JP2016017394A - 変位抑制装置、及びその設置方法 - Google Patents

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義人 畑山
清貴 熊谷
Kiyotaka Kumagai
清貴 熊谷
浩二 谷口
Koji Taniguchi
浩二 谷口
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Abstract

【課題】変位を抑制するために構造物に作用させる力自体が変位の原因となりにくい。
【解決手段】タイケーブル100の一端部110を地盤G3に、他端部120をフーチング部11に固定する。地盤G3は、フーチング部11を覆う地盤G1と水平に連続しており、地盤G1より強固である。タイケーブル100において一端部110と他端部120の間の中間部130を、伸縮可能であり且つ初期緊張力が発生しない状態とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、変位抑制装置、及びその設置方法に関する。
地震などの際に橋台等の構造物が水平方向に変位するのを抑制する工法として、特許文献1のように、アースアンカーを用いるものがある。この工法では、アンカーの一端を斜め下方の強固な地盤に固定すると共に、アンカーに強い張力を発生させた状態で構造物の基礎にアンカーの他端を固定する。アンカーに発生する張力の水平方向の分力が構造物の水平方向の変位に対する抵抗となる。これによって、構造物の水平方向の変位が抑制される。
特公平4−61935号公報
特許文献1の工法によると、アンカーに発生させる張力の分力によって構造物の水平方向の変位を抑制する。したがって、地震発生時のように大きな水平力が発生する場合に備えるためには、アンカーに発生させる張力をかなり大きくしておく必要がある。ところが、このような大きな張力をアンカーに発生させると、その張力そのものが構造物の変位の原因になりかねない。
本発明の目的は、変位を抑制するために構造物に作用させる力自体が変位の原因となりにくい構造物の変位抑制装置及びその設置方法を提供することにある。
本発明の構造物の変位抑制装置は、少なくとも一部が地盤に覆われた構造物の変位を抑制する変位抑制装置であって、前記構造物と地盤に固定された弾性を有するタイ部材を備えており、前記構造物を覆う地盤と水平方向に連続した地盤であって前記構造物を覆う地盤より強固な地盤に前記タイ部材の一端部が、前記構造物に前記タイ部材の他端部が、前記一端部と前記他端部の間の中間部が伸縮可能であり且つ初期緊張力が発生しないようにそれぞれ固定されている。
つまり、本発明は、(1)構造物を覆う地盤と水平方向に連続した強固な地盤にタイ部材を固定することで、地下深くの地盤に固定する場合と比べて、タイ部材の延びる方向を水平方向に近くする、又は、完全に水平にすることと、(2)地盤に固定された部分と構造物に固定された部分との間の中間部でタイ部材を伸長可能且つ初期緊張力が発生しない状態にしておくことの2つの特徴を有している。
(1)の特徴には、地下深くの地盤に固定する場合と比べて、タイ部材に発生させる張力をそれほど大きくしなくても水平方向の分力の大きさを確保できるという作用がある。地下深くの地盤に固定する場合にはタイ部材の延びる方向が鉛直方向に近くなり、張力における水平方向の分力が小さくなりやすい。これに対し、(1)の特徴によれば、タイ部材の延びる方向が水平方向に近くなるため、張力における水平方向の分力が大きくなる。また、タイ部材が完全に水平になる場合には張力も水平方向に沿うため、張力全体が水平方向の変位を抑制するように構造物に作用する。さらに、(1)の特徴には、タイ部材の延びる方向が水平方向に近いため、地下深くの地盤にタイ部材を固定する場合と比べて、構造物が水平方向に変位した際にタイ部材の伸長の度合いが大きくなるという作用がある。したがって、構造物が水平方向に変位した際にタイ部材が伸長によって張力を増大させる度合いが大きくなる。
一方、(2)の特徴によれば、構造物が水平方向に変位しない限り、タイ部材から構造物に力が作用しない。また、構造物が変位する場合、タイ部材の張力はゼロから増大し始める。このため、構造物が水平方向に多少とも変位したとしても、タイ部材に発生する張力は変位に比例した大きさに留まる。大きな水平力が構造物に作用しない限りその張力は小さい。
