JP3606820B2 - 塗装ラインにおける塗色管理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光輝感を有する塗料のライン塗装塗膜の塗色を、多角度測色計及びミクロ光輝感測定器を用いて管理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、自動車塗装ラインの塗色管理は、1角度(45度)の色彩計で色見本塗板と自動車車体色などの測定を行っいるが、最終的な判断は、人が目視判定を行い、その評価が重要視されている。近年、自動車の塗色は、個人の好みの多様化、美粧性の向上などの観点からアルミニウム粉や光輝性マイカ粉などの光輝性粉末が配合された光輝感のある塗色が増加してきている。これらの塗色は、見る角度により色の見え方が変化するといったような性質、いわゆるフリップ・フロップ性を有するため、1角度での測色値が一致していたとしても、正面から見た色、いわゆるハイライトの目視による色一致性や低角度から見たスカシ色、いわゆるシェードの目視による色一致性が劣ることがしばしば起こることや、光輝感(キラキラ感や粒子感)の評価は目視評価に頼らざるを得ない現状のため、最終的に人による目視判断が必要となっていた。そのため、評価が太陽光の下でしかできないなど、天候に左右され評価が延期されたり、人によって評価が違ったりするなどの問題があった。
【0003】
本発明の目的は、塗装ラインにおいて、人の目視評価に頼ることなく、光輝感のある塗色に対しても精度の高い塗色管理ができ、しかも熟練度に関係なく、数値管理による効率化ができる塗色管理方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、多角度測色計を用い2以上の角度条件において光輝感を有する基準色の色測定値からの色許容範囲を予め設定しておき、塗装ラインでの塗装塗膜の各色測定値が色許容範囲内になり、且つ該基準色をミクロ光輝感測定器によって測定したミクロ光輝感基準測定値からの光輝感許容範囲を予め設定しておき、ライン塗装塗膜のミクロ光輝感測定値が光輝感許容範囲内にあるときに塗装塗色が合格と判断することによって上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、光輝感を有する基準塗色を多角度測色計によって2以上の角度条件にて測定してなる各色測定値からの該各角度条件における色許容範囲を予め設定しておき、該各角度条件の全てにおいてライン塗装塗膜の各色測定値が色許容範囲内にあるか否かをコンピュータにより判定し、且つ該基準塗色をミクロ光輝感測定器によって測定したミクロ光輝感基準測定値からの光輝感許容範囲を予め設定しておき、該ライン塗装塗膜のミクロ光輝感測定値が光輝感許容範囲内にあるか否かをコンピュータにより判定し、上記ライン塗装塗膜の各色測定値が色許容範囲内であり、且つ該ライン塗装塗膜のミクロ光輝感測定値が光輝感許容範囲内であるときに塗装塗色が合格であると判断し、ライン塗装塗膜の各角度条件における各色測定値及びミクロ光輝感測定値のうち少なくとも一つの測定値が許容範囲とならない場合には、溶剤による塗料の希釈率、塗装粘度、スプレー塗装の際のスプレーエア圧、塗装ガンのノズルと被塗物との距離、塗料の塗着量、塗装後のセッティング時間から選ばれる少なくとも一つの塗装条件を変更することによって塗色調整を行うことを特徴とする塗装ラインにおける塗色管理方法を提供するものである。
【0006】
以下に、本発明の塗装ラインにおける塗色管理方法について詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の塗色管理方法によって、塗装ラインにおいて塗色管理すべき塗膜が光輝感を有する塗膜(以下、「光輝塗膜」ということがある)である場合においても好適に調色を行うことができる。
