JP5051765B2 - メタリック塗膜の色ムラ評価方法 - Google Patents
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また、上記間隔のD1およびD2は、それぞれ10mm以上100mm以下の範囲から選択されることが好ましく、上記入射光軸は、上記測定点における法線に対して40°以上50°以下の入射角を有することが好ましい。そして、特に上記入射光軸は、上記測定点における法線に対して45°の入射角を有し、上記受光光軸は、上記測定点における法線に対して0°より大きく45°以下の受光角を有することが好ましい。
本発明のメタリック塗膜の色ムラ評価方法は、メタリック塗膜上において、複数の測定点を選択する第1ステップと、該測定点の各々において、光を入射しその受光を測定することにより測色または反射強度測定を実施する第2ステップと、この第2ステップで得られた測色または反射強度測定のデータを処理する第3ステップとを含み、該第2ステップは、各測定点に対して入射光軸と受光光軸とを含む測定面が2以上存在するように、2以上の光軸の光を異なったタイミングで入射することを特徴としている。なお、ここで2以上の光軸の光を異なったタイミングで入射するとは、2以上の光軸の光が同時に測定点に入射することのないように各光を異なった時期に個別に測定点に入射させることを意味する。2以上の光軸の光が同時に測定点に入射すると入射受光条件が崩れてしまい有効な測色または反射強度測定を実施することができなくなるからである。
<第1ステップ>
本発明の第1ステップは、メタリック塗膜上において複数の測定点を選択するステップである。複数の測定点を選択する限り、測定点の間隔や個数等は特に限定されない。しかしながら、図1に示したようにメタリック塗膜1上において各間隔をD1とするm本の縦軸6と同じく各間隔をD2とするn本の横軸7とが交差するj個(j=m×n)の交点を測定点2として選択することが特に好ましい。
本発明の第2ステップは、上記測定点の各々において、光を入射しその受光を測定することにより測色または反射強度測定を実施するステップである。本ステップに用いる装置としては、立体角反射特性を測定することができる装置であれば、どのような測色機や反射強度を測定する装置であっても使用することができる。汎用性のない特殊な装置を用いることなくこのように汎用性の高い装置を用いて測色または反射強度測定を実施することができるということは、本発明の技術的特徴のひとつである。ここで、このような本発明の測色または反射強度測定に用いられる光の波長範囲は、可視光である380〜780nmである。なお、特に好ましい装置としては、後述の入射角および受光角を変角できる測色機や入射光としてレーザー光を使用してその反射強度を測定することができる装置を挙げることができる。
本発明の第3ステップは、上記第2ステップで得られた測色または反射強度測定のデータを処理するステップである。このような処理方法は、特に限定されるものではないが、上記の式(I)および式(II)により測色または反射強度測定のデータを統計的に処理することが特に好ましい。
測定対象物は、0.8mm×450mm×300mmの鋼板に、電着塗装および中塗り塗装を順次行ない、アルミニウムフレークを配合した水性メタリック塗料(アクリル系樹脂にフレーク状顔料としてアルミニウムフレーク顔料を樹脂との固形分比で15%配合したもの)を用いてベースコート塗装およびクリアーコート(アクリル系樹脂とメラミン系樹脂とからなる無色透明の油性塗料)を下記条件で静電塗装した。このようにして、測定対象物である塗板(すなわちメタリック塗膜を有する鋼板)を作製した。このような塗板を10枚作製し、各塗板の名称を塗板No.1〜10とした。
