JP5489906B2 - テラヘルツ波トランシーバ及び断層像取得装置 - Google Patents

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Description

本発明は、時間領域でのテラヘルツ波を測定するための発生検出装置、及びこの装置を用いた断層像取得装置に関する。より詳しくは、本発明は、単一の素子によってテラヘルツ波の発生と検出の動作を行う装置(以下、トランシーバとも呼ぶ)と、これを用いた断層像取得装置に関する。
テラヘルツ波は、0.03THzから30THzのうちの任意の周波数帯域の成分を有する電磁波である。このような周波数帯域には、生体分子をはじめとして、様々な物質の構造や状態に由来する特徴的な吸収が多く存在する。このような特徴と活かして、非破壊にて物質の分析や同定を行う検査技術が開発されている。また、X線に替わる安全なイメージング技術や光速な通信技術への応用が期待されている。
パルス形状のテラヘルツ波を用いる場合、検出器に到達するテラヘルツ波に対し、励起光である超短パルス光でテラヘルツ波をサンプリング計測する技術がある。これは、THz-TDS装置(THz-Time Domain Spectroscopy装置)とも呼ばれる。このTHz-TDS装置では、テラヘルツ波の発生及び検出の効率の高さから、発生素子や検出素子として光伝導素子が用いられることが多い。光伝導素子は、半導体膜(本明細書では光伝導膜とも呼ぶ)にアンテナを含む電極を作製したものである。詳細には、この電極は、ギャップ部(本明細書では励起光照射領域とも呼ぶ)を介して二つの電極を対向配置させたものである。励起光照射領域に超短パルス光を照射し、二つの電極を瞬間的に導通させることで、テラヘルツ波の発生やテラヘルツ波のサンプリング計測を行う。THz-TDS装置の一形態として、単一の光伝導素子でテラヘルツ波の発生と検出を行うテラヘルツ波トランシーバの装置概念が開示されている(特許文献1)。特許文献1では、励起光をポンプ光とプローブ光の二経路に分割し、ポンプ光によってテラヘルツ波を発生する。そして、発生したテラヘルツ波の強度をチョッパーで変調し、ギャップ部に照射されるプローブ光とテラヘルツ波の電界によって生じた電流信号をロックイン検出している。
特表2004-500582号公報
上述した特許文献1の装置構成は、テラヘルツ波の発生用の電圧を光伝導素子の励起光照射領域に印加しつつ、励起光照射領域からの電流信号を検出する構成である。このため、励起光照射領域から発生する電流を検出する電流検出器には、テラヘルツ波の電界によるテラヘルツ波電流δiの他に、テラヘルツ波発生用に用いた電圧によって生じた電流Iが流入する。例えば、光伝導素子に用いる光伝導膜として、低温成長させたガリウムヒ素(LT-GaAs)を用いると、テラヘルツ波電流δiは数nA〜数10nAであるのに対し、電流Iは数μA〜数10μAとテラヘルツ波電流δiに比較して大きな値となる。これらの電流を検出する電流検出器は、その出力が飽和しない領域において、最大感度で検出することが望ましい。ところが、電流Iの値が大きいため、特許文献1の構成では、テラヘルツ波による電流成分δiを感度良く検出することが容易とは言い難い。
上記課題に鑑み、単一の光伝導素子を用いて時間領域分光法によりテラヘルツ波の発生と検出を行なう本発明のテラヘルツ波トランシーバは以下の構成を有する。本発明のトランシーバは、光伝導素子と、バイアス印加部と、電流検出部と、電流引き込み部を有する。前記光伝導素子は、光伝導膜と、前記光伝導膜上にあり励起光照射領域を介し対向配置される第1電極と第2電極を備える。前記バイアス印加部は、前記第1電極に接続され、前記第1電極と前記第2電極の間に、前記励起光照射領域にテラヘルツ波を発生させるためのバイアスを印加する。前記電流検出部は、前記第2電極に接続され、前記励起光照射領域から生じる電流のうち、外部から到達するテラヘルツ波の電界によるテラヘルツ波電流を検出する。前記電流引き込み部は、前記第2電極に接続され、前記バイアス印加部から印加されたバイアスによる電流を引き込む。そして、前記電流引き込み部は、引き込む電流の量を、前記バイアス印加部に印加されるバイアスの量を参照して決定する。
