JP2015528114A - 乾燥スティックデバイスおよびサンプル中の分析物の決定方法 - Google Patents

乾燥スティックデバイスおよびサンプル中の分析物の決定方法 Download PDF

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Abstract

サンプル中の分析物を決定するための新規の改善された乾燥スティック構築物が提供される。乾燥スティックデバイスは、(i)キャビティを含む固体担体と、(ii)分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、キャビティは少なくとも1つの乾燥試薬を含む。また本発明は、自動または半自動システムも提供する。さらに本発明は、泌乳動物の群れの生産能力を最適化するための自動または半自動システムを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、改善された乾燥スティック構築物、このような乾燥スティックの製造方法、およびサンプル中の分析物の分析におけるその使用に関する。また本発明は、改善された乾燥スティック構築物を含む自動または半自動システムにも関する。さらに、本発明は、泌乳動物の群れの生産能力を最適化するための、改善された乾燥スティック構築物を含む自動または半自動システムに関する。
迅速で信頼性のある診断テストに対する需要が高まっている。現在、使用される診断テストの大部分は、検出可能なシグナルを発生させることができる1つまたは複数の試薬を含侵させた単一の多孔質材料層(フィルタパッドなど)を含む。1つまたは複数の試薬が単一の多孔質材料層内に存在するので、このような診断テストは非分割型である。
このような非分割型乾燥スティックを使用する場合、多孔質材料は流体サンプルと接触され、それにより色の変化または色の強度の変化が引き起こされ、これを用いて、特定の効果が達成されたかどうかを検証する、あるいはサンプル中に存在する分析物の量を定量的に決定する。
最適貯蔵安定性および最適性能が同じ環境条件(例えば、pHおよび/または塩含量)で達成されることはほとんどないので、分割されていない環境を含む乾燥スティックデバイスは、含侵された試薬の貯蔵安定性および性能の両方を妥協し得る。
従って、非分割型乾燥スティックデバイスを用いることにより、試験紙の環境は、乾燥スティックデバイスが容認可能な(しかし、最適でない)貯蔵安定性と、容認可能な(しかし、最適でない)性能とを示すように作られる。
これらの問題を乗り越えるために分割型乾燥スティックが開発された。従来技術の分割型乾燥スティックは、(i)試薬の貯蔵安定性と、(ii)試薬の性能と、(iii)分析物と試薬の間の反応の速度とを支持するように作られている。従来技術の分割型乾燥スティックは、異なる試薬を含侵させた多孔質材料から作られた異なるパッド層を含む。
しかしながら、パッドの使用により、このような分割型乾燥スティックの製造プロセスは時間がかかると共に費用もかかる。
分割型乾燥スティックを調製する場合、パッドを構成する多孔質材料は、それぞれの試薬が含侵される。続いて多孔質材料は積層され、次にスライスされ、パッドに切断された後、固体担体に取り付けられる。あるいは、スライスされた多孔質材料が固体担体に取り付けられた後、スティックに切断される。これらのプロセスステップは全て時間がかかると共に費用もかかり、そして製造不良のリスクを高める。さらに、スリッティング(slitting)および切断ステップの間に発生する粉塵は、作業環境に悪影響を及ぼし得る。多孔質材料は、含浸の非一貫性が頻繁に起こる材料の縁部の使用を回避するためにトリミングされなければならないので、収率損失も遭遇され得る。
積層ステップを除いて、単一の多孔質材料パッドを含む非分割型乾燥スティックの製造においても同じプロセスステップが使用されなければならない。
明らかに、当該技術分野において、再現可能で安価であり、そして製造が容易かつ迅速である、改善された非分割型および分割型乾燥スティックが必要とされている。さらに、作業環境に悪影響を与えない製造方法が必要とされている。
本発明の目的は、サンプル中の分析物を決定するための改善された乾燥スティック構築物に関する。改善された乾燥スティック構築物は、非分割型または分割型乾燥スティック構築物である。
特に、本発明の目的は、多孔質材料の使用を回避することによって上記の従来技術の問題を解決する、改善された乾燥スティック構築物を提供することであると考えることができる。
従って、本発明は、一態様では、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックに関し、前記デバイスは、キャビティを含む固体担体と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、キャビティは少なくとも1つの乾燥試薬を含む。
本発明の別の態様はサンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックに関し、前記デバイスは、キャビティを含む固体担体と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、少なくとも1つの乾燥試薬は、キャビティの少なくとも一部に固定される。
本発明の態様はサンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックに関し、前記デバイスは、キャビティを含む固体担体と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、少なくとも1つの乾燥試薬は、乾燥によってキャビティの少なくとも一部に固定される。
本発明のさらなる態様はサンプル中の分析物を決定するための方法に関し、前記方法は、(a)キャビティを含む固体担体と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、キャビティが少なくとも1つの乾燥試薬を含む乾燥スティックデバイスのキャビティに、サンプルを適用するステップと、(b)少なくとも1つの乾燥試薬と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物とを反応させて、検出可能なシグナルを提供するステップとを含む。
また本発明のさらなる態様はサンプル中の分析物を決定するための方法に関し、前記方法は、(a)キャビティを含む固体担体と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、少なくとも1つの乾燥試薬がキャビティの少なくとも一部に固定される乾燥スティックデバイスのキャビティに、サンプルを適用するステップと、(b)少なくとも1つの乾燥試薬と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物とを反応させて、検出可能なシグナルを提供するステップとを含む。
本発明のさらに別の態様は乾燥スティックデバイスの調製方法に関し、前記方法は、キャビティを含む担体を提供するステップと、少なくとも1つの乾燥試薬または少なくとも1つの試薬を提供するステップと、少なくとも1つの乾燥試薬または少なくとも1つの試薬をキャビティに施すステップと、乾燥スティックデバイスを得るステップとを含む。
本発明のさらに別の態様は、(a)キャビティを含む固体担体と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、キャビティが少なくとも1つの乾燥試薬を含む、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスと、(b)分析すべきサンプルを得るためのサンプリング手段であって、データ保存手段によって制御され、事前に選択された時点または事前に選択された時間間隔においてのみ活性化されるサンプリング手段とを含む自動または半自動システムに関する。
本発明の態様は、(a)キャビティを含む固体担体と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、少なくとも1つの乾燥試薬がキャビティの少なくとも一部に固定される、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスと、(b)分析すべきサンプルを得るためのサンプリング手段であって、データ保存手段によって制御され、事前に選択された時点または事前に選択された時間間隔においてのみ活性化されるサンプリング手段とを含む自動または半自動システムに関する。
本発明のさらなる態様は、システムによって識別可能な独自の識別コードがそれぞれ割り当てられた複数の個々の群メンバーを含む泌乳動物の群れの生産能力を最適化するための自動または半自動システムに関し、本システムは、泌乳動物の個々のメンバーの乳サンプル中の少なくとも1つの分析物を分析するための分析手段を含み、前記分析手段は、(a)キャビティを含む固体担体と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、キャビティが少なくとも1つの乾燥試薬を含む、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスと、(b)乳サンプルの一部をそれぞれ別の分析手段へ方向付けるための手段であって、個々の群メンバーの生産または泌乳サイクルにおいて事前に選択された時点または事前に選択された時間間隔においてのみ方向付け手段が活性化されるように、個々の群メンバーのそれぞれの生理および栄養状態のデータ(前記群メンバーの繁殖および泌乳サイクルにおける時点を示すデータを含む)の保存手段によって制御される方向付け手段とを含む。
本発明のさらなる態様は、システムによって識別可能な独自の識別コードがそれぞれ割り当てられた複数の個々の群メンバーを含む泌乳動物の群れの生産能力を最適化するための自動または半自動システムに関し、本システムは、泌乳動物の個々のメンバーの乳サンプル中の少なくとも1つの分析物を分析するための分析手段を含み、前記分析手段は、(a)キャビティを含む固体担体と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、少なくとも1つの乾燥試薬がキャビティの少なくとも一部に固定される、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスと、(b)乳サンプルの一部をそれぞれ別の分析手段へ方向付けるための手段であって、個々の群メンバーの生産または泌乳サイクルにおいて事前に選択された時点または事前に選択された時間間隔においてのみ方向付け手段が活性化されるように、個々の群メンバーのそれぞれの生理および栄養状態のデータ(前記群メンバーの繁殖および泌乳サイクルにおける時点を示すデータを含む)の保存手段によって制御される方向付け手段とを含む。
