JP2016002683A - 3d造形物の製造方法、3d造形用光硬化性組成物および3d造形用インクセット - Google Patents

3d造形物の製造方法、3d造形用光硬化性組成物および3d造形用インクセット Download PDF

Info

Publication number
JP2016002683A
JP2016002683A JP2014123547A JP2014123547A JP2016002683A JP 2016002683 A JP2016002683 A JP 2016002683A JP 2014123547 A JP2014123547 A JP 2014123547A JP 2014123547 A JP2014123547 A JP 2014123547A JP 2016002683 A JP2016002683 A JP 2016002683A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
monomer
functional group
group
model material
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014123547A
Other languages
English (en)
Inventor
小俣 猛憲
Takenori Omata
猛憲 小俣
中村 正樹
Masaki Nakamura
正樹 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2014123547A priority Critical patent/JP2016002683A/ja
Publication of JP2016002683A publication Critical patent/JP2016002683A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】3D造形物の強度、特に良好な伸び、硬さを兼ね備えた高強度の造形物を製造することができるような3D造形物の製造方法を提供すること。
【解決手段】モデル材の層を含む3D造形物前駆体を形成する工程、ならびに、3D造形物前駆体を形成する工程の後に、3D造形物前駆体を後硬化する工程およびサポート材の硬化物を除去する工程を含む3D造形物の製造方法であって、モデル材は、光重合性化合物および光開始剤を含有し、光重合性化合物は、水硬化性官能基および熱硬化性官能基の少なくともいずれかならびに1つのエチレン重合性基を有する第1のモノマーを含み、後硬化は、第1のモノマーが有する水硬化性官能基または硬化性官能基が反応する条件で行い、前駆体のガラス転移温度(Tg)は50℃以上である、方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、3D造形物の製造方法、3D造形用光硬化性組成物および3D造形用インクセットに関する。
3D造形物は、製造が比較的容易であるため、最終製品を製造する前の試作品として用いることができる。3D造形物を製造する方法として、液体状の光硬化性組成物にレーザー光や紫外線を照射してその照射部分を硬化・積層させる方法や、インクジェットによりステージ上に光硬化性組成物を着弾させ、着弾した光硬化性組成物に紫外線を照射して硬化させる方法が広く知られている。これらの方法では、3D造形物を構成する各層を硬化させ、硬化した層を積層させていくことで、3D造形物を製造する。
なお、3D造形物の製造においては、硬化した各層を積層させるのみならず、積層した後に3D造形物全体を硬化させる方法も提案されている。特許文献1には、化学線を照射して層ごとに形成した3D造形物に、紫外線を照射して後硬化する方法が記載されている。特許文献2には、断面パターンが描画された記録媒体を重ねて積層体を形成し、この積層体を加熱によって硬化させる、3D造形物の製造方法が記載されている。
特開2010−189641号公報 特開2011−143569号公報
高分子量の線状ポリマーの一部に、側鎖間の共有結合による化学架橋構造を形成させることで、硬いABS樹脂に似た性質をもった3D造形物を製造することができる。このABS樹脂に似た材料を用いた3D造形物からなる試作品について、最終製品の性状を試作段階でも確認するため、本物のABS樹脂と同等の伸びと硬さを持った強度の高い3D造形物が望まれている。
ここで、ABS樹脂に似て強度の高い性質をもつ3D造形物には、一定の伸びおよび硬さを両立させることが求められるが、一般に3D造形物の伸びと硬さとは互いにトレードオフの関係にあることが知られている。通常の3D造形用モデル材組成物を重合させて得られる3D造形物においては、化学架橋されていない線状高分子鎖の伸縮によって伸びが生じる一方で、化学架橋された部分が硬さに寄与する。そのため、3D造形用モデル材組成物に含まれる化学架橋性の化合物の割合を増やし、3D造形物内の化学架橋の数を増やせば、得られる3D造形物の硬さを高めることはできるが、しかし一方で化学架橋されていない線状高分子鎖の割合が少なくなるため、伸びを高めることは難しい。
上記に鑑み、本発明は、3D造形物の強度、特に良好な伸びおよび硬さを兼ね備えた高強度の造形物を製造することができるような3D造形物の製造方法、ならびにそのような方法に用いることのできる3D造形用光硬化性組成物およびインクセットを提供することをその目的とする。
本発明の第一は、3D造形物の製造方法に関する。
[1]3D造形物の各層におけるモデル材およびサポート材の配置を表す複数の平面データに含まれる第1の平面データに基づいて、前記モデル材および前記サポート材の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルからステージ上に吐出して第1の膜を形成し、前記第1の膜を光硬化させて第1の硬化層を形成し、その後、前記複数の平面データに含まれる第n(nは2以上の整数)の平面データに基づいて、前記モデル材および前記サポート材の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルから第n−1の硬化層上に吐出して第nの膜を形成し、前記第nの膜を光硬化させて第nの硬化層を形成するステップを少なくとも1回以上行って、モデル材の層を含む3D造形物前駆体を形成する工程、ならびに、前記3D造形物前駆体を形成する工程の後に、前記3D造形物前駆体を後硬化する工程および前記サポート材の硬化物を除去する工程を含む3D造形物の製造方法であって、前記モデル材は、光重合性化合物および光開始剤を含有し、前記光重合性化合物は、水硬化性官能基および熱硬化性官能基の少なくともいずれかならびに1つのエチレン重合性基を有する第1のモノマーを含み、前記後硬化は、前記第1のモノマーが有する前記水硬化性官能基または前記熱硬化性官能基が反応する条件で行い、前記前駆体のガラス転移温度(Tg)は50℃以上である、方法。
[2]前記3D造形物前駆体を後硬化する工程は、前記サポート材の硬化物を除去する工程と同一の作業によって行う、[1]に記載の方法。
[3]前記3D造形物前駆体を後硬化する工程は、水を付与して硬化する工程であり、前記サポート材は、その硬化物が水溶性であるかまたは水膨潤性であるような組成物を含有する、[2]に記載の方法。
[4]前記第1のモノマーは、前記水硬化性官能基として、イソシアネート基、シランアルコキシド基およびシアノ基から選択される1または複数の官能基を有する、[3]に記載の方法。
[5]前記3D造形物前駆体を後硬化する工程は、熱によって硬化する工程であり、前記サポート材は、その硬化物が熱溶融性であるような組成物を含有する、[2]に記載の方法。
[6]前記第1のモノマーは、前記熱硬化性官能基として、ヒドロキシ基、イソシアネート基およびマレイミド基から選択される1またはいずれかの官能基を有し、前記熱硬化性官能基がヒドロキシ基である場合、モデル材はさらにチタンアルコキシド化合物またはチタンキレート化合物を含有する、[5]に記載の方法。
[7]前記光重合性化合物は、1つのエチレン重合性基を有し前記水硬化性官能基または前記熱硬化性官能基を有さない第2のモノマーをさらに含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記光重合性化合物は、2つ以上のエチレン重合性基を有する第3のモノマーをさらに含み、前記モデル材中の前記第3のモノマーの含有量は、前記光重合性化合物の合計モル数に対して0.1モル%以上10モル%以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記モデル材中の前記第1のモノマーの含有量と前記第3のモノマーの含有量との合計は、前記光重合性化合物の合計モル数に対して0.1モル%以上10モル%以下である、[8]に記載の方法。
本発明の第二は、3D造形用光硬化性組成物に関する。
[10]光重合性化合物および光開始剤を含有する3D造形用光硬化性組成物であって、前記光重合性化合物は、水硬化性官能基および熱硬化性官能基の少なくともいずれかならびに1つのエチレン重合性基を有する第1のモノマーを含み、前記組成物に活性光線を照射することによって硬化した3D造形物前駆体のガラス転移温度(Tg)は50℃以上である、組成物。