また、上記課題に鑑み、本発明の断層像取得装置は、前記テラヘルツ波トランシーバと処理部を有する。前記テラヘルツ波トランシーバは、テラヘルツ波トランシーバからのテラヘルツ波が照射されるサンプルからのテラヘルツ波パルスを検出し、前記処理部は、前記検出されたテラヘルツ波パルスの位置より、サンプルの奥行き方向の構造を画像化する。
本発明に依れば、電流引き込み部が、光伝導素子から発生するバイアスによる電流を引き込み、この電流が電流検出部に流入することを防止ないし低減する。そのため、電流検出部は、検出対象をテラヘルツ波の電界によるテラヘルツ波電流に絞ることができるので、テラヘルツ波電流を高感度に測定することが可能になる。
本発明のテラヘルツ波トランシーバの一構成例の概略構成図。 本発明の断層像取得装置の一構成例を説明する図。 本発明の断層像取得装置におけるトランシーバの配置例を説明する図。 電流引き込み部の構成例を説明する図。 テラヘルツ波トランシーバの動作を説明する図。
本発明は、光伝導素子から発生するバイアスによる電流を引き込み、この電流が電流検出部に流入することを防止ないし低減し、引き込む電流の量を、バイアスの量を参照して決定することを特徴とする。この考え方に基づき、本発明のテラヘルツ波トランシーバ及びこれを用いる断層像取得装置は、上記課題を解決するための手段のところで述べた様な基本的な構成を有する。
以下、本発明の思想を実施し得る形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)(テラヘルツ波トランシーバ)
本発明によるテラヘルツ波トランシーバの実施形態1を示す図1に示すように、テラヘルツ波トランシーバは、光伝導素子101、バイアス印加部102、電流検出部103、電流引き込み部104、調整部105を備える。光伝導素子101は、テラヘルツ波を発生及び検出する部分である。光伝導素子101の構成は、THz-TDS装置で多く用いられる構成を踏襲する。すなわち、光伝導素子101は、光伝導膜106、第1電極107、第2電極108で構成する。また、図1において、励起光照射領域109は、励起光が照射される領域である。第1電極107と第2電極108は、この励起光照射領域109を介して光伝導膜106上に対向配置される。図1のように、第1電極107と第2電極108は突起部分を有しており、これらの突起部分は励起光照射領域109を挟むように配置されている。典型的には、これらの突起部分は、数μmの間隔を隔てて対向配置される。これらの突起部分は、主にテラヘルツ波に対するアンテナとして機能する。図1は光伝導素子101の上面を示し、励起光は図1の紙面に対して垂直に励起光照射領域109に照射される。その時、テラヘルツ波は、紙面に対して垂直方向に伝搬する。
励起光照射領域109には、THz-TDS装置におけるポンプ光とプローブ光が励起光として照射される。ポンプ光はテラヘルツ波の発生に用いられる。プローブ光はテラヘルツ波の検出に用いられる。典型的には、励起光はフェムト秒レーザ光が使用され、繰り返し周波数は数10MHzである。励起光照射領域109の範囲は、使用される励起光の波長にもよるが、数μm〜数10μmである。また、上述した第1電極107と第2電極108の突起部分が、励起光照射領域109と重なる態様もあり得る。光伝導膜106は、励起光の照射によりキャリヤを生成する。光伝導膜106は半導体薄膜で構成され、使用される半導体薄膜は、励起光の波長により選択される。例えば、励起光の波長が0.8μm帯である場合、低温成長したガリウムヒ素(LT-GaAs)が適用できる。励起光の波長が1.55μm帯である場合、低温成長したインジウムガリウムヒ素(LT-InGaAs)が適用できる。ただし、使用される材料はこれらに限るものではない。
