JP2004340763A - テラヘルツ光を用いた測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】透過測定及び反射測定の両方を同時に効率良く行う。
【解決手段】透過測定部は、透過測定位置にセットされた試料にテラヘルツパルス光を照射し、当該試料を透過したテラヘルツパルス光を検出して透過光検出信号を出力する。反射測定部は、反射測定位置にセットされた試料にテラヘルツパルス光を照射し、当該試料を反射したテラヘルツパルス光を検出して反射光検出信号を出力する。搬送装置76は、両測定位置にそれぞれ試料を搬送する。制御・演算処理部70は、両測定位置にそれぞれ試料がセットされたときに、両測定部を同時に作動させる制御信号を出力する。両測定部は、レーザパルス光を発生する1つのパルス光発生部3を共有し、前記レーザパルス光に基づいて透過光検出信号及び反射光検出信号をそれぞれ同時に出力する。
【選択図】 図2
【解決手段】透過測定部は、透過測定位置にセットされた試料にテラヘルツパルス光を照射し、当該試料を透過したテラヘルツパルス光を検出して透過光検出信号を出力する。反射測定部は、反射測定位置にセットされた試料にテラヘルツパルス光を照射し、当該試料を反射したテラヘルツパルス光を検出して反射光検出信号を出力する。搬送装置76は、両測定位置にそれぞれ試料を搬送する。制御・演算処理部70は、両測定位置にそれぞれ試料がセットされたときに、両測定部を同時に作動させる制御信号を出力する。両測定部は、レーザパルス光を発生する1つのパルス光発生部3を共有し、前記レーザパルス光に基づいて透過光検出信号及び反射光検出信号をそれぞれ同時に出力する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テラヘルツ光を用いた測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テラヘルツ光は、周波数がおおよそ0.01THzから100THzまでの範囲の電磁波である。従来から、テラヘルツ光を用いた種々の測定装置(例えば、分光装置、誘電率測定装置、検査装置、イメージ化装置など)が提供されている。このような従来のテラヘルツ光を用いた測定装置では、対象物にテラヘルツパルス光を照射して当該対象物を透過したテラヘルツパルス光を検出するもの(説明の便宜上、「透過測定用テラヘルツ光装置」と呼ぶ。)と、対象物にテラヘルツパルス光を照射して当該対象物で反射したテラヘルツパルス光を検出する装置(説明の便宜上、「反射測定用テラヘルツ光装置」と呼ぶ。)とが、それぞれ別々の装置として提供されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、半導体の電気特性評価装置として構成された透過測定用テラヘルツ光装置が具体的に開示されている。また、特許文献1では、具体的な構成の開示はないが、半導体の電気特性評価装置を反射測定用テラヘルツ光装置として構成し得る旨も、言及されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、対象物の複素誘電率や複素屈折率を測定する装置として構成された透過測定用テラヘルツ光装置と、対象物の複素誘電率や複素屈折率を測定する装置として構成された反射測定用テラヘルツ光装置が、それぞれ別々の装置として開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−98634号公報
【特許文献2】
特開2002−277393号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
対象物によっては、当該対象物を透過したテラヘルツパルス光を検出する透過測定を行う方が好ましいものや、当該対象物で反射したテラヘルツパルス光を検出する反射測定を行う方が好ましいものもある。また、同一の対象物であっても、例えば、その性質等を観察する上で、透過測定及び反射測定の両方を行うことが好ましい場合もある。
【0007】
しかしながら、前記従来のテラヘルツ光を用いた測定装置は、透過測定用テラヘルツ光装置及び反射測定用テラヘルツ光装置のうちのいずれかとして構成されているだけであった。したがって、複数の対象物の各々について透過測定及び反射測定を両方を行う場合に、それらの測定を効率良く行うことができなかった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、透過測定及び反射測定の両方を同時に効率良く行うことができるテラヘルツ光を用いた測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、透過測定位置にセットされた対象物にテラヘルツパルス光を照射し、当該対象物を透過したテラヘルツパルス光を検出して透過光検出信号を出力する透過測定部と、反射測定位置にセットされた対象物にテラヘルツパルス光を照射し、当該対象物を反射したテラヘルツパルス光を検出して反射光検出信号を出力する反射測定部と、前記透過測定位置及び前記反射測定位置にそれぞれ対象物を搬送する搬送部と、前記搬送部により前記透過測定位置及び前記反射測定位置にそれぞれ対象物がセットされたときに、前記透過測定部及び前記反射測定部を同時に作動させる制御信号を出力する制御部と、を備え、前記透過測定部及び前記反射測定部は、レーザパルス光を発生する1つのパルス光発生部を共有し、前記レーザパルス光に基づいて前記透過光検出信号及び前記反射光検出信号をそれぞれ同時に出力するものである。
【0010】
本発明の第2の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、前記第1の態様において、前記搬送部は、複数の対象物を順次、前記透過測定部及び前記反射測定部のうちの一方の測定部による測定終了後、他方の測定部の測定位置に搬送するとともに前記一方の測定部の測定位置に次の対象物を搬送するものである。
【0011】
本発明の第3の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、前記第1の態様において、前記透過測定部と前記反射測定部とに共通して使用され、前記対象物からのテラヘルツパルス光を時系列的に検出する為に検出用の前記レーザパルス光の光路長を可変とするステージを有するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるテラヘルツ光を用いた測定装置について、図面を参照して説明する。
【0013】
[第1の実施の形態]
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の光学的な構成を模式的に示す概略構成図である。図1において、紙面が水平面と平行で、紙面と垂直な方向が鉛直方向となっている。図2は、本実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の電気的な構成を模式的に示す概略構成図である。図3は、図1中のA矢視の概略図である。図4は、本実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の透過測定光学系及び反射測定光学系を収容した筐体2等を示す外観図である。
【0015】
本実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、測定対象物としての複数の試料1の複素誘電率等を測定する測定装置として構成されている。
【0016】
本実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、反射測定位置(本実施の形態では、図3中の試料1の位置)にセットされた試料1にテラヘルツパルス光を照射して試料1で反射したテラヘルツパルス光を検出する反射測定光学系と、透過測定位置(本実施の形態では、図1中の試料1の位置)にセットされた試料1にテラヘルツパルス光を照射して試料1を透過したテラヘルツパルス光を検出する透過測定光学系と、を備えている。前記透過測定光学系及び前記反射測定光学系は、1つの筐体2内に収容されている。これらの光学系の具体的な構成については、後述する。
【0017】
図1に示すように、パルス光発生部としてのフェムト秒パルスレーザ3から発生されたフェムト秒パルス光(レーザパルス光)L1が、ビームスプリッタ4によって、反射測定用パルス光L2と透過測定用パルス光L3とに分割される。
【0018】
ビームスプリッタ4で反射された反射測定用パルス光L2は、平面鏡5を経た後に、ビームスプリッタ6で2つに分割されて、それぞれポンプパルス光L4とプローブパルス光L5になる。
【0019】
ポンプパルス光L4は、平面鏡7,8、後述する窓9及び集光レンズ10を経て、テラヘルツ光発生器としてのダイポールアンテナ等の光伝導アンテナ11に入射する。なお、光伝導アンテナ11に代えて電気光学結晶などの他のテラヘルツ光発生器を用いてもよいことは、言うまでもない。図2に示す切替部61のスイッチ62がオンである場合には、バイアス電圧印加部60からのバイアス電圧が、光伝導アンテナ11に印加される。なお、本実施の形態では、バイアス電圧印加部60は、テラヘルツ光検出のSN比を向上するために、パルス状に変調されたバイアス電圧を出力するとともに、後述するロックイン増幅のための参照信号(バイアス電圧に同期した信号)を出力する。光伝導アンテナ11は、バイアス電圧が印加されている状態で、ポンプパルス光L4が入射されることにより励起されて、テラヘルツパルス光L6を発生する。
【0020】
一方、プローブパルス光L5は、平面鏡12、光路長可変用光学素子としての2枚もしくは3枚の平面鏡が組み合わされてなる可動鏡(平行折り返しミラー)13、平面鏡14、後述する窓15、平面鏡16、更には集光レンズ17を経て、テラヘルツ光検出器としてのダイポールアンテナ等の光伝導アンテナ18へ導かれる。なお、光伝導アンテナ18に代えて電気光学結晶などの他のテラヘルツ光検出器を用いてもよいことは、言うまでもない。
【0021】
プローブパルス光L5の光路上に配置された可動鏡13は、図2に示す制御・演算処理部70による制御下で、光路長可変用移動機構としての一軸のステージ19により図1中の左右方向に移動可能となっている。可動鏡13は、取り付け部材20を介して、ステージ19の可動部19aに固定されている。可動鏡13の移動量に応じて、プローブパルス光L5の光路長が変わる。すなわち、本実施の形態では、可動鏡13及びステージ19が、プローブパルス光L5の光路長をポンプパルス光L4の光路長に対して相対的に変え得るようにする第1の光路長可変部を構成している。光伝導アンテナ11から発生するテラヘルツパルス光の発生期間とプローブパルス光L5が光伝導アンテナ18に到達するタイミングを一致させる必要がある。また、いわゆるポンプ−プローブ法により、テラヘルツパルス光の時系列波形を得るためには、光伝導アンテナ11からテラヘルツパルス光が発生している期間内におけるプローブパルス光L5のタイミングを変える必要がある。このため、本実施の形態では、前記第1の光路長可変部が設けられているのである。
【0022】
光伝導アンテナ11から発生したテラヘルツパルス光L6は、放物面鏡等の曲面鏡21を経て平行光に変換された後、放物面鏡等の曲面鏡22、平面鏡23及び後述する窓24を経て集光位置に集光される。図1及び図3に示すように、テラヘルツパルス光L6の光軸は、光伝導アンテナ11から平面鏡23までの間では水平面内にあるが、平面鏡23の向きが図示のように設定されることにより、平面鏡23と前記集光位置との間では上側に立ち上げられている。
【0023】
