JP2016009659A - 蓄電池の検査方法及び蓄電池の検査装置 - Google Patents

蓄電池の検査方法及び蓄電池の検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】劣化要因を特定した劣化状態の判定を行うことができる蓄電池の検査方法及び蓄電池の検査装置を提供する。【解決手段】3価のコバルトは、非可逆的に進行する還元反応の平衡電位であってニッケル酸化物の平衡電位未満である平衡電位を有し、ニッケル水素蓄電池を、正極電位が3価のコバルトの平衡電位以下の範囲において放電する。また、正極電位の変化率dV/dtに対する放電電気量の変化率dQ/dtの割合であるdQ/dVを演算し、dQ/dVの正極電位に対する変化量からニッケル水素蓄電池の劣化を判定する。【選択図】図6

Description

本発明は、蓄電池の検査方法及び蓄電池の検査装置に関する。
ニッケル水素蓄電池等の蓄電池は、例えば充放電を繰り返すことにより、容量の低下や、内部抵抗の増大等の電池特性の劣化が徐々に進行することが知られている。充放電が繰り返された蓄電池の劣化状態を検査するために、種々の検査方法及び検査装置が提案されている。
放電容量の低下を検出するための方法として、検査対象とする蓄電池を、放電終止電圧よりも高い電圧まで放電させ、放電中に得られた電圧、温度、及び放電に要した時間から放電容量を推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−251948号公報
しかし、上述した方法では、蓄電池の劣化状態についておおよその判断を下すことができるが、その劣化要因までは判定することができない。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、劣化要因を特定した劣化状態の判定を行うことができる蓄電池の検査方法及び蓄電池の検査装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する蓄電池の検査方法は、主活物質と添加剤としての金属化合物とを含む蓄電池の検査方法であって、前記金属化合物は、非可逆的に進行する還元反応の平衡電位であって前記主活物質の平衡電位未満である金属化合物平衡電位を有し、前記蓄電池を、正極電位が前記金属化合物平衡電位以下の範囲において放電し、正極電位の変化率dV/dtに対する放電電気量の変化率dQ/dtの割合であるdQ/dVを演算し、前記dQ/dVの前記正極電位に対する変化量から前記蓄電池の劣化を判定する。
上記課題を解決する蓄電池の検査装置は、ニッケル酸化物と導電性を有する金属化合物とを含む正極を有するニッケル水素蓄電池の検査装置であって、前記金属化合物は、非可逆的に進行する還元反応の平衡電位であって前記主活物質の平衡電位未満である金属化合物平衡電位を有し、前記検査装置は、前記蓄電池を放電する電池放電部と、前記蓄電池の正極電位を測定する電位測定部と、前記蓄電池の放電容量を測定する容量測定部と、前記蓄電池の正極電位が前記金属化合物平衡電位以下の範囲で放電された際の正極電位の変化率dV/dtに対する蓄電量の変化率dQ/dtの割合であるdQ/dVを算出する演算部と、前記dQ/dVの前記正極電位に対する変化量から前記蓄電池の劣化を判定する判定部とを備える。
添加剤としての金属化合物の平衡電位を上回る正極電位で電池が作動している場合、劣化のない蓄電池においては、金属化合物はほぼ還元前の状態で存在している。しかし、電池の使用状況等によって金属化合物が還元された場合、金属化合物の還元反応は非可逆であるために還元前の金属化合物量は減少し、還元前の金属化合物によって発揮される機能が低下する。上記方法又は構成によれば、蓄電池の放電を行うことによって、金属化合物平衡電位以下の範囲においてその金属化合物の還元反応に基づくdQ/dVが演算される。このdQ/dVの変化量は、金属化合物が還元された量と相関性があるため、dQ/dVの変化量から、検査直前における還元前の金属化合物の量を推定することができる。このため、還元前の金属化合物の減少に劣化要因を特定するとともに、dQ/dVの変化量から推定される還元前の金属酸化物の量に応じて劣化の程度を判定することができる。
この蓄電池の検査方法について、前記dQ/dVの変化量の最大値と前記蓄電池の劣化の程度とを関連付けた相関データに基づき、演算した前記dQ/dVの変化量の最大値に対応する劣化の程度を判定することが好ましい。
上記方法によれば、dQ/dVの変化量の最大値を用いて、蓄電池の劣化の程度が判定される。このため、例えば予め設定された範囲におけるdQ/dVの積算値を用いる場合に比べ、特にdQ/dVの変化量が小さい場合にはバックグラウンド値等の影響を低減することができる。従って、蓄電池の劣化の程度についての誤判定を抑制することができる。
この蓄電池の検査方法について、前記主活物質がニッケル酸化物であることが好ましい。
上記方法によれば、主活物質がニッケル酸化物の劣化の程度を判定することができる。また、主活物質がニッケル酸化物であるニッケル水素蓄電池の場合、性能を向上させるための添加物として、価数が変化する金属化合物(例えばコバルト)が使用されることが多い。そのため、他の電池に比較して、本発明を好適に利用可能である。
この蓄電池の検査方法について、前記金属化合物は3価のコバルトを含むコバルト化合物であって、前記dQ/dVを演算する際は、3価のコバルト及び2価のコバルトの反応の平衡電位以下の範囲におけるdQ/dVを演算することが好ましい。
