JP2011196990A - 塗装膜の検査装置および検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 曲面を有する塗装膜を正確に計測する。
【解決手段】 ラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生器15と、前記テラヘルツ波を、膜が形成された試料に照射させる照射光学系16、17と、前記試料において反射したテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出器22と、検出されたテラヘルツ波の電場強度を時間軸の波形データに表し、波形データから複数のピークを検出するとともに、ピーク間の時間差に基づき膜厚を算出する制御部5とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、塗装の膜厚、ムラ等の塗装品質を計測するための塗装膜の検査装置および方法に関する。
自動車などの工業製品においては、基材(下地)上に様々な塗装が施されており、塗装膜を非破壊で検査する検査装置が用いられている。塗装膜の検査装置は、レーザ、超音波、X線などを用いることによって、塗装の膜厚、光沢等を非破壊で検査することが可能である。
膜厚の検査装置として、例えば、特許文献1(特許第3214190号公報)が知られている。この検査装置は、光学式センサと渦電流センサを用いることによって、光学式センサによって測定された塗装膜表面までの距離と、渦電流センサによって測定された導体までの距離の差を算出することによって膜厚を計測することが可能となる。
また、特許文献2(特許4084817号公報)に記載の検査装置は、P偏光の反射強度を用いて膜厚を計測している。この検査装置は、ランダム偏光によらず、P偏光を用いることによって、200nm以下の薄膜の検査を意図したものである。
特許文献3(特許第4046158号公報)は、テラヘルツ波を用いた検査装置に関する。テラヘルツ波は、光波と電波の中間的な性質を有しており、高分子材料を含む塗装膜を透過する。この検査装置は、フェムト秒レーザ励起によるテラヘルツパルスを試料に照射し、反射波に現れた各ピーク間の時間差を計測することにより膜厚を算出している。
また、メタリック塗装の外観に関しても、客観的な検査指標を得るために、以下のアプローチがなされている。
自動車等の商品に施される塗装は、防錆の目的以外に商品の外観を決定する重要な要素となることから、塗装外観を客観的に計測する必要がある。特に、自動車は大量生産されるとともに、高品質な塗装が要求されることから、塗装検査を正確かつ短時間で行うことが求められている。自動車の塗装はソリッド塗装とメタリック塗装に大別され、ソリッド塗装はバインダに顔料を含有させたものであるため、色相、明度の光学特性を計測装置によって計測し易い。一方、メタリック塗装は、クリア層とベース層からなり、ベース層に顔料の他に燐片状の光輝材( アルミフレーク,マイカフレークなど) を含む。このため、フレークの配向状態に応じて、方向性を持った反射光が生じ、メタリック塗装に特有の光沢感を生み出す。フレークの配向状態または分布状態が均一でない場合には、色ムラとして認識されることから、メタリック塗装の色ムラを検査する必要がある。ところが、メタリック塗装の色ムラはソリッド塗装のように色相、明度等によって表現できないため、目視検査に頼らざるを得ないのが現状である。
このような状況の下、メタリック塗装を客観的に評価すべく、いくつかの試みがなされてきた。
特許文献4(特開2009−69138号公報)は、メタリック塗膜上の各測定点毎に2以上の光軸で光を入射し、それぞれの反射光の測色または反射強度測定を行うことによって、色ムラを評価する方法に関する。
特許文献5(特開2008−246347号公報)は、メタリック塗装面を顕微鏡によって特徴量を抽出し、観測された特徴量とデータベースに登録された特徴量とを比較することによって、フレークの表面状態を判別する検査装置に関する。特徴量としては、メタリック塗装の中に含まれるフレークサイズ、密度、浮き沈み度合を示す評価値、フレークの表面状態を示す評価値が用いられている。
特許文献6(特開平05−288690号公報)は計測値を統計的に処理することによって色ムラ等を判別する検査装置に関する。この検査装置は、メタリック塗装表面を走査することによって輝度を連続的に計測し、計測された輝度の変化をフーリエ変換して周波数領域における解析を行い、特定の周波数(長さ)における振幅の大きさを色ムラとして判別している。
特許第3214190号公報 特許4084817号公報 特許第4046158号公報 特開2009−69138号公報 特開2008−246347号公報 特開平05−288690号公報
しかしながら、上述の特許文献に記載された検査装置は、多層膜の各層の膜厚を計測する膜厚計測に対応したものではなく、多層膜の各層を計測することはできない。例えば、特許文献1に記載の計測装置は、光学計測によって塗装膜表面までの距離を計測し、渦電流計測により導体までの距離を計測しているため、多層膜の各層を計測することはできない。
また、特許文献4〜6に記載された検査装置は、メタリック塗装の検査装置に関するものであるが、これらの検査装置はメタリック塗装上において複数の光軸若しくは複数の測定点における測定を行い、複数の測定値の統計処理によって色ムラを検査している。すなわち、複数の計測値を統計処理によって積分(平均化)するものである。このため、曲面に起因する高低差、微小な色ムラも平均化されてしまい、正確な検査を行うことは困難である。
例えば、特許文献4に記載の装置においては、複数の測定点のそれぞれにおいて複数の光軸を用いて計測を行わなければならず、計測に多くの時間を要する。すなわち、同一点において複数の光軸を同時に照射することはできないことから、光軸の数が多くなるに従い、計測時間は増大してしまう。また、当該文献においては、計測結果と色ムラを発生させるフレークとの関連について十分な解析がなされておらず、正確な計測結果が得られるとは言い難い。
特許文献5に記載の検査装置は、顕微鏡によってミクロ画像を撮像しなければならず、工場の生産ラインにおいて顕微鏡を用いることは容易ではない。また、塗装直後においては、塗装表面のミクロ画像は刻々と変化するため、いわゆるウェット塗装に当該方法を適用するのは困難である。
特許文献6に記載の検査装置は、複数の計測値の統計処理によって高低差および微小な色ムラは平均化されてしまい、必ずしも正確な検査を期待できない。
上述したように、特許文献4〜6に示された従来の検査装置においては、メタリック塗装上において複数の光軸若しくは複数の測定点における測定を行い、複数の測定値の統計処理によって色ムラを検査していた。このため、計測に多くの時間を要し、大量生産が要求される製造工程において従来の検査方法を適用することは困難である。従来の検査方法は、メタリック塗装表面を走査することによって複数の計測値を求め、これらの計測値を統計処理によって加算(平均化)するものである。このため、微小な色ムラも平均化されてしまい、正確な検査を行うことは困難である。
さらに、従来の検査方法は、メタリック塗装上の異なる測定点における反射光量を測定し、測定値の相対的な差を色ムラとして把握するものであって、フレークの配向の均一性を捉えることはできない。なお、特許文献5は顕微鏡を用いてフレークを撮像するものであるが、撮像はメタリック塗装表面のみについて行われ、フレークの配向を検出することはできない。
上述の課題を解決するために、本発明に係る塗装の検査装置は、テラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生器と、前記テラヘルツ波を、膜が形成された試料に照射させる照射光学系と、前記試料において反射したテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出器と、検出されたテラヘルツ波の電場強度を時間軸の波形データに表し、波形データから複数のピークを検出するとともに、ピーク間の時間差に基づき膜厚を算出する制御部とを備える。
前記制御部は、予め入力されたピークパターンに従い、前記波形データから複数のピークを検出する。
前記制御部は、前記波形データから、振幅の大きな順にピークを検出する。
前記制御部は、予め入力された膜厚範囲に対応する時間範囲にある複数のピークを検出する。
前記制御部は、予め入力された強度比範囲にある複数のピークを検出する。
また、本発明に係る塗装膜の検査装置の他の態様は、テラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生器と、前記テラヘルツ波をメタリック塗装試料に照射させる照射光学系と、前記試料において反射したテラヘルツ波の複数の偏光成分を検出するテラヘルツ波検出器と、検出された複数の偏光成分に基づきメタリック塗装試料の指標値を算出する制御部とを備える。
塗装膜の検査装置は、前記テラヘルツ波検出器を、反射したテラヘルツ波の光軸に対して所定角度だけ回転させることによって、複数の偏光成分を検出ならしめる回転手段をさらに備える。
前記所定角度は略45度であって、前記テラヘルツ波検出器は回転の前後における2つの偏光成分を検出する。
前記テラヘルツ波検出器はダイポールアンテナ型の検出器を備える。また、前記テラヘルツ波検出器はEO結晶を備える。
本発明によれば、波形データから複数のピークを検出するとともに、ピーク間の時間差に基づき膜厚を算出することができる。
また、予め入力されたピークパターンに従い、波形データから複数のピークを検出することにより、多重反射およびノイズ等をピークとして誤検出することを回避することができる。
また、波形データにおいて、振幅の大きな順にピークを検出することにより、多重反射およびノイズ等をピークとして誤検出することを回避することができる。さらに、測定対象となる試料の膜厚範囲および強度比範囲を予め入力することによっても、ピークの誤検出による計測エラーを防ぐことができる。
また、本発明に係る塗装膜の検査装置の他の態様によれば、テラヘルツ波を塗装試料に照射させ、塗装試料からの反射テラヘルツ波における複数の偏光成分を検出することにより、メタリック塗装のフレークの配向の状態を把握することが可能である。反射テラヘルツ波には、メタリック塗装の反射面に固有の情報として複素誘電率と偏光とが含まれている。複素誘電率には屈折率、吸収率、電気伝導度等の情報が含まれ、偏光には反射面、透過領域での偏光を乱す物質の情報が含まれている。メタリック塗装に色ムラが存在しない場合には、メタリック塗装内部のフレークはランダムに配置されており、反射テラヘルツ波の偏光は乱される。一方、メタリック塗装に色ムラが存在する場合には、フレークは特定方向を向いており、メタリック塗装表面はテラヘルツ波の周波数領域においては回折格子のような偏光特性を有する。従って、反射テラヘルツ波における複数の偏光成分を計測し、これらの偏光成分を比較することにより、メタリック塗装の良否を判断することが可能となる。すなわち、本発明によれば、フレークの配向状態の情報を含む反射テラヘルツ波の偏光成分を直接に検出することができるため、従来技術のように複数の計測結果に基づく統計的な演算処理を行う必要がなく、短時間に検査を行うことができる。また、統計処理に伴い、検出された情報が平均化されることもなく、正確な検査が可能となる。