第1電極107と第2電極108は、励起光照射領域109に対しバイアスを印加する部分である。そして、励起光照射領域109より生じたキャリヤによる電流を、後述する電流検出部103に出力する部分である。第1電極107と第2電極108は、使用する光伝導膜106に対してオーミック接触となる材料を選択することが望ましい。バイアス印加部102は、励起光照射領域109において、第1電極107と第2電極108の突起部分が対向する部分にバイアスを印加する部分である。バイアス印加部102は、第1電極107に接続される。他方、第2電極108は、後述する電流検出部103に接続され、バイアス印加部102の基準電位(図1ではCOMと記載されている)と仮想的な接地がなされている。バイアス印加部102から印加されるバイアスは、テラヘルツ波の発生用に使用される。具体的には、ポンプ光の照射によって励起光照射領域109からキャリヤが生じ、このキャリヤが、印加されたバイアスで加速することで、テラヘルツ波を放射する。
また、バイアスで加速されたキャリヤは電流として第2電極108に接続された電流検出部103に送られる。本明細書では、この電流をバイアス電流Iと呼ぶ。典型的には、印加されるバイアスはおよそ数V〜数100Vである。バイアス印加部102から印加されるバイアスは、図1の「INPUT」から入力される信号を参照して決定する。バイアス印加部102から印加されるバイアスの形状は、直流でも交流でもよい。特に、交流成分を持つ交流信号を用いると、発生するテラヘルツ波の強度を変調することができる。バイアス電流Iの値は、この印加されるバイアスの量と、ポンプ光の光量、そして光伝導膜106の材料にもよるが、光伝導膜106としてLT-GaAsを用いる場合、数μA〜数10μAである。また、光伝導膜106としてLT-InGaAsを用いる場合、バイアス電流Iは数10〜数100倍大きくなる。
光伝導素子101は、上述したバイアス電流Iの他に、光伝導素子101に到達するテラヘルツ波の電界による電流を出力する。本明細書では、この電流をテラヘルツ波電流δiと呼ぶ。テラヘルツ波電流δiは、プローブ光の照射によって励起光照射領域109からキャリヤが生じ、このキャリヤがテラヘルツ波の電界によって変動することで発生する。実際には、バイアス印加部102から所定のバイアスが印加されているので、テラヘルツ波の電界による印加バイアスの変動分の電流が、テラヘルツ波電流δiとして出力されると言い換えることもできる。テラヘルツ波電流δiの値は、光伝導素子101に到達するテラヘルツ波の電界と、プローブ光の光量、そして光伝導膜106の材料にもよるが、光伝導膜106としてLT-GaAsを用いる場合、数nA〜数10nAである。光伝導膜106としてLT-InGaAsを用いる場合も、テラヘルツ波電流δiは同程度のレベルである。このように、テラヘルツ波電流δiは、バイアス電流Iに対し、3桁程度小さい値を取り得る。
電流検出部103は、光伝導素子101から生じる電流信号を測定可能なレベルの電圧信号に変換する部分である。電流検出部103は、光伝導素子101の第2電極108に接続される。電流検出部103の内部では、電流検出部103の入力部分において、回路的にトランシーバの基準電位COMと仮想接地がなされている。本明細書では、電流信号を電圧信号に変換する変換率を電流電圧変換率と呼ぶ。電流電圧変換率は、電流検出部103に入力される電流信号に対し、電流検出部103の出力が回路の定格を越えて飽和しない範囲で選択される。トランシーバが適用される装置のS/N比を向上させるためには、この電流電圧変換率は大きい程よい。また、電流検出部103は、ロックイン検出系を含むことがある。具体的には、電流電圧変換を担う回路の後段に、ロックイン検出系が配置される。ロックイン検出系を含む場合、電流電圧変換を担う部分の回路の出力は、ロックイン検出系の入力定格を超えない範囲に調整する。
