JP2013228330A - 膜厚測定装置および膜厚測定方法 - Google Patents

膜厚測定装置および膜厚測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被測定膜において、屈折率×膜厚の値が75より小さい場合にも、簡易な方法によって、非接触で高精度に膜厚を測定できる膜厚測定装置および膜厚測定方法を提供すること。
【解決手段】ポンプ光2bの照射によって、光伝導アンテナ28aからテラヘルツ波5を、入射角がブリュースター角になるようにサンプル8に照射する。偏光板29a,29bを調節して、サンプル8で反射されたテラヘルツ波5からS偏光成分を光伝導アンテナ28bによって検出する。偏光板29a,29bを調節して、サンプル8で反射されたテラヘルツ波5からP偏光成分を光伝導アンテナ28bによって検出する。情報処理部26は、S偏光成分のピークに対するP偏光成分のピークの時間遅れに基づいて、サンプル8表面に形成された被測定膜の膜厚を導出する。
【選択図】図4

Description

本発明は、金属や半導体表面に形成された膜の膜厚、特に鋼板の表面に形成された酸化膜の膜厚を測定する膜厚測定装置および膜厚測定方法に関する。
従来、産業上における品質管理において、膜の連続測定が重要となることが多い。膜の連続測定としては、フィルムの品質管理のための膜厚測定などがある。また、金属や半導体の表面に形成された膜の膜厚の測定としては、IC回路の製造工程中における半導体基板上の酸化膜の膜厚の測定、鋼板の製造工程中における鋼板表面に生成されたスケール膜厚の測定、鋼板に接着させたラミネート膜厚の測定、および鋼の表面の塗装膜厚の測定などがある。
この膜厚の測定に用いられる方法としては、渦流測定、超音波測定、エリプソメトリ、および赤外線膜厚計などの方法が挙げられる。
これらの方法のうちの渦流測定は、金属表面の絶縁性膜の膜厚を測定するための測定方法であり、電磁誘導の原理に基づいている。すなわち、渦流測定は、測定器によって交流磁気を発生させ、電磁誘導により金属表面の近傍に生じる渦電流に起因して発生する磁束における測定器から金属までの距離による反応の違いを、測定器で測定する方法である。ところが、この渦流測定は、測定器を測定対象の膜表面に接触させる必要があるため、移動している測定対象に対する連続測定には適さないという問題がある。
超音波測定は、測定器から発生された超音波の表面での反射と裏面での反射との時間ずれを利用した測定方法である。ところが、この超音波測定においては、測定器を測定対象である膜表面に接触させるか、測定器と測定対象である膜表面の間に水などの超音波媒体を媒介させる必要がある。そのため、超音波測定には、移動している測定対象に対しては連続測定が困難であったり、水を使用する必要があったりするなどの問題がある。
エリプソメトリは、可視連続光や赤外連続光などのPS偏光を利用した方法であり、具体的には、測定対象膜の中の多重反射によるPS偏光の偏光状態の変化から膜厚を測定する方法である。ところが、このエリプソメトリにおいては、測定に使用する電磁波が膜を透過しない場合には測定することができないという問題がある。また、このエリプソメトリにおいては、パルス光などの非連続の電磁波を利用できないという問題もある。
赤外線膜厚計は、赤外線の吸収スペクトルを利用して、膜厚による赤外線の吸光度の差を利用した方法である。ところが、この赤外線膜厚計においては、測定対象となる膜の成分の微妙な違いにより生じる吸光率の差の影響を強く受けるため、測定精度の点で問題がある。また、測定対象の膜の赤外線の吸収が非常に強く透過しない場合には、膜厚を測定することができないという問題もある。
そこで、以上のような測定方法以外に、可視光や赤外線を透過しない材質の膜であっても膜厚を測定することができる方法として、テラヘルツ時間領域分光を用いる方法が提案されている。非特許文献1,2には、このテラヘルツ時間領域分光が開示されている。テラヘルツ時間領域分光とは、周波数が0.1〜10THzのテラヘルツ波と呼ばれる電磁波を利用した測定方法である。
図17aは、テラヘルツ時間領域分光を利用して膜厚測定を行う膜厚測定装置100の構成を示す。図17aに示すように、励起用レーザ光源101からパルスレーザ光102aが同一周期で繰り返し発生される。この励起用レーザ光源101には通常フェムト秒レーザと呼ばれる短パルスレーザ光源が用いられる。なお、パルスレーザ光102aの波長は、使用するテラヘルツ波発生器やテラヘルツ波検出器にあわせて選択される。
パルスレーザ光102aは、ビームスプリッタ103によってポンプ光102bとプローブ光102cとに分割される。ポンプ光102bはガリウムヒ素(GaAs)基板からなるテラヘルツ波発生器104の表面に照射される。ポンプ光102bが照射されることによってテラヘルツ波発生器104の表面にはキャリア(電子および正孔)が励起される。このキャリアは、半導体表面の電位の曲がりや、励起されたキャリア密度の空間的な差によって生じる電位差により加速される。このキャリアの加速によって半導体バルク結晶からなるテラヘルツ波発生器104に過渡電流が流れる。そして、この過渡電流によりパルス状のテラヘルツ波105が発生して射出される。これを半導体表面発光という。
この半導体表面発光により射出されたテラヘルツ波105は、放物面鏡106a,106bおよびテラヘルツ波用ハーフミラー107により順次反射されて測定対象の被測定膜が形成されたサンプル108に照射される。テラヘルツ波105はサンプル108の表面で反射され、サンプル108により反射されたテラヘルツ波105は、放物面鏡106bにより反射されてテラヘルツ波用ハーフミラー107を透過した後、放物面鏡106cにより反射されてテラヘルツ波検出器109に照射される。
一方、テラヘルツ波検出器109には、パルス状のプローブ光102cがミラー110a,110bにより順次反射されて照射される。なお、ミラー110aは、遅延ステージ112によって位置が変更され、ビームスプリッタ103からテラヘルツ波検出器109までのプローブ光102cの光路長を変更することができる。テラヘルツ波検出器109においては、プローブ光102cが到達した瞬間のテラヘルツ波105が電圧に変換され電気信号として情報処理部111に供給される。情報処理部111においては、上述した遅延ステージ112の位置の信号を受けて測定された電圧値に基づいてテラヘルツ時間波形が再現される。膜厚測定においては、テラヘルツ波105の膜の表面からの反射と膜の裏面からの反射との時間遅れに基づいて、膜厚が導出される。
ここで、テラヘルツ波時間波形の測定方法について説明する。発生したテラヘルツ波は時間的に急激な変化をするので、通常の測定方法では時間分解能が足りず、波形を精度よく測定することが困難である。よって、膜厚測定装置が備える遅延ステージ112を利用してテラヘルツ波の検出タイミングを変動させ、検出値とその検出タイミングから元のテラヘルツ波の波形を再現する手法が用いられる。
上述したポンプ光102bとプローブ光102cとは、パルスレーザ光102aがビームスプリッタ103により分割されたパルス光なので、同一波形且つ同一のタイミングで繰り返し発生される。遅延ステージ112によりミラー110aの位置が変えられると、ポンプ光102bとプローブ光102cとの光路長が変更されて、ポンプ光102bによって発生されるテラヘルツ波105がテラヘルツ波発生器104へ到達するタイミングと、プローブ光102cがテラヘルツ波検出器109へ到達するタイミングとをずらすことができる。図17bは、図17aに示すポンプ光102bと、ポンプ光102bによって発生されるテラヘルツ波105と、プローブ光102cとにおけるタイミングのずれにより検出される観測波形を示す図である。
上述したように、テラヘルツ波検出器109は、プローブ光102cが到達した瞬間のテラヘルツ波105の振幅を電圧に変換する。よって、遅延ステージ112のミラー110aの位置を変えてタイミングをずらしながら、テラヘルツ波検出器109がテラヘルツ波105の振幅を繰り返し測定し、情報処理部111が、測定された振幅値をずらしたタイミングの順に並べることによって元のテラヘルツ波時間波形を再現することができる。
しかしながら、この方法で観測された波形は実際のテラヘルツ波の波形を時間軸方向に引き伸ばしたものとなっている。このため、本発明の実施形態におけるテラヘルツ波の測定方法においては、以下の方法で実際のテラヘルツ波に換算される。
実際のテラヘルツ波の測定においては、遅延ステージ112上でミラー110aを一定速度vで移動させながら、テラヘルツ波105の振幅がサンプリング周波数fsでサンプリングされる。これにより、1サンプリングあたりの光路長の変位量dlは、dl=(2×v)/fsとなる(なお、この計算は図17aに示すように遅延ステージ112によって1回折りかえされている場合である)。また、実際のテラヘルツ波105の時間軸上での時間ステップは、dt=dl/cとなる。ただし、cは光速である。よって、観測される波形は、実際のテラヘルツ波105を時間軸上での倍率、1/fs/dt=c/2v倍したものとなっている。よって、テラヘルツ波105の測定においては、情報処理部111が測定した実際の波形に対して時間軸を2v/c倍したものが真の波形となる。
また、テラヘルツ波検出器109としては、光伝導アンテナや電気光学結晶が用いられる。これらのうちの光伝導アンテナは、テラヘルツ波検出器のみならずテラヘルツ波発生器としても使用することができ、上述した半導体表面発光の代わりに用いられることもある。
ここで、光伝導アンテナの動作について、図18a、図18bを参照しつつ説明する。図18aは、テラヘルツ波発生用光伝導アンテナの構成を示す。このテラヘルツ波発生用光伝導アンテナ200は、低温成長GaAsからなる半導体基板201上に、金属を蒸着させてアンテナ202が形成されている。このアンテナ202の両端には直流電源203が接続されている。アンテナ202の中央には、10μm程度の間隙からなるアンテナギャップ202aが形成され、このアンテナギャップ202aによってアンテナ202が互いに絶縁されている。ポンプ光102bがアンテナギャップ202aに照射されるとキャリア(電子および正孔)が励起されアンテナギャップ202aが接続される。アンテナギャップ202aには直流電源203により電圧が生じているため、キャリアによってアンテナ202が接続され過渡電流が流れる。この過渡電流によってアンテナ202の方向に偏波したテラヘルツ波105が発生する。なお、直流電源203の代わりに交流電源が用いられることもある。