テラヘルツパルス光L5の集光位置が、反射測定位置となっている。この反射測定位置には、後述する搬送装置76により搬送されてきた試料1を保持するホルダである試料ホルダ25(図3及び図4参照、図1では省略)により、下面が水平面となるように保持された試料1の当該下面の測定部位(所定の微小の領域)が配置される。図1、図3及び図4には示していないが、図2に示すように、前記反射測定位置に試料1がセットされたことを検出する光センサ等からなる反射測定用試料設置検出器71が設けられている。なお、試料1の局所的な情報ではなく、例えば試料1の比較的広い領域の平均的な情報を得たり各局所的な情報の2次元分布を一括して得たりする場合には、テラヘルツパルス光L6を局所的に集光することなく試料1の下面の比較的広い領域を照射するようにしてもよい。
【0024】
ここで、前記試料ホルダ25について、図3及び図4を参照して説明する。試料ホルダ25は、試料保持面となる上面が水平面となるように筐体2に固定された載置台として、構成されている。試料ホルダ25の中央付近には、開口25aが形成されている。この開口25aは、試料ホルダ25の上面に載置することにより保持された試料1の下面の測定部位(所定領域)に対して入射して前記測定部位で反射するテラヘルツパルス光を、通過させる窓部となっている。この試料ホルダ25によれば、上面に試料1を単に載置するだけで、試料1が重力で保持される。もっとも、本発明では、試料ホルダ25は、このような構成に限定されるものではない。
【0025】
再び図1及び図3を参照すると、試料1の下面の測定部位で反射されたテラヘルツパルス光L7は、窓24を経て平面鏡26で反射され、放物面鏡等の曲面鏡27を経て平行光に変換された後、放物面鏡等の曲面鏡28により光伝導アンテナ18に集光され、光伝導アンテナ18によりその電場強度が検出されて電流信号(反射光検出信号に相当)に変換される。テラヘルツパルス光L7の光軸は、平面鏡26の向きが図示のように設定されることにより、前記集光位置と平面鏡26との間では下側に立ち下げられているが、平面鏡26と光伝導アンテナ18との間では水平面内にある。
【0026】
図2に示す切替部61のスイッチ63がオンである場合には、光伝導アンテナ18で得られた電流信号が、反射測定用検出信号処理部81で信号処理されて、コンピュータ等からなる制御・演算処理部70に供給される。本実施の形態では、反射測定用検出信号処理部81は、電流−電圧変換器82と、ロックイン増幅器83と、A/D変換器84とから構成されている。光伝導アンテナ18で得られた電流信号は、電流−電圧変換器82で電圧信号に変換された後、ロックイン増幅器83により、バイアス電圧印加部60からの前記参照信号と同期してロックイン検出される。ロックイン増幅器83の出力信号は、反射測定位置にセットされた試料1で反射したテラヘルツ光の電場強度の検出信号として、A/D変換器84によりA/D変換され、これが制御・演算処理部70に供給される。
【0027】
フェムト秒パルスレーザ3から放射されるフェムト秒パルス光L1の繰り返し周期は、数kHzから100MHzオーダーである。したがって、このフェムト秒パルス光で励起される光伝導アンテナ11からのテラヘルツパルス光L6も、数kHzから100MHzオーダーの繰り返して放射される。本実施の形態では、同じ波形のテラヘルツパルス光L7が繰り返して到来することを利用して、ポンプパルス光L4とプローブパルス光L5との間に時間遅延を設けてテラヘルツパルス光L7の波形を計測する、いわゆるポンプ−プローブ法を採用している。すなわち、テラヘルツ光発生器としての光伝導アンテナ11を作動させるポンプパルス光L4に対して、テラヘルツ光検出器としての光伝導アンテナ18を作動させるタイミングを時間τだけ遅らせることにより、遅延時間τだけ遅れた時点でのテラヘルツパルス光L7の電場強度を光伝導アンテナ18で測定できる。言い換えれば、プローブパルス光L5は、光伝導アンテナ18に対してゲートをかけていることになる。また、可動鏡13を徐々に移動させることは、遅延時間τを徐々に変えることにほかならない。ステージ19によってゲートをかけるタイミングをずらしながら、繰り返し到来するテラヘルツパルス光L7の各遅延時間τごとの時点の電場強度を光伝導アンテナ18から電気信号として順次得ることによって、テラヘルツパルス光L7の電場強度の時系列波形E(τ)を計測することができる。
【0028】
本実施の形態では、テラヘルツパルス光L7の電場強度の時系列波形E(τ)の計測時には、制御・演算処理部70が、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器84からのデータを制御・演算処理部70内の図示しないメモリに順次格納する。これによって、最終的に、テラヘルツパルス光L7の電場強度の時系列波形E(τ)を示すデータ全体をメモリに格納する。
【0029】
このような時系列波形E(τ)を示すデータを、試料ホルダ25上に試料1として参照試料(例えば、金属ミラーなどの、屈折率等が既知である部材)を載置した場合と観測試料(例えば、ウエハ等)を載置した場合について取得する。なお、試料ホルダ25上に試料1として参照試料を載置した場合における前記データの取得は、初期動作として予め1回行っておくだけでよい。制御・演算処理部70は、これらのデータに基づいて、反射測定位置にセットされた観測試料の所望の特性(情報)を求め、これを液晶等の表示部74に表示させる。例えば、制御・演算処理部70は、公知の演算によって、観測試料の複素誘電率を求め、これを表示部74に表示させる。もっとも、例えば、反射測定位置にセットされた観測試料についてのみ時系列波形E(τ)を示すデータを得、当該時系列波形をフーリエ変換することで分光情報を得るだけでもよい。この場合、当該テラヘルツ光を用いた測定装置は分光装置となる。
【0030】
ビームスプリッタ4を透過した透過測定用パルス光L3は、ビームスプリッタ31で2つに分割されて、それぞれポンプパルス光L8とプローブパルス光L9になる。
【0031】
ポンプパルス光L8は、平面鏡32,33、後述する窓34、平面鏡35及び集光レンズ36を経て、テラヘルツ光発生器としてのダイポールアンテナ等の光伝導アンテナ37に入射する。なお、光伝導アンテナ37に代えて電気光学結晶などの他のテラヘルツ光発生器を用いてもよいことは、言うまでもない。図2に示す切替部61のスイッチ64がオンである場合には、バイアス電圧印加部60からのバイアス電圧が、光伝導アンテナ37に印加される。光伝導アンテナ37は、バイアス電圧が印加されている状態で、ポンプパルス光L8が入射されることにより励起されて、テラヘルツパルス光L10を発生する。
【0032】
一方、プローブパルス光L9は、平面鏡38〜41、光路長可変用光学素子としての2枚もしくは3枚の平面鏡が組み合わされてなる可動鏡(平行折り返しミラー)42、平面鏡43、後述する窓44、平面鏡45、更には集光レンズ46を経て、テラヘルツ光検出器としてのダイポールアンテナ等の光伝導アンテナ47へ導かれる。なお、光伝導アンテナ47に代えて電気光学結晶などの他のテラヘルツ光検出器を用いてもよいことは、言うまでもない。
【0033】
プローブパルス光L9の光路上に配置された可動鏡42は、前述したステージ19により図1中の左右方向に移動可能となっている。可動鏡42は、取り付け部材55を介して、ステージ19の可動部19aに固定されている。可動鏡42の移動量に応じて、プローブパルス光L9の光路長が変わる。すなわち、本実施の形態では、可動鏡42及びステージ19が、プローブパルス光L9の光路長をポンプパルス光L8の光路長に対して相対的に変え得るようにする第2の光路長可変部を構成している。このように、ステージ19の可動部19aには、前述した可動鏡13のみならず可動鏡42も固定されている。すなわち、本実施の形態では、前記第1及び第2の光路長可変部は、1つのステージ19を共有している。第2の光路長可変部も、前記第1の光路長可変部と同様の理由で設けられている。
【0034】
光伝導アンテナ37から発生したテラヘルツパルス光L10は、放物面鏡等の曲面鏡48を経て平行光に変換された後、放物面鏡等の曲面鏡49及び後述する窓50を経て集光位置に集光される。
【0035】
テラヘルツパルス光L10の集光位置が、透過測定位置となっている。この透過測定位置には、後述する搬送装置76により、両面が垂直となるように保持された試料1の測定部位(所定の微小の領域)が配置される。図1には示していないが、図2に示すように、前記透過測定位置に試料1がセットされたことを検出する光センサ等からなる透過測定用試料設置検出器72が設けられている。なお、試料1の局所的な情報ではなく、例えば試料1の比較的広い領域の平均的な情報を得たり各局所的な情報の2次元分布を一括して得たりする場合には、テラヘルツパルス光L10を局所的に集光することなく試料1の面の比較的広い領域を照射するようにしてもよい。
【0036】
試料1を透過したテラヘルツパルス光L11は、後述する窓51を経て、放物面鏡等の曲面鏡52により平行光に変換された後、放物面鏡等の曲面鏡53により光伝導アンテナ47に集光され、光伝導アンテナ47によりその電場強度が検出されて電流信号(透過光検出信号に相当)に変換される。なお、テラヘルツパルス光L10,L11の光軸は、全て水平面内にある。
【0037】
図2に示す切替部61のスイッチ64がオンである場合には、光伝導アンテナ47で得られた電流信号が、透過測定用検出信号処理部91で信号処理されて、制御・演算処理部70に供給される。本実施の形態では、透過測定用検出信号処理部91は、反射測定用検出信号処理部81と同様に、電流−電圧変換器92と、ロックイン増幅器93と、A/D変換器94とから構成されている。光伝導アンテナ47で得られた電流信号は、電流−電圧変換器92で電圧信号に変換された後、ロックイン増幅器93により、バイアス電圧印加部60からの前記参照信号と同期してロックイン検出される。ロックイン増幅器93の出力信号は、透過測定位置にセットされた試料1を透過したテラヘルツ光の電場強度の検出信号として、A/D変換器94によりA/D変換され、これが制御・演算処理部70に供給される。
【0038】
本実施の形態では、同じ波形のテラヘルツパルス光L11が繰り返して到来することを利用して、前述した反射測定の場合と同様に、ポンプ−プローブ法を採用している。すなわち、テラヘルツ光発生器としての光伝導アンテナ47を作動させるポンプパルス光L10に対して、テラヘルツ光検出器としての光伝導アンテナ47を作動させるタイミングを時間τだけ遅らせることにより、遅延時間τだけ遅れた時点でのテラヘルツパルス光L11の電場強度を光伝導アンテナ47で測定できる。言い換えれば、プローブパルス光L9は、光伝導アンテナ47に対してゲートをかけていることになる。また、可動鏡42を徐々に移動させることは、遅延時間τを徐々に変えることにほかならない。ステージ19によってゲートをかけるタイミングをずらしながら、繰り返し到来するテラヘルツパルス光L11の各遅延時間τごとの時点の電場強度を光伝導アンテナ47から電気信号として順次得ることによって、テラヘルツパルス光L11の電場強度の時系列波形E(τ)を計測することができる。
【0039】
本実施の形態では、この透過測定の場合も、前述した反射測定の場合と同様に、テラヘルツパルス光L11の電場強度の時系列波形E(τ)の計測時には、制御・演算処理部70が、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器94からのデータを制御・演算処理部70内のメモリに順次格納する。これによって、最終的に、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形E(τ)を示すデータ全体をメモリに格納する。
【0040】
このような時系列波形E(τ)を示すデータを、試料1をテラヘルツパルス光L10の集光位置(透過測定位置)に置いた場合と置かない場合について取得する。なお、試料1を透過測定位置に置かない場合における前記データの取得は、初期動作として予め1回行っておくだけでよい。制御・演算処理部70は、これらのデータに基づいて、透過測定位置にセットされた試料1の所望の特性(情報)を求め、これを表示部74に表示させる。例えば、制御・演算処理部70は、公知の演算によって、試料1の複素誘電率を求め、これを表示部74に表示させる。もっとも、例えば、透過測定位置にセットされた試料1について時系列波形E(τ)を示すデータを得、当該時系列波形をフーリエ変換することで分光情報を得るだけでもよい。この場合、当該テラヘルツ光を用いた測定装置は分光装置となる。
