JP2022082039A - 成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低圧環境下において、円筒状のターゲット表面にプラズマを安定して生起する。【解決手段】スパッタリング法によって成膜を行う成膜装置であって、成膜原料からなる円筒状のターゲットが設置され、前記ターゲットの円筒軸を回転軸として前記ターゲットを回転させる回転機構を備えるカソード部と、成膜に用いるガスを供給するガス供給部と、を有し、前記ガス供給部が、前記ターゲットの前記回転軸方向の端部から前記ターゲットの曲面に沿って前記ガスを供給することを特徴とする【選択図】図1
Description
本発明は、ロータリーカソードを用いてスパッタリングを行う成膜装置に関する。
近年、スパッタリング法を用いた成膜において、ターゲットの利用効率を高めるため、円筒状のカソードを回転させて成膜を行うロータリーカソードが注目されている。
特許文献1には、チャンバ内に2つの回転可能な円筒状のターゲットと、2つターゲットの間にターゲットの回転軸に沿って管状および/またはロッド状のガス供給源とを備える成膜装置が開示されている。ガス供給源は、2つのターゲットよりも被成膜基材から離れて設置されており、ガス供給源とターゲットのプラズマ発生位置との間には、ターゲットの直径程度の距離がある。
光学機器用レンズや眼鏡用レンズなどの光学部品の上に反射防止膜を形成する場合、光学設計に従って所望の屈折率を有する膜を形成するため、低圧環境下で成膜が行われる。ところが、低圧環境下で、特許文献1の装置のように、プラズマ発生位置から離れた位置から成膜に必要なガスを供給すると、ターゲットのエロ―ジョン近傍のガス密度を高くすることができず、プラズマを安定的に生起させることができない。エロ―ジョン近傍のガス密度を高くするためガスの供給量を増やすと、チャンバ内の圧力が高まり、スパッタ粒子が互いに衝突して基材到達時のエネルギーが低下し、密度の低い膜が形成されてしまう。そのため、所望の屈折率を有する膜を形成することが困難になってしまう。
本発明は、低圧環境下において、円筒状のターゲット表面にプラズマを安定して生起させることを目的とするものである。
本発明にかかる成膜装置は、スパッタリング法によって成膜を行う成膜装置であって、成膜原料からなる円筒状のターゲットが設置され、前記ターゲットの円筒軸を回転軸として前記ターゲットを回転させる回転機構を備えるカソード部と、成膜に用いるガスを供給するガス供給部と、を有し、前記ガス供給部が、前記ターゲットの前記回転軸方向の端部から前記ターゲットの曲面に沿って前記ガスを供給することを特徴とする。
本発明にかかる装置によれば、低圧環境において、円筒状のターゲット表面にプラズマを安定して生起させることが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して例示的に説明する。実施形態に記載されている各部材の寸法、材質、形状、その相対配置など、各種制御の手順、制御パラメータ、目標値などは、限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1は、反応性スパッタリングを行う成膜装置の構成例を示す図である。成膜装置は、チャンバ1内に、ターゲット(成膜原料)21が設置されるカソード部2と、被成膜基材(以下、基材と記述する)4を支持する基材支持機構5を備えている。さらに、カソード部2に電力を供給する電源6、成膜に必要なガスを供給するガス供給ライン7、チャンバ1に接続された排気装置8、成膜装置の動作を制御する制御装置9、プラズマ発光モニタ13を備えている。
図1は、反応性スパッタリングを行う成膜装置の構成例を示す図である。成膜装置は、チャンバ1内に、ターゲット(成膜原料)21が設置されるカソード部2と、被成膜基材(以下、基材と記述する)4を支持する基材支持機構5を備えている。さらに、カソード部2に電力を供給する電源6、成膜に必要なガスを供給するガス供給ライン7、チャンバ1に接続された排気装置8、成膜装置の動作を制御する制御装置9、プラズマ発光モニタ13を備えている。
基材支持機構5は、チャンバ1の天板に設置され、天板と平行に、基材4を基材ホルダ3ごと支持する構造となっており、搬送機構30によってターゲット21の上方を水平に搬送される。このような構造を採用することにより、基材4の上に均一な膜を形成することができる。