図18bは、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナの構成を示す。このテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ210は、低温成長GaAsからなる半導体基板211上に、金属を蒸着させてアンテナ212が形成されている。このアンテナ212の両端には電圧計213が接続されている。アンテナ212の中央には、10μm程度の間隙からなるアンテナギャップ212aが形成され、このアンテナギャップ212aによってアンテナ212が互いに絶縁されている。テラヘルツ波105の発生と同様に、プローブ光102cがアンテナギャップ212aに照射されるとアンテナ212が接続される。このタイミングでテラヘルツ波105が照射させるとテラヘルツ波105の電場のアンテナ方向の成分によって電子がアンテナ212上を動き電流が流れる。この電流により生じた電圧は、電圧計213に供給される。
なお、図18aおよび図18bに示すアンテナ202,212は、ダイポールアンテナと称される形状のアンテナである。また、このダイポールアンテナ以外にも、スパイラル型、ボウタイ型、およびストリップライン型などと称される形状のアンテナが存在するが、これらの基本原理についてもダイポールアンテナと同様である。
特開2009−186333号公報
安井武史、荒木勉「テラヘルツ波を用いた塗膜モニタリング技術」、塗装工学Vol.43(11)PP.389−397 (2008) テラヘルツテクノロジーフォーラム編 「テラヘルツ技術総覧」(2007),7.3.7.コンピュータトモグラフィ 安井武史、 P.450.図1,図2
上述したテラヘルツ時間領域分光を用いる膜厚測定は、可視光や赤外線を透過しない対象に使用することができる。反面、このテラヘルツ時間領域分光を用いる膜厚測定においては、膜厚が非常に小さい場合に第1パルスと第2パルスとの差を測定することが困難になる。
図19は、被測定膜における顕微鏡の断面観察によって測定した膜厚d(μm)にあらかじめ測定した被測定膜の屈折率nを乗じた値を横軸とし、テラヘルツ時間領域分光により測定された時間波形に基づいて、デコンボリューション法により表面および裏面から反射されたそれぞれのパルス光を検出し、それらの時間ずれに基づいて膜厚dを算出して、この膜厚dに被測定膜の屈折率nを乗じた値(膜厚と屈折率との積算値)を第1軸としたグラフ(図19中、実線)を示す。また、第2軸は、顕微鏡の断面観察によって測定した膜厚dの値を真値としたときの、テラヘルツ時間領域分光により測定した膜厚dの値の誤差である。
図19に示す点線のグラフから、テラヘルツ時間領域分光を用いた膜厚測定においては、屈折率と膜厚(μm)との積算値(n×d)の値が75より小さい場合、誤差が10%を大きく越えてしまい、被測定膜の膜厚の測定が極めて困難になることが分かる。本発明者の検討によれば、被測定膜の膜厚の測定が困難になるのは、膜表面で反射した第1パルスと膜裏面で反射した第2パルスとの弁別が困難になることに起因する。
また、テラヘルツ波を用いて膜厚測定を行う事例としては、上述した事例以外にも、鋼板の表面に生成される酸化膜の膜厚を測定する事例がある。鋼板の表面に生成される鉄の酸化膜はスケールと称され、特にマグネタイトを主成分とするスケールは、可視光や赤外線を透過しないという問題がある。そこで、このスケールの膜厚を測定する際にテラヘルツ波を用いる測定方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1には、鉄の酸化物であるマグネタイト(Fe34)は表面でテラヘルツ波を反射するが、同様に鉄の酸化物であるヘマタイト(Fe23)やウスタイト(FeO)はテラヘルツ波を透過することに着目して、被測定対象にあらかじめレーザ光を照射してその表面を局所的に1000℃以上に加熱することによりヘマタイト層を除去し、且つマグネタイト層をウスタイトに逆変態させた後、テラヘルツ波により膜厚を測定する方法が開示されている。
しかしながら、この膜厚測定方法においては、鋼板表面を熱するためにテラヘルツ波を発生させるレーザとは別のレーザが必要になるため、装置が大掛かりになるとともに、高価になるという問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、可視光や赤外線を透過しない被測定膜であってもその膜厚を測定することができるとともに、測定に非連続光源を用いることができ、屈折率と膜厚との積算値が75より小さい場合であっても、簡易な方法によって、非接触で高精度に膜厚を測定することができる膜厚測定装置および膜厚測定方法を提供することにある。
上述した課題を解決し、上記目的を達成するために、本発明に係る膜厚測定装置は、テラヘルツ波を射出するテラヘルツ波発生手段と、テラヘルツ波発生手段から射出されたテラヘルツ波を、被測定膜のブリュースター角を入射角として被測定膜に照射するテラヘルツ波照射手段と、被測定膜で反射されたP偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを検出するテラヘルツ波検出手段と、テラヘルツ波検出手段により検出されたS偏光のテラヘルツ波に対するP偏光のテラヘルツ波の時間遅れに基づいて、被測定膜の膜厚を導出する情報処理手段と、を備えることを特徴とする。
このように構成された膜厚測定装置によれば、ブリュースター角におけるテラヘルツ波のP偏光成分の反射率とS偏光成分の反射率との相違によって、S偏光のテラヘルツ波の大部分が被測定膜の表面で反射し、P偏光のテラヘルツ波が被測定膜の裏面で反射するので、被測定膜が薄い場合にも、S偏光の最大ピークに対するP偏光の最大ピークの時間遅れに基づいて膜厚を正確に測定することができる。
本発明に係る膜厚測定装置は、上記の発明において、テラヘルツ波検出手段が、S偏光のテラヘルツ波とP偏光のテラヘルツ波とを電気的に切り替えて検出可能な光伝導アンテナから構成されることを特徴とする。
このような構成によれば、電気的な切り替えを行うことによって、偏光を切り替えるときに生じるアラインメントのずれをあらかじめ防止することができるので、光軸の調整に要する手間を省くことができ、より容易且つ正確に、P偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを弁別することが可能になる。
本発明に係る膜厚測定装置は、上記の発明において、光伝導アンテナが、間隙を有して直線状に形成された、一対の第1の導線および一対の第2の導線を備え、第1の導線および第2の導線が互いの間隙を重ねつつ直交して配置され、第1の導線および第2の導線の間隙にレーザ光を照射することによってS偏光のテラヘルツ波およびP偏光のテラヘルツ波を弁別して検出可能に構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、同一光軸上のP偏光のテラヘルツ波およびS偏光のテラヘルツ波を検出することができるので、テラヘルツ波検出手段における、膜厚の測定の初期に行うアラインメントの手間を大幅に削減することができ、より簡易且つ正確にP偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを弁別することができる。
本発明に係る膜厚測定装置は、上記の発明において、テラヘルツ波検出手段が、ポッケルズ効果を呈する電気光学結晶を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、ポッケルズ効果を利用してP偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを同時に検出することが可能となる。
本発明に係る膜厚測定装置は、上記の発明において、テラヘルツ波発生手段が、間隙を有して直線状に形成された、一対の第3の導線および一対の第4の導線を備え、第3の導線および第4の導線が互いの間隙を重ねつつ直交して配置され、第3の導線と第4の導線とに対して選択的に電圧を印加するとともに、第3の導線および第4の導線の間隙にレーザ光を照射することによってS偏光のテラヘルツ波とP偏光のテラヘルツ波とを独立して発生可能な光伝導アンテナから構成されることを特徴とする。
このような構成によれば、P偏光のテラヘルツ波およびS偏光のテラヘルツ波を同一光軸上で発生させることができるとともに、必要に応じてテラヘルツ波検出手段とテラヘルツ波発生手段とを同じ構成の光伝導アンテナとすることができるので、膜厚測定の初期に行うテラヘルツ波検出手段およびテラヘルツ波発生手段のアラインメントの手間を大幅に削減することができる。
本発明に係る膜厚測定装置は、上記の発明において、レーザ光源から分配される第1のパルス光を導光する第1の光ファイバと、レーザ光源から分配される第2のパルス光を導光する第2の光ファイバと、テラヘルツ波発生手段が、第1の光ファイバに導光された第1のパルス光の照射によりテラヘルツ波を発生可能に構成され、テラヘルツ波検出手段が、第2の光ファイバに導光された第2のパルス光の照射によりテラヘルツ波を検出可能に構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、光ファイバを用いて、励起用レーザ光源からテラヘルツ波発生手段に第1のパルス光を導光し、励起用レーザ光源からテラヘルツ波検出手段に第2のパルス光を導光していることにより、テラヘルツ波発生手段およびテラヘルツ波検出手段の設置位置を容易に変更することができるので、被測定膜に対してテラヘルツ波を入射させる際の入射角の設定を容易に行うことができる。
本発明に係る膜厚測定方法は、テラヘルツ波を被測定膜に対して被測定膜のブリュースター角を入射角として照射する照射ステップと、被測定膜で反射されたS偏光のテラヘルツ波を検出するS偏光検出ステップと、被測定膜で反射されたP偏光のテラヘルツ波を検出するP偏光検出ステップと、S偏光検出ステップにおいて検出されたS偏光のテラヘルツ波に対する、P偏光検出ステップにおいて検出されたP偏光のテラヘルツ波の時間遅れに基づいて、被測定膜の膜厚を導出する算出ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る膜厚測定装置および膜厚測定方法によれば、可視光や赤外線を透過しない被測定膜であってもその膜厚を測定することができるとともに、測定にパルス光源などの非連続光源も用いることができ、屈折率と膜厚との積算値が75より小さい場合であっても、簡易な方法によって、非接触で高精度に膜厚を測定することができる。