ベル型静電塗装機である自動塗装機を用いて、ベル回転数25000rpm、印加電圧−90kV、塗装距離30cm、レシプロ速度60m/分、被塗物移動速度3m/分の条件下、2ステージ塗装した。このようにして塗装された水性メタリック塗料層の膜厚は15μmであった。次いで、この水性メタリック塗料層上にウェットオンウェットでクリアーコート層を膜厚40μmとなるように塗り重ね、140℃で30分間焼き付けすることによりメタリック塗膜を形成した。なお、本発明においては、前述の通り、このように水性メタリック塗料層(フレーク状顔料含有層)上にクリアーコート層を形成したような複数の層が積層された構造のものもメタリック塗膜と呼ぶものとする。
色ムラの官能評価に関して特に熟練した検査員によって、人工太陽灯光源による照明下、上記のようにして作製された10枚の塗板のメタリック塗膜の色ムラの程度のランク付けを目視により行なった。なお、ランク付けは自動車塗装における色ムラのランク付けの基準に準じて行ない、問題とならないレベルからやや問題となるレベルの範囲において、色ムラの程度が小さく目視ではあまり目立たない最良ランクを1とし、色ムラの程度が問題となる最低ランクを10とする10段階のランク付けにより目視評価を行なった。この結果を表1に示す。
米国エックスライト社製の測色機X−Rite MA68II型を用いて上記で作製した塗板No.1〜No.10の測色を行なった。
実施例1において、各測定点毎に1個の測定面(「α°=0°」のもの)のみの測定値を採用した。すなわち、各塗板毎に測定値は45個である。そして、この測定値を以下の式(III)により統計的に処理することにより各塗板毎に不偏分散値Vを求めた。その結果を表5に示す。
実施例1において、縦軸の間隔D1および横軸の間隔D2をそれぞれ80mmとし、縦軸を5本、横軸を3本とすることにより各塗板毎の測定点を15点(j=15)とすること(すなわち各塗板毎の測定値を180個とすること)を除き、他はすべて実施例1と同様にしてVAを求めた。その結果を表6に示す。
実施例2において、各測定点毎に1個の測定面(「α°=0°」のもの)のみの測定値を採用した。すなわち、各塗板毎に測定値は15個である。そして、この測定値を上記の式(III)により統計的に処理することにより各塗板毎に不偏分散値Vを求めた。その結果を表6に示す。
実施例1において、各測定面間の角度を60°(α°=60°)とすること(すなわちk=6とすること)により各塗板毎の測定値を270個とすることを除き、他はすべて実施例1と同様にしてVAを求めた。その結果を表7に示す。
実施例1において、縦軸の間隔D1を120mmおよび横軸の間隔D2を40mmとし、縦軸を3本、横軸を6本とすることにより各塗板ごとの測定点を18点(j=18)とすること(すなわち各塗板毎の測定値を216個とすること)を除き、他はすべて実施例1と同様にしてVAを求めた。その結果を表7に示す。
実施例1において、入射光軸の入射角を45°、受光光軸の受光角を20°とすることを除き、他はすべて実施例1と同様にしてVAを求めた。その結果を表8に示す。
実施例4において、各測定点毎に1個の測定面(「α°=0°」のもの)のみの測定値を採用した。すなわち、各塗板毎に測定値は45個である。そして、この測定値を上記の式(III)により統計的に処理することにより各塗板毎に不偏分散値Vを求めた。その結果を表8に示す。
実施例4において、縦軸の間隔D1および横軸の間隔D2をそれぞれ80mmとし、縦軸を5本、横軸を3本とすることにより各塗板毎の測定点を15点(j=15)とすること(すなわち各塗板毎の測定値を180個とすること)を除き、他はすべて実施例4と同様にしてVAを求めた。その結果を表9に示す。
実施例5において、各測定点毎に1個の測定面(「α°=0°」のもの)のみの測定値を採用した。すなわち、各塗板毎に測定値は15個である。そして、この測定値を上記の式(III)により統計的に処理することにより各塗板毎に不偏分散値Vを求めた。その結果を表9に示す。
実施例1において、各測定面間の角度を120°(α°=120°)とすること(すなわちk=3とすること)により各塗板毎の測定値を135個とすることを除き、他はすべて実施例1と同様にしてVAを求めた。その結果を表10に示す。
実施例1において、各測定面間の角度を180°(α°=180°)とすること(すなわちk=2とすること)により各塗板毎の測定値を90個とすることを除き、他はすべて実施例1と同様にしてVAを求めた。その結果を表10に示す。
