JP2021067645A - 計測装置、計測方法、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁波計測装置と被計測物の間に透過性の非被計測物があった場合においても、適切に被計測物の位置を計測することが可能な電磁波計測装置を提供する。【解決手段】被検体の界面の位置を計測する計測装置であって、被検体に電磁波のパルス波を照射する電磁波照射部と、被検体界面で反射された反射パルス波を検出する電磁波検出部と、電磁波照射部と被検体の間に存在する非被検体屈折率に関する屈折率情報を取得する屈折率情報取得部と、被検体界面で反射されて非被検体を透過した反射パルス波である第1反射パルス波が電磁波検出部に検出された第1のタイミングと、第1反射パルス波が非被検体表面及び裏面で往復反射された第2反射パルス波が電磁波検出部に検出された第2のタイミングを取得するタイミング取得部と、第1のタイミング、第2のタイミング、及び屈折率情報に基づいて、被検体界面位置を特定する界面位置特定部とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、電磁波を用いて被計測物までの距離情報を取得する技術に関する。
例えば、0.1THz〜10THzの周波数帯域にわたって分布するテラヘルツ帯の電磁波(以下、単にテラヘルツ波と称する)を用いた電磁波計測装置として、テラヘルツ波時間領域分光法(Terahertz Time-Domain Spectroscopy:以下、THz−TDSと称する)が知られている。電磁波計測装置は、照射部から射出されたテラヘルツ波を被計測物に照射し、被計測物において反射されたテラヘルツ波を検出部で検出する。更に、検出部で検出されたテラヘルツ波から時間波形を取得することで電磁波計測装置から被計測物までの距離や被計測物の物性を知ることが可能となる。
例えば、特許文献1には、THz−TDSを用いて、板状の透過部材と密着した被計測物にテラヘルツ波を照射し、透過部材を通して反射された被計測物の反射率や複素屈折率スペクトルを取得する電磁波計測装置が開示されている。
上記の電磁波計測装置は、透過部材表面で反射されたテラヘルツ波と被計測物で反射されたテラヘルツ波の時間波形から透過部材の厚みを算出し、被計測物で反射されたテラヘルツ波に透過部材内部の光学距離分の補正を施すことで被計測物の情報を精度よく取得することが開示されている。
被計測物で反射されたテラヘルツ波の時間波形を取得する電磁波計測装置においては、テラヘルツ波を照射部から射出したタイミングを基準として、所定期間内に限って被計測物からの反射波を検出することが可能である。すなわち、このような電磁波計測装置は有効測定範囲を有しており、一般的には、テラヘルツ波を射出する照射部の近傍は有効測定範囲に含まれない。
例えば、被計測物と透過部材(例えば被計測物を覆うカバー)とが一体となっており、被計測物と透過部材との間に隙間がある場合、被計測物と共に透過部材を有効測定範囲内に配置することができず、透過部材表面からの反射波による補正が適切に行えない場合があるといった課題がある。
例えば、被計測物と透過部材(例えば被計測物を覆うカバー)とが一体となっており、被計測物と透過部材との間に隙間がある場合、被計測物と共に透過部材を有効測定範囲内に配置することができず、透過部材表面からの反射波による補正が適切に行えない場合があるといった課題がある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、電磁波計測装置と被計測物の間に、当該被計測物と離間して非被計測物があった場合においても、適切に被計測物の位置を計測することが可能な電磁波計測装置を提供することを目的の1つとしている。
請求項1に記載の発明は、被検体の界面の位置を計測する計測装置であって、前記被検体に電磁波のパルス波を照射する電磁波照射部と、前記被検体の界面で反射された反射パルス波を検出する電磁波検出部と、前記電磁波照射部と前記被検体の間に存在する非被検体の屈折率に関する屈折率情報を取得する屈折率情報取得部と、前記被検体の界面で反射されて前記非被検体を透過した前記反射パルス波である第1の反射パルス波が前記電磁波検出部に検出された第1のタイミングと、当該第1の反射パルス波が前記非被検体の表面及び裏面で往復反射された第2の反射パルス波が前記電磁波検出部に検出された第2のタイミングを取得するタイミング取得部と、前記第1のタイミング、前記第2のタイミング、及び前記