図1Aは、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスの例を示す。 図1Bは、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスの例を示す。 図2Aは、サンプル中の分析物を決定するための区画化乾燥スティックデバイスの例を示す。 図2Bは、サンプル中の分析物を決定するための区画化乾燥スティックデバイスの例を示す。 図2Cは、サンプル中の分析物を決定するための区画化乾燥スティックデバイスの例を示す。 図3は、サンプル中の分析物を決定するための階層型乾燥スティックデバイスの例を示す。 図4は、1つまたは複数の乾燥試薬のラインを含む、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックの例を示す。 図5は、1つまたは複数の乾燥試薬のドットを含む、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックの例を示す。 図6は、異なる乾燥試薬の別々の層を含む、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスの例を示す。 図7は、(i)試薬が同一パッド内に存在する従来の非分割型乾燥スティックの製造方法と、(ii)本発明の方法との間の比較を示す。このような従来の非分割型乾燥スティックの一例として、BHB乾燥スティックが使用される。 図8は、(i)試薬が異なるパッドに分離される従来の分割型乾燥スティックの製造方法と、(ii)本発明の方法との間の比較を示す。このような従来の分割型乾燥スティックの一例として、LDH乾燥スティックが使用される。 図9は、(i)従来のLDHスティック対(ii)新規のLDH乾燥スティックの性能曲線を示す。
本発明は、これから以下においてより詳細に説明されるであろう。
本発明の発明者らは、多孔質材料を含まない新規の改善された乾燥スティック構築物を開発した。本発明の乾燥スティック構築物は、包含される試薬に関して分割されていなくても分割されていてもよい。本発明との関連では、「分割(partitioned)」という用語は、同一の乾燥スティック内に異なる環境(例えば、異なる試薬、pH値および/または塩濃度)を有する乾燥スティックデバイスに関する。一方、「非分割(non−partitioned)」という用語は、試薬が存在するただ1つの環境を含む乾燥スティックデバイスに関する。
実施形態において、本発明の乾燥スティック構築物は、産業および/または最終使用者により要求されるように、貯蔵中の良好な安定性および試験またはアッセイ中の良好な性能の要求に同時に応じる。
サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティック構築物および方法
本発明の改善された乾燥スティック構築物は、(i)キャビティを含む固体担体と、(ii)分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、キャビティは、少なくとも1つの乾燥試薬を含む。
本発明との関連では、「キャビティ」という用語は、固体担体におけるウェルまたは任意の同様の圧痕(indentation)などの空洞であると理解されるべきである。本発明の実施形態において、キャビティの容積は0.1〜1000μLの範囲、例えば1〜100μLの範囲、例えば25〜750μLの範囲、例えば100〜500μLの範囲、好ましくは2〜50μLの範囲である。
本発明の乾燥スティックを用いて発生される検出可能なシグナルは検出前に多孔質材料を通過する必要がないので、発生される検出可能なシグナルは多孔質材料の存在によって弱められず、変動の影響を受けにくい。従来の乾燥スティックでは、多孔質材料によってこのような変動が発生され得る。多孔質材料は品質および色の両方に関して変動することで有名であるため、このような変動は回避するのが困難である。品質が低下するか、あるいは色が異なるまたはむらのある多孔質材料を用いると、そうでない場合に発生される検出可能なシグナルの分化が起こり、従って乾燥スティックの性能が損なわれ得る。さらに、分析物および乾燥試薬の混合は多孔質材料内では困難であり得る。従って、本発明の乾燥スティックにおいて検出可能なシグナルがサンプルから一段階手順で直接得られることは大きな利点である。
従って、本発明の実施形態では、発生される検出可能なシグナルはサンプルから得られる。本発明のさらなる実施形態では、発生される検出可能なシグナルは、サンプルから直接得られる。
従って、実施形態では、本発明は水性サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスに関し、前記デバイスは、キャビティを含む固体担体と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、キャビティは少なくとも1つの乾燥試薬を含み、発生される検出可能なシグナルはサンプルから得られる。
本発明との関連では、「従来の乾燥スティック」という用語は、多孔質材料を含む乾燥スティックであると理解されるべきである。従来の乾燥スティックは、非分割型または分割型乾燥スティックであり得る。本発明との関連では、「多孔質材料」という用語は、サンプルを吸着し、それによりサンプルを多孔質材料の全体にわたってほぼ均一に展開させる材料に関する。
さらに、本発明の乾燥スティック構築物において使用される試薬および/または乾燥試薬の量は、従来の乾燥スティックにおいて使用される量と比較して低減され得る。それは、検出前に多孔質材料を通過しないと、はるかにより強力なシグナルが発生されるからである。同様に、本発明の乾燥スティックを用いて検出可能なシグナルを発生させるために必要とされるサンプルの量は、多孔質材料における吸着が回避されるので、(従来の乾燥スティックと比較して)低減される。
従って、本発明の実施形態では、乾燥スティックは多孔質材料を含まない。
少なくとも1つの乾燥試薬は、固体(例えば、粉末または圧縮粉末)として乾燥スティック中に存在し得る。2つ以上の乾燥試薬が乾燥スティック中に存在する場合、このような乾燥試薬は別々の粉末または別々の圧縮粉末として乾燥スティックのキャビティ内に存在し得る。
乾燥スティックの取り扱い中に固体をキャビティ内に保持するために、キャビティは膜で密封されてもよい。一実施形態では、膜に穴をあけ、それにより少なくとも1つの試薬を適用サンプルと接触させることによって、サンプルがキャビティに適用される。好ましい実施形態では、膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、バイオプラスチック、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
透明膜を使用することも考えることができる。
あるいは、膜は、適用されるサンプルによって溶解可能であり、それにより少なくとも1つの乾燥試薬をサンプルと接触させる材料から作られてもよい。
あるいは、そして膜の使用を回避するために、少なくとも1つの乾燥試薬は、キャビティの少なくとも一部に固定されてもよい。従って、「キャビティの少なくとも一部に固定された乾燥試薬」は、サンプルと接触されるまで移動が実質的に妨げられる乾燥試薬であると理解されるべきである。
従って、一実施形態では、本発明は、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックに関し、前記デバイスは、(i)キャビティを含む固体担体と、(ii)分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含み、少なくとも1つの乾燥試薬は、キャビティの少なくとも一部に固定される。
本発明の実施形態では、このような固定は、コーティング、接着および乾燥を含む。
少なくとも1つの乾燥試薬の固定化は、サンプルが適用される際に少なくとも1つの乾燥試薬の分子の可動性を妨害し得る。従って、このような固定化は、試験またはアッセイ中の性能に悪影響を与え得る。試験中のこの性能の不足を補うために、最適性能を達成するのに必要とされる固定化乾燥試薬の量は増大されることが必要とされ、従って、製造される乾燥スティック当たりのコストの増大が生じ得る。
従って、本発明の実施形態では、少なくとも1つの乾燥試薬は乾燥スティックのキャビティに固定化されない。
固定化は、特にイムノアッセイ(例えば、ELISAなど)から知られており、イムノアッセイでは、固定化された抗体および/または固定化された免疫グロブリンの使用により溶液中の巨大分子の存在または濃度が測定される。イムノアッセイの動作モードは、本発明の乾燥スティックの動作モードとは異なる。本発明の乾燥スティックでは、サンプルが適用され、適用サンプルから検出可能なシグナルが直接得られる。イムノアッセイでは、検出可能なシグナルが得られる前にいくつかの洗浄ステップが必要とされ、それによりこのようなアッセイは、本発明の乾燥スティックと比較してより高価であると共に時間がかかる。さらに、検出可能なシグナルを得るために、サンプルを適用した後、液体反応混合物をイムノアッセイに添加する必要があることがある。
本発明の別の実施形態では、乾燥スティックは、抗体および/または免疫グロブリンを含まない。本発明のさらに別の実施形態では、乾燥スティックはイムノアッセイではない。
少なくとも1つの試薬および/または少なくとも1つの乾燥試薬の形態に応じて、少なくとも1つの試薬および/または少なくとも1つの乾燥試薬は、適用されたら自動的にキャビティの少なくとも一部に接着され得る。これは、少なくとも1つの乾燥試薬および/または少なくとも1つの乾燥試薬が「粘着性」物質(実質的に水を含まない)の形態である場合であり得る。
特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの試薬は、キャビティの少なくとも一部に乾燥される。従って、このような乾燥スティックデバイスは、(i)キャビティを含む固体担体と、(ii)分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬とを含むことができ、少なくとも1つの乾燥試薬は、乾燥によってキャビティの少なくとも一部に固定される。
本発明との関連では、「乾燥」という用語は、水および/または有機溶媒が試薬から除去され(例えば、蒸発によって)、それにより乾燥試薬が得られるプロセスであると理解されるべきである。
また、本発明の発明者らは、サンプル中の分析物を決定するための新規の改善された方法を提供した。本方法は、
(a)(i)キャビティを含む固体担体と、
(ii)分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬と
を含み、キャビティが少なくとも1つの乾燥試薬を含む乾燥スティックデバイスのキャビティに、サンプルを適用するステップと、
(b)少なくとも1つの乾燥試薬と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物とを反応させて、検出可能なシグナルを提供するステップと
を含む。
任意の種類の視覚または機器による手段によって直接または間接的に観察することが可能である検出可能なシグナルは任意の物質によって発生され得る。機器による手段は、例えば、磁気探知器、分光光度計、ELISAリーダーおよび/またはCCDカメラであり得る。種々の適切な化合物がシグナル生成化合物として適切であり得る。本発明において、シグナル生成化合物は、色素原、触媒、蛍光化合物、化学発光化合物、放射性標識、金属、磁性粒子、色素粒子、有機ポリマーラテックス粒子、シグナル生成物質を含有するリポソームまたは他の小胞などからなる群から選択され得る。
従って、本発明の実施形態において、本方法は、
(a)(i)キャビティを含む固体担体と、
(ii)分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬と
を含み、キャビティが少なくとも1つの乾燥試薬を含む乾燥スティックデバイスのキャビティに、サンプルを適用するステップと
(b)少なくとも1つの乾燥試薬と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物とを反応させて、検出可能なシグナルを発生させるステップと、
(c)検出可能なシグナルをサンプルから得るステップと
を含む。
上記のように、本発明の乾燥スティックを用いて検出可能なシグナルを得るために洗浄ステップは必要とされない。従って、本発明の実施形態では、本方法は、洗浄ステップを含まない。