【0041】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、前述した要素3〜14,16〜18,21〜23,26〜28によって、前記反射測定光学系が構成されている。また、前述した要素3,4,31〜33,35〜43,45〜49,52,53によって、前記透過測定光学系が構成されている。このように、反射測定光学系及び透過測定光学系は、一つのフェムト秒パルスレーザ3を共有している。
【0042】
ここで、反射測定光学系及び透過測定光学系の配置に着目すると、本実施の形態では、反射測定光学系におけるテラヘルツパルス光L6,L7の光路長と、透過測定光学系におけるテラヘルツパルス光L10,L11の光路長とが、異なっている。これは、透過測定光学系では、曲面鏡49と曲面鏡52との間に平面鏡を設置せずに試料1を置くのに対し、反射測定光学系では、曲面鏡22と曲面鏡27との間に平面鏡23,26を設置して試料1を置き、試料1で反射させているためである。すなわち、透過測定光学系では、測定時に試料1がテラヘルツパルス光L10,L11の水平光軸上に位置するのに対し、反射測定光学系では、テラヘルツパルス光L6,L7の水平光軸上に試料1を設置することが困難であるためである。本実施の形態では、このように反射測定光学系と透過測定光学系との間のテラヘルツパルス光の光路長の差異に応じて、フェムト秒パルスレーザ3から光伝導アンテナ11,18,37,47の各々に至る光路長を適切に設定している。
【0043】
図1に示すように、筐体2内には、真空引き可能な1つのチャンバー100が形成されている。図1において、101,102はこのチャンバー100の壁部を示し、壁部101を示すラインと壁部102を示すラインとの間がチャンバー100内の領域である。図面には示していないが、壁部101には、真空ポンプ(図示せず)等と接続可能な接続口を有し、当該真空ポンプ等によってチャンバー100を真空引きしたりパージしたりできるようになっている。筐体2内の領域のうちチャンバー100外の領域は、大気領域である。なお、図4からも理解できるように、筐体2を形成する部材の一部とチャンバー100を形成する部材の一部とは、共通化されている。
【0044】
図1に示すように、反射測定光学系における光伝導アンテナ11から光伝導アンテナ18までのテラヘルツ光学系、前記要素10,16,17、透過測定光学系における光伝導アンテナ37から光伝導アンテナ47までのテラヘルツ光学系、及び、前記要素35,36,45,46は、チャンバー100内に収容されている。一方、筐体2内に収容された要素のうち、他の要素は、チャンバー100外の大気領域に配置されている。
【0045】
前記窓9,15,34,44は、図1に示すように、壁部101に設けられているが、筐体2の外部には臨んでいない。前記窓24は、図3に示すように、壁部101に設けられ、筐体2の外部に臨んでいる。図4に示すように、筐体2の上部には、外部上方に開口した凹部110が形成されている。この凹部110の壁部は前記チャンバー100の壁部102で構成され、凹部110はチャンバー100の外側から凹んでいる。図1において、壁部102を示すラインにより囲まれた領域は、凹部110内の領域であり、大気領域である。前記窓50,51は、図1及び図4に示すように、凹部110を挟んで対向するように、この壁部102に設けられている。これにより、前記窓50,51は、筐体2の外部に臨んでいる。凹部110内が、試料1の前述した透過測定位置となっている。後述する搬送装置76により試料1が凹部110内に挿入されることで、試料1が透過測定位置に設置されるようになっている。
【0046】
前記窓9,15,34,44を構成する材料としては、例えば、石英やガラスなどを挙げることができる。これらの材料は、機械的な強度及び近赤外レーザ光の透過率が比較的高いので、好ましい。また、前記窓24,50,51を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、石英、ポリメチルペンテン、サファイア、Si、GaAs、Ge、MgO、ポリテトラフルオロエチレン、ダイヤモンドなどを挙げることができる。これらの材料は、テラヘルツパルス光の透過率が比較的高いので、好ましい。
【0047】
搬送装置76は、例えば、多軸の搬送ロボット等で構成される。本実施の形態では、搬送装置76は、図4に示すように、独立して作動可能な2本のアーム77を備えている。各アーム77は、その先端に、試料1を把持する把持部77aを有している。搬送装置76は、制御・演算処理部70から外部通信用ポート(図2参照)を介して供給される制御信号に従って、各アーム77の把持部77aで試料1を把持することで、試料1の保管部(図示せず)から試料1を前記試料ホルダ25上の反射測定位置に搬送したり、試料1をこの反射測定位置から搬送し前記凹部110内に挿入して透過測定位置に設置したり、試料1をこの透過測定位置から前記保管部(あるいは、必要に応じて他の保管部等)に搬送したりすることができるようになっている。
【0048】
制御・演算処理部70は、図2に示すように、操作部73からの指令に応じて、第1乃至第4の測定モードのうちのいずれかを選択する測定モード選択信号を、切替部61に供給する。第1の測定モードは、前記反射測定位置に試料1がセットされるとともに前記透過測定位置に他の試料1がセットされたときに、反射測定位置にセットされた試料1について反射測定を行うと同時に、透過測定位置にセットされた試料1について透過測定を行う測定モード(「反射・透過同時測定モード」と呼ぶ。)であり、かつ、1つの試料1について反射測定と透過測定とを順次に行う測定モードである。第2の測定モードは、反射・透過同時測定モードであるが、1つの試料1については反射測定及び透過測定のうちのいずれか一方のみを行う測定モードである。第3の測定モードは、いずれの試料1についても、透過測定を行うことなく、反射測定のみを行う測定モードである。第4の測定モードは、いずれの試料1についても、反射測定を行うことなく、透過測定のみを行う測定モードである。
【0049】
切替部61は、制御・演算処理部70からの測定モード選択信号に応じて、切替部61が有するスイッチ62〜65の各オン・オフ状態を切り替えるようになっている。前記第1及び第2の測定モードの場合には、スイッチ62〜65がオンにされる。前記第3の測定モードの場合には、スイッチ62,63がオンにされるとともに、スイッチ64,65がオフにされる。前記第4の測定モードの場合には、スイッチ62,63がオフにされるとともに、スイッチ64,65がオンにされる。
【0050】
試料1が反射測定位置にセットされている際の反射測定の動作、及び、試料1が透過測定位置にセットされている際の透過測定の動作については、既に説明した。制御・演算処理部70は、操作部73からの指令に応じて、これらの個別動作と搬送装置76に対する制御とを組み合わせることで、前述した各測定モードを実現する。なお、必要に応じて、反射測定位置に前記参照試料をセットした際の反射測定データや透過測定位置に試料1をセットしていない際の透過測定データを予め取得しておき、これらのデータを制御・演算処理部70のメモリ内に格納しておく。
【0051】
次に、操作部73から前記第1の測定モードが指令された場合の動作の具体例について、図5を参照して説明する。図5は、本実施の形態による測定装置の第1の測定モードの動作の具体例を示す概略フローチャートである。
【0052】
操作部73から第1の測定モードが指令されると、制御・演算処理部70は、まず、第1の測定モードを示す選択信号を切替部61に供給する(ステップS1)。なお、操作者は、第1の測定モードを指令する際に、操作部73を操作して、前記保管部に保管されている試料1のうち何個の試料1について反射・透過測定を行うかを指定しておく。ここでは、この個数をN個とする。Nは、通常は2以上とされるが、1としてもよい。
【0053】
次に、制御・演算処理部70は、制御・演算処理部70内のメモリに記憶されたカウント値nを1にセットする(ステップS2)。
【0054】
次いで、制御・演算処理部70は、搬送装置76を制御して、n番目の試料1を前記保管部から反射測定位置に搬送させる(ステップS3)。その後、制御・演算処理部70は、反射測定用試料設置検出器71からの検出信号に基づいて、試料1が前記反射測定位置にセットされたか否かを判定する(ステップS4)。試料1が反射測定位置にセットされていればステップS5へ移行し、そうでなければステップS3へ戻る。
【0055】
ステップS5において、制御・演算処理部70は、前述したように、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器84からのデータを制御・演算処理部70内のメモリに順次格納することで、反射測定位置にセットされた試料1の反射測定データを取得する。そして、制御・演算処理部70は、必要に応じて、この反射測定データに基づいて当該試料1の複素誘電率や分光情報などを演算する。
【0056】
次に、制御・演算処理部70は、カウント値nがNか否かを判定し(ステップS6)、NでなければステップS7へ移行する一方、NであればステップS12へ移行する。
【0057】
ステップS7において、制御・演算処理部70は、搬送装置76を制御して、n番目の試料1を反射測定位置から透過測定位置へ搬送させるとともに、n+1番目の試料1を前記保管部から反射測定位置へ搬送させる(ステップS7)。
【0058】
次に、制御・演算処理部70は、各試料位置設置検出器71,72からの検出信号に基づいて、各試料1が反射測定位置及び透過測定位置にそれぞれセットされたか否かを判定する(ステップS8)。各試料1が両測定位置にそれぞれセットされていなければステップS7へ戻り、セットされていればステップS9へ移行する。
【0059】
ステップS9において、制御・演算処理部70は、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、各A/D変換器84,94からのデータをそれぞれ制御・演算処理部70内のメモリに順次格納することで、反射測定位置及び透過測定位置にそれぞれセットされた各試料1の反射測定データ及び透過測定データを取得する。そして、制御・演算処理部70は、必要に応じて、この反射測定データ及び透過測定データにそれぞれ基づいて当該各試料1の複素誘電率や分光情報などを演算する。
【0060】
次に、制御・演算処理部70は、搬送装置76を制御して、n番目の試料1を前記保管部へ搬送させる(ステップS10)。次いで、制御・演算処理部70は、カウント値nを1だけカウントアップし(ステップS11)、ステップS7へ戻る。
【0061】
一方、ステップS6においてカウント値nがNであると判定されると、ステップS12において、制御・演算処理部70は、搬送装置76を制御して、n番目の試料1を反射測定位置から透過測定位置へ搬送させる。次に、制御・演算処理部70は、透過測定用試料設置検出器72からの検出信号に基づいて、試料1が前記透過測定位置にセットされたか否かを判定する(ステップS13)。試料1が透過測定位置にセットされていればステップS14へ移行し、そうでなければステップS12へ戻る。
【0062】
ステップS14において、制御・演算処理部70は、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器94からのデータを制御・演算処理部70内のメモリに順次格納することで、透過測定位置にセットされた試料1の透過測定データを取得する。そして、制御・演算処理部70は、必要に応じて、この透過測定データに基づいて当該試料1の複素誘電率や分光情報などを演算する。
【0063】