[11]前記第1のモノマーは、前記水硬化性官能基として、イソシアネート基、シランアルコキシド基およびシアノ基から選択される1または複数の官能基を有する、[10]に記載の組成物。
[12]前記第1のモノマーは、前記熱硬化性官能基として、ヒドロキシ基、イソシアネート基およびマレイミド基から選択される1またはいずれかの官能基を有し、前記熱硬化性官能基がヒドロキシ基である場合、前記組成物はさらにチタンアルコキシド化合物またはチタンキレート化合物を含有する、[10]に記載の組成物。
[13]前記光重合性化合物は、1つのエチレン重合性基を有し前記水硬化性官能基または前記熱硬化性官能基を有さない第2のモノマーをさらに含む、[10]〜[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]前記光重合性化合物は、2つ以上のエチレン重合性基を有する第3のモノマーをさらに含み、前記組成物中の前記第3のモノマーの含有量は前記光重合性化合物の合計モル数に対して0.1モル%以上10モル%以下である、[10]〜[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]前記組成物中の前記第1のモノマーの含有量と前記第3のモノマーの含有量との合計は、前記光重合性化合物の合計モル数に対して0.1モル%以上10モル%以下である、[14]に記載の組成物。
本発明の第三は、3D造形用インクセットに関する。
[16][10]〜[15]のいずれかに記載の組成物を含むモデル材と、前記モデル材が含有する前記第1のモノマーの前記水硬化性官能基または熱硬化性官能基が反応する条件で、その硬化物が溶解、膨潤または溶融するような組成物を含むサポート材と、を含む3D造形用インクセット。
本発明によれば、3D造形物の強度、特に良好な伸びおよび硬さを兼ね備えた高強度の造形物を製造することができるような3D造形物の製造方法、ならびにそのような方法に用いることのできる3D造形用光硬化性組成物およびインクセットが提供される。
図1は本発明に係る3D造形物前駆体を製造するための3D造形システムの1態様を示す模式図である。 図2は本発明に係る3D造形物前駆体を製造する方法のフロー図である。 図3は本発明に係る3D造形物前駆体を製造する方法の工程(その一)の側面図である。 図4Aは本発明に係る3D造形物前駆体を製造する方法の工程(その二)の側面図および図4Bはその上面図である。 図5Aは本発明に係る3D造形物前駆体を製造する方法の工程(その三)の側面図および図5Bはその上面図である。 図6Aは本発明に係る3D造形物前駆体を製造する方法の工程(その四)の側面図および図6Bはその上面図である。 図7Aは本発明に係る3D造形物前駆体を製造する方法の工程(その五)の側面図および図7Bはその上面図である。 図8は本発明に係る3D造形物前駆体を製造する方法により得られた3D造形物前駆体の斜視図である。 図9は実施例で作成した3D造形物前駆体の作成の工程を示す工程図であり、(i)は第1の硬化層を形成した工程、(ii)は第2の硬化層を形成した工程、(iii)は第3の硬化層を形成した工程、(iv)は最終的な3D造形物前駆体を形成した工程を、それぞれ表す。
本発明の一実施形態は、3D造形物の各層におけるモデル材およびサポート材の配置を表す複数の平面データに含まれる第1の平面データに基づいて、前記モデル材および前記サポート材の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルからステージ上に吐出して第1の膜を形成し、前記第1の膜を光硬化させて第1の硬化層を形成し、その後、前記複数の平面データに含まれる第n(nは2以上の整数)の平面データに基づいて、前記モデル材および前記サポート材の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルから第n−1の硬化層上に吐出して第nの膜を形成し、前記第nの膜を光硬化させて第nの硬化層を形成するステップを少なくとも1回以上行って、モデル材の層を含む3D造形物前駆体を形成する工程、ならびに、前記3D造形物前駆体を形成する工程の後に、前記3D造形物前駆体を後硬化する工程および前記サポート材の硬化物を除去する工程を含む3D造形物の製造方法であって、前記モデル材は、光重合性化合物および光開始剤を含有し、前記光重合性化合物は、水硬化性官能基および熱硬化性官能基の少なくともいずれかならびに1つのエチレン重合性基を有する第1のモノマー(以下、単に第1のモノマーとも表記する。)を含み、前記後硬化は、前記水硬化性官能基および前記熱硬化性官能基の少なくともいずれかが反応する条件で行い、前記前駆体のガラス転移温度(Tg)は50℃以上である、方法に関する。
本発明では、モデル材およびサポート材を用いて3D造形物前駆体を形成し、3D造形物前駆体をさらに後硬化させて、3D造形物を製造する。3D造形物前駆体の形成において、モデル材に含まれるモノマーが重合して長い線状高分子を形成することにより、最終的に得られる3D造形物の伸び(破断伸び)を高めることができる。一方で、後硬化により、第1のモノマーが有する水硬化性官能基または熱硬化性官能基が線状高分子同士の架橋構造を形成することによって、最終的に得られる3D造形物の硬さ(破断強度、弾性率)をより高めることができる。本発明の方法によれば、線状高分子の形成と架橋構造の形成とを別工程で行うことにより、架橋の少ない長い線状高分子を最初に形成し、後から架橋による硬さを付与できるため、伸びと硬さを両立させた3D造形物を形成することが可能になると考えられる。
なお、3D造形物前駆体のガラス転移温度を50℃以上とすることで、3D造形物の破断強度および弾性率を高めることができるほか、後硬化する際に反応性と形状保持とをバランスよく保持できる。3D造形物前駆体のガラス転移温度は、3D造形物前駆体を形成するためのモデルに含まれるモノマーのガラス転移温度をもとに、後述のFOXの式によって求めることができる。なお、後述するように、含有量が少ないモノマーについては、3D造形物前駆体のTgに与える影響が少ないため、FOXの式による計算から除外してもよい。
このとき、3D造形物前駆体を後硬化する工程と、サポート材の硬化物を除去する工程とを、同一の作業によって行うことで、作業の工程数を増やさずに、3D造形物前駆体の後硬化を行うことができる。そのため、効率的に3D造形物の特性を向上させることが可能となる。
たとえば、後硬化する工程が水を付与して硬化する工程である場合、サポート材として、その硬化物が水溶性であるか、または水膨潤性であるような組成物を含有するものを使用することができる。このとき、第1のモノマーは、水硬化性官能基を有するとよい。このような構成とすることで、水の付与によって後硬化をしつつ、同時にサポート材の除去も行うことができる。
同様に、後硬化する工程が熱によって硬化する工程である場合、サポート材として、その硬化物が熱溶融性であるような組成物を含有するものを使用することができる。このとき、第1のモノマーは、熱硬化性官能基を有するとよい。このような構成とすることで、熱によって後硬化をしつつ、同時にサポート材の除去も行うことができる。
以下に、実施形態を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
1.3D造形物前駆体の形成
3D造形物前駆体は、モデル材およびサポート材の少なくともいずれかをインクジェットヘッドのノズルから吐出して膜を形成し、形成された膜を光硬化させて硬化層を形成し、硬化層を積層させていくことで、形成される。
3D造形物前駆体は、たとえば、図1に示す3D造形システムを用いて、図2に示すフローチャートに基づいて、形成することができる。
図1に示される3D造形システムは、3D造形装置1および演算制御部2を備える。3D造形装置1は、上下(図面Z方向)に駆動する駆動手段(図示省略)を備えたステージ11と、左右(図面XY方向)に移動可能にレール(図示省略)上に配置され、モデル材を吐出する第1の吐出ノズル13およびサポート材を吐出する第2の吐出ノズル14を備えた、造形部12とを有する。
造形部12は、第1の吐出ノズル13を有するモデル材用の吐出ヘッドと、第2の吐出ノズル14を有するサポート材用の吐出ヘッドと、光源16とを備え、必要に応じて膜厚調整用ローラ15をさらに備える。第1の吐出ノズル13は、第1の配管13aを介して第1のポンプ13bおよび第1のタンク13cに連通する。第1のタンク13cには、モデル材を入れることができる。第2の吐出ノズル14は、第2の配管14aを介して第2のポンプ14bおよび第2のタンク14cに連通する。第2のタンク14cには、サポート材を入れることができる。
演算制御部2は、3D造形装置1を制御するための演算を行い、3D造形装置1を制御するための情報を3D造形装置1に送信する。演算制御部2は、情報を送信する手段として、所望の3D造形物にあった3D造形用インクセットを選択するよう情報を送るインクセット制御手段22、ステージを駆動させる情報を送るステージ制御手段23、第1の吐出ノズル13もしくは第2の吐出ノズル14からモデル材もしくはサポート材を吐出させるための情報を送るインクジェット制御手段24、所望の厚さになるようにローラ15によって層を研磨する情報を送るローラ制御手段25、および吐出されたモデル材もしくはサポート材を硬化させるために光源16から光照射するよう情報を送る光源制御手段26等、のいずれかまたは複数を備えてもよい。演算制御部2は、CADデータに基づいてSTLデータを算出するSTL演算手段21をさらに備えてもよい。