検出可能なシグナルが得られる前に、短時間のインキュベーションが必要とされることもある。従って、本発明の実施形態では、少なくとも1つの乾燥試薬と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物とは、少なくとも1分間、例えば少なくとも2分間、例えば少なくとも3分間、例えば少なくとも4分間、例えば少なくとも5分間、例えば少なくとも6分間、例えば少なくとも7分間、例えば少なくとも8分間、例えば少なくとも9分間、例えば少なくとも10分間、例えば1〜10分間、例えば2〜9分間、例えば3〜8分間、例えば4〜7分間、例えば5〜6分間、好ましくは1〜5分間反応させられる。
本発明との関連では、「湿った状態」という用語は、少なくとも1つの乾燥試薬とサンプルとの間の接触に関し、それにより、少なくとも1つの乾燥試薬は湿潤またはわずかに湿潤する。湿った状態の効果は、少なくとも1つの乾燥試薬が遊離および溶解(移動)され、乾燥スティックデバイスにおける反応が始まり、サンプル中に存在する分析物の量に依存する検出可能なシグナルが生成されることである。
実施形態では、サンプルの適用の後、検出可能なシグナルは、キャビティの上部、底部、または側面から直接得られる。これは、検出可能なシグナルを得るために洗浄ステップが必要とされないことを意味する。従って、検出可能なシグナルは、一段階手順でキャビティから得ることができる。それに応じて、検出可能なシグナルを得るためにサンプルの添加の他に、液体をキャビティに連続して添加する必要もない。そのため、本発明の乾燥スティック構築物はELISAではない。
さらなる実施形態では、本発明はサンプル中の分析物を決定するための方法に関し、前記方法は、
(a)(i)キャビティを含む固体担体と、
(ii)分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬と
を含み、少なくとも1つの乾燥試薬がキャビティの少なくとも一部に固定される乾燥スティックデバイスのキャビティに、サンプルを適用するステップと、
(b) 少なくとも1つの乾燥試薬と、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物とを反応させて、検出可能なシグナルを提供するステップと
を含む。
このような固定は乾燥であることが好ましいこともある。
固体担体
本発明の乾燥スティックは固体担体を含む。本発明との関連では、「固体担体」という用語は、移動に対して、またはサンプルの反応に対して、または試薬に対して影響を与えない材料を指す。言い換えると、固体担体は、試薬を適所に保持するための固定具である。固体担体は乾燥スティックの安定化基盤を提供し、所望の物理的形状を保持するために十分な強度を提供し、検出可能なシグナルの生成を実質的に妨害しない。
本発明の実施形態では、固体担体のための材料は、膜、プラスチック、ガラス(glas)、金属、磁器、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。検出可能なシグナルがキャビティの側面および/または底部から得られる場合、固体担体(または、少なくともキャビティ)は透明な材料で作られるのが好ましいこともある。
プラスチックは、合成有機固体、半合成有機固体およびこれらの組み合わせであり得る。同様に、プラスチックは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、およびこれらの組み合わせであり得る。実施形態では、プラスチックは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、バイオプラスチック、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
試薬および/または乾燥試薬
「試薬(単数)」および/または「試薬(複数)」は、固体、半固体または液体の形態であり得る。固体担体に施される前に、「試薬(単数)」および/または「試薬(複数)」は、水および/または有機溶媒中に溶解されてもよい。あるいは、その元の形態(すなわち、固体、半固体または液体の形態)で固体担体に施されてもよい。
従って、本発明との関連では、「試薬(単数)」、「試薬(複数)」、「乾燥試薬(単数)」および/または「乾燥試薬(複数)」という用語は、検出可能なシグナルを提供するために、サンプル中に存在する分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応する、これらの決定に関与する、あるいはこれらの決定のために必要である化学および/または酵素物質に関する。試薬の組み合わせ、より具体的には、2つ以上の試薬、例えば3つ以上の試薬、例えば4つ以上の試薬、例えば5つ以上の試薬、例えば6つ以上の試薬に関する類似の定義が提供され得る。
本発明との関連では、「乾燥試薬」という用語は、水を実質的に含まない試薬であると理解されるべきである。従って、本発明の実施形態では、乾燥試薬は、5%w/w未満の水、例えば4%w/w未満の水、例えば3%w/w未満の水、例えば2%w/w未満の水、例えば1%w/w未満の水、例えば0.5%w/w未満の水、例えば0.01%w/w未満の水、例えば0.01%w/w〜5%w/wの範囲の水、例えば1%w/w〜4%w/wの範囲の水、例えば2%w/w〜3%w/wの範囲の水、例えば0.5%w/w〜1%w/wの範囲の水、例えば0.01%w/w〜0.5%w/wの範囲の水を含む。好ましい実施形態では、乾燥試薬は水を含まない。本発明の実施形態では、乾燥試薬は、得られた乾燥スティックにおいて、固体(例えば、粉末)、半固体、または液体の形態であり得る。
分析物
上記の原理に基づく乾燥スティックまたは方法は、当業者に知られている適切なシグナル生成化合物を選択することによって広範囲の分析物を決定するために使用することができる。従って、本発明は、本明細書中で言及される例に限定される必要はない。
本発明の実施形態では、アッセイすべき分析物は、タンパク質、酵素、脂質、炭水化物、抗生物質、ホルモン、ビタミンおよび化合物からなる群から選択され得る。
本発明の実施形態では、ホルモンはステロイドである。ステロイドは、プレグネノロン、プロゲステロン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、エストロン、エストラジオール、コルチゾール、コルチゾン、アルドステロン、コルチコステロン、アンドロステンジオン、17α−OH−プレグネノロン、17α−OH−プロゲステロン、11−デオキシ(desoxy)−コルチコステロン、11−デオキシコルチゾール(desoxycortisol)、デヒドロエピアンドロステロンおよび黄体形成ホルモンの群から選択され得る。
酵素は、カタラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、アルカリホスファターゼ、酸ホスファターゼ、カルボキシルエステラーゼ、アリールエステラーゼ、β−グルクロニダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、リパーゼ、リゾチーム、キサンチンオキシダーゼ、プラスミンおよびベータ−N−アセチルヘキソサミニダーゼ(NAGase)およびプロスタグランジンDシンターゼ(PGDS)からなる群から選択され得る。
好ましい実施形態では、酵素は、LDHおよびNAGaseからなる群から選択される。
化合物は、尿素、トリグリセリドおよびケトン体からなる群から選択され得る。ケトン体は、アセトアセタート、ベータ−ヒドロキシブチラート(BHB)、クエン酸、乳酸、アセトン、アスコルビン酸、ニトラート、ウロビリノーゲンおよびコレステロールからなる群から選択され得る。
好ましい実施形態では、化合物は、尿素およびBHBからなる群から選択される。
炭水化物は、単糖および/または二糖であり得る。単糖は、グルコースまたはガラクトースであり得る。二糖はラクトースであり得る。
さらにより好ましい実施形態では、分析物は、LDH、尿素およびBHBからなる群から選択される。
別の実施形態では、分析物は、乾燥スティック中に酵素が存在して分析物の決定に関与するかどうかに関係なく、酵素であり得る。
サンプル
本発明との関連では、「サンプル」という用語は、液体または溶液の形態で見られる任意のサンプルに関する。またこの用語は、アッセイの際に液体において、液化、溶解および/または懸濁され得る気体にも関する。またこの用語は、例えば、溶液、懸濁液またはエマルションの形態で液体サンプルを形成するように変化されれば、固体サンプルにも関する。
乾燥スティック試験に適用する前に必要な液体サンプルの取り扱いステップ数が最小であることが好ましい。本発明との関連では、「取り扱いステップ」という用語は、アッセイデバイスに適用する前の、液体サンプルの任意の種類の前処理に関する。この前処理には、分離、ろ過、希釈、蒸留、濃度、妨害化合物の不活性化、遠心分離、加熱、固定、試薬の添加、または化学処理が含まれる。
本発明の実施形態では、サンプルは哺乳類から採取することができ、好ましくは、哺乳類は、群れ動物、雌ウシ、ラクダ、水牛、ブタ、ウマ、シカ、ヒツジ、ヤギ、ペットおよびヒトからなる群から選択される。またサンプルは、ヘビ、魚および鳥などの他のタイプの動物からも採取され得る。
本発明の好ましい実施形態では、サンプルは、任意の望ましい源に由来することができるが、サンプルは、乳、血液、血清、血漿、唾液、尿、汗、眼球レンズ流体、脳脊髄液、腹水、粘膜流体、滑液、腹水、羊水、毛髪などからなる群から選択されるのが好ましい。
またサンプルは、細菌または細菌由来の源、植物または植物由来の源、真菌または真菌由来の源、製造プロセス、水源、食物源、飼料源、油源および/またはミネラル源から得ることもできる。
製造プロセスは、発酵プロセス、生化学プロセスおよび化学合成プロセスなどであるがこれらに限定されない任意の種類の製造プロセスであり得る。
同様に、水源は、湖、小川、川、開放水域および精製プラントなどであるがこれらに限定されない任意の種類の水源であり得る。
ミネラル源は、採掘ストリーム(mining stream)であり得る。
乾燥スティック構築物のさらなる実施形態
本発明の実施形態では、分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応することができる少なくとも1つの乾燥試薬は、キャビティの別々の部分に存在し得る。
このような乾燥試薬の分離は、アッセイ中により速くかつより均一である検出可能なシグナルを提供する。2つ以上の乾燥試薬が乾燥スティック中に存在する場合、乾燥試薬間のあらゆる種類の反応が回避されるので、乾燥試薬のこのような分離は乾燥スティックの貯蔵安定性を改善し得る。湿った状態のときに、乾燥試薬は分析物と反応して、検出可能なシグナルを提供する。
従って、乾燥試薬の分離を含まない乾燥スティックは非分割型乾燥スティックとみなされ得るが、2つ以上の分離された乾燥試薬を含む乾燥スティックは、キャビティの各部分が原則として異なる環境であるので分割型乾燥スティックと見なされ得る。湿った状態のときに、新しい環境が生じる。
実施形態では、乾燥試薬は、キャビティの表面に存在する乾燥ラインまたは乾燥ドットにおいて分離され得る(例として、図4および5を参照されたい)。
乾燥試薬の容易な分離を提供し、乾燥スティックの貯蔵安定性を改善するために、キャビティは区画化され得る(例として、図2A〜2Cを参照されたい)。
従って、本発明の実施形態では、キャビティは、少なくとも2区画、例えば少なくとも3区画、例えば少なくとも4区画、例えば少なくとも5区画、例えば少なくとも10区画、例えば少なくとも20区画、例えば少なくとも30区画を含む。