上記光輝塗膜としては、例えば、リん片状のアルミニウム粉末、雲母状酸化鉄、雲母粉末、金属酸化物被覆雲母粉末などのキラキラ感や干渉作用を有する光輝性顔料を含有する単層塗膜(1)、これらの光輝性顔料と着色顔料とを同一塗膜中に含有する単層塗膜(2)、上記単層塗膜(1)又は(2)の塗膜上にさらにクリヤ塗膜が積層されてなる複層塗膜(3)などを挙げることができる。
【0008】
本発明方法においては、塗装ラインにおける塗色管理を行うに際して、予め形成すべき塗装塗膜の基準色を多角度測色計によって測定し、2以上の角度条件での各色測定値(角度基準色測定値)を得て、各色測定値からの該各角度条件における色許容範囲を予め設定しておく。
上記基準色としては、通常、塗装ライン管理のための塗色の基準として作成された基準板の塗膜の色であることができるが、それ以外のものに基く基準となる色であることもできる。
【0009】
基準色を多角度測色計によって測定するには、2以上の角度条件、すなわち、測定光の入射角が異なるか、又は鏡面反射軸と受光軸とのなす角度である受光角度が異なる2以上の条件で測定する。上記鏡面反射軸とは、入射角と反射角とが同じ角度であるときの反射角を形成する軸、例えば入射角が45度の場合、反射角が45度である軸である。
【0010】
受光角度を変化させる場合、その角度条件は特に限定されるものではないが、通常、角度条件が2の場合には、上記受光角度が15〜30度及び75〜110度の各角度範囲のうちの各1ずつであること、また、角度条件が3の場合には、上記受光角度が15〜30度、35〜60度及び75〜110度の各角度範囲のうちの各1ずつであること、さらに、角度条件が4の場合には、上記受光角度が15〜30度、35〜60度、70〜80度及び90〜110度の各角度範囲のうちの各1ずつであることが目視による色の判断との対応がとれやすいことから好適である。
【0011】
上記基準色を各角度条件によって測定した各測定値(角度基準測定値)は、明度、彩度、色相を表すか、計算できるなど、色を特定できるものであればよく、例えば、XYZ表色系(X、Y、Z)、L*a*b*表色系(L*、a*、b*値)、ハンターLab表色系(L、a、b値)、CIE(1994)に規定されるL*C*h表色系(L*値、C*値、H*値)、マンセル表色系(H、V、C)などによって表すことができる。なかでも、L*a*b*表色系又はL*C*h表色系による表示が自動車塗装分野を含む工業分野での色の表示において一般的である。
【0012】
本発明方法において、色許容範囲は、基準色の色に応じて基準色の各角度条件によって測定した上記角度基準測定値からの許容幅を設定することによって行うことができる。その許容幅は、例えば、ベテランの塗色管理者が目視で合格と判断する領域のもの多数を多角度測色計で各角度条件にて測定し、その測定値から決めることができるし、その他の方法で決定してもよい。基準色の色が似ている場合には、通常、同程度の許容幅とすることができる。
【0013】
L*a*b*表色系でみてみると、一般に、高明度の色については、ΔL*値の許容範囲が大きくなるが、Δa*値及びΔb*値の許容範囲は小さくなる傾向がある。また、低明度の塗膜については、Δa*値及びΔb*値の許容範囲は大きくなる傾向がある。
【0014】
同様に、L*C*h表色系でみてみると、一般に、高明度の色については、ΔL*値の許容範囲が大きくなるが、ΔC*値及びΔH*値の許容範囲は小さくなる傾向がある。また、低明度の塗膜については、ΔC*値及びΔH*値の許容範囲は大きくなる傾向がある。
【0015】
色許容範囲は、例えば、ΔL*、Δa*、Δb*及びΔE*値、又はΔL*、ΔC*、ΔH*及びΔE* 94値で表すことができ、これらの値は、各角度条件でそれぞれ設定され、各角度条件で設定されたΔL*、Δa*、Δb*及びΔE*値、又はΔL*、ΔC*、ΔH*及びΔE* 94値のそれぞれの値の範囲内となるように塗色を管理すればよい。また、色許容範囲は、ΔE*値又はΔE* 94値のみで表し、この範囲内となるように塗色を管理することもできる。
【0016】
色許容範囲のΔE*値は、色許容範囲として設定されるΔL*、Δa*、Δb*の値から、下記式
