JP2016003459A - 扉構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】扉構造1は、壁2の開口10に設けられる矩形状の扉枠20と、この扉枠20に開閉可能に設けられた扉30と、を備える。扉枠20は、略水平に延びる沓摺り21および上枠22と、沓摺り21と上枠22とを連結して略鉛直方向に延びる一対の縦枠23A、23Bと、を備える。扉枠20の沓摺り21は、開口10の切欠き部11に水平方向および鉛直方向に移動可能に支持される。
【選択図】図1
Description
この構造スリットは、地震時に、構造スリットの上側の躯体(以下、上部躯体と呼ぶ)が構造スリットの下側の部分(以下、下部躯体と呼ぶ)に対して水平移動し、地震時の挙動に追従するものである。
これに対し、扉および扉枠の最大面内変形角は、JISA4702で変形角1/120のドアが規定されており、多くの建具メーカーは、この規定に従って、1/120を上弦として設計している。つまり、地震により上部躯体と下部躯体とが水平方向に相対変位し、この相対変位に伴って扉枠が変形しても、扉枠の変形角が1/120までであれば、扉が開放可能となっている。
また、耐震ストライクや耐震丁番といった、扉と扉枠との上下方向にプラスマイナス10mm程度のずれを許容する構造が提案されている。
例えば、図15(a)に示すように、壁躯体101に水平方向の構造スリット102が形成されており、構造スリット102よりも下側の躯体を下部躯体103とし、構造スリット102よりも上側の躯体を上部躯体104とする。
この壁躯体101に扉枠110および扉111が取り付けられている。ここで、床面105から梁下106までの高さを4000mmとし、床面105から扉枠110の上端までの高さを2000mmとする。
その後、壁躯体101の変位角が最大層間変位角である1/100に達すると、扉枠110および扉111の変形角は1/50となり、許容値である1/120を大きく超えて破損し、扉111を開放できなくなるおそれがある。
仮に、耐震ストライクや耐震丁番が扉と扉枠との10mm以上のずれに対応する場合であっても、扉と枠のクリアランスを非常に大きくする必要があり、気密性や水密性などの性能を確保することが困難となるので、使い勝手が悪いという問題がある。
このような耐震ドアによれば、地震時の躯体の変形により、第1のドアが大きく歪んだり、枠が破壊されたりして開放不能になっても、第2のドアを開放して通行可能である。
すなわち、第2のドアは、第1のドアに比べて、高さ寸法および幅寸法が小さくなっているので、通行者が通行しづらく、不特定多数の避難には向いていない。
このような耐震ドアは、避難上の使い勝手が良くない、という問題があった。
また、従来のように小さな扉を設ける必要はないうえに、従来の耐震ストライクや耐震丁番に比べて気密性や水密性を確保できるので、使い勝手が低下することもない。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る扉構造1の正面図(屋外側から視た図)および縦断面図である。
屋内側床面3と屋外側床面4との境界部分は、切り欠かれて切欠き部11が形成されている。
開口10は矩形状であり、下辺縁となる切欠き部11、上辺縁12、側辺縁13A、13B、で構成される。
扉枠20は、略水平に延びる沓摺り21および上枠22と、これら沓摺り21と上枠22とを連結して略鉛直方向に延びる一対の縦枠23A、23Bと、を備える。
上枠22は、一対のファスナ機構40を介して開口10の上辺縁12に固定され、沓摺り21は、開口10の切欠き部11に一対のダボピン機構50を介して固定されている。
この横スリット5は、壁2の下端側に設けられて略水平に延びる第1スリット5Aと、沓摺り21と切欠き部11との間を略水平に延びる第2スリット5Bと、で構成される。
一対のファスナ機構40は、この切欠き部17の両端側つまり上枠22の両端側に設けられている。
各ファスナ機構40は、上枠22に設けられて鉛直方向に延びるルーズ穴41が形成されたプレート42と、上部躯体2Bのうち上辺縁12の近傍に設けられてプレート42のルーズ穴41に挿通されるピン43と、を備える。
