JP2004279352A - テラヘルツ光を用いた測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】透過測定及び反射測定の両方を行う。しかも、コスト及び占有空間を低減する。
【解決手段】照射光学系31〜35は、互いに異なる位置に配置される反射測定用対象物1及び透過測定用対象物2のいずれか一方に選択的に、テラヘルツ光発生器3から発生したテラヘルツパルス光を導く。受光光学系41〜45は、照射光学系の選択状態に応じて、対象物2を反射したテラヘルツパルス光及び対象物3を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、テラヘルツ光検出器4に導く。切替ステージ5によって、放物面鏡32,42を矢印Cの方向に移動させることで、反射測定と透過測定とを切り替える。
【選択図】 図1
【解決手段】照射光学系31〜35は、互いに異なる位置に配置される反射測定用対象物1及び透過測定用対象物2のいずれか一方に選択的に、テラヘルツ光発生器3から発生したテラヘルツパルス光を導く。受光光学系41〜45は、照射光学系の選択状態に応じて、対象物2を反射したテラヘルツパルス光及び対象物3を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、テラヘルツ光検出器4に導く。切替ステージ5によって、放物面鏡32,42を矢印Cの方向に移動させることで、反射測定と透過測定とを切り替える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テラヘルツパルス光を用いたテラヘルツ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テラヘルツ光は、周波数がおおよそ0.01THzから100THzまでの範囲の電磁波である。従来から、テラヘルツパルス光を用いた種々のテラヘルツ光を用いた測定装置(例えば、分光装置、誘電率測定装置、検査装置、イメージ化装置など)が提供されている。このような従来のテラヘルツ光を用いた測定装置では、対象物にテラヘルツパルス光を照射して当該対象物を透過したテラヘルツパルス光を検出するもの(説明の便宜上、「透過測定用テラヘルツ光装置」と呼ぶ。)と、対象物にテラヘルツパルス光を照射して当該対象物で反射したテラヘルツパルス光を検出する装置(説明の便宜上、「反射測定用テラヘルツ光装置」と呼ぶ。)とが、それぞれ別々の装置として提供されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、半導体の電気特性評価装置として構成された透過測定用テラヘルツ光装置が具体的に開示されている。また、特許文献1では、具体的な構成の開示はないが、半導体の電気特性評価装置を反射測定用テラヘルツ光装置として構成し得る旨も、言及されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、対象物の複素誘電率や複素屈折率を測定する装置として構成された透過測定用テラヘルツ光装置と、対象物の複素誘電率や複素屈折率を測定する装置として構成された反射測定用テラヘルツ光装置が、それぞれ別々の装置として開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−98634号公報
【特許文献2】
特開2002−277393号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
対象物によっては、当該対象物を透過したテラヘルツパルス光を検出する透過測定を行う方が好ましいものや、当該対象物で反射したテラヘルツパルス光を検出する反射測定を行う方が好ましいものもある。また、同一の対象物であっても、例えば、その性質等を観察する上で、透過測定及び反射測定の両方を行うことが好ましい場合もある。
【0007】
しかしながら、前記従来のテラヘルツ光を用いた測定装置は、透過測定用テラヘルツ光装置及び反射測定用テラヘルツ光装置のうちのいずれかとして構成されているだけであった。このため、透過測定及び反射測定の両方を行う場合には、それぞれ別々の装置として構成された透過測定用テラヘルツ光装置及び反射測定用テラヘルツ光装置の両方を用意しなければならなかった。したがって、両装置全体としての価格が著しく増大するとともに、両装置全体としての占有空間が大きくなる欠点があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、透過測定及び反射測定の両方を行うことができ、しかも、コスト及び占有空間を低減することができるテラヘルツ光を用いた測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、テラヘルツパルス光を発生するテラヘルツ光発生器と、テラヘルツパルス光を検出するテラヘルツ光検出器と、互いに異なる位置に配置される反射測定用対象物及び透過測定用対象物のいずれか一方に選択的に、前記テラヘルツ光発生器から発生したテラヘルツパルス光を導く照射光学系と、前記照射光学系の選択状態に応じて、前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光及び前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、前記テラヘルツ光検出器に導く受光光学系と、切替機構と、を備えたものである。そして、この第1の態様では、前記照射光学系は可動の第1の反射光学素子を含み、前記受光光学系は可動の第2の反射光学素子を含む。前記切替機構は、(a)前記第1の反射光学素子が、前記照射光学系の光軸上にあって前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光を前記反射測定用対象物に導く第1の位置に位置するとともに、前記第2の反射光学素子が、前記受光光学系の光軸上にあって前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光を前記テラヘルツ光検出器に導く第2の位置に位置する第1の切替状態と、(b)前記第1の反射光学素子が、前記第1の位置に位置するときと同じ姿勢で、前記照射光学系の光軸上にあって前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光を前記透過測定用対象物に導く第3の位置に位置するとともに、前記第2の反射光学素子が、前記第2の位置に位置するときと同じ姿勢で、前記受光光学系の光軸上にあって前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光を前記テラヘルツ光検出器に導く第4の位置に位置する第2の切替状態とに、択一的に切り替えるものである。
【0010】
本発明の第2の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、テラヘルツパルス光を発生するテラヘルツ光発生器と、テラヘルツパルス光を検出するテラヘルツ光検出器と、互いに異なる位置に配置される反射測定用対象物及び透過測定用対象物のいずれか一方に選択的に、前記テラヘルツ光発生器から発生したテラヘルツパルス光を導く照射光学系と、前記照射光学系の選択状態に応じて、前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光及び前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、前記テラヘルツ光検出器に導く受光光学系と、切替機構と、を備えたものである。そして、この第2の態様では、前記照射光学系は、可動の第1の反射光学素子及び固定の第2の反射光学素子を含む。前記受光光学系は、可動の第3の反射光学素子及び固定の第4の反射光学素子を含む。前記切替機構は、(a)前記第1の反射光学素子が前記照射光学系の光軸上の第1の位置に位置するとともに、前記第3の反射光学素子が前記受光光学系の光路から退避した第3の位置に位置する第1の切替状態と、(b)前記第1の反射光学素子が前記照射光学系の光路から退避した第2の位置に位置するとともに、前記第3の反射光学素子が前記受光光学系の光軸上の第4の位置に位置する第2の切替状態とに、択一的に切り替えるものである。前記照射光学系は、前記第1の反射光学素子が前記第1の位置に位置する場合には、前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光を、前記第1の反射光学素子を経由しかつ前記第2の反射光学素子を経由することなく前記反射測定用対象物(又は前記透過測定用対象物)に選択的に導くとともに、前記第1の反射光学素子が前記第2の位置に位置する場合には、前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光を、前記第2の反射光学素子を経由しかつ前記第1の反射光学素子を経由することなく前記透過測定用対象物(又は前記反射測定用対象物)に選択的に導く。前記受光光学系は、前記第3の反射光学素子が前記第3の位置に位置する場合には、前記反射測定用対象物を反射した(又は前記透過測定用対象物を透過した)テラヘルツパルス光を、前記第4の反射光学素子を経由しかつ前記第3の反射光学素子を経由することなく前記テラヘルツ光検出器に導くとともに、前記第3の反射光学素子が前記第4の位置に位置する場合には、前記透過測定用対象物を透過した(又は前記反射測定用対象物を反射した)テラヘルツパルス光を、前記第3の反射光学素子を経由しかつ前記第4の反射光学素子を経由することなく前記テラヘルツ光検出器に導く。
【0011】
本発明の第3の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、テラヘルツパルス光を発生するテラヘルツ光発生器と、テラヘルツパルス光を検出するテラヘルツ光検出器と、反射測定用対象物及び透過測定用対象物のいずれか一方に選択的に、前記テラヘルツ光発生器から発生したテラヘルツパルス光を導く照射光学系と、前記照射光学系の選択状態に応じて、前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光及び前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、前記テラヘルツ光検出器に導く受光光学系と、切替機構と、を備えたものである。この第3の態様では、前記照射光学系は固定の第1の反射光学素子を含み、前記受光光学系は固定の第2の反射光学素子を含む。前記切替機構は、(a)前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光が前記第1の反射光学素子を経由して前記反射測定用対象物に照射し、かつ、前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光が前記第2の反射光学素子を経由して前記テラヘルツ光検出器に導かれる位置に、前記照射光学系及び前記受光光学系のうちの反射測定専用の光学系並びに前記反射測定用対象物が位置する第1の切替状態と、(b)前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光が前記第1の反射光学素子を経由して前記透過測定用対象物を照射し、かつ、前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光が前記第2の反射光学素子を経由して前記テラヘルツ光検出器に導かれる位置に、前記照射光学系及び前記受光光学系のうちの透過測定専用の光学系並びに前記透過測定用対象物が位置する第2の切替状態とに、前記反射測定専用の光学系及び前記透過測定専用の光学系を着脱することなく、択一的に切り替えるものである。
【0012】
本発明の第4の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記第1及び第2の切替状態のいずれにおいても、前記テラヘルツ光発生器から前記テラヘルツ光検出器までのテラヘルツパルス光の光路長が略等しいものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるテラヘルツ光を用いた測定装置について、図面を参照して説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を模式的に示す概略構成図である。理解を容易にするため、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する(後述する図についても同様である。)。また、Y軸方向のうち矢印の向きを+Y方向、その反対の向きを−Y方向と呼び、X軸方向及びZ軸方向についても同様とする。XY平面が水平面、Z軸方向が鉛直方向、+Z方向が上方向となっている。図2は、図1中のA矢視の概略図である。図3は、図1中のB矢視の概略図である。図4は、図3に対応する変形例を示す図である。図5は、図1に示すテラヘルツ光を用いた測定装置の透過測定用試料2を保持する試料ホルダ等を示す外観図である。
【0016】
本実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、測定対象物としての試料1,2の複素誘電率等を測定する測定装置として構成され、課題を解決するための手段の欄で説明した第1の態様による測定装置の具体例である。
【0017】
本実施の形態による測定装置は、互いに異なる位置に配置される反射測定用試料1及び透過測定用試料2のいずれか一方に選択的に、テラヘルツ光発生器3から発生したテラヘルツパルス光を導く照射光学系と、該照射光学系の選択状態に応じて、反射測定用試料1を反射したテラヘルツパルス光及び透過測定用試料2を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、テラヘルツ光検出器4に導く受光光学系と、反射測定と透過測定とを切り替えるための切替機構としての切替ステージ5と、を備えている。
【0018】
本実施の形態では、前記照射光学系は、図1乃至図3に示すように、放物面鏡31,32及び平面鏡33〜35で構成されている。前記受光光学系は、図1乃至図3に示すように、放物面鏡41,42及び平面鏡43〜45で構成されている。本実施の形態では、切替ステージ5は、一軸のステージであり、図1中の矢印Cで示すようにX軸方向に移動可能となっている。放物面鏡32,42はそれぞれ、切替ステージ5に搭載され、−X側の図1中の実線で示す位置と+X側の図1中の破線で示す位置とに位置し得るようになっている。放物面鏡32,42はいずれの位置においても同じ姿勢を保っている。放物面鏡32は、前述した第1の態様における可動の第1の反射光学素子に相当している。放物面鏡42は、前述した第1の態様における可動の第2の反射光学素子に相当している。
【0019】
また、本実施の形態による測定装置は、テラヘルツ光発生器3にポンプパルス光L2を供給するとともに、テラヘルツ光検出器4にプローブパルス光(サンプリング光)L3を供給する光学系も、備えている。この光学系は、レーザ光源11、ビームスプリッタ12、集光レンズ14、可動鏡(平行折り返しミラー)15、平面鏡17,18,20及び集光レンズ21で構成されている。この光学系、テラヘルツ光発生器3、テラヘルツ光検出器4、前記照射光学系及び前記受光光学系は、筐体6内に収容されている。
【0020】