{(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2}1/2
によって表される値以下の値に設定される。
【0017】
色許容範囲のΔE* 94値は、色許容範囲として設定されるΔL*、ΔC*、ΔH*の値から、下記式
{(ΔL*/SL)2+(ΔC*/SC)2+(ΔH*/SH)2}1/2
(ここで、SL=1、 SC=1+0.045C*、 SH=1+0.15C*である。)によって表される値以下の値に設定される。
【0018】
本発明方法においては、基準色に近い色とすべくラインにおいて塗装した塗装物品の塗膜を、多角度測色計によって2以上の角度条件にて測定して、その色測定値が色許容範囲内にあるか否かをコンピュータによって判定する。
【0019】
また、本発明方法においては、多角度測色計による色測定とともにミクロ光輝感を測定する。ミクロ光輝感測定器としては、光輝塗膜のミクロ光輝感を測定するための機器であり、この目的が達成できるものであれば特に制限なく使用することができる。
【0020】
ミクロ光輝感測定器としては、例えば、光輝塗膜面に光を照射する光照射装置、光照射された塗膜面を照射光が入射しない角度にて撮影して画像を形成するCCDカメラ、該CCDカメラに接続され該画像を解析する画像解析装置を具備したミクロ光輝感測定器を挙げることができる。
【0021】
上記ミクロ光輝感測定器を用いて光輝塗膜のミクロ光輝感を測定するには、まず光輝塗膜面に光照射する。この光は擬似(人工)太陽光が好ましく、この光源としては、例えばハロゲンランプ、メタルハライドランプなどが適している。光輝塗膜面への光照射角度は塗面の鉛直線に基いて、通常5〜60度、好ましくは10〜20度の範囲内が適しており、特に鉛直線に対して15度程度が好適である。また、光の照射領域の形状は特に限定されるものではないが、通常、円形であり、塗膜面上における照射面積は通常、該塗膜面の1〜10,000mm2の範囲内が適しているが、この範囲に制限されるものではない。照射光の照度は、通常、100〜2,000ルクス(lux)の範囲内が好ましい。
【0022】
このように光輝塗膜面に光照射し、それに基く反射光のうち、正反射光が入射しない角度で、光が照射されている塗膜面をCCD(Charge Couple Device)カメラで撮影する。この撮影角度は正反射光が入射しない角度であればよいが、塗膜面に対して鉛直方向が特に好適である。また、CCDカメラの撮影方向と正反射光との角度は10〜60度の範囲内にあることが好ましい。光照射された塗膜面におけるCCDカメラでの測定範囲は、均一に光が照射されている範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、照射部分の中央部を含み、測定面積が1〜10,000mm2、好ましくは10〜600mm2の範囲内であることが適当である。
【0023】
上記CCDカメラで撮影された画像は、2次元画像であり、多数(通常10,000〜1,000,000個)の区画(ピクセル、画素)に分割され、それぞれの区画における輝度を測定する。本発明において、「輝度」とは、「CCDカメラによって撮影して得られた2次元画像の区画毎の濃淡値を示すデジタル階調であり、被写体の明るさに対応するデジタル量」を意味する。例えば、8ビット分解能のCCDカメラから出力される区画毎の輝度を意味するデジタル階調は0〜255の値を示す。
【0024】
上記CCDカメラで撮影された2次元画像において、光輝性顔料の反射光が強い部分に相当する区画はキラキラ感が強いので輝度が高く、そうでない部分に相当する区画では当然ながら輝度は低くなる。また光輝性顔料からの反射光が強い部分に相当する区画であっても、光輝性顔料の大きさ、形状、角度、材質などによって輝度が変化する。つまリ区画ごとに輝度を表示でき、それぞれの区画における輝度に基いてCCDカメラで撮影した2次元画像の輝度分布を三次元に表示することが可能である。この輝度の三次元分布図は、山、谷および平地の部分に分けられ、山の高さや大きさは光輝性顔料による光輝感の程度を示し、山が高くなるほど光輝感が頭著であることを示し、谷及び平地部分は光輝感が無いか小さいことを示し、主として着色顔料又は素地による光の反射を示す。
