、再帰反射鏡121の方向依存性があげられる。以下、再帰反射鏡121の方向依存性について説明する。
再帰反射鏡121は、プローブ光LB2を適切に再帰反射することができるか否かが、当該再帰反射鏡121の傾きの方向に依存して定まるという方向依存性を有している。ここで、図3(a)及び図3(b)に示すように、2つの反射面121a及び121bの夫々が、直交する2つの軸であるX2軸及びY2軸によって規定される平面に直交する再帰反射鏡121を例に挙げて説明する。
図3(a)に示すように、再帰反射鏡121が、当該再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路及び当該再帰反射鏡121から出射していくプローブ光LB2の反射光路を含む平面(図3(a)中のX2−Y2平面)に沿った方向であって且つプローブ光LB2の入射光路及び反射光路の夫々に直交する方向(具体的には、図3(a)のY2軸方向)に沿って傾いた場合を想定する。言い換えれば、再帰反射鏡121が、プローブ光LB2の入射光路及び反射光路を含む平面に直交する方向(具体的には、図3(a)中のZ2軸方向)を回転中心として傾いた場合を想定する。更に言い換えれば、再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路を基準とするヨー方向(具体的には、図3(a)のY2軸方向)に沿って、当該再帰反射121が傾いた場合を想定する。
この場合には、図3(a)の下側の図面に示すように、再帰反射鏡121は、プローブ光LB2を再帰反射することができる。従って、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置が、再帰反射鏡121の傾きの方向(Y2軸方向であり、ヨー方向)に沿って位置ずれすることは殆どない。つまり、再帰反射鏡121は、再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路を基準とするヨー方向については、相対的に高い偏角精度を有している。
他方で、図3(b)に示すように、再帰反射鏡121が、当該再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路及び当該再帰反射鏡121から出射していくプローブ光LB2の反射光路を含む平面(図3(b)中のX2−Y2平面)に直交する方向(具体的には、図3(b)のZ2軸方向)に沿って傾いた場合を想定する。言い換えれば、再帰反射鏡121が、プローブ光LB2の入射光路及び反射光路を含む平面に沿った方向であって且つプローブ光LB2の入射光路及び反射光路の夫々に直交する方向(具体的には、図3(b)中のY2軸方向)を回転中心として傾いた場合を想定する。更に言い換えれば、再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路を基準とするピッチ方向(具体的には、図3(b)のZ2軸方向)に沿って、再帰反射鏡121が傾いた場合を想定する。
この場合には、図3(b)の下側の図面に示すように、再帰反射鏡121は、プローブ光LB2を再帰反射することができない。具体的には、再帰反射鏡121から出射していくプローブ光LB2の反射光路は、再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路に対して、再帰反射鏡121の傾きの方向(Z2軸方向であり、ピッチ方向)に沿って徐々にずれることになる。従って、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置もまた、再帰反射鏡121の傾きの方向(Z2軸方向であり、ピッチ方向)に沿って位置ずれすることになる。つまり、再帰反射鏡121は、再帰反射鏡121に入射してくるプローブ光LB2の入射光路を基準とするピッチ方向については、相対的に低い偏角精度を有している。
このように、再帰反射鏡121は、プローブ光LB2の入射光路を基準とするピッチ方向に沿った再帰反射鏡121の傾きによってプローブ光LB2を再帰反射することができなくなる一方で、プローブ光LB2の入射光路を基準とするヨー方向に沿った再帰反射鏡121の傾きが生じてもプローブ光LB2を再帰反射し続けることができるという方向依存性を有している。その結果、このような再帰反射鏡121の方向依存性に起因して、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置の位置ずれが生ずる。例えば、図3(b)に示す態様で再帰反射鏡121が傾いた場合には、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置の位置ずれが生じやすい。
尚、再帰反射鏡121の傾き以外の要因によって、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置の位置ずれが生じ得ることは言うまでもない。例えば、テラヘルツ波計測装置100を構成する各種部品の剛性不足や熱膨張等に起因しても、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置の位置ずれが生じ得る。
このようなテラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置の位置ずれは、テラヘルツ波検出素子130によるテラヘルツ波THzの検出精度(言い換えれば、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度)に対して影響を与えやすい。なぜならば、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置の位置ずれによって、プローブ光LB2がギャップ134に照射されなくなってしまうおそれがあるからである。プローブ光LB2がギャップ134に照射されなくなってしまうと、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度が悪化してしまうおそれがある。
ここで、テラヘルツ波検出素子130は、テラヘルツ波検出素子130上でのプローブ光LB2の照射位置がずれる方向に依存して、テラヘルツ波検出素子130によるテラヘルツ波THzの検出精度(具体的には、テラヘルツ波検出素子130が出力する電流信号の変動量)が変動するという方向依存性を有している。具体的には、上述したように、テラヘルツ波検出素子130は、プローブ光LB2がギャップ134に照射されている状態でギャップ134にテラヘルツ波THzが照射されると、電流信号を出力する。ここで、ギャップ134は、「第1方向」の一具体例であるZ1軸方向に沿って延在している。このようなギャップ134の延在方向を考慮すれば、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向(つまり、図4(a)のZ1軸方向)に沿ってずれたとしても、プローブ光LB2は、依然としてギャップ134に照射されて続けている可能性が相対的に高くなる。一方で、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向に直交する方向及びプローブ光LBの光路の方向(つまり、図4(a)のX1軸方向)の双方に直交する方向(つまり、図4(a)のY1軸方向)に沿ってずれたとすると、プローブ光LB2は、ギャップ134に照射されなくなる可能性が相対的に高くなる。言い換えれば、プローブ光LB2の照射位置がY1軸方向に沿ってずれた場合には、プローブ光LB2は、ギャップ134ではなく、Y1軸方向に沿ってギャップ134に隣接するアンテナ131やアンテナ132に照射されてしまう可能性が相対的に高くなる。
そうすると、図4(b)に示すように、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向(Z1軸方向)に沿ってずれた場合にテラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号の変動量(具体的には、減少量)は、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向に直交する方向(Y1軸方向)に沿ってずれた場合にテラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号の変動量(具体的には、減少量)よりも小さくなる。具体的には、図4(b)に示すように、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向(Z1軸方向)に沿ってずれた場合及び当該延在方向に直交する方向(Y1軸方向)に沿ってずれた場合のいずれにおいても、ずれ量が大きくなるほど、テラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号は減少する(尚、説明の簡略化のために、図4(b)の電流信号は、規格化されている)。しかしながら、図4(b)に示すように、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向(Z1軸方向)に沿って所定量ずれた場合にテラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号の減少量は、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向に直交する方向(Y1軸方向)に沿って同一量ずれた場合にテラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号の減少量よりも小さくなっている。典型的には、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向(Z1軸方向)に沿ってずれた場合には、テラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号の減少量が最小になることが多い。