上記2つの特徴によって、本発明は、以下の効果を奏することとなる。まず、構造物に外部から水平力が作用しないか、作用するとしてもその力が小さい通常時には、構造物の変位が全くないか小さい。このため、上記(2)の特徴により、タイ部材から構造物に力が全く作用しないか、作用してもその力は小さい。したがって、通常時においては、タイ部材からの力自体が構造物を変位させる原因になりにくい。
これに対し、地震時などのように、構造物に外部から大きな水平力が作用し、構造物が通常時と比べて大きく変位する場合には、タイ部材の中間部が伸長によって張力を発生させる。ここで、上記(1)の特徴から、張力における水平方向の分力が大きいと共に、構造物が水平方向に変位した際にタイ部材が張力を増大させる度合いが大きい。したがって、通常時には張力がほとんど発生しないにも拘らず、地震時にはタイ部材に速やかに大きな張力が発生する。タイ部材に発生する張力は、タイ部材の設置条件、例えば、タイ部材の水平方向に対する設置角度、素材、伸長可能な長さ、構造等に応じた大きさとなる。これらの設置条件を調整することで、構造物の変位が許容値を超えない範囲で、地震時に発生すると想定される水平力を保持可能な張力を発生させることができる。
このように、本発明は、タイ部材に初期緊張力を発生させないが、地震等の時には変位の発生に即応してタイ部材に必要な張力を発生させる。これにより、通常時にはタイ部材が構造物に作用させる力自体が構造物の変位の原因になることを抑制すると共に、地震時などには変位の発生に即応して変位を抑制する機能を発動させることで構造物が許容範囲を超えて水平方向に変位するのを抑制する。
また、本発明の構造物の変位抑制装置の設置方法は、少なくとも一部が地盤に覆われた構造物の変位を抑制する装置の設置方法であって、前記構造物から、前記構造物を覆う地盤と水平方向に連続した地盤であって前記構造物を覆う地盤より強固な地盤に至る穴を形成する形成工程と、弾性的に伸縮可能な線部材と前記線部材の長さ方向に中間部分を部分的に覆う被覆部材とを含んだタイ部材を、前記形成行程において形成された穴に挿入する挿入工程と、前記タイ部材の一端部において前記線部材が前記強固な地盤に固定され、前記タイ部材の他端部において前記線部材が前記構造物に固定され、且つ、前記一端部と前記他端部の間の中間部において、前記被覆部材内で前記線部材が伸縮可能であり且つ初期緊張力が発生しない状態になるように、前記穴内における前記タイ部材の外側にグラウト用の注入剤を充填する充填工程とを備えている。
本発明の設置方法によれば、中間部において被覆部材が線部材を覆っている。このため、グラウト用の注入剤を穴内に注入した際に、中間部においては、被覆部材の外側に注入剤が充填される。よって、中間部において被覆部材の内部で線部材が伸縮可能な状態となるように本発明の変位抑制装置を設置することができる。
本発明の一実施形態に係る変位抑制装置と当該装置が設置される構造物とを示す概略構成図である。 変位抑制装置に含まれるタイケーブルの側面図である。 図3(a)は図2のA−A線断面図、図3(b)は図2のB−B線断面図、図3(c)は図2のC−C線断面図である。 本実施形態に係る変位抑制装置を設置する設置方法の工程を示すフロー図である。 本実施形態の変形例に係る概略構成図である。
本発明の一実施形態に係る変位抑制装置1について図面を参照しつつ説明する。変位抑制装置1は、図1に示すように、上端部において橋桁99を支持した一対の橋台13に設けられている。変位抑制装置1は、一対の橋台13のそれぞれに設けられている。これらの変位抑制装置1同士は、寸法などの微細な違いを除けば、概略的に同じ構成を有している。以下においては、一方の橋台13に設けられた変位抑制装置1に関してのみ説明する。なお、橋台13は本発明における構造物に対応する。
橋台13の基礎10はフーチング部11及び杭群12を含んでいる。橋台13の本体は、フーチング部11の前後方向に関する中央付近の若干前方寄りに配置されている。フーチング部11は地盤G1中に埋設されている。地盤G1は、橋台13本体の根元(フーチング部11からの立ち上がり部13a)より若干上方までを覆っている。杭群12は複数本の杭からなる。各杭は、フーチング部11の下面に固定されており、下方に向かって延びている。橋台13の本体において、他方の橋台13に向かう方向とは反対方向に面した表面13bは、盛り土からなる地盤G2によっておおわれている。上記反対方向に関して基礎10から離隔した位置には、縦断面が矩形の地盤G3がある。地盤G3は地盤G1に水平方向に接している。したがって、地盤G3は、地盤G1と水平方向に連続している。地盤G3は改良体20からなる。改良体20は、地盤改良によって元の地盤より強固な地盤になるように形成されている。改良体20は、基礎10の近くの軟弱な地盤を補強するために変位抑制装置1の設置前にあらかじめ形成されたものである。
