JP2016017170A - 潤滑油用添加剤及び潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重量平均分子量が500〜5,000である(メタ)アクリル系重合体(A)からなる潤滑油用添加剤、及び基油100質量部に対して該潤滑油用添加剤を0.05〜10質量部の割合で含有する潤滑油組成物。潤滑油用添加剤は、上記(メタ)アクリル系重合体(A)の全構造単量体に占めるアクリレート化合物の割合が、80〜100質量%であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
近年、自動車あるいはその他産業用機械における省燃費に対する要求が高まってきている。ここで、燃費性能に影響を与える因子として、潤滑油の粘度特性が挙げられる。例えば、低温において潤滑油の流動性が大きく低下した場合には、燃費に悪影響を与えやすいことが知られている。潤滑油は様々な温度領域で使用されることから、広い温度範囲に渡り良好な流動性を示すこと、とりわけ、低温域であっても十分な流動性を保つことが求められている。
第二の発明は、前記(メタ)アクリル系重合体(A)の全構造単量体に占めるアクリレート化合物の割合が、80〜100質量%である第一の発明に記載の潤滑油用添加剤である。
第三の発明は、前記(メタ)アクリル系重合体(A)が、150〜350℃の温度で重合されたものであることを特徴とする第一の発明又は第二の発明に記載の潤滑油用添加剤である。
第四の発明は、前記(メタ)アクリル系重合体(A)が、その全構造単量体100質量部に対し、メルカプタン化合物を0〜3質量部用いて製造されたものである第一の発明〜第三の発明のいずれかに記載の潤滑油用添加剤である。
第五の発明は、前記(メタ)アクリル系重合体(A)のSP値が、9.2〜10.8である第一の発明〜第四の発明のいずれかに記載の潤滑油用添加剤である。
第六の発明は、第一の発明〜第五の発明のいずれかに記載の潤滑油用添加剤及び基油(B)を含む潤滑油組成物である。
第七の発明は、前記基油(B)100質量部に対し、前記潤滑油用添加剤を0.05〜10質量部の割合で含有する第六の発明に記載の潤滑油組成物である。
本発明の潤滑油用添加剤は、(メタ)アクリル系重合体(A)からなるものである。該(メタ)アクリル系重合体(A)は、その構造単量体として(メタ)アクリレート化合物を用いることにより得ることができる。(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリル系重合体(A)の全構造単量体に対し、50〜100質量%の範囲で使用されることが好ましく、80〜100質量%の範囲で使用されることがより好ましく、90〜100質量%の範囲で使用されることがさらに好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、オリゴマーも使用することができ、具体的にはウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
同様な観点から、アクリレート化合物の中でも脂肪族アルキルアクリレートが好ましく、中でも、低温での流動性の観点から、炭素数1〜8のアルキル基を有する脂肪族アルキルアクリレートがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基を有する脂肪族アルキルアクリレートがさらに好ましい。
例えば、加圧可能な反応器に、加圧下で所定温度に設定した後、各単量体および必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法が挙げられる。また、単量体混合物には、必要に応じて重合開始剤を配合することもできる。重合開始剤を配合する場合の配合量としては、単量体混合物100質量部に対して0.001〜3質量部であることが好ましい。また、連鎖移動剤は、得られる重合体の熱安定性の低下又は着色等の問題を引き起こし得るため、使用しないことが好ましいが、必要であれば単量体混合物に配合して使用することもできる。連鎖移動剤を配合する場合の配合量としては、単量体混合物100質量部に対して、3質量部以下であることが好ましい。
圧力は、反応温度と使用する単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影
響を及ぼさないが、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。
単量体混合物の滞留時間は、1〜60分であることが好ましい。滞留時間が1分に満たない場合は単量体が充分に反応しない恐れがあり、未反応単量体が60分を越える場合は、生産性が悪くなってしまうことがある。好ましい滞留時間は2〜40分である。