図5は、本実施形態のテラヘルツ波トランシーバの動作概念を説明する図である。図5は、電流検出部103の出力を示している。横軸の時間は、ポンプ光とプローブ光の時間差であり、時間差が大きくなると時間は進む。また、図5では説明を簡単にするため、テラヘルツ波は強度変調しないものとして説明する。上述したように、光伝導素子101から出力される電流は、バイアス電流Iとテラヘルツ波電流δiであるが、バイアス電流Iの値がテラヘルツ波電流δiに対して大きい。この時、光伝導素子101から出力される電流を、そのまま電流検出部103で検出する場合、図5(a)のように、電流検出部103の出力が定格を超えない範囲に設定する必要がある。図5(a)では、テラヘルツ波501の基準線が、定格とトランシーバの基準電位COMの間にある。これは、電流検出部103に定常的に入力されるバイアス電流Iによるものである。この基準線の基準電位COMからのオフセットが、電流検出部103の電流電圧変換率を制限する要因となる。本発明では、このバイアス電流Iの影響を抑制し、テラヘルツ波501の基準線をトランシーバの基準電位COMに近接させることが特徴である(図5(b))。その結果、電流検出部103は、テラヘルツ波電流δiを主とした検出対象にすることができる。そして、電流検出部103は、テラヘルツ波電流δiに対し、より高い電流電圧変化率を設定できる。これにより、テラヘルツ波電流δiをより高感度に検出する効果を狙うものである。こうして、これまでノイズに埋もれていたような微小な信号504をも検出することを目指している(図5(c))。
再び図1に戻る。このバイアス電流Iの影響を抑制するため、本発明のトランシーバは、電流引き込み部104と調整部105を有している。電流引き込み部104は、光伝導素子101の第2電極108と電流検出部103の入力部分に接続される。電流引き込み部104は、光伝導素子101から出力される電流のうち、バイアス電流Iを引き込む部分である。その結果、電流検出部103には、テラヘルツ波電流δiのみが入力される。調整部105は、バイアス電流Iの影響を抑制するため、電流引き込み部104が引き込む電流の量を調整する部分である。
図4は、電流引き込み部104の構成例を示したものである。図4(a)は、電流引き込み部104として、可変抵抗部401と引き込み用バイアス印加部402で構成したものである。引き込み用バイアス印加部402から印加されるバイアスは、電流検出部103で仮想接地される基準電位COMを基準に印加される。そのため、引き込み用バイアス印加部402から印加されるバイアスは、主に可変抵抗部401に印加される。調整部105は、可変抵抗部401の抵抗値を調整し、引き込む電流の量を調整する。図4(b)は、電流引き込み部104として、抵抗部403と引き込み用バイアス印加調整部404で構成したものである。引き込み用バイアス印加調整部404から印加されるバイアスは、電流検出部103で仮想接地される基準電位COMを基準にして印加される。そのため、引き込み用バイアス印加調整部404から印加されるバイアスは、主に抵抗部403に印加される。調整部105は、引き込み用バイアス印加調整部404から印加されるバイアスの量を調整し、引き込む電流の量を調整する。図4(c)は、電流引き込み部104として、電流シンク回路405と引き込み用バイアス印加部406で構成したものである。引き込み用バイアス印加部406から印加されるバイアスは、電流検出部103で仮想接地される基準電位COMを基準にして印加される。電流シンク回路405は、トランジスタ等の半導体素子で構成する。引き込み用バイアス印加部406から印加されるバイアスは、主に電流シンク回路405に印加される。調整部105は、半導体素子のバイアス関係(バイアス電圧やバイアス電流)を変化させて、引き込む電流の量を調整する。尚、電流引き込み部104の構成はこれらに限るものではなく、バイアス電流Iに相当する電流を引き込む目的を達成できる構成であればどの様なものでもよい。