カソード部2は、不図示の駆動機構に接続されており、軸Oを中心に回転させることができる。カソード部2には、バッキングチューブの表面に成膜材料が接着された、円筒状のターゲット21が設置される。円筒状のターゲット21がカソード部に設置されたとき、軸Oとターゲット21の円筒軸とは一致する。なお。ここでいう「一致」は、完全な一致に限定するものではなく、5mm以内のずれは許容される。
カソード部2にターゲット21を設置した際、カソード部2がバッキングチューブによって覆われる領域には、軸Oを中心に回転可能なマグネットケースシャフト22が設置されている。マグネットケースシャフト22の内部には、マグネット23が設置されている。マグネット23は、極性方向を変えて配置された複数のマグネットを含んでおり、マグネット23によって、ターゲット21の表面に磁場が生成される。この磁場によって、成膜の際に生成されるプラズマがターゲット21の表面に引き付けられ、ターゲット表面から成膜材料がスパッタされるエロージョンが形成される。エロージョンがリング状に形成されるようにマグネットを配置すると、プロセスガスをイオン化するための電子をターゲット表面に留めることができ、効率よく成膜を行うことができる。以下、軸Oを回転軸Oと記述する。
カソード部2には、電源6が接続されており、プラズマを生起させるための電力がターゲット21に供給される。電力を供給する電源6には、AC電源やDCパルス電源を採用することができる。
カソード部2には、ターゲット21の表面に生起したプラズマによってターゲット表面の温度が上昇するのを抑制するため、ターゲット21を冷却するための冷却構造が設けられている。例えば、バッキングプレートとマグネットケースシャフト22との間に冷却水を流す流路を設けてターゲット21を冷却するとよい。
反応性スパッタリングを行う装置の場合は、カソード部2に金属ターゲットが設置され、ガス供給ライン7からは、プロセスガスと反応性ガスが供給される。プロセスガスと反応性ガスは、それぞれマスフローコントローラー71~73によって流量が制御され、混合された後にガス供給部75からチャンバ内に供給される。プロセスガスは、スパッタに必要なイオンを供給することができるガスであればよく、Arガスが広く用いられる。反応性ガスは、反応性モードもしくは遷移モードでスパッタリングを行うために供給され、例えば、金属のターゲットの材料表面を酸化させながらスパッタリングを行う場合は、反応性ガスとしてO2ガスが供給される。本発明では、プロセスガスと反応性ガスをまとめて成膜ガスと呼ぶ。
プラズマ発光モニタ13は、成膜中に生成されるプラズマの発光を検出する検出部131と、検出部131で検出されたプラズマ光を伝搬する光ファイバ132と、取得したプラズマ光を線スペクトルに分光する分光器133とを備えている。検出部131は、ターゲット21の外周部に、受光部が回転軸Oと平行な方向を向くように設けられている。分光器133は、取得した発光を線スペクトルに分光してプラズマに含まれる所定波長の発光強度を検出する。
検出した所定波長の発光強度に関する情報は、制御装置9へと送信される。制御装置9は、ターゲット材料に関係する波長の発光強度や、反応性ガスに関係する波長の発光強度、プロセスガスに関係する波長の発光強度などを分光器133から取得する。制御装置9では、取得した発光強度の値、もしくは取得した二つの波長の発光強度の比を制御値とし、その値を安定させるように制御信号を生成する。この制御信号は、反応性ガス供給ライン7のマスフローコントローラー71~74に送られ、反応性ガスの流量が随時制御される。制御装置9の制御アルゴリズムは、比例積分微分(PID)制御として実行される。制御部9は、ガス流量の他に、搬送機構30、カソード部2、排気装置8なども制御する。
図2(a)に、ターゲット21とガス供給部75(75a、75b)の斜視図を示す。ガス供給部75a、75bは、ターゲット21の両端に、ターゲット21の回転機構とは切り離して設けられている。ガス供給部75aと75bが互いに対向する面には、ガス供給口76として、ターゲット21の円周に沿って、回転軸Oを中心に等角度で複数の孔が設けられている。