上記方法によれば、3価のコバルトの2価のコバルトへの還元反応に基づくdQ/dVが算出されるので、ニッケル水素蓄電池の3価のコバルトの減少に劣化要因を特定した劣化の程度を判定することができる。なお、ニッケル水素蓄電池の場合、導電剤であるコバルトの還元が、電池の出力に大きく影響するので、上記方法のようにコバルトの還元量を確認することは、ニッケル水素蓄電池の劣化の程度についての判定に好適である。
この蓄電池の検査方法について、前記蓄電池に挿入された参照極と当該蓄電池の正極との間の電位差を計測することにより前記蓄電池の正極電位が取得されることが好ましい。
上記方法によれば、正極電位に基づきdQ/dVが演算されるので、単電池毎に劣化の程度を判定することができる。
この蓄電池の検査方法について、前記蓄電池の正極端子及び負極端子の間の電位差に基づき前記dQ/dVが算出されることが好ましい。
上記方法では、蓄電池の正極端子及び負極端子の間の電位差に基づき正極電位が算出されるので、電池内に参照極を挿入する場合に比べ、容易に検査を行うことができる。
この蓄電池の検査方法について、前記蓄電池を、正極電位が、電解液に含まれる水の分解が始まる下限電位よりも大きく、且つ前記金属化合物平衡電位以下の範囲において放電することが好ましい。
上記方法では、蓄電池は、正極電位が電解液に含まれる水の分解が始まる下限電位よりも大きい範囲で放電されるので、電解液の分解による水素ガスの発生や、電解液の減少を抑制することができる。
上記課題を解決する蓄電池の検査方法は、前記金属化合物は、非可逆的に進行する還元反応の平衡電位であって前記主活物質の平衡電位未満である金属化合物平衡電位を有し、前記蓄電池を、正極電位が前記金属化合物平衡電位以下の範囲において放電し、前記正極電位に対する正極の容量変化量から前記蓄電池の劣化を判定する。
上記方法によれば、金属化合物平衡電位以下の範囲で、その金属化合物の還元反応に基づく容量変化量が演算される。即ち、容量の変化量は、金属化合物が還元された量との間で相関性があるため、容量変化量から、還元前の金属化合物の量を推定することができる。このため、還元前の金属化合物の減少に劣化要因を特定して、還元前の金属酸化物の量に応じて劣化の度合いを判定することができる。
本発明の蓄電池の検査方法及び検査装置によれば、蓄電池の劣化要因を特定した劣化状態の判定を行うことができる。
検査対象である電池モジュールの概略構成を示す斜視図。 (a)はニッケル水素蓄電池の正極容量及び負極容量のバランスを示す図、(b)は複数の電池の間の容量バランスのずれを示す図。 第1実施形態における検査装置の概略構成を示す模式図。 同実施形態における検査方法の手順を示すフローチャート。 同実施形態の検査装置によって取得される過放電曲線を示すグラフ。 初期品及び劣化品の正極電位に対するdQ/dV値を示すグラフ。 検査装置に格納されている劣化判定データを模式的に示す図。 パルス放電を繰り返した後の初期品及び劣化品の充電状態を示すグラフ。 第2実施形態における検査装置の概略構成を示す模式図。 同実施形態の検査装置によって取得される過放電曲線を示すグラフ。 変形例の検査装置の概略構成を示す模式図。 変形例の検査装置によって取得される過放電曲線を示すグラフ。
(第1実施形態)
以下、蓄電池の検査方法及び検査装置について、第1実施形態を説明する。本実施形態では、検査対象の蓄電池を、ニッケル水素蓄電池に例示して説明する。また、本実施形態では、ニッケル水素蓄電池を、複数の単電池を有する電池モジュールに例示して説明する。
図1を参照して、電池モジュール11の概略構成について説明する。電池モジュール11は、上部開口を有する一体電槽16と、一体電槽16の上部開口を封止する蓋部17とを備えている。一体電槽16には、その内側の空間を隔壁18によって仕切ることにより、複数の電槽15が設けられている。
電槽15内には、電解液とともに極板群20が収容されている。極板群20は、複数の正極板21と、複数の負極板22と、セパレータ23とを有している。正極板21及び負極板22はセパレータ23を介して交互に積層されている。また電槽15内には、正極板21の端部が接合される正極側の集電板24と、負極板22の端部が接合される負極側の集電板25とが収容されている。
本実施形態では、この極板群20により単電池30が構成されるとともに、複数の正極板21により正極が構成され、複数の負極板22により負極が構成される。また、本実施形態では、6個の単電池30が一体電槽16内に設けられている。
図1中、左側上方に示すように、隔壁18の上部には単電池30の接続に用いられる接続孔26が形成されている。この接続孔26を介して、集電板24,25の上部に突設されている接続突部27,28同士がスポット溶接により接続されることによって、隣接する単電池30が電気的に直列に接続される。
図1中、中央に示すように、一体電槽16の長手方向の両側には、一方の端の電槽15に接続された正極端子29と、他方の端の電槽15に接続された負極端子32(図3参照)がそれぞれ設けられている。正極端子29及び負極端子32には、それぞれバスバーモジュール(図示略)が接続され、各バスバーモジュールを介して、直列接続された6個の単電池30の総出力が取り出される。