つまり、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向(Z1軸方向)に沿ってずれた場合には、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向に直交する方向(Y1軸方向)に沿ってずれた場合と比較して、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度に対する影響が小さいと言える。典型的には、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向(Z1軸方向)に沿ってずれた場合には、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度に対する影響が最小になることが多い。言い換えれば、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度に与える影響を軽減するという観点から見れば、ギャップ134の延在方向(Z1軸方向)に沿ったプローブ光LB2の照射位置の位置ずれは、ギャップ134の延在方向に直交する方向(Y1軸方向)に沿ったプローブ光LB2の照射位置の位置ずれよりも、許容されやすい。
このように、テラヘルツ波検出素子130は、ギャップ134の延在方向(Z1軸方向)に沿ったプローブ光LB2の照射位置の位置ずれに対する許容度が、ギャップ134の延在方向に直交する方向(Y1軸方向)に沿ったプローブ光LB2の照射位置の位置ずれに対する許容度よりも大きくなるという方向依存性を有している。従って、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度に与える影響を軽減するためには、位置ずれに対する許容度が相対的に小さくなる方向(つまり、ギャップ134の延在方向に直交する方向であって、Y1軸方向)に沿ってプローブ光LB2の照射位置が位置ずれした場合であっても、プローブ光LB2がギャップ134に照射され続ける可能性を高めることが好ましい。
ここで、図5(a)に示すように、プローブ光LB2がデフォーカスされた状態でギャップ134に照射されている場合を想定する。つまり、プローブ光LB2の焦点位置がテラヘルツ波検出素子130のギャップ134に合わせられていない(言い換えれば、焦点位置がX1軸方向に沿ってずれている)場合を想定する。この場合、プローブ光LB2のデフォーカスに伴って、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2のビームスポットの径が大きくなる。そうすると、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2の照射位置が、位置ずれに対する許容度が相対的に小さいY1軸方向(つまり、ギャップ134の延在方向に直交する方向)に沿って位置ずれしたとしても、プローブ光LB2がギャップ134に照射され続ける可能性が相対的に高くなる。その結果、図5(b)に示すように、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向(Z1軸方向)に沿ってずれた場合にテラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号の変動量と、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向に直交する方向(Y1軸方向)に沿ってずれた場合にテラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号の変動量との間の差分が、図4(b)に示す場合(つまり、プローブ光LB2がフォーカスされた状態でギャップ134に照射されている場合)の差分と比較して小さくなる。つまり、プローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向(Z1軸方向)に沿ってずれた場合とプローブ光LB2の照射位置がギャップ134の延在方向に直交する方向(Y1軸方向)に沿ってずれた場合とでは、テラヘルツ波検出素子130によるテラヘルツ波THzの検出精度(言い換えれば、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度)に対する影響の違いが小さくなるとも考えられる。
しかしながら、図5(c)に示すように、プローブ光LB2がデフォーカスされた状態でギャップ134に照射されているがゆえに、プローブ光LB2の絶対的なパワー(つまり、ギャップ134上におけるパワーの絶対量)が小さくなってしまう。従って、プローブ光LB2がデフォーカスされた状態でギャップ134に照射されている場合のテラヘルツ波検出素子130によるテラヘルツ波THzの検出精度(言い換えれば、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度)は、プローブ光LB2がフォーカスされた状態でギャップ134に照射されている場合のテラヘルツ波検出素子130によるテラヘルツ波THzの検出精度(言い換えれば、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度)よりも悪化してしまうおそれがある。