図2(b)に、カソード部2の回転軸方向からみた、カソード部2の断面構造とガス供給部75aとを示す。ガス供給口76は、回転軸Oを中心とする半径r1、中心角2θ1の円弧上に、等間隔で設けられており、回転軸Oとマグネット23の中心とを結ぶ線分Xは、中心角2θ1を等分する。回転軸Oとマグネット23の端部とを結ぶ線分Yと線分Xとの成す角をθ2とすると、θ2≦θ1が好ましい。このような構成により、マグネット23の磁場によって形成されるターゲット21のエロ―ジョンに、選択的に成膜ガスを供給してガス密度を高め、安定して成膜を行うことが可能となる。ここで、マグネット23の中央とは、回転軸Oに垂直なカソード部2の断面において、マグネット23によってエロ―ジョンを形成するための磁場が生成される面の中心を指し、マグネット23の端部とは、磁場が生成される面の端を指す。
エロ―ジョンにより効率的に成膜ガスを供給し、低圧環境を維持しやすくするためには、マグネットによって形成される磁場の範囲や成膜条件などにもよるが、一般的には0mm<(2r1θ1-2r1θ2)≦30mmが好ましい。より好ましくは、5mm≦(2r1θ1-2r1θ2)≦20mmである。
ターゲットのスパッタされる面が、回転軸Oに垂直な断面において半径r2の円であるとすると、r2≦r1が好ましい。より効率的に成膜ガスをエロ―ジョンに供給するためにはr2≦r1≦(r2+50mm)が好ましく、r2≦r1≦(r2+30mm)がより好ましい。
このように、ターゲット21の端部からターゲットの曲面に沿って、ターゲット21のエロ―ジョン近傍に選択的にガスを噴出するようにガス供給口76を設けることによって、低圧環境でも安定的にプラズマを生成することが可能となる。
なお、ガス供給口76の間隔やガス供給口76とマグネット23との位置関係は、図2(b)に示すレイアウトに限定されるものではなく、カソード部2の設計に応じて適宜変更することが可能である。図2(b)では、線分Xを対象軸として、ガス供給口76が対象に配置される例を示しているが、エロ―ジョンに効率的に成膜ガスを供給できれば、対称に配置される必要はない。
ガス供給口76の間隔(ガス供給口76間を結ぶ直線距離)は、1cm~3cmが好ましいが、設計に応じて決めればよい。ガス供給口76は、複数の孔に限定されるものではなく、スリットでも構わない。
ガス供給部75は、必ずしもターゲット21の両端に設ける必要はなく、ターゲット21の円筒軸方向の長さが20~70mm程度と短い場合は、ターゲット21のどちらか一方の端部のみにガス供給部75を設けてよい。ガス供給部75bを設ける場合は、ガス供給部75aと同様にしてガス供給口76を設けるとよい。
図1では、プロセスガスと反応性ガスを混合してから、チャンバ内に供給する構成を示しているが、ガスの種類ごとにガス供給部を設ける構成も好ましい。プロセスガスと反応性ガスを個別に供給すると、プラズマ発光モニタ13によって取得した特定波長の発光強度の情報に基づく反応性ガス流量の制御性が向上する。ガスの種類ごとにガス供給部を設ける場合も、それぞれのガス供給口は前述の条件に基づいて配置するとよい。本実施形態の装置によれば、低圧環境において、円筒状のターゲット表面にプラズマを安定して生起させることができ、所望の屈折率を有する膜を形成することが可能となる。
(第2の実施形態)
図3は、凹面レンズや凸面レンズなど、曲面を有する基材への成膜に適した成膜成膜装置の構成例を示す図である。第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、共通する点は省略する場合がある。
図3は、凹面レンズや凸面レンズなど、曲面を有する基材への成膜に適した成膜成膜装置の構成例を示す図である。第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、共通する点は省略する場合がある。
成膜装置は、チャンバ1内に、ターゲット21が設置されるカソード部2と、基材4を支持する基材支持機構5を備えている。さらに、カソード部2に電力を供給する電源6、成膜に必要なガスを供給するガス供給ライン7、チャンバ1に接続された排気装置8、成膜装置の動作を制御する制御装置9、シャッター11、プラズマ発光モニタ13を備えている。シャッター11は、不図示の回転機構によって、回転軸12を中心に回転させることができ、シャッター11の位置によって被成膜基板4への着膜を制限することができる。