演算制御部2は、CPU等の通常のコンピュータシステムで用いられる演算装置等で構成すればよい。3D造形システムは、キーボード、マウス等の入力装置4、プリンタ等の出力装置5、液晶ディスプレイ、モニタ等の表示装置6、およびROM、RAM、磁気ディスク等の記憶装置3等を備えていてもよい。
図1に示す3D造形システムを用いて3D造形物前駆体を形成する方法について、図2のフロー図を参照しながら詳細に説明する。
(イ)ステップS101において、例えばCADデータを入力する。そしてステップS102において、CADデータを3D造形用データとしてのSTLデータに変換する。なお、STLデータから形成される仮想3D造形物前駆体を出力装置5上に表示して所望の形状が形成されるか否かを確認し、所望の形状が形成されない場合は、STLデータに修正を加えてもよい。
(ロ)ステップS103において、図3に示すように仮想3D造形物前駆体を図3のZ方向において複数の薄片状の層に微分割し、各層におけるモデル材の配置データを得る。また、各平面データにおいて、モデル材を支持または固定するためのサポート材の配置データも併せて作成する。モデル材のX,Y方向の周囲にサポート材を配置することで、いわゆるオーバーハング部分、例えば「K」の字の第二画目部分等を下方からサポート材で支持することができる。モデル材の配置データとサポート材の配置データを同じ層ごとに組み合わせて、本発明における「第1の平面データD1、第2の平面データD2、…第Xの平面データDX」を得る。なお、データを購入する等によってこの配置データを得られるときは、ステップS101、S102およびS103を省略してもよい。
(ハ)ステップS105において、仮想3D造形物前駆体のデータや複数の平面データに基づいて、最適な3D造形用インクセットを用意する。
(ニ)ステップS108において、第1の平面データD1に基づき、駆動手段を作動させてステージとインクジェット装置との相対的な位置を合わせる。
(ホ)ステップS110において、図4に示すように、第1の平面データD1に基づいてインクジェットの位置を制御して、ステージ上の適切な位置にモデル材(Ma)およびサポート材(S)の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルから吐出していき、第1の膜を形成する。各ノズルから吐出される1滴あたりの液滴量は、画像の解像度にもよるが、1pl〜70plが好ましく、2〜50plがより好ましい。その後、ステップS112において、活性光線を照射して第1の膜を光硬化させて第1の硬化層を得る。なお、第1の硬化層の厚みが均一であるか否かを確認し、均一でない場合は厚い部分を研磨して、第1の硬化層の厚さを均一にすることが好ましい。なお、硬化後の各硬化層の厚さは、1〜25μm程度であることが好ましい。
活性光線は、例えば、紫外線または電子線である。活性光線の照射は、モデル材またはサポート材の液滴が記録媒体上に付着した後10秒以内、好ましくは0.001秒〜5秒以内、より好ましくは0.01秒〜2秒以内に行うことが好ましい。隣り合うモデル材またはサポート材の液滴同士が合一するのを抑制するためである。また、活性光線の照射は、1層分のモデル材またはサポート材の液滴を吐出した後に行ってもよい。
活性光線が紫外線である場合、活性光線照射部(紫外線照射手段)の例には、蛍光管(低圧水銀ランプ、殺菌灯)、冷陰極管、紫外レーザー、数100Pa〜1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプおよびLED等が含まれる。硬化性の観点から、照度100mW/cm以上の紫外線を照射する紫外線照射手段;具体的には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプおよびLED等が好ましく、消費電力の少ない点から、LEDがより好ましい。具体的には、Phoseon Technology社製 395nm、水冷LEDを用いることができる。
活性光線が電子線である場合、活性光線照射部(電子線照射手段)の例には、スキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式等の電子線照射手段が含まれる。処理能力の観点から、カーテンビーム方式の電子線照射手段が好ましい。電子線照射手段の例には、日新ハイボルテージ(株)製の「キュアトロンEBC−200−20−30」、AIT(株)製の「Min−EB」等が含まれる。
活性光線が電子線である場合、電子線照射の加速電圧は、十分な硬化を行うためには、30〜250kVとすることが好ましく、30〜100kVとすることがより好ましい。加速電圧が100〜250kVである場合、電子線照射量は30〜100kGyであることが好ましく、30〜60kGyであることがより好ましい。
(ヘ)ステップS114において、形成すべき層がさらにあるかを判定する。形成すべき層がさらにある場合は、ステップS108に戻り、図5に示すように、ひとつの硬化層の厚さ分だけ、ステージ11の位置を下方(Z方向)に移動させる。その後、ステップS110、S112により第nの硬化層を第n−1の硬化層上に形成する。そして、図6、図7に示すように、最終層(第Xの硬化層)が積層されるまで、ステップS108、S110、S112、S114の手順を少なくとも1回以上行って、複数の層を積層させる。ステップS114において、形成すべき層がこれ以上はない場合は、3D造形物前駆体の製造を終了する。
以上により、図8に示すような、モデル材(Ma)およびサポート材(S)からなる3D造形物前駆体を作製することができる。
2.3D造形物前駆体の後硬化
本発明の方法は、3D造形物前駆体を形成する工程の後に、3D造形物前駆体を後硬化する工程を含む。後硬化は、第1のモノマーが有する水硬化性官能基または熱硬化性官能基が反応する条件で行う。第1のモノマーが水硬化性官能基を有する場合は、3D造形物前駆体に水を付与することによって後硬化を行うことができ、第1のモノマーが熱硬化性官能基を有する場合は、3D造形物前駆体を加熱することによって後硬化を行うことができる。
なお、第1のモノマーが、イソシアネート基のように水硬化も熱硬化も可能であるような官能基を有する場合は、水の付与および加熱のいずれによって3D造形物前駆体の後硬化を行ってもよい。
3D造形物前駆体に水を付与して後硬化を行うとは、モデル材が含有する第1のモノマーが有する水硬化性官能基が反応する条件となるように、3D造形物前駆体に水を付与することをいう。たとえば、水または水に界面活性剤等の硬化促進剤を溶解した水溶液に3D造形物前駆体を浸漬してもよいし、多湿環境に3D造形物を保持してもよい。
浸漬によって後硬化を行う条件は、第1のモノマーが有する水硬化性官能基の種類によって適宜選択することができるが、前駆体のTg−30℃〜前駆体のTg+30℃の水または水溶液に10分以上60分以下、3D造形物前駆体を浸漬させることが好ましい。水または水溶液の温度を前駆体のTg−30℃以上とすることで、後硬化による架橋構造を十分に形成させることができる。水または水溶液の温度を前駆体のTg+30℃以下とすることで、後硬化の際にガラス転移することによる3D造形物前駆体の変形を防ぐことができる。
多湿環境によって後硬化を行う条件は、第1のモノマーが有する水硬化性官能基の種類によって適宜選択することができるが、相対湿度50%以上90%以下、温度40℃以上70℃以下の環境に10分以上60分以下、3D造形物前駆体を保持することが好ましい。
3D造形物前駆体を加熱して後硬化を行うとは、モデル材が含有する第1のモノマーが有する熱硬化性官能基が反応する条件となるように、3D造形物前駆体を加熱することをいう。
加熱条件は、第1のモノマーが有する熱硬化性官能基の種類によって適宜選択することができるが、60℃以上130℃以下の環境に、1分以上5分以下、3D造形物前駆体を保持することが好ましい。
3.モデル材
モデル材としては、光重合性化合物および光開始剤を含有する3D造形用光硬化性組成物を用いることができる。光重合性化合物は、水硬化性官能基および熱硬化性官能基の少なくともいずれかならびに1つのエチレン重合性基を有する第1のモノマーを含む。光重合性化合物は、1つのエチレン重合性基を有し水硬化性官能基または熱硬化性官能基を有さない第2のモノマー(以下、単に第2のモノマーとも表記する。)を含んでもよい。また、光重合性化合物は、2つ以上のエチレン重合性基を有する第3のモノマー(以下、単に第3のモノマーとも表記する。)を含んでもよい。
3−1.光重合性化合物
3−1−1.第1のモノマー
光重合性化合物は、熱硬化性官能基または水硬化性官能基および1つのエチレン重合性基を有する第1のモノマーを含有する。
水硬化性官能基とは、水性の環境で架橋構造を形成する同じ官能基同士または他の官能基との間で重合反応または架橋反応等を進行させることができる官能基を意味する。水硬化性官能基の例には、イソシアネート基、シランアルコキシド基、シアノ基等が含まれる。これらの水硬化性官能基のうち、反応性の高さから、イソシアネート基およびシランアルコキシド基が好ましい。