また、テラヘルツ波は樹脂を透過する性質を有しているため、可視光が透過しない樹脂であっても検査を行うことが可能である。
さらに、検出手段を反射テラヘルツ波の光軸に対して所定角度だけ回転させることによって、反射テラヘルツ波における複数の偏光成分を検出することができる。検出手段としてダイポールアンテナを用いた場合には、検出手段の回転角度を45度とすることにより、偏光成分の検出値がゼロになってしまうことを回避できる。
また、検出手段としてEO結晶を用いた場合には、EO結晶を回転させた後におけるアライメント調整を行う必要がなくなり、効率の良い計測が可能となる。
本発明の第1実施形態に係る検査装置の概略図である。 本発明の第1実施形態に係る検査装置のブロック図である。 本発明の第1実施形態に係るレーザ、分波器のブロック図である。 本発明の第1実施形態に係るレーザパルスの基本波の波形図である。 本発明の第1実施形態に係るレーザパルスの二倍高調波の波形図である。 本発明の第1実施形態に係る反射光の光路を説明するための図である。 本発明の第1施形態に係る反射波の波形図である。 本発明の第1実施形態に係る制御装置のブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る塗装試料の断面図である。 本発明の第1実施形態に係る反射波の波形図である。 本発明の第1実施形態に係る多重反射を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係るピークパターンの図である。 本発明の第1実施形態に係る検査方法を表すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係るテラヘルツ波のサンプリング方法を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係る膜厚演算処理のフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係るピーク検出処理のフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係るピーク検出処理のフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る反射波の波形図である。 本発明の第1実施形態に係る塗装膜の屈折率、膜厚を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係る塗装膜の測定屈折率を説明するための図である。 曲面を有する塗装膜検査を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係るメタリック塗装試料の断面図である。 本発明の第2実施形態に係る反射波の波形図である。 本発明の第2実施形態に係るピーク検出処理のフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係るピーク検出処理のフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る塗装膜検査装置を説明するための図である。 本発明の第3実施形態に係る塗装膜検査装置を説明するための図である。 本発明の第4実施形態に係る塗装膜検査装置のブロック図である。 本発明の第4実施形態に係る制御装置のブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係る検査方法を表すフローチャートである。 本発明の第5実施形態に係る検査装置のブロック図である。 本発明の第5の実施形態に係る検査方法を表すフローチャートである。 本発明の第5実施形態に係る電気光学(EO)結晶における偏光方向および結晶軸方向を説明するための図である。 本発明の第5実施形態に係る電気光学(EO)結晶における偏光方向および結晶軸方向を説明するための図である。 本発明に係る検査結果の一例を示すグラフである。 本発明に係る検査結果の一例を示すグラフである。
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
[第1実施形態]
(全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る塗装膜の検査装置の概略構成図である。
検査装置1は、試料3にテラヘルツ波を照射するとともに反射波を検出する光学装置2、反射波の検出信号を同期増幅するロックインアンプ4、検査装置を制御する制御装置5を備えている。光学装置2は、レーザ10、分波器11、変調器12、テラヘルツ波発生器15、テラヘルツ検出器22、光学遅延部25を備えている。
レーザ10によって、励起されたレーザ光は分波器11によって、基本波と二倍高調波に分波される。基本波は変調器12によって所定周波数のパルスに変調され、テラヘルツ波発生器15に入射される。テラヘルツ波発生器15から発せられたテラヘルツ波は試料3に照射され、反射波がテラヘルツ波検出器22に入射する。一方、分波器11によって分波された二倍高調波はプローブ光として用いられる。このプローブ光は光学遅延部25によって遅延され、テラヘルツ波検出器22に入射される。テラヘルツ波検出器22はプローブ光のタイミングにおいて、試料3からの反射波を検出する。ロックインアンプ4は、変調周波数に同期して検出電流を検出および積分することにより、高SN比の信号増幅を行うものである。ロックインアンプ4によって増幅された信号は計測データとして制御装置5に入力される。制御装置5は、ロックインアンプ4からの計測データを解析し、膜厚等、塗装品質を判断することが可能である。
(光学装置)
図2は光学装置2の詳細を表すブロック図である。
光学装置2は、フェムト秒ファイバレーザ10、ダイクロイックミラー11、チョッパ(変調器)12、ミラー13、基本波集光用放物面鏡14、DAST(テラヘルツ波発生器)15、軸はずし放物面鏡16、17、18、20、絞り19、テラヘルツ波検出器22、集光レンズ23、光学遅延部25、ミラー26を備えている。光学装置2は筐体によって外部から密閉されており、筐体内部を除湿、窒素ガス封入、もしくは真空にすることが望ましい。このような構成によって、テラヘルツ波が空気中の水分によって吸収されるのを防止することができる。
フェムト秒ファイバレーザ10は、例えばEr(エルビウム)をドープした光ファイバーを励起光によって励起させることにより1550nmの光を発生させている。この光は一対のミラー間で共振させられ、偏光ビームスプリッタを経て、高出力の光パルスとして出力される。出力された光パルスは1550nm成分の基本波と780nm成分の二倍高調波とを含んでいる。通常のファイバレーザにおいては、1ミクロン帯や1.5ミクロン帯が基本波である。テラヘルツ波検出器22としてGaAs基板のダイポールアンテナを用いる場合には、プローブ光として二倍高調波を発生させることが望ましい。
ダイクロイックミラー11は、白板ガラス上に屈折率の異なる誘電体物質を交互に多層コーティングして構成されており、フェムト秒ファイバレーザ10から出力された光パルスを1550nm成分の基本波と780nm成分の二倍高調波とに分離する。本実施形態においては、1550nm成分の基本波の強度は約100mW、パルス幅は17fsであり、780nm成分の二倍高調波の強度は約10mW、パルス幅は37fsである。1550nmの基本波はテラヘルツ波の発生のために用いられ、780nmの二倍高調波はテラヘルツ波検出器におけるプローブ光として用いられる。なお、本発明はこれらの数値に限定されるものではなく、他の数値を用いることも可能である。
また、ダイクロイックミラーに代えて基本波用のビームスプリッタを用い、ビームスプリッタとミラー26の間に波長変換素子を配置しても良い。ビームスプリッタは、できるだけ広い波長帯域を有することが望ましい。また、パルス幅を伸ばさないように、ビームスプリッタの素子の厚みは0.5mm以下であることが望ましい。
さらに、レーザ光源としてチタンサファイヤレーザのように、単一の中心波長で発振するレーザを用いる場合には、基本波をビームスプリッタで分割しても良い。
チョッパ12はダイクロイックミラー11を透過した基本波の光路に設けられており、音響光学素子(AOM)あるいは電気光学素子(EOM)に置き換えてもよい。チョッパ12による変調周波数はレーザの繰返し周波数の1/10程度の比較的に高い値が望ましく、本実施形態においては1kHzの変調周波数を用いた。チョッパ12は変調周波数の信号を出力することが可能であり、この変調周波数はロックインアンプ4、制御装置5に接続されている。このような構成により、ロックインアンプ4は変調周波数に同期した検出を行うことが可能である。
ミラー13はチョッパ12によって変調された基本波の光路を基本波集光用放物面鏡14に向ける。基本波集光用放物面鏡14は、ミラー13によって反射された基本波をDASTに集光させるように配置されている。
DAST(4-dimethylamino-N-methyl-4-stilbazolium tosylate)15は、有機非線形光学結晶であって、高い光学定数を有する有機非線形光学結晶として知られている。超短パルスのフェムト秒レーザを用いることで、数十THz以上のテラヘルツ波を発生することが可能である。
テラヘルツ波を発生させるためには、非線形結晶ではなく、アンテナを用いることも可能である。但し、透過型のアンテナにおいては、基盤、シリコンレンズにおける吸収、分散の影響を受け易いことから、短パルスの生成が困難になることがある。反射型のアンテナを用いればシリコンレンズの影響を回避することは可能である。しかしながら、反射型のアンテナを用いたとしても、誘電率の大きな基板において電磁波が放射され、テラヘルツ波の出力が小さくなる可能性がある。一方、非線形結晶は、レーザを集光させるだけでテラヘルツ波を発生させることができ、上述の問題を解消することができる。
なお、本実施形態においては、DASTに限定されることなく、LiNbO3、MgO・LiTaO3、BBO、LBO、KTPなどのレーザー波長変換用非線形結晶や、ZnTe、GnSe、GaP、GaAsなどの半導体結晶を用いてもよい。また、KDP、ADP、KNbO3、BaTiO3、および鉛系またはジルコニウム系強誘電体結晶を用いることも可能である。さらに、PMN、PZN、PZTの鉛系リラクサー、KTa1−xNbxO3、K1−xLixTaO3、Sr1−xCaxTiO3などの量子常誘電体系リラクサー物質を用いてもよい。