本発明では、(メタ)アクリル系重合体(A)の製造において、その全構造単量体100質量部に対し、上記メルカプタン化合物の使用量が、0〜3質量部の範囲であることが好ましく、0〜2質量部の範囲であることがより好ましく、0〜1質量部の範囲であることがさらに好ましい。メルカプタン化合物の使用量を3質量部以下とすることにより、熱安定性に優れるものとすることができる。
溶媒の使用量は、全構造単量体100質量部に対して、80質量部以下とすることが好ましい。80質量部以下とすることにより、短時間で高い転化率が得られる。より好ましくは、1〜50質量部である。また、オルト酢酸トリメチル、オルト蟻酸トリメチル等の脱水剤を添加することもできる。
このように未反応単量体および溶剤をリサイクルする方法は経済性の面から好ましい方法である。リサイクルする場合には、反応器内で望ましい単量体比と望ましい溶剤量を維持するように新たに供給する単量体混合物の混合比を決定する必要がある。
また、(メタ)アクリル系重合体(A)の酸価は、1mgKOH/g未満であることが好ましい。1mgKOH/g未満にすることにより、耐熱安定性が良好なものとなる。より好ましくは、0.5mgKOH/g未満である。
ΔEvap :各原子団のモル蒸発熱(cal/mol)
V :各原子団のモル体積(cm3/mol)
本発明の潤滑油組成物に用いられる基油(B)は、特に制限されるものではなく、鉱油(石油系潤滑油)及び合成油等の公知のものを用いることができる。鉱油としては、直鎖状又は分岐状アルカンを主成分とするパラフィン系基油、並びに、シクロペンタン、シクロヘキサン、フイヒテライト及びオレアナン等の脂環式化合物を主成分とするナフテン系基油が挙げられる。また、合成油としては、オレフィンオリゴマー、ポリブテン、アルキルベンゼン等の炭化水素系基油;ポリグリコール、フェニルエーテル等のエーテル系基油;2価カルボン酸ジエステル、ポリオールエステル、リン酸エステル等のエステル系基油;シリコン系基油等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
この中でも、パラフィン系基油は潤滑油用基油として使用される割合が高いものの、一般的に流動点が高く低温域での流動性に劣る傾向がある。よって、基油(B)としてパラフィン系基油を用いた場合には、本発明の効果がより顕著に示される。
本発明の潤滑油組成物は、上記(メタ)アクリル系重合体(A)からなる潤滑油用添加剤及び上記基油(B)を含有するものである。基油(B)100質量部に対する潤滑油用添加剤の割合は0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜6質量部がより好ましく、0.2〜3質量部がさらに好ましい。(メタ)アクリル系重合体(A)からなる潤滑油用添加剤の割合が0.05質量部以上であれば低温での流動性を改善する効果を十分付与することができ、10質量部以下であれば潤滑油組成物の均一性を保つことができる。
製造例1
オイルジャケットを備えた容量1,000mLの加圧式攪拌槽型反応器のジャケット温度を241℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、n−ブチルアクリレート100部、重合溶媒として、イソプロピルアルコール4.2部、メチルエチルケトン12.2部、重合開始剤としてジt−ブチルパーオキサイド1.0部からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応器の内温(重合温度)を234±1℃に保持した。反応器内温が安定してから36分後の時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、未反応モノマー等の揮発成分を除去し、(メタ)アクリル系重合体A1を得た。GPCを測定した結果、ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」という)が4,000であり、25℃における粘度が、2,200mPa・sであった。また、(メタ)アクリル系重合体A1のSP値は9.8と算出された。
供給組成、および反応器の内温を表1及び表2のように変更した以外は、製造例1と同様の操作により、(メタ)アクリル系重合体A2〜A18および比較製造例である(メタ)アクリル系重合体A19を得た。
得られた各重合体のMw、粘度及びSP値を表1及び表2に示した。
