JP2016017542A - 水素吸蔵放出装置及び水素吸蔵放出方法 - Google Patents

水素吸蔵放出装置及び水素吸蔵放出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】広い温度域において水素を効率良く吸蔵及び放出できる水素吸蔵放出装置及び水素吸蔵放出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の水素吸蔵放出装置は、水素吸蔵合金が充填され、水素の吸蔵及び放出を行うタンクと、このタンクに付設され、水素吸蔵合金を加熱及び冷却する熱媒体が流通可能に構成される熱媒体流通部とを備える水素吸蔵放出装置であって、上記タンク内に水素平衡圧の異なる2種以上の水素吸蔵合金が混合充填されることを特徴とする。上記水素吸蔵合金が粉体であるとよい。上記熱媒体として空気が用いられるとよい。上記水素吸蔵合金の25℃での水素平衡圧としては、0.1MPa以上1MPa以下が好ましい。上記水素吸蔵合金全体の単位質量あたりの水素放出速度としては、0.01NL/min/kg以上1NL/min/kg以下が好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素吸蔵放出装置及び水素吸蔵放出方法に関する。
近年、地球環境の改善につながる燃料として水素への期待が高まっており、水素を効率良く貯蔵できる素材として水素吸蔵合金が注目されている。水素吸蔵合金は、温度又は圧力を制御することにより水素を吸蔵又は放出できる合金であり、冷却又は加圧により水素を吸蔵し、加熱又は減圧により水素を放出する。このような水素吸蔵合金を用いた水素の貯蔵技術として、水素吸蔵合金収容容器の内部を通過するように熱媒の循環用管路を設け、この循環用管路内に加熱又は冷却した熱媒を循環させる装置を用いたもの(特開平5−18261号公報参照)等が開発されている。
しかし、上記の水素吸蔵合金収容容器では、水素吸蔵合金が水素吸蔵時に熱を放出するため、熱媒の流通方向の下流側では上流側と比べて熱媒の温度が上昇し水素吸蔵合金が十分に冷却されない。逆に、水素吸蔵合金が水素放出時に熱を吸収するため、熱媒の下流側では上流側と比べて熱媒の温度が低下し水素吸蔵合金が十分に加熱されない。これらの結果、熱媒の下流側における水素吸蔵合金の水素吸蔵放出効率が低下する。
これに対し、平衡圧力が互いに異なる複数の水素吸蔵合金を用い、熱媒が流通する熱媒管の一端側から他端側に向かって、平衡圧力が高い水素吸蔵合金から平衡圧力が低い水素吸蔵合金の順で互いに混合しないように区画して配設する水素貯蔵タンクが開発されている(特開2007−333158号公報参照)。この水素貯蔵タンクでは、水素吸蔵時には平衡圧力の高い水素吸蔵合金側から平衡圧力の低い水素吸蔵合金側に低温の熱媒を流通させ、水素放出時には平衡圧力の低い水素吸蔵合金側から平衡圧力の高い水素吸蔵合金側に高温の熱媒を流通させることで、熱媒の温度変化による水素の吸蔵放出効率の低下を軽減できる。
しかしながら、上記水素貯蔵タンクでは、各区画内にそれぞれ1種のみ水素吸蔵合金を配設するため、各区画の熱媒下流側において水素吸蔵放出効率が低下し、熱倍の温度変化による水素吸蔵放出効率の低下が十分に軽減できない。また、水素貯蔵タンク内の温度が上昇又は低下した場合、いずれかの区画で水素の吸蔵又は放出が不可能となるため、水素を効率良く吸蔵及び放出できる温度域が狭いという不都合がある。
特開平5−18261号公報 特開2007−333158号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、広い温度域において水素を効率良く吸蔵及び放出できる水素吸蔵放出装置及び水素吸蔵放出方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、水素吸蔵合金が充填され、水素の吸蔵及び放出を行うタンクと、このタンクに付設され、水素吸蔵合金を加熱及び冷却する熱媒体が流通可能に構成される熱媒体流通部とを備える水素吸蔵放出装置であって、上記タンク内に水素平衡圧の異なる2種以上の水素吸蔵合金が混合充填されることを特徴とする。
当該水素吸蔵放出装置は、熱媒体流通部が付設されたタンク中に、水素平衡圧の異なる2種以上の水素吸蔵合金が混合充填される。このため、水素吸蔵時に比較的高温となる熱媒体の下流側において、水素平衡圧の低い水素吸蔵合金が効率良く水素を吸蔵できる。また、熱媒の下流側は水素放出時に比較的低温となるが、この場合は水素平衡圧の高い水素吸蔵合金が効率良く水素を放出できる。これらの結果、熱媒体の下流側における水素吸蔵合金の水素吸蔵放出効率の低下を軽減できるため、当該水素吸蔵放出装置の水素吸蔵放出効率が向上する。
また、当該水素吸蔵放出装置はタンク内の温度が上昇又は低下した場合でも、水素吸蔵合金のいずれかは水素を吸蔵及び放出可能であるため、当該水素吸蔵放出装置の設置環境の変化による水素吸蔵放出効率の低下を軽減できる。従って、当該水素吸蔵放出装置は広い温度域において好適に使用可能である。
さらに、当該水素吸蔵放出装置は2種以上の水素吸蔵合金を混合するため、水素吸蔵合金のタンクへの充填、交換等が容易であり、タンク内に水素吸蔵合金を分けて保持するための機構等も不要である。そのため、当該水素吸蔵放出装置のタンクとして、従来の水素吸蔵放出装置に用いられるタンクを転用することが可能であり、当該水素吸蔵放出装置の製造コスト及び維持コストが低くなる。
上記水素吸蔵合金が粉体であるとよい。このように水素吸蔵合金が粉体であることで、水素吸蔵合金の単位体積あたりの表面積が増加するため、水素の吸蔵放出効率がより向上する。また、2種以上の水素吸蔵合金をより容易に混合充填できる。