従って、2つ以上の乾燥試薬、例えば3つ以上の乾燥試薬、例えば4つ以上の乾燥試薬、例えば5つ以上の乾燥試薬、例えば10以上の乾燥試薬、例えば20以上の乾燥試薬、例えば30以上の乾燥試薬、例えば40以上の乾燥試薬、例えば50以上の乾燥試薬を別々の区画に固定できることになる。乾燥試薬は同じであっても異なっていてもよい。
好ましい実施形態では、2つ以上の乾燥試薬、例えば3つ以上の乾燥試薬、例えば4つ以上の乾燥試薬、例えば5つ以上の乾燥試薬、例えば10以上の乾燥試薬、例えば20以上の乾燥試薬、例えば30以上の乾燥試薬、例えば40以上の乾燥試薬、例えば50以上の乾燥試薬が別々の区画に乾燥され得る。この場合も、乾燥試薬は同じであっても異なっていてもよい。
区画化されたキャビティは、乾燥試薬がキャビティの異なる部分に存在する実施形態の代替例であると見なすことができる。結果は同じであり、より速くかつより均一であるシグナルおよび/または改善された乾燥スティックの貯蔵安定性が提供されると考えられる。
別の実施形態では、キャビティは階層化される(例として、図3を参照されたい)。従って、特定の連鎖反応が所望される場合には、乾燥スティックは、階層型キャビティにおいて特定の一連の乾燥試薬を有するように設計され得る。乾燥試薬の分離を含むこのような乾燥スティックは、サンプルが適用される前に乾燥試薬間の任意の反応が回避されるので、従来の乾燥スティックと比較して改善された貯蔵安定性を示し得る。さらに、一連の乾燥試薬は、サンプル成分の沈殿を制限および/または回避するように配列され、従って、得られる検出可能なシグナルが改善される。この点について、階層型キャビティを含む乾燥スティックにも沈殿に関して同じ考察が適用可能であるので、別々の層を含む乾燥スティックに関する以下の部分を参照されたい。
本発明のさらなる実施形態では、乾燥試薬は、キャビティの少なくとも一部において少なくとも2つの別々の層、例えばキャビティの少なくとも一部において少なくとも3つの層、例えば少なくとも4つの層、例えば少なくとも5つの層、例えば少なくとも6つの層内に存在することができる(例として、図6を参照されたい)。
実施形態では、乾燥試薬の1つは、分析物と反応して検出可能なシグナルを提供するために乾燥試薬または乾燥試薬の組み合わせに必要とされる条件を提供することができる制御化合物であり得る。さらに、制御化合物は、サンプル中に存在する分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と、乾燥試薬との間の反応の速度を増大することが可能であり得る。本発明の実施形態では、制御化合物は、酸、塩基または塩であり得る。
好ましくは、制御化合物は、湿った状態のときにpH6未満、例えばpH5未満、例えばpH4未満、例えばpH3未満、例えばpH2未満、例えばpH1未満、例えばpH0未満、例えばpH0〜6の範囲、例えばpH0〜5の範囲、例えばpH0〜4の範囲、例えばpH0〜3の範囲、例えばpH0〜2の範囲、例えばpH0〜1の範囲、例えばpH1〜6の範囲、例えばpH2〜6の範囲、例えばpH3〜6の範囲、例えばpH4〜6の範囲、例えばpH5〜6の範囲である、乾燥スティック試験デバイス中のサンプルのpH値を提供することができる酸性化合物である。
本発明の別の実施形態では、制御化合物は、湿った状態のときにpH8以上、例えばpH8〜14の範囲、例えばpH8〜13の範囲、例えばpH8〜12の範囲、例えばpH8〜11の範囲、例えばpH8〜10の範囲、例えばpH8〜9の範囲、例えばpH9〜12の範囲、例えばpH10〜13の範囲、例えばpH10〜11の範囲である、乾燥スティック試験デバイス中のサンプルのpH値を提供することができるアルカリ化合物であり得る。
本発明の一実施形態では、制御化合物は、少なくとも1つの乾燥試薬から分離され得る。このような分離は、例えば、キャビティの異なる部分であるか、あるいはキャビティの少なくとも一部の別々の層であり得る。
このような乾燥試薬(任意の制御化合物を含む)の分離は、非適合性の試薬を異なる層に含有させることができるので、乾燥スティックの安定性、貯蔵特性および適用性を改善し得る。それに応じて、サンプルの適用前に試薬間の反応が回避される。
さらに、沈殿を制限および/または回避するために一連の層が配列されてもよい。サンプル成分の沈殿とは、流体サンプルのサンプル成分または流体サンプルの一部が固体または半固体塊に変化することを意味し、これは、例えば、熱、または強酸、強塩基もしくは高塩濃度などの化学物質の作用によって起こることが多い(このような化学物質は制御化合物であり得る)。
凝固したサンプル成分は、検出可能なシグナルを妨害および低減し得る。従って、特定の分析物の決定において強酸、強塩基または高塩濃度が必要とされる場合、サンプル成分の沈殿を防止するためにこのような化合物を固体担体に隣接する層に配置するのが好ましいことがある。
サンプル成分は、サンプル中に存在するタンパク質、炭水化物、脂肪、細胞、または他の成分からなる群から選択され得る。
好ましい実施形態では、サンプルは乳である。
好ましい実施形態では、少なくとも2つの試薬が、キャビティの少なくとも一部に乾燥された少なくとも2つの別々の層、例えば少なくとも3つの層、例えば少なくとも4つの層、例えば少なくとも5つの層、例えば少なくとも6つの層内に存在する。
明らかに、上記で概説された種々の乾燥スティック構築物は、サンプル中の分析物をアッセイするために使用することができる。
乾燥スティックの調製
従来の乾燥スティックの調製方法と、本発明の乾燥スティック構築物の調製方法との間の比較は、図7および8において見ることができる。
本発明に従う乾燥スティックデバイスは、乾燥スティックデバイスの調製のために提供される任意の従来の方法によって調製することができる。好ましい実施形態では、本発明に従う乾燥スティックデバイスを提供するための方法は、
(i)キャビティを含む担体を提供するステップと、
(ii)少なくとも1つの乾燥試薬を提供するステップと、
(iii)少なくとも1つの乾燥試薬をキャビティに施すステップと、
乾燥スティックデバイスを得るステップと
を含む。
同一パッド(すなわち、同一の多孔質材料)内に試薬が存在する非分割型乾燥スティックの従来の調製方法を上記の本発明の方法と比較すると、以下のプロセスステップが不要とされる:
I.多孔質材料を調達するステップ、
II.1つまたは複数の試薬を多孔質材料に含侵させるステップ、
III.多孔質材料を細長片に切断するステップ、
IV.細長片をパッドに切断するステップ、
V.パッドをカートリッジに取り付けるステップ。
イムノアッセイの調製方法に関して、このような製造は、抗体および/または免疫グロブリンを固定化するためにいくつかのインキュベーションステップおよび洗浄ステップを必要とする。このようなステップは、本発明の方法によって不要とされる。
さらなる実施形態では、本発明の乾燥スティックは、
(i)キャビティを含む担体を提供するステップと、
(ii)少なくとも1つの試薬を含む少なくとも1つの溶液を提供するステップと、
(iii)少なくとも1つの溶液をキャビティの少なくとも一部に施すステップと
(iv)溶液を固定するステップと、
乾燥スティックデバイスを得るステップと
を含む方法によって調製され得る。
一実施形態では、前記固定は乾燥であり得る。
別々のパッド(すなわち、別々の多孔質材料)内に試薬が存在する分割型乾燥スティックの従来の調製方法を上記の本発明の方法と比較すると、以下のプロセスステップが不要とされる:
I.多孔質材料を調達するステップ、
II.試薬を少なくとも2つの別々の多孔質材料に含侵させるステップ、
III.積層ステップ、
IV.含侵された多孔質材料を細長片に切断するステップ、
V.細長片をパッドに切断するステップ、
VI.パッドをカートリッジに取り付けるステップ。
明らかに、本発明の方法を用いると方法のステップ数は著しく減少され、従ってプロセスの経済が改善される。さらに、方法のステップ数が低減されると、プロセス障害のリスクが低下し、従って廃棄されるスティックの量が制限される。
従来の方法では、いくつかの中間生成物が生じる(1つまたは複数の含侵された多孔質材料など)。本発明の方法を用いると、このような中間生成物が回避されるので、乾燥および冷却貯蔵の必要性が低減される。
本発明の方法は、パッドの切断および/またはスリッティングステップを含まない。従って、本発明の方法ではパッドの切断および/またはスリッティング装置が必要とされず、従って改善された製造の経済が提供される。
従って、このようなプロセスステップの間に発生される粉塵の量が回避される。乾燥スティックの従来の調製方法で発生される粉塵は次のプロセスステップに影響を与え、作業環境に悪影響を与え得る。従って、通常このような粉塵は積極的に除去され、製造プロセスにさらなるコストが加わる。
本発明の乾燥スティック構築物にはパッドが必要とされないので、これらのスティックの調製方法は、乾燥スティックのサイズに応じて容易に調整することができる。従来の乾燥スティックの調製方法は、乾燥スティックのサイズが変化すると、新しい切断および/またはスリッティング装置を必要とするか、あるいは少なくとも切断および/またはスリッティング装置の調整を必要とし、従って、製造プロセスに時間およびコストが追加される。
さらに、従来の乾燥スティックにおいて使用されるパッドは、糊、テープまたは同様の接着剤を用いて取り付けられる。糊の残留物は、乾燥スティックの性能に影響を与え得る。特にパッド側面の糊の残留物は、適用されたサンプルをその側面に向けて移動させ、傾斜したシグナルを発生し得る。このような傾斜したシグナルは読取りに影響を及ぼし、従って、間違った結果(偽陰性および偽陽性の両方)のリスクが増大される。
実施形態では、少なくとも1つの溶液は少なくとも1つの試薬を含む。
少なくとも1つの試薬を含む溶液は、水溶液および/または有機溶媒からなる群から選択され得る。
溶液が水を含む場合、このような水は製造プロセスの最後に除去される(例えば、蒸発によって)ことが好ましい。
本発明の方法を用いることにより、別々の乾燥試薬を含む分割型乾燥スティックを得ることが可能である。従って、このような乾燥スティックが所望される場合、本方法は、異なる試薬を含む少なくとも2つの異なる溶液、例えば3つ以上の異なる溶液、例えば4つ以上の異なる溶液、例えば5つ以上の異なる溶液、例えば6つ以上の異なる溶液、例えば7つ以上の異なる溶液、例えば8つ以上の異なる溶液、例えば9つ以上の異なる溶液、例えば10以上の異なる溶液を適用することを含む。
上記のように、試薬および/または乾燥試薬のこのような分離は、(i)キャビティの別々の部分、(ii)キャビティの異なる区画、(iii)階層型キャビティの異なる部分、および/または(iv)キャビティの異なる層において、試薬および/または乾燥試薬を分離することによって得ることができる。
キャビティの別々の部分における乾燥試薬(任意の制御化合物を含む)の分離は、非接触分配または接触分配によって達成することができ、少なくとも1つの試薬を含む溶液のラインおよび/またはドットがキャビティの別々の部分に分配される。試薬は、既に言及された方法のどれか1つによって固定され得る。好ましい実施形態では、ラインおよび/またはドットは、少なくとも1つの試薬を含む少なくとも1つの溶液を施した後に乾燥され得る。
別々の乾燥試薬(任意の制御化合物を含む)を含む異なる層の提供は、少なくとも1つの試薬を含む少なくとも1つの溶液を提供するステップと、このような溶液をキャビティの少なくとも一部に施すステップとを連続的に繰り返すことによって達成され得る。このような繰り返しは、2つ以上の別々の層、例えば3つ以上の別々の層、例えば4つ以上の別々の層、例えば5つ以上の別々の層、例えば6つ以上の別々の層を得るために実行され得る。各層は、互いに異なる乾燥試薬または乾燥試薬の組み合わせを含む。