変位抑制装置1は、改良体20(地盤G3)と、フーチング部11及び地盤G3の両方に固定されたタイケーブル100(タイ部材)とを備えている。地盤G3は改良体20からなるため、地盤G1に比べてタイケーブル100を強固に固定できる。なお、本実施形態において「地盤が強固である」とは、その地盤に固定されたタイケーブル100のようなタイ部材に強い張力が発生してもタイ部材を固定した状態を維持できることを意味する。
タイケーブル100は、図1及び図2に示すように、フーチング部11並びに地盤G1及びG3に形成された細長い掘削穴30内に配置されている。フーチング部11の上面には、図2に示すように、掘削穴30を形成するためのV字型の斫部11aが形成されている。掘削穴30は、フーチング部11を斫部11aから後端面11bまで貫通している。掘削穴30は、そこからさらに地盤G1内を通り、図2の二点鎖線gで示す地盤G1と地盤G3の境界を越え、地盤G3内まで到達している。このように、掘削穴30は、フーチング部11から斜め下方に直線的に地盤G3まで延びている。地盤G3は、フーチング部11が配置された地盤G1と水平方向に接している。このため、例えばタイケーブル100を地中深くの地盤まで延ばす場合と比べて、掘削穴30の水平方向に対する傾斜角度(水平方向に対する鋭角)は比較的小さくなる。具体的には、掘削穴30の水平方向に対する鋭角θ(図2参照)は45°以内である。一実施例では、この鋭角は10°である。
タイケーブル100は掘削穴30に沿って延びている。タイケーブル100の一端部は、掘削穴30内で地盤G3に固定されている。地盤G3は、上記の通り、基礎10近くの地盤補強のために改良体20としてあらかじめ形成されたものである。本実施形態では、このような改良地盤をタイケーブル100の固定先として有効に活用している。タイケーブル100の他端部は、掘削穴30内でフーチング部11に固定されている。以下、地盤G3に固定された一端部を地盤固定部110、フーチング部11に固定された他端部をフーチング固定部120とする。また、タイケーブル100における地盤固定部110とフーチング固定部120の間の部分を中間部130とする。地盤固定部110は、地盤G3内に配置された領域のほぼ全範囲に亘ってグラウトによって地盤G3に固定されている。フーチング固定部120は、フーチング部11の上面(斫部11a)から前後方向に橋台13の本体を跨ぎつつフーチング部11の後端面11bまで、フーチング部11を貫通している。フーチング固定部120は、フーチング部11内に配置された領域のほぼ全範囲に亘ってグラウトによってフーチング部11に固定されている。
タイケーブル100は、図3に示すように、断面の中心に配置されたホース部101と、ホース部101の周囲に配置された複数本(本実施形態では7本)の金属線部材102(線部材)とを有している。ホース部101及び金属線部材102のいずれも、タイケーブル100の一端から他端まで延びている。ホース部101は、グラウト用の注入剤を流通させるための空洞が内部に形成されている。ホース部101は斫部11aにおいて開口していると共に、ケーブル先端部100aにおいても開口している。金属線部材102は、炭素鋼からなる複数本の硬鋼線が縒り合された金属線102aと、金属線102aを被覆する樹脂製の被覆部102bとを含んでいる。これにより、金属線部材102は、張力を発生させることで伸長すると共に、伸長した状態から張力を解除することで元の状態に復元するように構成されている。なお、本明細書において、金属線部材102がこのように変形することを、「弾性的に伸縮する」などと表現する場合がある。
地盤固定部110及びフーチング固定部120には、1又は複数個所にスペーサ103が設けられている。スペーサ103は、図3(a)及び図3(c)に示すように、金属線部材102を互いに離隔させつつ支持している。中間部130には、スペーサ103が設けられていない。一方、中間部130には、各金属線部材102を覆う樹脂製の被覆部材105が設けられている。被覆部材105は、図2の二点鎖線Sの範囲、つまり、中間部130のほぼ全範囲に亘って連続的に各金属線部材102を覆っている。被覆部材105と金属線部材102は互いに固定されていない。中間部130において、金属線部材102は、初期緊張力が設定されていない。つまり、フーチング部11が地盤G3に対して水平方向に変位しない限り、金属線部材102に張力が発生しない。