基材支持機構5は、チャンバ1の天板に設置され、天板と平行に、基材4を基材ホルダ3ごと支持する構造となっている。このような構造を採用することにより、外部であらかじめ基材ホルダ3に基材4を設置し、基材ホルダ3ごと搬送口(不図示)からチャンバ1内に搬入して成膜位置に配置することができるため、作業性に優れる。ただし、基材支持機構5は、基材ホルダ3を介して基材4を支持する構成に限定されるものではなく、基材4を直接支持する構成であっても構わない。また、図1では複数の基材4を支持しているが、1枚の基材4を支持する構成であっても構わない。
基材支持機構5は、回転昇降機構10に接続されており、回転軸P(第1の軸)を中心とした回転と、鉛直方向の昇降が可能となっている。基材支持機構5による基材ホルダ3の支持動作を補助するため、回転昇降機構10に基材支持機構5を揺動させたりする機構を追加しても良い。
マグネットケースシャフト22は、不図示の駆動機構によってカソード部2の回転軸Oを中心に回転可能となっており、マグネットケースシャフト22を回転させることによって、マグネット23の傾斜角を変更することができる。マグネット23の傾斜角を変更することで、スパッタ粒子の基材4への入射角を変えることができ、基材の曲面に形成される膜の膜厚分布を調整することが可能となる。マグネット23は、回転軸Oとマグネット23の中心線とを結ぶ線分が鉛直方向に対して角度θ傾いた位置を中心に、角度を±θmの範囲で角度が変更可能となっている。
カソード部2と基材支持機構5は、鉛直方向において、カソード部2の回転軸Oと基材ホルダ3の基材支持面とが、距離Mだけ離れた位置に配置されている。さらに、水平方向において、カソード部2の回転軸Oと基材支持機構5の回転軸Pとが距離Lとなる位置に配置されている。図1では、回転軸Oと回転軸Pとがねじれの位置にある状態が示されているが、距離Lは基材4の被成膜面の形状に応じて決めればよく、0≦Lであればよい。
円筒状のターゲット21の両端には、ターゲット21およびマグネットケースシャフト22の回転機構とは切り離して、ガス供給部75a、75bが設けられる。ガス供給部75aと75bとが互いに対向する面には、第1の実施形態と同様にターゲット21の円周に沿って、回転軸Oを中心として等角度に複数のガス供給口76が設けられている。
回転軸Oとマグネット23の中心線とを結ぶ線分が、鉛直方向に対して角度θ傾いているため、ガス供給部75a、75bは鉛直方向に対して角度θ傾いて設けられている。ガス供給口76は、回転軸Oとマグネット23の可動中心とを結ぶ線分と、傾斜角が最大のときの、回転軸Oと前記マグネットの端部とを通る線分との成す角をθ2maxとすると、θ2max≦θ1を満たすように設けるとよい。さらには、θ2maxが0mm<(2r1θ1-2r1θ2max)≦30mmを満たすことが好ましく、5mm≦(2r1θ1-2r1θ2max)≦20mmを満たすことが好ましい。
本実施形態の装置構成によれば、低圧環境において、円筒状のターゲット表面にプラズマを安定して生起させることができ、所望の屈折率を有する膜を形成することが可能となる。さらに、基材支持機構5の回転軸Pとカソード部2の回転軸Oとをねじれの位置に配置すると共に、マグネット23と基材4との相対位置を変化させることにより、曲面を有する基材の上に均一な膜厚で成膜することが可能となる。
(第3の実施形態)
図4は、カソード部を複数備え、カソード部毎にガス供給部が設けられた成膜装置の概略図である。この構成により、複数のターゲットを設置して、半開角の大きな凹面あるいは凸面に形成される膜の膜むらをより低減することが可能となる。装置を構成する各部材は、第2の実施形態と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
図4は、カソード部を複数備え、カソード部毎にガス供給部が設けられた成膜装置の概略図である。この構成により、複数のターゲットを設置して、半開角の大きな凹面あるいは凸面に形成される膜の膜むらをより低減することが可能となる。装置を構成する各部材は、第2の実施形態と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
カソード部2a、2bは、不図示の駆動機構に接続されており、それぞれ基材支持機構5の回転軸Pと空間的にねじれの位置にある軸Oa、Obを中心に回転させることができる。軸Oa、Obは互いに平行になるように設置されている。