DAST15によって発生したテラヘルツ波は軸外し放物面鏡16、17で反射し、試料3に照射される。試料3から反射したテラヘルツ波は軸外し放物面鏡18、20によって集光され、テラヘルツ波検出器22に入射する。なお、光学装置2を覆う筐体にはウィンドウ2Aが設けられており、テラヘルツ波はウィンドウ2Aを通過して試料3に照射され、また、試料3によって反射したテラヘルツ波もウィンドウ2Aを通過して光学装置2に入射する。なお、ウィンドウ2Aは、光学装置2の筐体の密閉性を損なわないように、透明な部材によって閉止されていることが望ましい。
軸外し放物面鏡18、20は塗装試料3において反射したテラヘルツ波をテラヘルツ波検出器22に集光させる。後述するように、試料3と法物面鏡18の間には絞り19Aが設けられ、放物面鏡18、20の間には絞り19Bが設けられている。試料3において正反射したテラヘルツ波のみがテラヘルツ波検出器22に入射するように、絞り19A、19Bは調整されている。
テラヘルツ波検出器22は、光伝導性半導体薄膜(低温成長GaAs等)の基板上に,ギャップを有する金属電極をダイポールアンテナとして形成したものである。基板の一方の側には半球レンズが設けられており、この半球レンズに入射したテラヘルツ波はダイポールアンテナのギャップ部分に集束する。また、基板の反対側には集光レンズ23が配置されており、この集光レンズ23によってフェムト秒のプローブ光が集束する。集束したプローブ光はダイポールアンテナのギャップに照射され、基板上においてキャリヤが発生する。このキャリヤはテラヘルツ波に伴う振動電場で加速され、テラヘルツ波の電場に比例した瞬時電流が流れる。この電流を計測することで,テラヘルツパルス波の電場の強さを計測することができる。
光学遅延部25は固定ミラーと可動ミラーとを備え、可動ミラーの位置に応じて、プローブ光の遅延が決定される。すなわち、プローブ光の光路長を変えることにより、プローブ光がテラヘルツ検出器22に到達するタイミングを任意に定めることができる。従って、このタイミングを変えながら、繰り返し到来するテラヘルツ波の電場を計測することにより、テラヘルツ波の波形をサンプリングすることが可能となる。
ロックインアンプ4は、変調周波数に同期して検出電流を検出および積分することにより、高SN比の信号増幅を行うものである。すなわち、ロックインアンプ4には、チョッパ2における変調周波数の信号が入力されており、この信号に同期して、ロックインアンプ4はテラヘルツ検出器22からの微弱な検出電流を増幅することができる。ロックインアンプ4によって増幅された信号は計測データとして制御装置5に入力される。
制御装置5は、例えばパーソナルコンピュータによって構成されており、チョッパ12、光学遅延部23、ロックインアンプ4を変調周波数で同期させている。また、制御装置5は、ロックインアンプ4からの計測データを解析し、試料3の膜厚等の塗装品質を判断することが可能である。
(レーザ、分波器)
図3を参照しながら、レーザ10、分波器11の詳細な構成を説明する。
レーザ10は光ファイバレーザであって、励起用のオシレータ1001、ポンプ光源であるレーザダイオード1002〜1004、λ/2板1005、WDM(波長分割多重:(wavelength-division multiplexing)カプラ1006、1007、偏波コンバイナ1008、シングルモードファイバ1009、エルビウムドープファイバ1010、偏光ビームコンバイナ(Polarization beam combiner)1010、反射器1014、LMA−PCF(広モードエリアフォトニッククリスタルファイバ:Large Mode Area-Photonic Crystal Fiber)1015、λ/2板1016、偏光ビームスプリッタ1017、HNLF(高非線形ファイバ:Highly Non-Linear Fiber)1018を備える。
オシレータ1001はErを添加したファイバレーザであり、短パルスの信号光を発生可能である。パルス幅は300fs程度であることが望ましい。なお、Erに代えてYbを添加したファイバレーザを用いてもよく、チタンサファイヤレーザなどの固体レーザを用いてもよい。
レーザの選定に際しては、膜厚を考慮する必要がある。例えば、膜厚が10μm、屈折率が2の膜厚の計測を行う場合には、膜の表面の反射波と裏面の反射波と光路差は10μm×2×2=40μmとなる。また、このときの時間差は、40×10−6/3×10 = 1.3×10−13 = 130fsとなる。従って、テラヘルツ波のパルス幅も130fs程度であることが望ましい。レーザパルスが約100fsである場合、アンテナおよびシリコンレンズによって発生されるテラヘルツ波のパルス幅は約1psとなる。また、非線形結晶を用いたとしても、テラヘルツ波のパルス幅は約500fsである。このようにパルス幅が広がるのは、アンテナおよびシリコンレンズを通過する際の吸収、分散、非線形結晶の位相不整合、吸収等よるためである。なお、非線形結晶を薄くすることにより、位相不整合、吸収等を低減することはできるが、同時にテラヘルツ波の出力も減少してしまう。従って、非線形結晶を薄くせずに、レーザを短パルス化することが望ましい。
励起された信号光の繰り返し周波数は50MHzである。繰り返し周波数を高くすることにより、テラヘルツ波検出器22において検出された信号のSN比を大きくすることが可能である。一方、繰り返し周波数を高くしすぎると、パルス間隔が狭まり、検出信号の時間領域におけるスキャン可能な範囲が狭くなってしまう。このため、計測しようとする膜厚に応じた繰り返し周波数を用いる必要がある。
λ/2波長板1005はオシレータ1001とWDMカプラ1006の間に設けられている。オシレータ1001の信号光を偏波保持ファイバに出力する場合には、λ/2波長板1005を用いることなく、オシレータ1001とWDMカプラ1006とを直接に接続することができる。
レーザダイオード1002、1003、1004はファイバを励起させるためのポンプ光源である。本実施形態においては、ファイバの両側にポンプ光源を設けているが、片側のみにポンプ光源を設けても良い。また、レーザダイオード1002、1003、1004は1480nm、400mWのポンプ光を出力可能であるが、980nmなどのポンプ光を出力するものであってもよい。
レーザダイオード1002、1003のポンプ光は偏波ビームコンバイナ、WDM1007を介してエルビウムドープファイバ1010に注入される。また、レーザダイオード1004のポンプ光は、オシレータ1001からの信号光とともにWDMカプラ1006を介してシングルモードファイバ1001、エルビウムドープファイバ1010に注入される。
エルビウムドープファイバ1010は偏波保持ファイバであるか否かを問わない。エルビウムドープファイバ1010が偏波保持ファイバである場合には、偏波コンバイナ1008によって、偏波ファイバのスロー軸、ファスト軸に沿って励起光を注入し、高出力化を図ることができる。
エルビウムドープファイバ1010における励起光は正常分散効果により、そのパルス幅を広げながら増幅される。これにより、非線形効果を回避することが可能となる。なお、WDMカプラ1010から出力されるレーザのパルス幅は1ps、出力は400mWであった。
WDMカプラ1007からのレーザパルスは反射器1014を介してLMA−PCF1015に入力される。LMA−PCF1015は異常分散の性質を有しており、通過するレーザを異常分散させ、レーザのパルス幅を狭くする。LMA−PCF1015から出力されたレーザのパルス幅は50fsまで狭くなる。このレーザはλ/2板1016、偏光ビームスプリッタ1017を介してHNLF(高非線形ファイバ)1018に入力される。
HNLF1017は大きな非線形性を有しており、非線形パルス圧縮により50fsのパルス幅を17fsに狭めることができる。なお、λ/2板1012、偏光ビームスプリッタ1017を設けずに、LMA−PCF1015とHNLF1018とを直接に接合(融着)してもよい。この場合には、両者は偏波保持ファイバであることが望ましい。
このようにしてレーザ10から出力されたレーザは分波器11によって基本波(1550nm)と二倍高調波(780nm)とに分波される。分波器11は、偏光ビームスプリッタ1101、PPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム:periodically poled lithium niobate)1102、ダイクロイックミラー1103、グリーンカットフィルタ1104を備える。
ビームスプリッタ1018は、入射されたビームを50:50に分波し、一方のビームを基本波1550nmとして出力し、他方のビームをPPLN1102に出力する。PPLN1102は、周期構造を有しており、基本波(1550nm)を二倍高調波(780nm)に変換することができる。二倍高調波はダイクロイックミラー1103、グリーンカットフィルター1104を経由して出力される。
図4、図5に分波器11によって分波された基本波、二倍高調波の波形を示す。図4は基本波の波形を示し、パルス幅は17fs、出力は100mWである。また、図5は二倍高調波の波形を示し、パルス幅は37fs、出力は10mWである。
(絞り)
続いて、図6を参照しながら、試料3において反射したテラヘルツ波の光路を説明する。上述したように、DAST5等のテラヘルツ発生部から照射されたテラヘルツ波は軸外し放物面鏡17において反射し、試料3表面に到達する。テラヘルツ波の中心部分は正反射として、実線矢印で示された経路を伝播する。一方、テラヘルツ波の周辺部分は、正反射とは異なり、破線矢印で示された経路を伝播する。このように、テラヘルツ波の中央部分、周辺部分がそれぞれ異なる伝播をするのは、試料3の曲面、島状物質等の凹凸に起因するためである。
一般に、工業製品は多様な形状をなしており、必ずしも平坦な面で構成されているとはかぎらない。また、塗装膜表面が平坦に見えたとしても、実際には無数の微小な凹凸および島状物質に起因する高低差が存在する。高低差を有する塗装膜表面上に、所定のビーム径を有する光を照射した場合、高低差が積分されて検出されてしまい、高低差と膜厚の区別ができず、正確な膜厚を検出することが困難となる。
例えば、引用文献1に記載の検査装置において、曲率が10mmの塗装膜上にビーム径が1mmのテラヘルツ波を照射したと仮定する(図21参照)。この場合、塗装膜上におけるビーム中心部と周辺部の高低差は13μmになり、13μm以下の膜厚を正確に測定することはできなくなる。この問題点は、膜厚が薄いほど顕著に現れる。
なお、ビーム径を可能な限り絞り込むことによって、曲面の高低差の影響を少なくすることはできるが、テラヘルツ波の回折限界である波長以下にビーム径を絞り込むことはできない。
本実施形態において、仮に、絞り19A、19Bが設けられていない場合、正反射のみならず、テラヘルツ波の周辺部の反射光も軸外し放物面鏡18によって平行光化され、テラヘルツ波検出器22に集光される。テラヘルツ波周辺部の反射は中心部よりも時間遅れを有しているため、これらを同時にテラヘルツ波検出器22に集束させてしまうと、膜厚の検出分解能が低下し、薄膜を正確に計測することができなくなってしまう。