熱硬化性官能基とは、加熱によって同じ官能基同士または他の官能基との間で重合反応または架橋反応等を進行させることができる官能基を意味する。熱硬化性官能基の例には、ヒドロキシ基、イソシアネート基、アミノ基、マレイミド基等が含まれる。なお、第1のモノマーが熱硬化性官能基としてヒドロキシ基を有する場合、モデル材はさらにチタンアルコキシド化合物またはチタンキレート化合物を含有することによって、架橋構造を形成することができる。これらの熱硬化性官能基のうち、反応性の高さから、ヒドロキシ基、イソシアネート基およびマレイミド基が好ましい。
チタンアルコキシド化合物とは、一般式Ti(OR)(Rは炭素数1〜18の分岐または直鎖状のアルキル基を表す)で表される化合物である。本発明に用いることのできるチタンアルコキシド化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート等が挙げられる。
チタンキレート化合物とは、チタンが遊離電子対を有する酸素原子からその電子を取って2つの配位結合を形成した化合物である。本発明に用いることのできるチタンキレート化合物としては、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート等が挙げられる。
エチレン重合性基とは、炭素−炭素間の二重結合により重合する性質をもつ重合性基をいう。エチレン重合性基の例には、エチレン基、プロペニル基、ブテニル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリルアミド基、マレイル基、アセチルビニル基、ビニルアミド基およびマレイミド基等が含まれる。これらのうち、第1のモデル材は、(メタ)アクリル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基およびマレイミド基からなる群から選択される1または複数の官能基を有することが好ましく、得られる3D造形物の伸びおよび硬さを高める観点からは(メタ)アクリル基を有することが特に好ましい。なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル」、「メタクリル」の双方又はいずれかを意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又はいずれかを意味する。
水硬化性官能基および1つのエチレン重合性基を有する第1のモノマーの例には、特に限定されないが、2−イソシアナトエチルアクリラート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル等が含まれる。
熱硬化性官能基および1つのエチレン重合性基を有する第1のモノマーの例には、特に限定されないが、2−イソシアナトエチルアクリラート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、ヒドロキシエチルアクリレート等が含まれる。
第1のモノマーの分子量は、160〜500とすることで、3D造形物前駆体の製造時にインクジェット出射性を高めることができる。また、第1のモノマーの分子量を160〜400とすることで、3D造形物前駆体の製造時のインクジェット出射性および硬化性をさらに高めることができる。
3−1−2.第2のモノマー
光重合性化合物は、1つのエチレン重合性基を有し、前記水硬化性官能基または熱硬化性官能基を有さない、第2のモノマーを含んでもよい。
第2のモノマーは、重合することにより線状高分子を形成し、3D造形物の伸びを高めることができる。
第2のモノマーの例には、特に限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、n-ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル−フタル酸、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート等の(メタ)アクリル基を分子内に1つ有するモノマーが含まれる。
第2のモノマーの分子量は、160〜500とすることで、3D造形物前駆体の製造時にインクジェット出射性を高めることができる。また、第2のモノマーの分子量を160〜400とすることで、3D造形物前駆体の製造時のインクジェット出射性および硬化性をさらに高めることができる。
3−1−3.第3のモノマー
光重合性化合物は、2つ以上のエチレン重合性基を有する第3のモノマーを含んでもよい。
第3のモノマーは、3D造形物前駆体の形成時に活性光線を照射されることによって架橋構造を形成し、3D造形物の硬さを高めることができる。
第3のモノマーの例には、特に限定されないが、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基を分子内に2つ有するモノマー、ならびにトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基を分子内に3つ有するモノマーが含まれる。
第3のモノマーの分子量は、160〜500とすることで、3D造形物前駆体の製造時にインクジェット出射性を高めることができる。また、第3のモノマーの分子量を160〜400とすることで、3D造形物前駆体の製造時のインクジェット出射性および硬化性をさらに高めることができる。
3−1−4.モノマーの含有量比
第1のモノマー、第2のモノマーおよび第3のモノマーの種類および含有量は、FOXの式に基づいて求められる、これらを重合された重合体(3D造形物前駆体)のガラス転移温度(Tg)が50℃以上となるように、選択および決定される。なお、第1のモノマーおよび第3のモノマーの含有量が少ない場合(たとえば、第1のモノマーおよび第3のモノマーの含有量が、光重合性化合物の合計モル数に対して15モル%以下の場合)には、第1のモノマーおよび第3のモノマーの含有量が3D造形物前駆体のガラス転移温度(Tg)に及ぼす影響は少ないため、第2のモノマーのTg(第2のモノマーを2種類以上含む場合は、FOXの式に基づいて求められる、これらを重合させた重合体のTg)が50℃以上となるように、第2のモノマーを選択してもよい。
FOXの式によれば、下記の式1によって重合体のガラス転移温度(Tg)を求めることができる。
1/Tg=W/Tg+W/Tg+・・・+W/Tg ・・・(式1)
(式1中、WからWは、それぞれのモノマーの重量分率を表し、TgからTgは、それぞれのモノマーを単独で重合して得られるホモポリマーのガラス転移温度(単位は絶対温度「K」)を表す。TgからTgとしては、たとえば「POLYMERHANDBOOK(J.BRANDRUP・E.H.IMMERGUT,Editors)等に記載の数値を用いてもよい。)
モデル材中の第3のモノマーの具体的な含有量は、特に限定されることはないが、光重合性化合物の合計モル数に対して0.1モル%以上10モル%以下であることが好ましい。モデル材中の第3のモノマーの含有量を0.1モル%以上とすることで、形成された架橋構造によって3D造形物の硬さを高めることが可能となる。一方、モデル材中の第3のモノマーの含有量を10モル%以下とすることで、第3のモノマーが3D造形物前駆体の製造時に形成する架橋構造による線状高分子の伸張不足を抑制することができる。
また、モデル材中の第1のモノマーの具体的な含有量と第3のモノマーの具体的な含有量との合計も、特に限定されることはないが、光重合性化合物の合計モル数に対して0.1モル%以上10モル%以下であることが好ましい。これらの架橋するモノマーの割合を0.1モル%以上10モル%以下とすると、線状高分子が十分に形成される一方で十分な数の架橋構造も形成されるため、3D造形物の伸びと硬さを高い程度で両立させることが可能となる。
3−2.光開始剤
本発明に係るモデル材は、光開始剤を含有する。光開始剤としては、光ラジカル開始剤を用いることができる。光ラジカル開始剤と光酸発生剤の両方を組み合わせて用いてもよい。
光ラジカル開始剤には、開裂型と水素引き抜き型とがある。開裂型の光開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系;ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルなどが含まれる。
水素引き抜き型の光開始剤の例には、ベンゾフェノン類(ベンゾフェノン、N,N-ジエチルベンゾフェノン、等)、チオキサントン類(2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等)、アントラキノン類(エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等)、アクリジン類(9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9'-アクリジニル)ヘプタン等)等が含まれる。
