JP2016008348A - ガス放出ユニット及びこれを具備する成膜装置 - Google Patents

ガス放出ユニット及びこれを具備する成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 複数のガス放出孔から反応性ガスを均一に放出することが可能なガス放出ユニットを提供する。【解決手段】 両端部が封止された複数のパイプが各々の壁部に設けられた開口部を介して順次連通されてなるガス放出ユニットであって、例えば3本からなるパイプ61〜63では、最も上流側のパイプ61の長手方向中央部に設けられた開口部61aから受け入れたガスを、隣接する互いに平行なパイプ同士を連通する複数の開口部を介して順次下流側のパイプ内に放出した後、最も下流側のパイプ63に設けられた複数の開口部63bから放出するように構成されており、各パイプに設けられたこれら複数の開口部は上記長手方向中央部を通り該長手方向に垂直な面に関して対称に配されており、且つこれら複数の開口部のうち放出側の複数の開口部の数及びそれらがパイプの長手方向に延在する範囲が下流側に向かうに従って増加している。【選択図】 図4

Description

本発明は、真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺基板に対して反応性スパッタリングにより連続成膜を行う成膜装置、及び該成膜装置に取り付けられる反応性ガスの放出ユニットに関するものである。
液晶パネル、ノートパソコン、携帯電話等に使用されるフレキシブル配線基板用の基材には、樹脂フィルム上に酸化物膜や窒化物膜を被覆して得られる被覆フィルム基板が用いられている。この被覆フィルム基板を高い生産性で安価に作製するため、冷却機能を備えたキャンロールの外周面にロールツーロール方式で搬送される長尺樹脂フィルムを巻き付けて裏面側から冷却しながらスパッタリング成膜を行うスパッタリングウェブコータが採用されている。かかるスパッタリングウェブコータでは、キャンロールの外周面に対向して配置したスパッタリングカソードに種々の材料のターゲットを装着することで所望の組成を有する被覆膜を成膜することができる。
しかし、酸化物膜を成膜するために酸化物ターゲットを使用したり、あるいは窒化物を成膜するために窒化物ターゲットを使用したりすると成膜速度が遅くなって生産性が低下することがあった。そこで特許文献1では、高速成膜が可能な金属ターゲットを採用し、反応性ガスを制御しながら導入することでスパッタリング成膜を行う方法が提案されている。また、特許文献2には、反応性ガスを真空チャンバー内に導入するガス放出パイプに対して、内径の異なる複数の孔を周方向に備えたスリーブを外嵌することにより反応性ガスの放出量を簡易に調整する技術が記載されている。
特許5347542号 特許4196138号
上記した反応性ガスを導入しながらスパッタリング成膜を行ういわゆる反応性スパッタリング成膜をスパッタリングウェブコータで行う場合は、各スパッタリングカソードの近傍に1本のガス放出パイプを搬送経路上のフィルムの幅方向に延在するように配置し、その長手方向に沿って配設された複数のガス放出孔から反応性ガスを放出することが行われている。
しかしながら、かかる構造のガス放出パイプでは、ガス放出パイプの長手方向に沿って設けた多数のガス放出孔のうち、上流側のガス放出孔から多量のガスが放出され、下流側のガス放出孔からほとんどガスが放出されないことがあった。このように、ガス放出孔からのガスの放出量にばらつきが生じると反応性ガスの分布が不均一になってフィルムの幅方向の反応の進行度に差が生じ、当該フィルムに成膜した被覆膜の酸化度や窒化度が幅方向において不均質になることがあった。