図1に示すように、筐体6内には、真空引き可能なチャンバー7が形成されている。図1において、7a,7bはこのチャンバー7の壁部を示し、壁部7aを示すラインと壁部7bを示すラインとの間がチャンバー7内の領域である。図面には示していないが、壁部7aには、真空ポンプ(図示せず)等と接続可能な接続口を有し、当該真空ポンプ等によってチャンバー7を真空引きしたりパージしたりできるようになっている。筐体6内の領域のうちチャンバー7外の領域は、大気領域である。なお、図2及び図3からも理解できるように、筐体6を形成する部材の一部とチャンバー7を形成する部材の一部とは、共通化されている。
【0021】
さらに、本実施の形態による測定装置は、後述する電気系の要素51〜56等も備えている。
【0022】
まず、反射測定用試料1について反射測定を行う場合の本実施の形態による測定装置の動作について、説明する。
【0023】
この場合、コンピュータ等からなる制御・演算処理部54により切替ステージ5が制御されて、放物面鏡32,42が図1中の実線で示す位置に位置する(第1の切替状態)。すなわち、放物面鏡32が前記照射光学系の光軸上のa点の位置(前述した第1の態様における第1の位置に相当)に位置するとともに、放物面鏡42が前記受光光学系の光軸上のb点の位置(前述した第1の態様における第2の位置に相当)に位置する。本実施の形態では、a点は、放物面鏡31のX軸方向に延びる射出光軸と平面鏡33のY軸方向に延びる入射光軸との交点となっている。b点は、平面鏡43のY軸方向に延びる射出光軸と放物面鏡41のX軸方向に延びる入射光軸との交点となっている。
【0024】
図1に示すように、パルス光発生部としてのレーザ光源11から発生された例えばフェムト秒パルス光(数十フェムト秒のパルス幅の近赤外光)L1が、ビームスプリッタ12で2つに分割されて、それぞれポンプパルス光L2とプローブパルス光L3になる。
【0025】
ポンプパルス光L2は、チャンバー7の壁部7aに設けられた窓13及び集光レンズ14を経て、ダイポールアンテナ等の光伝導アンテナなどからなるテラヘルツ光発生器3に入射する。集光レンズ14は、効率良くテラヘルツパルス光を発生させるために設けることが好ましい。なお、テラヘルツ光発生器3として、光伝導アンテナに代えて電気光学結晶などの他のテラヘルツ光発生器を用いてもよい。バイアス電圧印加部56からのバイアス電圧が、テラヘルツ光発生器3に印加されている。なお、本実施の形態では、バイアス電圧印加部56は、テラヘルツ光検出のSN比を向上するために、パルス状に変調されたバイアス電圧を出力するとともに、後述するロックイン増幅のための参照信号(バイアス電圧に同期した信号)を出力する。本実施の形態では、テラヘルツ光発生器3は、バイアス電圧が印加されている状態で、ポンプパルス光L2が入射されることにより励起されて、テラヘルツパルス光L4を発生する。
【0026】
一方、プローブパルス光L3は、光路長可変用光学素子としての2枚もしくは3枚の平面鏡が組み合わされてなる可動鏡(平行折り返しミラー)15、平面鏡17,18、チャンバー7の壁部7aに設けられた窓19、平面鏡20及び集光レンズ21を経て、ダイポールアンテナ等の光伝導アンテナなどからなるテラヘルツ光検出器4へ導かれる。集光レンズ21は、効率良くテラヘルツパルス光を検出するために設けることが好ましい。なお、テラヘルツ光検出器4として、光伝導アンテナに代えて電気光学結晶などの他のテラヘルツ光検出器を用いてもよい。
【0027】
プローブパルス光L3の光路上に配置された可動鏡15は、制御・演算処理部54による制御下で、一軸のステージ16により図1中の矢印Dで示すようにX軸方向に移動可能となっている。可動鏡15の移動量に応じて、プローブパルス光L3の光路長が変わる。テラヘルツ光発生器3から発生したテラヘルツパルス光がテラヘルツ光検出器4に到達している期間とプローブパルス光L3がテラヘルツ光検出器4に到達するタイミングを一致させる必要がある。また、いわゆるポンプ−プローブ法により、テラヘルツパルス光の時系列波形を得るためには、前記期間内におけるプローブパルス光L3のタイミングを変える必要がある。このため、本実施の形態では、光路長可変部として可動鏡15及びステージ16が設けられているのである。
【0028】
反射測定では、テラヘルツ光発生器3から発生した拡散光束のテラヘルツパルス光L4は、放物面鏡31を経て平行光束に変換されて+X方向に進行した後、a点に位置する放物面鏡32によって、その光軸が+Y方向に折り曲げられるとともに収束光束となる。そして、この収束光束となったテラヘルツパルス光は、平面鏡33及び後述する窓61を経て集光位置に集光される。図1及び図2に示すように、テラヘルツパルス光L4の光軸は、テラヘルツ光発生器3から平面鏡33までの間では同一水平面内にあるが、平面鏡33の向きが図示のように設定されることにより、平面鏡33と前記集光位置との間では上側に立ち上げられている。なお、放物面鏡31,32の代わりに、楕円鏡等の曲面鏡を用いてもよい。
【0029】
a点に位置する放物面鏡32及び平面鏡33によるテラヘルツパルス光L4の集光位置には、図2に示すように、試料1を保持するホルダとしての試料載置台となる筐体6の上面部により、下面が水平面となるように保持された試料1の当該下面の測定部位(所定の微小の領域)が配置される。筐体6の上面部のこの箇所には、テラヘルツパルス光を透過させる窓61が形成されている。筐体6の上面部のこの箇所に試料1を単に載置するだけで、試料1が重力で保持される。もっとも、本発明では、試料1を保持する試料ホルダは、このような構成に限定されるものではなく、例えば、クリップを利用した周知の試料ホルダを用いてもよい。なお、試料1の局所的な情報ではなく、例えば試料1の比較的広い領域の平均的な情報を得たり各局所的な情報の2次元分布を一括して得たりする場合には、テラヘルツパルス光L4を局所的に集光することなく試料1の下面の比較的広い領域を照射するようにしてもよい。
【0030】
試料1の下面の測定部位で反射されたテラヘルツパルス光は、図1及び図2に示すように、拡散光束となり、窓61を経て平面鏡43で反射されてその光軸が+Y方向に折り曲げられる。その後、このテラヘルツパルス光は、b点に位置する放物面鏡42を経て平行光に変換されて+X方向に進行した後、放物面鏡41により光軸が−Y方向に折り曲げられてテラヘルツ光検出器4に集光され、テラヘルツ光検出器4によりその電場強度が検出されて電流信号に変換される。試料1を反射したテラヘルツパルス光の光軸は、平面鏡43の向きが図示のように設定されることにより、前記集光位置と平面鏡43との間では下側に立ち下げられているが、平面鏡43とテラヘルツ光検出器4との間では同一水平面内にある。なお、放物面鏡41,42の代わりに、楕円鏡等の曲面鏡を用いてもよい。
【0031】
テラヘルツ光検出器4で得られた電流信号は、電流−電圧変換器51で電圧信号に変換された後、ロックイン増幅器52により、バイアス電圧印加部56からの前記参照信号と同期してロックイン検出される。ロックイン増幅器52の出力信号は、試料1で反射したテラヘルツ光の電場強度の検出信号として、A/D変換器53によりA/D変換され、これがコンピュータ等からなる制御・演算処理部54に供給される。
【0032】
レーザ光源11から放射されるフェムト秒パルス光L1の繰り返し周期は、数kHzから100MHzオーダーである。したがって、このフェムト秒パルス光で励起されるテラヘルツ光発生器3からのテラヘルツパルス光L4も、数kHzから100MHzオーダーの繰り返しで放射される。本実施の形態では、同じ波形のテラヘルツパルス光が繰り返してテラヘルツ光検出器4に到来することを利用して、ポンプパルス光L2とプローブパルス光L3との間に時間遅延を設けてテラヘルツパルス光の波形を計測する、いわゆるポンプ−プローブ法を採用している。すなわち、テラヘルツ光発生器3を作動させるポンプパルス光L2に対して、テラヘルツ光検出器4を作動させるタイミングを遅延時間τだけ遅らせることにより、時間τだけ遅れた時点でのテラヘルツパルス光の電場強度をテラヘルツ光検出器4で測定できる。言い換えれば、プローブパルス光L3は、テラヘルツ光検出器4に対してゲートをかけていることになる。また、可動鏡15を徐々に移動させることは、遅延時間τを徐々に変えることにほかならない。可動鏡15及びステージ16によってゲートをかけるタイミングをずらしながら、繰り返しテラヘルツ光検出器4に到来するテラヘルツパルス光の各遅延時間τごとの時点の電場強度を検出器4から電気信号として順次得ることによって、試料1を反射したテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形E(τ)を計測することができる。
【0033】
本実施の形態では、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形E(τ)の計測時には、制御・演算処理部54が、ステージ16に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器53からのデータを制御・演算処理部54内の図示しないメモリに順次格納する。これによって、最終的に、試料1を反射したテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形E(τ)を示すデータ全体をメモリに格納する。
【0034】
このような時系列波形E(τ)を示すデータを、図2中の窓61上に試料1として参照試料(例えば、金属ミラーなどの、屈折率等が既知である部材)を載置した場合と観測試料(例えば、ウエハ等)を載置した場合について取得する。制御・演算処理部54は、これらのデータに基づいて、観測試料の所望の特性(情報)を求め、これを液晶等の表示部55に表示させる。例えば、制御・演算処理部54は、公知の演算によって、観測試料の複素誘電率を求め、これを表示部55に表示させる。もっとも、例えば、観測試料についてのみ時系列波形E(τ)を示すデータを得、当該時系列波形をフーリエ変換することで分光情報を得るだけでもよい。この場合、当該テラヘルツ光を用いた測定装置は分光装置となる。
【0035】
次に、透過測定用試料2について透過測定を行う場合の本実施の形態による測定装置の動作について、説明する。
【0036】
この場合、制御・演算処理部54により切替ステージ5が制御されて、放物面鏡32,42が、図1中の実線で示す位置に位置するときとそれぞれ同じ姿勢で、図1中の破線で示す位置に位置する(第2の切替状態)。すなわち、放物面鏡32がa点に位置するときと同じ姿勢で前記照射光学系の光軸上のa’点の位置(前述した第1の態様における第3の位置に相当)に位置するとともに、放物面鏡42がb点に位置するときと同じ姿勢で前記受光光学系の光軸上のb’点の位置(前述した第1の態様における第4の位置に相当)に位置する。本実施の形態では、a’点は、放物面鏡31のX軸方向に延びる射出光軸と平面鏡34のY軸方向に延びる入射光軸との交点となっている。b’点は、平面鏡44のY軸方向に延びる射出光軸と放物面鏡41のX軸方向に延びる入射光軸との交点となっている。なお、本実施の形態では、点a,b,b’,a’が同一水平面内において長方形を形成する位置関係にあるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0037】
透過測定の場合も、前述した反射測定の場合と同様に、レーザ光源11からのフェムト秒パルス光L1に基づくポンプパルス光L2及びプローブパルス光L3が、テラヘルツ光発生器3及びテラヘルツ光検出器4にそれぞれ供給される。
【0038】
透過測定では、テラヘルツ光発生器3から発生した拡散光束のテラヘルツパルス光L4は、放物面鏡31を経て平行光束に変換されて+X方向に進行した後、a’点に位置する放物面鏡32によって、その光軸が+Y方向に折り曲げられるとともに収束光束となる。そして、この収束光束となったテラヘルツパルス光は、平面鏡34,35及び後述する窓62を経て集光位置に集光される。図1及び図3に示すように、テラヘルツパルス光の光軸は、テラヘルツ光発生器3から平面鏡34までの間では同一水平面内にあるが、平面鏡34,35の向きが図示のように設定されることにより、平面鏡34と前記集光位置との間では上側に立ち上げられた後に+Y方向に延びている。
【0039】
a’点に位置する放物面鏡32及び平面鏡34,35によるテラヘルツパルス光L4の集光位置には、透過測定用試料2を保持するホルダである試料ホルダ71(図5参照、図1及び図3では省略)により、両面がXZ平面と平行となるように保持された試料2の測定部位(所定の微小の領域)が配置される。なお、試料2の局所的な情報ではなく、例えば試料2の比較的広い領域の平均的な情報を得たり各局所的な情報の2次元分布を一括して得たりする場合には、テラヘルツパルス光を局所的に集光することなく試料2の面の比較的広い領域を照射するようにしてもよい。
【0040】
ここで、試料ホルダ71とこれに関連する筐体6の構造について、説明する。図1及び図5に示すように、筐体6の上部には、外部上方に開口した凹部80が形成されている。この凹部80の壁部は前記チャンバー7の壁部7bで構成され、凹部80はチャンバー7の外側から凹んでいる。図1において、壁部7bを示すラインにより囲まれた領域は、凹部80内の領域であり、大気領域である。前記窓62,63は、図3及び図5に示すように、凹部80を挟んで対向するように、この壁部7bに設けられている。これにより、前記窓62,63は、筐体6の外部に臨んでいる。
【0041】
前記試料ホルダ71は、図5に示すように、凹部80に着脱可能に構成されている。本実施の形態では、試料ホルダ71は、保持板72と、試料2を保持板72との間に挟持する板ばね状のクリップ73と、保持板72の上端に設けられた係合板74と、係合板74の上部に設けられた取手75と、から構成されている。係合板74は、図5に示すように、凹部80の上部開口部付近に形成された段部(図3では省略)に係合するようになっており、保持板72を凹部80内に挿入して係合板74を前記段部に係合させると、保持板72とクリップ73とに保持された試料2が、a’点に位置する放物面鏡32によるテラヘルツパルス光の前述した集光位置に位置するようになっている。保持板72の中央付近には、テラヘルツパルス光を妨げないように、開口72aが形成されている。
【0042】
試料2を透過したテラヘルツパルス光は、図1及び図3に示すように、拡散光束となり、窓63を経て平面鏡45で反射されてその光軸が下側に折り曲げられ、更に平面鏡44で反射されて+Y方向に折り曲げられる。その後、このテラヘルツパルス光は、b’点に位置する放物面鏡42を経て平行光に変換されて+X方向に進行した後、放物面鏡41により光軸が−Y方向に折り曲げられてテラヘルツ光検出器4に集光され、テラヘルツ光検出器4によりその電場強度が検出されて電流信号に変換される。試料2を透過したテラヘルツパルス光の光軸は、平面鏡45,44の向きが図示のように設定されることにより、前記集光位置と平面鏡45との間ではY軸方向に延び、平面鏡45と平面鏡44との間では下側に立ち下げられ、平面鏡44とテラヘルツ光検出器4との間では同一水平面内にある。
【0043】
透過測定の場合も、前述した反射測定の場合と同様に、テラヘルツ光検出器4で得られた電流信号は、電流−電圧変換器51で電圧信号に変換された後、ロックイン増幅器52により、バイアス電圧印加部56からの前記参照信号と同期してロックイン検出される。ロックイン増幅器52の出力信号は、試料を透過したテラヘルツ光の電場強度の検出信号として、A/D変換器53によりA/D変換され、これがコンピュータ等からなる制御・演算処理部54に供給される。そして、透過測定の場合も、前述した反射測定の場合と同様に、ポンプ−プローブ法により、最終的に、試料2を透過したテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形E’(τ)を示すデータ全体をメモリに格納する。