調整部105は、上述したように電流引き込み部104に接続される。上述したように、バイアス印加部102から印加されるバイアスの量は、「INPUT」から入力される外部信号により調整される。ここで調整部105は、このバイアス調整用の外部信号を参照し、電流引き込み部104が引き込む電流の量を決める。そのため、調整部105は、この外部信号が伝達される信号線に接続される。本発明のトランシーバでは、「INPUT」から入力される外部信号に対して、バイアス印加部102が印加するバイアスの量と、電流引き込み部104が引き込む電流の量がそれぞれ定義されている。詳細には、使用する光伝導素子101毎に、印加するバイアスの量と、バイアス印加に伴うバイアス電流の関係が予め対応付けられている。この対応情報は、調整部105に記憶されている。このため、バイアス印加部102から印加するバイアスの変化に対し、電流引き込み部104が引き込む電流の量は、ほぼ遅延無く追随する。言い換えると、印加されるバイアスの量に対しバイアス電流Iを予測して調整することから、本調整方法はフィードフォワードによる調整とも言える。そのため、電流検出部103には、テラヘルツ波電流δiだけが入力され、電流検出部103は高い電流電圧変換率によって高感度な検出を実現できる。また、テラヘルツ波の強度を電気的に変調することができるので、テラヘルツ波の強度を機械的に変調する形態に比較して、高速な信号取得が可能となる。
このように、本実施形態のテラヘルツ波トランシーバは、光伝導膜上に励起光照射領域を介し対向配置される第1電極と第2電極を備える単一の光伝導素子と、励起光照射領域にテラヘルツ波を発生させるバイアスを印加するバイアス印加部を備える。また、外部から到達するテラヘルツ波の電界によるテラヘルツ波電流を検出する電流検出部と、バイアス印加部から印加されたバイアスによる電流を引き込む電流引き込み部を備える。そして、電流引き込み部は、引き込む電流の量を、バイアス印加部に印加されるバイアスの量を参照して決定する調整部を備える。つまり、本実施形態のテラヘルツ波トランシーバは、電流引き込み部104が光伝導素子101から発生するバイアス電流Iを引き込み、バイアス電流Iが電流検出部103に流入することを防止ないし低減する。そのため、上記発明の効果のところで述べたような効果が奏される。特に、バイアス印加部102が交流成分を持つバイアスを光伝導素子101に印加する場合、本実施形態のテラヘルツ波トランシーバは、このバイアスの量を参照して電流引き込み部104が引き込むバイアス電流Iを決定する構成である。そのため、バイアスが変動してもバイアス電流Iが電流検出部103に流入することを防止ないし低減できる。この結果、発生するテラヘルツ波の強度を電気的に変調することが可能になり、そのため、機械変調に比較して、テラヘルツ波の時間波形の取得速度を改善することが容易になる。
(実施形態2)(断層像取得装置)
実施形態2を説明する。ここでは、実施形態1で説明したテラヘルツ波トランシーバを断層像取得装置に用いる例を示す。これまでの説明と重複する部分の説明は省略する。本実施形態の断層像取得装置の概略構成を示す図2に示すように、本実施形態の断層像取得装置は、実施形態1で述べたテラヘルツ波トランシーバ201に加え、レーザ源202、遅延光学部203、処理部204を備える。
図2のトランシーバ201は、図1の構成を省略して記載している。詳細には、バイアス印加部102、電流検出部103、電流引き込み部104、調整部105の記載を省略し、光伝導素子101に対し、「INPUT」と「OUTPUT」のコネクタが接続する図にしている。「INPUT」は、バイアス印加部102が光伝導素子101に印加するバイアス電圧を調整する信号を入力する部分である。同時に、調整部105は、この信号を参照して電流引き込み部104が引き込む電流の量を定めている。「OUTPUT」は、電流検出部103の出力信号が出力する部分である。多くの場合、「OUTPUT」から出力される信号は電圧信号である。