本発明は上記した従来の問題点に着目してなされたものであり、真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺基板に対して均質に反応性スパッタリング成膜を行うべく、複数のガス放出孔から反応ガスを均一に放出することが可能なガス放出ユニット及びこれを備えた成膜装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係るガス放出ユニットは、両端部が封止された少なくとも3本のパイプが各々の壁部に設けられた開口部を介して順次連通されてなる、反応性スパッタリングのチャンバー内における反応性ガス放出用のガス放出ユニットであって、前記少なくとも3本のパイプは、最も上流側のパイプの長手方向中央部に設けられた開口部から受け入れた反応性ガスを、隣接する互いに平行なパイプ同士を連通する複数の開口部を介して順次下流側のパイプ内に放出した後、最も下流側のパイプに設けられた複数の開口部から前記チャンバー内に放出するように構成されており、各パイプに設けられた前記複数の開口部は前記長手方向中央部を通り該長手方向に垂直な面に関して対称に配されており、且つこれら複数の開口部のうち放出側の複数の開口部の数及びそれらがパイプの長手方向に延在する範囲が下流側に向かうに従って増加していることを特徴としている。
本発明によれば、ロールツーロール方式で搬送されるフィルムに対してその幅方向に均質に反応性スパッタリング成膜を行うことが可能になる。
本発明のガス放出ユニットを備えた反応性スパッタリングによる長尺樹脂フィルムの成膜装置の一具体例を示す模式的な正面図である。 従来のガス放出パイプを示す斜視図である。 従来のガス放出パイプを示す斜視図である。 本発明のガス放出ユニットの一具体例を示す斜視図(a)及び分解斜視図(b)である。 本発明のガス放出ユニットの他の具体例を示す斜視図である。 ガス放出ユニットに設けられたガス放出孔の位置とそれに対向する位置で反応性スパッタリングにより成膜されたSiO膜の透過率との関係を示すグラフである。 比較例のガス放出ユニットに設けられたガス放出孔の位置とそれに対向する位置で反応性スパッタリングにより成膜されたSiO膜の透過率との関係を示すグラフである。 比較例のガス放出ユニットに設けられたガス放出孔の位置とそれに対向する位置で反応性スパッタリングにより成膜されたSiO膜の膜厚との関係を示すグラフである。
以下、本発明のガス放出ユニットおよびこれを具備する長尺基板の処理装置の一具体例について図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、本発明のガス放出ユニットを具備する長尺基板の処理装置の一具体例として、図1に示す長尺樹脂フィルムの真空成膜装置について説明する。この図1に示す長尺樹脂フィルムFの真空成膜装置10はスパッタリングウェブコータとも称される装置であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのような樹脂フィルムやポリイミドフィルムのような耐熱性樹脂フィルムなどの長尺樹脂フィルムFを真空チャンバー11内において巻出ロール12から巻取ロール24までロールツーロール方式で搬送しながらその表面に反応性スパッタリングで金属膜を連続的に成膜する場合に好適に用いられる。
具体的に説明すると、真空チャンバー11内は、スパッタリング成膜のため、到達圧力10−4Pa程度までの減圧と、その後のスパッタリングガスの導入による0.1〜10Pa程度の圧力調整が行われる。スパッタリングガスにはアルゴンなど公知のガスが使用され、さらに酸素若しくは窒素又はこれら両方を含んだ反応性ガスが後述するガス放出ユニットを介して導入される。真空チャンバー11の形状や材質は、このような減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく、種々のものを使用することができる。上記したように真空チャンバー11内を減圧してその状態を維持するため、真空チャンバー11には図示しないドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の装置が具備されている。