例えば、絞り19A、19Bがない場合には、検出されたテラヘルツ波のパルス幅は1psに広がってしまう(図7)。絞り19A、18Bを設けることにより、テラヘルツ波のパルス幅は500fsになり、時間領域での分解能が改善されることが図7から確認できる。ここで、絞りを、入射波側、すなわち、軸外し放物面鏡17と試料3との間に設けることも考えられる。しかしながら、この場合には、テラヘルツ波を波長限界程度までしか絞ることができない。従って、本実施形態のように、絞り19A、19Bを反射波の側に配置することが望ましい。なお、絞り19A、19Bのいずれか一方のみを配置してもよい。
本実施形態においては、絞り19A、19Bを配置し、テラヘルツ波の周辺部の反射波を遮断することにより、時間遅れを有するテラヘルツ波の成分を除去することが可能となる。このような構成により、テラヘルツ波検出器22にテラヘルツ波の正反射のみが絞り19A、19Bの開口部を通過し、テラヘルツ波検出器22によって検出される。
なお、絞り19A、19Bを光路上に配置することにおり、光量が低減し、SN比が悪化するおそれがある。この場合には、ロックインアンプ4の検出時の時定数を長くし、または、変調器12の変調周波数を高くすることにより、SN比を改善すると良い。
(制御装置の構成)
図8は本実施形態に係る制御装置5のブロック図である。制御部5はパーソナルコンピュータ等によって構成され、データバス500、インターフェース501、レジスタ502、CPU503、ROM505、RAM507、記憶装置508、ディスプレイ509等を備えている。
データバス500は、CPU503と、インターフェース501等の各部とのデータの受け渡しを行うためのものである。インターフェース501はデータの入出力のためのポートである。インターフェース501には、ロックインアンプ4、アクチュエータ24、光学遅延部25が接続されている。制御装置5は光学遅延部25の可動ミラーの位置を制御することにより、プローブ光がテラヘルツ検出器22に到達するタイミングを変えることができる。
レジスタ502はCPU503の動作のためのキャッシュレジスタとして一時的にデータを蓄えるためのメモリである。CPU503は予め定められた検査プログラムを実行し、光学装置2を制御するとともに、計測データの解析を行う。
ROM505は制御装置5のBIOS等の基本プログラムを格納するために用いられる。RAM506は検査プログラムを実行するためのワークエリアとして用いられる。外部記憶装置507は、ハードディスクドライブ、CDドライブ、DVDドライブであって、測定された検査データの保存に用いられる。ディスプレイ508は液晶表示装置を備え、検査データに基づきテラヘルツ波の波形をグラフ表示するとともに、試料3の膜厚、塗装品質等を表示可能である。
(膜厚の計測原理)
続いて、本実施形態に係る膜厚の計測原理について詳述する。図9は塗装試料の断面図である。この図に示すクリヤ塗装は、下地である金属上にカラー層、マイカ層、クリヤ層が順に形成されて構成されている。塗装試料に対して、テラヘルツ波を照射すると、テラヘルツ波は、屈折率が変化する境界面において反射する。すなわち、テラヘルツ波は、空気およびクリヤ層の境界面(1)、クリヤ層およびマイカ層の境界面(2)、マイカ層およびカラー層の境界面(3)、カラー層および金属の境界面(4)において反射する。
反射波の一例を図10に示す。この図は、反射波の電場強度を時間領域で表したものであって、横軸は時間軸、縦軸は振幅を示している。反射波の時間領域において最初に現れる正のピークは空気およびクリヤ層の境界面(1)における反射波を示している。2番目に現れる負のピークはクリヤ層およびマイカ層の境界面(2)における反射波を示している。このピークは負の値を示すのは、マイカ層の屈折率がクリヤ層の屈折率よりも小さいためである。3番目に現れる正のピークはマイカ層およびカラー層の境界面(3)を示し、4番目に現れる正のピークはカラー層および金属の境界面(4)の反射波を示している。
これらのピーク間の時間差を次式に代入することにより膜厚dを算出することができる。
膜厚d=Δt・c・cosθ/2n ・・・(式1)
ここで、Δtは時間差、cは光速、θはテラヘルツ波の入射角度、nは塗装の屈折率を表している。
図10の波形において、4つのピーク以外に、多重反射、ノイズに起因するピークが複数存在する。例えば、3番目と4番目のピークの間に小さなピークが存在するのが確認できる。このピークは、図11に示すように、境界面(2)と(3)との間、すなわち、マイカ層の間における多重反射に起因するものである。また、4番目のピークに続く複数のピークは、境界面(3)と(4)の間、あるいは他の境界面における多重反射に起因するものである。したがって、これらのピークは多重反射によるものであることからピーク検出処理において無視することができ、1番目と4番目のピークの間においてピーク検出処理を実行すればよい。また、1番目と4番目のピークの間に2つのピークが存在することが予め分かっていれば、多重反射、ノイズ等を過ってピークとして検出されることを回避できる。
上述したように、検出された反射波からピークを抽出する際に、測定対象となる試料3のピークパターンを制御装置5に記憶させておくことにより、境界面に対応するピークを正確に抽出することができる。図12に、ピークパターンの一例を示す。ピークパターンは、各種塗装の波形のピークの理論値または実測値を表したものである。
図12において、上段は金属基板に塗装膜を形成した試料3の波形を示し、下段は樹脂基板に塗装膜を形成した試料3の波形を示している。また、左欄は1層カラー塗装膜、中欄は2層メタリック塗装膜、右欄は3層クリヤ塗装膜のそれぞれのピークパターンを示している。1層カラー塗装膜は、基板上にカラー塗料が塗布された塗装膜であり、2層メタリック塗装膜は基板上にメタリック塗料、クリヤ塗料が順に塗布された塗装膜である。3層クリヤ塗装膜は基板上にカラー塗料、マイカ塗料が順に塗布された塗装膜である。
塗装膜の境界面における反射波は2つの層の境界面における反射率によって決定される。従って、反射率が既知であれば、反射波に現れるピークの強度およびピークの向き(正のピーク、負のピーク)を推測することができる。ここで、反射率は二つの層の屈折率n、nから次式によって算出できる。
(n−n)/(n+n) ・・・(式2)
例えば、カラー塗料、メタリック塗料、クリヤ塗料、マイカ塗料、ABS樹脂基板のそれぞれの屈折率の測定値が、2.1、2.2、1.8、1.4、1.5であると仮定する(図20)。これらの屈折率を上式に代入し、境界面における反射率を算出することにより、図12に示されたピークパターン1〜6を予め推測することができる。例えば、金属基板および3層クリヤ塗装膜においては、正、負、正、正の4つのピークが順に現れるピークパターン3となることが推測される。また、それぞれのピークの強度比の推測値は、3:1:2:8となる。樹脂基板および3層クリヤ塗装膜においては、塗装膜と樹脂基板膜との境界面におけるピークは負となる。従って、この場合には、正、負、正、負の4つのピークが現れる波形パターン(6)となる。なお、これらの推測値は、テラヘルツの減衰が無視できる程度に塗装膜が十分に薄いことを前提としたものである。なお、実測値に基づき、ピークパターンを決定してもよい。
また、試料3における膜厚がとり得る範囲(膜厚範囲)が予め分かっていれば、波形に現れるピーク間の時間範囲も推測し得る。本実施形態においては、後述するように、予めピークパターンを入力するとともに、膜厚範囲および強度比範囲の推測値を入力することにより、波形に現れる無数のピークのなかから、境界面に対応するピークのみを正確に検出することができる。
(計測方法の概要)
続いて、図13のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る検査方法を説明する。
まず、検査対象となる試料3を光学装置3にセットする(ステップS1)。このとき、試料3からのテラヘルツ波が絞り19A,19Bを通過するように、光学装置2に対する試料3の角度を調整する。オペレータが制御装置5を操作し、検査プログラムを起動させると、CPU503は外部記憶装置506に記憶された検査プログラムを実行し、光学装置2、ロックインアンプ4、制御装置5を初期化する(ステップS2)。
続いて、制御装置5は計測を実行する(ステップS3)。フェムト秒ファイバレーザ10の光パルスはダイクロイックミラー11において、1550nm成分の基本波と780nm成分の二倍高調波とに分離され、基本波はチョッパ12に入射され、2倍高調波は光学遅延部25に入射される。チョッパ12は所定の変調周波数で基本波を変調し、変調後の基本波はミラー13、基本波集光用放物面鏡14において反射した後、DAST15に集光する。DAST15によって発生したテラヘルツ波は軸外し放物面鏡16、17で反射し、試料3に集光する。
試料3において反射したテラヘルツ波は、絞り19Aの開口部を通過し、軸外し放物面鏡18によって平行光化する。さらに、このテラヘルツ波は、絞り19Bの開口部を通過する。本実施形態においては、絞り19A、19Bを配置することにより、テラヘルツ波の周辺部の反射波を遮断している。このような構成により、テラヘルツ波検出器22にテラヘルツ波の正反射のみが絞り19A、19Bの開口部を通過し、テラヘルツ波検出器22によって検出される。
絞り19Bを通過したテラヘルツ波は軸外し放物面鏡20によって、テラヘルツ波検出器22において集光する。なお、テラヘルツ波のパルスは変調周波数(1kHz)で繰り返しテラヘルツ波検出器22に集光されている。一方、光学遅延部25によって所定時間遅延したプローブ光は集光レンズ23によってダイポールアンテナのギャップに照射される。このとき、テラヘルツ波の電場に比例した微小電流が流れ、この微小電流はロックインアンプ4によって同期検波される。ロックインアンプ4は、増幅した電流をA/D変換器によってディジタルデータに変換し、メモリ上に記録する。これにより、テラヘルツ波の波形の所定のタイミングにおける強度が計測される。
テラヘルツ波の波形をサンプリングする場合には、プローブ光のタイミングをずらしながら、テラヘルツ波検出器22における電場強度を測定する。すなわち、図14に示されたように、制御装置5は光学遅延部25の可動ミラーを駆動し、プローブ光の遅延時間をt1に設定する。このプローブ光はテラヘルツ波検出器22に集光され、遅延時間t1のタイミングにおけるテラヘルツ波の電場強度が計測される。続いて、制御装置5は光学遅延部25における遅延時間をt2に設定し、このタイミングにおけるテラヘルツ波の電場強度がテラヘルツ波検出器22によって検出される。同様にして、光学遅延部25における遅延時間をt3、t4、t5・・・と順に変化させることによって、テラヘルツ波の波形をサンプリングすることが可能となる。制御装置5はテラヘルツ波の波形を表す計測データを取り込み、記憶装置506上に保存する(ステップS4)。
制御装置5は、計測データからピークを抽出し、膜厚を演算する(ステップS5)。このようにして得られた計測結果はディスプレイ508に表示される。以上の処理を実行後、計測を続けて行う場合(ステップS6でYES)には、制御装置5はステップS4〜S5の処理を繰り返し実行する。一方、計測が終了した場合(ステップS6でNO)には、制御装置5は処理を終了する。