【0044】
このような時系列波形E’(τ)を示すデータを、試料2を図1に示す位置に置いた場合と置かない場合について取得する。制御・演算処理部54は、これらのデータに基づいて、試料2の所望の特性(情報)を求め、これを液晶等の表示部55に表示させる。例えば、制御・演算処理部54は、公知の演算によって、試料2の複素誘電率を求め、これを表示部55に表示させる。もっとも、例えば、試料2ついて時系列波形E’(τ)を示すデータを得、当該時系列波形をフーリエ変換することで分光情報を得るだけでもよい。この場合、当該テラヘルツ光を用いた測定装置は分光装置となる。
【0045】
前述したように、本実施の形態では、可動の放物面鏡32は、a点に位置するときに、放物面鏡31により平行光束に変換されたテラヘルツパルス光を反射測定用試料1に集光し、a’点に位置するときに、放物面鏡31により平行光束に変換されたテラヘルツパルス光を透過測定用試料2に集光する。したがって、a点から試料1までの光軸の光路長とa’点から試料2までの光軸の光路長とが等しくなるように設定されている。また、放物面鏡42は、b点に位置するときに、試料1を反射した拡散光束のテラヘルツパルス光を平行光束に変換して放物面鏡41に与え、b’点に位置するときに、試料2を透過した拡散光束のテラヘルツパルス光を平行光束に変換して放物面鏡41に与える。したがって、b点から試料1までの光軸の光路長とb’点から試料2までの光軸の光路長とが等しくなるように設定されている。これらの光路長の関係の設定は、図2及び図3に示すように、試料1の近傍に平面鏡33,43を配置するとともに、試料2の近傍に平面鏡34,35,44,45を配置することによって、実現されている。
【0046】
なお、本実施の形態では、図3に示すように、平面鏡34,35間の光軸及び平面鏡44,45間の光軸がZ軸方向に対して傾けられている。しかしながら、図4に示すように、平面鏡34,35,44,45の傾きと位置を適宜設定することで、前述した光路長の関係を満たした上で、平面鏡34,35間の光軸及び平面鏡44,45間の光軸をZ軸方向と一致させてもよい。図3と図4との比較からわかるように、平面鏡34,35間の光軸及び平面鏡44,45間の光軸の傾きを任意に設定するとともに、平面鏡34,35,44,45の向き及び位置をその傾きに合わせて設定することで、a’点から試料2までの光路長及び試料2からb’点までの光路長を変えることなく、試料2のZ軸方向の高さを任意に設定することができる。
【0047】
本実施の形態では、前述した光路長の関係を有し、かつ、点a,a’間の光路長と点b,b’間の光路長とが等しいので、反射測定及び透過測定のいずれの場合にも、テラヘルツ光発生器3からテラヘルツ光検出器4までのテラヘルツパルス光の光路長が等しくなっている。このため、ステージ16のストロークは前述したポンプ−プローブ法を実現するのに必要な最低限のストロークですみ、ステージ16を小型化することができるので、好ましい。本発明では、テラヘルツ光発生器3からテラヘルツ光検出器4までの光路長は、反射測定と透過測定とで異なっていてもよいが、その光路長差に応じた分だけステージ16のストロークを大きくしなければならず、必ずしも好ましくない。
【0048】
この点について説明する。今、ビームスプリッタ12からテラヘルツ光発生器3までのポンプパルス光の光路長をr1とし、テラヘルツ光発生器3からテラヘルツ光検出器4までのテラヘルツパルス光の光路長をr2とし、ビームスプリッタ12からテラヘルツ光検出器4までのプローブパルス光の光路長をr3とする。反射測定と透過測定とを切り替えて行うためには、反射測定の場合にも透過測定の場合にも、r1+r2≒r3を満たすようにする。これは、テラヘルツ光発生器3から発生したテラヘルツパルス光がテラヘルツ光検出器4に到達している期間とプローブパルス光L3がテラヘルツ光検出器4に到達するタイミングを一致させるためである。したがって、r1+r2≒r3を満たすためには、r2が反射測定と透過測定とで異なれば、その分だけr3を調整する必要が生じ、反射測定と透過測定とでステージ16を移動させる必要がある。よって、ステージ16のストロークを大きくしなければならない。これに対し、本実施の形態のようにr2が反射測定と透過測定とで等しければ、反射測定及び透過測定のいずれの場合にも、ステージ16を同一の位置で使用できるので(すなわち、r3を調整することなく)、r1+r2≒r3を容易に満たすことができる。よって、ステージ16のストロークが小さくて済むのである。
【0049】
本実施の形態によれば、先の動作説明からわかるように、1台の装置で、試料1で反射されたテラヘルツパルス光による反射測定、及び、試料2を透過したテラヘルツパルス光による透過測定の両方を行うことできる。したがって、装置全体の低価格化を図ることができるとともに、装置全体として占有空間を抑えることができる。特に、本実施の形態では、1組のテラヘルツ光発生器3及びテラヘルツ光検出器4が、反射測定及び透過測定で兼用されているので、テラヘルツ光発生器3及びテラヘルツ光検出器4は非常に高価であることから、これらを2組設ける場合に比べて、著しく低価格化を図ることができる。また、本実施の形態では、4つの放物面鏡31,32,41,42が反射測定と透過測定とで兼用されているので、放物面鏡も非常に高価であることから、これらを2組設ける場合に比べて、著しく低価格化を図ることができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、前述したように、ステージ16のストロークが小さくてすむので、ステージ16を小型化することができ、この点からも装置の占有空間を抑えることができる。
【0051】
なお、反射測定用試料1及び平面鏡33,43の配置と、透過測定用試料2及び平面鏡34,35,44,45の配置とを、入れ替えてもよい。この点は、後述する各実施の形態についても同様である。
【0052】
[第2の実施の形態]
【0053】
図6は、本発明の第2の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。ただし、図6では、電気系の構成要素(図1中の要素51〜56に相当する構成要素)は省略している。この点は、後述する図7乃至図11についても同様である。図6において、図1乃至図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0054】
本実施の形態は、課題を解決するための手段の欄で説明した第1の態様の他の具体例である。本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0055】
本実施の形態では、図6に示すように、図1中の放物面鏡32,42に代えて、それらの位置において、平面鏡132,142がそれぞれ切替ステージ5に搭載されている。本実施の形態では、平面鏡132が前述した第1の態様における可動の第1の反射光学素子に相当し、平面鏡142が前述した第1の態様における可動の第2の反射光学素子に相当している。
【0056】
前記第1の実施の形態では、テラヘルツ光発生器3が放物面鏡31の焦点に位置し、テラヘルツ光発生器3からの拡散光束のテラヘルツパルス光が放物面鏡31によって平行光束に変換されている。これに対し、本実施の形態では、テラヘルツ光発生器3が放物面鏡31の焦点外の位置に配置され、テラヘルツ光発生器3からの拡散光束のテラヘルツパルス光は、放物面鏡31によって光軸を+X軸方向とする収束光束となる。そして、この収束光束となったテラヘルツパルス光は、平面鏡132が図6中のa点に位置するときは反射測定用試料1に集光し、平面鏡132が図6中のa’点に位置するときは透過測定用試料2に集光するようになっている。換言すると、平面鏡132がa点に位置する場合には、放物面鏡31に関してテラヘルツ光発生器3と試料1とが共役となり、平面鏡132がa’点に位置する場合には、放物面鏡31に関してテラヘルツ光発生器3と試料2とが共役となっている。
【0057】
したがって、本実施の形態では、a点から試料1までの光軸の光路長は、a点からa’点を経由した試料2までの光軸の光路長と等しくされている。すなわち、a点から試料1までの光軸の光路長は、a’点から試料2までの光軸の光路長より、a点からa’点までの光路長だけ長くされている。
【0058】
また、前記第1の実施の形態では、テラヘルツ光検出器4が放物面鏡41の焦点に位置し、試料1又は試料2からの拡散光束のテラヘルツパルス光が、放物面鏡42によって平行光束に変換された後に、放物面鏡41によってテラヘルツ光検出器4に集光されている。これに対し、本実施の形態では、テラヘルツ光検出器4が放物面鏡41の焦点外の位置に配置され、試料1又は試料2からの拡散光束のテラヘルツパルス光が、平面鏡142によって反射された後に、拡散光束のまま放物面鏡41に入射し、放物面鏡41によってテラヘルツ光検出器4に集光するようになっている。換言すると、平面鏡142がb点に位置する場合には、放物面鏡41に関してテラヘルツ光検出器4と試料1とが共役となり、平面鏡142がb’点に位置する場合には、放物面鏡41に関してテラヘルツ光検出器4と試料2とが共役となっている。
【0059】
したがって、本実施の形態では、試料2からb’点までの光軸の光路長は、試料1からb点を経由したb’点までの光軸の光路長と等しくされている。すなわち、b’点から試料2までの光軸の光路長は、b点から試料1までの光軸の光路長より、b点からb’点までの光路長だけ長くされている。
【0060】
図面表記の便宜上、図6では、図1の場合と同様に、試料1のY軸方向の位置がa点とb点との間のY軸方向の中心と一致するとともに、試料2のY軸方向の位置がa’点とb’点との間のY軸方向の中心と一致するかのように、示している。しかしながら、本実施の形態では、a点から試料1までの光軸の光路長をa点からa’点を経由した試料2までの光軸の光路長と等しくするとともに、試料2からb’点までの光軸の光路長を試料1からb点を経由したb’点までの光軸の光路長と等しくするために、実際には、例えば、試料1、平面鏡33,43は+Y方向へ所定距離だけ移動した位置に配置されるとともに、試料2及び平面鏡34,35,44,45は−Y方向へ所定距離だけ移動した位置に配置される。
【0061】
なお、本実施の形態においても、反射測定及び透過測定のいずれの場合にも、テラヘルツ光発生器3からテラヘルツ光検出器4までのテラヘルツパルス光の光路長が等しくなっている。この点は、後述する各実施の形態についても、同様である。
【0062】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、前記第1の実施の形態では4つの放物面鏡31,32,41,42を要していたのに対し、本実施の形態では、2つの放物面鏡31,41で済む。したがって、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態に比べてより低価格化を図ることができる。
【0063】
[第3の実施の形態]
【0064】
図7は、本発明の第3の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。図7において、図1乃至図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0065】
本実施の形態は、課題を解決するための手段の欄で説明した第2の態様の具体例である。本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0066】
本実施の形態では、図7に示すように、図1におけるa’点に位置した放物面鏡32に相当する固定の放物面鏡232がa’点に設けられ、図1におけるb点に位置した放物面鏡42に相当する固定の放物面鏡242がb点に設けられている。放物面鏡232は、固定の第2の反射光学素子に相当している。放物面鏡242は、固定の第4の反射光学素子に相当している。
【0067】
また、本実施の形態では、図7に示すように、図1中のX軸方向に移動可能な切替ステージ5に代えて、矢印Eで示すようにY軸方向に移動可能な一軸の切替ステージ105が切替機構として設けられている。本実施の形態では、放物面鏡32,42はそれぞれ、切替ステージ105に搭載され、+Y側の図7中の実線で示す位置と−Y側の図7中の破線で示す位置とに位置し得るようになっている。すなわち、放物面鏡32(可動の第1の反射光学素子に相当)は、a点の位置(第1の位置に相当)と、その位置から−Y側に所定距離離れてテラヘルツパルス光の光路から退避した位置(第2の位置に相当)とに、位置し得るようになっている。放物面鏡42(可動の第2の反射光学素子に相当)は、b’点の位置(第4の位置に相当)と、その位置から+Y側に所定距離離れてテラヘルツパルス光の光路から退避した位置(第3の位置に相当)とに、位置し得るようになっている。
【0068】
本実施の形態では、反射測定用試料1について反射測定を行う場合には、放物面鏡32,42が図7中の実線で示す位置に位置させられる。一方、透過測定用試料2について透過測定を行う場合には、放物面鏡32,42が図7中の破線で示す位置に位置させられる。
【0069】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0070】
また、本実施の形態では、放物面鏡32の図7中の破線の位置や放物面鏡42の実線の位置は、放物面鏡32,42がテラヘルツパルス光の光路から退避していれさえいれば、その精度を高める必要はない。したがって、放物面鏡32の位置調整は切替ステージ105が+Y側に移動したa点の状態でのみ行えば良く、放物面鏡42の位置調整は切替ステージ105が−Y側に移動したb’点の状態でのみ行えば良い。このため、本実施の形態によれば、切替ステージ105として移動方向のa点及びb’点の再現性さえ良ければよく、移動放物面鏡の位置調整の精度を高めることができる。
【0071】
さらに、前記第1の実施の形態では、図1に示すような上側からの平面視で、切替ステージ5が平面鏡34,35,44,45と重なる位置を通過するため、平面鏡34,35,44,45のベース等に対して取り付けるための取り付け部材を、切替ステージ5と衝突しない位置に配置する必要がある。このため、当該取り付け部材の構造や配置が複雑化する。これに対し、本実施の形態では、図7に示すような上側からの平面視で、切替ステージ5が平面鏡34,35,44,45等と重ならない。したがって、本実施の形態によれば、前記取り付け部材等の構造や配置が簡単となる。
【0072】
なお、放物面鏡31,32,232,41,42,242に代えて、楕円鏡等の曲面鏡を用いてもよい。
【0073】
また、第1の実施の形態を変形して第2の実施の形態を得たのと同様の方法で、本実施の形態を変形してもよい。この場合には、放物面鏡32,232,42,242がそれぞれ平面鏡で置き換えられる。また、放物面鏡32に代わる平面鏡がa点に位置する場合には、放物面鏡31に関してテラヘルツ光発生器3と試料1とが共役となり、放物面鏡32に代わる平面鏡がテラヘルツパルス光の光路から退避している場合には、放物面鏡31に関してテラヘルツ光発生器3と試料2とが共役となるように、設定される。さらに、放物面鏡42に代わる平面鏡がテラヘルツパルス光の光路から退避している場合には、放物面鏡41に関してテラヘルツ光検出器4と試料1とが共役となり、放物面鏡42に代わる平面鏡がb’点に位置する場合には、放物面鏡41に関してテラヘルツ光検出器4と試料2とが共役となるように、設定される。この点は、後述する第4の実施の形態についても同様である。