これら一対のファスナ機構40により、上枠22は、上部躯体2Bに対して回転可能に支持されていることになる。
一対のダボピン機構50は、開口10の切欠き部11の両端側つまり沓摺り21の両端側に設けられている(図1参照)。
各ダボピン機構50は、切欠き部11に設けられて上方に突出するダボピン51と、沓摺り21に沓摺り21の長さ方向に設けられてダボピン51が挿通されるルーズ穴52と、を備える。
この受け部材53は、平板状の支持部54と、この支持部54の一部の端縁に立設された壁部55と、を備える。
また、この支持部54の下面には、所定間隔おきにリブ57が設けられており、このリブ57は溶接用アンカー14に溶接固定されている。
壁部55は、屋外側から視て、支持部54の両側の端縁および奥側の端縁に設けられている。沓摺り21と壁部55との間には、所定の隙間が設けられている。
この沓摺り21は、支持部54の塩化ビニルシート56の上に載置されるとともに、支持部54のダボピン51が沓摺り21のルーズ穴52に挿通される。
このように、沓摺り21は、開口10の切欠き部11に水平方向および鉛直方向に移動可能に支持されている。
また、沓摺り21と受け部材53とは、仮止めビス58で仮固定可能となっている。
まず、初期状態では、図4(a)に示すように、扉枠20の上枠22、縦枠23A、23B、および沓摺り21は、矩形枠状となっている。上枠22の両端側は、ファスナ機構40を介して開口10の上辺縁に固定され、沓摺り21の両端側は、開口10の下端に一対のダボピン機構50を介して固定されている。また、縦枠23A、23Bは、開口10に固定されていない。
なお、この段階では、扉枠20は変形していない。
この場合、ルーズ穴52におけるダボピン51の可動範囲を左右に10mmずつとすると、扉枠20は、図4(b)中右方向に10mm水平方向に移動する。これにより、沓摺り21および上枠22の両方が、元の位置から10mmだけ水平方向に移動することになる。
このとき、図5中左下のダボピン機構50では、ダボピン51が沓摺り21のルーズ穴52から抜けている。また、図5中左上のファスナ機構40では、ピン43は、プレート42のルーズ穴41内を下方に相対移動し、図5中右上のファスナ機構40では、ピン43は、プレート42のルーズ穴41内を上方に相対移動する。
以上より、建物の層間変位が1/100となっても、扉枠20の変形角は1/120で済むことが判る。
また、スライド量を大きくして、ロッキング量を小さくしたり、スライド量を小さくして、ロッキング量を大きくしたりできる。また、スライドのみまたはロッキングのみ、と必要に応じて別々に使用することもできる。なお、ロッキングのみの場合、ルーズ穴52を長孔にしなくてもよい。
まず、ドアセット製作工場にて、沓摺り21、上枠22、および縦枠23A、23Bを矩形枠状に一体に製作するとともに、プレート42を上枠22に溶接固定しておく。
また、仮止めビス58で沓摺り21を受け部材53に仮固定する。このとき、沓摺り21と受け部材53の壁部55との隙間には、モルタルの浸入を防ぐために養生用スポンジをはめ込んでおく。また、沓摺り21と支持部54との間に、捨てシーリング26を打設しておく。
この状態で施工現場に搬入する。
その後、受け部材53と切欠き部11との隙間にモルタルを詰めてトロ詰め部15を形成する。
また、従来のように小さな扉を設ける必要はないうえに、従来の耐震ストライクや耐震丁番に比べて気密性や水密性を確保できるので、使い勝手が低下することもない。
図7は、本発明の第2実施形態に係る扉構造1Aの沓摺り21の断面図である。
本実施形態では、扉構造1Aをバリアフリー対応の建物の外壁に設けた点が第1実施形態と異なる。
受け部材53の壁部55は、支持部54の端縁の全周に亘って立設されている。したがって、シーリング25は、沓摺り21の周囲に全周に亘って打設されている。
本実施形態によれば、上述の(1)〜(4)と同様の効果がある。
図8は、本発明の第3実施形態に係る扉構造1Bの沓摺り21の断面図である。