(膜厚演算処理)
続いて、図15のフローチャートを参照しながら、膜厚演算処理(ステップS5)の詳細を説明する。
ステップS51において、オペレータは制御装置5を操作し、ディスプレイ508に表示された塗装膜、基板の種類の中から、測定対象となるものを選択し、入力する。例えば、図12に示された種類の中から3層クリヤ塗装膜、金属基板が入力される。これにより、制御装置5は、図12に示されたピークパターン3を決定し、ディスプレイ508に表示する(ステップS52)。
さらに、オペレータが制御装置5に各層のとり得る膜厚範囲および強度比範囲を入力する(ステップS53)。各層の膜厚範囲は、最小値および最大値を入力することによって決定される。例えば、各層の最小値10μm、最大値100μmを入力する。この場合、3層全体の膜厚範囲は30μm以上、300μm以下になる。
強度比範囲は、ピーク同士の強度比の最小値および最大値によって表される。例えば、図20に示された屈折率を有する塗装膜においては、理論上のピーク強度は式(2)に従い3:1:2:8となる。この理論上の強度比の1/5および5倍のそれぞれの値を、強度比の最小値および最大値と定めることができる。なお、実測値に基づいた強度比範囲を入力しても良い。
制御装置5は計測された波形データにおいて、ローパスフィルタ等の周波数フィルタを用いて雑音を除去する(ステップS54)。この後、制御装置5は、ノイズ成分のみを除去できるデコンボリューションフィルターを用いて、さらにノイズ成分を除去する(ステップS55)。
これらのフィルタリング処理によって、信号成分のみを取り出した後、制御装置5は波形データからピークを検出する(ステップS56)。さらに、制御装置5は、検出されたピーク間の時間差を式(1)に代入することによって膜厚を算出し(ステップS57)、図13のメインフローチャートの処理に戻る。
(ピーク検出処理)
図16、図17は、ピーク検出処理(ステップS56)の詳細を表すフローチャートである。図15のステップS53においては、3層クリヤ塗装膜、金属基板が測定対象として選択されている。従って、以下のピーク検出処理は、ピークパターン3に従い、実行される。
制御装置5は、フィルタリング処理された波形データをスキャンすることによって、最大の正のピークを検出し、このピークに対応する時間x4を求める(ステップS102)。このピークは、カラー層および金属層の境界面(4)に対応する。
同様にして、制御装置5は、ピークパターン3に基づき、2番目に大きな正のピークに対応する時間x1を求める(ステップS103)。2番目に大きなピークは、空気層およびクリヤ層の境界面(1)に対応している。
このようにして求められた時間x1、x4の差の絶対値(膜厚)が、予め定められた膜厚範囲内にあるか否かを判断する(ステップS104)。この膜厚範囲はステップS53において入力されており、塗装膜全体の膜厚のとりうる最小値、最大値に対応している。上述のステップS53において入力された、層全体の膜厚範囲は30μm以上、300μm以下である。
時間x1、x4の差の絶対値(膜厚)が予め定められた膜厚範囲内にない場合(ステップS104でNO)には、ピークが正しく検出されていない可能性がある。このため、ステップS104の条件が満たされるまで、次に大きなピークの検出が行われる(ステップS105)。
時間x1、x4の差の絶対値(膜厚)が予め定められた膜厚範囲内にあると判断された場合には、制御装置5は時間x1よりも時間x4が大きいか否かを判断する(ステップS106)。時間x4がピークパターン3に示されたようにカラー層および金属の境界面(4)に対応していれば、時間x4は時間x1よりも大きいはずである。しかしながら、カラー層の色彩によっては、両者のピークの大小が逆に検出される可能性がある。したがって、この場合には、時間x1、x4が入れ替えられる(ステップS107)。
続いて、制御装置は、時間x1、x4の間に存在する正のピークのなかで最大のピークを検出し、このピークの時間x3を求める(ステップS108)。さらに、制御装置5は、時間x4とx3の差の絶対値(カラー層の膜厚)、時間x3とx1との差の絶対値(クリヤ層およびマイカ層の膜厚)のそれぞれが、予め定められた膜厚範囲内にあるか否かを判断する(ステップS109)。
それぞれの膜厚が予め定められた膜厚範囲内にない場合(ステップS109でNO)には、ピークが正しく検出されていない可能性がある。このため、ステップS109の条件が満たされるまで、次に大きなピークが検出される(ステップS110)。
それぞれの膜厚があらかじめ定められた膜厚範囲内にある場合(ステップS109でYES)には、ピークパターン3に従い、制御装置5は時間x1とx3の間に存在する負のピークの時間x2を検出する(ステップS120)。この負のピークはクリヤ層およびマイカ層の境界面(2)に対応する。
ステップS121において、制御装置5は、時間x2と時間x1の差の絶対値(クリヤ層の膜厚)、時間x3と時間x2の差の絶対値(カラー層の膜厚)のそれぞれが予め定められた膜厚範囲内にあるか否かを判断する。
それぞれの膜厚が予め定められた範囲内にない場合(ステップS121でNO)には、ピークが正しく検出されていない可能性がある。このため、ステップS121の条件が満たされるまで、次に大きな負のピークが検出される(ステップS122)。
続いて、制御装置5は、それぞれのピーク値の強度比f(x1)/f(x4)、f(x2)/f(x4)、f(x3)/f(x4)が予め定められた強度比範囲内にあるか否かを判断する(ステップS123)。強度比範囲は上述のステップS63において入力されており、例えば理論値の1/5以上かつ5倍以下の範囲である。
図18に示された波形において、f(x1)、f(x2)、f(x3)、f(x4)の強度比の理論値は、9:1:3:11である。計測された波形における強度比は、0.88:0.13:0.25:1.00であり、指定された強度比範囲内にある。なお、f(x4)が1となるように波形データが正規化されている場合には、f(x2)/f(x4)、f(x3)/f(x4)、f(x4)/f(x4)は、それぞれf(x2)、f(x3)、f(x4)に等しくなる。
ステップS123の条件が満たされた場合には、制御装置は時間x1、x2、x3、x4をディスプレイ508に出力する(ステップS124)。ステップS123の条件が満たされない場合には計測エラーが発生している可能性もある。このため、制御装置5は、警告とともに時間x1、x2、x3、x4をディスプレイ508に出力する(ステップS125)。
以上の処理によって、算出された測定結果を図19に示す。左欄に示されているように、試料3は第1層(クリヤ層)20μm、第2層(マイカ層)10μm、第3層(カラー層)30μmからなる塗装膜である。それぞれの屈折率は事前に計測結果によれば1.8、1.5、2.1であった。この試料3を実際に測定した結果、第1層における反射波の遅延時間は220fs、第2層における反射波の遅延時間は100fs、第3層における反射波の遅延時間は440fsであった。これらの測定結果を数式(1)に代入し、第1層の膜厚18μm、第2層の膜厚10μm、第3層の膜厚31μmを得られた。なお、膜厚の測定結果における交差は±2μmである。この測定結果から、極めて正確な膜厚計測がなされたことが確認できる。
以上述べたように、本実施形態によれば、予め入力されたピークパターンに従い、波形データから複数のピークを検出することにより、多重反射およびノイズ等をピークとして誤検出することを回避することができる。また、波形データにおいて、振幅の大きな順にピークを検出することにより、多重反射およびノイズ等をピークとして誤検出することを回避することができる。さらに、測定対象となる試料の膜厚範囲および強度比範囲を予め入力することによって、ピークの誤検出による計測エラーを防ぐことができる。
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態に係る検査装置を説明する。本実施形態に係る検査装置は第1実施形態の変形例であって、メタリック塗装の膜厚を計測可能なものである。本実施形態に係る検査装置の構成は、ピーク検出処理(ステップS56)を除いて第1実施形態と略同様に構成されているため、異なる構成について説明する。
図22はメタリック塗装試料の断面図である。この図に示すように、メタリック塗装は、下地である金属上にメタリック層、クリヤ層が順に形成されて構成されている。塗装試料に対して、テラヘルツ波を照射すると、テラヘルツ波は、屈折率が変化する境界面において反射する。すなわち、テラヘルツ波は、空気およびクリヤ層の境界面(1)、クリヤ層およびメタリック層の境界面(2)、メタリック層および金属の境界面(3)において反射する。
図23は、反射波の電場強度を時間領域で表したものであって、横軸は時間軸、縦軸は振幅を示している。反射波の時間領域において最初に現れる正のピークは空気およびクリヤ層の境界面(1)における反射波を示している。2番目に現れる正のピークはクリヤ層およびメタリック層の境界面(2)における反射波を示している。3番目に現れる正のピークはメタリック層および金属の境界面(3)における反射波を示している。3番目のピークに続くピークは、多重反射に起因するものである。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、検出された反射波からピークを抽出する際に、測定対象となる試料3のピークパターンを制御装置5に記憶させておくことにより、境界面に対応するピークを正確に抽出することができる。例えば、クリヤ塗料、メタリック塗料のそれぞれの屈折率の測定値が1.8、2.2であれば、屈折率から導出されるピークの強度比の推測値はおよそ3:1:10となる。
また、試料3における膜厚がとり得る範囲(膜厚範囲)が予め分かっていれば、波形に現れるピーク間の時間範囲も推測し得る。本実施形態においては、後述するように、予めピークパターンを入力するとともに、膜厚範囲および強度比範囲の推測値を入力することにより、波形に現れる無数のピークのなかから、境界面に対応するピークのみを正確に検出することができる。
続いて、図24、図25のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係るピーク検出処理の詳細を説明する。このピーク検出処理は、第1実施形態と同様に、計測処理(図13)によって計測された波形データに対する膜厚演算処理(図15)において実行されるものである。図15のステップS53においては、メタリック2層塗装膜、金属基板が測定対象として選択される。従って、以下のピーク検出処理は、ピークパターン2に従い、実行される。
制御装置5は、フィルタリング処理された波形データをスキャンすることによって(ステップS1001)、最大の正のピークを検出し、このピークに対応する時間x3を求める(ステップS1002)。このピークは、メタリックおよび金属層の境界面(3)に対応する。