この真空チャンバー11内に巻出ロール12から巻き出されてキャンロール16を経由し、巻取ロール24で巻き取られる長尺樹脂フィルムFの搬送経路を画定する各種ロールが配置されている。巻出ロール12からキャンロール16までの搬送経路には、長尺樹脂フィルムFを案内するフリーロール13、長尺樹脂フィルムFの張力の測定を行う張力センサロール14、及び張力センサロール14から送り出される長尺樹脂フィルムFをキャンロール16の外周面に密着させるべくキャンロール16の周速度に対する調整が行われるモータ駆動の前フィードロール15がこの順で配置されている。
キャンロール16から巻取ロール24までの搬送経路も、上記同様に、キャンロール16の周速度に対する調整が行われるモータ駆動の後フィードロール21、長尺樹脂フィルムFの張力の測定を行う張力センサロール22、および長尺樹脂フィルムFを案内するフリーロール23がこの順に配置されている。上記の巻出ロール12及び巻取ロール24では、パウダークラッチ等によるトルク制御によって長尺樹脂フィルムFの張力バランスが保たれている。また、キャンロール16はモータで回転駆動され、真空チャンバー11の外部で温調された冷媒が内部を循環している。
キャンロール16の外周面で画定される長尺樹脂フィルムFが巻き付けられる図1の角度Aの範囲に該当する領域(ラップ領域とも称される)に対向する位置には、成膜手段としてのマグネトロンスパッタリングカソード17、18、19および20がこの順に搬送経路に沿って設けられている。各マグネトロンスパッタリングカソードは、キャンロール16の外周面に対向する面に板状のターゲットを装着している。なお、上記した板状のターゲットを用いた場合に発生しやすいターゲット上のノジュール(異物の成長)が問題になる場合は、ノジュールの発生がなく、ターゲットの使用効率も高い円筒形のロータリーターゲットを使用してもよい。真空チャンバー11内にはターゲットから叩き出されたスパッタリング粒子が所定の進行経路を外れて巻出ロール等に向かうのを防止するため、遮蔽板25が設けられている。
各マグネトロンスパッタリングカソードは、長尺樹脂フィルムFの搬送方向における上流側端部及び下流側端部に各々長尺樹脂フィルムFの搬送経路の幅方向に延在するガス放出ユニット30が設置されており、ここからスパッタリング成膜のための反応性ガスが制御されながら導入される。これにより、酸化物膜や窒化物膜を成膜する際、マグネトロンスパッタリングカソードのターゲットに成膜速度が遅い酸化物ターゲットや窒化物ターゲットを使用する必要がなくなり、高速成膜が可能な金属ターゲットを採用することができる。
なお、ガス放出ユニットから放出させる反応性ガスは、一般に以下の4つの方法で制御を行うことができる。
(1)一定流量の反応性ガスを放出する(流量制御)
(2)一定圧力を保つように反応性ガスを放出する(圧力制御)
(3)スパッタリングカソードのインピーダンスが一定になるように反応性ガスを放出する(インピーダンス制御)
(4)スパッタリングのプラズマ強度が一定になるように反応性ガスを放出する(プラズマエミッション制御)
ところで、上記したガス放出ユニット30に、図2に示すように、末端が封止され且つ孔径0.3mm程度の複数のガス放出孔40aがカソードの幅方向の端から端までに対応する範囲内に略均等な間隔をあけて一列に配設されたガス放出パイプ40を用いる場合があるが、これらガス放出孔40aの数やそれらの開口面積がガス放出量に対して適切でないと、これら複数のガス放出孔40aののうち下流側よりも上流側に位置するものから多くのガスが放出され、その結果、この上流側のガス放出孔に対向するフィルムの領域において下流側のガス放出孔に対向するフィルムの領域よりも反応が進んで被覆膜の品質にばらつきが生じることがあった。
この対策として、図3に示すような2重管型のガス放出パイプを用いることがある。この図3に示す2重管型ガス放出パイプは、末端が封止された外管パイプ50の内側に末端が封止された内管パイプ51を挿入した構造を有しており、外管パイプ50にはカソードの幅方向の端から端に対応する範囲に複数の孔径0.3mm程度のガス放出孔50aが均等な間隔をあけて一列に配設されており、内管パイプ51には上記ガス放出孔50aの端から端までの範囲より狭い範囲内に複数のガス放出孔51aが配設されている。