【0074】
[第4の実施の形態]
【0075】
図8は、本発明の第4の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。図8において、図7中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0076】
本実施の形態は、課題を解決するための手段の欄で説明した第2の態様の他の具体例である。本実施の形態が前記第3の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0077】
本実施の形態では、切替機構として、図7中の切替ステージ105に代えて、回転機構205,206が設けられている点のみである。
【0078】
回転機構205は、Z軸方向に延びる回転軸205aと、この回転軸205aと共にその軸回りに回転される部材205bとを有している。放物面鏡32は、部材205bに搭載され、前記第3の実施の形態と同様に、a点の位置と、透過測定時のテラヘルツパルス光の有効な光路から退避した位置とに、位置し得るようになっている。
【0079】
回転機構206は、回転機構205と同様に、Z軸方向に延びる回転軸206aと、この回転軸206aと共にその軸回りに回転される部材206bとを有している。放物面鏡42は、部材206bに搭載され、前記第3の実施の形態と同様に、b’点の位置と、反射測定時のテラヘルツパルス光の有効な光路から退避した位置とに、位置し得るようになっている。
【0080】
本実施の形態によっても、前記第3の態様と同様の利点が得られる。また、回転機構205,206は、直線移動機構のステージに比べて、グリース等を用いない可動機構を実現し易く、かつ気密構造が得易い。このため、回転機構205,206は、真空中で用いるのに都合が良い。なお、チャンバー7内でグリース等を用いると、チャンバー7内を真空に引いたときに、グリース等の粒子が飛散してチャンバー7内が汚染されてしまう。
【0081】
なお、図8の例では、放物面鏡32,42が、退避時に、照射光学系及び受光光学系からなる全体の系の内側に位置するように回転している。しかし、回転軸205a,206aを部材205b,206bのそれぞれ反対側に位置するように配置し、放物面鏡32,42が前記全体の系の外側に位置するように回転させてもよい。
【0082】
[第5の実施の形態]
【0083】
図9は、本発明の第5の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。図9において、図1乃至図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0084】
本実施の形態は、課題を解決するための手段の欄で説明した第3の態様の具体例である。本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0085】
前記第1の実施の形態では、放物面鏡32,42を移動させて透過測定と反射測定との切り替えを行っている。これに対し、本実施の形態では、図9に示すように、放物面鏡32,42をX軸方向の所定の位置で固定させて、試料1用の試料ホルダ(図示せず)、試料2用の試料ホルダ(図示せず)、平面鏡33,43(照射光学系及び受光光学系のうちの反射測定専用の光学系に相当)及び平面鏡34,35,44,45(照射光学系及び受光光学系のうちの透過測定専用の光学系に相当)を移動させることで、透過測定と反射測定との切り替えを行うように、構成されている。
【0086】
本実施の形態では、放物面鏡32は、固定の第1の反射光学素子に相当している。放物面鏡42は、固定の第2の反射光学素子に相当している。
【0087】
本実施の形態では、図9に示すように、図1中のX軸方向に移動可能な切替ステージ5に代えて、矢印Fで示すようにX軸方向に移動可能な一軸の切替ステージ305が切替機構として設けられている。切替ステージ305には、試料1用の試料ホルダ(図示せず)、試料2用の試料ホルダ(図示せず)、平面鏡33,43及び平面鏡34,35,44,45が、搭載されている。
【0088】
図9中のG矢視の概略図は図2と同様となり、図9中のH矢視の概略図は図3又は図4と同様となる。
【0089】
切替ステージ305は、図9中の実線で示す位置と図9中の破線で示す位置とに位置し得るようになっている。すなわち、切替ステージ305は、(a)平面鏡33のY軸方向に延びる入射光軸と放物面鏡32のY軸方向に延びる射出光軸とが一致するとともに、平面鏡43のY軸方向に延びる射出光軸と放物面鏡42のY軸方向に延びる入射光軸とが一致する位置と、(b)平面鏡34のY軸方向に延びる入射光軸と放物面鏡32のY軸方向に延びる射出光軸とが一致するとともに、平面鏡45のY軸方向に延びる射出光軸と放物面鏡42のY軸方向に延びる入射光軸とが一致する位置とに位置し得るようになっている。反射測定の場合には、切替ステージ305は図9中の実線で示す位置に位置させられ、透過測定の場合には、切替ステージ305は図9中の破線で示す位置に位置させられる。
【0090】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0091】
[第6の実施の形態]
【0092】
図10は、本発明の第6の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。図10において、図9中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0093】
本実施の形態は、課題を解決するための手段の欄で説明した第3の態様の他の具体例である。本実施の形態が前記第5の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0094】
本実施の形態では、図10に示すように、図9中の放物面鏡32,42に代えて、それらの位置に、平面鏡332,342が設けられている。
【0095】
前記第5の実施の形態では、テラヘルツ光発生器3が放物面鏡31の焦点に位置し、テラヘルツ光発生器3からの拡散光束のテラヘルツパルス光が放物面鏡31によって平行光束に変換されている。これに対し、本実施の形態では、テラヘルツ光発生器3が放物面鏡31の焦点外の位置に配置され、テラヘルツ光発生器3からの拡散光束のテラヘルツパルス光は、放物面鏡31によって光軸を+X軸方向とする収束光束となる。そして、この収束光束となったテラヘルツパルス光は、平面鏡332により+Y軸方向に曲げられ、切替ステージ305が図10中の実線で示す位置に位置するときは反射測定用試料1に集光し、切替ステージ305が図10中の破線で示す位置に位置するときは透過測定用試料2に集光するようになっている。換言すると、切替ステージ305が図10中の実線で示す位置に位置する場合には、放物面鏡31に関してテラヘルツ光発生器3と試料1とが共役となり、切替ステージ305が図10中の破線で示す位置に位置する場合には、放物面鏡31に関してテラヘルツ光発生器3と試料2とが共役となっている。なお、本実施の形態においても、前記第5の実施の形態と同じく、切替ステージ305が図10中の実線で示す位置に位置する場合の、平面鏡332から試料1までの光軸の光路長と、切替ステージ305が図10中の破線で示す位置に位置する場合の、平面鏡332から試料2までの光軸の光路長とは、等しい。
【0096】
また、前記第5の実施の形態では、テラヘルツ光検出器4が放物面鏡41の焦点に位置し、試料1又は試料2からの拡散光束のテラヘルツパルス光が、放物面鏡42によって平行光束に変換された後に、放物面鏡41によってテラヘルツ光検出器4に集光されている。これに対し、本実施の形態では、テラヘルツ光検出器4が放物面鏡41の焦点外の位置に配置され、試料1又は試料2からの拡散光束のテラヘルツパルス光が、平面鏡342によって反射された後に、拡散光束のまま放物面鏡41に入射し、放物面鏡41によってテラヘルツ光検出器4に集光するようになっている。換言すると、切替ステージ305が図10中の実線で示す位置に位置する場合には、放物面鏡41に関してテラヘルツ光検出器4と試料1とが共役となり、切替ステージ305が図10中の破線で示す位置に位置する場合には、放物面鏡41に関してテラヘルツ光検出器4と試料2とが共役となっている。なお、本実施の形態においても、前記第5の実施の形態と同じく、切替ステージ305が図10中の実線で示す位置に位置する場合の、平面鏡342から試料1までの光軸の光路長と、切替ステージ305が図10中の破線で示す位置に位置する場合の、平面鏡342から試料2までの光軸の光路長とは、等しい。
【0097】
本実施の形態によれば、前記第5の実施の形態と同様の利点が得られる。また、前記第5の実施の形態では4つの放物面鏡31,32,41,42を要していたのに対し、本実施の形態では、2つの放物面鏡31,41で済む。したがって、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態に比べてより低価格化を図ることができる。
【0098】
[第7の実施の形態]
【0099】
図11は、本発明の第7の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。図11において、図1乃至図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0100】
本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、平面鏡91,92を追加して、レーザ光源11の配置を変更した点のみである。
【0101】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、前記第1の実施の形態では、レーザ光源11が−X側に突出しているのに対し、レーザ光源11が−X側に突出していないので、より装置の小型化を図ることができる。
【0102】
前記第2乃至第6の実施の形態についても、本実施の形態と同様のレーザ光源11の配置を採用してもよいことは、言うまでもない。
【0103】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0104】
例えば、前記各実施の形態は、本発明をテラヘルツ光を用いた複素誘電率等の測定装置に適用した例であったが、本発明は、テラヘルツ光を用いた他の種々のテラヘルツ光を用いた測定装置に適用することができる。
【0105】
また、前記各実施の形態では、テラヘルツ光発生器3として、光伝導アンテナを用いる代わりに、電気光学結晶を用いてもよい。また、テラヘルツ光検出器4として、光伝導アンテナを用いる代わりに、電気光学結晶を用いてもよい。この場合、例えば、テラヘルツパルス光が試料1,2の2次元領域をそれぞれ照射するようにし、プローブパルス光を偏光子で偏光させて電気光学結晶の2次元領域を照射し、電気光学結晶を通過したプローブパルス光を検光子で検光した後にCCDカメラで受光するようにしてもよい。この場合、CCDカメラによりテラヘルツパルス光の試料反射像又は試料透過像に相当する像を得ることができる。このとき、CCDカメラは、大気領域に配置してもよい。このように、本発明は、イメージ化装置にも適用することができる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、透過測定及び反射測定の両方を行うことができ、しかも、コスト及び占有空間を低減することができるテラヘルツ光を用いた測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を模式的に示す概略構成図である。
【図2】図1中のA矢視の概略図である。
【図3】図1中のB矢視の概略図である。
【図4】図3に対応する変形例を示す図である。
【図5】図1に示すテラヘルツ光を用いた測定装置の透過測定用試料を保持する試料ホルダ等を示す外観図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 反射測定用試料
2 透過測定用試料
3 テラヘルツ光発生器
4 テラヘルツ光検出器
5,105,305 切替ステージ
6 筐体
11 レーザ光源
31,32,42,43,232,242 放物面鏡
34〜35,43〜45,132,142,332,342 平面鏡
205,206 回転機構
【発明の属する技術分野】
本発明は、テラヘルツパルス光を用いたテラヘルツ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テラヘルツ光は、周波数がおおよそ0.01THzから100THzまでの範囲の電磁波である。従来から、テラヘルツパルス光を用いた種々のテラヘルツ光を用いた測定装置(例えば、分光装置、誘電率測定装置、検査装置、イメージ化装置など)が提供されている。このような従来のテラヘルツ光を用いた測定装置では、対象物にテラヘルツパルス光を照射して当該対象物を透過したテラヘルツパルス光を検出するもの(説明の便宜上、「透過測定用テラヘルツ光装置」と呼ぶ。)と、対象物にテラヘルツパルス光を照射して当該対象物で反射したテラヘルツパルス光を検出する装置(説明の便宜上、「反射測定用テラヘルツ光装置」と呼ぶ。)とが、それぞれ別々の装置として提供されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、半導体の電気特性評価装置として構成された透過測定用テラヘルツ光装置が具体的に開示されている。また、特許文献1では、具体的な構成の開示はないが、半導体の電気特性評価装置を反射測定用テラヘルツ光装置として構成し得る旨も、言及されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、対象物の複素誘電率や複素屈折率を測定する装置として構成された透過測定用テラヘルツ光装置と、対象物の複素誘電率や複素屈折率を測定する装置として構成された反射測定用テラヘルツ光装置が、それぞれ別々の装置として開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−98634号公報
【特許文献2】
特開2002−277393号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
対象物によっては、当該対象物を透過したテラヘルツパルス光を検出する透過測定を行う方が好ましいものや、当該対象物で反射したテラヘルツパルス光を検出する反射測定を行う方が好ましいものもある。また、同一の対象物であっても、例えば、その性質等を観察する上で、透過測定及び反射測定の両方を行うことが好ましい場合もある。
【0007】