そこで、第1実施例では、フォーカスされた(つまり、焦点位置がテラヘルツ波検出素子130に合わせられている)プローブ光LB2がギャップ134に照射されている状態を維持したまま、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2のビームスポットの形状が整形される。具体的には、図6に示すように、開口制限スリット170は、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2のビームスポットの形状が楕円形状となるように、プローブ光LB2の開口幅を制限する。特に、開口制限スリット170は、プローブ光LB2のビームスポットの長軸が、プローブ光LB2の照射位置の位置ずれに対する許容度が相対的に小さい方向(つまり、ギャップ134が延在する方向に直交する方向であって、Y1軸方向)に沿うように、プローブ光LB2の開口幅を制限する。言い換えれば、開口制限スリット170は、プローブ光LB2のビームスポットの短軸が、プローブ光LB2の照射位置の位置ずれに対する許容度が相対的に大きい方向(つまり、ギャップ134が延在する方向であって、Z1軸方向)に沿うように、プローブ光LB2の開口幅を制限する。
このとき、開口制限スリット170は、プローブ光LB2のビームスポットの長軸が、開口制限スリット170を介することなくテラヘルツ波検出素子130に照射されており且つ焦点位置がテラヘルツ波検出素子130に合わせられているプローブ光LB2のビームスポットの径よりも長くなるように、プローブ光LB2の開口幅を制限することが好ましい。つまり、開口制限スリット170は、実質的には、プローブ光LB2の照射位置の位置ずれに対する許容度が相対的に小さい方向に沿ったプローブ光LB2のビームスポットのサイズが拡大するように、プローブ光LB2の開口幅を制限することが好ましい。
この場合、図7(a)に示すように、開口制限スリット170は、矩形形状(特に、長方形の形状)のスリットを有していてもよい。或いは、図7(b)に示すように、開口制限スリット170は、楕円形状のスリットを有していてもよい。このとき、スリットは、プローブ光LB2の照射位置の位置ずれに対する許容度が相対的に大きい方向(つまり、Z1軸方向)に沿って延在していることが好ましい。
その結果、位置ずれに対する許容度が相対的に小さくなる方向(つまり、ギャップ134の延在方向に直交する方向であって、Y1軸方向)に沿ってプローブ光LB2の照射位置が位置ずれした場合であっても、プローブ光LB2がギャップ134に照射され続ける可能性が相対的に高くなる。このため、プローブ光LB2の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度への影響が好適に軽減される。更には、フォーカスされた(言い換えれば、デフォーカスされていない)プローブ光LB2が照射されるがゆえに、プローブ光LB2のパワーの絶対量の減少に起因した、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度への影響もまた好適に軽減される。
尚、上述の例では、開口制限スリット170は、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2のビームスポットの形状が楕円形状となるように、プローブ光LB2の開口幅を制限している。しかしながら、開口制限スリット170は、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2のビームスポットの形状が楕円形状とは異なる任意の形状となるように、プローブ光LB2の開口幅を制限していてもよい。但し、プローブ光LB2のビームスポットの形状がどのような形状になる場合であっても、開口制限スリット170は、プローブ光LB2の照射位置の位置ずれに対する許容度が相対的に小さい方向(つまり、ギャップ134が延在する方向に直交する方向であって、Y1軸方向)に沿ったビームスポットの長さが、プローブ光LB2の照射位置の位置ずれに対する許容度が相対的に大きい方向(つまり、ギャップ134が延在する方向であって、Z1軸方向)に沿ったビームスポットの長さよりも長くなるように、プローブ光LB2の開口幅を制限することが好ましい。
また、上述の例では、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2のビームスポットは、開口制限スリット170によって整形されている。しかしながら、図8に示すように、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2のビームスポットは、球面レンズ171とシリンドリカルレンズ172を含む光学レンズ173によって整形されてもよい。或いは、図9に示すように、テラヘルツ波検出素子130上におけるプローブ光LB2のビームスポットは、テラヘルツ波検出素子130の照射面(つまり、アンテナ132及び133が形成されている基板131の表面)の法線に対して交わる方向(つまり、X1軸方向に交わる方向)からプローブ光LB2が照射されることで整形されてもよい。