上記熱媒体として空気が用いられるとよい。このように熱媒体として空気を用いることで、熱媒体を循環、貯留等するための装置が不要となり、製造コスト及び維持コストをより低減することができる。
上記水素吸蔵合金の25℃での水素平衡圧としては、0.1MPa以上1MPa以下が好ましい。このように25℃での水素平衡圧を上記範囲内とすることで、常温(例えば25℃程度)において、圧力を制御することで容易に水素を吸蔵及び放出できるため、水素の吸蔵放出効率がさらに向上する。
上記水素吸蔵合金全体の単位質量あたりの水素放出速度としては、0.01NL/min/kg以上1NL/min/kg以下が好ましい。上記水素吸蔵合金全体の単位質量あたりの水素放出速度を上記範囲内とすることで、水素吸蔵合金の温度管理を容易とできると共に、使用する水素吸蔵合金の量を少なくしタンク等の大型化を抑制できる。
また、上記課題を解決するためになされた発明は、水素吸蔵合金が充填され、水素の吸蔵及び放出を行うタンクと、このタンクに付設され、水素吸蔵合金を加熱及び冷却する熱媒体が流通可能に構成される熱媒体流通部とを備える水素吸蔵放出装置を用いた水素吸蔵放出方法であって、上記タンク内の圧力の制御により水素を吸蔵又は放出する工程を備え、上記水素吸蔵放出装置のタンク内に水素平衡圧の異なる2種以上の水素吸蔵合金が混合充填されることを特徴とする。
当該水素吸蔵放出方法は、水素平衡圧の異なる2種以上の水素吸蔵合金が混合充填されるタンクを備える水素吸蔵放出装置を用いるため、水素吸蔵時及び放出時において比較的高温又は低温となる熱媒体の下流側においても、いずれかの水素吸蔵合金が効率良く水素を吸蔵又は放出できる。これにより、上記タンク内の圧力の制御により容易に水素を吸蔵又は放出することができる。また、上記水素吸蔵放出装置は水素吸蔵合金の充填等が容易である。従って、当該水素吸蔵放出方法によれば、広い温度域において水素を効率良く吸蔵及び放出できる。
ここで、「水素平衡圧」とは、JIS−H7201(2007)に準拠し得られた水素吸蔵合金の圧力−組成等温線(PCT線)において、水素濃度(H/M)が0.5である場合の圧力を指す。なお、上記圧力は絶対圧基準の場合は「Pa」で表し、ゲージ圧基準の場合は「PaG」で表す。
当該水素吸蔵放出装置及び水素吸蔵放出方法は、広い温度域において水素を効率良く吸蔵及び放出できる。また、複数の水素吸蔵合金を貯蔵タンク内に順に配設及び保持する必要がなく、水素吸蔵合金の充填、交換等の手順が簡略化でき、かつ水素貯蔵タンクの構造が簡略となる。このため、当該水素吸蔵放出装置及び水素吸蔵放出方法は、水素貯蔵タンクの製造コスト及び維持コストを削減することもできる。
図1は、本発明の第1実施形態の水素吸蔵放出装置の概略構成図である。 図2は、本発明の第2実施形態の水素吸蔵放出装置の概略構成図である。
以下、本発明に係る水素吸蔵放出装置及び水素吸蔵放出方法について図面を参照しつつ詳説する。
[第1実施形態]
<水素吸蔵放出装置>
図1の水素吸蔵放出装置1は、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bが充填され、水素の吸蔵及び放出を行うタンク3と、このタンク3に付設され、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bを加熱及び冷却する熱媒体が流通可能に構成される熱媒体流通部4を主に備える。
(水素吸蔵合金)
上記第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bは、圧力又は温度を制御することで水素を吸蔵及び放出できる合金であり、タンク3に混合充填される。また、第1水素吸蔵合金2aの25℃での水素平衡圧は、第2水素吸蔵合金2bの25℃での水素平衡圧より高い。第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bとしては、公知のものを用いることができるが、例えば2元系合金、3元系合金、4元系合金、5元系合金等が挙げられる。
上記2元系合金としては、例えばLaNi等のLaNi系合金、TiFe系合金、MmNi系合金、CaNi系合金、TiMn系合金、TiZr系合金、ZrMn系合金などが挙げられる。
上記3元系合金としては、例えばTi25Cr5025、Ti25Cr2550等のTiCrV系合金、Ti36Cr32Mn32、Ti30Cr35Mn35等のTiCrMn系合金、Ti20Cr4535等のTiCrV系合金、TiVMo系合金などが挙げられる。
上記4元系合金としては、例えばTi30Cr4510Mo15、Ti25Cr5020Mo等のTiCrVMo系合金、Ti25Cr4425Fe等のTiCrVFe系合金、Ti25Cr5020Ni等のTiCrVNi系合金などが挙げられる。
上記5元系合金としては、例えばTi11Cr1271MoNi等のTiCrVMoNi合金などが挙げられる。
第1水素吸蔵合金2aとしては、これらの中でMmNi系水素吸蔵合金が好ましく、その中でもMmNi4.8Al10.2がより好ましい。また、第2水素吸蔵合金2bとしては、これらの中でLaNi系水素吸蔵合金が好ましく、その中でもLaNiがより好ましい。
また、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの形状としては、例えば粉体、ペレット状等が挙げられ、これらの中で粉体が好ましい。第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの製造方法としては、公知のものを採用でき、例えば金属粉を所望の組成となるように混合、溶接して粗合金を製造し、この合金を粉砕機により所望の大きさに粉砕する方法等が挙げられる。