しかしながら、前記従来のテラヘルツ光を用いた測定装置は、透過測定用テラヘルツ光装置及び反射測定用テラヘルツ光装置のうちのいずれかとして構成されているだけであった。このため、透過測定及び反射測定の両方を行う場合には、それぞれ別々の装置として構成された透過測定用テラヘルツ光装置及び反射測定用テラヘルツ光装置の両方を用意しなければならなかった。したがって、両装置全体としての価格が著しく増大するとともに、両装置全体としての占有空間が大きくなる欠点があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、透過測定及び反射測定の両方を行うことができ、しかも、コスト及び占有空間を低減することができるテラヘルツ光を用いた測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、テラヘルツパルス光を発生するテラヘルツ光発生器と、テラヘルツパルス光を検出するテラヘルツ光検出器と、互いに異なる位置に配置される反射測定用対象物及び透過測定用対象物のいずれか一方に選択的に、前記テラヘルツ光発生器から発生したテラヘルツパルス光を導く照射光学系と、前記照射光学系の選択状態に応じて、前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光及び前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、前記テラヘルツ光検出器に導く受光光学系と、切替機構と、を備えたものである。そして、この第1の態様では、前記照射光学系は可動の第1の反射光学素子を含み、前記受光光学系は可動の第2の反射光学素子を含む。前記切替機構は、(a)前記第1の反射光学素子が、前記照射光学系の光軸上にあって前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光を前記反射測定用対象物に導く第1の位置に位置するとともに、前記第2の反射光学素子が、前記受光光学系の光軸上にあって前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光を前記テラヘルツ光検出器に導く第2の位置に位置する第1の切替状態と、(b)前記第1の反射光学素子が、前記第1の位置に位置するときと同じ姿勢で、前記照射光学系の光軸上にあって前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光を前記透過測定用対象物に導く第3の位置に位置するとともに、前記第2の反射光学素子が、前記第2の位置に位置するときと同じ姿勢で、前記受光光学系の光軸上にあって前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光を前記テラヘルツ光検出器に導く第4の位置に位置する第2の切替状態とに、択一的に切り替えるものである。
【0010】
本発明の第2の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、テラヘルツパルス光を発生するテラヘルツ光発生器と、テラヘルツパルス光を検出するテラヘルツ光検出器と、互いに異なる位置に配置される反射測定用対象物及び透過測定用対象物のいずれか一方に選択的に、前記テラヘルツ光発生器から発生したテラヘルツパルス光を導く照射光学系と、前記照射光学系の選択状態に応じて、前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光及び前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、前記テラヘルツ光検出器に導く受光光学系と、切替機構と、を備えたものである。そして、この第2の態様では、前記照射光学系は、可動の第1の反射光学素子及び固定の第2の反射光学素子を含む。前記受光光学系は、可動の第3の反射光学素子及び固定の第4の反射光学素子を含む。前記切替機構は、(a)前記第1の反射光学素子が前記照射光学系の光軸上の第1の位置に位置するとともに、前記第3の反射光学素子が前記受光光学系の光路から退避した第3の位置に位置する第1の切替状態と、(b)前記第1の反射光学素子が前記照射光学系の光路から退避した第2の位置に位置するとともに、前記第3の反射光学素子が前記受光光学系の光軸上の第4の位置に位置する第2の切替状態とに、択一的に切り替えるものである。前記照射光学系は、前記第1の反射光学素子が前記第1の位置に位置する場合には、前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光を、前記第1の反射光学素子を経由しかつ前記第2の反射光学素子を経由することなく前記反射測定用対象物(又は前記透過測定用対象物)に選択的に導くとともに、前記第1の反射光学素子が前記第2の位置に位置する場合には、前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光を、前記第2の反射光学素子を経由しかつ前記第1の反射光学素子を経由することなく前記透過測定用対象物(又は前記反射測定用対象物)に選択的に導く。前記受光光学系は、前記第3の反射光学素子が前記第3の位置に位置する場合には、前記反射測定用対象物を反射した(又は前記透過測定用対象物を透過した)テラヘルツパルス光を、前記第4の反射光学素子を経由しかつ前記第3の反射光学素子を経由することなく前記テラヘルツ光検出器に導くとともに、前記第3の反射光学素子が前記第4の位置に位置する場合には、前記透過測定用対象物を透過した(又は前記反射測定用対象物を反射した)テラヘルツパルス光を、前記第3の反射光学素子を経由しかつ前記第4の反射光学素子を経由することなく前記テラヘルツ光検出器に導く。
【0011】
本発明の第3の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、テラヘルツパルス光を発生するテラヘルツ光発生器と、テラヘルツパルス光を検出するテラヘルツ光検出器と、反射測定用対象物及び透過測定用対象物のいずれか一方に選択的に、前記テラヘルツ光発生器から発生したテラヘルツパルス光を導く照射光学系と、前記照射光学系の選択状態に応じて、前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光及び前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、前記テラヘルツ光検出器に導く受光光学系と、切替機構と、を備えたものである。この第3の態様では、前記照射光学系は固定の第1の反射光学素子を含み、前記受光光学系は固定の第2の反射光学素子を含む。前記切替機構は、(a)前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光が前記第1の反射光学素子を経由して前記反射測定用対象物に照射し、かつ、前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光が前記第2の反射光学素子を経由して前記テラヘルツ光検出器に導かれる位置に、前記照射光学系及び前記受光光学系のうちの反射測定専用の光学系並びに前記反射測定用対象物が位置する第1の切替状態と、(b)前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光が前記第1の反射光学素子を経由して前記透過測定用対象物を照射し、かつ、前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光が前記第2の反射光学素子を経由して前記テラヘルツ光検出器に導かれる位置に、前記照射光学系及び前記受光光学系のうちの透過測定専用の光学系並びに前記透過測定用対象物が位置する第2の切替状態とに、前記反射測定専用の光学系及び前記透過測定専用の光学系を着脱することなく、択一的に切り替えるものである。
【0012】
本発明の第4の態様によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記第1及び第2の切替状態のいずれにおいても、前記テラヘルツ光発生器から前記テラヘルツ光検出器までのテラヘルツパルス光の光路長が略等しいものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるテラヘルツ光を用いた測定装置について、図面を参照して説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を模式的に示す概略構成図である。理解を容易にするため、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する(後述する図についても同様である。)。また、Y軸方向のうち矢印の向きを+Y方向、その反対の向きを−Y方向と呼び、X軸方向及びZ軸方向についても同様とする。XY平面が水平面、Z軸方向が鉛直方向、+Z方向が上方向となっている。図2は、図1中のA矢視の概略図である。図3は、図1中のB矢視の概略図である。図4は、図3に対応する変形例を示す図である。図5は、図1に示すテラヘルツ光を用いた測定装置の透過測定用試料2を保持する試料ホルダ等を示す外観図である。
【0016】
本実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置は、測定対象物としての試料1,2の複素誘電率等を測定する測定装置として構成され、課題を解決するための手段の欄で説明した第1の態様による測定装置の具体例である。
【0017】
本実施の形態による測定装置は、互いに異なる位置に配置される反射測定用試料1及び透過測定用試料2のいずれか一方に選択的に、テラヘルツ光発生器3から発生したテラヘルツパルス光を導く照射光学系と、該照射光学系の選択状態に応じて、反射測定用試料1を反射したテラヘルツパルス光及び透過測定用試料2を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、テラヘルツ光検出器4に導く受光光学系と、反射測定と透過測定とを切り替えるための切替機構としての切替ステージ5と、を備えている。
【0018】
本実施の形態では、前記照射光学系は、図1乃至図3に示すように、放物面鏡31,32及び平面鏡33〜35で構成されている。前記受光光学系は、図1乃至図3に示すように、放物面鏡41,42及び平面鏡43〜45で構成されている。本実施の形態では、切替ステージ5は、一軸のステージであり、図1中の矢印Cで示すようにX軸方向に移動可能となっている。放物面鏡32,42はそれぞれ、切替ステージ5に搭載され、−X側の図1中の実線で示す位置と+X側の図1中の破線で示す位置とに位置し得るようになっている。放物面鏡32,42はいずれの位置においても同じ姿勢を保っている。放物面鏡32は、前述した第1の態様における可動の第1の反射光学素子に相当している。放物面鏡42は、前述した第1の態様における可動の第2の反射光学素子に相当している。
【0019】
また、本実施の形態による測定装置は、テラヘルツ光発生器3にポンプパルス光L2を供給するとともに、テラヘルツ光検出器4にプローブパルス光(サンプリング光)L3を供給する光学系も、備えている。この光学系は、レーザ光源11、ビームスプリッタ12、集光レンズ14、可動鏡(平行折り返しミラー)15、平面鏡17,18,20及び集光レンズ21で構成されている。この光学系、テラヘルツ光発生器3、テラヘルツ光検出器4、前記照射光学系及び前記受光光学系は、筐体6内に収容されている。
【0020】
図1に示すように、筐体6内には、真空引き可能なチャンバー7が形成されている。図1において、7a,7bはこのチャンバー7の壁部を示し、壁部7aを示すラインと壁部7bを示すラインとの間がチャンバー7内の領域である。図面には示していないが、壁部7aには、真空ポンプ(図示せず)等と接続可能な接続口を有し、当該真空ポンプ等によってチャンバー7を真空引きしたりパージしたりできるようになっている。筐体6内の領域のうちチャンバー7外の領域は、大気領域である。なお、図2及び図3からも理解できるように、筐体6を形成する部材の一部とチャンバー7を形成する部材の一部とは、共通化されている。
【0021】
さらに、本実施の形態による測定装置は、後述する電気系の要素51〜56等も備えている。
【0022】
まず、反射測定用試料1について反射測定を行う場合の本実施の形態による測定装置の動作について、説明する。
【0023】
この場合、コンピュータ等からなる制御・演算処理部54により切替ステージ5が制御されて、放物面鏡32,42が図1中の実線で示す位置に位置する(第1の切替状態)。すなわち、放物面鏡32が前記照射光学系の光軸上のa点の位置(前述した第1の態様における第1の位置に相当)に位置するとともに、放物面鏡42が前記受光光学系の光軸上のb点の位置(前述した第1の態様における第2の位置に相当)に位置する。本実施の形態では、a点は、放物面鏡31のX軸方向に延びる射出光軸と平面鏡33のY軸方向に延びる入射光軸との交点となっている。b点は、平面鏡43のY軸方向に延びる射出光軸と放物面鏡41のX軸方向に延びる入射光軸との交点となっている。
【0024】
図1に示すように、パルス光発生部としてのレーザ光源11から発生された例えばフェムト秒パルス光(数十フェムト秒のパルス幅の近赤外光)L1が、ビームスプリッタ12で2つに分割されて、それぞれポンプパルス光L2とプローブパルス光L3になる。
【0025】
ポンプパルス光L2は、チャンバー7の壁部7aに設けられた窓13及び集光レンズ14を経て、ダイポールアンテナ等の光伝導アンテナなどからなるテラヘルツ光発生器3に入射する。集光レンズ14は、効率良くテラヘルツパルス光を発生させるために設けることが好ましい。なお、テラヘルツ光発生器3として、光伝導アンテナに代えて電気光学結晶などの他のテラヘルツ光発生器を用いてもよい。バイアス電圧印加部56からのバイアス電圧が、テラヘルツ光発生器3に印加されている。なお、本実施の形態では、バイアス電圧印加部56は、テラヘルツ光検出のSN比を向上するために、パルス状に変調されたバイアス電圧を出力するとともに、後述するロックイン増幅のための参照信号(バイアス電圧に同期した信号)を出力する。本実施の形態では、テラヘルツ光発生器3は、バイアス電圧が印加されている状態で、ポンプパルス光L2が入射されることにより励起されて、テラヘルツパルス光L4を発生する。
【0026】
一方、プローブパルス光L3は、光路長可変用光学素子としての2枚もしくは3枚の平面鏡が組み合わされてなる可動鏡(平行折り返しミラー)15、平面鏡17,18、チャンバー7の壁部7aに設けられた窓19、平面鏡20及び集光レンズ21を経て、ダイポールアンテナ等の光伝導アンテナなどからなるテラヘルツ光検出器4へ導かれる。集光レンズ21は、効率良くテラヘルツパルス光を検出するために設けることが好ましい。なお、テラヘルツ光検出器4として、光伝導アンテナに代えて電気光学結晶などの他のテラヘルツ光検出器を用いてもよい。
【0027】
プローブパルス光L3の光路上に配置された可動鏡15は、制御・演算処理部54による制御下で、一軸のステージ16により図1中の矢印Dで示すようにX軸方向に移動可能となっている。可動鏡15の移動量に応じて、プローブパルス光L3の光路長が変わる。テラヘルツ光発生器3から発生したテラヘルツパルス光がテラヘルツ光検出器4に到達している期間とプローブパルス光L3がテラヘルツ光検出器4に到達するタイミングを一致させる必要がある。また、いわゆるポンプ−プローブ法により、テラヘルツパルス光の時系列波形を得るためには、前記期間内におけるプローブパルス光L3のタイミングを変える必要がある。このため、本実施の形態では、光路長可変部として可動鏡15及びステージ16が設けられているのである。
【0028】