掘削穴30内において、タイケーブル100の外側には、グラウト用の注入剤が固まった注入剤固化部104が形成されている。地盤固定部110及びフーチング固定部120においては、図3(a)及び図3(c)に示すように、金属線部材102と注入剤固化部104が接触している。つまり、金属線部材102が注入剤固化部104によって地盤G3又はフーチング部11に固定されている。一方、中間部130においては、図3(b)に示すように、被覆部材105と注入剤固化部104が接触している。したがって、被覆部材105は注入剤固化部104によって地盤G1に固定されているが、金属線部材102は上記の通り、被覆部材105に固定されていない。このため、金属線部材102は、注入剤固化部104に拘束されることなく被覆部材105内で伸縮可能である。
以下、金属線部材102の設置条件について説明する。金属線部材102は、上記の通り、中間部130において初期緊張力が設定されていない。したがって、通常時においては、仮にフーチング部11が水平方向に若干変位しても、金属線部材102には張力が発生しないか、発生してもその張力は小さい。一方、地震時には、地盤G1や地盤G2が前方(図1の左方)に向かって移動しようとすることなどにより、前方に変位させるような水平力が橋台13や基礎10に作用する。これにより、フーチング部11が前方に向かって通常時に比べて大きく変位しようとする。
フーチング部11が前方に変位しようとするのに対し、フーチング部11にはこの変位を抑制しようとする力が作用する。1つは杭群12の水平剛性による力であり、他の1つは金属製部材102に発生する張力における水平方向の分力(以下、水平分力とする)である。フーチング部11が前方に変位してフーチング部11と地盤G3の水平距離が大きくなるとき、中間部130において金属線部材102が伸長する。よって、金属線部材102には、フーチング固定部120と地盤G3の水平距離を縮めようとする方向に張力(弾性力)が発生する。上記2つの力によって地震による水平力を保持させることにより、フーチング部11の変位を抑制することができる。
地震による水平力をF[kN]とし、杭群12の水平剛性による力をF1[kN]、金属線部材102に発生する張力の水平分力をF2[kN]とする。このとき、F1及びF2は以下のように表される。
1=K1*δ
2=n*E*A*δ/L*cosθ
δ:フーチング部11の前方への変位量[m]
1:水平剛性[kN/m]
E:金属線部材102のヤング係数[kN/m2
A:金属線部材102の断面積[m2
L:中間部130の長さ[m](図2参照)
n:金属線部材102の本数
θ:金属線部材102の水平方向に対する鋭角(図2参照)
したがって、上記2つの力が地震による水平力と均衡する条件F=F1+F2により、以下の関係が成立する。
F=(K1+n*E*A/L*cosθ)*δ
ここで、変位量δが許容量δmax以下であるとの条件(δ≦δmax)を課すと、上記数式から、以下の関係が導かれる。つまり、変位量δを許容量δmaxの範囲内に収めるための条件として、中間部130の長さLをLmax以下にしなければならないとの設置条件が導かれる。
L≦Lmax=(n*E*A*cosθ)/(F/δmax−K1
δmaxの具体的な数値は、道路橋示方書「IV 下部構造編」(国土交通省)や杭基礎設計便覧((公社)日本道路協会)などに基づいて設定される。例えば、道路橋示方書「IV 下部構造編」の一規定では変位の許容量が15mmである。また、杭基礎設計便覧では、側方移動の影響を受ける基礎杭の変位許容量の目安が50mmに設定されている。また、Fは、レベル1の地震を想定して設定される。なお、これらの数値以外の数値が用いられてもよい。
以下、変位抑制装置1の設置方法について図4に従って説明する。本設置方法は、すでに基礎10及び改良体20(地盤G3)の施工が完了している状態から実施される。まず、フーチング部11から地盤G1を通り地盤G3まで掘削穴30を形成する(ステップS1)。次に、ケーブル先端部100aを斫部11aから掘削穴30内へと挿入すると共に、ケーブル先端部100aが穴の最奥部に達するまでタイケーブル100を掘削穴30に挿入していく(ステップS2)。これによって、タイケーブル100が掘削穴30内に設置される。次に、斫部11aにおけるホース部101の開口からグラウト用の注入剤を注入していくことにより掘削穴30内に注入剤を充填する(ステップS3)。斫部11aにおけるホース部101の開口からグラウト用の注入剤を注入すると、注入剤はホース部101内の空洞を通り、ケーブル先端部100aの開口から掘削穴30内に充填されていく。これにより、掘削穴30内であってタイケーブル100の外側に注入剤が充填される。注入剤は、掘削穴30の最奥部から斫部11aに向かって順に充填される。掘削穴30は、斫部11aに向かって斜め上方に延びているため、注入剤の充填が進むに連れて掘削穴30内の空気が最上部の斫部11aから円滑に排出される。