【0025】
上記CCDカメラで撮影された画像の解析は、CCDカメラに接続された画像解析装置によって行うことができる。この画像解析装置に用いられる画像解析ソフトとしては、例えば三谷商事(株)の「Mac SCOPE」(商品名)などを挙げることができる。
【0026】
画像の解析においては、塗膜中の光輝性顔料から正反射された光によって生じる不規則で微細な輝きの知覚、いわゆる「キラキラ感」と、できるだけキラキラ感が発現しにくい照明条件下において試料を観察したときに、光輝材含有塗膜中の光輝性顔料の配向・重なりで起きる不規則・無方向性の模様であるランダムパターンから発する知覚、いわゆる「粒子感」とをそれぞれ別々に定量的に評価することが個人差によるバラツキを小さくできることから好適である。
【0027】
キラキラ感を定量的に測定する好適な方法としては、例えば、下記の測定方法を一例として挙げることができる。
光照射された光輝塗膜面をCCDカメラで撮影してなる2次元画像を多数の区画に分割し、該区画のそれぞれの輝度を該区画の全てにわたり合計して総計値を得て、この総計値を全区画数で割り算して平均輝度xを求め、この平均輝度x以上の値に閾値αを設定する。閾値αは、通常、平均輝度xと定数y(yは、通常、24〜40の数で、28〜36の数であることが好ましい)との和であることが適当である。
【0028】
ついで、上記区画のそれぞれの輝度から閾値αの値を減算し、その減算値が正の値である該減算値を総計し、その総和である総体積Vを得る。また、閾値α以上の輝度を有する区画の総数(閾値αで2値化を行うことによって得られる上記閾値α以上の区画の総数)である総面積Sを得る。輝度ピークの平均高さPHavαは、輝度ピークが円錐、角錐に近似できると考えられることから、総体積Vを総面積Sで割った値を3倍すること、すなわち下記式
PHavα=3V/S
によって得られる値とすることができる。
【0029】
また、上記平均輝度x以上であり上記閾値α以下である閾値βを設定する。閾値βは、閾値α以下であり通常、平均輝度xと定数z(zは、通常、16〜32の数で、20〜28の数であることが好ましい)との和であることが適当である。
【0030】
ついで、上記区画のそれぞれの輝度から閾値βの値を減算し、その減算値が正の値である該減算値を総計し、その総和である総体積Wを得る。また、閾値β以上の輝度を有する区画の総数(閾値βで2値化を行うことによって得られる上記閾値β以上の区画の総数)である総面積Aを得る。閾値βでの輝度ピークの平均高さPHavβは、輝度ピークが円錐、角錐に近似できると考えられることから、総体積Wを総面積Aで割った値を3倍すること、すなわち下記式
PHavβ=3W/A
によって得られる値とすることができる。
【0031】
また、閾値βでの総面積Aと閾値β以上の輝度を示す光学粒子の個数Cとから光学粒子の平均粒子面積を求めることができる。本発明において、「光学粒子」とは、「2次元画像上で輝度が閾値以上である独立した連続体」を意味するものとする。上記光学粒子の形状を円と仮定し、平均粒子面積と同じ面積を有する円の直径Dを、下記式
【0032】
【数1】
によって求め、上記PHavβとLとから輝度ピークの平均裾広がり率PSavを下記式
PSav=D/PHavβ
によって得ることができる。
【0033】
前記のようにして求めた輝度ピーク平均高さPHavαと上記のようにして求めた輝度ピークの平均裾広がり率PSavとから輝き値BVを下記式
BV=PHavα + a・PSav