光酸発生剤の例には、公知のスルホニウム塩、アンモニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が含まれる。具体的には、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩、ヨードニウム(4−メチルフェニル)(4−(2−メチルプロピル)フェニル)ヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が含まれる。市販の光酸発生剤として、バイエル:UVI−6990、ダイセル・サイテック:Uvacure1591、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ:CGI−552、Ir250、旭電化工業:SP−150、152、170、172、CP−77、サンアプロ:CPI−100P、CPI−101A、CPI−200K、CPI−210S等が含まれる。
また、本発明に係るモデル材は、増感剤を含有してもよい。増感剤としては、例えば、400nm以上の波長の光により増感機能を発現するものを用いることができる。このような増感剤の例には、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン等のアントラセン誘導体等が含まれる。これらの増感剤のうち、市販の物の例には、川崎化成工業:DBA、DEA等が含まれる。
本発明に係るモデル材における光開始剤の含有量は、活性光線や本発明で用いる各種モノマーの種類などにもよるが、モデル材の全質量に対して0.01質量%〜10質量%であることが好ましい。
3−3.剥離剤
本発明に係るモデル材は、その硬化物である3D造形物前駆体とサポート材の硬化物との剥離を容易にするために、さらに剥離剤を含んでもよい。剥離剤は、モデル材の全質量に対して0.01質量%〜3.0質量%含有することが好ましい。0.01質量%未満ではステージとの剥離性が低下し、3.0質量%を超えると、硬化前の3D造形用モデル材組成物の液滴が合一しやすくなり、形状がゆがむ原因となることがある。
剥離剤としては、シリコン界面活性剤、フッ素界面活性剤、セバシン酸ステアリルのような高級脂肪酸エステルが挙げられるが、好ましくは、シリコン界面活性剤である。また、剥離剤は、3D造形用モデル材組成物、下記で述べるサポート材用組成物のいずれかに含有させればよいが、好ましくは両方に含有させることがより好ましい。
3−4.他の成分
本発明に係るモデル材には、必要に応じて光開始助剤や重合禁止剤などがさらに含まれていてもよい。光開始助剤は、第3級アミン化合物であってよく、芳香族第3級アミン化合物が好ましい。芳香族第3級アミン化合物の例には、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N-ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミンおよびN,N-ジメチルヘキシルアミン等が含まれる。なかでも、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステルが好ましい。3D造形用モデル材組成物に、これらの化合物が、一種のみ含まれていてもよく、二種類以上が含まれていてもよい。
重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等が含まれる。
また、3D造形用モデル材組成物には、前記第1のモノマー、第2のモノマーまたは第3のモノマー以外の重合性化合物が含まれていてもよい。含まれていてもよい重合性化合物には、上記した以外のモノマー、重合度が2〜20であり重合性を有するオリゴマーおよび重合性を有するポリマー等が含まれる。
4.サポート材
サポート材としては、特に限定されないものの、その硬化物が水溶性であるかもしくは水膨潤性であるような組成物、またはその硬化物が熱溶融するような組成物、を含有するものを用いることができる。
その硬化物が水溶性であるかまたは水膨潤性であるような組成物としては、例えば、光重合性官能基(炭素炭素不飽和基など)を有する水溶性化合物と、光開裂型開始剤と、水と、を主成分とする光硬化樹脂組成物でありうるが、特に限定されない。サポート材には、さらに水溶性高分子が含まれていてもよい。
上記水溶性化合物の例には、水溶性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシプロピレンジアクリレート、アクロロイルモルホリン、ヒドロキシアルキルアクリレート;水溶性のアクリルアミドとして、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミドなどが含まれる。上記光開裂型開始剤の例には、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパン-1-オンなどが含まれる。上記水溶性高分子の例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコールなどが含まれる。
その硬化物が熱溶融するような組成物の例には、オクタデカノールおよびヘキサデカノール等の炭素数が6以上30以下の高級飽和脂肪族アルコール、ならびにパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、エステルワックス、アミドワックス、PEG20000などのワックス類等が含まれる。
サポート材は上記の中から任意に選択することができるが、その硬化物が熱溶融するような組成物を含むサポート材を用いる場合は、3D造形物前駆体の融点およびガラス転移温度よりも低い温度で熱溶融する組成物を選択すると、サポート材を除去する際の3D造形物前駆体の変形を防止することができる。また、モデル材が含有する前記第1のモノマーの前記水硬化性官能基または熱硬化性官能基が反応する条件で、その硬化物が溶解、膨潤または溶融するような組成物を含むようなサポート材を用いると、後硬化とサポート材の除去とを同一の作業によって行うことができるため、より効率的に3D造形物の製造を行うことができる。
5.3D造形用インクセット
本発明に係るモデル材と本発明に係るサポート材とを3D造形用インクセットとしてもよい。このとき、モデル材が含有する前記第1のモノマーの前記水硬化性官能基または熱硬化性官能基が反応する条件で、その硬化物が溶解、膨潤または溶融するような組成物を含むようなサポート材を、そのモデル材と組みあわせて3D造形用インクセットとすることもできる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
(実施例1)
モデル材1の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材1を作製した。
[モデル材1の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 1.7g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 96.7g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例2)
モデル材2の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材2を作製した。
[モデル材2の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 1.7g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 96.7g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例3)
モデル材3の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材3を作製した。
[モデル材3の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 0.03g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 98.37g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例4)
モデル材4の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材4を作製した。
[モデル材4の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 0.17g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 98.23g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例5)
モデル材5の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材5を作製した。
[モデル材5の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 3.57g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 94.83g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例6)