カソード部2a、2bには、同じ材質からなるターゲット21a、21bが設置されるが、目的によっては互いに異なる材質のターゲットを設置しても構わない。
カソード部2a、2bと基材支持機構5は、鉛直方向において、カソード部2aと基材ホルダ3の基材支持面との距離Maと、カソード部2bと基材支持面との距離Mbが、Ma<Mbを満たす位置に配置されている。さらに、水平方向において、カソード部2aの回転軸Oaと基材支持機構5の回転軸Pとの距離Laと、カソード部2bの回転軸Obと回転軸Pとの距離Lbとは、La>Lbの関係を満たすように配置されている。
バッキングチューブ22a、22bおよびマグネットケースシャフト22a、22bは、それぞれ回転軸Oa、Obを中心に回転が可能な構造となっており、それぞれの回転は互いに独立して制御される。
プラズマ発光モニタ13の検出部131は、ターゲット21a、21bの少なくとも一方で生起させるプラズマの発光を検出するように設けられる。図4では、ターゲット21aに対して検出部131を設置する例を示しているが、ターゲット21bに対して検出部131を設置してもよいし、両方のターゲットに対して設けてもよい。両方のターゲットに対して検出部131を設ける場合は、光ファイバ132および分光器133を検出部ごとに設けてもよいし、ターゲット21a、21bの検出部131を1つの分光器133に導入し、ターゲット21a、21bの発光を交互にモニタしてもよい。ターゲット毎の発光に応じて反応ガスの流量を制御するためには、ガス導入部7もターゲット毎に設けると良い。
カソード部2a、2bには、1つの電源6から電力が供給される構成になっているが、ターゲット21a、21bごとに電源を設置してもよい。
図5は、基材ホルダ3の被成膜面側とカソード部2a、2bとの位置関係を示す図である。基材ホルダ3には、回転軸Pを中心に等角度で基材4が設置されており、基材支持機構5に支持される基材4の被成膜面のうち回転軸Pから最も離れた点は、点線Rで示したように半径S1の円を描く。
カソード部2aと2bは、ターゲット設置領域の回転軸方向における幅の中心線Qa、Qbが基材支持機構5の回転軸Pを通り、かつ、カソード部2aと2bの回転軸Oが、基材支持機構5の回転軸Pを通らない位置に設けられている。このような構成は、特に図に示した基材ホルダ3を用いて成膜する場合に好適である。マグネット23aの傾斜角をマグネット23bの傾斜角よりも小さくすると、基材支持機構5の回転によって基材4の中心が描く円S2より外側の被成膜面を主にターゲット21a、内側の被成膜面を主にターゲット21bで成膜することができる。その結果、第2の実施形態の成膜装置よりも、より均一な膜を実現することが可能となる。
本実施形態では、基材支持機構5の回転軸Pに対して、カソード2a、2bを同じ側に配置しているが、Ma<MbおよびLa>Lbの関係を満たしていれば、カソード2a、2bを、回転軸Pを挟んで対象に配置しても良い。ただし、装置の床面積低減の観点から、図4に示すように回転軸Pに対して、カソード2a、2bを同じ側に配置する構成が好ましい。また、カソードの基数を2基としたが、3基以上設けても良い。カソードを3基以上設ける場合も、カソード部毎にガス供給部が設けられる。
以上、反応性スパッタリングを行う成膜装置について説明したが、本発明は反応性スパッタリングに限定されるものではない。反応性スパッタリングを行わない装置の場合は、反応性ガス供給ラインやプラズマ発光モニタを省略することができる。
本実施形態の装置構成によれば、低圧環境において、円筒状のターゲット表面にプラズマを安定して生起させることができ、所望の屈折率を有する膜を形成することが可能となる。さらに、2つのカソード部2a、2bを配置し、それぞれに設けられたマグネット23a、23bと基材4との相対位置を変化させることにより、半開角の大きな曲面を有する基材の上に均一な膜厚で成膜することが可能となる。
図3に示した第2の実施例にかかる成膜装置でプラズマを生起させた場合と、後述する従来の成膜装置でプラズマを生起させた場合について、プラズマ発光モニタにてプラズマに含まれる特定波長の発光強度を検出して反応性ガスの流量を制御した。
まず、従来の成膜装置について説明する。図6(a)は、ターゲット21と、ガス供給部77とを示す斜視図である。他の構成は、図3と同様である。図6(b)、(c)に、回転軸Oに垂直な方向の断面図を示す。