次に、正極及び負極について説明する。正極板21は、基材と、基材に支持された正極材を有している。正極材は、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル等のニッケル酸化物を主成分とする正極活物質、添加剤(導電剤)としての金属化合物であるコバルトを含有する導電剤等を有する。正極活物質の放電反応は、下記の半反応式(1)で表される。充電時には、半反応式(1)の逆方向に反応が進む。
(正極)NiOOH+HO+e → Ni(OH)+OH …(1)
なお、3価のニッケル(Ni3+)から2価のニッケル(Ni2+)への還元反応、その逆の酸化反応の平衡電位(以下、Ni3+/Ni2+の平衡電位、標準電位ともいう)は、酸化水銀参照極(Hg/HgO)に対して「0.4V」である。なお、この平衡電位は、電解液のpH等に依存するため、電池の種類により異なる。従って、以下の実施形態内で用いるNi3+/Ni2+の「平衡電位」は、「0.4V」の平衡電位とする。
導電剤は、オキシ水酸化コバルト(CoOOH)等のコバルト化合物であり、ニッケル酸化物の表面を被覆している。出荷時の電池モジュール11においては、ニッケル酸化物の表面を被覆するコバルト化合物は、3価のコバルト(Co3+)を含む状態で存在している。導電性の高いオキシ水酸化コバルトは、正極内において導電性ネットワークを形成し、正極の利用率(「放電容量/理論容量」の百分率)を高めている。
予め設定された単電池30毎の作動電圧範囲内では、オキシ水酸化コバルトは安定である。これは、3価のコバルトが2価のコバルトに還元される反応及び2価のコバルトが3価のコバルトに酸化される反応の平衡電位(以下、Co3+/Co2+の平衡電位、標準電位ともいう)が、酸化水銀参照極(Hg/HgO)に対して「0.1V」であり、Ni3+/Ni2+の平衡電位よりも小さく、単電池30毎の作動電圧範囲外であるためである。なお、本実施形態では、Co3+/Co2+の平衡電位は「0.1V」である。従って、単電池30が作動電圧範囲内で作動している限り、導電剤の大半が水酸化コバルト等に還元されることはない。なお、Ni3+/Ni2+の「平衡電位」と同様に、Co3+/Co2+の平衡電位もまた、電解液のpH等に依存するため、電池の種類により異なる。従って、以下の実施形態内で用いるCo3+/Co2+の「平衡電位」は、「0.1V」の平衡電位とする。
負極板22は、基材と、基材に支持された負極材を有している。負極材は、水素吸蔵合金(MH)を含む負極活物質を有する。負極の放電反応は、下記の半反応式(2)で表される。充電時には、半反応式(2)の逆方向に反応が進む。
(負極)MH+OH → M+HO+e …(2)
ニッケル水素蓄電池全体の放電時における反応は、下記の半反応式(3)で表される。充電時には半反応式(3)の逆方向に反応が進む。
(全体)NiOOH+MH→Ni(OH)+M …(3)
図2(a)に示すように、ニッケル水素蓄電池の出荷時の状態である初期状態では、負極容量が正極容量よりも大きい正極規制とされている。このため、負極容量には、正極容量に対して余分に設けられた充電リザーブR1及び放電リザーブR2が設けられている。従って、正極のSOCが100%に到達した状態が、単電池30においてもSOCが100%の状態(満充電状態)である。また、正極のSOCが0%に到達した状態、即ち正極の活物質の充電部分がなくなった状態が、単電池30のSOCが0%の状態である。
一方、電池モジュール11の充放電が繰り返されると、電池モジュール11内の温度差等の要因により、初期状態の正極容量及び負極容量のバランスが変化することがある。
その結果、図2(b)の「単電池A」及び「単電池B」の容量バランスとして例示するように、複数の単電池30の間において、正極容量と負極容量とのバランスに差異が生じることがある。このように正極容量と負極容量とのバランスに差異が生じると、放電時には、例えば「単電池B」の正極のSOCが、他の単電池30に対して最も早いタイミングで「0」となる。
ところで、電池モジュール11に対して設定された作動電圧範囲で作動させていても、充電及び放電が繰り返される過程で、導電剤のオキシ水酸化コバルトが、2価のコバルトを有する水酸化コバルト等に還元されることがある。例えば、複数の単電池30の間で正極容量及び負極容量のバランスが相違した場合、一つの単電池30における正極のSOCが0%のときの正極電位を下回っても放電を継続すると、その単電池30の電池電圧は、Co3+/Co2+の平衡電位である「0.1V」を下回ることがある。なお、本実施形態では、正極のSOCが0%のときの正極電位は「0.1V」である。また意図しない要因により、電池モジュール11に対して設定された作動電圧範囲外で作動することも考えられる。
オキシ水酸化コバルトから水酸化コバルトへの還元量が増加すると、導電性ネットワークを形成する3価のコバルトの減少により正極の導電性が低下することによって、放電容量の低下、直流内部抵抗等の内部抵抗の増大が生じる。放電容量の低下は、特に大電流放電時に顕著である。なお、放電容量の低下や内部抵抗の上昇等といった電池特性の低下は、複数の単電池間における正極容量及び負極容量のバランスの相違、電解液の減少等の他の要因でも生じうるため、単に放電容量や内部抵抗を検査するのみでは、電池特性の低下の要因までは把握できない。また、ニッケル水素蓄電池の内部抵抗の低下、放電容量の増大等といった電池特性を向上するためには、劣化要因を把握する必要がある。