図1aは、テラヘルツ波の透過測定に用いた実験装置の概略構成図である。 図1bは、テラヘルツ波の透過測定の結果を示すグラフである。 図2は、ブリュースター角でスケールに入射されたP偏光とS偏光との光路の違いを説明するための図である。 図3は、P偏光とS偏光の反射率の入射角依存性を表すグラフである。 図4は、本発明の第1の実施形態による膜厚測定装置の概略構成を示す図である。 図5は、本発明の第1の実施形態による膜厚測定装置において被測定膜の膜厚を算出する際に用いられる数式を説明するための図である。 図6は、本発明の第2の実施形態による膜厚測定装置の概略構成を示す図である。 図7は、本発明の第2の実施形態によるPS偏光切り替え型光伝導アンテナを示す略線図である。 図8は、本発明の第2の実施形態によるPS偏光切り替え型光伝導アンテナのアンテナギャップの部分を示す略線図である。 図9aは、本発明の第2の実施形態によるテラヘルツ波発生用の光伝導アンテナの変形例を示す略線図である。 図9bは、本発明の第2の実施形態によるテラヘルツ波検出用の光伝導アンテナの変形例を示す略線図である。 図10は、本発明の第3の実施形態による膜厚測定装置の概略構成を示す図である。 図11は、本発明の第4の実施形態による膜厚測定装置の概略構成を示す図である。 図12は、本発明の第4の実施形態による膜厚測定装置のテラヘルツ波検出器の構造を示す図である。 図13aは、本発明の実施例により検出したテラヘルツ波のS偏光成分を表すグラフである。 図13bは、本発明の実施例により検出したテラヘルツ波のP偏光成分を表すグラフである。 図14は、本発明の実施例により膜厚を測定した結果と渦流計測により膜厚を測定した結果とを比較したグラフである。 図15は、本発明の実施例により測定した鋼板表面のスケールの膜厚を測定する際のテラヘルツ波の検出結果を示すグラフである。 図16は、本発明の実施例により測定した鋼板表面のスケール膜厚の測定結果と、顕微鏡により測定したスケール膜厚の測定結果とを比較した図である。 図17aは、従来のテラヘルツ時間領域分光を採用した膜厚測定装置の概略構成を示す図である。 図17bは、テラヘルツ時間領域分光の原理を説明するための図である。 図18aは、テラヘルツ波発生用の光伝導アンテナの動作原理を説明するための略線図である。 図18bは、テラヘルツ波検出用の光伝導アンテナの動作原理を説明するための略線図である。 図19は、顕微鏡による断面計測と従来のテラヘルツ時間領域分光によって膜厚を測定した場合の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
まず、本発明の実施形態に採用される原理について説明する。
すなわち、本発明者は、まず、厚さd=100μmのスケール膜(主成分:マグネタイト)を実験的に作成し、このスケール膜に対してテラヘルツ波の透過測定を行った。図1aは、テラヘルツ波の透過測定に用いた実験装置の概略構成を示し、図1bは、その透過測定の結果を示す。
図1aに示すように、スケールを透過するテラヘルツ波には、スケールを直接透過する第1透過波とスケール内で2回反射された波である第2透過波とが存在する。第1透過波と第2透過波とは伝播する距離が異なるので、図1bに示すように、時間差(図1b中、Δt)でテラヘルツ波検出器により検出される。第1透過波および第2透過波の振幅は、それぞれ第1透過波が0.865であり、第2透過波が0.568であった。この振幅の比から本実験のスケールの減衰率が65.6%であると導かれる。また、単位長さあたりの吸収率は、(100−減衰率)/(膜厚×2)に基づいて算出すると、0.17%/μmとなる。
図1bの測定結果には入射光の振幅を記載してはいないが、仮に記載した場合、入射光の振幅は図1bのスケールで100以上となる。すなわち、入射光と第1透過光との振幅の比を考えると、本実験のスケールの反射率は99%以上であり、大部分が表面で反射されていることが分かる。これにより、可視光や赤外線は言うに及ばずテラヘルツ波でさえスケールの内部にはほとんど侵入しないことが分かる。
そこで、本発明者は、図2に示すように、電磁波をブリュースター角で入射させた場合、P偏光の電磁波は被測定膜であるスケールの表面を100%透過し、S偏光の電磁波では一部のみが透過し一部が反射する現象に着目した。そして、電磁波としてテラヘルツ波を用い、P偏光のテラヘルツ波およびS偏光のテラヘルツ波を入射角がブリュースター角となるように被測定膜のスケールに入射させ、反射されたP偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とをそれぞれ測定することによって、スケールの表面と裏面とによる反射を独立して検出できることを知見した。これにより、本発明者は、被測定膜の表面で反射されたS偏光のテラヘルツ波に対する被測定膜の裏面で反射されたP偏光のテラヘルツ波の時間遅れから膜厚を測定できることを見出した。
また、テラヘルツ波は金属に対してほぼ100%の反射率を持つ。このため、ブリュースター角で入射したテラヘルツ波は、スケールの表面を100%透過し、スケールと鋼の界面で100%反射される。これにより、P偏光のテラヘルツ波は多重反射することなく、ひとつのピークのみが検出される。
さらに、本発明者は、通常の厚鋼板および熱延鋼板などの表面にできるスケールのテラヘルツ領域における屈折率を測定した。この測定結果により、テラヘルツ領域でのスケールの屈折率は2.9〜3.9程度に収まることがわかった。図3は、この測定結果からスケールの反射率をフレネルの式に従って計算した場合の、P偏光およびS偏光の反射率の入射角依存性を示すグラフである。
図3から、入射角が50度以上80度以下の範囲では、Tp(P偏光の表面の透過率)>90%となりP偏光のほとんどの成分がスケール中に透過することが分かる。すなわち、本発明を実施する際には、P偏光のテラヘルツ波の最大のピークを、スケール表面を透過した後に、スケールと鋼との界面で反射したピークとみなしてよいことが分かる。
さらに、図3から、テラヘルツ波のスケールへの入射角が65度以上であれば、Rs(S偏光の表面反射率)>Ts(S偏光の表面透過率)となり、S偏光のテラヘルツ波において、表面で反射されたテラヘルツ波が表面を透過したテラヘルツ波を上回る。すなわち、本発明を実施する際には、S偏光のテラヘルツ波のピークのうちの最大のピークがスケールの表面で反射したピークとみなしてよいことが分かる。
これにより、スケールで反射された複数のS偏光のテラヘルツ波からスケール表面で反射されたテラヘルツ波を探す必要がなくなるので、S偏光のテラヘルツ波の最大のピークに対するP偏光のテラヘルツ波の最大のピークの時間遅れから膜厚を測定することができ、信号処理が容易になる。以上から、テラヘルツ波を被測定膜に照射する際の入射角を、65度以上80度以下とすることが望ましい。すなわち、本発明において、ブリュースター角は65度以上80度以下の角度であり、好適には、70度以上75度以下の角度である。
(第1の実施形態)
図4は、本発明の第1の実施形態による膜厚測定装置の構成を示す図である。なお、この第1の実施形態においては、厚板工程などで圧延された鋼板の表面に形成される酸化膜(スケール)の膜厚を測定する場合を例として説明する。
図4に示すように、本発明の第1実施形態による膜厚測定装置は、パルスレーザ光2aを射出する励起用レーザ光源1と、ポンプ光2bを励起光としてテラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aと、テラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aから発生したテラヘルツ波5をコリメートする放物面鏡6aと、テラヘルツ波5を偏光させる偏光板29aと、テラヘルツ波5をサンプル8にブリュースター角を入射角として照射させるテラヘルツ波用ミラー10eおよび放物面鏡6bと、プローブ光2cを検出光としてテラヘルツ波5を検出するテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bと、検出されたテラヘルツ波5の強度分布に基づいてテラヘルツ波時間波形を再現したり膜厚を導出したりする情報処理部26とを主な構成要素として備える。
励起用レーザ光源1は、パルスレーザ光2aを同一周期で繰り返し射出できるように構成されている。この一実施形態において、励起用レーザ光源1としては、フェムト秒レーザと称される短パルスレーザ光源が用いられ、具体的には、例えばチタン(Ti)サファイアレーザが用いられる。
パルスレーザ光2aの波長は、使用するテラヘルツ波発生器やテラヘルツ波検出器にあわせて選ばれる。ここで、後述するように、この一実施形態においては、テラヘルツ波発生器やテラヘルツ波検出器として、低温成長ガリウムヒ素(GaAs)基板を用いた光伝導アンテナが採用される。そのため、パルスレーザ光2aの波長は例えば780nmに選ばれる。
ビームスプリッタ3は、パルスレーザ光2aを、第1のパルス光としてのポンプ光2bと第2のパルス光としてのプローブ光2cとに分割するためのものである。ビームスプリッタ3によって分割されたパルス光のうちのポンプ光2bは、ミラー10dによって導光され、光変調器としてのチョッパ20を通過し、レンズ22aによってテラヘルツ波発生手段としてのテラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aに照射される。
テラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aは、低温成長GaAs基板上に2つのアンテナがギャップ(図示せず)を隔てて設けられており、この2つのアンテナに電源21により直流電圧が印加されている。ポンプ光2bは、このアンテナギャップに集光される。ポンプ光2bがテラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aにおけるアンテナギャップに集光されると、この瞬間に、上述したテラヘルツ波の発生原理に基づいてパルス状のテラヘルツ波5が発生される。なお、テラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aにおけるテラヘルツ波5の発生側には、レンズ23aが接触させて配置されている。このレンズ23aは、テラヘルツ波5がテラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aの基板と空気との界面で反射して損失が発生するのを防止するためのものである。
ポンプ光2bの照射により発生したテラヘルツ波5は、放物面鏡6aにより反射され、偏光板29aにより偏光された後、テラヘルツ波照射手段としてのテラヘルツ波用ミラー10eおよび放物面鏡6bにより順次反射される。放物面鏡6bにより導光されたテラヘルツ波5は、表面に被測定膜としてのスケール(図示せず)が形成されたサンプル8に対して、スケールの空気に対するブリュースター角、具体的には65〜80度のブリュースター角を入射角として照射される。ここで、この第1の実施形態においては、サンプル8の表面に形成されたスケールの屈折率の測定結果が例えば3.4であった場合、ブリュースター角は例えば74度となる。