第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bが粉体である場合、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの平均粒径の上限としては、3mmが好ましく、1mmがより好ましい。一方、上記平均粒径の下限としては、0.1mmが好ましく、0.3mmがより好ましい。上記平均粒径が上記上限を超えると、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの単位体積あたりの水素吸蔵量及び放出量が低下するおそれがある。逆に、上記平均粒径が上記下限未満の場合、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの取り扱い性が低下するおそれがある。ここで「平均粒径」とは、JIS−Z8815(2013)に準拠しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS−Z8819−2(2001)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値である。
第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bが粉体である場合、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの粒径の標準偏差の上限としては、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの平均粒径の0.5倍が好ましく、平均粒径の0.1倍がより好ましい。上記粒径の標準偏差が上記上限を超えると、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの混合及びタンク3への充填において、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bが均一に分布し難くなり、水素の吸蔵放出効率が低下するおそれがある。ここで「標準偏差」とは、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bのそれぞれについてランダムに100点測定した粒径と上記平均粒径との差の2乗平均平方根の値である。
第1水素吸蔵合金2aの25℃での水素平衡圧の上限としては、1MPaが好ましく、0.8MPaがより好ましく、0.7MPaがさらに好ましい。一方、上記25℃での水素平衡圧の下限としては、0.2MPaが好ましく、0.25MPaがより好ましい。
第2水素吸蔵合金2bの25℃での水素平衡圧の上限としては、0.65MPaが好ましく、0.5MPaがより好ましく、0.45MPaがさらに好ましい。一方、上記25℃での水素平衡圧の下限としては、0.1MPaが好ましく、0.15MPaがより好ましい。
上記第1水素吸蔵合金2a又は第2水素吸蔵合金2bの水素平衡圧が上記上限を超えると、タンク3内の温度の上昇により水素の吸蔵効率が低下し、当該水素吸蔵放出装置1が高温下での使用に適さなくなるおそれがある。逆に、上記水素平衡圧が上記下限未満の場合、タンク3内の温度の低下により水素の放出効率が低下し、当該水素吸蔵放出装置1が低温下での使用に適さなくなるおそれがある。
また、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bとの25℃での水素平衡圧の差の上限としては、0.5MPaが好ましく、0.3MPaがより好ましい。一方、上記水素平衡圧の差の下限としては、0.05MPaが好ましく、0.1MPaがより好ましい。上記水素平衡圧の差が上記上限を超えると、タンク3内の温度が上昇した場合に第1水素吸蔵合金2aが水素を吸蔵し難くなり、かつタンク3内の温度が低下した場合に第2水素吸蔵合金2bが水素を放出し難くなることで水素の吸蔵放出効率が低下するおそれがある。逆に、上記水素平衡圧の差が上記下限未満の場合、水素の吸蔵及び放出に伴う温度変化や外気温の変化等により、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bが共に水素を吸蔵又は放出し難くなることで、効率良く水素を吸蔵及び放出できる温度範囲が狭くなるおそれがある。
第1水素吸蔵合金2aの0℃での水素平衡圧の上限としては、0.5MPaが好ましく、0.4MPaがより好ましい。一方、上記0℃での水素平衡圧の下限としては、0.1MPaが好ましく、0.15MPaがより好ましい。
第2水素吸蔵合金2bの0℃での水素平衡圧の上限としては、0.25MPaが好ましく、0.2MPaがより好ましい。一方、上記25℃での水素平衡圧の下限としては、0.03MPaが好ましく、0.05MPaがより好ましい。
第1水素吸蔵合金2aの50℃での水素平衡圧の上限としては、2.0MPaが好ましく、1.5MPaがより好ましい。一方、上記25℃での水素平衡圧の下限としては、0.7MPaが好ましく、0.8MPaがより好ましい。
第2水素吸蔵合金2bの50℃での水素平衡圧の上限としては、0.8MPaが好ましく、0.7MPaがより好ましい。一方、上記50℃での水素平衡圧の下限としては、0.2MPaが好ましく、0.3MPaがより好ましい。
上記第1水素吸蔵合金2a又は第2水素吸蔵合金2bの水素平衡圧が上記上限を超えると、タンク3内の温度の上昇により水素の吸蔵効率が低下し、当該水素吸蔵放出装置1が高温下での使用に適さなくなるおそれがある。逆に、上記水素平衡圧が上記下限未満の場合、タンク3内の温度の低下により水素の放出効率が低下し、当該水素吸蔵放出装置1が低温下での使用に適さなくなるおそれがある。
