JP2007066697A - アルカリ蓄電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】過放電を含むサイクルを繰り返しても導電ネットワークが強固に保持できる、耐過放電性が高いアルカリ蓄電池を提供する。
【解決手段】水酸化ニッケルを正極活物質とし、コバルト化合物に被覆された水酸化ニッケルに導電助剤として金属コバルトを添加して正極を作製する第1の工程と、正負極およびセパレータとで電極群を構成する第2の工程と、この電極群および電解液を電槽に収容して電池体を構成する第3の工程と、電池体を2〜20時間率の電流にて正極理論容量の120〜170%になるまで初期充電する第4の工程とからなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池に係わり、特に電動工具などの電源として用いることを想定し、耐過放電性を向上させた正極組成および初期充電条件に関する。
ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池は、電動工具、アシスト自転車、コードレス掃除機、電気自動車などのハイパワー用途が拡大しつつある。特に電動工具用途では、1.0〜7.5時間率という急速充電や大電流放電への適用性が重視されている。
ところで、アルカリ蓄電池の単セルあたりの電圧は約1.2Vである。電動工具では、必要な電圧を確保するために、通常10〜20個の電池が、直列に接続された組電池として用いられる。また電動工具では、コスト低減や省スペース化の観点から、過放電を防止するための保護回路を設定しない場合が多い。そのため、残存容量が少なくなった場合、各セル当りの開回路電圧が0.1〜0.2Vに達し、工具のモーターが駆動しなくなるまで過放電されることになる。
水酸化ニッケルを含む正極には、一般に導電助剤として水酸化コバルト、一酸化コバルト等のコバルト成分が添加されている。このコバルト成分の一部は、正負極からなる電極群と電解液とを電槽に収容して電池を構成した後、初回の充電において、電気化学的にβ−オキシ水酸化コバルトに酸化されることにより正極内に導電ネットワークを形成する。ところが過放電により電池電圧が上記のように低くなると、短時間ながら正極の電位がこのβ−オキシ水酸化コバルトの3価/2価の平衡電位(電池電圧で約0.9〜1.0V程度)よりも低くなり、β−オキシ水酸化コバルトがアルカリに可溶なHCoO2 -に還元され、溶解する。その結果、導電ネットワークが局所的に破壊され、徐々に電池容量が劣化する。
またニッケル水素蓄電池の場合、水素吸蔵合金内に吸蔵された水素と平衡関係にある気相水素により、その内部が還元雰囲気が保たれている。このような場合、上記のβ−オキシ水酸化コバルトの還元が助長され、導電ネットワークの破壊が加速されることになる。さらに、高温下で使用された場合は気相水素の量が増加し、オキシ水酸化コバルトのアルカリへの溶解が促進される。その結果、この導電ネットワークの崩壊が先と同様により助長される。
そこで高温下でのサイクル寿命改善を意図して、初回充電後に放電後の閉回路電圧が1.15V以上になるように40〜80℃の環境下にて放電を行う方法を活用することが有効と考えられる(例えば、特許文献1)。
特開2001−338677号公報
しかしながら特許文献1の方法では、セル当たり0.1〜0.2Vという極端な過放電を想定した技術ではないため、導電ネットワークを形成するコバルト化合物のアルカリ電解液への溶出は、完全には抑制できない。したがって、過放電を含む使用を繰り返すことによって正極活物質間の導電性が低下するという当初の課題の解決には直結しない。さらにこれらの課題は、個々のセル毎に容量や温度環境が異なるという組電池特有の条件によ
って助長される傾向がある。
本発明は上記課題に基づいてなされたものであり、過放電を含むサイクルを繰り返しても導電ネットワークが強固に保持できる、耐過放電性が高いアルカリ蓄電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のアルカリ蓄電池の製造方法は、水酸化ニッケルを正極活物質とし、コバルト化合物に被覆された水酸化ニッケルに導電助剤として金属コバルトを添加して正極を作製する第1の工程と、正負極およびセパレータとで電極群を構成する第2の工程と、この電極群および電解液を電槽に収容して電池体を構成する第3の工程と、電池体を2〜20時間率の電流にて正極理論容量の120〜170%になるまで初期充電する第4の工程とからなることを特徴とする。