以上説明した本実施形態では、(1)地盤G1と水平方向に連続した強固な地盤G3にタイケーブル100を固定することで、地下深くの地盤に固定する場合と比べて、金属線部材102の延びる方向を水平方向に近くすると共に、(2)中間部130において金属線部材102を伸長可能且つ初期緊張力が発生しない状態にしている。
(1)の特徴には、地下深くの地盤に固定する場合と比べて、金属線部材102に発生させる張力をそれほど大きくしなくても水平方向の分力の大きさを確保できるという作用がある。仮に、タイケーブル100を地下深くの地盤に固定したとすると、タイケーブル100の延びる方向が鉛直方向に近くなり、張力における水平方向の分力が小さくなりやすい。これに対し、(1)の特徴によれば、タイケーブル100の延びる方向が水平方向に近くなるため、張力における水平方向の分力が大きくなる。さらに、(1)の特徴には、タイケーブル100の延びる方向が水平方向に近いため、地下深くの地盤にタイケーブル100を固定する場合と比べて、フーチング部11が水平方向に変位した際に金属線部材102の伸長の度合いが大きくなるという作用がある。したがって、フーチング部11が水平方向に変位した際に金属線部材102が伸長によって張力を増大させる度合いが大きくなる。
一方、(2)の特徴によれば、フーチング部11が水平方向に変位しない限り、タイケーブル100からフーチング部11に力が作用しない。また、フーチング部11が変位する場合、金属線部材102の張力はゼロから増大し始める。このため、フーチング部11が水平方向に多少とも変位したとしても、金属線部材102に発生する張力は変位に比例した大きさに留まる。大きな水平力が構造物に作用しない限りその張力は小さい。
上記2つの特徴によって、本実施形態は、以下の効果を奏することとなる。まず、上記(2)の特徴により、フーチング部11に外部から水平力が作用しないか、作用するとしてもその力が小さい通常時には、フーチング部11の変位が全くないか小さい。このため、タイケーブル100からフーチング部11に力が全く作用しないか、作用してもその力は小さい。したがって、フーチング部11においては、タイケーブル100からの力自体がフーチング部11を変位させる原因になりにくい。
これに対し、地震時などのように、フーチング部11に外部から大きな水平力が作用し、フーチング部11が通常時と比べて大きく変位する場合には、金属線部材102が中間部130において伸長することによって張力を発生させる。ここで、上記(1)の特徴から、金属線部材102に発生する張力は、水平方向の分力が大きいと共に、フーチング部11の水平方向の変位に応じて増大する度合いが大きい。したがって、通常時には張力がほとんど発生しないにも関わらず、地震時には金属線部材102に速やかに大きな張力が発生する。そして、上記の通り、フーチング部11の変位δが許容量δmax以下である範囲で、水平力を保持可能な大きさの張力が金属線部材102に発生するように、金属線部材102の設置条件が設定されている。この設置条件は、上記の通り、中間部130の長さLに関してL≦Lmaxとの条件である。
このように、本実施形態は、タイケーブル100に初期緊張力を発生させないが、地震等の時には変位の発生に即応してタイケーブル100に必要な張力を発生させる。これにより、通常時にはタイケーブル100がフーチング部11に作用させる力自体がフーチング部11の変位の原因になることを抑制すると共に、地震時などには変位の発生に即応して変位を抑制する機能を発動させることでフーチング部11が許容範囲を超えて水平方向に変位するのを抑制する。
また、本実施形態において、タイケーブル100は、前後方向に橋台13の本体を跨ぐようにフーチング部11内に固定されている。タイケーブル100の固定は、前後方向に橋台13の本体を跨ぐように掘削穴30をフーチング部11に形成し、掘削穴30内でグラウトによりタイケーブル100をフーチング部11に固定することでなされる。したがって、橋台13の前方から、つまり、地盤によって覆われていない側面側において作業を実施することになる。よって、掘削作業やタイケーブル100の挿入作業を実施しやすい。また、掘削穴30がフーチング部11を斜めに貫通するように形成される。このため、掘削穴30が比較的長く形成されるので、タイケーブル100が掘削穴30内でグラウトによって固定される範囲が大きい。よって、タイケーブル100がフーチング部11に強固に固定される。