使用される溶液に応じて、既に施された層の溶解を防止する層によって各層をコーティングすることが有利であり得る。このようなコーティングにはワックスが含まれ得る。サンプルが適用されたら少なくとも1つの乾燥試薬が分析物と反応することができように、適用サンプルによって溶解可能なコーティングを使用することも考えられ得る。
上述の方法を使用して、上記で開示される種々の乾燥スティック構築物を提供することができる。従って、本発明は、上述の方法によって得ることができる乾燥スティックデバイスに関する。
付加的な実施形態
実施形態では、本発明に従う乾燥スティック試験デバイスは、サンプル中の分析物を決定するために使用される。好ましくは、分析物は、タンパク質、脂肪、炭水化物、抗生物質、ステロイド、ビタミンおよび化合物からなる群から選択される。好ましくは、化合物は、尿素、トリグリセリド、ならびにアセトアセタート、ベータ−ヒドロキシブチラート(BHB)、アスコルビン酸(クエン酸)およびアセトンなどのケトン体からなる群から選択される。分析物が炭水化物である場合、炭水化物は、グルコースおよびラクトースからなる群から選択され得る。
LDHの決定
上述のように、本発明の発明者らは、サンプル中の分析物を決定するための新規の乾燥スティック構築物を開発しており、このような分析物は、体液中の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)であり得る。本発明に従う乾燥スティックデバイスは、サンプル中のLDHの定性的検出および定量的決定のために有用であることができ、試験手段は少なくとも1つの乾燥試薬組成物を含む。
LDHの定量的決定は、乳腺構造の完全性に影響を与え、そして同時に、分泌上皮および血液乳関門を損傷する乳房の炎症を決定するために重要であり得る。その結果として、多くの乳成分が乳腺炎によって影響を受ける。脂肪、タンパク質およびラクトースなどの主要な成分が減少し、いくつかの酵素は変化する。LDHおよび/またはN−アセチルグルコサミニダーゼは、乳腺炎によって起こる炎症の適切な指標として使用され得る。N−アセチルグルコサミニダーゼ(NAGase)とも呼ばれるN−アセチル−ベータ−D−グルコサミニダーゼは、乳房の炎症に対するより優れたマーカーの1つであると主張されている。さらに、LDHのような乳中の他の酵素も、NAGaseと同様の価値を有し、乳腺炎の適切な指標としての役割を果たし得ることが示されている。
あるいは、心発作の後、例えば血液中のLDHの濃度がその正常濃度を超えて著しく上昇することにおいて、LDHの定量的決定は、心疾患、特に心発作の検出においてきわめて重要であり得る。従って、このようなLDH濃度の異常な上昇の早期発見は、明らかに、より正確かつ迅速な心臓疾患の診断をもたらすことができる。
異常な心臓の状態の早期診断は非常に重要なので、血液中のLDHの濃度の変数を検出するための試験は、臨床医が実行するために十分に迅速でかつ簡単でなければならないが、誤差または誤った読取りが極端に変化することなく診断が行われるように十分に正確でなければならない。このようなメカニズムは、本発明の新規の乾燥スティックデバイスによって表される。この新規の乾燥スティックデバイスを用いると、器具類は必要でなく、試薬の混合または再構成も必要でない。従って、試験は、患者の家または診療所において特別な装置を用いることなく行うことができる。
本発明の実施形態では、サンプル中のLDHのアッセイ方法は、
(i)LDHを含有する疑いのあるサンプルを本発明の乾燥スティックデバイスに適用するステップと、
(ii)LDH、LDHの誘導体、またはLDHの指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる第1の乾燥試薬または乾燥試薬の組み合わせを、サンプルによって溶解させるステップであって、第1の乾燥試薬または乾燥試薬の組み合わせが前記試薬の第1の環境を提供し、湿っていない状態のときに、第1の環境が試薬および乾燥スティックデバイスの改善された貯蔵安定性を可能にするステップと、
(iii)サンプルをさらに、第2の乾燥試薬組成物または乾燥試薬の組み合わせである調節試薬組成物と反応させるステップであって、前記調節試薬組成物が前記試薬の第2の環境を作り、湿った状態のときに、前記第2の環境がLDHと試薬の間の反応の速度の増大を可能にするステップと、
(iv)試薬およびLDH、LDHの誘導体、またはLDHの指標化合物に、検出可能なシグナルを提供させるステップと
を含み得る。
本発明のさらなる実施形態では、LDHの決定は、酵素ベースの決定に基づく。
サンプル中のLDHの濃度を決定するための新規の乾燥スティックデバイスは、少なくとも1つの乾燥試薬組成物を含み得る。乾燥試薬組成物は、乾燥試薬、乾燥試薬の組み合わせまたは一連の乾燥試薬を含み得る。
このような乾燥試薬の一例はテトラゾリウム塩であり得る。この試薬は、サンプルと接触される乾燥スティックデバイスに、指標に添加されるサンプル中のLDHの濃度を表すように変化する強度を有する色を付与することができる。これらの色素は当該技術分野においてよく知られており、通常、式:
Figure 2015528114
(式中、R、RおよびRは個々に、同じまたは異なるアリールまたは置換アリールラジカルであり、Xは、ハロゲンなどのアニオンである)を有する。
この構造の有用な塩の例としては、塩化2,3,5−トリフェニル−2H−テトラゾリウム、塩化2−(p−ヨードフェニル)−3−(p−ニトロフェニル)−5−フェニル−2H−テトラゾリウム(INT)、ニトロブルーテトラゾリウム、ブルーテトラゾリウムなどが挙げられる。これらの塩は、使用される溶液100部に基づいて約0.05部〜約0.35部、好ましくは、約0.1部〜約0.2部の範囲の濃度で、以下に記載されるような形で新規の乾燥スティックデバイス内に取り込まれ得る。
乾燥スティックはさらに、テトラゾリウム塩の早期の着色を防止するために使用される抗酸化剤を含むことができる。適切な抗酸化剤の例としては、2,6−ジ第3級ブチル−p−クレゾールなどのアルキル化フェノール;ブチル化ヒドロキシトルエン、4−t−ブチルカテコール、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート;2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)などのアルキリデンビスフェノール;4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)などのチオビスフェノール;テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどのポリフェノール;チオジプロピオン酸ジトリデシル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジラウリルなどのエステル;ジアリールまたはジアルキル置換p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−フェニル−アルファ−ナフチルアミンなどのアミン;亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジデシル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸ジフェニルデシル、亜リン酸ジテトラデシル、亜リン酸フェニルジデシル、亜リン酸フェニルネオペンチル、亜リン酸トリデシル、トリチオ亜リン酸トリラウリル、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリスノニルなどの有機亜リン酸塩、ならびに種々の他の周知の抗酸化剤(例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、モノ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、トルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノンなどを含むキノンなど)が挙げられる。また、フェノチアジン、ヒドロキシベンゾフェノン、p−ジメチルアミノニトロソベンゼン、チオジプロピオン酸なども使用され得る。
これらの抗酸化材料は、溶液100を基準として約0.01部〜2.0部、好ましくは約0.02部〜1.0部の範囲の量で使用することができ、テトラゾリウム塩と共に使用されてもよいし、あるいはその付着の前または後に使用されてもよい。
乾燥試薬の別の例はジアホラーゼであってもよく、これは、NADHによるテトラゾリウム塩の還元を触媒するために使用される。この酵素は当該技術分野においてよく知られており、使用される溶液100部を基準として重量により約0.02部〜0.2部の範囲の濃度で使用されるべきであり、好ましくは、0.03部〜0.10部で使用される。
ニコチンアミド−アデニン−ジヌクレオチド(以下、NADと呼ばれることもある)は、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウムなどのアルカリ乳酸塩との混合物において、さらなる成分を構成する。NADの使用は当該技術分野においてよく知られており、溶液100部を基準として重量により約0.01部〜約0.20部の範囲の濃度で使用されるべきであり、好ましくは、0.015部〜0.08部で使用される。乳酸塩は、溶液100部を基準として0.03部〜約1.5部の範囲の量で使用され、好ましくは、0.02部〜0.09部で使用される。
上記のメカニズムを用いるサンプル中のLDHの決定において、存在する試薬の以下の反応が使用され得ると考えられる。
Figure 2015528114
上記の反応スキームは、サンプルが乾燥スティックデバイスに添加されたら、その中のLDHがテトラゾリウム塩の還元および着色された指標の形成をもたらす反応を起こし得ることを説明し、その強度はLDHの濃度に正比例する。次に、臨床医は、得られた色を標準色票とただ比較して、試験中のサンプルのLDH濃度を確かめるだけである。
本発明の新規の乾燥スティックデバイスを用いて最適な結果を達成するために、さらなる成分として、適用可能であることが当業者には周知であるものの何れかである適切な非イオン性湿潤剤を取り込むことも、必須ではないが有利である。例えば、脂肪アルカノールアミド、すなわちアルカノールアミンと、ラウリン酸または皮を剥いたココナッツ(stripped coconut)脂肪酸などの脂肪酸との反応生成物(適切なアルカノールアミンは、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、アモンイソプロパノールアミン(amonisopropanolamine)などである);エチレンオキシド由来の材料、すなわちエチレンオキシドとアルキルフェノール(ここで、アルキル基はオクチル、ノニル、またはより高次である)との反応から得られるもの、長鎖脂肪アルコール(例えば、トリデシルアルコール、ラノリン、レセチン(lecethin)アルコールなど)、長鎖脂肪酸(例えば、トール油、オレイン酸、アビエチン酸など)、長鎖脂肪メルカプタン、長鎖脂肪アミン、ポリオキシプロピレングリコール、脂肪ソルビタンエステル;糖エステル、すなわち脂肪酸のメチルエステルおよびスクロースまたはラフィノースのアルコーリシス反応生成物;ポリソルビトール;ポリビニルアルコール;メチルセルロース;エトキシ化フェノール/ホルムアルデヒド樹脂などが使用され得る。溶液100部当たり約0.01部〜約1.0部の湿潤剤の濃度が使用され、湿潤剤は、好ましくは、成分が1つずつ添加される場合には各成分と共に添加され、あるいは完全な混合系として添加される場合には、成分と混合されて添加される。