第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2b全体の単位質量あたりの水素放出速度の上限としては、1NL/min/kgが好ましく、0.8NL/min/kgがより好ましい。一方、上記水素放出速度の下限としては、0.01NL/min/kgが好ましく、0.05NL/min/kgがより好ましい。上記水素放出速度が上記上限を超えると、水素の放出に伴う温度変化が増大し、温度管理及び水素放出速度の維持が困難になるおそれがある。逆に、上記水素放出速度が上記下限未満の場合、必要となる水素吸蔵合金の量が増加するため、当該水素吸蔵装置1の製造コスト及び維持コストが増加するおそれがある。
第1水素吸蔵合金2aと第2水素吸蔵合金2bとの混合割合は、当該水素吸蔵放出装置1の大きさ、使用環境等に応じ適宜調節可能である。
(タンク)
上記タンク3は、タンク本体3aを有しており、このタンク本体3aに第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bが混合充填される。また、タンク本体3aは、水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給口3bと、水素含有ガスから第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bが水素を吸蔵した後のオフガスを排出するオフガス排出口3cと、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bが放出する水素を排出する水素排出口3dとを備える。
上記タンク本体3aとしては、公知の水素吸蔵放出装置に用いられるタンクを採用できる。タンク本体3aの材質としては、例えばステンレス合金、アルミニウム合金等が挙げられ、これらの中でステンレス合金が好ましい。また、タンク本体3aの形状としては、両端が閉塞された矩形筒状、円筒状等が挙げられ、これらの中で円筒状が好ましい。タンク本体3aの大きさは、当該水素吸蔵放出装置1の大きさ等に応じ適宜変更可能である。
タンク本体3aにおける第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの充填率の上限としては、90%が好ましく、80%がより好ましい。一方、上記充填率の下限としては、30%が好ましく、40%がより好ましい。上記充填率が上記上限を超えると、水素吸蔵合金に水素含有ガス等が十分に供給されなくなるおそれがある。逆に、上記充填率が上記下限未満の場合、水素の吸蔵放出効率が低下するおそれがある。ここで「充填率」とは、タンク本体3a内部の水素吸蔵合金を充填可能な空間の体積に対する第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの合計体積の割合を指す。
上記水素含有ガス供給口3bは、水素含有ガス供給管5により図示しない水素含有ガスの供給源に接続される。また、上記水素含有ガス供給管5の途中には第1ガス開閉弁5aが配設されている。
上記オフガス排出口3cは、オフガス排出管6により図示しないオフガスの排出先に接続される。また、上記オフガス排出管6の途中には第2ガス開閉弁6a及び圧力コントロール弁6bが配設されている。この第2ガス開閉弁6aは、圧力コントロール弁6bよりもタンク本体3aに近い側に位置する。
上記水素排出口3dは、水素排出管7により図示しない水素ガスの供給先と接続されている。この水素ガスの供給先としては、例えば燃料電池等が挙げられる。また、上記水素排出管7の途中には第3ガス開閉弁7a及びマスフローコントローラ7bが配設されている。このマスフローコントローラ7bは、水素ガスの質量流量を調整するものである。上記第3ガス開閉弁7aは、マスフローコントローラ7bよりもタンク本体3aに近い側に位置する。
上記第1ガス開閉弁5a、第2ガス開閉弁6a、圧力コントロール弁6b、第3ガス開閉弁7a及びマスフローコントローラ7bは、後述する水素の吸蔵放出方法におけるタンク本体3a内の圧力調整に用いられる。
(熱媒体流通部)
上記熱媒体流通部4は、タンク本体3aに付設され、熱媒体が流通可能に構成される。熱媒体流通部4中を熱媒体が流通することで、水素吸蔵時にはタンク本体3a内の第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bに熱を供給し、水素放出時にはタンク本体3a内の第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bから熱を除去することができる。また、熱媒体流通部4は両端部に熱媒体流通口4aを備え、この熱媒体流通口4aのそれぞれに熱媒体流通ライン8が接続される。
熱媒体流通部4としては、例えば筒状であってタンク本体3aの外部に配設され、タンク本体3aの外側壁面に沿って延伸するもの、筒状であってその大部分がタンク本体3aの内部に位置するもの、タンク本体3aより大きい筒状であって、その内部にタンク本体3aが収容されるもの等が挙げられる。これらの中で、筒状であってその大部分がタンク本体3aの内部に位置するものが好ましい。このような熱媒体流通部4は、例えば金属製等の配管を用いて構成することができる。
また、熱媒体流通部4がその大部分がタンク本体3aの内部に位置する筒状体の場合、熱媒体流通部4がタンク本体3a内で湾曲することが好ましい。このように、筒状の熱媒体流通部4がタンク本体3a内で湾曲することで、タンク本体3a内を熱媒体流通部4が通過する距離が長くなり、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bと熱媒体との熱交換をより効率良く行うことができる。