同様にして、制御装置5は、ピークパターン2に基づき、2番目に大きな正のピークに対応する時間x1を求める(ステップS1003)。2番目に大きなピークは、空気層およびクリヤ層の境界面(1)に対応している。
このようにして求められた時間x1、x3の差の絶対値(膜厚)が、予め定められた膜厚範囲内にあるか否かを判断する(ステップS1004)。この膜厚範囲はステップS53において入力されており、塗装膜全体の膜厚のとりうる最小値、最大値に対応している。
時間x1、x3の差の絶対値(膜厚)が予め定められた膜厚範囲内にない場合(ステップS1004でNO)には、ピークが正しく検出されていない可能性がある。このため、ステップS1004の条件が満たされるまで、次に大きなピークの検出が行われる(ステップS1005)。
時間x1、x3の差の絶対値(膜厚)が予め定められた膜厚範囲内にあると判断された場合には、制御装置5は時間x1よりも時間x3が大きいか否かを判断する(ステップS1006)。時間x3がピークパターン2に示されたようにメタリック層および金属の境界面(3)に対応していれば、時間x3は時間x1よりも大きいはずである。しかしながら、メタリック層の組成によっては、両者のピークの大小が逆に検出される可能性がある。したがって、この場合には、時間x1、x3が入れ替えられる(ステップS1007)。
続いて、制御装置5は、時間x1、x3の間に存在する正のピークのなかで最大のピークを検出し、このピークの時間x2を求める(ステップS1008)。さらに、制御装置5は、時間x2とx1の差の絶対値(クリヤ層の膜厚)、時間x3とx2との差の絶対値(メタリック層の膜厚)のそれぞれが、予め定められた膜厚範囲内にあるか否かを判断する(ステップS1009)。
それぞれの膜厚が予め定められた膜厚範囲内にない場合(ステップS1009でNO)には、ピークが正しく検出されていない可能性がある。このため、ステップS1009の条件が満たされるまで、次に大きなピークが検出される(ステップS1010)。
それぞれの膜厚があらかじめ定められた膜厚範囲内にある場合(ステップS1009でYES)には、制御装置5は、それぞれのピーク値の強度比f(x2)/f(x1)、f(x3)/f(x1)が予め定められた強度比範囲内にあるか否かを判断する(ステップS1023)。強度比範囲は上述のステップS63において入力されており、例えば理論値の1/5以上かつ5倍以下の範囲である。
ステップS1023の条件が満たされた場合には、制御装置は時間x1、x2、x3をディスプレイ508に出力する(ステップS1024)。ステップS1023の条件が満たされない場合には計測エラーが発生している可能性もある。このため、制御装置5は、警告とともに時間x1、x2、x3をディスプレイ508に出力する(ステップS1025)。
以上述べたように、本実施形態においても、予め入力されたピークパターンに従い、波形データから複数のピークを検出することにより、多重反射およびノイズ等をピークとして誤検出することを回避することができる。また、波形データにおいて、振幅の大きな順にピークを検出することにより、多重反射およびノイズ等をピークとして誤検出することを回避することができる。さらに、測定対象となる試料の膜厚範囲および強度比範囲を予め入力することによって、ピークの誤検出による計測エラーを防ぐことができる。
メタリック塗装においては、基板の上にプライマを塗ることでメタリック塗料の基板への吸音を高める場合がある。テラヘルツ波はプライマも透過可能であるためプライマも一つの塗装膜と考えて膜厚を計測することができる。本実施形態では2層、3層の測定を挙げたが、単層膜はもちろんのこと、4層以上の塗装膜に関しても同様の考え方で膜厚測定することが可能である。
[第3実施形態]
図26、図27は本発明の第3実施形態に係る検査装置を説明するための図である。上述の第1実施形態に係る検査措置によれば、図26に示されるように試料3に溝が存在している場合であっても、テラヘルツ波は散乱されずに、テラヘルツ波検出器22に到達する。したがって、反射波の遅延を計測することにより、溝の底部aの膜厚を求めることができる。ところが、テラヘルツ波が照射されない壁部b、cにおける膜厚を計測することはできない。ピストンシリンダにおいては、内部に施されたコーティングの精度が、エンジン性能に大きな影響を及ぼすことから、壁部を計測する必要性は高い。
本実施形態に係る検査装置は、第1実施形態に係る検査装置に加えて、溝に挿入可能な反射器301を有している(図27)。反射器301は、プリズム等、テラヘルツ波を反射可能であればその種類を問わない。テラヘルツ波は反射器301において反射した後、壁部bに照射され、壁部bの反射波は反射器301を介して、テラヘルツ波検出器22によって検出される。従って、例えばピストン内部に施された塗装膜を検出することも可能となる。
本実施形態に係る他の構成は、第1実施形態に係る構成と同一であるため、その説明を省略する。
[第4実施形態]
続いて、本発明の第4実施形態に係る塗装膜の検査措置1aを説明する。この検査装置1aは、膜厚の計測と同時に、メタリック塗装の配向状態の計測を行うことが可能である。
(全体構成)
図28は、本発明の第4実施形態に係る塗装膜の検査装置のブロック図である。試料3にテラヘルツ波を照射するとともに反射波を検出する光学装置2a、反射波の検出信号を同期増幅するロックインアンプ4、検査装置を制御する制御装置5aを備えている。図28において、図1と同じ符号を付した部材は第1実施形態に係る部材と同様に構成されている。以下、第1実施形態に係る構成と異なる点を中心に、第4実施形態に係る構成を説明する。
(光学装置の構成)
光学装置2aは、フェムト秒ファイバレーザ10、ダイクロイックミラー11、チョッパ12、ミラー13、基本波集光用放物面鏡14、DAST15、軸はずし放物面鏡16、17、18、20、絞り19、テラヘルツ波検出器22、集光レンズ23、アクチュエータ24、光学遅延部25、ミラー26を備えている。光学装置2は筐体によって外部から密閉されており、筐体内部を除湿、窒素ガス封入、もしくは真空にすることが望ましい。このような構成によって、テラヘルツ波が空気中の水分によって吸収されるのを防止することができる。
本実施形態に係る光学装置2aは、第1実施形態の構成に加えてアクチュエータ24を有している。アクチュエータ24はステッピングモータ等によって構成され、テラヘルツ波検出器22を光軸を中心に所定角度だけ回転させる機能を有している。ここで、互いに直交する二つの偏光軸を選定することも考えられるが、DAST15の位相整合条件のため、テラヘルツ波は直線偏光を有している。このため、偏光軸を90度回転させると、テラヘルツ波検出器22のダイポールアンテナによるテラヘルツ波の検出が困難となる。本実施形態では、テラヘルツ波検出器22を45度回転させることによって、水平偏光(重力に対して直交する偏光成分)と、水平偏光に対して45度の偏光とをテラヘルツ波検出器22によって検出している。
アクチュエータ24はテラヘルツ波検出器22の回転角度だけでなく、アライメントの調整機構を備えても良い。ダイポールアンテナのテラヘルツ波検出器22を用いる場合には、アンテナギャップにテラヘルツ波を集光させる必要がある。テラヘルツ波検出器22を回転させることによってアライメントがずれた場合には、アクチュエータ24によってアライメント調整を行っても良い。
制御装置5aは、例えばパーソナルコンピュータによって構成されており、チョッパ12、光学遅延部23、ロックインアンプ4を変調周波数で同期させている。また、制御装置5は、ロックインアンプ4からの計測データを解析し、メタリック塗装試料であるメタリック塗装のフレーク配向の良否を判断することが可能である。
(制御装置の構成)
図29は本実施形態に係る制御装置5aのブロック図である。制御装置5aはパーソナルコンピュータ等によって構成され、データバス500、インターフェース501、レジスタ502、CPU503、ROM505、RAM507、記憶装置508、ディスプレイ509等を備えている。
データバス500は、CPU503と、インターフェース501等の各部とのデータの受け渡しを行うためのものである。インターフェース501はデータの入出力のためのポートである。インターフェース501には、ロックインアンプ4、アクチュエータ24、光学遅延部25が接続されている。制御装置5は光学遅延部25の可動ミラーの位置を制御することにより、プローブ光がテラヘルツ検出器22に到達するタイミングを変えることができる。また、制御装置5は、アクチュエータ24を制御することにより、テラヘルツ波検出器22を自動的に回転させ、角度の異なる2種類の偏光成分がテラヘルツ波検出器22によって検出される。
レジスタ502はCPU503の動作のためのキャッシュレジスタとして一時的にデータを蓄えるためのメモリである。CPU503は予め定められた検査プログラムを実行し、光学装置2を制御するとともに、計測データの解析を行う。
ROM505は制御装置5aのBIOS等の基本プログラムを格納するために用いられる。RAM506は検査プログラムを実行するためのワークエリアとして用いられる。外部記憶装置507は、ハードディスクドライブ、CDドライブ、DVDドライブであって、測定された検査データの保存に用いられる。ディスプレイ508は液晶表示装置を備え、検査データに基づきテラヘルツ波の波形をグラフ表示するとともに、メタリック塗装におけるフレークの配向の良否を表示可能である。
(検査方法)
続いて、図30のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る検査装置を用いた検査方法を説明する。
まず、検査対象となる試料3を光学装置2aにセットする。このとき、試料3からのテラヘルツ波が絞り19を通過するように、光学装置2aに対する試料3の角度を調整する。オペレータが制御装置5を操作し、検査プログラムを起動させると、CPU503は外部記憶装置506に記憶された検査プログラムを実行し、光学装置2a、ロックインアンプ4、制御装置5を初期化する(ステップS401)。制御装置5aはアクチュエータ24を駆動し、テラヘルツ波検出器22が水平偏光を検出するように、テラヘルツ波検出器22の角度を調整する。
続いて、検査装置1aは以下の手順に従い計測を行う(ステップS402)。まず、フェムト秒ファイバレーザ10の光パルスはダイクロイックミラー11において、1550nm成分の基本波と780nm成分の二倍高調波とに分離され、基本波はチョッパ12に入射され、2倍高調波は光学遅延部25に入射される。チョッパ12は所定の変調周波数で基本波を変調し、変調後の基本波はミラー13、基本波集光用放物面鏡14において反射した後、DAST15に集光する。DAST15によって発生したテラヘルツ波は軸外し放物面鏡16、17で反射し、メタリック塗装試料3に集光する。
メタリック塗装試料3において反射したテラヘルツ波の偏光は、メタリック塗装内部のフレークによって乱れる。偏光が乱れたテラヘルツ波は絞り19Aの開口部を通過し、軸外し放物面鏡18によって平行光化され、さらに絞り19Bの開口部を通過する。この際、テラヘルツ波の周辺部分の反射波は遮断される。