屈折率情報に基づいて、前記被検体の界面位置を特定する界面位置特定部と、を備えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、電磁波照射部と電磁波検出部を有し、被検体の界面の位置を計測する計測装置が実行する計測方法であって、前記電磁波照射部が、前記被検体に電磁波のパルス波を照射する照射ステップと、前記電磁波検出部が、前記被検体の界面で反射された反射パルス波を検出する検出ステップと、前記電磁波照射部と前記被検体の間に存在する非被検体の屈折率に関する屈折率情報を取得する屈折率情報取得ステップと、前記検出ステップにおける前記反射波の検出結果に基づいて、前記被検体の界面で反射されて前記非被検体を透過した前記反射パルス波である第1の反射パルス波が前記電磁波検出部に検出された第1のタイミングと、当該第1の反射パルス波が前記非被検体の表面及び裏面で往復反射された第2の反射パルス波が前記電磁波検出部に検出された第2のタイミングを取得するタイミング取得ステップと、前記第1のタイミング、前記第2のタイミング、及び前記屈折率情報に基づいて、前記被検体の界面位置を特定する界面位置特定ステップと、を備えることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、計測装置のコンピュータが実行するプログラムであって、前記被検体に電磁波のパルス波を照射する電磁波照射部と、前記被検体の界面で反射された反射パルス波を検出する電磁波検出部と、前記電磁波照射部と前記被検体の間に存在する非被検体の屈折率に関する屈折率情報を取得する屈折率情報取得部と、前記被検体の界面で反射されて前記非被検体を透過した前記反射パルス波である第1の反射パルス波が前記電磁波検出部に検出された第1のタイミングと、当該第1の反射パルス波が前記非被検体の表面及び裏面で往復反射された第2の反射パルス波が前記電磁波検出部に検出された第2のタイミングを取得するタイミング取得部と、前記第1のタイミング、前記第2のタイミング、及び前記屈折率情報に基づいて、前記被検体の界面位置を特定する界面位置特定部、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明による電磁波計測装置100の構成を示す図である。
本発明の電磁波計測装置は、THz−TDSを用いた反射型の電磁波計測装置である。電磁波計測装置は、テラヘルツ波送受信部10と、制御部20と、ヘッド30とを備える。
電磁波計測装置100は、テラヘルツ波送受信部10でテラヘルツ波を生成し、ヘッド30から照射する。ヘッド30から照射されたテラヘルツ波は、テラヘルツ波を反射する特性を有する被計測物40の表面に照射される。被計測物40で反射されたテラヘルツ波である反射テラヘルツ波はヘッド30に入射し、テラヘルツ波送受信部10で検出される。
制御部20は、テラヘルツ波送受信部10で検出された反射テラヘルツ波の検出信号を取得し、当該検出信号から検出信号の時間波形を生成し、当該時間波形から被計測物40の位置、例えばヘッド30から被計測物40までの距離を測定する。
本実施例において、電磁波計測装置100は、例えば、樹脂等からなる非被計測物である透過部材50を通して被計測物40にテラヘルツ波を照射する。すなわち、本実施例における測定においては、ヘッド30と被計測物40との間に、透過部材50が存在している。従って、ヘッド30から出射されたテラヘルツ波が、透過部材50を通過して被計測物40に至り被計測物40の表面で反射され、再度透過部材50を通過してヘッド30に入射する。
また、本実施例において、電磁波測定装置100は、テラヘルツ波送受信部10及びヘッド30をスキャン機構(図示せず)で並進移動させることで被計測物40に照射するテラヘルツ波の照射位置を変化させ、被計測物40の表面の複数点の位置を計測することで、被計測物40の傾きを計測する。
まず、電磁波計測装置100のテラヘルツ波送受信部10について説明する。
テラヘルツ波送受信部10は、超短パルスレーザ発振器11と、発生素子12と、検出素子13と光学遅延装置14を有する。また、テラヘルツ波送受信部10は、当該超短パルスレーザ及びテラヘルツ波の経路上に配されたミラーM1〜M4、レンズL1〜L6並びにビームスプリッタBS1〜2の光学系を備えた構成を有する。
図1において、超短パルスレーザ発振器11から射出される超短パルスレーザは破線(図中LB)で示され、テラヘルツ波は実線(図中TP)で示されている。