次に、ニッケル水素蓄電池の劣化の程度を検査する検査方法、及びその検査方法に用いられる装置について、作用とともに説明する。この検査方法では、検査の対象とする劣化要因を、導電剤であるオキシ水酸化コバルトの水酸化コバルト等への還元量に特定して、その還元量を劣化の程度である劣化度として判定する。
還元量を劣化度として判定できる金属化合物の条件は、電池モジュール11が作動する間は金属化合物の還元反応が非可逆的であること、平衡電位が、主活物質の平衡電位未満であること、平衡電位が電解液中の水が分解される下限電位を上回ることである。なお、ここでいう非可逆とは、通常の電池の使用状態において、3価のコバルトが2価のコバルトに酸化される還元反応が非可逆であることをいい、2価のコバルトを3価のコバルトに酸化するための特別な処理を施した場合等を除く。
図3を参照して、正極電位を取得する検査装置50の構成について説明する。
検査装置50は、複数の単電池30の正極電位をそれぞれ測定する参照極51を備える。本実施形態では、検査装置50は、単電池30の数と同数の6つの参照極51を有している。参照極51は、通常、電解液に適したものが使用される。本実施形態では、アルカリ電解液に適した酸化水銀参照極(Hg/HgO)を用いている。
参照極51には、電圧計52がそれぞれ接続されている。本実施形態では、検査装置50には6つの電圧計52が設けられている。電圧計52は、参照極51と、単電池30の正極側の集電板24とに接続され、参照極51に対する正極電位を計測する。なお、参照極51及び電圧計52は、電位測定部に相当する。
電池モジュール11の正極端子29及び負極端子32には、放電回路53と電流計54とが接続されている。なお、電流計54は、容量測定部に相当する。また、電圧計52、放電回路53及び電流計54は、劣化判定装置55に接続されている。各電圧計52は、計測した正極電位に応じた信号を劣化判定装置55に出力する。即ち、劣化判定装置55は、各単電池30の正極電位を取得することができる。
放電回路53は、劣化判定装置55の制御によって、当該放電回路53に接続された電池モジュール11の放電を開始及び終了する。なお、放電回路53は、電池放電部に相当する。
電流計54は、電池モジュール11に流れる電流値を計測し、計測した電流値に応じた信号を劣化判定装置55に出力する。
劣化判定装置55は、劣化判定のための演算を単電池30毎に行う演算部56を有している。演算部56は、電流計54から入力した信号及び複数の電圧計52から入力した信号に基づき、単電池30毎に、正極の放電容量と、正極電位とを取得する。また、演算部56は、正極電位の変化率dV/dtに対する放電容量(放電電気量)の変化率dQ/dtの割合であるdQ/dVを算出する。dQ/dVは、単位電圧あたりの放電容量の変化を示し、単電池30毎の劣化判定に用いられる。
また、劣化判定装置55は、相関データ60が格納された相関データ記憶部57を備えている。相関データ60は、正極のdQ/dVの変化量と単電池30の劣化の程度とを関連付けたデータであって、初期状態の単電池30(初期品)及び複数の劣化した単電池30(劣化品)を用いて取得した計測値に基づいて予め作成されている。
さらに、劣化判定装置55は、判定部59を備えている。判定部59は、相関データ60と、演算部56が演算したdQ/dVとに基づき、単電池30の劣化度を判定する。また、劣化判定装置55には、例えば、ディスプレイ又はプリンタ等からなり、判定部59による単電池30の劣化度を出力する出力装置61が接続されている。
次に図4を参照して、検査方法の手順を、検査装置50の動作とともに説明する。
まず、電池モジュール11を、正極のSOCが0%となる放電終止電圧まで放電する(ステップS1)。1つの単電池30の放電終止電圧は「1V」であり、電池モジュール11の放電終止電圧は、6つの単電池30の放電終止電圧の総和である「6V」である。この際、検査装置50とは別の装置を用いて放電を行ってもよいし、検査装置50に電池モジュール11を接続して放電してもよい。即ち、電池モジュール11の端子間電圧を図示しない電圧計で測定しつつ放電する場合には、その電圧計による計測値が電池モジュール11の放電終止電圧である「6V」に到達するまで放電を行う。また検査装置50の電圧計52を用いる場合には、例えば、複数の電圧計52の測定値が「1V」に到達するまで放電を行う。
次に、電池モジュール11の蓋部17を取り外し、一体電槽16の上部開口から、複数の単電池30の内部に参照極51をそれぞれ設置する。そして、放電回路53を駆動させながら、劣化判定装置55により、複数の単電池30の正極電位をそれぞれ取得する(ステップS2、図4参照)。
電池モジュール11を放電終止電圧まで放電し終わった段階において、複数の単電池30の間に正極容量及び負極容量のバランスの相違が生じている場合には、正極のSOCが0%の単電池30のほか、正極のSOCが0%を上回る単電池30が存在することがある。この場合でも、放電回路53の駆動を継続することにより、全ての単電池30が、正極のSOCが0%であるときの正極電位「0.1V」以下で放電が行われる過放電状態となる。なお、この放電は、電解液に含まれる水の分解が始まる下限電位(−1.1V)以下とならない範囲で行うものとする。正極電位が下限電位を上回る範囲で放電を行うことで、水の分解に伴う水素等の発生や、電解液の濃度の上昇等を抑制することができる。