鉱油(100℃における動粘度が4.4mm2/sのもの)40部をフラスコに入れ、内温を80℃に加温した。次いで、n−ブチルメタクリレート1部、ラウリルメタクリレート50部、n−テトラデシルメタクリレート29部、ステアリルメタクリレート20部、n−ドデシルメルカプタン0.3部および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3部の混合物を、内温80℃に保ちながら、2時間かけて滴下した。さらに、80℃で3時間、撹拌することにより、比較製造例である(メタ)アクリル系重合体A20の鉱油溶液を得た。
得られた重合体のMw及びSP値を表2に示した。
MA:メチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
SA:ステアリルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
TDMA:テトラデシルメタクリレート
SMA:ステアリルメタクリレート
IPA:イソプロピルアルコール
MEK:メチルエチルケトン
DM:n−ドデシルメルカプタン
DTBP:ジ−t−ブチルパーオキサイド
V−65:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
実施例1〜21及び比較例1〜3
鉱油(100℃における動粘度が4.4mm2/sのもの)100部に対し、表3に示すような添加部数で(メタ)アクリル系重合体を添加混合し、潤滑油組成物を調製した。尚、比較例3における(メタ)アクリル系重合体A20の添加部数は、溶剤である鉱油を除いた有効成分としての量を示す。
得られた潤滑油組成物について、JIS K2269に準じて、流動点の測定を行った。さらに、JIS K2283に準じて、40℃及び100℃における動粘度を測定し、粘度指数を算出した。結果について表3に示した。
表4に示した配合により潤滑油組成物を調製し、鉱油として100℃における動粘度が5.4mm2/sのものを使用した以外は、上記と同様の方法により評価した。結果について表4に示した。
鉱油(100℃における動粘度が4.4mm2/sのもの)100部に対して、表5に示すような添加部数で(メタ)アクリル系重合体を添加混合し、潤滑油組成物を調製した。得られた潤滑油組成物を、165℃で240時間加熱した後、流動点を測定した。加熱前後の流動点の変化を比較して、高温下での安定性を評価した。結果を表5に示した。
これに対し、比較例2〜3及び5〜6は、本発明で規定する潤滑油用添加剤に属さない(メタ)アクリル系共重合体を添加した潤滑油組成物について評価したものであるが、低温域の流動性改善効果は十分なものではない。
上記実施例の中でも、(メタ)アクリレート共重合体のMwが比較的低い(3000以下)潤滑油用添加剤を用いた実施例2〜14及び16〜18は、該Mwが比較的高い(3000を超える)ものである実施例1及び15よりも、低温での流動性改善効果が高い結果が得られた。
本発明の潤滑油用添加剤は種々の基油に対して使用可能であり、得られた潤滑油組成物は、低温域での流動性に優れるとともに、熱に対する安定性も良好であるため、幅広い温度条件下で適用することが可能である。このため、エンジンオイル、ギアーオイル、オートマチックミッションオイル、マニュアルトランスミッションオイル等の車両用潤滑油、又は、産業用機械における潤滑油として好適に用いることができる。
さらに、本発明の(メタ)アクリル系重合体(A)は、上記の特性から、重油等の燃料油に対する低温流動性向上剤としても使用可能である。
Claims (7)
- 重量平均分子量が500〜5,000である(メタ)アクリル系重合体(A)からなる潤滑油用添加剤。
- 前記(メタ)アクリル系重合体(A)の全構造単量体に占めるアクリレート化合物の割合が、80〜100質量%である請求項1に記載の潤滑油用添加剤。
- 前記(メタ)アクリル系重合体(A)が、150〜350℃の温度で重合して得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の潤滑油用添加剤。
- 前記(メタ)アクリル系重合体(A)が、その全構造単量体100質量部に対し、メルカプタン化合物を0〜3質量部用いて製造されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油用添加剤。
- 前記(メタ)アクリル系重合体(A)のSP値が、9.2〜10.8である請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油用添加剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の潤滑油用添加剤及び基油(B)を含む潤滑油組成物。
- 前記基油(B)100質量部に対し、前記潤滑油用添加剤を0.05〜10質量部の割合で含有する請求項6に記載の潤滑油組成物。
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