本発明の実施形態では、テトラゾリウム塩の水溶液は、乾燥スティックデバイスの別々の部分において、別々の区画において、別々のストライプとして、または別々のドットとして調製および添加され得る。次に、ジアホラーゼおよび場合により炭水化物安定剤の緩衝溶液は、乾燥スティックデバイスの別々の部分において、別々の区画において、別々のストライプとして、または別々のドットとして調製および添加され得る。NADおよびアルカリ乳酸塩の緩衝液溶液は、乾燥スティックデバイスの別々の部分において、別々の区画において、別々のストライプとして、または別々のドットとして調製および添加され得る。乾燥ステップは、試験指標の調製を完了させる。
本発明の実施形態では、サンプル中のLDHの決定方法は、
(a)着色化合物と、
(b)ジアホラーゼと、
(c)ニコチンアミド−ジヌクレオチドと、
(d)乳酸塩と
を含む、少なくとも1つの乾燥試薬組成物を有する乾燥スティックデバイスを用いて実施され得る。
試薬(a)、(b)、(c)および(d)はただ1つの乾燥試薬組成物、または個々の乾燥試薬組成物、例えば2つの異なる乾燥試薬組成物、例えば3つの異なる乾燥試薬組成物、または例えば4つの異なる乾燥試薬組成物中に存在し得る。
本発明の別の実施形態では、乾燥スティックデバイスはさらに、
(e)抗酸化剤
を含む少なくとも1つの乾燥試薬組成物を含むことができる。
試薬(e)は、ただ1つの乾燥試薬組成物中に試薬(a)、(b)、(c)および(d)と一緒に存在していてもよいし、あるいは個々の乾燥試薬組成物中に存在していてもよい。
試薬は、少なくとも2つの乾燥試薬組成物、例えば少なくとも3つの乾燥試薬組成物、例えば少なくとも4つの乾燥試薬組成物、例えば少なくとも5つの乾燥試薬組成物、例えば少なくとも6つの乾燥試薬組成物に分離され得る。
本発明の実施形態では、着色化合物は、テトラゾリウム塩またはその任意の誘導体からなる群から選択される。
湿潤剤などが取り込まれる場合、これらは、均一な乾燥試薬付着物を得るように、乾燥試薬組成物の何れかまたは全てに添加される。炭水化物安定剤として適する材料には、使用される溶液100部を基準として約10.0部〜約25.0部、好ましくは約15.0部〜約20.0部の範囲の濃度のマルトースおよびソルビトールならびに水溶性重合エチレンオキシド(高分子量および低分子量の両方)、ジエチレングリコールなどが含まれる。
本発明の実施形態では、水溶性抗酸化剤が使用されてもよく、そして試薬は全て緩衝溶液中に一緒に混合され得る。各成分の濃度は、それぞれが同じ水100部に基づくことを除いて上記の通りであり、1回の溶解−1回の乾燥(one dissolution−one dry)サイクルを用いて所望の試験指標を製造することができる。
どちらの手順においても有用な緩衝液の例としては、リン酸緩衝液、フタル酸緩衝液、トリス緩衝液、クエン酸リン酸緩衝液、ホウ酸−コハク酸緩衝液などが挙げられる。好ましい緩衝液はトリス緩衝液、すなわち0.05〜0.2M濃度の2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールである。
LDHの決定のために異なるアッセイが提供されていれば、第1および第2の環境が変化され得ることは当業者には明らかである。さらに、本発明の概念によって提供される知識に基づいて、第1および第2の環境を最適化する方法も当業者には明らかである。すなわち、分析物と反応して検出可能なシグナルを提供することができる試薬の貯蔵に有利であるように選択され得る第1の環境を有し、分析物と反応して検出可能なシグナルを提供することができる試薬の性能に有利であるように、あるいは分析物と、分析物と反応して検出可能なシグナルを提供することができる試薬との間の反応の速度に有利であるように形成され得る第2の環境を有する。
本発明の好ましい実施形態では、乾燥スティックデバイスは、LDHを検出するための上述の反応スキームに従ってLDHを測定するために開発される。この構築物では、少なくとも1つの乾燥試薬組成物には約pH6.8のpH値が提供され、調節乾燥試薬組成物には、試薬または試薬の組み合わせの約pH8.3の第2の環境を提供することができるpH調節剤が提供されるのが好ましいことがある。
β−ヒドロキシブチラート(BHB)の決定
BHBは、エネルギーを得るために脂肪が動員される際に形成さている。他のケトン体を有するBHBのレベルは、例えば動物の空腹時、または減食によって増大する。グルコースに対する要求が高いとき、すなわち雌ウシなどの群れ動物の妊娠後期および泌乳の間、レベルはエネルギー状態に密接に関連する。
本発明の実施形態では、BHBの決定は、上記のLDHの決定のために提供されたものと同じ反応スキームを用いて実施され得る。
本発明の好ましい実施形態では、乾燥スティックデバイスは、BHBを検出するための上述の反応スキームに従ってBHBを測定するために開発される。この構築物では、少なくとも1つの乾燥試薬組成物には約pH6.8のpH値が提供され、調節乾燥試薬組成物には、試薬または試薬の組み合わせの約pH8.3の第2の環境を提供することができるpH調節剤が提供されるのが好ましいことがある。
尿素の決定
タンパク質利用の決定は重要なパラメータであり得る。ウシの畜産において、タンパク質は最も高価な飼料成分の1つなので、動物(例えば、雌ウシ)が飼料内に含有されるタンパク質を最適に利用することは非常に重要である。利用は、とりわけ、動物内に同時に存在するエネルギーおよびタンパク質の量に依存する。
本発明の実施形態では、尿素の決定は、以下の反応スキーム:
Figure 2015528114
を用いて実施され得る。
本発明の好ましい実施形態では、乾燥スティックデバイスは、尿素を検出するための上述の反応スキームに従って尿素を測定するために開発される。この構築物において、そしてJack Beansから得られるウレアーゼを使用する場合には、少なくとも1つの乾燥試薬組成物には約pH8.0のpH値が提供され、調節試薬組成物には、試薬または試薬の組み合わせの約pH6.0の第2の環境を提供することができるpH調節剤が提供されるのが好ましいことがある。
N−アセチルグルコサミニダーゼ(NAGase)の決定
NAGaseの定量的決定は、LDHと同じ方法で、乳腺構造の完全性に影響を与えると同時に分泌上皮および血液乳関門を損傷する乳房の炎症を決定するために重要であり得る。
本発明の実施形態では、NAGaseの決定は、以下の反応スキーム:
Figure 2015528114
を用いて実施され得る。
ここで、4−MU−NAGは4−メチルウンベリフェリルN−アセチル−ベータ−D−グルコサミニドに関し、4−MU−酸は4−メチルウンベリフェロンに関し、そして4−MU−フェノラート色素は4−メチルウンベリフェロン塩に関する。
本発明の好ましい実施形態では、乾燥スティックデバイスは、NAGaseを検出するための上述の反応スキームに従ってNAGaseを測定するために開発される。この構築物では、少なくとも1つの乾燥試薬組成物には約pH7.0のpH値が提供され、調節試薬組成物には、試薬または試薬の組み合わせの約pH4.6の第2の環境を提供することができるpH調節剤が提供されるのが好ましいことがある。
LDH、BHB、尿素、NAGaseまたは任意の他の分析物の決定のために異なるアッセイが提供されていれば、第1および第2の環境が変化され得ることは当業者には明らかである。さらに、本発明の概念によって提供される知識に基づいて、第1および第2の環境を最適化する方法も当業者には明らかである。すなわち、分析物と反応して検出可能なシグナルを提供することができる試薬の貯蔵に有利であるように形成され得る第1の環境を有し、分析物と反応して検出可能なシグナルを提供することができる試薬の性能に有利であるように、あるいは分析物と、分析物と反応して検出可能なシグナルを提供することができる試薬との間の反応の速度に有利であるように形成され得る第2の環境を有する。
自動または半自動システム
本発明の実施形態において、例えば、所与の任意の時点で可能な分析物の中から、哺乳類(群メンバーなど)から得られるサンプル中のいくつかの分析物を同時に取扱いおよび分析することができるシステムが提供されることは顕著な特徴であり得る。好ましくは、この時点は、例えば、個々の動物の繁殖または泌乳サイクルの状態に依存する。
サンプル中のいくつかの分析物のこの分析は、分析手段と、特定の分析物を特定の時点で分析すべきかどうか決定するために使用され得る、各群メンバーの繁殖および泌乳状態に関する情報および/または任意の他の情報を含有するデータベースとを動作的に連結させることによって可能になる。このようにして、システムは「動的」モードで動作する。
従って、本発明は、
(a)(i)キャビティを含む固体担体と、
(ii)分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬と
を含み、キャビティが少なくとも1つの乾燥試薬を含む、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスと、
(b)分析すべきサンプルを得るためのサンプリング手段であって、データ保存手段によって制御され、事前に選択された時点または事前に選択された時間間隔においてのみ活性化されるサンプリング手段と
を含む自動または半自動システムに関する。
従って、さらなる実施形態では、本発明は、
(a)(i)キャビティを含む固体担体と、
(ii)分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬と
を含み、キャビティが少なくとも1つの乾燥試薬を含み、発生される検出可能なシグナルがサンプルから得られる、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスと、
(b)分析すべきサンプルを得るためのサンプリング手段であって、データ保存手段によって制御され、事前に選択された時点または事前に選択された時間間隔においてのみ活性化されるサンプリング手段と
を含む自動または半自動システムに関する。
少なくとも1つの乾燥試薬は、例えば、乾燥、コーティングまたは接着によって、キャビティの少なくとも一部に固定され得る。
さらに、実施形態では、本発明は、システムによって識別可能な独自の識別コードがそれぞれ割り当てられた複数の個々の群メンバーを含む泌乳動物の群れの生産能力を最適化するための自動または半自動システムに関し、本システムは、泌乳動物の個々のメンバーの乳サンプル中の少なくとも1つの分析物を分析するための分析手段を含み、前記分析手段は、
(a)(i)キャビティを含む固体担体と、
(ii)分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬と
を含み、キャビティが少なくとも1つの乾燥試薬を含む、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスと、
(b)乳サンプルの一部をそれぞれ別の分析手段へ方向付けるための手段であって、個々の群メンバーの生産または泌乳サイクルにおいて事前に選択された時点または事前に選択された時間間隔においてのみ方向付け手段が活性化されるように、個々の群メンバーのそれぞれの生理および栄養状態のデータ(前記群メンバーの繁殖および泌乳サイクルにおける時点を示すデータを含む)の保存手段によって制御される方向付け手段と、
を含む。
さらなる実施形態では、本発明は、システムによって識別可能な独自の識別コードがそれぞれ割り当てられた複数の個々の群メンバーを含む泌乳動物の群れの生産能力を最適化するための自動または半自動システムに関し、本システムは、泌乳動物の個々のメンバーの乳サンプル中の少なくとも1つの分析物を分析するための分析手段を含み、前記分析手段は、