その後、制御・演算処理部70は、搬送装置76を制御して、n番目の試料1を前記保管部へ搬送させ(ステップS15)、第1の測定モードの一連の動作を終了する。
【0064】
以上、操作部73から前記第1の測定モードが指令された場合の動作の具体例について説明した。操作部73から前記第2の測定モードが指令された場合には、前記保管部に格納されている複数の試料1のうちの、反射測定を行うべき一群の試料1を順次反射測定位置に搬送させるとともに、透過測定を行うべき他の一群の試料1を順次透過測定位置に搬送させ、ある試料1が反射測定位置にセットされかつ他の試料1が透過測定位置にセットされているときに、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、各A/D変換器84,94からのデータをそれぞれ制御・演算処理部70内のメモリに順次格納することで、反射測定位置及び透過測定位置にそれぞれセットされた各試料1の反射測定データ及び透過測定データを取得すればよい。そして、この場合には、反射測定又は透過測定が終了した試料1は、透過測定位置又は反射測定位置に搬送することなく、前記保管部に格納させればよい。
【0065】
また、操作部73から前記第3の測定モードが指令された場合には、前記保管部に格納されている複数の試料1を順次反射測定位置に搬送させ、試料1が反射測定位置にセットされているときに、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器84からのデータを制御・演算処理部70内のメモリに順次格納することで、反射測定位置にセットされた試料1の反射測定データを取得すればよい。このとき、透過測定位置には試料1を搬送しない。
【0066】
さらに、操作部73から前記第4の測定モードが指令された場合には、前記保管部に格納されている複数の試料1を順次透過測定位置に搬送させ、試料1が透過測定位置にセットされているときに、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器94からのデータを制御・演算処理部70内のメモリに順次格納することで、透過測定位置にセットされた試料1の透過測定データを取得すればよい。このとき、反射測定位置には試料1を搬送しない。
【0067】
本実施の形態によれば、反射測定光学系及び透過測定光学系を有しているので、前記第1及び第2の測定モードのように、試料1で反射されたテラヘルツパルス光による反射測定、及び、試料1を透過したテラヘルツパルス光による透過測定の両方を行うことできる。そして、本実施の形態では、反射測定光学系及び透過測定光学系が1つの筐体2内に収容されているので、装置全体の低価格化を図ることができるとともに、装置全体として占有空間を抑えることができる。透過測定及び反射測定の両方を行う場合、それぞれ別々の装置として構成された透過測定用テラヘルツ光装置及び反射測定用テラヘルツ光装置の両方を用意すると、両装置全体としての価格が著しく増大するとともに、両装置全体としての占有空間が大きくなってしまう。
【0068】
また、本実施の形態では、反射測定光学系及び透過測定光学系が1つのフェムト秒パルスレーザ3を共有しているので、フェムト秒パルスレーザは非常に高価であることから、フェムト秒パルスレーザを各光学系に対して1つずつ設ける場合に比べて、著しくコストを低減することができるとともに、装置をより小型化することができる。
【0069】
さらに、本実施の形態では、ポンプ−プローブ法で不可欠な前記第1及び第2の光路長可変部が1つの光路長可変用移動機構としてのステージ19を共有しているので、高精度の移動機構は非常に高価であることから、移動機構を各光路長可変部にそれぞれ設ける場合に比べて、著しくコストを低減することができるとともに、装置をより小型化することができる。
【0070】
そして、本実施の形態では、前記第1及び第2の測定モードにおいて、搬送装置76によって反射測定位置及び透過測定位置に試料1がそれぞれ搬送され、反射測定位置及び透過測定位置にそれぞれ試料1がセットされたときに、演算処理部70が、透過測定部及び反射測定部を同時に作動させる制御信号(本実施の形態では、ステージ19への制御信号)を出力し、並列に設けられた各検出信号処理部81,91でそれぞれ処理されたテラヘルツ光検出信号を測定データとして取り込むので、流れ作業の如く、透過測定及び反射測定の両方を同時に効率良く行うことができる。特に測定すべき試料1が大量にある場合には、その効果は著しい。なお、本実施の形態のように、前記第1乃至第4の測定モードを行うように構成することが好ましいが、本発明では、前記第1及び第2の測定モードのうちの少なくとも一方のみを行うように構成してもよい。
【0071】
なお、透過測定用テラヘルツ光装置と反射測定用テラヘルツ光装置の2台の装置を用いれば、透過測定及び反射測定を同時に行うことは可能であるが、この場合には、装置の操作者が、それぞれの装置に対して操作をしなければならず、それらの測定を効率良く行うことができない。これに対し、本実施の形態では、そのような不都合が生じることがない。
【0072】
[第2の実施の形態]
【0073】
図6は、本発明の第2の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の光学的な構成を模式的に示す概略構成図である。図6において、図1中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0074】
本実施の形態による測定装置が前記第1の実施の形態による測定装置と異なる所は、その光学的な構成の一部のみである。
【0075】
すなわち、前記第1の実施の形態では、フェムト秒パルスレーザ3からのフェムト秒パルス光L1をビームスプリッタ4によって反射測定用パルス光L2と透過測定用パルス光L3とに分割した後に、ビームスプリッタ6によって反射測定用パルス光L2を反射測定用ポンプパルス光L4と反射測定用プローブパルス光L5とに分割するとともに、ビームスプリッタ31によって透過測定用パルス光L3を透過測定用ポンプパルス光L8と透過測定用プローブパルス光L9とに分割している。そして、反射測定用プローブパルス光L5を可動鏡13に入射させるとともに、透過測定用プローブパルス光L9を可動鏡42に入射させている。
【0076】
これに対し、本実施の形態では、図6に示すように、フェムト秒パルスレーザ3からのフェムト秒パルス光L1を先にビームスプリッタ111によってポンプパルス光L12とプローブパルス光L13とに分割した後に、ビームスプリッタ112によってポンプパルス光L12を反射測定用ポンプパルス光L4と透過測定用ポンプパルス光L8とに分割するとともに、ビームスプリッタ124によってプローブパルス光L13を反射測定用プローブパルス光L5と透過測定用プローブパルス光L9とに分割している。そして、プローブパルス光L13をステージ19に搭載された1つの可動鏡123に送ることで、ビームスプリッタ124による分割後の各測定用プローブパルス光L5,L9の光路長を可変できるようになっている。なお、図6において、113,114,121,122,125〜129は、平面鏡である。
【0077】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、前記第1の実施の形態では2つの可動鏡13,42を要していたのに対し、本実施の形態では1つの可動鏡123で済む。このため、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と比較して、プローブパルス光L5,L9となるフェムト秒パルスレーザ光L1,L13の光軸を調整するのが容易となるとともに、より小型化及びコスト低減を図ることができる。
【0078】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0079】
例えば、前記実施の形態は、本発明をテラヘルツ光を用いた複素誘電率等の測定装置に適用した例であったが、本発明は、テラヘルツ光を用いた他の種々のテラヘルツ光を用いた測定装置に適用することができる。
【0080】
また、前記各実施の形態において、各テラヘルツ光発生器として、光伝導アンテナ11,37を用いる代わりに、電気光学結晶をそれぞれ用いてもよい。また、各テラヘルツ光検出器として、光伝導アンテナ18,47を用いる代わりに、電気光学結晶をそれぞれ用いてもよい。この場合、例えば、テラヘルツパルス光L6,L10が各測定位置にセットされた試料1の2次元領域をそれぞれ照射するようにし、テラヘルツパルス光L7,L11が各電気光学結晶の2次元領域を照射するようにし、各プローブパルス光を偏光子で偏光させて各電気光学結晶の前記2次元領域を照射し、各電気光学結晶を通過したプローブパルス光を検光子で検光した後に各CCDカメラで受光するようにしてもよい。この場合、一方のCCDカメラによりテラヘルツパルス光の試料反射像に相当する像を得ることができるとともに、他方のCCDカメラによりテラヘルツパルス光の試料透過像に相当する像を得ることができる。このとき、CCDカメラは、大気領域に配置してもよい。このように、本発明は、イメージ化装置にも適用することができる。なお、前述したイメージ化装置のようにポンプ−プローブ法を用いない場合には、前述した第1及び第2の光路長可変部は必ずしも必要ではない。
【0081】
また、前記各実施の形態では、プローブパルス光をステージ19に搭載された可動鏡に送るように構成されていたが、逆に、ポンプパルス光をステージに搭載された可動鏡に送るように構成することで、両者の間の光路長を可変できるようにしてもよい。
【0082】
以上説明した実施の形態では、試料の表面の物質特性を反射測定により得ることができ、かつ試料の内部の物質特性を透過測定により得ることができる。例えば、半導体ウエハでは表面の薄膜の電気的特性と内部の電気的特性とを得ることができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、透過測定及び反射測定の両方を同時に効率良く行うことができるテラヘルツ光を用いた測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の光学的な構成を模式的に示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の電気的な構成を模式的に示す概略構成図である。
【図3】図1中のA矢視の概略図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の透過測定光学系及び反射測定光学系を収容した筐体等を示す外観図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の第1の測定モードの動作の具体例を示す概略フローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の光学的な構成を模式的に示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 試料(対象物)
2 筐体
3 フェムト秒パルスレーザ(パルス光発生部)
11,37 光伝導アンテナ(テラヘルツ光発生器)
13,42 可動鏡(光路長可変用光学素子)
18,47 光伝導アンテナ(テラヘルツ光検出器)
19 ステージ(光路長可変用移動機構)
25 試料ホルダ
70 制御・演算処理部