モデル材6の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材6を作製した。
[モデル材6の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 5.55g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 92.85g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例7)
モデル材7の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材7を作製した。
[モデル材7の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 1.34g
トリデシルメタクリレート(サートマー社製SR493) 97.06g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例8)
モデル材8の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材8を作製した。
[モデル材8の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 1.73g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 91.01g
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 5.66g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例9)
モデル材9の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材9を作製した。
[モデル材9の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 1.77g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 62.82g
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 33.81g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例10)
モデル材10の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材10を作製した。
[モデル材10の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 1.03g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 96.27g
1,6ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学社製A−HD−N) 1.10g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例11)
モデル材11の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材11を作製した。
[モデル材11の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 2.14g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 92.82g
1,6ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学社製A−HD−N) 3.43g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例12)
モデル材12の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材12を作製した。
[モデル材12の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 1.08g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 91.01g
1,6ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学社製A−HD−N) 6.31g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例13)
モデル材13の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材13を作製した。
[モデル材13の組成]
アクリル酸3‐(トリメトキシシリル)プロピル(信越化学社製KBM−5103) 2.83g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 95.57g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例14)
モデル材14の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材14を作製した。
[モデル材14の組成]
アクリル酸2−ヒドロキシプロピル(共栄社化学社製ライトエステルHOP−A) 1.51g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 91.89g
テトライソプロピルチタネート(マツモトファインケミカル社製TA−10) 5g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例15)
モデル材15の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材15を作製した。
[モデル材15の組成]
アクリル酸2−ヒドロキシプロピル(共栄社化学社製ライトエステルHOP−A) 3.13g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 90.27g
テトライソプロピルチタネート(マツモトファインケミカル社製TA−10) 5g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(実施例16)
モデル材16の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材16を作製した。
[モデル材16の組成]
マレイミドアクリレート(東亜合成社製アロニックスUVT−302) 2.86g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 95.54g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(比較例1)
モデル材17の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材17を作製した。
[モデル材17の組成]
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 95.67g
1,6ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学社製A−HD−N) 2.73g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(比較例2)
モデル材18の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材18を作製した。
[モデル材18の組成]
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 95.67g
1,6ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学社製A−HD−N) 2.73g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
(比較例3)
モデル材19の調製
以下の成分を混合および溶解させてモデル材19を作製した。
[モデル材19の組成]
アクリル酸2‐イソシアナトエチル(昭和電工社製カレンズAOI) 1.79g
イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製IBXA) 52.78g
フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPO−A) 43.83g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
サポート材1の調製
以下の成分を混合および溶解させてサポート材1を作製した。
[サポート材1の組成]
N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製) 85g