本実施形態では、扉構造1Bを建物の屋内の壁に設けた点が第1実施形態と異なる。
本実施形態によれば、上述の(1)〜(4)と同様の効果がある。
図9は、本発明の第4実施形態に係る扉構造1Cの沓摺り21の断面図である。図10は、図9のC−C断面図である。
本実施形態では、受け部材53の構成が第1実施形態と異なる。
沓摺り21の底板24には、ルーズ穴52ではなく円形の貫通孔59が設けられている。以上より、沓摺り21は、受け部材53に対して水平移動せず、ロッキングのみで層間変位に対応する。
本実施形態によれば、上述の(3)、(4)と同様の効果がある。
図11は、本発明の第5実施形態に係る扉構造1Dの沓摺り21の断面図である。図12は、図11のD−D断面図である。
本実施形態では、ダボピン機構50の代わりに、スライダ70が設けられる点が、第1実施形態と異なる。
このように、沓摺り21は、開口10の切欠き部11に水平方向および鉛直方向に移動可能に支持されている。
本実施形態によれば、上述の(1)、(3)、(4)と同様の効果がある。
図13は、本発明の第6実施形態に係る扉構造1Eの沓摺り21の断面図である。図14は、図13のE−E断面図である。
本実施形態では、スライダ70Eおよび凹部71Eの構造が、第5実施形態と異なる。
すなわち、本実施形態では、凹部71Eは、沓摺り21の屋外側の端部の裏面となっている。また、受け部材53は、屋外側に向かって延出しており、この延出した部分がスライダ70Eとなっている。
(5)沓摺り21の屋外側の端部の裏面を凹部71Eとしたので、沓摺り21に荷重がかかっても、この荷重をスライダ70Eで支持できる。
例えば、上述の第1〜第4実施形態では、ダボピン機構50を開口10の切欠き部11の両端側に設けたが、これに限らず、ダボピン機構50を切欠き部11のどの位置に設けてもよい。
2…壁
2A…下部躯体
2B…上部躯体
3…屋内側床面
4…屋外側床面
5…横スリット
5A…第1スリット
5B…第2スリット
6…縦スリット
10…開口
11…切欠き部
12…上辺縁
13A、13B…側辺縁
14…溶接用アンカー
15…トロ詰め部
16…二重シーリング
17…切欠き部
20…扉枠
21…沓摺り
22…上枠
23A、23B…縦枠
24…底板
25…捨てシーリング
26…シーリング
30…扉
40…ファスナ機構
41…ルーズ穴
42…プレート
43…ピン
50…ダボピン機構
51…ダボピン
52…ルーズ穴
53…受け部材
54…支持部
55…壁部
56…塩化ビニルシート
57…リブ
58…仮止めビス
59…貫通孔
60…ボルト
61…頭部
62…首部
63…塩化ビニルパイプ
70、70E…スライダ
71、71E…凹部
Claims (4)
- 壁の開口に設けられる矩形状の扉枠と、当該扉枠に開閉可能に設けられた扉と、を備え、
前記扉枠は、略水平に延びる沓摺りおよび上枠と、当該沓摺りと当該上枠とを連結して略鉛直方向に延びる一対の縦枠と、を備え、
前記沓摺りは、前記開口の下辺縁に水平方向および鉛直方向に移動可能に支持されることを特徴とする扉構造。 - 前記開口の下辺縁には、上方に突出するピンを有しかつ前記扉枠の沓摺りを支持する受け部材が設けられ、
前記沓摺りの下面には、前記受け部材のピンが挿通されてかつ当該沓摺りの長さ方向に延びるルーズ穴が形成されることを特徴とする請求項1に記載の扉構造。 - 前記扉枠の上枠は、前記開口の上辺縁に回転可能に支持されることを特徴とする請求項1または2に記載の扉構造。
- 前記扉枠の上枠には、鉛直方向に延びるルーズ穴が形成されたプレートが取り付けられ、
前記開口の上辺縁の近傍には、当該プレートのルーズ穴に挿通されるピンが設けられることを特徴とする請求項3に記載の扉構造。
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JP2018145645A (ja) * | 2017-03-03 | 2018-09-20 | 大成建設株式会社 | 建具構造 |
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