レーザー式メタリック感測定装置「ALCOPE LMR−200」(関西ペイント株式会社製)を用いて上記で作製した塗板No.1〜No.10の反射強度測定を行なった。
なお、各塗板においてこのようにして得られたVAの順位を合わせて表11に示す。また、このようにして得られたVAの順位と上記目視評価の順位との差も同じく表11に示す。
実施例7において、各測定点毎に1個の測定面(「α°=0°」のもの)のみの測定値を採用した。すなわち、各塗板毎に測定値は45個である。そして、この測定値を上記の式(III)により統計的に処理することにより各塗板毎に不偏分散値Vを求めた。その結果を表11に示す。
上記の各実施例および比較例では、VAまたはVという数値として定量値を得ているが、上記の目視評価(表1)による官能評価値は順位データである。したがって、この順位データとの相関性を検証するために、各実施例および比較例で得た定量値の順位付けを行ない目視評価との相関性を検証した。相関性についてはケンドールの順位相関係数およびスピアマンの順位相関係数を算出した。いずれの順位相関係数も−1.0から1.0の間の数となり、0に近い程無相関であり、1.0に近づく程正の相関が高く、また−1.0に近づく程負の相関が高い。各順位相関係数を表5〜表11に示す。
Claims (7)
- メタリック塗膜上において、複数の測定点を選択する第1ステップと、
前記測定点の各々において、光を入射しその受光を測定することにより測色または反射強度測定を実施する第2ステップと、
前記第2ステップで得られた測色または反射強度測定のデータを処理する第3ステップと、
を含むメタリック塗膜の色ムラ評価方法であって、
前記第1ステップは、各間隔をD 1 とするm本の縦軸と同じく各間隔をD 2 とするn本の横軸とが交差するj個(j=m×n)の交点を測定点として選択し、
前記第2ステップは、各測定点に対して入射光軸と受光光軸とを含む測定面が2以上存在するように、2以上の光軸の光を異なったタイミングで入射するとともに、前記測定面が前記各測定点における法線を含み、かつその法線を交線として互いに角度α°を有して交差することによりk個(ただしk=360/α)存在するようにして測色または反射強度測定を実施し、
前記第3ステップは、以下の式(I)および式(II)により測色または反射強度測定のデータを統計的に処理するメタリック塗膜の色ムラ評価方法。
I)におけるS A は各測定点においてk個の測定面により測定値を得たことを要因とする
変動値を示し、また式(II)中、V A は各測定点においてk個の測定面により測定値を
得たことを要因とする要因分散値を示す。) - 前記間隔のD1およびD2は、それぞれ10mm以上100mm以下の範囲から選択される請求項1に記載のメタリック塗膜の色ムラ評価方法。
- 前記入射光軸は、前記測定点における法線に対して40°以上50°以下の入射角を有する請求項1または2に記載のメタリック塗膜の色ムラ評価方法。
- 前記入射光軸は、前記測定点における法線に対して45°の入射角を有し、前記受光光軸は、前記測定点における法線に対して0°より大きく45°以下の受光角を有する請求項1〜3のいずれかに記載のメタリック塗膜の色ムラ評価方法。
- 前記第2ステップは、L*a*b*表色系またはL*u*v*表色系におけるL*値(CIE
1976明度)、あるいはハンターの色差式における明度指数であるL値を測色する請求項1〜4のいずれかに記載のメタリック塗膜の色ムラ評価方法。 - 前記第2ステップは、XYZ表色系における三刺激値であるY値またはX10Y10Z10表
色系における三刺激値であるY10値を測色する請求項1〜4のいずれかに記載のメタリック塗膜の色ムラ評価方法。 - 前記第2ステップは、レーザー光を入射してその受光を測定することにより反射強度を測定する請求項1〜4のいずれかに記載のメタリック塗膜の色ムラ評価方法。
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