レーザ源202は、超短パルスレーザ光を出力する部分である。トランシーバ201を構成する光伝導素子101の光伝導膜106では、この超短パルスレーザ光の照射により、キャリヤが励起される。このことから、本明細書では、この超短パルスレーザ光を励起光と呼ぶ。図2のように、励起光は、L1とL2の二つの光路に分岐される。本実施形態では、L1を通る励起光をポンプ光、L2を通る励起光をプローブ光と呼ぶ。プローブ光の光路L2は、後述する遅延光学部203を介して、トランシーバ201の直前の(A)でポンプ光の光路L1と合成される。テラヘルツ波の時間波形は、ピコ秒以下のパルス波形であるため、実時間での取得が困難である。そのため、上述した励起光によって、テラヘルツ波の時間波形をサンプリング計測する。この手法はTHz-TDS法と呼ばれる。遅延光学部203は、テラヘルツ波の時間波形を構成するデータについて、このサンプリングする位置を調整する部分である。具体的には、図2(b)のように、トランシーバ201に照射するポンプ光(光路L1)に対するプローブ光(光路L2)の到達時間差δtだけの遅延を調整する。
このように、遅延光学部203は、到達時間差δtを調整する部分である。この調整手法は、励起光が伝搬する光路長を直接調整する手法と、実効的な光路長を調整する手法などがある。光路長を直接調整する手法は、励起光を折り返す折り返し光学系と、この光学系を折り返し方向に動かす可動部を用いる手法がある。実効的な光路長を調整する手法としては、励起光が伝搬する光路中の時定数(屈折率)を変化させる手法がある。ただし、本発明において、遅延光学部203の構成はこれらに限らず、到達時間差δtを調整する目的を達成できる方法であればどの様なものでもよい。
図2は、1段の折り返し光学系と、可動部として直動ステージを用いる例を示している。可動部によって折り返し光学系の位置を調整することで、レーザ源202からトランシーバ201に至る光路L2の光路長が変化する。この光路長の変化を利用して、トランシーバ201に照射されるポンプ光とプローブ光との到達時間差δtを調整する。尚、この可動部の駆動速度が速ければ、テラヘルツ波の時間波形の取得時間は短くなる。
処理部204は、トランシーバ201の「INPUT」に、光伝導素子101に印加されるバイアスの量と光伝導素子101の出力から引き込む電流の量とを調整する外部信号を入力する。また、処理部204は、テラヘルツ波の時間波形を構築する部分である。処理部204は、遅延光学部203による光路長の変化量と、トランシーバ201の「OUTPUT」から出力される信号を参照し、時間波形を構築する。より詳細には、所定の光路長の変化量毎にトランシーバ201の出力をプロットして時間波形を構築する。装置のS/N比を改善するために、測定点毎に、遅延光学部203を構成する直動ステージの位置を止め(或いは、止まっているとみなせるくらい直動ステージを低速駆動する)、トランシーバ201の出力を平均化し、時間波形を構築する手法がある。この手法は、ステップスキャン方式とも呼ばれる。また、遅延光学部203を構築する直動ステージを高速駆動し、時間波形を複数回取得し、処理部204で時間波形を平均化する手法がある。この手法は、ラピッドスキャン方式とも呼ばれる。もちろん、断層像の取得速度を優先し(例えば、特徴的な波形の部分のみを測定して取得速度を優先し)、これらの方式を適用しない態様もある。
テラヘルツ波の断層像は、構築されたテラヘルツ波の時間波形より取得する。測定するサンプルが、その内部にテラヘルツ波を反射する屈折率界面を有している場合、構築されたテラヘルツ波の時間波形は、複数の反射パルスを含んでいる。例えば、この時間波形の時間軸を距離に換算し、反射パルスの位置(典型的にはピーク位置)をプロットすることで、サンプルに対するテラヘルツ波の入射方向の1次元断層像が取得できる。時間軸を距離に換算する時、テラヘルツ波の伝搬経路中にあるサンプルの屈折率を考慮することで、より実像に近い断層像が取得できる。ここで、テラヘルツ波の入射方向に対し法線方向にサンプルを動かすことで、2次元断層像が取得できる。また、テラヘルツ波の入射方向に対しサンプルを面方向に動かすことで、3次元断層像が取得できる。こうして、テラヘルツ波トランシーバは、テラヘルツ波トランシーバからのテラヘルツ波が照射されるサンプルからのテラヘルツ波パルスを検出し、処理部は、検出されたテラヘルツ波パルスの位置より、前記サンプルの奥行き方向の構造を画像化する。