このような2重管構造は、複数のガス放出孔からのガス放出量をある程度均一化することができるが、内管パイプの一端部からガスを導入するため依然として下流側よりも上流側のガス放出孔から放出されるガス量が若干多いという問題をかかえている。また、複数のガス放出孔からのガス放出量にばらつきが生じるのを防ぐため、内管パイプの外周面と外管パイプの内周面とを適度に離間させた状態で互いに平行に配置する必要があり、内管パイプにあまり細いパイプを使用することができないこともあって、かなり大きな外管パイプを用いることが必要となる。そのため、スペースに制約のある装置にはこのような2重管構造さらにはより均一なガス放出が期待できる3重管構造のガス放出パイプは設置できないことがあった。
そこで、本発明の一具体例においては、両端部が封止された少なくとも3本のパイプが各々の壁部に設けられた開口部を介して順次連通されたガス放出ユニットを用いている。具体的には、図4(a)及び図4(b)に示すように、この本発明の一具体例のガス放出ユニットは、両端部が封止された例えば3本のパイプ61、62、63が、一平面上で互いに平行に且つこれらの延在方向に垂直な面に関して全体として対称となるように組み合わされている。
これら3本のパイプのうち最も上流側に位置する第1分配パイプ61は、その長手方向中央部に1個のガス導入孔61aが穿設されており、ここに反応性ガスを導入する導入管60の先端部60aが接続している。導入管60の先端部60aにはガス導入孔61aよりも開口面積が小さいガス放出孔60bが設けられており、このガス放出孔60bが導入管60から第1分配パイプ61に導入される反応性ガスの流量を制限する開口部になっている。第1分配パイプ61には、更にその長手方向中央部を通り該長手方向に垂直な面に関して対称な位置に2個のガス放出孔61bが穿設されている。各ガス放出孔61bの開口面積は、導入管60のガス放出孔60bの開口面積よりも小さくなっている。また、これら2個のガス放出孔61bの合計孔面積は、ガス放出孔60bの孔面積よりも広くなっている。
上流から2番目の第2分配パイプ62には、前述した第1分配パイプ61の2個のガス放出孔61bに対向する位置に、それぞれガス放出孔61bよりも開口面積が大きい2個のガス導入孔62aが設けられている。そのため、ガス分配パイプ61側のガス放出孔61bが第1分配パイプ61から第2分配パイプ62に導入される反応性ガスの流量を制限する開口部になっている。第2分配パイプ62には、更に長手方向中央部の1個及び該長手方向中央部を通り該長手方向に垂直な面に関して対称な位置の2個からなる合計3個のガス放出孔62bが設けられている。
これら3個のガス放出孔62bは、隣接するもの同士のピッチが2つのガス接続孔62aのピッチと略同等に配設されている。各ガス放出孔62bの開口面積は、各ガス放出孔61bの開口面積よりも小さくなっている。また、これら3個のガス放出孔62bの合計孔面積は、第1分配パイプ61の2個のガス放出孔61bの合計孔面積よりも広くなっている。これにより、第2分配パイプ62から放出されるガスは、第1分配パイプ61に比べてより幅広く且つ均等に放出されることなる。
最も下流側に位置する第3分配パイプ63には、前述した第2分配パイプ62の3個のガス放出孔62bに対向する位置に、ガス放出孔62bよりも孔面積が大きいガス導入孔63aが3個設けられている。そのため、第2分配パイプ62側のガス放出孔62bが第2分配パイプ62から第3分配パイプ63に導入される反応性ガスの流量を制限する開口部になっている。第3分配パイプ63には、更にその長手方向中央部を通り該長手方向に垂直な面に関して対称な位置に11個のガス放出孔63bが該長手方向に沿って略均等な間隔をあけて一列に設けられている。