次に、サンプル8で反射されたテラヘルツ波5は、放物面鏡6cおよびテラヘルツ波用ミラー10fにより順次反射され、偏光板29bにより偏光された後、放物面鏡6dにより反射され、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bに照射される。なお、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bには、レンズ23bが接触させて配置されている。このレンズ23bは、テラヘルツ波5がテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bの基板と空気との界面で反射して損失が発生するのを防止するためのものである。
一方、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bのテラヘルツ波5が照射される側とは反対側に、ビームスプリッタ3により分割されたプローブ光2cが、ミラー10a,10b,10cにより順次反射されて導光される。ミラー10aは、光学的時間遅延手段としての遅延ステージ7によって位置を変更することができる。そして、ミラー10aの位置の変更によって、ビームスプリッタ3からテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bまでのプローブ光2cの光路長が変更される。これにより、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bの検出タイミングが変更される。なお、このミラー10aの位置情報は、遅延ステージ7から情報処理部26に供給され、時間情報として処理される。
テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bは、テラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aと同様に、低温成長GaAs基板上に2つのアンテナがギャップを隔てて設けられている。プローブ光2cは、レンズ22bによって、このアンテナギャップに集光される。プローブ光2cがテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bにおけるアンテナギャップに集光されると、上述したテラヘルツ波の検出原理に基づいて、この瞬間にテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bに照射されているテラヘルツ波5の大きさに応じた電圧が生じて、テラヘルツ波5を検出することができる。
このように、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bにおいて、パルス状のプローブ光2cが到達した瞬間のテラヘルツ波5が電圧に変換されると、プリアンプ24に電気信号として供給される。プリアンプ24においては、この電気信号が増幅されて、ロックインアンプ25に供給される。ロックインアンプ25においては、ポンプ光2bの光路の途中に設けられたチョッパ20からの信号を参照信号に同期させて検波することで、プリアンプ24から供給された電気信号のノイズが低減され、この電気信号が情報処理部26に供給される。
ここで、チョッパ20は、例えば交流電源の周波数などの電気ノイズ源の周波数の整数倍にならない周波数で光路をオンしたりオフしたりし、これらのオンおよびオフのタイミングに同期した信号を出力している。このチョッパ20の出力信号を参照信号として同期検波することで電気信号のSN比を向上させることができる。なお、チョッパ20の周波数は、考えられる電気ノイズの周波数成分を避け、SN比が高くなるように設定される。
情報処理部26においては、遅延ステージ7から供給されるミラー10aの位置情報とロックインアンプ25から供給される電気信号の信号強度とに基づいてテラヘルツ時間波形が再現される。
また、テラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aおよびテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bは、基板上のアンテナの向きがサンプル8に対してP偏光とS偏光との中間の角度(45度)になるように配置されている。すなわち、テラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aは、あらかじめP偏光のテラヘルツ波5とS偏光のテラヘルツ波5とを射出するように配置されている。また、テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bは、あらかじめP偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを検出できるように配置されている。そして、光路の途中に設けられた偏光板29a,29bを、同一の偏光のテラヘルツ波5が透過するように、2枚の偏光板29a,29bを同時に切り替えつつ、上述したテラヘルツ波5の射出および検出が繰り返し行われる。この偏光板29a,29bの偏光情報は、情報処理部26に供給される。なお、テラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aは、半導体表面から発光するものを用いることも可能である。
情報処理部26においては、偏光板29a,29bから供給される偏光情報に基づいて射出されたテラヘルツ波5および検出されたテラヘルツ波5がP偏光であるかS偏光であるかが弁別される。また、情報処理部26においては、ロックインアンプ25から供給される電気信号および遅延ステージ7から供給されるミラー10aの位置情報に基づいて、P偏光のテラヘルツ波時間波形およびS偏光のテラヘルツ波時間波形が再現され、それぞれのピーク位置が求められる。そして、情報処理部26において、S偏光のテラヘルツ波5のピークに対するP偏光のテラヘルツ波5のピークの時間遅れΔtの情報から、以下の(1)式に従ってスケールの膜厚dが導出される。
Figure 2013228330
(d:膜厚、Δt:S偏光のピークに対するP偏光のピークの時間遅れ、θ:膜内におけるテラヘルツ波の角度、c:光速、n:屈折率)
ここで、(1)式の導出について図5を参照しつつ説明する。すなわち、図5に示すように、テラヘルツ波を入射角θで屈折率nの被測定膜に入射させたときの被測定膜内における角度をθ、被測定膜内における行路長を2l、被測定膜にテラヘルツ波が入射したところから被測定膜の裏面で1回反射されて射出する(以下、1回多重反射)ところまでの距離をaとする。この場合、表面反射と1回多重反射との光路差ΔPathは、
Figure 2013228330
で表される。なお、光路は行路と屈折率との積である。一方、幾何学的条件から
Figure 2013228330
Figure 2013228330
であるので、(2)式〜(4)式から、
Figure 2013228330
が得られ、さらに、スネルの法則から、
Figure 2013228330
が得られる。(5)式および(6)式からθ1を消去すると、
Figure 2013228330
が導かれる。また、Δt(時間遅れ)およびc(光速)から
Figure 2013228330
が得られる。(8)式を変形すると(1)式が得られる。上述したように、P偏光のテラヘルツ波5は1回多重反射が主な成分であり、S偏光のテラヘルツ波5は表面反射が主な成分であることから、Δtとしては、S偏光のテラヘルツ波5のピークに対するP偏光のテラヘルツ波5のピークの時間遅れ、すなわち時間差を採用することができる。
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、サンプル8にテラヘルツ波5を、その入射角が65〜80度のブリュースター角になるように照射し、反射されたS偏光のテラヘルツ波5とP偏光のテラヘルツ波5とをそれぞれ測定することによって、スケール表面で反射したテラヘルツ波5と、スケール裏面で反射したテラヘルツ波5とを容易に弁別することができるので、反射されたS偏光のテラヘルツ波5のピークに対するP偏光のテラヘルツ波5のピークの時間遅れからスケールの膜厚を容易に算出することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、この第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様の部分については、その説明を省略し、同一または対応する部分については、同一の符号を付す。
図6は、本発明の第2の実施形態による膜厚測定装置の構成を示す。図6に示すように、この第2の実施形態においては、第1の実施形態と異なり、偏光板を採用することなく、PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bおよびスイッチ31a,31bによって、テラヘルツ波の偏光が切り替えられる。
まず、励起用レーザ光源1からパルスレーザ光2aが同一周期で繰り返し射出される。ここで、第1の実施形態と同様に、励起用レーザ光源1にはTiサファイアレーザが用いられる。また、テラヘルツ波発生器およびテラヘルツ波検出器として使用されるPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bがGaAs基板を用いていることから、パルスレーザ光2aの波長は例えば780nmである。
パルスレーザ光2aは、ビームスプリッタ3によって、ポンプ光2bとプローブ光2cとに分割される。ポンプ光2bは、ミラー10dを経由しチョッパ20を介してレンズ22aによって、テラヘルツ波発生手段としてのPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30aのアンテナギャップに集光される。また、PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30aには、電源21からスイッチ31aを介して直流電圧が供給されている。PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30aにおいては、後述するテラヘルツ波発生原理に従って、ポンプ光2bによりアンテナが接続されたときに、スイッチ31aによって指定された偏光方向のパルス状のテラヘルツ波5が射出される。
射出されたテラヘルツ波5は、放物面鏡6a、テラヘルツ波用ミラー10e、および放物面鏡6bにより順次反射され、被測定膜のスケールが形成されたサンプル8に向けて、ブリュースター角として65〜80度、具体的例えば74度の入射角で照射される。ここで、このブリュースター角は、サンプル8の表面に形成されたスケールの屈折率が3.4の場合における空気に対するブリュースター角である。