図2のように、本実施形態の断層像取得装置は、テラヘルツ波を送受信するトランシーバ201を備えている。このため、サンプルに向かうテラヘルツ波の伝搬経路と、サンプルから反射されるテラヘルツ波の伝搬経路は略等しくできる。このことは、サンプルに向かうテラヘルツ波の伝搬経路と、サンプルから反射されるテラヘルツ波の伝搬経路が異なる(すなわち、発生と検出を担う素子が異なる)態様と比較して、テラヘルツ波をサンプルに容易に垂直に入射できるようにする。サンプルに対し斜めにテラヘルツ波を入射すると、入射角度によってテラヘルツ波がけられることがある。本実施形態は、テラヘルツ波をサンプルに対し垂直に入射する形態なので、このサンプルによるケラレの影響を抑えることが容易になる。また、斜め入射の場合、テラヘルツ波の入射角度分、テラヘルツ波の伝搬経路が長くなるので、処理部204は、この伝搬経路の変化を考慮して得られた断層像を補正する必要がある。本実施形態は、このような補正が必要ないので、演算に要する負荷を低減できる。また、斜めに入射する態様に比較して、サンプル内部を伝搬するテラヘルツ波の伝搬経路を低減ないし最小にできる。このため、サンプル内部を伝搬する際のテラヘルツ波の散乱や吸収の影響を低減できる。また、発生、検出を別の素子で行なう系に比較して、装置構成を小型にすることを容易にする。
(実施形態3)(断層像取得装置のトランシーバの配置例)
図3を用いて実施形態3を説明する。本実施形態は、実施形態2の断層像取得装置の変形例を示すものである。具体的には、断層像取得装置に用いるトランシーバの配置例に関するものである。本実施形態では、テラヘルツ波トランシーバの配置例を説明する図3において、図を簡略化するために図1のトランシーバの構成を一つのシンボルとして説明する。
図3(a)は、実施形態2で説明したように、1つのトランシーバ302を撮像方向301に略沿って配置する例である。しかし、こうした配置例とは異なり、撮像方向301を略中心として複数のトランシーバを分散して配置することもできる。ここで、撮像方向301とは、テラヘルツ波の伝搬経路を必ずしも指さず、トランシーバを含む装置から送信されるテラヘルツ波が総合的にサンプルに向かう方向を指す。トランシーバ302は、テラヘルツ波を送受信できるので、装置構成を小さくできる。この複数の配置例の実施形態では、トランシーバ302がテラヘルツ波を送受信できるという特徴を利用して、撮像方向301の周りの多方向について信号を取得する。具体的には、複数のトランシーバがサンプルを介してテラヘルツ波を送受信できる位置に配置され、多方向の信号を取得する。つまり、ここでは、サンプルの撮像方向に対し、テラヘルツ波トランシーバを複数備え、複数のトランシーバは、サンプルに対してテラヘルツ波を送信すると共にサンプルを経たテラヘルツ波を受信できる位置に配置される。
図3(b)は、第1のトランシーバ303と第2のトランシーバ304をサンプルの撮像方向301に対し線対称に配置する例を示す。第1のトランシーバ303から送信したテラヘルツ波は第2のトランシーバ304で受信する。同様に第2のトランシーバ304で送信したテラヘルツ波は第1のトランシーバ303で受信する。このような配置によって、撮像方向301にある観察領域に対し、2方向の信号が取得できる。この時、各トランシーバに照射されるポンプ光とプローブ光は、共通の光を使用する。これは、各トランシーバの同期をとるためである。例えば、図2において光伝導素子101に到達する直前の光路(L1とL2が合流した後の光路)の光が、使用されるトランシーバの数だけ分岐され、それぞれのトランシーバに照射される。この結果、各トランシーバに適用される励起光の到達時間差δtは同じであり、当然、同じ時間軸で各テラヘルツ波の時間波形が表現される。ただし、トランシーバの同期が確立され、各トランシーバから構築されるテラヘルツ波の時間波形が同じ時間軸で表現できれば、励起光は同じものを使用しなくてもよい。各トランシーバに対し、図2の装置構成が付随していてもよい。ただし、この場合も、付随する装置間で同期が確立されている必要がある。