76 搬送装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、テラヘルツ光を用いた測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テラヘルツ光は、周波数がおおよそ0.01THzから100THzまでの範囲の電磁波である。従来から、テラヘルツ光を用いた種々の測定装置(例えば、分光装置、誘電率測定装置、検査装置、イメージ化装置など)が提供されている。このような従来のテラヘルツ光を用いた測定装置では、対象物にテラヘルツパルス光を照射して当該対象物を透過したテラヘルツパルス光を検出するもの(説明の便宜上、「透過測定用テラヘルツ光装置」と呼ぶ。)と、対象物にテラヘルツパルス光を照射して当該対象物で反射したテラヘルツパルス光を検出する装置(説明の便宜上、「反射測定用テラヘルツ光装置」と呼ぶ。)とが、それぞれ別々の装置として提供されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、半導体の電気特性評価装置として構成された透過測定用テラヘルツ光装置が具体的に開示されている。また、特許文献1では、具体的な構成の開示はないが、半導体の電気特性評価装置を反射測定用テラヘルツ光装置として構成し得る旨も、言及されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、対象物の複素誘電率や複素屈折率を測定する装置として構成された透過測定用テラヘルツ光装置と、対象物の複素誘電率や複素屈折率を測定する装置として構成された反射測定用テラヘルツ光装置が、それぞれ別々の装置として開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−98634号公報
【特許文献2】
特開2002−277393号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
対象物によっては、当該対象物を透過したテラヘルツパルス光を検出する透過測定を行う方が好ましいものや、当該対象物で反射したテラヘルツパルス光を検出する反射測定を行う方が好ましいものもある。また、同一の対象物であっても、例えば、その性質等を観察する上で、透過測定及び反射測定の両方を行うことが好ましい場合もある。
【0007】
しかしながら、前記従来のテラヘルツ光を用いた測定装置は、透過測定用テラヘルツ光装置及び反射測定用テラヘルツ光装置のうちのいずれかとして構成されているだけであった。したがって、複数の対象物の各々について透過測定及び反射測定を両方を行う場合に、それらの測定を効率良く行うことができなかった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、透過測定及び反射測定の両方を同時に効率良く行うことができるテラヘルツ光を用いた測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、透過測定位置にセットされた対象物にテラヘルツパルス光を照射し、当該対象物を透過したテラヘルツパルス光を検出して透過光検出信号を出力する透過測定部と、反射測定位置にセットされた対象物にテラヘルツパルス光を照射し、当該対象物を反射したテラヘルツパルス光を検出して反射光検出信号を出力する反射測定部と、前記透過測定位置及び前記反射測定位置にそれぞれ対象物を搬送する搬送部と、前記搬送部により前記透過測定位置及び前記反射測定位置にそれぞれ対象物がセットされたときに、前記透過測定部及び前記反射測定部を同時に作動させる制御信号を出力する制御部と、を備え、前記透過測定部及び前記反射測定部は、レーザパルス光を発生する1つのパルス光発生部を共有し、前記レーザパルス光に基づいて前記透過光検出信号及び前記反射光検出信号をそれぞれ同時に出力するものである。
【0010】
本発明の第2の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、前記第1の態様において、前記搬送部は、複数の対象物を順次、前記透過測定部及び前記反射測定部のうちの一方の測定部による測定終了後、他方の測定部の測定位置に搬送するとともに前記一方の測定部の測定位置に次の対象物を搬送するものである。
【0011】
本発明の第3の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、前記第1の態様において、前記透過測定部と前記反射測定部とに共通して使用され、前記対象物からのテラヘルツパルス光を時系列的に検出する為に検出用の前記レーザパルス光の光路長を可変とするステージを有するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるテラヘルツ光を用いた測定装置について、図面を参照して説明する。
【0013】
[第1の実施の形態]
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の光学的な構成を模式的に示す概略構成図である。図1において、紙面が水平面と平行で、紙面と垂直な方向が鉛直方向となっている。図2は、本実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の電気的な構成を模式的に示す概略構成図である。図3は、図1中のA矢視の概略図である。図4は、本実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の透過測定光学系及び反射測定光学系を収容した筐体2等を示す外観図である。
【0015】
本実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、測定対象物としての複数の試料1の複素誘電率等を測定する測定装置として構成されている。
【0016】
本実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、反射測定位置(本実施の形態では、図3中の試料1の位置)にセットされた試料1にテラヘルツパルス光を照射して試料1で反射したテラヘルツパルス光を検出する反射測定光学系と、透過測定位置(本実施の形態では、図1中の試料1の位置)にセットされた試料1にテラヘルツパルス光を照射して試料1を透過したテラヘルツパルス光を検出する透過測定光学系と、を備えている。前記透過測定光学系及び前記反射測定光学系は、1つの筐体2内に収容されている。これらの光学系の具体的な構成については、後述する。
【0017】
図1に示すように、パルス光発生部としてのフェムト秒パルスレーザ3から発生されたフェムト秒パルス光(レーザパルス光)L1が、ビームスプリッタ4によって、反射測定用パルス光L2と透過測定用パルス光L3とに分割される。
【0018】
ビームスプリッタ4で反射された反射測定用パルス光L2は、平面鏡5を経た後に、ビームスプリッタ6で2つに分割されて、それぞれポンプパルス光L4とプローブパルス光L5になる。
【0019】
ポンプパルス光L4は、平面鏡7,8、後述する窓9及び集光レンズ10を経て、テラヘルツ光発生器としてのダイポールアンテナ等の光伝導アンテナ11に入射する。なお、光伝導アンテナ11に代えて電気光学結晶などの他のテラヘルツ光発生器を用いてもよいことは、言うまでもない。図2に示す切替部61のスイッチ62がオンである場合には、バイアス電圧印加部60からのバイアス電圧が、光伝導アンテナ11に印加される。なお、本実施の形態では、バイアス電圧印加部60は、テラヘルツ光検出のSN比を向上するために、パルス状に変調されたバイアス電圧を出力するとともに、後述するロックイン増幅のための参照信号(バイアス電圧に同期した信号)を出力する。光伝導アンテナ11は、バイアス電圧が印加されている状態で、ポンプパルス光L4が入射されることにより励起されて、テラヘルツパルス光L6を発生する。
【0020】
一方、プローブパルス光L5は、平面鏡12、光路長可変用光学素子としての2枚もしくは3枚の平面鏡が組み合わされてなる可動鏡(平行折り返しミラー)13、平面鏡14、後述する窓15、平面鏡16、更には集光レンズ17を経て、テラヘルツ光検出器としてのダイポールアンテナ等の光伝導アンテナ18へ導かれる。なお、光伝導アンテナ18に代えて電気光学結晶などの他のテラヘルツ光検出器を用いてもよいことは、言うまでもない。
【0021】
プローブパルス光L5の光路上に配置された可動鏡13は、図2に示す制御・演算処理部70による制御下で、光路長可変用移動機構としての一軸のステージ19により図1中の左右方向に移動可能となっている。可動鏡13は、取り付け部材20を介して、ステージ19の可動部19aに固定されている。可動鏡13の移動量に応じて、プローブパルス光L5の光路長が変わる。すなわち、本実施の形態では、可動鏡13及びステージ19が、プローブパルス光L5の光路長をポンプパルス光L4の光路長に対して相対的に変え得るようにする第1の光路長可変部を構成している。光伝導アンテナ11から発生するテラヘルツパルス光の発生期間とプローブパルス光L5が光伝導アンテナ18に到達するタイミングを一致させる必要がある。また、いわゆるポンプ−プローブ法により、テラヘルツパルス光の時系列波形を得るためには、光伝導アンテナ11からテラヘルツパルス光が発生している期間内におけるプローブパルス光L5のタイミングを変える必要がある。このため、本実施の形態では、前記第1の光路長可変部が設けられているのである。
【0022】
光伝導アンテナ11から発生したテラヘルツパルス光L6は、放物面鏡等の曲面鏡21を経て平行光に変換された後、放物面鏡等の曲面鏡22、平面鏡23及び後述する窓24を経て集光位置に集光される。図1及び図3に示すように、テラヘルツパルス光L6の光軸は、光伝導アンテナ11から平面鏡23までの間では水平面内にあるが、平面鏡23の向きが図示のように設定されることにより、平面鏡23と前記集光位置との間では上側に立ち上げられている。
【0023】
テラヘルツパルス光L5の集光位置が、反射測定位置となっている。この反射測定位置には、後述する搬送装置76により搬送されてきた試料1を保持するホルダである試料ホルダ25(図3及び図4参照、図1では省略)により、下面が水平面となるように保持された試料1の当該下面の測定部位(所定の微小の領域)が配置される。図1、図3及び図4には示していないが、図2に示すように、前記反射測定位置に試料1がセットされたことを検出する光センサ等からなる反射測定用試料設置検出器71が設けられている。なお、試料1の局所的な情報ではなく、例えば試料1の比較的広い領域の平均的な情報を得たり各局所的な情報の2次元分布を一括して得たりする場合には、テラヘルツパルス光L6を局所的に集光することなく試料1の下面の比較的広い領域を照射するようにしてもよい。
【0024】
ここで、前記試料ホルダ25について、図3及び図4を参照して説明する。試料ホルダ25は、試料保持面となる上面が水平面となるように筐体2に固定された載置台として、構成されている。試料ホルダ25の中央付近には、開口25aが形成されている。この開口25aは、試料ホルダ25の上面に載置することにより保持された試料1の下面の測定部位(所定領域)に対して入射して前記測定部位で反射するテラヘルツパルス光を、通過させる窓部となっている。この試料ホルダ25によれば、上面に試料1を単に載置するだけで、試料1が重力で保持される。もっとも、本発明では、試料ホルダ25は、このような構成に限定されるものではない。
【0025】
再び図1及び図3を参照すると、試料1の下面の測定部位で反射されたテラヘルツパルス光L7は、窓24を経て平面鏡26で反射され、放物面鏡等の曲面鏡27を経て平行光に変換された後、放物面鏡等の曲面鏡28により光伝導アンテナ18に集光され、光伝導アンテナ18によりその電場強度が検出されて電流信号(反射光検出信号に相当)に変換される。テラヘルツパルス光L7の光軸は、平面鏡26の向きが図示のように設定されることにより、前記集光位置と平面鏡26との間では下側に立ち下げられているが、平面鏡26と光伝導アンテナ18との間では水平面内にある。
【0026】
図2に示す切替部61のスイッチ63がオンである場合には、光伝導アンテナ18で得られた電流信号が、反射測定用検出信号処理部81で信号処理されて、コンピュータ等からなる制御・演算処理部70に供給される。本実施の形態では、反射測定用検出信号処理部81は、電流−電圧変換器82と、ロックイン増幅器83と、A/D変換器84とから構成されている。光伝導アンテナ18で得られた電流信号は、電流−電圧変換器82で電圧信号に変換された後、ロックイン増幅器83により、バイアス電圧印加部60からの前記参照信号と同期してロックイン検出される。ロックイン増幅器83の出力信号は、反射測定位置にセットされた試料1で反射したテラヘルツ光の電場強度の検出信号として、A/D変換器84によりA/D変換され、これが制御・演算処理部70に供給される。