反射測定では、テラヘルツ光発生器3から発生した拡散光束のテラヘルツパルス光L4は、放物面鏡31を経て平行光束に変換されて+X方向に進行した後、a点に位置する放物面鏡32によって、その光軸が+Y方向に折り曲げられるとともに収束光束となる。そして、この収束光束となったテラヘルツパルス光は、平面鏡33及び後述する窓61を経て集光位置に集光される。図1及び図2に示すように、テラヘルツパルス光L4の光軸は、テラヘルツ光発生器3から平面鏡33までの間では同一水平面内にあるが、平面鏡33の向きが図示のように設定されることにより、平面鏡33と前記集光位置との間では上側に立ち上げられている。なお、放物面鏡31,32の代わりに、楕円鏡等の曲面鏡を用いてもよい。
【0029】
a点に位置する放物面鏡32及び平面鏡33によるテラヘルツパルス光L4の集光位置には、図2に示すように、試料1を保持するホルダとしての試料載置台となる筐体6の上面部により、下面が水平面となるように保持された試料1の当該下面の測定部位(所定の微小の領域)が配置される。筐体6の上面部のこの箇所には、テラヘルツパルス光を透過させる窓61が形成されている。筐体6の上面部のこの箇所に試料1を単に載置するだけで、試料1が重力で保持される。もっとも、本発明では、試料1を保持する試料ホルダは、このような構成に限定されるものではなく、例えば、クリップを利用した周知の試料ホルダを用いてもよい。なお、試料1の局所的な情報ではなく、例えば試料1の比較的広い領域の平均的な情報を得たり各局所的な情報の2次元分布を一括して得たりする場合には、テラヘルツパルス光L4を局所的に集光することなく試料1の下面の比較的広い領域を照射するようにしてもよい。
【0030】
試料1の下面の測定部位で反射されたテラヘルツパルス光は、図1及び図2に示すように、拡散光束となり、窓61を経て平面鏡43で反射されてその光軸が+Y方向に折り曲げられる。その後、このテラヘルツパルス光は、b点に位置する放物面鏡42を経て平行光に変換されて+X方向に進行した後、放物面鏡41により光軸が−Y方向に折り曲げられてテラヘルツ光検出器4に集光され、テラヘルツ光検出器4によりその電場強度が検出されて電流信号に変換される。試料1を反射したテラヘルツパルス光の光軸は、平面鏡43の向きが図示のように設定されることにより、前記集光位置と平面鏡43との間では下側に立ち下げられているが、平面鏡43とテラヘルツ光検出器4との間では同一水平面内にある。なお、放物面鏡41,42の代わりに、楕円鏡等の曲面鏡を用いてもよい。
【0031】
テラヘルツ光検出器4で得られた電流信号は、電流−電圧変換器51で電圧信号に変換された後、ロックイン増幅器52により、バイアス電圧印加部56からの前記参照信号と同期してロックイン検出される。ロックイン増幅器52の出力信号は、試料1で反射したテラヘルツ光の電場強度の検出信号として、A/D変換器53によりA/D変換され、これがコンピュータ等からなる制御・演算処理部54に供給される。
【0032】
レーザ光源11から放射されるフェムト秒パルス光L1の繰り返し周期は、数kHzから100MHzオーダーである。したがって、このフェムト秒パルス光で励起されるテラヘルツ光発生器3からのテラヘルツパルス光L4も、数kHzから100MHzオーダーの繰り返しで放射される。本実施の形態では、同じ波形のテラヘルツパルス光が繰り返してテラヘルツ光検出器4に到来することを利用して、ポンプパルス光L2とプローブパルス光L3との間に時間遅延を設けてテラヘルツパルス光の波形を計測する、いわゆるポンプ−プローブ法を採用している。すなわち、テラヘルツ光発生器3を作動させるポンプパルス光L2に対して、テラヘルツ光検出器4を作動させるタイミングを遅延時間τだけ遅らせることにより、時間τだけ遅れた時点でのテラヘルツパルス光の電場強度をテラヘルツ光検出器4で測定できる。言い換えれば、プローブパルス光L3は、テラヘルツ光検出器4に対してゲートをかけていることになる。また、可動鏡15を徐々に移動させることは、遅延時間τを徐々に変えることにほかならない。可動鏡15及びステージ16によってゲートをかけるタイミングをずらしながら、繰り返しテラヘルツ光検出器4に到来するテラヘルツパルス光の各遅延時間τごとの時点の電場強度を検出器4から電気信号として順次得ることによって、試料1を反射したテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形E(τ)を計測することができる。
【0033】
本実施の形態では、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形E(τ)の計測時には、制御・演算処理部54が、ステージ16に制御信号を与えて、前記遅延時間τを徐々に変化させながら、A/D変換器53からのデータを制御・演算処理部54内の図示しないメモリに順次格納する。これによって、最終的に、試料1を反射したテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形E(τ)を示すデータ全体をメモリに格納する。
【0034】
このような時系列波形E(τ)を示すデータを、図2中の窓61上に試料1として参照試料(例えば、金属ミラーなどの、屈折率等が既知である部材)を載置した場合と観測試料(例えば、ウエハ等)を載置した場合について取得する。制御・演算処理部54は、これらのデータに基づいて、観測試料の所望の特性(情報)を求め、これを液晶等の表示部55に表示させる。例えば、制御・演算処理部54は、公知の演算によって、観測試料の複素誘電率を求め、これを表示部55に表示させる。もっとも、例えば、観測試料についてのみ時系列波形E(τ)を示すデータを得、当該時系列波形をフーリエ変換することで分光情報を得るだけでもよい。この場合、当該テラヘルツ光を用いた測定装置は分光装置となる。
【0035】
次に、透過測定用試料2について透過測定を行う場合の本実施の形態による測定装置の動作について、説明する。
【0036】
この場合、制御・演算処理部54により切替ステージ5が制御されて、放物面鏡32,42が、図1中の実線で示す位置に位置するときとそれぞれ同じ姿勢で、図1中の破線で示す位置に位置する(第2の切替状態)。すなわち、放物面鏡32がa点に位置するときと同じ姿勢で前記照射光学系の光軸上のa’点の位置(前述した第1の態様における第3の位置に相当)に位置するとともに、放物面鏡42がb点に位置するときと同じ姿勢で前記受光光学系の光軸上のb’点の位置(前述した第1の態様における第4の位置に相当)に位置する。本実施の形態では、a’点は、放物面鏡31のX軸方向に延びる射出光軸と平面鏡34のY軸方向に延びる入射光軸との交点となっている。b’点は、平面鏡44のY軸方向に延びる射出光軸と放物面鏡41のX軸方向に延びる入射光軸との交点となっている。なお、本実施の形態では、点a,b,b’,a’が同一水平面内において長方形を形成する位置関係にあるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0037】
透過測定の場合も、前述した反射測定の場合と同様に、レーザ光源11からのフェムト秒パルス光L1に基づくポンプパルス光L2及びプローブパルス光L3が、テラヘルツ光発生器3及びテラヘルツ光検出器4にそれぞれ供給される。
【0038】
透過測定では、テラヘルツ光発生器3から発生した拡散光束のテラヘルツパルス光L4は、放物面鏡31を経て平行光束に変換されて+X方向に進行した後、a’点に位置する放物面鏡32によって、その光軸が+Y方向に折り曲げられるとともに収束光束となる。そして、この収束光束となったテラヘルツパルス光は、平面鏡34,35及び後述する窓62を経て集光位置に集光される。図1及び図3に示すように、テラヘルツパルス光の光軸は、テラヘルツ光発生器3から平面鏡34までの間では同一水平面内にあるが、平面鏡34,35の向きが図示のように設定されることにより、平面鏡34と前記集光位置との間では上側に立ち上げられた後に+Y方向に延びている。
【0039】
a’点に位置する放物面鏡32及び平面鏡34,35によるテラヘルツパルス光L4の集光位置には、透過測定用試料2を保持するホルダである試料ホルダ71(図5参照、図1及び図3では省略)により、両面がXZ平面と平行となるように保持された試料2の測定部位(所定の微小の領域)が配置される。なお、試料2の局所的な情報ではなく、例えば試料2の比較的広い領域の平均的な情報を得たり各局所的な情報の2次元分布を一括して得たりする場合には、テラヘルツパルス光を局所的に集光することなく試料2の面の比較的広い領域を照射するようにしてもよい。
【0040】
ここで、試料ホルダ71とこれに関連する筐体6の構造について、説明する。図1及び図5に示すように、筐体6の上部には、外部上方に開口した凹部80が形成されている。この凹部80の壁部は前記チャンバー7の壁部7bで構成され、凹部80はチャンバー7の外側から凹んでいる。図1において、壁部7bを示すラインにより囲まれた領域は、凹部80内の領域であり、大気領域である。前記窓62,63は、図3及び図5に示すように、凹部80を挟んで対向するように、この壁部7bに設けられている。これにより、前記窓62,63は、筐体6の外部に臨んでいる。
【0041】
前記試料ホルダ71は、図5に示すように、凹部80に着脱可能に構成されている。本実施の形態では、試料ホルダ71は、保持板72と、試料2を保持板72との間に挟持する板ばね状のクリップ73と、保持板72の上端に設けられた係合板74と、係合板74の上部に設けられた取手75と、から構成されている。係合板74は、図5に示すように、凹部80の上部開口部付近に形成された段部(図3では省略)に係合するようになっており、保持板72を凹部80内に挿入して係合板74を前記段部に係合させると、保持板72とクリップ73とに保持された試料2が、a’点に位置する放物面鏡32によるテラヘルツパルス光の前述した集光位置に位置するようになっている。保持板72の中央付近には、テラヘルツパルス光を妨げないように、開口72aが形成されている。
【0042】
試料2を透過したテラヘルツパルス光は、図1及び図3に示すように、拡散光束となり、窓63を経て平面鏡45で反射されてその光軸が下側に折り曲げられ、更に平面鏡44で反射されて+Y方向に折り曲げられる。その後、このテラヘルツパルス光は、b’点に位置する放物面鏡42を経て平行光に変換されて+X方向に進行した後、放物面鏡41により光軸が−Y方向に折り曲げられてテラヘルツ光検出器4に集光され、テラヘルツ光検出器4によりその電場強度が検出されて電流信号に変換される。試料2を透過したテラヘルツパルス光の光軸は、平面鏡45,44の向きが図示のように設定されることにより、前記集光位置と平面鏡45との間ではY軸方向に延び、平面鏡45と平面鏡44との間では下側に立ち下げられ、平面鏡44とテラヘルツ光検出器4との間では同一水平面内にある。
【0043】
透過測定の場合も、前述した反射測定の場合と同様に、テラヘルツ光検出器4で得られた電流信号は、電流−電圧変換器51で電圧信号に変換された後、ロックイン増幅器52により、バイアス電圧印加部56からの前記参照信号と同期してロックイン検出される。ロックイン増幅器52の出力信号は、試料を透過したテラヘルツ光の電場強度の検出信号として、A/D変換器53によりA/D変換され、これがコンピュータ等からなる制御・演算処理部54に供給される。そして、透過測定の場合も、前述した反射測定の場合と同様に、ポンプ−プローブ法により、最終的に、試料2を透過したテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形E’(τ)を示すデータ全体をメモリに格納する。
【0044】
このような時系列波形E’(τ)を示すデータを、試料2を図1に示す位置に置いた場合と置かない場合について取得する。制御・演算処理部54は、これらのデータに基づいて、試料2の所望の特性(情報)を求め、これを液晶等の表示部55に表示させる。例えば、制御・演算処理部54は、公知の演算によって、試料2の複素誘電率を求め、これを表示部55に表示させる。もっとも、例えば、試料2ついて時系列波形E’(τ)を示すデータを得、当該時系列波形をフーリエ変換することで分光情報を得るだけでもよい。この場合、当該テラヘルツ光を用いた測定装置は分光装置となる。
【0045】
前述したように、本実施の形態では、可動の放物面鏡32は、a点に位置するときに、放物面鏡31により平行光束に変換されたテラヘルツパルス光を反射測定用試料1に集光し、a’点に位置するときに、放物面鏡31により平行光束に変換されたテラヘルツパルス光を透過測定用試料2に集光する。したがって、a点から試料1までの光軸の光路長とa’点から試料2までの光軸の光路長とが等しくなるように設定されている。また、放物面鏡42は、b点に位置するときに、試料1を反射した拡散光束のテラヘルツパルス光を平行光束に変換して放物面鏡41に与え、b’点に位置するときに、試料2を透過した拡散光束のテラヘルツパルス光を平行光束に変換して放物面鏡41に与える。したがって、b点から試料1までの光軸の光路長とb’点から試料2までの光軸の光路長とが等しくなるように設定されている。これらの光路長の関係の設定は、図2及び図3に示すように、試料1の近傍に平面鏡33,43を配置するとともに、試料2の近傍に平面鏡34,35,44,45を配置することによって、実現されている。
【0046】
なお、本実施の形態では、図3に示すように、平面鏡34,35間の光軸及び平面鏡44,45間の光軸がZ軸方向に対して傾けられている。しかしながら、図4に示すように、平面鏡34,35,44,45の傾きと位置を適宜設定することで、前述した光路長の関係を満たした上で、平面鏡34,35間の光軸及び平面鏡44,45間の光軸をZ軸方向と一致させてもよい。図3と図4との比較からわかるように、平面鏡34,35間の光軸及び平面鏡44,45間の光軸の傾きを任意に設定するとともに、平面鏡34,35,44,45の向き及び位置をその傾きに合わせて設定することで、a’点から試料2までの光路長及び試料2からb’点までの光路長を変えることなく、試料2のZ軸方向の高さを任意に設定することができる。
【0047】
本実施の形態では、前述した光路長の関係を有し、かつ、点a,a’間の光路長と点b,b’間の光路長とが等しいので、反射測定及び透過測定のいずれの場合にも、テラヘルツ光発生器3からテラヘルツ光検出器4までのテラヘルツパルス光の光路長が等しくなっている。このため、ステージ16のストロークは前述したポンプ−プローブ法を実現するのに必要な最低限のストロークですみ、ステージ16を小型化することができるので、好ましい。本発明では、テラヘルツ光発生器3からテラヘルツ光検出器4までの光路長は、反射測定と透過測定とで異なっていてもよいが、その光路長差に応じた分だけステージ16のストロークを大きくしなければならず、必ずしも好ましくない。
【0048】
この点について説明する。今、ビームスプリッタ12からテラヘルツ光発生器3までのポンプパルス光の光路長をr1とし、テラヘルツ光発生器3からテラヘルツ光検出器4までのテラヘルツパルス光の光路長をr2とし、ビームスプリッタ12からテラヘルツ光検出器4までのプローブパルス光の光路長をr3とする。反射測定と透過測定とを切り替えて行うためには、反射測定の場合にも透過測定の場合にも、r1+r2≒r3を満たすようにする。これは、テラヘルツ光発生器3から発生したテラヘルツパルス光がテラヘルツ光検出器4に到達している期間とプローブパルス光L3がテラヘルツ光検出器4に到達するタイミングを一致させるためである。したがって、r1+r2≒r3を満たすためには、r2が反射測定と透過測定とで異なれば、その分だけr3を調整する必要が生じ、反射測定と透過測定とでステージ16を移動させる必要がある。よって、ステージ16のストロークを大きくしなければならない。これに対し、本実施の形態のようにr2が反射測定と透過測定とで等しければ、反射測定及び透過測定のいずれの場合にも、ステージ16を同一の位置で使用できるので(すなわち、r3を調整することなく)、r1+r2≒r3を容易に満たすことができる。よって、ステージ16のストロークが小さくて済むのである。