超短パルスレーザ発振器11は、フェムト秒オーダーの超短パルスレーザを出力する。出力された超短パルスレーザは、コリメートレンズL1を通ってビームスプリッタBS1に達し、ビームスプリッタBS1で分岐される。分岐された超短パルスレーザの一方は、集光レンズL2を介して発生素子12に導入され、発生素子12を駆動する励起光(ポンプ光)として発生素子12に照射される。
発生素子12は、例えば、半導体基板及びその一方の面に形成された光伝導アンテナからなる半導体光伝導アンテナ素子である。発生素子12の半導体基板の他方の面には、例えば、Si等の透過性の半球面レンズが接着されている。発生素子12は、バイアス電圧が印加された状態で表面にポンプ光が照射されると、ポンプ光が照射されている間に限り発生素子12の裏面からテラヘルツ波を発生し、半球面レンズを介してテラヘルツ波を射出する。当該射出されたテラヘルツ波は、コリメートレンズL4、ビームスプリッタBS2及び対物レンズL6を介してヘッド30から被計測物40に向けて照射される。すなわち、本実施例において発生素子12は、超短パルスレーザの入射に応答してテラヘルツ波を照射パルス波として発生する。
ビームスプリッタBS1で分岐されたもう一方の超短パルスレーザは、ミラーM1及びM2を介して光学遅延装置14に入射される。光学遅延装置14に入射された超短パルスレーザは、ミラーM3、4及び集光レンズL3を介して検出素子13に導入され、励起光(プローブ光)として検出素子13に入射する。
光学遅延装置14は、検出素子13に照射されるプローブ光の光路長を変化させ、検出素子13がテラヘルツ波を検出するタイミングを制御する。例えば、プローブ光の光路長を0.3mm変化させることで、検出素子13の検出タイミングを1ピコ秒変化させることに相当する。光学遅延装置14は、例えば、図示するように自身の反射面と反射ミラーM2及びM3との距離が変わるように図中矢印のように移動することで、超短パルスレーザ発振器11と検出素子13との間のプローブ光の光路長を変化させることが可能である。
検出素子13は、例えば、発生素子12と同様の素子である。具体的には、検出素子13は、半導体基板及びその一方の面に形成された光伝導アンテナとからなる半導体光伝導アンテナ素子である。発生素子12の半導体基板の他方の面には、例えば、Si等の透過性の半球面レンズが接着されている。検出素子13は、被計測物40で反射された反射パルス波を検出する。当該反射パルス波は、被計測物40で反射された後、ヘッド30に入射し対物レンズL6を介してビームスプリッタBS2に達し、集光レンズL5で集光されて検出素子13に照射される。
検出素子13は、テラヘルツ波が半球面レンズを介して裏面から照射され且つ表面にプローブ光が照射されている時に限り検出素子13に電流(検出信号)が発生する。この検出信号を測定することで、検出素子13に照射されている反射パルス波の信号振幅を測定することが可能となる。
すなわち、テラヘルツ波時間領域分光法を用いた電磁波計測装置100は、上記光学遅延装置14で検出素子13の検出タイミングを順次変化させ、それぞれの検出タイミングで検出信号を測定することで、テラヘルツ波の照射パルス波を照射してから検出するまでの時間波形を得ることが可能となる。
なお、本発明において検出される反射パルス波は、被計測物40で反射されたパルス波の一部が透過部材50を透過してヘッド30に入射される反射パルス波、及び当該被計測物40で反射されたパルス波の一部が透過部材50内の表面及び裏面で往復反射された後ヘッド30に入射される反射パルス波を含む。
制御部20は、超短パルスレーザ及び光学遅延装置14の動作を制御する役割を含む。また、検出素子13の検出信号から時間波形を生成する。
また、制御部20は、透過部材50の屈折率を取得可能に構成されている。
制御部20は、複数の反射パルス波の検出タイミング及び透過部材の屈折率情報に基づいて、生成した時間波形から、パルス波が透過部材50を通過したことによる反射パルス波の遅延時間を算出する。また、当該遅延時間に基づいて被計測物からの反射パルス波に時間補正を施し、当該補正された時間から被計測物40までの距離を算出する。
ヘッド30は、発生素子12から射出されたパルス波を被計測物40に向け照射する電磁波照射部としての機能を有する。同時に、被計測物40から反射された反射パルス波を光学系L6、BS2及びL5を介して検出素子13に導く電磁波検出部としての機能を有する。