【0027】
フェムト秒パルスレーザ3から放射されるフェムト秒パルス光L1の繰り返し周期は、数kHzから100MHzオーダーである。したがって、このフェムト秒パルス光で励起される光伝導アンテナ11からのテラヘルツパルス光L6も、数kHzから100MHzオーダーの繰り返して放射される。本実施の形態では、同じ波形のテラヘルツパルス光L7が繰り返して到来することを利用して、ポンプパルス光L4とプローブパルス光L5との間に時間遅延を設けてテラヘルツパルス光L7の波形を計測する、いわゆるポンプ−プローブ法を採用している。すなわち、テラヘルツ光発生器としての光伝導アンテナ11を作動させるポンプパルス光L4に対して、テラヘルツ光検出器としての光伝導アンテナ18を作動させるタイミングを時間τだけ遅らせることにより、遅延時間τだけ遅れた時点でのテラヘルツパルス光L7の電場強度を光伝導アンテナ18で測定できる。言い換えれば、プローブパルス光L5は、光伝導アンテナ18に対してゲートをかけていることになる。また、可動鏡13を徐々に移動させることは、遅延時間τを徐々に変えることにほかならない。ステージ19によってゲートをかけるタイミングをずらしながら、繰り返し到来するテラヘルツパルス光L7の各遅延時間τごとの時点の電場強度を光伝導アンテナ18から電気信号として順次得ることによって、テラヘルツパルス光L7の電場強度の時系列波形E(τ)を計測することができる。
【0028】
本実施の形態では、テラヘルツパルス光L7の電場強度の時系列波形E(τ)の計測時には、制御・演算処理部70が、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器84からのデータを制御・演算処理部70内の図示しないメモリに順次格納する。これによって、最終的に、テラヘルツパルス光L7の電場強度の時系列波形E(τ)を示すデータ全体をメモリに格納する。
【0029】
このような時系列波形E(τ)を示すデータを、試料ホルダ25上に試料1として参照試料(例えば、金属ミラーなどの、屈折率等が既知である部材)を載置した場合と観測試料(例えば、ウエハ等)を載置した場合について取得する。なお、試料ホルダ25上に試料1として参照試料を載置した場合における前記データの取得は、初期動作として予め1回行っておくだけでよい。制御・演算処理部70は、これらのデータに基づいて、反射測定位置にセットされた観測試料の所望の特性(情報)を求め、これを液晶等の表示部74に表示させる。例えば、制御・演算処理部70は、公知の演算によって、観測試料の複素誘電率を求め、これを表示部74に表示させる。もっとも、例えば、反射測定位置にセットされた観測試料についてのみ時系列波形E(τ)を示すデータを得、当該時系列波形をフーリエ変換することで分光情報を得るだけでもよい。この場合、当該テラヘルツ光を用いた測定装置は分光装置となる。
【0030】
ビームスプリッタ4を透過した透過測定用パルス光L3は、ビームスプリッタ31で2つに分割されて、それぞれポンプパルス光L8とプローブパルス光L9になる。
【0031】
ポンプパルス光L8は、平面鏡32,33、後述する窓34、平面鏡35及び集光レンズ36を経て、テラヘルツ光発生器としてのダイポールアンテナ等の光伝導アンテナ37に入射する。なお、光伝導アンテナ37に代えて電気光学結晶などの他のテラヘルツ光発生器を用いてもよいことは、言うまでもない。図2に示す切替部61のスイッチ64がオンである場合には、バイアス電圧印加部60からのバイアス電圧が、光伝導アンテナ37に印加される。光伝導アンテナ37は、バイアス電圧が印加されている状態で、ポンプパルス光L8が入射されることにより励起されて、テラヘルツパルス光L10を発生する。
【0032】
一方、プローブパルス光L9は、平面鏡38〜41、光路長可変用光学素子としての2枚もしくは3枚の平面鏡が組み合わされてなる可動鏡(平行折り返しミラー)42、平面鏡43、後述する窓44、平面鏡45、更には集光レンズ46を経て、テラヘルツ光検出器としてのダイポールアンテナ等の光伝導アンテナ47へ導かれる。なお、光伝導アンテナ47に代えて電気光学結晶などの他のテラヘルツ光検出器を用いてもよいことは、言うまでもない。
【0033】
プローブパルス光L9の光路上に配置された可動鏡42は、前述したステージ19により図1中の左右方向に移動可能となっている。可動鏡42は、取り付け部材55を介して、ステージ19の可動部19aに固定されている。可動鏡42の移動量に応じて、プローブパルス光L9の光路長が変わる。すなわち、本実施の形態では、可動鏡42及びステージ19が、プローブパルス光L9の光路長をポンプパルス光L8の光路長に対して相対的に変え得るようにする第2の光路長可変部を構成している。このように、ステージ19の可動部19aには、前述した可動鏡13のみならず可動鏡42も固定されている。すなわち、本実施の形態では、前記第1及び第2の光路長可変部は、1つのステージ19を共有している。第2の光路長可変部も、前記第1の光路長可変部と同様の理由で設けられている。
【0034】
光伝導アンテナ37から発生したテラヘルツパルス光L10は、放物面鏡等の曲面鏡48を経て平行光に変換された後、放物面鏡等の曲面鏡49及び後述する窓50を経て集光位置に集光される。
【0035】
テラヘルツパルス光L10の集光位置が、透過測定位置となっている。この透過測定位置には、後述する搬送装置76により、両面が垂直となるように保持された試料1の測定部位(所定の微小の領域)が配置される。図1には示していないが、図2に示すように、前記透過測定位置に試料1がセットされたことを検出する光センサ等からなる透過測定用試料設置検出器72が設けられている。なお、試料1の局所的な情報ではなく、例えば試料1の比較的広い領域の平均的な情報を得たり各局所的な情報の2次元分布を一括して得たりする場合には、テラヘルツパルス光L10を局所的に集光することなく試料1の面の比較的広い領域を照射するようにしてもよい。
【0036】
試料1を透過したテラヘルツパルス光L11は、後述する窓51を経て、放物面鏡等の曲面鏡52により平行光に変換された後、放物面鏡等の曲面鏡53により光伝導アンテナ47に集光され、光伝導アンテナ47によりその電場強度が検出されて電流信号(透過光検出信号に相当)に変換される。なお、テラヘルツパルス光L10,L11の光軸は、全て水平面内にある。
【0037】
図2に示す切替部61のスイッチ64がオンである場合には、光伝導アンテナ47で得られた電流信号が、透過測定用検出信号処理部91で信号処理されて、制御・演算処理部70に供給される。本実施の形態では、透過測定用検出信号処理部91は、反射測定用検出信号処理部81と同様に、電流−電圧変換器92と、ロックイン増幅器93と、A/D変換器94とから構成されている。光伝導アンテナ47で得られた電流信号は、電流−電圧変換器92で電圧信号に変換された後、ロックイン増幅器93により、バイアス電圧印加部60からの前記参照信号と同期してロックイン検出される。ロックイン増幅器93の出力信号は、透過測定位置にセットされた試料1を透過したテラヘルツ光の電場強度の検出信号として、A/D変換器94によりA/D変換され、これが制御・演算処理部70に供給される。
【0038】
本実施の形態では、同じ波形のテラヘルツパルス光L11が繰り返して到来することを利用して、前述した反射測定の場合と同様に、ポンプ−プローブ法を採用している。すなわち、テラヘルツ光発生器としての光伝導アンテナ47を作動させるポンプパルス光L10に対して、テラヘルツ光検出器としての光伝導アンテナ47を作動させるタイミングを時間τだけ遅らせることにより、遅延時間τだけ遅れた時点でのテラヘルツパルス光L11の電場強度を光伝導アンテナ47で測定できる。言い換えれば、プローブパルス光L9は、光伝導アンテナ47に対してゲートをかけていることになる。また、可動鏡42を徐々に移動させることは、遅延時間τを徐々に変えることにほかならない。ステージ19によってゲートをかけるタイミングをずらしながら、繰り返し到来するテラヘルツパルス光L11の各遅延時間τごとの時点の電場強度を光伝導アンテナ47から電気信号として順次得ることによって、テラヘルツパルス光L11の電場強度の時系列波形E(τ)を計測することができる。
【0039】
本実施の形態では、この透過測定の場合も、前述した反射測定の場合と同様に、テラヘルツパルス光L11の電場強度の時系列波形E(τ)の計測時には、制御・演算処理部70が、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器94からのデータを制御・演算処理部70内のメモリに順次格納する。これによって、最終的に、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形E(τ)を示すデータ全体をメモリに格納する。
【0040】
このような時系列波形E(τ)を示すデータを、試料1をテラヘルツパルス光L10の集光位置(透過測定位置)に置いた場合と置かない場合について取得する。なお、試料1を透過測定位置に置かない場合における前記データの取得は、初期動作として予め1回行っておくだけでよい。制御・演算処理部70は、これらのデータに基づいて、透過測定位置にセットされた試料1の所望の特性(情報)を求め、これを表示部74に表示させる。例えば、制御・演算処理部70は、公知の演算によって、試料1の複素誘電率を求め、これを表示部74に表示させる。もっとも、例えば、透過測定位置にセットされた試料1について時系列波形E(τ)を示すデータを得、当該時系列波形をフーリエ変換することで分光情報を得るだけでもよい。この場合、当該テラヘルツ光を用いた測定装置は分光装置となる。
【0041】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、前述した要素3〜14,16〜18,21〜23,26〜28によって、前記反射測定光学系が構成されている。また、前述した要素3,4,31〜33,35〜43,45〜49,52,53によって、前記透過測定光学系が構成されている。このように、反射測定光学系及び透過測定光学系は、一つのフェムト秒パルスレーザ3を共有している。
【0042】
ここで、反射測定光学系及び透過測定光学系の配置に着目すると、本実施の形態では、反射測定光学系におけるテラヘルツパルス光L6,L7の光路長と、透過測定光学系におけるテラヘルツパルス光L10,L11の光路長とが、異なっている。これは、透過測定光学系では、曲面鏡49と曲面鏡52との間に平面鏡を設置せずに試料1を置くのに対し、反射測定光学系では、曲面鏡22と曲面鏡27との間に平面鏡23,26を設置して試料1を置き、試料1で反射させているためである。すなわち、透過測定光学系では、測定時に試料1がテラヘルツパルス光L10,L11の水平光軸上に位置するのに対し、反射測定光学系では、テラヘルツパルス光L6,L7の水平光軸上に試料1を設置することが困難であるためである。本実施の形態では、このように反射測定光学系と透過測定光学系との間のテラヘルツパルス光の光路長の差異に応じて、フェムト秒パルスレーザ3から光伝導アンテナ11,18,37,47の各々に至る光路長を適切に設定している。
【0043】
図1に示すように、筐体2内には、真空引き可能な1つのチャンバー100が形成されている。図1において、101,102はこのチャンバー100の壁部を示し、壁部101を示すラインと壁部102を示すラインとの間がチャンバー100内の領域である。図面には示していないが、壁部101には、真空ポンプ(図示せず)等と接続可能な接続口を有し、当該真空ポンプ等によってチャンバー100を真空引きしたりパージしたりできるようになっている。筐体2内の領域のうちチャンバー100外の領域は、大気領域である。なお、図4からも理解できるように、筐体2を形成する部材の一部とチャンバー100を形成する部材の一部とは、共通化されている。