そして単電池30の過放電が継続される間、劣化判定装置55により、電流計54及び複数の電圧計52から信号を入力する。そして、劣化判定装置55の演算部56により、単電池30毎に、正極の放電容量に対する正極電位の変化を示す過放電曲線を取得する(ステップS3、図4参照)。
図5に示す放電曲線は、複数の単電池30のうちの一つの放電曲線である。破線は、正極のSOCが0%に至るまでの正極電位変化を示す放電曲線を示し、実線は、正極のSOCが0%の正極電位V1から下限電位V2までの電位変化を示す過放電曲線である。過放電曲線では、正極のSOCが0%のときの電位V1「0.1V」付近から、急激に正極電位が低下している。これはオキシ水酸化コバルトが、水酸化コバルト等の2価のコバルトを含む化合物に還元されているためである。
上述したようにニッケル水素蓄電池は正極規制であり、正極のSOCが0%のときの電位V1よりも低い電位の過放電状態においても、負極の放電リザーブによって負極活物質の酸化反応が進行する。また、正極のSOCが0%のときの電位V1「0.1V」以下では、Co3+/Co2+の平衡電位以下となるために、正極では、導電剤に含まれる3価のコバルトが2価のコバルトに還元される還元反応が優位となる。なお、Co3+/Co2+の平衡電位よりも小さい正極電位において、この還元反応の反応量が最も大きくなる。
単電池30毎の過放電曲線を取得すると、劣化判定装置55の演算部56は、過放電曲線に基づくdQ/dVを単電池30毎に算出する(ステップS4、図4参照)。なお、過放電曲線のうちdQ/dVを演算する正極電位の範囲、又は容量範囲は、実験を通じて予め決められており、dQ/dVの変化は、正極電位に対する変化を示す曲線として取得される。
図6中、曲線L1に示すように、劣化のない単電池30である初期品では、3価のコバルトが2価のコバルトに還元される際に電子が消費されることで、dQ/dVが負の方向に増大するピークがみられる。このピークは、dQ/dVの変化量が急速に増大していることを示し、ピークが出現する正極電位範囲は、Co3+/Co2+の平衡電位「0.1V」よりも小さい電位範囲である。本実施形態では、dQ/dVの最小値、即ちdQ/dVの変化量の最大値は、正極電位が「0.03V」付近にみられる。dQ/dVの最小値が出現する正極電位は、還元反応の反応量が最も大きくなる電位である。ピークが出現する電位範囲及びピークの最小値の正極電位は、放電時の電流が大きいほど、小さくなり、場合によっては水が分解する電位まで到達することがある。このため、放電レートは、好ましくは1C以下、より好ましくは1/3C以下で行うことが好ましい。
一方、曲線L2,L3に示すように、3価のコバルトが減少することによって導電性ネットワークが疎となった劣化品A,Bでは、dQ/dVのピークが極めて小さいか、ピーク自体が検出されない。これは、既に検査前の段階で、導電剤を構成するオキシ水酸化コバルトが水酸化コバルト等に還元されており、検査における過放電において3価のコバルトが2価のコバルトへ還元される還元量が少ないためである。
次に、劣化判定装置55の判定部59は、単電池30のdQ/dVの変化量の最大値であるピーク値を取得する(ステップS4、図4参照)。なお、ここでいう「変化量」は、放電開始時点等の基準点からの変化量である。
ピーク値は、dQ/dVの変化曲線のうち、予め決められた正極電位範囲内におけるdQ/dVの最小値の大きさ(絶対値)である。換言すると、ピーク値は、予め決められた正極電位範囲内におけるピークの最大高さを示す。ピークが殆ど見られない場合には、予め決められた正極電位範囲のうち、dQ/dVの最小値をピークの頂点とみなし、その最小値であるdQ/dVの絶対値をピーク値とする。なお、上述したdQ/dVの演算対象となる正極電位範囲は、初期品のピークが出現する範囲の平均等を含み、その平均の近傍の範囲(例えば「平均値」−0.01Vから「平均値」+0.01Vの範囲)に設定されている。劣化電池の場合、ピークが明確に出現しない場合があるが、その場合、コバルトの還元反応以外の反応やバックグラウンド等の影響で、実際のピークと異なる箇所をピークと認定してしまうことがある。しかし、初期品のピークを基準として正極電位範囲を設定することで、そのような懸念が軽減される。
なお、正極電位範囲の幅は、電池の種類等に依存する「ピークの正極電位のずれ」を考慮して決定すればよい。
また、正極電位範囲は、Co3+/Co2+の平衡電位から下限電位V2の間で設定される。
また、dQ/dVのピーク値を演算する代わりに所定の正極電位範囲のdQ/dVの積算値を演算してもよいが、その場合、コバルトの還元反応以外の反応や、バックグラウンド等の影響が大きくなる。劣化品同士を比較した場合、dQ/dVのピークの大きさや幅等の差が小さくなるので、バックグラウンド等の影響が大きくなると、正確な判定ができなくなる。しかし、ピーク値で劣化度を判定することで、バックグラウンド等の影響を小さくでき、正確な判定が可能となる。
次に、ステップS5で取得したピーク値と相関データ60とを比較して、劣化度を判定する(ステップS6、図4参照)。
図7に示すように、相関データ60は、dQ/dVのピーク値に劣化度(%)を関連付けた演算式やマップ等である。相関データ60では、dQ/dVのピーク値が小さくなるに伴い、劣化度は大きくなる。
相関データ60を作成するにあたっては、単電池30である初期品、及び予め劣化していることが判明している単電池である複数の劣化品に対して、大電流(例えば25C)のパルス放電を繰り返し、大電流放電後のSOCから、放電可能なSOCを算出する。