本実施例による電磁波計測装置100においては、パルス波がヘッドから射出される時間を0とし、反射パルス波がヘッドに入射される時間を検出時間としている。よって、発生素子12からヘッド30までの光学的距離及びヘッド30から検出素子13までの光学的距離のそれぞれをパルス波が進む時間は、制御部20で時間波形を生成する際に検出時間に対して順次補正される。
また、テラヘルツ波送受信部10を可動させるスキャン機構(図示せず)によりパルス波照射位置を被計測物40上でスキャンさせることにより、被計測物40の形状や傾き等の情報を取得することが可能となる。
なお、テラヘルツ波送受信部10の光学系の構造及び光学遅延装置14の可動範囲により電磁波計測装置100が検出信号の時間波形を取得できる範囲が定まる。これにより、電磁波計測装置100が取得できる距離計測範囲も特定領域に限定される。
図2は、制御部20の構成を示すブロック図である。制御部20は、CPU(CentralProcessing Unit)を含み、記憶部(図示せず)から読み出したプログラムをCPUが実行することで電磁波計測装置100の各動作を制御する機能を有する。
制御部20は、時間波形取得部21と、情報取得部22と、測距部23とを含む。
時間波形取得部21は、電流電圧変換装置及びロックインアンプを含む電圧計及びデータロガーとして機能する。時間波形取得部21は、検出素子13に接続されており、検出素子13に発生した電流を電圧に変換しこれを記録する。その後、時間波形取得部21は、当該記録した電圧値を光学遅延装置14の時間遅延量に基づいて時間波形を生成して測距部23に供給する。
屈折率情報取得部としての情報取得部22は、ユーザの操作入力に基づいて透過部材50の屈折率を取得する。具体的には、情報取得部22は、タッチパネル等の操作入力手段を含み、ヘッド30と被計測物40の間に透過部材50があった場合にユーザが入力すべき、透過部材50の屈折率、又は透過部材50の材質を指定するための操作入力を受け付ける。情報取得部22は、ユーザの操作入力により透過部材50の材質が指定された場合は、記憶部(図示せず)に記憶された材料と屈折率とが対応付けられたテーブルを参照して、透過部材50の屈折率を取得する。情報取得部22は、透過部材50の屈折率が取得された後、当該屈折率を測距部23に供給する。
測距部23は、時間波形取得部21から供給された時間波形から被計測物40で反射されて透過部材50を透過したパルス波及び当該被計測物40で反射されたパルス波が透過部材50内の表面及び裏面で往復反射された後ヘッドに入射される反射パルス波のピークに対応する時間を抽出する。
測距部23は、当該抽出されたピーク時間とその時間差及び情報取得部22から供給された透過部材50の屈折率に基づいて、透過部材50を通過したことによる被計測物40からの反射パルス波の遅延時間を算出する。その後、被計測物40で反射されて透過部材50を透過した反射パルス波のピーク時間に対して遅延時間の補正を施し、当該補正後のピーク時間から被計測物40までの距離を算出する。
これにより、テラヘルツ波照射経路上に非被計測物である透過部材50があった場合においても、電磁波計測装置100から被計測物40までの正確な距離を取得することが可能となる。
換言すれば、本発明は被計測物の界面の位置を計測する電磁波計測装置100であって、被計測物40に電磁波のパルス波を照射するヘッド30と、検出素子13が検出した被計測物40の界面で反射された反射パルス波の時間波形を生成する時間波形取得部21と、ヘッド30と被計測物40の間に存在する透過部材50の屈折率に関する屈折率情報を取得する情報取得部22と、被計測物40の界面で反射されて透過部材50を透過した反射パルス波である第1の反射パルス波が検出素子13に検出された第1のタイミングと、当該第1の反射パルス波が透過部材50内の表面及び裏面で往復反射された第2の反射パルス波が検出素子13に検出された第2のタイミングを取得すると共に、第1のタイミング、第2のタイミング、及び屈折率情報に基づいて、被計測物の界面位置を特定する測距部23と、を備える。
次に、図3を用いてパルス波が透過部材50を通過したことによる反射パルス波の検出遅延時間及びそれによる計測誤差について説明する。
図3A−Cはヘッド30から照射されたパルス波が透過部材50を通過したことにより被計測物40までの光学的距離に誤差が生じることを示す模式図である。
図3Aは、透過部材50が無い場合に被計測物40にパルス波が到達した場合を示す模式図である。