<変形例その他>
以上は、本発明の好適な実施形態についての説明であるが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された範囲の限りにおいて様々な変更が可能なものである。
例えば、上述の実施形態と異なる構造物である図5に示す基礎211及び橋台213に本発明が適用されてもよい。基礎211は盛り土からなる地盤G4より強固な地盤G5上に設置されている。地盤G5は、橋台213及び基礎211を部分的に覆う地盤G4と水平方向に接している。従来技術は、地盤G4が図中の左方に移動しようとすることで橋台213が左方に転倒するおそれに、基礎211を図中の右方に伸ばすことで対応している。これに対し、上述のタイケーブル100と同様の構成を有するタイケーブル200を図5に示すように設置することで、基礎211を図中の右方に伸ばす必要性を低下させることができる。タイケーブル200は、基礎211の上面から橋台213を水平方向に跨いで基礎211を貫通すると共に、地盤G4を通りつつ地盤G5まで到達している。タイケーブル200のうち、一端部210がグラウトによって地盤G5に固定され、他端部220がグラウトによって基礎211に固定されている。一端部210と他端部220の間の中間部230は、金属線部材に初期緊張力が発生しないように設置されている。これにより、上述の実施形態と同様、通常時には基礎211にタイケーブル200から張力をほとんど作用させず、地震時などに基礎211が変位した際、変位が許容範囲に収まるようにタイケーブル200から基礎211に張力を作用させることができる。なお、上述の実施形態や本変形例の他、斜面上に構築された深礎杭を有する橋脚にも本発明の変位抑制装置及びその設置方法を応用することができる。
また、上述の実施形態ではタイケーブル100が斜め下方に延びているが、タイケーブル100が水平に設置されてもよい。
また、上述の実施形態に係る設置方法は、基礎10及び改良体20の施工が完了している状態から実施される。しかし、基礎10及び改良体20の施工が完了していない状態から、これらの施工と同時に変位抑制装置1が設置されてもよい。地盤G3における改良体は、地盤G2における盛り土のすべり安定性が確保されるような範囲で構築される。このとき、変位抑制装置1を併設する前提であれば、地盤G3として構築する改良体の範囲を小さく設定することができる。このため、基礎10及び改良体20の施工と同時に変位抑制装置1を設置することは、工事全体のコスト削減や工期短縮に繋がる。また、変位抑制装置1を設置することを考慮して地盤G3を形成する。このため、地盤G3の形成位置を、L<Lmaxを満たしやすい位置にあらかじめ調整することができる。
また、基礎10及び改良体20の施工と同時に変位抑制装置1を設置する場合には、フーチング部11にタイケーブルを固定する方法として上述の実施形態と異なる固定方法を用いてもよい。例えば、タイケーブルにフーチング部11を貫通させず、後端面11b付近に固定部材を介して固定してもよい。これにより、フーチング部11を貫通するような掘削を行わずに済む。逆に、上述の実施形態による固定方法は固定部材を要しないため、固定部材に関するコストが削減される。
また、上述の実施形態では、タイケーブル100がフーチング部11に固定されている。しかし、フーチング部11より上方の橋台13の本体にタイケーブルが固定されてもよい。ただし、タイケーブルの設置条件を満たしやすくする観点では、本変形例における固定方法より、上述の実施形態における固定方法が好ましい。橋台13の本体は前後方向の幅がフーチング部11の幅より小さい。したがって、本変形例では、フーチング部11に固定する上述の実施形態の場合と比べ、橋台13への固定部と地盤G3への固定部との間の中間部が長くなる。よって、タイケーブルの設置条件である上述のL≦Lmaxの条件を満たしにくくなる。
また、上述の実施形態では、フーチング部11を覆う地盤G1とタイケーブル100を固定する地盤G3とが水平方向に接している。しかし、地盤G1と地盤G3とが別の地盤を介して水平方向に連続していてもよい。このように、本明細書において「地盤と地盤が連続している」とは、地盤同士が直接接している場合のみならず、別の地盤を挟んでいる場合を含む。