また、上述したテラヘルツ波検出素子130はあくまで一例であって、図2(b)に例示したテラヘルツ波検出素子130とは異なるテラヘルツ波検出素子130が用いられてもよい。例えば、図10(a)に示すように、ストライプ型のアンテナ132a及びアンテナ133aを備えるテラヘルツ波検出素子130aが用いられてもよい。或いは、例えば、図10(b)に示すように、ボウタイ型のアンテナ132b及びアンテナ133bを備えるテラヘルツ波検出素子130bが用いられてもよい。或いは、例えば、図10(c)に示すように、スパイラル型のアンテナ132c及びアンテナ133cを備えるテラヘルツ波検出素子130cが用いられてもよい。いずれのテラヘルツ波検出素子130であっても、テラヘルツ波検出素子130上でのプローブ光LB2の照射位置がずれる方向に依存して、テラヘルツ波検出素子130によるテラヘルツ波THzの検出精度が変動するという方向依存性を有している。更には、図10(a)から図10(c)に例示したテラヘルツ波検出素子130に限らず、テラヘルツ波検出素子130上でのプローブ光LB2の照射位置がずれる方向に依存して、テラヘルツ波検出素子130によるテラヘルツ波THzの検出精度が変動するという方向依存性を有している限りは、どのようなテラヘルツ波検出素子130が用いられてもよい。
また、テラヘルツ波発生素子110もまた、テラヘルツ波検出素子130と同様に、図2(a)に例示したテラヘルツ波発生素子110とは異なるテラヘルツ波発生素子110(例えば、図10(a)から図10(c)参照)が用いられてもよい。
(2)第2実施例
続いて、図11を参照しながら、第2実施例のテラヘルツ波計測装置200について説明する。図11は、第2実施例のテラヘルツ波計測装置200の構成を示すブロック図である。尚、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100と同一の構成及び動作については、同一の参照符号及びステップ番号を付することで、それらの詳細な説明を省略する。
図11に示すように、第2実施例のテラヘルツ波計測装置200は、開口制限スリット170の配置位置が異なるという点において、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100と異なる。つまり、第2実施例のテラヘルツ波計測装置200は、開口制限スリット170がポンプ光LB1の光路に配置されるという点で、開口制限スリット170がプローブ光LB2の光路に配置される第1実施例のテラヘルツ波計測装置100と異なる。第2実施例のテラヘルツ波計測装置200のその他の構成は、第1実施例のテラヘルツ波計測装置100のその他の構成と同一であってもよい。
ここで、テラヘルツ波発生素子110もまた、テラヘルツ波検出素子130と同様に、テラヘルツ波発生素子110上でのポンプ光LB1の照射位置がずれる方向に依存して、テラヘルツ波発生素子110が発生するテラヘルツ波THzの特性(例えば、振幅)が変動するという方向依存性を有している。具体的には、上述したように、テラヘルツ波発生素子110は、ポンプ光LB1がギャップ114に照射されている状態でギャップ114にバイアス電圧が印加されると、テラヘルツ波THzを発生する。ここで、ギャップ114は、Z1軸方向に沿って延在している(図2(a)参照)。このようなギャップ114の延在方向を考慮すれば、ポンプ光LB1の照射位置がギャップ114の延在方向(つまり、図2(a)のZ1軸方向)に沿ってずれたとしても、ポンプ光LB1は、依然としてギャップ114に照射されて続けている可能性が相対的に高くなる。一方で、ポンプ光LB1の照射位置がギャップ114の延在方向に直交する方向(つまり、図2(a)のY1軸方向)に沿ってずれたとすると、ポンプ光LB1は、ギャップ114に照射されなくなる可能性が相対的に高くなる。
そうすると、ポンプ光LB1の照射位置がギャップ114の延在方向(Z1軸方向)に沿ってずれた場合にテラヘルツ波発生素子110が発生するテラヘルツ波THzの振幅の変動量(具体的には、減少量)は、ポンプ光LB1の照射位置がギャップ114の延在方向に直交する(Y1軸方向)に沿ってずれた場合にテラヘルツ波発生素子110が発生するテラヘルツ波THzの振幅の変動量(具体的には、減少量)よりも小さくなる。典型的には、ポンプ光LB1の照射位置がギャップ114の延在方向(Z1軸方向)に沿ってずれた場合には、テラヘルツ波発生素子110が発生するテラヘルツ波THzの振幅の減少量が最小になることが多い。つまり、ポンプ光LB1の照射位置がギャップ114の延在方向(Z1軸方向)に沿ってずれた場合には、ポンプ光LB1の照射位置がギャップ114の延在方向に直交する方向(Y1軸方向)に沿ってずれた場合と比較して、テラヘルツ波発生素子110が発生するテラヘルツ波THzの特性(言い換えれば、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度)に対する影響が小さいと言える。典型的には、ポンプ光LB1の照射位置がギャップ114の延在方向(Z1軸方向)に沿ってずれた場合には、テラヘルツ波発生素子110が発生するテラヘルツ波THzの特性(言い換えれば、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度)に対する影響が最小になることが多い。言い換えれば、テラヘルツ波発生素子110が発生するテラヘルツ波THzの特性(言い換えれば、テラヘルツ波計測装置100による測定対象物の特性の分析精度)に与える影響を軽減するという観点から見れば、ギャップ114の延在方向(Z1軸方向)に沿ったポンプ光LB1の照射位置の位置ずれは、ギャップ114の延在方向に直交する方向(Y1軸方向)に沿ったポンプ光LB1の照射位置の位置ずれよりも、許容されやすい。