被計測物40は、ヘッド30から距離d0の位置に配置されているとする。ヘッド30から被計測物40までの光学的距離は、空気の屈折率nを1とすると、光学的距離Dは以下に示す通りとなる。
次に、図3Bおけるパルス波照射経路上に厚さd1の厚さを有する透過部材50があった場合について説明する。
ヘッド30から被計測物40までの間で空気中を進むパルス波の光学的距離はd0−d1である。その間に屈折率nを有する透過部材50中を進むパルス波の光学的距離はnd1である。よって、図3Bにおけるヘッド30から被計測物40までの光学的距離Dは以下に示すとおりである。
すなわち、パルス波照射経路上に屈折率nで厚さd1の透過部材50が配されることにより、光学的距離Dは、透過部材50がない場合に比べ(n−1)d1だけ延びることになる。
よって当該光学的距離が延びた分の補正を施さなければ、図3Cに示すように(n−1)d1の距離だけヘッド30から被計測物40までの距離に誤差が生じる。
図3A−Cで示した光学的距離の誤差は、ヘッド30から照射されたパルス波が被計測物40に到達するまでの光学的距離を示したものである。それ故、反射パルス波の経路及び光学的距離は考慮していない。本発明の電磁波計測装置100は、被計測物40で反射された反射パルス波を検出する。よって、本発明の電磁波計測装置100において測定に用いられる光学的距離は、反射された経路を含むためここで示した光学的距離の2倍となる。
次に、図4及び5を用いて本発明の電磁波計測装置100で得られた時間波形に補正を施す手順を説明する。
図4は本発明の電磁波計測装置100が取得する反射パルス波の経路、及び補正により導かれる反射パルス波の経路を示す模式図である。
上述の通り、テラヘルツ波送受信部10の光学系の構造及び光学遅延装置14の可動範囲により電磁波計測装置100が検出信号の時間波形を取得できる範囲が定まる。これにより、電磁波計測装置100が取得できる距離計測範囲も特定領域に限定される。
光学遅延装置14によりプローブ光の光路長が最短に設定されている場合に相当する電磁波計測装置100の検出開始時間Tdet1、及びパルス波の進む速度を光速Cとし、パルス波が反射してヘッド30に入射するため往復距離であることから、電磁波計測装置100の最短検出距離Ddet1は以下に示す通りとなる。
同様に、光学遅延装置14によりプローブ光の光路長が最長に設定されている場合に相当する電磁波計測装置100の検出終了時間Tdet2、及び最長検出距離Ddet2も以下に示す通りとなる。
すなわち、透過部材50が検出距離Ddet1以下の位置に配されている場合、透過部材50からの反射パルス波が検出できないため、当該反射パルス波を用いた被計測物40までの補正が不可能となる。
本発明の電磁波計測装置100は、図4に示すように、被計測物40から反射されたテラヘルツ波(図中a:以下a波)が、透過部材50内部の表面及び裏面で1往復反射された後にヘッド30に入射されるテラヘルツ波(図中b:以下b波)及び当該a波が透過部材50内部の表面及び裏面で2往復反射された後にヘッド30に入射されるテラヘルツ波(図中c:以下c波)を用いて、透過部材50が無い場合における反射パルス波(図中o:以下o波)が検出される時間T0を算出する。
図4において、a波、b波及びc波は同時に照射されたパルス波がヘッド30に反射されるまでの経路をそれぞれで示すものである。また、o波は、本発明の補正により求められるべきパルス波の仮想的な反射経路を示すものである。
また、本発明の電磁波計測装置100は、算出されたo波のピーク時間から、被計測物40までの距離補正を施す。
図5は、本発明の電磁波計測装置100が生成する時間波形の1例及び補正により導かれる反射パルス波の時間T0を示すグラフである。
図5において、a波、b波及びc波はそれぞれ時間T1、T2及びT3に検出ピークが得られる。時間T1、T2及びT3は、それぞれ時間Δt1の間隔でピークが得られる。
時間間隔Δt1は、上記した式(2)のパルス波照射経路上に屈折率nで厚さd1の透過部材50が配されることによる光学距離の往復分の時間となる。
よって、ヘッド30から照射されたパルス波が被計測物40で反射して再度ヘッド30に入射するa波の光学距離D1及び時間T1は以下の式で示す通りとなる。
ここで、o波が検出されるべき時間T0は式(1)から以下に示す通りである。
上記式(9)より、式(8)は以下に示す通りとなる。
すなわち、o波が検出されるべき時間T0は、a波が検出された時間に対して2(n−1)d1/Cの時間を引いた値となる。