図8の例では、初期品及び劣化品C,Dに対して同じ条件でパルス放電したときのSOCに対する正極電位変化を示しており、便宜上、正極電位変化を示す曲線を正極電位を示す縦軸方向にずらして表示している。
初期品は、大電流放電後のSOCが5%であることから、「95%」が大電流放電時に放電可能なSOCである。この初期品を「劣化度0%」とする。劣化品Cは、大電流放電後のSOCが13%であることから大電流放電時に放電可能なSOCは「87%」である。劣化品Dは、大電流放電後のSOCが19%であるため、大電流放電時に放電可能なSOCは「81%」である。なお、相関データに用いられる劣化品は、実際には数十個等の2個よりも多い複数である。劣化品C,Dについては、初期品に対して最終的に放電可能なSOCが低いことが判る。
さらに、劣化品の大電流放電時に放電可能なSOCから、下記の数式に基づいて劣化度を算出する。なお、「SOC2」は、検査対象の大電流放電時に放電可能なSOCであり、「SOC1」は、初期品の大電流放電時に放電可能なSOCである。

劣化度(%)={1−(SOC2/SOC1)}・100

そして、初期品及び複数の劣化品について、dQ/dVのピーク値と、上記の数式に基づいて算出された劣化度とをプロットすることによって、図7の劣化判定データを作成する。
このように作成された相関データ60を用いて、劣化判定装置55の判定部59は、検査対象のdQ/dVのピーク値に対応する劣化度を取得する。そして、その劣化度を、検査対象の単電池30の劣化度として出力装置61に出力する。このように、本実施形態では、単電池30毎に劣化度を判定するので、電池モジュール11内における劣化品を特定することができる。
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)Co3+/Co2+の平衡電位は、正極活物質であるNi3+/Ni2+の平衡電位未満であるため、劣化のないニッケル水素蓄電池においては、正極活物質を被覆する導電剤は3価のコバルト(本実施形態ではオキシ水酸化コバルト)の状態で安定している。しかし、使用状況等により、オキシ水酸化コバルトが還元された場合、その反応は非可逆であるためにオキシ水酸化コバルト量は減少し、正極の導電性が低下する。本実施形態によればCo3+/Co2+の平衡電位以下の範囲で、その3価のコバルトの還元反応に基づくdQ/dVが演算される。このdQ/dVのピーク値は、3価のコバルトが還元された量との間で相関性があるため、dQ/dVのピーク値から、還元前のオキシ水酸化コバルトの量を劣化の無い初期品に対して相対的に推定することができる。このため、還元前のオキシ水酸化コバルトの減少に劣化要因を特定して、還元前のオキシ水酸化コバルトの量に応じて劣化度を判定することができる。なお、ニッケル水素蓄電池の場合、導電剤であるコバルトの還元が、電池の出力に大きく影響するので、上記方法のようにコバルトの還元量を確認することは、ニッケル水素蓄電池の劣化の程度についての判定に好適である。
(2)単電池30のdQ/dVの変化量の最大値であるピーク値を用いて、単電池30の劣化度が判定される。このため、dQ/dVの積算値を演算する場合に比べ、コバルトの還元反応以外の反応や、バックグラウンド等の影響を小さくすることができる。このため、ニッケル水素蓄電池の劣化の程度について正確な判定が可能となる。
(3)上記実施形態では、dQ/dVのピーク値を用いた検査方法を、主活物質がニッケル酸化物であるニッケル水素蓄電池に対して適用した。ニッケル水素特電池では、性能を向上させるための添加物として、価数が変化する金属化合物(例えばコバルト)が使用されることが多い。そのため、他の電池に比較して、本発明を好適に利用可能である。
(4)導電剤であるコバルトの還元は、ニッケル水素蓄電池の出力に大きく影響する。このため、3価のコバルト及び2価のコバルトの反応の平衡電位以下におけるdQ/dVの演算は、ニッケル水素蓄電池の劣化の程度についての判定に好適である。
(5)単電池30に挿入された参照極51と単電池30の正極との間の電圧(電位差)を計測することにより正極電位が取得される。即ち、単電池30毎にdQ/dVが演算されるので、単電池30毎に劣化の程度を判定することができる。
(6)単電池30は、正極のSOCが0%である正極電位から電解液の水が分解される下限電位までの間で放電されるので、電解液の分解に基づく水素の発生や、電解液の濃度変化を抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態の検査装置の一部を変更した構成であるため、同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態の検査装置50は、電池モジュール11の正極端子29及び負極端子32の間の電圧を計測する電圧計52を備えている。また、検査装置50は、電池モジュール11を流れる電流を計測する電流計54を備えている。電圧計は、電位測定部に相当し、電流計は容量測定部に相当する。
また、検査装置50は、第1実施形態と同様に放電回路53及び劣化判定装置55を備えている。即ち、本実施形態では、単電池30毎に正極電位を計測するのではなく、電池モジュール11の電圧を計測する点で第1実施形態と異なっており、検査方法の手順は基本的に第1実施形態と同様である。