絞り19Bを通過したテラヘルツ波は軸外し放物面鏡20によって、テラヘルツ波検出器22において集光する。なお、テラヘルツ波のパルスは変調周波数(1kHz)で繰り返しテラヘルツ波検出器22に集光されている。一方、光学遅延部25によって所定時間遅延したプローブ光は集光レンズ23によってダイポールアンテナのギャップに照射される。このとき、テラヘルツ波の電場に比例した微小電流が流れ、この微小電流はロックインアンプ4によって同期検波される。ロックインアンプ4は、増幅した電流をA/D変換器によってディジタルデータに変換し、メモリ上に記録する。これにより、テラヘルツ波の波形の所定のタイミングにおける強度が計測される。
テラヘルツ波の波形をサンプリングする場合には、プローブ光のタイミングをずらしながら、テラヘルツ波検出器22における電場強度を測定する。すなわち、図14に示されたように、制御装置5aは光学遅延部25の可動ミラーを駆動し、プローブ光の遅延時間をt1に設定する。このプローブ光はテラヘルツ波検出器22に集光され、遅延時間t1のタイミングにおけるテラヘルツ波の電場強度が計測される。続いて、制御装置5aは光学遅延部25における遅延時間をt2に設定し、このタイミングにおけるテラヘルツ波の電場強度がテラヘルツ波検出器22によって検出される。同様にして、光学遅延部25における遅延時間をt3、t4、t5・・・と順に変化させることによって、テラヘルツ波の波形をサンプリングすることが可能となる。制御装置5aはテラヘルツ波の波形を表す計測データを取り込み、記憶装置506上に保存する(ステップS403)。
続いて、制御装置5aは、アクチュエータ24を駆動し、テラヘルツ波検出器22を水平方向に対して45度回転させる(ステップS404)。このとき、テラヘルツ波検出器22に集光されたテラヘルツ波がダイポールアンテナのギャップ部分に位置するように、制御装置5はテラヘルツ波検出器22のアライメント調整を行う(ステップS405)。
テラヘルツ波検出器22の回転およびアライメントの調整が完了した後、光学装置2aは上述した動作を繰り返す。すなわち、光学装置2aは、光学遅延部25においてプローブ光の遅延時間を変化させながら、テラヘルツ波検出部22においてテラヘルツ波をサンプリングする(ステップS406)。制御装置5aはテラヘルツ波の波形を表すデータを記憶装置508に取り込む(ステップS407)。
以上のようにして、偏光角度0度、45度のそれぞれにおけるテラヘルツ波の波形データの計測がなされた後、制御装置5は計測データを視覚的にディスプレイ506に表示する。
計測データの具体例を図35、図36に示す。図35は、メタリック塗装試料3のフレークがランダムに配向された場合におけるテラヘルツ波の波形を示し、図36はフレークが特定方向に向いた場合におけるテラヘルツ波の波形を示している。これらの図において、上段は偏光角度が0度のテラヘルツ波の波形を示し、下段は変更角度が45度のテラヘルツ波の波形を示している。また、縦軸はテラヘルツ波の強度、横軸は遅延時間を表している。メタリック塗装試料3のフレークは、理想的な状態においてはランダムに配置されており、反射したテラヘルツ波の偏光も乱れ、このため、反射したテラヘルツ波における偏光角度0度、45度のそれぞれの成分の強度は近似したものとなる。なお、偏光角度0度の成分が45度の成分よりも若干、強くなっているが、これは、DAST15によって生成されたテラヘルツ波が直線偏光であることに起因するものである。
一方、色ムラ等、外観上の不具合が試料3に存する場合には、フレークは特定方向に向いている。このような場合、メタリック塗装試料3は、テラヘルツ波の周波数領域において回折格子のような偏光特性を持った反射素子と等価になる。従って、図36に示されたように、反射したテラヘルツ波は特定の角度の偏光成分が強くなる。
オペレータは、ディスプレイ506に表示された計測データを確認しながら、試料3の良否を判断することができる。また、メタリック塗装試料3のフレーク配向のランダム度を指標値として数値化し、試料3の良否を制御装置5によって自動的に判断することも可能である(ステップS408)。指標値は以下の方法によって算出することができる。例えば、テラヘルツ波の所定のタイミングにおける2つの偏光成分(例えば波形ピーク値)の強度の差または比を指標値として用いることができる。また、テラヘルツ波の波形を時間の関数として捉え、2つの関数(波形)の相関を指標値として用いても良い。
制御装置5aは、計測データから算出された指標値と予め定められた値とを比較することによって、試料3の良否を自動的に判断することができる。計測データから算出された指標値が予め定めれた値よりも大きい場合、すなわち、フレーク配向のランダム度が高い場合には、制御装置5aは試料3を良品であると判断する。一方、計測データが予め定められた指標値以下である場合、すなわち、フレーク配向のランダム度が低い場合には、制御装置5aは試料3を不良品であると判断する。
さらに、第1実施形態と同様に、制御装置5aは膜厚計測を行うことが可能である。すなわち、予め入力されたピークパターン、膜厚範囲、強度比範囲に基づき、波形データからピークを検出し、ピーク間の遅延時間から膜厚を演算する。
このようにして得られた検査結果は、計測データとともにディスプレイ508に表示される。以上の処理を実行後、計測を続けて行う場合(ステップS409でYES)には、制御装置5aはステップS401〜S408の処理を繰り返し実行する。一方、計測が終了した場合(ステップS409でNO)には、制御装置5aは処理を終了する。
以上述べたように、本実施形態によれば、試料において反射したテラヘルツ光の周辺光を絞りによって遮断することにより、時間遅れを有するテラヘルツ波の成分を除去することができる。これにより、曲面、島状物質等に起因する検出分解能の低下を改善することが可能となる。
また、テラヘルツ波をメタリック塗装に反射し、半反射テラヘルツ波の偏光成分を計測することにより、統計的な処理を行うことなく、フレーク配向の状態を検査することが可能となる。このため、メタリック塗装の検査を正確かつ短時間に行うことができる。また、テラヘルツ波は樹脂を透過する性質を有しているため、可視光が透過しない樹脂であっても検査を行うことが可能である。さらに、メタリック塗装に非接触での検査が可能となるため、ドライ状態のみならず、塗装直後のウェット状態においても正確な検査を行うことができる。
[第5実施形態]
図31は、本発明の第5実施形態に係るメタリック塗装の検査装置1bのブロック図である。検査装置1bは、光学装置2b、ロックインアンプ4、制御装置5を備えて構成されている。本実施形態に係る検査装置は第4実施形態と異なり、テラヘルツ波検出器としてEO(electro-optic)結晶35を用い、このEO結晶35を45度回転させることによって、テラヘルツ波の2つの偏光成分を検出している。
(光学装置の構成)
光学装置2bは、フェムト秒ファイバレーザ10、ダイクロイックミラー11、チョッパ12、ミラー13、26、32、33、基本波集光用放物面鏡14、DAST15、軸外し放物面鏡16、17、18、30、絞り19、アクチュエータ24、光学遅延部25、EO結晶35、λ/4板36、ウォラストンプリズム37、バランス検出器38を備えている。本実施形態において、第1実施形態における符号と同一の符号を付した部材は第4実施形態と同様に構成されているため、第4実施形態と異なる部材を中心に説明する。
軸外し放物面鏡30には貫通孔が設けられており、この貫通孔にはレンズ31によって集光されたプローブ光が入射される。貫通孔を通過したプローブ光はEO結晶35に照射される。
EO結晶35はZnTeなどの半導体からなり、所定方向(ZnTeの場合には<100>方向)に結晶軸を有している。EO結晶35には軸外し放物面鏡30によって集光されたテラヘルツ波と、光学遅延部25によって遅延したプローブ光とが照射されている。テラヘルツ波とプローブ光とがEO結晶35内で時間的に重なったときのみ、プローブ光はテラヘルツ波による電気光学効果(複屈折)を受け、直線偏光のプローブ光が楕円偏光化される。複屈折量はテラヘルツパルス波の電場強度に比例することから、EO結晶35を通過したプローブ光を検出することにより、テラヘルツパルス波の強度を計測することができる。
λ/4波長板36は非等方性結晶からなり、偏光方向によって内部を進む速度を変えることにより、プローブ光を円偏光にする。
ウォラストンプリズム37は、例えば方解石からなる偏光プリズムであって、入射したプローブ光を2つの偏光成分に分離する機能を備えている。ここで分離された2つの偏光成分は、テラヘルツ波の電場の向きと強度に依存している。
バランス検出器38は、フォトダイオード38A、38Bと差動増幅器38Cとを備えて構成されている。フォトダイオード38A、38Bにはウォラストンプリズム37によって分離された偏光成分が入射され、偏光成分の強度に比例した出力がフォトダイオード38A、38Bから出力される。差動増幅器38Cはそれぞれの出力の差分を増幅する。
完全な円偏光の場合には、差分はゼロであるが、楕円偏光のような場合には、差分が生じ、差動増幅器38Cによって増幅される。増幅後の信号はロックインアンプ4に出力される。
光学装置2bにおける他の構成は、第4実施形態における光学装置2aと同様であるため、その説明を省略する。なお、本実施形態においても、光学装置2bは筐体によって外部から密閉されており、筐体内部は除湿、窒素ガス封入、もしくは真空になっていることが望ましい。
(検査方法)
続いて、図32のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る検査装置を用いた検査方法を説明する。
まず、検査対象となる試料3を光学装置2bにセットした後、EO結晶35の結晶軸がテラヘルツ波の偏光方向と一致するように、EO結晶35の角度を調整する。EO結晶35の回転角度の調整は、制御装置5bによって駆動されるアクチュエータ24によって行っても良い。オペレータが制御装置5bを操作し、検査プログラムを起動させ(ステップS501)、検査装置1bは以下の手順に従い計測を行う(ステップS502)。
フェムト秒ファイバレーザ10の光パルスはダイクロイックミラー11において、1550nm成分の基本波と780nm成分の二倍高調波とに分離され、基本波はチョッパ12に入射され、2倍高調波は光学遅延部25に入射される。チョッパ12は所定の変調周波数で基本波を変調し、変調後の基本波はミラー13、基本波集光用放物面鏡14において反射した後、DAST15に集光する。DAST15によって発生したテラヘルツ波は軸外し放物面鏡16、17で反射し、試料3に集光する。
試料3において反射したテラヘルツ波の偏光は、メタリック塗装内部のフレークによって乱れる。偏光が乱れたテラヘルツ波は絞り19Aを通過した後、軸外し放物面鏡18によって平行光化され、絞り19Bの開口部を通過する。テラヘルツ波の周辺部分の反射波は絞り19A、19Bによって遮断される。