しかし、透過部材50は、屈折率nを有する既知の部材であるが、その厚さd1は製造誤差等により正確な数値は不明である。よって、時間波形から得られた各反射パルス波のピーク時間間隔Δt1から補正値を算出する。
a波、b波及びc波の時間間隔Δt1は、透過部材50内を1往復ずつ反射したことによる反射パルス波の時間差である。よって、反射パルス波が透過部材50中を1往復することにより生じる時間間隔Δt1は、透過部材50の厚さd1から以下に示す通りである。
よって、透過部材50の厚さd1は以下に示す通りである。
式(11)及び(13)からo波が検出されるべき時間T0は以下の式で示す通りとなる。
すなわち、式(14)より、時間波形で得られたa波のピーク時間及びa波、b波並びにc波の時間間隔Δt1及び情報取得部22から得られた透過部材50の屈折率nを用いることで、o波が検出されるべき時間T0を得ることが可能となる。
また、当該得られた時間T0及び式(9)から、ヘッド30から被計測物40までの距離を以下の通り算出することが可能となる。
図6は、本発明による電磁波計測装置100の被計測物40までの距離測定処理を示すフローチャートである。
本願発明の電磁波計測装置100は、ステップS102〜S112の処理により、テラヘルツ波送受信部10を可動させるスキャン機構によりパルス波照射位置を被計測物40上で位置スキャンさせて被計測物40の表面の複数点の位置を計測する。また、当該複数点の位置の各々でステップS105〜107の処理を実行することにより、光学遅延装置14の位置走査をさせて光学遅延距離を制御し、検出タイミングを走査させることで反射パルス波の時間波形を生成する。
制御部20の情報取得部22は、屈折率情報設定ステップとして、被計測物までの距離の測定に先立って透過部材50の屈折率を取得する。当該屈折率は、ユーザからの入力又は記録されている情報に基づいて透過部材50の屈折率を取得する(ステップS101)。
次に、制御部20は、テラヘルツ波送受信部10のスキャン機構の位置をリセットし、測定時間開始点まで移動させる(ステップS102)。
次に、制御部20は、光学遅延装置14の位置をリセットし、測定時間開始点まで移動させる(ステップS103)。
次に、制御部20は、照射ステップとして超短パルスレーザ発振器11に駆動信号を供給し、発生素子12からテラヘルツ波のパルス波を発生させる。これにより制御部20は発生素子12からヘッド30を介して被計測物40に向けて当該パルス波を照射させる(ステップS104)。
次に、検出素子13で検出された検出信号を時間波形取得部21が記録する(ステップS105)。
次に、光学遅延装置14の位置走査が完了したかを判定する(ステップS106)。
光学遅延装置14の位置走査が完了していないと判定された場合(ステップS106:No)、制御部20は、光学遅延装置14を1設定距離だけ移動させ(ステップS107)、ステップS104の処理を再び実行させるように制御する。
光学遅延装置14の位置走査が完了したと判定された場合(ステップS106:Yes)、時間波形取得部21は、得られた検出信号から時間波形を生成する(ステップS108)。
すなわち、得られた検出信号から時間波形を生成するステップS105〜108は検出ステップとして処理が実行される。
次に、測距部23は、タイミング取得ステップとして得られた時間波形からa波、b波及びc波のピークとその時間を抽出する(ステップS109)。
次に、測距部23は、a波とb波の時間差又はb波とc波の時間差及び情報取得部22で取得された透過部材50の屈折率から、透過部材50があることによる検出時間の遅延時間を算出する。その後、測距部23は、a波に対して当該算出された遅延時間の補正を施して透過部材50がない場合に検出されるべきo波の検出時間を算出する(ステップS110)。
測距部23は、算出されたo波の検出時間に基づいて電磁波計測装置100から被計測物40までの距離を算出する(ステップS111)。
すなわち、生成された時間波形からa波、b波及びc波のピーク時間を抽出し、抽出された時間及び屈折率からa波に対して時間補正を施し、当該補正時間から被計測物40までの距離を算出するステップS109〜111は界面位置特定ステップとして処理が実行される。
次に、制御部20は、被計測物40の位置スキャンが完了したかを判定する(ステップS112)。