サンプル8の表面で正反射されたテラヘルツ波は、放物面鏡6c、テラヘルツ波用ミラー10f、および放物面鏡6dによって順次反射され、テラヘルツ波検出手段としてのPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30bに照射される。
一方、ビームスプリッタ3で分割されたパルス状のプローブ光2cがミラー10a,10b,10cに順次反射されて導光され、レンズ22bによってテラヘルツ波検出用のPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30bのアンテナギャップに集光される。ミラー10aは、光学的時間遅延手段としての遅延ステージ7によって位置が変更される。遅延ステージ7によるミラー10aの位置の変更によって、ビームスプリッタ3からPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30bまでの光路長が変更される。このミラー10aの位置情報は、遅延ステージ7から情報処理部26に供給される。
PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30bにおいては、プローブ光2cが到達した瞬間においてスイッチ31bにより指定されている偏光方向のテラヘルツ波5が電圧に変換され、電気信号としてプリアンプ24に供給される。プリアンプ24においては、供給された電気信号が増幅され、ロックインアンプ25に供給される。ロックインアンプ25においては、ポンプ光2bの光路の途中に設けられたチョッパ20からの信号を参照信号に同期させて検波することで、プリアンプ24から供給された電気信号のノイズが低減され、この電気信号が情報処理部26に供給される。
なお、PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bにはそれぞれ、レンズ23a,23bが接触させて配置されている。これらのレンズ23a,23bは、テラヘルツ波5がPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bの基板と空気との界面で反射することにより生じる損失を防止するためのものである。
PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bとスイッチ31a,31bとの組み合わせによってテラヘルツ波5の偏光を切り替え、S偏光のテラヘルツ波5の測定とP偏光のテラヘルツ波5の測定とを独立して行うことにより、第1の実施形態と同様の方法に従って、サンプル8表面のスケールの膜厚を測定することができる。なお、第1の実施形態におけると異なり、スイッチ31a,31bから情報処理部26に偏光情報が供給される。
図7は、この第2の実施形態において使用されるPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bを示す。以下、PS偏光切り替え型光伝導アンテナの動作原理について説明する。このPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bは、スイッチ31a,31bにより、それぞれテラヘルツ波5の射出および検出する偏光方向を変えることができる。
PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bは、第1の実施形態において用いられた光伝導アンテナと同様に、低温成長GaAs基板などの半導体基板上に、中央に間隙が設けられた十字形の金属膜が蒸着されている。すなわち、同一直線状に間隙を設けて配置された金属線からなる第1の導線としてのアンテナ32aから一対のペアが構成され、同様の第2の導線としてのアンテナ32bからさらに一対のペアが構成される。PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bにおいては、これらの2組のペアが、それらの長手方向が互いに直交しつつ互いの間隙(ギャップ)の中心がほぼ一致するように配置されている。
このように構成されたPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30aを、テラヘルツ波5の発生に用いる場合には、まず、PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30aのアンテナ32a,32bが選択的にスイッチ31aを介して電源21に接続される。そして、PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30aにおけるアンテナ32a,32bのギャップにポンプ光2bが照射されると、半導体中の伝導帯にキャリアが励起されてアンテナ32a,32bが接続される。このとき、アンテナ32a,32bのうちのスイッチ31aによって選択された一対のペアにのみ電流が流れる。図7においては、縦向きに配置されたアンテナ32aのペアが選択されると、符号Aで示す方向に電流が流れ、この電流に応じて偏光されたテラヘルツ波5が射出される。一方、スイッチ31aが切り替えられて、横向きに配置されたアンテナ32bのペアが選択されると、符号Bで示す方向に電流が流れ、符号Aに示す方向に電流が流れた際に射出されるテラヘルツ波5に対して、偏光方向が90度異なるテラヘルツ波5が射出される。このように、PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30aからはスイッチ31aの切り替えによってP偏光とS偏光との2種類の偏光状態のテラヘルツ波5を射出することが可能である。
PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30bをテラヘルツ波5の検出に用いる場合には、スイッチ31bとプリアンプ24(図6参照)とを介してロックインアンプ25などの電圧を測定可能な機器に接続される。また、上述したテラヘルツ波の発生の場合と同様に、第3の導線としてのアンテナ33aおよび第4の導線としてのアンテナ33bから、スイッチ31bによって検出に使用されるペアが選択される。そして、PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30bにおけるアンテナ33a,33bの間隙、すなわちアンテナギャップにプローブ光2cが照射されると、半導体中の伝導帯にキャリアが励起されてアンテナ33a,33bが接続される。このアンテナ33a,33bが接続されるタイミングにおいて、テラヘルツ波5が照射されることにより生成される電場のアンテナ33a,33bのいずれかの方向の成分が検出される。すなわち、スイッチ31bによっていずれかのアンテナ33a,33bが選択されることにより、選択されたアンテナ33a,33bの方向に応じて、S偏光のテラヘルツ波とP偏光のテラヘルツ波とが選択的に検出することが可能となる。
以上のテラヘルツ波5を発生したり検出したりするPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bにおいて、向かい合う1つのペアのアンテナ32a,32b(33a,33b)の遠い端部間の長さL(端部間長L)は、使用するテラヘルツ波5の帯域に関連する。すなわち、一般に膜厚の測定においては、時間分解能を高くするために端部間長Lは短い方が有利である。ところが、端部間長Lを短くしすぎると製作時の加工の難易度が高くなってしまうという問題も生じる。そこで、端部間長Lとしては、例えば20μm〜5mm程度の範囲で、使用する波長に応じて長さを選択することが望ましく、この第2の実施形態においては、例えば40μmに設定される。
図8は、この第2の実施形態によるPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bの中央部分のアンテナギャップを示す。図8に示すように、2組のアンテナ32a,32b(33a,33b)はそれぞれ、Δl(μm)の間隙(ギャップ)を隔てて配置されている。このアンテナギャップΔlは、PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bにそれぞれ照射されるポンプ光2bやプローブ光2cのスポット径より小さい必要がある。さらに、このアンテナギャップΔlは、アンテナ32a,32b(33a,33b)において絶縁が保たれる距離や、製作時の加工精度の制約なども考慮すると、具体的は5〜10μmが好ましく、この第2の実施形態においては、例えば7μmに設定される。
次に、この第2の実施形態による膜厚測定装置の光伝導アンテナの変形例について説明する。図9aおよび図9bは、上述したPS偏光切り替え型光伝導アンテナに代えて用いられる、従来のダイポールアンテナからなる光伝導アンテナを2つ並べて電気的に切り替え可能な構成の光伝導アンテナを示す。
図9aに示すように、この第2の実施形態の変形例によるテラヘルツ波発生用の光伝導アンテナ14a,14bはそれぞれ、例えば低温成長GaAsからなる半導体基板11a,11b上に、それぞれ金属が蒸着されてT字型のアンテナ12a,12bが形成されている。なお、これらのアンテナ12a,12bには電源(図示せず)が接続されている。また、アンテナ12a,12bのそれぞれの中央にはそれぞれ、例えば10μm程度の間隙からなるアンテナギャップ13a,13bが形成されている。そして、このように構成された2つのテラヘルツ波発生用の光伝導アンテナ14a,14bは、その向きを互いに90度ずらして設置されている。
また、励起光としてのポンプ光2bは、ハーフミラー15aによって2つに分割される。分割されたポンプ光2bのうち、反射されたポンプ光2bは光伝導アンテナ14aのアンテナギャップ13aに照射される。一方、ハーフミラー15aを透過してミラー16aによって反射されたポンプ光2bは、光伝導アンテナ14bのアンテナギャップ13bに照射される。2つの光伝導アンテナ14a,14bにおいては、それぞれのアンテナ12a,12bに流れる電流の向きが互いに90度異なる。そのため、それぞれのアンテナ12a,12bから発生するテラヘルツ波5は、それらの偏光が互いに90度異なる。そして、膜厚測定装置において、片方の光伝導アンテナ14aをその発生するテラヘルツ波5の電場が被測定膜であるスケール(図示せず)の面に対して水平方向になるように設置するとともに、他方の光伝導アンテナ14bを光伝導アンテナ14aに対して90度回転された向きに配置することによって、スケールに対してP偏光のテラヘルツ波5およびS偏光のテラヘルツ波5を照射することが可能となる。