によって近似的に算出することができる。上記式中、係数aは、実験的に決定できる値である。例えば、前記閾値αを求める際の定数yを32とし、前記閾値βを求める際の定数zを24とした場合において、係数aは、PHavαが25未満のときには300、PHavαが45を超える場合には1050とし、PHavαが25〜45の数である場合には、下記式
a=300+37.5×(PHavα−25)
で示される値とすると、得られるBV値は、実際の光輝塗膜の塗色において「キラキラ感」と良好な相関を示す。
【0034】
本発明方法において、上記のようにして求めた輝き値BVによって、光輝塗膜の「キラキラ感」を定量的に測定することができ、輝き値BVと目視観察による「キラキラ感」の官能評価結果との相関性は、塗膜における光輝材の濃度差、明度差が大きい場合においても高いものとすることができる。
【0035】
次に、「粒子感」を定量的に測定する好適な方法について説明する。
上記粒子感の好適な定量的測定方法としては、前記のようにして、光照射された光輝塗膜面をCCDカメラで撮影して2次元画像を得て、この2次元画像を2次元フーリエ変換してなる空間周波数スペクトルから低空間周波数成分のパワーを積分及び直流成分で正規化して得られる2次元パワースペクトル積分値を得て、この2次元パワースペクトル積分値から塗膜の粒子感を定量的に評価する方法を挙げることができる。
【0036】
2次元フーリエ変換後の空間周波数スペクトルの画像から低空間周波数成分を抽出して、積分及び直流成分での正規化を行なって得られる2次元パワースペクトル積分値を測定するにあたり、空間周波数スペクトルの画像から抽出する低空間周波数成分の抽出領域を、解像度を表す線密度が、下限値0本/mm〜上限値が2〜13.4本/mmの範囲のいずれかの数値である領域、好ましくは0本/mm〜4.4本/mmの領域とすることが、目視観察による「粒子感」の官能評価結果との相関性を高いものとする観点から適している。2次元パワースペクトル積分値が大きいほど粒子感が大きくなる。
【0037】
2次元パワースペクトル積分値(以下、「IPSL」と略称することがある)は次式によって求めることができる。
【0038】
【数2】
【0039】
(式中、νは空間周波数、θは角度、Pはパワースペクトル、0〜Lは抽出した低空間周波数領域であり、Lは抽出した周波数の上限を意味する)。
【0040】
また、前記輝き値BVをもとに下記式により計算したMBVの値により「キラキラ感」を評価することもできる。
MBV=(BV−50)/2
MBVの値は、キラキラ感のないものは0とし、実用化されている光輝塗膜において最もキラキラ感のあるものをほぼ100とした値であって、「キラキラ感」のあるものほど大きな数値を示す。
【0041】
また、前記2次元パワースペクトル積分値(IPSL)をもとに下記式により計算したMGRの値により「粒子感」を評価することもできる。
【0042】
IPSLの値が、0.32以上の場合は、
MGR=[(IPSL×1000)−285]/2 とし、
IPSLの値が、0.15<IPSL<0.32の範囲内にある場合は、
MGR=[IPSL×(35/0.17)−(525/17)]/2
とし、
IPSLの値が、0.15以下の場合は、 MGR=0 とする。
【0043】
上記MGRの値は、光輝材の粒子感のないもを0とし、塗料分野で現在使用されている光輝材のうち最も粒子感のあるものをほぼ100とした値であって、「粒子感」のあるものほど大きな数値を示す。
【0044】
また、さらに上記MBV及びMGRの値に基づいて、下記式により計算したミクロ光輝感を指数化した数値(ミクロ光輝感指数)によって総合的にミクロ光輝感を評価することも出来る。
ミクロ光輝感指数=(MGR+k・MBV)/(1+k)
多くの光輝感を有する塗装板について検討したところ、上記kの値を1.63とすると、目視でのミクロ光輝感とよく合致した結果が得られることが分かった。ミクロ光輝感のないもの(キラキラ感も粒子感もない)場合は0となり、塗料分野で現在使用されている光輝材のうち光輝感の最もある(キラキラ感も粒子感も最もある)ものはほぼ100となる値である。
【0045】