第1の工程において活物質をコバルト化合物で被覆するだけでなく、導電助剤として金属コバルトを添加することにより、過放電時に活物質を被覆しているコバルト化合物がアルカリ電解液へ溶出しても、新たに金属コバルトが正極の導電ネットーワークを構成する働きを有する。また第4の工程における初期充電条件を上述の範囲内とすることにより、導電ネットワークの構築が活物質を被覆したコバルト化合物のみでなされるので、金属コバルトを従来目的である過放電時のリザーブとして備蓄する(初期充電時の酸化を防ぐ)ことが可能となる。
本発明により、主にハイパワー用途で組電池を構成した際に顕著化する、過放電の繰返しによる劣化が解消できるので、耐性の高いアルカリ蓄電池の提供が可能となる。
以下に、本発明の最良の形態に関して詳細に説明する。
請求項1に記載の発明は、水酸化ニッケルを正極活物質とし、コバルト化合物に被覆された水酸化ニッケルに導電助剤として金属コバルトを添加して正極を作製する第1の工程と、正負極およびセパレータとで電極群を構成する第2の工程と、この電極群および電解液を電槽に収容して電池体を構成する第3の工程と、電池体を電池体を2〜20時間率の電流にて正極理論容量の120〜170%になるまで初期充電する第4の工程とからなることを特徴とする。
第1の工程において添加した金属コバルトは導電助剤であって、上述したように過放電時に活物質を被覆しているコバルト化合物がアルカリ電解液へ溶出しても、新たに正極の導電ネットーワークを構成する働きを有する。ただし金属コバルトを当初目的どおりに活用するためには、第4の工程における初期充電条件を理論容量当り2〜20時間率の電流にて充電深度が120〜170%になるまでにコントロールする必要がある。初期充電の電流値が大きすぎる場合は導電ネットワークが疎な構造となるので電池特性が低下し、電流値が小さすぎる場合は初期充電に長時間を要するので生産性が大きく低下する。また充電深度が浅すぎる場合は導電ネットワークが不十分なために電池特性が低下し、充電深度が深すぎる場合は過放電時のリザーブとして備蓄すべき金属コバルトが酸化され、過放電時にその効果を発揮できなくなる。
請求項2に記載の発明は、請求項1の記載内容を前提として、第1の工程におけるコバルト化合物の被覆量が水酸化ニッケルに対し2〜15重量部であることを特徴とする。コバルト化合物の被覆量が過少であると初期充電後に十分な導電ネットワークを形成できな
い一方、過多であると正極内の空隙が減少することによる不具合(内圧上昇による弁作動など)が発生する。請求項2の構成にすることにより、正極の導電ネットワークと容量の双方を確保することができる。なおここで「コバルト化合物」とは、初期充電により導電性の高いオキシ水酸化コバルトを形成可能な化合物のことであって、具体的には水酸化コバルトおよび酸化コバルトなどのことを指す。
請求項3に記載の発明は、請求項1の記載内容を前提として、第1の工程における金属コバルト化合物の添加量が水酸化ニッケルに対し0.5〜7重量部であることを特徴とする。金属コバルトの添加量が過少であると過放電後に十分な導電ネットワークを回復できない一方、過多であると余剰のコバルト化合物による化学的微小短絡が発生する。請求項3の構成にすることにより、正極の過放電後の導電ネットワークと容量の双方を確保することができる。
本発明の主構成要素について、図を用いて説明する。
図1は本発明のアルカリ蓄電池の模式断面図である。負極1と正極2の間にセパレータ3を介して渦巻き状に捲回し、高度に緊縛された電極群が構成される。負極1の端部に平板状の負極集電体4を溶接接続するとともに、正極2の端部に正極集電体5を接続した後、電極群を有底円筒形の金属外装缶6に挿入する。負極集電体4を金属外装缶6の底部に溶接した後、正極集電体5から延出するリード板7を、外部端子9とゴム弁体10からなる安全弁の機構を備える封口板の底部に溶接する。その後、6〜8Mの水酸化カリウムを主体とするアルカリ電解液を注入し、絶縁製のガスケット8を介して封口板を外装缶の開口部にかしめることで作製した電池体に、本発明の初期充電を施すことにより、ニッケル水素蓄電池に代表されるアルカリ蓄電池を作製する。