(熱媒体)
上記熱媒体は、熱媒体流通部4中を流通し、熱媒体流通部4又はタンク本体3aの壁面を介してタンク本体3a内部と熱交換可能な物質であれば特に限定されないが、例えば水、油、ロングライフクーラント、空気、蒸気等が挙げられる。これらの中で、水又は空気が好ましく、空気がより好ましい。熱媒体として空気を用いることで、熱媒体を循環、貯留等するための装置が不要となり、かつ空気は他の熱媒体よりも低いコストで供給できるため、当該水素吸蔵放出装置1の製造コスト及び維持コストをさらに低減できる。
(熱媒体流通ライン)
上記熱媒体流通ライン8は筒状であり、熱媒体流通部4の2箇所の熱媒体流通口4aにその1端が接続される。
熱媒体が空気である場合、熱媒体流通ライン8の熱媒体流通口4aと接続されていない側の端を開放することで、タンク本体3a及び熱媒体流通部4の温度変化に伴い熱媒体流通部4中の空気が移動する。その結果、熱媒体を流通させるための装置を用いることなくタンク本体3a内の温度を調節できる。
具体的には、タンク本体3a内の温度が上昇した場合、熱媒体流通部4中の空気の温度が上昇し、熱媒体流通部4の上方の熱媒体流通口4aから高温の空気が当該水素吸蔵放出装置1の外部に放出され、下方の熱媒体流通口4aから常温の空気が熱媒体流通部4内に流入する。逆に、タンク本体3a内の温度が低下した場合、熱媒体流通部4中の空気の温度が低下し、熱媒体流通部4の下方の熱媒体流通口4aから低温の空気が当該水素吸蔵放出装置1の外部に放出され、上方の熱媒体流通口4aから常温の空気が熱媒体流通部4内に流入する。
また、熱媒体が空気である場合、2本の熱媒体流通ライン8の開放端は離れた位置に存在することが好ましい。このように上記開放端同士が離間して位置することで、熱媒体流通ライン8から排出される空気と熱媒体流通ライン8に供給される空気とが混合し難いため、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの水素吸蔵をより促進できる。
熱媒体が空気以外の物質である場合、熱媒体流通ライン8のうち少なくとも1本の熱媒体流通口4aと接続されていない側の端は図示しない熱媒体供給装置に接続される。もう1本の熱媒体流通ライン8における熱媒体流通口4aと接続されていない側の端は、同様に図示しない熱媒体供給装置に接続されてもよく、開放端であってもよい。熱媒体流通ライン8の両端が熱媒体供給装置に接続されている場合、熱媒体は熱媒体流通ライン8及び熱媒体流通部4を循環し、熱媒体流通ライン8が開放端を有する場合、熱媒体は熱媒体供給装置から一方の熱媒体流通ライン8を介して熱媒体流通部4に供給され、もう一方の熱媒体流通ライン8を介して当該水素吸蔵放出装置1の外部に排出される。
なお、熱媒体が空気である場合も、空気以外の物質を用いる場合と同様に熱媒体流通ライン8を熱媒体供給装置と接続してもよい。このように、熱媒体供給装置を用いることで空気の温度及び流量を調整し易くなるため、タンク3内の温度をより容易に制御できる。
(利点)
当該水素吸蔵放出装置1は、熱媒体流通部4が付設されたタンク3中に、水素平衡圧の異なる2種の第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bが混合充填される。このため、水素吸蔵時に比較的高温となる熱媒体の下流側において、水素平衡圧の低い第2水素吸蔵合金2bが効率良く水素を吸蔵できる。また、熱媒の下流側は水素放出時に比較的低温となるが、この場合は水素平衡圧の高い第1水素吸蔵合金2aが効率良く水素を放出できる。これらの結果、熱媒体の下流側における水素吸蔵合金の水素吸蔵放出効率の低下を軽減できるため、当該水素吸蔵放出装置1の水素吸蔵放出効率が向上する。
また、当該水素吸蔵放出装置1はタンク3内の温度が上昇又は低下した場合でも、第1水素吸蔵合金2a又は第2水素吸蔵合金2bのいずれかは水素を吸蔵及び放出可能であるため、当該水素吸蔵放出装置1の設置環境の変化による水素吸蔵放出効率の低下を軽減できる。従って、当該水素吸蔵放出装置1は広い温度域において好適に使用可能である。
さらに、当該水素吸蔵放出装置1は2種の水素吸蔵合金を混合するため、水素吸蔵合金のタンク3への充填、交換等が容易であり、タンク3内に水素吸蔵合金を分けて保持するための機構等も不要である。そのため、当該水素吸蔵放出装置1は、タンク3として従来の水素吸蔵放出装置に用いられるタンクを転用することが可能であり、製造コスト及び維持コストが低い。
<水素吸蔵放出方法>
次に、本実施形態に係る水素吸蔵放出方法について、当該水素吸蔵放出装置1を用いて説明する。当該水素吸蔵放出方法は、タンク本体3a内の圧力の制御により水素を吸蔵又は放出する工程を主に備える。
(水素吸蔵工程)
本工程では、第1ガス開閉弁5a及び第2ガス開閉弁6aを開け、第3ガス開閉弁7aを閉じ、タンク本体3a内に充填された第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bに水素含有ガスを流通させる。さらに、圧力コントロール弁6bによりタンク本体3a内の圧力を調整することで、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bに水素を吸蔵させる。
本工程におけるタンク本体3a内の圧力の上限としては、1MPaが好ましく、0.8MPaがより好ましい。一方、上記タンク本体3a内の圧力の下限としては、0.4MPaが好ましく、0.5MPaがより好ましい。上記圧力が上記上限を超えると、高圧ガス保安法の基準等を充足するように当該水素吸蔵放出装置1を設計する必要が生じ、当該水素吸蔵放出装置1の製造コストが増加するおそれがある。逆に、上記圧力が上記下限未満の場合、水素の吸蔵効率が低下するおそれがある。