また、図9bに示すように、この第2の実施形態の変形例によるテラヘルツ波検出用の光伝導アンテナ14c,14dはそれぞれ、例えば低温成長GaAsからなる半導体基板11c,11d上にそれぞれ金属が蒸着されてアンテナ12c,12dが形成されている。なお、これらのアンテナ12c,12dのそれぞれの両端に電圧を測定可能な機構(図示せず)が接続されている。また、アンテナ12c,12dのそれぞれの中央にはそれぞれ、例えば10μm程度の間隙からなるアンテナギャップ13c,13dが形成されている。このように構成された2つのテラヘルツ波検出用の光伝導アンテナ14c,14dは、その向きを互いに90度ずらして並べて設置されている。
また、プローブ光2cは、ハーフミラー15bによって2つに分割される。分割されたプローブ光2cのうち、反射されたプローブ光2cは光伝導アンテナ14cのアンテナギャップ13cに照射される。一方、ハーフミラー15bを透過してミラー16bによって反射されたプローブ光2cは、光伝導アンテナ14dのアンテナギャップ13dに照射される。2つの光伝導アンテナ14c,14dにおいては、それぞれのアンテナ12c,12dに流れる電流の向きが互いに90度異なる。そのため、それぞれのアンテナ12c,12dにより検出可能なテラヘルツ波5は、それらの偏光が互いに90度異なる。そして、膜厚測定装置において、片方の光伝導アンテナ14cをその検出可能な電場が被測定膜のスケール(図示せず)の面に対して水平方向の電場になるように設置するとともに、他方の光伝導アンテナ14dを光伝導アンテナ14cに対して90度回転された向きに配置することによって、それぞれの光伝導アンテナ14c,14dによって、スケールで反射されたP偏光のテラヘルツ波5およびS偏光のテラヘルツ波5をそれぞれ検出することが可能となる。
以上説明した変形例のように、膜厚測定装置におけるテラヘルツ波発生手段およびテラヘルツ波検出手段として、それぞれ2つの光伝導アンテナ14a,14b,14c,14dを用いることにより、テラヘルツ波5によりスケールの膜厚を高精度に測定することが可能となる。ところが、図9aに示す光伝導アンテナ14a,14bを用いて、P偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とをブリュースター角でサンプル8に入射させる方法においては、P偏光とS偏光との光学系のアラインメントに差がある場合には補正を行う必要がある。この補正は、サンプルの位置に、表面に膜が形成されていない金属板を配置し、金属板の表面から反射されるP偏光のテラヘルツ波のピークとS偏光のテラヘルツ波のピークとが同時になるようにするものである。
しかしながら、このような補正を行うには、まずアラインメントがずれないようにP偏光とS偏光とを切り替えつつ、サンプル8の表面から反射されるP偏光およびS偏光を精密に測定した上で、測定した値を数値的に補正したり、微妙なアラインメントを変えたりする必要がある。この補正は、非常に手間がかかる。
このように、上述した第2の実施形態の変形例においては、2つのアンテナの位置を相互に精密に合わせることが比較的難しくなる。これに対し、第2の実施形態において採用したPS偏光切り替え型光伝導アンテナであれば、P偏光のテラヘルツ波の発生や検出に用いられるアンテナギャップとS偏光のテラヘルツ波の発生や検出に用いられるアンテナギャップとを一致させていることにより、変形例に比してアラインメントの設定が容易になるという利点がある。
以上説明した第2の実施形態によれば、テラヘルツ波発生手段およびテラヘルツ波検出手段としてそれぞれ、PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30a,30bを用い、それぞれスイッチ31a,31bによって、発生させたり検出したりするテラヘルツ波5を、電気的な切り替えによってS偏光とP偏光とで相互に切り替えることができる。これにより、発生させたり検出したりするテラヘルツ波をS偏光とP偏光とで切り替える際にアラインメントがずれるのをあらかじめ防止することができ、光軸の調整の手間を省くことができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、この第3の実施形態においては、第1および第2の実施形態と同様の部分については、その説明を省略し、同一または対応する部分については、同一の符号を付す。図10は、本発明の第3の実施形態による、光ファイバを用いて光源とテラヘルツ波発生器およびテラヘルツ波検出器とを接続した膜厚測定装置の光学系を示す図である。なお、図10においては、第1および第2の実施形態による膜厚測定装置と異なる構成の光学系のみを示し、光学系以外の部分の構成については、第1および第2の実施形態におけると同様であるので、その図示および説明を省略する。
図10に示すように、この第3の実施形態による膜厚測定装置は、励起用レーザ光源1と、ビームスプリッタ3と、ミラー10bと、ミラー10aを備えた遅延ステージ7とが配置された光源ボックス43が、光ファイバ41a,41bによってそれぞれテラヘルツ波発生器42aおよびテラヘルツ波検出器42bに光学的に接続されている。また、テラヘルツ波発生器42aおよびテラヘルツ波検出器42bは、ゴニオメータ44上に設置されている。これにより、テラヘルツ波発生器42aおよびテラヘルツ波検出器42bは、自動または手動によって測定対象のサンプル8に対する位置を変更することができ、サンプル8に照射するテラヘルツ波5の入射角を容易に変更可能に構成されている。
このように構成された膜厚測定装置の光学系においては、励起用レーザ光源1から射出されたパルスレーザ光2aは、ビームスプリッタ3によってポンプ光2bとプローブ光2cとに分割される。一方のポンプ光2bは、光ファイバ41aを通じてテラヘルツ波発生器42aに導光される。他方のプローブ光2cは、ミラー10aおよびミラー10bにより反射され、光ファイバ41bを通じてテラヘルツ波検出器42bに導光される。
テラヘルツ波照射手段としてのテラヘルツ波発生器42aの内部には、テラヘルツ波発生手段としての第1の実施形態で採用した光伝導アンテナや第2の実施形態で採用したPS偏光切り替え型光伝導アンテナが設けられている。そして、光源ボックス43から光ファイバ41aを通じて供給されるポンプ光2bが、テラヘルツ波発生器42aに入射されると、テラヘルツ波発生器42aからサンプル8に向けて、65度〜80度の入射角でテラヘルツ波5が照射される。一方、光源ボックス43から光ファイバ41bを通じて供給されるプローブ光2cがテラヘルツ波検出器42bに入射されると、サンプル8により反射されたテラヘルツ波5がテラヘルツ波検出器42bによって検出される。
この第3の実施形態による膜厚測定装置によれば、光ファイバ41aによってテラヘルツ波発生器42aにポンプ光2bを導光するように構成しているとともに、光ファイバ41bによってテラヘルツ波検出器42bにプローブ光2cを導光するように構成し、これらのテラヘルツ波発生器42aおよびテラヘルツ波検出器42bをゴニオメータ44上に設置していることにより、テラヘルツ波5のサンプル8への入射角を容易に設定変更することができる。これにより、サンプル8の表面に形成される被測定膜としてのスケールが種々変わった場合であっても、そのスケールの屈折率に応じて、テラヘルツ波発生器42aおよびテラヘルツ波検出器42bの位置を容易に変更することができ、テラヘルツ波5のサンプル8への入射角を容易にブリュースター角に設定することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、この第4の実施形態においては、第1乃至第3の実施形態と同様の部分については、その説明を省略し、同一または対応する部分については、同一の符号を付す。図11は、第4の実施形態によるテラヘルツ波検出器に電気光学結晶(EO結晶)を用いた膜厚測定装置の概略構成を示す。
図11に示すように、この第4の実施形態においては、テラヘルツ波検出手段として、第2の実施形態による膜厚測定装置のPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30bの代わりに、ZnTe結晶からなる電気光学結晶を用いたEO結晶利用テラヘルツ波検出器56が採用されている。
この第4の実施形態による膜厚測定装置においては、第2の実施形態と同様に、励起用レーザ光源1からパルスレーザ光2aが射出され、ビームスプリッタ3によって、ポンプ光2bとプローブ光2cとに分割される。ポンプ光2bはミラー10dにより反射され、チョッパ20を通過して、レンズ22aによりテラヘルツ波発生用のPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30aのアンテナギャップに集光される。PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30aには、電源21からスイッチ31aを介して直流電圧が供給されている。ポンプ光2bの照射によってアンテナがオンされると、上述したPS偏光切り替え型光伝導アンテナ30aのテラヘルツ波発生原理に従って、レンズ23aを介して、スイッチ31aにより選択された偏光方向のテラヘルツ波5が発生される。
発生されたテラヘルツ波5は、放物面鏡6a、テラヘルツ波用ミラー10e、および放物面鏡6bにより順次反射され、表面に被測定膜としてのスケール(図示せず)が形成されたサンプル8に対して、スケールの空気に対するブリュースター角を入射角として照射される。ここで、この第4の実施形態においては、サンプル8の表面に形成されたスケールの屈折率の測定結果が例えば3.4であった場合、ブリュースター角は例えば74度となる。
サンプル8により反射されたテラヘルツ波5は、放物面鏡6c,6dにより順次反射され、ハーフミラー51を透過して、テラヘルツ波検出用のEO結晶利用テラヘルツ波検出器56に導かれる。
一方、プローブ光2cは、ミラー10a,10b,10cにより順次反射された後、偏光板57によって直線偏光とされ、さらにハーフミラー51によって反射されて、テラヘルツ波5と同一の光軸でEO結晶利用テラヘルツ波検出器56に照射される。ミラー10aは、光学的時間遅延手段としての遅延ステージ7によって位置が変更される。ミラー10aの位置の変更によって、ビームスプリッタ3からEO結晶利用テラヘルツ波検出器56までのプローブ光2cの光路長が変更される。これにより、EO結晶利用テラヘルツ波検出器56の検出タイミングが変更される。また、このミラー10aの位置情報は、遅延ステージ7から情報処理部26に供給され、時間情報として処理される。