負極1は、ニッケルカドミウム蓄電池の場合は酸化カドミウムを含む負極合剤を、一方、ニッケル水素蓄電池の場合は水素吸蔵合金を含む負極合剤を、各々Niメッキを施した鉄製のパンチングメタルに塗着した後、乾燥し、加圧成形することで得られる。
これら負極合剤には結着剤として、有機樹脂系の結着剤であれば良く、特に耐アルカリ性、耐酸化性等を有する有機樹脂系結着剤が好ましい。その具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブチレン共重合体(SBR)などを挙げることができる。また導電剤として、ニッケル粉末、カーボンブラック粉末、グラファイト粉末などを用いることができる。これらの導電剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。導電剤の粒子形状については特に限定されず、例えば球状、フレーク状、繊維状、針状などのいずれであっても良い。
正極2は、ニッケルカドミウム電池・ニッケル水素蓄電池ともに水酸化ニッケルを含む正極合剤を活用する。まず活物質は、主成分として球状水酸化ニッケル粒子を用いる。球状水酸化ニッケル粒子は、β型の結晶構造(CdI2構造)を有しており、公知の反応晶析法により、少量のコバルト、亜鉛、マグネシウム等の元素を含有する固溶体として得ることができる。本発明において、固溶体中のNi以外の金属元素の量は、全金属元素の2〜10モル%であることが好ましい。本発明で用いる水酸化ニッケル粒子は、コバルト酸化物からなる表面層を有する。前記コバルト酸化物としては、コバルトの価数が2.0以上のコバルト酸化物および水酸化コバルトを用いることができる。なかでも水酸化コバルトやコバルトの価数が2.0を超えるコバルト酸化物が好ましく、コバルトの価数が3.0を超えるコバルト酸化物(γ−オキシ水酸化コバルト等)が、過放電により還元されにくいことから、もっとも好ましい。
コバルトの価数が3.0を超えるコバルト酸化物からなる表面層を有する水酸化ニッケ
ル粒子は、以下のようにして得ることができる。まず、水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの表面層を形成する。次いで、その表面をアルカリ水溶液で湿潤させる。そして、マイクロ波照射を主とした加熱を行いつつ、粒子を熱風で乾燥させれば、コバルトの価数が3.0を超えるコバルト酸化物からなる表面層を有する水酸化ニッケル粒子を得ることができる。
上記方法は、特開平11−97008号公報および米国特許第6,083,642号に開示されている。上記のように激しい酸化条件による処理を経て得られた粒子の表面層は、価数の高いコバルトを含む酸化物で構成されており、過放電による損傷を受けにくく、長期に渡って導電ネットワークが維持される。
ここで、表面層を形成するコバルト酸化物の量は、水酸化ニッケル100重量部あたり、2〜15重量部とすることが好ましい。
上記方法にて得られた、コバルトの価数が3.0を超えるコバルト酸化物からなる表面層を有する水酸化ニッケル粒子に、金属コバルトを添加した合剤を高多孔度のニッケル製発泡状ニッケルシートなどに充填した後、乾燥し、加圧成形することで水酸化ニッケル正極を得ることができる。なお、結着剤については、上述した負極に準じて採用できる。
セパレータ3は、ポリプロピレンなどのポリオレフィンからなる不織布を用いることができる。なおこの不織布は、電解液との親和性を高めるためにスルホン化処理等がなされているのが好ましい。また、ナイロンなどのポリアミドからなる不繊布を用いることもできる。
電解液は、KOHとNaOHとLiOHとを適宜混合して溶解させた水溶液を用いることができる。
以下に、本発明の実施例を示す。
(実施例1)
特開平11−97008号公報に基づいて作製した、コバルトの価数が3.0を超えるコバルト酸化物からなる表面層を有する水酸化ニッケル100重量部に対して、コバルト酸化物被覆重量7重量部、金属コバルト粉末3.5重量部、酸化亜鉛粉末1重量部とを混合して正極合剤を作製し、これを高多孔度のニッケル製発泡状ニッケルシートに充填した。このシートを乾燥・加圧成形した後に、所定のサイズに切断し、理論容量(正極の理論容量に同じ)が2.6Ahのニッケル正極を作製した。