また、上述の実施形態では、タイケーブル100は、地盤G3内のほぼ全範囲に亘って地盤G3に固定されていると共に、フーチング部11内のほぼ全範囲に亘ってフーチング部11に固定されている。しかし、これらの固定範囲が上述の実施形態より小さくてもよい。つまり、地盤G3に固定された範囲とフーチング部11に固定された範囲との中間部が、地盤G3内まで及んでいてもよいし、フーチング部11内まで及んでいてもよい。このように、本発明には、金属線部材102が伸長可能な範囲である中間部の範囲を自由に設定できるメリットがある。
1 変位抑制装置
10 基礎
11 フーチング部
13 橋台
20 改良体
30 掘削穴
100 タイケーブル
102 金属線部材
104 注入剤固化部
105 被覆部材
110 地盤固定部
120 フーチング固定部
130 中間部
G1〜G5 地盤

Claims (7)

  1. 少なくとも一部が地盤に覆われた構造物の変位を抑制する変位抑制装置であって、
    前記構造物と地盤に固定された弾性を有するタイ部材を備えており、
    前記構造物を覆う地盤と水平方向に連続した地盤であって前記構造物を覆う地盤より強固な地盤に前記タイ部材の一端部が、前記構造物に前記タイ部材の他端部が、前記一端部と前記他端部の間の中間部が伸縮可能であり且つ初期緊張力が発生しないようにそれぞれ固定されていることを特徴とする変位抑制装置。
  2. 前記構造物が、フーチング部及び当該フーチング部からの立ち上がり部を含んでおり、
    前記他端部が、水平方向に関して前記立ち上がり部を跨ぐように前記フーチング部内に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の変位抑制装置。
  3. 前記タイ部材が、線部材と、前記中間部において前記線部材を覆う被覆部材とを含んでおり、
    前記フーチング部の上面から斜め下方に向かって前記強固な地盤まで延びた穴内に当該穴に沿って前記タイ部材が挿入されていると共に、前記タイ部材を固定するための注入剤が前記穴内であって前記タイ部材の外側に充填されており、
    前記一端部及び前記他端部においては、前記注入剤によって前記フーチング部及び地盤に前記線部材が固定されており、
    前記中間部においては、前記線部材が前記被覆部材内で伸縮可能な状態であることを特徴とする請求項1又は2に記載の変位抑制装置。
  4. 地震時に前記構造物に作用すると想定される水平力が、前記構造物における水平剛性による力及び前記タイ部材の前記中間部における弾性力によって保持されることにより、前記構造物が水平に変位する量が所定の範囲内に収まるように、少なくとも前記中間部の長さが調整されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の変位抑制装置。
  5. 前記強固な地盤を構成する改良体をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の変位抑制装置。
  6. 少なくとも一部が地盤に覆われた構造物の変位を抑制する装置の設置方法であって、
    前記構造物から、前記構造物を覆う地盤と水平方向に連続した地盤であって前記構造物を覆う地盤より強固な地盤に至る穴を形成する形成工程と、
    弾性的に伸縮可能な線部材と前記線部材の長さ方向に中間部分を部分的に覆う被覆部材とを含んだタイ部材を、前記形成行程において形成された穴に挿入する挿入工程と、
    前記タイ部材の一端部において前記線部材が前記強固な地盤に固定され、前記タイ部材の他端部において前記線部材が前記構造物に固定され、且つ、前記一端部と前記他端部の間の中間部において、前記被覆部材内で前記線部材が伸縮可能であり且つ初期緊張力が発生しない状態になるように、前記穴内における前記タイ部材の外側にグラウト用の注入剤を充填する充填工程とを備えていることを特徴とする構造物の変位抑制装置の設置方法。
  7. 地震時に前記構造物に作用すると想定される水平力が、前記構造物における水平剛性による力及び前記タイ部材の前記中間部における弾性力によって保持されることにより、前記構造物が水平に変位する量が所定の範囲内に収まるように、少なくとも前記中間部の長さを調整することを特徴とする請求項6に記載の設置方法。
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