プロピレングリコール(分子量500程度) 10g
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル) 0.1g
DAROCURE TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤 BASF社製) 1.5g
サポート材2の調製
以下の成分を混合および溶解させてサポート材2を作製した。
[サポート材2の組成]
オクタデカノール 60g
ヘキサデカノール 40g
各実施例および比較例のモデル材をコニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512Lの第1ヘッドに、サポート材を同様の型式の第2ヘッドに充填した。ステージを水平方向に走査して第1ヘッドからモデル材を、第2ヘッドからサポート材を図9(i)に示すように出射しUV光を照射して硬化させて第1の硬化層を形成し、次いで垂直方向にヘッドと光源を上昇させ、形成した層上に図9(ii)に示すようにモデル材よびサポート材を出射し硬化させて第2の硬化層を積層し、形成した層上に図9(iii)に示すようにモデル材よびサポート材を出射し硬化させて第3の硬化層を積層し・・・を繰り返し、図9(iv)に示すような3D造形物前駆体を作成した。モデル材またはサポート材の出射は、ヘッド温度を「75℃以下であってモデル材またはサポート材の粘度が10mPa・sとなる温度」、75℃でもモデル材またはサポート材の粘度が10mPa・s超となる場合は「75℃」、に設定した。1L相当のモデル材またはサポート材を、1滴の液滴量42pl、8kHzの周波数の条件で出射した。UV光源は高圧水銀灯を用い、各層が照度100mW/cmで1秒間光照射される条件とした。
モデル材を硬化させた3D造形物前駆体の平均Tgは、TAインスツルメント製DMA(Q800)を使用し、引張モード(JIS K 7244−4 t=1mm以下)の条件で温度0℃から200℃の条件で測定した。
上記3D造形物前駆体を対応する後処理を実施してサポート層を除去すると共に後架橋して、JIS K 7162により規定される標準試験片である1A形試験片の形状および寸法を有する、実施例および比較例の3D造形物を得た。
後架橋は、以下の条件で行った。実施例1〜8、10〜13、比較例1について70℃の温水に30分浸漬した。実施例9および比較例3については40℃温水に60分浸漬した。実施例14〜16、比較例2については70℃のオーブンに造形物を3分入れて加熱した。
なお、実施例1については、サポート材を用いずに、JIS K 7162により規定される標準試験片である1A形試験片の形状および寸法を有する3D造形物を作成した。
(破断伸びと破断強度、弾性率の測定)
上記作成した実施例および比較例の3D造形物をテンシロンで以下の条件で引張試験を実施し破断伸び、破断強度および弾性率を測定した。
引張速度:50mm/min
チャック間距離:8cm
(評価基準−破断伸び)
◎:破断伸びが15%以上
○:破断伸びが10%以上15%以下
△:破断伸びが5%以上10%以下
×:破断伸びが5%未満
(評価基準−破断強度)
◎:破断強度が30MPa以上
○:破断強度が20MPa以上30MPa以下
×:破断強度が10MPa未満
(評価基準−弾性率)
◎:弾性率が2500MPa以上
○:弾性率が2000MPa以上2500MPa以下
×:弾性率が2000MPa未満
結果を表1に示す。
Figure 2016002683
本発明の第1のモノマーをモデル材に含有させ、後架橋を行うことで、破断伸び、破断強度および弾性率がいずれも高い3D造形物を製造することができた。
また、後硬化とサポート材除去を同一の作業によって行うことができたため、工程を増加させることなく、後硬化を行うことができた。
本発明の方法によれば、よりABS樹脂に似た性質を有する3D造形物を製造することができる。このようにして製造した3D造形物は、試作品等の用途に、好適に用いることができる。
1 3D造形装置
2 演算制御部
3 記憶装置
4 入力装置
5 出力装置
6 表示装置
11 ステージ
12 造形部
13 第1の吐出ノズル
14 第2の吐出ノズル
16 光源


Claims (16)

  1. 3D造形物の各層におけるモデル材およびサポート材の配置を表す複数の平面データに含まれる第1の平面データに基づいて、該モデル材および該サポート材の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルからステージ上に吐出して第1の膜を形成し、該第1の膜を光硬化させて第1の硬化層を形成し、その後、
    該複数の平面データに含まれる第n(nは2以上の整数)の平面データに基づいて、該モデル材および該サポート材の少なくともいずれか一方をインクジェットヘッドのノズルから第n−1の硬化層上に吐出して第nの膜を形成し、該第nの膜を光硬化させて第nの硬化層を形成するステップを少なくとも1回以上行って、モデル材の層を含む3D造形物前駆体を形成する工程、ならびに、
    該3D造形物前駆体を形成する工程の後に、該3D造形物前駆体を後硬化する工程および該サポート材の硬化物を除去する工程を含む3D造形物の製造方法であって、
    該モデル材は、光重合性化合物および光開始剤を含有し、
    該光重合性化合物は、水硬化性官能基および熱硬化性官能基の少なくともいずれかならびに1つのエチレン重合性基を有する第1のモノマーを含み、
    該後硬化は、該第1のモノマーが有する該水硬化性官能基または該熱硬化性官能基が反応する条件で行い、
    該前駆体のガラス転移温度(Tg)は50℃以上である、方法。
  2. 前記3D造形物前駆体を後硬化する工程は、前記サポート材の硬化物を除去する工程と同一の作業によって行う、請求項1に記載の方法。
  3. 前記3D造形物前駆体を後硬化する工程は、水を付与して硬化する工程であり、前記サポート材は、その硬化物が水溶性であるかまたは水膨潤性であるような組成物を含有する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記第1のモノマーは、前記水硬化性官能基として、イソシアネート基、シランアルコキシド基およびシアノ基から選択される1または複数の官能基を有する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記3D造形物前駆体を後硬化する工程は、熱によって硬化する工程であり、前記サポート材は、その硬化物が熱溶融性であるような組成物を含有する、請求項2に記載の方法。
  6. 前記第1のモノマーは、前記熱硬化性官能基として、ヒドロキシ基、イソシアネート基およびマレイミド基から選択される1またはいずれかの官能基を有し、該熱硬化性官能基がヒドロキシ基である場合、モデル材はさらにチタンアルコキシド化合物またはチタンキレート化合物を含有する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記光重合性化合物は、1つのエチレン重合性基を有し該水硬化性官能基または該熱硬化性官能基を有さない第2のモノマーをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記光重合性化合物は、2つ以上のエチレン重合性基を有する第3のモノマーをさらに含み、前記モデル材中の該第3のモノマーの含有量は、前記光重合性化合物の合計モル数に対して0.1モル%以上10モル%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記モデル材中の前記第1のモノマーの含有量と前記第3のモノマーの含有量との合計は、前記光重合性化合物の合計モル数に対して0.1モル%以上10モル%以下である、請求項8に記載の方法。
  10. 光重合性化合物および光開始剤を含有する3D造形用光硬化性組成物であって、
    該光重合性化合物は、水硬化性官能基および熱硬化性官能基の少なくともいずれかならびに1つのエチレン重合性基を有する第1のモノマーを含み、
    該組成物に活性光線を照射することによって硬化した3D造形物前駆体のガラス転移温度(Tg)は50℃以上である、組成物。
  11. 前記第1のモノマーは、前記水硬化性官能基として、イソシアネート基、シランアルコキシド基およびシアノ基から選択される1または複数の官能基を有する、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記第1のモノマーは、前記熱硬化性官能基として、ヒドロキシ基、イソシアネート基およびマレイミド基から選択される1またはいずれかの官能基を有し、該熱硬化性官能基がヒドロキシ基である場合、前記組成物はさらにチタンアルコキシド化合物またはチタンキレート化合物を含有する、請求項10に記載の組成物。
  13. 前記光重合性化合物は、1つのエチレン重合性基を有し該水硬化性官能基または該熱硬化性官能基を有さない第2のモノマーをさらに含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載の組成物。
  14. 前記光重合性化合物は、2つ以上のエチレン重合性基を有する第3のモノマーをさらに含み、前記組成物中の該第3のモノマーの含有量は該光重合性化合物の合計モル数に対して0.1モル%以上10モル%以下である、請求項10〜13のいずれか1項に記載の組成物。