また、水素の吸蔵に伴い生じた熱は熱媒体流通部4を介して熱媒体によりタンク本体3a外に放出される。このため、タンク本体3a内の温度は大きく変化しない。さらに、水素含有ガス内の水素以外のガス並びに第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bが吸蔵しなかった水素はオフガス排出管6からオフガスとして排出される。
その後、第1ガス開閉弁5a及び第2ガス開閉弁6aを閉じ、タンク本体3aへの水素含有ガスの供給を停止する。これにより、タンク本体3a内に残存する水素を第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bに吸蔵させる。
続いて、第2ガス開閉弁6aを開け、圧力コントロール弁6bを調整することでタンク本体3a内を大気圧にする。これにより、タンク本体3a内に残存した不純物が排出され水素放出時の水素純度が向上する。
(水素放出工程)
本工程では、第1ガス開閉弁5a及び第2ガス開閉弁6aを閉じ、第3ガス開閉弁7aを開ける。さらに、マスフローコントローラ7bによりタンク本体3a内の圧力を調整することで、タンク本体3a内に充填された第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bから水素を放出できる。
本工程におけるタンク本体3a内の圧力の上限としては、1.0MPaが好ましく、0.9MPaがより好ましい。一方、上記タンク本体3a内の圧力の下限としては、0.1MPaが好ましく、0.15MPaがより好ましい。上記圧力が上記上限を超えると、水素の放出効率が低下するおそれがある。逆に、上記圧力が上記下限未満の場合、タンク本体3a内を大気圧以下とするためにポンプ等の装置が必要となり、コストが増加するおそれがある。
また、水素の放出に伴い第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bがタンク本体3a内の熱を吸収するが、熱媒体流通部4を介して熱媒体によりタンク本体3a内に熱が供給されるため、タンク本体3a内の温度は大きく変化しない。
(利点)
当該水素吸蔵放出方法は、水素平衡圧の異なる第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bが混合充填されるタンク3を備える水素吸蔵放出装置1を用いるため、水素吸蔵時及び放出時において比較的高温又は低温となる熱媒体の下流側においても、いずれかの水素吸蔵合金が効率良く水素を吸蔵又は放出できる。これにより、上記タンク3内の圧力の制御により容易に水素を吸蔵又は放出することができる。また、上記水素吸蔵放出装置1は第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの充填等が容易である。従って、当該水素吸蔵放出方法によれば、広い温度域において水素を効率良く吸蔵及び放出でき、かつコストを低減できる。
[第2実施形態]
<水素吸蔵放出装置>
図2に記載の水素吸蔵放出装置11は、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bが充填され、水素の吸蔵及び放出を行うタンク3と、このタンク3に付設され、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bを加熱及び冷却する熱媒体が流通可能に構成される熱媒体流通部12を主に備える。また、加熱用熱媒体流通ライン13及び冷却用熱媒体流通ライン14をさらに備える。上記熱媒体流通部12、加熱用熱媒体流通ライン13及び冷却用熱媒体流通ライン14中には熱媒体が流通する。第1水素吸蔵合金2a、第2水素吸蔵合金2b及びタンク3は上記第1実施形態の水素吸蔵放出装置1と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
(熱媒体流通部)
上記熱媒体流通部12は、上記第1実施形態の熱媒体流通部4と同様に、タンク本体3aに付設され、その内部を熱媒体が流通することで、水素吸蔵放出時においてタンク本体3a内に熱を供給又は除去できる。熱媒体流通部12の形状、材質等としては上記第1実施形態の熱媒体流通部4と同様のものが挙げられる。また、熱媒体流通部12は熱媒体流入口12a及び熱媒体流出口12bを備える。この熱媒体流入口12a及び熱媒体流出口12bは、上記第1実施形態の熱媒体流通口4aに相当する。
(加熱用熱媒体流通ライン)
上記加熱用熱媒体流通ライン13は熱媒体流通部12に加熱用熱媒体を供給する。また、加熱用熱媒体流通ライン13は、加熱部13a、加熱用熱媒体供給部13b、加熱用熱媒体戻し部13c及び第1ポンプ13dを主に備える。加熱用熱媒体供給部13bは第1三方弁15aを介し熱媒体流入口12aに接続され、加熱用熱媒体戻し部13cは第2三方弁15bを介し熱媒体流出口12bに接続される。第1ポンプ13dは加熱用熱媒体流通ライン13の任意の位置に配設される。
上記加熱部13aは、加熱用熱媒体を所定の温度に加熱するものである。この加熱部13aとしては、公知の加熱装置を用いることができ、例えば温水を貯留するタンクとヒーターとを備えるもの等が挙げられる。