被計測物40の位置スキャンが完了していないと判定された場合(ステップS112:No)、制御部20は、テラヘルツ波送受信部10をスキャン機構により1設定距離分だけ移動させ、パルス波照射位置を被計測物40の次計測点へ移動させる(ステップS113)。その後、制御部20は、ステップS103の処理を再び実行させるように制御する。
被計測物40の位置スキャンが完了したと判定された場合(ステップS112:Yes)、電磁波計測装置100は計測を完了し、得られた被計測物40までの距離及び被計測物40の界面の傾き等の情報をディスプレイ等の表示装置に出力する。
上記の制御部20が光学遅延装置14及びスキャン機構を移動させる設定距離は、それぞれ任意に設定可能である。また、設定距離のそれぞれは、計測処理にかかる時間又は光学遅延装置14及びスキャン機構の分解能を考慮して設定することが好ましい。
本発明によれば、電磁波計測装置100と被計測物40の間に透過性の非被計測物である透過部材50がいずれの位置にあった場合においても、適切に時間波形を補正すること、又は適切に被計測物の位置を計測することが可能となる。
なお、時間波形から得られる反射パルス波の時間間隔Δt1は、a波とb波の時間差又はb波とc波の時間差のどちらでよい。従って、上記実施例ではa波、b波及びc波のピーク時間を抽出する例で説明したが、例えばa波とb波の時間差から時間間隔Δt1を検出する場合には、c波の抽出は行わなくてもよい。
また、得られた時間波形において、透過部材50及び被計測物40での多重反射により、どの波形が透過部材50の表面および裏面での反射パルス波を示すかの判断が難しい場合がある。その場合、透過部材50及び被計測物40の屈折率が予め判っていれば、フレネルの式に基づいて、各境界面で反射するパルス波の振幅比を予測し、測定された波形のうち最も比が一致する組み合わせに基づいて、透過部材50の表面および裏面での反射パルス波を特定してもよい。
当該反射パルス波の特定は、測距部23が自動でこれを行ってもよい。また、電磁波計測装置100が計測した時間波形をディスプレイ等に表示し、ユーザから透過部材50の表面、裏面のそれぞれで反射した反射パルス波を指定する操作を受付けるようにしてもよい。
また、本願発明は電磁波計測装置100から被計測物40までの距離を計測する実施例について説明した。しかし、電磁波計測装置100は、補正された時間波形にフーリエ変換を施し、例えば、被計測物40の反射率や複素屈折スペクトル等の物性情報を得るようにしてもよい。
100 電磁波計測装置
10 テラヘルツ波送受信部
11 超短パルスレーザ発振器
12 発生素子
13 検出素子
14 光学遅延装置
20 制御部
21 時間波形取得部
22 情報取得部
23 測距部
30 ヘッド
40 被計測物
50 透過部材
10 テラヘルツ波送受信部
11 超短パルスレーザ発振器
12 発生素子
13 検出素子
14 光学遅延装置
20 制御部
21 時間波形取得部
22 情報取得部
23 測距部
30 ヘッド
40 被計測物
50 透過部材
Claims (7)
- 被検体の界面の位置を計測する計測装置であって、
前記被検体に電磁波のパルス波を照射する電磁波照射部と、
前記被検体の界面で反射された反射パルス波を検出する電磁波検出部と、
前記電磁波照射部と前記被検体の間に存在する非被検体の屈折率に関する屈折率情報を取得する屈折率情報取得部と、
前記被検体の界面で反射されて前記非被検体を透過した前記反射パルス波である第1の反射パルス波が前記電磁波検出部に検出された第1のタイミングと、当該第1の反射パルス波が前記非被検体の表面及び裏面で往復反射された第2の反射パルス波が前記電磁波検出部に検出された第2のタイミングを取得するタイミング取得部と、
前記第1のタイミング、前記第2のタイミング、及び前記屈折率情報に基づいて、前記被検体の界面位置を特定する界面位置特定部と、
を備えることを特徴とする計測装置。 - 前記電磁波検出部は、前記電磁波照射部が前記パルス波を射出した時点から第1の時間が経過したのちに入射する前記反射パルス波を検出し、
前記非被検体は、前記電磁波照射部からの距離が、前記電磁波照射部から射出された前記パルス波が前記第1の時間が経過する間に空間を進む距離の半分の距離である第1距離以内になる位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。 - 前記電磁波検出部は、前記反射パルス波の振幅に関する時間波形を生成し、