【0044】
図1に示すように、反射測定光学系における光伝導アンテナ11から光伝導アンテナ18までのテラヘルツ光学系、前記要素10,16,17、透過測定光学系における光伝導アンテナ37から光伝導アンテナ47までのテラヘルツ光学系、及び、前記要素35,36,45,46は、チャンバー100内に収容されている。一方、筐体2内に収容された要素のうち、他の要素は、チャンバー100外の大気領域に配置されている。
【0045】
前記窓9,15,34,44は、図1に示すように、壁部101に設けられているが、筐体2の外部には臨んでいない。前記窓24は、図3に示すように、壁部101に設けられ、筐体2の外部に臨んでいる。図4に示すように、筐体2の上部には、外部上方に開口した凹部110が形成されている。この凹部110の壁部は前記チャンバー100の壁部102で構成され、凹部110はチャンバー100の外側から凹んでいる。図1において、壁部102を示すラインにより囲まれた領域は、凹部110内の領域であり、大気領域である。前記窓50,51は、図1及び図4に示すように、凹部110を挟んで対向するように、この壁部102に設けられている。これにより、前記窓50,51は、筐体2の外部に臨んでいる。凹部110内が、試料1の前述した透過測定位置となっている。後述する搬送装置76により試料1が凹部110内に挿入されることで、試料1が透過測定位置に設置されるようになっている。
【0046】
前記窓9,15,34,44を構成する材料としては、例えば、石英やガラスなどを挙げることができる。これらの材料は、機械的な強度及び近赤外レーザ光の透過率が比較的高いので、好ましい。また、前記窓24,50,51を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、石英、ポリメチルペンテン、サファイア、Si、GaAs、Ge、MgO、ポリテトラフルオロエチレン、ダイヤモンドなどを挙げることができる。これらの材料は、テラヘルツパルス光の透過率が比較的高いので、好ましい。
【0047】
搬送装置76は、例えば、多軸の搬送ロボット等で構成される。本実施の形態では、搬送装置76は、図4に示すように、独立して作動可能な2本のアーム77を備えている。各アーム77は、その先端に、試料1を把持する把持部77aを有している。搬送装置76は、制御・演算処理部70から外部通信用ポート(図2参照)を介して供給される制御信号に従って、各アーム77の把持部77aで試料1を把持することで、試料1の保管部(図示せず)から試料1を前記試料ホルダ25上の反射測定位置に搬送したり、試料1をこの反射測定位置から搬送し前記凹部110内に挿入して透過測定位置に設置したり、試料1をこの透過測定位置から前記保管部(あるいは、必要に応じて他の保管部等)に搬送したりすることができるようになっている。
【0048】
制御・演算処理部70は、図2に示すように、操作部73からの指令に応じて、第1乃至第4の測定モードのうちのいずれかを選択する測定モード選択信号を、切替部61に供給する。第1の測定モードは、前記反射測定位置に試料1がセットされるとともに前記透過測定位置に他の試料1がセットされたときに、反射測定位置にセットされた試料1について反射測定を行うと同時に、透過測定位置にセットされた試料1について透過測定を行う測定モード(「反射・透過同時測定モード」と呼ぶ。)であり、かつ、1つの試料1について反射測定と透過測定とを順次に行う測定モードである。第2の測定モードは、反射・透過同時測定モードであるが、1つの試料1については反射測定及び透過測定のうちのいずれか一方のみを行う測定モードである。第3の測定モードは、いずれの試料1についても、透過測定を行うことなく、反射測定のみを行う測定モードである。第4の測定モードは、いずれの試料1についても、反射測定を行うことなく、透過測定のみを行う測定モードである。
【0049】
切替部61は、制御・演算処理部70からの測定モード選択信号に応じて、切替部61が有するスイッチ62〜65の各オン・オフ状態を切り替えるようになっている。前記第1及び第2の測定モードの場合には、スイッチ62〜65がオンにされる。前記第3の測定モードの場合には、スイッチ62,63がオンにされるとともに、スイッチ64,65がオフにされる。前記第4の測定モードの場合には、スイッチ62,63がオフにされるとともに、スイッチ64,65がオンにされる。
【0050】
試料1が反射測定位置にセットされている際の反射測定の動作、及び、試料1が透過測定位置にセットされている際の透過測定の動作については、既に説明した。制御・演算処理部70は、操作部73からの指令に応じて、これらの個別動作と搬送装置76に対する制御とを組み合わせることで、前述した各測定モードを実現する。なお、必要に応じて、反射測定位置に前記参照試料をセットした際の反射測定データや透過測定位置に試料1をセットしていない際の透過測定データを予め取得しておき、これらのデータを制御・演算処理部70のメモリ内に格納しておく。
【0051】
次に、操作部73から前記第1の測定モードが指令された場合の動作の具体例について、図5を参照して説明する。図5は、本実施の形態による測定装置の第1の測定モードの動作の具体例を示す概略フローチャートである。
【0052】
操作部73から第1の測定モードが指令されると、制御・演算処理部70は、まず、第1の測定モードを示す選択信号を切替部61に供給する(ステップS1)。なお、操作者は、第1の測定モードを指令する際に、操作部73を操作して、前記保管部に保管されている試料1のうち何個の試料1について反射・透過測定を行うかを指定しておく。ここでは、この個数をN個とする。Nは、通常は2以上とされるが、1としてもよい。
【0053】
次に、制御・演算処理部70は、制御・演算処理部70内のメモリに記憶されたカウント値nを1にセットする(ステップS2)。
【0054】
次いで、制御・演算処理部70は、搬送装置76を制御して、n番目の試料1を前記保管部から反射測定位置に搬送させる(ステップS3)。その後、制御・演算処理部70は、反射測定用試料設置検出器71からの検出信号に基づいて、試料1が前記反射測定位置にセットされたか否かを判定する(ステップS4)。試料1が反射測定位置にセットされていればステップS5へ移行し、そうでなければステップS3へ戻る。
【0055】
ステップS5において、制御・演算処理部70は、前述したように、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器84からのデータを制御・演算処理部70内のメモリに順次格納することで、反射測定位置にセットされた試料1の反射測定データを取得する。そして、制御・演算処理部70は、必要に応じて、この反射測定データに基づいて当該試料1の複素誘電率や分光情報などを演算する。
【0056】
次に、制御・演算処理部70は、カウント値nがNか否かを判定し(ステップS6)、NでなければステップS7へ移行する一方、NであればステップS12へ移行する。
【0057】
ステップS7において、制御・演算処理部70は、搬送装置76を制御して、n番目の試料1を反射測定位置から透過測定位置へ搬送させるとともに、n+1番目の試料1を前記保管部から反射測定位置へ搬送させる(ステップS7)。
【0058】
次に、制御・演算処理部70は、各試料位置設置検出器71,72からの検出信号に基づいて、各試料1が反射測定位置及び透過測定位置にそれぞれセットされたか否かを判定する(ステップS8)。各試料1が両測定位置にそれぞれセットされていなければステップS7へ戻り、セットされていればステップS9へ移行する。
【0059】
ステップS9において、制御・演算処理部70は、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、各A/D変換器84,94からのデータをそれぞれ制御・演算処理部70内のメモリに順次格納することで、反射測定位置及び透過測定位置にそれぞれセットされた各試料1の反射測定データ及び透過測定データを取得する。そして、制御・演算処理部70は、必要に応じて、この反射測定データ及び透過測定データにそれぞれ基づいて当該各試料1の複素誘電率や分光情報などを演算する。
【0060】
次に、制御・演算処理部70は、搬送装置76を制御して、n番目の試料1を前記保管部へ搬送させる(ステップS10)。次いで、制御・演算処理部70は、カウント値nを1だけカウントアップし(ステップS11)、ステップS7へ戻る。
【0061】
一方、ステップS6においてカウント値nがNであると判定されると、ステップS12において、制御・演算処理部70は、搬送装置76を制御して、n番目の試料1を反射測定位置から透過測定位置へ搬送させる。次に、制御・演算処理部70は、透過測定用試料設置検出器72からの検出信号に基づいて、試料1が前記透過測定位置にセットされたか否かを判定する(ステップS13)。試料1が透過測定位置にセットされていればステップS14へ移行し、そうでなければステップS12へ戻る。
【0062】
ステップS14において、制御・演算処理部70は、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器94からのデータを制御・演算処理部70内のメモリに順次格納することで、透過測定位置にセットされた試料1の透過測定データを取得する。そして、制御・演算処理部70は、必要に応じて、この透過測定データに基づいて当該試料1の複素誘電率や分光情報などを演算する。
【0063】
その後、制御・演算処理部70は、搬送装置76を制御して、n番目の試料1を前記保管部へ搬送させ(ステップS15)、第1の測定モードの一連の動作を終了する。
【0064】
以上、操作部73から前記第1の測定モードが指令された場合の動作の具体例について説明した。操作部73から前記第2の測定モードが指令された場合には、前記保管部に格納されている複数の試料1のうちの、反射測定を行うべき一群の試料1を順次反射測定位置に搬送させるとともに、透過測定を行うべき他の一群の試料1を順次透過測定位置に搬送させ、ある試料1が反射測定位置にセットされかつ他の試料1が透過測定位置にセットされているときに、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、各A/D変換器84,94からのデータをそれぞれ制御・演算処理部70内のメモリに順次格納することで、反射測定位置及び透過測定位置にそれぞれセットされた各試料1の反射測定データ及び透過測定データを取得すればよい。そして、この場合には、反射測定又は透過測定が終了した試料1は、透過測定位置又は反射測定位置に搬送することなく、前記保管部に格納させればよい。
【0065】
また、操作部73から前記第3の測定モードが指令された場合には、前記保管部に格納されている複数の試料1を順次反射測定位置に搬送させ、試料1が反射測定位置にセットされているときに、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器84からのデータを制御・演算処理部70内のメモリに順次格納することで、反射測定位置にセットされた試料1の反射測定データを取得すればよい。このとき、透過測定位置には試料1を搬送しない。
【0066】
さらに、操作部73から前記第4の測定モードが指令された場合には、前記保管部に格納されている複数の試料1を順次透過測定位置に搬送させ、試料1が透過測定位置にセットされているときに、ステージ19に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器94からのデータを制御・演算処理部70内のメモリに順次格納することで、透過測定位置にセットされた試料1の透過測定データを取得すればよい。このとき、反射測定位置には試料1を搬送しない。
【0067】