上記加熱用熱媒体としては、上記第1実施形態において例示した熱媒体と同様のものを用いることができる。加熱用熱媒体として空気を用いる場合、この空気の温度としては特に制限されないが、上限としては90℃が好ましく、80℃がより好ましい。一方、上記温度の下限としては20℃が好ましく、30℃がより好ましい。上記温度が上記上限を超えると、当該水素吸蔵放出装置11に耐熱性を付与するためのコストが増加するおそれがある。逆に、上記温度が上記下限未満の場合、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの水素放出効率が低下するおそれがある。
上記加熱用熱媒体供給部13bは、熱媒体流入口12aを介して加熱用熱媒体を熱媒体流通部12に供給するものである。また、上記加熱用熱媒体戻し部13cは、熱媒体流出口12bを介して熱媒体流通部4から排出された加熱用熱媒体を加熱部13aに戻すものである。加熱用熱媒体供給部13b及び加熱用熱媒体戻し部13cとしては、温水や冷水の輸送に通常用いられる配管等を好適に使用することができる。
上記第1ポンプ13dは、加熱用熱媒体流通ライン13及び熱媒体流通部12において加熱用熱媒体を循環させるものである。第1ポンプ13dとしては、公知のものを用いることができる。
(冷却用熱媒体流通ライン)
上記冷却用熱媒体流通ライン14は熱媒体流通部12に冷却用熱媒体を供給する。また、加熱用熱媒体流通ライン13は、冷却部14a、冷却用熱媒体供給部14b、冷却用熱媒体戻し部14c及び第2ポンプ14dを主に備える。冷却用熱媒体供給部14bは第1三方弁15aを介して熱媒体流入口12aに接続され、冷却用熱媒体戻し部14cは第2三方弁15bを介して熱媒体流出口12bに接続される。第2ポンプ14dは冷却用熱媒体流通ライン14の任意の位置に配設される。
上記冷却部14aは、冷却用熱媒体を所定の温度に冷却するものである。この冷却部14aとしては、公知の冷却装置を用いることができ、例えばクーリングタワー、冷水を貯留するタンクと冷却機とを備えるもの等が挙げられる。
上記冷却用熱媒体としては、上記第1実施形態において例示した熱媒体と同様のものを用いることができる。冷却用熱媒体として冷水を用いる場合、この冷水の温度としては特に制限されないが、上限としては40℃が好ましく、35℃がより好ましい。一方、上記温度の下限としては5℃が好ましく、10℃がより好ましい。上記温度が上記上限を超えると、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの水素吸蔵効率が低下するおそれがある。逆に、上記温度が上記下限未満の場合、冷水の冷却コストが増加するおそれがある。
上記冷却用熱媒体供給部14bは、熱媒体流入口12aを介して冷却用熱媒体を熱媒体流通部12に供給するものである。また、上記冷却用熱媒体戻し部14cは、熱媒体流出口12bを介して熱媒体流通部4から排出された冷却用熱媒体を加熱部13aに戻すものである。冷却用熱媒体供給部14b及び加熱用熱媒体戻し部13cとしては、温水や冷水の輸送に通常用いられる配管等を好適に使用することができる。
上記第2ポンプ14dは、冷却用熱媒体流通ライン14及び熱媒体流通部12において冷却用熱媒体を循環させるものである。第2ポンプ14dとしては、公知のものを用いることができる。
上記第1三方弁15a及び第2三方弁15bは、加熱用熱媒体流通ライン13及び冷却用熱媒体流通ライン14を切り替えるものである。第1三方弁15a及び第2三方弁15bとしては、公知の三方弁を用いることができる。
<水素吸蔵放出方法>
次に、本実施形態に係る水素吸蔵放出方法について、当該水素吸蔵放出装置11を用いて説明する。当該水素吸蔵放出方法は、タンク本体3a内の圧力の制御により水素を吸蔵又は放出する工程を主に備える。
(水素吸蔵工程)
本工程では、上記第1実施形態における水素吸蔵工程と同様に、第1ガス開閉弁5a及び第2ガス開閉弁6aを開け、第3ガス開閉弁7aを閉じ、タンク本体3a内に充填された第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bに水素含有ガスを流通させる。さらに、圧力コントロール弁6bによりタンク本体3a内の圧力を調整することで、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bに水素を吸蔵させる。
この際、第1三方弁15a及び第2三方弁15bを冷却用熱媒体流通ライン14側に開き、第2ポンプ14dを作動させることにより冷却用熱媒体供給部14bを介して冷却用熱媒体を熱媒体流通部12に供給する。冷却用熱媒体は熱媒体流通部12を通過後、冷却用熱媒体戻し部14cを介して冷却部14aに送られ冷却される。これにより、タンク本体3a内で第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bから生じた熱がタンク本体3a外に放出され、水素の吸蔵が促進される。
その後の残存する水素の吸蔵及び不純物の排出は、上述の手順によりタンク本体3a内を冷却する他は上記第1実施形態と同様の手順により行われる。
(水素放出工程)
本工程では、上記第1実施形態における水素放出工程と同様に、第1ガス開閉弁5a及び第2ガス開閉弁6aを閉じ、第3ガス開閉弁7aを開ける。さらに、マスフローコントローラ7bによりタンク本体3a内の圧力を調整することで、タンク本体3a内に充填された第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bから水素を放出できる。
この際、第1三方弁15a及び第2三方弁15bを加熱用熱媒体流通ライン13側に開き、第1ポンプ13dを作動させることにより加熱用熱媒体供給部13bを介して加熱用熱媒体を熱媒体流通部12に供給する。加熱用熱媒体は熱媒体流通部12を通過後、加熱用熱媒体戻し部13cを介して加熱部13aに送られ加熱される。これにより、タンク本体3a内に熱が供給され、この熱が第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bに吸収され、水素の放出が促進される。