EO結晶利用テラヘルツ波検出器56においては、後述する検出原理に従って、パルス状のプローブ光2cが到達した瞬間のテラヘルツ波5の信号強度が電圧に変換されて、プリアンプ24に電気信号として供給される。プリアンプ24においては、この電気信号が増幅されて、ロックインアンプ25に供給される。ロックインアンプ25においては、チョッパ20からの信号を参照信号に同期させて検波することで、プリアンプ24から供給された電気信号のノイズが低減され、この電気信号が情報処理部26に供給される。情報処理部26においては、遅延ステージ7から供給されるミラー10aの位置情報とロックインアンプ25から供給される電気信号の信号強度とに基づいてテラヘルツ時間波形が再現される。
EO結晶利用テラヘルツ波検出器56と、PS偏光切り替え型光伝導アンテナ30aのスイッチ31aとを組み合わせて偏光を切り替え、S偏光のテラヘルツ波5およびP偏光のテラヘルツ波5の測定を順次行うことにより、第1の実施形態と同様の方法によってサンプル8の表面のスケールの膜厚を測定することができる。なお、第1の実施形態と異なり、この第4の実施形態においては、偏光情報は、スイッチ31aおよびEO結晶利用テラヘルツ波検出器56から出力され、最終的に情報処理部26に供給されて処理される。
次に、EO結晶利用テラヘルツ波検出器56の検出原理について、図12を参照しつつ説明する。図12は、EO結晶利用テラヘルツ波検出器56の概略構成を示す。
図12に示すように、EO結晶利用テラヘルツ波検出器56は、EO結晶52、λ/4波長板53、例えばウォーラストンプリズムを用いた検光子54、および光バランス型検出器55から構成されている。このEO結晶利用テラヘルツ波検出器56によるテラヘルツ波5の検出は次のように行われる。
すなわち、プローブ光2cが偏光板57により直線偏光に整えられた後、ハーフミラー51により反射されてテラヘルツ波5と同軸でEO結晶52に照射される。EO結晶52を透過したプローブ光2cは、λ/4波長板53によってテラヘルツ波5による電場がない場合に円偏光となるように調整される。λ/4波長板53を通過したプローブ光2cは、検光子54に入射される。検光子54においては、プローブ光2cが直交する2方向の偏光に分割されて光バランス型検出器55に入射される。光バランス型検出器55においては、分割されたプローブ光2cの2つの偏光状態の差が電気信号にされて、この電気信号がプリアンプ24に供給される。
上述したように、プローブ光2cは、あらかじめλ/4波長板53によって、EO結晶52にテラヘルツ波5による電場がかかっていない場合に円偏光となるように、偏光状態が調整されている。EO結晶52は、テラヘルツ波5による電場がかかると、電気光学効果の一つであるポッケルズ効果によって複屈折を受け、常光方向と異常光方向との屈折率が変化する。この屈折率の変化により、プローブ光2cの偏光状態が円偏光から楕円偏光に変化する。
EO結晶52にテラヘルツ波5が照射されていない場合には、プローブ光2cが円偏光となり直交する2方向の電場成分が同一となるので、光バランス型検出器55の出力は零となる。一方、EO結晶52にテラヘルツ波5が照射されている場合には、プローブ光2cが楕円偏光となり直交する2方向の電場成分に差が生じるので、光バランス型検出器55からは、テラヘルツ波5の電場強度に応じた電気信号が出力される。
以上説明したように、本発明の第4の実施形態によれば、テラヘルツ波検出手段としてEO結晶利用テラヘルツ波検出器56を用いていることにより、ポッケルズ効果を利用してP偏光のテラヘルツ波5とS偏光のテラヘルツ波5とを検出することが可能となる。
以上の第1〜第4の実施形態において説明したように、本発明においては、測定するテラヘルツ波の偏光状態がP偏光であるかS偏光であるかを弁別することができれば、被測定膜の膜厚測定が可能となる。そのため、発生側と検出側とのいずれかにおいてP偏光とS偏光とを弁別することができればよい。そこで、上述した第1〜第4の実施形態による膜厚測定装置による偏光状態の弁別の方法についてまとめ、これらに基づいた種々の変形例について以下に説明する。
(1)上述の第1の実施形態のように、直線偏光をP偏光成分とS偏光成分との双方を含む角度、具体的にはP偏光の強度とS偏光の強度とが同一になることから好ましくは45度で発生させ、偏光板によって、P偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを選択的に切り替えて測定対象に照射し、検出側でも偏光板でP偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを切り替えて測定する。
(2)上述した第2および第3の実施形態のように、直線偏光のテラヘルツ波源を用いてP偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを、相互に切り替えて発生させて被測定膜に照射し、検出側においても切り替えて検出する。
(3)無偏光光源からP偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを含むような無偏光の電磁波を射出して、偏光板によって偏光状態を切り替えて測定対象に照射し、検出側においても偏光板によって検出する偏光状態を切り替えて検出する。具体的には、第1の実施形態において採用したテラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aに代えて、図18aに示す半導体表面発光の光伝導アンテナを用いた膜厚測定装置に相当する。
以上の(1)〜(3)は、テラへルツ波の発生側と検出側との双方において、P偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを切り替える方法である。しかしながら、上述したように、テラヘルツ波のP偏光とS偏光との偏光状態を弁別することができれば被測定膜の膜厚を測定することが可能である。そこで、次のような方法も考えられる。
(4)上述した(1)〜(3)のいずれかの場合と同様の照射方法を採用して、P偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを分けて被測定膜に照射し、一方で検出側においては、P偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波との双方を分けることなく検出する。なお、P偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波との双方の成分を同時に検出する方法としては、例えば、第1の実施形態によるテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28b(図4参照)に対して、アンテナの長手方向を45度だけ回転させたテラヘルツ波検出用光伝導アンテナを用いることによって実現可能である。この方法によれば発光側においてP偏光とS偏光との偏光状態を弁別することができることから、検出側では偏光状態を弁別する必要がない。
また、(4)の例としては、第1の実施形態においてテラヘルツ波を検出する側の光学系における偏光板29b(図4参照)を除いた膜厚測定装置により実現可能であり、第4の実施形態において説明した膜厚測定装置によっても実現可能である。
(5)発光側においては、P偏光成分とS偏光成分とを含むテラヘルツ波を、偏光状態を区別することなく発生させて被測定膜に照射させ、検出側において偏光状態を区別するようにしてもよい。このP偏光成分とS偏光線分との双方の成分を同時に発生させる方法としては、例えば、第1の実施形態におけるテラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28a(図4参照)に対して射出方向を変えることなくアンテナの長手方向を45度だけ回転させたテラヘルツ波発生用光伝導アンテナを用いてテラヘルツ波を発生させる方法を挙げることができる。
また、(5)の例としては、第1の実施形態においてテラヘルツ波を発生する側の光学系における偏光板29aを除いたものを挙げることができる。
以上の(1)〜(5)のいずれの方法を採用した膜厚測定装置においても被測定膜の膜厚を測定することが可能である。(1)〜(3)の場合は、発生側と検出側との双方において偏光状態の弁別を行うため、膜厚測定装置の構成が複雑になる反面、P偏光とS偏光との弁別がより厳密になるという利点がある。(4)および(5)の場合は、膜厚測定装置の構成自体を簡略化することができるという利点がある。
さらに、第1、第2および第3の実施形態に記載したように、同じ形式のテラヘルツ波発生器とテラヘルツ波検出器とのペア、さらには幾何学的にも同じ形状の光伝導アンテナを用いることにより、テラヘルツ波発生器とテラヘルツ波検出器との周波数特性が同一になるため、テラヘルツ波の発生と検出を高効率化することができ、測定精度を向上させることができる。
また、P偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを同時に発生させるテラヘルツ波発生器を採用する場合には、半導体表面発光や、光パラメトリック発生、光パラメトリック発振、光注入型光パラメトリック発生、および差周波発生などの非線形光学効果を利用する非線形光学結晶などをテラヘルツ波発生器として用いることも可能である。
以上説明した本発明の実施形態によるいずれの膜厚測定装置においても、テラヘルツ波発生器とサンプルとの距離であるリフトオフを100mm以上に確保することができるので、例えば、鉄鋼の熱延、厚板、精整、および表面処理ラインなどにおいて、インラインに設置することが可能である。なお、この場合、サンプル8は、図4、図6および図11において紙面に対して垂直方向に移動するように構成される。
次に、上述した本発明に係る膜厚測定装置を用いて測定を行った実施例について説明する。ここで、膜厚測定装置としては、第1〜第4の実施形態のいずれの膜厚測定装置を採用しても同様の結果を得ることができる。そこで、この実施例1においては、第3の実施形態による膜厚測定装置を採用して膜厚の測定を実施した。
図13aおよび図13bはそれぞれ、渦流測定方法によってあらかじめ確認したテープの膜厚を種々変更させ、本発明に係る膜厚測定装置によってそれぞれS偏光のテラヘルツ波およびP偏光のテラヘルツ波を検出した結果を示す。ここで、この測定に用いたテープの屈折率は別途行った測定により1.4であったことから、tan-1(1.4)=54.5度がブリュースター角となる。そこで、テープへのテラヘルツ波の入射角を54.5度とする。なお、図13aおよび図13bにおいて、振幅は規格化されている。