管状のガス供給部77は、カソード21のエロ―ジョン、すなわちマグネット23の磁場が影響する領域を避けて、カソード部2の回転軸Oと平行に設けられている。ターゲット21と対向する面には、ガス供給口として回転軸Oに沿って複数の孔78が等間隔に設けられている。本実施例では、20mm間隔にφ0.5の孔を12個設けた。
円筒状のターゲット21の材種はSiとし、ターゲット21の寸法は、外径をφ101mm、円筒軸方向の幅を200mmとした。プロセスガスにはAr、反応性ガスには酸素(O2)を採用し、Ar流量は100sccmで一定とした。また、プロセスガスと反応性ガスは、チャンバ1内の到達圧力が10-3Pa未満になってから流すようにした。ターゲット21への電力の供給には、AC電源を用い、周波数40kHz、投入電力4kWとした。プラズマの生成中は、回転軸Oを中心に、ターゲット21を時計周りに50rpmで回転させた。
プラズマ発光モニタで、Siに関係する波長(251.6nm)とArに関係する波長(416nm)の発光強度を取得し、両者の強度比が目標値となるように、O2流量を制御した。マグネット23の傾斜角θ=5°(図6(b))、θ=15°(図6(c))それぞれでプラズマを生成したが、PID制御における設計パラメータ(KP、KI、KD)は変更しなかった。
図7(b)は、従来の成膜装置を用いて成膜を行っている時の、成膜開始から終了までの時間に対するO2ガス流量の変化を示す図である。マグネット23の傾斜角θ=5°でプラズマを生起した場合にもO2ガス流量の変動が見られたが、θ=15°に変化させると、O2ガス流量の変動幅が4.2sccmとさらに大きくなることが分かった。
このようにO2ガス流量の変動幅が大きいと、プラズマが不安定になるので好ましくない。傾斜角θが大きくなるに従ってO2ガス流量の変動幅が大きくなるのは、低圧環境ではガスの平均自由工程が極めて長いことに起因すると考えられる。具体的には、ガスの平均自由工程が長くなるにつれてガスの流れがターゲット21の曲面に沿わなくなり、傾斜角θが大きくなってマグネット23とガス供給口78との間の距離が広がるほど、エロ―ジョンのガスの密度の不均一になるためと考えられる。
図7(a)は、図3に記載の成膜装置において、プラズマを生成させて成膜を行っている時の、成膜開始から終了までの時間に対するO2ガス流量を示す図である。傾斜角度θ=5°とθ=15°でプラズマを生起させた場合、O2ガス流量の変動幅が、同図において重なり合っており、1.6sccm程度とほとんど変わっていないことが分かる。さらに傾斜角度θ=20°、θ=25°と大きくして成膜を行ったが、O2ガス流量の変動幅はθ=5°、15°と同程度であった。これらの変動幅を、従来の成膜装置で得られた結果を示す図7(b)の変動幅と比較すると、1/3~1/2程度であった。
以上のことから、本発明の成膜装置を用いると、低圧環境において、プラズマを生起させる際のマグネットの傾斜角を変更しても、安定なプラズマが生成されることがわかった。これは、ターゲット21の端部から、ターゲットの曲面に沿って成膜に必要なガスを供給することによって、傾斜角θに依らず、ターゲットのエロ―ジョンに均一な密度となるようにガス(もくしくはフラックス)が供給できているためと考えられる。
本実施例では、マグネット23の位置を変更する図3の装置構成について、プラズマの安定性、即ち成膜の安定性の確認を行ったが、図1や図4の装置構成においても、同様の効果を得ることができる。
1 チャンバ
2 カソード部
4 基材
7 ガス供給部
9 制御装置
13 プラズマ発光モニタ
21 ターゲット
23 マグネット
2 カソード部
4 基材
7 ガス供給部
9 制御装置
13 プラズマ発光モニタ
21 ターゲット
23 マグネット
Claims (19)
- スパッタリング法によって成膜を行う成膜装置であって、
成膜原料からなる円筒状のターゲットが設置され、前記ターゲットの円筒軸を回転軸として前記ターゲットを回転させる回転機構を備えるカソード部と、
成膜に用いるガスを供給するガス供給部と、を有し、
前記ガス供給部が、前記ターゲットの前記回転軸方向の端部から前記ターゲットの曲面に沿って前記ガスを供給することを特徴とする成膜装置。 - 前記ガス供給部は、前記ターゲットの前記回転軸方向の両端から前記ガスを供給することを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