これら複数のガス放出孔63bは、隣接するもの同士のピッチが隣接するガス導入孔63a同士のピッチよりも狭くなっているが、それらが第3分配パイプ63の長手方向に端から端まで延在する範囲はガス導入孔63aよりも広範囲に配設されている。各ガス放出孔63bの開口面積は、各ガス放出孔62bの開口面積よりも小さくなっている。また、これら11個のガス放出孔63bの合計孔面積は、第2分配パイプ62の3個のガス放出孔62bの合計孔面積よりも広くなっている。これにより、第3分配パイプ63から放出されるガスは、第2分配パイプ62に比べてより幅広く且つ均等に放出されることになる。
なお、ガス放出ユニットの真空チャンバー内の反応性ガスを放出する第3分配パイプ63のガス放出孔63bの孔径は0.5mm以下であることが望ましい。このサイズを超えると第2分配パイプ62においてガス放出孔63b近傍に位置するガス放出孔62bからのガス放出量が多くなる恐れがあるからである。また、各分配パイプでは複数のガス放出孔の合計開口面積よりも分配パイプの長手方向に垂直な面での断面積が小さいことが好ましい。
上記した構成のガス放出ユニットを採用することにより、最も上流側の第1分配パイプ61の長手方向中央部に穿設されたガス導入孔61aから導入された反応性ガスを、隣接するパイプ同士を連通する複数の開口部を介して順次下流側のパイプに送った後、最も下流側の第3分配パイプ63に穿設された複数のガス放出孔63bからチャンバー内の均等に放出させることが可能になる。これは、各分配パイプにおいて複数のガス放出孔の合計面積を後段の分配パイプの複数のガス放出孔の合計面積を超えないようにすることで、当該後段への反応性ガスの放出の際のガス流速を速くすることができ、これにより隣接する分配パイプ同士を連通する複数の開口部での差圧を高めて各分配パイプ内の圧力分布をより均一にすることが可能になるからである。
このように、本発明の一具体例のガス放出ユニットは、複数の放出孔からチャンバー内に均等に反応性ガスを放出させることができる。また、二重管や三重管を使用することなく一般的なパイプを使用することができるので、スリムな形状にでき、よってスペースに制限のあるチャンバー空間にも容易に取り付けることができる。なお、本発明の一具体例のガス放出ユニットは、幅10cm以上の長尺物の場合に特に顕著な効果が得られる。
上記した構造のガス放出ユニットは、一般的な方法で作製することができる。例えば、第1分配パイプ61、第2分配パイプ62、及び第3分配パイプ63の各々にドリルやレーザーを用いて所望の孔径及び数量のガス導入孔及びガス放出孔を穿孔した後、隣接する分配パイプ同士をTIG溶接(タングステン不活性ガス溶接)、レーザー溶接、電子ビーム溶接等で接合し、最後に第1分配パイプ61に導入管60の接続部60aを溶接等で接合すればよい。ガス導入孔及びガス放出孔を穿孔する際は、前述したように分配パイプのガス放出孔よりもこれに対向するガス導入孔のサイズを大きくするか、あるいはその逆にするのが好ましい。これにより、接合の際の位置合わせが容易になる。
次に、本発明のガス放出ユニットの他の具体例について図5を参照しながら説明する。この図5に示すガス放出ユニットは、導入管70及びその接続部70a、第1分配パイプ71、第2分配パイプ72、及びガス放出孔73bが穿設された第3分配パイプ73については上記した一具体例のガス放出ユニットと同様であるが、隣接する分配パイプ同士を連通させる開口部に接続管74が設けられている点が異なっている。このように、隣接する分配パイプ同士を接続管74を介して接続する構造は、3重管と同様の均質なガス分布が期待できる。この場合、接続管74の太さを分配パイプの太さ以下にすることで、図4に示すガス放出ユニット同様、スペースに制約のある場所に設置することができる。また、各接続管74の長さを、これにより連通される両分配パイプのうちいずれか細い方のパイプの太さ以下にするのが好ましい。
以上、本発明のガス放出ユニットについて複数の具体例を挙げて説明したが、本発明はこれら具体例に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で種々の変形例や代替例を考慮することができる。例えば、ガス放出ユニットは各カソードの上流側端部または下流側端部にのみ設けてもよい。また、ガス接続孔やガス放出孔の形状は加工性の観点からは円が好ましいが、正方形等の多角形あってもよい。更に、各分配パイプの形状はその長手方向に垂直な断面での断面形状が図4や図5に示すような矩形等の多角形に限定されるものではなく、一般的な円管でも構わない。