図10に示すように、劣化判定装置55は、放電回路53を駆動させて、電池モジュール11を放電しながら、電圧計52及び電流計54から信号を入力し、放電曲線を取得する。上述したように複数の単電池30の間で、正極容量及び負極容量のバランスが相違している場合には(図2(b)参照)、正極のSOCが0%となるタイミングがそれぞれ異なる。このため、本実施形態では電池モジュール11の放電終止電圧「6V」を基準とし、その放電終止電圧付近の「8.0V」(いずれの単電池30の正極SOCも0%に達しない電圧)まで高い放電レートで放電し、その後、放電レートを低くして放電している。複数の単電池30のうち1つの単電池30の正極のSOCが0%となったときには、急激な電圧降下が生じ、放電容量に対する電池モジュール11の電圧降下量が大きくなる。
このため、劣化判定装置55の演算部56は、取得した過放電曲線のうち、放電容量に対する電池モジュール11の電圧降下量が予め設定された電圧降下率以上である領域Z1〜Z6を検出する。そして演算部56は、これらの領域Z1〜Z6を、単電池30の正極のSOCがそれぞれ0%となった電池電圧とする。この際、1つの単電池30の電圧降下量はほぼ一定であるため、電圧降下量が大きい領域が単電池30の個数未満であって、その電圧降下量が大きい場合には、その領域の電圧降下量を、単電池の電圧降下量の平均で除算して、正極のSOCが0%となった単電池30の個数を判断する。例えば単電池30の個数が2個であると判断した場合には、その電圧降下量の大きい領域を2分割する。
演算部56は、領域Z1〜Z6内の容量に対する電圧変化が、Co3+/Co2+の平衡電位以下の正極電位の電位変化に相当するものとして、その電圧変化に基づきdQ/dVを演算する。そして、演算部56は、これを複数の単電池30のdQ/dV値とする。さらに、演算部56は、領域Z1〜Z6内のdQ/dV値のピーク値を算出し、相関データ60を参照して、単電池30の劣化度を判定する。
この方法では、単電池30の劣化度を判定しても、その劣化度に対応する単電池30がどれであるかを特定することはできないが、電池モジュール11に属する単電池30に3価のコバルトの減少による劣化が生じているか否か、劣化が生じている場合にはその劣化度を把握することができる。また、電池モジュール11の蓋部17を取り外さずに検査ができるので、蓋部17を取り外す場合に比べ、容易に検査を行うことができる。
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態に記載した(1)〜(4),(6)の効果に加えて、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(7)本実施形態では、電池モジュールの正極端子29及び負極端子32の間の電圧に基づきdQ/dVが算出される。この場合には、電池モジュール11の蓋部17を取り外さなくてもよいため、単電池30内に参照極51を挿入する場合に比べ、容易に検査を行うことができる。
なお、上記各実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・上記各実施形態では、電池モジュール11を構成する単電池30を検査対象としたが、それ以外の単電池を検査対象としてもよい。単電池であっても、作動電圧範囲外で作動される等、意図しない要因により、単電池30の正極に含まれる添加剤としての金属化合物(例えばコバルト)が減少することがある。単電池を検査対象とする場合、図11に示すように、例えば、単電池30に、参照極51を挿入し、正極端子71及び負極端子72に、放電回路53及び電流計54を接続し、単電池30の正極端子71及び参照極51に放電回路53及び電流計54を接続してもよい。また、参照電極を用いず、正極端子71と負極端子72間の端子間電圧を測定し、その値から正極電位を推定してもよい。端子間電圧は、正極電位と負極電位の差であるが、負極電位が分かっていれば、端子間電圧から正極電位を推測することは可能である。なお、ニッケル水素蓄電池の場合、負極の電位はほぼ一定であるため、端子間電圧から正極電位を比較的容易に推定できる。
・上記各実施形態では、dQ/dVの変化量を用いて単電池30の劣化度を判定したが、図12に示すように、正極のSOCが0%のときの電位から電圧降下が生じている間の放電容量の変化量ΔCに基づき、単電池30の劣化度を判定してもよい。この放電容量の変化量は、電圧降下が生じている間のdQ/dVのピークの面積に相当する。この方法によれば、劣化判定装置55の演算量を軽減することができる。
・上記各実施形態では、dQ/dVのピーク値を用いて単電池30の劣化度を判定したが、ピーク値以外のdQ/dVに関する値を用いて劣化度を判定してもよい。例えば、特に劣化度の大きい電池について、バックグラウンド等の影響が低減できる場合には、dQ/dVのピークの面積を用いて劣化度を判定してもよい。又は予め決められた正極電位のdQ/dVの絶対値を用いて単電池30の劣化度を判定してもよい。
・上記各実施形態では、放電回路53は、劣化判定装置55により制御されるとしたが、劣化判定装置55とは別に駆動を開始及び終了するものであってもよい。
・劣化判定装置55は、放電回路53、電流計54、及び電圧計52の少なくとも一つを内蔵するものであってもよい。