絞り19Bを通過したテラヘルツ波は軸外し放物面鏡30によって、EO結晶35に集光する。一方、光学遅延部25によって所定時間遅延したプローブ光である光パルスミラー33、32を反射し、レンズ31によって集光された後、軸外し放物面鏡30の貫通孔を通過する。貫通孔を通過したプローブ光はEO結晶35に照射される。
テラヘルツ波とプローブ光とがEO結晶35内で時間的に重なったときのみ、プローブ光はテラヘルツ波による電気光学効果(複屈折)を受け、直線偏光のプローブ光が楕円偏光化される。
λ/4波長板36はプローブ光を円偏光化し、ウォラストンプリズム37は入射したプローブ光を2つの偏光成分に分離する。上述したように、分離された2つの偏光成分は、テラヘルツ波の電場の向きと強度に依存している。バランス検出器38は、ウォラストンプリズム37によって分離された偏光成分の差分を増幅し、検出信号としてロックインアンプ4に出力する。ロックインアンプ4は変調周波数に従った同期検波を行うことによって検出信号の増幅を行う。ロックインアンプ4は、増幅した電流をA/D変換器によってディジタルデータに変換し、メモリ上に記録する。これにより、テラヘルツ波の波形の所定のタイミングにおける強度が計測される。
さらに、テラヘルツ波の波形をサンプリングする場合には、プローブ光のタイミングを光学遅延部25によってずらしながら、EO結晶35における電場強度を測定する。制御装置5はテラヘルツ波の波形を表す計測データを取り込み、記憶装置506上に保存する(ステップS503)。
続いて、制御装置5bは、アクチュエータ24を駆動し、EO結晶35を水平方向に対して45度回転させる(ステップS504)。本実施形態においては、EO結晶35を回転させた後に、EO結晶35のアライメント調整を行う必要はない。なぜなら、EO結晶35が均一な結晶を有している限り、EO結晶35のいずれの位置においても均一な非線形感授率が得られるからである。従って、第4実施形態のようにダイポールアンテナのギャップ位置を調整する必要がなく、効率的な検査が可能となる。
EO結晶35を回転した後、光学装置2bは上述した動作を繰り返し、テラヘルツ波を計測する(ステップS505)。制御装置5bはテラヘルツ波の波形を表すデータを記憶装置508に取り込む(ステップS506)。
さらに、第1実施形態と同様に、制御装置5bは膜厚計測を行う。すなわち、予め入力されたピークパターン、膜厚範囲、強度範囲に基づき、波形データからピークを検出し、ピーク間の遅延時間から膜厚を演算する。
偏光角度0度、45度のそれぞれにおけるテラヘルツ波の波形データの計測がなされた後、制御装置5bは計測データを視覚的にディスプレイ506に表示する。さらに、制御装置5は、EO結晶35の2つの角度0度、45度のそれぞれにおける測定結果の差または比を指標値を算出する(ステップS507)。
本実施形態においては、EO結晶35の結晶軸とテラヘルツ波の偏光方向との関係によって、テラヘルツ波の強度に比例した信号が検出されることから、指標値に基づきメタリック塗装3の良否を判断することができる。図33、図34に、EO結晶35の結晶軸とテラヘルツ波の偏光方向との関係を示す。テラヘルツ波の進行方向を紙面に対する鉛直方向とした場合、テラヘルツ波の偏光方向は実線矢印で示される。また、破線矢印は結晶軸方向を示している。
図33(A)に示されたように、テラヘルツ波が直線偏光を有している場合、最適な条件においてはテラヘルツ波の偏光方向はEO結晶35の結晶軸(ZnTeにおいては<100>方向)に一致する。また、図33(B)に示されたように、結晶軸をテラヘルツ波の偏光方向に対して45度傾けた場合、EO結晶35の感度はY軸への射影成分となるため、理論上は1/2となる。
一方、図34(A)に示されたように、テラヘルツ波が円偏光を有している場合には、テラヘルツ波の偏光方向は結晶軸と完全には一致せず、EO結晶35の感度はY軸の射影成分となる。また、図34(B)に示されたように、結晶軸をテラヘルツ波の変更成分に対して45度傾けたとしても、EO結晶35の感度は変化しない。従って、EO結晶35の2つの角度0度、45度のそれぞれの場合における測定値も一致する。
メタリック塗装試料3のフレークは、理想的な状態においてはランダムに配置されており、反射したテラヘルツ波の偏光も乱れ、このため、反射したテラヘルツ波は円偏光に近づく。但し、実際には、DAST15によって生成されたテラヘルツ波が直線偏光であることから、反射したテラヘルツ波は完全な円偏光ではなく、楕円偏光となる。メタリック塗装試料3のフレークが最良の状態に配置されている場合の指標値と、実際の計測データに基づく指標値とを比較することによって、メタリック塗装試料3の良否を自動的に判断しても良い。
また、テラヘルツ波の所定のタイミングにおける2つの偏光成分(例えば波形ピーク値)の強度の差または比を指標値として用いても良く、テラヘルツ波の波形を時間の関数として捉え、2つの関数(波形)の相関を指標値として用いても良い。
本実施形態においても第3実施形態と同様に、膜厚計測と同時に、フレーク配向の良否を検査することが可能である。また、テラヘルツ波をメタリック塗装に反射し、半反射テラヘルツ波の偏光成分を計測することにより、統計的な処理を行うことなく、フレーク配向の状態を検査することが可能となる。このため、メタリック塗装の検査を正確かつ短時間に行うことができる。また、テラヘルツ波は樹脂を透過する性質を有しているため、可視光が透過しない樹脂であっても検査を行うことが可能である。さらに、メタリック塗装に非接触での検査が可能となるため、ドライ状態のみならず、塗装直後のウェット状態においても正確な検査を行うことができる。
本実施形態においては、テラヘルツ波検出器22、EO結晶35を45度回転させたが、テラヘルツ波の偏光の乱れを検出できさえすれば、任意の角度に回転させても良い。また、計測すべき偏光成分は2種類に限定されず、3種類以上の偏光成分を計測しても良い。さらに、テラヘルツ波検出器22、EO結晶35を回転させずに、テラヘルツ波に対する半波長板を用いてテラヘルツ波の偏光を回転させても良い。また、メタリック塗装試料によって反射したテラヘルツ波の偏光成分を検出できるものであれば、検出器の種類も問わない。
本実施形態に係る塗装膜の検査装置によれば、試料において反射したテラヘルツ光の周辺光を絞りによって遮断することにより、時間遅れを有するテラヘルツ波の成分を除去することができる。これにより、曲面、島状物質等に起因する検出分解能の低下を改善することが可能となる。
また、本実施形態に係る塗装膜の検査装置は、検出手段としてEO結晶を用いているため、EO結晶を回転させた後におけるアライメント調整を行う必要がなくなり、効率の良い計測が可能となる。
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施可能である。例えば、本発明は、メタリック塗装膜の膜厚計測に限定されずに、下地上に形成された塗装膜、保護膜、導電膜、絶縁膜等、あらゆる膜の計測に適用可能である。
1、1a、1b 検査装置
2、2a、2b 光学装置
3 試料
4 ロックインアンプ
5 制御装置(制御部)
10 フェムト秒ファイバレーザ
15 DAST(テラヘルツ波発生器)
16、17 軸外し放物面鏡(照射光学系)
19A、19B 絞り
22 テラヘルツ波検出器
24 アクチュエータ
35 EO結晶(テラヘルツ波検出器)

Claims (14)

  1. テラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生器と、
    前記テラヘルツ波を、膜が形成された試料に照射させる照射光学系と、
    前記試料において反射したテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出器と、
    検出されたテラヘルツ波の電場強度を時間軸の波形データに表し、波形データから複数のピークを検出するとともに、ピーク間の時間差に基づき膜厚を算出する制御部とを備えた塗装膜の検査装置。
  2. 前記制御部は、予め入力されたピークパターンに従い、前記波形データから複数のピークを検出する請求項1に記載の塗装膜の検査装置。
  3. 前記制御部は、前記波形データから、振幅の大きな順にピークを検出する請求項1または2のいずれか1項に記載の塗装膜の検査装置。
  4. 前記制御部は、予め入力された膜厚範囲に対応する時間範囲にある複数のピークを検出する請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗装膜の検査装置。
  5. 前記制御部は、予め入力された強度比範囲にある複数のピークを検出する請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装膜の検査装置。
  6. テラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生器と、
    前記テラヘルツ波をメタリック塗装試料に照射させる照射光学系と、
    前記試料において反射したテラヘルツ波の複数の偏光成分を検出するテラヘルツ波検出器と、
    検出された複数の偏光成分に基づきメタリック塗装試料の指標値を算出する制御部とを備えた塗装膜の検査装置。
  7. 前記テラヘルツ波検出器を、反射したテラヘルツ波の光軸に対して所定角度だけ回転させることによって、複数の偏光成分を検出ならしめる回転手段をさらに備えた請求項6に記載の塗装膜の検査装置。
  8. 前記所定角度は略45度であって、前記テラヘルツ波検出器は回転の前後における2つの偏光成分を検出する請求項7に記載の塗装膜の検査装置。
  9. 前記テラヘルツ波検出器はダイポールアンテナ型の検出器を備えた請求項6〜8のいずれか1項に記載の塗装膜の検査装置。
  10. 前記テラヘルツ波検出器はEO結晶を備えた請求項6〜8のいずれか1項に記載の塗装膜の検査装置。
  11. テラヘルツ波を発生させる工程と、
    前記テラヘルツ波を、膜が形成された試料に照射させる工程と、
    前記試料において反射したテラヘルツ波を検出する工程と、
    検出されたテラヘルツ波の電場強度を時間軸の波形データに表し、波形データから複数のピークを検出するとともに、ピーク間の時間差に基づき膜厚を算出する工程と備えた塗装膜の検査方法。
  12. 前記算出工程は、予め入力されたピークパターンに従い、前記波形データから複数のピークを検出する請求項11に記載の塗装膜の検査方法。
  13. 前記算出工程は、前記波形データから、振幅の大きな順にピークを検出する請求項11または12のいずれか1項に記載の塗装膜の検査方法。
  14. テラヘルツ波を発生させる工程と、
    前記テラヘルツ波を試料に照射させる工程と、
    前記試料において反射したテラヘルツ波の複数の偏光成分を検出する工程と、
    検出された複数の偏光成分に基づきメタリック塗装試料の指標値を算出する工程とを備えた塗装膜の検査方法。
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