【0049】
本実施の形態によれば、先の動作説明からわかるように、1台の装置で、試料1で反射されたテラヘルツパルス光による反射測定、及び、試料2を透過したテラヘルツパルス光による透過測定の両方を行うことできる。したがって、装置全体の低価格化を図ることができるとともに、装置全体として占有空間を抑えることができる。特に、本実施の形態では、1組のテラヘルツ光発生器3及びテラヘルツ光検出器4が、反射測定及び透過測定で兼用されているので、テラヘルツ光発生器3及びテラヘルツ光検出器4は非常に高価であることから、これらを2組設ける場合に比べて、著しく低価格化を図ることができる。また、本実施の形態では、4つの放物面鏡31,32,41,42が反射測定と透過測定とで兼用されているので、放物面鏡も非常に高価であることから、これらを2組設ける場合に比べて、著しく低価格化を図ることができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、前述したように、ステージ16のストロークが小さくてすむので、ステージ16を小型化することができ、この点からも装置の占有空間を抑えることができる。
【0051】
なお、反射測定用試料1及び平面鏡33,43の配置と、透過測定用試料2及び平面鏡34,35,44,45の配置とを、入れ替えてもよい。この点は、後述する各実施の形態についても同様である。
【0052】
[第2の実施の形態]
【0053】
図6は、本発明の第2の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。ただし、図6では、電気系の構成要素(図1中の要素51〜56に相当する構成要素)は省略している。この点は、後述する図7乃至図11についても同様である。図6において、図1乃至図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0054】
本実施の形態は、課題を解決するための手段の欄で説明した第1の態様の他の具体例である。本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0055】
本実施の形態では、図6に示すように、図1中の放物面鏡32,42に代えて、それらの位置において、平面鏡132,142がそれぞれ切替ステージ5に搭載されている。本実施の形態では、平面鏡132が前述した第1の態様における可動の第1の反射光学素子に相当し、平面鏡142が前述した第1の態様における可動の第2の反射光学素子に相当している。
【0056】
前記第1の実施の形態では、テラヘルツ光発生器3が放物面鏡31の焦点に位置し、テラヘルツ光発生器3からの拡散光束のテラヘルツパルス光が放物面鏡31によって平行光束に変換されている。これに対し、本実施の形態では、テラヘルツ光発生器3が放物面鏡31の焦点外の位置に配置され、テラヘルツ光発生器3からの拡散光束のテラヘルツパルス光は、放物面鏡31によって光軸を+X軸方向とする収束光束となる。そして、この収束光束となったテラヘルツパルス光は、平面鏡132が図6中のa点に位置するときは反射測定用試料1に集光し、平面鏡132が図6中のa’点に位置するときは透過測定用試料2に集光するようになっている。換言すると、平面鏡132がa点に位置する場合には、放物面鏡31に関してテラヘルツ光発生器3と試料1とが共役となり、平面鏡132がa’点に位置する場合には、放物面鏡31に関してテラヘルツ光発生器3と試料2とが共役となっている。
【0057】
したがって、本実施の形態では、a点から試料1までの光軸の光路長は、a点からa’点を経由した試料2までの光軸の光路長と等しくされている。すなわち、a点から試料1までの光軸の光路長は、a’点から試料2までの光軸の光路長より、a点からa’点までの光路長だけ長くされている。
【0058】
また、前記第1の実施の形態では、テラヘルツ光検出器4が放物面鏡41の焦点に位置し、試料1又は試料2からの拡散光束のテラヘルツパルス光が、放物面鏡42によって平行光束に変換された後に、放物面鏡41によってテラヘルツ光検出器4に集光されている。これに対し、本実施の形態では、テラヘルツ光検出器4が放物面鏡41の焦点外の位置に配置され、試料1又は試料2からの拡散光束のテラヘルツパルス光が、平面鏡142によって反射された後に、拡散光束のまま放物面鏡41に入射し、放物面鏡41によってテラヘルツ光検出器4に集光するようになっている。換言すると、平面鏡142がb点に位置する場合には、放物面鏡41に関してテラヘルツ光検出器4と試料1とが共役となり、平面鏡142がb’点に位置する場合には、放物面鏡41に関してテラヘルツ光検出器4と試料2とが共役となっている。
【0059】
したがって、本実施の形態では、試料2からb’点までの光軸の光路長は、試料1からb点を経由したb’点までの光軸の光路長と等しくされている。すなわち、b’点から試料2までの光軸の光路長は、b点から試料1までの光軸の光路長より、b点からb’点までの光路長だけ長くされている。
【0060】
図面表記の便宜上、図6では、図1の場合と同様に、試料1のY軸方向の位置がa点とb点との間のY軸方向の中心と一致するとともに、試料2のY軸方向の位置がa’点とb’点との間のY軸方向の中心と一致するかのように、示している。しかしながら、本実施の形態では、a点から試料1までの光軸の光路長をa点からa’点を経由した試料2までの光軸の光路長と等しくするとともに、試料2からb’点までの光軸の光路長を試料1からb点を経由したb’点までの光軸の光路長と等しくするために、実際には、例えば、試料1、平面鏡33,43は+Y方向へ所定距離だけ移動した位置に配置されるとともに、試料2及び平面鏡34,35,44,45は−Y方向へ所定距離だけ移動した位置に配置される。
【0061】
なお、本実施の形態においても、反射測定及び透過測定のいずれの場合にも、テラヘルツ光発生器3からテラヘルツ光検出器4までのテラヘルツパルス光の光路長が等しくなっている。この点は、後述する各実施の形態についても、同様である。
【0062】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、前記第1の実施の形態では4つの放物面鏡31,32,41,42を要していたのに対し、本実施の形態では、2つの放物面鏡31,41で済む。したがって、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態に比べてより低価格化を図ることができる。
【0063】
[第3の実施の形態]
【0064】
図7は、本発明の第3の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。図7において、図1乃至図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0065】
本実施の形態は、課題を解決するための手段の欄で説明した第2の態様の具体例である。本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0066】
本実施の形態では、図7に示すように、図1におけるa’点に位置した放物面鏡32に相当する固定の放物面鏡232がa’点に設けられ、図1におけるb点に位置した放物面鏡42に相当する固定の放物面鏡242がb点に設けられている。放物面鏡232は、固定の第2の反射光学素子に相当している。放物面鏡242は、固定の第4の反射光学素子に相当している。
【0067】
また、本実施の形態では、図7に示すように、図1中のX軸方向に移動可能な切替ステージ5に代えて、矢印Eで示すようにY軸方向に移動可能な一軸の切替ステージ105が切替機構として設けられている。本実施の形態では、放物面鏡32,42はそれぞれ、切替ステージ105に搭載され、+Y側の図7中の実線で示す位置と−Y側の図7中の破線で示す位置とに位置し得るようになっている。すなわち、放物面鏡32(可動の第1の反射光学素子に相当)は、a点の位置(第1の位置に相当)と、その位置から−Y側に所定距離離れてテラヘルツパルス光の光路から退避した位置(第2の位置に相当)とに、位置し得るようになっている。放物面鏡42(可動の第2の反射光学素子に相当)は、b’点の位置(第4の位置に相当)と、その位置から+Y側に所定距離離れてテラヘルツパルス光の光路から退避した位置(第3の位置に相当)とに、位置し得るようになっている。
【0068】
本実施の形態では、反射測定用試料1について反射測定を行う場合には、放物面鏡32,42が図7中の実線で示す位置に位置させられる。一方、透過測定用試料2について透過測定を行う場合には、放物面鏡32,42が図7中の破線で示す位置に位置させられる。
【0069】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0070】
また、本実施の形態では、放物面鏡32の図7中の破線の位置や放物面鏡42の実線の位置は、放物面鏡32,42がテラヘルツパルス光の光路から退避していれさえいれば、その精度を高める必要はない。したがって、放物面鏡32の位置調整は切替ステージ105が+Y側に移動したa点の状態でのみ行えば良く、放物面鏡42の位置調整は切替ステージ105が−Y側に移動したb’点の状態でのみ行えば良い。このため、本実施の形態によれば、切替ステージ105として移動方向のa点及びb’点の再現性さえ良ければよく、移動放物面鏡の位置調整の精度を高めることができる。
【0071】
さらに、前記第1の実施の形態では、図1に示すような上側からの平面視で、切替ステージ5が平面鏡34,35,44,45と重なる位置を通過するため、平面鏡34,35,44,45のベース等に対して取り付けるための取り付け部材を、切替ステージ5と衝突しない位置に配置する必要がある。このため、当該取り付け部材の構造や配置が複雑化する。これに対し、本実施の形態では、図7に示すような上側からの平面視で、切替ステージ5が平面鏡34,35,44,45等と重ならない。したがって、本実施の形態によれば、前記取り付け部材等の構造や配置が簡単となる。
【0072】
なお、放物面鏡31,32,232,41,42,242に代えて、楕円鏡等の曲面鏡を用いてもよい。
【0073】
また、第1の実施の形態を変形して第2の実施の形態を得たのと同様の方法で、本実施の形態を変形してもよい。この場合には、放物面鏡32,232,42,242がそれぞれ平面鏡で置き換えられる。また、放物面鏡32に代わる平面鏡がa点に位置する場合には、放物面鏡31に関してテラヘルツ光発生器3と試料1とが共役となり、放物面鏡32に代わる平面鏡がテラヘルツパルス光の光路から退避している場合には、放物面鏡31に関してテラヘルツ光発生器3と試料2とが共役となるように、設定される。さらに、放物面鏡42に代わる平面鏡がテラヘルツパルス光の光路から退避している場合には、放物面鏡41に関してテラヘルツ光検出器4と試料1とが共役となり、放物面鏡42に代わる平面鏡がb’点に位置する場合には、放物面鏡41に関してテラヘルツ光検出器4と試料2とが共役となるように、設定される。この点は、後述する第4の実施の形態についても同様である。
【0074】
[第4の実施の形態]
【0075】
図8は、本発明の第4の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。図8において、図7中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0076】
本実施の形態は、課題を解決するための手段の欄で説明した第2の態様の他の具体例である。本実施の形態が前記第3の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0077】
本実施の形態では、切替機構として、図7中の切替ステージ105に代えて、回転機構205,206が設けられている点のみである。
【0078】
回転機構205は、Z軸方向に延びる回転軸205aと、この回転軸205aと共にその軸回りに回転される部材205bとを有している。放物面鏡32は、部材205bに搭載され、前記第3の実施の形態と同様に、a点の位置と、透過測定時のテラヘルツパルス光の有効な光路から退避した位置とに、位置し得るようになっている。
【0079】
回転機構206は、回転機構205と同様に、Z軸方向に延びる回転軸206aと、この回転軸206aと共にその軸回りに回転される部材206bとを有している。放物面鏡42は、部材206bに搭載され、前記第3の実施の形態と同様に、b’点の位置と、反射測定時のテラヘルツパルス光の有効な光路から退避した位置とに、位置し得るようになっている。
【0080】
本実施の形態によっても、前記第3の態様と同様の利点が得られる。また、回転機構205,206は、直線移動機構のステージに比べて、グリース等を用いない可動機構を実現し易く、かつ気密構造が得易い。このため、回転機構205,206は、真空中で用いるのに都合が良い。なお、チャンバー7内でグリース等を用いると、チャンバー7内を真空に引いたときに、グリース等の粒子が飛散してチャンバー7内が汚染されてしまう。
【0081】
なお、図8の例では、放物面鏡32,42が、退避時に、照射光学系及び受光光学系からなる全体の系の内側に位置するように回転している。しかし、回転軸205a,206aを部材205b,206bのそれぞれ反対側に位置するように配置し、放物面鏡32,42が前記全体の系の外側に位置するように回転させてもよい。
【0082】
[第5の実施の形態]
【0083】
図9は、本発明の第5の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。図9において、図1乃至図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0084】
本実施の形態は、課題を解決するための手段の欄で説明した第3の態様の具体例である。本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0085】
前記第1の実施の形態では、放物面鏡32,42を移動させて透過測定と反射測定との切り替えを行っている。これに対し、本実施の形態では、図9に示すように、放物面鏡32,42をX軸方向の所定の位置で固定させて、試料1用の試料ホルダ(図示せず)、試料2用の試料ホルダ(図示せず)、平面鏡33,43(照射光学系及び受光光学系のうちの反射測定専用の光学系に相当)及び平面鏡34,35,44,45(照射光学系及び受光光学系のうちの透過測定専用の光学系に相当)を移動させることで、透過測定と反射測定との切り替えを行うように、構成されている。
【0086】
本実施の形態では、放物面鏡32は、固定の第1の反射光学素子に相当している。放物面鏡42は、固定の第2の反射光学素子に相当している。
【0087】
本実施の形態では、図9に示すように、図1中のX軸方向に移動可能な切替ステージ5に代えて、矢印Fで示すようにX軸方向に移動可能な一軸の切替ステージ305が切替機構として設けられている。切替ステージ305には、試料1用の試料ホルダ(図示せず)、試料2用の試料ホルダ(図示せず)、平面鏡33,43及び平面鏡34,35,44,45が、搭載されている。