前記タイミング取得部が、前記時間波形から前記第1のタイミング及び前記第2のタイミングを取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の計測装置。 - 前記界面位置特定部は、前記第1のタイミング、前記第2のタイミング、及び前記屈折率情報に基づいて、前記電磁波が前記非被検体を透過したことによって発生する前記電磁波の検出における遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて前記第1のタイミングを補正し、当該補正された前記第1のタイミングに基づいて前記被検体の界面位置を特定することを特徴とする請求項1−3のいずれか1に記載の計測装置。
- 前記パルス波は、テラヘルツ波であることを特徴とする請求項1−4のいずれか1に記載の電磁波計測装置。
- 電磁波照射部と電磁波検出部を有し、被検体の界面の位置を計測する計測装置が実行する計測方法であって、
前記電磁波照射部が、前記被検体に電磁波のパルス波を照射する照射ステップと、
前記電磁波検出部が、前記被検体の界面で反射された反射パルス波を検出する検出ステップと、
前記電磁波照射部と前記被検体の間に存在する非被検体の屈折率に関する屈折率情報を取得する屈折率情報取得ステップと、
前記検出ステップにおける前記反射波の検出結果に基づいて、前記被検体の界面で反射されて前記非被検体を透過した前記反射パルス波である第1の反射パルス波が前記電磁波検出部に検出された第1のタイミングと、当該第1の反射パルス波が前記非被検体の表面及び裏面で往復反射された第2の反射パルス波が前記電磁波検出部に検出された第2のタイミングを取得するタイミング取得ステップと、
前記第1のタイミング、前記第2のタイミング、及び前記屈折率情報に基づいて、前記被検体の界面位置を特定する界面位置特定ステップと、
を備えることを特徴とする計測方法。 - 計測装置のコンピュータが実行するプログラムであって、
前記被検体に電磁波のパルス波を照射する電磁波照射部と、
前記被検体の界面で反射された反射パルス波を検出する電磁波検出部と、
前記電磁波照射部と前記被検体の間に存在する非被検体の屈折率に関する屈折率情報を取得する屈折率情報取得部と、
前記被検体の界面で反射されて前記非被検体を透過した前記反射パルス波である第1の反射パルス波が前記電磁波検出部に検出された第1のタイミングと、当該第1の反射パルス波が前記非被検体の表面及び裏面で往復反射された第2の反射パルス波が前記電磁波検出部に検出された第2のタイミングを取得するタイミング取得部と、
前記第1のタイミング、前記第2のタイミング、及び前記屈折率情報に基づいて、前記被検体の界面位置を特定する界面位置特定部、
として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019195357A JP2021067645A (ja) | 2019-10-28 | 2019-10-28 | 計測装置、計測方法、及びプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019195357A JP2021067645A (ja) | 2019-10-28 | 2019-10-28 | 計測装置、計測方法、及びプログラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2021067645A true JP2021067645A (ja) | 2021-04-30 |
Family
ID=75637104
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2019195357A Pending JP2021067645A (ja) | 2019-10-28 | 2019-10-28 | 計測装置、計測方法、及びプログラム |
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JP (1) | JP2021067645A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023227053A1 (zh) * | 2022-05-25 | 2023-11-30 | 太景科技(南京)有限公司 | 检测装置和检测方法 |
-
2019
- 2019-10-28 JP JP2019195357A patent/JP2021067645A/ja active Pending
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