(a)(i)キャビティを含む固体担体と、
(ii)分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬と
を含み、キャビティが少なくとも1つの乾燥試薬を含み、発生される検出可能なシグナルがサンプルから得られる、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスと、
(b)乳サンプルの一部をそれぞれ別の分析手段へ方向付けるための手段であって、個々の群メンバーの生産または泌乳サイクルにおいて事前に選択された時点または事前に選択された時間間隔においてのみ方向付け手段が活性化されるように、個々の群メンバーのそれぞれの生理および栄養状態のデータ(前記群メンバーの繁殖および泌乳サイクルにおける時点を示すデータを含む)の保存手段によって制御される方向付け手段と
を含む。
この場合も、少なくとも1つの乾燥試薬は、例えば、乾燥、コーティングまたは接着によって、キャビティの少なくとも一部に固定され得る。
明らかに、乾燥スティックデバイスは、3〜35頁に明確に記載される特徴を含むことができる。
本明細書で使用される場合、「自動」という用語は、実質的に手動操作なしにシステムが動作され得ることを暗示する。従って、この用語は、乳サンプルが搾乳場所において搾乳システムからオンラインで自動的に採取され、分析手段まで自動的に運ばれ、次に分析データが自動的に作成され、これが自動的に処理されてシステムを更新し、農場経営者に矯正措置の指示が提供されることを示す。搾乳場所は、自由に移動する搾乳動物のための自動搾乳システムの搾乳場所であってもよいし、あるいはヘリンボーン搾乳システムなどの従来の搾乳システムのいくつかの搾乳場所の1つであってもよい。また搾乳場所は、回転または並列搾乳パーラーであってもよい。
「半自動」という用語は、本明細書で使用される場合、システムの操作の少なくとも一部がいくらか手動の操作(例えば、手動によるサンプルの分析手段までの輸送)を含むシステムを指す。
「生産能力」という用語は、本明細書で使用される場合、その最も広い解釈における生産能力を意味することが意図される。従って、この用語には、乳の生産(乳の量および品質を含む)、群メンバーの繁殖能力(例えば、搾乳動物1頭あたりの子孫の数)、および飼料配給の最適利用が含まれる。
サンプルを得るため、好ましくは次のサンプルを得るために事前に選択される時点または事前に選択される時間間隔は、動的モードで、あるいはサンプルを得るために予め決められたスケジュールに従って決定され得る。
本発明の興味深い特徴は、個々の群メンバーのそれぞれの生理および栄養状態のデータの保存手段が新しいデータによって連続的に更新されるので、所与の時点で所与のサンプルにおいて分析される化合物/パラメータの範囲の選択が、特定の群メンバーまたは特定の群れのグループに対して絶えず更新されるデータセットに基づいていることであり得る。
従って、サンプルを得るため、好ましくは次のサンプルを得るために事前に選択される時点または事前に選択される時間間隔は、好ましくは、動的モードで決定され得る。「動的モード」という用語は、既に分析されたサンプルから得られる結果に基づいて、次のサンプルを提供して、前記次のサンプルの次の分析を実施するための時点を決定することに関する。
上記の自動または半自動システムの特徴および相互接続に関するさらなる詳細は、参照によって本明細書に援用される国際公開第02/069697号パンフレットまたは国際公開第2004/017066号パンフレットにおいて見出すことができる。
本発明の態様の1つに関して記載された実施形態および特徴は、本発明の他の態様にも当てはまることに注意すべきである。
本出願で引用される全ての特許および非特許参考文献は、参照によってその全体が本明細書に援用される。
本発明はこれから以下の非限定的な実施例および図面においてさらに詳細に記載されるであろう。
図面の詳細な説明
図1Aは、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスを示す。図1Aa)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)およびキャビティ(2)を含む。図1Ab)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)および乾燥試薬(3)を含む。図1Ac)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)およびサンプル(4)を含み、ここで、乾燥試薬(3)は溶解されている。
図1Bは、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスを示す。図1Ba)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)およびキャビティ(2)を含む。図1Bb)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)および乾燥試薬(3)を含む。図1Bc)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)およびサンプル(4)を含み、ここで、乾燥試薬(3)は溶解されている。
図2Aは、サンプル中の分析物を決定するための区画化乾燥スティックデバイスを示す。図2Aa)に示される乾燥スティックの断面図は、固体担体(1)、キャビティ(2)および2つの別々の区画(3)を含む。図2Ab)に示される乾燥スティックの断面図は、2つの異なる乾燥試薬(4)および(5)を含む2つの別々の区画(3)を含む。図2Ac)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)およびサンプル(6)を含み、ここで、乾燥試薬(4)および(5)は溶解されている。
図2Bは、サンプル中の分析物を決定するための区画化乾燥スティックデバイスを示す。図2Ba)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)、キャビティ(2)および4つの別々の区画(3)を含む。従って、乾燥スティックは、4つの異なる乾燥試薬を含むことができる。図2Bb)に示される乾燥スティックの断面図は、2つの異なる乾燥試薬(4)および(5)を含む2つの別々の区画(3)を含む。図2Bc)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)およびサンプル(6)を含み、ここで、乾燥試薬(4)〜(7)は溶解されている。
図2Cは、サンプル中の分析物を決定するための区画化乾燥スティックデバイスを示す。図2Ba)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)および2つの別々の区画(5)を含む。図2Bb)に示される乾燥スティックの断面図は、固体担体(1)と、2つの異なる乾燥試薬(2)および(3)を含む2つの異なる区画とを含む。図2Bc)に示される乾燥スティックの断面図は、固体担体(1)およびサンプル(4)を含み、ここで、乾燥試薬(2)および(3)は溶解されている。
図3は、サンプル中の分析物を決定するための階層型乾燥スティックデバイスを示す。図3a)に示される階層型乾燥スティックは、固体担体(1)ならびに2つの異なる乾燥試薬(2)および(3)を含む。図3b)に示される階層型乾燥スティックは、固体担体(1)およびサンプル(4)を含み、ここで、乾燥試薬(2)および(3)は溶解されている。
図4は、1つまたは複数の乾燥試薬のラインを含む、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックを示す。図4a)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)、キャビティ(2)、ならびに異なる乾燥試薬のライン(3)、(4)および(5)を含む。図4b)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)、ならびに異なる乾燥試薬のライン(3)、(4)および(5)を含む。図4c)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)およびサンプル(6)を含み、ここで、乾燥試薬は溶解されている。図4d)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)、キャビティ(2)およびより細い乾燥試薬のライン(3)を含む。
図5は、1つまたは複数の乾燥試薬のドットを含む、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックを示す。図5a)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)、キャビティ(2)、ならびに異なる乾燥試薬のドット(3)、(4)、(5)および(6)を含む。図5b)に示される乾燥スティックは、異なる乾燥試薬のドット(3)および(4)を含む。図5c)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)、キャビティ(2)および同一の乾燥試薬のより小さいドット(3)を含む。図5d)に示される乾燥スティックは、固体担体(1)およびサンプル(7)を含み、ここで、乾燥試薬は溶解されている。
図6は、固体担体(1)、ならびに異なる乾燥試薬の層(2)および(3)を含む、サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスを示す。
図7は、(i)試薬が同一パッド内に存在する従来の非分割型乾燥スティックの製造方法と、(ii)本発明の方法との間の比較を示す。このような従来の非分割型乾燥スティックの一例として、BHB乾燥スティックが使用される。
図8は、(i)試薬が異なるパッドに分離される従来の分割型乾燥スティックの製造方法と、(ii)本発明の方法との間の比較を示す。このような従来の分割型乾燥スティックの一例として、LDH乾燥スティックが使用される。
図9は、(i)従来のLDH乾燥スティックおよび(ii)本発明の新規のLDH乾燥スティックの性能曲線を示す。
実施例1.BHB乾燥スティックの調製および試験
含浸溶液の調製:
3400mLの0.1Mリン酸緩衝液pH8.0中に、以下の試薬を1つずつ溶解して、淡黄色の透明な溶液が得られる。
・ 20.0gのβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(β−NAD
・ 9.0gのニトロブルーテトラゾリウム(NTB)
・ 32mLのTriton X−100の5%溶液
・ 20.0gのウシ血清アルブミン(BSA)
・ 400KUのアスコルビン酸オキシダーゼ(AmanoからのASO−3)
・ 100KUのジアホラーゼ(Unitika)
・ 50KUのヒドロキシブチラートデヒドロゲナーゼ(AmanoからのHBDH)
乾燥スティックの調製:
別々のスティックのキャビティにおいて、新たに調製した上記の溶液10μLをそれぞれのキャビティに満たした。次に、換気したオーブンにおいてスティックを40℃で1時間乾燥させて、キャビティの底部に固着した乾燥残留物(約250μg)が各キャビティ内に得られた。次に、得られたそれぞれ別々の乾燥スティックを乾燥剤と共にホイルバッグに入れ、ホイルバッグを密封した。次に、乾燥スティックと共に密封したバッグを、使用するまで冷蔵庫内において4℃で貯蔵した。
標準シリーズのUHT乳中のBHBの調製:
34.7mgのBHB−Na塩を275mLのUHT乳中に溶解させることによって、UHT乳中1.05mMのBHBのストック溶液を調製した。ここで使用したUHT乳の品質は約0.05mMのBHBを含有した。