【0088】
図9中のG矢視の概略図は図2と同様となり、図9中のH矢視の概略図は図3又は図4と同様となる。
【0089】
切替ステージ305は、図9中の実線で示す位置と図9中の破線で示す位置とに位置し得るようになっている。すなわち、切替ステージ305は、(a)平面鏡33のY軸方向に延びる入射光軸と放物面鏡32のY軸方向に延びる射出光軸とが一致するとともに、平面鏡43のY軸方向に延びる射出光軸と放物面鏡42のY軸方向に延びる入射光軸とが一致する位置と、(b)平面鏡34のY軸方向に延びる入射光軸と放物面鏡32のY軸方向に延びる射出光軸とが一致するとともに、平面鏡45のY軸方向に延びる射出光軸と放物面鏡42のY軸方向に延びる入射光軸とが一致する位置とに位置し得るようになっている。反射測定の場合には、切替ステージ305は図9中の実線で示す位置に位置させられ、透過測定の場合には、切替ステージ305は図9中の破線で示す位置に位置させられる。
【0090】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0091】
[第6の実施の形態]
【0092】
図10は、本発明の第6の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。図10において、図9中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0093】
本実施の形態は、課題を解決するための手段の欄で説明した第3の態様の他の具体例である。本実施の形態が前記第5の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
【0094】
本実施の形態では、図10に示すように、図9中の放物面鏡32,42に代えて、それらの位置に、平面鏡332,342が設けられている。
【0095】
前記第5の実施の形態では、テラヘルツ光発生器3が放物面鏡31の焦点に位置し、テラヘルツ光発生器3からの拡散光束のテラヘルツパルス光が放物面鏡31によって平行光束に変換されている。これに対し、本実施の形態では、テラヘルツ光発生器3が放物面鏡31の焦点外の位置に配置され、テラヘルツ光発生器3からの拡散光束のテラヘルツパルス光は、放物面鏡31によって光軸を+X軸方向とする収束光束となる。そして、この収束光束となったテラヘルツパルス光は、平面鏡332により+Y軸方向に曲げられ、切替ステージ305が図10中の実線で示す位置に位置するときは反射測定用試料1に集光し、切替ステージ305が図10中の破線で示す位置に位置するときは透過測定用試料2に集光するようになっている。換言すると、切替ステージ305が図10中の実線で示す位置に位置する場合には、放物面鏡31に関してテラヘルツ光発生器3と試料1とが共役となり、切替ステージ305が図10中の破線で示す位置に位置する場合には、放物面鏡31に関してテラヘルツ光発生器3と試料2とが共役となっている。なお、本実施の形態においても、前記第5の実施の形態と同じく、切替ステージ305が図10中の実線で示す位置に位置する場合の、平面鏡332から試料1までの光軸の光路長と、切替ステージ305が図10中の破線で示す位置に位置する場合の、平面鏡332から試料2までの光軸の光路長とは、等しい。
【0096】
また、前記第5の実施の形態では、テラヘルツ光検出器4が放物面鏡41の焦点に位置し、試料1又は試料2からの拡散光束のテラヘルツパルス光が、放物面鏡42によって平行光束に変換された後に、放物面鏡41によってテラヘルツ光検出器4に集光されている。これに対し、本実施の形態では、テラヘルツ光検出器4が放物面鏡41の焦点外の位置に配置され、試料1又は試料2からの拡散光束のテラヘルツパルス光が、平面鏡342によって反射された後に、拡散光束のまま放物面鏡41に入射し、放物面鏡41によってテラヘルツ光検出器4に集光するようになっている。換言すると、切替ステージ305が図10中の実線で示す位置に位置する場合には、放物面鏡41に関してテラヘルツ光検出器4と試料1とが共役となり、切替ステージ305が図10中の破線で示す位置に位置する場合には、放物面鏡41に関してテラヘルツ光検出器4と試料2とが共役となっている。なお、本実施の形態においても、前記第5の実施の形態と同じく、切替ステージ305が図10中の実線で示す位置に位置する場合の、平面鏡342から試料1までの光軸の光路長と、切替ステージ305が図10中の破線で示す位置に位置する場合の、平面鏡342から試料2までの光軸の光路長とは、等しい。
【0097】
本実施の形態によれば、前記第5の実施の形態と同様の利点が得られる。また、前記第5の実施の形態では4つの放物面鏡31,32,41,42を要していたのに対し、本実施の形態では、2つの放物面鏡31,41で済む。したがって、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態に比べてより低価格化を図ることができる。
【0098】
[第7の実施の形態]
【0099】
図11は、本発明の第7の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。図11において、図1乃至図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0100】
本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、平面鏡91,92を追加して、レーザ光源11の配置を変更した点のみである。
【0101】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、前記第1の実施の形態では、レーザ光源11が−X側に突出しているのに対し、レーザ光源11が−X側に突出していないので、より装置の小型化を図ることができる。
【0102】
前記第2乃至第6の実施の形態についても、本実施の形態と同様のレーザ光源11の配置を採用してもよいことは、言うまでもない。
【0103】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0104】
例えば、前記各実施の形態は、本発明をテラヘルツ光を用いた複素誘電率等の測定装置に適用した例であったが、本発明は、テラヘルツ光を用いた他の種々のテラヘルツ光を用いた測定装置に適用することができる。
【0105】
また、前記各実施の形態では、テラヘルツ光発生器3として、光伝導アンテナを用いる代わりに、電気光学結晶を用いてもよい。また、テラヘルツ光検出器4として、光伝導アンテナを用いる代わりに、電気光学結晶を用いてもよい。この場合、例えば、テラヘルツパルス光が試料1,2の2次元領域をそれぞれ照射するようにし、プローブパルス光を偏光子で偏光させて電気光学結晶の2次元領域を照射し、電気光学結晶を通過したプローブパルス光を検光子で検光した後にCCDカメラで受光するようにしてもよい。この場合、CCDカメラによりテラヘルツパルス光の試料反射像又は試料透過像に相当する像を得ることができる。このとき、CCDカメラは、大気領域に配置してもよい。このように、本発明は、イメージ化装置にも適用することができる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、透過測定及び反射測定の両方を行うことができ、しかも、コスト及び占有空間を低減することができるテラヘルツ光を用いた測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を模式的に示す概略構成図である。
【図2】図1中のA矢視の概略図である。
【図3】図1中のB矢視の概略図である。
【図4】図3に対応する変形例を示す図である。
【図5】図1に示すテラヘルツ光を用いた測定装置の透過測定用試料を保持する試料ホルダ等を示す外観図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態によるテラヘルツ光を用いた測定装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 反射測定用試料
2 透過測定用試料
3 テラヘルツ光発生器
4 テラヘルツ光検出器
5,105,305 切替ステージ
6 筐体
11 レーザ光源
31,32,42,43,232,242 放物面鏡
34〜35,43〜45,132,142,332,342 平面鏡
205,206 回転機構
Claims (4)
- テラヘルツパルス光を発生するテラヘルツ光発生器と、
テラヘルツパルス光を検出するテラヘルツ光検出器と、
互いに異なる位置に配置される反射測定用対象物及び透過測定用対象物のいずれか一方に選択的に、前記テラヘルツ光発生器から発生したテラヘルツパルス光を導く照射光学系と、
前記照射光学系の選択状態に応じて、前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光及び前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、前記テラヘルツ光検出器に導く受光光学系と、
切替機構と、
を備え、
前記照射光学系は可動の第1の反射光学素子を含み、
前記受光光学系は可動の第2の反射光学素子を含み、
前記切替機構は、(a)前記第1の反射光学素子が、前記照射光学系の光軸上にあって前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光を前記反射測定用対象物に導く第1の位置に位置するとともに、前記第2の反射光学素子が、前記受光光学系の光軸上にあって前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光を前記テラヘルツ光検出器に導く第2の位置に位置する第1の切替状態と、(b)前記第1の反射光学素子が、前記第1の位置に位置するときと同じ姿勢で、前記照射光学系の光軸上にあって前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光を前記透過測定用対象物に導く第3の位置に位置するとともに、前記第2の反射光学素子が、前記第2の位置に位置するときと同じ姿勢で、前記受光光学系の光軸上にあって前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光を前記テラヘルツ光検出器に導く第4の位置に位置する第2の切替状態とに、択一的に切り替える、
ことを特徴とするテラヘルツ光を用いた測定装置。 - テラヘルツパルス光を発生するテラヘルツ光発生器と、
テラヘルツパルス光を検出するテラヘルツ光検出器と、
互いに異なる位置に配置される反射測定用対象物及び透過測定用対象物のいずれか一方に選択的に、前記テラヘルツ光発生器から発生したテラヘルツパルス光を導く照射光学系と、
前記照射光学系の選択状態に応じて、前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光及び前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、前記テラヘルツ光検出器に導く受光光学系と、
切替機構と、
を備え、
前記照射光学系は、可動の第1の反射光学素子及び固定の第2の反射光学素子を含み、
前記受光光学系は、可動の第3の反射光学素子及び固定の第4の反射光学素子を含み、
前記切替機構は、(a)前記第1の反射光学素子が前記照射光学系の光軸上の第1の位置に位置するとともに、前記第3の反射光学素子が前記受光光学系の光路から退避した第3の位置に位置する第1の切替状態と、(b)前記第1の反射光学素子が前記照射光学系の光路から退避した第2の位置に位置するとともに、前記第3の反射光学素子が前記受光光学系の光軸上の第4の位置に位置する第2の切替状態とに、択一的に切り替え、
前記照射光学系は、前記第1の反射光学素子が前記第1の位置に位置する場合には、前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光を、前記第1の反射光学素子を経由しかつ前記第2の反射光学素子を経由することなく前記反射測定用対象物(又は前記透過測定用対象物)に選択的に導くとともに、前記第1の反射光学素子が前記第2の位置に位置する場合には、前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光を、前記第2の反射光学素子を経由しかつ前記第1の反射光学素子を経由することなく前記透過測定用対象物(又は前記反射測定用対象物)に選択的に導き、
前記受光光学系は、前記第3の反射光学素子が前記第3の位置に位置する場合には、前記反射測定用対象物を反射した(又は前記透過測定用対象物を透過した)テラヘルツパルス光を、前記第4の反射光学素子を経由しかつ前記第3の反射光学素子を経由することなく前記テラヘルツ光検出器に導くとともに、前記第3の反射光学素子が前記第4の位置に位置する場合には、前記透過測定用対象物を透過した(又は前記反射測定用対象物を反射した)テラヘルツパルス光を、前記第3の反射光学素子を経由しかつ前記第4の反射光学素子を経由することなく前記テラヘルツ光検出器に導く、
ことを特徴とするテラヘルツ光を用いた測定装置。 - テラヘルツパルス光を発生するテラヘルツ光発生器と、
テラヘルツパルス光を検出するテラヘルツ光検出器と、
反射測定用対象物及び透過測定用対象物のいずれか一方に選択的に、前記テラヘルツ光発生器から発生したテラヘルツパルス光を導く照射光学系と、
前記照射光学系の選択状態に応じて、前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光及び前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光のいずれか一方を選択的に、前記テラヘルツ光検出器に導く受光光学系と、
切替機構と、
を備え、
前記照射光学系は固定の第1の反射光学素子を含み、
前記受光光学系は固定の第2の反射光学素子を含み、
前記切替機構は、(a)前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光が前記第1の反射光学素子を経由して前記反射測定用対象物に照射し、かつ、前記反射測定用対象物を反射したテラヘルツパルス光が前記第2の反射光学素子を経由して前記テラヘルツ光検出器に導かれる位置に、前記照射光学系及び前記受光光学系のうちの反射測定専用の光学系並びに前記反射測定用対象物が位置する第1の切替状態と、(b)前記テラヘルツ光発生器からのテラヘルツパルス光が前記第1の反射光学素子を経由して前記透過測定用対象物を照射し、かつ、前記透過測定用対象物を透過したテラヘルツパルス光が前記第2の反射光学素子を経由して前記テラヘルツ光検出器に導かれる位置に、前記照射光学系及び前記受光光学系のうちの透過測定専用の光学系並びに前記透過測定用対象物が位置する第2の切替状態とに、前記反射測定専用の光学系及び前記透過測定専用の光学系を着脱することなく、択一的に切り替える、
ことを特徴とするテラヘルツ光を用いた測定装置。 - 前記第1及び第2の切替状態のいずれにおいても、前記テラヘルツ光発生器から前記テラヘルツ光検出器までのテラヘルツパルス光の光路長が略等しいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のテラヘルツ光を用いた測定装置。
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