図3(c)では、図3(a)と図3(b)の配置を組み合わせたものである。第1のトランシーバ305で送信したテラヘルツ波は同じ第1のトランシーバ305で受信する。第2のトランシーバ306で送信したテラヘルツ波は第3のトランシーバ307で受信する。第3のトランシーバ307で送信したテラヘルツ波は第2のトランシーバ306で受信する。このように、本実施形態によれば、テラヘルツ波トランシーバを撮像方向に対して、異なる方向(角度)に配置できる。尚、配置するトランシーバの数はこれらに限らない。
また、これまで説明した配置は、サンプルに対して反射配置であるが、サンプルを介して透過配置としてもよい。重要なのは、複数のトランシーバから送信されるテラヘルツ波が、適宜のトランシーバの組み合わせで相互に受信できることである。このようなトランシーバの配置を有する断層像取得装置においては、複数方向の奥行き情報を簡易な構成で取得できる。そのため、例えば、コンピュータトモグラフィに類するような手法も適用することができ、サンプルの構造解析が容易になる。
101…光伝導素子、102…バイアス印加部、103…電流検出部、104…電流引き込み部、105…調整部、106…光伝導膜、107…第1電極、108…第2電極、201…トランシーバ、202…レーザ源、203…遅延光学部、204…処理部

Claims (4)

  1. 単一の光伝導素子を用いて時間領域分光法によりテラヘルツ波の発生と検出を行なうテラヘルツ波トランシーバであって、
    光伝導膜と、前記光伝導膜上にあり励起光照射領域を介し対向配置される第1電極と第2電極を備える光伝導素子と、
    前記第1電極に接続され、前記第1電極と前記第2電極の間に、前記励起光照射領域にテラヘルツ波を発生させるためのバイアスを印加するバイアス印加部と、
    前記第2電極に接続され、前記励起光照射領域から生じる電流のうち、外部から到達するテラヘルツ波の電界によるテラヘルツ波電流を検出する電流検出部と、
    前記第2電極に接続され、前記バイアス印加部から印加されたバイアスによる電流を引き込む電流引き込み部と、
    を有し、
    前記電流引き込み部は、引き込む電流の量を、前記バイアス印加部に印加されるバイアスの量を参照して決定するための調整部を備える、
    ことを特徴とするテラヘルツ波トランシーバ。
  2. 前記バイアス印加部が印加するバイアスは交流成分を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ波トランシーバ。
  3. 請求項1または2に記載のテラヘルツ波トランシーバと処理部を有し、
    前記テラヘルツ波トランシーバは、テラヘルツ波トランシーバからのテラヘルツ波が照射されるサンプルからのテラヘルツ波パルスを検出し、
    前記処理部は、前記検出されたテラヘルツ波パルスの位置より、前記サンプルの奥行き方向の構造を画像化する、
    ことを特徴とする断層像取得装置。
  4. 前記サンプルの撮像方向に対し、前記テラヘルツ波トランシーバを複数備え、
    前記複数のテラヘルツ波トランシーバは、前記サンプルに対してテラヘルツ波を送信すると共に前記サンプルを経たテラヘルツ波を受信できる位置に配置される、
    ことを特徴とする請求項3に記載の断層像取得装置。
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