本発明方法においては、光輝感を有する基準色をミクロ光輝感測定器によって測定してミクロ光輝感基準測定値を得る。そのミクロ光輝感基準測定値からの光輝感許容範囲を予め設定しておく。光輝感許容範囲は、基準色のミクロ光輝感に応じてその許容幅を設定することができる。その許容幅は、例えば、ベテランのライン色管理者が目視で合格と判断する領域のもの多数をミクロ光輝感測定器にて測定しミクロ光輝感基準測定値からの差に基いて決めることができるし、その他の方法で決定してもよい。基準色同士のミクロ光輝感が似ている場合には、各々同程度の許容幅とすることができる。ミクロ光輝感基準測定値は、前記「キラキラ感」と「粒子感」とに分けて、それぞれについて基準測定値からの許容範囲を設定することが好適である。
【0046】
本発明方法においては、ライン塗装塗膜の各角度条件における色測定値が色許容範囲内にあるとともに、該ライン塗装塗膜のミクロ光輝感測定値が光輝感許容範囲内にあると判定したときにライン塗装塗色が合格であると判断する。合格であると判断する場合にはコンピュータによって「ライン塗装塗色が合格」であることを表示させてもよい。
【0047】
ライン塗装塗色の各色測定値及びミクロ光輝感測定値のうち少なくとも一つの測定値が許容範囲とならない場合には、通常、塗装条件、例えば、溶剤による希釈率(塗装粘度)、スプレー塗装の際のスプレーエア圧、塗装ガンのノズルと被塗物との距離、塗料の塗着量、塗装後のセッティング時間などの条件を変更するなどの方法によって対処することができる。これらの条件の変更によって塗色がどのように変化するか予めデータを持っていると、このデータに基づいて塗色調整を容易に行なうことができるので好ましい。これらの条件変動によってライン塗装塗色を合格させることができない場合には、塗料の調色による調整などが必要となるであろう。
【0048】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0049】
実施例1
アルミニウム粉末を含有するシルバーメタリック系塗色の各受光角度条件における色終点許容範囲ΔE*と光輝感許容範囲を、受光角度25度のL*値の大きさで3分割して、下記表1のとおり設定した。
【0050】
【表1】
【0051】
シルバーメタリックA色の基準板に合せて調色したシルバーメタリックA色塗料を塗装ラインAの標準条件で塗装して塗装板を作成した。塗装板と見本となる基準板との色差及びミクロ光輝感測定を行った。基準板の色度とミクロ光輝感指数を表2に、塗装板と基準板との色差及びミクロ光輝感指数の差を表3に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
受光角度45度でのΔE*値は、色許容範囲内に入っているが、受光角度25度及び75度においては、ΔE*値、ミクロ光輝感指数の差は大きな値であり許容範囲内ではなく、目視で評価を行ってみると、正面(ハイライト)及びスカシ(シェード)の色感(フリップフロップ)、ミクロ光輝感も異なるため塗料の微調色を行った。微調色を行った塗料の塗装板と基準板との色差及びミクロ光輝感指数の差を下記表4に示す。
【0055】
【表4】
【0056】
上記表4から明らかなように、受光角度3角度とも色許容範囲内に入っているとともに、ミクロ光輝感も許容範囲内にも入っていた。目視で評価を行っても正面とスカシとも色の差は認められず、フリップフロップ感も良好であり、ミクロ光輝感も同等であったので、ラインへ塗料供給を行ない、ライン塗装を行なった。ライン塗装板は、受光角度3角度において、色許容範囲内であり、ミクロ光輝感も光輝感許容範囲であって、目視においても基準板との差は認められなかった。
【0057】
実施例2
光輝性マイカ粉を含有するブルーパール系塗色の各受光角度条件における色許容範囲ΔE* と光輝感許容範囲を、受光角度25度のL*値の大きさで3分割して設定したところ、前記表1と同じであった。
【0058】