(利点)
当該水素吸蔵放出装置11及び当該水素吸蔵放出装置11を用いた水素吸蔵放出方法では、上記第1実施形態の当該水素吸蔵放出装置1及び当該水素吸蔵放出装置1を用いた水素吸蔵放出方法と同様に、広い温度域において水素を効率良く吸蔵及び放出でき、かつコストを低減できる。また、当該水素吸蔵放出装置11は熱媒体を加熱及び冷却する機構を備え、第1水素吸蔵合金2a及び第2水素吸蔵合金2bの温度をより適切に調整できるため、水素の吸蔵放出効率がより向上する。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
上記第1実施形態及び第2実施形態では、水素吸蔵合金を2種用いるものを例に取り説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、水素吸蔵合金を3種以上用いてもよい。このように水素吸蔵合金を3種以上用いることで、タンク内の温度変化に伴う水素吸蔵放出効率の低下をさらに低減できる。
水素吸蔵合金を3種以上用いる場合、最も水素平衡圧が高い水素吸蔵合金と最も水素平衡圧が低い水素吸蔵合金との25℃での水素平衡圧の差の上限としては、0.9MPaが好ましく、0.7MPaがより好ましい。一方、上記水素平衡圧の差の下限としては、0.05MPaが好ましく、0.1MPaがより好ましい。上記水素平衡圧の差が上記上限を超えると、タンク内の温度が上昇した場合に最も水素平衡圧の高い水素吸蔵合金が水素を吸蔵し難くなり、かつタンク内の温度が低下した場合に最も水素平衡圧の低い水素吸蔵合金が水素を放出し難くなることで水素の吸蔵放出効率が低下するおそれがある。逆に、上記水素平衡圧の差が上記下限未満の場合、水素の吸蔵及び放出に伴う温度変化や外気温の変化等により、3種以上の水素吸蔵合金の全てが水素を吸蔵又は放出し難くなることで、効率良く水素を吸蔵及び放出できる温度範囲が狭くなるおそれがある。
また、上記第1実施形態では熱媒体流通部の両端にそれぞれ熱媒体流通ラインが接続されるが、当該水素吸蔵放出装置は熱媒体流通ラインを有さなくてもよい。この場合、当該水素吸蔵放出装置の製造コストをより低減することができる。
さらに、上記第2実施形態では加熱用熱媒体及び冷却用熱媒体を循環して使用しているが、熱媒体流通部を流通した後の加熱用熱媒体及び冷却用熱媒体を循環させずに当該水素吸蔵放出装置外に排出し、新たに加熱用熱媒体及び冷却用熱媒体を熱媒体流通部に供給してもよい。この場合、当該水素吸蔵放出装置外に排出した加熱用熱媒体及び冷却用熱媒体は他の用途に用いることができる。
また、上記第2実施形態において加熱用熱媒体流通ライン及び冷却用熱媒体流通ラインの少なくとも一部が共用されてもよい。このような構造とすることで、当該水素吸蔵放出装置に用いる配管の数を減らすことができ、製造コスト等をより低減することができる。
上述のように、本発明の水素吸蔵放出装置及び水素吸蔵放出方法は、広い温度域において水素を効率良く吸蔵及び放出できる。
1、11 水素吸蔵放出装置
2a 第1水素吸蔵合金
2b 第2水素吸蔵合金
3 タンク
3a タンク本体
3b 水素含有ガス供給口
3c オフガス排出口
3d 水素排出口
4、12 熱媒体流通部
4a 熱媒体流通口
5 水素含有ガス供給管
5a 第1ガス開閉弁
6 オフガス排出管
6a 第2ガス開閉弁
6b 圧力コントロール弁
7 水素排出管
7a 第3ガス開閉弁
7b マスフローコントローラ
8 熱媒体流通ライン
12a 熱媒体流入口
12b 熱媒体流出口
13 加熱用熱媒体流通ライン
13a 加熱部
13b 加熱用熱媒体供給部
13c 加熱用熱媒体戻し部
13d 第1ポンプ
14 冷却用熱媒体流通ライン
14a 冷却部
14b 冷却用熱媒体供給部
14c 冷却用熱媒体戻し部
14d 第2ポンプ
15a 第1三方弁
15b 第2三方弁

Claims (6)

  1. 水素吸蔵合金が充填され、水素の吸蔵及び放出を行うタンクと、このタンクに付設され、水素吸蔵合金を加熱及び冷却する熱媒体が流通可能に構成される熱媒体流通部とを備える水素吸蔵放出装置であって、
    上記タンク内に水素平衡圧の異なる2種以上の水素吸蔵合金が混合充填されることを特徴とする水素吸蔵放出装置。
  2. 上記水素吸蔵合金が粉体である請求項1に記載の水素吸蔵放出装置。
  3. 上記熱媒体として空気が用いられる請求項1又は請求項2に記載の水素吸蔵放出装置。
  4. 上記水素吸蔵合金の25℃での水素平衡圧が0.1MPa以上1MPa以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の水素吸蔵放出装置。
  5. 上記水素吸蔵合金全体の単位質量あたりの水素放出速度が、0.01NL/min/kg以上1NL/min/kg以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水素吸蔵放出装置。
  6. 水素吸蔵合金が充填され、水素の吸蔵及び放出を行うタンクと、このタンクに付設され、水素吸蔵合金を加熱及び冷却する熱媒体が流通可能に構成される熱媒体流通部とを備える水素吸蔵放出装置を用いた水素吸蔵放出方法であって、
    上記タンク内の圧力の制御により水素を吸蔵又は放出する工程を備え、
    上記水素吸蔵放出装置のタンク内に水素平衡圧の異なる2種以上の水素吸蔵合金が混合充填されることを特徴とする水素吸蔵放出方法。

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