このように、テラヘルツ波発生素子110は、ギャップ114の延在方向(Z1軸方向)に沿ったポンプ光LB1の照射位置の位置ずれに対する許容度が、ギャップ114の延在方向に直交する方向(Y1軸方向)に沿ったポンプ光LB1の照射位置の位置ずれに対する許容度よりも大きくなるという方向依存性を有している。従って、テラヘルツ波計測装置200による測定対象物の特性の分析精度に与える影響を軽減するためには、位置ずれに対する許容度が相対的に小さくなる方向(つまり、ギャップ114の延在方向に直交する方向であって、Y1軸方向)に沿ってポンプ光LB1の照射位置が位置ずれした場合であっても、ポンプ光LB1がギャップ114に照射され続ける可能性を高めることが好ましい。
そこで、第2実施例においても、第1実施例と同様に、開口制限スリット170は、テラヘルツ波発生素子110上におけるポンプ光LB1のビームスポットの形状が楕円形状となるように、ポンプ光LB1の開口幅を制限する。特に、開口制限スリット170は、ポンプ光LB1のビームスポットの長軸が、ポンプ光LB1の照射位置の位置ずれに対する許容度が相対的に小さい方向(つまり、ギャップ114が延在する方向に直交する方向であって、Y1軸方向)に沿うように、ポンプ光LB1の開口幅を制限する。言い換えれば、開口制限スリット170は、ポンプ光LB1のビームスポットの短軸が、ポンプ光LB1の照射位置の位置ずれに対する許容度が相対的に大きい方向(つまり、ギャップ114が延在する方向であって、Z1軸方向)に沿うように、ポンプ光LB1の開口幅を制限する。
このとき、開口制限スリット170は、ポンプ光LB1のビームスポットの長軸が、開口制限スリット170を介することなくテラヘルツ波発生素子110に照射されており且つ焦点位置がテラヘルツ波発生素子110に合わせられているポンプ光LB1のビームスポットの径よりも長くなるように、ポンプ光LB1の開口幅を制限することが好ましい。つまり、開口制限スリット170は、実質的には、ポンプ光LB1の照射位置の位置ずれに対する許容度が相対的に小さい方向に沿ったポンプ光LB1のビームスポットのサイズが拡大するように、ポンプ光LB1の開口幅を制限することが好ましい。
その結果、位置ずれに対する許容度が相対的に小さくなる方向(つまり、ギャップ114の延在方向に直交する方向であって、Y1軸方向)に沿ってポンプ光LB1の照射位置が位置ずれした場合であっても、ポンプ光LB1がギャップ114に照射され続ける可能性が相対的に高くなる。このため、ポンプ光LB1の照射位置の位置ずれに起因した、テラヘルツ波計測装置200による測定対象物の特性の分析精度への影響が好適に軽減される。更には、フォーカスされた(言い換えれば、デフォーカスされていない)ポンプ光LB1が照射されるがゆえに、ポンプ光LB1のパワーの絶対量の減少に起因した、テラヘルツ波計測装置200による測定対象物の特性の分析精度への影響もまた好適に軽減される。
尚、第2実施例においても、第1実施例で説明した各種構成が適宜適用されてもよいことは言うまでもない。例えば、開口制限スリット170がポンプ光LB1の光路に加えて、プローブ光LB2の光路に配置されていてもよい。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うテラヘルツ波計測装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
100、200 テラヘルツ波計測装置
101 パルスレーザ装置
110 テラヘルツ波発生素子
111 基板
112、113 アンテナ
114 ギャップ
120 光遅延器
121 再帰反射鏡
122 送りネジ機構
123 モータ
130 テラヘルツ波検出素子
131 基板
132、133 アンテナ
134 ギャップ
141 バイアス電圧生成部
144 I−V変換部
145 ロックイン検出部
150 演算処理部
161 ビームスプリッタ
162、163 反射鏡
170 開口制限スリット
LB パルスレーザ光
LB1 ポンプ光
LB2 プローブ光
THz テラヘルツ波

Claims (10)

  1. 第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、
    第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段と
    を備え、