・上記各実施形態では、劣化要因を3価のコバルトの減少に特定したが、所定の条件を満たせば、他の金属化合物の減少に特定してもよい。所定の条件は、「正極のSOCが0%から100%の間で蓄電池が作動する間は金属化合物の還元反応が非可逆的であること」、「平衡電位が、正極活物質の平衡電位未満であること」、「水が分解される下限電位を上回ること」を満たす元素又はその元素を含む化合物である。また、金属化合物は、導電剤に限らず、副活物質、バインダー等の添加剤に含まれるものであってもよい。なお、「非可逆」は、通常の電池の使用状態において非可逆反応であることを指し、特別な酸化処理等を施しても還元前の状態に戻らないことを指すものではない。例えば、劣化の程度を検査することができる金属化合物として、以下の金属元素を含む化合物が挙げられる。なお、以下の括弧のうち左側の金属元素は通常時の状態、右側の金属元素は過放電時の状態を示す。モリブデン(Mo4+→Mo:平衡電位−0.9V〜−1.0V)、チタン(Ti5+→Ti3+:平衡電位−0.9V〜−1.0V)、ニオブ(Nb5+→Nb4+:平衡電位−1.0V〜−1.1V)、カドミウム(Cd2+→Cd:平衡電位−0.8V〜−0.9V)、鉄(Fe3+→Fe:平衡電位−0.7V〜−0.9V)、マンガン(Mn6+→Mn2+:平衡電位−0.4V〜−0.2V)、バナジウム(V3+→V2+:平衡電位−0.7V〜−0.6V)、タンタル(Ta5+→Ta:平衡電位−0.9V〜−1.7V)、タングステン(W8+→W6+:平衡電位+0.3V〜+0.4V)。なお、各物質の平衡電位は、標準水素電極を基準としている。
・検査対象の蓄電池は、ニッケル水素蓄電池以外でもよい。例えば、ニッケル酸化物を正極活物質とするニッケル・カドミウム蓄電池、リチウム酸コバルトを正極活物質とするリチウムイオン蓄電池であってもよい。
11…蓄電池としての電池モジュール、21…正極を構成する正極板、22…負極を構成する負極板、23…電解液が含まれるセパレータ、29…正極端子、30…蓄電池としての単電池、32…負極端子、50…検査装置、51…電位測定部としての参照極、52…電位測定部としての電圧計、53…電池放電部としての放電回路、54…容量測定部としての電流計、56…演算部、59…判定部、60…相関データ。

Claims (9)

  1. 主活物質と添加剤としての金属化合物とを含む蓄電池の検査方法において、
    前記金属化合物は、非可逆的に進行する還元反応の平衡電位であって前記主活物質の平衡電位未満である金属化合物平衡電位を有し、
    前記蓄電池を、正極電位が前記金属化合物平衡電位以下の範囲において放電し、正極電位の変化率dV/dtに対する放電電気量の変化率dQ/dtの割合であるdQ/dVを演算し、前記dQ/dVの前記正極電位に対する変化量から前記蓄電池の劣化を判定する
    ことを特徴とする蓄電池の検査方法。
  2. 前記dQ/dVの変化量の最大値と前記蓄電池の劣化の程度とを関連付けた相関データに基づき、演算した前記dQ/dVの変化量の最大値に対応する劣化の程度を判定する
    請求項1に記載の蓄電池の検査方法。
  3. 前記主活物質がニッケル酸化物である
    請求項1又は2に記載の蓄電池の検査方法。
  4. 前記金属化合物は3価のコバルトを含むコバルト化合物であって、
    前記dQ/dVを演算する際は、3価のコバルト及び2価のコバルトの反応の平衡電位以下の範囲におけるdQ/dVを演算する
    請求項3に記載の蓄電池の検査方法。
  5. 前記蓄電池に挿入された参照極と当該蓄電池の正極との間の電位差を計測することにより前記蓄電池の正極電位が取得される
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電池の検査方法。
  6. 前記蓄電池の正極端子及び負極端子の間の電位差に基づき前記dQ/dVが算出される
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電池の検査方法。
  7. 前記蓄電池を、正極電位が、電解液に含まれる水の分解が始まる下限電位よりも大きく、且つ前記金属化合物平衡電位以下の範囲において放電する
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電池の検査方法。
  8. 主活物質と添加剤としての金属化合物とを含む蓄電池の検査方法において、
    前記金属化合物は、非可逆的に進行する還元反応の平衡電位であって前記主活物質の平衡電位未満である金属化合物平衡電位を有し、
    前記蓄電池を、正極電位が前記金属化合物平衡電位以下の範囲において放電し、前記正極電位に対する正極の容量変化量から前記蓄電池の劣化を判定する
    ことを特徴とする蓄電池の検査方法。
  9. 主活物質と添加剤としての金属化合物とを含む蓄電池の検査装置において、
    前記金属化合物は、非可逆的に進行する還元反応の平衡電位であって前記主活物質の平衡電位未満である金属化合物平衡電位を有し、
    前記検査装置は、
    前記蓄電池を放電する電池放電部と、
    前記蓄電池の正極電位を測定する電位測定部と、
    前記蓄電池の放電容量を測定する容量測定部と、
    前記蓄電池の正極電位が前記金属化合物平衡電位以下の範囲で放電された際の正極電位の変化率dV/dtに対する放電電気量の変化率dQ/dtの割合であるdQ/dVを算出する演算部と、
    前記dQ/dVの前記正極電位に対する変化量から前記蓄電池の劣化を判定する判定部と
    を備えることを特徴とする蓄電池の検査装置。
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