標準シリーズのUHT乳中のBHBは以下のように調製した。
Figure 2015528114
標準シリーズによるBHB乾燥スティックの試験:
8個の別々の乾燥スティック(上記の通り)の8個のキャビティに、約25℃において、UHT乳中のBHB標準のそれぞれを10μL添加した。各ウェル内の乾燥材料が溶解し、しばらくすると、8個の別々のキャビティ内の液体は青みがかった色に変わり始めた。5分のインキュベーション時間の後、青色の強度を視覚的に比較し、色の強度がBHB濃度に比例することに気付いた。
実施例2.LDH乾燥スティックの調製および試験
含浸溶液Aの調製:
2600mLの0.1Mリン酸緩衝液pH8.0中に、以下の試薬を1つずつ溶解して、淡黄色の透明な溶液が得られる。
・ 60.0gのβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(β−NAD
・ 30.0gの酢酸Li
・ 3.0gのPEG20.000
・ 30.0gのスクロース
・ 30mLのTriton X−100の5%溶液
・ 30.0gのウシ血清アルブミン(BSA)
・ 300KUのアスコルビン酸オキシダーゼ(AmanoからのASO−3)
・ 600KUのジアホラーゼ(Unitika)
・ 3.0gのニトロブルーテトラゾリウム(NTB)
含浸溶液Bの調製:
1080mLのDI水中に450gのTRISを溶解して、pH約12の無色透明な溶液を得た。
乾燥スティックの調製:
第1のスティックのキャビティに、新たに調製した上記の溶液Aを8.4μL満たした。次に、換気したオーブンにおいてスティックを40℃で1時間乾燥させて、キャビティの底部に固着した乾燥残留物(約770μg)がウェル内に得られた。次に、得られた乾燥スティックを乾燥剤と共にホイルバッグに入れ、ホイルバッグを密封した。次に、乾燥スティックと共に密封したバッグを、使用するまで冷蔵庫内において4℃で貯蔵した。
第2のスティックのキャビティに、新たに調製した上記の溶液Bを3.4μL満たした。次に、換気したオーブンにおいてスティックを40℃で1時間乾燥させて、キャビティの底部に小さいペレットとして固着した乾燥残留物(約1mg)が各ウェル内に得られた。次に、乾燥スティックを乾燥剤と共にホイルバッグに入れ、ホイルバッグを密封した。次に、乾燥スティックと共に密封したバッグを、使用するまで冷蔵庫内において4℃で貯蔵した。
分割型のLDH乾燥スティックは、第2の乾燥スティックキャビティからのペレットを第1のスティックのキャビティに添加することによって調製した。
標準シリーズのUHT乳中のLDHの調製:
UHT乳中1000U/LのLDH(sigma L1378)のストック液を調製した。標準シリーズのUHT乳中のLDHは、以下のように調製した。
Figure 2015528114
標準シリーズによるLDH乾燥スティックの試験:
上記の8個の別々のLDH乾燥スティックのキャビティに、約25℃において、UHT乳中のLDH標準のそれぞれを10μL添加した。各ウェル内の乾燥材料が溶解し、しばらくすると、8個のキャビティ内の液体は青みがかった色に変わり始めた。5分のインキュベーション時間の後、青色の強度を視覚的に比較し、色の強度がLDH濃度に比例することに気付いた。
実施例3.新規のLDH乾燥スティック対従来のLDH乾燥スティック
リン酸緩衝溶液:2520mLのDI水中の85.9gのNa2HPO4.12H2Oおよび2.1gのNaH2PO4、pH8.0。
溶液A:2.6mLのリン酸緩衝溶液、60.0mgのβ−NAD+、30.0mgの乳酸Li、3.0mgのPEG 20.000、30.0mgのスクロース、30.0mgのBSA、300UのASO−3、600Uのジアホラーゼ、3.0mgのNTB。
溶液B:1.08mLのDI水を有する450mgのTRIS(全部で1.45mLの溶液)。
溶液C:300μLのDI水中の1.5mgのTriton X−100。
標準シリーズの乳中のLDH:UHT乳.LDH Sigma L1378を添加して標準シリーズ0、50、100、200、300、400U/Lを得た。
スティックフレーム:19μLのボックス型ウェル(5.2mm×5.2mm×0.7mm高さ)を有する白色ポリスチレンフレーム。
(i)従来のLDH乾燥スティックの調製:
層1:8.5×10cm片のWhatman 3MMChrろ紙に2.8mLの溶液Aを含侵させ、乾燥空気換気したオーブンにおいて40℃で20分間乾燥させた。
層2:8.5×10cm片のAsahi PS−2ワイパーに1.36mLの溶液Bを含侵させ、乾燥空気換気したオーブンにおいて40℃で10分間乾燥させた。
積層:開放構造を有するホットメルトグルー転写テープを使用し、1式のローラーを通過させることにより、乾燥層1および2を互いに積層した。
切断および取付け:積層材料を5×5mmの正方形に切断し、スティックフレームに取り付けた。
貯蔵:LDH乾燥スティックをホイルバッグ内で乾燥剤と共に4℃において貯蔵した。
(ii)新規のLDH乾燥スティックの調製:
乾燥スティックのウェルの底部に、2滴の2.0μLの溶液Aおよび1滴の2.0μLの溶液Bを別々に置いた。乾燥空気換気したオーブン内に乾燥スティックを40℃で10分間入れ、3滴の乾燥スポットを有する乾燥スティックが残された。全部で25本のスティックを同時に調製した。乾燥スティックをホイルバッグ内で乾燥剤と共に4℃で貯蔵した。
Figure 2015528114
従って、新規の乾燥スティックは、標準的な乾燥スティックと比べて約1/2の化学しか含有しない。
Figure 2015528114
表11および図9の結果は、新規のLDH乾燥スティック構築物が、従来のLDH乾燥スティックとほぼ同じ形状の性能曲線を与えることを示しており、新規の乾燥スティック構築物では約1/2の化学しか使用しなかったので、これは驚くべきことである。
15μLのサンプル添加による結果は、例えば10μLから15μLへサンプル体積を変化させることによって性能曲線の形状が望ましい方向に影響され得ることを示す。
参考文献
国際公開第02/069697号パンフレット
国際公開第2004/017066号パンフレット

Claims (15)

  1. 水性サンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスにおいて、前記デバイスが、
    (i)キャビティを含む固体担体と、
    (ii)前記分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物と反応して、湿った状態のときに検出可能なシグナルを提供することができる少なくとも1つの乾燥試薬と
    を含み、前記キャビティが前記少なくとも1つの乾燥試薬を含み、発生される前記検出可能なシグナルが前記サンプルから得られることを特徴とするデバイス。
  2. 請求項1に記載の乾燥スティックデバイスにおいて、前記乾燥スティックが多孔質材料を含まないことを特徴とするデバイス。
  3. 請求項1または2に記載の乾燥スティックデバイスにおいて、前記少なくとも1つの乾燥試薬が固定化されないことを特徴とするデバイス。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の乾燥スティックデバイスにおいて、前記乾燥スティックが抗体および/または免疫グロブリンを含まないことを特徴とするデバイス。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の乾燥スティックデバイスにおいて、前記乾燥スティックがイムノアッセイでないことを特徴とするデバイス。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の乾燥スティックデバイスにおいて、前記少なくとも1つの乾燥試薬が、乾燥、コーティングまたは接着によって前記キャビティの少なくとも一部に固定されることを特徴とするデバイス。
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の乾燥スティックデバイスにおいて、前記サンプルが、乳、血液、血清、血漿、唾液、尿、汗、眼球レンズ流体、脳脊髄液、腹水、粘膜流体、滑液、腹水、羊水、毛髪などからなる群から選択されることを特徴とするデバイス。
  8. 請求項1乃至7の何れか一項に記載の乾燥スティックデバイスにおいて、前記1つまたは複数の乾燥試薬が、前記キャビティの別々の部分に固定されることを特徴とするデバイス。
  9. 請求項1乃至8の何れか一項に記載の乾燥スティックデバイスにおいて、前記キャビティが区画化されることを特徴とするデバイス。
  10. 請求項1乃至9の何れか一項に記載の乾燥スティックデバイスにおいて、前記少なくとも1つの乾燥試薬が、前記キャビティの少なくとも一部に固定された少なくとも2つの別々の層、例えば少なくとも3つの層、例えば少なくとも4つの層、例えば少なくとも5つの層、例えば少なくとも6つの層内に存在することを特徴とするデバイス。
  11. 水性サンプル中の分析物を決定するための方法において、
    (a)前記サンプルを請求項1乃至10の何れか一項に記載の乾燥スティックデバイスのキャビティに適用するステップと、
    (b)前記少なくとも1つの試薬と、前記分析物、前記分析物の誘導体、または前記分析物の指標化合物とを反応させて、検出可能なシグナルを発生させるステップと、
    (c)前記検出可能なシグナルを前記サンプルから得るステップと
    を含むことを特徴とする方法。
  12. 請求項11に記載の方法において、洗浄ステップを含まないことを特徴とする方法。
  13. 請求項1乃至10の何れか一項に記載の乾燥スティックデバイスを調製するための方法において、
    (i)キャビティを含む担体を提供するステップと、
    (ii)少なくとも1つの乾燥試薬を提供するステップと、
    (ii)前記少なくとも1つの乾燥試薬を前記キャビティに施すステップと、
    前記乾燥スティックデバイスを得るステップと
    を含むことを特徴とする方法。
  14. (a)請求項1乃至10の何れか一項に記載のサンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスと、
    (b)分析すべきサンプルを得るためのサンプリング手段であって、データ保存手段によって制御され、事前に選択された時点または事前に選択された時間間隔においてのみ活性化されるサンプリング手段と
    を含むことを特徴とする自動または半自動システム。
  15. システムによって識別可能な独自の識別コードがそれぞれ割り当てられた複数の個々の群メンバーを含む泌乳動物の群れの生産能力を最適化するための自動または半自動システムにおいて、前記システムが、前記泌乳動物の個々のメンバーの乳サンプル中の少なくとも1つの分析物を分析するための分析手段を含み、前記分析手段が、
    (a)請求項1乃至10の何れか一項に記載のサンプル中の分析物を決定するための乾燥スティックデバイスと、
    (b)前記乳サンプルの一部をそれぞれ別の分析手段へ方向付けるための手段であって、前記個々の群メンバーの生産または泌乳サイクルにおいて事前に選択された時点または事前に選択された時間間隔においてのみ前記方向付け手段が活性化されるように、前記個々の群メンバーのそれぞれの生理および栄養状態のデータ(前記群メンバーの繁殖および泌乳サイクルにおける時点を示すデータを含む)の保存手段によって制御される方向付け手段と
    を含むことを特徴とする自動または半自動システム。
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