    前記検出手段は、前記第2レーザ光の照射位置の第1方向に沿った位置ずれの許容度が、前記第2レーザ光の照射位置の前記第1方向とは異なる第2方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有しており、
    前記検出手段上における前記第2レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している
    ことを特徴とするテラヘルツ波計測装置。
  2. 前記検出手段は、間に間隙を挟み込むように延在する2つの導電部を備えており、
    前記第1方向は、前記間隙の延在方向に沿った方向であり、
    前記第2方向は、前記間隙の延在方向と異なる方向である
    ことを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ波計測装置。
  3. 前記第2レーザ光が、(i)矩形状の又は楕円形状の開口制限スリット及び(ii)球面レンズとシリンドリカルレンズとを含む光学レンズのうちの少なくとも一方を介して前記検出手段に照射されることで、前記検出手段上における前記第2レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のテラヘルツ波計測装置。
  4. 前記検出手段における前記第2レーザ光の照射面の法線に対して交わる方向から前記第2レーザ光が前記検出手段に照射されることで、前記検出手段上における前記第2レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のテラヘルツ波計測装置。
  5. 前記発生手段は、前記第1レーザ光の照射位置の第3方向に沿った位置ずれの許容度が、前記第1レーザ光の照射位置の前記第3方向とは異なる第4方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有しており、
    前記発生手段上における前記第1レーザ光のビームスポットは、前記第4方向に沿った長さが前記第3方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のテラヘルツ波計測装置。
  6. 第1レーザ光が照射されることで、テラヘルツ波を発生する発生手段と、
    第2レーザ光が照射されることで、前記発生手段から計測対象物に対して照射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段と
    を備え、
    前記発生手段は、前記第1レーザ光の照射位置の第1方向に沿った位置ずれの許容度が、前記第1レーザ光の照射位置の前記第1方向とは異なる第2方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有しており、
    前記発生手段上における前記第1レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している
    ことを特徴とするテラヘルツ波計測装置。
  7. 前記発生手段は、間に間隙を挟み込むように延在する2つの導電部を備えており、
    前記第1方向は、前記間隙の延在方向に沿った方向であり、
    前記第2方向は、前記間隙の延在方向と異なる方向である
    ことを特徴とする請求項6に記載のテラヘルツ波計測装置。
  8. 前記第1レーザ光が、(i)矩形状の又は楕円形状の開口制限スリット及び(ii)球面レンズとシリンドリカルレンズとを含む光学レンズのうちの少なくとも一方を介して前記発生手段に照射されることで、前記発生手段上における前記第1レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載のテラヘルツ波計測装置。
  9. 前記発生手段における前記第1レーザ光の照射面の法線に対して交わる方向から前記第1レーザ光が前記発生手段に照射されることで、前記発生手段上における前記第1レーザ光のビームスポットは、前記第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している
    ことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載のテラヘルツ波計測装置。
  10. 前記検出手段は、前記第2レーザ光の照射位置の第3方向に沿った位置ずれの許容度が、前記第2レーザ光の照射位置の前記第3方向とは異なる第4方向に沿った位置ずれの許容度よりも大きくなるという方向依存性を有しており、
    前記検出手段上における前記第2レーザ光のビームスポットは、前記第4方向に沿った長さが前記第3方向に沿った長さよりも長くなる形状を有している
    ことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載のテラヘルツ波計測装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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