この正極の理論容量に対して1.5倍の負極容量を有する水素吸蔵合金を使用した負極の間に、スルホン化処理がなされたポリプロピレン製不織布のセパレータを渦巻き状に捲回して電極群を作製し、正・負極側からそれぞれ集電体を取り付け、電解液を所定量注入し、安全弁を有した封口板にて上部をかしめることで電池体を作製した。
この電池体を25℃の雰囲気下で24時間保管した後、正極理論容量に対して10時間率の充電レートにて150%に達するまで初期充電を行った。このようにして作製したニッケル水素蓄電池を、実施例1の電池とする。
(実施例2〜3)
実施例1に対し、初期充電レートを20および2時間率にした以外は、実施例1と同様に作製した電池を、実施例2および3の電池とする。
(実施例4〜5)
実施例1に対し、正極理論容量に対して120および170%に達するまで初期充電を行った以外は、実施例1と同様に作製した電池を、実施例4および5の電池とする。
(実施例6〜9)
実施例1に対し、コバルトの価数が3.0を超えるコバルト酸化物の被覆量を、水酸化ニッケル100重量部に対し1、2、15および17重量部にした以外は実施例1と同様に作製した電池を、実施例6〜9の電池とする。
(実施例10〜13)
実施例1に対し、水酸化ニッケル100重量部に対する金属コバルト粉末の添加量をそれぞれ0.1、0.5、7および10重量部にした以外は実施例1と同様に作製した電池を、実施例10〜13の電池とする。
(比較例1)
実施例1に対し、金属コバルト粉末を添加していない以外は実施例1と同様に作製した電池を、比較例1の電池とする。
(比較例2〜3)
実施例1に対し、初期充電レートを100および1.25時間率にした以外は、実施例1と同様に作製した電池を、比較例2および3の電池とする。
(比較例4〜5)
実施例1に対し、正極理論容量に対して110および170%に達するまで初期充電を行にした以外は、実施例1と同様に作製した電池を、比較例4および5の電池とする。
以上の各電池を用い、最高到達電圧から10mV低下した時点で充電を停止する制御方式にて1時間率にて充電を行った後、1時間休止した。その後、0.3時間率の電流にて0Vに達するまで放電した後、1時間率の電流にて0Vに達するまで放電し、最後に0.3時間率の電流で20秒間の放電を行うといったステップ型の過放電を実施した。
この充放電を、25℃雰囲気下にて放電容量が正極理論容量の60%に達するまで繰り返した。充放電を繰り返したサイクル数を、耐過放電性の尺度として(表1)に示す。ここで「放電容量」とは、上述した放電の1ステップ目(0.3時間率放電)において放電電圧が0.8Vに達した時間より算出した。
第1の工程において金属コバルトを全く含まないニッケル水素蓄電池(比較例1)は、耐過放電性が著しく低下している。これはこの電池が過放電に陥った時に、短時間ながら正極の電位が正極活物質間の導電ネットワークを形成するβ−オキシ水酸化コバルトの平衡電位(3価/2価)よりも低くなり、β−オキシ水酸化コバルトがアルカリに可溶なHCoO2 -に還元されて溶解し、導電ネットワークが局所的に破壊されたためと考えられる。
これに対し第1の工程において金属コバルトを添加した本発明の各実施例は、良好な耐過放電性を示している。これは過放電により正極内の導電性ネットワークが破壊されても、備蓄した金属コバルトの効果によって次の充電時に導電性ネットワークの再構築が行われたためと考えられる。その一例として、実施例1および11と比較例1との耐過放電性の差異を図2に示す。
この金属コバルト添加のメカニズムは次のように考えられる。すなわち初期充電を行った時に、2価のコバルト化合物は比較的容易に酸化され、β−オキシ水酸化コバルトへ変化することが知られている。しかし金属コバルトは粒子表面から粒子中心部へ酸化反応が進行していく過程で、表面のオキシ水酸化コバルト層によって内部への酸化反応が阻害される。このことで、金属コバルト粒子は表面にオキシ水酸化コバルト層を有し、内部には金属コバルトが未反応のまま保持された形態になる。ここで電池が過放電してコバルトによる導電性ネットワークが崩壊した場合、添加備蓄した金属コバルト(特に酸化されずに金属コバルトとして残った粒子内部)が過放電時のリザーブとして作用するとともに電解液中へ一部溶出してコバルト錯イオンとなり、電池が充電された時にこの錯イオンが正極上で酸化されて、導電性ネットワークが再構築されたと考えられる。