  15. 前記組成物中の前記第1のモノマーの含有量と前記第3のモノマーの含有量との合計は、該光重合性化合物の合計モル数に対して0.1モル%以上10モル%以下である、請求項14に記載の組成物。
  16. 請求項10〜15のいずれか1項に記載の組成物を含むモデル材と、
    該モデル材が含有する前記第1のモノマーの前記水硬化性官能基または熱硬化性官能基が反応する条件で、その硬化物が溶解、膨潤または溶融するような組成物を含むサポート材と、を含む3D造形用インクセット。

JP2014123547A 2014-06-16 2014-06-16 3d造形物の製造方法、3d造形用光硬化性組成物および3d造形用インクセット Pending JP2016002683A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014123547A JP2016002683A (ja) 2014-06-16 2014-06-16 3d造形物の製造方法、3d造形用光硬化性組成物および3d造形用インクセット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014123547A JP2016002683A (ja) 2014-06-16 2014-06-16 3d造形物の製造方法、3d造形用光硬化性組成物および3d造形用インクセット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016002683A true JP2016002683A (ja) 2016-01-12

Family

ID=55222371

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014123547A Pending JP2016002683A (ja) 2014-06-16 2014-06-16 3d造形物の製造方法、3d造形用光硬化性組成物および3d造形用インクセット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016002683A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017159871A1 (ja) * 2016-03-18 2017-09-21 株式会社リコー 活性エネルギー線硬化型組成物、立体造形物の製造方法、及び立体造形物の製造装置
JP2018043390A (ja) * 2016-09-13 2018-03-22 株式会社東芝 積層造形装置の材料供給装置、及び積層造形装置
JP2018122499A (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 マクセルホールディングス株式会社 光造形用インクセット、光造形品、及び、光造形品の製造方法
JP2019535554A (ja) * 2016-11-14 2019-12-12 コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトCovestro Deutschland Ag 前駆体から物体を製造する方法、および付加製造法におけるラジカル架橋性樹脂の使用
JP2021518293A (ja) * 2018-03-16 2021-08-02 ナノ−ディメンション テクノロジーズ,リミテッド 3次元セラミックパターンのインクジェット印刷
US20210331394A1 (en) * 2019-01-09 2021-10-28 Ford Global Technologies, Llc Methods of post-curing additive manufacturing parts using electron beams

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017159871A1 (ja) * 2016-03-18 2017-09-21 株式会社リコー 活性エネルギー線硬化型組成物、立体造形物の製造方法、及び立体造形物の製造装置
JPWO2017159871A1 (ja) * 2016-03-18 2019-01-24 株式会社リコー 活性エネルギー線硬化型組成物、立体造形物の製造方法、及び立体造形物の製造装置
JP2018043390A (ja) * 2016-09-13 2018-03-22 株式会社東芝 積層造形装置の材料供給装置、及び積層造形装置
JP2019535554A (ja) * 2016-11-14 2019-12-12 コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトCovestro Deutschland Ag 前駆体から物体を製造する方法、および付加製造法におけるラジカル架橋性樹脂の使用
JP7216644B2 (ja) 2016-11-14 2023-02-01 コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト 前駆体から物体を製造する方法、および付加製造法におけるラジカル架橋性樹脂の使用
JP2018122499A (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 マクセルホールディングス株式会社 光造形用インクセット、光造形品、及び、光造形品の製造方法
JP2021518293A (ja) * 2018-03-16 2021-08-02 ナノ−ディメンション テクノロジーズ,リミテッド 3次元セラミックパターンのインクジェット印刷
US20210331394A1 (en) * 2019-01-09 2021-10-28 Ford Global Technologies, Llc Methods of post-curing additive manufacturing parts using electron beams

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016002683A (ja) 3d造形物の製造方法、3d造形用光硬化性組成物および3d造形用インクセット
JP6033510B1 (ja) 三次元造型サポート材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
JP6451288B2 (ja) モデル材インク、インクセットおよび3d造形物を製造する方法
WO2017018453A1 (ja) モデル材用樹脂組成物、サポート材用樹脂組成物、光造形品、および、光造形品の製造方法
JP2015174919A (ja) 3d造形用光硬化組成物および3d造形物の製造方法
JP2015078255A (ja) 三次元造形用インクジェットインク組成物および三次元造形物の製造方法
JP6384485B2 (ja) 三次元造形用インクジェットインク組成物および三次元造形物の製造方法
WO2011125335A1 (ja) パターン形成方法及びパターン基板製造方法
JP2011222647A (ja) パターン形成方法及びパターン基板製造方法
JP6269340B2 (ja) 3d造形用組成液、3d造形用インクセットおよび3d造形物の製造方法
CN105820552B (zh) 三维造型用支持材料、三维造型用组合物组、三维造型装置及制备三维成型体的方法
JP6662041B2 (ja) インク組成物および画像又は三次元造形物形成方法
JP2010155889A (ja) 光硬化性液状樹脂組成物およびインクジェット光造形法による支持体の製造方法
JP2017052177A (ja) 三次元造形物の製造方法、三次元造形用支持材、三次元造形用支持材カートリッジ、及び三次元造形用組成物セット
JP6672874B2 (ja) 三次元造形用支持材、三次元造形用支持材カートリッジ、三次元造形用組成物セット、三次元造形装置、及び三次元造形物の製造方法
WO2017222025A1 (ja) モデル材用樹脂組成物、および、光造形品の製造方法
JP6399084B2 (ja) 3d造形用光硬化性組成物および3d造形物の製造方法
WO2017159358A1 (ja) モデル材用組成物、光造形品、および、光造形品の製造方法
JP6801303B2 (ja) 三次元造形物の製造方法、三次元造形装置、及び、造形台用部材
JP6269333B2 (ja) 3d造形用モデル材組成物、3d造形用インクセットおよび3d造形物の製造方法
JP2018154717A (ja) 三次元造形材、三次元造形材カートリッジ、三次元造形装置、及び三次元造形物の製造方法
JP6801301B2 (ja) 三次元造形物の製造方法、三次元造形装置、及び、造形台用部材
JP6269339B2 (ja) 3d造形用組成液、3d造形用インクセットおよび3d造形物の製造方法
JP6801302B2 (ja) 三次元造形物の製造方法、三次元造形装置、及び、造形台用部材
JP2020044778A (ja) 造形材、造形物、三次元造形装置、及び三次元造形物の製造方法