本実施の形態によれば、反射測定光学系及び透過測定光学系を有しているので、前記第1及び第2の測定モードのように、試料1で反射されたテラヘルツパルス光による反射測定、及び、試料1を透過したテラヘルツパルス光による透過測定の両方を行うことできる。そして、本実施の形態では、反射測定光学系及び透過測定光学系が1つの筐体2内に収容されているので、装置全体の低価格化を図ることができるとともに、装置全体として占有空間を抑えることができる。透過測定及び反射測定の両方を行う場合、それぞれ別々の装置として構成された透過測定用テラヘルツ光装置及び反射測定用テラヘルツ光装置の両方を用意すると、両装置全体としての価格が著しく増大するとともに、両装置全体としての占有空間が大きくなってしまう。
【0068】
また、本実施の形態では、反射測定光学系及び透過測定光学系が1つのフェムト秒パルスレーザ3を共有しているので、フェムト秒パルスレーザは非常に高価であることから、フェムト秒パルスレーザを各光学系に対して1つずつ設ける場合に比べて、著しくコストを低減することができるとともに、装置をより小型化することができる。
【0069】
さらに、本実施の形態では、ポンプ−プローブ法で不可欠な前記第1及び第2の光路長可変部が1つの光路長可変用移動機構としてのステージ19を共有しているので、高精度の移動機構は非常に高価であることから、移動機構を各光路長可変部にそれぞれ設ける場合に比べて、著しくコストを低減することができるとともに、装置をより小型化することができる。
【0070】
そして、本実施の形態では、前記第1及び第2の測定モードにおいて、搬送装置76によって反射測定位置及び透過測定位置に試料1がそれぞれ搬送され、反射測定位置及び透過測定位置にそれぞれ試料1がセットされたときに、演算処理部70が、透過測定部及び反射測定部を同時に作動させる制御信号(本実施の形態では、ステージ19への制御信号)を出力し、並列に設けられた各検出信号処理部81,91でそれぞれ処理されたテラヘルツ光検出信号を測定データとして取り込むので、流れ作業の如く、透過測定及び反射測定の両方を同時に効率良く行うことができる。特に測定すべき試料1が大量にある場合には、その効果は著しい。なお、本実施の形態のように、前記第1乃至第4の測定モードを行うように構成することが好ましいが、本発明では、前記第1及び第2の測定モードのうちの少なくとも一方のみを行うように構成してもよい。
【0071】
なお、透過測定用テラヘルツ光装置と反射測定用テラヘルツ光装置の2台の装置を用いれば、透過測定及び反射測定を同時に行うことは可能であるが、この場合には、装置の操作者が、それぞれの装置に対して操作をしなければならず、それらの測定を効率良く行うことができない。これに対し、本実施の形態では、そのような不都合が生じることがない。
【0072】
[第2の実施の形態]
【0073】
図6は、本発明の第2の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の光学的な構成を模式的に示す概略構成図である。図6において、図1中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0074】
本実施の形態による測定装置が前記第1の実施の形態による測定装置と異なる所は、その光学的な構成の一部のみである。
【0075】
すなわち、前記第1の実施の形態では、フェムト秒パルスレーザ3からのフェムト秒パルス光L1をビームスプリッタ4によって反射測定用パルス光L2と透過測定用パルス光L3とに分割した後に、ビームスプリッタ6によって反射測定用パルス光L2を反射測定用ポンプパルス光L4と反射測定用プローブパルス光L5とに分割するとともに、ビームスプリッタ31によって透過測定用パルス光L3を透過測定用ポンプパルス光L8と透過測定用プローブパルス光L9とに分割している。そして、反射測定用プローブパルス光L5を可動鏡13に入射させるとともに、透過測定用プローブパルス光L9を可動鏡42に入射させている。
【0076】
これに対し、本実施の形態では、図6に示すように、フェムト秒パルスレーザ3からのフェムト秒パルス光L1を先にビームスプリッタ111によってポンプパルス光L12とプローブパルス光L13とに分割した後に、ビームスプリッタ112によってポンプパルス光L12を反射測定用ポンプパルス光L4と透過測定用ポンプパルス光L8とに分割するとともに、ビームスプリッタ124によってプローブパルス光L13を反射測定用プローブパルス光L5と透過測定用プローブパルス光L9とに分割している。そして、プローブパルス光L13をステージ19に搭載された1つの可動鏡123に送ることで、ビームスプリッタ124による分割後の各測定用プローブパルス光L5,L9の光路長を可変できるようになっている。なお、図6において、113,114,121,122,125〜129は、平面鏡である。
【0077】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、前記第1の実施の形態では2つの可動鏡13,42を要していたのに対し、本実施の形態では1つの可動鏡123で済む。このため、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と比較して、プローブパルス光L5,L9となるフェムト秒パルスレーザ光L1,L13の光軸を調整するのが容易となるとともに、より小型化及びコスト低減を図ることができる。
【0078】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0079】
例えば、前記実施の形態は、本発明をテラヘルツ光を用いた複素誘電率等の測定装置に適用した例であったが、本発明は、テラヘルツ光を用いた他の種々のテラヘルツ光を用いた測定装置に適用することができる。
【0080】
また、前記各実施の形態において、各テラヘルツ光発生器として、光伝導アンテナ11,37を用いる代わりに、電気光学結晶をそれぞれ用いてもよい。また、各テラヘルツ光検出器として、光伝導アンテナ18,47を用いる代わりに、電気光学結晶をそれぞれ用いてもよい。この場合、例えば、テラヘルツパルス光L6,L10が各測定位置にセットされた試料1の2次元領域をそれぞれ照射するようにし、テラヘルツパルス光L7,L11が各電気光学結晶の2次元領域を照射するようにし、各プローブパルス光を偏光子で偏光させて各電気光学結晶の前記2次元領域を照射し、各電気光学結晶を通過したプローブパルス光を検光子で検光した後に各CCDカメラで受光するようにしてもよい。この場合、一方のCCDカメラによりテラヘルツパルス光の試料反射像に相当する像を得ることができるとともに、他方のCCDカメラによりテラヘルツパルス光の試料透過像に相当する像を得ることができる。このとき、CCDカメラは、大気領域に配置してもよい。このように、本発明は、イメージ化装置にも適用することができる。なお、前述したイメージ化装置のようにポンプ−プローブ法を用いない場合には、前述した第1及び第2の光路長可変部は必ずしも必要ではない。
【0081】
また、前記各実施の形態では、プローブパルス光をステージ19に搭載された可動鏡に送るように構成されていたが、逆に、ポンプパルス光をステージに搭載された可動鏡に送るように構成することで、両者の間の光路長を可変できるようにしてもよい。
【0082】
以上説明した実施の形態では、試料の表面の物質特性を反射測定により得ることができ、かつ試料の内部の物質特性を透過測定により得ることができる。例えば、半導体ウエハでは表面の薄膜の電気的特性と内部の電気的特性とを得ることができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、透過測定及び反射測定の両方を同時に効率良く行うことができるテラヘルツ光を用いた測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の光学的な構成を模式的に示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の電気的な構成を模式的に示す概略構成図である。
【図3】図1中のA矢視の概略図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の透過測定光学系及び反射測定光学系を収容した筐体等を示す外観図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の第1の測定モードの動作の具体例を示す概略フローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置の光学的な構成を模式的に示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 試料(対象物)
2 筐体
3 フェムト秒パルスレーザ(パルス光発生部)
11,37 光伝導アンテナ(テラヘルツ光発生器)
13,42 可動鏡(光路長可変用光学素子)
18,47 光伝導アンテナ(テラヘルツ光検出器)
19 ステージ(光路長可変用移動機構)
25 試料ホルダ
70 制御・演算処理部
76 搬送装置
Claims (3)
- 透過測定位置にセットされた対象物にテラヘルツパルス光を照射し、当該対象物を透過したテラヘルツパルス光を検出して透過光検出信号を出力する透過測定部と、
反射測定位置にセットされた対象物にテラヘルツパルス光を照射し、当該対象物を反射したテラヘルツパルス光を検出して反射光検出信号を出力する反射測定部と、
前記透過測定位置及び前記反射測定位置にそれぞれ対象物を搬送する搬送部と、
前記搬送部により前記透過測定位置及び前記反射測定位置にそれぞれ対象物がセットされたときに、前記透過測定部及び前記反射測定部を同時に作動させる制御信号を出力する制御部と、
を備え、
前記透過測定部及び前記反射測定部は、レーザパルス光を発生する1つのパルス光発生部を共有し、前記レーザパルス光に基づいて前記透過光検出信号及び前記反射光検出信号をそれぞれ同時に出力することを特徴とするテラヘルツ光を用いた測定装置。 - 前記搬送部は、複数の対象物を順次、前記透過測定部及び前記反射測定部のうちの一方の測定部による測定終了後、他方の測定部の測定位置に搬送するとともに前記一方の測定部の測定位置に次の対象物を搬送することを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ光を用いた測定装置。
- 前記透過測定部と前記反射測定部とに共通して使用され、前記対象物からのテラヘルツパルス光を時系列的に検出する為に検出用の前記レーザパルス光の光路長を可変とするステージを有することを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ光を用いた測定装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008134094A (ja) * | 2006-11-27 | 2008-06-12 | Hamamatsu Photonics Kk | テラヘルツ電磁波発生装置およびテラヘルツ電磁波検出装置 |
US7963168B2 (en) | 2007-08-31 | 2011-06-21 | Canon Kabushiki Kaisha | Inspection apparatus and inspection method using electromagnetic wave |
WO2011105040A1 (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-01 | アイシン精機株式会社 | 塗装膜の検査装置および検査方法 |
-
2003
- 2003-05-15 JP JP2003138019A patent/JP2004340763A/ja active Pending
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