図13aから、S偏光のテラヘルツ波においては、テープの膜厚が135μm以上の場合に、表面反射と1回多重反射との2つのピークが明瞭に弁別可能であることが分かる。一方、図13aからは、テープの膜厚が90μm以下の場合には、表面反射と1回多重反射との2つのピークが重なってしまうため弁別できないことも分かる。本発明者の検討によれば、区別できない理由は、これらのテープの表面反射の反射率が50〜60%程度であり、上述したスケールの反射率が99%以上であるのに比して圧倒的に小さいことから、S偏光のテラヘルツ波であっても表面反射の成分が多いことにある。
また、図13bから、P偏光のテラヘルツ波においては、ピークとして1回多重反射の1つのピークのみが検出されていることが分かり、さらに、テープの厚さに応じてこの1つのピークが時間的に遅れていくことが分かる。
図14は、図13aに示すS偏光のテラヘルツ波の1回多重反射のピークと、図13bに示すP偏光のテラヘルツ波のピークとの時間差に基づいて、上述の(1)式から膜厚を導出し、あらかじめ渦流膜厚測定により膜厚を測定した結果と比較したグラフである。
図14に示すように、左端の点における膜厚が45μmであり、テープの屈折率は1.4である。これにより、屈折率と膜厚(μm)との積算値(n×d)は63であり、従来の屈折率と膜厚との積算における測定限界値であった75より小さい領域であっても、膜厚を精度良く測定できることが分かる。
また、図15は、厚板の表面に形成されたスケールを測定した際のP偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを測定した結果を示す。なお、このスケールの顕微鏡による断面顕鏡結果は13μmであり、あらかじめ測定したスケールの屈折率は3.4であった。屈折率が3.4であることから、スケールのブリュースター角が73.6度になるので、膜厚測定装置においてテラヘルツ波をスケールに入射させる際の入射角を75度とした。
図15から、S偏光のテラヘルツ波に対するP偏光のテラヘルツ波の時間遅れは0.31psecであることが分かる。この時間遅れに基づくと、(1)式から膜厚dは13.0μmと導出され、本発明の膜厚測定装置によれば、スケールの膜厚を正確に導出できることが確認された。
図16は、上述したスケールの膜厚の測定と同様にして、3つのサンプルのスケールに対して、顕微鏡を用いて膜厚を測定した結果と、テラヘルツ波を用いて膜厚を測定した結果とを示す。なお、図16において、横軸が顕微鏡による断面顕鏡結果であり、縦軸が本発明の膜厚測定装置を用いてスケールの膜厚を測定した場合の測定結果である。図16から、3つのサンプルのいずれにおいても、スケールの膜厚を測定可能であることが確認された。
このように、本発明の膜厚測定装置によれば、可視光や赤外線が透過せず、且つ屈折率と膜厚(μm)との積算値が75以下の被測定膜においても、S偏光のテラヘルツ波による表面反射のピークに対するP偏光のテラヘルツ波の1回多重反射のピークの時間遅れを高精度に測定することによって、(1)式を用いて被測定膜の膜厚を高精度に導出することが可能となる。
特に、鉄鋼ラインにおいて生産される厚鋼板、熱延鋼板、および各種鋼管などの表面に形成されるスケールの膜厚は、通常1〜20μm程度である。そこで、これらの製品のスケールについてテラヘルツ波の領域における屈折率を測定したところ、屈折率は2.8〜3.4であった。この場合、これらのスケールにおける屈折率と膜厚(μm)との積算値は、2.8〜68である。すなわち、屈折率と膜厚(μm)との積算値が75より小さい値であることで、従来のテラヘルツ時間領域分光では膜厚の測定が困難であったスケールにおいても、本発明の膜厚測定装置によれば測定可能になることが確認された。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
上述の実施形態においては、励起用レーザ光源1として、チタン(Ti)サファイアレーザが用いられるが、励起用レーザ光源1としては、ファイバーレーザなどを使用することも可能である。
また、上述の第1の実施形態においては、テラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aおよびテラヘルツ波検出用光伝導アンテナ28bとして、低温成長GaAs基板を用いた光伝導アンテナを用い、励起用レーザ光源1としてレーザ光の波長が780nmのレーザを用いているが、光伝導アンテナとして、例えばInGaAs基板を用いた光伝導アンテナを用いる場合は、励起用レーザ光源1としてレーザ光の波長が1560nmのレーザを用いるのが望ましい。
上述の第1の実施形態においては、ロックインアンプ25における電気ノイズの低減のために、チョッパ20を用いているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、テラヘルツ波発生用光伝導アンテナ28aに電源21から供給する電圧を矩形波として、その周波数にあわせた信号を参照信号として同期検波しても同様の効果を得ることができる。
上述の第2の実施形態の変形例においては、図9aに示すように、2つの光伝導アンテナ14a,14bをそれぞれ異なる半導体基板11a,11bにより構成しているが、2つの光伝導アンテナ14a,14bを同一の半導体基板上に配置することも可能である。また、図9bに示す2つの光伝導アンテナ14c,14dについても同様に同一の半導体基板上に配置することも可能である。
上述の第4の実施形態においては、EO結晶としてZnTe結晶を用いたが、他のEO結晶を用いることも可能である。具体的には、例えばZnS、ZnSe、CdS、CdSe、およびCdTeなどのII−VI族化合物半導体を用いてもよい。II−VI族化合物半導体はEO係数が大きく、屈折率がテラヘルツ帯(THz帯)と光領域とにおいて近い値を持つため、位相整合がとりやすいという利点がある。II−VI族化合物半導体以外にも、GaP、GaAs、およびInPなどのIII−V族化合物半導体を採用することも可能である。III−V族化合物半導体は、検出帯域を広く取ることができる。また、LiNbO3などの強誘電性結晶を採用することも可能である。強誘電性結晶は、非常に大きなEO係数を持つが、一方でテラヘルツ波を強く吸収するため、結晶を薄くするなどの透過性を維持する必要がある。
1 励起用レーザ光源
2a パルスレーザ光
2b ポンプ光
2c プローブ光
3 ビームスプリッタ
5 テラヘルツ波
6a,6b,6c,6d 放物面鏡
7 遅延ステージ
8 サンプル
10a,10b,10c,10d ミラー
10e,10f テラヘルツ波用ミラー
11a,11b,11c,11d 半導体基板
12a,12b,12c,12d,32a,32b アンテナ
13a,13b,13c,13d アンテナギャップ
14a,14b,14c,14d 光伝導アンテナ
15a,15b ハーフミラー
16a,16b ミラー
20 チョッパ
21 電源
22a,22b,23a,23b レンズ
24 プリアンプ
25 ロックインアンプ
26 情報処理部
28a テラヘルツ波発生用光伝導アンテナ
28b テラヘルツ波検出用光伝導アンテナ
29a,29b 偏光板
30a,30b PS偏光切り替え型光伝導アンテナ
31a,31b スイッチ
41a,41b 光ファイバ
42a テラヘルツ波発生器
42b テラヘルツ波検出器
43 光源ボックス
44 ゴニオメータ
51 ハーフミラー
52 EO結晶
53 λ/4波長板
54 検光子
55 光バランス型検出器
56 EO結晶利用テラヘルツ波検出器
57 偏光板

Claims (7)

  1. テラヘルツ波を射出するテラヘルツ波発生手段と、
    前記テラヘルツ波発生手段から射出されたテラヘルツ波を、被測定膜のブリュースター角を入射角として前記被測定膜に照射するテラヘルツ波照射手段と、
    前記被測定膜で反射されたP偏光のテラヘルツ波とS偏光のテラヘルツ波とを検出するテラヘルツ波検出手段と、
    前記テラヘルツ波検出手段により検出された前記S偏光のテラヘルツ波に対する前記P偏光のテラヘルツ波の時間遅れに基づいて、前記被測定膜の膜厚を導出する情報処理手段と、を備える
    ことを特徴とする膜厚測定装置。
  2. 前記テラヘルツ波検出手段が、S偏光のテラヘルツ波とP偏光のテラヘルツ波とを電気的に切り替えて検出可能な光伝導アンテナから構成されることを特徴とする請求項1に記載の膜厚測定装置。
  3. 前記光伝導アンテナが、間隙を有して直線状に形成された、一対の第1の導線および一対の第2の導線を備え、前記第1の導線および前記第2の導線が互いの間隙を重ねつつ直交して配置され、前記第1の導線および前記第2の導線の間隙にレーザ光を照射することによってS偏光のテラヘルツ波およびP偏光のテラヘルツ波を弁別して検出可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の膜厚測定装置。
  4. 前記テラヘルツ波検出手段が、ポッケルズ効果を呈する電気光学結晶を備えることを特徴とする請求項1に記載の膜厚測定装置。
  5. 前記テラヘルツ波発生手段が、間隙を有して直線状に形成された、一対の第3の導線および一対の第4の導線を備え、前記第3の導線および前記第4の導線が互いの間隙を重ねつつ直交して配置され、前記第3の導線と前記第4の導線とに対して選択的に電圧を印加するとともに、前記第3の導線および前記第4の導線の間隙にレーザ光を照射することによってS偏光のテラヘルツ波とP偏光のテラヘルツ波とを独立して発生可能な光伝導アンテナから構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の膜厚測定装置。
  6. レーザ光源から分配される第1のパルス光を導光する第1の光ファイバと、前記レーザ光源から分配される第2のパルス光を導光する第2の光ファイバと、前記テラヘルツ波発生手段が、前記第1の光ファイバに導光された前記第1のパルス光の照射によりテラヘルツ波を発生可能に構成され、前記テラヘルツ波検出手段が、前記第2の光ファイバに導光された前記第2のパルス光の照射によりテラヘルツ波を検出可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の膜厚測定装置。
  7. テラヘルツ波を被測定膜に対して前記被測定膜のブリュースター角を入射角として照射する照射ステップと、
    前記被測定膜で反射されたS偏光のテラヘルツ波を検出するS偏光検出ステップと、
    前記被測定膜で反射されたP偏光のテラヘルツ波を検出するP偏光検出ステップと、
    前記S偏光検出ステップにおいて検出されたS偏光のテラヘルツ波に対する、前記P偏光検出ステップにおいて検出されたP偏光のテラヘルツ波の時間遅れに基づいて、前記被測定膜の膜厚を導出する算出ステップと、を含む
    ことを特徴とする膜厚測定方法。
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