ただし過放電時のリザーブとして作用する金属コバルトの添加量が少ない実施例10は、耐過放電性がやや低下した。また金属コバルトが多い実施例13は、過放電寿命試験の途中で化学的微小短絡が発生し、寿命特性が若干低下した。よって金属コバルトの好適範囲は、水酸化ニッケル100重量部に対し0.5〜7重量部である。
第4の工程における初期充電の電流値が高い比較例3は、オキシ水酸化コバルトによる導電ネットワークの形成が不十分であり、結果として正極の利用率低下を招き、所定の電池容量を得ることが出来なかったため、寿命に至るサイクル数が極端に少なくなった。一方、初期充電の電流値が低い比較例2は、オキシ水酸化コバルトによる導電ネットワークの形成が過剰となり、過放電時のリザーブとして備蓄すべき金属コバルトが著しく減少してしまったことから、良好な耐過放電性を得ることができなかった。このことから初期充電の電流値は、正極理論容量当り2〜20時間率とすべきことがわかる。
コバルト化合物の被覆量が少ない実施例6は、導電ネットワークの形成量が少なく、結果として正極の利用率低下を招いたため、寿命に至るサイクル数が少なくなった。逆にコバルト化合物の被覆量が多い実施例9は、正極内の空隙が少なくなった。その結果、過放電時に発生したガス(電解液中の水が電気分解されて発生する水素、酸素)によって内圧が上昇し、電池上部に設けた安全弁が作動し、電池外部へ電解液が漏出したことによる容量低下が起こった。よってコバルト化合物の好適範囲は、水酸化ニッケル100重量部に対し2〜15重量部である。
第4の工程における初期充電の充電深度が120〜170%における実施例については、いずれの場合も良好な耐過放電寿命特性を得ることができた。ところが充電深度が過小な比較例4は、オキシ水酸化コバルトによる導電ネットワークの形成が不十分であり、正極の利用率低下を招き、所定の電池容量を得ることが出来なかったため、寿命に至るサイクルが低くなった。他方、充電深度が過大な比較例5は、逆にオキシ水酸化コバルトによる導電ネットワークの形成が十分におきるため、過放電時のリザーブとして作用する金属コバルトが著しく減少してしまったことから、良好な耐過放電性を得ることができなかった。このことから初期充電の充電深度は120〜170%とすべきことがわかる。
本発明にかかる製造方法は、ニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル水素蓄電池などのアルカリ蓄電池用正極に用いる金属コバルトの添加効果を高めて耐過放電性を向上させることが可能であり、特に電動工具、アシスト自転車、コードレス掃除機などの電源としての利用可能性は高く、その効果は大きい。
本発明によるアルカリ蓄電池の構造を示す模式断面図 本発明の実施例および比較例の蓄電池の耐過放電性を示す特性図
符号の説明
1 負極
2 正極
3 セパレータ
4 負極集電体
5 正極集電体
6 金属外装缶
7 リード板
8 ガスケット
9 外部端子
10 ゴム弁体

Claims (3)

  1. 水酸化ニッケルを正極活物質とするアルカリ蓄電池の製造方法であって、
    コバルト化合物に被覆された前記水酸化ニッケルに、導電助剤として金属コバルトを添加して正極を作製する第1の工程と、
    前記正極と、負極と、セパレータとで電極群を構成する第2の工程と、
    前記電極群および電解液を電槽に収容して電池体を構成する第3の工程と、
    この電池体を正極理論容量当り2〜20時間率の電流にて充電深度が120〜170%になるまで初期充電する第4の工程とからなる、アルカリ蓄電池の製造方法。
  2. 前記第1の工程におけるコバルト化合物の被覆量が、前記水酸化ニッケル100重量部に対し2〜15重量部である、請求項1記載のアルカリ蓄電池の製造方法。
  3. 前記第1の工程における金属コバルト化合物の添加量が、前記水酸化ニッケル100重量部に対し0.5〜7重量部である、請求項1記載のアルカリ蓄電池の製造方法。
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