ブルーパール色の基準板に合せて調色したブルーパールA色塗料を塗装ラインの標準条件で塗装して塗装板を作成した。塗装板と見本となる基準板との色差及びミクロ光輝感測定を行った。基準板の色度とミクロ光輝感指数を表5に、塗装板と基準板との色差及びミクロ光輝感指数の差を表6に示す。
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
受光角度25度、45度及び75度でのΔE*値は、いずれも色許容範囲内に入っていたが、ミクロ光輝感指数の差が、許容範囲より僅かに大きな値であった。目視で評価を行ってみると、正面(ハイライト)とスカシ(シェード)の色差(フリップフロップ)も僅かであり、ベテラン調色者が評価用ライトや太陽光で観察してその差が認められるレベルであった。そこで色は同等なレベルまできていることから、塗料の微調色を行わずに、塗装条件の希釈シンナーの変更で光輝性マイカ粉の配向を微妙に調整し再塗装を行った。再塗装板と基準板との色差及びミクロ光輝感指数の差を下記表7に示す。
【0062】
【表7】
【0063】
上記表7から明らかなように、受光角度3角度のいずれにおいても色許容範囲内に入っているとともに、ミクロ光輝感も許容範囲内にも入っていた。目視で評価を行っても正面とスカシとも色の差は認められず、フリップフロップ感も良好であり、ミクロ光輝感も同等であったので、ラインの塗装条件で変更した部分を明確にした上でラインへ塗料供給を行ない、変更した塗装条件にてライン塗装を行なった。ライン塗装板は、受光角度3角度において、色許容範囲内であり、ミクロ光輝感も光輝感許容範囲であって、目視においても基準板との差は認められなかった。
【0064】
【発明の効果】
本発明方法によると、塗装ラインにおいて、人の目視評価に頼ることなく、光輝感のある塗色に対しても精度の高い塗色管理ができ、しかも熟練度に関係なく、数値管理による効率化ができる塗色管理方法を提供することができる。
Claims (4)
- 光輝感を有する基準塗色を多角度測色計によって2以上の角度条件にて測定してなる各色測定値からの該各角度条件における色許容範囲を予め設定しておき、該各角度条件の全てにおいてライン塗装塗膜の各色測定値が色許容範囲内にあるか否かをコンピュータにより判定し、且つ該基準塗色をミクロ光輝感測定器によって測定したミクロ光輝感基準測定値からの光輝感許容範囲を予め設定しておき、該ライン塗装塗膜のミクロ光輝感測定値が光輝感許容範囲内にあるか否かをコンピュータにより判定し、上記ライン塗装塗膜の各色測定値が色許容範囲内であり、且つ該ライン塗装塗膜のミクロ光輝感測定値が光輝感許容範囲内であるときに塗装塗色が合格であると判断し、ライン塗装塗膜の各角度条件における各色測定値及びミクロ光輝感測定値のうち少なくとも一つの測定値が許容範囲とならない場合には、溶剤による塗料の希釈率、塗装粘度、スプレー塗装の際のスプレーエア圧、塗装ガンのノズルと被塗物との距離、塗料の塗着量、塗装後のセッティング時間から選ばれる少なくとも一つの塗装条件を変更することによって塗色調整を行うことを特徴とする塗装ラインにおける塗色管理方法。
- 多角度測色計にて測定する受光角度が、鏡面反射軸と受光軸とのなす角度で15〜30度、35〜60度及び75〜110度の各角度範囲のうちの各1ずつである合計3の受光角度である請求項1記載の塗色管理方法。
- 各角度条件における色許容範囲が、各角度条件における角度基準色測定値からのΔL*、Δa*、Δb*から求められるΔE*の値によって決められてなる請求項1又は2に記載の塗色管理方法。
- ミクロ光輝感測定器が、塗膜面に光を照射する光照射装置、光照射された塗膜面を照射光が入射しない角度にて撮影して画像を形成するCCDカメラ、及び該CCDカメラに接続され該画像を解析する画像解析装置を具備したものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗色管理方法。
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