[実施例]
図1に示すような成膜装置(スパッタリングウェブコータ)を用いて反応性スパッタリング成膜を行った。具体的に説明すると、キャンロール16には直径600mm、幅750mmのステンレス製のロールを使用し、その外周面にハードクロムめっきを施した。前フィードロール15と後フィードロール21には直径150mm、幅750mmのステンレス製のロールを使用し、その外周面にハードクロムめっきを施した。キャンロール16は内部を循環する冷媒で0℃に冷却制御した。
カソード17〜20にはSiCターゲット(旭硝子セラミックス製)を装着し、カソード17と18との対、及び19と20との対は各々1対のデュアルマグネトロンカソードとし、デュアルマグネトロン電源に接続した。SiCターゲットを用いた反応性スパッタによって成膜されるSiO膜は、反応性ガスがスパッタ粒子と結合しやすいので反応性ガスの分布を評価するのに適した材料である。
これらカソード17、18、19、20の各々の上流側及び下流側に、ガス放出ユニット30を設置した。各ガス放出ユニットには、図4に示すようなガス放出ユニットを採用し、導入管60には1/4インチ、長さ400mmのパイプを使用した。この導入管60の端部に設けた接続部60a、及びガス放出ユニットを構成する両端が封止された第1〜第3分配パイプ61〜63の具体的な構造を下記表1に示す。第3分配パイプ63のガス放出孔63bの孔ピッチは20mmとし、それ以外の孔ピッチは全て200mmとした。
Figure 2016008348
成膜を行う基板には、SiO膜と屈折率がほぼ等しい厚さ50μmの薄い石英基板を用い、これを100mm間隔でキャンロ−ル16の外周面に直接張り付けた。これは、SiO膜と基板との屈折率差を無くし、膜厚に依存する干渉効果を低減するための配慮である。この状態で、先ず真空チャンバー10を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10−3Paまで排気した。そして、アルゴンガスを300sccm導入し、各カソードへの印加電力を20kWとして電力制御で成膜を行った。そして、ガス放出ユニットに反応性ガスとして酸素を500sccm導入して、SiO膜を成膜した。
[比較例1]
図4のガス放出ユニットに代えて、図2に示すような末端が封止された1/4インチ×800mmのパイプ40に、孔径0.2mmのガス放出孔40aを孔ピッチ20mmで41個(合計面積:1.29mm)穿設したものからなる単管型のガス放出パイプを用いた以外は上記実施例と同様にして反応性スパッタリング成膜を行った。
[比較例2]
図4のガス放出ユニットに代えて、図3に示すような、末端が封止された1/2インチ×800mmの外管パイプ50に孔径0.2mmのガス放出孔50aを孔ピッチ20mmで41個(合計面積:1.29mm)穿設したものの内側に、末端が封止された1/4インチ×900mmの内管パイプ51に孔径0.7mmのガス放出孔51aを孔ピッチ200mmで3個(合計面積:1.15mm)穿設したものを挿入した構造の2重管型のガス放出パイプを用いた以外は上記実施例と同様にして反応性スパッタリング成膜を行った。
[評価]
上記した実施例、比較例1及び比較例2のガス放出ユニットの各々について、チャンバー内に反応性ガスを放出する各ガス放出孔の孔位置、及びこれに対向する部分において成膜されたSiO膜の波長550nmにおける透過率との関係を図6に示す。ここで横軸の孔位置0mmが第3分配パイプ63に設けられたガス放出孔63bのうち最も上流側のガス放出孔の位置に該当する。SiO膜は完全に酸化すると透明になるので、透過率の高さが酸化の度合いの指標となる。この図6の結果から、実施例、比較例2、及び比較例1の順に下流側のガス放出孔に対応する位置での透過率が高くなっている。特に、実施例では横軸の距離が増えても透過率の値はほとんど変化しておらず、反応性ガスが複数のガス放出孔から均一に放出されてことが分かる。