- 前記回転軸方向からみて、前記ターゲットがスパッタされる面である円の半径r2をとすると、前記ガス供給部は、前記回転軸を中心とする半径r1、中心角2θ1の円弧上に前記ガスを噴出するガス供給口を有しており、
r2≦r1であることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜装置。 - 前記半径r1が、r2≦r1≦(r2+50mm)を満たすことを特徴とする請求項3に記載の成膜装置。
- 前記半径r1が、r2≦r1≦(r2+30mm)を満たすことを特徴とする請求項4に記載の成膜装置。
- 前記カソード部が、前記回転軸に沿ってマグネットを備えており、
前記回転軸方向からみて、前記回転軸と前記マグネットの中心とを通る線分と前記回転軸と前記マグネットの端部とを通る線分との成す角をθ2とすると、θ2≦θ1であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の成膜装置。 - 0mm<(2r1θ1-2r1θ2)≦30mmを満たすことを特徴とする請求項6に記載の成膜装置。
- 5mm≦(2r1θ1-2r1θ2)≦20mmを満たすことを特徴とする請求項7に記載の成膜装置。
- 前記マグネットは、鉛直方向に対する傾斜角が変更可能であり、
前記傾斜角が最大のときの、前記回転軸と前記マグネットの端部とを通る線分との成す角をθ2maxとすると、θ2max≦θ1であることを特徴とする請求項6に記載の成膜装置。 - 0mm<(2r1θ1-2r1θ2max)≦30mmを満たすことを特徴とする請求項9に記載の成膜装置。
- 5mm≦(2r1θ1-2r1θ2max)≦20mmを満たすことを特徴とする請求項10に記載の成膜装置。
- 前記ガス供給口が、スリットまたは複数の孔であることを特徴とする請求項3乃至11のいずれか1項に記載の成膜装置。
- 前記ガス供給部は、前記回転機構から切り離されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の成膜装置。
- 前記カソード部を複数備え、前記ガス供給部を前記カソード部ごとに有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の成膜装置。
- 前記チャンバ内に供給するガスの種類ごとに前記ガス供給部を備えることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の成膜装置。
- 成膜中に生成されるプラズマに含まれる所定波長の発光強度を検出するプラズマ発光モニタと、
検出された前記所定波長の発光強度に基づいて前記ガスの流量を制御する制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の成膜装置。 - 成膜原料からなる円筒状のターゲットを回転させながらスパッタリング法にて成膜を行う成膜方法であって、成膜に必要なガスを前記ターゲットの端部から前記ターゲットの曲面に沿って供給することを特徴とする成膜方法。
- 成膜中に生成されるプラズマに含まれる所定波長の発光強度を検出し、検出された前記所定波長の発光強度に基づいて前記ガスの流量を制御することを特徴とする請求項17に記載の成膜方法。
- 前記ガスには反応性ガスが含まれており、前記反応性ガスと前記成膜原料とを反応させながら成膜を行うことを特徴とする請求項17または18に記載の成膜方法。
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2020
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CN115261807A (zh) * | 2022-08-04 | 2022-11-01 | 浙江景昇薄膜科技有限公司 | 一种可实现在曲面基材上均匀镀膜的靶材及其制备方法 |
CN115261807B (zh) * | 2022-08-04 | 2024-06-14 | 浙江景昇薄膜科技有限公司 | 一种可实现在曲面基材上均匀镀膜的靶材及其制备方法 |
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