比較例1の反応性ガス量を増加させた場合の各ガス放出孔の孔位置及びこれに対向する部分において成膜されたSiO膜の波長550nmにおける透過率との関係を図7に示す。この図7の結果から、比較例1の構造を有するガス放出パイプであっても、反応性ガスを過剰に放出すればSiO膜をほぼ完全に酸化させて透過率分布を均一にできることが分かる。しかし、比較例1の反応性ガス量を増加させた場合の各ガス放出孔の孔位置及びこれに対向する部分において成膜されたSiO膜の波長550nmにおける膜厚の関係を示す図8から分かるように、過剰に反応性ガスを放出すれば、透過率分布は均一になるものの過剰な反応性ガスの放出によりスパッタリングの成膜速度が低下してしまい、膜厚分布が不均一になる。
10 真空成膜装置
11 真空チャンバー
12 巻出ロール
13 フリーロール
14 張力センサロール
15 フィードロール
16 キャンロール
17、18、19、20 マグネトロンスパッタリングカソード
21 フィードロール
22 張力センサロール
23 フリーロール
24 巻取ロール
25 遮蔽板
30 ガス放出ユニット
60 導入管
60a 接続部
60b ガス放出孔
61 第1分配パイプ
62 第2分配パイプ
63 第3分配パイプ
61a、62a、63a ガス導入孔
61b、62b、63b ガス放出孔

Claims (7)

  1. 両端部が封止された少なくとも3本のパイプが各々の壁部に設けられた開口部を介して順次連通されてなる、反応性スパッタリングのチャンバー内における反応性ガス放出用のガス放出ユニットであって、
    前記少なくとも3本のパイプは、最も上流側のパイプの長手方向中央部に設けられた開口部から受け入れた反応性ガスを、隣接する互いに平行なパイプ同士を連通する複数の開口部を介して順次下流側のパイプ内に放出した後、最も下流側のパイプに設けられた複数の開口部から前記チャンバー内に放出するように構成されており、各パイプに設けられた前記複数の開口部は前記長手方向中央部を通り該長手方向に垂直な面に関して対称に配されており、且つこれら複数の開口部のうち放出側の複数の開口部の数及びそれらがパイプの長手方向に延在する範囲が下流側に向かうに従って増加していることを特徴としている。
  2. 前記隣接するパイプ同士がこれらパイプのいずれか細い方のパイプ太さ以下の距離で離間していることを特徴とする、請求項1に記載のガス放出ユニット。
  3. 前記少なくとも3本のパイプの各々において、前記放出側の複数の開口部の各々の開口面積が下流側に向かうに従って減少していることを特徴とする、請求項1または2に記載のガス放出ユニット。
  4. 前記少なくとも3本のパイプの各々において、前記放出側の複数の開口部の合計開口面積が当該パイプの延在方向に垂直な面での断面積より小さいことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のガス放出ユニット。
  5. 最も下流側のパイプに設けられた前記放出側の複数の開口部の各々が孔径0.5mm以下の孔であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のガス放出ユニット。
  6. 前記少なくとも3本のパイプの各々に設けられた前記開口部のうち、前記放出側の複数の開口部の合計面積が下流側に向かうに従って増加していることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のガス放出ユニット。
  7. 真空チャンバー内で長尺基板を搬送する搬送機構と、前記長尺基板を支持部に支持した状態で成膜を行うスパッタリングカソードとを備えた成膜装置であって、前記スパッタリングカソードと前記支持部との間に設けられた反応性ガスの放出手段に請求項1から6のいずれかに記載のガス放出ユニットを用いることを特徴とする成膜装置。
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